説明

ブレーキ制御装置を有する二輪車両

ブレーキ制御装置を有する二輪車両の場合、このブレーキ制御装置ブレーキ制御装置は、車両速度又はこれから導き出された値、特に車両加速度を能動的に変更又は制限することによって運転者を能動的にアシストする手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置を有する二輪車両に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、運転者が車両のブレーキ及び駆動エンジンを制御する時にその運転者をアシストする二輪車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴によって解決される。
【0004】
本発明の特に好適なその他の構成及び形態は、従属請求項中に記載されている。
【0005】
この課題は、本発明により、ブレーキ制御装置が車両速度又はこれから導き出された値、特に車両加速度を能動的に変更又は制限することによって運転者を能動的にアシストする手段を有することによって解決される。用語「車両速度又はこれから導き出された値を能動的に変更又は制限する」は、車両の停止状態までの制御又は車両の停止状態からの始動を同時に含む。
【0006】
用語「二輪車両」は、ここでは非常に広く理解される。全ての二輪車,特にオートバイ,サイドカー付きの二輪車両,サイドカー付き及びなしのオートバイ又は「トライク」のような1つの前輪及び2つの後輪を有するオート三輪車が、二輪車両に属すると解される。
【0007】
用語「車両加速度」は、本発明の意味では非常に広く理解される。車両加速度は、正の加速度、すなわち車両速度の増大を意味し、しかし他方ではこの用語では負の加速度、すなわち車両速度の低減(車両の減速)と解される。
【0008】
本発明によれば、ブレーキ制御装置が、ブレーキ制御及び/又は駆動エンジン制御に自動的に介入することによって希望する車両速度を調整する車両速度調整器を有することが提唱されている。
【0009】
本発明によれば、ブレーキ制御装置が、ブレーキ制御及び/又は駆動エンジン制御に自動的に介入することによって希望する車両加速度を調整する車両加速度調整器を有することが提唱されている。
【0010】
本発明によれば、希望する車両加速度,実際の車両加速度,実際の駆動エンジントルク及び実際のブレーキ圧力に応じて車両加速度調整器を制御する目的で、前後方向調整器(Longitudinal-Regler) が設けられていることが提唱されている。
【0011】
本発明によれば、運転者を能動的にアシストする手段が、ACCシステム,ICCシステム又はAICCシステムのような走行制御又は車間距離制御をする装置を有することが提唱されている。
【0012】
走行制御又は車間距離制御を装置は、自動ブレーキ介入及び/又は駆動エンジン制御への介入によってプリセットされている車両速度を調整する。走行制御及び車間距離制御は、ACC(Adaptive Cruise Control,車間距離制御)又はICC(Intelligent Cruise Control, インテリジェント車両速度制御)又はAICC(Autonomous Intelligent Cruise Control,自動インテリジェント車両速度制御)の表示で公知である。
【0013】
特定の車両の減速の調整は、運転者の快適さ(アシスタント機能)に加えて特に走行安全性を向上させる(事故を回避する)ために使用される。
【0014】
本発明によれば、運転者を能動的にアシストする手段が、車両始動アシスト及び/又は車両停止アシストをする装置を有することが提唱されている。
【0015】
車両始動アシストに対する装置は、特に運転者アシストシステム又は運転者アシスト機能である。この運転者アシストシステム又はこの運転者アシスト機能の場合、HSA(Hill Start Assist )又はAVH(Hill Start Assist )のような特に車両の停止後のその車両のロールバックが阻止される。
【0016】
これらの装置は、特にサイドカー付きのオートバイ又はオート三輪車(トライク)に対して使用される。この場合、運転者自身が車両を停止状態に保持する必要がない。
【0017】
パーキングブレーキを有する車両の場合、さらにアシスト機能DBF(Dynamic Brake Function)及びDAR(Drive Away Release)が使用可能である。
【0018】
車両保持アシストに対する装置は、特に運転者アシストシステム又は運転者アシスト機能である。この運転者アシストシステム又は運転者アシスト機能の場合、車両の保持は、AVH(Active Vehicle Hold )のように能動的にアシストされる。運転者をアシストする二輪車の場合、例えばパーキングポストからの発車が可能である。このことは、自動的に又は必要に応じて運転者によって、例えば操作装置を操作することによって実施できる。
【0019】
本発明によれば、運転者を能動的にアシストする手段が、停止及び発車のための装置を有することが提唱されている。
【0020】
AVS(Active Vehicle Stop )のような停止及び発車を制御する装置が、運転者に対して快適な自動ブレーキ介入及び/又は都市交通のような停止し発車する交通状況での駆動エンジン制御への介入を可能にする。渋滞時の交通状況に対する特別な制御部もさらに設けられている。これらの装置は、サイドカー付きのオートバイ又はオート三輪車(トライク)に対して使用される。
【0021】
これらの制御は、好ましくは走行制御及び車間距離制御の範囲内の快適機能として提供されている。運転者は、主に車両の操縦だけに集中する必要があるので、これらの制御は、都市交通での運転者の負担を軽くする。特に二輪車両(オートバイ)の場合、運転者が、二輪車両のバランスを確実にとれるように、自動制御が、最小車両速度を下回った時に終了する。したがって二輪車両の転倒が阻止される。
【0022】
本発明によれば、運転者を能動的にアシストする手段が、危険の潜在性に応じてブレーキシステムを自動調整する装置を有することが提唱されている。
【0023】
用語「調整」は、特に車輪ブレーキの前負荷と解される。このことは、ブレーキディスクとブレーキパッドとの間の隙間が埋まるように、ブレーキが僅かで一定な圧力要求によって起動されることを意味する。この前負荷は、危険の潜在性が認識された時に実施される。このことは、緊急ブレーキのような車両の強い減速がより短期間に必要になることを意味する(RAB,Ready Alert Brake )。
【0024】
本発明によれば、運転者を能動的にアシストする手段が、ブレーキシステムのブレーキディスクを自動的に「乾式制動」する装置を有することが提唱されている。
【0025】
