説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】ユーザ要求に応じた車両運転が実現できるように、ハイブリッド車両の車載蓄電装置の少なくとも放電を予め促進できるような充放電管理制御を実現する。
【解決手段】蓄電装置の電力によって車両駆動力を発生可能に構成された電動機と、内燃機関と、内燃機関の出力を用いて蓄電装置の充電電力を発生可能に構成された発電機とを搭載したハイブリッド車両において、ユーザのスイッチ予備操作によって充電要求が検知されると(S100,S105)、EVモードやパワーモードの選択に備えて蓄電装置のSOCを予め高めるための充電促進モードが選択される(S150)。充電促進モードでは、充電促進モードの非選択時と比較して、内燃機関の出力パワーを増加させることによって、蓄電装置の充電が促進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関し、より特定的には、車両運転中にエンジン出力によって車載蓄電装置を充電可能に構成されたハイブリッド自動車における蓄電装置の充放電管理制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載蓄電装置からの電力によって車両駆動力を発生可能なハイブリッド車両において、運転中に内燃機関の出力を用いて蓄電装置の充電電力を発生可能な発電機をさらに搭載した構成が提案されている。
【0003】
たとえば、特開2008−168894号公報(特許文献1)では、内燃機関の出力によって電気機械をジェネレータとして動作させることによって、車両運転中にバッテリの充電電力を発生させる構成が記載されている。
【0004】
ハイブリッド車両では、運転中に車載蓄電装置の放電による車両駆動力の発生および回生発電等による車載蓄電装置の充電が繰返し実行されることになるから、車両運転中における蓄電装置の充電状態(SOC:State Of Charge)の管理制御が必要となる。一般的には、運転中における車載蓄電装置の管理制御は、上記のように車両運転中に内燃機関の出力による発電を適宜行なうことによって、SOCが制御目標値に合致するように、あるいは、SOCが所定の上下限値間の管理範囲から外れることがないように、充放電が制御される。
【0005】
特に、特許文献1には、蓄電装置の運転中の充電管理制御の一態様として、SOCに対するバッテリ出力要求の伝達関数を運転中に調整することが記載されている。特に、車載バッテリを車両外部の電源によって蓄電装置を再充電する際の均等化充電に要する時間を短縮するために、再充電に先立ってSOCが高く留まるように、運転中における上記伝達関数を調整することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−168894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ハイブリッド車両の特徴の1つとして、内燃機関を停止して電動機の出力のみによる走行(以下、このような車両走行を「EV(Electric Vehicle)走行」とも称する)が可能である。この特徴を活かすべく、ハイブリッド車両には、ユーザ操作によって、強制的にEV走行を選択するためのスイッチ(EVスイッチ)を設けることが行なわれている。しかしながら、EV走行を可能とするためには、蓄電装置のSOCがある程度確保されている必要がある。逆にいえば、ユーザがEV走行の意思表示をした場合でも、SOCが十分に確保されていなければ、EV走行をキャンセルせざるを得ない。
【0008】
また、ドライバの嗜好に応えるべく、アクセルレスポンスの向上を図るような走行モード、具体的にはアクセル開度に対する駆動力を通常よりも大きくするような走行モード(以下、このような走行モードを「パワーモード」とも称する)を、ユーザ操作によって選択可能とすることも行なわれている。
【0009】
ただし、一般的に、ハイブリッド車両では、内燃機関を効率のよい動作点で使用することによって燃費向上を図るため、アクセル操作による加速要求は、車載蓄電装置からの電力を用いた電動機の出力によって対応される。したがって、ユーザによってパワーモードが選択されても、蓄電装置のSOCが低下していると、加速に必要な車両駆動力を高応答で確保することが困難となったり、加速要求に応えるために内燃機関の動作点を変更することによって燃費が悪化することが懸念される。
【0010】
あるいは、ハイブリッド車両が回生発電可能な車両状況となった場合に、蓄電装置のSOCが過大である場合には、回生発電を実行できないために車両のエネルギ効率が低下することが懸念される。
【0011】
このように、ハイブリッド車両を適切に運転するためには、SOCを制御目標値あるいは一定の制御範囲内に維持するような従来の充放電制御に止まらず、予め充電あるいは放電を促進できるような充放電管理制御を行なう必要が生じることが理解できる。
【0012】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、ユーザ要求に応じた車両運転が実現できるように、ハイブリッド車両の車載蓄電装置の少なくとも充電を予め促進できるような充放電管理制御を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明によるハイブリッド車両の制御装置は、蓄電装置の電力によって車両駆動力を発生可能に構成された電動機と、内燃機関と、内燃機関の出力を用いて蓄電装置の充電電力を発生可能に構成された発電機とを搭載したハイブリッド車両の制御装置であって、第1の検知手段と、充電促進手段とを備える。第1の検知手段は、蓄電装置の蓄電量を増加させるためのユーザからの充電要求を検知する。充電促進手段は、充電要求が検知されたときに、蓄電装置の充電が促進されるように、充電要求の非検知時と比較して内燃機関の出力を増加させる。
【0014】
上記ハイブリッド車両の制御装置によれば、EVモードの選択や、パワーモードの選択に先立って蓄電装置の蓄電量を増加させるために、ユーザからの充電要求に応答して、蓄電装置の充電が促進されるように充放電を制御できる。この結果、蓄電装置のSOCを制御目標値あるいは一定範囲内に維持するような従来の充放電制御に加えて、EV走行やパワーモードの選択に備えてSOCを予め上昇させるような、ユーザ意思に対応した蓄電装置の充放電管理制御を実現することができる。
【0015】
好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、内燃機関を停止して電動機によって発生された車両駆動力によって走行するための電気走行モードをユーザが選択するための入力スイッチをさらに備える。第1の検知手段は、入力スイッチの操作に応答して充電要求を検知する。そして、充電要求が検知された後における入力スイッチのさらなる操作に応答して、電気走行モードは選択される、
このようにすると、EV走行モードを選択するための入力スイッチを用いて、EV走行モードの選択に先立ってユーザが充電要求を発生することができる。
【0016】
また好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、同一のアクセル操作量に対する車両加速性を向上させるためのパワー走行モードをユーザが選択するための入力スイッチをさらに備える。第1の検知手段は、入力スイッチの操作に応答して充電要求を検知する。そして、充電要求が検知された後における入力スイッチのさらなる操作に応答して、パワー走行モードは選択される、
このようにすると、パワーモードを選択するための入力スイッチを用いて、パワーモードの選択に先立ってユーザが充電要求を発生することができる。
【0017】
さらに好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、トータルパワー算出手段と、パワー配分手段とをさらに備える。トータルパワー算出手段は、車両状態に応じた車両走行のための要求パワーと、蓄電装置の蓄電量を示す充電状態値とに応じて、電動機、内燃機関および発電機によるトータル出力パワーを算出する。パワー配分手段は、算出されたトータル出力パワーに対する電動機、内燃機関および発電機の間での配分を決定する。そして、トータルパワー算出手段は、充電状態値に基づいて、内燃機関の出力による蓄電装置の充電要否を判定するための手段を含む。充電促進手段は、充電要求が検知された場合に、判定に用いる充電状態値を、蓄電装置の実際の充電状態値よりも低く設定するための制御値設定手段を含む。
【0018】
