説明

ヒートスプレッダを備えた多重ダイ半導体パッケージ

【解決手段】
半導体デバイスは、基板上に積層される第1及び第2の半導体ダイを含む。キャビティ内へ下に向けて延びる複数のフィンを有する蓋が基板上に実装されて、半導体ダイを密閉する。複数のフィンの少なくとも幾つかは複数のフィンの他のフィンよりも長い。蓋は、第1のダイによって占められていない基板の領域の上方で下に向かって延びる長い方のフィンと共に基板に取り付けられる。短い方のフィンは、第2のダイによって覆われていない第1のダイの領域の上方で下に向かって延びている。熱インタフェース材質が、キャビティの残りを充填すると共に両ダイ、基板及びフィンと熱的に繋がっている。蓋は金属からモールド成形されてよい。蓋は、液体金属等であってよい熱ボンディング材質を用いて最上部のダイに接合されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して半導体デバイスに関し、更に特定的には積層半導体ダイ(stacked semiconductor dies)のための半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
最新の半導体デバイスは、典型的には、ダイ、基板、1つ以上のメタライゼーション層、I/Oピン又はボール、ヒートスプレッダ(heat spreader)を含み、そして随意的にヒートシンクを含む。ダイはデバイスの能動回路を含む。ダイは典型的には基板上に実装され又は基板内のキャビティ内に実装される。1つ以上のメタライゼーション層は、メタライゼーション層をダイのダイパッドと相互接続するために用いられる接合指(bond-fingers)と称されるパッドを含む。ダイパッドは同様にダイの能動回路と相互接続される。メタライゼーション層は、基板内でのダイからI/Oピン又はボールへの電気的な接続を経路付ける。
【0003】
ダイパッドは、導線によってパッドを接合指に接続することによる従来のワイヤボンディングを用いて接合指に電気的に結合され得る。代替的には、ダイはその能動表面が基板を向くように実装され得る。ダイパッドは能動表面から延びており、そしてダイから延びている電気的に伝導性のバンプを用いて接合指に接続され得る。能動表面が下を向くので、そのような半導体デバイスはしばしば「フリップチップ」パッケージと称される。
【0004】
最新の半導体パッケージでは、高性能化及び小型化に対する継続的な要求が、より高い動作周波数及び増大されたパッケージ密度(より多くのトランジスタ)をもたらしている。しかし、動作に際しては、そのようなダイ上の回路は相当な量の電気的エネルギを消費する。このエネルギは、パッケージから取り除かれる必要のある熱を常に生成する。ダイによって生成される熱を消散させるために、従来のヒートスプレッダ及びヒートシンクが用いられるかもしれない。しかし、熱の大部分はダイ内で生成されるので、チップパッケージ内での熱エネルギの相対的な分布が多くの場合に極めて不均等になる。
【0005】
つい最近では、より多くのトランジスタを単一のパッケージ内に含ませる試みにおいて、多重ダイが単一の半導体デバイス内に詰め込まれることがある。例えば、各ダイが基板と相互接続されるように複数のダイが交互に積層され得る。この目的で、米国特許第7,361,986号は、2つの積層されたダイを伴う半導体デバイスを開示しており、第1のダイは、第1のダイ上に実装され且つ基板にワイヤボンディングされる別のダイを伴ってフリップチップ構造で実装される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多重ダイの幾何学的形状(geometry)がより複雑になり、そしてトランジスタの数が増えるのに従って、電子的なダイから熱を消散させることは、深刻化する問題になりつつある。
【0007】
そこで、多重ダイの熱消散を支援する半導体パッケージに対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の例として、半導体デバイスは、基板上に積層される第1及び第2の半導体ダイを含む。キャビティ内へ下に向けて延びる複数のフィンを有する蓋が基板上に実装されて、半導体ダイを密閉する。複数のフィンの少なくとも幾つかは複数のフィンの他のフィンよりも長い。蓋は、第1のダイによって占められていない基板の領域の上方で下に向かって延びる長い方のフィンと共に基板に取り付けられる。短い方のフィンは、第2のダイによって覆われていない第1のダイの領域の上方で下に向かって延びている。熱インタフェース材質が、キャビティの残りを充填すると共に両ダイ、基板及びフィンと熱的に繋がっている。蓋は金属からモールド成形されてよい。蓋は、液体金属等であってよい熱ボンディング材質を用いて最上部のダイに接合されてよい。
