説明

プラグイン車両

【課題】バッテリのSOCが大きい場合に使用者が誤ってバッテリを充電しないようにする。
【解決手段】プラグイン車両は、バッテリに充電される電力をプラグイン車両の外部の電源からプラグイン車両に伝達する充電ケーブルが接続されるインレット252と、閉じた場合にインレット250を覆うリッド252と、バッテリのSOCに応じて、リッド252の開閉を制限するロック機構260とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグイン車両に関し、特に、車両外部からの電力を伝達する伝達部材が接続される接続部を覆う蓋部の開閉を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動モータの駆動力によって走行するハイブリッド車、電気自動車および燃料電池車などが知られている。これらの車両には、走行用の電力を蓄えるための、バッテリおよびキャパシタなどの蓄電装置が搭載されている。たとえば、エンジンにより駆動される発電機が発電した電力、もしくは回生制動により回生された電力によりバッテリが充電される。
【0003】
ハイブリッド車、電気自動車および燃料電池車の中には、車両の外部の電源から供給された電力によりバッテリを充電することが可能なプラグイン車両がある。プラグイン車両の充電は、たとえば使用者がケーブルを用いてプラグイン車両と外部電源とを接続することにより行なわれる。ところで、バッテリが満充電された状態であるにもかかわらず、使用者はバッテリを充電しようと誤って行動することも考えられる。
【0004】
このような誤操作を防止すべく、特開昭54−95328号公報(特許文献1)に記載されているように、充電完了時において発光ダイオードを点滅させることによって、充電完了を表示することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−95328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発光ダイオードが点滅していることを使用者が見落とした場合、バッテリが満充電であるにもかかわらず、使用者がバッテリを充電しようと使用者が誤って試み得る。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、使用者に無駄な操作を行なわせないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るプラグイン車両は、蓄電装置を搭載したプラグイン車両である。プラグイン車両は、蓄電装置に充電される電力をプラグイン車両の外部の電源からプラグイン車両に伝達する伝達部材が接続される接続部と、閉じた場合に接続部を覆う蓋部と、蓄電装置の残存容量に応じて、蓋部の開閉を制限する制限装置とを備える。
【0009】
この構成によると、蓄電装置の残存容量に応じて、接続部を覆う蓋部の開閉が制限される。これにより、たとえば、蓄電装置の残存容量が大きい場合に、蓋部が開かないように制限することができる。そのため、蓄電装置の残存容量が大きい場合に、接続部に伝達部材を接続できないようにすることができる。よって、蓄電装置の残存容量が大きい場合に、蓄電装置の充電を使用者が試みないようにすることができる。その結果、使用者に無駄な操作を行なわせないようにすることができる。
【0010】
第2の発明に係るプラグイン車両においては、制限装置は、蓄電装置が満充電である状態において蓋部が閉じられると、蓋部を閉じた状態に制限し、蓄電装置の残存容量がしきい値以下になると蓋部の制限を解除する。
【0011】
この構成によると、蓄電装置が満充電にされた後において、蓋部が開かないように制限することができる。そのため、蓄電装置が満充電である場合において、蓄電装置の充電を使用者が試みないようにすることができる。蓄電装置に蓄えられた電力が消費されると、蓋部を開くことが可能になる。よって、接続部に伝達部材を接続し、蓄電装置を充電することができる。
【0012】
第3の発明に係るプラグイン車両においては、制限装置は、蓄電装置の残存容量がしきい値よりも大きい場合に蓋部を閉じた状態に制限する。
【0013】
この構成によると、蓄電装置の残存容量がしきい値よりも大きい場合に、蓋部が開かないように制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プラグイン車両を示す概略構成図である。
【図2】プラグイン車両の電気システムを示す図(その1)である。
【図3】プラグイン車両の電気システムを示す図(その2)である。
【図4】充電ケーブルのコネクタを示す図である。
【図5】インレットのリッドおよびロック機構を示す図である。
【図6】ECUが実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0016】