このようにすると、内燃機関の出力による蓄電装置の充電要否の判定に用いるSOC(制御SOC)を実際のSOCよりも高く設定することによって、充電要求検知時には蓄電装置の充電を促進することができる。
【0019】
特にこのような構成では、制御値設定手段は、充電要求が検知された場合に、充電状態値が所定の上下限値の間の所定範囲内であるときに限って、判定に用いる充電状態値を、実際の充電状態値よりも低く設定する。
【0020】
このようにすると、所定の上下限値よりも低SOC範囲および高SOC範囲では、実際のSOCを用いた判定とすることによって、過放電および過充電を回避するような充放電制御を従来通りに実行できる。
【0021】
また、さらに好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、上述のトータルパワー算出手段およびパワー配分手段をさらに備える。トータルパワー算出手段は、充電状態値に基づいて、内燃機関の出力による蓄電装置の充電要否を判定するための手段を含む。トータルパワー算出手段およびパワー配分手段は、内燃機関の出力によって蓄電装置を充電するときに、発電機を作動させるための充電用パワーを加算して、トータル出力パワーおよび内燃機関の出力パワーを設定する。そして、充電促進手段は、充電要求の検知時には、充電用パワーを充電要求の非検知時よりも高く設定するための手段を含む。
【0022】
このようにすると、蓄電装置の充電電力を発生するために発電機へ与えられる内燃機関の出力(充電用パワー)を高く設定することによって、充電要求検知時には蓄電装置の充電を促進することができる。
【0023】
あるいは、さらに好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、上述のトータルパワー算出手段およびパワー配分手段をさらに備える。トータルパワー算出手段は、要求パワーが判定値よりも高いか否かに従って、内燃機関の作動要否を判定するための手段を含む。そして、充電促進手段は、充電要求の検知時には、充電要求の非検知時よりも判定値を低く設定するための手段を含む。
【0024】
このようにすると、車両走行のための要求パワーに基づく内燃機関の作動要否の判定において、内燃機関が作動され易いように判定値を設定することにより、充電要求検知時には蓄電装置の充電を促進することができる。
【0025】
好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、蓄電装置の蓄電量を減少させるユーザからの放電要求を検知するための第2の検知手段と、放電促進手段とをさらに備える。放電促進手段は、放電要求が検知されたときに、蓄電装置の放電が促進されるように、放電要求の非検知時と比較して内燃機関の出力を低下させる。さらに好ましくは、第2の検知手段は、ユーザによる所定スイッチの操作に応答して放電要求を検知する。
【0026】
このようにすると、ユーザからの放電要求に応答して、回生発電の機会に先立って蓄電装置の放電を促進することによって、SOCを予め低下させるような充放電管理制御を行なうことができる。
【0027】
また好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、蓄電装置の充電量を減少させる放電要求を自動的に検知するための第2の検知手段と、放電促進手段とをさらに備える。放電促進手段は、放電要求が検知されたときに、蓄電装置の放電が促進されるように、放電要求の非検知時と比較して内燃機関の出力を低下させる。さらに好ましくは、ハイブリッド車両にはナビゲーションシステムが搭載され、第2の検知手段は、ナビゲーションシステムの地図情報に基づいて、ハイブリッド車両の降坂走行が予測されるときに放電要求を検知する。あるいは、第2の検知手段は、ハイブリッド車両の車速が所定値を超えたときに放電要求を検知する。
【0028】
このようにすると、走行状態に応じて、降坂走行の予測時や高速走行時には回生発電の機会に先立って自動的に放電要求を検知することができる。そして、放電要求に応答して蓄電装置の放電を促進することによって、回生発電の機会に先立ってSOCを予め低下させるような充放電管理制御を行なうことができる。
【0029】
さらに好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、上述のトータルパワー算出手段およびパワー配分手段をさらに備える。トータルパワー算出手段は、充電状態値に基づいて、内燃機関の出力による蓄電装置の充電要否を判定するための手段を含む。そして、放電促進手段は、放電要求が検知された場合に、判定に用いる充電状態値を、蓄電装置の実際の充電状態値よりも高く設定するための制御値設定手段を含む。
【0030】
このようにすると、内燃機関の出力による蓄電装置の充電要否の判定に用いるSOC(制御SOC)を実際のSOCよりも高く設定することによって、放電要求検知時には蓄電装置の放電を促進することができる。
【0031】
特にこのような構成では、制御値設定手段は、放電要求が検知された場合に、充電状態値が所定の上下限値の間の所定範囲内であるときに限って、判定に用いる充電状態値を、実際の充電状態値よりも高く設定する。
【0032】
このようにすると、所定の上下限値よりも低SOC範囲および高SOC範囲では、実際のSOCを用いた判定とすることによって、過放電および過充電を回避するような充放電制御を従来通りに実行できる。
【0033】
また、さらに好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、上述のトータルパワー算出手段およびパワー配分手段をさらに備える。トータルパワー算出手段は、充電状態値に基づいて、内燃機関の出力による蓄電装置の充電要否を判定するための手段を含む。トータルパワー算出手段およびパワー配分手段は、内燃機関の出力によって蓄電装置を充電するときに、発電機を作動させるための充電用パワーを加算して、トータル出力パワーおよび内燃機関の出力パワーを設定する。そして、放電促進手段は、放電要求の検知時には、充電用パワーを放電要求の非検知時よりも低く設定するための手段を含む。
【0034】
このようにすると、蓄電装置の充電電力を発生するために発電機へ与えられる内燃機関の出力(充電用パワー)を低く設定することによって、放電要求検知時には蓄電装置の放電を促進することができる。
【0035】
あるいは好ましくは、ハイブリッド車両の制御装置は、上述のトータルパワー算出手段およびパワー配分手段をさらに備える。トータルパワー算出手段は、要求パワーが判定値よりも高いか否かに従って、内燃機関の作動要否を判定するための手段を含む。そして、放電促進手段は、放電要求の検知時には、放電要求の非検知時よりも判定値を高く設定するための手段を含む。
【0036】
このようにすると、車両走行のための要求パワーに基づく内燃機関の作動要否の判定において、内燃機関が作動され難いように判定値を設定することにより、充電要求検知時には蓄電装置の放電を促進することができる。
【発明の効果】
【0037】
この発明によれば、ユーザ要求に応じた車両運転が実現できるように、ハイブリッド車両の車載蓄電装置の少なくとも放電を予め促進できるような充放電管理制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る制御装置によって制御されるハイブリッド車両全体の制御ブロック図である。
【図2】図1に示した動力分割機構の構成図である。
【図3】ハイブリッド車両におけるパワー管理制御のための制御構成を示す機能ブロック図である。
【図4】パワーモードおよびエコノミーモードにおける出力パワー特性を示すグラフである。
【図5】ハイブリッド車両におけるエンジン作動の要否判定を説明する概念図である。
【図6】図3に示したトータルパワー制御部の構成を詳細に説明する機能ブロック図である。
【図7】パワースイッチの操作とモード間の遷移との関係を説明する概念図である。
【図8】EVスイッチの操作とモード間の遷移との関係を説明する概念図である。
【図9】制御SOC設定部の機能を説明するグラフである。
【図10】本発明の実施の形態に係る制御装置による充放電管理制御の処理手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0040】
図1は、本発明の実施の形態に係る制御装置によって制御されるハイブリッド車両全体の制御ブロック図である。
【0041】
