説明

フローティングコネクタ

【課題】本発明は、フローティングコネクタに関し、絶縁体を一体型にして全体を小型化し、コストを低減させることが課題である。
【解決手段】プリント基板2に固着される固定側絶縁体3と、該固定側絶縁体に基部が固定されて併設されるとともに先端部が当該固定側絶縁体から突出している複数のコンタクト4と、前記コンタクトの先端部が固定されているとともに相手側コネクタと嵌合する可動側絶縁体5とで構成され、前記固定側絶縁体3と前記可動側絶縁体5とが、これらの側壁から延設した細幅の揺動連結部7により一体に形成されて、前記固定側絶縁体3に対して前記可動側絶縁体5が揺動自在に支持されているフローティングコネクタ1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手側コネクタと嵌合する可動側ハウジング接続部が嵌合誤差を吸収して嵌合するように揺動自在に支持されてなるフローティングコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フローティングコネクタ10は、図7に示すように、プリント基板に表面実装される固定側絶縁ハウジング11と、揺動自在に支持される可動側絶縁ハウジング12と、前記固定側絶縁ハウジング11にコンタクト基部が圧入されて保持され先端部が前記可動側絶縁ハウジング12に圧入されて揺動自在に支持するように併設された複数のコンタクト13とから構成されている。
【0003】
例えば、受け側コネクタと差し込み側コネクタとから構成され、前記差し込みコネクタ側は、コネクタ本体と、該コネクタ本体から外部に導出されて基板に接続される接続片と、該コネクタ本体の一端部から突出して、その先端に前記受け側コネクタのコンタクト部に接触して導通するコンタクト部を有する複数の端子板と、少なくとも前記端子板のコンタクト部をコネクタ本体から分離して保持する保持部材とを備えてなるフローティングコネクタが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−100501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のフローティングコネクタでは、前記差し込み側コネクタにおいて、コネクタ本体と保持部材との二つの部品がある。よって、部品点数が増えて部品管理の手間が増えることになり、更に、プリント基板への実装面積が増えてしまい、プリント基板の高密度実装の障害となる。本発明に係るフローティングコネクタは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るフローティングコネクタの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、プリント基板に固着される固定側絶縁体と、該固定側絶縁体に基部が固定されて併設されるとともに先端部が当該固定側絶縁体から突出している複数のコンタクトと、前記コンタクトの先端部が固定されているとともに相手側コネクタと嵌合する可動側絶縁体とで構成され、前記固定側絶縁体と前記可動側絶縁体とが、これらの側壁から延設した細幅の揺動連結部により一体に形成されて、前記固定側絶縁体に対して前記可動側絶縁体が揺動自在に支持されていることである。
更に、前記コンタクトは、その基部と先端部とが長手方向に沿って平行にされるとともに、その途中の部分において前記長手方向に沿って押圧する圧入治具の先端部が当接する圧入用の段差が設けられていることを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフローティングコネクタによれば、固定側絶縁体と可動側絶縁体とが、前記揺動連結部により一体に形成されているので、部品点数が減少して部品管理が容易となる。
それにより、前記両絶縁体の大きさも全体としてコンパクトに設計することが可能となり、基板実装面積を小スペースにすることができて、高密度実装に適している。
また、従来ではコンタクトを固定側絶縁体と可動側絶縁体とに別々に圧入していたが、本発明のフローティングコネクタにより、一体になっている前記両絶縁体にコンタクトを一度に圧入することができて、圧入工程とその間の搬送工程との削減となり、製造工期の短縮となる。
前記コンタクトに段差を設けることで、この段部形状に沿って当接するように形成された圧入治具を用意して、前記固定側絶縁体と可動側絶縁体とに、一度で前記コンタクトを圧入することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係るフローティングコネクタ1は、図1乃至図2に示すように、例えば、高密度実装用のプリント基板2に固着される固定側絶縁体3と、該固定側絶縁体3に基部4aが固定されて併設されるとともに先端部4bが当該固定側絶縁体3から突出している複数のコンタクト4と、前記コンタクト4の先端部4bが固定されているとともに相手側コネクタと嵌合する可動側絶縁体5と、前記プリント基板2への実装固定用に設けられ金属製で半田付けされるホールドダウン6とで構成されている。
【0008】
更に、前記固定側絶縁体3と前記可動側絶縁体5とが、これらの側壁、例えば、長手方向の左右端部の側壁で、それぞれの側壁における前端部若しくは後端部から延設した細幅の揺動連結部7により一体に形成されている。
【0009】
前記揺動連結部7a〜7dは、揺動しやすいように細い幅で形成され、前後方向に沿って4箇所に設けられている。互いに対向する左右側壁の前端部若しくは後端部から距離を長くして延設するのは、前記揺動連結部7を少しでも長くすることで揺動しやすくするためである。左右側壁から延設することに限らず、対向する前後側壁から揺動連結部を延設しても良い。また、可能であれば、左右側壁から前後側壁へと延設しても良い。要は、固定側絶縁体3に対して、可動側絶縁体5が上下左右に揺動できる構造であればよい。
【0010】
