説明

ビフェニル誘導体および殺真菌剤としてのそれらの使用

殺真菌活性の化学式(I)の化合物であって、式中、Hetは、それぞれ独立に、酸素、窒素、および、硫黄から選択される、1つから3つのヘテロ原子を含む、5員複素環または6員複素環であり、但し、その環は、1,2,3−トリアゾールではなく、その環は、1つ、2つ、または、3つのRy基で置換されており、;R1は、水素、ホルミル、CO−C1-4アルキル、COO−C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキレン、CO−Cl-4アルキレンオキシ(Cl-4)アルキル、プロパルギル、または、アレニルであり、;R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、メチル、または、CF3であり、;各R6は、独立に、ハロゲン、メチル、または、CF3であり、;R7は、(Z)mC≡C(Y1)、(Z)mC(Y1)=C(Y2)(Y3)または、トリ(C1-4)アルキルシリルであり、;各Ryは独立に、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキレン、または、シアノであり、;Xは、OまたはSであり、;Yl、Y2およびY3は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-6アルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、Cl-4ハロアルキルチオ、C1-4アルキルアミノ、ジ(C1-4)アルキルアミノ、Cl-4アルコキシカルボニル、Cl-4アルキルカルボニルオキシ、および、トリ(C1-4)アルキルシリルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C2-4アルケニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C2-4アルキニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C3-7シクロアルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、および、C1-4ハロアルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、または、トリ(C1-4)アルキルシリルであり、;Zは、C1-4アルキレン[それぞれ独立に、ヒドロキシ、シアノ、C1-4アルコキシ、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、COOH、およびCOO−C1-4アルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]であり、;mは、0または1であり、;そして、nは、0、1または2である、化合物;また、本発明は、これらの化合物の調製において使用される新規な中間体、活性成分として少なくとも1つの新規な上記化合物を含んでなる農薬組成物、および、病原性微生物、好ましくは、真菌類による植物への侵襲の制御または防止のための、農業または園芸における上記活性成分または組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺微生物活性、特に、殺真菌活性を有する活性成分としての新規なカルボキサミド誘導体に関する。また、本発明は、これらの活性成分の調製、これらの活性成分の調製における中間体として使用される新規なジフェニル誘導体、これらの新規な中間体の調製、少なくとも1つの新規な活性成分を含んでなる農薬組成物、これらの組成物の調製、および、病原性微生物、好ましくは、真菌類による植物への侵襲の制御または防止のための、農業または園芸における上記活性成分または組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
殺真菌活性のカルボキサミド誘導体は、日本特許第2001072510号、日本特許第2001072508号、日本特許第2001072507号、および、日本特許第2001302605号に開示されている。
【0003】
いくつかの、アミノまたはハロで置換されたジフェニル誘導体は、DE2205732、および、日本特許第2001302605号に開示されている。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、化学式(I)の化合物を供する。:
【化1】

式中、Hetは、それぞれ独立に、酸素、窒素、および、硫黄から選択される、1から3のヘテロ原子を含む、5員複素環または6員複素環であり、但し、その環は、1,2,3−トリアゾールではなく、その環は1つ、2つ、または、3つのRy基で置換されており、;R1は、水素、ホルミル、CO−C1-4アルキル、COO−C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキレン、CO−Cl-4アルキレンオキシ(Cl-4)アルキル、プロパルギル、または、アレニルであり、;R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、メチル、または、CF3であり、;各R6は、独立に、ハロゲン、メチル、または、CF3であり、;R7は、(Z)mC≡C(Y1)、(Z)mC(Y1)=C(Y2)(Y3)または、トリ(C1-4)アルキルシリルであり、;各Ryは独立に、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキレン、または、シアノであり、;Xは、OまたはSであり、;Yl、Y2およびY3は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-6アルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、Cl-4ハロアルキルチオ、C1-4アルキルアミノ、ジ(C1-4)アルキルアミノ、Cl-4アルコキシカルボニル、Cl-4アルキルカルボニルオキシ、および、トリ(C1-4)アルキルシリルから選択される1以上の置換基により任意的に置換されている]、C2-4アルケニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C2-4アルキニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C3-7シクロアルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、および、C1-4ハロアルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、または、トリ(C1-4)アルキルシリルであり、;Zは、C1-4アルキレン[それぞれ独立に、ヒドロキシ、シアノ、C1-4アルコキシ、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、COOH、およびCOO−C1-4アルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]であり、;mは、0または1であり、;そして、nは、0、1または2である。
【0005】
ある特定の観点において、本発明は、上述の通りに定義される化学式(I)の化合物を供する。そこで、Y1、Y2およびY3は、独立に、水素、ハロゲン、C1-4アルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、Cl-4アルキルチオ、C1-4ハロアルキルチオ、C1-4アルキルアミノ、ジ(Cl-4)アルキルアミノ、C1-4アルコキシカルボニル、および、トリ(C1-4)アルキルシリルから選択される1以上の置換基により置換されている]、C2-4アルケニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C2-4アルキニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C3-7シクロアルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、および、C1-4ハロアルキルから選択される1以上の置換基により任意的に置換されている]、または、トリ(Cl-4)アルキルシリルである。
【0006】
ある観点において、本発明は、上述の通り定義される化学式(I)の化合物を供する。そこで、Zは、C1-4アルキレン[それぞれ独立に、ヒドロキシ、シアノ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、COOH、および、COO−C1-4アルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]である。
【0007】
ある観点において、本発明は、上述の通り定義される化学式(I)の化合物を供する。但し、XがOであり、;R1が水素であり、;R2、R3、R4およびR5の1つがフッ素であり、そして、他がすべて水素であり、;nが1であり、;そしてHetが、
【化2】

である場合、R7は、C2-6アルケニルではない。
【0008】
他の観点において、本発明は、上述の通り定義される、化学式(I)の化合物を供する。但し、XがOであり、;R1、R2、R3、R4およびR5が、全て水素であり、;そしてHetが、
【化3】

である場合、R7は、C2-6アルケニルではない。
【0009】
更なる観点において、本発明は、上述の通り定義される化学式(I)の化合物を供する。但し、XがOであり、;R1、R2、R3、R4およびR5が、すべて水素であり、;nが1であり、;そしてHetが、
【化4】

である場合、R7は、C2-6アルケニルではない。
【0010】
さらに他の観点において、本発明は、上述の通り定義される化学式(I)の化合物を供する。但し、XがOであり、;R1、R3およびR5が、全て水素であり、;R2およびR4が、それぞれ、独立に、水素またはフッ素であり、;nが0であり、;または、nが1であり、;または、nが2であり、そして、2つの独立なR6置換基が、2’、3’若しくは2’、5’若しくは3’、5’位にあり、そして、Hetが、
【化5】

