説明

ハフニウム系前駆体およびジルコニウム系前駆体を用いる原子層成長による薄膜の作製方法

原子層成長による金属含有膜の形成方法を提供する。この方法は、少なくとも一種の前駆体を基板に供給することを含んでなり、少なくとも一種の前駆体は構造が式II(式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、LはC−Cアルコキシである)に対応する。さらに液体注入原子層成長による金属含有膜の形成方法を提供する。この方法は少なくとも一種の前駆体を基板に供給することを含んでなり、少なくとも一種の前駆体は構造が式III(式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、Lはアミノであり、アミノは独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい)に対応する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照出願)
本出願は2007年9月14日出願の米国仮特許出願第60/972,451号に基づく優先権を主張する。その出願の開示はそのまま参照により本明細書に組み込まれる。2007年9月14日出願の同時係属米国仮特許出願第60/972,488号の開示はそのまま参照により本明細書に組み込まれ、そのような開示は本発明に対する先行技術を構成しない。
【0002】
本発明はハフニウムおよび/又はジルコニウム前駆体を用いる原子層成長(atomic layer deposition:ALD)による薄膜の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ALDは薄膜の成長方法として知られている。原子層の制御ができ種々の組成からなる基板上に前駆体によって供給される材料のコンフォーマルな(conformal)薄膜を成長させることができる表面反応に基づく自己律速で逐次的な独特の膜成長法である。ALDでは複数の前駆体は反応中に分離している。第一の前駆体を基板上に通過させて基板上に単分子層を生成する。過剰な未反応前駆体は反応チャンバーの外へ排出される。次に、第二の前駆体を基板上に通過させて第一の前駆体と反応させることで、基板上に単分子層を形成する。このサイクルを繰り返して所望の厚さの膜を作り出す。
【0004】
ALD工程はナノ技術およびコンデンサ電極、ゲート電極、接着性拡散障壁および集積回路のような半導体装置の製造に利用される。さらに、高誘電率を有する誘電性薄膜は微細電子工学や光電子工学における多くの小分野で必要とされる。微細電子工学部品の留まることのない小型化によりこのような誘電性膜を使用する必要性が増大している。
【0005】
日本特許公開番号P2005−171291には化学気相成長に使用されるチタン系前駆体が報告されている。
ALDに使用される現在の前駆体は半導体のような次世代デバイス製造用の新工程の実施に必要な性能を提供しない。例えば、熱安定性の改善、揮発性がより高いこと、あるいは成長速度がより高いことが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
ここでは原子層成長による金属含有膜を形成する方法が提供される。該方法は少なくとも一種の前駆体を基板へ供給することを含んでなり、該少なくとも一種の前駆体は構造が式IIに対応する。
【0007】
【化1】

【0008】
式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、LはC−Cアルコキシである。
別の態様では、液体注入原子層成長法による金属含有膜形成法が提供され、該方法は少なくとも一種の前駆体を基板へ供給することを含んでなり、該少なくとも一種の前駆体は構造が式IIIに対応する。
【0009】
【化2】

