説明

パターン形成方法

【課題】窒化物半導体基板を用いた半導体装置の製造においてフォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させる。
【解決手段】一の面から入射した光を吸収する吸収部301が少なくとも一部分に設けられたIII 族窒化物半導体基板300における前記一の面の上に、III 族窒化物よりなる半導体層312を形成する。半導体層312の上にレジスト膜313を形成する。開口部を有するフォトマスク360を介してレジスト膜313に、III 族窒化物半導体基板300に吸収されず且つ吸収部301に吸収される露光光を照射する。レジスト膜313を現像することによって、レジストパターンを形成し、当該レジストパターンをマスクとして半導体層312に対してエッチングを行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青色発光ダイオード又は青色半導体レーザ素子等の基板として用いられる窒化物半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GaN(窒化ガリウム)、InN(窒化インジウム)、AlN(窒化アルミニウム)又はそれらの混晶よりなるIII 族窒化物半導体を用いた半導体装置、例えば青色発光ダイオード(青色LED)又は青色半導体レーザ素子等はその大多数がサファイア基板上に形成されていた。
【0003】
窒化物半導体を用いた半導体装置の製造工程、特に、半導体レーザ素子等の製造工程においては、1μm程度の位置合わせ誤差が生じても実用上問題にならないため、Si(シリコン)に対するフォトリソグラフィ工程で使用される高価なKrFステッパ(1台数十億円程度)を用いることなく、水銀ランプのg線(波長436nm)又はi線(波長365nm)を用いた安価な露光装置(1台1千万円程度)により、十分な位置合わせ精度を確保することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半導体装置の基板として窒化物半導体基板が用いられるに従って、半導体装置を形成するときに、特に、水銀ランプのg線又はi線を用いた露光装置によりパターン形成を行なうときに、フォトリソグラフィ工程でのレジストパターンの精度(以下、パターン精度と称する)が劣化して半導体装置の歩留まりが著しく低下してしまうという問題が生じてきた。
【0005】
前記に鑑み、本発明は、窒化物半導体基板を用いた半導体装置の製造においてフォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本件発明者らは、従来の窒化物半導体基板を用いた場合においてg線又はi線によりパターン形成を行なうときにときにパターン精度が劣化する原因について検討を行ない、その結果、以下のことが判明した。
【0007】
図23は従来の窒化物半導体基板、具体的にはGaNよりなる基板(以下、GaN基板と称する)上に形成されたレジスト膜に対して露光を行なっている様子を示している。
【0008】
図23に示すように、GaN基板1上のレジスト膜2に対して、開口部3aを有するフォトマスク3を介して例えばi線が露光光4として照射されている。ところで、窒化物半導体が吸収できる光の波長は短く、例えばGaNが吸収できる光の波長は360nm以下であるので、g線又はi線を露光光4として用いた場合、レジスト膜2を透過してGaN基板1の表面に入射した露光光4つまり入射光4は、GaN基板1中を吸収されることなく伝播してしまう。その結果、入射光4は、GaN基板1の裏面から出射される出射光5と、GaN基板1の裏面で反射されて生じる反射光6とに分かれる。GaN基板1の裏面が鏡面である場合、GaN基板1の裏面での入射光4の反射率、つまりGaN基板1と空気との界面での入射光4の反射率は約20%にも達する。
【0009】
ここで、レジスト膜2における領域2aが入射光4によって本来露光されるべき領域であるが、反射光6によってレジスト膜2が裏側から露光されるため、レジスト膜2における本来露光されるべきではない領域2bまで露光されてしまう。その結果、従来の窒化物半導体基板を用いた場合、レジスト膜2の剥離又はレジストパターン寸法の縮小等の不良が生じてパターン形成が正常に行われなくなることが判明した。
【0010】
また、GaN基板1の厚さが小さくなってGaN基板1を入射光4が透過しやすくなり、それにより反射光6の強度が増大する場合、又は、フォトマスク3の開口部3aの開口幅が入射光4つまり露光光の波長の数倍程度以下になって開口部3aを通過した入射光4が開口部3aの外側に回折し、それにより反射光6がさらにその外側に拡がる場合(図23参照)等に、前述のパターン精度が劣化してしまう問題がより顕著に生じることが判明した。
【0011】
尚、本明細書において、反射は正反射(入射角=反射角)を意味すると共に反射率は正反射率を意味するものとし、正反射以外の反射は乱反射と称する。また、基板表面とは、窒化物半導体基板を用いて半導体装置を製造するときに窒化物半導体層の成長が行なわれる側の面を意味するものとする。
【0012】
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであって、具体的には、本発明に係る第1の半導体基板は、III 族窒化物を主成分とする半導体層よりなり、半導体層の一の面から半導体層に入射した入射光を散乱させる散乱部が半導体層の他の面又は内部に設けられている。
【0013】
第1の半導体基板によると、該基板を構成し且つIII 族窒化物を主成分とする半導体層の一の面から入射した入射光を散乱させる散乱部が半導体層の他の面又は内部に設けられているため、入射光が他の面で反射して生じる反射光の強度を低減できる。このため、第1の半導体基板つまり窒化物半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、一の面(以下、基板表面と称することもある)から入射した露光光が他の面(以下、基板裏面と称することもある)で反射してレジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。例えば第1の半導体基板がGaN基板である場合、特に、水銀ランプのg線又はi線の基板裏面での反射を確実に防止でき、その結果、g線又はi線を露光光として用いたフォトリソグラフィ工程でのパターン精度が著しく向上するので、窒化物半導体装置の製造歩留まりが著しく向上する。
【0014】
第1の半導体基板において、散乱部は、半導体層の他の面に入射光の波長の1/10程度以上の段差を有する凹凸が設けられてなることが好ましい。
【0015】
このようにすると、他の面において入射光を効率よく乱反射つまり散乱させることができるので、他の面における入射光の反射率を低減でき、それにより反射光の強度を確実に低減できる。
【0016】
このとき、半導体層の他の面における入射光の反射率は13%以下であることが好ましく、また、入射光の波長は365nm(i線)又は436nm(g線)であることが好ましい。
【0017】
第1の半導体基板において、散乱部は、半導体層の内部に設けられていると共に、入射光に対してIII 族窒化物と異なる屈折率を有する材料からなる粒又は層を含むことが好ましい。
【0018】
このようにすると、半導体層の内部において入射光を効率よく散乱させることができるので、反射光の強度を確実に低減できる。
【0019】
このとき、前述の材料からなる粒の直径、前述の材料からなる層における一の面に対して平行な方向に沿った幅、又は前述の材料からなる層の厚さは、入射光の波長の1/10程度以上であることが好ましい。また、前述の材料からなる粒又は層は一の面に対して平行な方向に沿って設けられており、散乱部は、一の面に対して平行な方向に沿って設けられており且つIII 族窒化物を主成分とする他の半導体層と、前述の粒又は層とが交互に積層されてなることが好ましい。また、散乱部の厚さは入射光の波長の1/10程度以上であることが好ましい。また、前述の材料はSi、SiO、SiN又はAlであることが好ましい。さらに、散乱部の入射光に対する透過率は80%以下であることが好ましく、また、入射光の波長は365nm又は436nmであることが好ましい。
【0020】
本発明に係る第2の半導体基板は、III 族窒化物を主成分とする半導体層よりなり、半導体層の一の面から半導体層に入射した入射光を透過させる透過部が半導体層の他の面に設けられている。
【0021】
第2の半導体基板によると、該基板を構成し且つIII 族窒化物を主成分とする半導体層の一の面から入射した入射光を透過させる透過部が半導体層の他の面に設けられているため、他の面における入射光の反射率を低減できるので、入射光が他の面で反射して生じる反射光の強度を低減できる。このため、第2の半導体基板つまり窒化物半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、一の面(基板表面)から入射した露光光が他の面(基板裏面)で反射してレジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。例えば第2の半導体基板がGaN基板である場合、特に、水銀ランプのg線又はi線の基板裏面での反射を確実に防止でき、その結果、g線又はi線を露光光として用いたフォトリソグラフィ工程でのパターン精度が著しく向上するので、窒化物半導体装置の製造歩留まりが著しく向上する。
【0022】
第2の半導体基板において、透過部は、半導体層の他の面に、入射光に対してIII 族窒化物と異なる屈折率を有する材料からなる層が形成されてなることが好ましい。
【0023】
このようにすると、他の面における入射光の反射率を確実に低減できる。
【0024】
このとき、前述の材料からなる層は複数の層であり、該複数の層のうちの少なくとも2つの層は入射光に対して互いに異なる屈折率を有することが好ましい。また、前述の材料の入射光に対する屈折率は、III 族窒化物の入射光に対する屈折率の9/10程度以下であることが好ましい。また、前述の材料はSiO、SiN若しくはAlであるか、半導体層を構成するIII 族元素と酸素との化合物であるか、AlGa1−x N(但し0<x≦1)であることが好ましい。前述の材料が半導体層を構成するIII 族元素と酸素との化合物である場合、基板裏面に新たに透過部となる膜を形成する場合と比べて工程を簡単化できると共に、基板への不純物混入等の問題を防止して基板の製造歩留まりを向上できる。
【0025】
第2の半導体基板において、透過部の入射光に対する透過率は80%以上であることが好ましい。
【0026】
このようにすると、他の面における入射光の反射率を確実に低減できる。また、このとき、入射光の波長は365nm又は436nmであることが好ましい。
【0027】
第2の半導体基板において、半導体層の他の面と透過部との間、又は半導体層の内部に設けられており且つ入射光を散乱させる散乱部をさらに備えていることが好ましい。
【0028】
このようにすると、入射光を散乱部によって散乱させた後、散乱された入射光を透過部によって透過させるため、反射光の強度をより一層低減できる。
【0029】
本発明に係る第3の半導体基板は、III 族窒化物を主成分とする半導体層よりなり、半導体層の一の面から半導体層に入射した入射光を吸収する吸収部が半導体層の少なくとも一部分に設けられている。
【0030】
第3の半導体基板によると、該基板を構成し且つIII 族窒化物を主成分とする半導体層の一の面から入射した入射光を吸収する吸収部が半導体層の少なくとも一部分に設けられているため、入射光が他の面で反射して生じる反射光の強度を低減できる。このため、第3の半導体基板つまり窒化物半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、一の面(基板表面)から入射した露光光が他の面(基板裏面)で反射してレジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。例えば第3の半導体基板がGaN基板である場合、特に、水銀ランプのg線又はi線の基板裏面での反射を確実に防止でき、その結果、g線又はi線を露光光として用いたフォトリソグラフィ工程でのパターン精度が著しく向上するので、窒化物半導体装置の製造歩留まりが著しく向上する。
【0031】
第3の半導体基板において、吸収部の入射光に対する透過率は80%以下であることが好ましい。
【0032】
このようにすると、基板裏面が鏡面である場合にも、基板裏面における入射光の反射率を実質的に13%程度以下にすることができるので、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を確実に向上させることできる。また、このとき、入射光の波長は365nm又は436nmであることが好ましい。
【0033】
第3の半導体基板において、吸収部は、入射光に対してIII 族窒化物よりも大きな吸収係数を有する材料からなることが好ましい。
【0034】
このようにすると、吸収部によって確実に入射光が吸収されるので、反射光の強度を確実に低減できる。また、このとき、前述の材料は、入射光に対して互いに異なる吸収係数を有する複数の材料であるか、又は、Si及びWのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0035】
第3の半導体基板において、吸収部は、入射光を吸収する準位を生じるように不純物が半導体層に添加されてなることが好ましい。
【0036】
このようにすると、吸収部によって確実に入射光が吸収されるので、反射光の強度を確実に低減できると共に、第3の半導体基板つまり窒化物半導体基板の結晶性の低下を防止できる。また、このとき、不純物はC、O、Si、S、Cl、P及びAsのうちの少なくと1つを含むことが好ましい。また、吸収部の入射光に対する吸収係数をαとし、吸収部の厚さをz0としたときに、z0≧0.223/αの関係が成り立つことが好ましい。
【0037】
第3の半導体基板において、吸収部は半導体層に点欠陥が形成されてなることが好ましい。
【0038】
このようにすると、吸収部によって確実に入射光が吸収されるので、反射光の強度を確実に低減できると共に、第3の半導体基板つまり窒化物半導体基板の結晶性の低下を防止できる。また、このとき、点欠陥は半導体層にプロトンを導入することにより形成されていることが好ましい。
【0039】
第3の半導体基板において、吸収部は、半導体層の一の面に対して平行な方向に沿って不均一に分布していることが好ましい。
【0040】
このようにすると、吸収部によって入射光が吸収されるだけではなく、吸収部によって入射光が散乱されるので、反射光の強度をより一層低減できる。また、半導体基板を用いて例えばリッジ型レーザ装置を作製する場合、半導体基板におけるリッジ構造の下側に吸収部を設けないことによって、基板上の活性層の特性を劣化させることなく、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度向上効果を得ることができる。
【0041】
本発明に係る第1の半導体基板の製造方法は、III 族窒化物を主成分とする第1の半導体層の上に、III 族窒化物と異なる光屈折率を有する材料よりなる光散乱部を部分的に形成する工程と、光散乱部を含む第1の半導体層の上に、III 族窒化物を主成分とする第2の半導体層を結晶成長させ、それによって第1の半導体層、光散乱部及び第2の半導体層から構成される半導体基板を形成する工程とを備えている。
【0042】
