説明

フレキシブル金属張積層体

【課題】 実装性、視認性、パターニング性、ピール強度に優れかつ安価なフレキシブル金属張積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】 銅箔上に直接又は接着剤層を介して特定のポリアミドイミド樹脂フィルム(A層)が積層され、さらにその上に特定のポリアミドイミド樹脂フィルム(B層)が積層されたフレキシブル金属張積層体の製造方法であって、方法が、(イ)A層を構成する樹脂を溶媒に溶解させて調製された樹脂溶液を、銅箔上に直接又は接着剤層を介して塗工して塗膜を形成させる工程;(ロ)(イ)で形成された塗膜を乾燥する工程;(ハ)B層を構成する樹脂を溶媒に溶解させて調製された樹脂溶液を、(イ)で形成された塗膜の上に塗工して塗膜を形成させる工程;及び(ニ)(ハ)で形成された塗膜を乾燥する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面粗度が低く、光沢度及び反射率が高い銅箔に二つの特定のポリアミドイミド樹脂フィルムを積層したフレキシブル金属張積層体に関する。更に詳しくは、本発明は、実装性、視認性、パターニング性等に優れ、かつ、ピール強度の高い、COF(チップオンフィルム)基板用として好適に使用できるフレキシブル金属張積層体に関する。
【0002】
本明細書及び特許請求の範囲において「フレキシブル金属張積層体」とは、金属箔と樹脂層とから形成された積層体であって、例えば、フレキシブルプリント基板等の製造に有用な積層体を言う。また、「フレキシブルプリント基板」とは、例えば、フレキシブル金属張積層体を用いてサブトラクティブ法等の従来公知の方法により製造でき、必要に応じて、導体回路を部分的にまたは全面的にカバーレイフィルムやスクリーン印刷インキ等を用いて被覆した、いわゆるフレキシブル回路板(FPC)、フラットケーブル、テープオートメーティツドボンディング(TAB)用の回路板、又は、チップオンフレキシブル基板などのテープキャリアパッケージ(TCP)用の回路板などを言う。
【背景技術】
【0003】
電子機器の小型軽量化に伴い、プリント配線基板への電子部品の実装方法として、ベアチップ(IC、LSI等)を直接、フィルムキャリアテープ上に搭載するCOF(チップオンフィルム)方式が主流になっている。COF方式で用いられるCOF基板(フィルムキャリアテープ)は、耐熱性フィルム上にリード電極などの導体層が形成され、デバイスホールのない構成をしている。
【0004】
このようなCOF基板における、基板と電子部品の電気的接続は、基板表面のリード電極と、電子部品に形成されたバンプ電極とを直接的に溶接することで行われる。このため、基板には高い温度が加わり、基板である絶縁性フィルムには高温に耐えうる実装性が要求される。通常は、450℃以上ものボンディングツールを基板の裏面側から押し当て圧接するため、近年では、400℃以上もの高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂フィルムが強く要望されている。
【0005】
また、COF基板においては、リード電極はフライングリードではないため、ベアチップ実装の際の位置決めは、絶縁性フィルム上に形成された導体パターンやチップ等を絶縁フィルム層を介して識別することで行われる。例えば、400〜800nm程度の可視光を基板に照射し、識別パターンを画像処理することなどで行われる。このため、位置合わせの精度は、耐熱性フィルムの透明性やヘイズ値等で代表される、いわゆる視認性に大きく左右される。
【0006】
実装密度の向上やファインピッチ化に伴い、パターニング性やピール強度の向上とともに、位置決めに関しても高い精度が求められるようになっており、近年のCOF基板においては、実装性、視認性、ピール強度、狭ピッチパターニング性などの特性が重要視されている。
【0007】
COF基板は、耐熱フィルム上に銅層が積層されたフレキシブル銅張積層体(FCCL)をパターニングすることで製造される。一般的にFCCLは、その製造方法から、メタライジング型、キャスティング型、ラミネート型の3種類に分類される。この内、現在、COF用途ではメタライジング型が用いられている。
【0008】
メタライジング型は、ポリイミドフィルムへCrなどの金属をスパッタリングなどにより直接的に蒸着させ、さらに、銅を無電解および/または電解メッキさせることにより製造される。メタライジング型は、透明なポリイミドフィルムを用いるため、視認性に優れるが、メッキ層に欠点が多く信頼性に欠け、ピール強度に劣るという製造法に起因する本質的な問題を有している。例えば、特許文献1では、ポリイミドフィルムを易接着加工しているにも関わらず、十分なピール強度は得られていない。
【0009】
このような問題を解決するために、ラミネート型やキャスティング型での検討が盛んに行われている。
【0010】
ラミネート型は、銅箔とポリイミドフィルムを、熱可塑性樹脂を介してラミネートすることにより製造される。ラミネート型は、メタライジング型と同様に透明なポリイミドフィルムを用いるため、視認性に優れるが、パターニング後のチップ実装面が熱可塑性樹脂となるため、基本的に実装性に劣る。例えば、特許文献2では、種々の熱可塑性ポリイミドを用いて銅箔とポリイミドをラミネートする方法が記載されているが、熱可塑性ポリイミドのTgは300℃程度である。
【0011】
一方、キャスティング型は、ポリイミド前駆体樹脂溶液またはポリアミドイミド樹脂溶液を銅箔上に塗布した後、乾燥・硬化することにより製造される。キャスティング型は、その製法上、ピール強度が発現しやすく、高Tg樹脂のキャストも可能なことから、前述のピール強度や実装性を改良する目的で種々の検討が行われている。しかし、現実には、実装性やピール強度に加えて、視認性、パターニング性をも両立するFCCLは得られていない。更に、キャスティング型においては、キャストする樹脂ワニスの保存安定性の良いことが前提であるが、この保存安定性も同時に満足するFCCLは得られていない。
【0012】
例えば、特許文献3では、高Tgのポリアミドイミド樹脂を銅箔上へ塗布、乾燥することで、耐熱性、接着性等のバランスの取れた金属張積層体を製造する方法が記載されている。しかし、特許文献3では、表面粗度の大きい銅箔を用いているため、銅箔をエッチングした後の樹脂フィルム面が粗くなり、光の乱反射により視認性が悪くなるといった問題点があった。また、狭ピッチでのパターニング性も銅箔の表面粗度が粗いために劣り、ピール強度も表面粗度の大きい銅箔では高い値を示すが、ピール強度とパターニング性を同時に満足することはできていない。特許文献3では、複数種のポリアミドイミドを用いることで、接着強度などの各特性のバランス化を図っているが、本願の比較例6に示す通り、視認性や狭ピッチなパターニング性を満足する、表面粗度が低く光沢度や反射率が高い鏡面な銅箔では不十分であった。更に、本願の比較例6にも示す通り、ポリアミドイミド樹脂フィルム層は、耐熱性に優れるが、溶解性に劣るため、キャストする樹脂ワニスそのものの保存安定性が悪いという製造上の問題もある。
【0013】
特許文献4では、表面粗度の低い比較的鏡面な銅箔にポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布した後、乾燥・硬化することで銅箔上に複数層からなるポリイミド絶縁層を持つフレキシブル金属張積層体が記載されている。しかし、この金属張積層体は、ベアチップの実装性及び光沢度や反射率の高い銅箔に対するピール強度がやはり不十分であり、さらに、ポリイミド前駆体樹脂溶液の塗布後に高温で乾燥・イミド化を行っているため、加工性に劣る。また、高温で熱処理するため、銅箔自体が再結晶化し、狭ピッチなパターニング性が要求される用途には適していないという問題がある。
【0014】
特許文献5では、表面粗度の比較的低い銅箔上にポリアミドイミド樹脂溶液を塗布し、樹脂層を2層有するフレキシブル金属張積層体において、第1層目に耐熱性の高い樹脂、第2層目に吸湿特性に優れた樹脂を塗布することで実装性、耐湿信頼性、加工性を満足する金属張積層体の製造方法が記載されている。しかし、特許文献5の方法では、光沢度や反射率の高い鏡面な銅箔を用いた場合、本願の比較例7、比較例8にも示す通り、ピール強度が低く、キャストする樹脂ワニスそのものの保存安定性が悪いという製造上の問題がある。
【0015】
さらに、特許文献6では、銅箔の表面粗度及び光沢度を規定し、視認性やパターニング性の改良が検討されているが、特許文献6で用いられる樹脂ワニスにおいても、本願の比較例5に示す通り、光沢度や反射率の高い銅箔に対するピール強度が低く、また、キャストする樹脂ワニスそのものの保存安定性が悪いという製造上の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−35658号公報
【特許文献2】特開2003−251741号公報
【特許文献3】特開2008−110612号公報
【特許文献4】特開2007−214555号公報
【特許文献5】WO2009/063742
【特許文献6】特開2008−182222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ファインピッチが要求されるような高密度回路板用途、特にCOFフィルムキャリアテープ用のフレキシブル金属張積層体を提供することにあり、具体的には、キャスト法で、使用する樹脂ワニスが良好な保存安定性を有し、かつ、視認性、実装性、ピール強度、パターニング性に優れる、フレキシブルプリント基板のために好適なフレキシブル金属張積層体を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、金属箔上に二種のポリアミドイミド樹脂フィルムの層を積層させ、金属箔に近い方の層において特定のアミン成分を含みかつ数平均分子量を規定した二種のポリアミドイミド樹脂を含有させ、金属箔から遠い層においても特定のアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂を含有させることにより、キャスト用樹脂ワニスの保存安定性、実装性、視認性、パターニング性、及び、ピール強度の各特性において満足できるものを見出し、本発明の完成に至った。
【0019】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(11)の構成を有するものである。
(1)銅箔上に直接又は接着剤層を介してポリアミドイミド樹脂フィルム(A層)が積層され、さらにその上にポリアミドイミド樹脂フィルム(B層)が積層されたフレキシブル金属張積層体であって、下記(i)〜(iv)の要件を満たすことを特徴とするフレキシブル金属張積層体:
(i)A層が、ナフタレン骨格を有するアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂(I)、及びO−トリジン骨格を有するアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂(II)を含み、ポリアミドイミド樹脂(I)/ポリアミドイミド樹脂(II)の重量比が95〜70/5〜30であること;
(ii)ポリアミドイミド樹脂(I)の数平均分子量が25000〜100000であり、かつ/又はポリアミドイミド樹脂(II)の数平均分子量が25000〜100000であること;
(iii)B層が、O−トリジン骨格を有するアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂を含むこと;及び
(iv)銅箔のA層に面する側の表面粗度が3μm以下であり、光沢度が300以上であり、400nm〜800nmの波長の光における反射率が20%以上であること。
(2)ポリアミドイミド樹脂(I)が、下記一般式[1]、一般式[2]、及び一般式[3]の繰り返し単位を含むことを特徴とする(1)に記載のフレキシブル金属張積層体。


