説明

パーティクル除去方法および基板処理装置

【課題】基板処理装置において基板に付着したパーティクルを効率よく除去できる技術を提供する。
【解決手段】この基板処理装置では、基板Wの周囲にマイクロバブルを供給し、そのマイクロバブルを超音波振動の物理的な衝撃を利用して圧壊する。そして、マイクロバブルの圧壊に伴って発散するエネルギーにより基板からパーティクルを積極的に遊離させる。また、基板から遊離したパーティクルをマイクロバブルに吸着させ、マイクロバブルととも除去する。このため、パーティクルを効率よく除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板等の基板に対して液体による処理を行う基板処理装置において、基板の表面からパーティクルを除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の製造工程において、基板に対して純水や薬液等の液体を供給し、所定の処理を行う基板処理装置が知られている。このような基板処理装置には、主として、処理槽内に貯留した液体に複数の基板を一度に浸漬して処理するバッチ式の基板処理装置と、1枚ずつ保持手段に保持された基板の表面に液体を吐出して処理する枚葉式の基板処理装置とがある。
【0003】
これらの基板処理装置では、基板に付着したパーティクルを適宜に除去する。通常、基板の表面に沿って液流を形成し、その液流の作用によって基板の表面からパーティクルを運搬して除去する。従来の基板処理装置において、基板の表面からパーティクルを除去する技術は、たとえば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平07−326570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の基板処理装置においては、液流の作用によってパーティクルを除去していた。しかしながら、液流の作用のみによってパーティクルを除去する場合には、その除去効率には一定の限界があった。近年においては、基板の処理において許容されるパーティクルのレベルは厳しくなっており、より効率よくパーティクルを除去できる技術が必要となっている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、基板処理装置において基板に付着したパーティクルを効率よく除去できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、液体により基板の処理を行う基板処理装置であって、基板の周囲に液体を供給する液体供給手段と、前記液体にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生手段と、前記液体中のマイクロバブルを圧壊する圧壊手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記圧壊手段は、前記液体へ超音波振動を付与することによりマイクロバブルを圧壊することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記圧壊手段は、前記マイクロバブル発生手段によるマイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の基板処理装置であって、前記圧壊手段は、前記マイクロバブル発生手段によるマイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与と停止とを繰り返すことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1から4までのいずれかに記載の基板処理装置であって、前記液体は常温の純水であり、前記マイクロバブルは窒素ガスのマイクロバブルであり、前記純水中に窒素ガスを30ppm以上の濃度で溶解させる溶解手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1から5までのいずれかに記載の基板処理装置であって、液体を貯留する処理槽と、前記処理槽内の液体に浸漬させた状態で基板を保持する保持手段とをさらに備え、前記液体供給手段が、前記処理槽内へ液体を供給することを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1から5までのいずれかに記載の基板処理装置であって、基板を保持する保持手段をさらに備え、前記液体供給手段が、前記保持手段に保持された基板に液体を供給することを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、基板の表面からパーティクルを除去するパーティクル除去方法であって、基板の周囲に液体を供給する第1の工程と、前記液体にマイクロバブルを発生させる第2の工程と、前記液体中のマイクロバブルを圧壊する第3の工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のパーティクル除去方法であって、前記第3の工程は、前記液体へ超音波振動を付与することによりマイクロバブルを圧壊することを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載のパーティクル除去方法であって、前記第3の工程は、前記第2の工程におけるマイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項10に記載のパーティクル除去方法であって、前記第3の工程は、前記第2の工程におけるマイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与と停止とを繰り返すことを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項8から11までのいずれかに記載のパーティクル除去方法であって、前記液体は常温の純水であり、前記マイクロバブルは窒素ガスのマイクロバブルであり、前記純水中に窒素ガスを30ppm以上の濃度で溶解させる第4の工程をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1〜12に記載の発明によれば、基板の周囲にマイクロバブルを供給し、そのマイクロバブルを圧壊する。そして、マイクロバブルの圧壊に伴って発散するエネルギーにより基板からパーティクルを積極的に遊離させる。このため、基板に付着したパーティクルを効率よく除去できる。
