説明

フルオロスルホンアミド含有ポリマーを有するネガ型レジスト組成物およびパターン形成方法

【課題】
水性塩基現像液に優れた溶解反応を示すポリマーを含むネガ型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】
以下の2つの化学式のうちの1つを有する少なくとも1種のフルオロスルホンアミド・モノマー単位を有するポリマーを含むネガ型レジスト組成物である
【化1】


ここで化学式中、Mは、重合可能な骨格部分であり、Zは、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、−O−C(O)−C(O)−O−またはアルキルからなる群から選択される連結部分であり、Pは、0または1であり、Rは、炭素数が1〜20個の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、Rは、水素、フッ素、炭素数が1〜6個の直鎖または分岐鎖アルキル基、または一部もしくは全てがフッ素化された炭素数が1〜6個の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、nは、1〜6の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物、より詳細には、フルオロスルホンアミド構造を含む少なくとも1種のモノマー単位を有するポリマーを含有するネガ型レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップやチップ・キャリヤなどパターン化された素子の製造においては、最終製品を構成する様々な層にエッチングを行うステップは、必要とされる最も重要で不可欠なステップの1つである。
【0003】
半導体製造で、光リソグラフィは、半導体素子を作る手法の主流であった。典型的なリソグラフィ・プロセスの従来技術においては、UV光(紫外線)を、特定の回路パターンを画定するマスクを介して感光性レジストの層で被覆されたシリコン・ウェハ上に投影する。UV光に曝し、それに続いて焼成すると、光化学反応を引き起こし、それにより感光性レジストの露光された領域の溶解性が変化する。その後、適切な現像液、一般的には塩基水溶液を、露光された領域(ポジ型レジスト)または露光されていない領域(ネガ型レジスト)におけるレジストを選択的に除去するのに使用する。次いで、こうして画定したパターンをドライエッチング工程またはウェットエッチング工程によりレジストで保護していない領域をエッチング除去することによって、シリコン・ウェハ上に刻み付ける。
【0004】
レジストは、一般に、ポリマー・マトリックス、感放射線性成分、キャスト(casting)溶媒および他の性能向上添加剤からなる。このレジストのポリマー部分は、露光波長で適度な吸収を持たなければならず、このレジスト組成物はさらに、パターン化したレジストから下地基板層に像を転写できるように適切な化学的および機械的特性を備えていなければならない。したがって、レジスト材料を設計する際に考慮されるべき重要なパラメータは、所与の現像液へのレジスト材料の溶解作用である。パターン状に露光されたネガ型レジストは、適切な溶解反応(すなわち、露光されていない範囲の現像液に対する選択的な溶解)を起こすことができて、所望のレジスト構造を生じなければならない。この業界では、レジスト用現像液として0.263Nの水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の使用が主に支持されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネガ型ホトレジストを機能させるためには、レジストが、露光前に適度な溶解率を有し、露光後にほとんどまたは全く溶解しないようにしなくてはならない。水性塩基現像液中で所望の溶解率を実現するために、酸性基をポリマー構造中に組み込まれてきた。例えば、ヒドロキシスチレンは、こうした酸性基として248nmの波長での照射で使用するように設計されたネガ型レジストにおいて広く使用されてきた。しかし、ヒドロキシスチレンは、193nmの波長を過剰に吸収する。カルボン酸(−COOH)やヘキサフルオロアルコール(HFA)など他の酸性基は、193nm用ネガ型レジスト設計において使用されてきた。しかし、カルボン酸は、あまりにも酸性が強すぎる。−COOHを有するレジスト・ポリマーは、露光前に0.263NのTMAH現像液に非常に速く溶解し、露光後に溶解が増大する傾向にあり、それによりレジストのリソグラフ性能を大きく低下させる。HFA基はの酸性度は−COOHよりもはるかに弱く、HFAによるレジストは、よりよい溶解特性を有する。一方、HFA基におけるフッ素含有量の高さゆえに、エッチング耐性がしばしば問題となる。
【0006】
したがって、水性塩基現像液に優れた溶解反応を示し、従来技術のレジスト組成物に関係する上述の問題をさらに克服するネガ型レジスト組成物が、当技術分野において依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、ポリマーを含むネガ型(negative−tone)レジスト組成物を対象とする。このポリマーは、以下の2つの化学式のうちの1つを有する少なくとも1種のフルオロスルホンアミド・モノマー単位を含む。
【化1】