【0009】
本発明の側面によると、基板と、前記基板によって支持され、集積回路がその上に形成される第1のダイと、前記第1のダイ上に実装され、集積回路がその上に形成される第2のダイと、キャビティを画定する蓋と、熱インタフェース材質とを備えた半導体デバイスであって、前記蓋は前記キャビティ内へ下に向かって延びる複数のフィンを備えており、前記フィンの少なくとも幾つかは前記フィンの他のフィンよりも長く、前記蓋は、前記第1のダイによって占められていない前記基板の領域の上方に下方に向かって延びる当該長い方のフィンと前記第2のダイによって覆われていない前記第1のダイの領域の上方に下方に向かって延びる当該短い方のフィンと共に前記基板に取り付けられ、前記熱インタフェース材質は前記キャビティの残りを充填すると共に前記第1及び第2のダイ、前記基板並びに前記フィンと熱的に繋がっている半導体デバイスが提供される。
【0010】
本発明の別の側面によると、基板と、その上に形成される集積回路を有し前記基板上に実装されるダイと、キャビティを画定する蓋であって前記キャビティ内へ下に向かって延びる複数のフィンを備えている蓋と、前記ダイ上に形成される金属堆積物と、前記キャビティの残りを充填すると共に前記ダイ、前記金属堆積物、前記基板及び前記フィンと熱的に繋がっている熱的に分離された材質とを備えた半導体デバイスが提供される。
【0011】
本発明の別の側面によると、半導体デバイスを形成する方法であって、キャビティを画定する蓋及び前記キャビティ内へ延びる複数のフィンを形成することと、基板上に積層される配置で第1及び第2の半導体ダイを実装することと、前記蓋の前記キャビティを熱インタフェース材質で充填することと、前記蓋を前記熱インタフェース材質と共に前記基板上に実装して、前記フィン、前記ダイ、及び前記基板と接触する前記熱インタフェース材質と共に前記第1及び第2の半導体ダイを密閉することとを備えた方法が提供される。
【0012】
本発明の他の側面及び特徴は、本発明の特定の実施形態の以下の説明を添付の図面と共に精査することによって、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図面は例示のみを目的として本発明の実施形態を説明するものである。
【0014】
【図1】図1は本発明の実施形態の例示としての半導体デバイスの断面図である。
【0015】
【図2】図2は図1の半導体デバイスの斜視図である。
【0016】
【図3】図3は図1の半導体デバイスのヒートスプレッダの断面図である。
【0017】
【図4】図4は図3のヒートスプレッダの下方からの平面図である。
【0018】
【図5A】図5Aは本発明の実施形態の例示として図1のデバイスのダイ上の随意的な金属堆積物を示す図(その1)である。
【図5B】図5Bは本発明の実施形態の例示として図1のデバイスのダイ上の随意的な金属堆積物を示す図(その2)である。
【0019】
【図6】図6は本発明の別の実施形態の例示としての半導体デバイスの断面図である。
【0020】
【図7】図7は本発明の別の実施形態の例示としての半導体デバイスの断面図である。
【0021】
【図8】図8は本発明の別の実施形態の例示としての半導体デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の実施形態の例示としての半導体デバイス10の断面を示している。図示されるように、半導体デバイス10は、基板12、幾つかのダイ20,22、パッケージピン16及び蓋30を含む。後で明らかになるように、蓋30はヒートスプレッダとして作用する。
【0023】
基板12内には、多重メタライゼーション層14が基板12の底面の近くに形成されている。メタライゼーション層14はマイクロビア(microvias)18によって互いに接続されていてよく、そしてダイ20,22をパッケージピン16に電気的に相互接続している。
【0024】
