説明

プラズマ処理装置

【課題】 プラズマ処理の特性を多様に変化させることができるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】
このプラズマ処理装置は、マイクロ波のエネルギーを、処理容器2の上部に配置された誘電体窓16を介して処理容器2内に供給して、ガス供給源100から処理容器2内に供給した処理ガスをプラズマ化して、処理容器2の下部に配置された基板Wをプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、ガス供給源100から供給される処理ガスを、誘電体窓16からの距離が異なる位置に導入する少なくとも第1及び第2のガス導入部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、処理容器に導入された処理ガスをプラズマ化させて基板をプラズマ処理するプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の分野において、プラズマ処理装置が用いられている。特許文献1には、プラズマソースとして平行平板を用いたプラズマエッチング装置が開示されている。
【0003】
近年、プラズマソースの一つとして、ラジアルラインスロットアンテナ(Radial LineSlot Antenna)を使用したプラズマエッチング装置が開発されている(特許文献2参照)。ラジアルラインスロットアンテナを使用したプラズマエッチング装置では、処理容器の誘電体窓の上に多数のスロットを有するスロットアンテナが設置される。スロットアンテナの多数のスロットから放射されたマイクロ波は、誘電体からなる誘電体窓を介して処理容器の処理空間に導入される。処理ガスはマイクロ波のエネルギーによってプラズマ化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−47687号公報
【特許文献2】特開2010−118549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のプラズマ処理装置では、プラズマ処理の特性を多様に変化させることができなかった。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、プラズマ処理の特性を多様に変化させることが可能なプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1のプラズマ処理装置は、マイクロ波のエネルギーを、処理容器の上部に配置された誘電体窓を介して処理容器内に供給して、ガス供給源から前記処理容器内に供給した処理ガスをプラズマ化して、前記処理容器の下部に配置された基板をプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、前記ガス供給源から供給される処理ガスを、前記誘電体窓からの距離が異なる位置に導入する少なくとも第1及び第2のガス導入部を備える、ことを特徴とする。
【0007】
第2のプラズマ処理装置においては、前記ガス供給源は、第1及び第2のガス源を有し、前記第1のガス導入部は、前記誘電体窓直下のプラズマ励起領域側に設けられ、前記第2のガス導入部は、前記基板直上のプラズマ拡散領域側に設けられ、前記プラズマ励起領域は電子温度が前記プラズマ拡散領域よりも高く、前記第1及び第2のガス導入部には、前記第1のガス源からガス供給が行われ、前記第1及び/又は第2のガス導入部には、前記第2のガス源からガス供給が行われ、前記基板におけるプラズマ処理の特性を変化させるよう、前記第1及び第2のガス導入部に供給されるガス量が変化可能とされている、ことを特徴とする。
【0008】
第3のプラズマ処理装置においては、前記第1のガス導入部は、前記誘電体窓の中央部に位置する中央導入口を有する中央導入部であり、前記第2のガス導入部は、前記基板上方の空間の周方向に沿って配列され、前記誘電体窓よりも下方に位置する複数の周辺導入口を有する周辺導入部であることを特徴とする。
【0009】
第4のプラズマ処理装置は、前記第1のガス導入部からガス供給するステップと、前記第2のガス導入部からガス供給するステップと、を所定周期で繰り返す制御を行うことを特徴とする。
【0010】