ここで化学式中、Mは、重合可能な骨格部分であり、Zは、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、−O−C(O)−C(O)−O−またはアルキルからなる群から選択される連結部分であり、Pは、0または1であり、Rは、炭素数が1〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、Rは、水素、フッ素、炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基、または一部もしくは全てがフッ素化された(semi− or perfluorinated)炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、nは、1〜6の整数である。本発明のレジスト組成物はさらに、溶媒、感放射線性(radiation sensitive)酸発生剤、架橋剤、失活剤(quencher)および界面活性剤のうちのどの1種も含むことができる。
【0008】
別の態様では、本発明は、基板上にパターン化した材料層を形成する方法を対象とする。この方法は、(a)表面に材料層を有する基板を準備するステップと、(b)この基板に前述したレジスト組成物を塗布し、材料層上にレジスト層を形成するステップと、(c)このレジスト層を像形成用放射線(imaging radiation)でパターン状に露光するステップと、(d)ステップ(c)において像形成用放射線に露光しなかったレジスト層の一部分を除去し、パターンに対応するレジスト層にスペースを形成するステップと、(e)ステップ(d)において形成したスペースの材料層の一部分を除去し、それによってパターン化した材料層を形成するステップとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ポリマーを含むネガ型レジスト組成物を対象とし、このポリマーは、フルオロスルホンアミド基を含有する少なくとも1種のモノマー単位を有する。こうしたフルオロスルホンアミド基を有するレジスト・ポリマーは、従来技術のHFAを含むレジスト・ポリマーよりもフッ素の含有が少なく、このことは、レジスト材料のエッチング耐性を向上させる特徴となる。さらに、本発明のフルオロスルホンアミド基は、従来技術のレジストで使用したHFA基より酸性度が強い。したがって、従来技術のHFA含有レジストと同率の現像液への溶解率を実現するために、本発明のレジスト・ポリマーにおいてはフルオロスルホンアミド基がより低い濃度で使用され、さらにエッチング耐性を向上させることができる。
【0010】
本発明は、少なくとも1種のフルオロスルホンアミド・モノマー単位(monomer unit)を含むポリマーを有するネガ型レジスト組成物を対象とする。このフルオロスルホンアミド・モノマー単位は、以下の2つの化学式のうちの1つを有することが好ましい。
【化2】

ここで化学式中、Mは、重合可能な骨格部分(backbone moiety)であり、Zは、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、−O−C(O)−C(O)−O−またはアルキルからなる群から選択される連結部分(linking moiety)であり、Pは、0または1であり、Rは、炭素数が1〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、Rは、水素、フッ素、炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基、または一部もしくは全てがフッ素化された炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、nは、1〜6の整数である。
【0011】
重合可能な骨格部分Mの例には、
【化3】

が含まれ、
ここで化学式中、Rは、水素、炭素数が1〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素数が1〜20の一部もしくは全部がフッ素化された直鎖または分岐鎖アルキル基、またはCNである。さらに
【化4】

が含まれ、
ここで化学式中、tは、0〜3の整数である。
【0012】
適切なフルオロスルホンアミドモノマーの例には、
【化5】

が含まれる。
【0013】
こうしたポリマーはさらに、架橋しているコモノマー単位などのコモノマー単位を含み、現像液に不溶性なポリマーを与える反応に加えることができる。こうしたコモノマー単位の例には、
【化6】

