説明

パーティクル除去方法及び組成物

半導体ウェハ、ハードディスク、フォトマスク又はインプリントモールドなどの電子基板を清浄化するための方法及び清浄液。この方法は、基板の表面を、ポリホスフェートからなる清浄液に接触させる工程と、続いて、この清浄液を先の表面から除去する工程とを含んでいる。追加の任意の工程は、清浄液が先の表面に接触している状態で、この清浄液に音響エネルギーを加える工程と、先の表面を、リンス液を用いて、音響エネルギーを加えて又は加えずにリンスすることによって、先の表面から清浄液を除去する工程を含んでいる。洗浄液は、あらゆる水溶性ポリホスフェートなどのポリホスフェートを含んでいる。用途に応じて、清浄液は、塩基又は多量の懸濁粒子を更に含んでもよい。錯化剤、アミン、殺生剤及び/又は他物質をこの清浄液に更に添加してもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
背景情報
現在習慣的に行われているように、パーティクル除去は、通常、機械的及び化学的なメカニズムの組み合わせによって達成される。パーティクルを基板(substrate)から除去するための6つの主な機械的な方法、(1)ブラシスクラビング、(2)液体中に浸漬させるか又は液体で被覆して行うメガ音波(megasonic)又は超音波振動、(3)高圧の水、即ち一般的に言うと液体ジェット、(4)エアロゾル(気体環境中にある加速された液滴)のジェットボンバード(bombardment)、(5)ポリッシング又はバフィング(buffing)及び(6)アイスブラスト又はアイスボンバード、即ちより一般的に言うと固体パーティクル又は固体ペレットボンバードがある。
【0002】
多くのウェハ又はハードディスクの製造(fabs)では、パーティクルをスクラビングする又は除去するために、スクラバとしばしば呼ばれる特別な専用ツールが使用される。多くのこのようなスクラバでは、上述の6つの機械的パーティクル除去方法の1つ又は組み合わせが、単に、室温であるか又は時には加熱されているDI(脱イオン)水を用いて使用される。時々、除去効率を高めるために、薬品が添加され得る。通常、パーティクルを除去するためのこれら6つの機械的方法のうちの1つ又は幾つかは、所謂清浄化ツールにおいても使用される。清浄化ツールは、通常、パーティクルを除去するためのこれら6つの機械的方法のうちの1つが、単なるDI水の代わりに薬品と組み合わされて、機械的方法及び化学的方法の双方を組み合わせた方法でパーティクルを除去し、通常、清浄化ツールでは、パーティクル除去に加えて他の機能も果たされる点でスクラバとは異なっている。例えば、金属不純物、有機不純物、及び、更には、Si34、SiO2、ポリSi、Ni、Co、Ti、TiN又は他の層のウェットエッチング、及び、フォトレジストのウェットストリッピングが、清浄化ツールにおいて行われ得る。
【0003】
ハードディスク用のスクラバ又は清浄化ツールでは、ハードディスク媒体を清浄化するのに、超音波、メガ音波及びブラシの組み合わせが通常使用される。このようなハードディスクからのパーティクルの除去のために、種々の薬品が添加される。ウェハ用の清浄化ツールにおいて、パーティクルを除去するための最も普及している組み合わせは、メガ音波振動と、NH4OH、H22及びH2Oの液体混合物との組み合わせであり、ここでは、ウェハは、この液体混合物中に浸漬させられるか又はこれで被覆される。半導体産業において一般に使用されるメガ音波システムは、1MHz(1メガヘルツ)近傍又は約1MHzの周波数を使用する。
【0004】
メガ音波の発明以前は、超音波が使用されていた。超音波は、20kHz乃至約120kHzの範囲内にある周波数を有している。しかしながら、超音波は、20kHz乃至約120kHzの範囲内にある周波数でのダメージの可能性のせいで、メガ音波の発明以来、半導体基板に対しては滅多に使用されていない。それ故に、1MHz近傍又は約1MHzの周波数を有するメガ音波が、半導体基板に関する現在の最新技術である。ハードディスク産業では、40kHzから1MHzまでの全域に亘って様々な周波数が使用される。ハードディスク産業では、かなり頻繁に、約400kHzの周波数が使用されている。
【0005】
特に半導体ウェハに対するパーティクル除去のための最も一般的なシステムは、メガ音波と共に使用されるNH4OH、H22及びH2Oの液体混合物である。これは、1965年にRCA社においてW.A. Kern及びD.A. Puotinenによって最初に開発され、1970年にRCA Rev., 31, pp.187-206 (1970)において発表された、所謂RCA洗浄シーケンスの一部である。伝統的なRCA洗浄シーケンスは、SC−1工程(標準洗浄−1(Standard Clean-1)工程)及びSC−2工程(標準洗浄−2(Standard Clean-2)工程)の2つの工程からなる。具体的に言うと、このRCAシーケンスのパーティクル除去作用は、RCA洗浄サイクルのSC−1工程によって果たされる。また、SC−1は、APM(アンモニア過酸化物混合物)工程と呼ばれることもある。SC−1工程(標準洗浄−1)は、主に、パーティクルを除去することを狙いとしており、SC−2工程(標準洗浄−2)は、主に、金属汚染物質を除去することを狙いとしている。SC−1工程は、当初は、NH4OH(NH3−wとして28%の濃度)/H22(H22−wとして31%の濃度)/DI(脱イオン)水の70℃の1/1/5混合物からなる。混合比及び温度の双方に関して、このレシピには多くの変形があった。
【0006】
半導体産業におけるこのパーティクル除去工程の重要性のおかげで、このパーティクル除去工程のメカニズムに関する多くの研究が為されてきた。この化学作用は、機械的パーティクル除去メカニズムを追加せずとも使用され得る。この化学作用に追加される機械的パーティクル方法がない場合、及び、それ故に、パーティクル除去が化学的な接触によってのみ達成される場合、この接触化学作用は、単に、パーティクルのアンダーエッチングによってパーティクルを除去するということが、現在、広く受け入れられている。“Removal of Particles on Si Wafers in SC-1 Solution,” IEICE Trans. Electron., Vol. E77-C, No. 3, March 1994, p. 492.というこのメカニズムに関する特に優れた刊行物が、Hiroyuki Kawahara, K. Yoneda, I. Murozono及びT. Tokokoroによって書かれた。
【0007】
アンダーエッチング理論は、以下の通りである。通常、ウェハ又はフォトマスク又はインプリントモールド又はハードディスク基板上で、制御された量の表層が、清浄化化学作用により、基板の表面全体に亘って均一に除去又はエッチングされる。この表層をエッチングする際、パーティクルの下にある材料もエッチングによって取り除かれ、このエッチングは、パーティクルを表面から遊離させる。その後、このパーティクルは、洗い流される。
【0008】
化学的手段によるパーティクルの除去に関する現在の最新技術はアンダーカットエッチングのみに基づいており、エッチングは温度と共に増進するので、今まで、誰もが、パーティクル除去効率は温度と共に高まると認めていた。例えば、M. Meurisらは、Microcontamination, May 1992, p. 31において、温度のエッチング速度に対する効果を示した。それ故に、SC−1溶液は、通常、高められた温度で使用される。また、より高い薬品濃度を使用することによっても、増進されたエッチングを達成することができる。エッチングがデバイス又は基板にとって過剰になりそうな場合には、温度が下げられる場合があるが、同時にパーティクル除去効率も低減される。
【0009】