ハイブリッド車両は、「内燃機関」であるエンジン120と、モータジェネレータ(MG)140とを含む。なお、以下においては、説明の便宜上、モータジェネレータ140を、主に「電動機」として動作するモータジェネレータ140A(またはMG(2))および、主に「発電機」として動作するモータジェネレータ140B(またはMG(1))とに区別して表現する。モータジェネレータ140A(MG(2))は、主に、車両駆動力発生用の「電動機」として用いられ、モータジェネレータ140B(MG(1))は、主に、エンジン120の出力によって発電する「発電機」として用いられる。ただし、モータジェネレータ140Aは、回生制動時には回生発電を行なって、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換することによって車両を減速させることもできる。また、モータジェネレータ140Bは、停止中のエンジン120を始動する場合には、スタータモータとして作動して、エンジン120に回転力を与える。
【0042】
ハイブリッド車両は、この他に、エンジン120やモータジェネレータ140Aによる駆動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動力をエンジン120やモータジェネレータ140Aに伝達したりする減速機180と、エンジン120の出力を駆動輪160への経路とモータジェネレータ140B(MG(1))への経路との間で分配するための動力分割機構(たとえば、後述する遊星歯車機構)200とを備える。
【0043】
図2を参照して、動力分割機構200についてさらに説明する。動力分割機構200は、サンギヤ202と、ピニオンギヤ204と、キャリア206と、リングギヤ208とを含む遊星歯車によって構成される。
【0044】
ピニオンギヤ204は、サンギヤ202およびリングギヤ208と係合する。キャリア206は、ピニオンギヤ204が自転可能であるように支持する。サンギヤ202はモータジェネレータ140B(MG(1))の回転軸に連結される。キャリア206はエンジン120のクランクシャフトに連結される。リングギヤ208はモータジェネレータ140A(MG(2))の回転軸および減速機180に連結される。
【0045】
エンジン120、モータジェネレータ140B(MG(1))およびモータジェネレータ140A(MG(2))が、遊星歯車からなる動力分割機構200を介して連結されることで、エンジン120、モータジェネレータ140Bおよびモータジェネレータ140Aの回転数は、たとえば、共線図において直線で結ばれる関係になる。
【0046】
再び図1を参照して、動力分割機構200は、この遊星歯車機構によって、エンジン120の出力を、駆動輪160とモータジェネレータ140B(MG(1))との両方に振り分ける。モータジェネレータ140B(MG(1))の回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。エンジン120の出力(回転力)はキャリア206に入力され、それがサンギヤ202によってモータジェネレータ140B(MG(1))に、リングギヤ208によってモータジェネレータ140A(MG(2))および出力軸(駆動輪160側)に伝えられる。
【0047】
回転中のエンジン120を停止させる時には、エンジン120が回転しているので、この回転の運動エネルギをモータジェネレータ140B(MG(1))による回生発電によって電気エネルギに変換することによって、エンジン120の回転数を低下させる。また、エンジン120によるモータジェネレータ140B(MG(1))の回転力と逆方向のトルクをモータジェネレータ140Bに発生させることによって、エンジン120の出力を用いたモータジェネレータ140B(MG(1)での発電が可能となる。
【0048】
ハイブリッド車両は、モータジェネレータ140A,140Bへの供給電力を蓄積するための蓄電装置220と、蓄電装置220とモータジェネレータ140A,140Bとの間で、直流−交流の双方向電力変換を行なうためのインバータ240を備える。
【0049】
蓄電装置220は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池、あるいは、電気二重層キャパシタ、または、両者の組合わせ等によって適宜構成することができ、その種類は特に限定されるものではない。
【0050】
インバータ240は、モータジェネレータ140Aが動作指令に従って作動するように、蓄電装置220およびモータジェネレータ140Aの間の電力変換を制御するインバータ240Aと、モータジェネレータ140Bが動作指令に従って作動するように、蓄電装置220およびモータジェネレータ140Bの間の電力変換を制御するインバータ240Bとを含む。さらに、インバータ240A,240Bおよび蓄電装置220の間には、双方向の直流電圧変換機能を有するコンバータ242が設けられる。コンバータ242を設けることにより、蓄電装置220の出力電圧を昇圧してモータジェネレータ140A,140Bを駆動することが可能となる。また、モータジェネレータ140A,140Bでの発電電圧を降圧して蓄電装置220の充電に用いることができる。
【0051】
なお、蓄電装置220については、充電ケーブル等を用いることによって、あるいは、充電ケーブルを不使用とする非接触給電によって、車両外部の電源により充電可能に構成されてもよい。このためには、外部充電のための構成として、充電ケーブルのコネクタあるいは非接触給電のための受電コイルや、外部電源からの電力を蓄電装置220の充電電力に変換するための電力変換器等が、必要に応じて、ハイブリッド車両にさらに搭載される。
【0052】
ハイブリッド車両は、さらに、蓄電装置220の充電状態を検知するためのバッテリ制御ユニット(以下、バッテリECU(Electronic Control Unit)という)260を含む。バッテリECU260は、蓄電装置220の温度、電圧、電流等に基づいて、蓄電装置220の蓄電量を示す充電状態値(SOC)を算出する。
【0053】
ハイブリッド車両は、さらに、エンジン120の動作状態を制御するエンジンECU280と、ハイブリッド車両の状態に応じてモータジェネレータ140A,140BおよびバッテリECU260と、インバータ240等を制御するMG_ECU300と、補機を制御する補機ECU305と、HV_ECU320とを含む。HV_ECU320は、バッテリECU260、エンジンECU280およびMG_EC300等を相互に管理制御して、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御する。
【0054】
なお、図1においては、各ECUを別構成としているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい(たとえば、図1に、点線で示すように、MG_ECU300とHV_ECU320とを統合したECUとすることがその一例である)。
【0055】
図1に示すハイブリッド車両では、車両状態に応じて、モータジェネレータ140A出力のみによる走行(EV走行)、および、エンジン120の出力とモータジェネレータ140Aの出力との両方を用いた走行(HV走行)が使い分けられる。また、ハイブリッド車両は、バッテリSOCの低下時には、エンジン120の出力のみで走行可能であるとともに、エンジン120の出力を用いてモータジェネレータ140Bが発電することによって蓄電装置220を充電することもできる。さらに、ハイブリッド車両の減速時には、モータジェネレータ140Aによる回生発電によって、蓄電装置220が充電される。
【0056】
HV_ECU320は、車両発進時や低速走行時のように、エンジン120の効率が低下するときには、自動的にEV走行を選択する。そして、HV_ECU320は、車速上昇によりエンジン120の効率が高い運転領域となったときや、加速要求により車両駆動力を増加させる場合には、必要な車両駆動力に応じて、エンジン120を始動してHV走行へ移行する。HV走行では、エンジン120を高効率の動作点で限定的に作動させるとともに、不足分の車両駆動力をモータジェネレータ140Aが発生するように、車両全体でのパワー配分を制御することによって、エネルギ効率、すなわち燃費を改善することができる。このように、図1に示したハイブリッド車両は、蓄電装置220からの電力によって車両駆動力を発生するモータジェネレータ140Aと、燃料の燃焼によって車両駆動力を発生するエンジン120とを動力源として有する構成になっている。
【0057】
HV_ECU320は、車両状態の変化に応じて、HV走行からEV走行へ、あるいは、その逆の移行を、所定の判定条件に従って指示する。また、後程詳細に説明するように、ユーザのスイッチ操作によって、EV走行を固定的に選択するEV走行モードが選択可能である。あるいは、アクセル開度に対する出力特性を変更することによって、アクセルレスポンスを向上させたパワーモードや、低燃費を優先させたエコノミーモードについても、ユーザ操作によって選択可能である。