である場合、R7は、4’位にあるC2-6アルケニルではない。
【0011】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、または、ヨウ素[好ましくは、フッ素、塩素、または臭素]である。
【0012】
各アルキル部は、直鎖または分岐鎖であり、そして、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、または、tert−ブチルである。同様に、各アルキレン部は、直鎖または分岐鎖である。
【0013】
ハロアルキル部は、1以上の同じまたは異なるハロゲン原子により置換されたアルキル部であり、例えば、CF3、CF2Cl、CHF2、CH2F、CCl3、CF3CH2、CHF2CH2、CH2FCH2、CH3CHFまたはCH3CF2である。
【0014】
アルケニルおよびアルキニル部は、直鎖または分岐鎖の形態において存在してもよい。アルケニル部は、適当には、(E)−または(Z)−配置のいずれかであってよい。例は、ビニル、アリル、エチニル、および、プロパルギルである。
【0015】
シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、および、シクロヘプチルを含む。
【0016】
トリ(C1-4)アルキルシリル、および、ジ(C1-4)アルキルアミノにおいて、各アルキル部は、独立に選択される。
【0017】
本明細書を通して、Meは、メチルを表し、そして、Etは、エチルを表す。
【0018】
Hetは、ピラゾール、ピロール、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、5,6−ジヒドロピラン、または、5,6−ジヒドロ−1,4−オキサチインであることが好ましい[より好ましくは、ピラゾール、ピロール、チオフェン、フラン、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、または、5,6−ジヒドロピラン;さらに好ましくは、ピラゾール、ピロール、ピリジン、または、チアゾール;そして、よりさらに好ましくは、ピラゾール、ピロール、または、チアゾール]。
【0019】
ある観点において、Hetは、ピラゾール、ピロール、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、5,6−ジヒドロフラン、または、5,6−ジヒドロ−1,4−オキサチインであることが好ましい[より好ましくは、ピラゾール、ピロール、チオフェン、フラン、チアゾール、惜しさゾール、ピリミジン、ピリダジン、または、5,6−ジヒドロフラン、そして、さらに好ましくは、ピラゾール、ピロール、または、チアゾール]。
【0020】
好ましくは、R1は、水素、プロパルギル、アレニル、ホルミル、COMe、COEt、COCH2OMeである。
より好ましくは、R1は水素である。
好ましくは、R2は水素である。
好ましくは、R3は水素である。
好ましくは、R4は水素である。
好ましくは、R5は水素、または、ハロゲンである。
より好ましくは、R5は水素、または、フッ素である。
さらに好ましくは、R5は水素である。
【0021】
本発明のある観点において、R7は、トリ(C1-4)アルキルシリルでる。
【0022】
好ましくは、Y1、Y2およびY3は、独立に、水素、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-4(ハロアルコキシ)C1-4アルキル、C1-4(ハロアルキルチオ)C1-4アルキル、トリメチルシリル、C2-4アルケニル、C2-4ハロアルケニル、または、C3-6シクロアルキル(それぞれ独立に、ハロゲンおよびC1-2アルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている)である。
【0023】
好ましくは、Zは、C1-2アルキレン[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、および、C1-4ハロアルコキシから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されてもよい]。
【0024】
好ましくは、R7は4’位にある。
【0025】
好ましくは、R7はビニル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-3ハロアルキル、C3-6シクロアルキル(それぞれ独立に、水素、CH3、および、C1-2ハロアルキルから選択される1から5の置換基により、任意的に置換されている)、および、トリメチルシリルから、選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、エチニル[シクロプロピル、シクロペンチル、および、シクロヘキシル(それぞれ、独立に、ハロゲン、CH3、および、C1-2ハロアルキルから選択される1から5の置換基により、それぞれ任意的に置換されている)、ハロゲン、C1-6アルキル、C1−4ハロアルキル、C2-4アルケニル、C2-4ハロアルケニル、および、トリ(C1-4)アルキルシリルから選択される1から5の置換基により、任意的に置換されている]、アリル[それぞれ独立に、ハロゲン、CH3、C1-2ハロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、プロパルギル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-2ハロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、または、トリ(C1-4)アルキルシリルである。
【0026】
ある特定の観点において、R7は、好ましくは、ビニル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-3ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、エチニル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-2ハロアルキル、シクロプロピル(それぞれ独立に、ハロゲン、CH3、C1-2ハロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から5の置換基により、任意的に置換されている)、および、トリメチルシリルから選択される1つの置換基により、任意的に置換されている]、アリル[それぞれ独立に、ハロゲン、CH3、C1-2ハロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、プロパルギル[それぞれ独立に、ハロゲン、CH3、C1-2ハロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、または、トリ(C1-4)アルキルシリルである。
【0027】
他の特定の観点において、R7は、好ましくは、ビニル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-3ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、エチニル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-2ハロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1つの置換基により、任意的に置換されている]、アリル[それぞれ独立に、ハロゲン、CH3、C1-2ハロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、プロパルギル[それぞれ独立に、ハロゲン、CH3、C1-2ハロアルキル、および、トリメチルシリルから選択される1から3の置換基により、任意的に置換されている]、または、トリ(C1-4)アルキルシリルである。
【0028】
より好ましくは、R7は、CH=CH2、CH=CH(CH3)、CH=CHSiMe3、CH=CF2、CH=CCl2、C(CH3)=CCl2、CH=CBr2、C(CH3)=CBr2、C(CH3)=CF2、CH=CFCl、CH=CFBr、C(CH3)=CFCl、C(CH3)=CFBr、CH=CFMe、CH=CBrMe、CH=CClMe、CH=CHBr、CH=CHF、CH=CHCl、CF=CF2、CCl=CF2、CCl=CH2、CBr=CH2、CF=CH2、C(CF3)=CFBr、C(CF3)=CFCl、C(CF3)=CBr2、C(CF3)=CCl2、C(CF3)=CF2、C(CF3)=CH2、CF=CHF、CH=CHCF3、CH=CFCF2Cl、CH=CClCF2Cl、CH=CBrCF2Cl、CH=C(CF32、CH=CHC25、CH=CHCF(CF32、C(CH3)=CHCF3、C(CH3)=CFCF3、C(CH3)=CClCF3、C(CH3)=CBrCF3、CH=CClCF3、CH=CClC25、CH=CBrCF3、CH=CFC25、CH=CFCF3、CH2CH=CH2、CH2CH=CF2、CH2CH=CCl2、CH2CH=CBr2、CH2CH=CFBr、CH2CH=CFCl、CH2CH=CClCF3、CH2CH=CHSiMe3、C≡CH、C≡CSiMe3、C≡CSiEt3、C≡CSiMe2C(CH33、C≡CCl、C≡CBr、C≡CF、C≡CCF3、C≡CCF2H、C≡CCF2Cl、C≡CCF2Me、C≡CCF2Et、C≡CCHFCl、C≡CCF2Br、C≡CC25、C≡CCF(CF32、C≡CCHF(CF3)、C≡CCH2F、C≡CCH(Me)F、C≡CCH(Et)F、C≡CMe、C≡CCH2Me、C≡CCHMe2、C≡CCH2CHMe2、C≡CCMe3、C≡CCH2CMe3、C≡CCH2SiMe3、C≡CCMe2Cl、C≡CCMe2F、C≡CCH2OMe、C≡CCH2CF3、C≡CCMe2OMe、C≡CCMe2OH、C≡CCMe2OCOMe、C≡CC(Me)=CH2、C≡CCF=CF2、C≡C(シクロプロピル)、C≡C(シクロペンチル)、C≡C(1−F−シクロペンチル)、CH2C≡CH、CF2C≡CH、CHFC≡CH、CH(CF3)C≡CH、SiMe3、CH2C≡CMe3、または、CH2C≡CSiMe3である。
【0029】
ある特定の観点において、R7は、より好ましくは、CH=CH2、CH=CH(CH3)、CH=CHSiMe3、CH=CF2、CH=CCl2、C(CH3)=CCl2、CH=CBr2、CF=CF2、CCl=CH2、CBr=CH2、CF=CH2、CF=CHF、CH=CHCF3、CH=CClCF3、CH=CBrCF3、CH2CH=CH2、CH2CH=CHSiMe3、C≡CH、C≡CSiMe3、C≡CSiEt3、C≡CSiMe2C(CH33、C≡CCl、C≡CBr、C≡CCF3、C≡CCF2H、C≡CCF2Cl、C≡CCF2Br、C≡CCF(CF32C≡CMe、C≡CCHMe2、C≡CCMe3、C≡CCMe2Cl、C≡CCH2OMe、C≡C(シクロC35)、C≡C(シクロC59)、CH2C≡CH、SiMe3、または、CH2C≡CSiMe3である。
【0030】
更により好ましくは、R7は、CH=CF2、CH=CCl2、C(CH3)=CCl2、CH=CBr2、C(CH3)=CBr2、C(CH3)=CF2、CH=CFCl、CH=CFBr、C(CH3)=CFCl、C(CH3)=CFBr、CH=CHBr、CH=CHF、CH=CHCl、CCl=CH2、CH=CHCF3、CH=CFCF2Cl、CH=CClCF2Cl、CH=CBrCF2Cl、CH=C(CF32、CH=CHC25、CH=CHCF(CF32、C(CH3)=CHCF3、CH=CClCF3、CH=CClC25、CH=CFC25、CH=CBrCF3、CH=CFCF3、CH2CH=CClCF3、CH2CH=CCl2、CH2CH=CBr2、C≡CH、C≡CSiMe3、C≡CSiEt3、C≡CSiMe2C(CH33、C≡CCl、C≡CCF3、C≡CCF2H、C≡CCF2H、C≡CCF2Cl、C≡CCHFCl、C≡CCF2Me、C≡CCF2Et、C≡CCHFEt、C≡CCF2Br、C≡CCF(CF32、C≡CCF2CF3、C≡CCHF(CF3)、C≡CCH2F、C≡CCH(Me)F、C≡CMe、C≡CCHMe2、C≡CCH2Me、C≡CCH2CHMe2、C≡CCMe3、C≡CCH2CMe3、C≡CCMe2F、C≡CCH2CF3、C≡C(シクロプロピル)、C≡C(シクロペンチル)、≡C(1−F−シクロペンチル)、C≡CC(Me)=CH2、C≡CCF=CF2、C≡CCH2SiMe3、CH2C≡CH、CF2C≡CH、または、CHFC≡CHである。
【0031】
ある特定の観点において、R7は、よりさらに好ましくは、CH=CH2、CH=CHSiMe3、CH=CF2、CH≡CCl2、CH=CBr2、CF=CF2、CCl=CH2、CBr=CH2、CF=CHF、CH=CHCF3、CH=CClCF3、C≡CH、C≡CSiMe3、C≡CCl、C≡CBr、C≡CCF3、C≡CMe、C=CCMe3、C≡CCHMe2、C≡C(シクロC35)、CH2C≡CH、SiMe3、または、CH2C≡CSiMe3である。
【0032】
よりさらに好ましくは、R7は、CH=CF2、CH=CCl2、CH=CBr2、CH=CFCl、CH=CFBr、CH=CHBr、CH=CHF、CH=CHCl、CCl=CH2、CH=CHCF3、CH=CFCF2Cl、CH=CClCF2Cl、CH=CBrCF2Cl、CH=C(CF32、CH=CHC25、CH=CClCF3、CH=CBrCF3、CH=CFCF3、C≡CH、C≡CSiMe3、C≡CCl、C≡CCF3、C≡CCF2H、C≡CCHFCl、C=CCHF(CF3)、C=CCF2Cl、C≡CCF2Me、C≡CCF2Br、C≡CCF2CF3、C≡CCH2F、C≡CCH(Me)F、C≡CMe、C≡CCHMe2、C≡CCH2CHMe2、C≡CCMe3、C≡CCCH2CMe3、C≡CCMe2F、C≡CCH2CF3、C≡C(シクロプロピル)、C≡C(シクロペンチル)、C≡C(1−F−シクロペンチル)、CH2C≡CH、CF2C≡CH、CHFC≡CH、または、C=CCH2Meである。
【0033】
ある特定の観点において、R7は、よりさらに好ましくは、CH=CHSiMe3、CH=CF2、CH=CCl2、CH=CBr2、CF=CF2、CCl=CH2、CBr=CH2、CF=CHF、CH=CHCF3、CH=CClCF3、C≡CH、C≡CSiMe3、C≡CCl、C≡CBr、C≡CCF3、C≡CMe、C≡CCMe3、C≡CCHMe2、C≡C(シクロC35)、CH2C≡CH、SiMe3、または、CH2C≡CSiMe3である。
【0034】
好ましくは、Het環中の窒素原子は、独立に、Ryによる非置換型、または、置換型のいずれかである。
【0035】
yが窒素原子上の置換基である場合、それは、好ましくは、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、または、メトキシメチレンであり、;より好ましくは、C1-2アルキル、CF3、CF2Cl、CHF2、CH2F、または、メトキシメチレンであり、;さらにより好ましくは、メチル、CHF2、または、メトキシメチレンであり、いっそうさらに好ましくは、メチル、または、メトキシメチレンであり、;最も好ましくは、メチルである。
【0036】
好ましくは、CXNR1により置換された原子と結合していないHet環中の炭素原子は、独立に、Ryによる非置換型、または、置換型のいずれかである。
【0037】
yが、CXNR1により置換された原子と結合していないHet環中の炭素原子上の置換基である場合、それは、好ましくは、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、または、メトキシメチレンであり、さらに好ましくは、クロロ、メトキシメチレン、CH3、CHF2、または、CF3である。よりさらに好ましくは、クロロ、CH3、CHF2、または、CF3である。いっそうさらに好ましくは、CH3、または、CF3である。Het環中には、CXNR1により置換された原子と結合する1つまたは2つの炭素原子が存在してもよい。好ましくは、それらの炭素原子は、独立に、Ryによる非置換型、または、置換型のいずれかである。
【0038】
yが、CXNR1により置換された原子と結合している炭素原子上の置換基である場合、それは、好ましくは、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキルであり、;より好ましくは、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1-2アルキル、CF3、CF2Cl、CHF2、CH2Fであり、;よりさらに好ましくは、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、CF3、CHF2、CH2Fである。
【0039】
より好ましくは、Het環中に、CXNR1により置換された原子と結合している1つの炭素原子のみが存在する場合、その炭素原子は、Ryにより置換されている。
【0040】
より好ましくは、Het環中に、CXNR1により置換されている原子と結合している2つの炭素原子が存在する場合、そのような炭素原子は、Ryにより置換されており、その他の炭素原子は、フルオロ、クロロ、またはメチルによる、非置換型、または置換型のいずれかである。
【0041】
好ましくは、mは0である。
好ましくは、nは0である。
好ましくは、XはOである。
【0042】
化学式(II)の化合物:
【化6】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnは、化学式(I)の化合物において、前に定義した通り)もまた、新規である[式中、R1、R2、R3、R4、およびR5がそれぞれ水素であり、nが0であり、R7がCH=CHCH2CO2Hである化学式(II)の化合物を除く]、そして、化学式(I)の化合物の調製における中間体として有用である。
【0043】
このため、他の観点において、本発明は、化学式(II)の化合物であって、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnが、化学式(I)の化合物のために前に定義した通りであり、但し、R1、R2、R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり、且つ、nが0である場合、R7がCH=CHCH2CO2Hではない化合物を供する。
【0044】
化学式(II)の化合物のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnの好ましいものは、化学式(I)の化合物において前に定義した通りである。
【0045】
多くの化学式(III )の化合物:
【化7】