従来技術では、如何なる機械的パーティクル除去方法も用いずにSC−1溶液が使用される場合、使用される温度は、常に、室温から約80℃までの範囲にある。化学的アンダーカットに基づかず、代わりに機械的方法に基づいてパーティクルを除去する場合には、高温は必要ない。例えば、SC−1をメガ音波と共に使用してパーティクルを除去する場合、SC−1も如何なる代わりの高pH化学作用も、単に、パーティクルが再付着するのを防ぐことにしか貢献しない。メガ音波を使用する場合、パーティクルは、メガ音波振動によりキャビテーション事象が形成されることによって除去され、高pHのSC−1化学作用又は代わりの高pH化学作用によって、表面への再付着が妨げられる。
【0010】
メガ音波はキャビテーションに基づいてパーティクルを除去するため及びキャビテーションはそれほど温度依存性ではなく、溶存ガスに非常に依存するために、組み合わされたメガ音波及びSC−1は、ガスが存在していないときにはパーティクルを除去しないことが分かっている。溶存ガスの存在なしにキャビテーションを発生させること、所謂真空キャビテーションも可能だが、これは、非常に高い出力レベルにおいてのみ可能である。それ故、標準的な出力レベル、典型的には10−100Wでは、溶存ガスが存在しない場合には気体のキャビテーションはなく、それ故に、溶存したガスがない状態でメガ音波を使用する場合、事実上、パーティクル除去効率は存在しない。R. Gouk, J. Blocking, S. Verhaverbekeの“Effects of Cavitation and Dissolved Gas Content on Particle Removal in Single Wafer Wet Processing”, in Proceedings of Semiconductor Pure Water and Chemicals Conference (SPWCC) 2004, Santa Clara, CA, 2004において、925kHzであって0.15W/cm2までの出力レベル(300mmのウェハでは100Wに対応する)の場合、30ppbO2の溶存ガスレベルでは、パーティクル除去効率は全く存在しないことが示されている。0.3W/cm2(200W)の出力レベルからのみ、パーティクル除去効率が非ゼロ(20%)となり始める。しかしながら、単に100Wでも、溶存ガス(この場合O2)が300ppbである場合、パーティクル除去効率は90%である。これは、溶存ガスバブルのキャビテーションによる、溶存ガスのパーティクル除去効率に対する効果を明らかに示している。
【0011】
現在、清浄化パラドックスが持ち上がっている。メガ音波振動は、パーティクルを除去することにとって及び非常に広い温度範囲に亘って良好な効果を示すが、メガ音波が生み出し、パーティクルを除去するのに使用されるキャビテーションはまた、ウェハ、フォトマスク及びインプリントモールド上の微細なパターンにダメージを与え、更には、先端のハードディスクは、パターン化表面を使用し始めている。実際、半導体製造及びハードディスク製造の先端技術におけるウェハ、フォトマスク、インプリントモールド及びハードディスク上のパターンは、非常に小さくなっているため、非常に壊れ易く、機械的ダメージを非常に受け易い。これは、ウェハ上のパターンのサイズが、幅又は少なくとも1つの寸法において、0.3マイクロメートルより小さいサイズへと縮小したときに、問題となり始めた。最初、この問題は、メガ音波の出力を低くすることによって対処されたが、現在、パターンのサイズは1つの寸法において22nm程度の小ささであることもあり、あらゆるメガ音波出力が、より正確に言えばあらゆるキャビテーションが、このようなパターンを破壊するであろう。
【0012】
それ故に、壊れ易い構造体にダメージを与えることなく、ウェハの前面から小さなパーティクルを除去する新たな方法が必要である。しかしながら、これらデバイスは、アンダーエッチングがこのデバイスの表面から役立つ材料を除去し、それによりデバイスの特性が低下するほど小さいので、壊れ易い構造体にダメージを与えないアンダーエッチングメカニズムであっても使用することができない。これが、我々が直面している現在の清浄化パラドックスである。
【0013】
これは、現世代の小さなデバイスが、上面の極めて近傍に能動素子領域を有しているからである。これは、半導体ウェハ及びこのようなウェハ上に作られるデバイスの場合について、F. Arnaud, H. Bernard, A. Beverina, E.El-Frahane, B. Duriez, K. Barla及びD. Levy著、“Advanced Surface Cleaning Strategy for 65 nm CMOS device Performance Enhancement”, Solid State Phenomena Vols. 103-104 (April 2005) pp. 37-40という刊行物において、非常に明確に示されている。この刊行物において、F. Arnaudらは、アンダーエッチングを減少させることがトランジスタ特性を高めることを、明確に示している。従って、機械的なパーティクル除去は、それはまた微細なパターンにダメージを与えるため、小さなパーティクルの除去には使用することができないということと、アンダーエッチングによる従来の化学的パーティクル除去は、デバイスの重要な部分である表面材料の損失のため使用することができないということとは、小さなパターンを清浄化する際のパラドックスである。
【0014】
基板が完全に平坦であり、ダメージが主要な関心事ではない場合であっても、非常に小さなパーティクルに対しては、機械的方法はもはや効率的ではないということが分かっている。限定されるわけではないが、ブラシスクラビング、スプレーエアロゾルボンバード並びに超音波及びメガ音波振動などのパーティクルを除去するための機械的方法は、大きなパーティクルに対しては非常に有効であるが、非常に小さなパーティクルに対しては緩効率(loose efficiency)である。そのため、パターンを持たない基板に対しても、これら非常に小さなパーティクルを除去するための改善された化学的方法が必要である。これは、ハードディスク及びCMP(機械的化学的研磨)後のウェハに対しても真である。
【0015】
汚染物質を基板から除去するための、長い年月に亘って知られている他の技術は、ポリッシング又はバフィングである。この技術は、広範な産業において、全体的に付着した材料の層などの肉眼で見える(gross)汚染物質を概して平坦な表面から除去するのに、一般的に使用されている。半導体及びハードディスク産業において、粒子含有スラリーを用いたポリッシング及び清浄化は、平坦な表面に対して広く使用されており、長い年月に亘って知られている。これは、一般には、硬質粒子を含んだ薬品又はスラリーを用いて行われる。特に普及している粒子源は、米国特許第4050954号に示されているようにシリカである。このようなシリカ含有薬品が少なくとも1970年代初頭から半導体基板をポリッシングするのに使用されてきたとしても、このようなシリカ含有薬品の、特に清浄化のための使用が知られるようになったのは、1990年代になってからである。半導体ウェハを清浄化するためのシリカ粒子含有薬品の使用に関する従来技術の報告の1つは、米国特許第5846335号である。
【0016】
纏めると、清浄化に関する従来技術は、露出した壊れ易い構造を有する表面から、この壊れ易い構造にダメージを与えることなく、固着した(tenaciously adhered)パーティクルなどのパーティクルを極めて効率的に除去する方法を提供するものではない。半導体産業及びハードディスク産業には、微細なパターンにダメージを与えることなく及び表面材料を実質的にアンダーエッチングすることなく、半導体ウェハ、フォトマスク及びインプリントモールド及びハードディスクの前面又は裏面から小さなパーティクルを除去することができる清浄液及び方法についての大きな要求がある。従来技術では、パーティクル除去は、機械力、アンダーカットエッチング及び穏やかな(benign)パーティクルのリフト(lift)(例えば、単純な室温DI水リンス)の組み合わせによって達成される。必要なのは、機械力もアンダーカットエッチングも用いずにパーティクルを除去することが可能な、効率的なパーティクル除去方法である。この穏やかなパーティクルのリフトは、ウェハ、フォトマスク及びインプリントモールド及びハードディスク上の、非常に小さなパーティクル及び脆弱パターンを扱う際に必要である。