が含まれる。
【0014】
本発明のネガ型レジスト組成物はさらに、溶媒、感放射線性酸発生剤、架橋剤、失活剤および界面活性剤のうちの任意の1種も含むことができる。
【0015】
当分野の技術者に周知の溶媒は、本発明のレジスト調合物(formulation)において使用され得る。こうした溶媒を使用して、フルオロスルホンアミド含有ポリマーおよびレジスト組成物の他の成分を溶解する。こうした溶媒の例には、エーテル、グリコールエーテル、芳香族炭化水素、ケトン、エステルなどがあり、またそれだけに限定されない。好ましい溶媒には、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンおよびシクロヘキサノンがある。こうした溶媒のいずれも、単独でまたは2種以上の混合物の形で使用され得る。
【0016】
本発明のレジスト組成物中で使用され得る、光酸(photoacid)発生剤としても知られる感放射線性酸発生剤は、露光してエネルギーを与えた際に酸を発生する。前述の本発明のレジスト組成物と光酸発生剤の混合物が、有機溶媒に十分溶解し、得られた溶液がスピンコーティングなどの皮膜形成プロセスによって均一な皮膜を形成することができる限り、適切な任意の光酸発生剤も使用することができる。本発明で使用できるこうした酸発生剤の例には、オニウム塩、スクシンイミド誘導体、ジアゾ化合物、ニトロベンジル化合物などがあり、またそれだけに限定されない。高解像能のために酸の拡散を最小にするには、酸発生剤は、露光してエネルギーを与えた際にかさ高い(bulky)酸を発生するようにすべきである。こうしたかさ高い酸は、少なくとも4個の炭素原子を含む。本発明で使用した好ましい酸発生剤は、ヨードニウム塩またはスルホニウム塩などのオニウム塩またはスクシンイミド誘導体およびその両方である。好ましい酸発生剤には、ペルフルオロブタンスルホン酸4−(1−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸4−(1−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ペルフルオロエチルシクロヘキサンスルホン酸ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、カンファースルホン酸ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、およびペルフルオロブチルスルホニルオキシビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドがある。こうした光酸発生剤のいずれも、単独でまたは2種以上の混合物の形で使用され得る。
【0017】
選択する特定の光酸発生剤は、レジストをパターン化するのに使用する放射線照射(irradiation)に依存するであろう。光酸発生剤は、現在、可視領域からX線範囲の光の様々な波長について使用可能であり、したがって、深紫外線、極紫外線、電子ビーム、レーザまたは有用とみなされる他の任意の照射光源を使用してレジスト像形成を行うことができる。
【0018】
本発明で使用する架橋剤は、光により発生させた酸の存在下で安定なカルボカチオン(carbocation)を生成してスルホンアミド含有ポリマーと架橋する、単独化合物または2種以上の化合物の組み合わせとすることができる。一般的な架橋剤は、以下の単位(unit)をひとつ以上含む任意の化合物である
【化7】

ここで化学式中、Rは、水素、または直鎖もしくは分岐鎖アルキル基または芳香族基を表す。
【0019】
好ましい架橋剤は、グリコウリルおよび以下の式を有するその誘導体である
【化8】