第1の半導体基板の製造方法によると、半導体基板を構成する第1の半導体層と第2の半導体層との間に光散乱部を形成するため、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光、つまり反射光の強度を低減できる。従って、この半導体基板を用いた窒化物半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、レジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できるため、パターン精度を向上させることができるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0043】
また、第1の半導体基板の製造方法によると、第1の半導体層と異なる屈折率を有する材料、つまり第1の半導体層と異なる材料よりなる光散乱部を部分的に形成した後、該光散乱部を含む第1の半導体層の上に第2の半導体層を結晶成長させるため、第1の半導体層に生じていた欠陥等が第2の半導体層に引き継がれることを光散乱部によって抑制できる。従って、第2の半導体層の結晶性を良好にできるので、光散乱部を有する半導体基板の結晶性を良好にできる。
【0044】
第1の半導体基板の製造方法において、光散乱部を部分的に形成する工程は、半導体層の上に全面に亘って光散乱部となる膜を形成する工程と、膜の上にマスクパターンを部分的に形成して、該マスクパターンを用いて膜に対してエッチングを行なうことにより、膜におけるマスクパターンによって覆われていない部分を除去して光散乱部を形成する工程と、マスクパターンを除去する工程とを含むことが好ましい。
【0045】
このようにすると、第1の半導体層の上に部分的に形成された光散乱部を確実に実現できる。
【0046】
本発明に係る第2の半導体基板の製造方法は、III 族窒化物を主成分とする半導体層の裏面に、所定値よりも大きい段差を有する凹凸を形成する工程と、凹凸が形成された半導体層の裏面に、III 族窒化物と異なる光屈折率を有する材料よりなる埋め込み膜を形成することにより、半導体層及び埋め込み膜から構成される半導体基板を形成する工程とを備えている。
【0047】
第2の半導体基板の製造方法によると、半導体基板を構成する半導体層の裏面、つまり該半導体層と埋め込み膜との界面に光散乱部となる凹凸を形成するため、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光、つまり反射光の強度を低減できる。従って、この半導体基板を用いた窒化物半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、レジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できるため、パターン精度を向上させることができるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0048】
また、第2の半導体基板の製造方法によると、凹凸が設けられて粗面化された半導体層の裏面を埋め込み膜によって平坦化することができるので、基板裏面が平坦化され、それにより半導体装置の製造工程を簡単化できる。
【0049】
また、第2の半導体基板の製造方法によると、埋め込み膜として、例えばIII 族窒化物を主成分とする他の半導体層を結晶成長させる場合には、凹凸のうち凸部上に形成される他の半導体層の結晶性を良好にできるので、光散乱部を有する半導体基板の結晶性を良好にできる。
【0050】
本発明に係る第3の半導体基板の製造方法は、III 族窒化物を主成分とする第1の半導体層の上に、III 族窒化物よりも大きな光吸収係数を有する材料よりなる光吸収部を部分的に形成する工程と、光吸収部を含む第1の半導体層の上に、III 族窒化物を主成分とする第2の半導体層を結晶成長させ、それによって第1の半導体層、光吸収部及び第2の半導体層から構成される半導体基板を形成する工程とを備えている。
【0051】
第3の半導体基板の製造方法によると、半導体基板を構成する第1の半導体層と第2の半導体層との間に光吸収部を形成するため、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光、つまり反射光の強度を低減できる。従って、この半導体基板を用いた窒化物半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、レジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できるため、パターン精度を向上させることができるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0052】
また、第3の半導体基板の製造方法によると、第1の半導体層と異なる吸収係数を有する材料、つまり第1の半導体層と異なる材料よりなる光吸収部を部分的に形成した後、該光吸収部を含む第1の半導体層の上に第2の半導体層を結晶成長させるため、第1の半導体層に生じていた欠陥等が第2の半導体層に引き継がれることを光吸収部によって抑制できる。従って、第2の半導体層の結晶性を良好にできるので、光吸収部を有する半導体基板の結晶性を良好にできる。
【0053】
本発明に係る第4の半導体基板の製造方法は、III 族窒化物を主成分とする半導体層に不純物を注入して光を吸収する準位を発生させることによって光吸収部を形成し、それにより半導体層及び光吸収部から構成される半導体基板を形成する工程を備えている。
【0054】
第4の半導体基板の製造方法によると、半導体基板を構成する半導体層に光吸収部を形成するため、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光、つまり反射光の強度を低減できる。従って、この半導体基板を用いた窒化物半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、レジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できるため、パターン精度を向上させることができるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0055】
また、第4の半導体基板の製造方法によると、基板となる半導体層に不純物を注入して光吸収部を形成するため、光吸収部を有する半導体基板の結晶性の低下を防止できる。
【0056】
第4の半導体基板の製造方法において、光吸収部を形成する工程は、半導体層の上にマスクパターンを部分的に形成して、該マスクパターンを用いて半導体層に対して不純物を注入することにより、半導体層に光吸収部を部分的に形成する工程と、マスクパターンを除去する工程とを含むことが好ましい。
【0057】
このようにすると、半導体層の上に部分的に形成された光吸収部を確実に実現できる。また、半導体基板を用いて例えばリッジ型レーザ装置を作製する場合、半導体基板におけるリッジ構造の下側に吸収部を設けないことによって、半導体基板上の活性層の特性を劣化させることなく、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度向上効果を得ることができる。
【0058】
本発明に係る第1の半導体装置は、一の面から入射した光を散乱させる散乱部が他の面又は内部に設けられており且つIII 族窒化物を主成分とする半導体基板と、III 族窒化物よりなる半導体層に対してフォトリソグラフィ及びエッチングを用いることによって半導体基板における一の面の上に形成された構造とを備えている。
【0059】
第1の半導体装置によると、本発明に係る第1の半導体基板を用いた半導体装置であるため、フォトリソグラフィ工程でレジスト膜に不要な感光が生じることがない。このため、基板上に形成される構造の寸法精度を向上させることができるので、半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0060】
本発明に係る第2の半導体装置は、一の面から入射した光を透過させる透過部が他の面に設けられており且つIII 族窒化物を主成分とする半導体基板と、III 族窒化物よりなる半導体層に対してフォトリソグラフィ及びエッチングを用いることによって半導体基板における一の面の上に形成された構造とを備えている。
【0061】
第2の半導体装置によると、本発明に係る第2の半導体基板を用いた半導体装置であるため、フォトリソグラフィ工程でレジスト膜に不要な感光が生じることがない。このため、基板上に形成される構造の寸法精度を向上させることができるので、半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0062】
本発明に係る第3の半導体装置は、一の面から入射した光を吸収する吸収部が少なくとも一部分に設けられており且つIII 族窒化物を主成分とする半導体基板と、III 族窒化物よりなる半導体層に対してフォトリソグラフィ及びエッチングを用いることによって半導体基板における一の面の上に形成された構造とを備えている。
【0063】
第3の半導体装置によると、本発明に係る第3の半導体基板を用いた半導体装置であるため、フォトリソグラフィ工程でレジスト膜に不要な感光が生じることがない。このため、基板上に形成される構造の寸法精度を向上させることができるので、半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0064】
第1〜第3の半導体装置のいずれかにおいて、前述の構造はリッジ構造又は溝構造を有していてもよい。
【0065】
また、第3の半導体装置において、前述の構造はリッジ構造を有しており、半導体基板におけるリッジ構造の下側には吸収部が設けられていないことが好ましい。このようにすると、基板上の活性層の特性を劣化させることなく、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度向上効果を得ることができる。
【0066】
本発明に係る第1のパターン形成方法は、一の面から入射した光を散乱させる散乱部が他の面又は内部に設けられており且つIII 族窒化物を主成分とする半導体基板における一の面の上に、III 族窒化物よりなる半導体層を形成する工程と、半導体層の上にポジ型又はネガ型のレジスト膜を形成する工程と、開口部を有するフォトマスクを介してレジスト膜に露光光を照射する工程と、レジスト膜を現像することによって、レジスト膜がポジ型の場合にはレジスト膜における露光光が照射された部分を除去すると共にレジスト膜がネガ型の場合にはレジスト膜における露光光が照射されなかった部分を除去し、それによりレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンをマスクとして半導体層に対してエッチングを行なう工程とを備えている。
【0067】
第1のパターン形成方法によると、本発明に係る第1の半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法であるため、レジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できる。このため、レジストパターンの精度を向上させることができるので、半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0068】
本発明に係る第2のパターン形成方法は、一の面から入射した光を透過させる透過部が他の面に設けられており且つIII 族窒化物を主成分とする半導体基板における一の面の上に、III 族窒化物よりなる半導体層を形成する工程と、半導体層の上にポジ型又はネガ型のレジスト膜を形成する工程と、開口部を有するフォトマスクを介してレジスト膜に露光光を照射する工程と、レジスト膜を現像することによって、レジスト膜がポジ型の場合にはレジスト膜における露光光が照射された部分を除去すると共にレジスト膜がネガ型の場合にはレジスト膜における露光光が照射されなかった部分を除去し、それによりレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンをマスクとして半導体層に対してエッチングを行なう工程とを備えている。
【0069】
第2のパターン形成方法によると、本発明に係る第2の半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法であるため、レジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できる。このため、レジストパターンの精度を向上させることができるので、半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0070】
本発明に係る第3のパターン形成方法は、一の面から入射した光を吸収する吸収部が少なくとも一部分に設けられており且つIII 族窒化物を主成分とする半導体基板における一の面の上に、III 族窒化物よりなる半導体層を形成する工程と、半導体層の上にポジ型又はネガ型のレジスト膜を形成する工程と、開口部を有するフォトマスクを介してレジスト膜に露光光を照射する工程と、レジスト膜を現像することによって、レジスト膜がポジ型の場合にはレジスト膜における露光光が照射された部分を除去すると共にレジスト膜がネガ型の場合にはレジスト膜における露光光が照射されなかった部分を除去し、それによりレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンをマスクとして半導体層に対してエッチングを行なう工程とを備えている。
【0071】
第3のパターン形成方法によると、本発明に係る第3の半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法であるため、レジスト膜における本来露光されるべきではない領域まで露光されてしまう事態を回避できる。このため、レジストパターンの精度を向上させることができるので、半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【発明の効果】
【0072】
本発明によると、III 族窒化物を主成分とする半導体基板に光散乱部、光透過部又は光吸収部を設けることにより、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光の強度を低減できるので、窒化物半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、レジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【図2】図2(a)〜(e)は本発明の第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図3】図3は本発明の第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法において用いられるMOVPE装置の一例を示す図である。
【図4】図4は本発明の第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法において用いられるHVPE装置の一例を示す図である。
【図5】図5は本発明の第1の実施形態に係る半導体基板の上に形成されたレジスト膜に対して露光を行なっている様子を示す図である。
【図6】図6はライン部及びスペース部の幅が2μmのラインアンドスペース状のレジストパターンをGaN基板上に形成した場合における、基板裏面での露光光の反射率と、ライン部となるレジストパターンの外観良品率との関係を示す図である。