【0017】
発明の概要
手短に言うと、本発明は、半導体ウェハ、ハードディスク、フォトマスク又はインプリントモールドなどの電子基板を清浄化するための方法及び清浄液である。この方法は、基板の表面をポリホスフェートを含んだ清浄液に接触させる工程と、その後の、この清浄液を先の表面から除去する工程とを含んでいる。この方法における追加の任意の工程は、清浄液を先の表面に接触させながら、先の清浄液に音響エネルギーを加えることと、先の清浄液を、リンス液を用いて、先の表面を、このリンス液に音響エネルギーを加えて又は加えずにリンスすることによって、先の表面から除去することとを含んでいる。
【0018】
前記清浄液は、あらゆる水溶性のポリホスフェートなどのポリホスフェートを含んでいる。H+、Na+、K+、NH4+又はR3NH+などのカチオンを有したトリポリホスフェートは、本発明において特に有用である。用途に応じて、前記清浄液は、KOH、NH4OH、TMAH又はコリンなどの塩基、及び/又は、コロイダルシリカ、セリア及びアルミナなどの多量の量(a quality)の懸濁粒子を更に含んでもよい。更に、錯化剤、アミン、殺生剤(biocides)、界面活性剤及び/又は他の物質が、前記清浄液に添加されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、ウェハ上のパーティクルの概略側面図である。
【図2】図2は、本発明に従う、枚葉式スピンスプレー清浄化チャンバの概略側面図である。
【図3】図3は、本発明に従う加速噴霧エアロゾルノズルの概略側面図である。
【図4】図4は、本発明に従う、枚葉式スピンスプレーツールの概略側面図である。
【図5】図5は、幾つかの音波(音響)トランスデューサの概略平面図である。
【図6】図6は、本発明に従う、ベベルエッジ清浄化装置の概略側面図である。
【0020】
好ましい態様の説明
本発明に従うと、ウェハ若しくはハードディスクなどの電子基板、又はこのようなウェハ若しくはハードディスクを製造するためのフォトマスク若しくはインプリントモールドなどの基板から、このような基板をポリホスフェートを含んだ溶液に単に接触させることによって、小さなパーティクルが除去される。このパーティクル除去(又は清浄化)は、パーティクルを除去するための機械力がなくても達成され得る。もちろん、制限されるものではないが、超音波若しくはメガ音波振動、エアロゾルスプレーボンバード、ブラシスクラビング又はポリウレタンクロスバフィングなどの追加の機械力を、この清浄化方法に追加してもよい。
【0021】
本発明において使用され得るポリホスフェートは、任意の水溶性ポリホスフェートを含んでいる。例えば、以下の化学式を有した直鎖ポリホスフェートが、本発明における使用に受け入れられる。
【化1】

【0022】
ここで、nは、0、1、2、3、...1000であり、X+は、H+、Na+、K+、NH4+、R3NH+及びNR4+である。X+は、これらカチオンの組み合わせから選択され得るか、又は、この一覧から選択され、このポリホスフェートのX+が付された各位置において繰り返される1種のカチオンであり得る。
【0023】
具体例の直鎖ポリホスフェートとしては、ナトリウムトリポリホスフェート(n=1、X+=Na+)、カリウムトリポリホスフェート(n=1、X+=K+)、アンモニウムトリポリホスフェート(n=1、X+=NH4+)、トリエタノールアミントリポリホスフェート(n=1、X+=トリエタノールアミンカチオン)、コリントリポリホスフェート(n=1、X+=コリンカチオン)、tテトラメチルアンモニウム(TMA)トリポリホスフェート(n=1、X+=TMA+)、テトラ−ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムピロホスフェート(n=0、X+=Na+又はK+又はNH4+)、二ナトリウム二水素ピロホスフェート(n=0、X+=Na+及びH+)、二アンモニウム二水素ピロホスフェート(n=0、X+=NH4+及びH+)及びアンモニウムポリホスフェート(n=1−60、X+=NH4+)が挙げられる。ペンタ−アンモニウムトリポリホスフェートは、Na又はKなどのアルカリ金属が存在しないので、好ましい。カリウム(K)を使用することが可能な場合は、K−トリポリホスフェートが好ましい。以下が、K−トリポリホスフェート構造である。
【化2】

【0024】
例えば、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムポリメタホスフェートなどの他の水溶性ポリホスフェートも使用され得る。ナトリウムヘキサメタホスフェートは、ポリメタホスフェートの典型例である。以下が、トリメタリン酸の構造である。
【化3】

【0025】
好ましくは、トリポリホスフェートが使用され得る。典型的には、Na−トリポリホスフェート若しくはK−トリポリホスフェートの何れかが使用されるか、又はペンタアンモニウムトリポリホスフェートが使用され得る。同様に、他のトリポリホスフェートを使用することができ、例えば、これらに限定されるわけではないが、トリエタノールアミントリポリホスフェート又はトリポリリン酸が使用されてもよい。濃縮原液(concentrated source solution)中のトリポリホスフェートは、ポリホスフェートの添加される液体に対する重量比として、典型的には0.5重量%乃至200重量%、好ましくは2重量%乃至150重量%、最も好ましくは5重量%乃至100重量%である。最大濃度は、典型的には、トリポリホスフェートの溶解限度によって決定される。K−トリポリホスフェートの溶解度は、N−トリポリホスフェートの溶解度よりもはるかに高い。例えば、Na−トリポリホスフェートの溶解度は、わずか約20重量%である。一方、K−トリポリホスフェートは、それよりもはるかに可溶性であり、約150重量%の濃度まで溶解することができる。また、ペンタアンモニウムトリポリホスフェートも、非常に可溶性であるが、それほど広範に使用可能であるわけではない。使用場所において原液を希釈した後の、基板を清浄化するためのトリポリホスフェートの最終濃度は、好ましくは、0.2%−15%である。
【0026】
トリポリホスフェート、好ましくはK−トリポリホスフェート又はペンタアンモニウムトリポリホスフェートの何れかは、どこにでもある(ubiquitous)SC1液におけるNH4OHの代わりとして使用することもできる。
【0027】
過酸化物が添加されている又は添加されていないK−又はペンタアンモニウムトリポリホスフェートは、従来の水酸化アンモニウム(NH4OH)及び過酸化水素(H22)の溶液よりも優れた清浄液である。トリポリホスフェート及び好ましくはK−又はペンタアンモニウムトリポリホスフェートは、単独で使用することができるし、化合したものとして使用することができるし、及び、水酸化カリウム若しくはアンモニウムと併用して使用することもできる。水酸化カリウム又アンモニウムは、典型的には、溶液のpHを高めるために添加される。また、界面活性剤及び錯化剤を添加することもできる。最後に、清浄液を用意するために、H22を添加して、遍在する(omnipresent)SC−1液と類似のものを作ることができる。H22の添加は、Si表面のエッチングを避けるのに有用である。濃縮原液中のトリポリホスフェートは、典型的には0.5%乃至200%、好ましくは2%乃至150%、最も好ましくは5%乃至100%である。水酸化アンモニウムを濃縮原液に添加する場合、それを、(NH3の重量で)1重量%乃至28重量%の濃度範囲で添加して、水酸化アンモニウム及びアンモニウムポリホスフェートからなる原液を作ることができる。水酸化カリウムは、原液中のK−トリポリホスフェートに、(KOHの重量で)0.001%−45%の範囲内で添加することができる。
