ハイブリッド車両、ハイブリッド車両の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
【課題】外部充電が行なわれる予定に合わせて受入れ可能な充電量をふやすことができるハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両は、エンジン4と、車輪2を駆動させるために用いられるモータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2に電力を供給する充放電可能なバッテリBと、エンジン4から機械的動力を受けて発電するモータジェネレータMG1と、車両外部から与えられる電力を受けてバッテリBを充電するための電力入力部と、バッテリBの充電状態を示す状態量が制御目標値に近づくようにモータジェネレータMG1からバッテリBへの充電量を制御する制御装置60とを備える。制御装置60は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行ない、乗員からの指示に基づき制御目標値を変更する。
【解決手段】ハイブリッド車両は、エンジン4と、車輪2を駆動させるために用いられるモータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2に電力を供給する充放電可能なバッテリBと、エンジン4から機械的動力を受けて発電するモータジェネレータMG1と、車両外部から与えられる電力を受けてバッテリBを充電するための電力入力部と、バッテリBの充電状態を示す状態量が制御目標値に近づくようにモータジェネレータMG1からバッテリBへの充電量を制御する制御装置60とを備える。制御装置60は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行ない、乗員からの指示に基づき制御目標値を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両、ハイブリッド車両の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した自動車として、ハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)が大きく注目されている。ハイブリッド自動車は、従来の内燃機関に加え、バッテリなどの蓄電装置と蓄電装置からの電力を用いて車両の駆動力を発生する電動機とをさらに動力源とする自動車である。
【0003】
特開2005−137135号公報(特許文献1)には、エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとバッテリとの間で電力の授受を行なうハイブリッド車両の制御装置が開示されている。
【0004】
この制御装置は、車速を検出する車速検出手段と、車両への制駆動力指令値を設定する制駆動力指令値設定手段と、バッテリのSOCを検出するSOC検出手段と、車両の走行経路を設定し、その走行経路の道路環境情報を検出するナビゲーション装置とを備えている。
【0005】
そして、この制御装置は、走行経路の道路環境情報およびSOC(State Of Charge)に基づいて、燃料の利用効率を表す効率指標値を演算する第1効率指標演算手段と、SOCに基づいて、SOCが高い程、効率指標値を大きい値に演算する第2効率指標演算手段と、車両の走行経路の道路環境情報を検出できるときには前記第1効率指標演算手段により求めた第1効率指標値を、そうでないときには前記第2効率指標演算手段により求めた第2効率指標値を選択すると共に、前記効率指標値の切替えの際には前記効率指標値を切替え前の値から連続的に変化させて切替え後の値に一致させる処理を施して最終効率指標値を演算する最終効率指標演算手段と、前記車速検出値、前記制駆動力指令値および最終効率指標値に基づいて、最終効率指標値が大きいほどバッテリへの充電量を少なくするエンジンとモータの運転点を決定する運転点決定手段と、をさらに備えている。
【0006】
この制御装置において、最終効率指標演算手段は、ナビゲーションにより設定された走行経路の終端までの距離Xrが所定の距離以内の地点に車両が達したあとは、Xrが小さくなるにつれて第1効率指標値から第2効率指標値へ近づけるように演算する手段であることが1つの特徴である。
【特許文献1】特開2005−137135号公報
【特許文献2】特開2001−268719号公報
【特許文献3】特開2004−245190号公報
【特許文献4】特開平9−168206号公報
【特許文献5】特開平10−150701号公報
【特許文献6】特開2000−217206号公報
【特許文献7】特開2004−22384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハイブリッド自動車において、車両外部の電源を用いて蓄電装置を充電することができる外部充電機能を備えたハイブリッド自動車が知られている。外部充電機能を備えたハイブリッド自動車によれば、内燃機関への依存度を低減させることができる。その結果、燃料補給にスタンドに行く手数も減り、かつ環境保護へのさらなる貢献を果たすことができる。
【0008】
上記の特開2005−137135号公報に開示された技術は外部充電機能を備えたハイブリッド自動車に適用することも考えられる。すなわち走行経路の終端で充電を行なう。そうすれば、充電可能な電力が大きい状態で充電を開始するようにできる。
【0009】
しかし、たとえば充電地点が自宅である場合、帰宅直後に再度発車するような場合も考えられる。この場合は外部充電が行なわれないか、充電時間が短く充電不足で発車することになる。
【0010】
この発明の目的は、外部充電が行なわれる予定に合わせて受入可能な充電量をふやすことができるハイブリッド車両、ハイブリッド車両の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、要約すると、ハイブリッド車両であって、内燃機関と、車輪を駆動させるために用いられる電動機と、電動機に電力を供給する充放電可能な蓄電装置と、内燃機関から機械的動力を受けて発電する発電装置と、車両外部から与えられる電力を受けて蓄電装置を充電するための電力入力部と、蓄電装置の充電状態を示す状態量が制御目標値に近づくように発電装置から蓄電装置への充電量を制御する制御装置とを備える。制御装置は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行ない、乗員からの指示に基づき制御目標値を変更する。
【0012】
好ましくは、充電地点は、予め設定されており、制御装置は、車両の現在位置から充電地点までの距離が所定値以下になった際の特有のSOC制御モードを備え、ナビゲーションシステムにおいて充電地点までの距離が所定値以下になったと判断した際に、特有のSOC制御モードを選択するか否か乗員に対して問合せを行なう。
【0013】
好ましくは、制御装置は、乗員からの指示が、充電地点に向かう予定有のときには、充電地点に向かう予定無のときよりも、制御目標値を低く設定する。
【0014】
好ましくは、制御装置は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行ない、充電予定量に応じて制御目標値を変更する。
【0015】
この発明は、他の局面に従うと、内燃機関と、車輪を駆動させるために用いられる電動機と、電動機に電力を供給する充放電可能な蓄電装置と、内燃機関から機械的動力を受けて発電する発電装置と、車両外部から与えられる電力を受けて蓄電装置を充電するための電力入力部とを含むハイブリッド車両の制御方法である。ハイブリッド車両の制御方法は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なうステップと、蓄電装置の充電状態を示す状態量が第1の制御目標値に近づくように発電装置から蓄電装置への充電量を制御する第1の充電制御ステップと、状態量が第1の制御目標値より低い第2の制御目標値に近づくように発電装置から蓄電装置への充電量を制御する第2の充電制御ステップと、乗員からの指示に基づき第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップとを備える。
【0016】
好ましくは、充電地点は、予め設定されている。制御方法は、車両の現在位置から充電地点までの距離を取得するステップと、距離が所定値以下になったか否かを判断するステップとをさらに備える。問合せを行なうステップは、距離が所定値以下になった場合に、充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なう。
【0017】
好ましくは、第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップは、乗員からの指示が、充電地点に向かう予定有のときには第2の充電制御ステップを実行させ、充電地点に向かう予定無のときには第1の充電制御ステップを実行させる。
【0018】
好ましくは、制御方法は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行なうステップと、充電予定量に応じて第2の制御目標値を変更するステップとをさらに備える。
【0019】
この発明はさらに他の局面に従うと、上記いずれかのハイブリッド車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0020】
この発明はさらに他の局面に従うと、上記いずれかのハイブリッド車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、充電地点でなるべく多くのエネルギを受入れることができるので、内燃機関への依存度が低減され、排出ガスの少ない環境保護に寄与する車両が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態によるハイブリッド自動車100の全体ブロック図である。
【0024】
図1を参照して、ハイブリッド自動車100は、エンジン4と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分配機構3と、車輪2とを備える。また、ハイブリッド自動車100は、蓄電装置Bと、昇圧コンバータ10と、インバータ20,30と、制御装置60と、カーナビゲーション装置55と、コンデンサC1,C2と、電源ラインPL1,PL2と、接地ラインSLと、U相ラインUL1,UL2と、V相ラインVL1,VL2と、W相ラインWL1,WL2と、電圧センサ70,72と、電流センサ80,82とをさらに備える。さらに、ハイブリッド自動車100は、電力入力ラインACL1,ACL2と、リレー回路40と、入力端子50と、電圧センサ74とをさらに備える。
【0025】
動力分配機構3は、エンジン4とモータジェネレータMG1,MG2とに結合されてこれらの間で動力を分配する。たとえば、動力分配機構3としては、サンギヤ、プラネタリキャリヤおよびリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。この3つの回転軸がエンジン4およびモータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。たとえば、モータジェネレータMG1のロータを中空としてその中心にエンジン4のクランク軸を通すことで動力分配機構3にエンジン4とモータジェネレータMG1,MG2とを機械的に接続することができる。
【0026】
なお、モータジェネレータMG2の回転軸は、図示されない減速ギヤや差動ギヤによって車輪2に結合されている。また、動力分配機構3の内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組込んでもよい。
【0027】
そして、モータジェネレータMG1は、エンジン4によって駆動される発電機として動作し、かつ、エンジン4の始動を行ない得る電動機として動作するものとしてハイブリッド自動車100に組込まれ、モータジェネレータMG2は、駆動輪である車輪2を駆動する電動機としてハイブリッド自動車100に組込まれる。
【0028】
蓄電装置Bの正極は、電源ラインPL1に接続され、蓄電装置Bの負極は、接地ラインSLに接続される。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間に接続される。
【0029】
昇圧コンバータ10は、リアクトルLと、npn型トランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。npn型トランジスタQ1,Q2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列に接続される。各npn型トランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。そして、リアクトルLの一端は、npn型トランジスタQ1,Q2の接続点に接続され、その他端は、電源ラインPL1に接続される。
【0030】
なお、上記のnpn型トランジスタおよび以下の本明細書中のnpn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができ、また、npn型トランジスタに代えてパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
【0031】
コンデンサC2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に接続される。インバータ20は、U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26を含む。U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に並列に接続される。
【0032】
U相アーム22は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ11,Q12を含む。V相アーム24は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ13,Q14を含む。W相アーム26は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ15,Q16を含む。各npn型トランジスタQ11〜Q16のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD11〜D16がそれぞれ接続される。
【0033】
モータジェネレータMG1は、三相コイル12をステータコイルとして含む。三相コイル12を形成するU相コイルU1、V相コイルV1およびW相コイルW1の一端は、互いに接続されて中性点N1を形成し、各相コイルの他端は、インバータ20のU相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26における各npn型トランジスタの接続点にそれぞれ接続される。
【0034】
インバータ30は、U相アーム32、V相アーム34およびW相アーム36を含む。モータジェネレータMG2は、三相コイル14をステータコイルとして含む。インバータ30およびモータジェネレータMG2の構成は、それぞれインバータ20およびモータジェネレータMG1と同様であるので、説明は繰返さない。
【0035】