【0010】
式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、Lはアミノであり、そして、該アミノはそれぞれ独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい。
【0011】
上記にまとめた態様の具体的側面を含むその他の態様は、下記の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、(MeCp)Hf(OtBu)のmg対温度/時間を示す熱重量分析(thermogravimetric analysis:TGA)データのグラフ表示である。
【図2】図2は、(MeCp)Hf(NMeのmg対温度/時間を示す熱重量分析(TGA)データのグラフ表示である。
【図3】図3は、(MeCp)Zr(OtBu)のmg対温度/時間を示す熱重量分析(TGA)データのグラフ表示である。
【図4】図4、は(MeCp)Zr(NMeのmg対温度/時間を示す熱重量分析(TGA)データのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の種々の側面において、種々のハフニウム系前駆体および/又はジルコニウム系前駆体を用いてALDによるハフニウム含有膜および/又はジルコニウム含有膜を形成する方法が提供される。
【0014】
本発明の方法は、高誘電率を示すチタン含有薄膜を作製又は成長するのに使用される。本明細書で用いられる誘電性薄膜とは高誘電率を有する薄膜のことである。本明細書においてALDによって作成される膜は誘電性薄膜である。
【0015】
先行技術と認めるものではないが、2007年6月14日に公開されたTri Chemical Laboratoriesの国際公開番号WO2007/066546では、化学気相成長工程又は原子層成長工程によるハフニウム系膜形成用のハフニウム系前駆体について報告されている。
【0016】
先行技術と認めるものではないが、2007年12月13日に公開されたAir Liquide Societeの国際公開番号WO2007/141059では、酸化ハフニウム膜又は酸化ジルコニウム膜のような誘電性膜の形成について報告されている。
【0017】
さらに、先行技術と認めるものではないが、Niinisto J.等による「新しい混合アルキルアミド−シクロペンタジエニル前駆体を利用したZrO薄膜のALD」(http://science24.com/paper/11894参照)という表題の要旨では、ALDによる金属酸化物膜の形成に(EtCp)Zr(NMeを使用することについて報告されている。
【0018】
A.定義
本明細書で用いられている用語「前駆体」は、成長のため基板へ供給されALDによる薄膜を形成する有機金属の分子、錯体および/又は化合物を意味する。
【0019】
本発明の有機金属前駆体は遷移金属(「M」)を含む少なくとも1個の金属中心を有する。具体的には、1個の金属中心があり、Mはハフニウム又はジルコニウムである。
用語「Cp」は遷移金属に結合しているシクロペンタジエニル(C)配位子をいう。本明細書で用いられているように、Cp配位子の全5個の炭素原子はπ結合によってη−配位の金属中心と結合するから、本発明の前駆体はπ錯体である。
【0020】
用語「アルキル」は、長さが1から約6個の炭素原子の飽和炭化水素鎖であり、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチルであるが、これらに限定されるものではない。アルキル基は直鎖または分岐鎖でもよい。例えば、本明細書で用いられるプロピルはn−プロピルおよびiso−プロピルを包含し、ブチルはn−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチルおよびtert−ブチルを包含する。さらに、本明細書で用いられる「Me」はメチルを意味し、「Et」はエチルを意味する。
【0021】
本明細書では用語「アミノ」は、置換されていてもよい1価の窒素原子(すなわち−NR、ここで、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)を意味する。本発明に包含されるアミノ基には
【0022】
【化3】

【0023】
【化4】

【0024】
および
【0025】
【化5】

【0026】
が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、このアミノ基の窒素原子は金属中心に共有結合し、合せて「アミド」基(すなわち
【0027】
【化6】

【0028】
)という。これはさらに、「アンモノ」基又は、例えば
【0029】
【化7】

【0030】
又は
【0031】
【化8】

【0032】
のような、無機アミドをいう。
B.使用方法
第一の態様では、原子層成長による金属含有膜の形成方法が提供される。前記方法は少なくとも一種の前駆体を基板に供給することを含んでなり、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式Iに対応する。
【0033】
【化9】

【0034】
式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、LはC−Cアルコキシ又はアミノであり、前記アミノはそれぞれ独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい。
【0035】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式Iに対応し、式中MはHfであり、Rはメチル、エチル又はプロピルであり、nは0、1又は2であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、およびジエチルアミノからなる群から選ばれる。
【0036】
別の態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式Iに対応し、式中MはHfであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1又は2であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、およびジエチルアミノからなる群から選ばれる。
【0037】
別の態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式Iに対応し、式中MはHfであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる。
【0038】
別の態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式Iに対応し、式中MはZrであり、Rはメチル、エチル又はプロピルであり、nは0、1又は2であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、およびジエチルアミノからなる群から選ばれる。
【0039】
別の態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式Iに対応し、式中MはZrであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1又は2であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、およびジエチルアミノからなる群から選ばれる。
【0040】
別の態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式Iに対応し、式中MはZrであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる。
【0041】
ある別の態様では、原子層成長による金属含有膜の形成方法が提供される。前記方法は少なくとも一種の前駆体を基板に供給することを含んでなり、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIに対応する。
【0042】
【化10】