【0020】
特に、請求項2,9に記載の発明によれば、超音波振動の物理的な衝撃を利用してマイクロバブルを圧壊する。このため、簡易な構成で容易にマイクロバブルを圧壊できる。
【0021】
特に、請求項3,10に記載の発明によれば、マイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与を行う。これにより、基板の周囲にマイクロバブルが十分に供給された後に、マイクロバブルが圧壊される。したがって、マイクロバブルの圧壊により発散されるエネルギーが、より効率よく基板に作用する。
【0022】
特に、請求項4,11に記載の発明によれば、マイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与と停止とを繰り返す。これにより、基板の周囲において繰り返しマイクロバブルが圧壊される。したがって、マイクロバブルの圧壊により発散されるエネルギーが、より効率よく基板に作用する。
【0023】
特に、請求項5,12に記載の発明によれば、純水中に窒素ガスを30ppm以上の濃度で溶解させ、その中で窒素ガスのマイクロバブルを発生させる。このため、マイクロバブルはより激しく圧壊される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<1.第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、本発明をバッチ式の基板処理装置に適用した場合の実施形態である。図1は、第1実施形態に係る基板処理装置1を、基板Wと平行な平面で切断した縦断面図である。図1には、併せて配管や制御系の構成も示している。図2は、基板処理装置1を基板Wと垂直な平面で切断した縦断面図である。
【0026】
図1〜図2に示したように、基板処理装置1は、主として処理槽10と、リフタ20と、純水供給系30と、排液系40と、超音波発生部50と、制御部60とを備える。
【0027】
処理槽10は、液体としての純水を貯留するための容器である。処理槽10に貯留した純水に基板Wを浸漬することにより、基板に対して洗浄処理等の処理を行う。処理槽10の底部には吐出部11が設けられており、吐出部11から処理槽10内へ、図1中の矢印に示すように純水が吐出される。また、処理槽10の上面は開放されており、その外側面の上端には、外槽12が設けられている。吐出部11から吐出された純水は、処理槽10内を上方へ向かって流れ、やがて上部の開口から外槽12へオーバーフローする。
【0028】
リフタ20は、リフタヘッド21と保持板22との間に、3本の保持棒23を備えている。保持棒23には複数の保持溝(図示省略)が刻設されており、複数の基板Wはその保持溝上に起立姿勢で保持される。リフタ20には、サーボモータやタイミングベルト等を有するリフタ駆動部24が接続されている。リフタ駆動部24を動作させるとリフタ20は昇降し、複数の基板Wは、処理槽10内の浸漬位置と、処理槽10上方の引き上げ位置との間で移動する。純水により基板Wを処理するときには、リフタ20を降下させて基板Wを処理槽10内へ浸漬し、処理しないときには、リフタ20を上昇させて基板Wを処理槽10の上方へ引き上げておく。
【0029】
純水供給系30は、吐出部11へ純水を供給するための配管系である。純水供給系30は、純水供給源31と、窒素ガス供給源32と、マイクロバブル発生部33と、配管34,35と、開閉弁36,37とを有している。純水供給源31からは配管34がのびており、配管34には開閉弁36が介挿されている。また、窒素ガス供給源32からは配管35がのびており、配管35には開閉弁37が介挿されている。配管35は、開閉弁37より下流側で配管34へ合流する。合流後の配管34は、マイクロバブル発生部33を介して吐出部11へ接続されている。マイクロバブル発生部33は、マイクロメートルオーダーの微小気泡であるマイクロバブルを発生させる装置である。マイクロバブル発生部33は、気液混合ポンプ33aと、旋回加速器33bと、分散器33cとを、配管34に有している。
【0030】
このような構成において、開閉弁36および開閉弁37を開くと、純水および窒素ガスが気液混合ポンプ33aへ導入される。純水と窒素ガスは、気液混合ポンプ33aにおいて混合され、旋回加速器33bへ送られる。旋回加速器33bは、純水と窒素ガスとを加速して旋回させ、気液2層流を形成して、分散器33cへ送り出す。分散器33cは、送り込まれた気液2層流を流体力学的に剪断して、窒素ガスのマイクロバブルを形成する。そして、そのマイクロバブルを含む純水が、吐出部11から処理槽10内へ吐出される。なお、開閉弁37を閉じて開閉弁36のみを開くと、マイクロバブルを含まない純水のみが吐出部11から処理槽10内へ供給される。
【0031】
上記の気液混合ポンプ33a、旋回加速器33b、および分散器33cでは、マイクロバブルを発生させる際に、純水中へ窒素ガスを激しく混合する。このため、窒素ガス供給源32から供給された窒素ガスの一部は、純水中に溶解する。すなわち、この基板処理装置1においては、マイクロバブル発生部33が、純水へ窒素ガスを溶解させる手段としても機能している。
【0032】
排液系40は、外槽12と施設内の排液ラインとを結ぶ配管41を有する。処理槽10から外槽12へオーバーフローした純水は、配管41を通って排液ラインへ排出される。
