説明

ピストンロッド位置情報をピストンロッド上の磁性層に記録するシステム及び方法

【課題】ピストンロッド上の磁性層内にピストンロッド位置情報を記録するためのシステム及び方法を記載する。
【解決手段】シリンダに対して運動しているピストンロッド上に、記録媒体を構成する磁気的に硬い層が形成されている。磁気パターンが前記磁気的に硬い層内に記録されている。磁界センサが、前記ピストンロッドが前記シリンダに対して運動している間に前記記録された磁気パターンを感知し、前記磁気パターンに応答して、前記ピストンロッドの瞬時位置を求めるために用いられる信号を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、シリンダに対して運動しているピストンロッドの絶対位置を測定するための方法及びシステムに関する。より詳細には、本発明は、ピストンロッドの位置、速度及び運動方向を、前記ピストンロッド上に形成された磁性フィルム内にコード化された位置情報から判定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
液圧シリンダは、様々な製造業及び自動車関連産業において、機械の動きと位置とを制御するために使用されている。一般に、これらのシリンダは、軸に沿った往復運動をするピストンが内部に設けられたシリンダ胴部を有する。前記ピストンの一方の端部に、ピストンロッドが固定されている。前記ピストンロッドは、前記運動の軸に沿って、前記シリンダ胴部の一方の端部から外側に延伸している。前記シリンダ胴部外側の前記ピストンロッド端部は、機械部品に直接に又は間接に結合している。前記ピストンは、前記シリンダ胴部を2つの室に区分している。前記2つの室の一方に流入した液体は、前記ピストンと前記ピストンロッドとをハウジングに対して動かす。ピストンロッドのこの動きによって、前記機械部品が動かされる。
【0003】
一般に、前記機械の動作の制御には、前記ピストンの位置を正確に制御することが必要とされる。従来のフィードバック制御技術を用いてそのような制御を行うためには、前記シリンダに対する前記ピストンの絶対位置又は速度の測定が必要であることが多い。このため、動いているピストン又はピストンロッドの瞬時位置を検出するための機械、磁気、音及び光を利用した多様な技術がこれまでに開発されてきた。
【0004】
多くの位置検出システムは、高価であるか、大きくて重いか、シリンダへの取り付けが煩雑である。更に、液圧シリンダ用の位置検出システムは、ピストンを動かす加圧流体などの内的条件及び、塵やごみなどの外的条件に起因する厳しい環境下で動作することが多い。位置検出システムの中には、例えば線形可変差動変成器(LVDT)及びリニアスケールなどの、厳しい環境下では正確に作動しにくいか又は壊れやすいものがある。
【0005】
ピストンロッド位置をピストンロッド自体の上にコード化し、ピストンロッドが基準点を通過する際に、光、磁気、機械などを用いた、コード化の種類に適した技術によって前記コード化された位置を読み取る方法もある。また、ロッドに溝、凹部、印などを設ける方法も知られている。しかし、これらのような加工を施すことにより、ロッドの強度が損なわれるおそれがある。英国特許出願No.GB2096421に記載の別の方法では、ピストン情報がピストンロッドのロッド材料中に磁気的にコード化される。この場合、ピストンロッドは磁化可能な鋼製である。しかし、このロッド材料は磁気的に「軟らかい」。軟磁性材料は、前記材料内への情報の磁気的コード化及び消去の難易度の目安である保磁力が低い。従って、保磁力の低いロッド材料内にコード化された位置情報は、誤って消去又は変更されてしまう可能性が高い。
【特許文献1】英国特許出願No.GB2096421
【0006】
(発明の要約)
一局面においては、本発明は、シリンダと、前記シリンダ内に設けられ、前記シリンダに対して運動するように設けられたピストンロッドとを有するピストンロッド位置感知システムに関する。磁気的に硬い層が前記ピストンロッド上に形成され、記録媒体を構成している。磁気パターンが前記磁気的に硬い層内に記録されている。磁界センサが、前記ピストンロッドが前記シリンダに対して運動している間に前記記録された磁気パターンを感知し、前記磁気パターンに応答して、前記ピストンロッドの瞬時位置の判定に用いられる信号を発生するために、前記シリンダ内に配置されている。
【0007】
別の一局面においては、本発明は、ピストンと、前記ピストンから軸に沿って外側に延伸したロッドとを有するシリンダに関する。磁気的に硬い層が、前記ピストンロッド上に形成され、複数の情報ビットを前記ロッドの長手方向に磁気的に記憶するための記録媒体を構成している。
【0008】