【0043】
式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、かつLはC−Cアルコキシである。
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIに対応し、式中MはHfであり、Rはメチル、エチル又はプロピルであり、nは0、1又は2であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる。
【0044】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIに対応し、式中MはHfであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1又は2であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる。
【0045】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIに対応し、式中MはHfであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる。
【0046】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIに対応し、式中MはZrであり、Rはメチル、エチル又はプロピルであり、nは0、1又は2であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる。
【0047】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIに対応し、式中MはZrであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1又は2であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる。
【0048】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIに対応し、式中MはZrであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1であり、かつLはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる。
【0049】
別の態様では、原子層成長による金属含有膜の形成方法が提供される。前記方法は少なくとも一種の前駆体を基板に供給することを含んでなり、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIIに対応する。
【0050】
【化11】

【0051】
式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、Lはアミノであり、そして前記アミノはそれぞれ独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい。
【0052】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIIに対応し、式中MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1又は2であり、Lはアミノであり、かつ前記アミノはそれぞれ独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい。
【0053】
別の態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式IIIに対応し、式中MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは3、4又は5であり、Lはアミノであり、かつ前記アミノはそれぞれ独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい。
【0054】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式I、II又はIIIに対応し、ブチルはn−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチルおよびtert−ブチルからなる群から選ばれる。特定の一態様では、ブチルはtert−ブチルである。
【0055】
一態様では、前記少なくとも一種の前駆体は構造が式I、II又はIIIに対応し、プロピルはn−プロピルおよびiso−プロピルからなる群から選ばれる。特定の一態様ではプロピルはiso−プロピルである。
【0056】
本発明の一態様では、構造が式I、II又はIIIに対応する前記少なくとも一種の前駆体は、
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(NMe
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(NMe
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(NMe
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(NEt
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(NEt
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(NEt
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(NMeEt)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(NMeEt)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(NMeEt)
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OMe)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(OMe)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(OMe)
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OEt)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(OEt)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(OEt)
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OiPr)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(OiPr)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(OiPr)
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OtBu)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(OtBu)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(OtBu)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(NMe
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(NMe
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(NMe
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(NEt
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(NEt
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(NEt
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(NMeEt)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(NMeEt)
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(NMeEt)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OMe)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(OMe)
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(OMe)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OEt)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(OEt)
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(OEt)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OiPr)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(OiPr)
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(OiPr)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OtBu)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(OtBu)
および(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(OtBu)からなる群から選ばれる。
【0057】
特定の一態様では、構造が式I、II又はIIIに対応する前記少なくとも一種の前駆体は、
【0058】
【化12】

