説明

プラスチック材料を押し出す方法

本発明は、特有のスクリュー形状を有する多軸スクリュー押出機を用いて、プラスチック組成物、特にポリマー溶融物およびポリマー溶融物の混合物、とりわけ熱可塑性プラスチックおよびエラストマ、特に好ましくはポリカーボネート、およびポリカーボネート混合物、また、固体、液体、ガス、他のポリマー、または改良された光学的性質を有する他のポリマー混合物などの他の物質を混入して、押し出すプロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特有のスクリュー形状を有する多軸スクリュー押出機を用いて、プラスチック組成物、特にポリマー溶融物およびポリマー溶融物の混合物、とりわけ熱可塑性プラスチックおよびエラストマ、特に好ましくはポリカーボネート、およびポリカーボネート混合物、また、固体、液体、ガス、他のポリマー、または改良された光学的性質を有する他のポリマー混合物などの他の物質を混入して押し出すプロセスに関する。
【0002】
押出(extrusion)は、ポリマーの生産、コンパウンディング(compounding)、および加工において知られているプロセスである。[1]([1]=同方向回転2軸スクリュー押出機、ハンザー出版社(Hanser Verlag),ミュンヘン,2007)で総合的に説明されているように、押出は、ここ及び以下において、同方向に回転する2軸または多軸のスクリュー押出機による物質または物質混合物の処理を意味するために用いられる。
【0003】
押出中のプラスチック組成物の処理は、1以上の動作、例えば、運搬、溶解、分散、混合、液体成分の排除、脱気、および加圧を含む。
【0004】
ポリマーの生産において、押出は、例えば、ポリマー([1]、192頁から212頁)から、モノマーや残存溶媒などの揮発性の成分を取り除き、重付加反応および重縮合反応をさせて、任意にポリマーを溶解および加工して、任意に添加物をポリマーに混合するのに役立つ。
【0005】
ポリマーコンパウンディングの間、押出は、添加物、助剤、補強剤、および色を有するポリマーの混合物を生産し、また、例えば、化学組成、分子量または分子構造が違う様々なポリマー混合物を生産するのにとりわけ使用される(例えば[1]、59頁から93頁参照)。コンパウンディングは、従来と同じように溶解されているプラスチック原料を使用して、フィラー、および/または、補強剤、可塑剤、結合剤、スリップ剤、安定剤、色などをポリマーに加え、組み込み、かつ混合して、ポリマーを完成したプラスチック成形組成物(またはコンパウンド)に加工することを含む。また、コンパウンディングは、例えば空気や水などの揮発性成分の除去をしばしば含んでいる。また、コンパウンディングは、例えばグラフティング(grafting)、官能基の変更、または分子量を意図的に増減することによる分子量変更などの化学反応を含んでいても良い。
【0006】
一般的に知られているように、また、例えば、[1]の169頁から190頁に記載されているように、混合は分配混合と分散混合とに区別される。分配混合は、特定の容量における様々な成分の一様な分配を意味するために用いられる。分配混合は、例えば、類似のポリマーが混合されるときに起こる。分散混合では、固体の粒子、流体液滴または気泡が、まず細分される。細分化は、例えば、ポリマー溶融物と添加物との間の界面における表面張力に打ち勝つために、順次十分な大きさの剪断力を適用することを伴う。混合は、分配混合および分散混合を意味することが、以下で常に理解される。
【0007】
溶融体の運搬および加圧が文献[1]の73頁以降に記載されている。上記溶融体の運搬領域は、1つの加工領域から次の加工領域まで生産物を輸送して、フィラーを引き込むのに役立つ。溶融体の運搬領域は、一般的に、例えば、1つの加工領域から次の加工領域への生産物の輸送中、脱気中および保持領域内で、部分的に満たされている。
【0008】
ポリマー加工の間、ポリマーは、半製品、すぐに使える製品、または部品の各形態に好ましくは変換される。例えば、加工は、射出、押出、フィルム押出、カレンダー加工、またはスピニング加工で生産されうる。また、加工は、例えば加硫などの化学修飾と同様に、ポリマーにフィラー、補助剤、および添加物を混合することを含みうる。
【0009】
当業者が知っているように、ポリマー押出は、2軸または任意で3軸以上のスクリュー押出機で有利に成形される。
【0010】
同方向回転の2軸または任意で多軸のスクリュー押出機、特にそのロータが完全自己拭き取り式であるものは、長い間知られている(ドイツ特許862668号)。完全自己拭き取り形状の原則に基づく押出機は、ポリマーの生産、コンパウンディング、および加工において、多くの異なる用途に用いられてきた。そのような押出機は、良好な混合作用、良好な脱気作用、および良好なポリマー溶融作用を有することが知られている。ポリマー溶融物が表面に付着し、伝統的な加工温度で時間と共に分解することが、完全自己拭き取りスクリューの自己清掃作用によって妨げられるので、上記押出機は、押出機で生産された生産物の品質において利点を提供する。例えば、クレメンス・コールグリューバー(Klemens Kohlgruber)、同方向回転2軸スクリュー押出機,ハンザー出版社(Hanser Verlag),ミュンヘン,2007,96頁以降[1]には、完全自己拭き取りスクリュー形状を製作するための規則が提示されている。1条,2条,および3条ねじ形状のデザインは、[1]に記載されている。
【0011】
スクリュー先端部の領域において特に大きな量のエネルギーが、上記溶融物内に散逸し、それが生産物に局所的に激しい過熱をもたらすことは、当業者に知られている。このことは、例えば、[1]の160頁以降に説明されている。この局所的な過熱は、生産物に対して、例えば、におい、色、化学組成、分子量の変化のような悪影響、またはゲル粒子か細粒のような生産物での非均一性の形成をもたらす。大きい先端角度はこの点で特に有害である。
【0012】
現代の2軸スクリュー押出機は、ビルディング・ブロック方式がある。この方式では、様々なスクリュー要素がコアシャフトに取り付けられうる。このように当業者は、2軸スクリュー押出機を手持ちの特定の作業に適合させうる。1条スクリュー形状は、大きい先端角度による過度に高いエネルギー入力があるため、通例、2条ねじおよび3条ねじ形状を有するスクリュー要素が今日使用されている。
【0013】
先行技術文献[1](例えば、101頁参照)によると、完全な自己拭き取りスクリュー要素の形状は、以下の独立変数である条数Z、中心線距離A、および(完全な自己拭き取り形状の直径DEに対応する)バレル直径によって規定されている。ここで条数は、外面を拭き取る各要素の円弧の数である。回転中心に対して、どのような円弧の角度も、先端角度KW0と呼ばれる。先端角度によって定義された領域では、形状の外半径はバレル半径と等しい。従来技術によると、KW0は、手持ちの作業に適切に調整されうる独立変数ではないが、代わりに式1の結果である。

ここで、KW0は、半径における完全な自己拭き取り形状の先端角度であり、πは、円の円周長さを円の半径に関連づける定数(π=3.14159)である。密接に互いにかみ合う一組の要素の両要素にわたる先端角度の合計SKW0は、必ず、

