パターン生成装置及び表面の物理特性を測定するための装置
【課題】パターンを書き込む際に生じるあらゆる物理的変形に無関係に、オブジェクトの表面にパターンを書き込むための方法及びパターン生成装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、露光装置での使用を対象とするオブジェクトの表面にパターンを書き込むための方法であって、表面を備えた厚さTのオブジェクトをパターン生成装置のステージの上に配置するステップと、表面を多数の測定ポイントに分割するステップであって、隣接する2つの測定ポイントが所定の最大距離を越えない距離Pで間を隔てられているステップと、各測定ポイントにおける表面の勾配を決定するステップと、各測定ポイントのx−y平面における二次元局部オフセットdを勾配及びオブジェクトの厚さTの関数として計算するステップと、前記表面に書き込むパターンを、二次元局部オフセットdを使用して修正するステップとを含む方法を提供する。
【解決手段】本発明は、露光装置での使用を対象とするオブジェクトの表面にパターンを書き込むための方法であって、表面を備えた厚さTのオブジェクトをパターン生成装置のステージの上に配置するステップと、表面を多数の測定ポイントに分割するステップであって、隣接する2つの測定ポイントが所定の最大距離を越えない距離Pで間を隔てられているステップと、各測定ポイントにおける表面の勾配を決定するステップと、各測定ポイントのx−y平面における二次元局部オフセットdを勾配及びオブジェクトの厚さTの関数として計算するステップと、前記表面に書き込むパターンを、二次元局部オフセットdを使用して修正するステップとを含む方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に定義したような、露光装置で使用するための、好ましくは石英ガラス・プレートの表面にパターンを作成するための方法に関する。また本発明は、請求項10に定義したような、プレートの表面の形状を決定するために表面の物理特性を測定するための方法に関する。本発明はさらに、請求項15に定義したような、プレートの表面の形状を決定するために表面の物理特性を測定するための装置、及び請求項21に定義したような、露光装置で使用するための、好ましくは石英ガラス・プレートの表面にパターンを作成するため、又は半導体材料に直接パターンを作成するためのパターン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型ディスプレイ又はディスプレイの一部、カラー・フィルタ又は他の同様のアプリケーションを製造する場合、露光システムによって、好ましくは高品質の石英でできたガラス・プレートから、どちらかと言えば大型の基板、場合によっては寸法が最大1100mm×1300mmさらにはそれ以上の基板に画像(イメージ)が転送される。露光システムは、ガラス・プレートを通して基板上へ光を放出するアライナ、又はステッパを含む(図1を参照されたい)。ガラス・プレートは、2つのルーラーによって、或いはフレームによって所定の位置に保持されており、それゆえガラス・プレートの形状が変形し、この計算された変形をアライナ又はステッパが補償する。画像のパターンを担持しているガラス・プレートの前面はルーラーの上に配置されており、システムによって基板上に再現される画像が完璧であるかどうかは、ガラス・プレートの前面が完全に平坦であるかどうかによって決まる。
【0003】
異なるシステムからの複数のマスクを、例えばカラー・フィルタ及びTFTアレイに組み合わせるためには、マスクの位置決め、即ち直交座標系における絶対配置が十分に良好であることが極めて重要である。また大型TFT基板の場合、広範囲の露光領域をカバーするために、縫い合わされた2つ又は複数のマスクを使用することができる。
【0004】
小型のプレートのためのパターン発生システムの場合、パターンを生成及び測定している間、三脚デバイスがプレートを支持するために使用されるが、厚さ10mm、サイズ1000×1000mmのガラス・プレートの重量は約40kgもあり、これを3つのピンの上に置くことは適切ではない。代替解決法は、空気クッションを使用してプレートを支持することであるが、その場合、パターンを露光している間のプレートの正確な位置の決定などの別の問題が生じることになる。もう1つの代替解決法は、プレートが変形するであろうが、プレートをパターン生成装置のステージ(即ちサポート)の上に直接配置する場合に生じる必然的な結果を取り扱うことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、パターンを書き込む際に生じるあらゆる物理的変形に無関係に、オブジェクトの表面にパターンを書き込むための方法及びパターン生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に定義した方法及び請求項21に定義した装置によって達成される。
【0007】
本発明の他の目的は、オブジェクトを測定する際に生じるあらゆる物理的変形に無関係に、オブジェクトの表面を測定するための方法及び装置を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項10に定義した方法及び請求項15に定義した装置によって達成される。
【0009】
本発明の利点は、パターン生成装置(或いは測定装置)のサポートの非一様性が、パターン或いは測定のいかなる誤差の原因にもならないことである。
【0010】
他の利点は、オブジェクト、例えばガラス・プレート若しくは半導体材料の裏面及び/又は前面のあらゆる非一様性が、パターン或いは測定のいかなる誤差の原因にもならないことである。
【0011】
本発明のさらに他の利点は、オブジェクトとサポートの間にトラップされる粒子及び/又は空気の形態の汚染(汚染物質)が補償できることにあり、それゆえ本発明はパターン或いは測定のいかなる誤差も導入しない。
【0012】
さらに他の利点は、本出願人による国際特許公開第00/72090号パンフレットに開示されているように、プレートを製造する際に露光装置の変形に関する情報が製造中に分かることを条件として、露光装置に生じる変形をパターン書き込みプロセスの間に生成される変形と共に修正することさえ可能であることである。
【実施例】
【0013】
図1は、2つのルーラー12に支えられたガラス・プレート11を使用した露光システム10を示したものである。ガラス・プレート11は、ルーラー12の上に置かれると、その重量によってたわむことになる。重量によるガラス・プレートの変形は計算が容易であり、また、修正が可能である。ガラス・プレート11は、ルーラー12に支えられた下向きのポインティング表面13に配置されたパターンを備えている。光源14は、ガラス・プレート11に光15を放出しており、ガラス・プレート11の表面13に配置されたパターンによって基板16にそのパターンのコピーが生成される。基板16は、TVモニタを意図したTFTであっても良い。パターンは、通常、1対1の関係で基板16に転送される。
【0014】
図1は、完全な露光システムを示すことではなく、主要な機能の説明を目的としているため、必要な他の光学系は図1には示されていない。
【0015】