図1を参照して、プラグイン車両には、エンジン100と、第1MG(Motor Generator)110と、第2MG120と、動力分割機構130と、減速機140と、バッテリ150とが搭載される。本実施の形態におけるプラグイン車両は、エンジン100および電動モータ(第2MG120)を駆動源として搭載したハイブリッド車両のプラグイン車両である。電動モータのみが駆動源として搭載された電気自動車または燃料電池車のプラグイン車両を用いてもよい。
【0017】
エンジン100、第1MG110、第2MG120、バッテリ150は、ECU(Electronic Control Unit)170により制御される。なお、ECU170は複数のECUに分割するようにしてもよい。
【0018】
この車両は、エンジン100および第2MG120のうちの少なくともいずれか一方からの駆動力により走行する。すなわち、エンジン100および第2MG120のうちのいずれか一方もしくは両方が、運転状態に応じて駆動源として自動的に選択される。
【0019】
エンジン100は、内燃機関である。燃料と空気の混合気を燃焼室内で燃焼することによって、出力軸であるクランクシャフトが回転する。エンジン100から排出される排気ガスは、触媒102によって浄化された後、車外に排出される。触媒102は、特定の温度まで暖機されることによって浄化作用を発揮する。触媒102の暖機は、排気ガスの熱を利用して行なわれる。触媒102は、たとえば三元触媒である。
【0020】
エンジン100、第1MG110および第2MG120は、動力分割機構130を介して接続されている。エンジン100が発生する動力は、動力分割機構130により、2経路に分割される。一方は減速機140を介して前輪160を駆動する経路である。もう一方は、第1MG110を駆動させて発電する経路である。
【0021】
第1MG110は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。第1MG110は、動力分割機構130により分割されたエンジン100の動力により発電する。第1MG110により発電された電力は、車両の走行状態や、バッテリ150の残存容量の状態に応じて使い分けられる。たとえば、通常走行時では、第1MG110により発電された電力はそのまま第2MG120を駆動させる電力となる。一方、バッテリ150の残存容量(SOC:State Of Charge)が予め定められた値よりも低い場合、第1MG110により発電された電力は、後述するインバータにより交流から直流に変換される。その後、後述するコンバータにより電圧が調整されてバッテリ150に蓄えられる。
【0022】
第1MG110が発電機として作用している場合、第1MG110は負のトルクを発生している。ここで、負のトルクとは、エンジン100の負荷となるようなトルクをいう。第1MG110が電力の供給を受けてモータとして作用している場合、第1MG110は正のトルクを発生する。ここで、正のトルクとは、エンジン100の負荷とならないようなトルク、すなわち、エンジン100の回転をアシストするようなトルクをいう。なお、第2MG120についても同様である。
【0023】
第2MG120は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。第2MG120は、バッテリ150に蓄えられた電力および第1MG110により発電された電力のうちの少なくともいずれかの電力により駆動する。
【0024】
第2MG120の駆動力は、減速機140を介して前輪160に伝えられる。これにより、第2MG120はエンジン100をアシストしたり、第2MG120からの駆動力により車両を走行させたりする。なお、前輪160の代わりにもしくは加えて後輪を駆動するようにしてもよい。
【0025】
プラグイン車両の回生制動時には、減速機140を介して前輪160により第2MG120が駆動され、第2MG120が発電機として作動する。これにより第2MG120は、制動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとして作動する。第2MG120により発電された電力は、バッテリ150に蓄えられる。
【0026】
動力分割機構130は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車から構成される。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤが自転可能であるように支持する。サンギヤは第1MG110の回転軸に連結される。キャリアはエンジン100のクランクシャフトに連結される。リングギヤは第2MG120の回転軸および減速機140に連結される。
【0027】
エンジン100、第1MG110および第2MG120が、遊星歯車からなる動力分割機構130を介して連結されることで、エンジン100、第1MG110および第2MG
120の回転数は、共線図において直線で結ばれる関係になる。
【0028】