【0058】
ナビゲーションシステム1000は、図示しないGPSアンテナおよびジャイロセンサ等を用いて、自車位置情報(たとえば、車両の現在位置および進行方向)を把握できるように構成される。さらに、ナビゲーションシステム1000は、図示しない記録媒体からのデータ読出によって、道路地図情報を取得できる。さらに、また、ナビゲーションシステム1000は、路上に設置されたビーコンからの情報を受けことにより、渋滞情報、所要時間、工事情報、速度・車線規制情報、駐車場の位置・空車情報等を取得することも可能である。
【0059】
ナビゲーションシステム1000は、自車位置情報を取得すると、取得した自車位置を、道路地図データに重ねて表示部1100に表示する。さらに、ナビゲーションシステム1000は、ユーザによって目的地が設定された場合には、現在位置から目的地までの走行経路を探索するとともに、表示部1100により経路案内を行なう。代表的には、表示部1100を構成するタッチディスプレイ(図示せず)の操作により、ユーザは目的地を入力する。周知の様に、経路案内の一環として、自車位置と探索した走行経路との関係に基づいて、音声ガイダンスが行なわれてもよい。
【0060】
表示部1100は、上述したナビゲーションシステム1000の表示画面や、運転者前方に設置された計器パネルを含む。上述したような、走行モードの選択状態等についても、表示部1100に設けられたインジケータランプ等を用いて表示することができる。
【0061】
図3は、ハイブリッド車両におけるパワー管理制御のための制御構成を示す機能ブロック図である。図3に示す制御構成は、HV_ECU320の機能の一部として設けられる。
【0062】
なお、図3に示される各機能ブロックは、当該ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)で構成してもよいし、予め設定されたプログラムに従ってECUがソフトウェア処理を実行することにより実現してもよい。
【0063】
図3を参照して、HV_ECU320は、トータルパワー制御部400と、要求パワー算出部410と、ブレーキ協調制御部450とを含む。
【0064】
アクセル開度センサ350は、図示しないアクセルペダルの操作量を検出するように構成され、アクセル開度を示す信号Sacを出力する。ブレーキセンサ360は、ブレーキペダルの操作量を検知するように構成され、操作量(踏込量、踏込力)を示す信号Sbrを出力する。車速センサ370は、ハイブリッド車両の速度を検出する。図1および図2に示す構成では、モータジェネレータ140A(MG(2))の回転数センサによって、車速センサ370を構成することも可能である。
【0065】
パワーモードを選択するための入力スイッチ510(以下、パワースイッチ510とも称する)は、ユーザによる操作に応答して信号Rprを出力する。同様に、エコノミーモードを選択するための入力スイッチ520(以下、エコノミースイッチ520とも称する)は、ユーザによる操作に応答して信号Recを出力する。信号Rpr,Recが要求パワー算出部410へ入力されることにより、要求パワー算出部410は、入力スイッチ510,520のユーザによる操作を検知することができる。
【0066】
図4を参照して、パワーモードあるいはエコノミーモードの選択によって、アクセル開度に対する要求パワーPrqの設定特性が、ノーマルモードから切換えられる。ノーマルモード、すなわちパワーモードおよびエコノミーモードのいずれも非選択である場合には、基本的な特性線500に従って、アクセル開度に応じて要求パワーPrqが設定される。特性線500は、一般的には、運転性が最適になるように考慮して設定される。
【0067】
パワーモードの選択時には、特性線500に代えて特性線501が用いられる。これにより、パワーモードでは、アクセル開度に対する要求パワーPrqは、特にアクセル開度中間域においてノーマルモードより大きく設定される。これにより、アクセル操作に伴う車両駆動力の増加が顕著になるため、アクセルレスポンスが向上した走行を可能とすることができる。
【0068】
一方、エコノミーモードの選択時には、特性線500に代えて特性線502が用いられる。これにより、エコノミーモードでは、アクセル開度の増加に対する要求パワーPrqの増加がノーマルモードよりも緩やかになるので、低燃費の走行が実現される。
【0069】
要求パワー算出部410は、選択された走行モード(ノーマルモード/パワーモード/エコノミーモード)およびセンサ350,370の検出信号に基づいて、運転者が要求する車両運転に必要な駆動力を得るのに必要な車両要求パワーPrq(以下、単に要求パワーPrqとも称する)を算出する。要求パワー算出部410によって算出された要求パワーPrqは、トータルパワー制御部400へ入力される。
【0070】
トータルパワー制御部400には、さらに、バッテリECU260(図1)によって算出された蓄電装置220のSOCが入力される。トータルパワー制御部440は、SOCに基づいて算出される蓄電装置220の充電に必要な充電パワーPchと、要求パワーPrqとの和に従って、下記式(1)に従って、車両全体での出力パワーであるトータルパワーPttlを算出する。
【0071】
Pttl=Prq+Pch+Ploss …(1)
(1)式中において、Plossは、ハイブリッド車両の走行における損失パワーに相当する。損失パワーPlossについては、車両走行状態(車速等)に応じて適正値を設定するマップを予め作成することが好ましい。また、SOCが十分高く蓄電装置220の充電が不要である場合には、Pch=0に設定される。
【0072】
入力スイッチ530(以下、EVスイッチ530とも称する)は、ユーザにより操作されると、EV要求信号Revをトータルパワー制御部400に対して出力する。すなわち、トータルパワー制御部400は、信号Revにより、EVスイッチ530のユーザ操作を検知することができる。
【0073】
トータルパワー制御部400は、式(1)に従って算出されたトータルパワーPttlを、エンジンパワーPegおよびモータパワーPmg1,Pmg2に配分する。モータパワーPmg1は、モータジェネレータ140B(MG(1))の出力パワーであり、モータパワーPmg2は、モータジェネレータ140A(MG(2))の出力パワーである。モータジェネレータ140A,140Bの発電時には、Pmg2,Pmg1はそれぞれ負値に設定される。
【0074】
具体的には、トータルパワー制御部400は、エンジン120の作動要否を判定した上で、上記のパワー配分を決定する。基本的には、図5に示されるように、要求パワーPrqに応じて、エンジン120の作動要否が判定される。
【0075】
図5を参照して、エンジン120の作動要否は、基本的には、要求パワーPrqおよび判定値Pthの比較に従って判定される。すなわち、要求パワーPrqが判定値Pthよりも高くなると、エンジン120の作動が指示される一方で、要求パワーPrqが判定値Pthよりも低いと、エンジン120の停止が指示される。
【0076】
たとえば、図5に示す走行パターンRP1では、要求パワーPrqが判定値Pthよりも低い状態が継続するため、エンジン120が始動することなく、モータジェネレータ140Aの出力のみによるEV走行が継続的に実行される。一方、走行パターンRP2では、Prq≦Pthである時刻t1までの間はエンジン120が停止されてEV走行が行なわれる一方で、時刻t1で要求パワーPrqが判定値Pthより高くなると、エンジン120が始動されて、HV走行が行なわれる。そして、要求パワーPrqが減少して、時刻t2で再びPrq≦Pthとなると、エンジン120が停止された再びEV走行が行なわれる。ここで、エンジン120の始動および停止が頻繁に切換わらないように、エンジン作動時およびエンジン停止時の間で判定値Pthにヒステリシスを設けてもよい。
【0077】
なお、EVスイッチ530の操作によって、EV走行モードが選択されているときには、要求パワーPrqおよび判定値Pthの比較結果に従うことなく、エンジン120を停止したEV走行が優先的に実行される。ただし、EV走行モードの選択時においても、蓄電装置220のSOCや車速等に関連する所定のキャンセル条件の成立時には、EV走行は自動的にキャンセルされる。キャンセル条件の代表的なものに、「蓄電装置220のSOCが所定値(たとえば、45%程度)よりも低いこと」が存在する。したがって、ユーザ意思に基づくEV走行を確実に行なうため、および、EVモードの適用可能距離を確保するためには、EVモード選択時点におけるSOCを予め確保しておく必要がある。