第5のプラズマ処理装置は、共通ガス源に接続される共通ガスラインと、前記共通ガスラインに設けられ、前記共通ガスラインを、第1及び第2分岐共通ガスラインに分岐し、前記第1及び第2分岐共通ガスラインを流れるガスの流量の比率を調節可能なフロースプリッタと、添加ガス源と前記第1及び第2分岐共通ガスラインの少なくとも一方とを接続する添加ガスラインと、を備え、前記ガス供給源は、前記共通ガス源と、前記添加ガス源とを備えており、前記第1のガス導入部は、前記第1分岐共通ガスラインに接続され、前記基板の中央部の上方に位置する中央導入口を有する中央導入部であり、前記第2のガス導入部は、前記第2分岐共通ガスラインに接続され、前記基板上方の空間の周方向に沿って配列され、前記誘電体窓よりも下方に位置する複数の周辺導入口を有する周辺導入部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプラズマ処理装置によれば、プラズマ処理の特性を多様に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態におけるプラズマ処理装置の縦断面図である。
【図2】ガス供給源の詳細構造を示すブロック図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】スロット板近傍の構造の分解斜視図である。
【図5】スロット板の平面図である。
【図6】誘電体窓の平面図である。
【図7】スロット板と誘電体窓を組み合わせたアンテナの平面図である。
【図8】誘電体窓の断面図である。
【図9】別のスロット板の平面図である。
【図10】別の誘電体窓の平面図である。
【図11】位置X(mm)と電子濃度Ne(/cm)との関係を示すグラフである。
【図12】位置(mm)とエッチングレートER(nm/min)の関係を示すグラフである。
【図13】位置(mm)とエッチングレートER(nm/min)の関係を示すグラフである。
【図14】スロット及び凹部近傍の斜視図(a)及び断面図(b)である。
【図15】スロットと凹部の位置関係を示す図である。
【図16】改良された中央導入部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面に基づいて本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本明細書及び図面において実質的に同一の構成要素については同一の符号を付す。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態におけるプラズマ処理装置の縦断面図である。
【0015】
プラズマ処理装置1は、円筒形状の処理容器2を備える。処理容器2の天井部は誘電体からなる誘電体窓(天板)16で塞がれる。処理容器2は、例えばアルミニウムからなり、電気的に接地される。処理容器2の内壁面は、アルミナなどの絶縁性の保護膜2fで被覆されている。
【0016】
処理容器2の下部である底部の中央には、基板としての半導体ウェハ(以下ウェハという)Wを載置するための台3が設けられる。台3の上面にウェハWが保持される。台3は、例えばアルミナや窒化アルミナ等のセラミック材からなる。台3の内部には、ヒータ5が埋め込まれ、ウェハWを所定温度に加熱できるようになっている。ヒータ5は、支柱内に配された配線を介してヒータ電源4に接続される。
【0017】
台3の上面には、台3に載置されるウェハWを静電吸着する静電チャックCKが設けられる。静電チャックCKには、整合器MGを介してバイアス用の直流或いは高周波電力を印加するバイアス用電源BVが接続される。
【0018】
処理容器2の底部には、台3に載置されるウェハWの表面よりも下方の排気口11aから処理ガスを排気する排気管11が設けられる。排気管11には、圧力制御弁PCVを介して、真空ポンプなどの排気装置10が接続される。排気装置10は、圧力制御弁PCVを介して、処理容器2の内部に連通している。圧力制御弁PCV及び排気装置10によって、処理容器2内の圧力が所定の圧力に調節される。
【0019】
処理容器2の天井部には気密性を確保するためのOリングなどのシール15を介して誘電体窓16が設けられる。誘電体窓16は、例えば、石英、アルミナ(Al)、あるいは窒化アルミニウム(AlN)などの誘電体からなり、マイクロ波に対して透過性を有する。
【0020】
誘電体窓16の上面には、円板形状のスロット板20が設けられる。スロット板20は、導電性を有する材質、例えばAg,Au等でメッキやコーティングされた銅からなる。スロット板20には、例えば複数のT字形状やL文形状のスロット21が同心円状に配列されている。