【0033】
超音波発生部50は、処理槽10の下方に配置された伝搬槽51と、伝搬槽51の底部の裏面に設けられた超音波振動子52とを有している。伝搬槽51には、超音波振動を伝搬するための伝搬液が貯留されている。超音波振動子52を動作させると超音波振動が発生し、その超音波振動は、伝搬槽51底部、伝搬液、処理槽10底部、処理槽10内の純水を順に振動させ、基板Wの表面まで伝搬する。
【0034】
制御部60は、リフタ駆動部24、マイクロバブル発生部33、開閉弁36,37、超音波振動子52等と電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
【0035】
続いて、このような構成を有する基板処理装置1の動作について、以下に説明する。図3は、基板処理装置1による処理の流れを示したフローチャートである。また、図4〜図7は、基板処理装置1による各段階の動作の様子を示した図である。これらの動作は、制御部60が、リフタ駆動部24、マイクロバブル発生部33、開閉弁36,37、超音波振動子52等を制御することにより進行する。
【0036】
基板処理装置1は、まずリフタ20を降下させ、処理槽10内に貯留された純水へ複数の基板Wを浸漬する(ステップS1,図4の状態)。なお、リフタ20を先に降下させ、その後に開閉弁36(図1参照)を開いて処理槽10内へ純水を貯留してもよい。
【0037】
次に、基板処理装置1は、開閉弁36,37(図1参照)を開くとともにマイクロバブル発生部33(図1参照)を動作させる。これにより、純水供給源31(図1参照)から供給される純水中にマイクロバブルが発生する。マイクロバブルを含む純水は、吐出部11から処理槽10内へ吐出され、基板Wの周囲に供給される(ステップS2,図5の状態)。マイクロバブルは気泡径が微小であるため、純水中を通常の気泡よりゆっくりと浮上する。基板Wの周囲は、供給されたマイクロバブルにより、外見上白濁する。なお、マイクロバブルを含む純水の供給は、以下のステップS4が終了するまで継続される。
【0038】
マイクロバブルを含む純水の供給が開始され、所定時間が経過すると、基板処理装置1は超音波振動子52を動作させる。これにより、超音波振動子52から超音波振動が発生し、伝搬液を介して処理槽10内の純水へ超音波振動が付与される(ステップS3,図6の状態)。
【0039】
処理槽10内の純水へ超音波振動が付与されると、超音波振動の物理的な衝撃により、処理槽10内のマイクロバブルが圧壊する。また、吐出部11から吐出される後続のマイクロバブルも、処理槽10内に吐出されると同様に圧壊する。このように、処理槽10内のマイクロバブルは超音波振動が付与されたことにより圧壊して消滅し、白濁していた基板Wの周辺は再び透明化する。
【0040】
純水中においてマイクロバブルが圧壊するときには、マイクロバブルの縮小とともにマイクロバブル内部の圧力が急激に上昇する。このとき、マイクロバブルの内部は断熱圧縮に近い圧縮変化を起こすため、マイクロバブルの内部の温度も急激に上昇する。そして、マイクロバブルは、高温(たとえば数千℃)、高圧(たとえば数千気圧)の微小領域(いわゆるホットスポット)となって消滅する。ステップS3では、このようにして形成されたホットスポットから発散されるエネルギーが基板Wに作用し、基板Wの表面からパーティクルを遊離する。
【0041】
その後、基板処理装置1は、超音波振動子52を停止させる。超音波振動の付与が停止されると、新たに供給されるマイクロバブルは圧壊されず、処理槽10内には再びマイクロバブルが現れる(ステップS4,図5の状態)。マイクロバブルは処理槽10内の純水中をゆっくりと浮上する。基板Wから遊離されて純水中を浮遊しているパーティクルは、マイクロバブルに吸着し、処理槽10の上方へ運搬される。
【0042】
マイクロバブルは各気泡のサイズが微小であるため、全体として広い表面積(気液界面の面積)を有する。このため、純水中に浮遊するパーティクルを効率よく吸着する。また、マイクロバブルは帯電性を有するため、静電的作用によってもパーティクルを引き寄せ、効率よく吸着する。このようにしてパーティクルを吸着したマイクロバブルは、純水とともに処理槽10の上部から外槽12へオーバーフローし、配管41(図1参照)を通って廃液ラインへ排出される。
【0043】
超音波振動の付与が停止され、所定時間が経過すると、マイクロバブル発生部33(図1参照)を停止させるとともに開閉弁36,37を閉じ、マイクロバブルを含む純水の供給を停止する。その後、基板処理装置1は、リフタ20を上昇させ、処理槽10から基板Wを引き上げる(ステップS5,図7の状態)。基板処理装置1における基板Wの処理は、以上で終了する。なお、基板Wを処理槽10の上方に引き上げた状態で、または基板Wを他装置へ搬送した後に、基板Wに対して乾燥処理が行われる。
【0044】
以上のように、この基板処理装置1では、基板Wの周囲にマイクロバブルを供給し、そのマイクロバブルを超音波振動の物理的な衝撃を利用して圧壊する。そして、マイクロバブルの圧壊に伴って発散するエネルギーにより基板Wからパーティクルを積極的に遊離させる。また、基板Wから遊離したパーティクルをマイクロバブルに吸着させ、マイクロバブルととも除去する。このため、パーティクルを効率よく除去できる。
【0045】
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態も、本発明をバッチ式の基板処理装置に適用した場合の実施形態である。図8は、第2実施形態に係る基板処理装置2を、基板Wと平行な平面で切断した縦断面図である。この基板処理装置2は、マイクロバブル発生部71とポンプ72の構成が上記の基板処理装置1と異なり、その他の部位は上記の基板処理装置1と同等である。このため、マイクロバブル発生部71とポンプ72以外の部位については、図8中に図1と同一の符号を付し、以下では重複説明を省略する。基板処理装置2を基板Wと垂直な平面で切断した縦断面図は、図2と同等である。