(式[2]中、YはC=Oであり、nは0または1である。)

(3)ポリアミドイミド樹脂(I)中の一般式[1]/一般式[2]/一般式[3]のモル比が10〜50/20〜80/5〜20であることを特徴とする(2)に記載のフレキシブル金属張積層体。
(4)ポリアミドイミド樹脂(II)が、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる酸成分と、O−トリジン骨格を有するアミン成分とを含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。
(5)ポリアミドイミド樹脂フィルム(A層)において、円換算直径で1μm以上の最大サイズを有するポリアミドイミド樹脂(II)が分散または相分離していることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。
(6)A層とB層の樹脂フィルムの厚みの比(A層/B層)が0.01〜100であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。
(7)A層の樹脂フィルム層の厚みが1〜100μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。
(8)B層の樹脂フィルム層の厚みが1〜100μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。
(9)両面に金属箔が形成されるように(1)〜(8)のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体を貼り合わせることにより得られることを特徴とする両面フレキシブル金属張積層体。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体を使用することを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフレキシブル金属張積層体は、表面粗度が低く、かつ光沢度及び反射率が高い銅箔を用いることにより、視認性、狭ピッチでのパターニング性に優れるとともに、金属層に積層されるA層及びB層のポリアミドイミド樹脂の組成、比率、分子量を規定することにより、樹脂ワニスの保存安定性や鏡面な銅箔に対するピール強度に優れる。さらに、キャスト法で用いる樹脂組成物は、有機溶剤に可溶であるため、高温で熱処理する必要もなく、優れたパターニング性を維持したままフレキシブルプリント基板を安価に製造することに寄与する。さらに、積層体の加工条件で金属箔が再結晶することがないため、パターニング性が低下することがない。そして、本発明のフレキシブル金属張積層体がこれらの各種性能を高いレベルでバランス良く有している点は、従来技術からは容易に達成できなかった本発明の独自の効果である。
【0021】
従って、本発明によれば、ファインピッチが要求されるような高密度回路板用途、特にCOFフィルムキャリアテープ用途でも使用できるフレキシブルプリント基板を安価に製造することができ、工業的に極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のフレキシブル金属張積層体の断面構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のフレキシブル金属張積層体は、図1に示すように、銅箔1上にポリアミドイミド樹脂フィルム(A層)2が積層され、さらにその上にポリアミドイミド樹脂フィルム(B層)3が積層された構成を有する。銅箔1上にはA層2が直接積層されても接着剤層を介して積層されてもよい。
【0024】
ポリアミドイミド樹脂フィルム(A層)は、ナフタレン骨格を有するアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂(I)、及びO−トリジン骨格を有するアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂(II)を含む。
【0025】
ポリアミドイミド樹脂(I)は、下記一般式[1]、一般式[2]、及び一般式[3]の繰り返し単位を分子鎖中に含有するものであることが好ましい。下記一般式[1]、一般式[2]、一般式[3]で表される単位は、それぞれ1種でも2種以上でもよく、ナフタレン骨格やベンゼン骨格には置換基が結合されていても差し支えない。


(式[2]中、YはC=Oであり、nは0または1である。)

