説明

ピペリジン及びピロリジン化合物

本発明は、式(I)のピペリジン及びピロリジン化合物、
【化1】


(式中、A、B、n及びXは明細書中に記載の通りである。);その薬学的に許容される塩、及びそのような化合物の医薬、特にオレキシン受容体拮抗薬としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なピペリジン及びピロリジン化合物及び医薬としてのこれらの使用に関する。本発明はまた上記化合物の製造方法、式(I)の化合物を1又は2以上含有する医薬組成物、及び特にオレキシン受容体拮抗薬としてのそれらの使用を含む関連した側面に関する。
【背景技術】
【0002】
オレキシン類(オレキシンA又はOX−A及びオレキシンB又はOX−B)は、二つの研究グループによって1998年に発見された新規な神経ペプチド類であり、オレキシンAは、33個のアミノ酸ペプチドであり、オレキシンBは、28個のアミノ酸ペプチドである(Sakurai T.ら、Cell、1998、92、573−585)。オレキシン類は、外側視床下部の離散性神経細胞内で産生され、G蛋白質共役型受容体(OX及びOX受容体)に結合する。オレキシン−1受容体(OX)はOX−Aに対して選択的であり、オレキシン−2受容体(OX)はOX−Bと同様にOX−Aにも結合することができる。オレキシン類は、ラットにおいて食物消費を刺激し、食行動を調節する中枢フィードバック機構におけるこれらペプチド類のメディエーターとしての生理学的役割を示唆している(Sakurai T.ら、Cell、1998、92、573−585)。他方、オレキシン類は睡眠状態及び覚醒状態を調節しており、ナルコレプシー(睡眠発作)患者に対する潜在的な新規治療への道を開くものであるとも提唱されている(Chemelli R.M.ら、Cell、1999、98、437−451)。
【0003】
オレキシン受容体は哺乳動物の脳に見出され、気分変調性、気分、精神及び不安障害;糖尿病及び食欲、味覚、摂食又は摂水(Drinking)障害;視床下部疾患;生物及び概日リズム障害;神経障害、神経障害性疼痛及び下肢静止不能症候群等の疾患に関連した睡眠障害;精神障害に関連する不眠症;睡眠時無呼吸症;ナルコレプシー;突発性不眠症;錯眠;良性前立腺肥大;健常者並びに精神及び神経障害におけるすべての痴呆及び認知機能障害;並びに一般のオレキシン系機能障害に関連するその他の疾患等の病理学に多くの密接な関係をもっている可能性がある。
【0004】
本発明は、ピペリジン及びピロリジン誘導体を提供し、これらはヒトオレキシン受容体の非ペプチド性拮抗薬である。これらの化合物は、特に、例えば摂食障害、摂水障害(drinking disorders)、睡眠障害又は精神及び神経障害における認知障害の治療における利用可能性を有している。
【0005】
これまでに、OXか又はOXのどちらか、あるいは同時に両方の受容体に拮抗する能力を有するいくつかの低分子量化合物が知られている。オレキシン受容体拮抗薬として有用なピペリジン誘導体が国際公開公報第01/096302号に開示されている。
ナトリウムチャンネルの阻害が効果的な疾病に有用な含窒素ヘテロシクリル化合物が、EP1484327に開示されている。ヒスタミン−3受容体拮抗剤としての1,3−置換シクロアミノ誘導体が、WO2006/011042に開示されている。
【発明の概要】
【0006】
i) 本発明は式(I)の化合物から成る:
【化1】

【0007】
式中、
Aは、フェニル−基を表し、当該フェニルは、未置換であるか、又は、1個の(C1−4)アルキルで置換され;又は、Aは、
【化2】

を表し;
【0008】
Bは、未置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基により置換されたフェニルを表し、当該置換基は、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ及びハロゲンから成る群より独立に選択され;
nは、整数の0又は1を表し;
Xは、−NH−R又は−NH−C(O)−Rを表し;
はヘテロアリールを表し、当該ヘテロアリールは、ピリミジニルであって、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基が、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、(C1−4)アルキル−チオ−及び(C1−4)アルコキシ−カルボニル−から独立に選択されるか、又は、2個の置換基により置換され、一方の置換基がメチルであり、かつ他方の置換基が、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、(C1−4)アルキル−チオ−及び(C1−4)アルコキシ−カルボニルから選択されるピリミジニル;ピリジニルであって、未置換であるか、又は、1若しくは2個の置換基により置換され、当該置換基が、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、(C1−4)アルキル−カルボニル−及びニトロから独立に選択されるピリジニル;ベンゾチアゾリル;ベンズイミダゾリル;及びキノキサリニルであって、未置換であるか、又は、2個の置換基により置換され、両置換基が独立にハロゲンであるキノキサリニルから成る群より選択され;
は、(特に、2及び3位において)2個の置換基により置換されたフェニルを表し、当該置換基は、(C1−4)アルキル及びハロゲンから独立に選択され、又は
は、ヘテロアリールを表し、当該ヘテロアリールは、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、1H−ピロロピリジル(特に、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジル及び1H−ピロロ[2,3−b]ピリジル)及び2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシニルから成る群より選択され、当該基は、独立に、未置換であるか、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基は、(C1−4)アルキルから独立に選択され;又は
はヘテロシクリルを表し、当該ヘテロシクリルは、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4H−ベンゾ[1,3]ジオキシニル、2H−クロメニル及びクロマニルから成る群より選択される。
【0009】
式(I)の化合物は、1又は2以上の不斉炭素原子などの、1又は2以上のキラル又は不斉中心を含んでいてもよい。従って、式(I)の化合物は、立体異性体の混合物として、又は好ましくは純粋な立体異性体として存在してもよい。立体異性体の混合物は当業者に知られた方法で分離してもよい。
【0010】
本特許出願において、矢印は、記載された基の結合点を示す。例えば、下記の基、

は、3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル基である。
【0011】
「A」が「フェニル−基であって、未置換であるか、又は、1個の(C1−4)アルキルで置換されたフェニル基」を表す場合には、当該フェニル−基は、好ましくは未置換である。上記の置換基に加え、基「A」はまた置換基「B」によっても置換され、Bは、好ましくはAを分子の残りの部分に結合させるカルボニル基の結合点に対しオルト位に結合する。
【0012】
好ましくは、置換基「B」に対して使用されるフェニル基は、未置換であるか、又は1若しくは2個の置換基により置換され、当該置換基は、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル及びハロゲンから成る群より独立に選択される。さらに好ましい態様において、置換基は、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、フッ素及び塩素から成る群より独立に選択される。例は、フェニル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、4−メチル−フェニル、3,4−ジメチルフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、4−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロ−4−メチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル及び4−シアノフェニルである。特に、例は、3−メチル−フェニル、3,4−ジメチルフェニル及び4−フルオロフェニルである。
【0013】
別の態様において、「A」及び「B」が共に「フェニル」を表す場合には、組み合わせ「A−B」は、好ましくは、「A」が未置換であり、「B」が未置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基により置換された(好ましくは、1又は2個の置換基により置換された)ビフェニル基(特に、ビフェン−2−イル(biphen−2−yl)基)を表し、当該置換基は、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル及びハロゲン、特に(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ及びハロゲンから成る群より独立に選択される。「B」の置換基のさらに好ましい例は、メチル及びメトキシ(特に、メチル)である。
【0014】
そのようなビフェニル基「A−B」の例は:
【化4】