【0059】
からなる群から選ばれる。
C.金属含有膜のタイプ
本発明の方法は、式I〜IIIに従う少なくとも一種の有機金属前駆体を用いて種々の金属含有膜を形成するのに使用することができる。一態様では、ハフニウム、酸化ハフニウム、窒化ハフニウム、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、又はこれらを組み合わせた膜がALDにより形成される。
【0060】
特定の態様では、酸化ハフニウムおよび/又は酸化ジルコニウムの膜を基板上で成長させる。成長のために、式I〜IIIに従う少なくとも一種の前駆体を、HO、Oおよび/又はオゾンのような適切な酸素源のパルスと交互にパルスで基板に供給することができる。
【0061】
別の態様では、式I〜IIIに従う少なくとも一種の前駆体を成長のために単独で又は共反応物と組み合わせて提供することにより、金属含有膜を形成することができる。そのような共反応物には、水素、水素プラズマ、酸素、空気、水、H、アンモニア、ヒドラジン類、アリルヒドラジン類、ボラン類、シラン類、オゾン又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
別の態様では、ALDによる「混合」金属膜の形成方法が提供される。本明細書で使用する「混合」金属膜という用語は少なくとも二つの異なる金属が膜を構成することを指す。
【0063】
一態様では、混合金属膜は、式I〜IIIに従う少なくとも二種の前駆体を成長のために提供することによりALDで形成される。そのような膜の非限定的な例としては酸化ハフニウムジルコニウムの膜および窒化ハフニウムジルコニウムの膜が挙げられる。
【0064】
別の態様では、混合金属膜は式I〜IIIに従う少なくとも一種の前駆体と少なくとも一種の共前駆体を成長のために提供することによりALDで形成し、この共前駆体は式I〜IIIの範囲外のものである。例えば、式I〜IIIに従う少なくとも一種のハフニウム又はジルコニウム前駆体と、鉛、チタン、ストロンチウムおよび/又はバリウム前駆体のような少なくとも一種の適切な共前駆体とが成長のため基板に供給され混合金属膜を形成してもよい。例えば、特定の態様では、式I〜IIIに従う少なくとも一種の前駆体と少なくとも一種の共前駆体を用いて、ランタン酸ハフニウム(hafnium lanthanate)、チタン酸ハフニウム(hafnium titanate)、ジルコン酸ランタン(lanthanum zirconate)、および/又はチタン酸ジルコニウム(zirconium titanate)の膜を作製することができる。
【0065】
特定の態様では、形成する混合金属膜はハフニウム、ジルコニウム、チタン、ランタンおよびその他のランタニド系金属の酸化物および窒化物からなる群から選ばれる。別の特定の態様では、式I〜IIIに従う少なくとも一種の前駆体を強誘電体のジルコン酸チタン酸鉛(PZT)膜を形成するのに使うことができる。
【0066】
特定の態様では、式I〜IIIに従う少なくとも一種の前駆体は酸化ハフニウムランタン、酸化ハフニウムチタン、酸化ランタンジルコニウム、酸化ジルコニウムチタン、および酸化ハフニウムセリウムのような金属酸化物膜をドープするのに使うことができるが、これらに限定されるものではない。ここで、式I〜IIIに従う少なくとも一種の前駆体が金属酸化物膜をドープするのに使われる場合、ハフニウムおよび/又はジルコニウムは膜を形成する格子中に置換型または侵入型(interstitial)で存在する。
【0067】
D.誘電率
本発明の方法によって作製された薄膜は10から250、好ましくは少なくとも25から40、より好ましくは少なくとも40から100の誘電率を有することができる。さらに、100を超える超高誘電率が考えられる。膜の誘電率は成長に使用される金属、作製される膜の厚さ、成長に使用されるパラメータおよび基板、ならびにその後の加工など多くの要素に依存することは当業者にはわかっていることである。
【0068】
特定の態様では、式I〜IIIに従う少なくとも一種の前駆体を使用して100を超える超高誘電率(高κ)を有するチタン酸金属膜を作製することができる。
E.基板
本発明の方法には種々の基板を使用することができる。例えば、式I〜IIIに従う前駆体をシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、タンタル、窒化タンタル、または銅のような基板上へ成長のため供給してもよいが、基板はこれらに限定されるものではない。
【0069】
