説明

フレキシブル配線モジュール

【課題】 配線フィンの両端部での捻れによる端部領域の変形やスリットの裂けを防止することができ、信頼性の向上をはかる。
【解決手段】 フレキシブル配線モジュールであって、複数本の電気配線11を備え、配線長方向に離間する一対の端部領域A1,A2及び該端部領域A1,A2に挟まれた配線領域Bを有するフレキシブル配線板10と、配線領域Bに端部領域A1,A2間を結ぶように設けられ、配線領域Bを複数の配線フィン13に分割する貫通スリット12と、フレキシブル配線板10の端部領域A1,A2に、フレキシブル配線板10と垂直方向の投影で貫通スリット12の端部に接する又は重なるように搭載された補強板20と、配線フィン13の少なくとも一部を配線フィン13の厚さ方向に積層した積層部を束線する束線帯24と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フレキシブル配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の機械的可動部や曲面部に配設する配線として、可撓性を有するフレキシブル配線板が用いられている。また、フレキシブル配線板の延伸方向に沿ってスリットを入れて複数の配線フィンを形成し、複数の配線フィンを束ねたフレキシブル配線モジュールも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−066086号公報
【特許文献2】特開2011−158666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明が解決しようとする課題は、配線フィンの両端部での捻れによる端部領域の変形やスリットの裂けを防止することができ、信頼性の向上をはかり得るフレキシブル配線モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のフレキシブル配線モジュールは、複数本の電気配線を備え、配線長方向に離間する一対の端部領域及び該端部領域に挟まれた配線領域を有するフレキシブル配線板と、前記配線領域に前記端部領域間を結ぶように設けられ、前記配線領域を複数の配線フィンに分割する貫通スリットと、前記フレキシブル配線板の端部領域に、前記フレキシブル配線板と垂直の投影で前記貫通スリットの端部に接する又は重なるように搭載された補強板と、前記配線フィンの少なくとも一部を前記配線フィンの厚さ方向に積層した積層部を束線する束線帯と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係わるフレキシブル配線モジュールに用いたフレキシブル配線板の構成を示す平面図。
【図2】第1の実施形態に係わるフレキシブル配線モジュールの製造工程を示す平面図。
【図3】第1の実施形態の変形例を示すフレキシブル配線板の構成を示す平面図。
【図4】第2の実施形態に係わるフレキシブル配線モジュールに用いたフレキシブル配線板及びフレキシブル光電配線板の構成を示す平面図。
【図5】第2の実施形態に係わるフレキシブル配線モジュールの概略構成を示す平面図。
【図6】第2の実施形態に係わるフレキシブル電配線モジュールに用いたフレキシブル光電配線板の具体的構成を示す平面図と断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態の説明を行っていく。ここでは、幾つか具体的材料や構成を例に用いて説明を行っていくが、同様な機能を持つ材料や構成であれば同様に実施可能である。従って、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係わるフレキシブル配線モジュールに用いたフレキシブル配線板の構成を説明するためのものであり、(a)はフレキシブル配線板の上面図、(b)はフレキシブル配線板の裏面図である。
【0009】
図中の10はフレキシブル配線板であり、このフレキシブル配線板10は、一対の端部領域A(A1,A2)と、これらの端部領域A1,A2に挟まれた配線領域Bを有する。フレキシブル配線板10の表面側には、一方の端部領域A1から他方の端部領域A2まで延在する電気配線11が設けられている。ここで、電気配線11はフレキシブル配線板10の一端から他端まで連続したものであっても良いし、端部領域A1,A2への電子部品搭載を考慮して端部領域A1,A2内で断続したものであっても良い。
【0010】