リレー回路40は、リレーRY1,RY2を含む。リレーRY1,RY2としては、たとえば、機械的な接点リレーを用いることができるが、半導体リレーを用いてもよい。そして、リレーRY1の一端に電力入力ラインACL1の一方端が接続され、電力入力ラインACL1の他方端は、モータジェネレータMG1の三相コイル12の中性点N1に接続される。また、リレーRY2の一端に電力入力ラインACL2の一方端が接続され、電力入力ラインACL2の他方端は、モータジェネレータMG2の三相コイル14の中性点N2に接続される。さらに、リレーRY1,RY2の他端に入力端子50が接続される。
【0036】
蓄電装置Bは、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池を含む。蓄電装置Bは、直流電力を昇圧コンバータ10へ出力する。また、蓄電装置Bは、昇圧コンバータ10によって充電される。なお、蓄電装置Bとして、大容量のキャパシタを用いてもよい。
【0037】
電圧センサ70は、蓄電装置Bの電圧VBを検出し、その検出した電圧VBを制御装置60へ出力する。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間の電圧変動を平滑化する。
【0038】
昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、蓄電装置Bから受ける直流電圧をリアクトルLを用いて昇圧し、その昇圧した昇圧電圧を電源ラインPL2へ出力する。具体的には、昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、npn型トランジスタQ2のスイッチング動作に応じて流れる電流をリアクトルLに磁場エネルギとして蓄積することによって蓄電装置Bからの直流電圧を昇圧する。そして、昇圧コンバータ10は、その昇圧した昇圧電圧をnpn型トランジスタQ2がオフされたタイミングに同期してダイオードD1を介して電源ラインPL2へ出力する。
【0039】
また、昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、電源ラインPL2を介してインバータ20,30の一方または両方から受ける直流電圧を蓄電装置Bの電圧レベルに降圧して蓄電装置Bを充電する。
【0040】
コンデンサC2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間の電圧変動を平滑化する。電圧センサ72は、コンデンサC2の端子間電圧、すなわち接地ラインSLに対する電源ラインPL2の電圧VHを検出し、その検出した電圧VHを制御装置60へ出力する。
【0041】
インバータ20は、制御装置60からの信号PWM1に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した三相交流電圧をモータジェネレータMG1へ出力する。これにより、モータジェネレータMG1は、指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ20は、エンジン4の出力を受けてモータジェネレータMG1が発電した三相交流電圧を制御装置60からの信号PWM1に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ラインPL2へ出力する。
【0042】
インバータ30は、制御装置60からの信号PWM2に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した三相交流電圧をモータジェネレータMG2へ出力する。これにより、モータジェネレータMG2は、指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ30は、車両の回生制動時、車輪2からの回転力を受けてモータジェネレータMG2が発電した三相交流電圧を制御装置60からの信号PWM2に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ラインPL2へ出力する。
【0043】
なお、ここで言う回生制動とは、車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
【0044】
また、インバータ20,30は、入力端子50に接続される車両外部の商用電源90から蓄電装置Bの充電が行なわれるとき、商用電源90から電力入力ラインACL1,ACL2を介して三相コイル12,14の中性点N1,N2に与えられる交流電力を直流電力に変換して電源ラインPL2へ出力する。
【0045】
モータジェネレータMG1,MG2は、三相交流電動機であり、たとえば三相交流同期電動機を用いることができる。モータジェネレータMG1は、エンジン4の出力を用いて三相交流電圧を発生し、その発生した三相交流電圧をインバータ20へ出力する。また、モータジェネレータMG1は、インバータ20から受ける三相交流電圧によって駆動力を発生し、エンジン4の始動を行なう。モータジェネレータMG2は、インバータ30から受ける三相交流電圧によって車両の駆動トルクを発生する。また、モータジェネレータMG2は、車両の回生制動時、三相交流電圧を発生してインバータ30へ出力する。
【0046】
リレー回路40は、制御装置60からの入力許可信号ENが活性化されると、入力端子50を電力入力ラインACL1,ACL2と電気的に接続する。具体的には、リレー回路40は、入力許可信号ENが活性化されると、リレーRY1,RY2をオンし、入力許可信号ENが非活性化されると、リレーRY1,RY2をオフする。
【0047】
入力端子50は、車両外部の商用電源90をこのハイブリッド自動車100に接続するための端子である。そして、このハイブリッド自動車100においては、後述する方法により、入力端子50に接続される車両外部の商用電源90から蓄電装置Bを充電することができる。
【0048】
カーナビゲーション装置55は、このハイブリッド自動車100の現在位置を検出して図示されない表示部にその現在位置を表示する。また、カーナビゲーション装置55は、ハイブリッド自動車100の現在位置から商用電源90により蓄電装置Bの充電を行なう充電地点までの走行予定距離を算出し、その算出した走行予定距離を制御装置60へ出力する。なお、商用電源90から蓄電装置Bの充電を行なう充電地点としては、たとえば、帰宅後に十分に充電することを予定して自宅が設定される。なお、カーナビゲーション装置55において運転者により充電地点を設定できるようにしてもよい。
【0049】
なお、車両の現在位置の検出手法については、人工衛星を利用して車両位置を測定するGPS(Global Positioning System)や路上に配置したビーコンなどを用いた公知手法を用いることができる。
【0050】
電流センサ80は、モータジェネレータMG1に流れるモータ電流MCRT1を検出し、その検出したモータ電流MCRT1を制御装置60へ出力する。電流センサ82は、モータジェネレータMG2に流れるモータ電流MCRT2を検出し、その検出したモータ電流MCRT2を制御装置60へ出力する。電圧センサ74は、入力端子50に接続される商用電源90の電圧VACを検出し、その検出した電圧VACを制御装置60へ出力する。
【0051】
制御装置60は、昇圧コンバータ10を駆動するための信号PWCおよびインバータ20,30をそれぞれ駆動するための信号PWM1,PWM2を生成し、その生成した信号PWC,PWM1,PWM2をそれぞれ昇圧コンバータ10およびインバータ20,30へ出力する。
【0052】
ここで、図示されないイグニッションキー(またはイグニッションスイッチ、以下同じ。)からの信号IGがオフ位置を示しているときに商用電源90から入力端子50に交流電力が与えられると、制御装置60は、リレー回路40へ出力している入力許可信号ENを活性化する。そして、制御装置60は、電力入力ラインACL1,ACL2を介して中性点N1,N2に与えられる商用電源90からの交流電力が直流電力に変換されて電源ラインPL2へ出力されるように、インバータ20,30を制御するための信号PWM1,PWM2を生成する。
【0053】
また、制御装置60は、蓄電装置BのSOC(満充電状態を100%として0〜100%の値で示される。)が所定の制御上下限内に収まるように蓄電装置BのSOCを制御する。より具体的には、制御装置60は、蓄電装置BのSOCが制御下限値を下回ると、エンジン4を始動させてモータジェネレータMG1により発電を行ない、蓄電装置Bの充電を実行する。また、制御装置60は、蓄電装置BのSOCが制御上限値を上回ったときは、エンジン4を停止してモータジェネレータMG1による発電を停止する。
【0054】
ここで、制御装置60は、ハイブリッド自動車100の現在位置から商用電源90により蓄電装置Bの充電を行なう充電地点までの走行予定距離をカーナビゲーション装置55から受け、その受けた走行予定距離に基づいて蓄電装置BのSOCの制御上下限値を設定する。
【0055】
図2は、図1に示した制御装置60の機能ブロック図である。なお、この制御装置60は、ソフトウエアでもハードウエアでも実現が可能である。
【0056】
図2を参照して、制御装置60は、コンバータ制御部61と、第1のインバータ制御部62と、第2のインバータ制御部63と、AC入力制御部64とを含む。
【0057】
コンバータ制御部61は、電圧センサ70からの電圧VBと、電圧センサ72からの電圧VHと、図示されないECU(Electronic Control Unit)から出力されるモータジェネレータMG1,MG2のトルク指令値TR1,TR2と、モータ回転数MRN1,MRN2と、AC入力制御部64からの制御信号CTLとに基づいて、昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ10へ出力する。
【0058】
第1のインバータ制御部62は、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1およびモータ回転数MRN1と、電圧VHと、電流センサ80からのモータ電流MCRT1と、制御信号CTLとに基づいて、インバータ20のnpn型トランジスタQ11〜Q16をオン/オフするための信号PWM1を生成し、その生成した信号PWM1をインバータ20へ出力する。
【0059】
第2のインバータ制御部63は、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2およびモータ回転数MRN2と、電圧VHと、電流センサ82からのモータ電流MCRT2と、制御信号CTLとに基づいて、インバータ30のnpn型トランジスタQ21〜Q26をオン/オフするための信号PWM2を生成し、その生成した信号PWM2をインバータ30へ出力する。
【0060】
AC入力制御部64は、ECUからの信号IGおよび電圧センサ74からの電圧VACに基づいて、車両外部の商用電源90から蓄電装置Bの充電を行なうか否かを判定する。そして、AC入力制御部64は、充電を行なうものと判定すると、コンバータ制御部61ならびに第1および第2のインバータ制御部62,63へ出力する制御信号CTLを活性化するとともに、リレー回路40へ出力する入力許可信号ENを活性化する。
【0061】
図3は、図2に示したコンバータ制御部61の機能ブロック図である。
図3を参照して、コンバータ制御部61は、インバータ入力電圧指令演算部112と、フィードバック電圧指令演算部114と、デューティー比演算部116と、PWM信号変換部118とを含む。
【0062】
インバータ入力電圧指令演算部112は、トルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数MRN1,MRN2に基づいて、インバータ入力電圧の最適値(目標値)すなわち電圧指令VH_comを演算し、その演算した電圧指令VH_comをフィードバック電圧指令演算部114へ出力する。
【0063】
図1、図3を参照して、フィードバック電圧指令演算部114は、電圧センサ72によって検出される昇圧コンバータ10の出力電圧VHと、インバータ入力電圧指令演算部112からの電圧指令VH_comとに基づいて、出力電圧VHを電圧指令VH_comに制御するためのフィードバック電圧指令VH_com_fbを演算し、その演算したフィードバック電圧指令VH_com_fbをデューティー比演算部116へ出力する。
【0064】
デューティー比演算部116は、電圧センサ70からの電圧VBと、フィードバック電圧指令演算部114からのフィードバック電圧指令VH_com_fbとに基づいて、昇圧コンバータ10の出力電圧VHを電圧指令VH_comに制御するためのデューティー比を演算し、その演算したデューティー比をPWM信号変換部118へ出力する。
【0065】
PWM信号変換部118は、デューティー比演算部116から受けたデューティー比に基づいて、昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2をオン/オフするためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWCとして昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2へ出力する。
【0066】
なお、昇圧コンバータ10の下アームのnpn型トランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルLにおける電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上アームのnpn型トランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより電源ラインPL2の電圧が下がる。そこで、npn型トランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、電源ラインPL2の電圧を蓄電装置Bの出力電圧以上の任意の電圧に制御することができる。
【0067】
さらに、PWM信号変換部118は、制御信号CTLが活性化されているとき、デューティー比演算部116の出力に拘わらず、npn型トランジスタQ1を導通状態とし、npn型トランジスタQ2を非導通状態とする。これにより、電源ラインPL2から電源ラインPL1に向けて充電電流を流すことが可能となる。
【0068】
図4は、図2に示した第1および第2のインバータ制御部62,63の機能ブロック図である。
【0069】
図1、図4を参照して、第1および第2のインバータ制御部62,63の各々は、モータ制御用相電圧演算部120と、PWM信号変換部122とを含む。
【0070】
モータ制御用相電圧演算部120は、ECUからのトルク指令値TR1(またはTR2)およびモータ回転数MRN1(またはMRN2)と、電流センサ80(または82)からのモータ電流MCRT1(またはMCRT2)と、電圧センサ72からの電圧VHとに基づいて、モータジェネレータMG1(またはMG2)の各相コイルに印加する電圧を演算し、その演算した各相コイル電圧をPWM信号変換部122へ出力する。
【0071】
PWM信号変換部122は、モータ制御用相電圧演算部120から受ける各相コイル電圧指令に基づいて、実際にインバータ20(または30)の各npn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)をオン/オフする信号PWM1_0(信号PWM1の一種)(またはPWM2_0(信号PWM2の一種))を生成し、その生成した信号PWM1_0(またはPWM2_0)をインバータ20(または30)の各npn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)へ出力する。