更に別の一局面においては、本発明は、シリンダ内部で運動しているピストンロッドの位置を感知するための方法に関する。磁気的に硬い層が、前記ピストンロッド上に形成され、情報を記憶するための記録媒体を構成している。磁気パターンが、前記磁気的に硬い層内に磁気的に記録されている。前記磁気的に硬い層内に記録された前記磁気パターンは、前記ピストンロッドが運動している間に読み取られる。読み取られた前記磁気パターンから、前記シリンダに対する前記ピストンロッドの瞬時位置が判定される。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ピストンロッド(又はシリンダロッド)の絶対位置、速度及び運動方向を、前記ピストンロッドが作動シリンダに対して運動している間に検出するための方法及びシステムに関する。本発明の原理によれば、物理的及び磁気的に硬い材料が前記ピストンロッドを被覆している。磁気パターンは又はコードが、標準的な磁気記録技術を用いて前記磁気的に硬い材料の被覆層又はフィルム内に記録されている。ここで使用される磁気的に「硬い」材料は、保磁力の高い材料である。保磁力の高い磁性材料は、情報の磁化即ち記録と共に、記録された情報の消磁にも相当のエネルギーを要する。前記シリンダのエンドキャップに取り付けられた一つ又は複数の磁束感知型の磁気読み取りヘッドが、前記磁気パターンを読み取る。前記読み取りヘッドと連通した回路装置が、前記磁気パターンから得られた情報を処理して、前記ピストンロッドの瞬時インクリメンタル位置、速度及び前記シリンダに対する運動方向を判定可能である。
【0010】
ピストンロッドを被覆する磁気的に硬い層内に前記ピストンロッドの絶対位置をコード化するために、様々な方法を使用可能である。幾つかの方法においては、複数のバイナリコードを記録する。各バイナリコードは、特定のピストンロッド位置に一意的に対応している。別の一方法では、ピストンロッドの長手方向に発散する2本の磁気線間の横方向の距離を測定する。更に別の一方法では、両側が前記のような2本の発散する線によって区切られた領域を磁化させ、この区切られた領域全体をセンサ(又はセンサアレイ)で感知し、前記センサによって検出された前記磁化領域の広さをピストンロッド位置と相関させる。これらの方法は、位置情報をピストンロッド上に記録することの可能な多様な方法を例示したものである。その他の磁気パターン又はコード化された情報も、本発明の原理から逸脱することなく記録可能である。
【0011】
図1は、シリンダ胴部3、シリンダエンドキャップ4(パッキン押えとも呼ぶ)及びハウジング6を有するシリンダ2の一実施例の側断面図である。軸に沿った往復運動を行うピストン8が、シリンダ胴部3内に設けられている。ピストン8は、シリンダ胴部3を2つの室10aと10bとに区分している。
【0012】
ピストンロッド12の一方の端部がピストン8に固定され、前記運動の軸に沿って延伸している。ピストンロッド12の他方の端部は、エンドキャップ4を貫通してハウジング6の外側に延伸しており、機械部品に直接又は間接に結合可能である。典型的には、ピストン8とピストンロッド12とは鋼製(即ち強磁性材料)である。図示した実施例では、ピストンロッド12は円筒形であるが、他の形状のピストンロッドを本発明の原理から逸脱することなく用いることも可能である。本発明によれば、磁気的に硬いフィルム又は層14がピストンロッド12を被覆し、記録媒体を構成している。この被覆はピストンロッド12上で連続していても切れ目があってもよく、またピストンロッド12の一部を被覆していても全体を被覆していてもよい。例えば、典型的には磁気的に硬い層14は、ピストンロッド12の端部上には形成されていない。パターン又はコードが、ピストンロッド12の長さ全体にわたって、磁気的に硬い層14内に記録されており、その詳細は以下に説明する通りである。
【0013】
エンドキャップ4には、ピストン8を動かすための(例えば油、水、蒸気、ガスなどの)流体が室10bへ出入りするための流路16が設けられている。他方の室10aへの流体の流路は図示されていない。エンドキャップ4内のシール18が、ピストンロッド12の表面と同一平面上に設けられていることにより、室10bからの流体の流出を防止する。
【0014】
ハウジング6には、複数の磁束感知型磁気読み取りヘッド20と読み取りヘッド電子装置22とが収容されている。図1には、図の簡略化のために読み取りヘッドが1つだけ図示されている。複数の読み取りヘッド20は、ホール効果装置又は磁気抵抗センサであってもよい。ハウジング6内に複数の読み取りヘッド20を配置することにより、環境からの保護が図られ、交換のための取扱いが容易となる(即ち、エンドキャップ4をシリンダ2から取り外さずにハウジング6を取り外すことができる)。複数の読み取りヘッド20は、磁気的に硬い層14内に記録された磁気パターン内にコード化された位置情報を読み取るために、ハウジング6内でピストンロッド表面近くに取り付けられている。ハウジング6には、ピストンロッド12に付着するおそれのある微細な磁化可能な粒子を拭き取るためのロッドワイパ24も設けられている。別の一実施例においては、エンドキャップ4に、複数の読み取りヘッド20と読み取りヘッド電子装置22とが収容されている。そのような実施例においては、エンドキャップ4が複数の読み取りヘッド20を厳しい動作条件から保護することができるので、ハウジング6を省略してもよい。
【0015】
大まかに述べると、室10a、10b内の流体の経時変化する圧力差によって、ピストン8とピストンロッド12とが複数の読み取りヘッド20に対して出入りする。複数の読み取りヘッド20は、ピストンロッド12上に記録された磁気パターンを読み取り、対応するアナログ又はデジタル信号を生成する。読み取りヘッド電子装置22は、複数の読み取りヘッド20の瞬時読み取り値の組み合わせから、ピストンロッドの位置、速度及び方向又はこれらの任意の組み合わせの実測値を求めることが可能である。