例示的な基板12は片面のものであり、即ちメタライゼーション層14は基板12の一方の側の近傍にのみ形成されている。好都合なことに、片面基板においては、基板の反対側のメタライゼーション層との間での基板の全体高さに及び得るメッキスルホール(plated through holes)が回避される。言うまでもなく、基板12は両面基板に代えられてもよい。
【0025】
パッケージピン16は、複数のピン、ボールグリッドアレイに配列された複数の半田ボール、又は任意の他の既知の電子的なパッケージ相互接続であってよい。
【0026】
ダイ20は基板12によって支持されている。図示される実施形態においては、ダイ20は基板12の上面上に置かれていてよく、あるいは基板12内に埋め込まれていてよく、その詳細は例えば米国特許公開2007/0108595に説明されており、その内容は参照としてここに組み込まれる。ダイ20はその能動的な表面(active surface)が下を向き且つダイパッド24がダイ20をメタライゼーション層14に接続するように取り付けられている。ダイ20のアンダーバンプメタライゼーション(under bump metallization)(UBM)を基板12のメタライゼーション層14に結合するために、標準的なマイクロビア形成が用いられる。アンダーフィル(underfill)(図示せず)が更にダイ20を基板12に貼り付けていてよい。
【0027】
ダイ22はダイ20上に実装される。ダイ22は、ダイ22の周囲のダイ22の複数の接続点から延在するワイヤボンディングによって基板12と接続されてよい。代替的には、ダイ20及び22は、ダイ20及び22内に形成されるシリコンマイクロビアによって互いに直接的に電気的に相互接続されてよい。
【0028】
ダイ20は、例えば、1つ以上の処理コアを有する汎用プロセッサ、グラフィクスプロセッサ等を具体化していてよい。ダイ22は、ダイ20において具体化されるプロセッサにより可読なスタティック又はダイナミックメモリ(DRAM、SDRAM等)の形態にあるプロセッサ可読メモリであってよい。言うまでもなく、ダイ20,22は、特定用途向け集積回路、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ等のような他の電子デバイスを具体化していてもよい。ダイ20及び22の間での電気的な相互接続は基板12を介して達成され得る。
【0029】
次に上から見ると、基板12の表面のある領域はダイ20によって覆われており、そして他の領域(基板12の表面の残り)は覆われていない。同様にダイ20のある領域はダイ22によって覆われている。トポグラフィ的には、ダイ20,22をその上に伴う基板12は、従って、3つの異なる高さ又は正面からの見え方(elevations)を有している。
【0030】
蓋30はデバイス10のためのキャップ、及びヒートスプレッダとして作用する。蓋30は、より詳しくは図2に示されるように、その縁を取り囲む接着剤によって基板12に取り付けられる。具体的には、エポキシ等から形成される接着剤継ぎ目(glue seam)38は、蓋30の縁を基板12に接続する。蓋30と基板12の間の領域は、熱インタフェース材質(thermal interface material)(TIM)50によって満たされている。図示される実施形態においては、TIM50は、粘着性の、半粘着性の、液体の、又は同様の熱インタフェース材質である。TIM50のための適切な材質は、無機ジェル、有機ジェル、グリース等であってよい。適切なジェルは、日本国東京の信越化学(Shin-Etsu Chemicals)から例えばShin−Etsu_MicroSI_x23−7809の品番で入手可能である。G751熱グリースのような適切なグリースが当業者に知られることになるであろうが、多くの現在入手可能なグリースは、局所的発熱の区域から広がる(又は「ポンプされる(pumped)」)かもしれない。
【0031】
蓋30の上部及び基板12からダイ20,22への距離は、ダイ20,22及び基板12の組み合わせの正面からの見え方に依存して変化し得る。概して平坦な上部表面を有する蓋に対しては、重なっているダイ20,22に対応する領域は蓋30に最も近いであろう。ダイ22が重なっていないダイ20に対応する領域は蓋30から遠いであろう。ダイ20/22が実装されていない基板12に対応する領域は蓋30から最も遠いであろう。
【0032】