【0072】
このようにして、各npn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)がスイッチング制御され、モータジェネレータMG1(またはMG2)が指令されたトルクを出力するようにモータジェネレータMG1(またはMG2)の各相に流す電流が制御される。その結果、トルク指令値TR1(またはTR2)に応じたモータトルクが出力される。
【0073】
また、PWM信号変換部122は、AC入力制御部64からの制御信号CTLが活性化されているとき、モータ制御用相電圧演算部120の出力に拘わらず、インバータ20(または30)のU相アーム22(または32)、V相アーム24(または34)およびW相アーム26(または36)に同位相の交流電流を流すようにnpn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)をオン/オフする信号PWM1_1(信号PWM1の一種)(またはPWM2_1(信号PWM2の一種))を生成し、その生成した信号PWM1_1(またはPWM2_1)をインバータ20(または30)のnpn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)へ出力する。
【0074】
なお、U,V,Wの各相コイルU1,V1,W1(またはU2,V2,W2)に同位相の交流電流が流れる場合には、モータジェネレータMG1(またはMG2)には回転トルクは発生しない。そして、次に説明するように、インバータ20および30が協調制御されることにより、中性点N1,N2に与えられる商用電源90からの交流電圧VACが直流電圧に変換されて電源ラインPL2に供給される。
【0075】
図5は、図1に示したインバータ20,30およびモータジェネレータMG1,MG2のゼロ相等価回路を示す回路図である。
【0076】
図5を参照して、三相インバータであるインバータ20,30の各々においては、6個のnpn型トランジスタのオン/オフの組合せは8パターン存在する。その8つのスイッチングパターンのうち2つは相間電圧がゼロとなり、そのような電圧状態はゼロ電圧ベクトルと称される。ゼロ電圧ベクトルについては、上アームの3つのトランジスタは互いに同じスイッチング状態(全てオンまたはオフ)と考えることができ、また、下アームの3つのトランジスタも互いに同じスイッチング状態と考えることができる。
【0077】
したがって、この図5では、インバータ20のnpn型トランジスタQ11,Q13,Q15は上アーム20Aとしてまとめて示され、インバータ20のnpn型トランジスタQ12,Q14,Q16は下アーム20Bとしてまとめて示されている。同様に、インバータ30のnpn型トランジスタQ21,Q23,Q25は上アーム30Aとしてまとめて示され、インバータ30のnpn型トランジスタQ22,Q24,Q26は下アーム30Bとしてまとめて示されている。
【0078】
図5に示されるように、このゼロ相等価回路は、図1のリレー回路40および入力端子50を介して中性点N1,N2に電気的に接続された単相の商用電源90を入力とする単相PWMコンバータとみることができる。そこで、インバータ20,30の各々においてゼロ電圧ベクトルを変化させ、インバータ20,30をそれぞれ単相PWMコンバータの各相アームとして動作するようにスイッチング制御することによって、商用電源90からの単相交流電力を直流電力に変換して電源ラインPL2へ供給することができる。
【0079】
以上図2〜図4で説明した制御装置60は、コンピュータを用いてソフトウエアで実現することも可能である。
【0080】
図6は、制御装置60としてコンピュータを用いた場合の一般的な構成を示した図である。
【0081】
図6を参照して、制御装置60であるコンピュータは、CPU180と、A/D変換器181と、ROM182と、RAM183と、インターフェース部184とを含む。
【0082】
A/D変換器181は、各種センサの出力等のアナログ信号AINをディジタル信号に変換してCPU180に出力する。またCPU180はデータバスやアドレスバス等のバス186でROM182と、RAM183と、インターフェース部184に接続されデータ授受を行なう。
【0083】
ROM182は、たとえばCPU180で実行されるプログラムや参照されるマップ等のデータが格納されている。RAM183は、たとえばCPU180がデータ処理を行なう場合の作業領域であり、各種変数を一時的に記憶する。
【0084】
インターフェース部184は、たとえば他のECUとの通信を行なったり、ROM182として電気的に書換可能なフラッシュメモリ等を使用した場合の書換データの入力などを行なったり、メモリカードやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からのデータ信号SIGの読込みを行なったりする。
【0085】
なお、CPU180は、入出力ポートからデータ入力信号DINやデータ出力信号DOUTを授受する。
【0086】
また、制御装置60は、このような構成に限られるものでなく、複数のCPUを含んで実現されるものであっても良い。
【0087】
[充電時における制御]
図7は、図1に示した制御装置60による充電開始の判断に関するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0088】
図7を参照して、制御装置60は、イグニッションキーからの信号IGに基づいて、イグニッションキーがオフ位置に設定されているか否かを判定する(ステップS1)。制御装置60は、イグニッションキーがオフ位置に設定されていないと判定すると(ステップS1においてNO)、商用電源90を入力端子50に接続して蓄電装置Bの充電を行なうのは不適切であると判断して、ステップS6へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。
【0089】
ステップS1においてイグニッションキーがオフ位置に設定されていると判定されると(ステップS1においてYES)、制御装置60は、電圧センサ74からの電圧VACに基づいて、商用電源90からの交流電力が入力端子50に入力されているか否かを判定する(ステップS2)。制御装置60は、電圧VACが観測されないときは、交流電力が入力端子50に入力されていないものと判断し(ステップS2においてNO)、ステップS6へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。
【0090】
一方、電圧VACが検出されると、制御装置60は、商用電源90からの交流電力が入力端子50に入力されていると判定する(ステップS2においてYES)。そうすると、制御装置60は、蓄電装置BのSOCがしきい値Sth(F)を下回っているか否かを判定する(ステップS3)。ここで、しきい値Sth(F)は、蓄電装置BのSOCが十分であるか否かを判定するための判定値である。
【0091】
制御装置60は、蓄電装置BのSOCがしきい値Sth(F)を下回っていると判定すると(ステップS3においてYES)、リレー回路40へ出力する入力許可信号ENを活性化する。そして、制御装置60は、2つのインバータ20,30の各々の各相アームを同じスイッチング状態で動作させつつ、2つのインバータ20,30をそれぞれ単相PWMコンバータの各相アームと考えてスイッチング制御し、蓄電装置Bの充電を実行する(ステップS4)。その後、ステップS6へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。
【0092】
一方、ステップS3において、蓄電装置BのSOCがしきい値Sth(F)以上であると判定されると(ステップS3においてNO)、制御装置60は、蓄電装置Bの充電を行なう必要はないものと判断し、充電停止処理を実行する(ステップS5)。具体的には、制御装置60は、インバータ20,30を停止するとともに、リレー回路40へ出力している入力許可信号ENを非活性化する。その後、ステップS6へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。
【0093】
[走行時における制御]
次に、本実施の形態に係るハイブリッド車両の走行時における充電状態SOCの管理について説明する。
【0094】
再び図1を参照して、本実施の形態に係るハイブリッド車両は、ある局面においては、エンジン4と、車輪2を駆動させるために用いられるモータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2に電力を供給する充放電可能な蓄電装置Bと、エンジン4から機械的動力を受けて発電するモータジェネレータMG1と、車両外部から与えられる電力を受けて蓄電装置Bを充電するための電力入力部(入力端子50)と、蓄電装置Bの充電状態を示す状態量(SOC)が制御目標値に近づくようにモータジェネレータMG1から蓄電装置Bへの充電量を制御する制御装置60とを備える。制御装置60は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行ない、乗員からの指示に基づき制御目標値を変更する。
【0095】
好ましくは、充電地点は、予め設定されており、制御装置60は、車両の現在位置から充電地点までの距離が所定値以下になった場合に、充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なう。
【0096】
より具体的には、制御装置60は、車両の現在位置から前記充電地点までの距離が所定値以下になった際の特有のSOC制御モードを備え、ナビゲーションシステムにおいて充電地点までの距離が所定値以下になったと判断した際に、その特有のSOC制御モードを選択するか否か乗員に対して問合せを行なう。
【0097】
好ましくは、充電地点は、予め設定された自宅である。
好ましくは、制御装置60は、乗員からの指示が、充電地点に向かう予定有のときには、充電地点に向かう予定無のときよりも、制御目標値を低く設定する。
【0098】
好ましくは、制御装置60は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行ない、充電予定量に応じて制御目標値を変更する。
【0099】
図8は、ハイブリッド車両の走行時における充電状態SOCの管理についての制御の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0100】
図1、図8を参照して、制御装置60は、イグニッションキーからの信号IGに基づいて、イグニッションキーがオン位置に設定されているか否かを判定する(ステップS10)。
【0101】
制御装置60は、イグニッションキーがオン位置に設定されていないと判定すると(ステップS1においてNO)、ステップS21へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。制御装置60は、イグニッションキーがオンされたと判定すると、ステップS11に処理を進め、制御装置60は、カーナビゲーション装置55から自宅位置と車両現在位置を取得し、車両現在位置が自宅でないか判断する。車両現在位置が自宅でなければ処理はステップS12に進む。一方、車両現在位置が自宅であれば、自宅で充電された直後であると考えられるので、処理はステップS18に進む。
【0102】
ステップS12では、制御装置60は、カーナビゲーション装置55から現在地から自宅までの距離Lを取得する。そしてステップS13において、取得した距離LとEV走行可能距離とを比較する。EV走行可能距離は、現在の蓄電装置Bの蓄電状態でエンジン4を使用せずに走行可能な距離である。したがって、距離L≦EV走行可能距離が成立しない間は、EV走行を行なって蓄電装置BのSOCを低下させたとしても、自宅に帰り着くまでには結局エンジンを起動して通常HV走行をしなければならない。つまり、距離L≦EV走行可能距離が成立しない間は、通常HV走行を行なう必然性がある。
【0103】
エンジンを運転させながら車両を走行させるHV走行では、あまりSOCを下限値近くにするとHV走行の効率が低下することがわかっている。そこで、通常HV走行を行なう必然性がある間は、なるべく蓄電装置BのSOCを下限値付近まで低下させるのは避けたほうが良い。
【0104】
したがって、ステップS13で距離L≦EV走行可能距離が成立しない間は、ステップS18に処理が進みSOC目標値がSC1である通常HV走行が行なわれる。
【0105】
一方、ステップS13で距離L≦EV走行可能距離が成立した場合は、ステップS14に処理が進む。ステップS14では、制御装置60は、帰宅するか否かを運転者に問合せる。この問合せは、音声はカーナビゲーションのディスプレイ表示等によって行なわれる。
【0106】
つづいて、ステップS15において、制御装置60は運転者または助手席の乗員からの問合せ結果の入力を待つ。問合せ結果は、たとえば、カーナビゲーションのディスプレイのタッチパネル等の押しボタンや、音声認識等により入力される。ステップS15において、問合せ結果が「帰宅する」を選択する場合はステップS16に処理が進み、問合せ結果が「帰宅する」を選択しない場合はステップS18に処理が進む。
【0107】
ステップS16では、充電するか否かの問合せがさらに乗員に対して行なわれる。帰宅しても直ぐに出発しなければならない場合もあり、この場合は蓄電装置BのSOCをあまり低下させるのは好ましくないからである。
【0108】
ステップS16に続いてステップS17において、制御装置60は運転者または助手席の乗員からの問合せ結果の入力を待つ。ステップS17において、問合せ結果が「充電する」を選択するものである場合はステップS20に処理が進み、問合せ結果が「充電する」を選択しない場合はステップS18に処理が進む。
【0109】
なお、ステップS14〜ステップS17をまとめて、「帰宅して充電しますか」のように1回の問合せにしても良い。
【0110】
ステップS20では、EV優先走行に走行モードが決定される。EV優先走行時の蓄電装置BのSOC目標値SC2は、通常HV走行時のSOC目標値SC1よりも低く設定されている。ステップS20の次はステップS21に処理が進み制御はメインルーチンに移される。
【0111】
ステップS13またはステップS17で「NO」の場合には、ステップS18において通常HV走行に走行モードが決定される。通常HV走行モードでは、SOC目標値がSC1に設定される。つづいて、ステップS19に処理が進む。
【0112】
ステップS19では、前回の運転者への問合せ時から、所定時間経過または所定距離を走行したか否かが判断される。つまり、問合せたばかりであれば、帰宅や充電の問合せ結果は変わらないと考えられるので、再度の問合せは行なわれない。ステップS19でNOの場合にはステップS21に処理が進み制御がメインルーチンに移される。
【0113】
しかし、前回の問合せ時から時間が経過した場合や、車両が大きく移動した場合には、問合せの結果が変わる可能性がある。そこで、ステップS19でYESの場合には、ステップS12以降の処理が再び実行される。
【0114】
図9は、自宅を出発してから自宅に帰宅するまでの走行距離とSOCの関係を示した図である。