【0016】
図2A及び図2Bは、図1の磁気的に硬い層14内にバイナリ情報を磁気的に記録するための2つの標準的な磁気記録方法の線図である。書き込み変換器(即ち単磁極書き込みヘッド)が、識別可能な磁気パターンが記録された磁気的に硬い層14を、2つの標準的な方法:1)縦磁化と2)垂直磁化とのいずれかの方法で磁化させる。前記書き込み変換器に電流が流れて外部磁界が発生すると、磁気的に硬い層14内の磁区が整列する。書き込み変換器は、現在のところ、一平方インチあたり数十メガビット程度を記録可能である。
【0017】
縦磁化媒体では、図2Aに左右方向の矢印で示すように、磁化は磁気的に硬い層14の面方向に並んでいる。縦磁化記録媒体の磁気パターンは、「転換」、即ち前記面方向の磁化を一方の極から他方の極へとヘッド間で反転させることで構成される。そのような反転は、前記媒体上方に配置された読み取りヘッド20によってその漂遊磁束が感知される磁極の存在を特徴とする。垂直磁化媒体では、図2Bに上下方向の矢印で示すように、磁化は前記面に対して垂直である。この場合、磁気パターンは、「上向き」及び「下向き」に磁化された領域間での転換によって構成される。
【0018】
縦磁化記録媒体と垂直磁化記録媒体とは、双方共に、(無電解めっき、電気めっき、化学蒸着めっき及び電気化学めっき(スパッタリング)などの)電気化学的方法を用いて製造可能である。縦磁化記録媒体及び垂直磁化記録媒体の場合、使用する材料はコバルトを含有する合金であることが多い。純粋なコバルト(Co)を用いて保磁力の高い磁性フィルムを製造することもできるが、典型的には合金元素を用いて記録媒体の磁気的特性を調整し、保磁力を高める。使用可能な合金元素の例には、VA群(P、As、Sb、Bi)、VIB群(Cr、Mo、W)並びに貴金属Pt及びPdがある。縦磁化記録媒体用の合金の例には、Co−P、Co−Ni−P、Co−W及びCo−Moがある。垂直磁化記録媒体用の合金の例には、Co−Pを含有する合金、Co−W及びCo−Crがある。これらのようなCoを含有する合金を用いることで得られる高い保磁力の値は、約1乃至2キロエルステッドである。
【0019】
磁気的に硬い層14の複数の実施例をそのような材料から合成して、保磁力の高い磁性層を作成してもよい。磁気的に硬い層14などの保磁力の高い磁性層又はフィルムは、外部の漂遊磁界下及び磁気転換の結果生じた反磁界下でも、記録された情報を保持することができる。この磁気的に硬い層14は、機械的磨耗及び腐食に対する耐性も高い。しかし、シリンダ2の厳しい動作環境を考慮すると、磁気的に硬い層14を被覆して、機械的磨耗及び腐食に対する耐性を更に高めてもよいであろう。そのような保護層の一例に、硬質クロム、即ちCr層がある。
【0020】
図3は、支持層50、任意に設けられる中間層52、磁気的に硬い層14及び任意に設けられる保護層54を含むピストンロッド12の一部分の一実施例の断面図である。一般に、支持層50は、磁性体であっても非磁性体であってもよい。即ち、ピストンロッド12は、典型的には(例えば鋼製のロッドなどの)強磁性体であるが、(例えばプラスチック、アルミニウム、セラミック又はガラスなどの)非磁性材料から構成されていても、本発明の原理から逸脱することはない。層14、52及び54がピストンロッド12全体を被覆していてもよいし、又はピストンロッド12の一部を被覆していてもよい。例えば、磁気的に硬い層14(及び任意に設けられる層53、54)は、典型的にはピストンロッド12の端部、詳細には複数の読み取りヘッド20の近くを通過する際に、感知に十分な程度に複数の読み取りヘッド20に接近しない一部分又は複数の部分は被覆していない。
【0021】
中間層52の組成は、記録媒体と支持層材料との種類に左右される。例えば縦磁化媒体の場合は、強磁性の支持層を用いると、情報保持上の問題が起こるおそれがある。強磁性の支持層は、透磁率が高いので、低い磁気抵抗で磁束を通過させてしまう。このため、磁束の流れが逸れてしまい、感知可能な磁束が減少してしまう。磁気的に硬い層14を縦磁化媒体として作製する実施例においては、中間層52は、例えばNi−Pなどの、前記磁気抵抗の低い経路を遮断する非磁性アモルファス層であってもよい。非磁性の支持層は、強磁性の支持層が持つ高い透磁率を持たないので、そのような中間層52を非磁性の支持層として任意に用いてもよい。
【0022】
垂直磁化媒体の場合には、強磁性の支持層の持つ高い透磁率が利点となる。互いに逆の極性に磁化された隣接する2つの領域間に位置する強磁性支持層中の帰還路は、磁気的に硬い層14よりも上の領域内の漂遊磁束に影響を与えることなく、書き込みプロセス及び書き込まれた情報の保持を補助する。非磁性の支持層は、そのような高い透磁率を持たないので、情報を保持するためのそのような有利な特性を有しない。非磁性の支持層上に設けられた垂直磁化媒体の情報保持率を向上させるために、中間層52が(例えばパーマロイ又はNi−Feなどの)磁気的に柔らかい層であってもよい。強磁性支持層50の透磁率の不確実さや不均一さが改善されるので、磁気的に柔らかい層52を使用すれば有利であろうが、強磁性支持層50の透磁率が高いことから、磁気的に柔らかい層52は任意に設けられる。
【0023】