【図7】図7は本発明の第2の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【図8】図8(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の第3の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【図10】図10(a)〜(e)は本発明の第3の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の第4の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【図12】図12は本発明の第5の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【図13】図13(a)〜(e)は本発明の第5の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図14】図14(a)〜(c)は本発明の第5の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図15】図15は本発明の第6の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【図16】図16(a)〜(f)は本発明の第6の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図17】図17は本発明の第7の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【図18】図18は(a)〜(e)は本発明の第7の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図19】図19は本発明の第7の実施形態に係る半導体基板の製造方法におけるGaN基板へのAs注入方法の一例を示す図である。
【図20】図20(a)〜(d)は本発明の第7の実施形態に係る半導体基板を用いた半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図21】図21(a)〜(d)は本発明の第7の実施形態に係る半導体基板を用いた半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図22】図22は本発明の第7の実施形態に係る半導体基板を用いた半導体装置の断面図である。
【図23】図23は従来の窒化物半導体基板の上に形成されたレジスト膜に対して露光を行なっている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る半導体基板及びその製造方法、並びにその半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0075】
図1は第1の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【0076】
図1に示すように、第1の実施形態に係る半導体基板は、III 族窒化物半導体層、具体的にはGaN層100よりなる。また、GaN層100(以下、GaN基板100と称することもある)の表面は(0001)Ga面であり、GaN基板100の裏面は(0001)N面であり、GaN基板100の厚さは例えば200μmである。
【0077】
第1の実施形態の特徴は、GaN基板100の裏面が凹凸100aを有する粗面となっていることである。ここで、GaN基板100を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程で用いられる露光光の波長をλとすると、凹凸100aはλ/10程度以上の段差を有することが好ましい。
【0078】
図2(a)〜(e)は、図1に示す第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0079】
まず、図2(a)に示すように、厚さ300μmのサファイア基板101と厚さ80μmのシリコン基板102とからなるシリコン・オン・サファイア基板(以下、SOS基板と称する)を用意する。
【0080】
次に、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたMOVPE(metal organic vapor phase epitaxy )法によって、図2(b)に示すように、SOS基板のうちのシリコン基板102の上に、1000℃の温度下でAlN層103を200nmの厚さ成長させる。
【0081】
図3は第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法において用いられるMOVPE装置の一例を示している。図3に示すように、MOVPE装置は、石英又はステンレス等よりなる反応管150と、反応管150内において被処理基板151が載置されるサセプタ152と、反応管150内においてサセプタ152を介して被処理基板151を加熱する加熱手段153とを備えている。反応管150は、原料ガス及びキャリアガスが導入されるガス導入口150aと、使用済みのガスが排気されるガス排出口150bとを有している。サセプタ152は例えばグラファイト等よりなる。加熱手段153としては、抵抗線ヒーター(抵抗加熱ヒーター)又はランプヒーター等が用いられる。
【0082】
ところで、MOVPE法によるIII 族窒化物半導体層の成長においては、III 族元素面の成長速度が速いため、III 族元素面の成長が支配的となる。従って、図2(b)に示すAlN層103の成膜工程においては、Al面の成長が支配的となる結果、AlN層103の表面はAl面となる一方、AlN層103の裏面、つまりAlN層103のシリコン基板102側の面はN面となる。
【0083】
次に、HClガスとGaとを800℃の温度下で反応させることにより得られる塩化ガリウム、及びアンモニアを原料ガスとして用いたHVPE(hydride vapor phase epitaxy )法を用いて、図2(c)に示すように、AlN層103の上に、1000℃の温度下でGaN層100を250μmの厚さ成長させる。このとき、AlN層103の表面がAl面であるので、GaN層100のAlN層103側の面つまりGaN層100の裏面はN面となる一方、GaN層100の表面はGa面となる。また、サファイア基板101とシリコン基板102とからなるSOS基板上にGaN層100を形成するため、サファイア基板101がGaN層100に与える圧縮応力と、シリコン基板102がGaN層100に与える引っ張り応力とがつり合うので、クラックを発生させずに厚膜のGaN層100を成長させることができる。
【0084】
図4は第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法において用いられるHVPE装置の一例を示している。図4に示すように、HVPE装置は、石英等よりなる反応管160と、反応管160内において被処理基板161が載置されるサセプタ162と、反応管160内においてHClガスと反応させる溶融状態のGa163が入れられる皿164と、反応管160の外側から反応管160内を加熱する加熱手段165とを備えている。反応管160は、アンモニアガス及びキャリアガスが導入される第1のガス導入口160aと、HClガス及びキャリアガスが導入される第2のガス導入口160bと、使用済みのガスが排気されるガス排出口160cとを有している。サセプタ162は例えばグラファイト又は石英等よりなると共に、皿164は例えば石英等よりなる。加熱手段165としては、管状抵抗線ヒーター等が用いられる。
【0085】
次に、フッ酸と硝酸との混合液を用いた処理により、図2(d)に示すように、シリコン基板102のみを除去することによって、サファイア基板101と、窒化物半導体基板となるGaN層100つまりGaN基板100とを分離する。ここで、GaN基板100の両面は凹凸のない鏡面であると共に、GaN基板100の裏面にはAlN層103が形成されている。
【0086】
次に、図2(e)に示すように、GaN基板100の裏面側を削ることによって、AlN層103を除去すると共に、GaN基板100の裏面に凹凸100aを形成して該裏面を粗面化する。ここで、GaN基板100の裏面を粗面化する方法は特に限定されるものではないが、例えば粒径10〜50μmの研磨剤を用いてGaN基板100の裏面を研磨することによってGaN基板100の裏面を粗面化することができる。具体的には、第1の実施形態においては、GaN基板100の厚さが最終的に200μm程度になるまでGaN基板100の裏面を研磨することによって、図1に示す第1の実施形態に係る半導体基板を得た。
【0087】
図5は、図1に示す第1の実施形態に係る半導体基板つまりGaN基板100の上に形成されたレジスト膜に対して露光を行なっている様子を示している。
【0088】
図5に示すように、GaN基板100上のレジスト膜171に対して、開口部172aを有するフォトマスク172を介して例えばg線が露光光173として照射されている。このとき、レジスト膜171を透過してGaN基板100の表面(以下、基板表面と称することもある)に入射した露光光173つまり入射光173は、GaN基板100の裏面(以下、基板裏面と称することもある)から出射される出射光174と、基板裏面の凹凸100aによって乱反射されて生じる反射光175とに分かれる。尚、レジスト膜171における領域171aは入射光173によって本来露光されるべき領域である。また、露光装置としては、例えば水銀ランプのg線を光源とするコンタクトアライナーを用いる。
【0089】
本件発明者らは、第1の実施形態に係る半導体基板を含む、様々な裏面形状を有するGaN基板の上にレジスト膜を形成した後、レジスト膜に対して露光を行ない、その後、レジスト膜を現像することによりレジストパターンを形成し、その外観を調べた。以下、その結果について図6を参照しながら説明する。
【0090】
図6は、ライン部及びスペース部の幅が2μmのラインアンドスペース状のレジストパターンをGaN基板上に形成した場合における、基板裏面での露光光(g線)の反射率と、ライン部となるレジストパターンの外観良品率との関係を示している。
【0091】
ここで、外観良品とは、レジストパターンの幅が2±0.2μmの範囲内にあるものを意味する。また、基板裏面での露光光の反射率(以下、裏面反射率と称する)は、該裏面を粗面化させるための研磨において研磨剤の粒径又は研磨時間を変化させることによって変化させている。尚、裏面反射率は、基板表面に入射角90°(略90°を含む)で入射された入射光の強度に対する、基板裏面で反射された後に基板表面から出射角90°(略90°を含む)で出射された反射光の強度の比(測定値)を用いて示している。例えば、GaN基板の裏面が、原子間力顕微鏡によって原子層オーダーのステップが見られるような非常に平坦な面である場合、裏面反射率は21%程度である。このような非常に平坦な面は、粒径1μm未満の非常に細かな研磨剤を用いてGaN基板の裏面を研磨をした後に該裏面をアンモニア雰囲気中で約1000℃に加熱することによって得られる。
【0092】
図6に示すように、裏面反射率が16%以上のときは、強度の大きい反射光によってレジスト膜が裏側から露光されるため、レジスト膜が剥離したり又はレジストパターン寸法が縮小したりする結果、外観良品率が低下する。それに対して、裏面反射率を低下させるに従って外観良品率が向上し、裏面反射率が13%以下になると外観良品率がほぼ100%になる。すなわち、裏面反射率が13%以下になると、ほぼ100%の歩留まりで所望のレジストパターンを形成することができる。
【0093】
以下、図6に示す結果が得られる理由について説明する。GaN基板の裏面が鏡面のときは、前述(「課題を解決するための手段」又は図23参照)のように裏面反射率が20%程度以上と高くなるため、露光時に生じる基板裏面からの反射光がレジスト膜をその裏側から感光させるので、レジスト膜の剥離又はレジストパターン寸法の縮小等の不良が生じる。特に、フォトマスクの開口部の幅が露光光の波長の数倍程度以下である場合、フォトマスクにおける露光光の回折によって反射光が開口部の外側に若干拡がるので、レジスト膜における本来露光されるべきではない領域が露光されやすくなる。それに対して、本実施形態のように基板となるGaN層の裏面が粗面化されていると、露光の際に基板裏面で乱反射が生じるため、言い換えると、基板裏面で正反射が生じにくいため、裏面反射率が低減し、その結果、レジスト膜の裏側からの有害な露光がほとんど生じないので、外観不良のないレジストパターンの形成を行なうことができる。
【0094】
すなわち、第1の実施形態によると、GaN基板100の裏面に凹凸100aが形成されており、それによって該裏面が粗面化されているため、GaN基板100の裏面で入射光173の正反射が生じにくいので、裏面反射率を確実に低減できる。このため、反射光175の強度が低下して、反射光175によってレジスト膜171における本来露光されるべきではない領域(領域171a以外の他の領域)まで露光されてしまう事態を回避できるので、レジスト膜171からなるレジストパターンの精度を向上させることできる。従って、GaN基板100を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0095】
尚、第1の実施形態において、GaN基板100の裏面に凹凸100aを形成して該裏面を粗面化することにより裏面反射率を低下させたが、裏面反射率を低下させる方法は特に限定されるものではなく、例えば基板裏面に不均一に誘電体を吹き付けたり、基板裏面に球状若しくは不定形状の物質を設けたり、又は基板裏面に低反射率膜を形成したりしてもよい。但し、これらの方法により裏面反射率を低下させた場合、以降の半導体プロセスにおいて素子等への不純物混入の発生原因となりやすいため、できればGaN基板100の裏面の粗面化によって裏面反射率を低下させることが好ましい。
【0096】
また、第1の実施形態において、GaN基板100の裏面を粗面化するために研磨を用いたが、これに代えて、サンドブラスト又はエッチング等の任意の方法を用いてGaN基板100の裏面を粗面化してもよい。
【0097】
また、第1の実施形態においては、基板表面に入射角90°(略90°を含む)で入射した露光光が基板裏面で反射した後に基板表面から出射角90°(略90°を含む)で出射され、それによりレジスト膜が感光されてしまうことを問題としているので、基板表面に入射角90°で入射した露光光の基板裏面での反射率が低減されてさえいれば、基板裏面の粗面形状は特に限定されるものではない。但し、基板裏面の粗面形状が、基板表面に入射角90°で入射した露光光を、基板表面つまり基板主面に対してある特定の角度方向に反射させるような場合、レジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域が感光される可能性があるので、できれば基板裏面が、乱反射を生じさせる粗面形状を有していることが好ましい。具体的には、基板裏面に、露光光の波長の1/10程度以上の段差を有する凹凸を設けることにより、基板表面に入射角90°で入射した露光光をあらゆる方向に散乱又は乱反射させることができる。また、このとき、裏面反射率が13%程度以下になるように基板裏面に凹凸を設けることが好ましい。
【0098】
また、第1の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いる露光光の種類は特に限定されるものではないが、GaN基板100中を吸収されることなく伝播する波長の光、例えばg線又はi線等を露光光として用いた場合、従来と比べてパターン精度を飛躍的に向上させることができる。
【0099】
また、第1の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いるレジスト膜の種類はポジ型であってもよいし又はネガ型であってもよい。
【0100】
また、第1の実施形態において、窒化物半導体基板の材料としてGaNを用いたが、これに限られらず、GaN、InN、AlN又はそれらの混晶よりなるIII 族窒化物半導体を用いてもよい。このとき、これらのIII 族窒化物半導体が基板の主成分となっていれば、基板が他の材料を含んでいてもよい。