【0014】
直接自己拭き取りスクリュー形状は2軸スクリュー押出機に直接挿入され得るのではなく、スクリュー要素とバレルとの間および/またはスクリュー要素自体の間に、いくらかのクリアランスがなければならないことを当業者は知っている。当業者は、完全な自己拭き取りスクリューの外形に基づき、実際のスクリュー形状のための形状データを得るため、例えば[1]における例によって記載されているような既知の方法を用いる。[1]の28頁ffは、要素を運搬するための様々な可能性のある戦略が記載されている。上記参考文献に提示されている縦断面オフセットまたは立体的なオフセットが用いられているとき、実際のスクリューの先端角度KWA0は、角度KW0に関して[1]の100頁に例示されているように、より小さくなる。特に、上記スクリュー間の大きなクリアランスは、減少したKWA0につながる。しかしながら、上記スクリュー間の大きなクリアランスは、先端角度を減少させて、不利である。なぜなら、そのことは、スクリューによって与えられる相互の自己清掃効果の量を減少させて、長い滞留時間がスクリュー要素の表面で起こり、局所的な生産物の劣化および生産物の品質の低下につながるからである。また、当業者は、運搬作用および圧力上昇に関連して、クリアランスの拡大がスクリュー要素の有効性を損なうので、どのような加工作業を無事完了するためにも、過度のクリアランスを避けることが必要となることを知っている。
【0015】
したがって、課題は、ポリマーを押し出し、かつ、ゲル化を減らすための自己清掃の質的利点と低温の質的利点とを兼ね備える加工を見つけることであった。
【0016】
上記課題は、特有の形状を有するスクリュー要素が用いられ、密接に互いにかみ合って、同方向に回転して脱気する押出機が使用されることで、驚くほど達成される。
【0017】
したがって、本発明は、二つ一組で同方向に回転し、二つ一組で完全な自己拭き取りをする2条以上のスクリューを有し、同方向に回転して、密接に互いにかみ合う脱気押出機を用いて、プラスチック組成物、特にポリマー溶融物およびポリマー溶融物の混合物、とりわけ熱可塑性プラスチックおよびエラストマ、特に好ましくはポリカーボネートおよびポリカーボネート混合物をコンパウンディングするためのプロセス、また、例えば固体、液体、ガス、または他のポリマー、または他のポリマー混合物などの他の物質を混入するプロセスを与える。そして、本発明は、一組の上記要素の全先端角度の合計(SKW)が、0より大きく次式より小さい範囲で自由に選択できることを特徴としている。

ここでZはスクリュー条数であり、Aは2つのスクリュー要素間の中心線距離であり、DEはスクリュー要素の外径である。本発明に係るスクリュー要素のスラスト面および裏面の形状は、要求通りに個々に設計されうる。また、上記条の形状を定める縁は、要求通りに丸みをつけられ得る。
【0018】
本発明は、ここでは、独立したスクリュー要素およびコアシャフトを有するスクリューからなる現在の伝統的なモジュール構成に限られるものではなく、一体構造のスクリューにも限られない。「スクリュー要素」という用語はまた、一体構造のスクリューを意味するためにも用いられるべきである。
【0019】
本発明に係るスクリュー要素の条数Zは、好ましくは、2,3,4,5,6,7または8、特に好ましくは2から4である。
【0020】
スクリュー形状の外半径は、RE=DE/2であり、内直径はDKであり、内半径は、RK=DK/2である。したがって、A=RE+RKは、常に真である。
【0021】
本発明に係るスクリュー要素の駆動および従動形状である「スクリュー形状」は、互いに接線方向に結合する円弧で構成されている。本発明に係るスクリュー要素の駆動および従動形状は、少なくとも6×Z個の円弧で常に構成されている。
【0022】
円弧の大きさは、その円弧の中心角とその円弧の半径で定義される。円弧の角度という簡略化された用語は、以下では、円弧の中心角を意味するために使用される。円弧の位置は、円弧の中心点の位置を通り、円弧の2つの端点の位置で定義される。
【0023】
本発明に係るスクリュー要素の形状の特徴は、1つ以上の円弧が大きさゼロの半径を有しうるということである。この場合、上記形状は、1つ以上のキンクを有する。
【0024】
2軸スクリュー押出機における第1のスクリューの所定のスクリュー形状(「駆動形状」)は、隣接している第2のスクリューのスクリュー形状(「従動形状」)を明確に作る。したがって、上記2軸スクリュー押出機の第1のスクリューのスクリュー形状は、駆動スクリュー形状として知られている一方、上記2軸スクリュー押出機の隣接している第2のスクリューのスクリュー形状は、従動スクリュー形状として知られている。多軸スクリュー押出機の場合においては、隣接しているスクリューは、常に駆動スクリュー形状と従動スクリュー形状とで交互に構成される。
【0025】
本発明に係るスクリュー形状は、常に閉じられていて凸である。各要素の独立した円弧の角度の合計は、常に2πである。
【0026】
本発明に係るスクリュー要素の特徴は、いずれの場合にも、従動スクリュー形状の円弧が、駆動スクリュー形状の円弧に「対応する」ということである。「対応する」というのは以下を意味する。
・対応する円弧の上記角度が同じ大きさであり、
・対応する円弧の上記半径の合計が上記中心線距離と等しく、
・上記駆動スクリュー形状の上記円弧の中心点と上記円弧の端点との間の接続線の各1つが、上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の中心点と上記円弧の端点との間の接続線の各1つに対して平行に走り、
・上記円弧の上記中心点から始まり、上記駆動スクリュー形状の上記円弧の端点がある方向は、いずれの場合にも、上記従動スクリュー形状の上記円弧の中心点から始まり、上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の端点がある方向に対して逆向きであり、
・上記駆動スクリュー形状の上記円弧の中心点と上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の中心点との間の距離は、上記中心線距離に対応し、
・上記駆動スクリュー形状の上記円弧の中心点と上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の中心点との間の接続線は、上記駆動スクリュー形状の回転点と上記従動スクリュー形状の回転点との間の接続線と平行であり、
・上記駆動スクリュー形状の上記円弧の中心点が上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の中心点と同じであるために移動しなければならない方向は、上記駆動スクリュー形状の上記回転点が上記従動スクリュー形状の上記回転点と同じであるために移動しなければならない方向と同じである。
【0027】
図1は、2つの対応する円弧の例を示している。駆動スクリューの回転中心点はDRであり、従動スクリューの回転中心点はDLである。この図では、円弧1は駆動円弧であり、円弧1’は従動円弧である。
【0028】
本発明に係るスクリュー要素の駆動スクリュー形状は、Z個の円弧を有し、これらの円弧の半径はREと等しく、それらの円弧の中心点は回転中心点(「先端円弧」)と一致する。
【0029】
本発明に係るスクリュー要素の駆動スクリュー形状は、Z個の円弧を有し、これらの円弧の半径はRKと等しく、それらの円弧の中心点は回転中心点(「溝円弧」)と一致する。上記対応する同様の従動スクリュー形状は、Z個の先端円弧とZ個の溝円弧とを有する。
【0030】
本発明に係る駆動スクリュー形状の先端円弧および溝円弧の角度の合計は、0より大きく、

より小さい範囲で自由に選択できる。
【0031】
駆動および従動スクリュー形状の全ての先端円弧の角度の合計は、本発明に係る駆動スクリュー形状の先端角度と溝角度との合計と等しくて、0より大きく、