用語「乾式制動」は、ブレーキディスク上に存在する液体膜(雨水)がブレーキパッドをブレーキディスクに当接させることによって除去されるように(RBS,Rain Brake Support)、車両ブレーキが僅かで一定な圧力要求によって起動されることを意味する。
【0026】
本発明によれば、運転者を能動的にアシストする手段が、車両の安定性のために車両を自動減速する装置を有することが提唱されている。
【0027】
用語「車両の安定性のために車両を自動減速する」は、特に車両がカーブを走行しかつ非常に大きい車両速度を有することが認識された時に(UCL)、車両がカーブから飛び出さないように車両を制動することと解される。
【0028】
本発明を3つの図面(図1〜図3)に基づいて詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、近くにその他の交通車両がない走行状況を示す。
【0030】
二輪車両1は、前後方向調整器を有するブレーキ制御装置を備える。前後方向加速度要求が、内部又はECU、ここでは例えばACCシステムや停止及び発車の状況に対する走行制御部(停止及び発車システム,S&G)からブレーキ制御装置に供給される。次いでブレーキ制御装置は、加速度要求,実際の加速度,車両の速度又は車道のようなその時の状況に応じてブレーキシステムに対応する圧力要求又はエンジン制御システムに対応するエンジントルクの要求を計算する。車両のブレーキが、ブレーキ圧力調整器によって内部のブレーキ圧力要求を設定して制御される。このブレーキ圧力調整器は、油圧ブレーキ力を増幅する圧力源を調整する。
【0031】
図1によるこの状況では、運転者が希望する車両速度Vをその運転者の関与なしに設定し保持するため、運転者が、ACCシステムの走行制御機能、すなわち自動的な車両速度制御によってアシストされ得る。
【0032】
図2は、近くで先頭を走行している車両2を伴う二輪車両1の走行状況を示す。車両2は、センサ信号3を用いるセンサシステムによって検出される。この状況では、運転者が、車間距離制御機能、すなわち車両2に対する十分な距離Aの自動的な維持によってアシストされ得る。この場合、距離Aを維持するため、車両1の車両速度V1 が自動的に制限される。
【0033】
図3中には、二輪車両1の走行状況が停止及び発車で示されている。この走行状況の場合、先頭を走行している車両3及び後を走行している車両4が近くに存在する。先頭を走行している車両3は、センサ信号3によって検出される。この状況では、車両3に対する十分な距離Aを維持するため、運転者がアシストされる。車両速度Vvar が、ブレーキシステムに対応する圧力要求及び/又はエンジン制御システムに対応するエンジントルクの要求によって最適な距離Aに応じて自動的に調整される。したがってこの機能では、車両1が自動的に加速又は制動され得る。これによって運転者は、その運転者の車両の走行時に一方ではその運転者の負担が軽減され、他方では車両3又は4に対する十分な安全距離の維持が保証される。このことは、追突事故を回避することを助ける。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】近くにその他の交通車両がない走行状況を示す。
【図2】近くで先頭を走行している車両2を伴う二輪車両1の走行状況を示す。
【図3】二輪車両1の走行状況が停止及び発車で示されている。
【符号の説明】
【0035】
1 二輪車両
2 車両
3 センサ信号
4 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ制御装置が車両速度又はこれから導き出された値、特に車両加速度を能動的に変更又は制限することによって運転者を能動的にアシストする手段を有することを特徴とするこのブレーキ制御装置を有する二輪車両。
【請求項2】
ブレーキ制御装置は、ブレーキ制御及び/又は駆動エンジン制御に自動的に介入することによって希望する車両速度を調整する車両速度調整器を有することを特徴とする請求項1に記載の二輪車両。
【請求項3】
ブレーキ制御装置は、ブレーキ制御及び/又は駆動エンジン制御に自動的に介入することによって希望する車両加速度を調整する車両加速度調整器を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の二輪車両。
【請求項4】
希望する車両加速度,実際の車両加速度,実際の駆動エンジントルク及び実際のブレーキ圧力に応じて車両加速度調整器を制御する目的で、前後方向調整器が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二輪車両。
【請求項5】
運転者を能動的にアシストする手段は、ACCシステム,ICCシステム又はAICCシステムのような走行制御又は車間距離制御をする装置を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の二輪車両。
【請求項6】
運転者を能動的にアシストする手段は、車両始動アシスト及び/又は車両停止アシストをする装置を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の二輪車両。
【請求項7】
運転者を能動的にアシストする手段は、停止及び発車制御をする装置を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の二輪車両。
【請求項8】
運転者を能動的にアシストする手段は、危険の潜在性に応じてブレーキシステムを自動調整する装置を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の二輪車両。
【請求項9】
運転者を能動的にアシストする手段は、ブレーキシステムのブレーキディスクを自動的に「乾式制動」する装置を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の二輪車両。
【請求項10】
運転者を能動的にアシストする手段は、車両の安定性のために車両を自動減速する装置を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の二輪車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−531654(P2007−531654A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504405(P2007−504405)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051210
【国際公開番号】WO2005/092659
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(399023800)コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト (162)
【Fターム(参考)】