【0046】
基板処理装置2のマイクロバブル発生部71は、脱気部71aと、ガス溶解部71bと、ヒータ71cとを、配管34に有している。これらの脱気部71a、ガス溶解部71b、ヒータ71cは、制御部60と電気的に接続される。また、ガス溶解部71bは、配管35を介して窒素ガス供給源32と接続されている。
【0047】
このような構成において、開閉弁36を開き、ポンプ72を動作させると、純水供給源31から脱気部71aへ純水が導入される。脱気部71aにおいては、純水中に溶解している余分な気体が減圧等により除去され、脱気後の純水はガス溶解部71bへ送られる。一方、開閉弁37を開くと、窒素ガス供給源32からガス溶解部71bへ、窒素ガスが導入される。ガス溶解部71bにおいては、導入された窒素ガスが、純水中へ加圧溶解される。
【0048】
ガス溶解部71b内は、純水中へ窒素ガスを加圧溶解させるために、高圧環境となっている。しかし、窒素ガス溶解後の純水がガス溶解部71bを出るときには、純水の周囲の圧力は常圧まで低下する。このため、高圧環境のガス溶解部71bにおいて、常圧における飽和溶解濃度以上に窒素ガスを純水へ溶解させると、ガス溶解部71bを出たときの圧力低下により過飽和となり、溶けきれなくなった窒素ガスが微小なマイクロバブルとなって発生する。図9は、常圧(大気圧)における純水に対する窒素ガスの飽和溶解濃度を示している。純水中の窒素ガス濃度が図9の飽和溶解濃度よりも高くなるように、ガス溶解部71bにおいて加圧溶解を行えば、ガス溶解部71bを出たときの圧力低下によって、マイクロバブルが発生することとなる。ここで発生するマイクロバブルの量は、ガス溶解部71bにおける圧力値と、窒素ガスの供給量とによって、調節される。
【0049】
ガス溶解部71bを出た純水は、窒素ガスを溶存するとともに、一部の窒素ガスをマイクロバブルとして含んだ状態で、ヒータ71cへ導入される。ヒータ71cでは、導入された純水が加熱される。図9に示したように、窒素ガスの飽和溶解濃度は、温度の上昇とともに低下する。このため、窒素ガスを溶存した純水は、温度の上昇によって再び過飽和となり、溶けきれなくなった窒素ガスがマイクロバブルとして発生する。ここで発生するマイクロバブルの量は、ヒータの設定温度により調節される。
【0050】
このように、本実施形態のマイクロバブル発生部71では、純水がガス溶解部71bを出るときの圧力低下によって第1の過飽和の状態を作り、第1のマイクロバブルを発生させる。また、ヒータ71cを通過するときの純水の温度の上昇によって第2の過飽和の状態を作り、第2のマイクロバブルを発生させる。この第1および第2のマイクロバブルは、共に発生させるようにしてもよく、一方のみを発生させるようにしてもよい。例えば、純水を加熱することなく供給すべき場合には、ヒータ71cは動作させずに、第1のマイクロバブルのみを発生させてもよい。
【0051】
図8においては、マイクロバブル発生部71の構成要素である脱気部71aおよびガス溶解部71bを、ブロックにより概念的に示した。この脱気部71aおよびガス溶解部71bは、具体的には、図10に示すようなユニット710を利用して実現できる。図10のユニット710は、略円筒形状のケーシング711の中に、その軸心を貫通する送水管712と、送水管712の周囲を取り囲む送気路713とが形成された構成となっている。送水管712と送気路713の内部では、純水と窒素ガスが、それぞれ図中の矢印の向きに流れる。送水管712と送気路713との間は、気体透過性および液体不透過性を有する中空子分離膜714により仕切られている。また、ユニット710の気体導入口715は、圧力計351、レギュレータ352、開閉弁37を介して窒素ガス供給源32と接続され、ユニット710の気体排出口716は、圧力計353、レギュレータ354を介して、真空ポンプへ接続される。圧力計351,353、レギュレータ352,354は、上記の制御部60と電気的に接続される。
【0052】
このようなユニット710では、開閉弁37を開け、圧力計351,353の出力に基づいてレギュレータ352,354を制御すると、送気路713を流れる窒素ガスの圧力を調節することができ、ケーシング711内を加減圧できる。ケーシング711内を減圧した場合には、送水管712を流れる純水から余分な気体が過飽和となって析出し、その気体は中空子分離膜714を通って送気路713へ流出する。一方、ケーシング711内を加圧した場合には、送気路713を流れる窒素ガスが、中空子分離膜714を通って送水管712内の純水中へ加圧溶解する。
【0053】
すなわち、このユニット710は、ケーシング711内を減圧した場合には、上記の脱気部71aとして使用でき、ケーシング711内を加圧した場合には、上記のガス溶解部71bとして使用できる。
【0054】
この基板処理装置2は、マイクロバブル発生部71の構成が上記のように第1実施形態とは異なるものの、第1実施形態と同様に基板の処理を行う。すなわち、図3および図4〜図7に示したように、基板Wを処理槽10内の純水へ浸漬した後(ステップS1)、処理槽10内にマイクロバブルを含む純水を供給し(ステップS2)、所定時間後に処理槽10内の純水へ超音波振動を付与し(ステップS3)、超音波振動を停止して(ステップS4)、処理槽10から基板Wを引き上げる(ステップS5)。
【0055】
したがって、この基板処理装置2においても、基板Wの周囲に供給されたマイクロバブルを超音波振動によって圧壊する。そして、マイクロバブルの圧壊に伴って発散するエネルギーにより基板Wからパーティクルを積極的に遊離させる。また、基板Wから遊離したパーティクルをマイクロバブルに吸着させ、マイクロバブルとともに除去する。このため、パーティクルを効率よく除去できる。
【0056】