より小さい。
【0032】
本発明のプロセスにおいて使用されるようなスクリュー要素の1つの好適なデザインにおいて、先端円弧および溝円弧の配置は、上記形状の外面周りに交互にある、すなわち、上記外面周りに、それぞれの先端円弧に続く溝円弧とそれぞれの溝円弧に続く先端円弧があるような配置である。上記従動スクリュー形状のための配置の結果は、必ず、先端円弧および溝円弧の配置は、上記形状の外面周りに交互にある、すなわち、上記外面周りに、それぞれの先端円弧に続く溝円弧とそれぞれの溝円弧に続く先端円弧があるような配置になることである。
【0033】
1つの好適なデザインにおいて、本発明おいて使用されるスクリュー要素は、偶数ZについてπZだけの、上記形状の各回転中心点周りの回転を除いて、両方のスクリュー上で同一の形状を有する。
【0034】
別の好適な実施形態において、本発明おいて使用されるスクリュー要素は、上記形状のそれぞれの回転点に関して点対称であって、鏡面対称ではない。
【0035】
別の好適な実施形態において、本発明おいて使用されるスクリュー要素は、上記先端円弧および上記溝円弧の中央を通る線に関して対称である。そして、条数Zのスクリュー要素は、2×Z個の対称線を有する。
【0036】
上記スクリュー要素は、好ましくは運搬要素として使用される。運搬要素は、(例えば[1],227〜248頁参照)上記スクリュー形状が軸方向に連続して螺旋状に回転して延在しているところに特色があることが知られている。上記運搬要素は、右廻り方向または左廻り方向の条を有していてもよい。上記運搬要素のピッチは、好ましくは、上記中心線距離の0.1倍から10倍の範囲にある。ここで、上記ピッチは、上記スクリュー形状の完全な1回転に必要な軸長を意味するために用いられる。また、運搬要素の軸長は、好ましくは、上記スクリュー直径の0.1倍から10倍の範囲にある。
【0037】
本発明に係るスクリュー要素のスクリュー形状のために、上記スクリュー形状の直径に対して、0.1から0.001、好ましくは0.002から0.05、特に好ましくは0.004から0.02までの範囲にあるクリアランスが用いられる。上記クリアランスは、当業者に知られているように、スクリューとバレルとの間およびスクリューとスクリューとの間で異なるまたは同じ寸法であってもよい。また、上記クリアランスは、一定でもまたは上述した範囲内で可変してもよい。また、上記クリアランス内で、スクリュー形状を変位させることも可能である。所定の、完全自己拭き取りスクリュー形状からクリアランスを有するスクリュー形状を得るための方法は、当業者に知られている。これを達成するための公知の方法は、例えば、[1]の28頁以降に記載された、中心線距離の拡大、縦断面オフセット、および立体的なオフセットの可能性である。これらは全て当業者に知られている。中心線距離拡大の場合、比較的小さな直径のスクリュー形状が構築されは、スクリュー間のクリアランスの量だけ、さらに離して配置される。縦断面オフセット法では、縦断面形状カーブ(それぞれの要素の回転軸に対して平行)は、回転軸の向きに、上記形状カーブに対して垂直に内側へ、上記スクリュー間のクリアランスの半分だけ変位される。3次元オフセット法では、スクリュー要素が互いに掃除する三次元曲線から始めて、上記スクリュー要素は、スクリューとスクリューとの間のクリアランスの半分だけ、完全な自己拭き取り形状の表面に対して直交方向にサイズが縮小される。上記縦断面オフセット法および3次元オフセット法が好ましいが、特に上記3次元オフセット法が好ましい。
【0038】
図2は、従来技術から知られている2条スクリュー要素の形状の断面図を示す。中心線距離は48mm、スクリュー形状の外径は58mm、内径は38mmに対応し、先端角度KW0は、ラジアンで表して0.3788(21.7°に対応)である。全ての先端角度の合計SKW0は、ラジアンで表して1.5152である。
【0039】
図3aおよび図3bは、本発明おいて使用される2条スクリュー要素の、上記駆動スクリュー形状の部分形状Xとそれに対応する上記従動スクリュー形状の部分形状Yとの断面図の一例としてのダイヤグラムを示す。上記部分形状Xは、円弧1,2,3,4,5,および6によって形成されている。上記部分形状Yは、上記部分形状Xのそれぞれの円弧に対応する円弧1’,2’,3’,4’,5’,および6’によって形成されている。上記円弧は、円弧のそれぞれの中心点M1,M2,…,M6およびM1’,M2’,…,M6’および円弧のそれぞれの角度および半径(図3a参照)によって明確に定義されている。
【0040】
本実施例において、上記中心線距離は48mm、スクリュー形状の外径は58mm、内径は38mmである。上記円弧1は、駆動部分形状の先端円弧であるのに対し、円弧6は、溝円弧である。円弧2の半径は0、すなわち、駆動形状は先端円弧においてキンクを有している。
【0041】
図3bにおいて、より分かり易くするために、円弧と中心点の符号を取り除いた。上記部分形状XおよびYは、図3aに示す部分形状と同じである。
【0042】
図4は、図3aおよび3bに示す部分形状が連続した点対称である場合に、図3aまたは図3bに示す点対称のスクリュー形状を有する、本発明において使用されるスクリュー要素の断面図のダイヤグラムを示す。全ての先端角度は、0.17454ラジアン(10°)と同じであって、等しい。一例として、先端角度KWは図面に含まれている。全ての先端角度の合計SKWは0.698ラジアンで、従来技術の要素の半分以下である。これは従来技術より著しい利点である。このスクリュー形状の別の利点は、回転方向が時計回りである場合に、スラスト面がバレルに関して裏側より著しく大きい角度を形成し、部分的に満たされている場合に、これが再び、著しく低いエネルギー入力につながることである。回転方向は等しく逆にすることができて、これによって、先端における伸長増大につながる。
【0043】
図5は、鏡面および点対称のスクリュー形状を有する、本発明において使用されるスクリュー要素の断面図のダイヤグラムを示す。本実施例において、上記中心線距離は48mm、スクリュー形状の外径は58mm、内径は38mmに対応し、それぞれの先端角度は、0.175ラジアン(10°)である。一例として、先端角度KWは図面に含まれている。全ての先端角度の合計SKWは0.69813ラジアンで、従来技術の要素における先端角度の合計の半分以下である。ここで利点は、低いエネルギー散逸である。
【0044】
図9aは、本発明に係る点対称および鏡面対称のスクリュー要素の一例における2つの対応する部分形状X1(駆動スクリュー形状)およびY1(従動スクリュー形状)を示す。上記部分形状X1は、上記円弧1,2,および3によって形成されている。上記部分形状Y1は、上記対応する円弧1’,2’,および3’によって形成されている。回転点の分離は、1に標準化されている。直線FPは円弧3の接線である。表1は、半径、角度、円弧の始点、および円弧の中心点を示す。
【0045】
表1は、図9a,9b,および9cに示す、本発明に係るスクリュー要素の部分形状XおよびYの幾何学的な変数を示す。