配線領域Bにおいて、フレキシブル配線板10の配線方向に平行する貫通スリット12(例えば幅0.1mm)を設け、フレキシブル配線板10の配線領域Bを複数の配線フィン13(例えば幅1mm)に分割してある。また、図1(b)に示すように、フレキシブル配線板10の裏面側の端部領域A1,A2には補強板20(20a,20b)が搭載されている。ここで、補強板20は、フレキシブル配線板10の基板表面と垂直な方向から見てスリット12の端部と接するように設けられている。
【0011】
図1のフレキシブル配線板10は、図2(a)〜(e)に示す工程を経て、配線領域Bが1束の細いフレキシブル配線モジュールとなる。これにより、屈曲動作に加えて回転動作や捻り動作等にも対応することが可能となる。
【0012】
図2(a)は、通常のFPC製造工程が終了した状態であり、Cu配線パターン等の配線組み込みが終了した段階である。即ち、図には示さないが、フレキシブル配線板10の紙面左右方向に沿って複数本の配線が平行配置されている。この段階で貫通スリット12を設ける部分には配線を設けないようにする。
【0013】
図2(b)は複数本の貫通スリット12を形成し、配線フィン13を分離する工程である。貫通スリット12の形成には、レーザ加工のほか、金型打ち抜きや機械切削であるルーター加工などが可能である。なお、図2(a)において、既にFPC形状に外形加工されているように記述したが、図2(b)の段階で外形加工も一緒に行うのが効率的であり、2(a)と図2(b)は一般的には同一の工程になることが多い。
【0014】
次に、2つの端部領域A1,A2をそれぞれ図2(c)の破線矢印のように、2箇所同時に面内方向(時計回り)に回転させる。この動作により各配線フィン13が捻られ且つ引き寄せられる。ここで、端部領域A1,A2を回転させた向きに合わせて図2(d)のように位置をずらして適度に張力を与えると、配線フィン13が隣接する配線フィンと表面と裏面を対向するように重なりながらきれいに整列して束にまとまる。この状態を保持しながら、束線帯24を巻きつけることで、図2(e)のようにクランク型のフレキシブル配線モジュールが完成する。
【0015】
図2(e)のフレキシブル配線モジュールでは、束線により配線フィン13の両端部(配線領域と端部領域の境界付近)に捻れが生じる。そのため、従来のフレキシブル配線モジュールでは、フレキシブル配線板の端部領域が変形したり、スリットの裂けが発生したりするおそれがあり、これらは、フレキシブル配線モジュールの信頼性を低下させる要因となっていた。しかしながら、本実施形態では、フレキシブル配線板10の端部領域Aに補強板20(例えばポリイミド、厚さ100μm)を搭載し、端部領域Aの可撓性を低減している。このため、配線フィン13の両端部の捻れによって、端部領域Aの変形や貫通スリット12の裂けが発生するのを未然に防止でき、これによりフレキシブル配線モジュールの信頼性を向上させることができる。
【0016】
ここで、補強板20が貫通スリット12の端部から端部領域A側に離れていると、端部領域Aの変形や貫通スリット12の裂け防止の効果が小さくなるため、補強板20が貫通スリット12の端部に接している、或いは貫通スリット12の端部と重なっているのが望ましい。
【0017】
また一般的に、貫通スリット12の裂け防止には、貫通スリット12の両端部に丸穴(例えば直径0.3mm)を設ける方法が用いられるが、この場合、配線フィン13の両端部の幅が小さくなり、配線可能な面積が小さくなったり、張力が掛かった際に配線フィン13が千切れたりする恐れがある。しかしながら、本実施形態のフレキシブル配線モジュールでは、丸穴を設けずとも補強板20により貫通スリット12の裂け防止が可能であるため、このような事態にはならない。
【0018】
なお、補強板20は、必ずしも端部領域Aの全体に搭載する必要はなく、図3に示すように、端部領域Aの一部に搭載しても良い。但し、貫通スリット12の両端部に接するように、端部領域Aの中の配線領域B側に搭載することが望ましい。
【0019】
全ての配線フィン13の幅及び間隔は、ほぼ同等にすることが望ましい。これにより、フレキシブル配線板10を上述のように束線した際に、一部の配線フィン13に張力が集中するようなことがなくなる。また、複数の配線フィン13の全てが同等に引っ張られるため、複数の配線フィン13を束ねた領域において複数の配線フィン13の整列性が良く、一部の配線フィン13がばらけるようなこともない。なお、配線フィン13の重ね方は、他の方法(例えば、各々の配線フィン13が隣接する配線フィン13と表面と表面若しくは裏面と裏面を対向するように複数の配線フィン13を重ねる)を用いても良い。