図2は、測定装置としても使用することができるパターン生成装置20を示したもので、パターン生成装置20は、パターンを書き込むための手段21(例えばレーザからレーザ・ビームを導くミラー)、およびパターン生成装置20と、パターンが書き込まれる表面13を上向きにしていわゆるステージであるサポート23の上に置かれたガラス・プレート11との間の高さHZを測定する手段22を含む。パターン書き込み手段21は、ステージの表面全体に亘って並進させることができ、その運動は、多くの方法を使用して実施することができる。図2は、そのうちの1つを示したもので、ステージは、ステージをパターン書き込み手段21に対してx方向に移動させるための手段を備えており、また、パターン書き込み手段21は、パターン書き込み手段をy方向に移動させるためのビーム25の上に配置されたスライド・サポート24に取り付けられている。パターン書き込み手段の並進を実施するための他の可能な方法は、パターン書き込み手段を非可動にして、ステージをx及びyの両方向に移動させるための手段を提供することであり、或いはステージを非可動にして、x及びyの両方向に移動させるための手段をパターン書き込み手段に設けることも可能である。
【0016】
また、パターン生成装置20は、空気クッション27によってガラス・プレート11の表面13の上方に一定の距離を隔てて配置された、曲げられたフット・プレート26を備えている。フット・プレート26及びパターン書き込み手段21は、フレキシブル・アタッチメント28を介してスライド・サポート24に取り付けられており、ガラス・プレート11の表面13の粗さに応じて、スライド・サポート24とパターン書き込み手段/フット・プレートの間の距離が変わることが可能とされている。z方向の距離の変化、即ち高さHZの変化は測定が可能であり、それによりz方向の表面13の粗さを計算することができる。測定の目的が比較的長い距離に及ぶ高さの偏差(偏位)を検出することであるため、ガラス・プレート11の表面13に対して平行であるフット・プレートのサイズは、パターン書き込み手段21から入射するレーザ・ビームのための開口を有し、且つどちらかと言えば大きいことが好ましく、例えば各々の辺の長さが5mmであることが好ましい。フット・プレートの真下の空気クッションは、フット・プレートとガラス・プレートの間の距離が一定であるため、パターン生成装置の自動焦点デバイスとして作用するであろう。
【0017】
しかしながら、本発明は、空気クッションを自動焦点デバイスとして使用しているこの種のパターン生成装置に限定されるべきではなく、システムに焦点を提供することができる他のタイプのシステムを使用することも可能である。本質的な部分は、パターン生成装置20が、パターン生成装置とガラス・プレート11の表面13の間の高さHZを測定するための手段を備えており、それによりパターン書き込み手段21がステージ23に対して、即ち表面13に対して移動する際の高さの変化を測定していることである。
【0018】
本発明の本質的な部分は、高さHZの差を計算する基となる基準表面を決定することである。この差は、図3に関連して示すように、Hで示される。基準表面の形状は、その形状が不変の状態を維持する限り、所望の任意の形状にすることができる。好適には、基準表面の形状は平坦な平面である。
【0019】
可能であれば、「自由」(無重力)形態、即ちプレートの中心線を基準表面として使用することが望ましいが、実際にこれを達成することはどちらかと言えば困難である。ステッパ又はアライナが頂部表面を基準として使用するため、プレートの底部表面は基準表面の良好な代替ではない。
【0020】
一方、頂部表面を基準表面として使用する場合、プレートの底部の形状及びサポートの形状をさらに知る必要がある。サポートの形状を知ることは可能であるが、底部表面についての知識を得ることは実際には極めて困難である。しかしながら、頂部表面は、底部表面の知識を必要とすることなく測定することができる。大型ガラス・プレートは、三脚の上に置かれるとその重量によって変形することになるが、プレートの厚さ、プレートの材料及び三脚の構成が分かっている場合、完全なプレートの変形関数を計算することができる。三脚の上に置かれた不完全なガラス・プレートの測定寸法が、変形したプレートの測定寸法を生成する。次に、変形したプレートの測定寸法から完全なプレートに対する計算変形関数を減算することによって頂部表面の形状が計算される。
【0021】
ガラス・プレートの頂部表面は、通常、底部表面と比較するとはるかに一様であり、即ち中心線に対する高さの変化が小さいため、最良の構成を構築するためにはプレートの頂部表面を基準表面にすべきである。しかしながら、図1に示すように、露光システム内における後続するステップの間のガラス・プレートの変形のため、頂部表面が最良の選択であるかどうかは必ずしも明白ではないことに留意されたい。ルーラー12に支えられている部分の近傍でガラス・プレートの頂部表面13が変化する場合、表面13のパターンがルーラー12の近傍でひずむことになる。
【0022】
しかしながら、頂面を使用することが好ましいが、任意の表面を基準表面として使用してもよいことに留意されたい。
【0023】
図3は、厚さTのガラス・プレート11のプレート曲げ作用を示したものである。この実施例では平坦な基準表面30が決定されており、ガラス・プレートは複数の測定ポイント31に分割され、図2に示す手段22を使用して個々の測定ポイントで高さHZが測定される。基準平面30とガラス・プレート11の変形した表面13の間の高さHは、パターン生成装置20によって測定されたガラス・プレート11の表面13の高さHZから測定ポイントにおける基準表面30の高さを減算することによって容易に計算することができる。
【0024】
次に、局部オフセットd(x及びyを関数としたオフセット)が、ガラス・プレートの厚さ(T)、隣接する測定ポイント間の距離(P)、及び基準表面30とガラス・プレート11の表面13の間の測定高さ(H)の3つの変数に応じて測定ポイント毎に計算される。この局部オフセットは、図4〜6に関連して説明するように、基準表面に関して書き込まれるべきパターンの位置からの位置偏差として解釈されたい。プレートの表面のピッチPと基準表面の公称ピッチPnomとは異なっている。
【0025】
良好で合理的な結果を測定から得るためには、隣接する測定ポイント間の距離は、測定に必要な精度によって決まる所定の距離を越えてはならない。ガラス・プレート11の厚さが約10mmで、ガラス・プレートの材料が石英の場合、隣接する測定ポイント間の最大距離の一例は50mmである。また、隣接する測定ポイント間の、同じ測定精度を得るための距離は、ガラス・プレートの厚さによって変わる。ガラス・プレートの厚さの変化は約10〜15μmであるが、より大きいこともある。測定ポイントは、表面13全体に亘って無作為に分布させることができるが、個々のポイント間の距離即ちピッチが予め決定済みの格子構造で配置されていることが好ましく、しかしピッチがx及びy方向に必ずしも同じである必要はない。
【0026】
局部オフセットは、個々の測定ポイントにおけるx及びy方向の勾配の関数であり、極めて単純な表現式を使用して計算することができる。
【0027】
角度αは、隣接する2つの測定ポイント31a間の距離Pが分かっている場合、測定した高さHから計算することができる。
【0028】
角度αが小さい場合、
【数1】
である。
【0029】
また、αが小さい場合、次の式を使用して局部オフセットdを計算することができる。
【数2】
【0030】
しかしながら、上記局部オフセットdを計算するためのこの式は、オフセットdを決定するための非限定的な計算例にすぎないことに留意されたい。システムを使用して個々の測定ポイントの勾配を直接測定することができ、また、局部オフセットは、勾配及びガラス・プレートの厚さに比例している。