【0078】
トータルパワー制御部400は、エンジン作動時には、トータルパワーPttlとエンジン回転数Negに基づき、必要なエンジントルクを得るための、エンジンパワーPegおよびエンジン目標回転数Negrを設定する。すなわち、蓄電装置220の充電時に上乗せされる充電パワーPchは、エンジンパワーPegへ反映される。
【0079】
また、基本的には、エンジントルクおよび回転数の組み合わせによって定義されるエンジン動作点が、高効率の運転領域内となるように、エンジンパワーPegおよびエンジン目標回転数Negrが設定される。したがって、パワーモードで顕著となるアクセル操作による加速要求には、蓄電装置220からのモータジェネレータ140Aの出力によって対応する。したがって、ユーザによってパワーモードが選択されても、蓄電装置220のSOCが低下していると加速力の速やかな確保が困難となったり、あるいは、加速要求に応えるためにエンジン120の動作点を変更することによる燃費の悪化が懸念される。
【0080】
エンジンECU280は、トータルパワー制御部400から送られたエンジンパワーPegおよびエンジン目標回転数Negrが実現されるように、エンジン120の燃料噴射、点火時期、バルブタイミング等を制御する。さらに、トータルパワーPttlが確保されるように、モータパワーPmg1,Pmg2が設定される。このようにして、トータルパワーPttlに対する、エンジンパワーPegおよびモータパワーPmg1,Pmg2の間のパワー配分が実行される。
【0081】
モータパワーPmg1,Pmg2は、MG_ECU300によって構成されるMG1制御部301およびMG2制御部302へ送られる。MG1制御部301およびMG2制御部302は、モータパワーPmg1,Pmg2をモータジェネレータ140B,140Aがそれぞれ出力するように、これらのモータジェネレータの出力トルクを制御する。
【0082】
なお、モータパワーPmg2は、上記のパワー配分によって、モータジェネレータ140Aによる走行や駆動力アシストに必要な出力パワーに基づいて設定されている。回生制動時には、モータパワーPmg2が負値に設定されることにより、モータジェネレータ140Aが発電する。さらに、MG1制御部301が、モータパワーPmg1に従ってモータジェネレータ140Bを制御することによって、モータジェネレータ140Bの発電電力、すなわち、蓄電装置220の充電が制御される。
【0083】
ブレーキ協調制御部450は、ブレーキセンサ360によって検知されたブレーキ操作量および車速センサ370によって検知された車速に基づいて、ハイブリッド車両全体で必要なトータル制動力を算出するとともに、算出されたトータル制動力のうちの回生ブレーキによる分担量に相当する回生ブレーキ要求値Prbrを出力する。回生ブレーキ要求値Prbrは、バッテリECU260により設定される蓄電装置220の充電可能電力(Win)を超えない範囲で設定される。
【0084】
したがって、蓄電装置220のSOCが制御上限値に達する等の要因によりWinが制限されている場合には、回生ブレーキ要求値Prbrも抑制される。特に、Win=0のときには、Prbr=0に設定される。このため、SOCが高すぎてWinが小さい、あるいは零であるときには、回生発電が可能な状況であっても回生ブレーキを使用することができず、回生発電によるエネルギ回収の機会を逃してしまう。
【0085】
トータルパワー制御部400は、回生制動時には、回生ブレーキ要求値Prbrを反映してモータパワーPmg2を設定する。さらに、トータルパワー制御部400は、モータジェネレータ140Aのトルク、回転数等に基づいて、実際の回生ブレーキ値Prbaを算出する。算出された回生ブレーキ値Prbaは、ブレーキ協調制御部450へ送出される。
【0086】
ブレーキ協調制御部450は、上記のトータル制動力に対する回生ブレーキ値Prbaの不足分に従って、ハイブリッド車両の各車輪に設けられた油圧ブレーキ(図示せず)の制動力を制御する。このように、モータジェネレータ140Aによる回生ブレーキと図示しない油圧ブレーキとを協調的に制御することによって、必要なトータル制御力が確保される。
【0087】
図6には、トータルパワー制御部400の構成をより詳細に説明する機能ブロック図が示される。
【0088】
図6を参照して、トータルパワー制御部400は、充電要求検知部420と、放電要求検知部425と、制御SOC設定部430と、充電パワー設定部432と、判定値設定部435と、トータルパワー算出部440と、パワー配分部445とを含む。トータルパワー算出部440は、充電要否判定部442と、エンジン作動要否判定部444とを有する。
【0089】
充電要求検知部420は、ユーザの入力に基づいて、EVモードやパワーモードの選択に備えて蓄電装置220のSOCを予め上昇させるための充電要求を検知する。すなわち、充電要求は、EVモードあるいはパワーモードの選択に先立って検知されるべきものである。
【0090】
充電要求検知部420は、パワースイッチ510およびEVスイッチ530とは別個に設けられた入力スイッチ(図示せず)をユーザが操作することによって、充電要求を検知するように構成してもよいが、図7および図8に示すように、パワースイッチ510およびEVスイッチ530を用いて、充電要求を検知するような構成とすることも可能である。充電要求検知部420は、ユーザからの充電要求を検知すると充電要求信号Rchを発生する。
【0091】
図7を参照して、パワースイッチ510の操作によって、ノーマルモード、充電促進モードおよびパワーモード間の遷移が実行される。そして、デフォルト値であるノーマルモードから、パワースイッチ510を操作することによって、充電要求信号Rchが発生される充電促進モードが、パワーモードの準備段階として選択される。この際のパワースイッチ510の操作を予備操作とも称する。
【0092】
充電促進モードへの遷移後(すなわち、予備操作の後)に、さらにパワースイッチ510を操作することによって、充電促進モードからパワーモードへの遷移が行われる。パワーモードに遷移すると、図4に示した特性線501に従って、アクセル開度の変化に対する駆動力の増加が高い応答性で実現されるように要求パワーPrqが設定される。また、パワーモードの選択時にパワースイッチ510を操作することによって。再びノーマルモードへ復帰できる。
【0093】
図8を参照して、EVスイッチ530の操作によって、図5に従ってエンジンの作動要否が判定されるHV/EV走行モード、充電要求信号Rchが発生される充電促進モード、およびEVモード間の遷移が実行される。そして、デフォルト値であるHV/EV走行モードから、EVスイッチ530を操作することによって、充電促進モードがEVモードの準備段階として選択される。この際のEVスイッチ530の操作を予備操作とも称する。
【0094】
充電促進モードへの遷移後(すなわち、予備操作の後)に、さらにEVスイッチ530を操作することによって、充電促進モードからEVモードへの遷移が行われる。EVモードに遷移すると、基本的には、蓄電装置220のSOCが所定値以上確保されていることを条件に、エンジン120を停止したEV走行が継続的に実行される。
【0095】
再び図6を参照して、トータルパワー算出部440に含まれる充電要否判定部442は、制御SOC設定部430によって設定された制御SOC(SOC♯)に基づいて、エンジン120の出力を用いた、モータジェネレータ140Bの発電電力による蓄電装置220の充電要否を判定する。このように、充電要否の判定には、バッテリECU260によって算出された実際のSOCをそのまま用いるのではなく、制御SOC設定部430による制御SOC(SOC♯)が用いられる。
【0096】
蓄電装置220の充電が必要を判定された場合には、充電パワー設定部432によって設定された充電パワーPchが、式(1)に従って、トータルパワーPttlへ反映される。充電パワーPchは、単位時間当たりの蓄電装置220の充電電力目標値に相当する。充電パワーPchは、エンジンパワーPegへ反映されるので、充電パワーPchを上昇させるエンジンパワーPegも増大する一方で、充電パワーPchを低下させるとエンジンパワーPegも減少する。
【0097】
エンジン作動要否判定部444は、図5に示したように、判定値設定部435によって設定された判定値Pthと要求パワーPrqとの比較に従って、エンジン120の作動要否を判定する。なお、上述のように、エンジン120の始動要否判定には、EVモードが選択されているか否かについても反映される。