【0021】
スロット板20の上面には、マイクロ波の波長を圧縮するための誘電体板25が配置される。誘電体板25は、例えば、石英(SiO)、アルミナ(Al)、あるいは窒化アルミニウム(AlN)などの誘電体からなる。誘電体板25は導電性のカバー26で覆われる。カバー26には円環状の熱媒流路27が設けられる。この熱媒流路27を流れる熱媒によってカバー26及び誘電体板25が所定の温度に調節される。2.45GHzの波長のマイクロ波を例にとると、真空中の波長は約12cmであり、アルミナ製の誘電体窓16中での波長は約3〜4cmとなる。
【0022】
カバー26の中央には、マイクロ波を伝播する同軸導波管30が接続される。同軸導波管30は、内側導体31と外側導体32から構成される、内側導体31は、誘電体板25の中央を貫通してスロット板20の中央に接続される。
【0023】
同軸導波管30には、モード変換器37及び矩形導波管36を介してマイクロ波発生器35が接続される。マイクロ波は、2.45GHzの他、860MHz,915MHzや8.35GHzなどのマイクロ波を用いることができる。
【0024】
マイクロ波発生器35が発生したマイクロ波は、マイクロ波導入路としての、矩形導波管36、モード変換器37、同軸導波管30、及び誘電体板25に伝播する。誘電体板25に伝播したマイクロ波はスロット板20の多数のスロット21から誘電体窓16を介して処理容器2内に供給される。マイクロ波によって誘電体窓16の下方に電界が形成され、処理容器2内の処理ガスがプラズマ化する。
【0025】
スロット板20に接続される内側導体31の下端は円錐台形状に形成される。これにより、同軸導波管30から誘電体板25及びスロット板20にマイクロ波が効率よく損失なく伝播される。
【0026】
ラジアルラインスロットアンテナによって生成されたマイクロ波プラズマの特徴は、誘電体窓16直下(プラズマ励起領域と呼ばれる)で生成された比較的電子温度の高いエネルギーのプラズマが拡散し、ウェハW直上(拡散プラズマ領域)では約1〜2eV程度の低い電子温度のプラズマとなることにある。すなわち、平行平板等のプラズマとは異なり、プラズマの電子温度の分布が誘電体窓16からの距離の関数として明確に生ずることに特徴がある。より詳細には、誘電体窓16直下での数eV〜約10eVの電子温度が、ウェハW上では約1〜2eV程度に減衰する。ウェハWの処理はプラズマの電子温度の低い領域(拡散プラズマ領域)で行なわれるため、ウェハWへリセス等の大きなダメージを与えることがない。プラズマの電子温度の高い領域(プラズマ励起領域)へ処理ガスが供給されると、処理ガスは容易に励起され、解離される。一方、プラズマの電子温度の低い領域(プラズマ拡散領域)へ処理ガスが供給されると、プラズマ励起領域近傍へ供給された場合に比べ、解離の程度は抑えられる。
【0027】
処理容器2の天井部の誘電体窓16中央には、ウェハWの中心部に処理ガスを導入する中央導入部55が設けられる。同軸導波管30の内側導体31には、処理ガスの供給路52が形成される。中央導入部55は供給路52に接続される。
【0028】
中央導入部55は、誘電体窓16の中央に設けられた円筒形状の空間部43(図8参照)に嵌め込まれる円柱形状のブロック57と、同軸導波管30の内側導体31の下面とブロック57の上面との間に適当な間隔を持って空けられたガス溜め部60と、先端部にガス噴出用の開口59を有する円柱状空間が連続したテーパ状の空間部143a(図8参照)から構成される。ブロック57は、例えばアルミニウムなどの導電性材料からなり、電気的に接地されている。ブロック57には上下方向に貫通する複数の中央導入口58(図3参照)が形成される。
【0029】
図3では、中央導入口58が観察できるように、ガス噴出用の開口59を実際よりも大きく示してある。なお、空間部143aの形状は、テーパ状に限られるものではなく、単なる円柱形状でもよく、この場合には、ガス噴出用の開口59の寸法は図3のように大きくなる。中央導入口58の平面形状は、必要なコンダクタンス等を考慮して真円又は長孔に形成される。アルミニウム製のブロック57は、陽極酸化被膜アルミナ(Al)、イットリア(Y)等でコーティングされる。
【0030】
内側導体31を貫通する供給路52からガス溜め部60に供給された処理ガスは、ガス溜め部60内を拡散した後、ブロック57の複数の中央導入口58から下方にかつウェハWの中心部に向かって噴射される。