【0031】
既に上で言及したように、図3は、曲げ作用を一次元で示したものであるが、局部オフセットdは、個々の測定ポイントにおける導関数の二次元関数(dx及びdy)である。
【0032】
非限定的な例として、ここでは、隣接する2つのポイント31間の距離が40mmで、ガラス・プレートの厚さが10mmであることが仮定されており、また、測定高さHは、125nmの一次元局部オフセットdをもたらすことになる1μmであることが仮定されている。
【0033】
図4a及び図4bは、ガラス・プレート41が平坦な頂部表面43及び整形された底部表面42を備えたプレート曲げ作用、及び平坦なサポート45によって支持された場合の、この実施例では平坦な基準表面44の導入を示したものである。
【0034】
ガラス・プレート41が平坦なサポート45の上に配置されると、頂部表面43の形状が変化し、底部表面42は、概ね平坦なサポート45に従うことになる。そのため、正しい基準表面を得るためには、頂部表面の点46で示される生成パターンは、拡大されなければならない。
【0035】
図5a及び図5bは、ガラス・プレート51が整形された頂部表面53及び平坦な底部表面52を備えたプレート曲げ作用、及び平坦なサポート45の上に配置された場合の、この実施例における平坦な基準表面44の導入を示したものである。
【0036】
ガラス・プレート51が平坦なサポート45の上に配置されたとき、頂部表面43の形状は不変であり、また底部表面42が平坦なサポート45に従うことになるであろう。頂部表面は、図1で説明した露光装置の中に配置されると、少なくともルーラー12の近傍で平坦になるため、正しい基準表面を得るためには、頂部表面の点55で示される生成パターンは拡大されなければならない。まさにルーラー12同士の間に配置されるガラス・プレートの部分は変形することになる。また、ルーラー12の形状と基準表面の形状が合致していない場合、ルーラーによってガラス・プレート上のパターンが変形することになる。
【0037】
図6a及び図6bは、ガラス・プレート61が平坦な頂部表面43及び平坦な底部表面52を備えたプレート曲げ作用、及び整形されたサポート62の上に配置された場合の、この実施例では平坦な基準表面44の導入を示したものである。
【0038】
ガラス・プレート61が整形されたサポート62の上に配置されると、頂部表面43の形状が変化し、底部表面42は、概ね整形されたサポート62に従うことになる。頂部表面は、図1で説明した露光装置の中に配置されると平坦になるため、正しい基準表面を得るためには、頂部表面の点64で示される生成パターンは拡大されなければならない。
【0039】
図4a〜4b、図5a〜5b及び図6a〜6bは極端な状態を示したものであり、実際には、ガラス・プレートにパターンを作成するプロセスの間、3つのすべての変化が存在している。
【0040】
しかしながら、図8、図9a及び図9bに示すように、底部表面、支持表面及び汚染(汚染物質)によるすべての誤差が除去されるか、或いは少なくとも低減されるため、総合誤差ははるかに小さい。
【0041】
図7aは、基準ガラス・プレートの測定x−y座標、及び本発明による計算修正関数を使用した同じ基準ガラス・プレートの補償x−y座標を示したものである。図7bは、基準ガラス・プレートの表面に描写されたマークの、x及びy座標と同時に得られる測定高さH(z修正データ)を示したものである。図7cは、未補償測値と補償測値の相異を示したものである。
【0042】
ガラス・プレートのサイズは、この実施例では800×800mmであり、図7aに示す個々の破線70の間の距離は50mmであり、また、プロットされた2つのチャートの偏差のスケールは、個々の破線70の間が500nmである。灰色の線71は、基準ガラス・プレート上のx及びy座標の測定偏差に対応している。黒い線72は、図7bに示す測定高さHに基づくZ修正効果を使用した同じ基準ガラス・プレートの補償x及びy座標に対応している。決定された基準表面と比較した最小高さは−20.705μm、最大高さは+16.664μmであり、また、高さHは関数73として示されている。x及びy方向の線と線の間の距離は、図7aに示す距離と同じ距離即ち50mmであり、z方向の線と線の間の距離は2μmである。
【0043】
図7cは、図7aに示す2つの関数間の偏差を明確に示したものである。図7bに示す測定高さHと図7cに示す偏差を比較すると、高さの導関数と局部オフセットの間の関係が容易に分かる。位置74におけるように高さの導関数がゼロである場合、局部オフセットdもゼロである。位置75におけるように高さの導関数が大きい場合、局部オフセットdも大きい。
【0044】
低いHの値から高いHの値への移行は、図3に示すようにガラス・プレートが「負」の湾曲を有していることに相当し、その逆も同様である。高さHの導関数のx及びy方向の変化が最も大きい場合に、計算局部オフセット、即ち灰色の線と黒い線の間の差が最大になる。
【0045】
図8は、ガラス・プレートの三次元測定値80を示したもので、ガラス・プレートとサポートの間に、高さがそれぞれ16μm及び6μmの2つの粒子が存在している。測定は格子構造を使用して実施され、測定ポイント間の距離は50mmに設定され、また、ガラス・プレートの厚さは10mmである。zの方向のスケールは、1区分が2μmに設定されている。大きい粒子が存在しているため、図9aに示すx及びyの測値が500nmを超えて偏位している。
【0046】
図9aは、図8に示すガラス・プレートの測定x−y座標を示したものであり、また、図9bは、図8に示す測定偏位高さ測定値から計算された修正関数を使用した同じガラス・プレートの補償されたx−y座標を示したものである。図9bに示すように、ガラス・プレートに生成される最終画像に対する粒子の影響が著しく減少する。
【0047】
本特許出願においては、ガラス・プレートが説明のための実施例として使用されているが、特許を請求する範囲は、ガラス製のプレートに限定されるべきではない。
【0048】
また、パターン生成装置は、当然、あらゆる再現誤差、例えばTFTアレイを製造するための基板に存在する、基板を製造している間に基板に導入される誤差、及び既に言及したアライナ又はステッパの製造プロセスに導入される繰返し可能な誤差に対する修正関数を含むことができる。
【0049】
本発明による方法は、当然、測定を実行するため、および測定ポイント毎に局部オフセットを計算するためのコンピュータ・プログラムに組み込むことができる。
【0050】
本発明について背景技術で言及したように、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)或いはプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)などのフラット・パネル・ディスプレイの製造中に使用される複数のマスク間の差を小さくするためには、マスクの位置決めが十分に良好であることが重要である。上で説明したように、パターンを生成するための修正方法を使用することにより、それぞれパターンを担持している複数のマスクの層を互いに積み重ねて配置することによって回路パターンを構築することができる。製造中のいくつかの層は、アライメントに対して他の層より敏感であり、本発明によるパターン発生方法を使用することによって製造プロセスの歩留りが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来技術による露光システムを示す図である。