【0028】
製造における希釈後、基板を清浄化するためのポリホスフェートの最終濃度は、好ましくは、0.2%−15%である。典型的には、製造において、この原液は、基板清浄液を作るために、DI水で、5乃至50倍、好ましくは7乃至25倍、最も好ましくは9乃至15倍に希釈されるであろう。
【0029】
原液は、0.01%乃至20%の有機アミンを更に含んでもよい。適切な有機アミン化合物は、アルカノールアミン(例えば、一級アルカノールアミン:モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、二級アルカノールアミン:ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−(メチルアミネオ)エタノール(2-(methylamineo)ehtano))、モルフォリン、三級アルカノールアミン:トリエタノールアミン、トリイソプロピルアミン)、アルキルアミン(例えば、一級アルキルアミン、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロプルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、二級アルキルアミン:ジメチルアミン)、アルキレンアミン(例えば、一級アルキレンアミン:エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリエチレンテトラアミン)及びこれらの混合物から選択され得る。このような材料の好ましい例としては、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン及びこれらの混合物が挙げられる。最も好ましいのは、モノエタノールアミンである。有機アミンの量は、好ましくは0.01%乃至20%、最も好ましくは0.2%乃至2%の範囲にある。
【0030】
原液は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)又は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン塩酸(C4H4NOS、HCl)(MIHCA)などの殺生剤を更に含んでもよい。殺生剤の濃度は、好ましくは1ppm乃至100ppm、最も好ましくは30−70ppmである。同様に、他の殺生剤が使用されてもよい。
【0031】
更に、界面活性剤を添加することもできる。典型的には、非イオン性界面活性剤が好ましい。好ましい界面活性剤は、Cn2n+1O(C24O)mHの一般構造を有するエチレンオキシドタイプの界面活性剤である。理想的には、炭化水素鎖中の炭素原子の数nは、オキシエチレン基の数mの1.5倍以下である。理想的には、炭素原子の数nは、オキシエチレン基の数mの0.5倍より大きい。優れた非イオン性界面活性剤は、C1225O(C24O)11Hである。濃縮溶液中の界面活性剤の濃度は、0.1%乃至5%であろう。好ましい濃度は、濃縮原液に対して約0.5%である。水による希釈後及び表面を清浄化するために使用される際の濃度は、好ましくは、0.0001乃至0.5重量%であろう。これは、1重量ppm乃至5000重量ppmである。より好ましくは、希釈後の濃度は、10ppm乃至500ppmであろう。
【0032】
金属イオン封鎖剤又は錯化剤を添加することもできる。好ましい金属イオン封鎖剤又は錯化剤又はキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)などの窒素含有カルボン酸である。清浄化効果の点で特に好ましいのは、エチレンジアミンジ−o−ヒドロキシフェニル酢酸(EDDHA)である。濃縮溶液中の金属イオン封鎖剤の濃度は、0.1%乃至5%であろう。好ましい濃度は、約0.5%である。水での希釈後及び表面を清浄化するのに使用される際の金属イオン封鎖剤の濃度は、10ppm乃至500ppmであろう。
【0033】
他の適切な水溶性ポリホスフェートを先に説明したように使用することができるのだが、本発明の明瞭さのために、本発明の残部では、我々は、主に、トリポリホスフェートについて論ずる。アルカリ金属が清浄液中にあるのを許されない場合は、アンモニウムポリホスフェートが好ましいのだが、本発明の明瞭さのために、本発明の残部では、我々は、主には、トリポリホスフェートについて論ずる。アルカリ金属が許容される場合、K−トリポリホスフェートが好ましい。溶液中のKは、ウェハ又はフォトマスクの表面に結合せず、DI水に極めて可溶であるため、表面から効率的にリンスすることができる。
【0034】
小さなパーティクルは、本発明のポリホスフェートの代わりに又は本発明のポリホスフェートと共に他の粒子を含有した溶液に基板の前面を接触させることによって、パーティクルを除去するための機械力がなくてもこの前面から除去され得る。これは単純に思われるかもしれないが、それは、清浄化における従来の知識に反することであり、全く予想外のことである。かつての著者が粒子を清浄液に追加することは清浄化の助けになり得ることを認めていたとしても、かつての全ての著者は、このような清浄液を、それら単独でパーティクルを除去するものであると知られている機械攪拌法と組み合わせて使用していた。なおその上、かつての全ての著者又は発明者は、このような清浄液を、平坦な基板のみに、即ち構造を持たないウェハ或いは前記完全にフラットな表面のウェハのみにおいて使用していた。本発明では、添加されたスクラブ粒子を含んだ溶液に半導体表面を接触させることが、ウェハ、フォトマーク又はインプリントモールドなどの、壊れ易い構造を含んだ基板の表面に付着したかなりの量のパーティクルを、機械攪拌法を用いることなく及び、最も重要なこととしては、このような壊れ易い構造にダメージを与えることなく、更には、最終的にこれらスクラブ粒子が基板上に堆積することなく、除去することができることが分かった。理論によって縛られるものではないが、この驚くべき効果は、溶液中の粒子と、ウェハ(又は他の基板)の表面上のパーティクルとの間の反発作用に拠るものであると信じられている。壊れ易い構造を清浄化するのに使用される、本発明に従う溶液の1つは、敢えて添加された懸濁スクラブ粒子を含んでいる。最も好ましい懸濁スクラブ粒子は、シリカ粒子である。シリカ粒子は、研磨スラリーにおいて長い間使用されているものであり、様々な径のものが容易に利用可能である。
【0035】
使用場所での好ましい清浄液の1つは、希アンモニア及びポリホスフェート中のコロイダルシリカ粒子の懸濁液である。この使用場所での清浄液は、好ましくは、基板が清浄化される製造において、濃縮原液を水で希釈することで作られる。原液は、好ましくは、オフサイト(off-site)で製造され、製造に搬入されて、そこで最終的に水で希釈される濃縮溶液である。この濃縮原液は、本発明に従うと、好ましくは、(NH3として)1乃至28重量%の濃度のNH4OHと、好ましくは0.001乃至40%の濃度のコロイダルシリカとからなる。より好ましくは、この濃縮原液は、NH4OHが(NH3として)5乃至28重量%であり、コロイダルシリカは、0.01乃至40重量%の濃度範囲内にある。コロイダルシリカの大きさは、好ましくは7nm乃至500nmの範囲内にあり、より好ましくは12nm乃至100nmの範囲内にある。典型的には、このような濃縮溶液は、使用前に、製造において、1:5乃至1:200の比率で希釈される。より好ましくは1:8乃至1:100、最も好ましくは1:10乃至1:20の比率で希釈される。使用場所において、H22を更に添加してどこにでもあるSC−1液と同様のものをつくることができる。
【0036】
シリカ粒子を有したものが使用される場合、トリポリホスフェートの濃度は、コロイダルシリカ粒子が存在しない場合のトリポリホスフェートの濃度と同様である。それ故に、これは、コロイダルシリカ粒子と共にトリポリホスフェートを含んだ溶液であろう。
【0037】