【0046】
図9bは、本発明に従う、ミラーリング、外挿、および回転を経て、図9aから得られる完全自己拭き取り形状を示す。この完全自己拭き取りスクリュー形状の先端角度KWは、0.1598ラジアンである。全ての先端角度の合計SKWは、0.3196ラジアンである。先行技術の完全自己拭き取り形状について、先端角度KW0は0.399ラジアンであり、全ての先端角度の合計SKW0は、0.799ラジアンである。
【0047】
図9cは、図9bの完全自己拭き取りスクリュー形状から始まって、上記3次元オフセット法を用いることによって構成された形状を示す。バレルの直径は0.61であり、バレルとスクリューδとの間、スクリューとスクリューsとの間のクリアランスは、いずれの場合でも0.02である。ピッチは、1.2である。
【0048】
この形状の実際の先端角度は、KWA=0.208である。全ての実際の先端角度SKWAは、0.319ラジアンである。
【0049】
図9dは、図9cにおけるのと同一のクリアランスおよび同一のピッチを有する、先行技術に対応する形状を示す。上記形状の実際の先端角度KWA0は0.329ラジアンであり、上記形状の実際の先端角度の合計は0.658である。
【0050】
本発明によって、非常に効率的に押し出されうる一方、生産物の穏やかな処理が同時に確保されるプラスチック組成物は、例えば懸濁液、ペースト、ガラス、セラミック組成物、溶解金属、プラスチック、プラスチック溶融物、ポリマー溶液、エラストマおよびゴム組成物である。
【0051】
プラスチックおよびポリマー溶液が好ましくは使用され、特に好ましくは熱可塑性プラスチックポリマーである。好適な熱可塑性プラスチックポリマーは、好ましくは、一連の、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、特にポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、フッ化ポリマー、特にポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリイミド、ポリアクリレート、特にポリ(メチル)メタクリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、スチレンポリマー、特にポリスチレン、スチレンコポリマー、特にスチレン−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよびポリ塩化ビニルのうちの少なくとも1つである。上述したプラスチックの混合物は、同様に好ましくは使用される。ここで、プラスチックの混合物は、2以上のプラスチックの組み合わせであることが当業者によって理解されている。ポリカーボネートおよびポリカーボネートの混合物に特定の選択物が与えられ、ポリカーボネートが特別よく好まれる。ポリカーボネートは、例えば、界面法または溶融エステル交換法を使用して得られる。
【0052】
さらに好適な供給材料は、ゴムである。好適なゴムは、好ましくは、一連の、スチレン‐ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタン、グタペルカ、アクリレートゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スルフィドゴム、クロロスルホニル−ポリエチレンゴムのうちの少なくとも1つである。上記ゴムの2以上の合成、または1以上のプラスチックを有する1以上のゴムの合成も、もちろん可能である。
【0053】
これらの熱可塑性プラスチックおよびエラストマは、その物質だけか、フィラーおよび補強剤の混合物として、特にグラスファイバーなどや、相互に混合した、または他のポリマーを混合した混合物、または従来のポリマー添加物を混合した混合物として使用されうる。
【0054】
好適な一実施形態において、プラスチック組成物、特にポリマー溶融物、およびポリマー溶融物の混合物は、混合された添加物を有する。これらは、ポリマーとともに固体、液体または溶液として押出機に収容されうる。または、少なくともいくつかの添加物、または全ての添加物が、サイドストリームを経由して押出機に供給される。
【0055】
添加物は多くの異なる特性をポリマーに与えうる。添加物は、例えば、着色剤、顔料、処理補助物、フィラー、酸化防止剤、補強剤、UV吸収および光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物捕捉剤、基礎安定剤、核形成剤、安定剤、または酸化防止剤としてのベンゾフランおよびインドリノンアクティブ、離型剤、難燃剤添加物、帯電防止剤、染料調合剤および溶融安定剤であってもよい。これらの例は、カーボンブラック、グラスファイバー、粘土、雲母、グラファイト繊維、二酸化チタン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、イオン液体および天然繊維である。
【0056】
上記方法が様々なポリマーに使用されるとき、上記利点は、押出プロセスのタイプおよびプラスチック組成物のタイプによって変化する。
【0057】
ポリエチレンおよびポリエチレンコポリマーを押し出すとき、過度に高い温度は、分子量、分岐、および架橋の増加をもたらす。その上、ポリエチレンおよびポリエチレンコポリマーは、当業者に知られている自動酸化サイクルにおいて、大気中の酸素と反応して、強い匂いと、その結果、例えば、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、およびアルコールのような、悪影響を及ぼす低分子量要素を形成する。([2]ヘパール,ジェイ(Hepperle,J.),ポリマーの損傷メカニズム,ポリマーコンパウンディング2002,VDI−K、VDI−出版(VDI−Verlag GmbH)、[3]ツヴァイフェル,エイチ(Zweifel,H),ポリマー材料の安定化,ベルリン,Springer,1997、[4]シュワルツェンバッハ,K他(Schwarzenbach, K. et al.),酸化防止剤、ヅヴァイフェル(Zweifel),H編,プラスチック添加物ハンドブック,ミュンヘン,ハンザー出版社(Hanser)2001、[5]チェン(Cheng),H.N.,Schillingポリエチレンの酸化についての13C核磁気共鳴観測、高分子9(1976)363〜365頁)。
【0058】
ポリエチレンおよび酢酸ビニルに基づくコポリマーを押し出すとき、過度に高い温度は、さらに、強い匂いと腐食性の酢酸の生成をもたらす。
【0059】
ポリプロピレンとポリプロピレンコポリマーを押し出すとき、高温は、分子量の低下をもたらす。その上、ポリプロピレンとポリプロピレンコポリマーは、自動酸化サイクルにおいて、大気中の酸素と反応して、強い匂い、ひいては、例えば、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールのような、悪影響を及ぼす低分子量の成分を形成する。
【0060】
ポリ塩化ビニルを押し出すとき、過度に高い温度は、ポリ塩化ビニル変色と腐食性のガス状塩酸の放出をもたらす。ここで、塩酸は次々に塩酸の更なる放出を促進する。
【0061】
ポリスチレンを押し出すとき、過度に高い温度は、2量体および3量体スチレンと同様に、有害なスチレンの生成をもたらし、分子量の低下と機械的特性の対応する低下を伴う。
【0062】
ポリスチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)を押し出すとき、生産物は、熱応力がかかると黄ばんだ色に変わって、透明性の減少をもたらし、スチレンと同様に、発癌性があるモノマーアクリロニトリルを形成して、分子量の低下と機械的特性の低下を伴う。
【0063】
芳香族ポリカーボネートを押し出すとき、生産物は、特に酸素の作用のため、過度の熱応力がかかると黄ばんだ色に変わって、透明性の減少をもたらし、特に水の作用のため、分子量の低下を示す。また、例えばビスフェノールAなどのモノマーは、高い温度に曝されて解離される。
【0064】
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、またはポリラクチドなどのポリエステルを押し出すとき、過度の温度と水の作用は、分子量の減少と、分子における末端基の置換を示す。これは、特にポリエチレンテレフタレートを再生するとき、問題が多い。ポリエチレンテレフタレートは、高い温度でアセトアルデヒドを排出し、例えば、飲料用容器の中身の風味に変化をもたらしうる。
【0065】
ジエン系ゴム、特にブタジエンゴムで耐衝撃性が改質された熱可塑性プラスチックを押し出すとき、特にポリスチレン(HIPS)および耐衝撃性が改質されたSAN(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ABS)の耐衝撃性改質グレードにおいて、過度の温度は、発癌性のブタジエンおよび毒性のビニルシクロヘキセンの放出をもたらす。さらに、ジエン系ゴムは架橋して、生産物の機械的特性の低下をもたらす。
【0066】
ポリオキシメチレンを押し出すとき、過度の温度は、毒性のホルムアルデヒドの放出をもたらす。
【0067】
ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11、およびポリアミド12などのポリアミドを押し出すとき、過度に高い温度は、生産物の変色、分子量の低下、およびモノマーと2量体の改質をもたらし、したがって、特に水があるとき、機械的特性の低下をもたらす。
【0068】
熱可塑性ポリウレタンを押し出すとき、過度に高い温度は、ウレタン交換反応による分子構造の変化と、水があることで分子量の低下をもたらす。これらの両方が、熱可塑性ポリウレタンの特性に望ましくない影響を及ぼす。