【図2】従来技術によるパターン生成装置を示す図である。
【図3】本発明による、オフセットを計算するためのプレート曲げ作用を示す図である。
【図4a】ガラス・プレートが平坦な頂部及び整形された底部を備えたプレート曲げ作用を示す図である。
【図4b】平坦なサポートの上に配置された場合の基準表面の導入を示す図である。
【図5a】ガラス・プレートが整形された頂部及び平坦な底部を備えたプレート曲げ作用を示す図である。
【図5b】平坦なサポートの上に配置された場合の基準表面の導入を示す図である。
【図6a】ガラス・プレートが平坦な頂部及び平坦な底部を備えたプレート曲げ作用を示す図である。
【図6b】整形されたサポートの上に配置された場合の基準表面の導入を示す図である。
【図7a】ガラス・プレートの測定x−y座標及び修正関数を使用した同じガラス・プレートの補償x−y座標を示す図である。
【図7b】ガラス・プレートの測定x−y座標及び修正関数を使用した同じガラス・プレートの補償x−y座標を示す他の図である。
【図7c】未補償測値と補償測値の相異を示す図である。
【図8】粒子がガラス・プレートの形状をひずませているガラス・プレートの三次元測定値を示す図である。
【図9a】図8に示すガラス・プレートの測定x−y座標を示す図である。
【図9b】修正関数を使用した同じガラス・プレートの補償x−y座標を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に定義したような、露光装置で使用するための、好ましくは石英ガラス・プレートの表面にパターンを作成するための方法に関する。また本発明は、請求項10に定義したような、プレートの表面の形状を決定するために表面の物理特性を測定するための方法に関する。本発明はさらに、請求項15に定義したような、プレートの表面の形状を決定するために表面の物理特性を測定するための装置、及び請求項21に定義したような、露光装置で使用するための、好ましくは石英ガラス・プレートの表面にパターンを作成するため、又は半導体材料に直接パターンを作成するためのパターン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型ディスプレイ又はディスプレイの一部、カラー・フィルタ又は他の同様のアプリケーションを製造する場合、露光システムによって、好ましくは高品質の石英でできたガラス・プレートから、どちらかと言えば大型の基板、場合によっては寸法が最大1100mm×1300mmさらにはそれ以上の基板に画像(イメージ)が転送される。露光システムは、ガラス・プレートを通して基板上へ光を放出するアライナ、又はステッパを含む(図1を参照されたい)。ガラス・プレートは、2つのルーラーによって、或いはフレームによって所定の位置に保持されており、それゆえガラス・プレートの形状が変形し、この計算された変形をアライナ又はステッパが補償する。画像のパターンを担持しているガラス・プレートの前面はルーラーの上に配置されており、システムによって基板上に再現される画像が完璧であるかどうかは、ガラス・プレートの前面が完全に平坦であるかどうかによって決まる。
【0003】
異なるシステムからの複数のマスクを、例えばカラー・フィルタ及びTFTアレイに組み合わせるためには、マスクの位置決め、即ち直交座標系における絶対配置が十分に良好であることが極めて重要である。また大型TFT基板の場合、広範囲の露光領域をカバーするために、縫い合わされた2つ又は複数のマスクを使用することができる。
【0004】
小型のプレートのためのパターン発生システムの場合、パターンを生成及び測定している間、三脚デバイスがプレートを支持するために使用されるが、厚さ10mm、サイズ1000×1000mmのガラス・プレートの重量は約40kgもあり、これを3つのピンの上に置くことは適切ではない。代替解決法は、空気クッションを使用してプレートを支持することであるが、その場合、パターンを露光している間のプレートの正確な位置の決定などの別の問題が生じることになる。もう1つの代替解決法は、プレートが変形するであろうが、プレートをパターン生成装置のステージ(即ちサポート)の上に直接配置する場合に生じる必然的な結果を取り扱うことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、パターンを書き込む際に生じるあらゆる物理的変形に無関係に、オブジェクトの表面にパターンを書き込むための方法及びパターン生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に定義した方法及び請求項21に定義した装置によって達成される。
【0007】
本発明の他の目的は、オブジェクトを測定する際に生じるあらゆる物理的変形に無関係に、オブジェクトの表面を測定するための方法及び装置を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項10に定義した方法及び請求項15に定義した装置によって達成される。
【0009】
本発明の利点は、パターン生成装置(或いは測定装置)のサポートの非一様性が、パターン或いは測定のいかなる誤差の原因にもならないことである。
【0010】
他の利点は、オブジェクト、例えばガラス・プレート若しくは半導体材料の裏面及び/又は前面のあらゆる非一様性が、パターン或いは測定のいかなる誤差の原因にもならないことである。
【0011】
本発明のさらに他の利点は、オブジェクトとサポートの間にトラップされる粒子及び/又は空気の形態の汚染(汚染物質)が補償できることにあり、それゆえ本発明はパターン或いは測定のいかなる誤差も導入しない。
【0012】
さらに他の利点は、本出願人による国際特許公開第00/72090号パンフレットに開示されているように、プレートを製造する際に露光装置の変形に関する情報が製造中に分かることを条件として、露光装置に生じる変形をパターン書き込みプロセスの間に生成される変形と共に修正することさえ可能であることである。
【実施例】
【0013】
図1は、2つのルーラー12に支えられたガラス・プレート11を使用した露光システム10を示したものである。ガラス・プレート11は、ルーラー12の上に置かれると、その重量によってたわむことになる。重量によるガラス・プレートの変形は計算が容易であり、また、修正が可能である。ガラス・プレート11は、ルーラー12に支えられた下向きのポインティング表面13に配置されたパターンを備えている。光源14は、ガラス・プレート11に光15を放出しており、ガラス・プレート11の表面13に配置されたパターンによって基板16にそのパターンのコピーが生成される。基板16は、TVモニタを意図したTFTであっても良い。パターンは、通常、1対1の関係で基板16に転送される。
【0014】
図1は、完全な露光システムを示すことではなく、主要な機能の説明を目的としているため、必要な他の光学系は図1には示されていない。
【0015】