(式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnは、化学式(I)の化合物ために前に定義した通りであって、且つ、Halが、ブロモ、クロロ、または、ヨードである)もまた新規であり、そして、化学式(I)の化合物の調製における中間体として有用である。
【0046】
いくつかの化学式(III )の化合物は既知である;表0は、式中、Hal、R2、R3、R4、および、R7が、表0中に定義される通りである、既知の化学式(III a)の化合物を示す。
【化8】

表0
【0047】
【表1】

【0048】
このため、更なる観点において、本発明は化学式(III )の化合物であって、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnが、化学式(I)の化合物において前に定義した通りであり、且つ、Halが、ブロモ、クロロ、または、ヨードであり、但し、表0に従う化学式(III a)の化合物ではない、化合物を供する。
【0049】
化学式(III )の化合物のR2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnの好ましいものは、化学式(I)の化合物において前に定義した通りである。
【0050】
好ましい、Halは、ブロモ、または、クロロである。
より好ましいHalは、ブロモである。
【0051】
化学式(I)、(II)および(III )の化合物は、異なる幾何または光学異性体として、あるいは、互変異性体として存在してもよい。各化学式のために、本発明は、全てのそれらの異性体、および、互変異性体、および、全比率におけるそれらの混合物、並びに、同位体形態、例えば、重水素化化合物を網羅する。
【0052】
以下の表1から13中の化合物は、本発明の化合物を示す。
表1
【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
【表7】

【0059】
【表8】

【0060】
【表9】

【0061】
【表10】

【0062】
【表11】

【0063】
【表12】

【0064】
表1は、化学式(Ia):
【化9】

であって、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、287の化合物を供する。
【0065】
表1は、化学式(IaA):
【化10】

であって、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、287の化合物を供する。
【0066】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaB)の287の化合物を供する。
【化11】

【0067】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaC)の287の化合物を供する。
【化12】

【0068】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaD)の287の化合物を供する。
【化13】

【0069】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaE)の287の化合物を供する。
【化14】

【0070】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaF)の287の化合物を供する。
【化15】

【0071】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaG)の287の化合物を供する。
【化16】

【0072】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaH)の287の化合物を供する。
【化17】

【0073】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaI)の287の化合物を供する。
【化18】

【0074】
表1は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表1に定義する通りである、化学式(IaJ)の287の化合物を供する。
【化19】

表2
【0075】
【表13】

【0076】
【表14】

【0077】
【表15】

【0078】
【表16】

【0079】
【表17】

【0080】
【表18】

【0081】
【表19】

【0082】
【表20】

【0083】
【表21】

【0084】
表2は、式中、R1、R7、R8、R9、R10、および、Xが、表2に定義する通りである、化学式(Ib)の249の化合物を供する。
【化20】

表3
【0085】
【表22】

【0086】
【表23】

【0087】
【表24】

【0088】
【表25】

【0089】
【表26】

【0090】
【表27】

【0091】
【表28】

【0092】
【表29】

【0093】
【表30】

【0094】
【表31】

【0095】
表3は、化学式(Ic):
【化21】

であって、式中、R1、R7、R9、R10、および、Xが、表3に定義する通りである、276の化合物を供する。
【0096】
表3は、式中、R1、R7、R9、R10、および、Xが、表3に定義する通りである、化学式(IcA)の276の化合物を供する。
【化22】

【0097】
表3は、式中、R1、R7、R9、R10、および、Xが、表3に定義する通りである、化学式(IcB)の276の化合物を供する。
【化23】

【0098】
表3は、式中、R1、R7、R9、R10、および、Xが、表3に定義する通りである、化学式(IcC)の276の化合物を供する。
【化24】

【0099】
表3は、式中、R1、R7、R9、R10、および、Xが、表3に定義する通りである、化学式(IcD)の276の化合物を供する。
【化25】

【0100】
表3は、式中、R1、R7、R9、R10、および、Xが、表3に定義する通りである、化学式(IcE)の276の化合物を供する。
【化26】

【0101】
表3は、式中、R1、R7、R9、R10、および、Xが、表3に定義する通りである、化学式(IcF)の276の化合物を供する。
【化27】

【0102】
表3は、式中、R1、R7、R9、R10、および、Xが、表3に定義する通りである、化学式(IcG)の276の化合物を供する。
【化28】

【0103】
表4は、化学式(Id):
【化29】

であって、式中、R1、R7、R9、および、R10が、表4に定義する通りである、3つの化合物を供する。
表4
【0104】
【表32】

【0105】
表5は、化学式(Ie):
【化30】

であって、式中、R1、R7、R8、R9、および、R10が、表5に定義する通りである、15の化合物を供する。
表5
【0106】
【表33】

【表34】

【0107】
表6は、化学式(If):
【化31】

であって、式中、R1、R7、R8、R9、および、R10が、表6に定義する通りである、15の化合物を供する。
表6
【0108】
【表35】

【0109】
【表36】

【0110】
表7は、化学式(Ig):
【化32】

であって、式中、R1、R7、R8、および、Xが、表7に定義する通りである、10の化合物を供する。
表7
【0111】
【表37】

【0112】
【表38】

【0113】
表8は、化学式(Ih):
【化33】

であって、式中、R1、R7、R8、および、Xが、表8に定義する通りである、10の化合物を供する。
表8
【0114】
【表39】

表9
【0115】
【表40】

【0116】
【表41】

【0117】
【表42】

【0118】
【表43】

【0119】
【表44】

【0120】
【表45】

【0121】
【表46】

【0122】
【表47】

【0123】
表9は、化学式(Ii):
【化34】

であって、式中、R1、R7、およびR8が、表9に定義する通りである、212の化合物を供する。
【0124】
表9は、式中、R1、R7、および、R8が、表9に定義する通りである、化学式(IiA)の212の化合物を供する。
【化35】

【0125】
表9は、式中、R1、R7、および、R8が、表9に定義する通りである、化学式(IiB)の212の化合物を供する。
【化36】

【0126】
表9は、式中、R1、R7、および、R8が、表9に定義する通りである、化学式(IiC)の212の化合物を供する。
【化37】

【0127】
表9は、式中、R1、R7、および、R8が、表9に定義する通りである、化学式(IiD)の212の化合物を供する。
【化38】

【0128】
表10は、化学式(Ij):
【化39】

であって、式中、R1、R7、およびR8が、表10に定義する通りである、14の化合物を供する。
表10
【0129】
【表48】

【0130】
表11は、化学式(Ik):
【化40】

であって、式中、R1、R7、およびR8が、表11に定義する通りである、14の化合物を供する。
表11
【0131】
【表49】

【0132】
表12は、式中、R2、R3、R4、および、R5が、それぞれ水素であり、;nが、0であり、;そして、R1およびR7が、表12に定義する通りである、化学式(II)の94の化合物を供する。
表12
【0133】
【表50】