バッテリ150は、複数のバッテリセルを一体化したバッテリモジュールを、さらに複数直列に接続して構成された組電池である。バッテリ150の電圧は、たとえば200V程度である。バッテリ150には、第1MG110および第2MG120の他、車両の外部の電源から供給される電力が充電される。なお、バッテリ150の代わりにもしくは加えてキャパシタを用いるようにしてもよい。
【0029】
図2を参照して、プラグイン車両の電気システムについてさらに説明する。プラグイン車両には、コンバータ200と、第1インバータ210と、第2インバータ220と、SMR(System Main Relay)230と、充電器240と、インレット250とが設けられる。
【0030】
コンバータ200は、リアクトルと、二つのnpn型トランジスタと、二つダイオードとを含む。リアクトルは、各バッテリの正極側に一端が接続され、2つのnpn型トランジスタの接続点に他端が接続される。
【0031】
2つのnpn型トランジスタは、直列に接続される。npn型トランジスタは、ECU170により制御される。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードがそれぞれ接続される。
【0032】
なお、npn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。npn型トランジスタに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
【0033】
バッテリ150から放電された電力を第1MG110もしくは第2MG120に供給する際、電圧がコンバータ200により昇圧される。逆に、第1MG110もしくは第2MG120により発電された電力をバッテリ150に充電する際、電圧がコンバータ200により降圧される。
【0034】
コンバータ200と、各インバータとの間のシステム電圧VHは、電圧センサ180により検出される。電圧センサ180の検出結果は、ECU170に送信される。
【0035】
第1インバータ210は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、第1MG110の各コイルの中性点112とは異なる端部にそれぞれ接続される。
【0036】
第1インバータ210は、バッテリ150から供給される直流電流を交流電流に変換し、第1MG110に供給する。また、第1インバータ210は、第1MG110により発電された交流電流を直流電流に変換する。
【0037】
第2インバータ220は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す
ダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、第2MG120の各コイルの中性点122とは異なる端部にそれぞれ接続される。
【0038】
第2インバータ220は、バッテリ150から供給される直流電流を交流電流に変換し、第2MG120に供給する。また、第2インバータ220は、第2MG120により発電された交流電流を直流電流に変換する。
【0039】
コンバータ200、第1インバータ210および第2インバータ220は、ECU170により制御される。
【0040】
SMR230は、バッテリ150と充電器240との間に設けられる。SMR230は、バッテリ150と電気システムとを接続した状態および遮断した状態を切換えるリレーである。SMR230が開いた状態であると、バッテリ150が電気システムから遮断される。SMR230が閉じた状態であると、バッテリ150が電気システムに接続される。
【0041】
すなわち、SMR230が開いた状態であると、バッテリ150が、コンバータ200および充電器240などから電気的に遮断される。SMR230が閉じた状態であると、バッテリ150が、コンバータ200および充電器240などと電気的に接続される。
【0042】
SMR230の状態は、ECU170により制御される。たとえば、ECU170が起動すると、SMR230が閉じられる。ECU170が停止する際、SMR230が開かれる。
【0043】
充電器240は、バッテリ150とコンバータ200との間に接続される。図3に示すように、充電器240は、AC/DC変換回路242と、DC/AC変換回路244と、絶縁トランス246と、整流回路248とを含む。
【0044】
AC/DC変換回路242は、単相ブリッジ回路から成る。AC/DC変換回路242は、ECU170からの駆動信号に基づいて、交流電力を直流電力に変換する。また、AC/DC変換回路242は、コイルをリアクトルとして用いることにより電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路としても機能する。
【0045】