【0031】
処理容器2の内部には、ウェハWの上方の周辺を囲むように、ウェハWの周辺部に処理ガスを供給するリング形状の周辺導入部61が配置される。周辺導入部61は、天井部に配置される中央導入口58よりも下方であって、かつ台3に載置されたウェハWよりも上方に配置される。周辺導入部61は中空のパイプを環状にしたものであり、その内周側には周方向に一定の間隔を空けて複数の周辺導入口62が空けられる。周辺導入口62は、周辺導入部61の中心に向かって処理ガスを噴射する。周辺導入部61は、例えば、石英からなる。処理容器2の側面には、ステンレス製の供給路53が貫通する。供給路53は周辺導入部61に接続される。供給路53から周辺導入部61の内部に供給された処理ガスは、周辺導入部61の内部の空間を拡散した後、複数の周辺導入口62から周辺導入部61の内側に向かって噴射される。複数の周辺導入口62から噴射された処理ガスはウェハWの周辺上部に供給される。なお、リング形状の周辺導入部61を設ける替わりに、処理容器2の内側面に複数の周辺導入口62を形成してもよい。
【0032】
図2は、ガス供給源の詳細構造を示すブロック図である。
【0033】
処理容器2内に処理ガスを供給するガス供給源100は、共通ガス源41及び添加ガス源42から構成される。共通ガス源41及び添加ガス源42は、プラズマエッチング処理、プラズマCVD処理に応じた処理ガスを供給する。
【0034】
共通ガス源41には共通ガスライン45が接続されており、共通ガスライン45はフロースプリッタ44に接続されている。フロースプリッタ44は、共通ガスライン45に設けられ、共通ガスライン45を、第1及び第2分岐共通ガスライン46,47に分岐する。フロースプリッタ44は、第1及び第2分岐共通ガスライン46,47を流れるガスの流量の比率を調節可能である。ここで、第1分岐共通ガスライン46は、供給路52を介して中央導入部55(図1参照)に接続されており、中央導入部55に中央導入ガスGcを供給する。また、第2分岐共通ガスライン47は、供給路53を介して周辺導入部61(図1参照)に接続されており、周辺導入部61に周辺導入ガスGpを供給する。
【0035】
添加ガス源42は、添加ガスライン48を介して、第2分岐共通ガスライン47に接続されている。なお、添加ガス源42は、添加ガスライン48’を介して、第1分岐共通ガスライン46に接続することもできる。また、添加ガス源42は、添加ガスライン48、48’を介して、双方の分岐共通ガスライン46、47に接続してもよい。
【0036】
共通ガス源41は、複数のガスG11、G12、G13、G1xを有しており、各ガスの流量を制御する流量制御バルブ41a,41b,41c、41xが設けられている。流量制御バルブ41a,41b,41c、41xに接続されるラインの前後には、ライン通路の開閉を行うバルブVが設けられている。流量制御バルブ41a,41b,41c、41xは、それぞれのバルブVを介して、共通ガスライン45に接続されている。
【0037】
添加ガス源42は、複数の添加ガスG21、G22、G23、G2xを有しており、各ガスの流量を制御する流量制御バルブ42a,42b,42c、42xが設けられている。流量制御バルブ42a,42b,42c、42xに接続されるラインの前後には、ライン通路の開閉を行うバルブVが設けられている。流量制御バルブ42a,42b,42c、42xは、それぞれのバルブVを介して、添加ガスライン48に接続されている。
【0038】
図1に示したコントローラCONTは、ガス供給源における各種バルブVと共に、流量制御バルブ41a,41b,41c、41x、42a,42b,42c、42xを制御し、最終的に分岐共通ガスライン46,47にそれぞれ流れるガスGc、Gpに含まれる特定ガスの分圧比を制御する。コントローラCONTは、各ガスの流量を調節し、フロースプリッタ44に供給される共通ガスのガス種毎の流量・分圧を決定している。この装置では、ウェハWの中心部分に供給される中央導入ガスGcと、周辺部分に供給される周辺導入ガスGpのガス種毎の分圧やガス種自体を変化させることができるので、プラズマ処理の特性を多様に変化させることができる。
【0039】
共通ガス源41に用いられるガスG1xとしては、希ガス(Arなど)を用いることができるが、その他の添加ガスを用いることもできる。
【0040】