【0101】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る半導体基板及びその製造方法、並びにその半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0102】
図7は第2の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【0103】
図7に示すように、第2の実施形態に係る半導体基板は、III 族窒化物半導体層、具体的にはGaN層100(以下、GaN基板100と称することもある)よりなる。また、GaN基板100の表面は(0001)Ga面であり、GaN基板100の裏面は(0001)N面であり、GaN基板100の厚さは例えば300μmである。
【0104】
第2の実施形態に係る半導体基板の特徴は、GaN基板100の裏面に、g線又はi線等の露光光に対して反射防止膜として機能する厚さ200nmの酸化アルミニウム(Al)層104が設けられていることである。ここで、酸化アルミニウム層104は、サファイア等と違って多結晶構造又はアモルファス構造を有している一方、酸化アルミニウム層104の屈折率は1.68であってサファイアと同程度である。また、反射防止膜として機能するとは、GaN基板100の表面から入射した光のGaN基板100の裏面での反射を防止しつつ、該光を反射防止膜中を透過させて反射防止膜の裏面から出射させることを意味する。従って、反射防止膜の光透過率は80%以上であることが好ましい。
【0105】
図7に示す第2の実施形態に係る半導体基板の製造方法は以下の通りである。尚、第2の実施形態に係る半導体基板の製造方法は、図2(a)〜(e)に示す第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法のうち図2(d)に示す工程まではほぼ同様である。
【0106】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、サファイア基板101とシリコン基板102とからなるSOS基板を用意した後、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたMOVPE法によって、図2(b)に示すように、SOS基板のうちのシリコン基板102の上にAlN層103を200nmの厚さ成長させる。その後、塩化ガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたHVPE法を用いて、図2(c)に示すように、AlN層103の上にGaN層100を300μmの厚さ成長させる。その後、図2(d)に示すように、シリコン基板102のみを除去することによって、サファイア基板101と、窒化物半導体基板となるGaN層100つまりGaN基板100とを分離する。ここで、GaN基板100の両面は凹凸のない鏡面であると共に、GaN基板100の裏面にはAlN層103が形成されている。
【0107】
次に、常圧下で水蒸気及び窒素の分圧をそれぞれ10%及び90%にした雰囲気中において、AlN層103を含むGaN基板100に対して600℃、10分間の加熱処理を行なう。これにより、AlN層103が選択的に酸化されて厚さ200nmの酸化アルミニウム層104が形成され、それによって図7に示す第2の実施形態に係る半導体基板が完成する。
【0108】
本件発明者らが、g線を用いた露光により第1の実施形態と同様のラインアンドスペース状のレジストパターンを第2の実施形態に係る半導体基板上に被加工膜を介して形成し、該レジストパターンをマスクとして被加工膜に対してエッチングを行なったところ、パターン化された被加工膜の寸法はほぼ100%所定の範囲内に収まった。このとき、第2の実施形態に係る半導体基板における裏面反射率を調べたところ、0.5%程度以下と非常に低い値になっており、それがパターン形成を良好に行なえた理由であることが推測された。
【0109】
すなわち、第2の実施形態によると、GaN基板100の裏面に反射防止膜として機能する酸化アルミニウム層104が形成されているため、裏面反射率を低減でき、それによって、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光の強度を低減できる。このため、GaN基板100を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、基板表面から入射した露光光が基板裏面で反射してレジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0110】
また、第2の実施形態によると、GaN基板100を形成した時点でGaN基板100の裏面に形成されていたAlN層103を酸化して酸化アルミニウム層104を形成するため、GaN基板100の裏面に新たに反射防止膜を形成する場合と比べて工程を簡単化できると共に、GaN基板100への不純物混入等の問題を防止してGaN基板100の製造歩留まりを向上できる。
【0111】
尚、第2の実施形態において、反射防止膜の材料として酸化アルミニウムを用いたが、これに代えて、SiO又はSiNを用いてもよい。ここで、これらの材料によって、低反射率の反射防止膜を実現するための条件について説明する。まず、反射防止膜の厚さは、反射防止膜中における露光光の波長の1/4波長の奇数倍であることが好ましい。また、反射防止膜の屈折率は、窒化物半導体基板(本実施形態ではGaN基板)の屈折率と異なっていることが好ましく、さらに、その屈折率の差はできる限り大きい方が好ましく、特に反射防止膜の屈折率が窒化物半導体基板の屈折率の9/10程度以下であることが好ましい。例えば、本実施形態においては、反射防止膜となる酸化アルミニウム層104の屈折率は1.68であり、酸化アルミニウム層104の厚さ200nmは、反射防止膜中におけるg線の波長(436nm/1.68)の3/4波長に相当する。また、酸化アルミニウム層104の屈折率(1.68)とGaN基板100の屈折率(2.5程度)との差は比較的大きいので、裏面反射率を13%以下にできる厚さの許容範囲、つまりフォトリソグラフィ工程でのパターン精度を確実に向上できる厚さの許容範囲が比較的広くなる。具体的には、酸化アルミニウム層104の厚さを、酸化アルミニウム層104中における露光光の波長の1/4波長を目標として設定する場合、裏面反射率を13%以下にできる厚さの許容範囲は1/4波長±1/8波長程度になる。これは、g線を用いた露光の場合で言うと、65nm±40nm程度になる。
【0112】
[表1]及び[表2]に、本件発明者らが調べた様々な反射防止膜の特性を、露光光としてそれぞれi線及びg線を用いた場合について示す。但し、いずれの特性も、反射防止膜の厚さを反射防止膜中における露光光の波長の1/4波長を目標として設定すると共に窒化物半導体基板としてGaN基板を用いた場合に得られたものである。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
[表1]及び[表2]に示すように、反射防止膜の屈折率をGaNの屈折率(2.5)よりも小さい2.32以下にしなければ、反射防止膜としての十分な効果が得られない。また、反射防止膜の屈折率がGaNの屈折率よりも小さくなるに従って、反射率(裏面反射率)の低減効果、つまり反射防止効果が大きくなると共に裏面反射率を13%以下にできる厚さの許容範囲が大きくなる。尚、[表1]及び[表2]において、TiO及びZrOよりなる反射防止膜の屈折率が、g線を用いた場合とi線を用いた場合とで異なっているのは、g線及びi線の波長付近でTiO及びZrOの波長分散が大きいことに起因している。
【0116】
また、第2の実施形態において、反射防止膜として、基板となるIII 族窒化物の屈折率と異なる屈折率を有する材料からなる複数の層の積層体を用いてもよい。このとき、該積層体のうち少なくとも2つの層は互いに異なる屈折率を有することが好ましい。
【0117】
また、第2の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いる露光光の種類は特に限定されるものではないが、GaN基板100中を吸収されることなく伝播する波長の光、例えばg線又はi線等を露光光として用いた場合、従来と比べてパターン精度を飛躍的に向上させることができる。
【0118】
また、第2の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いるレジスト膜の種類はポジ型であってもよいし又はネガ型であってもよい。
【0119】
また、第2の実施形態において、窒化物半導体基板の材料としてGaNを用いたが、これに限られらずGaN、InN、AlN又はそれらの混晶よりなるIII 族窒化物半導体を用いてもよい。このとき、これらのIII 族窒化物半導体が基板の主成分となっていれば、基板が他の材料を含んでいてもよい。
【0120】
(第2の実施形態の変形例)
以下、第2の実施形態の変形例に係る半導体基板及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0121】
第2の実施形態の変形例が第2の実施形態と異なっている点は、g線又はi線等の露光光に対する反射防止膜として酸化アルミニウム層に代えて酸化ガリウム(Ga)層を用いることである。
【0122】
図8(a)〜(c)は第2の実施形態の変形例に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。尚、第2の実施形態の変形例に係る半導体基板の製造方法は、図2(a)〜(e)に示す第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法のうち図2(d)に示す工程まではほぼ同様である。
【0123】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、サファイア基板101とシリコン基板102とからなるSOS基板を用意した後、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたMOVPE法によって、図2(b)に示すように、SOS基板のうちのシリコン基板102の上にAlN層103を200nmの厚さ成長させる。その後、塩化ガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたHVPE法を用いて、図2(c)に示すように、AlN層103の上にGaN層100を300μmの厚さ成長させる。その後、図2(d)に示すように、シリコン基板102のみを除去することによって、サファイア基板101と、窒化物半導体基板となるGaN層100つまりGaN基板100とを分離する。
【0124】
次に、図8(a)に示すように、AlN層103を研磨により除去すると共に、GaN基板100の裏面を研磨により鏡面化する。その後、常圧下で酸素及び窒素の分圧をそれぞれ10%及び90%にした雰囲気中において、GaN基板100に対して700℃、10分間の加熱処理を行なう。これにより、図8(b)に示すように、GaN基板100の両面が酸化されて該両面に厚さ70nmの酸化ガリウム層105が形成される。
【0125】
ところで、GaN基板100の両面に酸化ガリウム層105が付着していると、その後のデバイス形成に支障が生じるので、以下の方法によってGaN基板100の表面側の酸化ガリウム層105を除去する。すなわち、両面に酸化ガリウム層105を有するGaN基板100を、例えば図3に示すようなMOVPE装置等の結晶成長装置に導入する。このとき、GaN基板100の裏面をサセプタに密着させてGaN基板100の裏面とサセプタとの間にすき間がないようにし、その状態で水素雰囲気中においてGaN基板100を1000℃に加熱する。これにより、GaN基板100の表面側の酸化ガリウム層105が還元されると共にGaが昇華される結果、GaN基板100の表面にGaN清浄面が露出する。一方、GaN基板100の裏面側の酸化ガリウム層105はサセプタと密着していて水素と接しにくいため、ほとんど還元されないと共に昇華されない。その結果、図8(c)に示すように、裏面に酸化ガリウム層105を有するGaN基板100、つまり第2の実施形態の変形例に係る半導体基板が得られる。
【0126】
第2の実施形態の変形例によると、GaN基板100の裏面に反射防止膜として機能する酸化ガリウム層105が形成されているため、裏面反射率を低減でき、それによって、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光の強度を低減できる。このため、GaN基板100を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、基板表面から入射した露光光が基板裏面で反射してレジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0127】
また、第2の実施形態の変形例によると、GaN基板100を酸化して酸化ガリウム層105を形成するため、GaN基板100の裏面に新たに反射防止膜を形成する場合と比べて工程を簡単化できると共に、GaN基板100への不純物混入等の問題を防止してGaN基板100の製造歩留まりを向上できる。
【0128】
また、第2の実施形態の変形例によると、GaN基板100を用いたデバイス形成の前においてはGaN基板100の表面側にも酸化ガリウム層105を形成しておくことができるため、該酸化ガリウム層105によってGaN基板100の表面を保護することができる。一方、GaN基板100を用いてデバイス形成を行なうときには、結晶成長装置内で基板表面側の酸化ガリウム層105を還元除去してGaN清浄面を露出させることができ、それにより該GaN清浄面上に例えばクラッド層又は活性層等のデバイス構造を順次形成していくことが可能となる。
【0129】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る半導体基板及びその製造方法、並びにその半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0130】
図9は第3の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【0131】
図9に示すように、第3の実施形態に係る半導体基板は、III 族窒化物半導体層、具体的にはGaN層100よりなる。また、GaN層100(以下、GaN基板100と称することもある)の表面は(0001)Ga面であり、GaN基板100の裏面は(0001)N面であり、GaN基板100の厚さは例えば300μmである。
【0132】
第3の実施形態の特徴は、GaN基板100の内部におけるその表面からの深さが50〜80μmの領域に、g線又はi線等の露光光に対してGaNと異なる屈折率を有する材料、例えばSiOからなる複数のSiO粒106aが不連続的に埋め込まれており、複数のSiO粒106aによって光散乱部(基板表面から入射した光を散乱する部分)106が形成されていることである。ここで、各SiO粒106aの形状は特に限定されるものではないが、第3の実施形態においては、各SiO粒106aの直径(GaN基板100の表面に対して平行な断面における直径)は数10μm程度であり、各SiO粒106aの高さ(GaN基板100の表面に対して垂直な方向に沿った長さ)は100nm程度である。
【0133】
図10(a)〜(e)は第3の実施形態に係る半導体基板の製造方法、具体的には図9に示す半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。尚、第3の実施形態に係る半導体基板の製造方法は、図2(a)〜(e)に示す第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法のうち図2(d)に示す工程まではほぼ同様である。