図3は、ピストンロッド12のこの実施例の磁性支持層50上の層14、52及び54の相対的な厚さも図示している。垂直磁化記録媒体を使用した一実施例においては、磁気的に硬い層14の厚さは約5μmであり、保護層54の厚さは約25μmであり、ここでは(例えばパーマロイなどの)磁気的に柔らかい層である中間層52の厚さは約1乃至2μmである。保護層54の厚さは、読み取りヘッド20が磁気的に硬い層14に接近しうる距離を制限することにより、ピストンロッド位置感知システムの分解能を左右する。例えば、保護層54の厚さが25μmである場合、複数のビットは、読み取りヘッド20がこれらを区別可能であるためには、相互に少なくとも(およそ)25μm離間している必要があるであろう。保護層54が設けられていない実施例の場合は、コード化された磁気的に硬い層14に読み取りヘッド20が直接に接触可能なので、複数のビットは相互により接近していてもよいであろう。図3に図示した厚さは一例を示したものであり、これとは異なる厚さの層14、52及び54を使用しても本発明を実施可能である。
【0024】
ピストンロッド位置情報は、様々な方法でピストンロッド12の磁気的に硬い層14内に記録可能である。幾つかの方法では、ピストンロッド12上の絶対ピストンロッド位置情報を(例えばバイナリコードを用いて)明確に記録するが、別の複数の方法では、磁気的に硬い層14内の形状又は領域を磁化したものからピストンロッド位置情報が演算される。ここで使用する磁気パターンという用語は、一般に、ピストンロッド位置を直接に又は間接に特定する、任意の種類の磁気的な記録を意味する。
【0025】
特定の絶対位置を表すバイナリコードは、少なくとも2つの大まかな方向:1)ピストンロッド12の周囲に沿った方向(又は横方向);及び、2)ピストンロッド12の長手方向で、ピストンロッド12上に現れうる。前記第1の場合には、特定のピストンロッド位置を表すバイナリコードは、複数の読み取りヘッドによって同時に読み取られる。複数の読み取りヘッドによる同時読み取り結果を組み合わせることで、前記特定の位置が求められる。前記第2の場合には、1つの読み取りヘッドが、前記特定のピストンロッド位置を表すバイナリコードを読み取る。
【0026】
図4は、複数のピストンロッド位置がピストンロッド12の周囲に沿ってコード化された実施例を図示したものである。この実施例は、複数のピストンロッド位置を表す複数の周囲磁気パターンの一例に過ぎない。その他のパターンも、本発明の原理から逸脱することなく使用可能である。平面的に図示された円筒形のピストンロッド12は、複数の情報ビットが磁気的に記録された複数のトラック80に区分されている。これらのトラック80は、ピストン6の往復運動の方向に沿ったピストンロッド12の長手方向に延伸している。各トラック80の幅は、円筒形のピストンロッド12の特定の角度範囲にわたっている。各トラックは1個の読み取りヘッド20(図1)によって読み取られる。例えば、12本のトラック80を有するピストンロッド12の場合には、各トラック80は、30度の円弧の範囲にわたっており、12個の読み取りヘッド20のそれぞれが、前記複数のトラック80の1つに記録された複数のビットを読み取る。図5は、円筒形のピストンロッド12と、記憶された複数の情報ビットを各トラック80から読み取るために前記ロッドの表面近くに配置された、複数の読み取りヘッド20との断面図である。
【0027】
図4に戻ると、位置を表すバイナリコードが、これら12本のトラック上に磁気的に書き込まれている。それぞれ特定可能なピストンロッド位置82が、ピストンロッド12の周囲を取り巻いている。前記複数のトラック80に記録された、各位置82のバイナリ情報は、同時に読み取られると、それぞれが一意的に前記ピストン位置を表す。この例では、ある位置についての固有のバイナリコードは、トラック12本分の幅にわたっている。ある読み取りヘッド20が所望のトラック80から確実にビット情報を読み取るようにするために、一実施例では、ピストンロッド12が一トラックの幅を超えて回転しないようになっている。別の一実施例では、各読み取りヘッド20の正確な位置を利用して、ピストンロッド12の回転運動が検出される。エラー検出コードを用いて、コードの誤読による位置測定の誤りを防止してもよい。この装置は、ピストンロッドの既知の絶対位置の分解能が、1ビットの物理的な大きさと概ね同じでよいという利点がある。磁気的なコード化の場合には、各ビットの大きさは0.001乃至0.002インチである。
【0028】
識別可能な磁気的に記録された複数のビット間の望ましい空間分解能とピストンロッド12の長さとは、各ピストンロッド位置を一意的に表すのに要する一意的なバイナリコードの数を決定するための要素となる。望ましい分解能が0.04インチである、55インチのピストンロッドを例に挙げると、ピストンロッド12上の1375個の位置(55/0.04)のそれぞれを一意的に表すためには、上記位置検出システムは、1375個の一意的なバイナリコードを必要とする。従って、各ピストンロッド位置を表すためには、少なくとも11ビットが必要である。11ビットを読み取るために、11本のトラック80と11個の読み取りヘッド20が用いられる。例えばピストンロッドの回転を検出するため及びエラーコードを訂正するためなどの、ピストンロッド位置を一意的に表す以外の目的で、更なるビット、トラック及び読み取りヘッドをこの例で用いてもよい。
【0029】