【0026】
ポリアミドイミド樹脂(I)中の一般式[1]/一般式[2]/一般式[3]のモル比は、10〜50/20〜80/5〜20が好ましく、20〜40/40〜80/5〜15がより好ましく、25〜35/50〜70/7〜12がさらに好ましい。
【0027】
一般式[1]のモル比が上記割合より低い場合は、一般式[2]及び一般式[3]の組成に依存するが、樹脂の有機溶剤に対する溶解性が悪くなり、本樹脂を銅箔上へ塗工し、積層体を成型する場合、前駆体樹脂ワニスの形で成型しなければならず、高温での熱処理が必要になり、加工性が悪くなる。その結果、エネルギーコストが高くなる。また、銅箔への熱履歴の影響で銅層の結晶構造が変化し、パターニング性が悪くなる。さらに、銅箔の酸化劣化等に伴い、機械物性、品位の低下が起こる。
【0028】
また、一般式[2]のモル比が上記割合より低い場合、または、一般式[3]のモル比が上記割合より低い場合は、樹脂のTgが低くなり、ベアチップ実装時にリード配線が樹脂層に沈み込むといった不具合が生じうる。さらに、ピール強度が低下する傾向にあり、配線と樹脂層の剥離が生ずる場合がある。
【0029】
一般式[1]の好ましい態様は、無水トリメリット酸と1,5−ナフタレンジイソシアネートからの繰り返し単位であり、一般式[2]の好ましい態様は、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と1,5−ナフタレンジイソシアネートからの繰り返し単位、及び、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と1,5−ナフタレンジイソシアネートからの繰り返し単位(一般式[2′]とする)であり、一般式[3]の好ましい態様はピロメリット酸無水物と1,5−ナフタレンジイソシアネートからの繰り返し単位である。
【0030】
ポリアミドイミド樹脂(I)中の一般式[1]/一般式[2′]/一般式[2]/一般式[3]のモル比は、5〜60/1〜60/1〜40/1〜30であることが好ましく、10〜50/10〜50/5〜30/5〜20がより好ましく、20〜40/30〜50/10〜30/5〜15がさらに好ましい。
【0031】
一般式[1]のモル比が上記上限より多く、一般式[2]、一般式[2′]、一般式[3]のモル比のいずれかが上記下限より低い場合は、樹脂のTgが低くなり、ベアチップ実装時にリード配線が樹脂層に沈み込む等といった不具合が生じうる。さらに、ピール強度が低下する傾向にあり、配線と樹脂層の剥離が生じる場合もある。また、一般式[1]のモル比が上記下限より少なく、一般式[2]、一般式[2′]、一般式[3]のモル比のいずれかが上記上限より多い場合は、有機溶剤への溶解性が乏しくなり、フレキシブル金属張積層体の加工性が悪くなりうる。さらに、ブレンド樹脂としての保存安定性が悪くなりうる。
【0032】
これらのポリアミドイミド樹脂は、金属張積層体の加工性やパターニング性の観点から、有機溶剤に溶解可能である。この点については、後述するポリアミドイミド樹脂(II)及びB層のポリアミドイミド樹脂も同様である。なお、ここで言う有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、及びシクロペンタノンが挙げられ、これらの一部をトルエン、キシレン、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、またはメチルイソブチルケトンで置き換えたものも含まれる。なお、本発明において、有機溶剤に可溶であるとは、上記の溶媒の少なくとも1種を20重量%以上含有する有機溶媒に10重量%以上溶解することを言う。好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上溶解することを言う。なお、溶解の判定は、次のようにして行う。即ち、樹脂が固形状である場合には、200mlのビーカーに80メッシュを通過する樹脂粉末を規定重量添加し、25℃で24時間静かに攪拌した後の溶液を25℃で24時間静置し、ゲル化、不均一化、白濁、析出のいずれもなかったものを溶解していると判定する。
【0033】
ポリアミドイミド樹脂(II)は、酸成分の全量を100モル%、アミン成分の全量を100モル%としたときに、O−トリジン骨格を有するモノマーが80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは120モル%以上、最も好ましくは140モル%以上である。O−トリジン骨格を有するモノマーの量が上記下限未満では、A層としての特性、即ち、表面粗度が低く、光沢度及び反射率が高い銅箔に対するピール強度が乏しく、また、実装性が悪くなるおそれがある。また、O−トリジン骨格を有するモノマーは180モル%以下が好ましく、より好ましくは170モル%以下、最も好ましくは160モル%以下である。O−トリジン骨格の量が上記上限を超えると、ピール強度の低下に加え、有機溶剤への溶解性が低下し、保存安定性が悪化するおそれがある。
【0034】
ポリアミドイミド樹脂(II)は、下記一般式[4]、一般式[5]、及び一般式[6]の繰り返し単位を分子鎖中に含有するものであることが好ましい。

(式[4]中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。)

(式[5]中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。)