【0134】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、サファイア基板101とシリコン基板102とからなるSOS基板を用意した後、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたMOVPE法によって、図2(b)に示すように、SOS基板のうちのシリコン基板102の上にAlN層103を200nmの厚さ成長させる。その後、塩化ガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたHVPE法を用いて、図2(c)に示すように、AlN層103の上にGaN層100を220μmの厚さ成長させる。このとき、GaN層100の表面は(0001)Ga面である。その後、図2(d)に示すように、シリコン基板102のみを除去することによって、サファイア基板101と、窒化物半導体基板となるGaN層100つまりGaN基板100とを分離する。
【0135】
次に、図10(a)に示すように、AlN層103を研磨により除去すると共に、粒径の非常に小さい研磨剤を用いた研磨によりGaN基板100の裏面を鏡面化する。
【0136】
次に、図10(b)に示すように、GaN基板100上に、アルゴンガスを用いたRF(高周波)スパッタ法により複数のSiO粒106aを堆積する。第3の実施形態においては、SiO粒106aの堆積条件として、ガス圧力を0.2Pa、RF出力を200Wに設定した。ここで、SiO粒106aの堆積条件は使用するスパッタ装置によって異なってくるが、SiO層が均一に堆積されるような条件ではSiO粒を不連続的に堆積しにくいため、可能な限り粒径の大きなSiO粒が堆積されるような条件を用いることが好ましい。RFスパッタ法においては、一般的に、RF出力を高くすることによってスパッタされる粒子の径を大きくすることが好ましい。但し、RF出力を高くすると放電が不安定になる傾向があるので、この場合、ガス圧力を下げることが好ましい。
【0137】
第3の実施形態において重要な点は、図10(b)に示す工程でSiO粒106aの堆積を、SiO粒106aによってGaN基板100が完全に被覆される前に中止することである。ここで、SiO粒106aの堆積を中止するタイミングによってSiO粒106aの配置状態は異なってくる。例えばSiO粒106aによってGaN基板100が完全に被覆される直前にSiO粒106aの堆積を中止すれば、GaN基板100を覆うSiO層が所々開口したような状態が生じる。また、SiO粒106aによるGaN基板100の被覆が進行する前にSiO粒106aの堆積を中止すれば、複数のSiO粒106aが島状にGaN基板100上に散在する状態が生じる。第3の実施形態において、SiO粒106aの配置状態は特に限定されるものではないが、GaN基板100の両面に電極を設けて該基板の厚さ方向に電流を流すようなデバイス等を形成する場合、SiO粒106aによるGaN基板100の被覆面積はできるかぎり小さい方が好ましいことは言うまでもない。
【0138】
次に、SiO粒106aが設けられたGaN基板100を例えばMOVPE装置等のGaN結晶成長装置に導入して、図10(c)に示すように、GaN基板100上にGaN層107をSiO粒106a同士の間が埋まるように成長させる。具体的には、MOVPE装置において、トリメチルガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いると共に水素をキャリアガスとして用いることによって、1000℃の温度下でGaN層107を成長させる。GaN層107の成長条件は、使用する結晶成長法によって異なるが、本実施形態のようにMOVPE法を用いる場合には、結晶成長温度を900℃以上にすると共にV族/III 族原料供給比(アンモニアの1分当たりの供給流量の、トリメチルガリウムの1分当たりの供給流量に対する比)を1000以上にすることによって、III 族原料(Ga)のマイグレーションが活発化するので、SiO粒106a同士の間が埋まるようにGaN層107を成長させることができる。このとき、GaN層107を約10μm程度の厚さまで成長させると、GaN層107の表面が平坦になるが、第3の実施形態においては、GaN層107の表面が完全に平坦になる前にGaN層107の結晶成長を終了させる。
【0139】
次に、図10(d)に示すように、GaN層107の上(既に堆積されているSiO粒106aの上を含む)に、RFスパッタ法を用いて新たにSiO粒106aを堆積する。その後、GaN基板100をGaN結晶成長装置に再度導入して、GaN層107をさらに結晶成長させる。ここで、第3の実施形態においては、GaN層107の厚さが30μm程度に達するまでSiO粒106aの堆積とGaN層107の結晶成長とを繰り返すことにより、具体的には、SiO粒106aを堆積するためのRFスパッタを合計6回行なうことにより、図10(e)に示すように、GaN層107中にSiO粒106aが埋め込まれてなる光散乱部106を形成する。その後、塩化ガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたHVPE法を用いて、GaN層107をさらに50μm程度の厚さ結晶成長させ、これにより図9に示す第3の実施形態に係る半導体基板を完成させる。このとき、GaN層107は最終的に同じ材料からなるGaN基板100と一体化するので、図10(e)においてGaN層107の図示をしていない。
【0140】
尚、第3の実施形態においては、SiO粒106a同士の間をGaN層107によって埋め込むときにGaN層107の表面が完全に平坦になる前にGaN層107の結晶成長を中断させたが、GaN層107の表面が完全に平坦になるようにGaN層107を結晶成長させてSiO粒106a同士の間を埋め込んだ場合には、SiO粒106aが層状に分布することになる。
【0141】
本件発明者らが、g線を用いた露光により第1の実施形態と同様のラインアンドスペース状のレジストパターンを第3の実施形態に係る半導体基板上に被加工膜を介して形成し、該レジストパターンをマスクとして被加工膜に対してエッチングを行なったところ、光散乱部106の透過率を80%以下に設定することによって、パターン化された被加工膜の寸法はほぼ100%所定の範囲内に収まった。これは、基板表面から入射した後に基板裏面で反射して基板表面に戻ってくる光が光散乱部106を2回通過するため、光散乱部106の透過率が80%であると共に基板裏面が鏡面で裏面反射率が20%程度である場合でも、実質的な裏面反射率が20%×80%×80%≒13%となる結果、パターン形成を良好に行なうことができるからである。
【0142】
すなわち、第3の実施形態によると、GaN基板100の内部に光散乱部106が形成されているため、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光の強度を低減できる。このため、GaN基板100を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、基板表面から入射した露光光が基板裏面で反射してレジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0143】
また、第3の実施形態によると、GaN基板100と材料が異なるSiO粒106aをGaN基板100上に部分的に形成した後、SiO粒106aを含むGaN基板100の上に新たに基板の一部となるGaN層(GaN層107)を結晶成長させるため、元のGaN基板100に生じていた欠陥等がこのGaN層に引き継がれることをSiO粒106aによって抑制できる。従って、GaN層107の結晶性を良好にできるので、光散乱部を有する窒化物半導体基板の結晶性を良好にできる。
【0144】
尚、第3の実施形態において、SiO粒106aの堆積とGaN層107の結晶成長とをそれぞれ複数回繰り返し行なったが、g線又はi線等の露光光に対する光散乱部106の透過率が80%以下になりさえすれば、SiO粒106aの堆積とGaN層107の結晶成長とをそれぞれ少なくとも1回行なえばよい。また、光散乱部106の透過率はSiO粒106aの形状又は密度等により複雑に変化するため、該形状又は密度等を光散乱部106が所望の透過率を有するように理論的に決定することは難しい。従って、光散乱部106の所望の透過率を実現できる、SiO粒106aの堆積回数又はGaN基板100におけるSiO粒106aを埋め込む領域の厚さ等を実験的に求めることが好ましい。
【0145】
また、第3の実施形態において、RFスパッタ法により自然に形成されるSiO粒106aを光散乱部106として用いたが、光散乱部の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、GaN基板の上に全面に亘ってSiO層を形成した後、SiO層の上にマスクパターンを部分的に形成して該マスクパターンを用いてSiO層に対してエッチングを行なうことにより、SiO層におけるマスクパターンによって覆われていない部分を除去して、パターン化されたSiO層よりなる光散乱部を形成し、その後、マスクパターンを除去してもよい。光散乱部としてSiO粒を用いる場合には、SiO粒の直径は露光光の波長の1/10程度以上であることが好ましい。また、光散乱部として、パターン化されたSiO層を用いる場合には、該SiO層における基板表面に対して平行な方向に沿った幅、又は該SiO層の厚さは露光光の波長の1/10程度以上であることが好ましい。また、光散乱部としてSiO粒を用いる場合でも、パターン化されたSiO層を用いる場合でも、光散乱部の厚さは露光光の波長の1/10程度以上であることが好ましい。
【0146】
また、第3の実施形態において、光散乱部の材料としてSiOを用いたが、光散乱部の材料は、その上にGaN層を結晶成長させることができ且つ屈折率がGaNと異なる材料であれば特に限定されるものではなく、SiO以外に例えばSi、SiN又はAl等を用いてもよい。また、光散乱部は単独の材料よりなる粒や層である必然性はなく、その上にGaN層を結晶成長させることができ且つ屈折率がGaNと異なる複数の材料のそれぞれよりなる粒や層が組み合わされたり、積層されたりしたものであってもよい。或いは、前述のような少なくとも1つ以上の材料よりなる粒や層と空孔等とを組み合わせたものであってもよい。
【0147】
また、第3の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いる露光光の種類は特に限定されるものではないが、GaN基板100中を吸収されることなく伝播する波長の光、例えばg線又はi線等を露光光として用いた場合、従来と比べてパターン精度を飛躍的に向上させることができる。
【0148】
また、第3の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いるレジスト膜の種類はポジ型であってもよいし又はネガ型であってもよい。
【0149】
また、第3の実施形態において、窒化物半導体基板の材料としてGaNを用いたが、これに限られらずGaN、InN、AlN又はそれらの混晶よりなるIII 族窒化物半導体を用いてもよい。このとき、これらのIII 族窒化物半導体が基板の主成分となっていれば、基板が他の材料を含んでいてもよい。
【0150】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係る半導体基板及びその製造方法、並びにその半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0151】
図11は第4の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【0152】
図11に示すように、第4の実施形態に係る半導体基板は、基板表面側の厚さ200μmのGaN層100と基板裏面側の厚さ15μmのAl0.1Ga0.9N層108とから構成される。また、GaN層100の裏面、つまりGaN層100とAl0.1Ga0.9N層108との界面が、凹凸100aを有する粗面となっている。すなわち、第4の実施形態に係る半導体基板は、図1に示す第1の実施形態に係る半導体基板(GaN基板100)における凹凸100aが形成された裏面にAl0.1Ga0.9N層108が形成された構造を有している。また、本実施形態の半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程で用いられる露光光の波長をλとすると、凹凸100aはλ/10程度以上の段差を有することが好ましい。
【0153】
図11に示す第4の実施形態に係る半導体基板の製造方法は以下の通りである。尚、第4の実施形態に係る半導体基板の製造方法は、図2(a)〜(e)に示す第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法のうち図2(e)に示す工程まではほぼ同様である。
【0154】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、厚さ300μmのサファイア基板101と厚さ80μmのシリコン基板102とからなるSOS基板を用意した後、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたMOVPE法によって、図2(b)に示すように、SOS基板のうちのシリコン基板102の上にAlN層103を1000℃の温度下で200nmの厚さ成長させる。その後、塩化ガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたHVPE法を用いて、図2(c)に示すように、AlN層103の上にGaN層100を250μmの厚さ成長させる。その後、フッ酸と硝酸との混合液を用いた処理により、図2(d)に示すように、シリコン基板102のみを除去することによって、サファイア基板101と、窒化物半導体基板となるGaN層100つまりGaN基板100とを分離する。次に、図2(e)に示すように、例えば粒径10〜50μmの研磨剤を用いてGaN基板100の厚さが最終的に200μm程度になるまでGaN基板100の裏面を研磨することによって、AlN層103を除去すると共に、GaN基板100の裏面に凹凸100aを形成して該裏面を粗面化する。これにより、図1に示すGaN基板100が得られる。
【0155】
次に、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたMOVPE法により、凹凸100aが形成されたGaN基板100の裏面に、1000℃の温度下でAl0.1Ga0.9N層108を15μmの厚さ成長させる。これにより、図11に示す第4の実施形態に係る半導体基板が得られる。また、GaN基板100の裏面の凹凸100aはAl0.1 Ga0.9 N層108によって埋め込まれ、それによりAl0.1 Ga0.9 N層108を含むGaN基板100の裏面(以下、単に基板裏面と称することもある)が平坦化される。
【0156】
ここで、基板裏面については必ずしも平坦化する必要はない。但し、第4の実施形態では、基板裏面が光散乱を起こさない状態において凹凸100aによる光散乱効果(第1の実施形態参照)を見極めるため、基板裏面が平坦化される条件下でAl0.1 Ga0.9 N層108を結晶成長させる。基板裏面の平坦化を実現できるAl0.1 Ga0.9 N層108の結晶成長条件は、使用する結晶成長法によって異なるが、本実施形態のようにMOVPE法を用いる場合には、結晶成長温度を900℃以上にすると共にV族/III 族原料供給比(アンモニアの1分当たりの供給流量の、トリメチルアルミニウム又はトリメチルガリウムの1分当たりの供給流量に対する比)を1000以上にすることによって、III 族原料(Ga又はAl)のマイグレーションが活発化するので、凹凸100aをAl0.1 Ga0.9 N層108によって埋め込んで基板裏面を平坦化することができる。