ここで化学式中、R〜R10は各々、水素、または直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、好ましくは炭素数が1〜8のアルキル基、または芳香族基、好ましくは炭素数が6〜9のアリル炭化水素基である。好ましい架橋剤は、テトラメトキシルメチルグリコウリル(パウダーリンク(R)、サイテックから入手可能)、メチルプロピル・パウダーリンク、メチルフェニル・パウダーリンクがある。これらの架橋剤の2種以上の組み合わせを、架橋剤として使用することもできる。
【0020】
本発明で使用する失活剤(quencher)は、ネガ型レジストの性能に過度な影響を与えない微量な酸(trace acid)を補足(除去)する弱塩基である。失活剤の例には、2−フェニルベンズイミダゾールなどの芳香族アミンもしくは脂肪族アミンまたはt−ブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)などのt−アルキルアンモニウムヒドロキシドがある。
【0021】
本発明で使用できる界面活性剤は、本発明のネガ型レジスト組成物のコーティング均一性を改善することができるものである。こうした界面活性剤の例には、スリーエム(3M)社のFC−430(R)などのフッ素含有界面活性剤およびユニオンカーバイド社のSILWET(R)シリーズなどのシロキサン含有界面活性剤がある。
【0022】
本発明のレジスト組成物は、(i)スルホンアミド含有ポリマーを約1〜約30重量%、より好ましくは約5〜約15重量%、(ii)架橋剤をポリマーの総重量に対して約1〜約30重量%、より好ましくは約3〜約10重量%、(iii)光酸発生剤をポリマーの総重量に対して約0.5〜約20重量%、より好ましくは約0.5〜約10重量%、および(IV)一般に組成物の約70〜約99重量%の量で存在する溶媒を含む。このレジスト組成物はさらに、一般にポリマーの総重量に対して約0.1〜約1.0重量%の量で存在する失活剤、および一般にポリマーの総重量に対して約0.001〜約0.1重量%の量で存在する界面活性剤を含む。
【0023】
本発明の別の態様では、スルホンアミド含有レジスト組成物は、半導体素子の製造において像形成層として使用され得る。スルホンアミド含有像形成層は、所望の基板にスピンコーティングなどの周知の手段で塗布される。次いで、レジストを有する基板を焼成(露光前焼成)して溶媒を除去し、このレジスト層の密着性を高めることが好ましい。通常の露光前焼成温度は、約80〜約150℃である。通常のレジストの厚さは、約100〜約500nmである。
【0024】
その後、この像形成層を、適当な放射線照射源で露光する。それに続いて、露光後の焼成および0.263NのTMAH現像液などの水性塩基現像液での現像が実施される。
【0025】
その後、レジスト構造からのパターンを、下にある基板の材料(例えば、セラミック、誘電体、金属または半導体)に転写することができる。通常、この転写(transfer)は、反応性イオンエッチングまたはいくつかの他のエッチング技術によって実現される。本発明のレジスト組成物および得られたレジスト構造を使用して、集積回路素子の設計で使用するような、金属配線、コンタクトまたはバイア用のホール、絶縁区域(例えば、ダマシン・トレンチまたは浅いトレンチ分離)、キャパシタ構造用のトレンチなどパターン化した材料層構造を形成することができる。
【0026】
こうした(セラミック、誘電体、金属または半導体)構造体(feature)を作製する方法は、一般に、パターン化されるべき基板の材料層または区域(section)を準備することと、材料層または区域上にレジストの層を塗布するステップと、レジストを放射線でパターン状に露光するステップと、露光したレジストを現像液と接触させることによりパターンを現像するステップと、レジスト層の下にある層をパターン内のスペースでエッチングすることによりパターン化した材料層または基板区域を形成するステップと、いずれの残存するレジストも基板から除去するステップとを含む。いくつかの例では、ハードマスクをレジスト層の下に使用して、さらに下にある材料層または区域へのパターンの転写を容易にすることができる。本発明は、どんな特定のリソグラフ技術または素子構造にも限定されるものではないことを理解されたい。
【0027】
以下に非限定的な実施例を示して、さらに本発明を説明する。こうした実施例は、例示のために示したものにすぎないので、本明細書で実施される発明をそれだけに限定すべきではない。
【実施例1】
【0028】
2−トリフルオロメタンスルホニルアミノエチルメタアクリレート(I)の合成
2−アミノエチルメタアクリレート塩酸塩(アルドリッチ社から入手可能)15g(0.091モル)を溶解した無水塩化メチレン250ml溶液に、再蒸留したトリエチルアミン18.4g(0.182モル)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した後、トリフルオロメタン塩化スルホニル15.3g(0.091モル)を加えた。得られた混合物を、さらに室温で一晩撹拌した。エーテル約200mlを加えた。この混合物をろ過して、生じた沈殿物を除去した。ろ液(filtrate)を、5%HCl100mlで2回、飽和NaHCO100ml、ブライン(brine)100mlで2回続けて洗浄し、次いでMgSOで乾燥させた。この溶媒をエバポレート(rotavap)によって除去した。強粘液体約14.5gを得た。この生成物をさらにヘキサン/クロロホルム(1:1)で再結晶により精製して、融点が55〜58℃である白色固体(51%)を約12g得た。
【実施例2】
【0029】
ポリ(I−co−IV)の合成
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.148g(0.0009モル)を、2−トリフルオロメタンスルホニルアミノエチルメタアクリレート(I)4.7g(0.018モル)、ヒドロキシアダマンチルメタアクリレート(IV)2.83g(0.012モル)およびドデカンチオール0.061g(0.0003モル)の2−ブタノン22.6g溶液に加えた。この溶液を乾燥Nで0.5時間バブリングすることによって脱酸素化し、次いで12時間還流(reflux)した。この反応混合物を室温まで冷却し、激しく撹拌しながらヘキサン400mlに沈殿させた。得られた白色固体を濾集し、ヘキサンで数回洗浄し、真空下で60℃で20時間乾燥させた。
【実施例3】
【0030】
ポリ(I−co−IV−co−VI)の合成
次のモノマーを用いて、実施例2と同じ手順を実施した:2−トリフルオロメタンスルホニルアミノエチルメタアクリレート(I)(5.22g、0.02モル)、ヒドロキシアダマンチルメタアクリレート(IV)(3.78g、0.016モル)および2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(VI)(0.52g、0.004モル)、AIBN(0.197g、0.0012モル)ならびにドデカンチオール(0.081g、0.0004モル)。
【実施例4】
【0031】
ポリ(I−co−XVII−co−IV−co−VI)の合成
次のモノマーを用いて、実施例2と同じ上記の手順を使用した:2−トリフルオロメタンスルホニルアミノエチルメタアクリレート(I)(2.35g、0.009モル)、2−メタクリロイル−γ−ブチロラクトン(XVII)(1.53g、0.009モル)、ヒドロキシアダマンチルメタアクリレート(IV)(2.12g、0.009モル)および2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(VI)(0.39g、0.003モル)、AIBN(0.246g、0.0015モル)ならびにドデカンチオール(0.182g、0.0009モル)。
【実施例5】
【0032】
リソグラフィ評価
リソグラフィ実験のために、ポリ(I−co−XVII−co−IV−co−VI)(実施例4)を含有するレジスト調合物を、重量部で表した以下の材料と合成することによって調製した:
【表1】