図2は、測定装置としても使用することができるパターン生成装置20を示したもので、パターン生成装置20は、パターンを書き込むための手段21(例えばレーザからレーザ・ビームを導くミラー)、およびパターン生成装置20と、パターンが書き込まれる表面13を上向きにしていわゆるステージであるサポート23の上に置かれたガラス・プレート11との間の高さHZを測定する手段22を含む。パターン書き込み手段21は、ステージの表面全体に亘って並進させることができ、その運動は、多くの方法を使用して実施することができる。図2は、そのうちの1つを示したもので、ステージは、ステージをパターン書き込み手段21に対してx方向に移動させるための手段を備えており、また、パターン書き込み手段21は、パターン書き込み手段をy方向に移動させるためのビーム25の上に配置されたスライド・サポート24に取り付けられている。パターン書き込み手段の並進を実施するための他の可能な方法は、パターン書き込み手段を非可動にして、ステージをx及びyの両方向に移動させるための手段を提供することであり、或いはステージを非可動にして、x及びyの両方向に移動させるための手段をパターン書き込み手段に設けることも可能である。
【0016】
また、パターン生成装置20は、空気クッション27によってガラス・プレート11の表面13の上方に一定の距離を隔てて配置された、曲げられたフット・プレート26を備えている。フット・プレート26及びパターン書き込み手段21は、フレキシブル・アタッチメント28を介してスライド・サポート24に取り付けられており、ガラス・プレート11の表面13の粗さに応じて、スライド・サポート24とパターン書き込み手段/フット・プレートの間の距離が変わることが可能とされている。z方向の距離の変化、即ち高さHZの変化は測定が可能であり、それによりz方向の表面13の粗さを計算することができる。測定の目的が比較的長い距離に及ぶ高さの偏差(偏位)を検出することであるため、ガラス・プレート11の表面13に対して平行であるフット・プレートのサイズは、パターン書き込み手段21から入射するレーザ・ビームのための開口を有し、且つどちらかと言えば大きいことが好ましく、例えば各々の辺の長さが5mmであることが好ましい。フット・プレートの真下の空気クッションは、フット・プレートとガラス・プレートの間の距離が一定であるため、パターン生成装置の自動焦点デバイスとして作用するであろう。
【0017】
しかしながら、本発明は、空気クッションを自動焦点デバイスとして使用しているこの種のパターン生成装置に限定されるべきではなく、システムに焦点を提供することができる他のタイプのシステムを使用することも可能である。本質的な部分は、パターン生成装置20が、パターン生成装置とガラス・プレート11の表面13の間の高さHZを測定するための手段を備えており、それによりパターン書き込み手段21がステージ23に対して、即ち表面13に対して移動する際の高さの変化を測定していることである。
【0018】
本発明の本質的な部分は、高さHZの差を計算する基となる基準表面を決定することである。この差は、図3に関連して示すように、Hで示される。基準表面の形状は、その形状が不変の状態を維持する限り、所望の任意の形状にすることができる。好適には、基準表面の形状は平坦な平面である。
【0019】
可能であれば、「自由」(無重力)形態、即ちプレートの中心線を基準表面として使用することが望ましいが、実際にこれを達成することはどちらかと言えば困難である。ステッパ又はアライナが頂部表面を基準として使用するため、プレートの底部表面は基準表面の良好な代替ではない。
【0020】
一方、頂部表面を基準表面として使用する場合、プレートの底部の形状及びサポートの形状をさらに知る必要がある。サポートの形状を知ることは可能であるが、底部表面についての知識を得ることは実際には極めて困難である。しかしながら、頂部表面は、底部表面の知識を必要とすることなく測定することができる。大型ガラス・プレートは、三脚の上に置かれるとその重量によって変形することになるが、プレートの厚さ、プレートの材料及び三脚の構成が分かっている場合、完全なプレートの変形関数を計算することができる。三脚の上に置かれた不完全なガラス・プレートの測定寸法が、変形したプレートの測定寸法を生成する。次に、変形したプレートの測定寸法から完全なプレートに対する計算変形関数を減算することによって頂部表面の形状が計算される。
【0021】
ガラス・プレートの頂部表面は、通常、底部表面と比較するとはるかに一様であり、即ち中心線に対する高さの変化が小さいため、最良の構成を構築するためにはプレートの頂部表面を基準表面にすべきである。しかしながら、図1に示すように、露光システム内における後続するステップの間のガラス・プレートの変形のため、頂部表面が最良の選択であるかどうかは必ずしも明白ではないことに留意されたい。ルーラー12に支えられている部分の近傍でガラス・プレートの頂部表面13が変化する場合、表面13のパターンがルーラー12の近傍でひずむことになる。
【0022】
しかしながら、頂面を使用することが好ましいが、任意の表面を基準表面として使用してもよいことに留意されたい。
【0023】
図3は、厚さTのガラス・プレート11のプレート曲げ作用を示したものである。この実施例では平坦な基準表面30が決定されており、ガラス・プレートは複数の測定ポイント31に分割され、図2に示す手段22を使用して個々の測定ポイントで高さHZが測定される。基準平面30とガラス・プレート11の変形した表面13の間の高さHは、パターン生成装置20によって測定されたガラス・プレート11の表面13の高さHZから測定ポイントにおける基準表面30の高さを減算することによって容易に計算することができる。
【0024】
次に、局部オフセットd(x及びyを関数としたオフセット)が、ガラス・プレートの厚さ(T)、隣接する測定ポイント間の距離(P)、及び基準表面30とガラス・プレート11の表面13の間の測定高さ(H)の3つの変数に応じて測定ポイント毎に計算される。この局部オフセットは、図4〜6に関連して説明するように、基準表面に関して書き込まれるべきパターンの位置からの位置偏差として解釈されたい。プレートの表面のピッチPと基準表面の公称ピッチPnomとは異なっている。
【0025】
良好で合理的な結果を測定から得るためには、隣接する測定ポイント間の距離は、測定に必要な精度によって決まる所定の距離を越えてはならない。ガラス・プレート11の厚さが約10mmで、ガラス・プレートの材料が石英の場合、隣接する測定ポイント間の最大距離の一例は50mmである。また、隣接する測定ポイント間の、同じ測定精度を得るための距離は、ガラス・プレートの厚さによって変わる。ガラス・プレートの厚さの変化は約10〜15μmであるが、より大きいこともある。測定ポイントは、表面13全体に亘って無作為に分布させることができるが、個々のポイント間の距離即ちピッチが予め決定済みの格子構造で配置されていることが好ましく、しかしピッチがx及びy方向に必ずしも同じである必要はない。
【0026】
局部オフセットは、個々の測定ポイントにおけるx及びy方向の勾配の関数であり、極めて単純な表現式を使用して計算することができる。
【0027】
角度αは、隣接する2つの測定ポイント31a間の距離Pが分かっている場合、測定した高さHから計算することができる。
【0028】
角度αが小さい場合、
【数1】
である。
【0029】
また、αが小さい場合、次の式を使用して局部オフセットdを計算することができる。
【数2】
【0030】
しかしながら、上記局部オフセットdを計算するためのこの式は、オフセットdを決定するための非限定的な計算例にすぎないことに留意されたい。システムを使用して個々の測定ポイントの勾配を直接測定することができ、また、局部オフセットは、勾配及びガラス・プレートの厚さに比例している。
【0031】
既に上で言及したように、図3は、曲げ作用を一次元で示したものであるが、局部オフセットdは、個々の測定ポイントにおける導関数の二次元関数(dx及びdy)である。
【0032】