蓋30の更に詳細な図が図3及び4に示されている。図示されるように、蓋30は、平坦な上部40及び下方に延びる外周壁34を有する概してドーム型である。上部40及び上部40から下に延びる外周壁34は、キャビティ32を画定する。蓋30によって画定されるキャビティ32が基板12を覆い且つダイ20,22を受け入れていることが明らかであろう。
【0033】
蓋30は、蓋30の平坦な上部40から下方に延びる複数のフィン60及び62を更に含む。フィン60及び62はキャビティ32内へ下方向に延びている。例示的な蓋30においては、フィン60及び62の各々は、均等な円形水平断面を有する概して円柱状である。典型的には、フィン60,62は1μm以上の断面積を有しているであろう。最適な断面積は実験的に決定されてよい。一方で、当業者であれば、フィン60,62の断面は均等又は円形である必要がないことを認識するであろう。それらは断面において楕円、正方形、又は長方形であってよく、均等、円錐状、又は任意の他の適切な形状であってよい。
【0034】
同様に、上部40は平坦である必要はなく、そして他の適切な形状を有していてよい。
【0035】
図3及び4に更に示されるように、フィン60はフィン62と異なる長さを有している。短い方のフィン62は、蓋30が基板12に取り付けられたときにダイ20に位置合わせされる(且つダイ22に位置合わせされない)蓋30の領域の近くで延びており、一方ダイ22に位置合わせされる領域にはフィンが無い。最後に、長い方のフィン60は、ダイ22又は20のいずれにも占められていない区域に位置合わせされ即ちその区域内で下方向に延びている。
【0036】
典型的には、短い方のフィンは、ダイ22の全体的な厚みを超えて延在しないような長さで蓋30の表面40から延びている。長い方のフィン60は実質的に基板12まで延びており、従ってダイ22及びダイ20の厚みの和に近い長さを有している。
【0037】
蓋30は、例えばアルミニウム、鋼、等を含む金属のようなモールド成形された熱伝導材質から形成されてよい。蓋30(フィン60/62を含む)は、例えばプレス成形(stamping)、モールド成形によって、又は他の標準的な製造技術を用いることによって一体的に形成されてよい。蓋30は、代替的には、適切なセラミック、合金、等のような他の熱伝導材質から形成されてよい。
【0038】
TIM50はキャビティ32を充填し、そして好都合なことにダイ20及び22を蓋30のフィン60及び62に熱的に接続する。また、TIM50は蓋30を基板12に熱的に結合する一方で、デバイス10の全体的な熱容量を増大させる。好都合にも、TIM50は、積層ダイ20及び22の幾何学的な配置によって形成される幾何学的な奥まった箇所(nooks)を充填する。
【0039】
更に、蓋30はダイ22に直接的に取り付けられる。例えば図1に示されるように、ダイ22は、例えば熱伝導ボンディング材質36を用いて蓋30に接合されてよい。例えば、ダイ22は、ガリウム、インジウムのような液体金属、又は例えばリアクティブナノテクノロジーズインク(Reactive Nanotechnologies Inc.)から入手可能なナノフォイル(nano-foil)を用いて蓋30に接合されてよい。ボンディングを容易にするために、ダイ22は、その上面をダイ22に対するボンディング材質36の接着性をより高くする金属又は半田で被覆されていてよい。
【0040】
デバイス10は、従来方法では、先ずダイ20,22を基板12上に実装することによって製造され得る。その際、ダイ22,22は、電気的及び機械的に基板12に接合され、そして必要に応じて互いに接合される。ボンディング材質36(及びダイ22上の任意の被覆)がダイ22に貼り付けられてよい。TIM50は、予め形成された蓋30(フィン60,62を含む)のキャビティ32を充填してよい。蓋30の外周の周囲には、エポキシ38のビード(bead)が設置されてよい。次いで蓋30は基板12上に置かれてよい。エポキシ38が硬化して蓋30を基板12に貼り付けてよい。
【0041】
TIM50は、製造後にも概して粘着性を保ちそれが乾くことを防止するように選択されてよい。代替的には、TIM50は、蓋30が一旦基板12上になったら部分的又は全体的に硬化するように選択されてよい。
【0042】
動作に際して、電力及び電気的な信号は、パッケージピン16によってデバイス10に加えられる。信号及び電力はメタライゼーション層14を介してダイ20,22に供給される。ダイ20,22によって生じる熱は、ボンディング材質36、TIM50、及びフィン60,62によって蓋30へと導かれる。TIM50及びフィン60,62は熱をデバイス10内で均一に分配するように作用する。TIM50は基板12と接触しているので、熱は同様に基板12に結合される。