【0033】
このレジスト調合物を、シリコン・ウェハ上に塗布した反射防止材料層(AP40(R)、シプレイ社から入手可能)上にスピンコート(30秒間)した。このレジスト層を、真空ホットプレート上で105℃で60秒間ソフト焼成して、厚さ約0.24μmの膜を生成した。次いで、ウェハを193nmの放射線(ASML社製スキャナー、0.75NAを使用)で露光した。露光パターンは、最小0.08μmの様々な寸法のラインアンドスペースの配列であった。露光したウェハを、105℃の真空ホットプレート上で90秒間、露光後焼成した。次いで、0.263NのTMAH現像液を使用してこのウェハを60秒間(パドル)現像した。このパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)によって調べた。90nm以上のライン/スペース対は、十分に解像された。
【0034】
本発明を、特定の好ましい実施形態および他の別の実施形態と共に具体的に説明したが、以上の説明に照らせば多くの代替形態、変更形態および変形形態が、当分野の技術者に明らかであることは明白である。したがって、特許請求の範囲が、本発明の真の範囲と精神の範囲内にあるこうした代替形態、変更形態および変形形態の全てを包含することを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のネガ型レジスト組成物は、半導体チップやチップ・キャリヤなどパターン化した素子の製造に役立つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを含むネガ型レジスト組成物であって、ポリマーが以下の2つの化学式
【化1】

のうちの1つを有する少なくとも1種のフルオロスルホンアミド・モノマー単位を含むことを特徴とするポリマーを含むネガ型レジスト組成物であって、
ここで化学式中、Mは、重合可能な骨格部分であり、Zは、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、−O−C(O)−C(O)−O−またはアルキルからなる群から選択される連結部分であり、Pは、0または1であり、Rは、炭素数が1〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、Rは、水素、フッ素、炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基、または一部もしくは全てがフッ素化された炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、nは、1〜6の整数である、ネガ型レジスト組成物。
【請求項2】
前記フルオロスルホンアミド・モノマー単位が、以下の化学式、
【化2】