【0098】
トータルパワー算出部440は、上述の充電要否判定および作動要否判定に基づいて、式(1)に従ってトータルパワーPttlを設定するとともに、エンジン120の作動/停止を示すフラグDegを発生する。
【0099】
トータルパワー算出部440からのトータルパワーPttlおよびフラグDeqは、パワー配分部445へ入力される。
【0100】
パワー配分部445は、エンジン回転数Negと、フラグDegと、トータルパワーPttlとに基づいて、トータルパワーPttlに対する、エンジンパワーPegならびにモータパワーPmg1およびPmg2の間の配分を決定する。なお、蓄電装置220のSOCおよび温度等に応じて、蓄電装置220の充電電力上限値(Win)および放電電力上限値(Wout)が別途設定されるため、上記パワー配分は、蓄電装置220の入出力電力がWin〜Woutの範囲内に収まる様なモータパワーPmg2の上下限ガードを伴って実行される。
【0101】
本実施の形態によるハイブリッド車両の制御装置では、充電要求検知部420によって充電要求が検知されたときには、以下に説明するような、蓄電装置220の充電促進モードを実現する。
【0102】
制御SOC設定部430は、図9に示す特性に従って、バッテリECU260からのSOC(実SOCとも称する)に基づいて、制御SOC(SOC♯)を設定する。なお、制御SOCは、上述の充電電力上限値(Win)および放電電力上限値(Wout)の設定にも用いられる。
【0103】
図9を参照して、制御SOC設定部430は、充電要求信号Rchが発生されていない通常時には、特性線600に従って、実SOCをそのまま制御SOCとする(SOC♯=SOC)。一方、充電要求信号Rchが発生されると、制御SOC設定部430は、特性線601に従って、制御SOCを実SOCよりも低くする。これにより、通常時よりも充電機会が増加されるように、蓄電装置220の充電要否判定が行なわれるようになる。すなわち、充電要求信号Rchの非発生時と比較して、エンジン120の出力が増加されて蓄電装置220の充電に用いられる。
【0104】
また、充電電力上限値(Win)および放電電力上限値(Wout)についても、実SOCに従う設定と比較して、蓄電装置220のSOCが上昇し易く、かつ低下し難いように設定することができる。
【0105】
このようにして、充電要求信号Rchの発生時には、蓄電装置220の充電を促進することができるので、EVモードやパワーモードの選択に備えてSOCを予め高めることが可能となる。
【0106】
なお、図9に示されるように、SOCの通常の制御範囲の下限値S1(たとえば、40(%)程度)よりも低SOCの範囲および、上限値S2(たとえば、75(%)程度)よりも高SOCの範囲では、実SOCをそのまま制御SOCとしている。この結果、制御範囲S1〜S2を外れる様な過充電および過放電を回避するための充放電制御については、通常通りに実行できる。
【0107】
あるいは、充電パワー設定部432は、充電要求信号Rchが発生されると、充電パワーPchを、充電要求信号Rchの非発生時を含む通常時よりも高く設定する。充電パワーPchを高く設定することによって、トータルパワーPttlおよびエンジンパワーPegが高められて、単位時間当たりの蓄電装置220の充電電力が上昇する。この結果、充電要求信号Rchの発生時に、蓄電装置220の充電を促進することができる。
【0108】
また、判定値設定部435は、充電要求信号Rchが発生されると、判定値Pthを、充電要求信号Rchの非発生時を含む通常時よりも低く設定する。判定値Pthを低く設定すると、エンジン120が作動され易くなる。この結果、通常時と比較して、エンジン出力を増加させることによって、SOCを相対的に高めることができるため、蓄電装置220の充電を促進することができる。
【0109】
以上のように、充電要求信号Rchの発生時には、制御SOC設定部430、充電パワー設定部432、および判定値設定部435のうちの少なくとも1つについて、上述のように充電要求の非発生時を含む通常時とは異なる動作をさせることによって、EVモードやパワーモードの選択に備えてSOCを高めるための充電促進モードを実現できる。すなわち、制御SOC設定部430、充電パワー設定部432、および判定値設定部435の各々、あるいはこれらの少なくとも一部の組み合わせによって、本発明の「充電促進手段」が構成される。
【0110】
この結果、蓄電装置220のSOCを制御目標値あるいは一定範囲内に維持するような従来の充放電制御に加えて、EV走行やパワーモードの選択に備えてSOCを予め上昇させるような、ユーザ意思に対応した蓄電装置220の充放電管理制御を実現することができる。これにより、EVモードやパワーモードをより円滑に選択できるようになる。
【0111】
本実施の形態によるハイブリッド制御装置では、上述の充電要求に伴う充電促進モードとは反対に、放電要求に伴う放電促進モードを実現することも可能である。充電促進モードおよび放電促進モードは、いずれか一方のみを実現可能としてもよく、両者を選択的に実現可能としてもよい。
【0112】
放電要求検知部425は、専用に設けられた入力スイッチ540のユーザ操作に応答して、放電要求を検知する。または、放電要求検知部425は、車両の走行状態を示す情報に応じて、自動的に放電要求を自動的に検知してもよい。たとえば、放電要求検知部425は、ナビゲーションシステムの情報に基づいて、比較的長い降坂路の走行等が予測されるときに放電要求信号Rdcを発生することができる。あるいは、高速走行時には、車両減速および停止時に回生発電に使用できる運動エネルギが大きいため、一定以上の車速となったときに放電要求信号Rdcを発生するように、放電要求検知部425を構成してもよい。
【0113】
放電要求検知部425は、放電要求を検知すると放電要求信号Rdcを発生する。放電要求信号Rdcの発生時には、制御SOC設定部430、充電パワー設定部432、および判定値設定部435のうちの少なくとも1つにおいて、上述の充電促進モードとは反対の制御動作を実行する。
【0114】
図9を参照して、制御SOC設定部430は、放電要求信号Rdcが発生されると、特性線602に従って、制御SOCを実SOCよりも高く設定する。これにより、放電要求信号Rdcの非発生時よりも充電機会が減少されるように、蓄電装置220の充電要否判定が行なわれるようになる。すなわち、充電要求信号Rchの非発生時と比較して、蓄電装置220の充電に用いられるエンジン120の出力が低下される。
【0115】
なお、特性線602においても、SOCの通常制御範囲の下限値S1よりも低SOCの範囲および、上限値S2よりも高SOCの範囲では、実SOCをそのまま制御SOCとしている。したがって、制御範囲S1〜S2を外れる様な過充電および過放電を回避するための充放電制御については、通常通りに実行できる。
【0116】
あるいは、充電パワー設定部432は、放電要求信号Rdcが発生されると、充電パワーPchを放電要求信号Rdcの非発生時を含む通常時よりも低く設定する(Pch=0としてもよい)。充電パワーPchを低く設定することによって、単位時間当たりの蓄電装置220の充電電力、すなわち、蓄電装置220の充電に用いられるエンジン120の出力パワーが減少する。この結果、放電要求信号Rdcの発生時には、相対的に蓄電装置220の放電を促進することができる。
【0117】
また、判定値設定部435は、放電要求信号Rdcが発生されると、判定値Pthを、放電要求信号Rdcの非発生時よりも高く設定する。判定値Pthを高く設定することによって、エンジン120が作動され難くなるので、通常時と比較して、車両走行に用いられる蓄電装置220の電力が増加する。したがって、エンジン120の出力パワーを相対的に低下させることにより、蓄電装置220のSOCを予め低下させるように放電を促進することができる
以上のように、放電要求信号Rdcの発生時には、制御SOC設定部430、充電パワー設定部432、および判定値設定部435のうちの少なくとも1つについて、上述のような制御動作をさせることによって、回生発電の機会に備えてSOCを予め低下させるための放電促進モードを実現できる。すなわち、制御SOC設定部430、充電パワー設定部432、および判定値設定部435の各々、あるいはこれらの少なくとも一部の組み合わせによって、本発明の「放電促進手段」が構成される。
【0118】