DC/AC変換回路244は、単相ブリッジ回路から成る。DC/AC変換回路244は、ECU170からの駆動信号に基づいて、直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス246へ出力する。
【0046】
絶縁トランス246は、磁性材から成るコアと、コアに巻回された一次コイルおよび二次コイルを含む。一次コイルおよび二次コイルは、電気的に絶縁されており、それぞれDC/AC変換回路244および整流回路248に接続される。絶縁トランス246は、DC/AC変換回路244から受ける高周波の交流電力を一次コイルおよび二次コイルの巻数比に応じた電圧レベルに変換して整流回路248へ出力する。整流回路248は、絶縁トランス246から出力される交流電力を直流電力に整流する。
【0047】
AC/DC変換回路242とDC/AC変換回路244との間の電圧(平滑コンデンサの端子間電圧)は、電圧センサ182により検出され、検出結果を表わす信号がECU170に入力される。また、充電器240の出力電流は、電流センサ184により検出され、検出結果を表わす信号がECU170に入力される。さらに、充電器240の温度は、温度センサ186により検出され、検出結果を表わす信号がECU170に入力される。
【0048】
ECU170は、車両外部の電源からバッテリ150の充電が行なわれるとき、充電器240を駆動するための駆動信号を生成して充電器240へ出力する。
【0049】
ECU170は、充電器240の制御機能の他、充電器240のフェール検出機能を有する。電圧センサ182により検出される電圧、電流センサ184により検出される電流、温度センサ186により検出される温度などがしきい値以上であると、充電器240のフェールが検出される。
【0050】
インレット250は、たとえばプラグイン車両の側部に設けられる。インレット250には、プラグイン車両と外部の電源402とを連結する充電ケーブル300のコネクタ310が接続される。
【0051】
充電ケーブル300は、バッテリ150に充電される電力をプラグイン車両の外部の電源402からプラグイン車両に伝達する。充電ケーブル300は、コネクタ310と、プラグ320と、CCID(Charging Circuit Interrupt Device)330とを含む。
【0052】
充電ケーブル300のコネクタ310は、プラグイン車両に設けられたインレット250に接続される。コネクタ310には、スイッチ312が設けられる。充電ケーブル300のコネクタ310が、プラグイン車両に設けられたインレット250に接続された状態でスイッチ312が閉じると、充電ケーブル300のコネクタ310が、プラグイン車両に設けられたインレット250に接続された状態であることを表わすコネクタ信号CNCTがECU170に入力される。
【0053】
スイッチ312は、充電ケーブル300のコネクタ310をハイブリッド車のインレット250に係止する係止金具に連動して開閉する。係止金具は、コネクタ310に設けられたボタンを操作者が押すことにより揺動する。
【0054】
たとえば、充電ケーブル300のコネクタ310がハイブリッド車に設けられたインレット250に接続した状態で、操作者が、図4に示すコネクタ310のボタン314から指を離した場合、係止金具316がハイブリッド車に設けられたインレット250に係合するとともに、スイッチ312が閉じる。操作者がボタン314を押すと、係止金具316とインレット250との係合が解除されるとともに、スイッチ312が開く。なお、スイッチ312を開閉する方法はこれに限らない。
【0055】
図3に戻って、充電ケーブル300のプラグ320は、家屋に設けられたコンセント400に接続される。コンセント400には、プラグイン車両の外部の電源402から交流電力が供給される。
【0056】
CCID330は、リレー332およびコントロールパイロット回路334を有する。リレー332が開いた状態では、プラグイン車両の外部の電源402からプラグイン車両へ電力を供給する経路が遮断される。リレー332が閉じた状態では、プラグイン車両の外部の電源402からプラグイン車両へ電力を供給可能になる。リレー332の状態は、充電ケーブル300のコネクタ310がプラグイン車両のインレット250に接続された状態でECU170により制御される。
【0057】
コントロールパイロット回路334は、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400、すなわち外部の電源402に接続され、かつコネクタ310がプラグイン車両に設けられたインレット250に接続された状態において、コントロールパイロット線にパイロット信号(方形波信号)CPLTを送る。パイロット信号は、コントロールパイロット回路334内に設けられた発振器から発振される。
【0058】