【0157】
本件発明者らが、g線を用いた露光により第1の実施形態と同様のラインアンドスペース状のレジストパターンを第4の実施形態に係る半導体基板上に被加工膜を介して形成し、該レジストパターンをマスクとして被加工膜に対してエッチングを行なったところ、凹凸100aつまり光散乱部の露光光に対する透過率を80%以下に設定することによって、パターン化された被加工膜の寸法はほぼ100%所定の範囲内に収まった。これは、基板表面から入射した後に基板裏面で反射して基板表面に戻ってくる光が光散乱部を2回通過するため、該光散乱部の透過率が80%であると共に基板裏面が鏡面で裏面反射率が20%程度である場合でも、実質的な裏面反射率が20%×80%×80%≒13%となる結果、パターン形成を良好に行なうことができるからである。
【0158】
すなわち、第4の実施形態によると、GaN層100とAl0.1Ga0.9N層108との界面に設けられた凹凸100aが光散乱部として機能するため、基板表面からの入射光が基板裏面で反射して生じる反射光の強度を低減できる。このため、本実施形態の半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、基板表面から入射した露光光が基板裏面で反射してレジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0159】
また、第4の実施形態によると、凹凸100aが設けられて粗面化されたGaN基板100の裏面をAl0.1Ga0.9N層108によって平坦化することができるので、半導体装置の製造工程を簡単化できる。
【0160】
また、第4の実施形態によると、凹凸100aが設けられたGaN基板100の裏面に、III 族窒化物半導体層であるAl0.1Ga0.9N層108を結晶成長させるため、凹凸100aのうちの凸部上に形成されるAl0.1Ga0.9N層108の結晶性を良好にできるので、光散乱部を有する窒化物半導体基板の結晶性を良好にできる。
【0161】
尚、第4の実施形態において、凹凸100aが設けられたGaN基板100の裏面にAl0.1Ga0.9N層108を形成したが、Al0.1Ga0.9N層108に代えて、GaN基板100と異なる屈折率を有する他の材料層(窒化物半導体層でなくてもよい)を形成しても、凹凸100aによる光散乱効果を実現することができる。このとき、凹凸100aが設けられたGaN基板100の裏面に、反射防止膜(第2の実施形態又はその変形例参照)として機能する材料層を設けた場合には、反射光の強度をより一層低減できる。ところで、第4の実施形態では凹凸100aを埋め込むためにAl0.1 Ga0.9 N層108の厚さ(15μm)を、g線又はi線等の露光光の波長と比べて非常に厚くしているので、Al0.1 Ga0.9 N層108は反射防止膜としてはほとんど機能しない。従って、第4の実施形態における反射光は、Al0.1Ga0.9N層108と空気との界面(反射率21%程度)で反射した光と、GaN基板100とAl0.1Ga0.9N層108との界面(反射率は凹凸100aの形状又は密度によって変化する)で反射した光との重ね合わせになる。すなわち、第4の実施形態では、GaN基板100とAl0.1Ga0.9N層108との界面つまり凹凸100aによって散乱された光が、Al0.1Ga0.9N層108と空気との界面で反射されて最終的にGaN基板100の表面に戻ってくる可能性がある。前述のように、g線を用いた露光により第1の実施形態と同様のラインアンドスペース状(ライン部及びスペース部の幅が2μm)のレジストパターンを形成したときには、パターン形成を良好に行なえたが、これは、フォトマスクにおける開口部の占有面積が50%程度であったからと考えられる。つまり、第4の実施形態では、フォトマスクにおける開口部の占有面積が大きくなるに従って、凹凸100aによって散乱された後にAl0.1 Ga0.9 N層108と空気との界面で反射されてレジスト膜を裏側から露光する光の影響を無視できなくなると考えられる。
【0162】
また、第4の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いる露光光の種類は特に限定されるものではないが、GaN基板100中を吸収されることなく伝播する波長の光、例えばg線又はi線等を露光光として用いた場合、従来と比べてパターン精度を飛躍的に向上させることができる。
【0163】
また、第4の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いるレジスト膜の種類はポジ型であってもよいし又はネガ型であってもよい。
【0164】
また、第4の実施形態において、窒化物半導体基板の材料としてGaNを用いたが、これに限られらずGaN、InN、AlN又はそれらの混晶よりなるIII 族窒化物半導体を用いてもよい。このとき、これらのIII 族窒化物半導体が基板の主成分となっていれば、基板が他の材料を含んでいてもよい。
【0165】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態に係る半導体基板及びその製造方法、並びにその半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0166】
図12は第5の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【0167】
図12に示すように、第5の実施形態に係る半導体基板は、III 族窒化物半導体層、具体的にはGaN層100よりなる。また、GaN層100(以下、GaN基板100と称することもある)の表面は(0001)Ga面であり、GaN基板100の裏面は(0001)N面であり、GaN基板100の厚さは例えば300μmである。
【0168】
第5の実施形態の特徴は、GaN基板100の内部におけるその表面からの深さが80μm程度の領域及び75μm程度の領域にそれぞれ、g線又はi線等の露光光に対してGaNよりも大きな吸収係数を有する材料、例えばSiからなる複数のSi層109aが不連続的に埋め込まれており、複数のSi層109aによって光吸収部(基板表面から入射した光を吸収する部分)109が形成されていることである。ここで、各Si層109aの幅(基板表面に対して平行な方向に沿った幅)、及び各Si層109a同士の間隔はそれぞれ1μm程度である。すなわち、各Si層109aは周期ストライプ状に配置されている。また、各Si層109aの高さ(基板表面に対して垂直な方向に沿った高さ)は100nm程度である。また、GaN基板100の内部におけるその表面からの深さが80μm程度の領域(つまり第1層目)のSi層109aと、GaN基板100の内部におけるその表面からの深さが75μm程度の領域(つまり第2層目)のSi層109aとは、基板表面に対して平行な方向に沿って1μm程度ずらして配置されている。
【0169】
図13(a)〜(e)及び図14(a)〜(c)は第5の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。尚、第5の実施形態に係る半導体基板の製造方法は、図2(a)〜(e)に示す第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法のうち図2(d)に示す工程まではほぼ同様である。
【0170】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、サファイア基板101とシリコン基板102とからなるSOS基板を用意した後、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたMOVPE法によって、図2(b)に示すように、SOS基板のうちのシリコン基板102の上にAlN層103を200nmの厚さ成長させる。その後、塩化ガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたHVPE法を用いて、図2(c)に示すように、AlN層103の上にGaN層100を220μmの厚さ成長させる。このとき、GaN層100の表面は(0001)Ga面である。その後、図2(d)に示すように、シリコン基板102のみを除去することによって、サファイア基板101と、窒化物半導体基板となるGaN層100つまりGaN基板100とを分離する。
【0171】
次に、図13(a)に示すように、AlN層103を研磨により除去すると共に、粒径の非常に小さい研磨剤を用いた研磨によりGaN基板100の裏面を鏡面化する。
【0172】
次に、図13(b)に示すように、GaN基板100上に厚さ100nmの第1のSi層110をRFスパッタ法により堆積した後、図13(c)に示すように、第1のSi層110の上に、周期的に配列された開口部を有する第1のレジストパターン111をフォトリソグラフィにより形成する。
【0173】
次に、図13(d)に示すように、第1のレジストパターン111をマスクとして第1のSi層110に対して、フッ硝酸を用いたウエットエッチングを行なって、第1のSi層110を周期ストライプ状にパターン化した後、図13(e)に示すように、有機溶剤を用いて第1のレジストパターン111を除去する。
【0174】
次に、GaN基板100を例えばMOVPE装置等のGaN結晶成長装置に導入して、図14(a)に示すように、GaN基板100上に第1のGaN層112を第1のSi層110が埋まるように成長させる。具体的には、MOVPE装置において、トリメチルガリウム及びアンモニアを原料ガスとして用いると共に水素をキャリアガスとして用いることによって、1000℃の温度下で第1のGaN層112を成長させる。第1のGaN層112の成長条件は、使用する結晶成長法によって異なるが、本実施形態のようにMOVPE法を用いる場合には、結晶成長温度を900℃以上にすると共にV族/III 族原料供給比(アンモニアの1分当たりの供給流量の、トリメチルガリウムの1分当たりの供給流量に対する比)を1000以上にすることによって、III 族原料(Ga)のマイグレーションが活発化するので、第1のSi層110が埋まるように第1のGaN層112を成長させることができる。
【0175】
次に、図14(b)に示すように、第1のGaN層112上に厚さ100nmの第2のSi層113をRFスパッタ法により堆積した後、図13(c)に示す工程と同様に、第2のSi層113の上に第2のレジストパターン(図示省略)を形成する。その後、図13(d)に示す工程と同様に、第2のレジストパターンをマスクとして第2のSi層113に対してエッチングを行なって、図14(b)に示すように、第2のSi層113を周期ストライプ状にパターン化した後、第2のレジストパターンを除去する。尚、第1のSi層110と第2のSi層113とはそれぞれ互いに所定の間隔だけずらしてパターン化される。
【0176】
次に、GaN基板100を例えばMOVPE装置等のGaN結晶成長装置に再び導入して、図14(c)に示すように、第1のGaN層112上に第2のGaN層114を第2のSi層113が埋まるように成長させる。このとき、第2のGaN層114の成長条件は第1のGaN層112の成長条件と同様である。また、第1のGaN層112及び第2のGaN層114は最終的に同じ材料からなるGaN基板100と一体化する。これにより、第1のGaN層112及び第2のGaN層114を含むGaN基板100の内部に、パターン化された第1のSi層110及び第2のSi層113(つまり図12に示す複数のSi層109a)から構成される光吸収部109が形成される。
【0177】
本件発明者らが、g線を用いた露光により第1の実施形態と同様のラインアンドスペース状のレジストパターンを第5の実施形態に係る半導体基板上に被加工膜を介して形成し、該レジストパターンをマスクとして被加工膜に対してエッチングを行なったところ、光吸収部109の透過率を80%以下に設定することによって、パターン化された被加工膜の寸法はほぼ100%所定の範囲内に収まった。これは、基板表面から入射した後に基板裏面で反射して基板表面に戻ってくる光が光吸収部109を2回通過するため、光吸収部109の透過率が80%であると共に基板裏面が鏡面で裏面反射率が20%程度である場合でも、実質的な裏面反射率が20%×80%×80%≒13%となる結果、パターン形成を良好に行なうことができるからである。
【0178】
すなわち、第5の実施形態によると、GaN基板100の内部に光吸収部109が形成されているため、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光の強度を低減できる。このため、GaN基板100を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、基板表面から入射した露光光が基板裏面で反射してレジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0179】
また、第5の実施形態によると、GaN基板100と材料が異なるSi層109aをGaN基板100上に部分的に形成した後、Si層109aを含むGaN基板100の上に新たに基板の一部となるGaN層(第1のGaN層112及び第2のGaN層114)を結晶成長させるため、元のGaN基板100に生じていた欠陥等がこのGaN層に引き継がれることをSi層109aによって抑制できる。従って、新たに成長させるGaN層の結晶性を良好にできるので、光吸収部を有する窒化物半導体基板の結晶性を良好にできる。
【0180】
また、第5の実施形態によると、光吸収部109を構成するSi層109が基板表面に対して平行な方向に沿って不均一に分布しているため、光吸収部109によって光が吸収されるだけではなく、光吸収部109によって光が散乱されるので、反射光の強度をより一層低減できる。
【0181】
また、第5の実施形態によると、光吸収部109を構成するSi層109aが導電性であるため、光吸収部を設けることによって窒化物半導体基板の抵抗率が低下することがない。
【0182】
尚、第5の実施形態において、光吸収部の材料としてSiを用いたが、光吸収部の材料は、その上にGaN層を結晶成長させることができ且つ光吸収係数がGaNよりも大きな材料であれば特に限定されるものではい。但し、光吸収部の材料としては、前述のように導電性を有している材料がより好ましい。このような材料としては、Si以外にW(タングステン)を挙げることができる。タングステンは金属であるが、CVD法等により堆積されたタングステンは光沢が少なく且つ光吸収性を有しており、光吸収部の材料として有力である。また、光吸収部は単独の材料よりなる粒や層である必然性はなく、その上にGaN層を結晶成長させることができ且つ光吸収係数がGaNよりも大きい複数の材料のそれぞれよりなる粒や層が組み合わされたり、積層されたりしたものであってもよい。或いは、前述のような少なくとも1つ以上の材料よりなる粒や層と空孔等とを組み合わせたものであってもよい。
【0183】
ところで、本実施形態の光吸収部の材料として用いたSiによる吸収係数は、Si層の堆積方法、膜質又は含有不純物等によって大きく変化する。但し、Si層の厚さが300〜500nmあればその吸収係数は約10/cm以上のオーダーに達する。また、Si層の厚さが100nmあれば、該Si層を透過する光の強度は少なくとも1/e(e:自然対数の底)にまで低減されるので、堆積方法等によらずSi層の透過率を80%以下にでき、該Si層が光吸収部として十分に機能する。それに対して、Si層の厚さが100nm未満、特に50nm未満になると、Si層の膜質によっては透過率が80%以上になって光吸収部としての機能が不十分になる可能性がある。
【0184】
また、第5の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いる露光光の種類は特に限定されるものではないが、GaN基板100中を吸収されることなく伝播する波長の光、例えばg線又はi線等を露光光として用いた場合、従来と比べてパターン精度を飛躍的に向上させることができる。