図4には、ピストンロッドの複数のインクリメンタル位置を表すのに使用可能なバイナリコードの例が単純に図示されている。この例では、陰影を施した部分は、磁気的に硬い層14の中でビット値1が記録された部分を表す。陰影の施されていない部分は、ビット値0が記録された部分を表す。図4では、右端のビットが最小桁のビットであり、図示されているバイナリコード化された複数のピストンロッド位置82は、下から順にコード値1乃至7で表される。
【0030】
本発明の位置感知システムは、複数の読み取りヘッド20がコード化された情報を読み取る度に、ピストンロッド12の絶対位置を求める。読み取りヘッド電子装置22は、前記瞬時絶対位置の複数の読み取り結果から、ピストンロッド12の速度を算出することができる。電子装置22は、前記絶対位置の複数の読み取り結果から、ピストンロッド12の運動距離を算出し、この距離を読み取り時点間の時間で除算する。複数の絶対位置を比較することにより、ピストンロッド12の運動方向を求めることも可能である。
【0031】
図6は、複数のピストンロッド位置がピストンロッド12上に長手方向にコード化された一実施例を図示したものである。平面的に図示された円筒形のピストンロッド12は、複数の情報ビットが磁気的に記録された複数のトラック80’(ここでは3本のトラック)に区分されている。各トラックは、1つの読み取りヘッド20によって読み取られる。更なる読み取りヘッドを、ピストンロッド12の回転を検出するために用いてもよい。これらのトラック80’は、ピストンロッド12の往復運動の方向に沿ったピストンロッド12の長手方向に延伸している。各トラック80’の幅は、円筒形のピストンロッド12の特定の角度範囲にわたっている。例えば、3本のトラック80’を有するピストンロッド12の場合には、各トラック80’は、120度の円弧の範囲にわたっている。
【0032】
これらのトラック80’のそれぞれには、複数の語82’が磁気的に書き込まれている。各語82’には、特定のピストンロッド位置を一意的に表すバイナリ情報の磁気パターンが含まれる。例えば、12ビットの情報は、分解能0.04インチで、上記に例示した55インチのピストンロッド12の1375個のピストンロッド位置を一意的に表すことが可能である。磁気的に硬い層14が、厚さ0.001インチの硬質クロム又はCr層で保護されている一実施例においては、12ビットの語を約0.012インチの直線空間内に磁気的に記録可能である。
【0033】
複数のトラック80a’の一つにおいては、複数のピストンロッド絶対位置を表す複数の語82’が、ピストンロッド12の長手方向にインクリメンタルに記録されている。このトラック80a’には、所望の絶対位置毎に1つの語82’(例えば、上記に例示した55インチのピストンロッドの場合、増分量0.04インチで1375語)が含まれる。
【0034】
その他の2本のトラック80b’と80c’とは、複数の領域90に区分されている。トラック80c’内の複数の領域90は、トラック80b’内の複数の領域90とは食い違っている。複数の語82’によって表される複数の位置も互いに異なる:偶数の位置はトラック80b’内にコード化され、奇数の位置はトラック80c’内にコード化されている。複数の語82’をこのように食い違わせることで、1375個の個別の位置を表すために用いるピストンロッド12の長さが、トラック80a’で用いたインクリメンタルな方法と比較して短くなる。
【0035】
長手方向に語が書き込まれているこの実施例では、停電が起こった場合、ピストンロッド12は、位置感知システムがその現在の位置を認識できるようになるまでに、一定の距離を移動する必要がある。この点で、位置感知システムのこの実施例は完全ではない。この距離は、一語の絶対分解能(即ち物理的語長)に対応している。12ビットの語を用いた上述の例においては、この距離は0.012インチである。バッテリによるバックアップをシステムに組み入れて、停電が起こった時点における最新の既知のピストン位置と運動方向とを保持させることにより、ピストンロッド位置を検出できるようになる前の初期移動を不要としてもよい。
【0036】
図6に示した実施例は、ピストンロッド位置を長手方向の磁気パターンで表す一例に過ぎない。他の複数の例には、予想される各ピストンロッド位置が記録された、例えばトラック80a’のような1本のみのトラック又は2本のみのトラック80b’及び80c’などが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0037】
図7は、ピストンロッドの位置、速度及び運動方向を求めるのに用いられる、磁気的に硬い層14内に記録された磁気パターン100の一実施例を示したものである。ここでは平面的に図示された磁気パターン100には、ピストンロッド12の長手方向に延伸する2本の磁気線120、122が含まれる。これら2本の線120、122は、磁気的に硬い層14内に記録されている。第1の線120は、ピストンロッド12の運動の方向に、かつピストンロッド12の軸に対して平行に延伸している。第2の線122は、第1の直線120から次第に離れるように延伸しており、平面形の実施例では対角線状に、円筒形の実施例ではらせん状に延伸している。前記らせん状の実施例では、第2の線122は、第1の直線120と交差しないように、ピストンロッド12の周囲を完全には包囲していない。