(式[6]中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。また、Yは直結(ビフェニル結合)、又は、エーテル結合(−O−)を示す。)
【0035】
ポリアミドイミド樹脂(II)中の一般式[4]/一般式[5]/一般式[6]のモル比は、50〜99/1〜50/1〜50が好ましく、60〜90/5〜40/5〜30がより好ましく、65〜85/10〜30/5〜20がさらに好ましい。
【0036】
一般式[4]のモル比が上記上限より多く、一般式[5]、一般式[6]のモル比のいずれかが上記下限より低い場合は、表面粗度が低く、光沢度及び反射率が高い銅箔へのピール強度が低下しうる。また、一般式[4]のモル比が上記下限より少なく、一般式[5]、一般式[6]のモル比のいずれかが上記上限より多い場合は、樹脂の有機溶剤への溶解性が低下し、ブレンド樹脂としての保存安定性が悪くなりうる。
【0037】
ポリアミドイミド樹脂(II)は、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる酸成分と、O−トリジン骨格を有するアミン成分とを含むことが好ましい。具体的には、酸成分が無水トリメリット酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及び、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の組合せであり、かつ、アミン成分が、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニルの場合が最も好ましい。
【0038】
A層の樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂(I)中にポリアミドイミド樹脂(II)を形成させて製造される。製造方法は、従来公知の方法によって行えばよく、例えば、ポリアミドイミド樹脂(I)の溶液とポリアミドイミド樹脂(II)の溶液を機械的に混合、ブレンドすることにより製造することができる。2種のポリアミドイミド樹脂をブレンドすることによりA層は相分離状態を形成する。そして、相分離により形成されるポリアミドイミド樹脂(II)成分の粒状の相の大きさを制御することでピール強度が向上する。これは、物理的効果の発生によるものと推定される。また、A層の樹脂溶液のポットライフも向上する。これは、ポリアミドイミド樹脂(I)が可塑化され、本来凝集力の高いポリアミドイミド樹脂(I)の分子間力が低下するためと推定される。
【0039】
A層中に形成される粒の大きさは、ブレンドする2成分のポリアミドイミド樹脂(I)、(II)の分子量に起因し、分子量を高くすることで粒径が大きくなる傾向にある。そして、粒径制御は2種の樹脂の分子量を規定することにより行うことができる。
【0040】
A層中のポリアミドイミド樹脂(I)/ポリアミドイミド樹脂(II)の固形分重量比は95〜70/5〜30であり、90〜70/10〜30が好ましく、85〜75/15〜25がより好ましい。ポリアミドイミド樹脂(II)の上記重量比が上記下限より少ないと、耐熱性の上昇に伴い実装性は向上する傾向にあるが、表面粗度が低く、光沢度及び反射率が高い銅箔へのピール強度は低下する。また、ブレンド樹脂溶液の保存安定性が悪化する。一方、ポリアミドイミド樹脂(I)の上記重量比が上記上限より多いと、ピール強度が高くなる場合があるが、耐熱性の低下により実装性が低下する。
【0041】
ポリアミドイミド樹脂(I)の数平均分子量は25000〜100000であり、好ましくは30000〜80000であり、より好ましくは40000〜60000である。ポリアミドイミド樹脂(II)の数平均分子量は25000〜100000であり、好ましくは30000〜90000、より好ましくは50000〜70000である。ポリアミドイミド樹脂(I)、(II)の数平均分子量が上記下限より小さいと表面粗度が低く、光沢度及び反射率が高い銅箔に対するピール強度が低下する。数平均分子量は高ければ高いほうが良く上限値は特にない。要求特性にもより一概には言えないが、100000程度の数平均分子量があれば十分である。
【0042】
ポリアミドイミド樹脂フィルム(A層)において、相分離により形成されるポリアミドイミド樹脂(II)成分の粒状の相の最大サイズは、円換算直径で1.0μm以上、好ましくは1.5μm以上、より好ましくは2.5μm以上であることが好ましい。円換算直径が上記下限より小さいと、表面粗度が低く、光沢度及び反射率が高い銅箔に対するピール強度が低下しうる。円換算直径は高ければ高いほうが良く上限値は特にない。要求特性により一概には言えないが、円換算直径は5.0μm程度もあれば十分である。
【0043】
B層のポリアミドイミド樹脂は、酸成分の全量を100モル%、アミン成分の全量を100モル%としたときに、O−トリジン骨格を有するモノマーが80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは120モル%以上、最も好ましくは140モル%以上である。O−トリジン骨格を有するモノマーの量が上記下限未満では、表面粗度が低く、光沢度及び反射率が高い銅箔へのピール強度は低下する傾向にあり、更に、吸湿寸法変化率、積層体としての平面性(低反り性)などの特性も低下しうる。また、O−トリジン骨格を有するモノマーは180モル%以下であることが好ましく、より好ましくは170モル%以下、最も好ましくは160モル%以下である。O−トリジン骨格を有するモノマーの量が上記上限を超えると、有機溶剤への溶解性が低下し、保存安定性も悪化しうる。
【0044】
B層のポリアミドイミド樹脂は、前述の一般式[4]、一般式[5]、及び一般式[6]の繰り返し単位を分子鎖中に含有するものであることが好ましい。B層のポリアミドイミド樹脂中の一般式[4]/一般式[5]/一般式[6]のモル比は、50〜99/1〜50/1〜50が好ましく、60〜90/5〜40/5〜30がより好ましく、65〜85/10〜30/5〜20がさらに好ましい。
【0045】
一般式[4]のモル比が上記上限より多く、一般式[5]、一般式[6]のモル比のいずれかが上記下限より低い場合は、表面粗度が低く、光沢度及び反射率が高い銅箔へのピール強度は低下する傾向にあり、更に、吸湿寸法変化率、積層体としての平面性(低反り性)などの特性も低下しうる。また、一般式[4]のモル比が上記下限より少なく、一般式[5]、一般式[6]のモル比のいずれかが上記上限より多い場合は、有機溶剤に対する溶解性、保存安定性が悪くなりうる。B層のポリアミドイミド樹脂の酸成分及びアミン成分の好ましい態様は、A層のポリアミドイミド樹脂(II)と同じである。
【0046】
B層のポリアミドイミド樹脂は、N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度で0.3〜5.0dl/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5dl/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が上記下限未満では、フィルム等の成型物にしたときに機械的特性が不十分となるおそれがあり、ピール強度も低下する傾向にある。また、上記上限を超えると溶液粘度が高くなるため、成形加工が困難となることがある。
【0047】
上記のポリアミドイミド樹脂の製造は、通常の方法で合成することができる。例えば、イソシアネート法、アミン法などが挙げられるが、本発明で用いるポリアミドイミド樹脂は、有機溶剤に可溶であることが必要であり、また、工業的にも重合時の溶液がそのまま塗工できるイソシアネート法が好ましい。
【0048】
イソシアネート法の場合、原料として芳香族トリカルボン酸無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等と芳香族ジイソシアネートを有機溶媒中で略化学量論量で反応させることで本発明に用いるポリアミドイミド樹脂を得ることができる。芳香族トリカルボン酸無水物としては、トリメリット酸無水物が挙げられ、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸等が挙げられ、芳香族ジイソシアネートとしては、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0049】
重合反応は、有機溶媒中で通常10〜200℃で1〜24時間行うことが好ましく、イソシアネートと活性水素化合物の反応に対する触媒、例えば、3級アミン類、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などの存在下で行うことができる。
【0050】
ポリアミドイミド樹脂を製造するための重合溶媒としては、上記ポリアミドイミド樹脂を溶解しうる有機溶媒を使用することができる。かかる有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどが挙げられ、好ましくはN−メチル−2−ピロリドンである。また、これらの一部をトルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤で置き換えることも可能である。
【0051】
本発明のポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、難燃性、接着性、寸法安定性、屈曲性、絶縁性、吸湿特性などのフレキシブル金属張積層体としての各種性能のバランスをとるために、本発明の目的を損なわない範囲で、上記に示した酸成分、イソシアネート成分以外に、以下に示す、酸成分、アミン成分を共重合することが可能である。また、これらの酸成分、アミン成分の組み合わせで別途重合した樹脂を混合して使用することもできる。
【0052】
酸成分としては、(a)トリカルボン酸として、ジフェニルエーテル−3,3′,4′−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3′,4′−トリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3′,4′−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸等の一無水物、エステル化物などの単独または2種以上の混合物;(b)テトラカルボン酸として、ジフェニルスルホン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸一無水物、二無水物、エステル化物などの単独または2種以上の混合物;(c)ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−4,4′−ジカルボン酸のジカルボン酸、及びこれらの一無水物やエステル化物が挙げられる。
【0053】
アミン成分としては、例えば、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ジアミノベンゾフエノン、3,3′−ジアミノベンゾフエノン、3,4′−ジアミノベンゾフエノン、2,6−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサン−1,4−ジアミン、ジアミノシロキサン、或いは、これらに対応するジイソシアネート単独または2種以上の混合物が挙げられる。
【0054】
また、本発明のポリアミドイミド樹脂は、環境に配慮するという観点から、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンを含まないノンハロゲン系であることが好ましい。
【0055】
また、必要ならば、フレキシブル金属張積層体またはフレキシブルプリント基板の諸特性、例えば、機械的特性、電気的特性、滑り性、難燃性などを改良する目的で、上記のポリアミドイミド樹脂溶液に、他の樹脂や有機化合物及び無機化合物を混合させたり、あるいは反応させたりして併用してもよい。例えば、滑剤(シリカ、タルク、シリコーン等)、接着促進剤、難燃剤(リン系やトリアジン系、水酸化アルミ等)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等)、メッキ活性化剤、有機や無機の充填剤(タルク、酸化チタン、シリカ、フッ素系ポリマー微粒子、顔料、染料、炭化カルシウム等)、シリコーン化合物、フッ素化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂のような樹脂や有機化合物、またはこれらの硬化剤、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄などの無機化合物を併用することができる。また、必要に応じて、脂肪族第3級アミン、芳香族第3級アミン、複素環式第3級アミン、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、ヒドロキシ化合物などのポリイミド化の触媒を添加してもよい。
【0056】
こうして得られる上記のポリアミドイミド樹脂溶液中のポリアミドイミド樹脂の濃度は、広い範囲から選択できるが、いずれのポリアミドイミドも、5〜40重量%程度、特に8〜20重量%程度とするのが好ましい。濃度がこの範囲を外れると、塗工性が低下する。ポリアミドイミド樹脂溶液の好ましい溶媒は、前述の有機溶媒である。また、これらの溶媒は、重合時の溶媒としても使用されるため、重合溶液をそのまま塗工できるメリットがある。ポリアミドイミド樹脂の適正な溶液粘度は、塗工性の点から25℃でのB型粘度で1〜1000dPa・sの範囲である。
【0057】
本発明のフレキシブル金属張積層体に用いる金属箔は、銅箔である。銅箔の表面には、有機防錆処理(ベンゾチアゾール、ベンゾトリゾール、イミダゾールなど)、無機防錆処理(亜鉛、クロメート、亜鉛合金など)、シランカップリング剤処理(エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤など)、被せメッキ処理、焼けメッキ処理などの処理が施されていても良い。
【0058】
銅箔のA層に面する側の表面(いわゆるM面)の表面粗度は、3.0μm以下、好ましくは2.0μm以下、最も好ましくは1.0μm以下である。表面粗度が上記上限を超えると、パターニング性に劣り、また、銅箔をエッチング除去した後の樹脂フィルム層のヘイズ値が高くなるため、視認性が悪くなる。表面粗度の下限は、低いほど良く限定されないが、0.1μm程度あれば十分である。
【0059】
銅箔のM面の光沢度は、300以上、好ましくは400以上、より好ましくは600以上である。光沢度は、JIS−Z8741−1997により測定され、入射角60°で照射し、60°での反射光を測定する。光沢度は高いほど、表面粗さは低く、また、表面粗度には反映されないうねり等も少ないため、表面がより平滑になる。従って、光沢度は高いほど良いが、800程度あれば十分である。
【0060】
但し、光沢度、いわゆるグロス値は、一定の入射角で測定光を照射し、それに対する反射光の強度を一定の角度で測定したもので、例えば、JIS−Z8741−1997では20°、45°、60°、75°、85°などの入射角、反射角が規定されている。この場合、光沢度の高い銅箔を使用すれば、フレキシブルプリント基板において、銅箔をエッチング除去した後の基材フィルム層は、銅箔の表面状態が反映され、より乱反射の少ない、透明性に優れるフィルム層になり、光沢度の低い場合はその逆と考えられる。しかし、上記光沢度を指標にした場合の透明性は、厳密には、あくまで、一定の角度での入射角、反射角における、一定の角度での散乱光の量であり、基材フィルム透明性の指標としては、実用的ではない。即ち、COF基板における位置合わせは、例えば、400nm〜800nm程度の可視光を基板に照射し、識別パターンを画像処理することなどで行われるが、必ずしも60°の角度ではなく、むしろより垂直な角度での入射角、反射角に近い。よって、銅箔の表面状態を反映した、銅箔をエッチング除去した後の基材フィルム層における、例えば、垂直な角度に近い乱反射の量は、必ずしも、光沢度の数値には相関しないケースもありえる。例えば、入射角が5°で垂直な反射角では乱反射は少ないが、入射角、反射角が60°では多いという表面状態も想定され、COF基板の位置合わせにおいては前者がより実用に近い。
【0061】
以上のような観点から、より視認性にすぐれたFCCLとするための銅箔の選定には、上記の光沢度に加え、400nm〜800nm程度の可視光を基板に垂直照射した場合の反射率が有効であり、本発明においては、銅箔の400nm〜800nmの可視光領域での反射率は20%以上であり、より好ましくは25%以上であり、更に好ましくは30%以上である。反射率が低いと視認性に劣る。反射率は高いほどよいが、80%程度あれば十分である。
【0062】
銅箔の厚みについては特に限定されないが、例えば3〜50μmが好適である。銅箔は、通常、リボン状であり、その長さは特に限定されない。また、リボン状の銅箔の幅も特に限定されないが、一般には25〜300cm程度、特に50〜150cm程度である。
【0063】
本発明のフレキシブル金属張積層体は、例えば、前述の銅箔に直接または接着剤層を介して前記2種類のポリアミドイミド樹脂(A層、B層)の溶液を順次塗布し、塗膜を乾燥(初期乾燥)、場合により熱処理・脱溶剤(二次乾燥)することにより製造されることができる。
【0064】
銅箔に2種類のポリアミドイミド樹脂を積層する方法としては、A層樹脂溶液を塗工し、初期乾燥後、B層樹脂溶液を塗工、初期乾燥し、場合により、二次乾燥する方法が挙げられる。あるいは、A層樹脂溶液を塗工し、初期乾燥及び二次乾燥した後に、B層樹脂溶液を塗工し、初期乾燥及び二次乾燥することもできる。あるいは、A層樹脂溶液を塗工した後に、B層樹脂溶液を塗工し、その後に初期乾燥及び二次乾燥することもできる。この場合、A層樹脂溶液とB層樹脂溶液を同時に塗工することもできる。
【0065】
樹脂溶液の塗工方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、塗工液の粘度を調整した後、ロールコーター、ナイフコーター、ドクターブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなどにより、銅箔に直接または接着剤層を介してポリアミドイミド樹脂を塗布することができる。
【0066】
銅箔上に使用される接着剤としては、特に限定されないが、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエステルウレタン系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、ポリエステルイミド樹脂系などの接着剤が挙げられる。これらのうちでは、耐熱性、接着性、耐屈曲特性等の点から、ポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、またはこれらの樹脂にエポキシ樹脂を配合した接着剤が好ましく、接着剤層の厚みは、1〜30μm程度が好ましい。
【0067】
樹脂溶液の塗布後の乾燥条件は、特に限定されないが、一般的には、樹脂溶液に使用する溶媒の沸点(Tb(℃))より70℃〜130℃低い温度で初期乾燥した後、溶媒の沸点近傍または沸点以上の温度で更に乾燥(二次乾燥)するのが好ましい。初期乾燥温度が(Tb−70)℃より高いと、塗工面に発泡が生じたり、樹脂層の厚み方向での残溶剤のムラが大きくなるため、金属張積層体に反り(カール)が発生する場合があり、これを回路加工したフレキシブルプリント基板の反りも大きくなる。また、乾燥温度が(Tb−130)℃より低いと、乾燥時間が長くなり、生産性が低下する。初期乾燥温度は、溶媒の種類によっても異なるが、一般には60〜150℃程度、好ましくは80〜120℃程度である。初期乾燥に要する時間は、一般には上記温度条件下で、塗膜中の溶媒残存率が5〜40%程度になるのに有効な時間とすればよいが、一般には1〜30分間程度、特に2〜15分間程度である。
【0068】
また、二次乾燥条件も特に限定はなく、溶媒の沸点近傍または沸点以上の温度で乾燥すればよいが、一般には120℃〜400℃、好ましくは200℃〜330℃である。二次乾燥温度が低いと乾燥時間が長くなり、生産性が低下し、高すぎると、樹脂組成によっては劣化反応が進行し、樹脂フィルムが脆くなる場合がある。また、銅箔自体の結晶構造が変化し、機械的特性、パターニング性が悪くなる。二次乾燥に要する時間は、一般には上記温度条件下で、塗膜中の溶媒の残存が無くなるのに有効な時間とすればよいが、一般には数分間〜数十時間程度である。
【0069】
乾燥は、不活性ガス雰囲気下または減圧下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、へリウム、アルゴン等が例示できるが、入手容易な窒素を用いるのが好ましい。また、減圧下で行う場合は、10−5〜10Pa程度、好ましくは10−1〜200Pa程度の圧力下で行うのが好ましい。
【0070】
初期乾燥、二次乾燥ともに従来公知の乾燥方式を採用することができ、例えば、ロールサポート方式やフローティング方式などで行うことができる。また、テンター式などの加熱炉での連続熱処理や、巻き物状態で巻き取り、バッチ式のオーブンで熱処理しても良い。バッチ式の場合、塗布面と非塗布面が接触しない様に巻き取ることが好ましい。また、加熱の方式は、従来公知の電気炉、IRヒーター、遠赤外ヒーター、近赤外ヒーターなどを採用できる。
【0071】
本発明のフレキシブル金属張積層体では、A層とB層の厚みの比(A層/B層)は、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.1〜10、さらにより好ましくは0.2〜5である。厚みの比が上記下限未満では、ピール強度、実装性に劣り、上記上限を超えると視認性、寸法安定性に劣る。
【0072】
ポリアミドイミド樹脂フィルム(A層)の厚みは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μm、最も好ましくは8〜20μmである。また、ポリアミドイミド樹脂フィルム(B層)の厚みは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜50μm、最も好ましくは25〜40μmである。A層及びB層の厚みが上記下限未満では、ピール強度に劣り、また、吸湿寸法変化率が大きくなり、上記上限を超えると、視認性が低下し、更には、屈曲性、耐折特性が低下する傾向がある。
【0073】
本発明のフレキシブル金属張積層体のポリアミドイミド樹脂フィルム層全体の厚みは、広い範囲から選択できるが、一般には絶乾後の厚さで5〜100μm程度、好ましくは10〜50μm程度である。厚みが上記下限よりも小さいと、フィルム強度等の機械的性質やハンドリング性に劣り、一方、厚みが上記上限を超えると、フレキシブル性などの特性や加工性(乾燥性、塗工性)、視認性等が低下する傾向がある。また、本発明のフレキシブル金属張積層体には、必要に応じて、表面処理を施してもよい。例えば、加水分解、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
【0074】
本発明のフレキシブル金属張積層体は、両面に金属箔が形成されるように二つの積層体を貼り合わせることにより、両面フレキシブル金属張積層体を提供することができる。貼り合わせの方法は、接着剤を介して貼り合せてもよく、加熱して貼り合せてもよい。具体的には、ロールラミネート、プレスラミネート、ベルトプレスラミネートなどの従来公知の方式を採用することができる。ラミネート温度は、通常は樹脂(例えばB層の樹脂)のTg以上であり、300℃〜500℃が好ましく、より好ましくは350℃〜450℃、さらに好ましくは380℃〜430℃である。加熱温度が低すぎると、接着性が不十分となり、高すぎると、樹脂の劣化が生じ、機械的特性が低下するおそれがある。ラミネートの時間は、特に限定されないが、通常は10秒〜10時間、好ましくは1分〜1時間、更に好ましくは3分〜30分である。時間が短すぎると、接着性が不十分であり、長すぎると、樹脂層の劣化が生じ、機械的特性が低下するおそれがある。接着剤を介して貼り合わせる場合は、銅箔とA層の積層時に使用できる前述の接着剤を使用することができる。
【0075】
上記の本発明のフレキシブル金属張積層体を用いて、例えばサブトラクティブ法等の方法により、従来公知のプロセスを用いて、フレキシブルプリント基板を製造することができる。導体回路のソルダーレジストを保護する目的で回路表面を被覆する場合は、接着剤を介してポリイミド等の耐熱性フィルムを配線板(導体回路が形成されたベース基板)に貼り合わせる方法や、液状の被覆剤をスクリーン印刷法で配線板に塗布する方法などが採用できる。液状の被覆剤としては、従来公知のエポキシ系やポリイミド系のインクが使用できるが、好ましくはポリイミド系である。また、エポキシ系やポリイミド系等の接着シートを配線板に直接貼りあわせることも可能である。このようにして製造されるフレキシブルプリント基板は、ファインピッチが要求されるような高密度回路板用途、特に、フラットパネルディスプレイ、携帯電話等の液晶モニター用の駆動モジュール等のCOFフィルムキャリアテープ用途において使用することができる。
【0076】
回路の配線パターンは、任意のパターンが形成可能である。特に微細な配線パターンを施した回路においても本発明のフレキシブルプリント基板は高いレベルの性能を示す。具体的には、回路の配線の太さは、50μm以下とすることが可能であり、さらには30μm以下、20μm以下、10μm以下とすることが可能である。配線の間隔は、50μm以下とすることが可能であり、さらには30μm以下、20μm以下、10μm以下とすることが可能である。
【実施例】
【0077】
以下、実施例により本発明の優れた効果を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、実施例における特性値の評価方法は以下の通りである。また、評価に用いた粉末状のポリマーサンプルは、各実施例、比較例で得られた重合ドープを大量のアセトンで再沈殿、精製して作成した。
【0078】
<接着強度>
IPC−FC241(IPC−TM−650,2.4.9(A))に従い、サブトラクティブ法により回路パターンを作成し、引張試験機(商品名「テンシロン引張試験機」、東洋ボールドウィン社製)を用いて回路パターンと樹脂層との接着強度を測定した。
【0079】
<視認性>
視認性は、光線透過率及びヘイズ値を指標として、光線透過率60%以上かつヘイズ25以下である場合に○とし、そうでない場合を×として評価した。
【0080】
光線透過率は、フレキシブル金属張積層体から銅箔を取り除いた樹脂フィルム層に光線を照射し、透過した光の強度を測定した。具体的には、入射光の強度に対する透過光の強度に対する割合を百分率で表した。測定は、島津製作所(株)製UV−3150で行い、波長300〜1200nm、スキャンスピード1600nm/分で測定した。
【0081】
また、ヘイズ値は、同じく樹脂層の散乱光線透過率を全光線透過率で割ったものを百分率で表した。測定は、日本電色工業(株)製NDH2000で行い、JIS−K7136に準拠して測定した。
【0082】
<ポットライフ>
ポットライフは、5℃で3ケ月保存した後の溶液粘度の増加率で評価し、増加率が初期値の1.2倍以内である場合を○とし、それを超える場合を×とした。溶液粘度は、TOKIMEC(株)製のB型粘度計により回転数10rpmで測定した。
【0083】
<パターニング性>
感光性レジストをフレキシブル金属張積層体の銅箔表面に積層し、マスクフィルムにて、露光、焼け付け、現像し、20μmピッチの配線を転写した。次いで、40℃、35%の塩化第二銅溶液を用いて、銅箔をエッチング除去し、回路形成に用いたレジストをアルカリにより除いた。パターニング性は、得られた回路板について、パターンの直線性や銅の根残り等の外観等により判定した。
【0084】
<実装性>
実装性は、フレキシブル金属張積層体から銅箔を取り除いた樹脂層のガラス転移温度(Tg)を評価し、Tgが350℃以上の場合を○とし、350℃未満の場合を×とした。Tgは、TMA(熱機械分析/セイコーエプソン株式会社製)引張荷重法により以下の条件で測定した。
荷重:5g
サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
【0085】
<数平均分子量>
GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフ)により以下の条件で数平均分子量を測定した。
カラム:TSKgel GMHXL×2+TSKgel G2000HXL(TOSOH製)
流速:0.7ml/min
測定温度:40℃
溶媒:0.1%臭化リチウム/DMAc溶液
検量線:分子量は標準PEG換算で計算した。PEG分子量は以下を用いた。