F.ALDのタイプ
本発明のALDの方法は種々のタイプのALD工程を包含する。例えば、一態様では従来型のALDを用いて本発明の金属含有膜を形成する。従来型および/又はパルス注入ALD工程については、例えば、George S. M.等の J. Phys. Chem. 1996. 100:13121-13131を参照されたい。
【0070】
別の態様では、液体注入ALDを用いて金属含有膜を作製するが、ここでは、液体前駆体は、気泡管による蒸気の引き抜き(従来型)とは対照的に、直接的な液体注入によって反応チャンバーに供給される。液体注入ALD工程については、例えば、Potter R. J.等の Chem. Vap. Deposition. 2005. 11(3):159を参照されたい。
【0071】
特定の態様では、構造が式Iに対応する少なくとも一種の前駆体を使用して液体注入ALDにより金属含有膜を形成する。
特定の態様では、構造が式IIに対応する少なくとも一種の前駆体を使用して液体注入ALDにより金属含有膜を形成する。
【0072】
特定の態様では、構造が式IIIに対応する少なくとも一種の前駆体を使用して液体注入ALDにより金属含有膜を形成する。
液体注入ALD成長条件の例としては、限定的ではないが、下記が挙げられる。
(1)基板温度:Si(100)上で160〜300℃
(2)蒸着温度:約175℃
(3)反応炉圧力:約5ミリバール
(4)溶媒:トルエンまたは上述の任意の溶媒
(5)溶液濃度:約0.05M
(6)注入速度:約2.5μl/パルス(4パルス/サイクル)
(7)不活性ガス流速:約200cmmin−1
(8)パルス順序(秒)(前駆体/パージ/HO/パージ):チャンバーの大きさによって変わる
(9)サイクル数:所望の膜厚によって変わる
一態様では、構造が式I〜IIIに対応する少なくとも一種の前駆体を使用して液体注入ALDにより金属含有膜を作製するが、ここでは、構造が式I〜IIIに対応する少なくとも一種の前記前駆体は基板への提供の前に溶媒に溶解される。該前駆体は適切な炭化水素系溶媒またはアミン系溶媒に溶解することができる。適切な炭化水素系溶媒には、ヘキサン、ヘプタンおよびノナンのような脂肪族炭化水素、トルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素、ジグリム、トリグリム、テトラグリムのような脂肪族エーテルおよび環状エーテルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アミン系溶媒の例としてはオクチルアミンおよびN,N−ジメチルドデシルアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、前駆体はトルエンに溶解して0.05から1M溶液を調製することができる。
【0073】
別の態様では、構造が式I〜IIIに対応する少なくとも一種の前駆体は「そのままの状態で」(キャリアガスによって希釈されずに)基板に供給することができる。
別の態様では、光ALDが金属含有膜を形成するのに使用される。光ALD工程については、例えば米国特許第4,581,249号を参照されたい。
【0074】
特定の態様では、構造が式Iに対応する少なくとも一種の前駆体が光ALDにより金属含有膜を形成するのに使用される。
特定の態様では、構造が式IIに対応する少なくとも一種の前駆体が光ALDにより金属含有膜を形成するのに使用される。
【0075】
特定の態様では、構造が式IIIに対応する少なくとも一種の前駆体が光ALDにより金属含有膜を形成するのに使用される。
別の態様では、液体注入と光ALDの両方を使って、構造が式I〜IIIに対応する少なくとも一種の前駆体を使用して金属含有膜を形成することができる。
【0076】
したがって、これらの方法で利用される、構造が式I〜IIIに対応する有機金属前駆体は液体、固体又は気体状でよい。具体的には前記前駆体は、雰囲気温度において液体で高い蒸気圧を有して処理チャンバーへ蒸気を着実に移送する。
【0077】
ALDは実質的に化学反応性に依存し、熱分解に依存しない。したがって前駆体に適する望ましい特性に基本的な差がある。前駆体は使用温度において熱的に安定でなければならず、基板上に成長するために十分な揮発性がなければならない。さらに、金属酸化物又は金属窒化物の膜が成長するとき、金属前駆体および酸化物源又は窒化物源との間に速くて完全な化学反応が必要である。しかしながら、反応は基板表面でのみ起きるようにして、下にある構造を損傷しないようにすべきであり、炭素および水素のような副生成物は表面から容易に除かれなければならない。