【0020】
束線帯24としては、例えば弗素樹脂系のシールテープを用いることができる。束線帯24には粘着剤のないテープを用い、束線帯の内側で各配線フィン13が動けるようにしておくことが配線フィン13のたるみや応力を取り除くためには望ましい。なお、束線帯24の数は必要に応じて適宜変更可能であるし、個別の束線帯ではなく、例えば束ねた配線フィン13の一端から他端まで連続した束線帯を用いても良い。また、束ねた複数の配線フィン13がばらける恐れが無いか、ばらけても構わない場合は、束線帯24を用いなくても良い。
【0021】
フレキシブル配線板10としては、電気配線を有するフレキシブル電気配線板や、電気配線と光配線路を有するフレキシブル光電配線板を用いることができる。フレキシブル光電配線板を用いた場合、フレキシブル光電配線板に光半導体素子(発光素子、受光素子)、光半導体素子を駆動する駆動ICを搭載することで、光信号伝送が可能である。またこの場合、少なくとも光半導体素子や駆動ICを搭載した回路領域の裏面に補強板を設けておくことで、配線フィンの捻れによって光半導体素子や駆動ICへのダメージ(チップ割れ、バンプ剥がれ、光軸ずれ)を防止できる。
【0022】
このように本実施形態によれば、フレキシブル配線板10に複数の貫通スリット12を設け、配線フィン13を積層して束線することにより、変形自由度を高めた高信頼のフレキシブル配線モジュールを実現することができる。しかも、端部領域Aに補強板20を搭載することにより、配線フィン13の両端部の捻れによって、端部領域Aの変形や貫通スリット12の裂けが生じるのを防止することができ、フレキシブル配線モジュールの信頼性を向上させることができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係わるフレキシブル配線モジュールに用いたフレキシブル配線板及びフレキシブル光電配線板の構成を示す上面図である。フレキシブル配線板及びフレキシブル光電配線板の外形のみを示し、他の部分は省略しているが、フレキシブル配線板は電気配線を有し、フレキシブル光電配線板は電気配線と光配線路を有する。
【0024】
図4の構成では、第1の実施形態で用いたフレキシブル配線板10にフレキシブル光電配線板30を搭載してある。高速信号(例えば10Gbps)をフレキシブル光電配線板30の光配線路で光信号伝送し、電力供給や低速信号伝送(例えば10kbps)をフレキシブル配線板10の電気配線で行うことで、フレキシブル光電配線板30の面積を最小限に抑え、コストの低減が可能である。
【0025】
図4の構成では、前記図1と同様に、フレキシブル配線板10の配線方向に平行する貫通スリット12(例えば幅0.1mm)を設け、フレキシブル配線板10の配線領域Bを複数の配線フィン13(例えば幅1mm)に分割している。そして、分割された1つの配線フィン13上に配線フィン13と並行するようにフレキシブル光電配線板30を搭載し、フレキシブル配線板10の電気配線とフレキシブル光電配線板30の電気配線を電気接続してある。さらに、第1の実施形態と同様に、フレキシブル配線板10の裏面側の端部領域A1,A2には補強板20が搭載されている。ここで、補強板20は、フレキシブル配線板10の基板表面と垂直な方向から見てスリット12の端部と接するように設けられている。
【0026】
図4に示した構成においても、前記図2(a)〜(e)で示した工程を経て、図5に示すように、フレキシブル配線板10の一方の端部領域A1、配線領域B、他方の端部領域A2をクランク形になるように配置し、各々の配線フィン13(フレキシブル光電配線板30を含む)が隣接する配線フィン13と表面と裏面を対向するように複数の配線フィン13を重ねる。そして、束線帯54を用いて複数の配線フィン13を束ねることで、配線領域が1束の細いフレキシブル配線モジュールとして扱うことができる。このため、屈曲動作に加えて回転動作や捻り動作等にも対応することが可能である。
【0027】
なお、束線帯54は配線領域Bの2箇所で束線しているが、束線帯54の数は必要に応じて適宜変更可能であるし、個別の束線帯ではなく、例えば束ねた配線フィン13の一端から他端まで連続した束線帯を用いても良い。束線帯54は、第1の実施形態と同様に、配線フィン13を強固に固定するのではなく、積層された配線フィン13がフリーの状態にしている。具体的には、配線フィン間のたるみや応力を取り除くために、束線帯54には粘着剤のないテープを用い、リング状に形成した束線帯54の内側で配線フィン13が動けるようにしておくことが望ましい。