また、ポリシリコン等のシリコン系の膜をエッチングするときは、添加ガスG21、G22、G23として、Arガス、HBrガス(又はClガス)、Oガスを供給し、SiO等の酸化膜をエッチングするときは、添加ガスG21、G22、G23、G2xとして、Arガス、CHF系ガス、CF系ガス、Oガスを供給し、SiN等の窒化膜をエッチングするときは、添加ガスG21、G22、G23、G2xとしてArガス、CF系ガス、CHF系ガス、Oガスを供給する。
【0041】
なお、CHF系ガスとしてはCH(CHCHF、CH(CHCHF、CH(CHCHF、CHCH、CHF、CHF及びCHなどを挙げることができる。
【0042】
CF系ガスとしては、C(CF、C(C、C、C、及びCなどを挙げることができるが、エッチングに適した解離種が得られるという観点から、Cが好ましい。
【0043】
この装置では、共通ガス源41と添加ガス源42で同じ種類のガスを供給することもできるし、共通ガス源41と添加ガス源42とで違う種類のガスを供給することもできる。
【0044】
エッチングガスの解離を抑制するためには、共通ガス源41からプラズマ励起用ガスを供給し、添加ガス源42からエッチングガスを供給してもよい。例えば、シリコン系の膜をエッチングするときは、共通ガス源41からプラズマ励起用ガスとしてArガスのみを供給し、添加ガス源42からエッチングガスとしてHBrガス、Oガスのみを供給する等である。
【0045】
共通ガス源41はさらに、O、SF等のクリーニングガスその他の共通ガスを供給する。
【0046】
ここで、均一なプラズマの生成、面内均一なウェハWの処理を目的とし、フロースプリッタ44によって共通ガスの分岐比率を調節し、中央導入口58(図3参照)及び周辺導入部61(図1参照)からのガス導入量を調節する技術をRDC(Radical Distribution Control)と呼ぶ。RDCは、中央導入口58からのガス導入量と周辺導入部61からのガス導入量との比により表わされる。中央導入部55及び周辺導入部61に導入するガス種が共通である場合が、一般的なRDCである。最適なRDC値は、エッチング対象の膜種や種々の条件により実験的に決定される。一方、さらに添加ガスを中央導入部55または周辺導入部61へ供給するものを、ARDC(Advanced Radical Distribution Control)と呼ぶ。
【0047】
エッチング処理では、エッチングに従い副生成物(エッチングされた残渣や堆積物)が生成する。そのため、処理容器2内でのガス流れを改善し、副生成物の処理容器外への排出を促進するため、中央導入部55からのガス導入と周辺導入部61からのガス導入とを交互に行うことが検討されている。これは、RDC値を時間的に切り替えることにより実現可能である。例えば、ウェハWの中心部分に多くのガスを導入するステップと、周辺部に多くのガスを導入するステップを所定周期で繰り返し、気流を調節することによって、処理容器2から副生成物を掃き出すことにより均一なエッチングレートを達成しようとするものである。
【0048】
図4は、スロット板近傍の構造の分解斜視図である。
【0049】
誘電体窓16の下面(凹部の設けられた面)は、処理容器2の側壁の一部を構成する環状部材19の表面上に載せるようにしてプラズマ処理装置11に取り付けられる。誘電体窓16の上側の面上には、スロット板20が設けられ、スロット板20上に誘電体板25が設けられる。誘電体窓16、スロット板20、及び誘電体板25の平面形状は円形であって、これらの中心位置は、同軸(Z軸)上に位置している。
【0050】
なお、スロット板20は様々なパターンを有するスロットを有しており、同図では、説明の明確化のため、スロット板20にはスロットの記載を省略し、代わりに図5に記載している。
【0051】
図5は、スロット板20の平面図である。
【0052】
スロット板20は、薄板状であって、円板状である。スロット板20の板厚方向の両面は、それぞれ平らである。スロット板20には、板厚方向に貫通する複数のスロット132が複数設けられている。スロット132は、一方方向に長い第1スロット133と、第1スロット133と直交する方向に長い第2スロット134とが、隣り合って一対となるように形成されている。具体的には、隣り合う2つのスロット133、134が一対となって、中心部が途切れた略L字状となるように配置されて構成されている。すなわち、スロット板20は、一方方向に延びる第1スロット133および一方方向に対して垂直な方向に延びる第2スロット134から構成されるスロット対140を有する構成である。なお、スロット対140の一例については、図5中の点線で示す領域で図示している。