【0086】
<対数粘度>
粉末状のポリマーサンプルを用意し、これをポリマー濃度が0.5g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、その溶液の溶液粘度及び溶媒粘度を30℃でウベローデ型の粘度管により測定して、下記の式で計算した。
対数粘度(dl/g)=[ln(V/V)]/V
式中、Vは測定した溶液粘度を示し、Vは測定した溶媒粘度を示すが、V及びVはポリマー溶液及び溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)が粘度管のキャピラリーを通過する時間から求めた。また、Vはポリマー濃度(g/dl)である。
【0087】
<光沢度>
JIS−Z8741−1997に記載されている鏡面光沢度の測定方法に準拠して、入射角60°で光源を照射し、反射角60°で反射した光の強度を測定した。ここでいう入射角は、光の照射面に対する直角方向を0°としている。
測定機器は日本電色(株)のVG200グロスメータを用いた。
【0088】
<表面粗さ>
JIS−B−0601に準拠して測定した。
【0089】
<反射率(正反射率)>
島津製作所(株)製鏡面反射測定装置(入射角5°用)を用い、角度5°での正反射率を島津製作所(株)製UV−3150で、測定波長300〜1200nm、スキャンスピード1600nm/分で測定した。また、反射率の値は550nmを代表値とした。
【0090】
<ポリアミドイミド樹脂(II)の最大粒径>
ポリアミドイミド樹脂(II)成分の粒状の相の最大サイズは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて25℃の温度下でフィルム切断面を観察することにより測定した。
【0091】
合成例1
反応容器に無水トリメリット酸(TMA)153g(三菱瓦斯化学(株)製)、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)40g(ダイセル化学(株)製)、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)22g(三菱化学(株)製)、O−トリジンジイソシアネート(TODI)264g(日本曹達(株)製)、トリエチレンジアミン6g(ナカライテスク(株)製)、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)720g(三菱化学(株)製)(ポリマー濃度15%)を加え、120℃まで2時間で昇温し、そのまま5時間反応させた。次いで、NMP211g(ポリマー濃度12重量%)を加え、室温まで冷却した。得られた樹脂ワニスは、黄褐色透明でポリマーがNMPに溶解していた。合成例1の樹脂ワニスの樹脂組成、対数粘度、数平均分子量を表1に示す。
【0092】
合成例2
樹脂組成を表1に示す内容に変更した以外は、合成例1と同じ様にして樹脂ワニスを作成した。合成例2の樹脂ワニスの樹脂組成、対数粘度、数平均分子量を表1に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
(比較例1〜4)
表2に示すような銅箔M面特性を持つ厚み12〜15μmの各銅箔のM面にナイフコーターを用いて、脱溶剤後の厚み(A層)が10μmになるように、合成例2で得られた樹脂ワニスをコーティングし、100℃で5分乾燥した。次いで、同様の方法で、脱溶剤後の厚み(B層)が25μmになるように、更に、合成例1の樹脂ワニスをコーティングし、100℃で10分乾燥し、初期乾燥されたフレキシブル金属張積層体を得た。
【0095】
次いで、上記の初期乾燥された積層体を金属製の枠に固定し、真空乾燥機及びイナートオーブンで以下に示す条件で加熱処理した。
減圧乾燥条件:200℃×24hr
(減圧度は、溶剤の揮発により10〜100Paの間で変動した)
窒素下での加熱(流量;20L/分):260℃×10hr
最終的に得られたフレキシブル金属張積層体は、塗膜中の溶剤が完全に除去されており、視認性、ピール強度は表2の通りであった。表2から、鏡面な銅箔を用いることで視認性に優れたフレキシブル金属張積層体を得ることはできるが、ピール強度との両立は困難であることがわかる。
【0096】
【表2】