【0028】
フレキシブル光電配線板30は、例えば接着シートを用いて、その全面をフレキシブル配線板10に搭載(貼り付けて固定)しても良いし、その端部近傍領域のみをフレキシブル配線板10に搭載しても良い。また、フレキシブル光電配線板30を配置する箇所のフレキシブル配線板10の配線フィン13を除去してもよい。この場合、配線領域においてフレキシブル配線板10とフレキシブル光電配線板30の重なりが無くなり、フレキシブル配線モジュールの配線領域を屈曲や摺動する際の最小曲げ半径を小さくすることができる。さらに、フレキシブル配線板10とフレキシブル光電配線板30の擦れを無くして繰り返し屈曲・摺動に対する耐久性を向上させることができる。
【0029】
フレキシブル光電配線板30は、後述するようにフレキシブル光電配線板に搭載される光半導体素子(発光素子、受光素子)及び光半導体素子を駆動する駆動ICが、フレキシブル配線板10の基板表面と垂直な方向から見て補強板20と重なるように搭載されることが望ましい。これにより、配線フィンの捻れによって光半導体素子や駆動ICへのダメージ(チップ割れ、バンプ剥がれ、光軸ずれ)を防止できる。
【0030】
フレキシブル光電配線板30は、後述するように電気入出力の光信号伝送が可能であるため、フレキシブル配線モジュールは、フレキシブル配線板10の電気配線とフレキシブル光電配線板30の電気配線を電気接続するだけで作製できる。即ち、温度変化による熱膨張や屈曲・撓みによる変形時の光軸ずれの恐れが無いため、フレキシブル配線板10とフレキシブル光電配線板30を光接続する場合(例えば、フレキシブル配線板10に搭載された光半導体素子と、フレキシブル光電配線板30の光配線路を光結合させる場合)に比し、接続信頼性を大幅に高めることができる。電気接続の方法として、例えば、ワイヤボンディング、インクジェット配線、スタッドバンプ、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste:ACP)を用いることができる。電気接続箇所にはモールド樹脂(例えばエポキシ系樹脂)を塗布することが望ましい。
【0031】
なお、本実施形態のフレキシブル配線モジュールでは、フレキシブル光電配線板30の裏面をフレキシブル配線板10の表面に搭載したが、フレキシブル光電配線板30の表面をフレキシブル配線板10の表面に搭載するか、フレキシブル光電配線板30の表面をフレキシブル配線板10の裏面に搭載するか、フレキシブル光電配線板30の裏面をフレキシブル配線板10の裏面に搭載しても良い。また、スリットの裂け又は端部領域Aの変形の恐れが無い場合にはフレキシブル配線板10とフレキシブル光電配線板30が重なる領域において補強板20を部分的に除去しても良い。
【0032】
このように本実施形態によれば、フレキシブル配線板10の端部領域Aに補強板20を搭載することで、端部領域Aの変形、フレキシブル光電配線板30の回路領域に搭載された光半導体素子や駆動ICへのダメージ、貫通スリット12の裂け等を防止して、フレキシブル配線モジュールの信頼性を向上することができる。しかも、フレキシブル光電配線板30を設けたことにより、高速信号伝送が可能なだけでなく、フレキシブル配線板10とフレキシブル光電配線板30との接続を電気接続としたことにより接続信頼性を向上することができる。
【0033】
なお、フレキシブル光電配線板30は、例えば図6(a)〜(c)に示すように構成されている。図6(a)はフレキシブル光電配線板30の概略上面図、図6(b)は図6(a)矢視A−A’断面図、図6(c)は図6(a)の矢視B−B’断面図である。
【0034】
フレキシブル光電配線板30は、電気配線33(33a,33b)と光配線路34を有し、光半導体素子32(電気信号を光信号に変換する発光素子32a、光信号を電気信号に変換する受光素子32b)と駆動IC31(発光素子32aを駆動する駆動IC31a、受光素子32bを駆動して受光電流を増幅する駆動IC31b)を搭載してある。駆動IC31と光半導体素子32はフレキシブル光電配線板30上にフリップチップ実装されており、例えばAuスタッドバンプを介して電気配線33上に電気接続されている。また、光半導体素子32a,32bは、光配線路34を介して光結合している。図には示していないが、光半導体素子32及び駆動IC31の底面及び側面には、アンダーフィル樹脂(例えばエポキシ系樹脂)を塗布することが望ましい。