である。
【0015】
そのようなビフェニル基「A−B」の好ましい例は:
【化5】

である。
【0016】
基「A」に対して定義した2−シクロプロピル−チアゾリル−基はまた、置換基「B」により置換され、Bは、Aを分子の残りの部分に結合させるカルボニル基の結合点に対しオルト位に結合する。
【0017】
「A」が2−シクロプロピル−チアゾリル−基を表す、基「A−B」の例は:
【化6】

である。
【0018】
特に、そのような基の例は:
【化7】

である。
【0019】
「R」が「ヘテロアリール」を表す例は、1又は2個の置換基により置換されたピリミジン−2−イルであって、当該置換基が、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、(C1−4)アルキル−チオ−及び(C1−4)アルコキシ−カルボニル−から(特に、(C1−4)アルコキシ及びトリフルオロメチルから)独立に選択されるピリミジン−2−イル、若しくは、2個の置換基により置換されたピリミジン−2−イルであって、一方の置換基がメチルであり、かつ他方の置換基が、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、(C1−4)アルキル−チオ−及び(C1−4)アルコキシ−カルボニル−から(特に、(C1−4)アルコキシ−カルボニル−から)選択されるピリミジン−2−イル;未置換であるか、又は、1若しくは2個の置換基により置換されたピリジン−2−イル及びピリジン−3−イルであって、当該置換基が、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、(C1−4)アルキル−カルボニル−及びニトロから(特に、トリフルオロメチル及びニトロから)独立に選択されるピリジン−2−イル及びピリジン−3−イル;ベンゾチアゾール−2−イル;ベンズイミダゾール−2−イル;並びに未置換であるか、又は、2個の置換基により置換されたキノキサリン−2−イルであって、両置換基が独立にハロゲンである(特に、両方がフッ素である)キノキサリン−2−イルである。
【0020】
が「ヘテロアリール」を表す特定の例は:
【化8】

から選択される。
【0021】
特に、Rが「ヘテロアリール」を表すそのような例は:
【化9】

から選択される。
【0022】
「R」が「ヘテロアリール」を表す例は、ピラゾール−3−イル、インドール−3−イル、インダゾール−3−イル、ベンズイソキサゾール−3−イル、キノリン−8−イル、イソキノリン−1−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−4−イル、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル及び2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−イルであり、上記の基は、独立に、未置換であるか、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基は独立に(C1−4)アルキルから選択される。
【0023】
特に、置換基「R」に対して使用される上記の「ヘテロアリール」基は、好ましくは下記のように置換される:ピラゾリル基は、2個の置換基により置換され、両置換基は、独立に(C1−4)アルキルから選択され;インドリル及びインダゾリル基は、1個の(C1−4)アルキル(特に、メチル)により、(特に、窒素原子上で)置換され;ベンズイソキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ピロロピリジル及び2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシニル基は未置換である。
【0024】
が「ヘテロアリール」を表す特定の例は:
【化10】

から選択される。
【0025】
が「2個の置換基により置換され、当該置換基が、独立に(C1−4)アルキル及びハロゲンから選択されるフェニル」を表す例は、3−クロロ−2−メチル−フェニル、3−フルオロ−2−メチルフェニル及び2,3−ジメチルフェニルである。
【0026】
「ヘテロシクリル」という用語は、単独の場合も、組み合わせの場合も、酸素及び窒素から独立に選択される1又は2個のヘテロ原子を含む、飽和の、又は部分的に不飽和の5−〜6−員環と縮合したフェニル環を意味する;このフェニル環は、分子の他の部分との結合点を保持する。置換基「R」に対して使用される「ヘテロシクリル」の例は、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4H−ベンゾ[1,3]ジオキシニル、2H−クロメニル及びクロマニルである。好ましい例は、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、特に2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イルである。
【0027】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素又は臭素、好ましくはフッ素又は塩素を意味する。
【0028】
「(C1−4)アルキル」という用語は、単独の場合も、組み合わせの場合も、1〜4個の炭素原子を持つ、直鎖又は分枝鎖アルキル基を意味する。(C1−4)アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec.−ブチル又はtert.−ブチルである。好ましくはメチル及びエチルである。最も好ましくは、メチルである。
【0029】
「(C1−4)アルコキシ」という用語は、単独の場合も、組み合わせの場合も、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec.−ブトキシ又はtert.−ブトキシ等の、用語「(C1−4)アルキル」が前記の意味を有する、式(C1−4)アルキル−O−の基を意味する。好ましくはメトキシ及びエトキシである。最も好ましくは、メトキシである。
【0030】
ii) 本発明のさらなる態様は、ピペリジン又はピロリジン環の3位における立体中心が、絶対(R)−配置にある:
【0031】
【化11】

【0032】
式(Ia)の化合物でもある、態様i)に従う式(I)の化合物に関する。
【0033】
iii) 本発明のさらなる態様は、Aがフェニル−基を表し、当該フェニルが、未置換であるか(好ましい)、又は、1個の(C1−4)アルキルにより置換された、態様i)又はii)に従う式(I)の化合物に関する。
【0034】
iv) 本発明のさらなる態様は、Aが、
【化12】

を表す、態様i)又はii)に従う式(I)の化合物に関する。
【0035】
v) 本発明のさらなる態様は、Bが、未置換であるか、又は1若しくは2個の置換基により置換され、当該置換基が、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル及びハロゲンから成る群より独立に選択されるフェニルを表す、態様i)〜iv)のいずれか1つに従う式(I)の化合物に関する。
【0036】
vi) 本発明のさらなる態様は、Bが、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基が、メチル及びメトキシ(特に、メチル)から成る群より独立に選択されるフェニルを表す、態様iii)に従う式(I)の化合物に関する。
【0037】
vii) 本発明のさらなる態様は、Bが、未置換であるか、又は(好ましくは)1又は2個の置換基により置換され、当該置換基が、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、フッ素及び塩素(特に、メチル及びフッ素)から成る群より独立に選択されるフェニルを表す、態様iv)に従う式(I)の化合物に関する。
【0038】
viii) 本発明のさらなる態様は、nが整数の0でを表す、態様i)〜vii)のいずれか1つに従う式(I)の化合物に関する。
【0039】
ix) 本発明のさらなる態様は、nが整数の1を表す、態様i)〜vii)のいずれか1つに従う式(I)の化合物に関する。
【0040】
x) 本発明のさらなる態様は、Xが−NH−Rを表す、態様i)〜ix)のいずれか1つに従う式(I)の化合物に関する。
【0041】
xi) 本発明のさらなる態様は、Xが−NH−C(O)−Rを表す、態様i)〜ix)のいずれか1つに従う式(I)の化合物に関する。
【0042】
xii) 本発明のさらなる態様は、Rが:
【化13】

から成る群より選択される、態様x)に従う式(I)の化合物に関する。
【0043】
xiii) 本発明のさらなる態様は、Rが:
【化14】

から成る群より選択される、態様x)に従う式(I)の化合物に関する。
【0044】
xiv) 本発明のさらなる態様は、Rが、(特に、2及び3位において)2個の置換基により置換され、当該置換基が、独立に(C1−4)アルキル及びハロゲンから選択されるフェニルを表す、態様xi)に従う式(I)の化合物に関する。
【0045】
xv) 本発明のさらなる態様は、
が、ヘテロアリールを表し、当該ヘテロアリールは、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、1H−ピロロピリジル(特に、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジル及び1H−ピロロ[2,3−b]ピリジル)及び2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシニルから成る群より選択され、これらの基は、独立に、未置換であるか、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基は、独立に(C1−4)アルキルから選択され;又は
が、ヘテロシクリルを表し、当該ヘテロシクリルは、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4H−ベンゾ[1,3]ジオキシニル、2H−クロメニル及びクロマニル(特に、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)から成る群より選択される、態様xi)に従う式(I)の化合物に関する。
【0046】
xvi) 本発明のさらなる態様は、
がヘテロシクリルを表し、当該ヘテロシクリルが、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4H−ベンゾ[1,3]ジオキシニル、2H−クロメニル及びクロマニル(特に、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)から成る群より選択される、態様xi)又はxv)に従う式(I)の化合物に関する。
【0047】
xvii) 本発明のさらなる態様は、
が、ヘテロアリールを表し、当該ヘテロアリールが、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、1H−ピロロピリジル(特に、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジル及び1H−ピロロ[2,3−b]ピリジル)及び2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシニルから成る群より選択され、当該基が、独立に、未置換であるか、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基が、独立に(C1−4)アルキルから選択される、態様xi)又はxv)に従う式(I)の化合物に関する。
【0048】
xviii) 本発明のさらなる態様は、Rが:
【化15】