【0097】
合成例3
反応容器に無水トリメリット酸(TMA)17.29g(90モル%、三菱瓦斯化学(株)製)、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)2.94g(10モル%、三菱化学(株)製)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)21.0g(100モル%、住友バイエルウレタン(株)製)、ジアザビジクロウンデセン1g(サンアプロ(株)製)、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)233.6g(三菱化学(株)製、ポリマー濃度15%)を加え、100℃まで2時間で昇温し、そのまま5時間反応させた。次いで、NMP68.6g(ポリマー濃度12重量%)を加え、室温まで冷却した。得られた樹脂ワニスは、黄褐色透明でポリマーがNMPに溶解していた。
【0098】
(比較例5)
比較例4で用いた銅箔のM面にナイフコーターを用いて、脱溶剤後の厚み(A層)が40μmになるように、合成例3で得られた樹脂ワニスをコーティングし、100℃で10分乾燥し、初期乾燥されたフレキシブル金属張積層体を得た。
【0099】
次いで、上記の初期乾燥された積層体を内径16インチのアルミ缶に塗布面が外側になるように固定し、真空乾燥機及びイナートオーブンで以下に示す条件で加熱処理した。
減圧乾燥条件:200℃×24hr
(減圧度は、溶剤の揮発により10〜100Paの間で変動した)
窒素下での加熱(流量;20L/分):260℃×3hr
最終的に得られたフレキシブル金属張積層体は、塗膜中の溶剤が完全に除去されており、パターニング性が良好であった。しかし、視認性、樹脂ワニスのポットライフ、実装性が悪く、ピール強度も4N/cmと低い値を示した。このことから、A層が一成分のみ(ポリアミドイミド樹脂(I)のみ)またはB層無しの構成の積層体では、本発明の目的を達成できないことがわかる。
【0100】
合成例4
反応容器に無水トリメリット酸(TMA)192g(90モル%、三菱瓦斯化学(株)製)、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)29g(10モル%、三菱化学(株)製)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)210g(100モル%、住友バイエルウレタン(株)製)、ジアザビジクロウンデセン1g(サンアプロ(株)製)、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1944g(三菱化学(株)製、ポリマー濃度15%)を加え、100℃まで2時間で昇温し、そのまま5時間反応させた。次いで、NMP571g(ポリマー濃度12重量%)を加え、室温まで冷却した。得られた樹脂ワニスは、黄褐色透明でポリマーがNMPに溶解していた。合成例4の樹脂ワニスの樹脂組成と対数粘度を表3に示す。
【0101】
合成例5
反応容器に無水トリメリット酸(TMA)144g(三菱瓦斯化学(株)製)、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)64g(ダイセル化学(株)製)、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)15g(三菱化学(株)製)、O−トリジンジイソシアネート(TODI)264g(日本曹達(株)製)、トリエチレンジアミン3g(ナカライテスク(株)製)、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)2300g(三菱化学(株)製、ポリマー濃度15%)を加え、100℃まで2時間で昇温し、そのまま5時間反応させた。次いで、NMP726g(ポリマー濃度12重量%)を加え、室温まで冷却した。得られた樹脂ワニスは、黄褐色透明でポリマーがNMPに溶解していた。合成例5の樹脂ワニスの樹脂組成と対数粘度を表3に示す。合成例5の樹脂ワニスの数平均分子量は24000であった。
【0102】
合成例6
反応容器に無水トリメリット酸(TMA)58g(30モル%、三菱瓦斯化学(株)製)、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)129g(40モル%、ダイセル化学工業(株)製)、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)59g(20モル%、三菱化学(株)製)、ピロメリット酸無水物(PMA)22g(10モル%、ダイセル化学(株))1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)210g(100モル%、住友バイエルウレタン(株)製)、ジアザビシクロウンデセン1g(サンアプロ(株)製)、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(三菱化学(株)製、ポリマー濃度15%)2210g(三菱化学(株)製)(ポリマー濃度15%)を加え、100℃まで2時間で昇温し、そのまま5時間反応させた。次いで、NMP650g(ポリマー濃度12重量%)を加え、室温まで冷却した。得られた樹脂ワニスは、黄褐色透明でポリマーがNMPに溶解していた。合成例6の樹脂ワニスの樹脂組成と対数粘度を表3に示す。
【0103】
合成例7〜9
樹脂組成を表3に示す内容に変更した以外は、合成例6と同じ様にして樹脂ワニスを作成した。合成例7〜9の樹脂ワニスの樹脂組成と対数粘度を表3に示す。
【0104】
合成例10
反応容器に無水トリメリット酸(TMA)19g(10モル%、三菱瓦斯化学(株)製)、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)129g(40モル%、ダイセル化学工業(株)製)、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)59g(20モル%、三菱化学(株)製)、ピロメリット酸無水物(PMA)22g(10モル%、ダイセル化学(株))、テレフタル酸(TPA)17g(20モル%、三菱瓦斯化学(株)製)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)210g(100モル%、住友バイエルウレタン(株)製)、ジアザビシクロウンデセン1g(サンアプロ(株)製)、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)2085g(三菱化学(株)製、ポリマー濃度15%)を加え、100℃まで2時間で昇温し、そのまま5時間反応させた。次いで、NMP613g(ポリマー濃度12重量%)を加え、室温まで冷却した。得られた樹脂ワニスは、黄褐色透明でポリマーがNMPに溶解していた。次いで、合成例5で得られた樹脂ワニスをポリアミドイミド樹脂の固形分100重量部に対し20重量%の比率でブレンドした。合成例10の樹脂ワニスの樹脂組成を表3に示す。
【0105】
【表3】