【0134】
【表51】

【0135】
【表52】

【0136】
【表53】

【0137】
【表54】

【0138】
表13は、式中、R2、R3、R4、および、R5が、それぞれ水素であり、;nが、0であり、;そして、HalおよびR7が、表13に定義する通りである、化学式(II)の1つの化合物を供する。
表13
【0139】
【表55】

【0140】
本明細書を通して、温度は、摂氏度において与えられ、;「NMR」は、核磁気共鳴スペクトルを意味し、;MSは、マススペクトルを表し、;M+−1またはM++1は、それぞれ、分子量マイナス1、または、分子量プラス1に従うマススペクトルにおけるシグナルであり、;そして、「%」は、他の単位において対応する濃度が示されない限り、重量パーセントである。
【0141】
以下の省略は、本明細書を通して使用される。:
m.p.=融点 b.p.=沸点
s=単項 br=ブロード
d=二重項 dd=二重項の二重項
t=三重項 q=四重項
m=多重項 ppm=百万分率
【0142】
表14は、表1から表13の化合物の、選択された融点、選択された分子イオン、および、溶媒として、全てCDCl3を伴う選択されたNMRデータ(別に条件を与えられない限り、;溶媒の混合物が存在する場合、これは、例えば、(CDCl3/d6-DMSO)のように示される)、(全ての場合における、全ての特徴付けるデータをリストする試みはされていない)を示す。他に条件が無い限り、上記データは、各化合物のシス/トランス混合体に関する。
表14
【0143】
【表56】

【0144】
【表57】

【0145】
【表58】

【0146】
【表59】

【0147】
【表60】

【0148】
【表61】

【0149】
【表62】

【0150】
【表63】

【0151】
表15は、式中、R、X、および、Hetが、表15に定義する通りである、化学式l(m)の48の化合物を供する。
【化41】

表15
【0152】
【表64】

【0153】
【表65】

【0154】
【表66】

【0155】
表16は、式中、RおよびXが、表16に定義する通りである、化学式II(m)の122の化合物を供する。:
【化42】

表16
【0156】
【表67】

【0157】
【表68】

【0158】
本発明に従う化合物は、以下の反応スキームに従い、調製することができ、そこで、他に条件を定めない限り、それぞれの不定の定義は、化学式(I)の化合物において前に定義した通りである。
【0159】
いくつかの化学式(I)の化合物の他の調製方法が存在する。
【0160】
方法A
化学式(I)の化合物は、強塩基[例えば、NaH、または、ヘキサメチルジシラザンナトリウム]の存在下において、乾燥した極性溶媒[好ましくはTHF]中で、そして、−10℃からその溶媒の沸点[好ましくは周囲温度]で、化学式(II)の化合物と化学式Het−C(=O)OR’[式中、R’はC1-5アルキルである]の化合物との反応により調製することができる。J. Wang et al, Synlett 2001,1485 による論文は類似する調製の詳細を供する。
【0161】
方法B
化学式(I)の化合物は、不活性な有機溶媒[例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジオキサン、または、DMF]中で、そして、−10℃からその溶媒の沸点[好ましくは周囲温度]で、化学式(II)の化合物と化学式Het−C(=O)OR’’[式中、R’’はOH、または、離核基、例えば、Cl、Br、F、または、OC(=O)C1-4アルキル]の化合物との反応により調製することができる。R’’がOHである場合、その反応は、活性化剤[例えば、BOP−Cl]、および、2当量の塩基[例えば、第3級アミン、無機炭酸塩、または、炭酸水素塩]の存在下において行われる。一方、R’’が、離核基である場合、その反応は、少なくとも1当量の塩基[例えば、ピリジン、第3級アミン、無機炭酸塩、または、炭酸水素塩]の存在下において行われる。
【0162】
方法C
化学式(I)の化合物[式中、R1は前に定義した通りであるが、水素ではない]は、溶媒[例えば、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、エーテル、酢酸エチル、DMF、または、水(二相性混合物として、任意的に、転移触媒相、例えば、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩)の存在下において)]中で、および、塩基[例えば、第3級アミン、アルカリ炭酸塩、アルカリ炭酸水素塩、アルカリ水酸化物、または、NaH;L1が(CO)C1-4アルキルである場合、塩基無しで単に加熱するだけでよい]の存在下において、化学式(I)の化合物[式中R1は水素である]と化学式R1−L1[式中、R1は前に定義した通りであるが、水素ではなく、;そして、L1は離隔基、例えば、Cl、Br、I、スルホン酸塩(例えば、メシレート、または、トシレート)、または、OC(O)C1-4アルキルである]との反応により調製することができる。
【0163】
方法D
化学式(I)の化合物は、Cu(I)および非プロトン性溶媒[例えば、環状エーテル、例えば、ジオキサン]の存在下において、上昇させた温度で、そして、好ましくは還流温度において、化学式(III )の化合物[式中、Halは、好ましくは、ブロモまたはヨードである]と化学式Het−C(=O)NH2とを反応させることにより調製することができる。好ましい条件は、リガンド−形成物質としての1,2−ジアミン(例えば、1,2−ジアミノシクロヘキサン、または、エチレンジアミン)、および、少なくとも1当量の塩基(例えば、アルカリ炭酸塩、または、アルカリリン酸塩)の存在下において、化学式(III )の化合物に対して2%から100%モル/モルで使用されるCuIである。A. Klapars et al. J. Am. Chem. Soc. 123,7727 (2001) による論文は、類似する調製の詳細を供する。
【0164】
方法E
化学式(I)の化合物は、化学式(IV)の化合物
【化43】

[式中、FGは、1以上の合成工程において、R7に変換可能な官能基である]の変換により調製することができる。官能基の相互変換は、当業者にとって、標準的な手順である。文献において多くの方法が存在し、それは、そのように、あるいは、存在する官能基に従う修飾を伴い使用することができる。;表Aは、特に、EGのR7への相互変換による、化学式(I)の化合物調製に関する、関連文献(それらいくつかもまた、更に適当な引例を引用する)を与える。当業者にとって、表Aにおいて与えられた文献例は、特に説明したR7の調製を制限する必要がなく、また、他の構造的に関係するR7の調製の類推により応用することができる。
表A
【0165】
【表69】

【0166】
【表70】

【0167】
【表71】

【0168】
化学式(II)、(III )または(IV)の化合物のいくつかの他の調製方法が存在する。
【0169】
方法F−化学式(II)または(III )の化合物の調製
【化44】

化学式(II)、(III )または(IV)の化合物は、化学式(V)の化合物[式中、FGは化学式(IV)の化合物ために前に定義した通りであり、Tは、ハロゲン、アミノ、NHR1、保護されたアミノ基T’(例えば、カルバミン酸塩、アミド、環式イミド、N−アルキル、N−アルケニル−、N−ベンジル−、N−ジフェニルメチル−、または、N−トリチル誘導体、イミン誘導体、あるいは、N−シリル−、または、N−ジシリル誘導体)、または、T’’基(これは、文献に説明される合成方法を応用することにより、NH2またはNHR1に変換できる基である;T’’は、好ましくは、アジド、ニトロ、ハロゲン、トリフレート、CONH2、COOH、COCl、または、NCOである)のいずれかである]から、官能基の相互変換により調製することができる。化学式(V)の化合物からの開始官能基FGは、上述した方法Eの類似方法を応用することにより、R7に変換することができる。この変換は、直接、化学式(II)の化合物[TがNHR1である場合]、化学式(III )の化合物[Tがハロゲン(好ましくは、クロロ、ブロモ、または、ヨード)である場合]、または、化学式(IV)の化合物[TがT’またはT’’である場合]へと導く。
【0170】
二番目の工程において、化学式(IV)または(II)の化合物[R1がH以外である場合]は、一般的な上述した方法のいずれかを応用すること[脱保護、または、TのNH2への変換]により、化学式(II)の化合物[R1がHである場合]に変換することができる。
【0171】
T’の多用途の値および脱保護の方法の例は、T. W. Green and P. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition (John Wiley & Sons 1999), Chapter 7において与えられている。
【0172】
T’’の有用な値とT’’をNH2、T’またはNHR1に変換するための文献は、M. B. Smith, Compendium of Organic Synthetic Methods, Vols. 1-10, Chapter 7 (Wiley, Vol. 10: 2002) において、見つけることができる。
【0173】
方法G
【化45】