非限定的な例として、ここでは、隣接する2つのポイント31間の距離が40mmで、ガラス・プレートの厚さが10mmであることが仮定されており、また、測定高さHは、125nmの一次元局部オフセットdをもたらすことになる1μmであることが仮定されている。
【0033】
図4a及び図4bは、ガラス・プレート41が平坦な頂部表面43及び整形された底部表面42を備えたプレート曲げ作用、及び平坦なサポート45によって支持された場合の、この実施例では平坦な基準表面44の導入を示したものである。
【0034】
ガラス・プレート41が平坦なサポート45の上に配置されると、頂部表面43の形状が変化し、底部表面42は、概ね平坦なサポート45に従うことになる。そのため、正しい基準表面を得るためには、頂部表面の点46で示される生成パターンは、拡大されなければならない。
【0035】
図5a及び図5bは、ガラス・プレート51が整形された頂部表面53及び平坦な底部表面52を備えたプレート曲げ作用、及び平坦なサポート45の上に配置された場合の、この実施例における平坦な基準表面44の導入を示したものである。
【0036】
ガラス・プレート51が平坦なサポート45の上に配置されたとき、頂部表面43の形状は不変であり、また底部表面42が平坦なサポート45に従うことになるであろう。頂部表面は、図1で説明した露光装置の中に配置されると、少なくともルーラー12の近傍で平坦になるため、正しい基準表面を得るためには、頂部表面の点55で示される生成パターンは拡大されなければならない。まさにルーラー12同士の間に配置されるガラス・プレートの部分は変形することになる。また、ルーラー12の形状と基準表面の形状が合致していない場合、ルーラーによってガラス・プレート上のパターンが変形することになる。
【0037】
図6a及び図6bは、ガラス・プレート61が平坦な頂部表面43及び平坦な底部表面52を備えたプレート曲げ作用、及び整形されたサポート62の上に配置された場合の、この実施例では平坦な基準表面44の導入を示したものである。
【0038】
ガラス・プレート61が整形されたサポート62の上に配置されると、頂部表面43の形状が変化し、底部表面42は、概ね整形されたサポート62に従うことになる。頂部表面は、図1で説明した露光装置の中に配置されると平坦になるため、正しい基準表面を得るためには、頂部表面の点64で示される生成パターンは拡大されなければならない。
【0039】
図4a〜4b、図5a〜5b及び図6a〜6bは極端な状態を示したものであり、実際には、ガラス・プレートにパターンを作成するプロセスの間、3つのすべての変化が存在している。
【0040】
しかしながら、図8、図9a及び図9bに示すように、底部表面、支持表面及び汚染(汚染物質)によるすべての誤差が除去されるか、或いは少なくとも低減されるため、総合誤差ははるかに小さい。
【0041】
図7aは、基準ガラス・プレートの測定x−y座標、及び本発明による計算修正関数を使用した同じ基準ガラス・プレートの補償x−y座標を示したものである。図7bは、基準ガラス・プレートの表面に描写されたマークの、x及びy座標と同時に得られる測定高さH(z修正データ)を示したものである。図7cは、未補償測値と補償測値の相異を示したものである。
【0042】
ガラス・プレートのサイズは、この実施例では800×800mmであり、図7aに示す個々の破線70の間の距離は50mmであり、また、プロットされた2つのチャートの偏差のスケールは、個々の破線70の間が500nmである。灰色の線71は、基準ガラス・プレート上のx及びy座標の測定偏差に対応している。黒い線72は、図7bに示す測定高さHに基づくZ修正効果を使用した同じ基準ガラス・プレートの補償x及びy座標に対応している。決定された基準表面と比較した最小高さは−20.705μm、最大高さは+16.664μmであり、また、高さHは関数73として示されている。x及びy方向の線と線の間の距離は、図7aに示す距離と同じ距離即ち50mmであり、z方向の線と線の間の距離は2μmである。
【0043】
図7cは、図7aに示す2つの関数間の偏差を明確に示したものである。図7bに示す測定高さHと図7cに示す偏差を比較すると、高さの導関数と局部オフセットの間の関係が容易に分かる。位置74におけるように高さの導関数がゼロである場合、局部オフセットdもゼロである。位置75におけるように高さの導関数が大きい場合、局部オフセットdも大きい。
【0044】
低いHの値から高いHの値への移行は、図3に示すようにガラス・プレートが「負」の湾曲を有していることに相当し、その逆も同様である。高さHの導関数のx及びy方向の変化が最も大きい場合に、計算局部オフセット、即ち灰色の線と黒い線の間の差が最大になる。
【0045】
図8は、ガラス・プレートの三次元測定値80を示したもので、ガラス・プレートとサポートの間に、高さがそれぞれ16μm及び6μmの2つの粒子が存在している。測定は格子構造を使用して実施され、測定ポイント間の距離は50mmに設定され、また、ガラス・プレートの厚さは10mmである。zの方向のスケールは、1区分が2μmに設定されている。大きい粒子が存在しているため、図9aに示すx及びyの測値が500nmを超えて偏位している。
【0046】
図9aは、図8に示すガラス・プレートの測定x−y座標を示したものであり、また、図9bは、図8に示す測定偏位高さ測定値から計算された修正関数を使用した同じガラス・プレートの補償されたx−y座標を示したものである。図9bに示すように、ガラス・プレートに生成される最終画像に対する粒子の影響が著しく減少する。
【0047】
本特許出願においては、ガラス・プレートが説明のための実施例として使用されているが、特許を請求する範囲は、ガラス製のプレートに限定されるべきではない。
【0048】
また、パターン生成装置は、当然、あらゆる再現誤差、例えばTFTアレイを製造するための基板に存在する、基板を製造している間に基板に導入される誤差、及び既に言及したアライナ又はステッパの製造プロセスに導入される繰返し可能な誤差に対する修正関数を含むことができる。
【0049】
本発明による方法は、当然、測定を実行するため、および測定ポイント毎に局部オフセットを計算するためのコンピュータ・プログラムに組み込むことができる。
【0050】
本発明について背景技術で言及したように、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)或いはプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)などのフラット・パネル・ディスプレイの製造中に使用される複数のマスク間の差を小さくするためには、マスクの位置決めが十分に良好であることが重要である。上で説明したように、パターンを生成するための修正方法を使用することにより、それぞれパターンを担持している複数のマスクの層を互いに積み重ねて配置することによって回路パターンを構築することができる。製造中のいくつかの層は、アライメントに対して他の層より敏感であり、本発明によるパターン発生方法を使用することによって製造プロセスの歩留りが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来技術による露光システムを示す図である。
【図2】従来技術によるパターン生成装置を示す図である。
【図3】本発明による、オフセットを計算するためのプレート曲げ作用を示す図である。
【図4a】ガラス・プレートが平坦な頂部及び整形された底部を備えたプレート曲げ作用を示す図である。