【0115】
図9を参照して、たとえば、目的地が地点B3であるとするとB1〜B3までは往路であり、B3〜B5は復路である。
【0116】
自宅を出発した時点(地点B1)においては、自宅で蓄電装置Bに充電が行なわれていたので、蓄電装置BのSOCは管理上限値近く(たとえば80%付近)である。この時点で、SOC管理目標値は、上限値よりもやや低いSC1であるので、地点B1〜B2の間は急加速等が行なわれない限りエンジンが停止された状態でのEV走行が行なわれ、蓄電装置Bのエネルギが消費される。その結果地点B1では蓄電装置BのSOCは目標値SC1まで低下する。
【0117】
出発直後にSOCを少し低下させるのは、回生制動時にモータジェネレータMG2で発生する電力を蓄電装置Bに回収可能にしておくためである。これにより、エネルギ効率の良い走行が実現できる。
【0118】
地点B2〜B4の間はエンジンが運転されており、エンジントルクによってモータジェネレータMG1が発電を行ない、発電された電力はほとんどモータジェネレータMG2で使用される。蓄電装置Bに対しては、発電電力の余剰分の充電と、不足分の放電が繰返される。その結果、蓄電装置BのSOCは目標値SC1(たとえば、60%)付近に維持される。
【0119】
地点B4において、自宅までの距離が所定距離以内となる。車両の制御装置は、乗員に対する問合せを行ない、問合せ結果が帰宅して充電することを示す場合には、走行モードをSOCの目標値をSC2に下げるEV優先走行モードに変更する。
【0120】
地点B4から地点B5までの距離は、SOCがSC1である状態からのEV走行のみでちょうど帰宅可能な程度の距離であるので、エンジンは停止されたEV走行が実行される。なお、運転者の加速要求が特に大きい場合等にはエンジンが起動されSOCは横ばいとなる部分がある。そして、地点B5では、蓄電装置BのSOCは、管理下限値(たとえば20%)にほぼ近くなる。したがって、帰宅したときには蓄電装置Bは大きな電力量を受入可能な状態になっている。
【0121】
このようにして、充電地点でなるべく多くのエネルギを受入れることができるので、内燃機関への依存度が低減され、排出ガスの少ない環境保護に寄与する車両が実現できる。
【0122】
再び、図1、図8を参照して、本実施の形態の発明について、総括する。
この発明は、ある局面では、エンジン4と、車輪2を駆動させるために用いられるモータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2に電力を供給する充放電可能な蓄電装置Bと、エンジン4から機械的動力を受けて発電するモータジェネレータMG1と、車両外部から与えられる電力を受けて蓄電装置Bを充電するための電力入力部(端子50)とを含むハイブリッド車両の制御方法である。ハイブリッド車両の制御方法は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なうステップS14と、蓄電装置Bの充電状態を示す状態量が第1の制御目標値(SC1)に近づくようにモータジェネレータMG1から蓄電装置Bへの充電量を制御する第1の充電制御ステップS18と、状態量が第1の制御目標値より低い第2の制御目標値(SC2)に近づくようにモータジェネレータMG1から蓄電装置Bへの充電量を制御する第2の充電制御ステップS20と、乗員からの指示に基づき第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップS15とを備える。
【0123】
好ましくは、充電地点は、予め設定されている。制御方法は、車両の現在位置から充電地点までの距離Lを取得するステップS12と、距離Lが所定値以下になったか否かを判断するステップS13とをさらに備える。問合せを行なうステップS14は、距離が所定値以下になった場合に、充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なう。
【0124】
好ましくは、充電地点は、予め設定された自宅である。
好ましくは、第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップS15は、乗員からの指示が、充電地点に向かう予定有のときには第2の充電制御ステップS20を実行させ、充電地点に向かう予定無のときには第1の充電制御ステップS18を実行させる。
【0125】
好ましくは、制御方法は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行なうステップS16と、乗員からの指示が、充電予定有のときには第2の充電制御ステップS20を実行させ、充電予定無のときには第1の充電制御ステップS18を実行させるステップS17とをさらに含む。
【0126】
[変形例]
図10は、図8で説明した制御の変形例のフローチャートである。
【0127】
図10のフローチャートは、図8に示したフローチャートにおいてステップS16、S17に代えてステップS101〜S104を含む。他の部分については図8のフローチャートで説明しているので、説明は繰返さない。
【0128】
図10を参照して、ステップS15で「帰宅する」旨の入力があった場合、ステップS101において、制御装置60は、充電量を乗員に問合せる。問合せは、たとえば、カーナビゲーションのディスプレイ上に、「どれくらい充電しますか? A:2時間、B:1時間、C:30分」のように表示して、乗員にA〜Cの選択を促す。
【0129】
そして、ステップS102、S103において乗員が選択した充電予定時間に応じた振り分けが実行される。
【0130】
ステップS102では、充電がほとんど行なわれない場合が判断される。たとえば、「C:30分」が選択された場合も充電が無いと判断される。ステップS102でYESの場合、処理はステップS18に進み走行モードが通常HV走行モードに設定される。
【0131】
ステップS102において、NOの場合はステップS103において充電量が大か否かが判断される。充電量大(たとえば「A:2時間」が選択されたとき)はステップS20に処理が進み、目標SOCがSC2に設定されたEV優先走行モードが選択される。一方、充電量大でないとき(たとえば「B:1時間」が選択されたとき)はステップS104に処理が進み、目標SOCがSC3に設定されたEV優先走行モードが選択される。
【0132】
なお、ここで、SOC目標値には、SC1>SC3>SC2の関係がある。ステップS20またはステップS104の処理が終了すると、ステップS21において制御はメインルーチンに移される。
【0133】
図11は、図10のフローチャートに基づく制御が行なわれた場合のSOCの変化の一例を示す図である。
【0134】
図11の図は、地点B1〜B4までは、図9で説明した場合と同じであるので説明は繰返さない。
【0135】
図11において、地点B4において、自宅までの距離が所定距離以内となる。車両の制御装置は、乗員に対する問合せを行ない、問合せ結果が帰宅して充電することを示す場合には、充電量に応じて目標SOCの値をSC1,SC2,SC3のいずれかに設定する。
【0136】
充電量が少ないか、または全く充電がされない場合は目標SOCは地点B1〜B4までと同じでSC1に設定される。この場合、波形W1に示すように自宅に帰宅した時点の蓄電装置Bの充電受入可能量は、SOC管理上限値(たとえば80%)とSC1(たとえば60%)との差(たとえば20%)に相当する。
【0137】
充電量が中程度の場合には目標SOCはSC3に設定される。この場合、波形W3に示すように自宅に帰宅した時点の蓄電装置Bの充電受入可能量は、SOC管理上限値(たとえば80%)とSC3(たとえば40%)との差(たとえば40%)に相当する。
【0138】
充電量が大きい場合には目標SOCはSC2に設定される。この場合、波形W2に示すように自宅に帰宅した時点の蓄電装置Bの充電受入可能量は、SOC管理上限値(たとえば80%)とSC3(たとえば20%)との差(たとえば60%)に相当する。
【0139】
以上のように、この変形例に示されたハイブリッド車両の制御方法は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行なうステップS101と、充電予定量に応じて第2の制御目標値を変更するステップS103とをさらに備える。
【0140】
このようにして、充電地点でなるべく多くのエネルギを受入れることができるので、内燃機関への依存度が低減され、排出ガスの少ない環境保護に寄与する車両が実現できる。
【0141】
また、さらに変形例に示すようにすれば、帰宅時点で充電時間に合わせたSOC低下具合にバッテリの状態を設定できるので、充電予定時間が経過し再び自宅を出発するときにSOCが管理上限値近くまで充電できるので、次回出発時もEV走行可能な距離を同程度にすることができる。
【0142】
なお、図1では、カーナビゲーション装置55を備え、自宅位置等の充電地点と車両現在位置との距離をカーナビゲーション装置55から得る場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、カーナビゲーション装置55に代えて、もっと簡単なGPS装置を搭載して自宅位置等の充電地点と車両現在位置との距離を得ても良い。
【0143】
また、以上の実施の形態で開示された制御方法は、コンピュータを用いてソフトウエアで実行可能である。この制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体(ROM、CD−ROM、メモリカードなど)から車両の制御装置中のコンピュータに読み込ませたり、また通信回線を通じて提供したりしても良い。
【0144】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】この発明の実施の形態によるハイブリッド自動車100の全体ブロック図である。
【図2】図1に示した制御装置60の機能ブロック図である。
【図3】図2に示したコンバータ制御部61の機能ブロック図である。
【図4】図2に示した第1および第2のインバータ制御部62,63の機能ブロック図である。
【図5】図1に示したインバータ20,30およびモータジェネレータMG1,MG2のゼロ相等価回路を示す回路図である。
【図6】制御装置60としてコンピュータを用いた場合の一般的な構成を示した図である。
【図7】図1に示した制御装置60による充電開始の判断に関するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図8】ハイブリッド車両の走行時における充電状態SOCの管理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図9】自宅を出発してから自宅に帰宅するまでの走行距離とSOCの関係を示した図である。
【図10】図8で説明した制御の変形例のフローチャートである。
【図11】図10のフローチャートに基づく制御が行なわれた場合のSOCの変化の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
2 車輪、3 動力分配機構、4 エンジン、10 昇圧コンバータ、12,14 三相コイル、20,30 インバータ、20A,30A 上アーム、20B,30B 下アーム、22,32 U相アーム、24,34 V相アーム、26,36 W相アーム、40 リレー回路、50 端子、55 カーナビゲーション装置、60 制御装置、61 コンバータ制御部、62,63 インバータ制御部、64 入力制御部、70,72,74 電圧センサ、80,82 電流センサ、90 商用電源、100 ハイブリッド自動車、112 インバータ入力電圧指令演算部、114 フィードバック電圧指令演算部、116 デューティー比演算部、118,122 PWM信号変換部、120 モータ制御用相電圧演算部、181 A/D変換器、184 インターフェース部、186 バス、ACL1,ACL2 電力入力ライン、B 蓄電装置、C1,C2 コンデンサ、D1,D2,D11〜D16 ダイオード、L リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、N1,N2 中性点、PL1,PL2 電源ライン、Q1,Q2,Q11〜Q16,Q21〜Q26 トランジスタ、RY1,RY2 リレー、SL 接地ライン、U1 U相コイル、V1 V相コイル、W1 W相コイル、UL1,UL2 U相ライン、VL1,VL2 V相ライン、WL1,WL2 W相ライン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両、ハイブリッド車両の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した自動車として、ハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)が大きく注目されている。ハイブリッド自動車は、従来の内燃機関に加え、バッテリなどの蓄電装置と蓄電装置からの電力を用いて車両の駆動力を発生する電動機とをさらに動力源とする自動車である。
【0003】
特開2005−137135号公報(特許文献1)には、エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとバッテリとの間で電力の授受を行なうハイブリッド車両の制御装置が開示されている。
【0004】
この制御装置は、車速を検出する車速検出手段と、車両への制駆動力指令値を設定する制駆動力指令値設定手段と、バッテリのSOCを検出するSOC検出手段と、車両の走行経路を設定し、その走行経路の道路環境情報を検出するナビゲーション装置とを備えている。
【0005】
そして、この制御装置は、走行経路の道路環境情報およびSOC(State Of Charge)に基づいて、燃料の利用効率を表す効率指標値を演算する第1効率指標演算手段と、SOCに基づいて、SOCが高い程、効率指標値を大きい値に演算する第2効率指標演算手段と、車両の走行経路の道路環境情報を検出できるときには前記第1効率指標演算手段により求めた第1効率指標値を、そうでないときには前記第2効率指標演算手段により求めた第2効率指標値を選択すると共に、前記効率指標値の切替えの際には前記効率指標値を切替え前の値から連続的に変化させて切替え後の値に一致させる処理を施して最終効率指標値を演算する最終効率指標演算手段と、前記車速検出値、前記制駆動力指令値および最終効率指標値に基づいて、最終効率指標値が大きいほどバッテリへの充電量を少なくするエンジンとモータの運転点を決定する運転点決定手段と、をさらに備えている。
【0006】
この制御装置において、最終効率指標演算手段は、ナビゲーションにより設定された走行経路の終端までの距離Xrが所定の距離以内の地点に車両が達したあとは、Xrが小さくなるにつれて第1効率指標値から第2効率指標値へ近づけるように演算する手段であることが1つの特徴である。
【特許文献1】特開2005−137135号公報
【特許文献2】特開2001−268719号公報
【特許文献3】特開2004−245190号公報
【特許文献4】特開平9−168206号公報
【特許文献5】特開平10−150701号公報
【特許文献6】特開2000−217206号公報
【特許文献7】特開2004−22384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハイブリッド自動車において、車両外部の電源を用いて蓄電装置を充電することができる外部充電機能を備えたハイブリッド自動車が知られている。外部充電機能を備えたハイブリッド自動車によれば、内燃機関への依存度を低減させることができる。その結果、燃料補給にスタンドに行く手数も減り、かつ環境保護へのさらなる貢献を果たすことができる。