【0069】
ポリメタクリル酸メチルを押し出すとき、メタクリル酸メチルが放出されて、過度の熱応力がかかって分子量が低下し、有害臭および機械的特性の低下をもたらす。
【0070】
ポリフェニレンスルフィドを押し出すとき、過度に高い温度は、硫黄を含む有機および無機のコンパウンドの放出をもたらし、有害臭をもたらして、押出ダイスの腐食につながりうる。また、低分子量のオリゴマーおよびモノマーが形成され、分子量は低下し、したがってポリフェニレンスルフィドの機械的特性を低下させる。
【0071】
ポリフェニルサルホンを押し出すとき、過度に高い温度は、特に水があるときに、有機コンパウンドの放出をもたらす。また、機械的特性の低下をもたらして、分子量は低下する。
【0072】
ポリフェニレンエーテルを押し出すとき、過度に高い温度は、低分子量の有機コンパウンドの放出をもたらす。ここで分子量は低下する。これは生産物の機械的特性の低下をもたらす。
【0073】
例えば、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)および合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、ブロモブチルゴム(BIIR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(NBR)、部分的に水素と化合しているブタジエン−アクリロニトリルゴム(HNBR)、およびエチレンプロピレンジエンコポリマー(EPDM)のようなジエン系ゴムを押し出すとき、過度に高い温度は、架橋によってゲル生成をもたらし、そこから生産された部品の機械的特性の低下につながる。クロロ−およびブロモブチルゴムの場合、高温は、腐食性のガス状塩酸、または臭化水素酸の放出をもたらし、次々にポリマーのさらなる分解を促進する。
【0074】
例えば、硫黄または過酸化物などの加硫剤を含むゴム混合物を押し出すとき、過度に高い温度は、早期加硫をもたらす。これにより、これらのゴムコンパウンドからどのような生産物ももはや生産できない。
【0075】
過度の高温で1以上のポリマー混合物を押し出すとき、個々のポリマーを押し出す不利益が、いずれの場合にも生じる。
【0076】
生産中の脱気ポリマーのサブプロセスが「脱気押出機」で行われる。脱気押出機は、原理上は当業者に知られていて、例えば、[1]に記載されている。「脱気ドーム」は脱気押出機の特徴である。脱気ドームは、発生する蒸気が逃げられる開口を有するバレルである。知られているように、異なる脱気ドームは、生産物の流れが脱気ドーム間で制限されて異なった圧力の間のシールが生成されていれば、異なった圧力で動作されうる。
【0077】
本発明に係るスクリュー要素は、好ましくは部分的に満たされたゾーン、特に好ましくは脱気ゾーンで使用される。
【0078】
本発明に係る脱気押出機は、ポリマーによって想定される形態に依存する様々な態様で生産物が供給されうる。好適な変形例では、押出機は、ポリマーに加えて、溶媒および任意に残留したモノマーを依然として含んでいるかもしれない液相が供給される。ポリマーが反応および任意の予備蒸発後に得られる形態は、当業者に知られている。例えば、
・残留スチレン、ことによるとエチルベンゼン、トルエン、キシレン、ブタノン、または他の溶媒を有するポリスチレン
・残留スチレン、残留アクリロニトリル、ことによるとエチルベンゼン、トルエン、キシレン、ブタノン、または他の溶媒を有するスチレンおよびアクリロニトリルコポリマー
・線形の低密度または高密度のポリエチレン、ヘキサン、工業用ヘキサン、プロパン、イソブタン、およびブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1のようなモノマーなどの溶媒を有する分岐ポリエチレン(懸濁液を含むプロセスは、CXプロセス、三井化学(ヘキサン)、ホスタレン(Hostalen(登録商標))プロセスバゼル(Basell)(ヘキサン)、シェブロンフィリップス米国(Chevron Philips USA)(イソブタン)、ボースター(Borstar(登録商標))プロセス、ボレアリス(Borealis)(プロパン)ベルギー、および溶媒プロセスでヘキサンを使用するDSMである)。この関係の詳細は、[6](各種ポリエチレン生産技術の比較分析、化学及び石油エンジニアリング44巻(Chem.&Petroleum Eng.vol.44)、nos.7−8,2008)に記載されている。
・溶媒を有するポリカーボネート、例えばクロロベンゼンおよびメチレンクロライド
・メタクリル酸メチルを有するモノマー、すなわち、ポリメタクリル酸メチル
がある。
【0079】
好適な変形例では、生産物は、「後方への」脱気を有する液体供給式脱気押出機に供給される。この場合、任意に予熱されたポリマー溶液は、2軸スクリュー押出機に注入され、泡立つ。そして、ガスは、脱気ドームへ2軸スクリュー押出機の条を通って後方へ放出される。そのような後方への脱気は、従来技術であって、例えば[1]の193〜195頁に記載されている。この場合、押出機への入力のとき、溶液中のポリカーボネートの濃縮は、好ましくは、55重量%と95重量%との間、特に好ましくは、65重量%と90重量%との間に達する。
【0080】
液体供給式脱気押出機に生産物を供給するためのさらに好適な変形例は、押出機の入口でのフラッシュ蒸発を含む。フラッシングは、好ましくは、押出機の直上で開始し、部分的に脱気された溶融体が直接スクリューに落ちる。フラッシングから発生する蒸気は、1以上の蒸気ラインによって、分離容器(押出機の上方に同様に配置されている。)から好ましくは排出される。ポリマー溶液の温度は、好ましくは180℃から300℃までの範囲、特に好ましくは200℃と250℃との間にある。フラッシングは、好ましくは0.3バール(絶対圧)と6バール(絶対圧)との間、特に好ましくは0.5バール(絶対圧)と2バール(絶対圧)との間の圧力範囲で動作される。
【0081】
液体が供給された脱気押出機に生産物を供給するためのさらに好適な変形例は、押出機の入口に管式熱交換器(押出機のスクリューの上方に配置されている。)を含み、その結果、管から出てくる部分的に脱気されたポリマー溶液は、スクリューの上に直接滴下できる。分離容器(その中では、蒸気とポリマー溶液とが互いに分離され、少なくとも1つの蒸気出口を有する。)は、付加的に管式熱交換器の出口と押出機のスクリューとの間に配置されている。ポリマー溶液は、降下管蒸発器の上端にある入口を通って導入され、分配板を経由して外部から加熱された複数の管へ供給される。加熱は、好ましくは、凝縮する蒸気、凝縮する有機熱伝導媒体または液体の有機熱伝導媒体によってなされる。溶媒を蒸発させるための熱エネルギーは、チューブの内表面を通してポリカーボネート溶融体へ導入される。結果として、溶媒の一部は蒸発し、気液二相混合物の生成をもたらす。ポリマー溶融体の過熱は、このようにして意図的に避けられる。蒸気状態の溶媒の漏れは、ポリマー溶融体の一定の徹底的な混合および表面更新を引き起こすので、ポリマー溶融体のより効率的な濃縮を確実にする。このようにして、はっきりとより濃縮されたポリカーボネート溶融体を液化押出機に供給し、その結果、カーボネート溶融体の同一、またはより高度な残留脱気が、低いエネルギー入力だけではなく、押出機でのポリカーボネート溶融体の、より短い滞留時間でも達成されうる。管式熱交換器への注入の際、ポリマー溶液の濃縮は、好ましくは50重量%と80重量%との間である。チューブ加熱温度は、240℃から360℃、好ましくは250℃から340℃、さらに特に好ましくは260℃から300℃である。押出機への注入の際のポリマーの濃縮は、80重量%と99重量%との間、好ましくは90重量%と99重量%との間である。分離された容器における圧力は、好ましくは0.3バール(絶対圧)と6バール(絶対圧)との間、特に好ましくは0.5バール(絶対圧)と2バール(絶対圧)との間である。
【0082】
液体供給式脱気押出機に生産物を供給する、さらに好適な変形例は、例えば、欧州特許1740638号において、ポリカーボネートについて記載されているような泡蒸発器を含む。泡蒸発器は、例えば、管式熱交換器または、ダイプレートからなっていてもよい。ポリマー溶融物は、泡蒸発器のオリフィスから出てくるときに泡立ち、残留溶媒は、低い残留内容物にまでなるまで取り除かれる。
【0083】
この泡蒸発器は、好ましくは、押出機のスクリューの上に配置され、管から出てくるポリマー溶液が、スクリューの上に直接滴下しうる。分離容器(その中では、蒸気とポリマー溶液とが互いに分離され、少なくとも1つの蒸気出口を有する。)は、付加的に管式熱交換器の出口と押出機のスクリューとの間に配置されている。
【0084】
ポリカーボネート溶液は、特に好ましくは、ポリマー溶液として使用される。
【0085】
この場合、泡蒸発器への入力の際のポリカーボネート溶液の濃度は、90重量%と99.95重量%との間である。例えば、窒素や二酸化炭素などの発泡剤は、任意にポリカーボネート溶液に加えられる。残留溶媒と一緒の発泡剤の蒸気圧は、0.1から100バール、好ましくは0.5から60バール、特に好ましくは1から40バールである。分離容器における圧力は、ポリマー溶液が、泡蒸発器のオリフィスを通って、0.1ミリバールと20ミリバールとの間の補助の流れに分割される。ポリマー溶液の温度は、250℃と340℃との間である。分離容器における圧力は、好ましくは、0.1ミリバールと20ミリバールとの間である。
【0086】