図11は、上記の基板処理装置2において、マイクロバブルの圧壊現象について調査した結果を示した図である。この調査は、ガス溶解部71bにおいて純水に加圧溶解させる窒素ガスの濃度を変え、そのときの処理槽10内におけるマイクロバブルの圧壊を観察して評価したものである。なお、純水の温度は常温(20〜30℃)の範囲で調査を行った。この調査によると、窒素ガスの溶解濃度を23.0ppm以下としたときには、マイクロバブルの圧壊は肉眼で観察できない程度のものであった。しかしながら、窒素ガスの溶解濃度を30.0ppm以上としたときには、マイクロバブルにより白濁した処理槽10内の純水が明確に透明化するほど、マイクロバブルが激しく圧壊した。この結果より、ガス溶解部71bにおいて所定値以上に窒素ガスを加圧溶解させたときにマイクロバブルが激しく圧壊することが判り、その所定値は23.0ppmから30.0ppmまでの値であることが判った。今回の結果からは、窒素ガスの溶解濃度を少なくとも30.0ppm以上とすれば、マイクロバブルは激しく圧壊することが判った。
【0057】
図12は、上記の基板処理装置2において、処理前後における基板Wからのパーティクル除去率を調査した結果である。この調査においては、ステップS3の超音波振動の付与を省略した場合(条件1)と、ステップS3の超音波振動の付与を行った場合(条件2)とで、それぞれ基板Wからのパーティクルの除去率を評価した。なお、いずれの条件においても、ガス溶解部71bにおける窒素ガスの溶解濃度は30.0ppmとし、純水の温度は常温とした。したがって、条件2においては、超音波振動によってマイクロバブルが激しく圧壊した。また、除去対象のパーティクルとしては、非常に除去困難なナイトライドシリコン(SiN)を使用した。条件1の結果と条件2の結果とを比較すると、条件1における除去率が0.0%であるのに対し、条件2における除去率は39.6%と飛躍的に向上した。これにより、超音波振動を付与してマイクロバブルを圧壊すると、パーティクルの除去率が向上することが確認された。
【0058】
<3.第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、本発明を枚葉式の基板処理装置に適用した場合の実施形態である。図13は、第3実施形態に係る基板処理装置3の縦断面図である。図13には、併せて配管や制御系の構成も示している。
【0059】
図13に示したように、基板処理装置3は、主として基板保持部110と、純水吐出部120と、純水供給系130と、純水回収部140と、制御部150とを備える。
【0060】
基板保持部110は、円板形状のベース部材111と、その上面に立設した複数のチャックピン112とを有する。チャックピン112は、円形の基板Wを保持するために、ベース部材111の周縁部に沿って3箇所以上設けられている。基板Wは、複数のチャックピン112の基板支持部112a上に載置され、外側面をチャック部112bに押圧されて、保持される。ベース部材111の下面側中心部には、回転軸113が垂設されている。回転軸113の下端は電動モータ114に連結されており、電動モータ114を駆動させると、回転軸113、ベース部材111、およびベース部材111上に保持された基板Wは、一体的に回転する。
【0061】
純水吐出部120は、基板Wの上面に純水を吐出するためのノズル121を有する。ノズル121の上部には超音波振動子122が貼付されており、超音波振動子122を動作させると、ノズル121内の純水に超音波振動が付与される。ノズル121は、リンク部材123を介して回転軸124に接続され、回転軸124の下端は電動モータ125に連結されている。このため、電動モータ125を駆動させると、回転軸124、リンク部材123、およびノズル121は、一体的に回動し、ノズル121は、基板Wの中心部から周縁部に至る各部に対して、純水を吐出可能となる。
【0062】
純水供給系130は、純水吐出部120へ純水を供給するための配管系である。純水供給系130は、純水供給源131と、窒素ガス供給源132と、マイクロバブル発生部133と、配管134,135と、開閉弁136,137とを有している。純水供給源131からは配管134がのびており、配管134には開閉弁136が介挿されている。また、窒素ガス供給源132からは配管135がのびており、配管135には開閉弁137が介挿されている。配管135は、開閉弁137の先で配管134へ合流する。合流後の配管134は、マイクロバブル発生部133を介してノズル121へ接続されている。なお、配管134は、少なくともノズル121近傍においては可撓性を有する部材により構成され、ノズル121の回動に追従できる構成となっている。
【0063】
マイクロバブル発生部133は、マイクロメートルオーダーの微小気泡であるマイクロバブルを発生させる装置である。マイクロバブル発生部133の構成は、第1実施形態のマイクロバブル発生部33と同等であり、気液混合ポンプ133aと、旋回加速器133bと、分散器133cとを、配管134に有している。
【0064】
このような構成において、開閉弁136および開閉弁137を開くと、純水および窒素ガスが気液混合ポンプ133aへ導入される。純水と窒素ガスは、気液混合ポンプ133aにおいて混合され、旋回加速器133bへ送られる。旋回加速器133bは、純水と窒素ガスとを加速して旋回させ、気液2層流を形成して、分散器133cへ送り出す。分散器133cは、送り込まれた気液2層流を流体力学的に剪断して、窒素ガスのマイクロバブルを形成する。そして、そのマイクロバブルを含む純水が、ノズル121から基板Wの上面へ吐出される。なお、開閉弁137を閉じて開閉弁136のみを開くと、マイクロバブルを含まない純水のみが基板Wの上面へ供給される。
【0065】