【0008】
上記の特開2005−137135号公報に開示された技術は外部充電機能を備えたハイブリッド自動車に適用することも考えられる。すなわち走行経路の終端で充電を行なう。そうすれば、充電可能な電力が大きい状態で充電を開始するようにできる。
【0009】
しかし、たとえば充電地点が自宅である場合、帰宅直後に再度発車するような場合も考えられる。この場合は外部充電が行なわれないか、充電時間が短く充電不足で発車することになる。
【0010】
この発明の目的は、外部充電が行なわれる予定に合わせて受入可能な充電量をふやすことができるハイブリッド車両、ハイブリッド車両の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、要約すると、ハイブリッド車両であって、内燃機関と、車輪を駆動させるために用いられる電動機と、電動機に電力を供給する充放電可能な蓄電装置と、内燃機関から機械的動力を受けて発電する発電装置と、車両外部から与えられる電力を受けて蓄電装置を充電するための電力入力部と、蓄電装置の充電状態を示す状態量が制御目標値に近づくように発電装置から蓄電装置への充電量を制御する制御装置とを備える。制御装置は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行ない、乗員からの指示に基づき制御目標値を変更する。
【0012】
好ましくは、充電地点は、予め設定されており、制御装置は、車両の現在位置から充電地点までの距離が所定値以下になった際の特有のSOC制御モードを備え、ナビゲーションシステムにおいて充電地点までの距離が所定値以下になったと判断した際に、特有のSOC制御モードを選択するか否か乗員に対して問合せを行なう。
【0013】
好ましくは、制御装置は、乗員からの指示が、充電地点に向かう予定有のときには、充電地点に向かう予定無のときよりも、制御目標値を低く設定する。
【0014】
好ましくは、制御装置は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行ない、充電予定量に応じて制御目標値を変更する。
【0015】
この発明は、他の局面に従うと、内燃機関と、車輪を駆動させるために用いられる電動機と、電動機に電力を供給する充放電可能な蓄電装置と、内燃機関から機械的動力を受けて発電する発電装置と、車両外部から与えられる電力を受けて蓄電装置を充電するための電力入力部とを含むハイブリッド車両の制御方法である。ハイブリッド車両の制御方法は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なうステップと、蓄電装置の充電状態を示す状態量が第1の制御目標値に近づくように発電装置から蓄電装置への充電量を制御する第1の充電制御ステップと、状態量が第1の制御目標値より低い第2の制御目標値に近づくように発電装置から蓄電装置への充電量を制御する第2の充電制御ステップと、乗員からの指示に基づき第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップとを備える。
【0016】
好ましくは、充電地点は、予め設定されている。制御方法は、車両の現在位置から充電地点までの距離を取得するステップと、距離が所定値以下になったか否かを判断するステップとをさらに備える。問合せを行なうステップは、距離が所定値以下になった場合に、充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なう。
【0017】
好ましくは、第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップは、乗員からの指示が、充電地点に向かう予定有のときには第2の充電制御ステップを実行させ、充電地点に向かう予定無のときには第1の充電制御ステップを実行させる。
【0018】
好ましくは、制御方法は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行なうステップと、充電予定量に応じて第2の制御目標値を変更するステップとをさらに備える。
【0019】
この発明はさらに他の局面に従うと、上記いずれかのハイブリッド車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0020】
この発明はさらに他の局面に従うと、上記いずれかのハイブリッド車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、充電地点でなるべく多くのエネルギを受入れることができるので、内燃機関への依存度が低減され、排出ガスの少ない環境保護に寄与する車両が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態によるハイブリッド自動車100の全体ブロック図である。
【0024】
図1を参照して、ハイブリッド自動車100は、エンジン4と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分配機構3と、車輪2とを備える。また、ハイブリッド自動車100は、蓄電装置Bと、昇圧コンバータ10と、インバータ20,30と、制御装置60と、カーナビゲーション装置55と、コンデンサC1,C2と、電源ラインPL1,PL2と、接地ラインSLと、U相ラインUL1,UL2と、V相ラインVL1,VL2と、W相ラインWL1,WL2と、電圧センサ70,72と、電流センサ80,82とをさらに備える。さらに、ハイブリッド自動車100は、電力入力ラインACL1,ACL2と、リレー回路40と、入力端子50と、電圧センサ74とをさらに備える。
【0025】
動力分配機構3は、エンジン4とモータジェネレータMG1,MG2とに結合されてこれらの間で動力を分配する。たとえば、動力分配機構3としては、サンギヤ、プラネタリキャリヤおよびリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。この3つの回転軸がエンジン4およびモータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。たとえば、モータジェネレータMG1のロータを中空としてその中心にエンジン4のクランク軸を通すことで動力分配機構3にエンジン4とモータジェネレータMG1,MG2とを機械的に接続することができる。
【0026】
なお、モータジェネレータMG2の回転軸は、図示されない減速ギヤや差動ギヤによって車輪2に結合されている。また、動力分配機構3の内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組込んでもよい。
【0027】
そして、モータジェネレータMG1は、エンジン4によって駆動される発電機として動作し、かつ、エンジン4の始動を行ない得る電動機として動作するものとしてハイブリッド自動車100に組込まれ、モータジェネレータMG2は、駆動輪である車輪2を駆動する電動機としてハイブリッド自動車100に組込まれる。
【0028】
蓄電装置Bの正極は、電源ラインPL1に接続され、蓄電装置Bの負極は、接地ラインSLに接続される。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間に接続される。
【0029】
昇圧コンバータ10は、リアクトルLと、npn型トランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。npn型トランジスタQ1,Q2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列に接続される。各npn型トランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。そして、リアクトルLの一端は、npn型トランジスタQ1,Q2の接続点に接続され、その他端は、電源ラインPL1に接続される。
【0030】
なお、上記のnpn型トランジスタおよび以下の本明細書中のnpn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができ、また、npn型トランジスタに代えてパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
【0031】
コンデンサC2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に接続される。インバータ20は、U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26を含む。U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に並列に接続される。
【0032】
U相アーム22は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ11,Q12を含む。V相アーム24は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ13,Q14を含む。W相アーム26は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ15,Q16を含む。各npn型トランジスタQ11〜Q16のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD11〜D16がそれぞれ接続される。
【0033】
モータジェネレータMG1は、三相コイル12をステータコイルとして含む。三相コイル12を形成するU相コイルU1、V相コイルV1およびW相コイルW1の一端は、互いに接続されて中性点N1を形成し、各相コイルの他端は、インバータ20のU相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26における各npn型トランジスタの接続点にそれぞれ接続される。
【0034】
インバータ30は、U相アーム32、V相アーム34およびW相アーム36を含む。モータジェネレータMG2は、三相コイル14をステータコイルとして含む。インバータ30およびモータジェネレータMG2の構成は、それぞれインバータ20およびモータジェネレータMG1と同様であるので、説明は繰返さない。
【0035】
リレー回路40は、リレーRY1,RY2を含む。リレーRY1,RY2としては、たとえば、機械的な接点リレーを用いることができるが、半導体リレーを用いてもよい。そして、リレーRY1の一端に電力入力ラインACL1の一方端が接続され、電力入力ラインACL1の他方端は、モータジェネレータMG1の三相コイル12の中性点N1に接続される。また、リレーRY2の一端に電力入力ラインACL2の一方端が接続され、電力入力ラインACL2の他方端は、モータジェネレータMG2の三相コイル14の中性点N2に接続される。さらに、リレーRY1,RY2の他端に入力端子50が接続される。
【0036】
蓄電装置Bは、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池を含む。蓄電装置Bは、直流電力を昇圧コンバータ10へ出力する。また、蓄電装置Bは、昇圧コンバータ10によって充電される。なお、蓄電装置Bとして、大容量のキャパシタを用いてもよい。
【0037】
電圧センサ70は、蓄電装置Bの電圧VBを検出し、その検出した電圧VBを制御装置60へ出力する。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間の電圧変動を平滑化する。
【0038】
昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、蓄電装置Bから受ける直流電圧をリアクトルLを用いて昇圧し、その昇圧した昇圧電圧を電源ラインPL2へ出力する。具体的には、昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、npn型トランジスタQ2のスイッチング動作に応じて流れる電流をリアクトルLに磁場エネルギとして蓄積することによって蓄電装置Bからの直流電圧を昇圧する。そして、昇圧コンバータ10は、その昇圧した昇圧電圧をnpn型トランジスタQ2がオフされたタイミングに同期してダイオードD1を介して電源ラインPL2へ出力する。
【0039】
また、昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、電源ラインPL2を介してインバータ20,30の一方または両方から受ける直流電圧を蓄電装置Bの電圧レベルに降圧して蓄電装置Bを充電する。
【0040】
コンデンサC2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間の電圧変動を平滑化する。電圧センサ72は、コンデンサC2の端子間電圧、すなわち接地ラインSLに対する電源ラインPL2の電圧VHを検出し、その検出した電圧VHを制御装置60へ出力する。
【0041】
インバータ20は、制御装置60からの信号PWM1に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した三相交流電圧をモータジェネレータMG1へ出力する。これにより、モータジェネレータMG1は、指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ20は、エンジン4の出力を受けてモータジェネレータMG1が発電した三相交流電圧を制御装置60からの信号PWM1に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ラインPL2へ出力する。
【0042】
インバータ30は、制御装置60からの信号PWM2に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した三相交流電圧をモータジェネレータMG2へ出力する。これにより、モータジェネレータMG2は、指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ30は、車両の回生制動時、車輪2からの回転力を受けてモータジェネレータMG2が発電した三相交流電圧を制御装置60からの信号PWM2に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ラインPL2へ出力する。
【0043】
なお、ここで言う回生制動とは、車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
【0044】
また、インバータ20,30は、入力端子50に接続される車両外部の商用電源90から蓄電装置Bの充電が行なわれるとき、商用電源90から電力入力ラインACL1,ACL2を介して三相コイル12,14の中性点N1,N2に与えられる交流電力を直流電力に変換して電源ラインPL2へ出力する。
【0045】
モータジェネレータMG1,MG2は、三相交流電動機であり、たとえば三相交流同期電動機を用いることができる。モータジェネレータMG1は、エンジン4の出力を用いて三相交流電圧を発生し、その発生した三相交流電圧をインバータ20へ出力する。また、モータジェネレータMG1は、インバータ20から受ける三相交流電圧によって駆動力を発生し、エンジン4の始動を行なう。モータジェネレータMG2は、インバータ30から受ける三相交流電圧によって車両の駆動トルクを発生する。また、モータジェネレータMG2は、車両の回生制動時、三相交流電圧を発生してインバータ30へ出力する。