図6は、本発明に係る脱気押出機を示す。ゾーンAでは、ポリカーボネート溶液は、フラッシュ蒸発管1を通って、押出機内へ導入される。脱気容器2では、蒸気は、ポリカーボネート溶液から分離される。ゾーンC、E、G、J、およびLは脱気ゾーンである。この脱気ゾーンで解放された蒸気は、脱気ドーム3において放出される。ゾーンB、D、F、およびHは、流れ制限ゾーンであり、そこでは、流れ制限要素が、それぞれの隣接しているゾーンの異なる圧力を確立するのを可能にする生産物のプラグを生産する。混和剤は、ゾーンLでより効果的に脱気するためにゾーンKで任意に付加される。ゾーンMで、ポリマーは、添加物を含むサイドストリームに混合され、圧力は、押出機に続く濾過および押し抜き機のために増加する。
【0087】
図7は、本発明に係る、さらなる脱気押出機を示す。ゾーンAでは、ポリカーボネート溶液が縦型予熱器1を通って押出機に導入される。脱気容器2では、蒸気は、ポリカーボネート溶液から分離される。ゾーンC、E、G、J、およびLは脱気ゾーンである。この脱気ゾーンで解放された蒸気は、脱気ドーム3において放出される。ゾーンB、D、F、およびHは、流れ制限ゾーンであり、そこでは、流れ制限要素が、それぞれの隣接しているゾーンの異なる圧力を確立するのを可能にする生産物のプラグを生産する。混和剤は、ゾーンLでより効果的に脱気するためにゾーンKで任意に付加される。ゾーンMで、ポリマーは、添加物を含むサイドストリームに混合され、圧力は、押出機に続く濾過および押し抜き機のために増加する。
【0088】
図8は、入口に泡蒸発器を有する、本発明に係るさらなる脱気押出機を示す。ゾーンAでは、ポリカーボネート溶液が泡蒸発器1を通って押出機に導入される。脱気容器2では、蒸気は、ポリカーボネート溶液から分離される。ゾーンB、D、F、およびHでは、混和剤は、いずれにおいても導入され、分散される。ゾーンC、E、F、G、およびJでは、揮発性の成分がポリマーから分離される。ゾーンKで、ポリマーは、添加物や任意でさらにポリマーを含むサイドストリームに混合され、圧力は、押出機に続く濾過および押し抜き機のために増加する。
【0089】
また、本発明に係る2軸または多軸のスクリュー押出機は、ポリマー生産の間、粒子が供給されうる。この場合、本発明に係る押出機は、とりわけ溶融、変換、および添加物の混合に役立つ。ポリマーが、反応および任意の予備蒸発または沈降の後に得られる形態は、当業者に知られている。例は以下の通りである。
・ポリマーが最終反応後に粉末状で得られるポリプロピレン
・ガス相またはスラリープロセスからの高濃度ポリエチレン
・沈降および任意の乾燥後の、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンのようなエマルジョンポリマー
【0090】
コンパウンディング中、本発明に係る2軸または多軸のスクリュー押出機は、特に脱気を含む作業に適している。容器の材料からリサイクルされたポリエチレンテレフタレートの直接コンパウンディング中、熱応力へ曝されるのが最小となる脱気を備える特定の利点が、ここに達成される。
【0091】
本発明に係るプロセスは、特に好ましくは、生産およびポリカーボネートの合成に使用されることである。ここで、彩色されていないポリカーボネートで黄色度(YI)で測定されるポリカーボネートの色に関して、ここではとりわけ利点がある。本発明に係るスクリュー要素は、脱気ゾーンでここでは特に好ましくは使用される。
【0092】
ポリカーボネートを生産するための、本発明にかかるプロセスに適したジフェノールは、しばしば先行技術文献に記載されている。
【0093】
適切なジフェノ−ルは、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノ−ル、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エ−テル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼン、およびこれらがアルキル化された、環アルキル化された、および環ハロゲン化されたコンパウンドである。
【0094】
好適なジフェノ−ルは、4,4´−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルエタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノ−ルM)、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス−[2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン、および1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノ−ルTMC)である。
【0095】
特に好適なジフェノ−ルは、4,4´−ジヒドロキシジフェニル、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルエタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノ−ルTMC)である。
【0096】
ホモポリカーボネートの場合、1のジフェノ−ルだけが使用され、一方、コポリカーボネートの場合、2以上のジフェノ−ルが使用される。ここで、合成に加えられる他の全ての化学物質および添加物のように、使用されるジフェノールは、可能な限りきれいな原料を使用するのが望ましいが、合成、搬送、および貯蔵に由来する不純物で明らかに汚染されうる。
【0097】
例えば、フェノールかアルキルフェノール、特にフェノール、p−第3級ブチルフェノール、イソ−オクチルフェノール、クミルフェノール、これらのクロロぎ酸エステル、モノカルボン酸の酸塩化物、またはこれらの連鎖停止剤の混合物の分子量を制御するために必要な単官能連鎖停止剤は、ビスフェノレート、ビスフェノレート化合物、またはその代替物を有する反応にも導入されるか、またはあるいは、合成の間、いかなる所望の時刻にも加えられる。これにより、ホスゲンまたはクロロぎ酸末端基が反応混合物の中に存在し、または連鎖停止剤としての酸塩化物およびクロロぎ酸エステルの場合には、形成されているポリマーのその充分なフェノール類末端基を利用できる。しかしながら、好ましくは、連鎖停止剤は、ホスゲン化後に、ホスゲンがもはや存在しない位置または時間に加えられるが、触媒はまだ分配されていない。あるいはまた、触媒は触媒の前に、触媒と一緒に、または同時に分配されうる。
【0098】
分岐剤または分岐剤混合物は、同様の方法で、合成に任意に加えられる。しかしながら、従来は、分岐剤は連鎖停止剤の前に加えられる。一般的に、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸か、ポリフェノールまたは酸塩化物の混合物が使用される。3以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する分岐剤として適切ないくつかのコンパウンドは、例えばフロログルシノ−ル、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル)プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)−フェノ−ル、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)メタンである。
【0099】
いくつかの他の三官能基のコンパウンドは、2,4―ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸塩化物および3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールである。
【0100】
好適な分岐剤は、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールおよび1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)エタンである。
【0101】
ポリカーボネートの界面合成において好適に用いられる触媒は、第三アミン、特にトリエチルアミン、三ブチルアミン、トリオクチルアミン、N−エチルピペリジン、N−メチルピペリジン、N−i/n−プロピルピペリジン、例えばテトラブチルアンモニウム、トリブチルベンジルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムのような第4級アンモニウム塩、塩化物、臭化物、硫酸水素塩、テトラフルオロホウ酸塩、およびアンモニウムコンパウンドに対応するホスホニウムコンパウンドである。これらのコンパウンドは、典型的な界面触媒として文献に記載され、商業的に入手可能であり、当業者になじみがある。触媒は、混合物として、または同時かつ連続的に、また任意にホスゲン化の前に、それぞれ合成物に加えられうる。しかし、オニウムコンパウンドまたはオニウムコンパウンドの混合物が触媒として使用されなければ、触媒はホスゲンの導入後、好ましくは配分される。この場合、ホスゲンが配分される前に、付加が好ましくは行われる。触媒または複数の触媒は、溶媒なしで、または不活性溶媒、好ましくはポリカーボネート合成溶媒か、または水溶液としても配分されてもよい。第3級アミンの場合、酸、好ましくは鉱酸、特に塩化水素酸によるアンモニウム塩として、触媒または複数の触媒は、配分されてもよい。多くの触媒が使用されるか、または触媒の総量が比例配分されるとき、異なる配分方法が、異なる点、または、異なる時間において、もちろん用いられうる。使用される触媒の総量は、導入されたビスフェノールのモルに対して0.001から10モル%、好ましくは0.01から8モル%、特に好ましくは0.05から5モル%である。
【0102】