この結果、蓄電装置220のSOCを制御目標値あるいは一定範囲内に維持するような従来の充放電制御に加えて、回生発電の機会に備えてSOCを予め低下させるような、蓄電装置220の充放電管理制御を実現することができる。これにより、SOCが高すぎることによって回生発電の機会を逃すことが回避されるので、ハイブリッド車両のエネルギ効率を高めて、燃費を向上することができる。
【0119】
図10は、本発明の実施の形態に係る制御装置による、上述した充放電管理制御の処理手順の一例を説明するフローチャートである。HV_ECU320は、以下に説明するフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムを、図示しないCPU(Central Processing Unit)により所定周期で実行することによっても、図3,6に示した機能ブロック図に従う充放電管理制御を実現することができる。
【0120】
図10を参照して、HV_ECU320は、ステップS100により、図8で説明したEVスイッチ530の予備操作が行われているかどうかを判定する。予備操作によって、充電促進モードが選択されている場合には、S100はYES判定とされ、そうでないときにはS100はNO判定とされる。
【0121】
HV_ECU320は、S100がNO判定のときには、ステップS110により、パワースイッチ510の予備操作行われているかどうかをさらに判定する。予備操作によって、充電促進モードが選択されている場合には、S110はYES判定とされ、そうでないときにはS110はNO判定とされる。
【0122】
HV_ECU320は、S110がNO判定のときには、ステップS120により、放電要求が検知されているかどうかを判定する。ステップS120による判定は、図7に示した放電要求検知部425による放電要求信号Rdcの発生と同様に実行することができる。
【0123】
HV_ECU320は、S100またはS110のYES判定時には、ステップS150に処理を進めて、充電促進モードに従った充放電制御を行なう。充電促進モードでは、上述したような、制御SOCの低下(図6の特性線601)、式(1)中の充電パワーPchの増加および、判定値Pthの低下のうちの少なくとも1つが実行される。
【0124】
一方、HV_ECU320は、S120のYES判定時には、ステップS160に処理を進めて、放電促進モードに従った充放電制御を行なう。放電促進モードでは、上述したような、制御SOCの上昇(図6の特性線601)、式(1)中の充電パワーPchの低下および、判定値Pthの上昇のうちの少なくとも1つが実行される。
【0125】
また、充電要求および放電要求もいずれも検知されないとき(S120のNO判定時)には、HV_ECU320は、ステップS170に処理を進めて通常の充放電制御を行なう。すなわち、上述したような蓄電装置220の充電促進または放電促進が行なわれることなく、実SOCと同等に設定された制御SOCを、制御目標値あるいは制御目標範囲(図9のS1〜S2)に維持するように、蓄電装置220の充放電が制御される。
【0126】
なお、図10のフローチャートでは、充電促進モードおよび放電促進モードの両方を択一的に選択可能な制御処理としているが、ステップ群S100,S110,S150およびステップ群S120,S160の一方を省略して、充電促進モードおよび放電促進モードの一方のみが選択可能な制御処理としてもよい。
【0127】
また、ステップS100,S105を統合して、図6の充電要求検知部420による充電要求信号Rchの発生と同様の処理によって、充電要求が検知されたか否かを判定するようにしてもよい。すなわち、パワースイッチ510およびEVスイッチ530とは別個に設けられた入力スイッチのユーザ操作に応答して、充電要求が検知されるようにステップS100,S105を設定してもよい。
【0128】
このように、本発明の実施の形態によるハイブリッド車両の制御装置によれば、SOCを制御目標値あるいは一定の制御範囲内に維持するような従来の充放電制御に止まらず、EVモードやパワーモードの選択に備えてSOCを予め上昇させることができる。すなわち、ユーザ要求に応じた車両運転が実現できるように、ハイブリッド車両の車載蓄電装置の充電予め促進できるような充放電管理制御を実現できる。
【0129】
あるいは、ユーザ要求または車両状態に応じて、回生発電の機会に備えてSOCを予め低下させるような放電促進モードを実現できるので、回生発電の機会を最大限に活用することによって、ハイブリッド車両のエネルギ効率、すなわち燃費の向上を図ることができる。
【0130】
なお、本発明が適用されるハイブリッド車両は、図1に示した構成に限定されない点について確認的に記載する。すなわち、車載蓄電装置からの電力によって車両駆動力を発生する電動機(モータジェネレータ)と、燃料消費によって車両駆動力を発生する内燃機関と、運転中に内燃機関の出力を用いて車載蓄電装置を充電する機構とを搭載したハイブリッド車両であれば、ハイブリッド構成を図1に限定することなく、本発明を適用することができる。また、車載蓄電装置が車両外部の電源によって充電可能であっても、本発明の適用可否には何ら影響がないことを確認的に記載する。
【0131】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0132】
この発明は、車両運転中に内燃機関の出力を用いて車載蓄電装置を充電可能な構成のハイブリッド車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0133】
120 エンジン、140A モータジェネレータ(電動機)、140B モータジェネレータ(発電機)、160 駆動輪、180 減速機、200 動力分割機構、202 サンギヤ、204 ピニオンギヤ、206 キャリア、208 リングギヤ、220 蓄電装置、240A,240B インバータ、242 コンバータ、260 バッテリECU、280 エンジンECU、300 MG_ECU、301 MG1制御部、302 MG2制御部、305 補機ECU、320 HV_ECU、350 アクセル開度センサ、360 ブレーキセンサ、370 車速センサ、400 トータルパワー制御部、410 要求パワー算出部、420 充電要求検知部、425 放電要求検知部、430 制御SOC設定部、432 充電パワー設定部、435 判定値設定部、440 トータルパワー算出部、442 充電要否判定部、444 エンジン作動要否判定部、445 パワー配分部、450 ブレーキ協調制御部、500 特性線(ノーマルモード)、501 特性線(パワーモード)、502 特性線(エコノミーモード)、510 入力スイッチ(パワースイッチ)、520 入力スイッチ(エコノミースイッチ)、530 入力スイッチ(EVスイッチ)、540 入力スイッチ(放電要求)、600 特性線(通常時)、601 特性線(充電促進モード)、602 特性線(放電促進モード)、1000 ナビゲーションシステム、1100 表示部、Deg フラグ(エンジン作動/停止)、Neg エンジン回転数、Negr エンジン目標回転数、Pch 充電パワー、Peg エンジンパワー、Pmg1,Pmg2 モータパワー、Prba 回生ブレーキ値、Prbr 回生ブレーキ要求値、Prq 車両要求パワー、Pth 判定値(エンジン作動要否)、Pttl トータルパワー、Rch 充電要求信号、Rdc 放電要求信号、RP1,RP2 走行パターン、S1〜S2 SOC制御範囲、SOC♯ 制御SOC、SOC 実SOC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置の電力によって車両駆動力を発生可能に構成された電動機と、内燃機関と、前記内燃機関の出力を用いて前記蓄電装置の充電電力を発生可能に構成された発電機とを搭載したハイブリッド車両の制御装置であって、
前記蓄電装置の蓄電量を増加させるためのユーザからの充電要求を検知するための第1の検知手段と、
前記充電要求が検知されたときに、前記蓄電装置の充電が促進されるように、前記充電要求の非検知時と比較して前記内燃機関の出力を増加させるための充電促進手段とを備える、ハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関を停止して前記電動機によって発生された車両駆動力によって走行するための電気走行モードを前記ユーザが選択するための入力スイッチをさらに備え、
前記第1の検知手段は、前記入力スイッチの操作に応答して前記充電要求を検知し、
前記充電要求が検知された後における前記入力スイッチのさらなる操作に応答して、前記電気走行モードは選択される、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