【0046】
リレー回路40は、制御装置60からの入力許可信号ENが活性化されると、入力端子50を電力入力ラインACL1,ACL2と電気的に接続する。具体的には、リレー回路40は、入力許可信号ENが活性化されると、リレーRY1,RY2をオンし、入力許可信号ENが非活性化されると、リレーRY1,RY2をオフする。
【0047】
入力端子50は、車両外部の商用電源90をこのハイブリッド自動車100に接続するための端子である。そして、このハイブリッド自動車100においては、後述する方法により、入力端子50に接続される車両外部の商用電源90から蓄電装置Bを充電することができる。
【0048】
カーナビゲーション装置55は、このハイブリッド自動車100の現在位置を検出して図示されない表示部にその現在位置を表示する。また、カーナビゲーション装置55は、ハイブリッド自動車100の現在位置から商用電源90により蓄電装置Bの充電を行なう充電地点までの走行予定距離を算出し、その算出した走行予定距離を制御装置60へ出力する。なお、商用電源90から蓄電装置Bの充電を行なう充電地点としては、たとえば、帰宅後に十分に充電することを予定して自宅が設定される。なお、カーナビゲーション装置55において運転者により充電地点を設定できるようにしてもよい。
【0049】
なお、車両の現在位置の検出手法については、人工衛星を利用して車両位置を測定するGPS(Global Positioning System)や路上に配置したビーコンなどを用いた公知手法を用いることができる。
【0050】
電流センサ80は、モータジェネレータMG1に流れるモータ電流MCRT1を検出し、その検出したモータ電流MCRT1を制御装置60へ出力する。電流センサ82は、モータジェネレータMG2に流れるモータ電流MCRT2を検出し、その検出したモータ電流MCRT2を制御装置60へ出力する。電圧センサ74は、入力端子50に接続される商用電源90の電圧VACを検出し、その検出した電圧VACを制御装置60へ出力する。
【0051】
制御装置60は、昇圧コンバータ10を駆動するための信号PWCおよびインバータ20,30をそれぞれ駆動するための信号PWM1,PWM2を生成し、その生成した信号PWC,PWM1,PWM2をそれぞれ昇圧コンバータ10およびインバータ20,30へ出力する。
【0052】
ここで、図示されないイグニッションキー(またはイグニッションスイッチ、以下同じ。)からの信号IGがオフ位置を示しているときに商用電源90から入力端子50に交流電力が与えられると、制御装置60は、リレー回路40へ出力している入力許可信号ENを活性化する。そして、制御装置60は、電力入力ラインACL1,ACL2を介して中性点N1,N2に与えられる商用電源90からの交流電力が直流電力に変換されて電源ラインPL2へ出力されるように、インバータ20,30を制御するための信号PWM1,PWM2を生成する。
【0053】
また、制御装置60は、蓄電装置BのSOC(満充電状態を100%として0〜100%の値で示される。)が所定の制御上下限内に収まるように蓄電装置BのSOCを制御する。より具体的には、制御装置60は、蓄電装置BのSOCが制御下限値を下回ると、エンジン4を始動させてモータジェネレータMG1により発電を行ない、蓄電装置Bの充電を実行する。また、制御装置60は、蓄電装置BのSOCが制御上限値を上回ったときは、エンジン4を停止してモータジェネレータMG1による発電を停止する。
【0054】
ここで、制御装置60は、ハイブリッド自動車100の現在位置から商用電源90により蓄電装置Bの充電を行なう充電地点までの走行予定距離をカーナビゲーション装置55から受け、その受けた走行予定距離に基づいて蓄電装置BのSOCの制御上下限値を設定する。
【0055】
図2は、図1に示した制御装置60の機能ブロック図である。なお、この制御装置60は、ソフトウエアでもハードウエアでも実現が可能である。
【0056】
図2を参照して、制御装置60は、コンバータ制御部61と、第1のインバータ制御部62と、第2のインバータ制御部63と、AC入力制御部64とを含む。
【0057】
コンバータ制御部61は、電圧センサ70からの電圧VBと、電圧センサ72からの電圧VHと、図示されないECU(Electronic Control Unit)から出力されるモータジェネレータMG1,MG2のトルク指令値TR1,TR2と、モータ回転数MRN1,MRN2と、AC入力制御部64からの制御信号CTLとに基づいて、昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ10へ出力する。
【0058】
第1のインバータ制御部62は、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1およびモータ回転数MRN1と、電圧VHと、電流センサ80からのモータ電流MCRT1と、制御信号CTLとに基づいて、インバータ20のnpn型トランジスタQ11〜Q16をオン/オフするための信号PWM1を生成し、その生成した信号PWM1をインバータ20へ出力する。
【0059】
第2のインバータ制御部63は、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2およびモータ回転数MRN2と、電圧VHと、電流センサ82からのモータ電流MCRT2と、制御信号CTLとに基づいて、インバータ30のnpn型トランジスタQ21〜Q26をオン/オフするための信号PWM2を生成し、その生成した信号PWM2をインバータ30へ出力する。
【0060】
AC入力制御部64は、ECUからの信号IGおよび電圧センサ74からの電圧VACに基づいて、車両外部の商用電源90から蓄電装置Bの充電を行なうか否かを判定する。そして、AC入力制御部64は、充電を行なうものと判定すると、コンバータ制御部61ならびに第1および第2のインバータ制御部62,63へ出力する制御信号CTLを活性化するとともに、リレー回路40へ出力する入力許可信号ENを活性化する。
【0061】
図3は、図2に示したコンバータ制御部61の機能ブロック図である。
図3を参照して、コンバータ制御部61は、インバータ入力電圧指令演算部112と、フィードバック電圧指令演算部114と、デューティー比演算部116と、PWM信号変換部118とを含む。
【0062】
インバータ入力電圧指令演算部112は、トルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数MRN1,MRN2に基づいて、インバータ入力電圧の最適値(目標値)すなわち電圧指令VH_comを演算し、その演算した電圧指令VH_comをフィードバック電圧指令演算部114へ出力する。
【0063】
図1、図3を参照して、フィードバック電圧指令演算部114は、電圧センサ72によって検出される昇圧コンバータ10の出力電圧VHと、インバータ入力電圧指令演算部112からの電圧指令VH_comとに基づいて、出力電圧VHを電圧指令VH_comに制御するためのフィードバック電圧指令VH_com_fbを演算し、その演算したフィードバック電圧指令VH_com_fbをデューティー比演算部116へ出力する。
【0064】
デューティー比演算部116は、電圧センサ70からの電圧VBと、フィードバック電圧指令演算部114からのフィードバック電圧指令VH_com_fbとに基づいて、昇圧コンバータ10の出力電圧VHを電圧指令VH_comに制御するためのデューティー比を演算し、その演算したデューティー比をPWM信号変換部118へ出力する。
【0065】
PWM信号変換部118は、デューティー比演算部116から受けたデューティー比に基づいて、昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2をオン/オフするためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWCとして昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2へ出力する。
【0066】
なお、昇圧コンバータ10の下アームのnpn型トランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルLにおける電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上アームのnpn型トランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより電源ラインPL2の電圧が下がる。そこで、npn型トランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、電源ラインPL2の電圧を蓄電装置Bの出力電圧以上の任意の電圧に制御することができる。
【0067】
さらに、PWM信号変換部118は、制御信号CTLが活性化されているとき、デューティー比演算部116の出力に拘わらず、npn型トランジスタQ1を導通状態とし、npn型トランジスタQ2を非導通状態とする。これにより、電源ラインPL2から電源ラインPL1に向けて充電電流を流すことが可能となる。
【0068】
図4は、図2に示した第1および第2のインバータ制御部62,63の機能ブロック図である。
【0069】
図1、図4を参照して、第1および第2のインバータ制御部62,63の各々は、モータ制御用相電圧演算部120と、PWM信号変換部122とを含む。
【0070】
モータ制御用相電圧演算部120は、ECUからのトルク指令値TR1(またはTR2)およびモータ回転数MRN1(またはMRN2)と、電流センサ80(または82)からのモータ電流MCRT1(またはMCRT2)と、電圧センサ72からの電圧VHとに基づいて、モータジェネレータMG1(またはMG2)の各相コイルに印加する電圧を演算し、その演算した各相コイル電圧をPWM信号変換部122へ出力する。
【0071】
PWM信号変換部122は、モータ制御用相電圧演算部120から受ける各相コイル電圧指令に基づいて、実際にインバータ20(または30)の各npn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)をオン/オフする信号PWM1_0(信号PWM1の一種)(またはPWM2_0(信号PWM2の一種))を生成し、その生成した信号PWM1_0(またはPWM2_0)をインバータ20(または30)の各npn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)へ出力する。
【0072】
このようにして、各npn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)がスイッチング制御され、モータジェネレータMG1(またはMG2)が指令されたトルクを出力するようにモータジェネレータMG1(またはMG2)の各相に流す電流が制御される。その結果、トルク指令値TR1(またはTR2)に応じたモータトルクが出力される。
【0073】
また、PWM信号変換部122は、AC入力制御部64からの制御信号CTLが活性化されているとき、モータ制御用相電圧演算部120の出力に拘わらず、インバータ20(または30)のU相アーム22(または32)、V相アーム24(または34)およびW相アーム26(または36)に同位相の交流電流を流すようにnpn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)をオン/オフする信号PWM1_1(信号PWM1の一種)(またはPWM2_1(信号PWM2の一種))を生成し、その生成した信号PWM1_1(またはPWM2_1)をインバータ20(または30)のnpn型トランジスタQ11〜Q16(またはQ21〜Q26)へ出力する。
【0074】
なお、U,V,Wの各相コイルU1,V1,W1(またはU2,V2,W2)に同位相の交流電流が流れる場合には、モータジェネレータMG1(またはMG2)には回転トルクは発生しない。そして、次に説明するように、インバータ20および30が協調制御されることにより、中性点N1,N2に与えられる商用電源90からの交流電圧VACが直流電圧に変換されて電源ラインPL2に供給される。
【0075】
図5は、図1に示したインバータ20,30およびモータジェネレータMG1,MG2のゼロ相等価回路を示す回路図である。
【0076】
図5を参照して、三相インバータであるインバータ20,30の各々においては、6個のnpn型トランジスタのオン/オフの組合せは8パターン存在する。その8つのスイッチングパターンのうち2つは相間電圧がゼロとなり、そのような電圧状態はゼロ電圧ベクトルと称される。ゼロ電圧ベクトルについては、上アームの3つのトランジスタは互いに同じスイッチング状態(全てオンまたはオフ)と考えることができ、また、下アームの3つのトランジスタも互いに同じスイッチング状態と考えることができる。
【0077】
したがって、この図5では、インバータ20のnpn型トランジスタQ11,Q13,Q15は上アーム20Aとしてまとめて示され、インバータ20のnpn型トランジスタQ12,Q14,Q16は下アーム20Bとしてまとめて示されている。同様に、インバータ30のnpn型トランジスタQ21,Q23,Q25は上アーム30Aとしてまとめて示され、インバータ30のnpn型トランジスタQ22,Q24,Q26は下アーム30Bとしてまとめて示されている。
【0078】
図5に示されるように、このゼロ相等価回路は、図1のリレー回路40および入力端子50を介して中性点N1,N2に電気的に接続された単相の商用電源90を入力とする単相PWMコンバータとみることができる。そこで、インバータ20,30の各々においてゼロ電圧ベクトルを変化させ、インバータ20,30をそれぞれ単相PWMコンバータの各相アームとして動作するようにスイッチング制御することによって、商用電源90からの単相交流電力を直流電力に変換して電源ラインPL2へ供給することができる。
【0079】
以上図2〜図4で説明した制御装置60は、コンピュータを用いてソフトウエアで実現することも可能である。
【0080】
図6は、制御装置60としてコンピュータを用いた場合の一般的な構成を示した図である。
【0081】
図6を参照して、制御装置60であるコンピュータは、CPU180と、A/D変換器181と、ROM182と、RAM183と、インターフェース部184とを含む。
【0082】
A/D変換器181は、各種センサの出力等のアナログ信号AINをディジタル信号に変換してCPU180に出力する。またCPU180はデータバスやアドレスバス等のバス186でROM182と、RAM183と、インターフェース部184に接続されデータ授受を行なう。
【0083】
ROM182は、たとえばCPU180で実行されるプログラムや参照されるマップ等のデータが格納されている。RAM183は、たとえばCPU180がデータ処理を行なう場合の作業領域であり、各種変数を一時的に記憶する。
【0084】
インターフェース部184は、たとえば他のECUとの通信を行なったり、ROM182として電気的に書換可能なフラッシュメモリ等を使用した場合の書換データの入力などを行なったり、メモリカードやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からのデータ信号SIGの読込みを行なったりする。