【0078】
金属中心に付くCp環および3個の同じ配位子の置換の変化がALD工程には有用で改善された特性を示すことが見出された。例えば、式I〜IIIの前駆体はALDによる金属酸化物膜成長の能力が高く、単純な金属アミド類の場合に近い成長速度で熱安定性が高いために、より高温で操作ができ生成物の品質向上をもたらす。
【0079】
特定の態様では、本発明の方法はシリコンチップのような基板上におけるダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー(DRAM)および相補型金属酸化物半導体(CMOS)のようなメモリーおよび論理用途に有用である。
【実施例】
【0080】
実施例
下記の実施例は単なる例証であって、本開示を何ら限定するものではない。すべての操作はグローブボックスおよびシュレンク・ライン技術を使用した不活性雰囲気中で行なった。NMR分析はBruker 250MHz装置を用いて行なった。
【0081】
実施例1−(MeCp)Zr(NMeの合成
ヘキサン
Zr(NMe + MeCpH → (MeCp)Zr(NMe
シュレンクフラスコにZr(NMe(26.7g、0.1モル)および無水ヘキサン(50mls)を入れた。その後、新しく熱分解したMeCpH(7.9g、0.1モル)を室温で撹拌中の溶液に10分間かけて加えた。凝縮器を取り付け、混合物を2時間還流した後、減圧して溶媒を除去した。粗製物質を90℃、0.001トールで蒸留して純粋な(MeCp)Zr(NMeを淡黄色油として約90%の収率で得た。
NMR(C):5.95(m,2H,C),5.85(m,2H,C),2.9(s,18H,N(C),2.05(s,3H,CCp)
C,H,N: C H N
期待値 47.59 8.26 13.88
実際の値 45.0 7.76 12.9
実施例2−(MeCp)Zr(OtBu)の合成
ヘキサン
(MeCp)Zr(NMe + 3tBuOH → (MeCp)Zr(OtBu)
シュレンクフラスコに(MeCp)Zr(NMe(30.3g、0.1モル)および無水ヘキサン(50mls)を入れた。第二のシュレンクフラスコにtBuOH(22.2g、0.3モル)を入れ、無水ヘキサン(20mls)に溶解した。その後、前記無水溶液を室温で撹拌中のジルコニウム溶液に30分間かけて加え、混合物を4時間撹拌した。その後、減圧して溶媒を除去した。粗製物質を70℃、0.001トールで蒸留して純粋な(MeCp)Zr(OtBu)を淡黄色油として約90%の収率で得た。
NMR(C):6.2(m,2H,C),6.1(m,2H,C),2.2(s,3H,CCp),1.2(s,27H,C(C
C,H,N: C H N
期待値 55.43 8.72 0
実際の値 54.85 8.75 0
実施例3−(MeCp)Hf(NMeの合成
ヘキサン
Hf(NMe + MeCpH → (MeCp)Hf(NMe
シュレンクフラスコにHf(NMe(35.5g、0.1モル)および無水ヘキサン(50mls)を入れた。その後、新しく熱分解したMeCpH(7.9g、0.1モル)を室温で撹拌中の溶液に10分間かけて加えた。凝縮器を取り付け、混合物を2時間還流した後、減圧して溶媒を除去した。粗製物質を90℃、0.001トールで蒸留して純粋な(MeCp)Hf(NMeを淡黄色油として約90%の収率で得た。
NMR(C):5.95(m,2H,C),5.8(m,2H,C,),2.95(s,18H,N(C),2.1(s,3H,CCp)
C,H,N: C H N
期待値 36.93 6.41 10.77
実際の値 36.8 6.46 10.45
実施例4−(MeCp)Hf(OtBu)の合成
ヘキサン
(MeCp)Hf(NMe + 3tBuOH →(MeCp)Hf(OtBu)
シュレンクフラスコに(MeCp)Hf(NMe(39.0g、0.1モル)および無水ヘキサン(50mls)を入れた。第二のシュレンクフラスコにtBuOH(22.2g、0.3モル)を入れ、無水ヘキサン(20mls)に溶解した。その後、前記無水溶液を室温で撹拌中のハフニウム溶液に30分間かけて加え、混合物を4時間撹拌した。その後、減圧して溶媒を除去した。粗製物質を70℃、0.001トールで蒸留して純粋な(MeCp)Hf(OtBu)を淡黄色油として約90%の収率で得た。
NMR(C):6.2(m,2H,C),6.05(m,2H,C),2.2(s,3H,CCp),1.2(s,27H,C(C
C,H,N: C H N
期待値 45.29 7.13 0