コントロールパイロット回路334は、充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に接続されると、コネクタ310がプラグイン車両に設けられたインレット250から外されていても、一定のパイロット信号CPLTを出力し得る。ただし、コネクタ310がプラグイン車両に設けられたインレット250から外された状態で出力されたパイロット信号CPLTを、ECU170は検出できない。
【0059】
充電ケーブル300のプラグ320がコンセント400に接続され、かつコネクタ310がプラグイン車両のインレット250に接続されると、コントロールパイロット回路334は、予め定められたパルス幅(デューティサイクル)のパイロット信号CPLTを発振する。
【0060】
パイロット信号CPLTのパルス幅により、供給可能な電流容量がプラグイン車両に通知される。たとえば、充電ケーブル300の電流容量がプラグイン車両に通知される。パイロット信号CPLTのパルス幅は、外部の電源402の電圧および電流に依存せずに一定である。
【0061】
一方、用いられる充電ケーブルの種類が異なれば、パイロット信号CPLTのパルス幅は異なり得る。すなわち、パイロット信号CPLTのパルス幅は、充電ケーブルの種類毎に定められ得る。
【0062】
本実施の形態においては、充電ケーブル300によりプラグイン車両と外部の電源402とが連結された状態において、外部の電源402から供給された電力がバッテリ150に充電される。バッテリ150の充電時には、SMR230、CCID330内のリレー332が閉じられる。
【0063】
外部の電源402の交流電圧VACは、プラグイン車両の内部に設けられた電圧センサ188により検出される。検出された電圧VACは、ECU170に送信される。
【0064】
図5を参照して、インレット250についてさらに説明する。インレット250は、車体の側面254に設けられた凹部内に配置される。凹部の開口部には、閉じた場合にインレット250を覆うリッド252が設けられる。リッド252は、たとえば使用者により手動で開閉される。リッド252が閉じた状態であるか、開いた状態であるかは、センサ256により検出され、検出結果を表わす信号がECU170に入力される。なお、周知の一般的な技術を用いてリッド252が閉じた状態であるか、開いた状態であるかを検出すればよいため、ここではその詳細な説明は繰返さない。
【0065】
リッド252の開閉は、ロック機構260により制限される。ロック機構260は、バッテリ150のSOCに応じて、リッド252の開閉を制限する。ロック機構260は、たとえば電動アクチュエータによりピン262を摺動することによって、リッド252の開閉を制限する。
【0066】
ピン262がリッド252を係止するように図5において右方向に摺動した場合、リッド252は閉じた状態に制限される。すなわち、リッド252が開かないように制限される。ピン262が図5において左方向に摺動した場合、リッド252の制限が解除される。すなわち、リッド252を開くことが可能になる。なお、ロック機構260の構造はこれに限らない。
【0067】
ロック機構260は、ECU170により制御される。たとえば、バッテリ150のSOCが満充電である状態においてリッド252が閉じられると、リッド252を閉じた状態に制限し、バッテリ150のSCOがしきい値以下になるとリッド252の制限を解除するように制御される。しきい値は、開発者により定められる。
【0068】
バッテリ150のSOCが満充電であるか否かは、たとえばバッテリ150の電圧が予め定められた電圧以上であるか否かにより判断される。その他、周知の技術を利用して、バッテリ150のSOCが満充電であるか否かを判断すればよいため、ここではそれらの詳細な説明は繰返さない。
【0069】
なお、バッテリ150のSOCがしきい値よりも大きい場合にリッド252を閉じた状態に制限し、バッテリ150のSOCがしきい値以下である場合にリッド252の制限を解除するようにしてもよい。
【0070】
図6を参照して、ECU170が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、以下に説明する制御構造はソフトウェアにより実現してもよく、ハードウェアにより実現してもよい。
【0071】
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、ECU170は、インレット250のリッド252が開いているか否かを判断する。インレット250のリッド252が開いていると(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS100に戻される。
【0072】
S102にて、ECU170は、インレット250のリッド252が閉じられたか否かを判断する。インレット250のリッド252が閉じられると(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、処理はS102に戻される。
【0073】