このようにして、前記固定側絶縁体3に対して前記可動側絶縁体5が、前記揺動連結部7を介して、一体にして且つ揺動自在に支持されているのである。このように、一体にした絶縁体3,5であるので、これに、前記コンタクト4を圧入して固定するには、単に、治具で押圧すれば良いとするものではない。図3に示すように、当該コンタクト4は、板厚も薄く、複雑に屈曲しているので、押圧用端面4cだけを押圧すると、その圧入に伴う抵抗に負けて曲がってしまう。
【0011】
そこで、前記コンタクト4の圧入を確実に遂行できるようにするために、図3乃至図4(A),(B)に示すように、その基部4aと先端部4bとが長手方向に沿って平行にされるとともに、その途中の部分において前記長手方向に沿って押圧する圧入治具8の先端部が当接する圧入用の段差4dが設けられて、オフセットされている。
【0012】
前記コンタクト4の段差4dに対応して、前記圧入治具8にも、図4(A),(B)に示すように、前記コンタクト4の押圧用端面4cと、段差4d及び先端部4aのS字型に屈曲した部分の前端面に当接するように、段差8aが設けられている。この圧入治具8により、前記固定側絶縁体3のコンタクト収納孔及び可動側絶縁体5のコンタクト収納孔に、前記コンタクト4を同時に圧入することが可能となる。なお、前記基部4aの端部はプリント基板2に半田付けされ、前記矩形平板状の先端部4bは、相手側のコネクタにおけるコンタクトが摺接する。
【0013】
また、前記コンタクト4は、前記固定側絶縁体3と前記可動側絶縁体5とが揺動連結部7を介して一体に成形されて、全体がコンパクトになるので、それと同時に当該コンパクト4の前後方向の長さも短くなる。そうすると、前記基部4aと先端部4bとの距離が短くなり、フローティングする際の前記コンタクト4の可動部分の長さが短くなって、その剛性が強くなることで、外力に対しての可動量が減少する。それを避けるために、図4(A),(B)に示すように、前記矩形平板状の先端部4bにおいて、例えば、前後方向に沿った端部の近傍に、スリット4eを設けて、可動部分の長さaを長く確保している。これにより、コンタクト同士を嵌合させる際の揺動時において、コンタクト4の先端部4bが、基部4aに対して上下,左右(板厚方向)方向に容易に揺動できるようになる。
【0014】
本発明に係るフローティングコネクタ1を使用すれば、例えば、図5に示すように、フローティングコネクタ1が雄側コネクタであり、そのコンタクト4がライトアングルタイプ、この実装基板であるプリント基板2に対して、直交した方向のプリント基板9に実装された雌側コネクタ14が、フォーク型コンタクトを備えて嵌合される。前記フローティングコネクタ1の可動側絶縁体5が揺動連結部7により上下・左右に揺動して、嵌合時の位置誤差が吸収されて、プリント基板2,9同士のコネクタがスムーズに嵌合される。
【0015】
また、図6に示すように、プリント基板2,9同士が互いに平行な場合において、前記フローティングコネクタ1は、そのコンタクト4がプリント基板2にストレートに半田付けされている雄側コネクタであり、前記雌側コネクタ14と嵌合時に位置誤差があっても、可動側絶縁体5が、前述と同様に上下・左右に揺動して前記位置誤差を吸収し、スムーズに嵌合する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るフローティングコネクタ1の、正面図(A)、左右側面図(B),(C)、平面図(D)、底面図(E)である。
【図2】同本発明のフローティングコネクタ1の斜視図である。
【図3】同本発明のフローティングコネクタ1のコンタクト圧入の様子を示す説明用の縦断面図である。
【図4】フローティングコネクタ1におけるコンタクト4を圧入用治具8で押し当てて圧入する様子を示す平面図(A)、正面図(B)である。
【図5】同本発明に係るフローティングコネクタ1の使用状態を示す説明図で、ライトアングルタイプのコネクタで、側面側から見た説明図(A)と、正面側から見た説明図(B)とである。
【図6】同本発明に係るフローティングコネクタ1の使用状態を示す説明図で、ストレートタイプのコネクタで、側面側から見た説明図(A)と、正面側から見た説明図(B)とである。
【図7】従来例に係るフローティングコネクタ10の斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 フローティングコネクタ、
2 プリント基板、
3 固定側絶縁体、
4 コンタクト、 4a 基部、
4b 先端部、 4c 押圧用端面、
4d 段差、 4e スリット、
5 可動側絶縁体、
6 ホールドダウン、
7a〜7d 揺動連結部、
8 圧入治具、 8a 段差、
9 プリント基板、
10 従来例に係るフローティングコネクタ。
11 固定側絶縁ハウジング、
12 可動側絶縁ハウジング、
13 コンタクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に固着される固定側絶縁体と、該固定側絶縁体に基部が固定されて併設されるとともに先端部が当該固定側絶縁体から突出している複数のコンタクトと、前記コンタクトの先端部が固定されているとともに相手側コネクタと嵌合する可動側絶縁体とで構成され、
前記固定側絶縁体と前記可動側絶縁体とが、これらの側壁から延設した細幅の揺動連結部により一体に形成されて、前記固定側絶縁体に対して前記可動側絶縁体が揺動自在に支持されていること、
を特徴とするフローティングコネクタ。
【請求項2】
コンタクトは、その基部と先端部とが長手方向に沿って平行にされるとともに、その途中の部分において前記長手方向に沿って押圧する圧入治具の先端部が当接する圧入用の段差が設けられていること、
を特徴とするフローティングコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−265742(P2007−265742A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87748(P2006−87748)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000243342)本多通信工業株式会社 (92)
【Fターム(参考)】