上記の気液混合ポンプ133a、旋回加速器133b、および分散器133cでは、マイクロバブルを発生させる際には、純水中へ窒素ガスを激しく混合する。このため、窒素ガス供給源132から供給された窒素ガスの一部は、純水中に溶解する。すなわち、この基板処理装置3においては、マイクロバブル発生部133が、純水へ窒素ガスを溶解させる手段としても機能している。
【0066】
純水回収部140は、ベース部材111上に保持された基板Wの周囲を取り囲むガード部材141を備えている。ガード部材141は、内方にくの字形に開いた断面形状を有しており、基板Wから周囲に飛散した純水を、内壁面に受けるようになっている。ガード部材141の底面の一部には排液口142が設けられている。ガード部材141に受けられた純水は、ガード部材141の内壁面を伝って排液口142から排液ラインへ排出される。
【0067】
制御部150は、チャックピン112、電動モータ114,125、超音波振動子122、マイクロバブル発生部133、開閉弁136,137等と電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
【0068】
続いて、このような構成を有する基板処理装置3の動作について、以下に説明する。図14は、基板処理装置3による処理の流れを示したフローチャートである。また、図15〜図17は、基板処理装置3による各段階の動作の様子を示した図である。これらの動作は、制御部150が、チャックピン112、電動モータ114,125、超音波振動子122、マイクロバブル発生部133、開閉弁136,137等を制御することにより進行する。
【0069】
基板処理装置3は、まず基板Wをベース部材111上に載置し、チャックピン112により基板Wを把持する。そして、電動モータ114を駆動させ、ベース部材111とともに基板Wを回転させる(ステップS11,図15の状態)。
【0070】
次に、基板処理装置3は、開閉弁136,137(図13参照)を開くとともにマイクロバブル発生部133(図13参照)を動作させる。これにより、純水供給源131(図13参照)から供給される純水中にマイクロバブルが発生する。マイクロバブルを含む純水は、ノズル121から基板Wの上面に供給される(ステップS12,図16の状態)。基板Wの上面に供給された純水は、基板Wの回転に伴う遠心力によって外方へ振り切られ、ガード部材141(図13参照)へ受けられた後、排液口142(図13参照)を経由して廃液ラインへ排出される。なお、マイクロバブル発生部133は、以下のステップS4が終了するまでマイクロバブルの発生を継続し、マイクロバブルを含む純水をノズル121へ供給し続ける。
【0071】
マイクロバブルを含む純水の供給が開始され、所定時間が経過すると、基板処理装置3は超音波振動子122を動作させる。これにより、超音波振動子122から超音波振動が発生し、ノズル121から吐出される純水に超音波振動が付与される(ステップS13,図17の状態)。超音波振動子122から超音波振動が付与されると、超音波振動の物理的な衝撃により、純水中のマイクロバブルが圧壊する。また、ノズル121へ供給される後続のマイクロバブルも、超音波振動の衝撃を受けて同様に圧壊する。このように、ノズル121内および基板Wの上面に供給されたマイクロバブルは、超音波振動が付与されたことにより圧壊して消滅する。
【0072】
純水中においてマイクロバブルが圧壊するときには、マイクロバブルの縮小とともにマイクロバブル内部の圧力が急激に上昇する。このとき、マイクロバブルの内部は断熱圧縮に近い圧縮変化を起こすため、マイクロバブルの内部の温度も急激に上昇する。そして、マイクロバブルは、高温(たとえば数千℃)、高圧(たとえば数千気圧)の微小領域(いわゆるホットスポット)となって消滅する。ステップS13では、このようにして形成されたホットスポットから発散されるエネルギーが基板Wに作用し、基板Wの表面からパーティクルを遊離する。
【0073】
その後、基板処理装置3は、超音波振動子122を停止させる。超音波振動の付与が停止されると、新たに供給されるマイクロバブルは圧壊されず、基板Wの上面に供給される純水中には、再びマイクロバブルが現れる(ステップS14,図16の状態)。基板Wの表面には、マイクロバブルを含む純水の外方へ向かう流れが形成されている。このため、基板Wの表面から遊離したパーティクルは、マイクロバブルに吸着し、マイクロバブルとともに外方へ運搬される。
【0074】
マイクロバブルは各気泡のサイズが微小であるため、全体として広い表面積(気液界面の面積)を有する。このため、純水中に浮遊するパーティクルを効率よく吸着する。また、マイクロバブルは帯電性を有するため、静電的作用によってもパーティクルを引き寄せ、効率よく吸着する。このようにして、パーティクルは、マイクロバブルとともに外方へ振り切られ、ガード部材141(図13参照)を経て廃液ラインへ排出される。
【0075】
超音波振動の付与が停止され、所定時間が経過すると、マイクロバブル発生部133(図13参照)を停止させるとともに開閉弁136,137(図13参照)を閉じ、マイクロバブルを含む純水の供給を停止する。そして、電動モータ114の回転数を上げ、基板Wを高速回転する。これにより、基板Wの上面に残存する純水を外方へ振り切って、基板Wを乾燥させる(ステップS15)。以上で、基板処理装置3における基板Wの処理は終了する。
【0076】
以上のように、この基板処理装置3では、基板Wの表面に供給されるマイクロバブルを超音波振動の物理的な衝撃を利用して圧壊する。そして、マイクロバブルの圧壊に伴って発散するエネルギーにより基板Wからパーティクルを積極的に遊離させる。また、基板Wから遊離したパーティクルをマイクロバブルに吸着させ、マイクロバブルととも除去する。このため、パーティクルを効率よく除去できる。
【0077】