実際の値 46.85 7.39 0.3
実施例5−(MeCp)Zr(OtBu)のALD
酸化ジルコニウム薄膜を特注品のALD反応炉中で成長する。(MeCp)Zr(OtBu)およびオゾンを前駆体として使用する。酸化ジルコニウム薄膜をシリコンウエハー基板上に成長する。成長の前にウエハー基板を四角(1インチ´1/2インチ)に切り、1%HFで研磨する。
【0082】
成長温度は200℃から350℃である。成長圧力は0.5トールから1.5トールである。反応炉は30sccmの乾燥窒素で連続的にパージされる。反応炉のすべてのコンピュータ制御弁はCajon製の空気作動ALD VCR弁である。
【0083】
オゾンは過剰にパージされる。ジルコニウムはステンレス鋼製アンプルに保存する。ALD弁をアンプルに直接付ける。このALD弁の出口は窒素注入に使用する別のALD弁とT字型に分岐する。T字型出口の脚部は500cmステンレス鋼製容器に接続する。容器の出口には注入弁と呼ばれる第三のALD弁が取り付けられ、その出口は反応炉に直結している。窒素注入はジルコニウム注入弁後方の全圧を高めるために使用し、圧力が反応炉の成長圧よりも高くなるようにする。窒素の注入は30ミクロン・ピンホールVCRガスケットを使用して行われる。すべての弁とアンプルをオーブンのような筺体に入れ、アンプル、弁および管を50℃から250℃に均一に加熱する。
【0084】
ALD成長操作中、弁は次のような方法で順序づける。ジルコニウム前駆体を活性化したシリコン表面に導入する。その後、窒素パージを行い、表面に付着しない過剰な反応分子を排出する。オゾンを共反応物として次に導入し、その後、追加の窒素パージを行う。その後、オゾンを注入してALDサイクルをもう一度開始する。
【0085】
サイクル総数は典型的には300である。結果は、成長速度が、ジルコニウムの蒸発圧によって変化する、換言するとジルコニウムの蒸発温度によって変化するジルコニウム用量とは無関係であることを示す。このことは膜の成長はALDの特徴であるように自己律速で進行することを証明する。
【0086】
実施例6−(MeCp)Hf(OtBu)のALD
酸化ハフニウム薄膜を特注品のALD反応炉中で成長する。(MeCp)Hf(OtBu)およびオゾンが前駆体として使用される。酸化ハフニウム膜をシリコンウエハー基板上に成長する。成長の前にウエハー基板を四角(1インチ´1/2インチ)に切り、1%HFで研磨する。
【0087】
成長温度は200℃から350℃である。成長圧力は0.5トールから1.5トールである。反応炉は30sccmの乾燥窒素で連続的にパージされる。反応炉のすべてのコンピュータ制御弁はCajon製の空気作動ALD VCR弁である。
【0088】
オゾンは過剰にパージされる。ハフニウムはステンレス鋼製アンプルに保存する。ALD弁をアンプルに直接付ける。このALD弁の出口は窒素注入に使用する別のALD弁とT字型に分岐する。T字型出口の脚部は500cmステンレス鋼製容器に接続する。容器の出口には注入弁と呼ばれる第三のALD弁が取り付けられ、その出口は反応炉に直結している。窒素注入はハフニウム注入弁後方の全圧を高めるために使用し、圧力が反応炉の成長圧よりも高くなるようにする。窒素の注入は30ミクロン・ピンホールVCRガスケットを使用して行われる。すべての弁とアンプルをオーブンのような筺体に入れ、アンプル、弁および管を50℃から250℃に均一に加熱する。
【0089】
ALD成長操作中、弁は次のような方法で順序づける。ハフニウム前駆体を活性化したシリコン表面に導入する。その後窒素パージを行い、表面に付着しない過剰な反応分子を排出する。オゾンを共反応物として次に導入し、その後、追加の窒素パージを行う。その後、オゾンを注入してALDサイクルをもう一度開始する。
【0090】
サイクル総数は典型的には300である。結果は、成長速度が、ハフニウムの蒸発圧によって変化する、換言するとハフニウムの蒸発温度によって変化するハフニウム用量とは無関係であることを示す。このことは膜の成長はALDの特徴であるように自己律速で進行することを証明する。
【0091】
本明細書に引用のすべての特許および刊行物はそのまま参照により本明細書に組み込まれる。
用語「含んでなる」は排他的ではなく、包含的に解釈する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層成長による金属含有膜の形成方法であって、該方法は少なくとも一種の前駆体を基板に供給することを含んでなり、該少なくとも一種の前駆体は構造が式II:
【化1】