アミン、界面活性剤及び/又は金属イオン封鎖剤が好ましくは添加されている又は添加されていない、懸濁シリカ粒子を有した溶液又は水溶性ホスフェートを有した溶液又は懸濁シリカ粒子と水溶性ホスフェートとの両方を有した溶液は、枚葉式若しくはバッチ式であり得る浴若しくは浸漬型の装置において、又は、枚葉式若しくはバッチ式であり得るスピンウェハ式の装置において、又は、米国特許第6616772号、第7000622号、第7045018号に開示されたような水平近接クリーナーにおいて、又は、1枚以上のウェハを、NH4OH若しくはKOH又は他の薬品が添加されている若しくは添加されておらず、アミン、界面活性剤及び/又は金属封鎖剤が添加されている若しくは添加されていない、懸濁コロイダルシリカ粒子及び/又は水溶性ホスフェートを有した溶液に接触させるのに適した任意の他のタイプの装置において、ウェハ、ハードディスク、フォトマスク又はインプリントモールドの基板に接触し得る。
【0038】
最後に、NH4OH又はKOHを有している又は有していない、懸濁コロイダルシリカ粒子及び/又は水溶性ホスフェートを有した溶液に、他の物質が添加されてもよいことは明らかである。この溶液への他の物質の添加は、本発明の思想からの逸脱を構成するものではない。具体的に言うと、H22は、この溶液に添加されてもよい。
【0039】
コロイダルシリカ粒子の代わりに又はコロイダルシリカ粒子と共に、他の懸濁粒子を使用することができることも明らかである。他の適切な懸濁粒子の例は、セリア(即ち、CeO2)含有粒子、及びアルミナ(即ち、Al23)含有粒子である。しかしながら、他の適切な懸濁粒子も使用することができるのだが、本発明の明瞭さのために、本発明の残部では、我々は、主に、懸濁したコロイダルシリカ粒子について論ずる。
【0040】
表面上のより固着したパーティクルの除去効率は、本発明の粒子含有溶液又は本発明のポリホスフェート含有溶液と単に接触させることにより、本発明において更に概略される幾つかの方法で向上され得る。
【0041】
このような周知技術は、例えば、メガ音波、エアロゾルスプレー、PVAブラシを用いるスクラブ処置及びポリウレタンクロスを用いるバフィングである。実際、メガ音波は、溶液中の溶存ガスによるキャビテーション事象を生じさせることによって作用する。これらのキャビテーション事象は、付着パーティクルに対する機械攪拌をもたらし、それにより、それらをウェハの表面から取り除く。また、メガ音波は、境界層を減少させる効果を示し、それにより懸濁シリカ粒子をウェハの表面近傍へ及びそれにより除去される必要のある付着パーティクル近傍に運ぶ。エアロゾルスプレー技術は、非常に速い液体の流れをウェハの表面に亘って発生させることによって、機械力を付着パーティクルに及ぼす。エアロゾルスプレー技術は、それが、大きなパーティクル及び大きな特徴部のみに力を及ぼすように調節され得る。かくして、エアロゾルスプレー技術は、大きなパーティクル及び大きな特徴部には力を及ぼすが、非常に壊れ易い小さなパーティクル及び小さな特徴部には力を及ぼさないような選択性を有し得る。また、エアロゾルスプレー技術は、境界層を低減させ、それにより、メガ音波と同様に、懸濁シリカ粒子と協働して効果を発揮する。
【0042】
更に、清浄化が完了した後、清浄化シーケンスに引き続いて、高度DI(脱イオン)水によるリンスを行うことが有利である。高度DI水によるリンスは、メガ音波エネルギーを使用することからなり得るものであり、キャビテーションを避けるためにガスも用いないし、高周波数でのメガ音波エネルギーも用いない。また、高度DI水によるリンスは、スプレーを用いるリンスであり得る。スプレーによるリンスは、標準(regular)水スプレー又はエアロゾルスプレーであり得る。標準水スプレーは、効果的であり、好ましくは、基板当たり1L/分を超える流れが、非常に効果的である。
【0043】
温度は、0℃乃至100℃の任意の温度であり得て、容易さ及び経済的利点のために、室温が好ましい。絶対的に最良のパーティクル性能のためには、より低い温度が更に好ましい。1℃乃至周囲温度にある準周囲温度(subambient temperature)が最も好ましい。
【0044】
ポリホスフェート及び/又はシリカ粒子による清浄化後、具体的に言うと、K−ポリホスフェート及び/又はK−安定化シリカ粒子溶液による清浄化後、カリウムの全て、ポリホスフェートの全て及びシリカのすべてを除去することが望ましい。通常、これは、徹底的にリンスすることによって、適切に為され得る。残留するK及びホスフェートが完全に低いレベルにあることが必要である場合、SC−1又は単にNH4OHに基づくリンス液などのNH4OHを用いる最初の清浄化と、続いてのSC−2又は単にHClを用いるリンス水などのHClを用いる清浄化との2段階の清浄化が使用され得る。或いは、NH4OHを用いる工程を抜かすこともでき、リンス液は、HClによって酸性化され得る。
【0045】
ここで、説明を目的として、ウェハ、ハードディスク、フォトマスク又はインプリントモールドの前面及びウェハのベベルを清浄化するための濃縮液及び清浄液及び方法及び装置に関する本発明の原理及び手法を説明し、例を挙げる。本特許明細書の残部では、簡潔さのため、我々は、主にウェハについて論じるが、脆弱な特徴部を有している又は有していない、ハードディスクなどの他の基板及びこのようなウェハ若しくはハードディスクの製造において使用されるフォトマスク及びインプリントモールドなどの基板も、本発明の方法、装置及び溶液を用いて清浄化され得ることが理解される必要がある。
【0046】
理論によって縛られるわけではないが、追加の静電荷をパーティクルに与えて、高められた静電反発力を提供することによって、水溶性ホスフェートは、付着パーティクルと相互作用をすると思われる。これは、図1に示されている。図1において、ウェハ11は、その表面に、付着パーティクル12を有している。水溶性ホスフェートは、ウェハの表面とパーティクルの表面との双方に、負電荷13を与える。これら負電荷の間の反発は、パーティクル及び表面が反発し、それにより、パーティクルが除去され得ることを意味する。パーティクルの除去に関連した電荷のみが示されている。水溶性ホスフェートを有した本発明の溶液は、どこにでもあるSC1溶液又はウェハ若しくはハードディスク若しくはフォトマスク若しくはインプリントモールドを清浄化することに関する従来技術において知られている他の溶液などの従来の水酸化アンモニウムのみの溶液よりも相当良好に、パーティクルを除去する。
【0047】
以下の例において、本発明に従う典型的な溶液の製造(make-up solution)を示す。
【0048】
例1:典型的なポリホスフェート原液は、オフサイトで、ポリホスフェートをDI水と混合して高濃度にすることによって作られる。本発明に従う単純な濃縮液についての典型的な組成を、表1に示す。
【表1】

【0049】
この溶液に、例えばKOH、NH4OH及びモノエタノールアミンなどの他の物質を添加することができる。KOHの添加は、pHを更に高めるのに非常に有用である。これは、ハードディスクの清浄化など、表面のエッチングがそれほど懸念されるものではない場合に有用である。濃縮された状態にあるこの溶液は、使用場所へと搬送され得る。使用場所において、この溶液は、清浄液としての使用前に、DI水で希釈され得る。例えば、この溶液は、10:1というDI水:例1の原液の比で希釈され得る。次に、1つ又は複数の電子基板をこの希釈溶液中に浸漬することによって又はこの希釈溶液を電子基板にスプレーすることによって、清浄化が行われ得る。例1の10:1希釈溶液は、約9.5のpHをもたらす。例1の10:1希釈溶液は、パーティクル除去効率に関し、同様のpHのNH4OH溶液に匹敵した。まず、SiO2粒子が、1セットのシリコンウェハ上に堆積された。次に、パーティクルがカウントされた。汚染されたウェハの或るセットは、例1の10:1希釈溶液中へと慎重に浸漬され、同様に汚染されたウェハの他のセットは、同様の温度及びpHのNH4OH溶液中へと慎重に浸漬された。溶液を攪拌しないように注意した。次に、ウェハが、スプレーによってリンスされ、乾燥され、パーティクルがカウントされた。平均の除去効率は、例1の10:1希釈溶液では80%であったのに対し、NH4OH溶液では単に28%であった。