S104にて、ECU170は、バッテリ150が満充電されたか否かを判断する。バッテリ150が満充電されると(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでないと(S104にてNO)、処理はS100に戻される。
【0074】
S106にて、ECU170は、リッド252を閉じた状態に制限するようにロック機構260を制御する。すなわち、リッド252が開かないように制限される。
【0075】
S108にて、ECU170は、バッテリ150のSOCがしきい値以下であるか否かを判断する。バッテリ150のSOCがしきい値以下であると(S108にてYES)、処理はS110に移される。もしそうでないと(S108にてNO)、処理はS108に戻される。
【0076】
S110にて、ECU170は、リッド252の制限を解除するようにロック機構260を制御する。すなわち、リッド252を開くことが可能にされる。
【0077】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、ロック機構260の動作について説明する。
【0078】
インレット250のリッド252が開いていると(S100にてYES)、バッテリ150が外部の電源402により充電されていると考えられる。その後、インレット250のリッド252が閉じられると(S102にてYES)、バッテリ150が満充電されたか否かが判断される(S104)。
【0079】
バッテリ150が満充電された場合(S104にてYES)、リッド252を閉じた状態に制限するようにロック機構260が制御される(S106)。これにより、バッテリ150が満充電された状態である場合に、リッド252が開かないように制限することができる。そのため、インレット250に充電ケーブル300を接続できないようにすることができる。よって、バッテリ150が満充電された状態である場合に、バッテリ150の充電を使用者が試みないようにすることができる。その結果、使用者に無駄な操作を行なわせないようにすることができる。
【0080】
その後、バッテリ150のSOCがしきい値以下になると(S108にてYES)、リッド252の制限を解除するようにロック機構260が制御される(S110)。よって、バッテリ150を充電するために使用者がリッド252を開けることができる。
【0081】
なお、バッテリ150が満充電された状態であっても、たとえば非常スイッチなどを押すことにより、リッド252の制限を強制的に解除するようにしてもよい。
【0082】
バッテリ150が満充電されずにインレット250のリッド252が閉じられた場合(S102にてYES,S104にてNO)、リッド252は閉じた状態に制限されない。そのため、使用者はリッド252を開くことができる。そのため、使用者はバッテリ150の充電を後で再開することができる。
【0083】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
100 エンジン、102 触媒、110 第1MG、120 第2MG、130 動力分割機構、140 減速機、150 バッテリ、152 サブバッテリ、160 前輪、170 ECU、200 コンバータ、210 第1インバータ、220 第2インバータ、230 SMR、240 充電器、242 AC/DC変換回路、244 DC/AC変換回路、246 絶縁トランス、248 整流回路、250 インレット、252 リッド、260 ロック機構、262 ピン、300 充電ケーブル、310 コネクタ、312 スイッチ、314 ボタン、316 係止金具、320 プラグ、332 リレー、334 コントロールパイロット回路、400 コンセント、402 電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を搭載したプラグイン車両であって、
前記蓄電装置に充電される電力を前記プラグイン車両の外部の電源から前記プラグイン車両に伝達する伝達部材が接続される接続部と、
閉じた場合に前記接続部を覆う蓋部と、
前記蓄電装置の残存容量に応じて、前記蓋部の開閉を制限する制限装置とを備える、プラグイン車両。
【請求項2】
前記制限装置は、前記蓄電装置が満充電である状態において前記蓋部が閉じられると、前記蓋部を閉じた状態に制限し、前記蓄電装置の残存容量がしきい値以下になると前記蓋部の制限を解除する、請求項1に記載のプラグイン車両。
【請求項3】
前記制限装置は、前記蓄電装置の残存容量がしきい値よりも大きい場合に前記蓋部を閉じた状態に制限する、請求項1に記載のプラグイン車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−98648(P2011−98648A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254726(P2009−254726)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】