化学式(II)、(III )または(IV)の化合物は、化学式(VII )の化合物と化学式(VIII)の化合物[式中、RaおよびRa’は、それぞれ、独立に、ハロゲン(好ましくは、CL、BrまたはI)、トリフレート、または、官能性含む金属含有物、例えば、金属として、B、Sn、Mg、ZnまたはCu;例は、B(OH)2、ボロン酸エステル(好ましくは、1,2−または1,3−ジオール由来のエステル誘導体)、トリアルキルチン(好ましくは、Sn(CH33またはSn(nBu)3)、Mgのハロゲン塩、ZnまたはCuのハロゲン塩である]のカップリング反応により調製することができる。RaまたはRa’のいずれかが官能性を有する金属である場合、その他の置換基は、ハロゲンまたはトリフレートでなければならない。
【0174】
それらのカップリング反応は上記文献において、広く知られている。特に適当なものは、Stilleカップリング、Suzukiカップリング、Negishiカップリング、または、Ullmann反応として当業者に周知である、Pd(0)、Ni(0)または、銅触媒カップリングである。これらの反応の、包括的なレビューは、Metal-Catalysed Cross-Coupling Reactions; F. Diederich and P. Stang (eds. ) ; Wiley-VCH; Weinheim 1998 において見つけることができる。
【0175】
二番目の工程において、一般的な上述の方法[これは、脱保護、またはT’’のNH2への変換である]のいずれかにより、化学式(IV)または(II)の化合物[R1がH以外である場合]を化学式(II)の化合物[R1がHである場合]に変換することができる。
【0176】
驚くべきことに、この度、実用的な目的のために、真菌類、並びに、細菌およびウイルスにより発生する疾患に対する植物の保護に極めて有利なスペクトルを有する、化学式(I)の新規な化合物が発見された。
【0177】
化学式(I)の化合物は、植物の有害生物を制御するための活性成分として、農業部門および、使用の関連分野において使用することができる。新規な化合物は、低い割合の投与での優れた活性により、植物が優れた耐性を示すことにより、および、環境的な安全性により認識される。それらは極めて有用な、治療的な、防止的な、および、浸透的な特性を有し、そして、多数の栽培された植物を保護するために使用される。化学式(I)の化合物は、植物または有用な植物の別々の作物である植物の一部(果実、花、葉、茎、塊茎、根)において発生する有害生物を阻害するため、あるいは、駆除するために使用することができ、また、後から成長する植物のこれらの一部を、例えば、病原性微生物から、同時に保護することもできる。
【0178】
また、化学式(I)の化合物は、植物の繁殖物の処理のためのドレッシング剤として、特に、種子(果実、塊茎、穀物)および植物のカッティング(例えば、稲)において、真菌類の感染に対する、並びに、土壌において発生する病原性真菌類に対する保護のために使用することができる。
【0179】
さらに、本発明に従う化合物は、関連する分野、例えば、木材の貯蔵、衛生管理等における、木材、木材関連技術生産物を含む技術的な材料の保護において、真菌類の制御のために使用することができる。
【0180】
化学式(I)の化合物は、例えば、以下のクラスの病原性真菌類に対して有効である:化学式(I)の化合物は、例えば、以下の病原性真菌類に対して有効である:不完全菌類(Fungi inperfecti)(例えば、ボトリチス属(Botrytis)、ピリキュラリア属(Pyricularia)、ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)、フサリウム属(Fusarium)、セプトリア属(Septoria)、セルコスポラ属(Cercospora)およびアルテルナリア属(Alternaria))および、担子菌類(Basidiomycetes)(例えば、リゾクトニア属(Rhizoctonia)、ヘミレイア属(Hemileia)、プッシニア属(Puccinia))。付け加えると、それらはまた、子嚢菌類(Ascomycetes類)(例えば、ベンチュリア属(Venturia)およびエリシフェ属(Erysiphe)、ポドスファエラ属(Podosphaera)、モニリニア属(Monilinia)、ウルシヌラ属(Uncinula))および卵菌類(Oomycetes)(例えば、フィトフトラ属(Phytophtora)、ピチウム属(Pythium)、プラスモパラ属(Plasmopara))に対しても有効である。傑出している活性はうどん粉病(エリシフェ種(Erysiphe spp))およびサビ病(プッシニア種(Puccinia spp))に対して観察された。さらには、新規な化学式(I)の化合物は病原性細菌およびウイルス(例えば、キサントモナス種(Xanthomonas spp)、シュードモナス種(Pseudomonas spp)、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)並びにタバコモザイクウィルス)に対して有効である。
【0181】
本発明の範囲内において、保護すべき対象作物は、一般的に、以下の植物種を含んで成る:穀草類(小麦、大麦、ライ麦、オート麦、稲、トウモロコシ、ソルガム、および、関連種);ビート(シュガービートおよびファダービート);ナシ状果、核果および軟果(リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、およびブラックベリー);マメ科植物(豆、ヒラマメ、エンドウ、大豆);油植物(セイヨウアブラナ、マスタード、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマシ油植物、ココア豆、ピーナッツ);ウリ科(カボチャ、キュウリ、メロン);繊維植物(綿、亜麻、麻、ジュート);柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン);野菜(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、パプリカ);クスノキ科(アボカド、シナモン、クスノキ)または、タバコ、ナッツ、コーヒー、サトウキビ、茶、コショウ、蔓草、ホップ、バナナおよび天然ゴム植物、並びに、観賞植物等の植物。
【0182】
化学式(I)の化合物は、改変されていない形態において、または、好ましくは、製剤の業界において慣習的に利用されるアジュバントと共に使用される。最終的に、それらは既知の方法において、乳化性濃縮物、コーティング可能なペースト、直接的な噴霧性または希釈性溶液、希釈性乳濁液、湿潤性粉末、可溶性粉末、粉塵、顆粒、および、例えば、ポリマー物質中の封入体へと簡便に処方される。上記組成物のタイプによる場合、適用方法、例えば、スプレー、微粒化、粉塵化、散布、コーティングまたは注入は意図する目的および支配的な環境により選択される。また、上記組成物は、さらに、アジュバント、例えば、安定剤、泡消し剤、粘着性調整剤、結合剤または粘着付与剤、並びに、肥料、微量栄養素ドナー、または、特別な効果を得るための他の製剤を含んでよい。
【0183】
適当な担体およびアジュバントは、固形物または液体であってよく、そして、製剤技術において有用な物質、例えば、天然または再生無機物、溶媒、分散剤、湿潤剤、粘着付与剤、増粘剤、結合剤または肥料である。そのような担体は、例えば、WO97/33890において説明されている。
【0184】
化学式(I)の化合物は、通常、組成物の形態において使用され、そして、処理すべき作物部分または植物に、同時に、または更なる化合物と共に連続して適用することができる。これらの更なる化合物は、例えば、肥料、または、微量栄養素ドナー、あるいは、植物の成長に影響する他の調製剤であってよい。更なる担体、界面活性剤、または、製剤の当業界において慣習的に利用される適用促進アジュバントと共に所望するならば、それらはまた、選択的な除草剤、並びに、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺線虫剤、殺陸貝剤、または、これらの調製剤のいくつかの混合物であってよい。
【0185】
化学式(I)の化合物は、他の殺真菌剤と混合することができ、予期しなかった相乗的な活性におけるいくつかのケースをもたらす。特に好ましい混合成分は、アゾール、例えば、アザコナゾール、BAY14120、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ディフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ピリフェノクス、プロクロラズ、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール;ピリミジニルカルビノール、例えば、アンシミドール、フェナリモル、ヌアリモル;2−アミノ−ピリミジン、例えば、ブピリメート、ジメチリモル、エチリモル;モルフォリン、例えば、ドデモルフ、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、スピロキサミン、トリデモルフ;アニリノピリミジン、例えば、シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル;ピロール、例えば、フェンピクロニルおよびフルジオキソニル;フェニルアミド、例えば、ベナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R−メタラキシル、オフレース、オキサジキシル;ベンズイミダゾール、例えば、ベノミル、カルベンダジム、デバカーブ、フベリダゾール、チアベンダゾール;ジカルボキシイミド、例えば、クロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン;カルボキサミド、例えば、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、メプロニル、オキシカルボキシン、チフルザミド;グアニジン、例えば、グアザチン、ドジン、イミノクタジン;ストロビルリン、例えば、アゾキシストロビン、クレソキム−メチル、メトミノストロビン、SSF−129、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、BAS500F(提唱名ピラクロストロビン)、BAS520;ジチオカルバメート、例えば、フェルバム、マンコゼブ、マネブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;N−ハロメチルチオテトラヒドロフタリミド、例えば、カプタホル、カプタン、ジクロロフルアニド、フルオロミド、ホルペット、トリフルアニド;Cu−化合物、例えば、Bordeaux混合物、水酸化銅、銅酸塩化物、硫酸銅、酸化第一銅、マンカッパー、酸化銅;ニトロフェノール−誘導体、例えば、ジノカップ、ニトロタル−イソプロピル;有機−P−誘導体、例えば、エジフェンフォス、イプロベンフォス、イソプロチオラン、フォスジフェン、ピラゾフォス、トルコフォス−メチル;他の様々なもの、例えば、アシベンゾラル−S−メチル、アニラジン、ベンチアバリカルブ、ブラスチシジン−S、ボスカリド、チノメチオネート、クロロネブ、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、ジクロン、ジクロメジン、ジクロラン、ジエソフェンカルブ、ジメトモルフ、SYP−LI90(提唱名フルモルフ)、ジチアノン、エタボキサム、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェンチン、フェリムゾン、フルアジナム、フルサルファミド、フェンヘキサミド、フォセチル−アルミニウム、ヒメキサゾール、イプロバリカルブ、IKF−916(シアゾファミド)、カスガミシン、メタスルホカルブ、メトラフェノン、ニコビフェン、ペンシクロン、フタリド、ポリオキシン、プロベナゾール、プロパモカルブ、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、イオウ、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリホリン、バリダミシンまたはゾキサミド(RH7281)である。
【0186】
化学式(I)の化合物、または、1以上の上記組成物を含む農薬組成物の好ましい適用方法は、葉への適用である。適用の頻度および適用の割合は、対応する病原体による感染のリスクに依存するであろう。しかしながら、化学式(I)の化合物はまた、液体製剤を植物の場所にドレッシングすることにより、または固形化合物、例えば、粒状化合物を土壌に対して適用することにより(土壌適用)、土壌を介し、根を通って(体系的機能)浸透することができる。稲作においては、このような顆粒を、水田に適用することができる。また、化学式(I)の化合物は、種子もしくは塊茎に殺真菌剤を染み込ませることにより、または固形製剤でそれらをコーティングすることにより、種子に適用することができる(コーティング)。
【0187】
製剤[化学式(I)の化合物を含む組成物のこと]および、所望すれば、固形または液体アジュバントは、既知の方法、一般的には、エクステンダー、例えば、溶媒、固形担体、または任意的な界面活性化合物(界面活性剤)で、よく混合すること、および/または、粉砕することにより、において調製される。
【0188】
農薬製剤は、通常、0.1から99重量%、好ましくは、0.1から95重量%の化学式(I)の化合物を含み、99.9から1重量%、好ましくは、99.8から5重量%の固形または液体アジュバントを含み、そして、0から25重量%、好ましくは、0.1から25重量%の界面活性剤を含むであろう。
【0189】
有利な適用の割合は、一般的に、ヘクタール(ha)当たり5gから2kgの活性成分(a.i.)であり、好ましくは、10gから1kg a.i/haであり、最も好ましくは、20gから600g a.i/haである。種子のドレッシング剤として使用する場合は、簡便な適用量は、種子のkg当たり10mgから1gの活性物質である。
【0190】
濃縮物として、商業的生産物を処方することが好ましいが、エンドユーザーは、通常、希釈製剤を使用するであろう。
【0191】
以下の制限のない実施例は、上述の発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0192】
本実施例は化合物No.1.01の調製について説明する。
2−アミノ−4’−エチニル−ビフェニル(0.30g)および1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−クロロカルボニル−ピラゾール(0.33g)を氷で冷却しながら、THF中で混合し、それから、ピリジン(0.12ml)を加えた。周囲温度に温めた後、その懸濁液を、3.5時間撹拌し、水に注ぎ、そして、酢酸エチルで2回抽出した。その有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして、その溶媒を蒸発させ、そして、シリカゲル(溶媒:ヘキサン:酢酸エチル 2:1)においてクロマトグラフィー精製を行い、0.4g(70.2%)の化合物No.1.01を産出した。
【実施例2】
【0193】
本実施例は化合物No.2.01の調製について説明する。
10mlのジクロロメタン中に溶解した1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−ピロールカルボン酸(0.22g)に、トリエチルアミン(0.32ml)および2−アミノ−4’−トリメチルシリルエチニル−ビフェニル(0.3g)を加え、そして、最後に、氷で冷却しながら、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)クロロホスフィン酸(0.29g)を加えた。18時間撹拌した後、その溶媒を減圧下で除去し、そして、その残渣を酢酸エチルで溶かした。水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして、その溶媒を蒸発させ、産出した0.45gの黄色の油を、シリカゲル(溶出剤:ヘキサン:酢酸エチル 2:1)におけるクロマトグラフにかけ、0.13g(26%)の化合物No.2.01を産出した。
【実施例3】
【0194】
本実施例は化合物No.1.72の調製について説明する。
0−5℃における5mlの乾燥THF中のNaH(46mg)に、10mlの乾燥THF中の2−N−ホルミルアミノ−4’−(プロピン−1−イル)−ビフェニル(0.3g)を加えた。その反応を、この温度で1時間保ち、そして、その後、1−メチル−3−トリフルオロメチル−4−クロロカルボニル−ピラゾール(0.372g)を加えた。生じた懸濁液を、室温で一昼夜撹拌し、ブラインに注ぎ、そして、酢酸エチルで抽出した。その溶媒を蒸発させ、そして、その残渣をメタノール中に入れ、そして、ナトリウムメチラート(10mg)を加えた。30分後、その混合物を、希HClで中和し、酢酸エチルで抽出し、そして、中性となるまで洗浄した。シリカゲル(溶出剤:酢酸エチル:ヘキサン 1:2)におけるクロマトグラフにかけ、そして、トルエン:ヘキサン(4:1)から再結晶させ、0.169gの化合物No.1.72を産出した。
【実施例4】
【0195】
本実施例は、上述の方法Fに従う調製法を使用して、2−アミノ−4’−(トリメチルシリル)エチニル−ビフェニル(化合物No.12.02)および2−アミノ−4’−エチニル−ビフェニル(化合物No.12.01)の調製について説明する。
【0196】
窒素下において、ピペリジン(25ml)中の2.5gの2−アミノ−4’−ブロモ−ビフェニル(WO264562)に、順番に、CuI(0.1g)、ビス(トリフェニルホスフィノ)パラジウムジクロリド(0.35g)、および、トリメチルシリルアセチレン(2.8ml)を加えた。その混合物を、室温で22時間撹拌し、そして、さらに、60℃で26時間撹拌した。冷却後、その反応混合物を、水で希釈し、そして、酢酸エチルで抽出した。それから、その有機相を、水で洗浄し、そして、硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空中で、その溶媒を蒸発させた後、その混合物を、シリカゲル(ヘキサン:酢酸エチル 9:1)におけるクロマトグラフにかけ、2−アミノ−4’−(トリメチルシリル)エチニル−ビフェニル(2g)(化合物No.12.02)を産出した。
【0197】
1.4gのこの化合物を、メタノール(40ml)中に溶解させ、そして、炭酸カリウム(0.9g)を冷却しながら加えた。生じた懸濁液を2時間撹拌し、そして、氷水上に注ぎ、そして、形成した沈殿物を、ろ過し、水で完全に洗浄し、そして、乾燥させ、淡黄褐色の結晶として、2−アミノ−4’−エチニル−ビフェニル(0.9g)(化合物No.12.01)を得た。
【実施例5】
【0198】
本実施例は2−N−ホルミルアミノ−4’−(プロピン−1−イル)−ビフェニル(化合物No.12.16)の調製について説明する。
【0199】
窒素下において、N−ホルミルアミノ−4’ブロモ−ビフェニル(3.5g)(J.Chem.Soc.1957,4)、トリブチルチン(プロピニル−1)(5g)(Aldrich から購入)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.37g)を、トルエン(200ml)中で混合し、そして、16時間還流温度に加熱した。生じた黒ずんだ混合物を、水で希釈し、そして、酢酸エチルで抽出した。その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして、その溶媒を減圧で蒸発させた。その残渣をアセトニトリル中に入れ、そして、ヘキサンで繰り返し洗浄した。減圧でのアセトニトリルの除去、および、シリカゲル(溶出剤:ヘキサン:酢酸エチル 2:1)でのその残渣のクロマトグラフィー後、淡黄色の粉末として、2−N−ホルミルアミノ−4’−(プロピン−1−イル)−ビフェニル(化合物No.12.16)(1.57g)を得た。