【図4b】平坦なサポートの上に配置された場合の基準表面の導入を示す図である。
【図5a】ガラス・プレートが整形された頂部及び平坦な底部を備えたプレート曲げ作用を示す図である。
【図5b】平坦なサポートの上に配置された場合の基準表面の導入を示す図である。
【図6a】ガラス・プレートが平坦な頂部及び平坦な底部を備えたプレート曲げ作用を示す図である。
【図6b】整形されたサポートの上に配置された場合の基準表面の導入を示す図である。
【図7a】ガラス・プレートの測定x−y座標及び修正関数を使用した同じガラス・プレートの補償x−y座標を示す図である。
【図7b】ガラス・プレートの測定x−y座標及び修正関数を使用した同じガラス・プレートの補償x−y座標を示す他の図である。
【図7c】未補償測値と補償測値の相異を示す図である。
【図8】粒子がガラス・プレートの形状をひずませているガラス・プレートの三次元測定値を示す図である。
【図9a】図8に示すガラス・プレートの測定x−y座標を示す図である。
【図9b】修正関数を使用した同じガラス・プレートの補償x−y座標を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラット・パネル・ディスプレイを製造するためのパターンを有するマスク上にパターンを書き込むための方法であって、
表面を備えた厚さ(T)のオブジェクトをパターン生成装置のステージの上に配置するステップと、
前記表面を多数の測定ポイントに分割するステップであって、隣接する2つの測定ポイントが、所定の最大距離を越えない距離(P)だけ間を隔てられているステップと、
各測定ポイントにおける前記表面の勾配を決定するステップと、
各測定ポイントのx−y平面における二次元局部オフセット(d)を前記勾配及びオブジェクトの前記厚さ(T)の関数として計算するステップと、
前記表面に書き込む前記パターンを、前記二次元局部オフセット(d)を使用して修正するステップと
を含む方法において、
前記パターンを修正するステップが、
各測定ポイントのために計算した前記二次元局部オフセット(d)を使用して、前記表面に対する修正関数を決定するステップと、
前記パターン生成装置により、前記修正関数を使用して前記表面に前記パターンを書き込むステップと
を含んでいる方法。
【請求項2】
前記勾配を決定する前記ステップが、各測定ポイントにおける前記表面の高さの変化を測定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面の高さの変化を測定する前記ステップが、
基準表面を決定するステップと、
各測定ポイントにおける前記基準表面と前記オブジェクトの前記表面との間の高さ(H)を測定するステップと
を含み、
それにより、x−y平面における前記二次元局部オフセット(d)が、測定した高さ(H)、少なくとも1つの隣接する測定ポイントの各々からの前記距離(P)、及び前記オブジェクトの前記厚さ(T)の関数として計算される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記局部オフセット(d)が、式
d=(T×H)/(2×P)
を使用して計算される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記測定ポイントが、x方向に第1の所定のピッチを有し且つy方向に第2の所定のピッチを有する格子構造で配置されている、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記基準表面と前記オブジェクトの前記表面との間の前記高さ(H)が、前記ステージの非一様性、及び/又は前記オブジェクトの一方又は両方の表面の非一様性、及び/又は前記ステージと前記オブジェクトの間に配置される望ましくない物体によるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記望ましくない物体は、トラップされた空気又は粒子である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オブジェクトの頂部表面が前記パターンを担持するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記修正関数は、後続の処理ステップの間、前記露光装置からの予想される変形もまた補償する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フラット・パネル・ディスプレイが、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)又はプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)のグループのうちのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
フラット・パネル・ディスプレイを製造するための、請求項1に定義したパターンを書き込むための方法によって生成されるパターンを有する少なくとも1つのマスクの使用。
【請求項12】
前記フラット・パネル・ディスプレイが、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)又はプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)のグループのうちのいずれかである、請求項11に記載した少なくとも1つのマスクの使用。
【請求項13】
前記フラット・パネル・ディスプレイの異なるシステムの製造を提供するために、請求項1に定義した方法によって生成されるパターンを有する複数のマスクが組み合わされる、請求項11又は請求項12に記載の使用。
【請求項14】
フラット・パネル・ディスプレイを製造するためのパターンを有するマスク上にパターンを書き込むためのパターン生成装置であって、
表面を備えた厚さ(T)のオブジェクトを支持するためのステージであって、前記表面が多数の測定ポイントに分割され、隣接する2つの測定ポイントが、所定の最大距離を越えない距離だけ間を隔てられているステージと、
各測定ポイントにおける前記表面の勾配を決定する手段と、
各測定ポイントのx−y平面における二次元局部オフセット(d)を前記勾配及びオブジェクトの前記厚さ(T)の関数として計算する手段と、
前記表面に書き込む前記パターンを、前記二次元局部オフセット(d)を使用して修正する手段と
を有するパターン生成装置において、
前記パターンを修正する手段が、
各測定ポイントのために計算した前記二次元局部オフセット(d)を使用して、前記表面に対する修正関数を決定する手段と、
前記パターン生成装置により、前記修正関数を使用して前記表面に前記パターンを書き込む手段と
を有しているパターン生成装置。
【請求項15】
前記勾配を決定する前記手段が、各測定ポイントにおける前記表面の高さの変化を測定する手段を有する、請求項14に記載のパターン生成装置。
【請求項16】
前記表面の高さの変化を測定する手段が、
基準表面を決定する手段と、
各測定ポイントにおける前記基準表面と前記オブジェクトの前記表面との間の高さ(H)を測定する手段と
を有し、
それにより、x−y平面における前記二次元局部オフセット(d)が、測定した高さ(H)、少なくとも1つの隣接する測定ポイントの各々からの前記距離(P)、及び前記オブジェクトの前記厚さ(T)の関数として計算される、請求項15に記載のパターン生成装置。
【請求項1】
フラット・パネル・ディスプレイを製造するためのパターンを有するマスク上にパターンを書き込むための方法であって、