【0050】
例2:典型的なアルカリフリーポリホスフェート原液は、オフサイトで、ポリホスフェートをDI水と混合して高濃度にすることによって作られる。本発明に従う単純な濃縮液の典型的な組成を、表2に示す。
【表2】

【0051】
この溶液に、モノエタノールアミン、界面活性剤、金属封鎖剤及び殺生剤などの他の物質を添加することができる。濃縮された状態にあるこの溶液は、使用場所へと搬送され得る。使用場所において、この溶液は、清浄液としての使用の前に、DI水によって希釈され得る。例えば、この溶液は、10:1というDI水:例1の原液の比で、H22を同様の希釈比で添加することによって希釈され得る。次に、1つ又は複数の電子基板をこの希釈溶液中に浸漬することによって又はこの希釈溶液を電子基板にスプレーすることによって、清浄化が行われ得る。
【0052】
例3:本発明に従う濃縮液の典型的な製造は、ポリホスフェート及びコロイダルシリカを組み合わせることからなる。使用することができる典型的なコロイダルシリカ溶液はGrace Davisonによって製造される。本発明にとって非常に有用なコロイダルシリカ溶液は、Grace Davison製の、AS−30、AS−40及びSM−ASシリーズである。AS−30は、12nmの径を有するコロイダルシリカを含んでおり、AS−40は、22nmの径を有するコロイダルシリカを含んでおり、SAM−ASは、7nmの径を有するコロイダルシリカを含んでいる。本発明に従う単純な濃縮液の組成が、表3に示されている。
【表3】

【0053】
例3のこの濃縮液は、オフサイトで作られ、製造へと配送され得る。製造において、それは、典型的には、水によって10:1の比率で希釈され、約0.8%のコロイダルシリカ(22nm)、約1.4%のNH4OH(NH3として)及び約4%のアンモニウムポリホスフェートの濃度を有した最終清浄液となる。H22も添加することができる。H22は、典型的には、NH4OH以上の量で添加されるであろう。
【0054】
典型的には、7乃至14、好ましくは8乃至12、最も好ましくは9乃至11の範囲にあるpHは、コロイダルシリカ及び/又はポリホスフェートを併用してパーティクルを清浄化するのに非常に優れている。NH4OHの代わりに他の物質を添加して、同様のpHを得ることができる。pHを高めるのに使用される典型的な他の物質は、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウム水酸化物)及びコリンである。例えば殆どのハードディスク清浄化工程などの、アルカリフリー溶液が必要ない場合には、KOHが好ましい。K−トリポリホスフェートが使用されていれば、Kは、追加のKOH、NH4OH又はTMAH又はコリンを添加せずとも、pHをそれ単独で約8乃至11の範囲にするであろう。
【0055】
使用場所において希釈された溶液は、使用前に、準周囲温度まで冷却され得る。これは、静電反発を更に向上させ、また、この溶液が表面をエッチングするのを防ぐ。この清浄溶液中でのより長時間のソーキング又は浸漬がパーティクル除去を向上させるので、これは有利である。しかしながら、より長時間のソーキング又は浸漬は、表面エッチングをもたらし得る。これを防ぐために、準周囲温度は、より高いpHでの表面のエッチング速度を低下させる。
【0056】
パーティクル清浄化後、徹底的なリンスが必要とされる。高流量スプレーを用いるスプレーリンスが好ましい。基板当たり1L/分乃至4L/分の典型的なスプレー流量が好ましい。脆弱パターンが露出している場合、エアロゾルを用いない高流量が好ましい。脆弱パターンが露出していない場合、噴霧化されたエアロゾル及び加速スプレーを使用することができる。リンス後、Kが使用される場合はカリウム(K)の全てを除去するために及びポリホスフェートの全てを除去するために、HCl又は低pHでの清浄化が好ましい。
【0057】
ここで、枚様式スピンスプレー清浄化チャンバの一例を、詳細に示す。図2を参照すると、スピンチャンバ20は、モーター23に接続されたウェハホルダ22によって水平に保持されているウェハ21を収容している。ウェハ21は、半導体ウェハであり得るし、又はフォトマスク、インプリントモールド及びハードディスクなどの他の電子基板であり得る。モーターとウェハホルダとのアセンブリは、液体ダイバータ25、排気路26及び排液路27を収容した容器24内に取り付けられている。ノズル28は、懸濁コロイダルシリカ及び/又はポリホスフェートを有した、好ましくは準周囲温度にある溶液を、回転しているウェハ22へと導くように取り付けられている。ノズル28は、ウェハに対し、このウェハが前面が下向きになっている状態で、下から液体を散布するように方向付けられている。ノズル28は、懸濁コロイダルシリカと、NH4OH及び/又はポリホスフェートと、DI水との溶液が所望の比率で混合されるところのミキサー29から供給を受ける。懸濁コロイダルシリカとNH4OH及び/又はポリホスフェートとの溶液は、ライン30から供給される。冷却器32は、ライン33から入ってくるDI水を、所望の準周囲温度まで冷却し得る。準周囲温度の液体を回転しているウェハに供給することができるノズル28に加えて、懸濁コロイダルシリカの加速噴霧エアロゾルをウェハに供給するために、他のノズル(図示しない)を使用することができる。この加速ノズルは、コロイダルシリカを、ウェハ上の付着パーティクルの極めて近傍に運ぶのを助ける。このような加速噴霧エアロゾルノズルの構成をクローズアップしたものが、図3に示されている。
【0058】
図3を参照すると、ノズル本体103と、コロイダルシリカ及び/又はポリホスフェートを有した溶液のための液体注入口101とを備えたノズル100が示されている。注入口102は、ガス導入口である。様々な加速ガスを使用することができるが、最も便利には、N2又はCDA(圧縮乾燥空気)が使用され得る。液体注入口101は、液体出口106に接続されている。ガス導入口102は、1つの円形の出口であり得るガス出口104及び105に接続されている。出口104及び105から出てくるガスは、出口106から出てくる液体の噴霧液滴108を、噴霧及び加速する。
【0059】
懸濁コロイダルシリカ及び/又はポリホスフェートを含んだ噴霧エアロゾルは、シリカ粒子をウェハ上の付着パーティクルの極めて近傍に運ぶために、ウェハ表面に向けて噴出される。加速された懸濁シリカが壊れ易い構造にダメージを与えないように注意する必要がある。これは、加速速度をダメージ閾値を下回る速度に制御することによって為され得る。スピンチャンバ20内の冷却器32はミキサー29の前段に位置しているが、懸濁コロイダルシリカとNH4OH及び/又はポリホスフェートとDI水との混合は、この冷却器の前段で行うことができる。図3では、懸濁コロイダルシリカの噴霧エアロゾルは、懸濁コロイダルシリカ及び/又はポリホスフェートの溶液が供給されているが、エアロゾルは、簡易DI水が供給されることもできる。この場合、単にウェハ上に既にある溶液における或る動きを起こすために、エアロゾルが使用されるか、又は、従来技術において知られているように、大きなパーティクルを選択的に除去するためにエアロゾルジェットが使用される。
【0060】
ウェハが、NH4OHが添加された又は添加されていない懸濁コロイダルシリカ及び/又はポリホスフェートの溶液に接触した後、このウェハは、好ましくは、準周囲温度のDI水を用いてリンスされ得る。実際、準周囲温度のDI水を用いたウェハのリンスは、最終のパーティクルのカウントを下げるであろう。これは、フォトマスク及び/又はインプリントモールドのような用途にとっては特に重要である。ウェハ、フォトマスク又はインプリントモールドを乾燥させるための周知の方法の何れかを使用して、乾燥が為され得る。バッチ式において、最も好ましい乾燥方法は、表面張力勾配方法(the surface tension gradient method)であり、好ましくは、IPA(イソプロピルアルコール)の蒸気を使用する。しかしながら、スピン乾燥法を使用することもできる。枚様式では、表面張力勾配乾燥法を使用することができるし、単純なスピン乾燥法を使用することができる。乾燥のプロセス中に実質的な汚染物質が添加されない基板を乾燥させるためのあらゆる他の方法、即ち、あらゆる周知のクリーン乾燥法を使用することもできる。表面張力勾配乾燥法が使用される場合、IPAの蒸気は、ウェハの前面が下を向いた状態で、ウェハの中心部に吹き付けられ得る。このIPAノズルは、図2には図示されていない。