【0053】
この実施形態においては、第1スロット133の開口幅、すなわち、第1スロット133のうち、長手方向に延びる一方側の壁部130aと長手方向に延びる他方側の壁部130bとの間の長さWは、12mmとなるように構成されている。一方、図5中の長さW で示す第1スロット133の長手方向の長さ、すなわち、第1スロット133の長手方向の一方側の端部130cと第1スロット133の長手方向の他方側の端部130dとの間の長さWは、35mmとなるように構成されている。これらの幅W、Wは±10%の変更を許容することができるが、これ以外の範囲であっても、装置としては機能する。第1スロット133について、長手方向の長さに対する短手方向の長さの比W1/W2は、12/35=0.34であって、約1/3である。第1スロット133の開口形状と第2スロット134の開口形状とは、同じである。すなわち、第2スロット134は、第1スロット133を90度回転させたものである。なお、スロットという長孔を構成するに際し、長さの比W1/W2については、1未満となる。
【0054】
スロット対140は、内周側に配置される内周側スロット対群135と、外周側に配置される外周側スロット対群136とに大別される。内周側スロット対群135は、図5中の一点鎖線で示す仮想円の内側領域に設けられた7対のスロット対140である。外周側スロット対群136は、図5中の一点鎖線で示す仮想円の外側領域に設けられた28対のスロット対140である。内周側スロット対群135において、7対のスロット対140はそれぞれ、周方向に等間隔に配置されている。
【0055】
このように構成することにより、円形ディンプルからなる第2凹部が設けられた位置に対応する位置に、内周側スロット対群135に配置される7対のスロット対140の一方のスロットをそれぞれ配置して位置を合わせることができる。外周側スロット対群136において28対のスロット対140はそれぞれ、周方向に等間隔に配置されている。スロット板20の径方向の中央にも、貫通孔137が設けられている。
【0056】
なお、外周側スロット対群136の外径側の領域には、スロット板20の周方向の位置決めを容易にするために、板厚方向に貫通するようにして基準孔139が設けられている。すなわち、この基準孔139の位置を目印にして、処理容器2や誘電体窓16に対するスロット板20の周方向の位置決めを行なう。スロット板20は、基準孔139を除いて、径方向の中心138を中心とした回転対称性を有する。
【0057】
なお、外周側スロット対群136を構成する各スロット対は、スロット133’及び134’からなり、これらの位置及び構造は、これらが外周に位置している点を除いて、スロット133及び134の位置及び構造と同一である。
【0058】
また、スロット板20の構造について詳説すれば、スロット板20の重心位置138から第1距離R1(円R1で示す)に位置する第1スロット群133と、重心位置138から第2距離R2(円R1で示す)に位置する第2スロット群134と、重心位置138から第3距離R3(円R3で示す)に位置する第3スロット群133’と、重心位置138から第4距離R4(円R4で示す)に位置する第4スロット群134’を備えている。
【0059】
ここで、第1距離R1<第2距離R2<第3距離R3<第4距離R4の関係を満たしている。対象となるスロット(133,134,133’,134’のいずれか)に向けてスロット板の重心位置148から延びた径(線分R)と、このスロットの長手方向の成す角度は、第1乃至第4スロット群133,134,133’,134’におけるそれぞれのスロット群毎に同一である。
【0060】
スロット板20の重心位置138から延びる同じ径(線分R)上に位置する第1スロット群のスロット133と、第2スロット群のスロット134は、異なる方向に延びており(本例では直交している)、スロット板20の重心位置138から延びる同じ径(線分R)上に位置する第3スロット群のスロット133’と、第4スロット群のスロット134’は、異なる方向に延びている(本例では直交している)。第1スロット群のスロット133の数と第2スロット群のスロット134の数は、同一の数N1であり、第3スロット群のスロット133’の数と第4スロット群のスロット134’の数は、同一の数N2である。
【0061】