同一のアクセル操作量に対する車両加速性を向上させるためのパワー走行モードを前記ユーザが選択するための入力スイッチをさらに備え、
前記第1の検知手段は、前記入力スイッチの操作に応答して前記充電要求を検知し、
前記充電要求が検知された後における前記入力スイッチのさらなる操作に応答して、前記パワー走行モードは選択される、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
車両状態に応じた車両走行のための要求パワーと、前記蓄電装置の蓄電量を示す充電状態値とに応じて、前記電動機、前記内燃機関および前記発電機によるトータル出力パワーを算出するためのトータルパワー算出手段と、
算出された前記トータル出力パワーに対する前記電動機、前記内燃機関および前記発電機の間での配分を決定するためのパワー配分手段とをさらに備え、
前記トータルパワー算出手段は、
前記充電状態値に基づいて、前記内燃機関の出力による前記蓄電装置の充電要否を判定するための手段を含み、
前記充電促進手段は、前記充電要求が検知された場合に、前記判定に用いる充電状態値を、前記蓄電装置の実際の充電状態値よりも低く設定するための制御値設定手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
前記制御値設定手段は、前記充電要求が検知された場合に、前記充電状態値が所定の上下限値の間の所定範囲内であるときに限って、前記判定に用いる充電状態値を、前記実際の充電状態値よりも低く設定する、請求項4記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項6】
車両状態に応じた車両走行のための要求パワーと、前記蓄電装置の蓄電量を示す充電状態値とに応じて、前記電動機、前記内燃機関および前記発電機によるトータル出力パワーを算出するためのトータルパワー算出手段と、
算出された前記トータル出力パワーに対する前記電動機、前記内燃機関および前記発電機の間での配分を決定するためのパワー配分手段とをさらに備え、
前記トータルパワー算出手段は、
前記充電状態値に基づいて、前記内燃機関の出力による前記蓄電装置の充電要否を判定するための手段を含み、
前記トータルパワー算出手段およびパワー配分手段は、前記内燃機関の出力によって前記蓄電装置を充電するときに、前記発電機を作動させるための充電用パワーを加算して、前記トータル出力パワーおよび前記内燃機関の出力パワーを設定し、
前記充電促進手段は、
前記充電要求の検知時には、前記充電用パワーを前記充電要求の非検知時よりも高く設定するための手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項7】
車両状態に応じた車両走行のための要求パワーと、前記蓄電装置の蓄電量を示す充電状態値とに応じて、前記電動機、前記内燃機関および前記発電機によるトータル出力パワーを算出するためのトータルパワー算出手段と、
算出された前記トータル出力パワーに対する前記電動機、前記内燃機関および前記発電機の間での配分を決定するためのパワー配分手段とをさらに備え、
前記トータルパワー算出手段は、
前記要求パワーが判定値よりも高いか否かに従って、前記内燃機関の作動要否を判定するための手段を含み、
前記充電促進手段は、前記充電要求の検知時には、前記充電要求の非検知時よりも前記判定値を低く設定するための手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項8】
前記蓄電装置の蓄電量を減少させるユーザからの放電要求を検知するための第2の検知手段と、
前記放電要求が検知されたときに、前記蓄電装置の放電が促進されるように、前記放電要求の非検知時と比較して前記内燃機関の出力を低下させるための放電促進手段とをさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項9】
前記第2の検知手段は、前記ユーザによる所定スイッチの操作に応答して前記放電要求を検知する、請求項8に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項10】
前記ハイブリッド車両の走行状態に応じて、前記蓄電装置の充電量を減少させる放電要求を自動的に検知するための第2の検知手段と、
前記放電要求が検知されたときに、前記蓄電装置の放電が促進されるように、前記放電要求の非検知時と比較して前記内燃機関の出力を低下させるための放電促進手段とをさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項11】
前記ハイブリッド車両にはナビゲーションシステムが搭載され、
前記第2の検知手段は、前記ナビゲーションシステムの地図情報に基づいて、前記ハイブリッド車両の降坂走行が予測されるときに前記放電要求を検知する、請求項10に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項12】
前記第2の検知手段は、前記ハイブリッド車両の車速が所定値を超えたときに前記放電要求を検知する、請求項10に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項13】
車両状態に応じた車両走行のための要求パワーと、前記蓄電装置の蓄電量を示す充電状態値とに応じて、前記電動機、前記内燃機関および前記発電機によるトータル出力パワーを算出するためのトータルパワー算出手段と、
算出された前記トータル出力パワーに対する前記電動機、前記内燃機関および前記発電機の間での配分を決定するためのパワー配分手段とをさらに備え、
前記トータルパワー算出手段は、
前記充電状態値に基づいて、前記内燃機関の出力による前記蓄電装置の充電要否を判定するための手段を含み、
前記放電促進手段は、前記放電要求が検知された場合に、前記判定に用いる充電状態値を、前記蓄電装置の実際の充電状態値よりも高く設定するための制御値設定手段を含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項14】
前記制御値設定手段は、前記放電要求が検知された場合に、前記充電状態値が所定の上下限値の間の所定範囲内であるときに限って、前記判定に用いる充電状態値を、前記実際の充電状態値よりも高く設定する、請求項13記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項15】
車両状態に応じた車両走行のための要求パワーと、前記蓄電装置の蓄電量を示す充電状態値とに応じて、前記電動機、前記内燃機関および前記発電機によるトータル出力パワーを算出するためのトータルパワー算出手段と、
算出された前記トータル出力パワーに対する前記電動機、前記内燃機関および前記発電機の間での配分を決定するためのパワー配分手段とをさらに備え、
前記トータルパワー算出手段は、
前記充電状態値に基づいて、前記内燃機関の出力による前記蓄電装置の充電要否を判定するための手段を含み、
前記トータルパワー算出手段および前記パワー配分手段は、前記内燃機関の出力によって前記蓄電装置を充電するときに、前記発電機を作動させるための充電用パワーを加算して、前記トータル出力パワーおよび前記内燃機関の出力パワーを設定し、
前記放電促進手段は、
前記放電要求の検知時には、前記充電用パワーを前記放電要求の非検知時よりも低く設定するための手段を含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項16】
車両状態に応じた車両走行のための要求パワーと、前記蓄電装置の蓄電量を示す充電状態値とに応じて、前記電動機、前記内燃機関および前記発電機によるトータル出力パワーを算出するためのトータルパワー算出手段と、
算出された前記トータル出力パワーに対する前記電動機、前記内燃機関および前記発電機の間での配分を決定するためのパワー配分手段とをさらに備え、
前記トータルパワー算出手段は、
前記要求パワーが判定値よりも高いか否かに従って、前記内燃機関の作動要否を判定するための手段を含み、
前記放電促進手段は、前記放電要求の検知時には、前記放電要求の非検知時よりも前記判定値を高く設定するための手段を含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−93335(P2011−93335A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246251(P2009−246251)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】