から成る群より選択される、態様iv)と組み合わせた態様xi)に従う式(I)の化合物に関する。
【0049】
xix) 本発明のさらなる態様は、Rが:
【化16】

から成る群より選択される、態様iii)と組み合わせた態様xi)に従う式(I)の化合物に関する。
【0050】
xx) 本発明のさらなる態様は、以下の化合物から成る群より選択される態様i)に従う式(I)化合物に関する:
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−[3−(6,7−ジフルオロ−キノキサリン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(キノキサリン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−メチルスルファニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−2−[1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イルアミノ]−6−メチル−ピリミジン−4−カルボン酸 メチルエステル;
(R)−[3−(ベンゾチアゾール−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−[2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル]−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミドの合成;
(R)−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−3−クロロ−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−2−メチル−ベンズアミド;
(R)−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−3−フルオロ−2−メチル−ベンズアミド;
(R)−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−2,3−ジメチル−ベンズアミド;
(R)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−イソキノリン−1−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−イソキノリン−1−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−メチルスルファニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(キノキサリン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[3−(ベンゾチアゾール−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−アミド;及び
(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−アミド。
【0051】
式(I)及び(Ia)の化合物及びその塩、特に薬学的に許容される塩も、本発明の一部である。
【0052】
「薬学的に許容される塩」という用語は、無毒性の無機若しくは有機酸及び/又は塩基付加塩を意味する。「Salt selection for basic drugs」、Int. J. Pharm.(1986)、33、201−217を参照してもよい。
【0053】
化合物、塩、医薬組成物、疾病等について複数形が使用される場合は、単数の化合物、塩、疾病等をも意味することが意図されている。
【0054】
式(I)及び(Ia)の化合物及びこれらの薬学的に許容される塩は、医薬として、たとえば経腸又は非経口投与のための医薬組成物の形態で使用することができる。
【0055】
本発明のさらなる側面は、式(I)に従う少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体物質を含む、医薬組成物である。
【0056】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者によく知られた様式で(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21st Edition(2005)、Part 5、「Pharmaceutical Manufacturing」[Lippincott Williams&Wilkinsにより出版]を見よ。)、記述された式(I)の化合物又はこれらの薬学的に許容される塩を、任意にその他の治療的に有益な物質と組み合わせて、適切な無毒の不活性な治療上許容される固体又は液体の担体材料及び必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、製剤投与形態とすることにより遂行することができる。
【0057】
式(I)及び/又は(Ia)の化合物は、医薬の製造のために使用されてもよく、下記の群より選択される疾病の予防又は治療に特に適切である:
大うつ病性障害及び気分循環症を含む気分変調性障害、情動神経症、すべてのタイプの躁鬱病、譫妄、精神病性障害、精神分裂病、緊張型分裂病、妄想性偏執病、適応障害及びすべての群の人格障害;分裂感情障害;全般性不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、パニック発作、すべてのタイプの恐怖症性不安及び回避性障害を含む不安障害;分離不安;向精神薬の使用、乱用、探索及び再燃;すべてのタイプの心理的又は身体依存、多重人格症候群及び心因性健忘を含む解離性障害;性及び生殖機能障害、心理性的障害及び依存;麻薬耐性又は麻薬離脱症状;麻酔リスク、麻酔応答性の増大;視床下部・副腎機能不全;生物リズム及び概日リズム障害;神経障害性疼痛、下肢静止不能症候群を含む神経障害等の疾患に関連した睡眠障害;睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;慢性疲労症候群;精神障害に関連する不眠症;すべてのタイプの突発性不眠症及び錯眠;時差ぼけを含む睡眠−覚醒スケジュール障害;健常者並びに精神及び神経障害におけるすべての痴呆及び認知機能障害;加齢に伴う精神機能障害;すべてのタイプの健忘;重度知的障害;ジスキネジア及び筋疾患;筋痙縮、振戦、運動障害;自発性及び薬剤誘発ジスキネジア;ハンチントン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、アルツハイマー病及びトウレット症候群を含む神経変性障害;筋萎縮性側索硬化症;パーキンソン病;クッシング症候群;外傷性病変;脊髄外傷;頭部外傷;周産期低酸素症;難聴;耳鳴り;脱髄疾患;脊髄及び脳神経疾患;眼損傷;網膜症;癲癇;発作障害;欠神発作、複雑部分及び全般発作;レノックスガストー症候群;偏頭痛及び頭痛;疼痛性障害;感覚脱失及び痛覚脱失;痛覚過敏、灼熱痛、異痛症などの疼痛感受性増強又は過大;急性疼痛;熱傷痛;非定型顔面痛;神経障害性疼痛;背部痛;複合局所性疼痛症候群I及びII;関節炎性疼痛;スポーツ外傷痛;歯痛;感染、たとえばHIVに関連した疼痛、化学療法後の疼痛;発作後疼痛;術後痛;神経痛;骨関節炎;過敏腸管症候群などの内臓痛に関連した状態;摂食障害;糖尿病;無酸素脳症、糖尿病性神経障害及びアルコール依存症を含む中毒性及び代謝異常疾患;食欲、味覚障害、摂食又は摂水(Drinking)障害;心気症を含む身体表現性障害;嘔吐/悪心;嘔吐症;胃運動機能異常(ジスキネジア);胃潰瘍;カルマン症候群(嗅覚脱失);耐糖能障害;腸運動機能異常;視床下部疾患;下垂体疾患;高熱症候群、発熱、熱性痙攣、特発性発育不全;小人症;巨人症;先端巨大症;好塩基性細胞腺腫、プロラクチノーマ、高プロラクチン血症;脳腫瘍、腺腫;良性前立腺肥大、前立腺癌;子宮体癌、乳癌、大腸癌;すべてのタイプの精巣機能障害、避妊法;生殖ホルモン異常;閉経期一過性熱感;視床下部性生殖機能低下、機能性又は心因性無月経;膀胱尿失禁;喘息;アレルギー;すべてのタイプの皮膚炎、面皰及び嚢胞、皮脂腺機能障害;心臓血管疾患;心・肺疾患、急性・鬱血性心不全;低血圧;高血圧;脂質異常症、高脂血症、インスリン抵抗性;尿閉;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞;不整脈、冠動脈疾患、左室肥大;虚血性又は出血性発作;クモ膜下出血;クモ膜下出血、虚血性及び出血性発作並びに血管性痴呆を含むすべてのタイプの脳血管障害;慢性腎不全及びその他の腎疾患;痛風;腎臓癌;尿失禁;並びに一般のオレキシン系機能障害に関連するその他の疾患。