【0035】
光半導体素子32は、例えばGaAs基板に作製されており、発光又は受光波長を例えば850nmとすることができる。発光素子32aとして例えば面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:VCSEL)を、受光素子32bとして例えばPINフォトダイオード(Photo Diode:PD)を用いることができる。
【0036】
電気配線33は、例えば厚さ12μmの圧延Cuで、例えば厚さ20μmのポリイミドからなるベースフィルム36上に形成されている。なお、電気接続端子は、電気配線33の表面に例えばNi/Au(厚さ5μm/0.3μm)をメッキすることで形成可能である。
【0037】
ベースフィルム36の下層には、光配線路34が形成されている。光配線路(光導波路コア)34は、断面が例えば30μm×30μmのエポキシ系樹脂であり、周囲を光閉じ込めのための光導波路クラッド35(例えば厚さ50μmのエポキシ系樹脂)で覆われた構造としてある。光配線路の下部には例えば厚さ25μmのポリイミドからなるカバーレイ37が形成されている。
【0038】
光導波路材料(光導波路コア34及び光導波路クラッド35)としては、例えばエポキシ系樹脂の他、アクリル系樹脂,ポリイミド系樹脂などを用いることができ、光導波路コア34が光導波路クラッド35より屈折率が高くなるように材料、添加物を調整したものを用いる。また、光導波路コア34と光半導体素子32との光結合は、例えば光半導体素子の搭載位置において光導波路コア34に45°ミラー(不図示)を設けておくことで実現できる。
【0039】
フレキシブル光電配線板30においては、電気配線33aに入力された電気信号を元に駆動IC31aが発光素子32aを駆動して光信号を生成し、光配線路34で光信号が伝送される。次に、受光素子32bで受信された光信号は電気信号に変換され、駆動IC31bで増幅されて電気配線33bに出力される。なお、駆動IC31は、駆動IC31a,31bの両方の機能を有する駆動IC(トランシーバ)であっても良い。また、図6(a)では、光信号の伝送方向をフレキシブル光電配線板30の一端側から他端側への単方向としているが、一端側に受光素子、他端側に発光素子を搭載して、図6(a)とは逆方向の光信号伝送を行っても良いし、一端側に発光素子と受光素子、他端側に受光素子と発光素子を搭載して双方向の光信号伝送を行っても良い。
【0040】
上述のフレキシブル光電配線板30を用いることで、フレキシブル配線板10上の電気配線を用いた場合に比べて大幅に高速の信号伝送(例えば10Gbps)が可能となる。一方で、低速の信号伝送(例えば10Mbps以下)や電源供給は通常のフレキシブル配線板10を用いることが可能である。そこで、フレキシブル光電配線板30を必要最小限の領域に用い、フレキシブル配線板10と一体化した構成とすることで、全ての信号配線をフレキシブル光電配線板30で賄う構成に比べて、配線部材コストの上昇を大幅に抑制することができる。
【0041】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。
【0042】
実施形態では、補強板の端部が貫通スリットの端部に接するようにしたが、必ずしもこれに限らず、補強板の一部が貫通スリットの端部を越えて配線領域側にはみ出すようにしても良い。補強板の形状は全て長方形としたが、実際の使用に際しては適宜変形可能である。フレキシブル配線板の両端部に補強板を設けたが、何れか一方のみに補強板を設けても良い。また、第2の実施形態におけるフレキシブル光電配線板において、幅に余裕があれば、一方の端部から他方の端部に延在する電気配線を設けるようにしても良い。
【0043】
また、補強板の材料はポリイミドに何ら限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。十分な補強効果を持たせるには、フレキシブル配線板よりも可撓性が低い材料が望ましく、更にフレキシブル配線板よりも厚いものが望ましい。
【0044】
フレキシブル配線板は、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)などがあり、何れでも本発明が適用可能である。さらに、FPCやFFCの電気配線が単層でも多層でも構わず、前述したように光配線が混在しても構わない。
【0045】