【実施例6】
【0200】
本実施例は、2−アミノ−4’(2,2−ジクロロ)エチレン−ビフェニル(化合物No.12.07)および2−アミノ4’−(クロロエチニル)−ビフェニル(化合物No.12.04)の調製について説明する。
【0201】
a)2−ニトロ−4’(2,2−ジクロロ)エチレン−ビフェニルの調製。
エタノール(70ml)中の2−ニトロ−4’ホルミル−ビフェニル(2g)(WO9503290)(2−ブロモニトロベンゼンと4−ホルミル−フェニル−ボロン酸とのPd−触媒カップリングにより調製された)に、ヒドラジン水和物(95%)(1.32g)を加え、そして、生じた混合物を、それから5時間還流させた。その溶媒を、減圧下において蒸発させて乾燥させ、その残渣をDMSO(30ml)中に懸濁し、それから、アンモニア(25%)(3ml)および新鮮な調製したCuCl(80mg)を順番に加え、そして、最後に、テトラクロロメタン(3.8g)を水で冷却しながら滴下した。その混合物を室温で24時間撹拌し、そして、生じた緑色の懸濁液を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、水で洗浄し、そして、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その溶媒を蒸発させ、そして、その残渣のシリカゲル(溶出剤:ヘキサン:酢酸エチル 4:1)におけるクロマトグラフィーにより、2−ニトロ−4’(2,2−ジクロロ)エチレン−ビフェニル(0.8g)、m.p.58−59℃を産出した。
【0202】
b)2−アミノ−4’(2,2−ジクロロ)エチレン−ビフェニルの調製。
工程(a)由来の2−ニトロ−4’(2,2−ジクロロ)エチレン−ビフェニル(0.76g)を50%エタノール(30ml)中に溶かし、還流温度に加熱した。それから、50%エタノール(10ml)中の2NのHCl(0.3ml)を滴下した。その反応混合物を、還流温度で4時間保ち、室温に冷却し、そして、ろ過した。そのろ液を、炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルで2回抽出し、そして、その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下における、その溶媒の蒸発により、2−アミノ−4’(2,2−ジクロロ)エチレン−ビフェニル(0.62g)(化合物No.12.07)を産出した。
【0203】
c)2−アミノ−4’(2,2−ジクロロ)エチレン−ビフェニル(3g)を、0.9gのKOH(85%、粉末)が懸濁されている、150mlのジメチルスルホキシド中に溶かした。その混合物を、室温で一昼夜撹拌し、過剰量の水で希釈し、そして、酢酸エチルで2回抽出し、そして、その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下における、その溶媒の蒸発、および、その残渣のシリカゲル(溶出剤:ヘキサン:酢酸エチル 4:1)におけるクロマトグラフィーにより、黄褐色の固形物として、2.5gの2−アミノ−4’(2,2−ジクロロ)エチレン−ビフェニルを産出した。
【実施例7】
【0204】
本実施例は、化合物No.12.18の調製について説明する。
【0205】
工程A:2−ニトロ−(4’−トリメチルシリル)−ビフェニル
2−ブロモ−ニトロベンゼン(0.86g)、4−(トリメチルシリル)フェニルボロン酸(1g)、および、ビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムジクロリド(0.3g)を、ジメトキシエタン(35ml)中に溶かし、それから、水(5ml)中に溶かした炭酸水素ナトリウム(1.3g)の溶液を滴下した。その混合物を3時間(80℃の湯浴温度)加熱し、室温に冷却し、酢酸:水::1:1(300ml)に注ぎ、そして、吸引ろ過した。その有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして、その溶媒を除去した。生じた残渣(1.58gの濃い油)をシリカゲル(溶出剤:ヘキサン:酢酸エチル 4:1)におけるクロマトグラフにかけ、黄色の油(1.12g)を得た。この化合物は工程Bにおいて使用した。
【0206】
工程B:2−アミノ−(4’−トリメチルシリル)−ビフェニル[化合物12.18]
上述の工程Aから得られた化合物(0.955g)およびギ酸アンモニウム(ammonium formiate)(1.86g)を、メタノール(30ml)中に溶かし、窒素でパージした。この溶液に、二分して、pd(100mg;炭素上10%)を加えた。室温で15時間撹拌後、反応混合物をろ過し、そして、その溶媒を蒸発させた。
【0207】
化学式(I)の化合物の処方例
化学式(I)の化合物の製剤、例えば、乳化性濃縮物、溶液、顆粒、粉末、および、湿潤性粉末の調製のための実験手順は、WO97/33890において説明されている。
【0208】
生物学的実施例:殺真菌作用
実施例B−1:プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)/小麦(小麦における褐サビ病)に対する作用
1週齢の小麦植物、cv.Arinaを、スプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布の翌日、その小麦植物に、胞子懸濁液(1×105胞子/ml)をスプレーすることにより接種する。20℃および95%r.h.での2日間のインキュベーション後、その植物を、グリーンハウスにおいて、20℃および60%r.h.で8日間保つ。接種から10日後、上記疾患の感染率を評価する。
【0209】
感染は、1.01,1.03,1.08,1.10,1.12,1.13,1.15,1.16,1.18,1.19,1.24,1.33,1.35,1.36,1.56,1.57,1.66,1.67,1.70,1.77,1.78,1.81,1.106,1.107,1.139,1.151,1.152,1.154,1.155,1.182,1.185,1.251,1.252,2.01,2.08,2.66,3.01,3.08,3.12,3.18,3.32,3.35,3.56,3.66,3.69,3.250,9.01,9.06,9.15,9.21,9.41,9.50,9.53,9.59,9.62,15.25,15.26および15.28の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0210】
実施例B−2:ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)/リンゴ(リンゴにおけるウドン粉病)に対する作用
5週齢のリンゴ苗木、cv.McIntoshをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布の翌日、そのリンゴ植物に、試験植物の上で、リンゴウドン粉病に感染した植物を振ることにより、リンゴ植物に接種する。14/10時間(明/暗)の明るさ管理下における、22℃および60%r.h.での12日間のインキュベーション後、上記疾患の発生率を評価する。
【0211】
感染は、1.01,1.03,1.08,1.10,1.12,1.13,1.15,1.16,1.18,1.19,1.24,1.33,1.35,1.36,1.56,1.57,1.66,1.67,1.70,1.77,1.78,1.81,1.106,1.107,1.139,1.151,1.152,1.154,1.155,1.182,1.185,1.251,1.252,2.01,2.08,2.66,3.01,3.08,3.12,3.18,3.32,3.35,3.56,3.66,3.69,3.250,9.01,9.06,9.15,9.21,9.41,9.50,9.53,9.59,9.62,15.25,15.26および15.28の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0212】
実施例B−3:ベンチュリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)/リンゴ(リンゴにおける黒星病)
4週齢のリンゴ苗木、cv.McIntoshをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布の翌日、試験植物に、胞子懸濁液(4×105分生子/ml)をスプレーすることにより、リンゴ植物に接種する。20℃および95%r.h.での4日間のインキュベーション後、その植物を、グリーンハウス中、21℃および60%r.h.に4日間置く。21℃および95%r.h.でのインキュベーションからさらに4日後、上記疾患の発生率を評価する。
【0213】
感染は、1.01,1.03,1.08,1.10,1.12,1.13,1.18,1.19,1.24,1.33,1.56,1.57,1.66,1.67,1.69,1.70,1.77,1.78,1.81,1.106,1.107,1.138,1.152,1154,1.155,1.251,1.252,2.01,2.08,2.66,3.01,3.08,3.12,3.18,3.32,3.56,3.66,3.69,9.01,9.06,9.15,9.21,9.50および9.59の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0214】
実施例B−4:エリシフェ・グラミニス(Erysiphe gaminis)/大麦(大麦におけるウドン粉病)に対する作用
1週齢の大麦植物、cv.Reginaをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布の翌日、試験植物の上で、うどん粉病に感染した植物を振ることにより、大麦植物に接種する。グリーンハウス中、20℃/18℃(昼/夜)および60%r.h.での6日間のインキュベーション後、上記疾患の感染率を評価する。
【0215】
感染は、1.01,1.03,1.08,1.10,1.12,1.13,1.15,1.16,1.18,1.19,1.24,1.33,1.35,1.36,1.56,1.57,1.66,1.67,1.70,1.77,1.78,1.106,1.107,1.152,1.155,1.251,1.252,2.01,2.08,2.66,3.01,3.08,3.12,3.18,3.32,3.35,3.56,3.66,3.69,3.250,9.01,9.06,9.15,9.21,9.41,9.50および9.59の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0216】
実施例B−5:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)/ブドウ(ブドウにおけるボトリチス)に対する作用
5週齢のブドウ苗木、cv.Gutedelをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布から2日後、その試料植物上に胞子懸濁液(1×106分生子/ml)をスプレーすることにより、ブドウ植物に接種する。グリーンハウス中、21℃および95%r.h.での4日間のインキュベーション後、上記疾患の感染率を評価する。
【0217】
感染は、1.01,1.03,1.08および1.10の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0218】
実施例B−6:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)/トマト(トマトにおけるボトリチス)に対する作用
4週齢のトマト植物、cv.Roter Gnomをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布から2日後、その試料植物上に胞子懸濁液(1×105分生子/ml)をスプレーすることにより、トマト植物に接種する。育成チャンバー中、20℃および95%r.h.での4日間のインキュベーション後、上記疾患の感染率を評価する。
【0219】
感染は、1.01,1.03,1.08,1.10,1.12,1.13,1.15,1.16,1.18,1.19,1.24,1.33,1.36,1.56,1.57,1.66,1.67,1.69,1.70,1.77,1.78,1.106,1.107,1.138,1.139,1.152,1.155,1.251,1.252,2.01,2.66,3.01,3.08,3.12,3.66,3.69,3.250,9.06,9.15,9.21,9.41,9.50および9.59の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0220】
実施例B−7:セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)/小麦(小麦におけるセプトリア葉枯病(Septoria leaf spot))に対する作用
1週齢の小麦植物、cv.Arinaをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布の翌日、その試料植物上に胞子懸濁液(5×105分生子/ml)をスプレーすることにより、小麦植物に接種する。20℃および95%r.h.での1日間のインキュベーション後、その植物を、グリーンハウス中、20℃および60%r.h.に10日間保つ。接種から11日後、上記疾患の感染率を評価する。
【0221】
感染は、1.01,1.03,1.08および1.10の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0222】
実施例B−8:ヘルミントスポリウム・テレス(Helminthosporium teres)/大麦(大麦における網斑病)に対する作用
1週齢の大麦植物、cv.Reginaをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布から2日後、その試料植物上に胞子懸濁液(3×104分生子/ml)をスプレーすることにより、大麦植物に接種する。グリーンハウス中、20℃および95%r.h.での4日間のインキュベーション後、上記疾患の感染率を評価する。
【0223】
感染は、1.01,1.03,1.08,1.10,1.12,1.13,1.15,1.16,1.18,1.19,1.22,1.24,1.33,1.36,1.35,1.56,1.57,1.60,1.66,1.67,1.69,1.70,1.77,1.78,1.81,1.106,1.107,1.138,1.139,1.151,1.152,1.154,1.155,1.182,1.185,1.251,1.252,2.01,2.08,2.66,3.01,3.08,3.12,3.18,3.32,3.35,3.56,3.66,3.69,9.01,9.06,9.15,9.21,9.41,9.50,9.53,9.59,9.62,15.25,15.26および15.28の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0224】
実施例B−9:アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)/トマト(トマトにおける夏疫病)に対する作用
4週齢のトマト植物、cv.Roter Gnomをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布から2日後、その試料植物上に胞子懸濁液(2×105分生子/ml)をスプレーすることにより、トマト植物に接種する。育成チャンバー中、20℃および95%r.h.での3日間のインキュベーション後、上記疾患の感染率を評価する。
【0225】
感染は、1.01,1.03,1.08,1.10,1.13,1.15,1.16,1.19,1.22,1.24,1.33,1.35,1.36,1.56,1.57,1.67,1.69,1.70,1.77,1.78,1.81,1.107,1.151,1.152,1.154,1.155,1.182,1.185,1.251,1.252,2.01,3.01,3.08,3.12,3.32,3.35,3.56,3.69,9.01,9.06,9.15,9.41,9.50,9.62および15.26の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0226】
実施例B−10:ウンシヌラ・ネカター(Uncinula necator)/ブドウ(ブドウにおけるウドン粉病)に対する作用
5週齢のブドウ苗木、cv.Gutedelをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.02%の活性成分)で処理する。散布の翌日、試験植物の上で、ブドウウドン粉病に感染した植物を振ることにより、ブドウ植物に接種する。14/10時間(明/暗)の明るさ管理下における、26℃および60%r.h.での7日間のインキュベーション後、上記疾患の発生率を評価する。
【0227】
感染は、1.01,1.03,1.08,1.10,1.12,1.13,1.18,1.19,1.24,1.33,1.56,1.57,1.60,1.66,1.67,1.70,1.77,1.78,1.81,1.106,1.107,1.138,1.139,1.151,1.152,1.154,1.155,1.182,1.185,1.251,1.252,2.01,2.08,2.66,3.01,3.08,3.12,3.32,3.56,3.66,3.69,3.250,9.01,9.06,9.15,9.41,9.50,9.53および9.59の各化合物で、実質的に完全(0−5%の感染)に防止される。
【0228】
実施例B−11:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)/小麦(小麦におけるセプトリア葉枯病(Septoria leaf spot))に対する作用
2週齢の小麦植物、cv.Ribandをスプレーチャンバー中で、処方した試料化合物(0.2%の活性成分)で処理する。散布の翌日、その試料植物上に胞子懸濁液(10×105分生子/ml)をスプレーすることにより、小麦植物に接種する。23℃および95%r.h.での1日間のインキュベーション後、その植物を、グリーンハウス中、23℃および60%r.h.に16日間保つ。接種から18日後、上記疾患の感染率を評価する。
【0229】
化合物1.10,1.03,1.09,1.70,1.69,3.01,1.67,1.66,3.66,9.59,3.69,1.33,2.66,9.06,3.08,1.77,1.78,1.56,1.57,1.138,1.139,1.12,1.18,1.106,1.107,9.53,3.32,1.151,1.152,1.252,1.155,9.41,3.56,1.13,3.12,9.21,1.250,1.19および3.18は、それぞれ、本試験において、良好な活性を示す(<20%の疾患感染率)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)の化合物:
【化1】