【0106】
(比較例6)
比較例4で用いた銅箔のM面にナイフコーターを用いて、脱溶剤後の厚み(A層)が25μmになるように、合成例4で得られた樹脂ワニスをコーティングし、100℃で5分乾燥し、初期乾燥されたフレキシブル金属張積層体を得た。
【0107】
次いで、上記の初期乾燥された積層体を内径16インチのアルミ缶に塗布面が外側になるように固定し、真空乾燥機及びイナートオーブンで以下に示す条件で加熱処理した。
減圧乾燥条件:200℃×24hr
(減圧度は、溶剤の揮発により10〜100Paの間で変動した)
窒素下での加熱(流量;20L/分):260℃×3hr
【0108】
次いで、更に同様の方法で脱溶剤後の厚み(B層)が10μmになるように、合成例5で得られた樹脂ワニスをコーティングし、100℃で5分乾燥し、上記の初期乾燥された積層体を内径16インチのアルミ缶に塗布面が外側になるように固定し、真空乾燥機及びイナートオーブンで以下に示す条件で加熱処理した。そして、最終的に表4に示すフレキシブル金属張積層体を得た。
減圧乾燥条件:200℃×24hr
(減圧度は、溶剤の揮発により10〜100Paの間で変動した)
窒素下での加熱(流量;20L/分):260℃×3hr
【0109】
(比較例7〜9)
A層、B層の樹脂ワニス、厚みを表4に示す内容に変更し、また、窒素下での加熱時間を10時間に変更した以外は、比較例6と同じ様にして最終的なフレキシブル金属張積層体を得た。
【0110】
比較例6〜9で得られたフレキシブル金属張積層体の塗膜中の溶剤は完全に除去されており、パターニング性、視認性は良好であり、また、実装性も比較例6を除いて良好であった。しかし、いずれの場合も、A層に用いる樹脂ワニスのポットライフは悪く、ピール強度も低い値を示した。このことから、A層が一成分のみ(ポリアミドイミド樹脂(I)のみ)、または、二成分でもポリアミドイミド樹脂(II)の分子量が低いと本発明の目的を達成できないことがわかる。
【0111】
【表4】

【0112】
合成例11
反応容器に無水トリメリット酸(TMA)58g(30モル%、三菱瓦斯化学(株)製)、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)129g(40モル%、ダイセル化学工業(株)製)、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)59g(20モル%、三菱化学(株)製)、ピロメリット酸無水物(PMA)22g(10モル%、ダイセル化学(株))1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)208g(99モル%、住友バイエルウレタン(株)製)、ジアザビシクロウンデセン1g(サンアプロ(株)製)、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(三菱化学(株)製、ポリマー濃度15%)2210g(三菱化学(株)製)(ポリマー濃度15%)を加え、100℃まで2時間で昇温し、そのまま5時間反応させた。次いで、NMP650g(ポリマー濃度12重量%)を加え、室温まで冷却した。得られた樹脂ワニスは、黄褐色透明でポリマーがNMPに溶解していた。合成例11の樹脂ワニスの樹脂組成、対数粘度、及び数平均分子量を表5に示す。
【0113】
合成例12〜15
樹脂組成を表5に示す内容に変更した以外は、合成例11と同じ様にして樹脂ワニスを作成した。分子量は、酸成分、イソシアネート成分のモル比、反応時間等により、適宜変更して調整した。合成例12〜15の樹脂ワニスの樹脂組成、対数粘度、及び数平均分子量を表5に示す。
【0114】
【表5】