(式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、LはC−Cアルコキシである)に対応する、方法。
【請求項2】
前記式中、MはHfであり、Rはメチル、エチル又はプロピルであり、nは0、1又は2であり、Lはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式中、MはHfであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1又は2であり、Lはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記式中、MはHfであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1であり、Lはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記式中、MはZrであり、Rはメチル、エチル又はプロピルであり、nは0、1又は2であり、Lはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記式中、MはZrであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1又は2であり、Lはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記式中、MはZrであり、Rはメチル又はエチルであり、nは1であり、Lはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
構造が前記式IIに対応する少なくとも一種の前駆体が、
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OMe)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(OMe)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(OMe)
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OEt)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(OEt)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(OEt)
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OiPr)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(OiPr)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(OiPr)
(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OtBu)
(エチルシクロペンタジエニル)Hf(OtBu)
(プロピルシクロペンタジエニル)Hf(OtBu)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OMe)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(OMe)
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(OMe)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OEt)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(OEt)
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(OEt)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OiPr)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(OiPr)
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(OiPr)
(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OtBu)
(エチルシクロペンタジエニル)Zr(OtBu)、および
(プロピルシクロペンタジエニル)Zr(OtBu)
からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
構造が前記式IIに対応する少なくとも一種の前駆体が、(メチルシクロペンタジエニル)Hf(OtBu)および(メチルシクロペンタジエニル)Zr(OtBu)からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記原子層成長が光原子層成長を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記原子層成長が液体注入原子層成長を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体を、酸素源のパルスと交互にパルスで基板上に成長させる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記酸素源がHO、O又はオゾンから選ばれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
水素、水素プラズマ、酸素、空気、水、アンモニア、ヒドラジン類、アリルヒドラジン類、ボラン類、シラン類、オゾン、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一種の適切な共反応物を成長させることをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
構造が前記式IIに対応する少なくとも二種の前駆体を基板に供給して原子層成長で金属含有膜を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基板に少なくとも一種の共前駆体を供給して原子層成長で混合金属膜を形成することをさらに含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
形成される混合金属膜がハフニウム、ジルコニウム、チタン、ランタンおよびその他のランタニド系金属の酸化物および窒化物、並びにジルコン酸チタン酸鉛からなる群から選ばれる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記金属含有膜がメモリーおよび/又は論理用途に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
液体注入原子層成長による金属含有膜の形成方法であって、該方法は少なくとも一種の前駆体を基板に供給することを含んでなり、該少なくとも一種の前駆体は構造が式III:
【化2】

(式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1、2、3、4または5であり、Lはアミノであり、該アミノは独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい)に対応する、方法。
【請求項21】
前記式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは0、1又は2であり、Lはアミノであり、該アミノは独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記式中、MはHfまたはZrであり、RはC−Cアルキルであり、nは3、4又は5であり、Lはアミノであり、該アミノは独立してC−Cアルキルによって1又は2置換されていてもよい、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
構造が前記式IIIに対応する少なくとも一種の前駆体が、(メチルシクロペンタジエニル)Hf(NMeおよび(メチルシクロペンタジエニル)Zr(NMeからなる群から選ばれる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
構造が前記式IIIに対応する少なくとも一種の前駆体が、基板に供給される前に溶媒に溶解される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
構造が前記式IIIに対応する少なくとも一種の前駆体は基板にそのままの状態で供給される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
金属含有膜を形成するのに光ALDを利用することをさらに含んでなる、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−539710(P2010−539710A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524955(P2010−524955)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/075831
【国際公開番号】WO2009/036046
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(598169572)シグマ−アルドリッチ・カンパニー (31)
【氏名又は名称原語表記】Sigma−Aldrich Co.
【Fターム(参考)】