であって、式中、Hetは、それぞれ独立に、酸素、窒素、および、硫黄から選択される、1つから3つのヘテロ原子を含む、5員複素環または6員複素環であり、但し、その環は、1,2,3−トリアゾールではなく、その環は、1つ、2つ、または、3つのRy基で置換されており、;R1は、水素、ホルミル、CO−C1-4アルキル、COO−C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキレン、CO−Cl-4アルキレンオキシ(Cl-4)アルキル、プロパルギル、または、アレニルであり、;R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、メチル、または、CF3であり、;各R6は、独立に、ハロゲン、メチル、または、CF3であり、;R7は、(Z)mC≡C(Y1)、(Z)mC(Y1)=C(Y2)(Y3)または、トリ(C1-4)アルキルシリルであり、;各Ryは独立に、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキレン、または、シアノであり、;Xは、OまたはSであり、;Yl、Y2およびY3は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-6アルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、Cl-4ハロアルキルチオ、C1-4アルキルアミノ、ジ(C1-4)アルキルアミノ、Cl-4アルコキシカルボニル、Cl-4アルキルカルボニルオキシ、および、トリ(C1-4)アルキルシリルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C2-4アルケニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C2-4アルキニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C3-7シクロアルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、および、C1-4ハロアルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、または、トリ(C1-4)アルキルシリルであり、;Zは、C1-4アルキレン[それぞれ独立に、ヒドロキシ、シアノ、C1-4アルコキシ、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、COOH、およびCOO−C1-4アルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]であり、;mは、0または1であり、;そして、nは、0、1または2である、化合物。
【請求項2】
上記式中、Hetが、ピラゾール、ピロール、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、5,6−ジヒドロピラン、または、5,6−ジヒドロ−1,4−オキサチインである、請求項1に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項3】
上記式中、R1が、水素、プロパルギル、アレニル、ホルミル、COMe、COEt、または、COCH2OMeである、請求項1または2に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項4】
上記式中、Y1、Y2およびY3が、独立に、水素、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-4(ハロアルコキシ)C1-4アルキル、C1-4(ハロアルキルチオ)C1-4アルキル、トリメチルシリル、C2-4アルケニル、C2-4ハロアルケニル、または、C3-6シクロアルキル(それぞれ独立に、ハロゲンおよびC1-2アルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている)である、請求項1、2、または3に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項5】
上記式中、m=0である、請求項1、2、3、または4に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項6】
上記式中、Zが、C1-2アルキレン[式中、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、および、C1-4ハロアルコキシから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されてもよい]、請求項1、2、3、4、または5に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項7】
上記式中、R7が、4’位にある、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項8】
上記式中、n=0である、請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項9】
化学式(II)の化合物:
【化2】