【0061】
懸濁コロイダルシリカ及び/又はポリホスフェートの溶液との単純な接触は、サブミクロンパーティクルを非常に効率的に除去できるのだが、上で示したように、懸濁コロイダルシリカをウェハ状の付着パーティクルの極めて近傍に運ぶことによって、除去効率は向上し得る。これは、加速ジェットを用いて為され得るが、メガ音波の使用によっても為され得る。このような装置の1つである枚葉式スピンスプレーツールが、図4に示されている。図4の枚葉式スピンスプレー装置40では、モーター43に接続されているウェハホルダ42が、ウェハ41(例えば、半導体ウェハ、又はフォトマスク、インプリントモールド及びハードディスクなどの他の電子基板)を保持している。このウェハは、ウェハの前面が下を向いた状態で保持されている。ウェハの下には、音波(音響)トランスデューサ48が位置している。音波トランスデューサは、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムからなり、好ましくはPFAによって被覆されている。音波トランスデューサの裏面には、音波を発生するためのPZT結晶49が接着されている。PZT結晶は、メガ音波周波数の電源(図示せず)に接続されており、PZT結晶を清浄液(図示せず)から隔離するためのハウジング内で保護されている。ウェハの中心のより近傍には、液体供給孔51があり、これは薬品供給ライン50に接続されている。この薬品供給ラインは、薬品又はDI水を、音波トランスデューサ48を通して、ウェハ41又はフォトマスクの裏面へと供給する。PZT結晶49は、200−6000kHzの周波数範囲にある音波を作り出す。700kHz乃至1.8MHzの範囲の従来の周波数が使用されている。これは、メガ音波清浄化のために一般的に使用されている。しかしながら、200−6000kHzの範囲内にあるあらゆる周波数を使用することができる。
【0062】
ウェハ41は、ウェハホルダ42、モーター43及び音波トランスデューサ48と共に、液体ダイバータ45、排液路47及び排気路46を備えた容器44の内部に取り付けられる。音響トランスデューサ48は、図5に示すように、様々な形状を有し得る。図5には、直線状のトランスデューサ60、ウェハ全体を覆う(full wafer)ディスク形状のトランスデューサ70及びP形状のトランスデューサ80が示されている。各トランスデューサ60、70及び80には、ウェハ41の輪郭が示されており、図4からの薬品供給路51が示されている。
【0063】
最終的なリンスは懸濁シリカ及び/又はポリホスフェートの全てを表面から除去する必要があるために、最終的なリンス方法は非常に重要である。また、K−トリポリホスフェートが使用されている場合、最終的なリンスは、Kの全てをウェハから除去する必要がある。この最終的なリンス方法は、好ましくは、ダメージを与えるのを避けるためのガスを用いる又は用いずに、ダメージを与えるのを避けるための高周波数を用いる又は用いずに、メガ音波を用いて行われ得る。また、最終的なリンスは、噴霧スプレーを用いて行われ得る。最終的なリンスは、好ましくは、準周囲温度の水を用いて行われる。
【0064】
更に、準周囲温度の水を用いる最終的なリンスは、表面張力勾配パーティクル除去及び乾燥技術と併用され得る。或る種のIPA(イソプロピルアルコール)蒸気を使用することは、通常、表面張力の勾配をもたらす。表面張力勾配の例は、米国特許第5271774号、第5571337号、第5634978号及び第6491764号に記載されている。まず、準周囲温度の水がウェハの前面に接触し、その後、表面張力勾配清浄化及び/又は乾燥が行われ得る。また、準周囲温度のDI水は、米国特許第6491764号に示されているように、一般的な室温のDI水の代わりに、IPA蒸気と共に適用され得る。
【0065】
この開示を考慮すると、本発明の代表的な態様は、基板の表面をポリホスフェートを含んだ清浄液に接触させる工程と、次にこの清浄液を表面から除去する工程とを含んだ、基板を清浄化するための方法である。一般には、先の基板は、電子基板であり、これは、半導体ウェハ、又は、ハードディスクなどの記録媒体、又は、フォトマスク若しくはインプリントモールドなどの、ウェハ若しくは記録媒体を製造するのに使用される基板を意味している。この方法は、1枚の基板を清浄化するか又は1枚を超える基板を一度に清浄化するのに使用され得る。この方法における追加の任意の工程は、清浄液を先の表面に接触させて、音響エネルギーをこの清浄液に加えることにある。この方法における他の追加の任意の工程は、清浄液をリンス液を用いて、先の表面を、先の表面をリンスしている間に音響エネルギーをリンス液に加えて又は加えずにリンスすることによって、先の表面から除去することにある。この文脈では、音響エネルギーは、超音波又はメガ音波エネルギーなどの任意の適切な周波数の音響エネルギーを意味する。
【0066】
一般に、基板の表面は、それに付着した複数のパーティクルを有しており、これらのパーティクルの少なくとも一部は、清浄液がリンスなどによりこの表面から除去される際に、この表面から運び去られる。特に有用な用途では、これらのパーティクルは、1マイクロメートル未満のパーティクルを意味するサブミクロンパーティクルである。特に有用な他の用途では、基板の表面は、その上に形成された、0.3マイクロメートル未満の寸法を有した少なくとも1つの電子的特徴部を有している。このような電子的特徴の例は、半導体ウェハの表面上に形成されたトランジスタゲート又は配線である。他の例としては、半導体ウェハ上の特徴の逆転像である、インプリントモールドに形成されたパターン、又は、フォトリソグラフプロセスにおいて縮小される、フォトマスクに形成された特徴が挙げられる。
【0067】
本発明の他の態様は、電子基板などの基板を清浄化するための、上で説明した方法で使用することができる清浄液である。この清浄液は、任意の水溶性ポリホスフェートなどのポリホスフェートを含んでいる。用途に応じて、この清浄液は、KOH、NH4OH、TMAH又はコリンなどの塩基及び/又は多量のコロイダルシリカ、セリア若しくはアルミナを更に含んでもよい。また、錯化剤、アミン、殺生剤、界面活性剤及び/又は他の物質を、この清浄液に更に添加してもよい。清浄液の特に有用な態様は、トリポリホスフェートと、水酸化アンモニウムと、任意に多量の懸濁粒子とを含んでいる。
【0068】
また、本発明は、ベベルエッジ清浄化にも有用である。実際、懸濁シリカ及び/又はポリホスフェートは、ウェハのベベルから汚染物質を除去する際に、非常に効果的である。これは、最も頻繁には、ベベル自体への選択性を有する積極的な機械的手段を用いて行われる。ベベル自体への選択性を有する最も簡単な機械的な補助(assist)は、ブラシである。ブラシ材料は単にウェハのベベルエッジに接触するだけで、ウェハの前面に接触しない場合、この方法は、このウェハの前面の壊れ易い構造にダメージを与えることなく、汚染物質をベベルエッジから除去することができる。他の機械的補助は、好ましくはポリウレタン製の、ウェハのベベルエッジのみに接触するバフィングクロスである。最後に、最後の機械的補助は、ウェハのエッジに限定された音波エネルギーである。この音波エネルギーは、このエネルギーが液体に伝わったときにのみダメージを与えるであろう。従って、この音波エネルギーがウェハのベベルエッジに加えられている間は、ウェハの前面は乾燥状態に保たれていなければならない。これは、図6に示すように為される。
【0069】