【0038】
ハウジング6(図1)内に取り付けられた複数のセンサ20’からなる列(斜めに陰影を施した枠部分)が、2つの磁気線120、122を磁気的に感知する。複数のセンサは、ホール効果センサであってもよいし、又は、銅のクラッディング層上に磁気抵抗性材料(即ちパーマロイ)の層を形成した後に、これらのクラッディングとパーマロイとを選択的にエッチングして除去したものとセンサ列とから構成されていてもよい。
【0039】
複数のセンサ20’からなる列から発生された信号により、複数の読み取りヘッド電子装置22(図1)が2本の線120、122間の現在の距離を計算することが可能となる。2本の線120、122が互いから離れていくので、測定された距離は特定のピストンロッド絶対位置に一意的に対応している(ルックアップテーブルにこれらの対応を格納してもよい)。センサ列124内の任意の2つのセンサ間の距離は、ピストンロッド12の位置を特定するのに十分な距離である。2本の線120、122は、作動開始時又は作動中に、1つのセンサ又はセンサ列に対して特定の位置関係にある必要はない。従って、ピストンロッド12がその動作中に回転することで、位置、速度又は運動方向の感知に影響が及ぼされることはない。
【0040】
直径3.5インチ、長さ55インチ、空間分解能0.04インチのピストンロッドを例に挙げると、ピストンロッド12が長手方向に0.04インチ動くと、2本の線120、122間の距離が0.08インチ増加する。この長手方向の0.08インチの動きを、ピストンロッド12の周囲上に分散させると、1375個の一意的なピストンロッド位置に対応する。1375個のセンサからなるセンサ列を用いて、2本の線120、122を感知してもよい。より短い(55インチよりも短い)ピストンロッドを用いると、センサの数がより少なくて済む。或いは、前記2本の線の一方と平行な更なる磁気線を用いれば、センサの数を増やさなくてもピストンロッドの長さを2倍にすることが可能である。また、ピストンロッド12が、線122がらせん状に1回転するだけでは十分な位置感知ができないような長さである場合には、線122がピストン12の周囲を2回転してもよい。別の一実施例においては、磁気線120、122は双方共にピストンロッド12の周囲をらせん状に取り巻いているが、これらの回転方向は互いに逆である。
【0041】
ピストンロッド12の絶対位置の複数の読み取り結果から、複数の読み取りヘッド電子装置22がピストンロッド12の速度を計算してもよい。例えば、複数の読み取りヘッド電子装置22が、ピストンロッド12の第1の絶対位置から第2の絶対位置までの運動距離を計算し、この距離をこれらの位置読み取り時点間の時間で除算してもよい。複数の絶対位置を比較することでも、ピストンロッド12の運動方向を判定することが可能である。例えば、ある読み取り位置から次の読み取り位置までの測定距離の増減を利用して、前記運動方向を特定してもよい。
【0042】
図8は、ピストンロッドの位置、速度及び運動方向を求めるのに用いられる、磁気的に硬い層14内に記録された磁気パターン100’の別の一実施例を平面的に図示したものである。磁気パターン100’’には、ピストンロッド12の長手方向に延伸する2本の境界線140、142が含まれる。第1の直線境界線140は、ピストンロッド12の運動方向に、かつピストンロッド12の軸に対して平行に延伸している。第2の境界線142は、第1の直線120から次第に離れるように延伸しており、平面形の実施例では対角線状に、円筒形の実施例ではらせん状に延伸している。前記らせん状の実施例では、第2の境界線142は、第1の境界線140と交差しないように、ピストンロッド12の周囲を完全には包囲していない。この実施例では、2本の境界線140、142と、2本の境界線140、142によって区分される領域144(陰影を施して図示した部分)とが磁化されている。
【0043】
ハウジング6(図1)内に取り付けられたセンサ20’’(斜めに陰影を施した枠部分)が、磁化された領域144を横切っている。ピストンロッド12が動くと、2本の線140、142が互いから離れていくので、センサ20’’によって感知される磁化領域144の広さが変化する。センサ20’’は、この検出された感知範囲の広さに左右され、直接又は間接にこの感知範囲の測定値となる(アナログ又はデジタルなどの)信号を生成する。センサ20’’のこの読み取り結果は、次に、ピストンロッド12の位置を計算するために用いられる。ピストンロッドの絶対位置は、それぞれ特定の感知範囲の測定値に一意的に対応している(ルックアップテーブルにこれらの対応を格納してもよい)。第1の感知範囲測定時点から第2の感知範囲測定時点までのピストンロッド12の運動距離を計算し、この距離をこれらの測定時点間の時間で除算することで、複数の絶対位置読み取り結果から速度を計算してもよい。複数の測定値を比較することでも、ピストンロッド12の運動方向を判定することが可能である。例えば、ある感知範囲測定時点から次の感知範囲測定時間までの間にセンサ20’’によって測定された磁化領域44の測定量の増減を利用して、前記運動方向を特定してもよい。
【0044】