フレキシブル配線板及びフレキシブル光電配線板は、ベースフィルムとして、例えばポリイミドや液晶ポリマーを用いることができるが、必ずしもこれに限るものでは無い。また、電気配線の表面は、電気接続端子や放熱用のランド等を除き、カバーレイやフォトレジストを積層して絶縁しても良い。
【0046】
光半導体素子は、化合物半導体(例えば、GaAlAs/GaAs,InGaAs/InP,SiGe等)やSi、Ge等の基板を用いて形成しても良い。用いる基板材料に応じて波長も自由に選択可能である。受光素子は、MSMフォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、フォトコンダクター等、種々の受光素子を用いることができる。
【0047】
本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
10…フレキシブル配線板、11…電気配線、12…貫通スリット、13…配線フィン、20(20a,20b)…補強板、24,54…束線帯、30…フレキシブル光電配線板、31(31a,31b)…駆動IC、32(32a,32b)…光半導体素子、33(33a,33b)…電気配線、34…光配線路(光導波路コア)、35…光導波路クラッド、36…ベースフィルム、37…カバーレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の電気配線を備え、配線長方向に離間する一対の端部領域及び該端部領域に挟まれた配線領域を有するフレキシブル配線板と、
前記配線領域に前記端部領域間を結ぶように設けられ、前記配線領域を複数の配線フィンに分割する貫通スリットと、
前記フレキシブル配線板の前記端部領域に、前記フレキシブル配線板と垂直方向の投影で前記貫通スリットの端部に接する又は重なるように搭載された補強板と、
前記配線フィンの少なくとも一部を前記配線フィンの厚さ方向に積層した積層部を束線する束線帯と、
を具備したことを特徴とするフレキシブル配線モジュール。
【請求項2】
前記フレキシブル配線板は、前記端部領域間を結ぶ光配線路を更に有し、
前記フレキシブル配線板と垂直方向の投影で前記補強板と重なるように前記フレキシブル配線板の前記端部領域に搭載され、前記光配線路に光結合する光半導体素子を、更に具備したことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル配線モジュール。
【請求項3】
複数本の電気配線を備え、配線長方向に離間する一対の端部領域及び該端部領域に挟まれた配線領域を有するフレキシブル配線板と、
前記配線領域に前記端部領域間を結ぶように設けられ、前記配線領域を複数の配線フィンに分割する貫通スリットと、
前記配線フィンに並行するように前記フレキシブル配線板に搭載され、前記電気配線と光配線路とを有するフレキシブル光電配線板と、
前記フレキシブル配線板の前記端部領域に、前記フレキシブル配線板と垂直方向の投影で前記貫通スリットの端部に接する又は重なるように搭載された補強板と、
前記配線フィン及び前記フレキシブル光電配線板の少なくとも一部を前記配線フィンの厚さ方向に積層した積層部を束線する束線帯と、
を具備したことを特徴とするフレキシブル配線モジュール。
【請求項4】
前記フレキシブル光電配線板が、少なくとも前記フレキシブル配線板の前記端部領域に搭載され、
前記フレキシブル光電配線板の前記光配線路が、前記フレキシブル配線板の前記端部領域間を結ぶように形成され、
前記フレキシブル配線板と垂直方向の投影で前記補強板と重なるように前記フレキシブル光電配線板に搭載され、前記光配線路に光結合する光半導体素子を、更に具備したことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブル配線モジュール。
【請求項5】
前記補強板は、前記フレキシブル配線板の厚みよりも厚く、前記フレキシブル配線板よりも可撓性が低いものであり、前記フレキシブル配線板の前記電気配線が形成された面とは反対側の面に搭載されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のフレキシブル配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−98320(P2013−98320A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239141(P2011−239141)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】