【0058】
式(I)及び/又は(Ia)の化合物は、下記の群より選択される疾病又は障害の治療における使用に特に好適である:
すべてのタイプの睡眠障害、ストレス関連症候群、向精神薬の使用及び乱用、健常者並びに精神及び神経障害における認知機能障害並びに摂食又は摂水(Drinking)障害。
【0059】
摂食障害は代謝機能不全;食欲調節不全;強迫的肥満;嘔吐・過食又は神経性食欲不振症を含むものとして定義できる。この摂食の病理学的変形は、食欲障害(食物に対する誘惑又は嫌悪);エネルギーバランスの変調(摂取/消費)、食品品質についての知覚障害(高脂肪又は高炭水化物、良味覚);食物入手可能性障害(無制限節食又は遮断)又は水分平衡障害から生じるかもしれない。摂水障害(Drinking disorders)は、精神障害における多飲症及びすべての他のタイプの過剰液体摂取を含む。睡眠障害は、すべてのタイプの錯眠、不眠症、ナルコレプシー及び過眠症、睡眠関連失調症、下肢静止不能症候群、睡眠時無呼吸症、時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相遅延症候群、睡眠相前進症候群又は精神障害に関連する不眠症を含む。不眠症は、加齢と関係付けられる睡眠障害;慢性不眠の間歇治療;環境による一過性の不眠症(新しい環境、騒音)又はストレス;悲嘆;疼痛又は病気による短期間の不眠症を含むものとして定義される。不眠症は、全般性不安障害、強迫性障害、パニック発作並びにすべてのタイプの恐怖症性不安及び回避性障害等の他のタイプ及びサブタイプの不安障害のみならず心的外傷後ストレス障害を含むストレス関連症候群をも包含する;向精神薬の使用、乱用、探索及び再燃は、すべてのタイプの心理的又は身体依存並びにそれらに関連する耐性及び依存因子と定義される。認知機能障害は、正常な、健康な、若年の、成人の又は老齢の集団において一時的に又は慢性的に生じ、また精神、神経、心臓血管及び免疫疾患において一時的に又は慢性的に生じるすべてのタイプの注意、学習及び記憶機能における欠損を含む。
【0060】
本発明のさらに好ましい態様において、式(I)及び/又は(Ia)の化合物は、下記の群より選択される疾病又は障害の治療における使用に特に好適である:すべてのタイプの不眠、ナルコレプシー及び過眠症、睡眠関連失調症、下肢静止不能症候群、睡眠時無呼吸症、時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相遅延症候群、睡眠相前進症候群又は精神障害に関連する不眠症の他の障害を含む睡眠障害。
【0061】
本発明の別の好ましい態様において、式(I)及び/又は(Ia)の化合物は、下記の群より選択される疾病又は障害の治療における使用に特に好適である:正常な、健康な、若年の、成人の又は老齢の集団において一時的に又は慢性的に生じ、また精神、神経、心臓血管及び免疫疾患において一時的に又は慢性的に生じるすべてのタイプの注意、学習及び記憶機能における欠損を含む認知機能障害。
【0062】
本発明の別の好ましい態様において、式(I)及び/又は(Ia)の化合物は、下記の群より選択される疾病又は障害の治療における使用に特に好適である:代謝機能不全;食欲調節不全;強迫的肥満;嘔吐・過食又は神経性食欲不振症を含む摂食障害。
【0063】
本発明の別の好ましい態様において、式(I)及び/又は(Ia)の化合物は、下記の群より選択される疾病又は障害の治療における使用に特に好適である:すべてのタイプの心理的又は身体依存並びにそれらに関連する耐性及び依存因子を含む向精神薬の使用及び乱用。
【0064】
式(I)及び/又は(Ia)の化合物は、本明細書に記載した疾患の治療及び/又は予防に有用である。
【0065】
1つの態様において、本発明は、薬剤的に活性な量の式(I)及び/又は(Ia)の化合物を患者に投与することを含む、本明細書に記載した疾患又は障害の治療及び/又は予防方法に関する。
【0066】
さらに、式(I)の化合物(化合物自体、それらの塩、当該化合物又はそれらの塩を含む組成物、当該化合物又はそれらの塩の使用、その他であるかを問わない)に対して示されたいかなる好適性も、式(Ia)の化合物に準用される。
【0067】
温度に関して使用されていない場合、数値「X」の前に置かれる「約」という用語は、本出願において、X−10%XからX+10%Xの間、好ましくはX−5%XからX+5%Xの間を表す。温度の特定の場合には、温度「Y」の前に置かれる「約」の用語は、この出願において、Y−10℃からY+10℃の間、好ましくはY−5℃からY+5℃の間を表す。さらに、本明細書で用いられる「室温」(RT)という用語は、25℃の温度を意味する。
【0068】
式(I)の化合物の製造:
本発明のさらなる側面は、式(I)及び(Ia)の化合物の製造のための方法である。本発明の式(I)及び(Ia)の化合物は、下記のスキームに概説した一般的反応シークエンスに従って製造することができ、該スキーム中、A、B、X、n、R及びRは、式(I)及び(Ia)に対しての記載において定義した通りである。下記のスキームにおいて使用されるさらなる包括的な基は、以下のように定義される:Rは、水素又は(C1−4)アルキルを表し;そしてR’は、水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はハロゲンを表す。得られた化合物は、それ自体知られた方法により、その塩、特に薬学的に許容される塩に変換してもよい。
【0069】
Xが−NH−Rを表す式(I)及び(Ia)の化合物は、(+/−)−3−アミノ−1−N−Boc−ピペリジン若しくは−ピロリジンを出発物質として、又は、光学的に純粋な(R)−3−アミノ−1−N−Boc−ピペリジン若しくは−ピロリジン((1)、すべて購入可能)から、KCO等の塩基性条件下、DIEAの存在下での、キシレン等の溶媒中における、還流下での、対応する購入可能な、又は周知の2−クロロ−ヘテロアリール、2−ブロモ−ヘテロアリール又は2−トリフルオロメタンスルフォニル−ヘテロアリール誘導体との反応により製造してもよい。これらの反応条件は、好ましくは電子吸引性置換基で置換された、2−クロロ−ピリミジン又は2−クロロ−ピリジン等の反応性ヘテロアリール−クロリドの場合において、特に成功裏である。あるいは、Buchwald−Hartwig法を、上記のカップリング反応に用いてもよい(反応条件に関しては、例えば、J.Med.Chem.、2007、50、3497−3514;J.F.Hartwig、「Modern Amination Methods」、A.Ricci(Ed)、Wiley−VCH Verlag GmbH、D−69469 Weinheim、2000;ISBN 3−527−29976−9;Chapter 7、p.195−262に記載された手順を見よ。)。得られたアミン(2)は、DCM中TFA等の酸性条件下でのBoc保護基の開裂、続く、DMF等の溶媒中、DIEA存在下でのPyBOP、又はMeCN等の溶媒中、DIEA存在下でのTBTU等の標準的なアミドカップリング技術を用いた、それぞれのカルボン酸B−A−COHとのアミド形成により、化合物(3)に変換することができる(スキーム1)。
【0070】
【化17】

【0071】
Xが−NH−C(O)−Rを表す式(I)及び(Ia)の化合物は、(1)より、上記のような標準的なアミドカップリング技術を用いて、それぞれのカルボン酸誘導体R−COHとの反応により製造してもよい。得られたアミド中間体(4)は、上記したようなBoc保護基の開裂、続くそれぞれのカルボン酸B−A−COHとの上記のようなアミド形成により、化合物(5)に変換される(スキーム2)。
【0072】
【化18】