【0185】
また、第5の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いるレジスト膜の種類はポジ型であってもよいし又はネガ型であってもよい。
【0186】
また、第5の実施形態において、窒化物半導体基板の材料としてGaNを用いたが、これに限られらずGaN、InN、AlN又はそれらの混晶よりなるIII 族窒化物半導体を用いてもよい。このとき、これらのIII 族窒化物半導体が基板の主成分となっていれば、基板が他の材料を含んでいてもよい。
【0187】
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態に係る半導体基板及びその製造方法、並びにその半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0188】
図15は第6の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【0189】
図15に示すように、第6の実施形態に係る半導体基板は、III 族窒化物半導体層、具体的にはGaN層200よりなる。また、GaN層200(以下、GaN基板200と称することもある)の表面は(0001)Ga面であり、GaN基板200の裏面は(0001)N面であり、GaN基板200の厚さは例えば300μmである。
【0190】
第6の実施形態の特徴は、g線又はi線等の露光光を吸収する準位を生じるように不純物、例えばAs(ヒ素)がGaN基板200における裏面から厚さ150μmに亘る領域に導入されてなる光吸収部201が形成されていることである。
【0191】
図16(a)〜(f)は、図15に示す第6の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0192】
まず、図16(a)に示すように、厚さ300μmのサファイア基板202と厚さ80μmのシリコン基板203とからなるSOS基板を用意する。
【0193】
次に、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを原料ガスとして用いたMOVPE法によって、図16(b)に示すように、SOS基板のうちのシリコン基板203の上に、1000℃の温度下でAlN層204を200nmの厚さ成長させる。
【0194】
次に、HClガスとGaとを800℃の温度下で反応させることにより得られる塩化ガリウム、及びアンモニアを原料ガスとして用いたHVPE法を用いて、図16(c)に示すように、AlN層204の上に、1000℃の温度下でGaN層201を150μmの厚さ成長させる。このとき、例えばアンモニアの供給流量の0.1%の供給流量で、アルシン等のAsを構成元素とするガスを結晶成長装置内に導入することによって、Asが導入されたGaN層201、つまり光吸収部201を形成できる。尚、アルシン等のガスを導入する代わりに、結晶成長装置内におけるHClガスとGaとを反応させる領域付近にGaAs結晶を設置することによっても、GaN層にAsを導入でき、それにより光吸収部201を形成できる。
【0195】
次に、アルシンの供給のみを停止して前述のHVPE法による結晶成長を継続して行なうことにより、図16(d)に示すように、光吸収部201の上に1000℃の温度下でGaN層200を150μmの厚さ成長させる。
【0196】
次に、フッ酸と硝酸との混合液を用いた処理により、図16(e)に示すように、シリコン基板203のみを除去することによって、サファイア基板202と、窒化物半導体基板となる、光吸収部201を含むGaN基板200とを分離する。ここで、GaN基板200の裏面にはAlN層204が形成されている。
【0197】
次に、図16(f)に示すように、粒径の非常に小さい研磨剤を用いた研磨により、AlN層204を除去すると共にGaN基板200の裏面を鏡面化する。
【0198】
本件発明者らが、g線を用いた露光により第1の実施形態と同様のラインアンドスペース状のレジストパターンを第6の実施形態に係る半導体基板上に被加工膜を介して形成し、該レジストパターンをマスクとして被加工膜に対してエッチングを行なったところ、光吸収部201の透過率を80%以下に設定することによって、パターン化された被加工膜の寸法はほぼ100%所定の範囲内に収まった。これは、基板表面から入射した後に基板裏面で反射して基板表面に戻ってくる光が光吸収部201を2回通過するため、光吸収部201の透過率が80%であると共に基板裏面が鏡面で裏面反射率が20%程度である場合でも、実質的な裏面反射率が20%×80%×80%≒13%となる結果、パターン形成を良好に行なうことができるからである。
【0199】
すなわち、第6の実施形態によると、GaN基板200における裏面側の領域に光吸収部201が形成されているため、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光の強度を低減できる。このため、GaN基板200を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、基板表面から入射した露光光が基板裏面で反射してレジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0200】
また、第6の実施形態によると、GaN基板200となるGaN層に不純物を注入して光吸収部201を形成するため、光吸収部を有する窒化物半導体基板の結晶性の低下を防止できる。
【0201】
以下、光吸収部201の透過率を80%以下にするために必要な要件について説明する。
【0202】
一般的に、半導体に特定の種類の不純物を導入すると光吸収性が生じる。ここで、半導体基板の主面に垂直な方向をz方向とし、且つ半導体基板内の位置zにおける光吸収係数をα(z)とし、且つ、該位置zにおける光強度をI(z)すると、光強度I(z)の光の減衰量と光吸収係数との関係から、下記(式1)が成立する。
【0203】
【数1】

【0204】
また、半導体基板における不純物が導入されている領域、つまり光吸収部が位置z1から位置z2まで分布しており、光吸収部の厚さ(z2−z1)がz0であり、光吸収部に入射した時点での光の強度がIであり、且つ、光吸収部を透過した時点での光の強度がIであるとすると、下記(式2)が成立する。
【0205】
【数2】

【0206】
ここで、下記(式3)
【0207】
【数3】

【0208】
は、位置z1から位置z2までの光吸収係数α(z)の平均であるので、これをαとおくと、結局、下記(式4)が成立する。
【0209】
【数4】

【0210】
ここで、透過率I/Iが80%以下という条件から(式4)を用いて光吸収部の厚さz0の範囲を求めると、下記(式5)が得られる。
【0211】
【数5】

【0212】
すなわち、0.223/αが、光吸収部201の透過率を80%以下にするために最低限必要な光吸収部201の厚さである。
【0213】
一方、光吸収部201における不純物密度に関しては、該不純物密度が高ければαが大きくなって光吸収部201つまり不純物層の厚さを薄くできるので好ましいが、不純物密度を高くしすぎると基板中の結晶の格子定数にずれを生じて、基板の結晶性が悪化する要因となってしまう。従って、光吸収部201を形成するための不純物がAsである場合、その不純物密度は1×1013cm−3程度から1×1020cm−3程度までの範囲であることが好ましい。
【0214】
尚、第6の実施形態においては、光吸収部201を形成するための不純物としてAsを用いたが、該不純物は、GaN層に導入されたときに露光光を吸収する準位を生じる材料であれば特に限定されるものではなく、例えばC(炭素)、O(酸素)、Si、S(硫黄)、Cl(塩素)又はP(リン)等をAsに代えて用いることができる。光吸収部201を形成するための不純物としてC、O、Si、S、Cl又はPを用いる場合も、その不純物密度はAsと同様に1×1013cm−3程度から1×1020cm−3程度までの範囲であることが好ましい。また、GaN層にCを導入する場合、GaN層の結晶成長時に例えばCH等のC含有ガスを用いればよい。また、GaN層にOを導入する場合、GaN層の結晶成長時に例えばNO等のO含有ガスを用いればよい。また、GaN層にSiを導入する場合、GaN層の結晶成長時に例えばSiH等のSi含有ガスを用いればよい。また、GaN層にSを導入する場合、GaN層の結晶成長時に例えばSF等のS含有ガスを用いればよい。また、GaN層にClを導入する場合、GaN層の結晶成長時に例えばV族/III 族原料供給比(アンモニアの1分当たりの供給流量の、塩化ガリウムの1分当たりの供給流量に対する比)を100以下にし、それによってGaNの窒素サイトにClを入れやすくすればよい。また、GaN層にPを導入する場合、GaN層の結晶成長時に例えばフォスフィンをアンモニアと混ぜて用いればよい。さらに、以上に述べた、C、O、Si、S、Cl、P又はAs等を、使用するガスを適切に選択してGaN層に不純物として導入することによって、結晶成長装置内に汚染等が発生することを防止できる。
【0215】
また、第6の実施形態において、GaN基板200における裏面側の領域に光吸収部201を設けたが、光吸収部の厚さz0が前述の(式5)を満たしていれば、基板全体に不純物が導入されて基板全体が光吸収部となっていてもよい。
【0216】
また、第6の実施形態において、GaN基板200における裏面側の領域に光吸収部201を均一に設けたが、これに代えて、光吸収部を基板表面に対して平行な方向に沿って不均一に分布させてもよい。このようにすると、光吸収部によって光が吸収されるだけではなく、光吸収部によって光が散乱されるので、反射光の強度をより一層低減できる。また、このとき、GaN基板200におけるレジスト膜の所定の露光領域の下側の部分のみに不純物を導入することによって、次のような効果が得られる。すなわち、例えばリッジ型レーザ装置を作製するときのように、基板上の活性層付近をレジストパターンで覆いながらデバイスを形成する場合、基板における活性層付近の下側の部分には不純物を導入せず、それにより基板から活性層付近に拡散する不純物を少なくすることによって、該不純物による光吸収に起因する動作電流の増大等を防止できる。一方、基板上の活性層以外の他の半導体層に対しては、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度向上効果によってパターンニングを歩留まりよく行なうことができる。ここで、光吸収部が不均一に分布するように不純物をGaN基板にドーピングする方法としては、例えばイオンビームを用いて不純物をイオン注入する方法、又は基板形成のための窒化物半導体層の成長において選択成長と埋め込み成長とを組み合わせて用いる方法等がある。後者の方法においては、不純物をドーピングしたくない領域をマスクで覆って不純物をドーピングしながら窒化物半導体層の選択成長を行なった後に、不純物をドーピングをせずに窒化物半導体層の埋め込み成長を行なう。
【0217】
また、第6の実施形態において、GaN層に不純物を導入することによってGaN層に光吸収性を与えたが、これに代えて、GaN層に点欠陥を形成することによってGaN層に光吸収性を与えてもよい。このとき、例えばGaN層にプロトン等を注入することによってGaN層に点欠陥を形成することができる。
【0218】
また、第6の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いる露光光の種類は特に限定されるものではないが、GaN基板200中を吸収されることなく伝播する波長の光、例えばg線又はi線等を露光光として用いた場合、従来と比べてパターン精度を飛躍的に向上させることができる。
【0219】
また、第6の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いるレジスト膜の種類はポジ型であってもよいし又はネガ型であってもよい。
【0220】
また、第6の実施形態において、窒化物半導体基板の材料としてGaNを用いたが、これに限られらずGaN、InN、AlN又はそれらの混晶よりなるIII 族窒化物半導体を用いてもよい。このとき、これらのIII 族窒化物半導体が基板の主成分となっていれば、基板が他の材料を含んでいてもよい。
【0221】
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態に係る半導体基板及びその製造方法、並びにその半導体基板を用いた半導体装置及びその半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0222】
図17は第7の実施形態に係る半導体基板の断面図である。
【0223】
図17に示すように、第7の実施形態に係る半導体基板は、III 族窒化物半導体層、具体的にはGaN層300よりなる。また、GaN層300(以下、GaN基板300と称することもある)の厚さは例えば250μmであり、その両面は鏡面化されている。
【0224】
第7の実施形態の特徴は、g線又はi線等の露光光を吸収する準位を生じるように不純物、例えばAsがGaN基板300の表面部に導入されてなる複数の光吸収部(基板表面から入射した光を吸収する部分)301がストライプ状に形成されていることである。各光吸収部301の幅(基板表面に対して平行な方向に沿った幅)は310μm程度であり、各光吸収部301同士の間隔は10μm程度である。
【0225】
図18(a)〜(e)は、図17に示す第7の実施形態に係る半導体基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0226】
まず、図18(a)に示すように、露光光の波長λの1/10程度以上の段差を有する凹凸300aが裏面に設けられた、厚さ300μmのGaN基板300を用意する。GaN基板300は、第1の実施形態に係る半導体基板の製造方法を用いて作製することができる。
【0227】
次に、図18(b)に示すように、GaN基板300の表面の上に、SiOよりなる複数のハードマスク302をフォトリソグラフィにより形成する。ここで、各ハードマスク302の幅は300μmであり、各ハードマスク302同士の間隔は20μmである。ハードマスク302を形成するためのフォトリソグラフィ工程においては、GaN基板300の裏面の凹凸300aが光散乱部として機能するため(第1の実施形態参照)、ハードマスク302のパターン精度が向上する。
【0228】
次に、図18(c)に示すように、ハードマスク302を用いてGaN基板300の表面部にAsを導入することにより、複数の光吸収部301をストライプ状に形成する。
【0229】
ここで、GaN基板300へのAs注入の方法は特に限定されないが、以下、図19を参照しながら、第7の実施形態に係る半導体基板の製造方法におけるGaN基板へのAs注入方法の一例を説明する。図19に示すように、ハードマスク302が設けられたGaN基板300の表面上にGaAs層303を形成した後、GaN基板300を、石英等よりなる反応管350内のサセプタ351上に設置する。その後、反応管350のガス導入口350aからアンモニアを供給すると共に、反応管350の外側に設けられた加熱手段352によって、サセプタ351付近のアンモニアを1000℃程度に加熱する。これにより、GaAs層303中のAsがGaN基板300の表面部に拡散して光吸収部301が形成される。使用済みのアンモニアは反応管350のガス排出口350bから排出される。尚、サセプタ351は例えばグラファイト等よりなる。また、加熱手段352としては管状抵抗線ヒーター等が用いられる。
【0230】