【0115】
(比較例10)
合成例11で得られた樹脂ワニスに合成例14で得られた樹脂ワニスをポリアミドイミド樹脂の固形分100重量部に対し20重量%の比率でブレンドした(ポリアミドイミド樹脂(I)/ポリアミドイミド樹脂(II)(重量%)=80/20)。比較例4で用いた銅箔のM面にナイフコーターを用いて、脱溶剤後の厚さ(A層)が10μmになるように、上記のブレンドした樹脂ワニスをコーティングし、100℃で5分乾燥し、初期乾燥されたフレキシブル金属張積層体を得た。
【0116】
次いで、更に、同様の方法で脱溶剤後の厚さ(B層)が25μmになるように、合成例14で得られた樹脂ワニスをコーティングし、100℃で10分乾燥し、初期乾燥されたフレキシブル金属張積層体を得た。
【0117】
次いで、上記の初期乾燥された積層体を金属製の枠に固定し、真空乾燥機及びイナートオーブンで以下に示す条件で加熱処理した。そして、最終的に表6に示すフレキシブル金属張積層体を得た。
減圧乾燥条件:200℃×24hr
(減圧度は、溶剤の揮発により10〜100Paの間で変動した)
窒素下での加熱(流量;20L/分):260℃×10hr
【0118】
(実施例1〜3)
A層の樹脂ワニスを表6に示す内容に変更した以外は、比較例10と同じ様にしてフレキシブル金属張積層体を得た。ポリアミドイミド樹脂(I)とポリアミドイミド樹脂(II)のブレンド比率(重量%)は、比較例10と同様に80/20とした。
【0119】
比較例10、実施例1〜3で得られたフレキシブル金属張積層体の塗膜中の溶剤は完全に除去されており、パターニング性、視認性、実装性は良好であった。しかし、比較例10のA層に用いる樹脂ワニスのポットライフは悪く、積層体のピール強度も5N/cm弱と低い値を示した。このことから、A層に用いるポリアミドイミド樹脂(I)の分子量が低いと、A層に形成されるポリアミドイミド樹脂(II)成分の粒径が小さく、その結果、ピール強度やポットライフが低下することがわかる。また、ポリアミドイミド樹脂(I)の分子量は高い方が好ましいが、25000以上であれば、本発明の目的を達成できることがわかる。
【0120】
【表6】

【0121】
合成例16〜20
樹脂組成を表7に示す内容に変更した以外は、合成例11と同じ様にして樹脂ワニスを作成した。分子量は、酸成分、イソシアネート成分のモル比、反応時間等により、適宜変更して調整した。合成例16〜20の樹脂ワニスの樹脂組成、対数粘度、及び数平均分子量を表7に示す。
【0122】
【表7】

【0123】
(比較例11、実施例4〜7)
A層の樹脂ワニスを表8に示す内容に変更した以外は、比較例10と同じ様にしてフレキシブル金属張積層体を得た。
【0124】
比較例11、実施例4〜7で得られたフレキシブル金属張積層体の塗膜中の溶剤は完全に除去されており、パターニング性、視認性、実装性は良好であった。しかし、比較例11のA層に用いる樹脂ワニスのポットライフは悪く、積層体のピール強度も5N/cm弱と低い値を示した。このことから、A層に用いるポリアミドイミド樹脂(II)の分子量が低いと、A層に形成されるポリアミドイミド樹脂(II)成分の粒径が小さく、その結果、ピール強度やポットライフが低下することがわかる。また、ポリアミドイミド樹脂(II)の分子量は高い方が好ましいが、25000以上であれば、本発明の目的を達成できることがわかる。
【0125】
【表8】

【0126】
合成例21、22
樹脂組成を表9に示す内容に変更した以外は、合成例11と同じ様にして樹脂ワニスを作成した。分子量は、酸成分、イソシアネート成分のモル比、反応時間等により、適宜変更して調整した。合成例21、22の樹脂ワニスの樹脂組成、対数粘度、及び数平均分子量を表9に示す。
【0127】
【表9】

【0128】
(比較例12、13、実施例8、9)
A層、B層の樹脂ワニスを表10に示す内容に変更した以外は、比較例10と同じ様にしてフレキシブル金属張積層体を得た。なお、A層樹脂は、合成例21と合成例22の樹脂ワニスを表10に示す固形分重量比でブレンドして作成した。
【0129】
比較例12、13、実施例8、9で得られたフレキシブル金属張積層体の塗膜中の溶剤は完全に除去されており、パターニング性、視認性は良好であった。しかし、比較例12、13のA層に用いる樹脂ワニスのポットライフは悪く、積層体のピール強度も5N/cm弱と低い値を示した。また、比較例12は実装性も悪かった。このことから、A層に用いるポリアミドイミド樹脂(I)とポリアミドイミド樹脂(II)の固形分重量比が特定の範囲にないとピール強度やポットライフ、実装性が低下することがわかる。
【0130】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明のフレキシブル金属張積層体は、ファインピッチが要求される高密度回路板用途、特にCOFフィルムキャリアテープ用途で使用できるフレキシブル基板を安価に製造することに寄与することから工業的に多大のメリットがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔上に直接又は接着剤層を介してポリアミドイミド樹脂フィルム(A層)が積層され、さらにその上にポリアミドイミド樹脂フィルム(B層)が積層されたフレキシブル金属張積層体の製造方法であって、下記(i)〜(v)の要件を満たすことを特徴とする方法:
(i)A層が、ナフタレン骨格を有するアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂(I)、及びO−トリジン骨格を有するアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂(II)を含み、ポリアミドイミド樹脂(I)/ポリアミドイミド樹脂(II)の重量比が95〜70/5〜30であること;
(ii)ポリアミドイミド樹脂(I)の数平均分子量が25000〜100000であり、かつ/又はポリアミドイミド樹脂(II)の数平均分子量が25000〜100000であること;
(iii)B層が、O−トリジン骨格を有するアミン成分を含むポリアミドイミド樹脂を含むこと;
(iv)銅箔のA層に面する側の表面粗度が3μm以下であり、光沢度が300以上であり、400nm〜800nmの波長の光における反射率が20%以上であること;及び
(v)方法が、下記工程(イ)〜(ニ)を含むこと:
(イ)A層を構成する樹脂を溶媒に溶解させて調製された樹脂溶液を、銅箔上に直接又は接着剤層を介して塗工して塗膜を形成させる工程;
(ロ)(イ)で形成された塗膜を乾燥する工程;
(ハ)B層を構成する樹脂を溶媒に溶解させて調製された樹脂溶液を、(イ)で形成された塗膜の上に塗工して塗膜を形成させる工程;及び
(ニ)(ハ)で形成された塗膜を乾燥する工程。
【請求項2】
(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の工程の順序で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(ホ)乾燥後の塗膜を熱処理して脱溶剤させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)の工程の順序で行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(イ)、(ロ)、(ホ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)の工程の順序で行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
(ロ)と(ニ)の工程を同時に行い、(イ)、(ハ)、(ロ)及び(ニ)、(ホ)の工程の順序で行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
(イ)と(ハ)の工程を同時に行い、(ロ)と(ニ)の工程を同時に行い、(イ)及び(ハ)、(ロ)及び(ニ)、(ホ)の工程の順序で行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
樹脂溶液の塗工が、ロールコーター、ナイフコーター、ドクターブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、又はリバースコーターにより行われることを特徴とする1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
接着剤が、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエステルウレタン系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、又はポリエステルイミド樹脂系の接着剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
工程(ロ)及び(ニ)の乾燥温度が60〜150℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程(ホ)の熱処理が120〜400℃で行われることを特徴とする請求項3〜10のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−11388(P2012−11388A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208966(P2011−208966)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【分割の表示】特願2011−537090(P2011−537090)の分割
【原出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】