【0073】
カルボン酸B−A−COH及びR−COHの製造
Aが2−シクロプロピル−チアゾリル誘導体を表すカルボン酸誘導体B−A−COHは、スキーム3に従って合成できる。
【0074】
【化19】

【0075】
RTにおける、THF等の非プロトン性極性溶媒中での、KOtBu等の塩基の存在下における、メチルジクロロアセテート(6)の、購入可能なベンズアルデヒド誘導体B−CHOとの反応により、3−クロロ−2−オキソ−プロピオン酸エステル誘導体(7)が得られる(Hamamoto H.ら Tetrahedron Asymmetry 2000、11、4485−4497)。構造(7)の化合物は、RTでの、MeCN等の溶媒中における、シクロプロピルチオアミドとの反応により変換され、2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸エステル誘導体(8)を与える(US3282927)。MeOH等の溶媒中におけるNaOH等の塩基での処理のような、標準的な方法を用いたエステル官能基のけん化により、対応する2−シクロプロピル−5−フェニル−チアゾール−4−カルボン酸誘導体(9)が得られる。それぞれのベンズアルデヒドは、購入可能であるか、又はベンジルアルコール若しくは安息香酸等の前駆体から標準的な方法を介して容易に製造できる。シクロプロピル−チオアミドは、購入可能なシクロプロピル−カルボキサミドからLawessonの試薬で合成することができる。
【0076】
B−Aが、ビフェン−2−イル(biphen−2−yl)誘導体を表すカルボン酸誘導体B−A−COHは、購入可能であるか、又はスキーム4に従って合成される。
【0077】
【化20】

【0078】
Pd(PPh等の触媒及びNaCO等の塩基の存在下での、トルエン、ジオキサン、THF等の溶媒中における加熱下での、購入可能な(2−カルボキシフェニル)−ボロン酸誘導体(10)又はそのエステルの、購入可能な臭化フェニル又はヨウ化フェニルとの反応により、必要であれば、よく知られた方法を用いたエステルのけん化の後、対応するビフェニル−2−カルボン酸誘導体(11)が得られる。また、前記の条件を用いた、購入可能な2−ブロモ−若しくは2−ヨウ化−安息香酸誘導体(12)、又はそれらのエステルの、購入可能なフェニル−ボロン酸誘導体との反応により、対応するビフェニル−2−カルボン酸誘導体(11)が得られる。
【0079】
式R−COHのカルボン酸は、購入可能であるか、又は当該技術分野においてよく知られている(文献、例えば、WO2001/096302;T.Eicher、S.Hauptmann「The chemistry of Heterocycles:structure、Reactions、Syntheses、and Applications」、2nd Edition 2003、Wiley、ISBN978−3−527−30720−3)。
【0080】
が2H−クロメニル又はクロマニルである式R−COHの誘導体は、例えば、スキーム5に従って合成してもよい。
【0081】
【化21】

【0082】
クロマン−5−カルボン酸誘導体の合成は、KCOの存在下における、3−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(13;購入可能)のプロパルギルブロミドによるアルキル化により、フェニルエーテル(14)を得ることから出発してもよい。フェニルエーテル(14)を、N,N−ジエチルアニリン中で加熱還流することにより環化して、クロメン誘導体(15)を得てもよい。カルボキシルエステルは、(15)をMeOH及び水中のNaOHで処理することによりけん化してもよく、得られたクロメン誘導体(16)の水素添加により所望の酸(17)を得てもよい。対応するクロマン−8−カルボン酸誘導体は、4−クロマノン(18;購入可能)を、酢酸中で亜鉛により還元し、続いて、所望の酸(20)を得るために、中間体クロマン誘導体(19)をn−BuLiでオルト−メタル化し、そして二酸化炭素でトラップすることにより合成してもよい。
【0083】
式(I)の化合物がエナンチオマーの混合物の形態で得られる場合には常に、エナンチオマーは、当業者に知られた方法、例えばジアステレオマー塩の形成及び分離、又はRegis Whelk−O1(R,R)(10μm)カラム、Daicel ChiralCel OD−H(5−10μm)カラム、又はDaicel ChiralPak IA(10μm)若しくはAD−H(5μm)カラム等のキラル固定相上のHPLC、を用いて分離することができる。キラルHPLCの典型的な条件は、0.8から150mL/分の流速における、溶出液A(EtOH。トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミンの存在下又は非存在下で)及び溶出液B(ヘキサン)の無勾配混合物である。
【0084】
実験の部
(ここで、そして本明細書の前記の部分でも使用される)略語:
aq 水性
Boc tert−ブトキシカルボニル
BSA ウシ血清アルブミン
CHO チャイニーズハムスター卵巣
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルフォキシド
EA 酢酸エチル
eq 当量
ES 電子スプレー
エーテル ジエチルエーテル
FC シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー
FCS ウシ胎児血清
FLIPR 蛍光イメージングプレートリーダー
h 時間
HBSS ハンクス平衡塩溶液
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジン−1−エタンスルホン酸
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
KOtBu カリウム tert−ブトキシド
LC 液体クロマトグラフィー
M モル(濃度)
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
MS 質量分析
n−BuLi n−ブチルリチウム
Ph フェニル
PyBOP (ベンゾトリアゾール−1イルオキシ)−
トリピロリジノホスフォニウム−ヘキサフルオロホスファート
i−PrOH イソプロパノール
RT 室温
TBTU 2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−
1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート
tert 第三
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TLC 薄層クロマトグラフィー
保持時間
【0085】
I−化学
以下の実施例は、本発明の薬理学的に活性を有する化合物の製造を説明するが、本発明の範囲をまったく限定するものではない。
【0086】
温度はすべて℃で示す。
【0087】
化合物は、
LC−MS:DADとMS検出器を備えたAgilent1100シリーズ(MS:Finnigan シングル四重極);カラム(4.6x50mm、5μm):Zorbax SB−AQ、Zorbax Extend C18又は水s XBridge C18;条件:(他の記載が無ければ、酸性勾配を使用。):酸性:溶出液A:MeCN、溶出液B:TFA水溶液濃(0.4mL/L)、5%〜95%のCHCN、流速4.5mL/min;tは、分で示してある;
化合物は、FC、TLC又はMeCN/水勾配を用い、ギ酸又はアンモニアを添加した、RP−C18ベースのカラムを用いて、分取用HPLCにより精製される。
【0088】
A. 前駆体と中間体の製造:
A.1 2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸誘導体の合成
A.1.1 3−クロロ−2−オキソ−プロピオン酸エステル誘導体の合成
(一般的手順)
各アルデヒドB−CHO(338mmol、1.0eq)とジクロロ酢酸メチル(338mmol、1.0eq)の、THF(100mL)中の溶液を、KOtBu(335mmol、1.0eq)の、THF(420mL)中の冷(−60℃)懸濁液に滴下した。4h後、混合物をRTに到達させ、一晩攪拌し、そして真空濃縮した。DCMと氷冷水を添加し、層を分離し、そして水層をDCMで2回抽出した。合わせた有機層を氷冷水と塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空濃縮して、所望の2−オキソ−プロピオン酸エステルを得、それをさら精製することなく使用した。
【0089】
3−クロロ−2−オキソ−3−m−トリル−プロピオン酸 メチルエステル
3−メチル−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0090】
3−クロロ−2−オキソ−3−p−トリル−プロピオン酸 メチルエステル
4−メチル−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0091】
3−クロロ−3−(3−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
3−フルオロ−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0092】
3−クロロ−3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
4−フルオロ−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0093】
3−クロロ−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
3−トリフルオロメチル−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0094】
3−クロロ−3−(2−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
2−フルオロ−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0095】
3−クロロ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
3−メトキシ−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0096】
3−クロロ−3−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
3,4−ジメチル−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0097】
3−クロロ−3−フェニル−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0098】
3−クロロ−3−(3−ブロモ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
3−ブロモ−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0099】
3−クロロ−3−(4−シアノ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
4−シアノ−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0100】
3−クロロ−3−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステル
3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンズアルデヒドのジクロロ酢酸メチルとの反応により製造。
【0101】
A.1.2 2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル誘導体の合成
(一般的手順)
シクロプロパンカルボチオアミド(132mmol、1.0eq)の、MeCN(250mL)中の溶液を、各2−オキソ−プロピオン酸エステル(132mmol、1.0eq)とモレキュラー・シーヴ(4Å、12g)の、MeCN(60mL)中の混合物に添加する。5h攪拌した後、混合物を氷浴中で冷却し、そして得られた沈殿をろ過する。残渣を冷MeCNで洗浄し、乾燥し、MeOH(280mL)に溶解し、そして50℃にて6h攪拌する。溶媒を真空除去し、所望のチアゾール誘導体を白色の固体として得る。
【0102】
2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−2−オキソ−3−m−トリル−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=0.99min;[M+H]=274.27。
【0103】
2−シクロプロピル−5−p−トリル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−2−オキソ−3−p−トリル−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=1.04min;[M+H]=274.36。
【0104】
5−(3−フルオロ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(3−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=1.02min;[M+H]=278.04。
【0105】
5−(4−フルオロ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=1.01min;[M+H]=278.32。
【0106】
2−シクロプロピル−5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=328.23。
【0107】
2−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(2−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=0.95min;[M+H]=278.27。
【0108】
2−シクロプロピル−5−(3−メトキシ−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=0.96min;[M+H]=290.30。
【0109】
5−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=1.02min;[M+H]=292.07。
【0110】
5−フェニル−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3 −フェニル−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=0.99min;[M+H]=260.45。
【0111】
5−(3−ブロモ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(3−ブロモ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=1.03min;[M+H]=339.91。
【0112】
5−(4−シアノ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(4−シアノ−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=1.00min;[M+H]=285.02。
【0113】
5−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステル
3−クロロ−3−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−プロピオン酸 メチルエステルのシクロプロパンカルボチオアミドとの反応により製造。LC−MS:t=1.09min;[M+H]=345.99。
【0114】
A.1.3 チアゾール−4−カルボン酸誘導体の合成(一般的手順)
各チアゾール−4−カルボン酸エステル誘導体(96.2mmol)の、THF(150mL)とi−PrOH(50mL)の混合物中の溶液を、aq.NaOH溶液(1.0M、192mL)で処理する。数時間攪拌した後、白色の懸濁液が形成され、そして有機性揮発物を真空除去する。残った混合物を水(100mL)で希釈し、氷浴中で冷却し、そしてaq.HCl溶液(1.0M)の添加により酸性化(pH=3−4)する。懸濁液をろ過し、そして残渣を冷水で洗浄する。乾燥後、所望の酸を白色の固体として得る。
【0115】
2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボン酸
2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.92min;[M+H]=260.02。 2−シクロプロピル−5−p−トリル−チアゾール−4−カルボン酸
2−シクロプロピル−5−p−トリル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.91min;[M+H]=260.03。 5−(3−フルオロ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸
【0116】
5−(3−フルオロ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.92min;[M+H]=264.01。 5−(4−フルオロ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸
5−(4−フルオロ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.88min;[M+H]=263.99。
【0117】
2−シクロプロピル−5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸
2−シクロプロピル−5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=1.00min;[M+H]=314.27。
【0118】
2−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸
2−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.91min;[M+H]=264.27。
【0119】
2−シクロプロピル−5−(3−メトキシ−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸
2−シクロプロピル−5−(3−メトキシ−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.87min;[M+H]=276.27。
【0120】
5−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸
5−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.97min;[M+H]=278.06。
【0121】
5−フェニル−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン
5−フェニル−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.91min;[M+H]=246.39。 5−(3−ブロモ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸
5−(3−ブロモ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.97min;[M+H]=323.80。
【0122】
5−(4−シアノ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸
5−(4−シアノ−フェニル)−2−シクロプロピル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=0.90min;[M+H]=270.99。
【0123】
5−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸
5−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸 メチルエステルの加水分解により製造。LC−MS:t=1.01min;[M+H]=332.03。
【0124】
実施例の製造
B. 実施例1:(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
B.1.1 (R)−[1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステルの合成
【0125】
【化22】