ポリカーボネート合成は、連続的にまたは断続的に行われうる。したがって、反応は、攪拌槽型反応器、管状反応器、ポンプ循環反応器、若しくは攪拌槽型反応器のカスケード接続、またはそれらの組み合わせにおいて行われてもよい。合成物の混合物の反応が完了するまで、すなわち、ホスゲンまたはクロロぎ酸エステルのいかなる鹸化性の塩素をもはや含まなくなるまで、上述した混合要素を使用することによって、ここでは確実に水相および有機相ができるだけ隔離しないようにしなければならない。
【0103】
ホスゲンの導入後、分岐剤が未だビスフェノール酸塩、連鎖停止剤および触媒と共に配分されていなければ、任意に分岐剤を加える前に、しばらくの時間、完全に有機相および水相を混合するのは有利かもしれない。このような反応後時間は、各配分の後、有利かもしれない。これらの攪拌後時間は、10秒から60分、好ましくは30秒から40分、特に好ましくは1から15分である。
【0104】
有機相は、1つの溶媒または複数の溶媒の混合物からなっていてもよい。適切な溶媒は、塩素化炭化水素(脂肪族および/または芳香族)、好ましくはジクロロメタン、トリクロルエチレン、1,1,1−トリクロエタン、1,1,2−トリクロロエタンおよびクロロベンゼン、およびこれらの混合物である。しかしながら、ベンゼン、トルエン、m/p/o−キシレン、またはアニソールのような芳香族エーテルといった芳香族炭化水素は、単独か、塩素化炭化水素の混合物としてか、または塩素化炭化水素に加えて使用されうる。合成の他の実施形態は、ポリカーボネートを溶解させないが、代わりにポリカーボネートを膨張させるだけの溶媒を用いる。したがって、溶媒と結合したポリカーボネートのための非溶剤を使用することも可能である。水相において可溶性のテトラヒドロフラン、1,3/1,4−ジオキサンまたは、1,3−ジオキソランのような溶媒は、溶媒パートナーが第2の有機相を形成する場合、ここではまた、溶媒として使用されうる。
【0105】
完了するまで反応し、クロロぎ酸エステルを微量(2ppmより少ない)に依然として含む、少なくとも二相性の反応混合物が残されて、相分離を保っている。水性のアルカリ相は、おそらく、完全に、または部分的に、水相としてポリカーボネート合成に戻されるか、あるいは、排水処理のために送られうる。その排水処理において、溶媒およびわずかな触媒が分けられ、再循環される。発展した別の変形例では、一旦、有機不純物、特に溶媒およびポリマー残基が分離され、任意で例えば水酸化ナトリウムの追加によって特定のペーハー値が決められた後、塩は分離され、例えば塩素アルカリ電解に送られうる一方で、水相は任意に合成に戻される。
【0106】
さて、ポリカーボネートを含む有機相は、アルカリ、イオン、または触媒性のいかなる汚染物質の中でも、精製されうる。1以上の沈降プロセス後でさえ、有機相は、微細な液滴および触媒、通例は第3級アミン中の水性のアルカリ相の割合を依然として含んでいる。沈降プロセスは、沈降タンク、撹拌槽型反応器、コアレッサ、セパレータ、またはこれらを組み合わせたものを通過する有機相によって、任意に支援されてもよい。ここで、水は、能動的または受動的な混合要素を使用する特定の状況下で、各々または個々の分離ステップに、任意に配分されうる。
【0107】
アルカリ、水相のこの粗い分離の後、有機相は、希酸、鉱酸、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸および/または、スルホン酸で1回以上洗われる。水性の鉱酸、特に塩化水素酸、亜燐酸およびリン酸、またはこれらの酸の混合物が好まれる。これらの酸の濃度は、0.001から50重量%、好ましくは0.01から5重量%までの範囲にあるべきである。
【0108】
有機相は、脱イオン化された、または蒸留された水で、さらに繰り返し洗われる。個々の洗浄ステップの後、任意に水相の割合で分散された有機相の分離は、沈降タンク、撹拌槽型反応器、コアレッサ、セパレータ、またはそれらの組み合わせによって行われる。ここで、洗浄水は、任意に能動的または受動的な混合要素を使用して洗浄するステップの間に分配されうる。
【0109】
これらの洗浄ステップの間、または洗浄後に、酸は任意に加えられ、ポリマー溶液がベースである溶媒に好ましくは溶解される。ガス化された塩化水素、およびリン酸または亜燐酸が、ここで好ましくは使用され、また、混合物として任意に使用されうる。
【0110】
この精製された溶液は、その後、特有のスクリュー形状を有する液化押出機への次のステップに供給される。
【0111】
本発明に係るプロセスによって得られたポリカーボネートの特性は、従来の添加物および添加された物質(例えば助剤および補強剤)により修正されうる。添加物および添加物質の添加の目的は、耐用年数を伸ばし(例えば加水分解または劣化の安定剤)、色の安定性を改良し(例えば熱および紫外線安定剤)、プロセスを単純化し(例えば離型剤、流れ助剤)、サービス特性を改善し(例えば静電防止剤)、難燃性を改良し、外観に影響を及ぼし(例えば有機着色剤、顔料)、またはポリマー特性を特定の応力に適応させる(強化剤、微細に砕かれた鉱物、繊維状物質、シリカ粉末、ガラス繊維および炭素繊維)ことである。
【0112】
本発明は、本発明の一例を示す図1を用いることにより、以下で更に説明される。
【0113】
ポリマー溶液は、供給ライン1を介して底部が開口した多管式熱交換器2へ供給される。多管式熱交換器は、加熱流体によって加熱される。この加熱流体は、3で供給され、4で排出される。管の端部で、ポリマー溶液は、押出機の直上に配置されている分離容器5に入って減圧される。解放されるガスは、蒸気ライン6を経由して排出される。生産物は、押出機の供給ゾーン7へ直接下降し、封止ゾーン8を経て第1の脱気ゾーン9(脱気ドーム10を有する。)に供給される。それから、更に流れ制限ゾーン8と脱気ゾーン9がある。最後の脱気ドームの前に、混練ゾーン11において、窒素が追加点12を経由して加えられる。それから、添加物と、もし適正であれば溶融したポリマーは、追加点13で加えられて、加圧および混合のために働くゾーン14において、ポリマーの流れと混ぜ合わせられる。
【0114】
以下の例は、例として本発明を示すのに役立ち、限定するものと考えられるべきでない。
【0115】
ポリカーボネートの相対粘度は、ポリマー溶液の粘性と純粋な溶媒の粘性との間の割合として決定される。この相対粘度は、25℃で、溶媒1リットル当たり5gのポリマー濃度を使用するジクロロメタンにおいて、一般的に決定される。
【0116】
[比較例1]
毎時6750gの65%ポリカーボネート溶液が図6の脱気押出機に供給される。フラッシング前の溶液の温度は230℃である。全ゾーンは、従来技術のスクリュー要素を有する。ゾーンAからゾーンLは、2条スクリュー要素を有し、ゾーンMは、3条スクリュー要素を有する。ポリカーボネートの相対粘度は、1.295である。押出機の回転率は、毎分350回転である。入口(ゾーンA)の圧力は、1.4バール(絶対圧)であり、ゾーンC,E,G,JおよびLの圧力は、1バール(絶対圧)から5ミリバール(絶対圧)まで、段階的に下げられる。ゾーンKでは、共沸剤として毎時15キログラムの窒素が加えられ、分散される。
【0117】
液化押出機の下流温度は、398.4℃であり、残留したクロロベンゼンの量は、400ppmより少ない。黄色度インデックスは、1.9である。
【0118】
[発明例2]
毎時6750gの65%ポリカーボネート溶液が図6の脱気押出機に供給される。フラッシング前の溶液の温度は230℃である。ゾーンA,B,C,D,E,F,GおよびMは、従来技術のスクリュー要素を有する。ゾーンJ,KおよびLは、本発明に係るスクリュー要素を有する。ポリカーボネートの相対粘度は、1.295である。押出機の回転率は、毎分350回転である。入口(ゾーンA)の圧力は、1.4バール(絶対圧)であり、ゾーンC,E,G,JおよびLの圧力は、1バール(絶対圧)から5ミリバール(絶対圧)まで、段階的に下げられる。ゾーンKでは、共沸剤として毎時15キログラムの窒素が加えられ、分散される。
【0119】
液化押出機の下流温度は、386.7℃であり、残留したクロロベンゼンの量は、400ppmより少ない。黄色度インデックスは、1.5である。
【0120】
[比較例3]
毎時7500gの65%ポリカーボネート溶液が図7の脱気押出機に供給される。上記溶液は、押出機の入口前の多管式熱交換器1によって予熱される。全ゾーンは、従来技術のスクリュー要素を有する。ゾーンAからゾーンLは、2条スクリュー要素を有し、ゾーンMは、3条スクリュー要素を有する。ポリカーボネートの相対粘度は、1.295である。押出機の回転率は、毎分350回転である。入口(ゾーンA)の圧力は、1.4バール(絶対圧)であり、ゾーンC,E,G,JおよびLの圧力は、1バール(絶対圧)から5ミリバール(絶対圧)まで、段階的に下げられる。ゾーンKでは、共沸剤として毎時15キログラムの窒素が加えられ、分散される。
【0121】
液化押出機の下流温度は、399.2℃であり、残留したクロロベンゼンの量は、400ppmより少なく、黄色度インデックスは、2.2である。
【0122】
[発明例4]
毎時7500gの65%ポリカーボネート溶液が図6の脱気押出機に供給される。フラッシング前の溶液の温度は230℃である。ゾーンA,B,C,D,E,F,GおよびMは、従来技術のスクリュー要素を有する。ゾーンJ,KおよびLは、本発明に係るスクリュー要素を有する。ポリカーボネートの相対粘度は、1.295である。押出機の回転率は、毎分350回転である。入口(ゾーンA)の圧力は、1.4バール(絶対圧)であり、ゾーンC,E,G,JおよびLの圧力は、1バール(絶対圧)から5ミリバール(絶対圧)まで、段階的に下げられる。ゾーンKでは、共沸剤として毎時15キログラムの窒素が加えられ、分散される。
【0123】
液化押出機の下流温度は、388℃であり、残留したクロロベンゼンの量は、400ppmより少なく、黄色度インデックスは、1.7である。
【図1】