からなる群から選択される、請求項1に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項3】
前記ポリマーがさらに、以下の化学式、
【化3】

からなる群から選択されるコモノマー単位を含む、請求項1に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項4】
感放射線性酸発生剤をさらに含む、請求項1に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項5】
前記感放射線性酸発生剤が、オニウム塩、スクシンイミド誘導体、ジアゾ化合物およびニトロベンジル化合物からなる群から選択される、請求項4に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項6】
前記感放射線性酸発生剤が、ペルフルオロブタンスルホン酸4−(1−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸4−(1−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ペルフルオロエチルシクロヘキサンスルホン酸ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、カンファースルホン酸ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、およびペルフルオロブチルスルホニルオキシビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドからなる群から選択される、請求項4に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項7】
溶媒、架橋剤、失活剤および界面活性剤のうちの少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項8】
前記架橋剤が、以下の部分を2つ以上を含み、
【化4】

ここで化学式中、Rは、水素または直鎖もしくは分岐鎖アルキル基または芳香族基を表す、請求項7に記載のレジスト組成物。
【請求項9】
前記架橋剤が、以下を含み、
【化5】

ここで化学式中、R〜R10は各々、水素または直鎖もしくは分岐鎖アルキル基または芳香族基を表す、請求項8に記載のレジスト組成物。
【請求項10】
〜R10が各々、水素、または炭素数が1〜8の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、または炭素数が6〜9のアリル炭化水素基である請求項9に記載のレジスト組成物。
【請求項11】
前記レジスト組成物が、(i)約1〜約30重量%の前記ポリマーと、(ii)前記ポリマーの総重量に対して約1〜約30重量%の架橋剤と、(iii)前記ポリマーの総重量に対して約0.5〜約20重量%の光酸発生剤と、(iV)前記組成物の約70〜約99重量%の量存在する溶媒とを含む、請求項7に記載のレジスト組成物。
【請求項12】
前記レジスト組成物が、(i)約5〜約15重量%の前記ポリマーと、(ii)前記ポリマーの総重量に対して約3〜約10重量%の架橋剤と、(iii)前記ポリマーの総重量に対して約0.5〜約10重量%の光酸発生剤と、(iV)前記組成物の約85〜約99重量%の量存在する溶媒とを含む、請求項7に記載のレジスト組成物。
【請求項13】
パターン化された材料層を基板上に形成する方法であって、
(a)表面に材料層を有する基板を準備するステップと
(b)前記基板に請求項1に記載したレジスト組成物を塗布し、前記材料層上にレジスト層を形成するステップと、
(c)前記レジスト層を像形成用放射線でパターン状に露光するステップと、
(d)ステップ(c)において像形成用放射線を露光しなかったレジスト層部分を除去し、パターンに対応するレジスト層にスペースを形成するステップと、
(e)ステップ(d)において形成した前記スペースの材料層部分を除去し、それによってパターン化された材料層を形成するステップと、を含む方法。
【請求項14】
前記レジスト層は前記レジスト層を水溶性アルカリ現像液に接触させて除去し、前記像形成用放射線に露光されなかったレジスト層の一部分は現像溶液に溶解され、前記パターンに対応する前記レジスト層にスペースを形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記水溶性アルカリ現像液が、0.263Nの水酸化テトラメチルアンモニウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記材料層が、セラミック、誘電体、金属および半導体層からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記像形成用放射線が、193nm放射線である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記像形成用放射線が、157nm放射線である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記材料層の一部分が、前記レジスト層に形成されたスペースによって前記材料層をエッチングすることで除去される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記材料層の一部分が、反応性イオンエッチングを使用して除去される、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2007−525696(P2007−525696A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520525(P2006−520525)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/017114
【国際公開番号】WO2005/036261
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】