表面を備えた厚さ(T)のオブジェクトをパターン生成装置のステージの上に配置するステップと、
前記表面を多数の測定ポイントに分割するステップであって、隣接する2つの測定ポイントが、所定の最大距離を越えない距離(P)だけ間を隔てられているステップと、
各測定ポイントにおける前記表面の勾配を決定するステップと、
各測定ポイントのx−y平面における二次元局部オフセット(d)を前記勾配及びオブジェクトの前記厚さ(T)の関数として計算するステップと、
前記表面に書き込む前記パターンを、前記二次元局部オフセット(d)を使用して修正するステップと
を含む方法において、
前記パターンを修正するステップが、
各測定ポイントのために計算した前記二次元局部オフセット(d)を使用して、前記表面に対する修正関数を決定するステップと、
前記パターン生成装置により、前記修正関数を使用して前記表面に前記パターンを書き込むステップと
を含んでいる方法。
【請求項2】
前記勾配を決定する前記ステップが、各測定ポイントにおける前記表面の高さの変化を測定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面の高さの変化を測定する前記ステップが、
基準表面を決定するステップと、
各測定ポイントにおける前記基準表面と前記オブジェクトの前記表面との間の高さ(H)を測定するステップと
を含み、
それにより、x−y平面における前記二次元局部オフセット(d)が、測定した高さ(H)、少なくとも1つの隣接する測定ポイントの各々からの前記距離(P)、及び前記オブジェクトの前記厚さ(T)の関数として計算される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記局部オフセット(d)が、式
d=(T×H)/(2×P)
を使用して計算される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記測定ポイントが、x方向に第1の所定のピッチを有し且つy方向に第2の所定のピッチを有する格子構造で配置されている、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記基準表面と前記オブジェクトの前記表面との間の前記高さ(H)が、前記ステージの非一様性、及び/又は前記オブジェクトの一方又は両方の表面の非一様性、及び/又は前記ステージと前記オブジェクトの間に配置される望ましくない物体によるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記望ましくない物体は、トラップされた空気又は粒子である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オブジェクトの頂部表面が前記パターンを担持するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記修正関数は、後続の処理ステップの間、前記露光装置からの予想される変形もまた補償する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フラット・パネル・ディスプレイが、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)又はプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)のグループのうちのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
フラット・パネル・ディスプレイを製造するための、請求項1に定義したパターンを書き込むための方法によって生成されるパターンを有する少なくとも1つのマスクの使用。
【請求項12】
前記フラット・パネル・ディスプレイが、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)又はプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)のグループのうちのいずれかである、請求項11に記載した少なくとも1つのマスクの使用。
【請求項13】
前記フラット・パネル・ディスプレイの異なるシステムの製造を提供するために、請求項1に定義した方法によって生成されるパターンを有する複数のマスクが組み合わされる、請求項11又は請求項12に記載の使用。
【請求項14】
フラット・パネル・ディスプレイを製造するためのパターンを有するマスク上にパターンを書き込むためのパターン生成装置であって、
表面を備えた厚さ(T)のオブジェクトを支持するためのステージであって、前記表面が多数の測定ポイントに分割され、隣接する2つの測定ポイントが、所定の最大距離を越えない距離だけ間を隔てられているステージと、
各測定ポイントにおける前記表面の勾配を決定する手段と、
各測定ポイントのx−y平面における二次元局部オフセット(d)を前記勾配及びオブジェクトの前記厚さ(T)の関数として計算する手段と、
前記表面に書き込む前記パターンを、前記二次元局部オフセット(d)を使用して修正する手段と
を有するパターン生成装置において、
前記パターンを修正する手段が、
各測定ポイントのために計算した前記二次元局部オフセット(d)を使用して、前記表面に対する修正関数を決定する手段と、
前記パターン生成装置により、前記修正関数を使用して前記表面に前記パターンを書き込む手段と
を有しているパターン生成装置。
【請求項15】
前記勾配を決定する前記手段が、各測定ポイントにおける前記表面の高さの変化を測定する手段を有する、請求項14に記載のパターン生成装置。
【請求項16】
前記表面の高さの変化を測定する手段が、
基準表面を決定する手段と、
各測定ポイントにおける前記基準表面と前記オブジェクトの前記表面との間の高さ(H)を測定する手段と
を有し、
それにより、x−y平面における前記二次元局部オフセット(d)が、測定した高さ(H)、少なくとも1つの隣接する測定ポイントの各々からの前記距離(P)、及び前記オブジェクトの前記厚さ(T)の関数として計算される、請求項15に記載のパターン生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【公開番号】特開2009−20523(P2009−20523A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201577(P2008−201577)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【分割の表示】特願2006−537925(P2006−537925)の分割
【原出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(504095793)マイクロニック レーザー システムズ アクチボラゲット (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【分割の表示】特願2006−537925(P2006−537925)の分割
【原出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(504095793)マイクロニック レーザー システムズ アクチボラゲット (50)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]