【0043】
蓋30及び基板12は環境と熱的に繋がっているので、最終的に熱は伝導又は対流によって外気へと運ばれる。外部ファン又は他の冷却デバイス(図示せず)が、デバイス10から消散された熱の輸送を支援してよい。
【0044】
TIM50は好都合なことにキャビティ32内に密封されており、そしてデバイス10が動作中の間も恒久的に粘着性の形態、即ちジェル又は液体の形態を保っていてよい。
【0045】
ダイ20,22からの熱伝達を更に容易にするために、ダイ20,22の上を向いている表面の部分部分は、例えば図5Aに示されるように金属堆積物68で更に覆われていてよい。このように、ダイ22と接触していないダイ20の上を向いている表面は、図5A又は5Bに示されるように金属堆積物68を含むことができる。同様にダイ22は、その表面を、ダイ22の上部を覆っている任意の金属層に加えて又はその代わりに、そのような堆積物で覆われていてよい。図5Aに示されるように、金属堆積物68は、ダイ20の上面から延びる半田の形態にある任意の薄い金属のダブ(dabs)であってよく、ダイ20のTIM50に対する熱的な結合を更に支援する。そのように形成された堆積物は、ダイ20に貼り付いたヒートシンクとして機能し、ダイ20からTIM50内への熱の伝導を可能にする。
【0046】
堆積物68は、ダイ20上のランダムな又は決められた位置に半田のような金属の薄いダブを適用することによって形成されてよい。半田は、標準的な錫/鉛半田若しくは無鉛半田、銀、金、又は当業者に既知の同種のものであってよい。堆積物68はサブミクロン範囲(即ち1μm未満)の厚みを有していてよい。好都合なことに、堆積物68はTIM50を捕捉(trap)することもできる。このことは、より大きな熱の局部的区域からTIM50がポンプされる(pumped away)場合に特に有益である。
【0047】
理解されるであろうように、堆積物68は、米国特許公開No.US2007/0108595に開示されるようなパッケージ内の単一ダイ半導体上で用いられてもよい。
【0048】
随意的には、堆積物68は、蓋30に直接的にワイヤ又はフィラメントで相互接続されてダイ20,22からの熱を更に伝導してよい。
【0049】
図6に示される代替的な実施形態においては、上に向かって延びている複数のフィンを伴う更なるヒートシンク70が蓋30に取り付けられていてよい。ヒートシンク70を蓋30の上部上に取り付けるために、熱接着剤(図示せず)のような熱インタフェース材質が用いられてよい。ヒートシンク70は、蓋30の上面40に取り付けられるベース74を有していてよい。上方向に延びている複数のフィン72は、ベース74から延びており、そしてヒートシンク70からの従って蓋30からの熱を大気中へと運ぶことができる。フィン72の形状及び配列は標準的なものであってよく、そして例えば円柱状、直方体状、又は他の任意の形状であってよい。
【0050】
更なる代替的な実施形態においては、フィン60/62は熱電子冷却器又はベーパーチャンバ(vapour chamber)で置換され得る。この目的で、図7は図1の実施形態と実質的には同一の半導体10’の更なる実施形態を示している(図1の実施形態における要素と同じ要素にはダッシュ(’)記号を付し、更には説明しない)。しかしながら、蓋30’は、ペルチェ効果を利用するであろう熱電気マイクロクーラ(μTec)92/94を含む複数の熱電気冷却フィン60’/62’を含む。典型的な熱電気モジュールは、2枚の薄いセラミックウエハをそれらの間の直列のP及びNドープされたビスマス・テルル化物半導体材質と共に用いて製造される。半導体の両側のセラミック材質は、剛性及び電気的絶縁性を提供する。N型材質は過剰な電子を有する一方、P型材質は電子の欠乏を有している。電子はPからNへ移動するにつれてより高いエネルギ状態に遷移し(熱エネルギを吸収しながら)、またNからPへ移動するにつれてより低いエネルギ状態を獲得し(熱エネルギを発しながら)、それにより一方の側への冷却をもたらす。熱電気マイクロクーラ(μTEC)が知られており且つ商業的に入手可能である。図7に示されるように、1つ以上のμTEC92,94が、蓋30’の表面40’内及び全ての又は選択されたフィン60’,62’内に埋め込まれ得る。μTEC94が埋め込まれるフィン60’又は62’は、熱消散が大きいダイ20’,22’の局部的領域の近くのものとして選択されてよい。μTEC92,94に電力供給するDC電力源(図示せず)が外部に提供され得る。繰り返しになるが、ダイ20’,22’をフィン60’,62’に結合するために、キャビティ32’は適切なTIM50’で充填されてよい。