本発明を複数の好適な実施例と関連させて図示及び説明したが、様々な形状及び細部の変更を、以下の請求項によって規定される本発明の精神と範囲とから逸脱することなく当業者が加えてもよいことが理解されよう。例えば、上述の複数の実施例は、直線運動しているピストンロッドの位置を感知することに関するが、本発明の原理を、互いに対して回転している複数の物体の位置、速度及び運動方向の判定に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の以上の及びその他の長所は、添付の図面と関連させながら以下の詳細な説明を参考にすることにより、より十二分に理解されることであろう。前記の図面において、同様の参照記号は様々な形で表された同様な要素を示す。図面は、必ずしも実寸ではなく、本発明の原理が強調して説明されている。
【図1】図1は、本発明に従って構成されたピストン及びピストンロッドを有するシリンダの一実施例の側面図である。
【図2】図2は、前記ピストンロッド上に情報を磁気的に記録するための2つの方法の略線図である。
【図3】図3は、コード化されたロッド位置情報を記憶するための記録媒体を構成する磁気フィルムを含めた、前記ピストンロッド上に被覆された様々な層と、これらの層の相対的な厚さを示す断面図である。
【図4】図4は、複数の情報ビットが記憶された複数のトラックであって、前記複数のトラック内での前記複数のビットの特定の配列及び値によって構成されるコード化されたパターンの一実施例から、前記ピストンロッドの絶対位置、速度及び運動方向が求められる複数のトラックを図示した、円筒形のピストンロッドの平面図である。
【図5】図5は、前記円筒形のピストンロッドと、前記複数のトラックのそれぞれから前記記憶された複数の情報ビットを読み取るための、前記ロッドの近くに配置された複数の読み取りヘッドとの端面図である。
【図6】図6は、複数の情報ビットが記憶された複数のトラックであって、前記複数のトラック内での前記複数のビットの特定の配列及び値によって構成されるコード化されたパターンの別の一実施例から、前記ピストンロッドの絶対位置、速度及び運動方向が求められる複数のトラックを図示した、円筒形のピストンロッドの平面図である。
【図7】図7は、一対の磁気線が長手方向に延伸した円筒形のピストンロッドの一実施例であって、前記ピストンロッドの絶対位置、速度及び運動方向を求めるのに用いられるコード化されたパターンの別の一実施例を示す平面図である。
【図8】図8は、磁化領域が長手方向に延伸した円筒形のピストンロッドの一実施例であって、前記ピストンロッドの絶対位置、速度及び運動方向を求めるのに用いられるコード化されたパターンの別の一実施例を示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと;
前記シリンダ内に設けられた、前記シリンダに対して運動するピストンロッドと;
前記ピストンロッド上に形成された、記録媒体を構成する磁気的に硬い層であって、磁気パターンがその中に記録された、磁気的に硬い層と;
前記シリンダ内に配置された磁界センサであって、前記ピストンロッドが前記シリンダに対して運動している間に前記記録された磁気パターンを感知し、前記感知された磁気パターンに応答して、前記ピストンロッドの瞬時位置を判定するために用いられる信号を発生する、磁界センサと;
を備えた、ピストンロッド位置感知システム。
【請求項2】
前記磁気的に硬い層と前記ピストンロッドとの間に配置された磁気的にやわらかい層を更に備えた、請求項1に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項3】
前記磁気的に硬い層と前記ピストンロッドとの間に配置された非磁性層を更に備えた、請求項1に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項4】
前記磁気的に硬い層上に配置された保護層を更に備えた、請求項1に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項5】
前記保護層にクロムが含有される、請求項4に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項6】
前記磁気的に硬い層にコバルトが含有される、請求項1に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項7】
前記磁気パターンに複数のバイナリコードが含まれ、各バイナリコードが1つのピストンロッド位置に一意的に対応している、請求項1に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項8】
前記磁気パターンに、前記ピストンロッドの軸に対して平行に延伸する第1の磁気線と、前記ピストンロッドの長手方向に、前記第1の磁気線から離れていくように延伸する第2の磁気線とが含まれる、請求項1に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項9】
前記第1及び第2の磁気線によって区切られた領域が磁化されている、請求項8に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項10】
前記磁気パターンの読み取り結果から、前記ピストンロッドの速度又は運動方向を計算するための回路を更に備えた、請求項1に記載のピストンロッド位置感知システム。
【請求項11】