【0085】
なお、CPU180は、入出力ポートからデータ入力信号DINやデータ出力信号DOUTを授受する。
【0086】
また、制御装置60は、このような構成に限られるものでなく、複数のCPUを含んで実現されるものであっても良い。
【0087】
[充電時における制御]
図7は、図1に示した制御装置60による充電開始の判断に関するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0088】
図7を参照して、制御装置60は、イグニッションキーからの信号IGに基づいて、イグニッションキーがオフ位置に設定されているか否かを判定する(ステップS1)。制御装置60は、イグニッションキーがオフ位置に設定されていないと判定すると(ステップS1においてNO)、商用電源90を入力端子50に接続して蓄電装置Bの充電を行なうのは不適切であると判断して、ステップS6へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。
【0089】
ステップS1においてイグニッションキーがオフ位置に設定されていると判定されると(ステップS1においてYES)、制御装置60は、電圧センサ74からの電圧VACに基づいて、商用電源90からの交流電力が入力端子50に入力されているか否かを判定する(ステップS2)。制御装置60は、電圧VACが観測されないときは、交流電力が入力端子50に入力されていないものと判断し(ステップS2においてNO)、ステップS6へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。
【0090】
一方、電圧VACが検出されると、制御装置60は、商用電源90からの交流電力が入力端子50に入力されていると判定する(ステップS2においてYES)。そうすると、制御装置60は、蓄電装置BのSOCがしきい値Sth(F)を下回っているか否かを判定する(ステップS3)。ここで、しきい値Sth(F)は、蓄電装置BのSOCが十分であるか否かを判定するための判定値である。
【0091】
制御装置60は、蓄電装置BのSOCがしきい値Sth(F)を下回っていると判定すると(ステップS3においてYES)、リレー回路40へ出力する入力許可信号ENを活性化する。そして、制御装置60は、2つのインバータ20,30の各々の各相アームを同じスイッチング状態で動作させつつ、2つのインバータ20,30をそれぞれ単相PWMコンバータの各相アームと考えてスイッチング制御し、蓄電装置Bの充電を実行する(ステップS4)。その後、ステップS6へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。
【0092】
一方、ステップS3において、蓄電装置BのSOCがしきい値Sth(F)以上であると判定されると(ステップS3においてNO)、制御装置60は、蓄電装置Bの充電を行なう必要はないものと判断し、充電停止処理を実行する(ステップS5)。具体的には、制御装置60は、インバータ20,30を停止するとともに、リレー回路40へ出力している入力許可信号ENを非活性化する。その後、ステップS6へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。
【0093】
[走行時における制御]
次に、本実施の形態に係るハイブリッド車両の走行時における充電状態SOCの管理について説明する。
【0094】
再び図1を参照して、本実施の形態に係るハイブリッド車両は、ある局面においては、エンジン4と、車輪2を駆動させるために用いられるモータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2に電力を供給する充放電可能な蓄電装置Bと、エンジン4から機械的動力を受けて発電するモータジェネレータMG1と、車両外部から与えられる電力を受けて蓄電装置Bを充電するための電力入力部(入力端子50)と、蓄電装置Bの充電状態を示す状態量(SOC)が制御目標値に近づくようにモータジェネレータMG1から蓄電装置Bへの充電量を制御する制御装置60とを備える。制御装置60は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行ない、乗員からの指示に基づき制御目標値を変更する。
【0095】
好ましくは、充電地点は、予め設定されており、制御装置60は、車両の現在位置から充電地点までの距離が所定値以下になった場合に、充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なう。
【0096】
より具体的には、制御装置60は、車両の現在位置から前記充電地点までの距離が所定値以下になった際の特有のSOC制御モードを備え、ナビゲーションシステムにおいて充電地点までの距離が所定値以下になったと判断した際に、その特有のSOC制御モードを選択するか否か乗員に対して問合せを行なう。
【0097】
好ましくは、充電地点は、予め設定された自宅である。
好ましくは、制御装置60は、乗員からの指示が、充電地点に向かう予定有のときには、充電地点に向かう予定無のときよりも、制御目標値を低く設定する。
【0098】
好ましくは、制御装置60は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行ない、充電予定量に応じて制御目標値を変更する。
【0099】
図8は、ハイブリッド車両の走行時における充電状態SOCの管理についての制御の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0100】
図1、図8を参照して、制御装置60は、イグニッションキーからの信号IGに基づいて、イグニッションキーがオン位置に設定されているか否かを判定する(ステップS10)。
【0101】
制御装置60は、イグニッションキーがオン位置に設定されていないと判定すると(ステップS1においてNO)、ステップS21へ処理を進めてメインルーチンに制御を戻す。制御装置60は、イグニッションキーがオンされたと判定すると、ステップS11に処理を進め、制御装置60は、カーナビゲーション装置55から自宅位置と車両現在位置を取得し、車両現在位置が自宅でないか判断する。車両現在位置が自宅でなければ処理はステップS12に進む。一方、車両現在位置が自宅であれば、自宅で充電された直後であると考えられるので、処理はステップS18に進む。
【0102】
ステップS12では、制御装置60は、カーナビゲーション装置55から現在地から自宅までの距離Lを取得する。そしてステップS13において、取得した距離LとEV走行可能距離とを比較する。EV走行可能距離は、現在の蓄電装置Bの蓄電状態でエンジン4を使用せずに走行可能な距離である。したがって、距離L≦EV走行可能距離が成立しない間は、EV走行を行なって蓄電装置BのSOCを低下させたとしても、自宅に帰り着くまでには結局エンジンを起動して通常HV走行をしなければならない。つまり、距離L≦EV走行可能距離が成立しない間は、通常HV走行を行なう必然性がある。
【0103】
エンジンを運転させながら車両を走行させるHV走行では、あまりSOCを下限値近くにするとHV走行の効率が低下することがわかっている。そこで、通常HV走行を行なう必然性がある間は、なるべく蓄電装置BのSOCを下限値付近まで低下させるのは避けたほうが良い。
【0104】
したがって、ステップS13で距離L≦EV走行可能距離が成立しない間は、ステップS18に処理が進みSOC目標値がSC1である通常HV走行が行なわれる。
【0105】
一方、ステップS13で距離L≦EV走行可能距離が成立した場合は、ステップS14に処理が進む。ステップS14では、制御装置60は、帰宅するか否かを運転者に問合せる。この問合せは、音声はカーナビゲーションのディスプレイ表示等によって行なわれる。
【0106】
つづいて、ステップS15において、制御装置60は運転者または助手席の乗員からの問合せ結果の入力を待つ。問合せ結果は、たとえば、カーナビゲーションのディスプレイのタッチパネル等の押しボタンや、音声認識等により入力される。ステップS15において、問合せ結果が「帰宅する」を選択する場合はステップS16に処理が進み、問合せ結果が「帰宅する」を選択しない場合はステップS18に処理が進む。
【0107】
ステップS16では、充電するか否かの問合せがさらに乗員に対して行なわれる。帰宅しても直ぐに出発しなければならない場合もあり、この場合は蓄電装置BのSOCをあまり低下させるのは好ましくないからである。
【0108】
ステップS16に続いてステップS17において、制御装置60は運転者または助手席の乗員からの問合せ結果の入力を待つ。ステップS17において、問合せ結果が「充電する」を選択するものである場合はステップS20に処理が進み、問合せ結果が「充電する」を選択しない場合はステップS18に処理が進む。
【0109】
なお、ステップS14〜ステップS17をまとめて、「帰宅して充電しますか」のように1回の問合せにしても良い。
【0110】
ステップS20では、EV優先走行に走行モードが決定される。EV優先走行時の蓄電装置BのSOC目標値SC2は、通常HV走行時のSOC目標値SC1よりも低く設定されている。ステップS20の次はステップS21に処理が進み制御はメインルーチンに移される。
【0111】
ステップS13またはステップS17で「NO」の場合には、ステップS18において通常HV走行に走行モードが決定される。通常HV走行モードでは、SOC目標値がSC1に設定される。つづいて、ステップS19に処理が進む。
【0112】
ステップS19では、前回の運転者への問合せ時から、所定時間経過または所定距離を走行したか否かが判断される。つまり、問合せたばかりであれば、帰宅や充電の問合せ結果は変わらないと考えられるので、再度の問合せは行なわれない。ステップS19でNOの場合にはステップS21に処理が進み制御がメインルーチンに移される。
【0113】
しかし、前回の問合せ時から時間が経過した場合や、車両が大きく移動した場合には、問合せの結果が変わる可能性がある。そこで、ステップS19でYESの場合には、ステップS12以降の処理が再び実行される。
【0114】
図9は、自宅を出発してから自宅に帰宅するまでの走行距離とSOCの関係を示した図である。
【0115】
図9を参照して、たとえば、目的地が地点B3であるとするとB1〜B3までは往路であり、B3〜B5は復路である。
【0116】
自宅を出発した時点(地点B1)においては、自宅で蓄電装置Bに充電が行なわれていたので、蓄電装置BのSOCは管理上限値近く(たとえば80%付近)である。この時点で、SOC管理目標値は、上限値よりもやや低いSC1であるので、地点B1〜B2の間は急加速等が行なわれない限りエンジンが停止された状態でのEV走行が行なわれ、蓄電装置Bのエネルギが消費される。その結果地点B1では蓄電装置BのSOCは目標値SC1まで低下する。
【0117】
出発直後にSOCを少し低下させるのは、回生制動時にモータジェネレータMG2で発生する電力を蓄電装置Bに回収可能にしておくためである。これにより、エネルギ効率の良い走行が実現できる。
【0118】
地点B2〜B4の間はエンジンが運転されており、エンジントルクによってモータジェネレータMG1が発電を行ない、発電された電力はほとんどモータジェネレータMG2で使用される。蓄電装置Bに対しては、発電電力の余剰分の充電と、不足分の放電が繰返される。その結果、蓄電装置BのSOCは目標値SC1(たとえば、60%)付近に維持される。
【0119】
地点B4において、自宅までの距離が所定距離以内となる。車両の制御装置は、乗員に対する問合せを行ない、問合せ結果が帰宅して充電することを示す場合には、走行モードをSOCの目標値をSC2に下げるEV優先走行モードに変更する。
【0120】
地点B4から地点B5までの距離は、SOCがSC1である状態からのEV走行のみでちょうど帰宅可能な程度の距離であるので、エンジンは停止されたEV走行が実行される。なお、運転者の加速要求が特に大きい場合等にはエンジンが起動されSOCは横ばいとなる部分がある。そして、地点B5では、蓄電装置BのSOCは、管理下限値(たとえば20%)にほぼ近くなる。したがって、帰宅したときには蓄電装置Bは大きな電力量を受入可能な状態になっている。
【0121】
このようにして、充電地点でなるべく多くのエネルギを受入れることができるので、内燃機関への依存度が低減され、排出ガスの少ない環境保護に寄与する車両が実現できる。
【0122】
再び、図1、図8を参照して、本実施の形態の発明について、総括する。
この発明は、ある局面では、エンジン4と、車輪2を駆動させるために用いられるモータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2に電力を供給する充放電可能な蓄電装置Bと、エンジン4から機械的動力を受けて発電するモータジェネレータMG1と、車両外部から与えられる電力を受けて蓄電装置Bを充電するための電力入力部(端子50)とを含むハイブリッド車両の制御方法である。ハイブリッド車両の制御方法は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なうステップS14と、蓄電装置Bの充電状態を示す状態量が第1の制御目標値(SC1)に近づくようにモータジェネレータMG1から蓄電装置Bへの充電量を制御する第1の充電制御ステップS18と、状態量が第1の制御目標値より低い第2の制御目標値(SC2)に近づくようにモータジェネレータMG1から蓄電装置Bへの充電量を制御する第2の充電制御ステップS20と、乗員からの指示に基づき第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップS15とを備える。
【0123】
好ましくは、充電地点は、予め設定されている。制御方法は、車両の現在位置から充電地点までの距離Lを取得するステップS12と、距離Lが所定値以下になったか否かを判断するステップS13とをさらに備える。問合せを行なうステップS14は、距離が所定値以下になった場合に、充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なう。
【0124】
好ましくは、充電地点は、予め設定された自宅である。
好ましくは、第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップS15は、乗員からの指示が、充電地点に向かう予定有のときには第2の充電制御ステップS20を実行させ、充電地点に向かう予定無のときには第1の充電制御ステップS18を実行させる。
【0125】
好ましくは、制御方法は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行なうステップS16と、乗員からの指示が、充電予定有のときには第2の充電制御ステップS20を実行させ、充電予定無のときには第1の充電制御ステップS18を実行させるステップS17とをさらに含む。
【0126】
[変形例]
図10は、図8で説明した制御の変形例のフローチャートである。
【0127】
図10のフローチャートは、図8に示したフローチャートにおいてステップS16、S17に代えてステップS101〜S104を含む。他の部分については図8のフローチャートで説明しているので、説明は繰返さない。
【0128】