【図2】

【図3a】

【図3b】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9a】

【図9b】

【図9c】

【図9d】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ一組で同方向に回転し、二つ一組で完全な自己拭き取りをするスクリューであって、2条以上のスクリュー条数Z、中心線距離Aおよび外直径DEを有するものを備えた多軸スクリュー押出機用スクリュー要素を用いて、プラスチック組成物を押し出すためのプロセスにおいて、
一組の上記要素の先端角度の合計は、ゼロより大きく、

よりも小さいことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、
いずれの場合にも、駆動および従動のスクリュー形状のスクリュー要素の形状は、0以上A以下の大きさの半径を有する6×Z個以上の円弧からなり、
上記円弧は、端点で互いに接線方向に結合することを特徴とするプロセス。
【請求項3】
請求項2に記載のプロセスにおいて、
いずれの場合にも、上記駆動および従動のスクリュー形状の対応する円弧として知られているものの一組の上記スクリュー要素は、
対応する円弧の上記角度が同じ大きさであり、
対応する円弧の上記半径の合計が上記中心線距離と等しく、
上記駆動スクリュー形状の上記円弧の中心点と上記円弧の端点との間の接続線の各1つが、上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の中心点と上記円弧の端点との間の接続線の各1つに対して平行に走り、
上記円弧の上記中心点から始まり、上記駆動スクリュー形状の上記円弧の端点がある方向は、いずれの場合にも、上記従動スクリュー形状の上記円弧の中心点から始まり、上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の端点がある方向に対して逆向きであり、
上記駆動スクリュー形状の上記円弧の中心点と上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の中心点との間の距離は、上記中心線距離に対応し、
上記駆動スクリュー形状の上記円弧の中心点と上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の中心点との間の接続線は、上記駆動スクリュー形状の回転点と上記従動スクリュー形状の回転点との間の接続線と平行であり、
上記駆動スクリュー形状の上記円弧の中心点が上記従動スクリュー形状の上記対応する円弧の中心点と同じであるために移動しなければならない方向は、上記駆動スクリュー形状の上記回転点が上記従動スクリュー形状の上記回転点と同じであるために移動しなければならない方向と同じであることを特徴とするプロセス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記スクリュー要素の形状の少なくとも1つの先端円弧に、半径0を有する次の円弧があることを特徴とするプロセス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記スクリュー要素の形状の少なくとも1つの先端円弧に、半径が0より大きく、上記スクリュー直径の0.1倍より小さい次の円弧があることを特徴とするプロセス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記スクリュー要素の先端円弧および溝円弧は、形状の外周に交互にあることを特徴とするプロセス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記スクリュー要素は、上記スクリュー要素の上記条数に対応する幾つかの対称軸を有することを特徴とするプロセス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記スクリュー要素は、点対称を有するが、鏡面対称を有しないことを特徴とするプロセス。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記スクリュー要素は、運搬要素として構成されていることを特徴とするプロセス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記スクリュー要素は、脱気または運搬ゾーンで使用されることを特徴とするプロセス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記スクリュー形状の上記直径に対して、0.1から0.001までの範囲にあるクリアランスは、スクリュー要素とバレルとの間および/または隣接するスクリュー要素の間にあることを特徴とするプロセス。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
上記プラスチック組成物は、熱可塑性プラスチックまたはエラストマであることを特徴とするプロセス。
【請求項13】
請求項12に記載のプロセスにおいて、
使用される上記熱可塑性プラスチックは、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、特にポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、フッ化ポリマー、特にポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリイミド、ポリアクリレート、特にポリ(メチル)メタクリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、スチレンポリマー、特にポリスチレン、スチレンコポリマー、特にスチレン−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、または上記熱可塑性プラスチックのうちの少なくとも2つの混合物であることを特徴とするプロセス。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスにおいて、
ポリカーボネートまたは他のポリマーを有するポリカーボネートの混合物が、上記熱可塑性プラスチックとして使用されることを特徴とするプロセス。
【請求項15】
請求項14に記載のプロセスにおいて、
上記ポリカーボネートは、相境界法または溶融エステル交換法によって製造されたことを特徴とするプロセス。
【請求項16】
請求項12に記載のプロセスにおいて、
使用される上記エラストマは、スチレン‐ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性プラスチックポリウレタン、グタペルカ、アクリレートゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スルフィドゴム、クロロスルホニル−ポリエチレンゴム、または上記エラストマのうちの少なくとも2つの組合せであることを特徴とするプロセス。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1つに記載のプロセスにおいて、
フィラーか、補強剤か、ポリマー添加物か、有機または無機の顔料か、これらの混合物が、上記ポリマーに混合されることを特徴とするプロセス。

【公表番号】特表2011−524279(P2011−524279A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513903(P2011−513903)
【出願日】平成21年5月30日(2009.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003891
【国際公開番号】WO2009/152948
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】