【0126】
3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボン酸(1.13g、4.99mmol)を、MeCN(40mL)中に溶解し、次いで、TBTU(1.76g、5.49mmol)とDIEA(0.97g、7.49mmol)を添加した。攪拌をRTにて15min続け、次いで、(R)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン(1.02g、4.99mmol)を添加した。攪拌をRTにて1h続けた。反応混合物を、1M aq.HCl(200mL)上に注いだ。有機層を分離し、溶媒を減圧下で蒸発させて、そして残渣HV下で乾燥して、1.8gの(R)−[1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステルを粘着性の糊状物として得た。LC−MS:t=1.01min;[M+H]=409.08。
【0127】
B.1.2 (R)−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノンの合成
【0128】
【化23】

【0129】
(R)−[1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステルを、ジオキサン(12mL)中に溶解し、次いで、HClのジオキサン(4M、12mL)中の溶液を添加した。攪拌をRTにて1h続けた。溶媒を減圧下で蒸発させて、そして残渣をHV下で乾燥して、1.8gの(R)−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン 二塩酸塩を得た。LC−MS:t=0.72min;[M+H]=295.14。
【0130】
B.1.3 (R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノンの合成
【0131】
【化24】

【0132】
2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ピリミジン(31.6mg、0.173mmol)、無水炭酸カリウム(130.5mg、0.944mmol)及び(R)−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン 二塩酸塩(60mg、0.157mmol)を、o−キシレン(1mL)とDIEA(0.081mL)中に溶解し、そして、不活性雰囲気下で145℃に12h加熱した。反応混合物をRTに冷却し、次いで、2M aq.HCl(3mL)を注意深く添加した。生成物をエーテルで抽出した。溶媒を蒸発させ、そして残渣を分取用TLC(シリカゲル、0.5mm;EA/ヘプタン=3/2)で精製して、42mgの(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノンを得た。LC−MS:t=1.11min;[M+H]=455.08。
【0133】
実施例2〜10を、実施例1の製造についての記載に従って製造した:
実施例2:(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン。LC−MS:t=1.05min;[M+H]=447.06。
【0134】
実施例3:(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.08min;[M+H]=441.14。
【0135】
実施例4:(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン。LC−MS:t=1.02min;[M+H]=433.17。
【0136】
実施例5:(R)−[3−(6,7−ジフルオロ−キノキサリン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン。LC−MS:t=1.12min;[M+H]=473.38。
【0137】
実施例6:(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(キノキサリン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.05min;[M+H]=437.42。
【0138】
実施例7:(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−メチルスルファニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=433.35。
【0139】
実施例8:(R)−2−[1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イルアミノ]−6−メチル−ピリミジン−4−カルボン酸 メチルエステル。LC−MS:t=1.04min;[M+H]=459.48。
【0140】
実施例9:(R)−[3−(ベンゾチアゾール−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン。LC−MS:t=0.99min;[M+H]=442.40。
【0141】
実施例10:(R)−[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン。LC−MS:t=0.93min;[M+H]=425.26。
【0142】
C. 実施例11:(R)−[2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル]−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
C.1.1. (R)−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステルの合成
【0143】
【化25】