<4.第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態も、本発明を枚葉式の基板処理装置に適用した場合の実施形態である。図18は、第4実施形態に係る基板処理装置4の縦断面図である。この基板処理装置4は、マイクロバブル発生部161およびポンプ162の構成が上記の基板処理装置3と異なり、その他の部位は上記の基板処理装置3と同等である。このため、マイクロバブル発生部161とポンプ162以外の部位については、図18中に図13と同一の符号を付し、以下では重複説明を省略する。
【0078】
基板処理装置4のマイクロバブル発生部161は、第2実施形態のマイクロバブル発生部71と同等の構成であり、脱気部161aと、ガス溶解部161bと、ヒータ161cとを、配管134上に有している。これらの脱気部161a、ガス溶解部161b、ヒータ161cは、上記の制御部150と電気的に接続される。また、ガス溶解部161bは、配管135を介して窒素ガス供給源132と接続されている。
【0079】
マイクロバブル発生部161は、第2実施形態のマイクロバブル発生部71と同じように、マイクロバブルを発生させる。すなわち、純水がガス溶解部161bを出るときの圧力低下によって第1の過飽和の状態を作り、第1のマイクロバブルを発生させる。また、ヒータ161cを通過するときの純水の温度の上昇によって第2の過飽和の状態を作り、第2のマイクロバブルを発生させる。なお、マイクロバブル発生部161の構成要素である脱気部161aおよびガス溶解部161bも、図10に示すようなユニット710を利用することができる。
【0080】
この基板処理装置4は、マイクロバブル発生部161の構成が上記のように第3実施形態とは異なるものの、第3実施形態と同様に基板の処理を行う。すなわち、図14および図15〜図17に示したように、基板Wを回転させ(ステップS11)、基板Wの上面にマイクロバブルを含む純水を供給し(ステップS12)、所定時間後に純水へ超音波振動を付与し(ステップS13)、超音波振動を停止して(ステップS14)、基板Wを乾燥させる(ステップS15)。
【0081】
したがって、この基板処理装置4においても、基板Wの表面に供給されるマイクロバブルを超音波振動によって圧壊する。そして、マイクロバブルの圧壊に伴って発散するエネルギーにより基板Wからパーティクルを積極的に遊離させる。また、基板Wから遊離したパーティクルをマイクロバブルに吸着させ、マイクロバブルとともに除去する。このため、パーティクルを効率よく除去できる。
【0082】
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の例に限定されるものではない。たとえば、上記の基板処理装置1または2は、図19に示したような手順で処理を行ってもよい。図19の処理においては、超音波振動を停止し(ステップS4)、所定時間経過した後に、再び超音波振動を付与する(ステップS3)。そして、このような超音波振動の付与と停止とを、所定回数繰り返して実行する。このようにすれば、超音波振動を停止したときには、処理槽10内の基板Wの周りにマイクロバブルが供給され、超音波振動を付与したときには、基板Wの周囲に存在するマイクロバブルが圧壊される。したがって、基板Wの周囲において繰り返しマイクロバブルが圧壊されることとなり、圧壊により発散されるエネルギーをより効率よく基板Wに作用させることができる。
【0083】
同様に、上記の基板処理装置3または4は、図20に示したような手順で処理を行ってもよい。図20の処理においては、超音波振動を停止し(ステップS14)、所定時間経過した後に、再び超音波振動を付与する(ステップS3)。そして、このような超音波振動の付与と停止とを、所定回数繰り返して実行する。このようにすれば、超音波振動を停止したときには、基板Wの表面にマイクロバブルが供給され、超音波振動を付与したときには、基板Wの表面になるべく近い位置でマイクロバブルが圧壊される。したがって、基板Wの表面に近い位置においてマイクロバブルが繰り返し圧壊されることとなり、圧壊により発散されるエネルギーをより効率よく基板Wに作用させることができる。
【0084】
また、上記の各実施形態では、マイクロバブルを圧壊するために、超音波振動の衝撃を利用した。しかしながら、他の手段を利用してマイクロバブルに物理的な刺激を与え、マイクロバブルを圧壊してもよい。たとえば、水中放電により発生する衝撃波を利用してマイクロバブルを圧壊させてもよい。また、純水の流動により生じる圧縮や膨張を利用してマイクロバブルを圧壊させてもよい。
【0085】
また、上記の各実施形態では、基板処理装置1〜4の動作について、パーティクルの除去処理に関する動作のみを説明したが、本発明の基板処理装置は、他の種々の動作も行うように構成されていてもよい。
【0086】
また、上記の各実施形態では、基板Wへ供給する液体が純水である場合について説明したが、基板Wへ供給する液体は他の液体であってもよい。
【0087】
また、上記の各実施形態では、液体へ溶解させる気体と、マイクロバブルを構成する気体が、いずれも窒素ガスである場合について説明したが、二酸化炭素やオゾンなどの他の気体を利用してもよい。
【0088】
また、上記の第1実施形態および第2実施形態では、外槽へオーバーフローした純水を排液ラインへ排出する場合について説明したが、外槽へオーバーフローした純水からマイクロバブルおよびパーティクルを除去し、再び処理槽10内へ循環させる構成であってもよい。そのような構成とすれば、使用する純水の量を節約しつつ、パーティクルの除去を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1実施形態に係る基板処理装置を、基板と平行な平面で切断した縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る基板処理装置を、基板と垂直な平面で切断した縦断面図である。
【図3】第1実施形態に係る処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係る基板処理装置の動作の様子を示した図である。