図19に示すAs注入工程をアンモニア雰囲気中で行なっているのは、アンモニアが分解して生じる窒素によって、GaN基板300の裏面(粗面)側から窒素が抜け出してしまうことを防止できるからである。従って、アンモニアに代えて、窒素原子を有する他のガスの雰囲気中でAs注入を行なってもよい。
【0231】
また、GaN基板300上に形成されるGaAs層303は単結晶である必要はないので、GaAs層303をスパッタ法によって形成してもよい。また、GaAs層303に代えて、As層又はAsを含む化合物層を形成してもよい。
【0232】
また、GaN基板300中にAsを拡散させる温度を1000℃よりも低くしてもよいが、この場合、Asの拡散速度が低下するので、所望の光吸収部301の分布形状つまりAsの拡散プロファイルを得るためには、Asの拡散時間を長くする必要がある。但し、数時間から数十時間程度の実用的な拡散時間で、光吸収部301の光透過率が十分に低下するようにAsを拡散させようとすると、Asの拡散温度を700℃以上に設定することが好ましい。
【0233】
図19に示すAs注入工程によって得られた各光吸収部301の幅は、Asの拡散のために各ハードマスク302の幅よりも拡がって310μmになる。従って、各光吸収部301同士の間隔は10μmになる。尚、各光吸収部301の厚さは5μm程度である。
【0234】
次に、図18(d)に示すように、フッ酸等を用いたウエットエッチングによりハードマスク302を除去した後、凹凸300aを有するGaN基板300の裏面を研磨して、図18(e)に示すように、該裏面を鏡面化する。
【0235】
このようにして得られた、光吸収部301を有するGaN基板300は、それを用いた窒化物半導体装置を製造するときに、例えば動作電流の低い高性能なリッジ型レーザ装置等を歩留まり良く作製できるという特徴を有する。
【0236】
以下、第7の実施形態に係る半導体基板を用いた半導体装置、具体的にはリッジ型レーザ装置の製造方法について、図20(a)〜(d)及び図21(a)〜(d)を参照しながら説明する。
【0237】
まず、図20(a)に示すように、光吸収部301を有するGaN基板300(図17参照)を用意する。尚、以下、GaN基板300における一対の光吸収部301によって挟まれた領域(つまりリッジ構造形成領域)、及びその近傍部分のみを図示しながら説明する。
【0238】
次に、図20(b)に示すように、GaN基板300上に、厚さ1μmのn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層310、厚さ30nmのIn0.2Ga0.8N井戸層と厚さ50nmのIn0.02Ga0.98N障壁層とからなる量子井戸活性層311、厚さ2μmのp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層312を順次形成する。これらの各窒化物半導体層の形成には例えばMOVPE法を用いることができる。尚、例えばMOVPE法によって1000℃程度の温度下で各窒化物半導体層を成長させた場合、光吸収部301中のAsがさらに拡散する結果、図20(b)に示すように、光吸収部301の分布領域が拡大する。これにより、例えばGaN基板300とn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層310との界面付近においては、光吸収部301同士の間隔は2〜3μm程度になり、量子井戸活性層311付近においては、光吸収部301同士の間隔は5μm程度になる。
【0239】
次に、図20(c)に示すように、p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層312の上に、ポジ型のレジスト膜313を形成した後、図20(d)に示すように、幅3μm程度のリッジ構造形成領域(光吸収部301同士に挟まれた領域)を覆うフォトマスク360を介してレジスト膜313にg線を露光光として照射する。このとき、GaN基板300(各窒化物半導体層を含む)におけるフォトマスク360によって覆われていない領域には光吸収部301が存在するために、露光時にGaN基板300の裏面からの反射光の強度が低減される。その結果、露光光がフォトマスク360の周辺でフォトマスク360の内側に回折した後にGaN基板300の裏面で反射し、それによりレジスト膜313におけるフォトマスク360の下側の部分が露光されてしまう事態を防止できる。
【0240】
次に、図21(a)に示すように、レジスト膜313を現像してレジスト膜313における露光光が照射された部分を除去することにより、レジストパターン313Aを形成する。このとき、前述のようにレジスト膜313における不要な感光が防止されているので、レジストパターン313Aを精度良く形成できる。
【0241】
次に、図21(b)に示すように、レジストパターン313Aをマスクとしてp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層312に対して、例えばClガスプラズマによるリアクティブイオンエッチング等を行なって、リッジ構造312aを形成する。このとき、p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層312がサイドエッチングされる結果、リッジ構造312aは台形状になる。
【0242】
次に、図21(c)に示すように、有機溶剤等を用いてレジストパターン313Aを除去した後、図21(d)に示すように、リッジ構造312aの上に、Ni(ニッケル)とAu(金)との多層構造よりなる厚さ1μm程度のp電極314を形成すると共に、GaN基板300の裏面に、Ti(チタン)とAlとの多層構造よりなる厚さ1μm程度のn電極315を形成する。このとき、GaN基板300の裏面が鏡面化されているため(図18(e)参照)、段切れ等を防止しつつn電極315を密着性良く形成することができる。その後、図示は省略しているが、図21(d)に示す窒化物半導体の層構造が形成されたGaN基板、つまり半導体ウェハを劈開によって分割することにより、窒化物半導体レーザ装置が完成する。
【0243】
図22は、以上に説明した方法によって作製された窒化物半導体レーザ装置、つまり第7の実施形態に係る半導体装置の断面構成を、該装置が発光しているときの発光領域の分布と共に示している。
【0244】
ところで、As不純物は波長400nm前後の光を吸収するため、発光領域中にAs不純物が存在すると、窒化物半導体レーザ装置が発光した光が吸収されて発光効率が低下してしまうという問題が生じる。しかし、第7の実施形態においては、図22に示すように、発光領域316が、As不純物を有する光吸収部301中にないため、レーザ光が吸収されることがないので、発光効率の低下を防止できる。
【0245】
以上に説明したように、第7の実施形態によると、GaN基板300の表面部に光吸収部301が形成されているため、基板表面から入射した後に基板裏面で反射する光の強度を低減できる。このため、GaN基板300を用いた半導体装置を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、基板表面から入射した露光光が基板裏面で反射してレジスト膜における所定の露光領域以外の他の領域まで露光されてしまう事態を回避できる。従って、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度を向上させることできるので、窒化物半導体装置の製造歩留まりを向上させることできる。
【0246】
また、第7の実施形態によると、GaN基板300となるGaN層に不純物を注入して光吸収部301を形成するため、光吸収部を有する窒化物半導体基板の結晶性の低下を防止できる。
【0247】
また、第7の実施形態によると、GaN基板300におけるレジスト膜の所定の露光領域の下側の部分のみに不純物を導入して光吸収部301を形成する。このため、GaN基板300上の活性層付近におけるGaN基板300から拡散した不純物を少なくして該不純物による光吸収に起因する動作電流の増大等を防止できると共に、フォトリソグラフィ工程でのパターン精度向上効果によって活性層以外の他の窒化物半導体層を歩留まりよくパターンニングできる。
【0248】
また、第7の実施形態によると、GaN基板300の裏面が鏡面化されているため、GaN基板300を用いた半導体装置の製造工程を簡単化できる。
【0249】
尚、第7の実施形態において、GaN基板300に光吸収部301を設けたが、これに代えて、光散乱部(第1の実施形態等参照)、又は反射防止膜つまり光透過部(第2の実施形態等参照)を設けてもよい。
【0250】
また、第7の実施形態において、GaN基板300を用いて、リッジ構造を有する半導体装置を作製したが、これに代えて、溝構造を有する半導体装置を作製してもよい。
【0251】
また、第7の実施形態において、フォトリソグラフィ工程で用いる露光光の種類は特に限定されるものではないが、GaN基板300中を吸収されることなく伝播する波長の光、例えばg線又はi線等を露光光として用いた場合、従来と比べてパターン精度を飛躍的に向上させることができる。
【0252】
また、第7の実施形態において、図20(c)、(d)及び図21(a)に示すフォトリソグラフィ工程でポジ型のレジスト膜を用いたが、これに代えて、ネガ型のレジスト膜を用いてもよい。この場合、リッジ構造形成領域(光吸収部301同士に挟まれた領域)以外の領域を覆うフォトマスクを用いると共に、レジスト膜を現像してレジスト膜における露光光が照射されなかった部分を除去することによって、レジストパターンを形成する。
【0253】
また、第7の実施形態において、窒化物半導体基板の材料としてGaNを用いたが、これに限られらずGaN、InN、AlN又はそれらの混晶よりなるIII 族窒化物半導体を用いてもよい。このとき、これらのIII 族窒化物半導体が基板の主成分となっていれば、基板が他の材料を含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0254】
本発明は、窒化物半導体基板を用いた半導体装置を製造するためのパターン形成方法に好適である。
【符号の説明】
【0255】
100 GaN層(GaN基板)
100a 凹凸
101 サファイア基板
102 シリコン基板
103 AlN層
104 酸化アルミニウム層
105 酸化ガリウム層
106 光散乱部
106a SiO
107 GaN層
108 Al0.1Ga0.9N層
109 光吸収部
109a Si層
110 第1のSi層
111 第1のレジストパターン
112 第1のGaN層
113 第2のSi層
114 第2のGaN層
150 反応管
150a ガス導入口
150b ガス排出口
151 被処理基板
152 サセプタ
153 加熱手段
160 反応管
160a 第1のガス導入口
160b 第2のガス導入口
160c ガス排出口
161 被処理基板
162 サセプタ
163 溶融状態のGa
164 皿
165 加熱手段
171 レジスト膜
171a 本来露光されるべき領域
172 フォトマスク
172a 開口部
173 入射光(露光光)
174 出射光
175 反射光
200 GaN層(GaN基板)
201 光吸収部
202 サファイア基板
203 シリコン基板
204 AlN層
300 GaN層(GaN基板)
300a 凹凸
301 光吸収部
302 ハードマスク
303 GaAs層
310 n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層
311 量子井戸活性層
312 p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層
312a リッジ構造
313 レジスト膜
313A レジストパターン
314 p電極
315 n電極
316 発光領域
350 反応管
350a ガス導入口
350b ガス排出口
351 サセプタ
352 加熱手段
360 フォトマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の面から入射した光を吸収する吸収部が少なくとも一部分に設けられたIII 族窒化物半導体基板における前記一の面の上に、III 族窒化物よりなる半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上にポジ型又はネガ型のレジスト膜を形成する工程と、
開口部を有するフォトマスクを介して前記レジスト膜に、前記III 族窒化物半導体基板に吸収されず且つ前記吸収部に吸収される露光光を照射する工程と、
前記レジスト膜を現像することによって、前記レジスト膜がポジ型の場合には前記レジスト膜における前記露光光が照射された部分を除去すると共に前記レジスト膜がネガ型の場合には前記レジスト膜における前記露光光が照射されなかった部分を除去し、それによりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記半導体層に対してエッチングを行なう工程とを備えていることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記吸収部の前記露光光に対する透過率は80%以下であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記露光光の波長は365nm又は436nmであることを特徴とする請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記吸収部は、前記露光光に対して前記III 族窒化物半導体基板よりも大きな吸収係数を有する材料からなることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記材料は、前記露光光に対して互いに異なる吸収係数を有する複数の材料であることを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記材料はSi及びWのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記吸収部は、前記露光光を吸収する準位を生じるように不純物が前記III 族窒化物半導体基板に添加されてなることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記不純物はC、O、Si、S、Cl、P及びAsのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記吸収部の前記露光光に対する吸収係数をαとし、前記吸収部の厚さをz0としたときに、
z0≧0.223/αの関係が成り立つことを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記吸収部は前記III 族窒化物半導体基板に点欠陥が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記点欠陥は前記III 族窒化物半導体基板にプロトンを導入することにより形成されていることを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記吸収部は、前記III 族窒化物半導体基板の前記一の面に対して平行な方向に沿って不均一に分布していることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−151413(P2011−151413A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86064(P2011−86064)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【分割の表示】特願2001−230843(P2001−230843)の分割
【原出願日】平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】