図10を参照して、ステップS15で「帰宅する」旨の入力があった場合、ステップS101において、制御装置60は、充電量を乗員に問合せる。問合せは、たとえば、カーナビゲーションのディスプレイ上に、「どれくらい充電しますか? A:2時間、B:1時間、C:30分」のように表示して、乗員にA〜Cの選択を促す。
【0129】
そして、ステップS102、S103において乗員が選択した充電予定時間に応じた振り分けが実行される。
【0130】
ステップS102では、充電がほとんど行なわれない場合が判断される。たとえば、「C:30分」が選択された場合も充電が無いと判断される。ステップS102でYESの場合、処理はステップS18に進み走行モードが通常HV走行モードに設定される。
【0131】
ステップS102において、NOの場合はステップS103において充電量が大か否かが判断される。充電量大(たとえば「A:2時間」が選択されたとき)はステップS20に処理が進み、目標SOCがSC2に設定されたEV優先走行モードが選択される。一方、充電量大でないとき(たとえば「B:1時間」が選択されたとき)はステップS104に処理が進み、目標SOCがSC3に設定されたEV優先走行モードが選択される。
【0132】
なお、ここで、SOC目標値には、SC1>SC3>SC2の関係がある。ステップS20またはステップS104の処理が終了すると、ステップS21において制御はメインルーチンに移される。
【0133】
図11は、図10のフローチャートに基づく制御が行なわれた場合のSOCの変化の一例を示す図である。
【0134】
図11の図は、地点B1〜B4までは、図9で説明した場合と同じであるので説明は繰返さない。
【0135】
図11において、地点B4において、自宅までの距離が所定距離以内となる。車両の制御装置は、乗員に対する問合せを行ない、問合せ結果が帰宅して充電することを示す場合には、充電量に応じて目標SOCの値をSC1,SC2,SC3のいずれかに設定する。
【0136】
充電量が少ないか、または全く充電がされない場合は目標SOCは地点B1〜B4までと同じでSC1に設定される。この場合、波形W1に示すように自宅に帰宅した時点の蓄電装置Bの充電受入可能量は、SOC管理上限値(たとえば80%)とSC1(たとえば60%)との差(たとえば20%)に相当する。
【0137】
充電量が中程度の場合には目標SOCはSC3に設定される。この場合、波形W3に示すように自宅に帰宅した時点の蓄電装置Bの充電受入可能量は、SOC管理上限値(たとえば80%)とSC3(たとえば40%)との差(たとえば40%)に相当する。
【0138】
充電量が大きい場合には目標SOCはSC2に設定される。この場合、波形W2に示すように自宅に帰宅した時点の蓄電装置Bの充電受入可能量は、SOC管理上限値(たとえば80%)とSC3(たとえば20%)との差(たとえば60%)に相当する。
【0139】
以上のように、この変形例に示されたハイブリッド車両の制御方法は、乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行なうステップS101と、充電予定量に応じて第2の制御目標値を変更するステップS103とをさらに備える。
【0140】
このようにして、充電地点でなるべく多くのエネルギを受入れることができるので、内燃機関への依存度が低減され、排出ガスの少ない環境保護に寄与する車両が実現できる。
【0141】
また、さらに変形例に示すようにすれば、帰宅時点で充電時間に合わせたSOC低下具合にバッテリの状態を設定できるので、充電予定時間が経過し再び自宅を出発するときにSOCが管理上限値近くまで充電できるので、次回出発時もEV走行可能な距離を同程度にすることができる。
【0142】
なお、図1では、カーナビゲーション装置55を備え、自宅位置等の充電地点と車両現在位置との距離をカーナビゲーション装置55から得る場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、カーナビゲーション装置55に代えて、もっと簡単なGPS装置を搭載して自宅位置等の充電地点と車両現在位置との距離を得ても良い。
【0143】
また、以上の実施の形態で開示された制御方法は、コンピュータを用いてソフトウエアで実行可能である。この制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体(ROM、CD−ROM、メモリカードなど)から車両の制御装置中のコンピュータに読み込ませたり、また通信回線を通じて提供したりしても良い。
【0144】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】この発明の実施の形態によるハイブリッド自動車100の全体ブロック図である。
【図2】図1に示した制御装置60の機能ブロック図である。
【図3】図2に示したコンバータ制御部61の機能ブロック図である。
【図4】図2に示した第1および第2のインバータ制御部62,63の機能ブロック図である。
【図5】図1に示したインバータ20,30およびモータジェネレータMG1,MG2のゼロ相等価回路を示す回路図である。
【図6】制御装置60としてコンピュータを用いた場合の一般的な構成を示した図である。
【図7】図1に示した制御装置60による充電開始の判断に関するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図8】ハイブリッド車両の走行時における充電状態SOCの管理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図9】自宅を出発してから自宅に帰宅するまでの走行距離とSOCの関係を示した図である。
【図10】図8で説明した制御の変形例のフローチャートである。
【図11】図10のフローチャートに基づく制御が行なわれた場合のSOCの変化の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
2 車輪、3 動力分配機構、4 エンジン、10 昇圧コンバータ、12,14 三相コイル、20,30 インバータ、20A,30A 上アーム、20B,30B 下アーム、22,32 U相アーム、24,34 V相アーム、26,36 W相アーム、40 リレー回路、50 端子、55 カーナビゲーション装置、60 制御装置、61 コンバータ制御部、62,63 インバータ制御部、64 入力制御部、70,72,74 電圧センサ、80,82 電流センサ、90 商用電源、100 ハイブリッド自動車、112 インバータ入力電圧指令演算部、114 フィードバック電圧指令演算部、116 デューティー比演算部、118,122 PWM信号変換部、120 モータ制御用相電圧演算部、181 A/D変換器、184 インターフェース部、186 バス、ACL1,ACL2 電力入力ライン、B 蓄電装置、C1,C2 コンデンサ、D1,D2,D11〜D16 ダイオード、L リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、N1,N2 中性点、PL1,PL2 電源ライン、Q1,Q2,Q11〜Q16,Q21〜Q26 トランジスタ、RY1,RY2 リレー、SL 接地ライン、U1 U相コイル、V1 V相コイル、W1 W相コイル、UL1,UL2 U相ライン、VL1,VL2 V相ライン、WL1,WL2 W相ライン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
車輪を駆動させるために用いられる電動機と、
前記電動機に電力を供給する充放電可能な蓄電装置と、
前記内燃機関から機械的動力を受けて発電する発電装置と、
車両外部から与えられる電力を受けて前記蓄電装置を充電するための電力入力部と、
前記蓄電装置の充電状態を示す状態量が制御目標値に近づくように前記発電装置から前記蓄電装置への充電量を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行ない、前記乗員からの指示に基づき前記制御目標値を変更する、ハイブリッド車両。
【請求項2】
前記充電地点は、予め設定されており、
前記制御装置は、車両の現在位置から前記充電地点までの距離が所定値以下になった際の特有のSOC制御モードを備え、ナビゲーションシステムにおいて前記充電地点までの距離が前記所定値以下になったと判断した際に、前記特有のSOC制御モードを選択するか否か乗員に対して問合せを行なう、請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記乗員からの指示が、前記充電地点に向かう予定有のときには、前記充電地点に向かう予定無のときよりも、前記制御目標値を低く設定する、請求項1または2に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行ない、前記充電予定量に応じて前記制御目標値を変更する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
内燃機関と、車輪を駆動させるために用いられる電動機と、前記電動機に電力を供給する充放電可能な蓄電装置と、前記内燃機関から機械的動力を受けて発電する発電装置と、車両外部から与えられる電力を受けて前記蓄電装置を充電するための電力入力部とを含むハイブリッド車両の制御方法であって、
乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なうステップと、
前記蓄電装置の充電状態を示す状態量が第1の制御目標値に近づくように前記発電装置から前記蓄電装置への充電量を制御する第1の充電制御ステップと、
前記状態量が第1の制御目標値より低い第2の制御目標値に近づくように前記発電装置から前記蓄電装置への充電量を制御する第2の充電制御ステップと、
前記乗員からの指示に基づき前記第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップとを備える、ハイブリッド車両の制御方法。
【請求項6】
前記充電地点は、予め設定されており、
車両の現在位置から前記充電地点までの距離を取得するステップと、
前記距離が所定値以下になったか否かを判断するステップとをさらに備え、
前記問合せを行なうステップは、前記距離が所定値以下になった場合に、前記充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なう、請求項5に記載のハイブリッド車両の制御方法。
【請求項7】
前記第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップは、前記乗員からの指示が、前記充電地点に向かう予定有のときには前記第2の充電制御ステップを実行させ、前記充電地点に向かう予定無のときには前記第1の充電制御ステップを実行させる、請求項5または6に記載のハイブリッド車両の制御方法。
【請求項8】
前記乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行なうステップと、
前記充電予定量に応じて前記第2の制御目標値を変更するステップとをさらに備える、請求項5〜7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
請求項5〜8のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
内燃機関と、
車輪を駆動させるために用いられる電動機と、
前記電動機に電力を供給する充放電可能な蓄電装置と、
前記内燃機関から機械的動力を受けて発電する発電装置と、
車両外部から与えられる電力を受けて前記蓄電装置を充電するための電力入力部と、
前記蓄電装置の充電状態を示す状態量が制御目標値に近づくように前記発電装置から前記蓄電装置への充電量を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行ない、前記乗員からの指示に基づき前記制御目標値を変更する、ハイブリッド車両。
【請求項2】
前記充電地点は、予め設定されており、
前記制御装置は、車両の現在位置から前記充電地点までの距離が所定値以下になった際の特有のSOC制御モードを備え、ナビゲーションシステムにおいて前記充電地点までの距離が前記所定値以下になったと判断した際に、前記特有のSOC制御モードを選択するか否か乗員に対して問合せを行なう、請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記乗員からの指示が、前記充電地点に向かう予定有のときには、前記充電地点に向かう予定無のときよりも、前記制御目標値を低く設定する、請求項1または2に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行ない、前記充電予定量に応じて前記制御目標値を変更する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
内燃機関と、車輪を駆動させるために用いられる電動機と、前記電動機に電力を供給する充放電可能な蓄電装置と、前記内燃機関から機械的動力を受けて発電する発電装置と、車両外部から与えられる電力を受けて前記蓄電装置を充電するための電力入力部とを含むハイブリッド車両の制御方法であって、
乗員に対して充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なうステップと、
前記蓄電装置の充電状態を示す状態量が第1の制御目標値に近づくように前記発電装置から前記蓄電装置への充電量を制御する第1の充電制御ステップと、
前記状態量が第1の制御目標値より低い第2の制御目標値に近づくように前記発電装置から前記蓄電装置への充電量を制御する第2の充電制御ステップと、
前記乗員からの指示に基づき前記第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップとを備える、ハイブリッド車両の制御方法。
【請求項6】
前記充電地点は、予め設定されており、
車両の現在位置から前記充電地点までの距離を取得するステップと、
前記距離が所定値以下になったか否かを判断するステップとをさらに備え、
前記問合せを行なうステップは、前記距離が所定値以下になった場合に、前記充電地点に向かう予定が有るか否かの問合せを行なう、請求項5に記載のハイブリッド車両の制御方法。
【請求項7】
前記第1、第2の充電制御ステップのいずれか一方の実行を決定するステップは、前記乗員からの指示が、前記充電地点に向かう予定有のときには前記第2の充電制御ステップを実行させ、前記充電地点に向かう予定無のときには前記第1の充電制御ステップを実行させる、請求項5または6に記載のハイブリッド車両の制御方法。
【請求項8】
前記乗員に対して充電予定量の問合せをさらに行なうステップと、
前記充電予定量に応じて前記第2の制御目標値を変更するステップとをさらに備える、請求項5〜7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
請求項5〜8のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−94230(P2008−94230A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277602(P2006−277602)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]