【0144】
2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボン酸(1.62g、4.99mmol)をアセトニトリル中に溶解し、次いで、TBTU(1.76g、5.49mmol)とDIEA(3.23g、24.96mmol)を添加した。攪拌をRTにて15min続けた。(R)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン(1.02g、4.99mmol)を反応混合物に添加し、そして攪拌をRTにて2h続けた。反応混合物を減圧下で濃縮し、そして1M aq.HCl溶液(100mL)を残渣に添加した。生成物を酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。残渣をFC(酢酸エチル)で精製して、1.94gの(R)−{1−[2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステルを得た。LC−MS:t=1.08min;[M+H]=442.05。
【0145】
C.1.2. (R)−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル)−メタノンの合成
【0146】
【化26】

【0147】
(R)−{1−[2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(1.94g、4.39mmol)を、ジオキサン(10mL)中に溶解し、次いで、HClのジオキサン中の溶液(4M、11.2mL)を添加した。攪拌をRTにて1h続けた。溶媒を減圧下で蒸発させて、そして残渣をHV下で乾燥して、1.88gの(R)−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−[2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル]−メタノン 二塩酸塩を得た。LC−MS:t=0.79min;[M+H]=342.08。
【0148】
C.1.3. (R)−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノンの合成
【0149】
【化27】

【0150】
(R)−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−[2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル]−メタノン 二塩酸塩(80mg、0.193mmol)を、o−キシレン(0.5mL)に溶解し、次いで、DIEA(87mg、0.67mmol)及び無水炭酸カリウム(173mg、1.25mmol)及び2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ピリミジン(107mg、0.579mmol)を添加した。反応混合物を145℃に16h加熱した。RTに冷却後、エーテル(2mL)と1M aq.HCl−溶液(2mL)を添加した。有機層を分離し、そして水層を再びエーテルで抽出した。合わせた有機層を真空濃縮し、残渣をTLC(シリカゲル、0.5mm;EA100%)で精製して、29mgの(R)−[2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル]−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノンを得た。LC−MS:t=1.11min;[M+H]=488.51。
【0151】
実施例12〜14を、実施例11の製造についての記載に従って製造した:
実施例12:(R)−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.04min;[M+H]=480.05。
【0152】
実施例13:(R)−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.09min;[M+H]=492.35。
【0153】
実施例14:(R)−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.03min;[M+H]=484.43。
【0154】
D. 実施例15: (R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミドの合成
D.1.1. (R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド
【0155】
【化28】

【0156】
1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸(21.1mg、0.12mmol)をDMF(1mL)中に溶解し、次いでTBTU(42.4mg、0.132mmol)とDIEA(77.6mg、0.60mmol)を添加した。攪拌をRTにて15min続けた。(R)−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル)−メタノン(50mg、0.12mmol)を添加し、そして攪拌をRTにて16h続け、次いで、ギ酸(0.25mL)を添加し、そして反応混合物を分取用HPLCで直接精製して、17.5mgの(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミドを得た。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=499.99。
【0157】
(前駆体は、上記の手順に従って製造した。)
実施例16〜46を、実施例15の製造についての記載に従って製造した:
実施例16:(R)−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.05min;[M+H]=509.02。
【0158】
実施例17:(R)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=0.85min;[M+H]=486.02。
【0159】
実施例18:(R)−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=486.94。
【0160】
実施例19:(R)−3−クロロ−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−2−メチル−ベンズアミド。LC−MS:t=1.09min;[M+H]=493.95。
【0161】
実施例20:(R)−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−3−フルオロ−2−メチル−ベンズアミド。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=477.98。
【0162】
実施例21:(R)−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−2,3−ジメチル−ベンズアミド。LC−MS:t=1.08min;[M+H]=474.02。
【0163】
実施例22:(R)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=503.97。
【0164】
実施例23:(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.06min;[M+H]=499.01。
【0165】
実施例24:(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.02min;[M+H]=478.03。
【0166】
実施例25:(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.04min;[M+H]=496.99。
【0167】
実施例26:(R)−イソキノリン−1−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=497.02。
【0168】
実施例27:(R)−2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.01min;[M+H]=464.03。
【0169】
実施例28:(R)−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド。LC−MS:t=1.02min;[M+H]=513.86。
【0170】
実施例29:(R)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド。LC−MS:t=0.84min;[M+H]=489.95。
【0171】
実施例30:(R)−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド。LC−MS:t=1.05min;[M+H]=490.95。
【0172】
実施例31:(R)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド。LC−MS:t=1.04min;[M+H]=507.95。
【0173】
実施例32:(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド。LC−MS:t=1.04min;[M+H]=502.98。
【0174】
実施例33:(R)−イソキノリン−1−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド。LC−MS:t=1.05min;[M+H]=500.96。
【0175】
実施例34:(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=453.46。
【0176】
実施例35:(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.05min;[M+H]=452.56。
【0177】
実施例36:(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=0.92min;[M+H]=439.31。
【0178】
実施例37:(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.01min;[M+H]=431.47。
【0179】
実施例38:(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.03min;[M+H]=450.50。
【0180】
実施例39:(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=0.95min;[M+H]=439.37。
【0181】
実施例40:(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.09min;[M+H]=467.59。
【0182】
実施例41:(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.07min;[M+H]=466.49。
【0183】
実施例42:(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=0.95min;[M+H]=453.49。
【0184】
実施例43:(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.04min;[M+H]=445.53。
【0185】
実施例44:(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.06min;[M+H]=464.59。
【0186】
実施例45:(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=98min;[M+H]=453.47。
【0187】
実施例46:(R)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=0.86min;[M+H]=453.79。
【0188】
実施例47及び48を、実施例11の製造について記載した方法を適用し、そして2−ブロモピリジン誘導体をアリール化剤として用いることにより製造した:
実施例47:(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.08min;[M+H]=454.48。
【0189】
実施例48:(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.08min;[M+H]=431.66。
【0190】
実施例49〜54を、最後のアリール化工程においてR−(3−アミノ−ピロリジン−1−イル)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノンをアミンとして用いることにより、実施例11の製造について記載した手順に従って製造した。
【0191】
実施例49:(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−メチルスルファニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.04min;[M+H]=405.55。
【0192】
実施例50:(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン。LC−MS:t=1.05min;[M+H]=419.52。
【0193】
実施例51:(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(キノキサリン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=0.99min;[M+H]=409.36。
【0194】
実施例52:(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン。LC−MS:t=1.10min;[M+H]=427.58。
【0195】
実施例53:(R)−[3−(ベンゾチアゾール−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン。LC−MS:t=0.96min;[M+H]=414.42。
【0196】
実施例54:(R)−[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン。LC−MS:t=0.80min;[M+H]=397.41。
【0197】
実施例55及び56を、最後のアシル化工程においてR−(3−アミノ−ピロリジン−1−イル)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノンをアミンとして用いることにより、実施例15の製造について記載した手順に従って製造した。
【0198】
実施例55:(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.00min;[M+H]=438.45。
【0199】
実施例56:(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−アミド。LC−MS:t=1.03min;[M+H]=439.09。
【0200】
II. 生物学的アッセイ
イン ヴィトロ アッセイ
式(I)の化合物のオレキシン受容体拮抗活性を、下記の実験方法に従って測定する。
【0201】
実験方法
細胞内カルシウムの測定:
ヒトオレキシン−1受容体及びヒトオレキシン−2受容体を発現しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をそれぞれ300μg/mlのG418、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン及び10%熱不活性化牛胎児血清(FCS)を含む培地(L−グルタミン含有HAM F−12)で培養する。予め、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)に溶解した1%ゼラチンで被覆した384穴の黒色の透明底の滅菌プレート(Greiner)に1穴当り20、000個の細胞を播種する。播種したプレートは、5%のCO下、37℃で一晩インキュベートする。
【0202】
作働薬のヒトオレキシン−Aを、MeOH:水(1:1)中の1mM保存溶液として調製し、アッセイでの使用に際しては、0.1%牛血清アルブミン(BSA)、0.375g/lのNaHCO及び20mMのHEPESを含むHBSSに、3nMの最終濃度に希釈する。
【0203】
拮抗薬はDMSOに10mMの保存溶液として調製したのち、384穴のプレート中で、DMSOを用いて、次いで、0.1%牛血清アルブミン(BSA)、0.375g/lのNaHCO及び20mMのHEPESを含むHBSS中に希釈液を移すことにより希釈する。アッセイの日に、染色バッファー50ml(1%のFCS、20mMのHEPES、0.375g/lのNaHCO、5mMのプロベネシド(シグマ)及び3μMの蛍光カルシウム指示薬のfluo−4AM(10%のプルロン酸を含むDMSO中の1mM保存溶液)(モルキュラープローブス社製)を含むHBSS)を各ウェルに添加する。その384穴セルプレートを37℃で50分間、5%CO下でインキュベートし、続いて、測定前に、30〜120分間、rtにて平衡化する。
【0204】
蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR、Molecular Devices)内で、各ウェル10μlの容量の拮抗薬をプレートに添加し、10分間インキュベートし、最後に各ウェル10μlの作働薬を加える。各ウェルの蛍光を1秒間隔で測定し、各蛍光ピークの高さを、拮抗薬をビークルに代えた3nMのオレキシン−Aによって誘発される蛍光ピークの高さと比較する。各拮抗薬に対して、IC50値(作働薬による反応を50%抑制するために必要とされる化合物の濃度)を測定する。
【0205】
47個の例示化合物のIC50値は、OX受容体に関して、6−8036nMの範囲内であり、平均は1388nMである;9化合物のIC50値は>10000nMであった。すべての例示化合物のIC50値は、OX受容体に関して、8−4547nMの範囲内であり、平均は601nMである。選択した化合物の拮抗活性を表1に示す。
【0206】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩:
【化1】