【0051】
蓋30もまた、1つ以上のベーパーチャンバを随意的に収容し得る。この目的で、図8は図1の実施形態と実質的には同一の半導体10”の更なる実施形態を示している(繰り返すが、図1の実施形態における要素と同じ要素にはツーダッシュ(”)記号を付し、更には説明しない)。しかしながら、蓋30”は、ベーパーチャンバ112及び複数のヒートパイプ114を含む。水のような液体116が蓋30”の上部内の溝を掘られた直方体容積(チャンバ)112内に導入されて、ベーパーチャンバ112を形成している。ベーパーチャンバ112は、一般的には蓋30”の上部内の直方体キャビティである。ダイ20”,22”によって生成された熱は、水分子を蒸発させる。水蒸気が凝結すると、チャンバ112の天井で熱が発せられ、それにより所望の冷却が達成され、そしてプロセスは繰り返す。加えて、フィン60”/62”(フィン60/62と同様)も空洞に作製されてよく、そしてヒートパイプ114を形成するように水が導入され得る。パイプ114は蓋30”のベース内のベーパーチャンバ112に隣接又は連通している。熱は上に向かってパイプ114を通って、隣接しているベーパーチャンバ112へ運ばれる。
【0052】
フィン60/62の異なるフィン配置のベースの形状及びサイズの種々の変形の他、概して平坦な区域の異なる形状が、ここに添付される特許請求の範囲から逸脱することなしに、当業者にとってただちに明らかになるであろう。
【0053】
以下、理解されるであろうように、ここに開示される実施形態は、2つより多いダイを含むように容易に修正され得る。例えば3つ以上のダイが積層されてよい。これに伴い、蓋30は3種以上の異なる長さのフィンを有するように適合させられ得る。同様に、基板12は、基板12上で互いに離間した多重積層ダイがその上に形成されたものであってよい。それに応じて、蓋30のフィンは、ダイによって占められていない領域の上方、及びダイの上方の領域内に配置されてよい。
【0054】
好都合なことに、蓋30/30’/30”の使用は、ダイ20,22(20’/22’又は20”/22”)内での公差(tolerance)を許容する。キャビティ32は、両フィン60/62、TIM50及びボンディング材質36によって充填される。従って、ダイ20,22の厚みにおけるばらつきは蓋30によって調整され得る一方で、ダイ20,22から蓋30への熱輸送及びこれに伴い大気中への熱輸送を維持することができる。
【0055】
言うまでもなく、上述した実施形態は例示のみを意図したものであり、いかなる限定も意図されていない。発明を実施する上述の実施形態は、形態、部分部分の配置、動作の詳細及び順序の多くの修正を許容する。本発明は、むしろ、特許請求の範囲によって画定される範囲内の全てのそのような修正を包含することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板によって支持され、集積回路がその上に形成される第1のダイと、
前記第1のダイ上に実装され、集積回路がその上に形成される第2のダイと、
キャビティを画定する蓋と、
熱インタフェース材質とを備えた半導体デバイスであって、
前記蓋は前記キャビティ内へ下に向かって延びる複数のフィンを備えており、前記フィンの少なくとも幾つかは前記フィンの他のフィンよりも長く、前記蓋は、前記第1のダイによって占められていない前記基板の領域の上方で下に向かって延びる当該長い方のフィンと前記第2のダイによって覆われていない前記第1のダイの領域の上方で下に向かって延びる当該短い方のフィンと共に前記基板に取り付けられ、前記熱インタフェース材質は前記キャビティの残りを充填すると共に前記第1及び第2のダイ、前記基板並びに前記フィンと熱的に繋がっている半導体デバイス。
【請求項2】
前記第2のダイと前記蓋の間の熱ボンディング材質であって前記第2のダイを前記蓋に熱的に接続する熱ボンディング材質を更に備えた請求項1の半導体デバイス。
【請求項3】
前記熱ボンディング材質は液体金属を備えている請求項2の半導体デバイス。