【図5】第1実施形態に係る基板処理装置の動作の様子を示した図である。
【図6】第1実施形態に係る基板処理装置の動作の様子を示した図である。
【図7】第1実施形態に係る基板処理装置の動作の様子を示した図である。
【図8】第2実施形態に係る基板処理装置を、基板と平行な平面で切断した縦断面図である。
【図9】純水に対する窒素ガスの飽和溶解濃度を示したグラフである。
【図10】脱気部またはガス溶解部として利用可能なユニットを示した図である。
【図11】マイクロバブルの圧壊現象について調査した結果を示した図である。
【図12】基板からのパーティクルの除去率を調査した結果を示した図である。
【図13】第3実施形態に係る基板処理装置の縦断面図である。
【図14】第3実施形態に係る処理の流れを示したフローチャートである。
【図15】第3実施形態に係る基板処理装置の動作の様子を示した図である。
【図16】第3実施形態に係る基板処理装置の動作の様子を示した図である。
【図17】第3実施形態に係る基板処理装置の動作の様子を示した図である。
【図18】第4実施形態に係る基板処理装置の縦断面図である。
【図19】変形例に係る処理の流れを示したフローチャートである。
【図20】変形例に係る処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1,2,3,4 基板処理装置
10 処理槽
11 吐出部
12 外槽
20 リフタ
30,130 純水供給系
33,71,133,161 マイクロバブル発生部
33a,133a 気液混合ポンプ
33b,133b 旋回加速器
33c,133c 分散器
50 超音波発生部
52,122 超音波振動子
60,150 制御部
71a,161a 脱気部
71b,161b ガス溶解部
71c,161c ヒータ
110 基板保持部
120 純水吐出部
121 ノズル
710 ユニット
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体により基板の処理を行う基板処理装置であって、
基板の周囲に液体を供給する液体供給手段と、
前記液体にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生手段と、
前記液体中のマイクロバブルを圧壊する圧壊手段と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記圧壊手段は、前記液体へ超音波振動を付与することによりマイクロバブルを圧壊することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記圧壊手段は、前記マイクロバブル発生手段によるマイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記圧壊手段は、前記マイクロバブル発生手段によるマイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与と停止とを繰り返すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記液体は常温の純水であり、
前記マイクロバブルは窒素ガスのマイクロバブルであり、
前記純水中に窒素ガスを30ppm以上の濃度で溶解させる溶解手段をさらに備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載の基板処理装置であって、
液体を貯留する処理槽と、
前記処理槽内の液体に浸漬させた状態で基板を保持する保持手段とをさらに備え、
前記液体供給手段は、前記処理槽内へ液体を供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれかに記載の基板処理装置であって、
基板を保持する保持手段をさらに備え、
前記液体供給手段は、前記保持手段に保持された基板に液体を供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
基板の表面からパーティクルを除去するパーティクル除去方法であって、
基板の周囲に液体を供給する第1の工程と、
前記液体にマイクロバブルを発生させる第2の工程と、
前記液体中のマイクロバブルを圧壊する第3の工程と、
を含むことを特徴とするパーティクル除去方法。
【請求項9】
請求項8に記載のパーティクル除去方法であって、
前記第3の工程は、前記液体へ超音波振動を付与することによりマイクロバブルを圧壊することを特徴とするパーティクル除去方法。
【請求項10】
請求項9に記載のパーティクル除去方法であって、
前記第3の工程は、前記第2の工程におけるマイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与を行うことを特徴とするパーティクル除去方法。
【請求項11】
請求項10に記載のパーティクル除去方法であって、
前記第3の工程は、前記第2の工程におけるマイクロバブルの発生が開始され、所定時間が経過した後に、超音波振動の付与と停止とを繰り返すことを特徴とするパーティクル除去方法。
【請求項12】
請求項8から11までのいずれかに記載のパーティクル除去方法であって、
前記液体は常温の純水であり、
前記マイクロバブルは窒素ガスのマイクロバブルであり、
前記純水中に窒素ガスを30ppm以上の濃度で溶解させる第4の工程をさらに含むことを特徴とするパーティクル除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−310456(P2006−310456A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129606(P2005−129606)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】