であって、式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnは、請求項1に定義した通りであり、;但し、R1、R2、R3、R4、およびR5がそれぞれ水素であり、且つ、nが0である場合、R7がCH=C(H)CH2CO2Hではない、化合物。
【請求項10】
化学式(III )の化合物:
【化3】

であって、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnは、請求項1に定義した通りであり、そして、Halは、ブロモ、クロロ、または、ヨードであり、;但し、上記化合物が、表0に従う化学式(III a)の化合物ではない、化合物。
【請求項11】
微生物の制御、並びに、微生物による植物の攻撃および侵襲の予防のための組成物であって、その活性成分が、適当な担体を一緒に伴う請求項1に記載の化学式(I)の化合物である、組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の化学式(I)の化合物を、植物に対して、その一部に対して、または、その場所に対して適用することにより、病原性微生物による栽培した植物の侵襲を、制御または防止する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)の化合物:
【化1】

であって、式中、Hetは、それぞれ独立に、酸素、窒素、および、硫黄から選択される、1つから3つのヘテロ原子を含む、5員複素環または6員複素環であり、但し、その環は、1,2,3−トリアゾールではなく、その環は、1つ、2つ、または、3つのRy基で置換されており、;R1は、水素、ホルミル、CO−C1-4アルキル、COO−C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキレン、CO−Cl-4アルキレンオキシ(Cl-4)アルキル、プロパルギル、または、アレニルであり、;R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、メチル、または、CF3であり、;R5は、水素またはフッ素であり、;各R6は、独立に、ハロゲン、メチル、または、CF3であり、;R7は、(Z)mC≡C(Y1)または(Z)mC(Y1)=C(Y2)(Y3)であり、;各Ryは独立に、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキレン、または、シアノであり、;Xは、OまたはSであり、;Yl、Y2およびY3は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-6アルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、Cl-4ハロアルキルチオ、C1-4アルキルアミノ、ジ(C1-4)アルキルアミノ、Cl-4アルコキシカルボニル、Cl-4アルキルカルボニルオキシ、および、トリ(C1-4)アルキルシリルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C2-4アルケニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C2-4アルキニル[それぞれ独立に、ハロゲンから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、C3-7シクロアルキル[それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4アルキル、および、C1-4ハロアルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]、または、トリ(C1-4)アルキルシリルであり、;Zは、C1-4アルキレン[それぞれ独立に、ヒドロキシ、シアノ、C1-4アルコキシ、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルチオ、COOH、およびCOO−C1-4アルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている]であり、;mは、0または1であり、;そして、nは、0、1または2である、化合物。
【請求項2】
上記式中、Hetが、ピラゾール、ピロール、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、5,6−ジヒドロピラン、または、5,6−ジヒドロ−1,4−オキサチインである、請求項1に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項3】
上記式中、R1が、水素、プロパルギル、アレニル、ホルミル、COMe、COEt、または、COCH2OMeである、請求項1または2に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項4】
上記式中、Y1、Y2およびY3が、独立に、水素、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-4(ハロアルコキシ)C1-4アルキル、C1-4(ハロアルキルチオ)C1-4アルキル、トリメチルシリル、C2-4アルケニル、C2-4ハロアルケニル、または、C3-6シクロアルキル(それぞれ独立に、ハロゲンおよびC1-2アルキルから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されている)である、請求項1、2、または3に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項5】
上記式中、m=0である、請求項1、2、3、または4に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項6】
上記式中、Zが、C1-2アルキレン[式中、それぞれ独立に、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、および、C1-4ハロアルコキシから選択される1以上の置換基により、任意的に置換されてもよい]、請求項1、2、3、4、または5に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項7】
上記式中、R7が、4’位にある、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項8】
上記式中、n=0である、請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の化学式(I)の化合物。
【請求項9】
化学式(II)の化合物:
【化2】

であって、式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnは、請求項1に定義した通りであり、;但し、R1、R2、R3、R4、およびR5がそれぞれ水素であり、且つ、nが0である場合、R7がCH=C(H)CH2CO2Hではない、化合物。
【請求項10】
化学式(III )の化合物:
【化3】

であって、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnは、請求項1に定義した通りであり、そして、Halは、ブロモ、クロロ、または、ヨードであり、;但し、上記化合物が、表0に従う化学式(III a)の化合物ではない、化合物。
【請求項11】
微生物の制御、並びに、微生物による植物の攻撃および侵襲の予防のための組成物であって、その活性成分が、適当な担体を一緒に伴う請求項1に記載の化学式(I)の化合物である、組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の化学式(I)の化合物を、植物に対して、その一部に対して、または、その場所に対して適用することにより、病原性微生物による栽培した植物の侵襲を、制御または防止する方法。

【公表番号】特表2006−516136(P2006−516136A)
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562754(P2004−562754)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014248
【国際公開番号】WO2004/058723
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】