図6を参照すると、ウェハ91は、非常に低い回転数、典型的には3rpm乃至100rpm、好ましくは3rpm乃至20rpmで回転しており、音波(音響)トランスデューサ95が、音波(音響)エネルギーをウェハのベベルエッジへと伝えている。音波トランスデューサは、PZT結晶94と、音波振動をウェハのベベルエッジに伝えるための部材95とからなる。懸濁シリカ及び/又はポリホスフェートを好ましくは含んだ清浄液は、ノズル92を通して、部材95とウェハ91のベベルエッジとの間の空間に配送される。同時に、IPAを含んだ蒸気が、ノズル93を通して、そのエッジにまさに隣接したウェハの前面に吹き付けられ、ウェハの前面を実質的に乾燥状態に保ち、前面の壊れ易い構造にダメージを与えないようにする。音波の周波数は、超音波及び/又はメガ音波の周波数を含んだ任意の周波数であり得る。この周波数は、20kHzないし6000kHzであり得る。好ましい周波数は、約400kHzである。
【0070】
従って、本発明は、半導体ウェハ及びハードディスクの表面及び/又はベベルから、並びに、このような半導体ウェハ及びハードディスクの製造において使用されるフォトマスク及びインプリントモールドの表面からパーティクルを除去するための、改善された溶液、方法及び装置を提供する。本発明は、使用場所において改善された溶液を提供し、且つ、オフサイトにおいて製造及び予備混合され、その後、それらが使用場所においてDI水によって希釈され得るところの製造へと搬送され得る改良された濃縮溶液を提供する。
【0071】
また、本発明は、半導体ウェハ、フォトマスク及びインプリントモールドの前面から、パーティクルの実質的なアンダーエッチングなしに及びこれら基板の表面からの実質的な材料の損失なしに及びこれらの基板の前面にダメージを与えることなしに、パーティクルを除去するための、方法、装置及び溶液も提供する。また、本発明は、溶液に添加されたスクラブ又は清浄化粒子の堆積を防いで付着パーティクルの清浄作用を達成するための、溶液、方法及び装置も提供し、且つ、清浄化後のリンスのための方法及び装置を提供する。また、本発明は、ウェハ又はハードディスクのベベルから汚染物質を洗浄するための、改善された溶液、方法及び装置も提供する。
【0072】
現在の好ましい態様について、本発明を説明してきたが、この開示は、制限的なものとして解釈されるべきでないことが理解されるべきである。様々な変更及び改変は、おそらく、上の開示を読んだ後に当業者に明らかになるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内にある全ての変更及び改変を包含するものとして解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を清浄化する方法であって、
半導体ウェハ、フォトマスク、インプリントモールド及びハードディスクからなる群より選択される基板の表面を、ポリホスフェートを含んだ清浄液に接触させることと、
前記清浄液を前記表面から除去することと
を含んだ方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記表面は、それに付着した複数のパーティクルを有しており、前記パーティクルの少なくとも一部は、前記清浄液が前記表面から除去される際に、前記表面から運び去られる方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、前記パーティクルはサブミクロンパーティクルである方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、前記ポリホスフェートはトリポリホスフェートである方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、前記ポリホスフェートは、式
【化1】

を有しており、n=0乃至1000である方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、前記表面は、前記表面に形成された0.3マイクロメートル未満の寸法を有した少なくとも1つの電子的特徴部を有している方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、前記清浄液は塩基を更に含んだ方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、前記清浄液は複数の懸濁粒子を更に含んだ方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法であって、
前記清浄液を前記表面に接触させながら、前記清浄液に音響エネルギーを加えること
を更に含んだ方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法であって、前記清浄液は、リンス液を用いて、前記表面を、前記表面がリンスされている間に前記リンス液に音響エネルギーを加えるか又は加えずにリンスすることによって、前記表面から除去される方法。
【請求項11】
電子基板を清浄化する方法であって、
少なくとも1つ脆弱パターンを有している清浄化すべき表面を有した電子基板を、清浄化チャンバ内に置くことと、
前記表面を、ポリホスフェートを含んだ多量の清浄液(a volume of cleaning solution)と接触させることと
を含んだ方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、
音響エネルギーを前記多量の清浄液に加えて、前記音響エネルギーの少なくとも一部を前記表面に伝えること
を更に含んだ方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法であって、
リンス液の供給によって前記表面をリンスして、前記清浄液を前記表面から除去することと、
音響エネルギーを前記多量の清浄液に加えて、前記音響エネルギーの少なくとも一部を前記表面に伝えることと
を更に含んだ方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法であって、前記清浄液は複数の懸濁粒子を更に含んだ方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法であって、前記清浄液は塩基を更に含んだ方法。
【請求項16】
請求項11記載の方法であって、前記脆弱パターンは、前記表面に形成された0.3マイクロメートル未満の寸法を有した少なくとも1つの特徴部を含んだ方法。
【請求項17】
半導体ウェハ、フォトマスク、インプリントモールド又はハードディスクを清浄化するための清浄液であって、

【化2】

を有し、n=0乃至1000であるポリホスフェートと、
塩基と
を含んだ清浄液。
【請求項18】
請求項17記載の清浄液であって、前記塩基は、KOH、NH4OH、TMAH及びコリンからなる群より選択される清浄液。
【請求項19】
請求項16記載の清浄液であって、
複数の懸濁粒子
を更に含んだ清浄液。
【請求項20】
請求項19記載の清浄液であって、前記ポリホスフェートはトリポリホスフェートを含んでおり、前記塩基は水酸化アンモニウムを含んでおり、前記複数の懸濁粒子は、コロイダルシリカ、セリア及びアルミナからなる群より選択される清浄液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−518230(P2010−518230A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549111(P2009−549111)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/001684
【国際公開番号】WO2008/097634
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509223863)フォンタナ・テクノロジー (3)
【Fターム(参考)】