式中、
Aは、フェニル−基を表し、当該フェニルは、未置換であるか、又は、1個の(C1−4)アルキルで置換され;又は、Aは、
【化2】

を表し;
Bは、未置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基により置換されたフェニルを表し、当該置換基は、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ及びハロゲンから成る群より独立に選択され;
nは、整数の0又は1を表し;
Xは、−NH−R又は−NH−C(O)−Rを表し;
はヘテロアリールを表し、当該ヘテロアリールは、ピリミジニルであって、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基が、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、(C1−4)アルキル−チオ−及び(C1−4)アルコキシ−カルボニル−から独立に選択されるか、又は、2個の置換基により置換され、一方の置換基がメチルであり、かつ他方の置換基が、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、(C1−4)アルキル−チオ−及び(C1−4)アルコキシ−カルボニルから選択されるピリミジニル;ピリジニルであって、未置換であるか、又は、1若しくは2個の置換基により置換され、当該置換基が、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、(C1−4)アルキル−カルボニル−及びニトロから独立に選択されるピリジニル;ベンゾチアゾリル;ベンズイミダゾリル;及びキノキサリニルであって、未置換であるか、又は、2個の置換基により置換され、両置換基が独立にハロゲンであるキノキサリニルから成る群より選択され;
は、(特に、2及び3位において)2個の置換基により置換されたフェニルを表し、当該置換基は、(C1−4)アルキル及びハロゲンから独立に選択され;又は
は、ヘテロアリールを表し、当該ヘテロアリールは、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、1H−ピロロピリジル及び2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシニルから成る群より選択され、当該基は、独立に、未置換であるか、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基は、(C1−4)アルキルから独立に選択され;又は
はヘテロシクリルを表し、当該ヘテロシクリルは、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4H−ベンゾ[1,3]ジオキシニル、2H−クロメニル及びクロマニルから成る群より選択される。
【請求項2】
ピペリジン又はピロリジン環の3位における立体中心が絶対(R)−配置にある、式(Ia)の化合物でもある、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩:
【化3】


【請求項3】
Aがフェニル−基を表し、当該フェニルが、未置換であるか、又は、1個の(C1−4)アルキルにより置換された、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Aが、
【化4】

を表す、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Bが、未置換であるか、又は1若しくは2個の置換基により置換され、当該置換基が、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル及びハロゲンから成る群より独立に選択されるフェニルを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又は、その薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Xが−NH−Rを表し;かつ
が:
【化5】

から成る群より選択される、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又は、その薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Xが−NH−C(O)−Rを表し;かつ
が、ヘテロアリールを表し、当該ヘテロアリールは、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、1H−ピロロピリジル及び2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシニルから成る群より選択され、これらの基は、独立に、未置換であるか、1又は2個の置換基により置換され、当該置換基は、独立に(C1−4)アルキルから選択され;又は
が、ヘテロシクリルを表し、当該ヘテロシクリルが、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、4H−ベンゾ[1,3]ジオキシニル、2H−クロメニル及びクロマニルから成る群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
以下からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物、又はそのような化合物の薬学的に許容される塩:
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−[3−(6,7−ジフルオロ−キノキサリン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(キノキサリン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−メチルスルファニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−2−[1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イルアミノ]−6−メチル−ピリミジン−4−カルボン酸 メチルエステル;
(R)−[3−(ベンゾチアゾール−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−[2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル]−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−イル)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−3−クロロ−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−2−メチル−ベンズアミド;
(R)−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−3−フルオロ−2−メチル−ベンズアミド;
(R)−N−[1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−2,3−ジメチル−ベンズアミド;
(R)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−イソキノリン−1−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(2−シクロプロピル−5−m−トリル−チアゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−ベンゾ[d]イソキサゾール−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−イソキノリン−1−カルボン酸 {1−[2−シクロプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−ピペリジン−3−イル}−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−キノリン−8−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−カルボン酸 [1−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピペリジン−3−イル]−アミド;
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(3’,4’−ジメチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(5−メチルスルファニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[3−(4,6−ジメトキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(キノキサリン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−[3−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−メタノン;
(R)−[3−(ベンゾチアゾール−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミノ)−ピロリジン−1−イル]−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−メタノン;
(R)−1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−アミド;及び
(R)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸 [1−(3’−メチル−ビフェニル−2−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−アミド。
【請求項9】
活性成分として、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、そして少なくとも一種の治療上不活性な賦型剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
医薬として使用するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
すべてのタイプの睡眠障害、ストレス関連症候群、向精神薬の使用及び乱用、健常者並びに精神及び神経障害における認知機能障害、摂食又は摂水障害からなる群より選択される疾患の予防又は治療のための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
すべてのタイプの睡眠障害、ストレス関連症候群、向精神薬の使用及び乱用、健常者並びに精神及び神経障害における認知機能障害、摂食又は摂水障害からなる群より選択される疾患の予防又は治療のための医薬を製造するための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。

【公表番号】特表2011−519849(P2011−519849A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506816(P2011−506816)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051735
【国際公開番号】WO2009/133522
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】