【請求項4】
前記液体金属はガリウム、インジウムの1つを備えている請求項3の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2のダイの少なくとも一方の上面上の金属堆積物を更に備えた請求項1の半導体デバイス。
【請求項6】
前記金属堆積物は金、銀、錫を備えている請求項5の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1及び第2のダイの少なくとも一方の上面上のナノフォイルを更に備えた請求項1の半導体デバイス。
【請求項8】
前記金属堆積物は概ね1μmの厚みを有している請求項5の半導体デバイス。
【請求項9】
前記基板はメタライゼーション層を更に備えており、前記第2のダイは前記メタライゼーション層にワイヤボンディングされる請求項1の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のダイは前記基板上にフリップチップ実装される請求項2の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2のダイは前記メタライゼーション層を通して互いに電気的に相互接続される請求項10の半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1及び第2のダイは前記シリコンマイクロビアを通して互いに電気的に相互接続される請求項10の半導体デバイス。
【請求項13】
前記フィンは概して均一な断面を有している請求項1の半導体デバイス。
【請求項14】
前記熱インタフェース材質は熱グリース及び熱ジェルの少なくとも一方を備えている請求項1の半導体デバイス。
【請求項15】
前記蓋から延びる複数の上に向かって延びるフィンを更に備えた請求項1の半導体デバイス。
【請求項16】
前記蓋内に形成される少なくとも1つの熱電気冷却器を更に備えた請求項1の半導体デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの熱電気冷却器は前記複数のフィンの1つの内部に形成される請求項16の半導体デバイス。
【請求項18】
前記蓋内に形成される液体充填されたベーパーチャンバを更に備えた請求項1の半導体デバイス。
【請求項19】
前記フィンの少なくとも幾つかは前記液体充填されたベーパーチャンバと連通する空洞ヒートパイプを画定する請求項18の半導体デバイス。
【請求項20】
基板と、
その上に形成される集積回路を有し前記基板上に実装されるダイと、
キャビティを画定する蓋であって前記キャビティ内へ下に向かって延びる複数のフィンを備えている蓋と、
前記ダイ上に形成される金属堆積物と、
前記キャビティの残りを充填すると共に前記ダイ、前記金属堆積物、前記基板及び前記フィンと熱的に繋がっている熱的に分離された材質とを備えた半導体デバイス。
【請求項21】
半導体デバイスを形成する方法であって、
キャビティを画定する蓋及び前記キャビティ内へ延びる複数のフィンを形成することと、
基板上に積層される配置で第1及び第2の半導体ダイを実装することと、
前記蓋の前記キャビティを熱インタフェース材質で充填することと、
前記蓋を前記熱インタフェース材質と共に前記基板上に実装して、前記フィン、前記ダイ、及び前記基板と接触する前記熱インタフェース材質と共に前記第1及び第2の半導体ダイを密閉することとを備えた方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−520575(P2012−520575A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500014(P2012−500014)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000378
【国際公開番号】WO2010/105346
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(508301087)エーティーアイ・テクノロジーズ・ユーエルシー (68)
【氏名又は名称原語表記】ATI TECHNOLOGIES ULC
【住所又は居所原語表記】One Commerce Valley Drive East, Markham, Ontario, L3T 7X6 Canada
【Fターム(参考)】