ピストンと;
前記ピストンから軸方向に延伸するロッドと;
前記ロッドの長手方向に複数の情報ビットを磁気的に記録するための記録媒体を構成する、前記ピストンロッド上に形成された磁気的に硬い層と;
を備えたシリンダ。
【請求項12】
前記磁気的に硬い層内に記録された磁気パターンを更に備えた、請求項11に記載のシリンダ。
【請求項13】
前記磁気パターンに複数のバイナリコードが含まれ、各バイナリコードが前記ピストンロッドの長手方向の位置の一つに一意的に対応している、請求項12に記載のシリンダ。
【請求項14】
前記磁気パターンに、前記ピストンロッドの軸に対して平行に延伸する第1の磁気線と、前記ピストンロッドの長手方向にらせん状に延伸する第2の磁気線とが含まれる、請求項12に記載のシリンダ。
【請求項15】
前記第1及び第2の磁気線間の領域が磁化されている、請求項14に記載のシリンダ。
【請求項16】
前記磁気的に硬い層と前記ロッドの磁性支持層との間に配置された磁気的にやわらかい層を更に備えた、請求項11に記載のシリンダ。
【請求項17】
前記磁気的に硬い層と前記ピストンロッドの表面との間に配置された非磁性層を更に備えた、請求項11に記載のシリンダ。
【請求項18】
前記磁気的に硬い層上に配置された保護層を更に備えた、請求項11に記載のシリンダ。
【請求項19】
前記保護層にクロムが含有される、請求項18に記載のシリンダ。
【請求項20】
前記磁気的に硬い層にコバルトが含有される、請求項11に記載のシリンダ。
【請求項21】
シリンダ内で運動しているピストンロッドの位置を感知するための、以下を含む方法:
前記ピストンロッド上に、情報を記憶するための記録媒体を構成する磁気的に硬い層を形成することと;
前記磁気的に硬い層内に磁気パターンを磁気的に記録することと;
前記ピストンロッドが運動している間に、前記磁気的に硬い層内に記録された前記磁気パターンを読み出すことと;
読み出された前記磁気パターンから、前記シリンダに対する前記ピストンロッドの瞬時位置を求めること。
【請求項22】
前記磁気的に硬い層と前記ピストンロッドの磁性支持層との間に磁気的にやわらかい層が配置されるように、前記ピストンロッド上に前記磁気的に硬い層を合成する前に前記磁気的にやわらかい層で前記ピストンロッドを被覆することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記磁気的に硬い層と前記ピストンロッドの磁性支持層との間に非磁性層が配置されるように、前記ピストンロッドを前記磁気的に硬い層で被覆する前に前記非磁性層で前記ピストンロッドを被覆することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記磁気的に硬い層を保護層で被覆することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記磁気的に硬い層にコバルトが含有される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記磁気パターンに複数のバイナリコードが含まれ、各バイナリコードが前記ピストンロッドの長手方向の位置の一つに一意的に対応している、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記磁気パターンに、前記ピストンロッドの軸に対して平行に延伸する第1の磁気線と、前記ピストンロッドの長手方向にらせん状に延伸する第2の磁気線とが含まれ、前記ロッドの瞬時位置を求めることに、前記2本の磁気線間の横方向の距離を測定することが含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記磁気パターンに、前記ピストンロッドの軸に対して平行に延伸する第1の磁気線と、前記ピストンロッドの長手方向にらせん状に延伸する第2の磁気線と、前記第1及び第2の磁気線間の磁化領域とが含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記ピストンロッドが運動している間に、前記磁気パターンの複数の読み取り結果から前記ピストンロッドの速度を求めることを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記ピストンロッドが運動している間に、前記磁気パターンの複数の読み取り結果から前記ピストンロッドの運動方向を求めることを更に含む、請求項21に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−525529(P2006−525529A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514310(P2006−514310)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/014172
【国際公開番号】WO2004/099724
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(501228071)エスアールアイ インターナショナル (66)
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
【Fターム(参考)】