ここで、N2はN1の整数倍であり、面内対称性の高いプラズマを発生することが可能である。
【0062】
図6は、誘電体窓の平面図であり、図8は、誘電体窓の断面図である。
【0063】
誘電体窓16は、略円板状であって、所定の板厚を有する。誘電体窓16は、誘電体で構成されており、誘電体窓16の具体的な材質としては、石英やアルミナ等が挙げられる。誘電体窓16の上面159上には、スロット板20が設けられる。
【0064】
誘電体窓16の径方向の中央には、板厚方向、すなわち、紙面上下方向に貫通する貫通孔142が設けられている。貫通孔142のうち、下側領域は中央導入部55におけるガス供給口となり、上側領域は、中央導入部55のブロック57が配置される凹部143となる。なお、誘電体窓16の径方向の中心軸144aを、図8中の一点鎖線で示す。
【0065】
誘電体窓16のうち、プラズマ処理装置に備えられた際にプラズマを生成する側となる下側の平坦面146の径方向外側領域には、環状に連なり、誘電体窓16の板厚方向内方側に向かってテーパ状に凹む環状の第1凹部147が設けられている。平坦面146は、誘電体窓16の径方向の中央領域に設けられている。この中央の平坦面146には、円形の第2凹部153a〜153gが周方向に沿って等間隔に形成されている。環状の第1凹部147は、平坦面146の外径領域から外径側に向かってテーパ状、具体的には、平坦面146に対して傾斜する内側テーパ面148、内側テーパ面148から外径側に向かって径方向に真直ぐ、すなわち、平坦面146と平行に延びる平坦な底面149、底面149から外径側に向かってテーパ状、具体的には、底面149に対して傾斜して延びる外側テーパ面150から構成されている。
【0066】
テーパの角度、すなわち、例えば、底面149に対して内側テーパ面が延びる方向で規定される角度や底面149に対して外側テーパ面50が延びる方向で規定される角度については、任意に定められ、この実施形態においては、周方向のいずれの位置においても同じように構成されている。内側テーパ面148、底面149、外側テーパ面150はそれぞれ滑らかな曲面で連なるように形成されている。なお、外側テーパ面150の外径領域は、外径側に向かって径方向に真直ぐ、すなわち、平坦面146と平行に延びる外周平面152が設けられている。この外周平面152が誘電体窓16の支持面となる。
【0067】
すなわち、誘電体窓16は、外周平面152を環状部材19(図4参照)の内径側領域において設けられた上部側の端面に載置するようにして、処理容器2に取り付けられる。
【0068】
環状の第1凹部147により、誘電体窓16の径方向外側領域において、誘電体窓16の厚みを連続的に変化させる領域を形成して、プラズマを生成する種々のプロセス条件に適した誘電体窓16の厚みを有する共振領域を形成することができる。そうすると、種々のプロセス条件に応じて、径方向外側領域におけるプラズマの高い安定性を確保することができる。
【0069】
ここで、誘電体窓16のうち、環状の第1凹部147の径方向内側領域には、平坦面146から板厚方向内方側に向かって凹む第2凹部153(153a〜153g)が設けられている。第2凹部153の平面形状は円形であり、内側の側面は円筒面を構成し、底面は平坦である。円形は無限の角部を有する多角形であるので、第2凹部153の平面形状は、有限の角部を有する多角形とすることも可能であると考えられ、マイクロ波導入時において、凹部内においてプラズマが発生するものと考えられるが、平面形状が円形である場合には、中心からの形状の等価性が高いため、安定したプラズマが発生する。
【0070】
第2凹部153は、この実施形態においては、合計7つ設けられており、内側のスロット対の数と同一である。7つの第2凹部153a、153b、153c、153d、153e、153f、153gの形状はそれぞれ等しい。すなわち、第2凹部153a〜153gの凹み方やその大きさ、穴の径等については、それぞれ等しく構成されている。7つの第2凹部153a〜153gは、誘電体窓16の径方向の重心156を中心として、回転対称性を有するように、それぞれ間隔を空けて配置されている。丸穴状の7つの第2凹部153a〜153fの中心157a、157b、157c、157d、157e、157f、157gは、それぞれ、誘電体窓16の板厚方向から見た場合に、誘電体窓16の径方向の中心156を中心とした円158上に位置している。すなわち、誘電体窓16を径方向の中心156を中心として、51.42度(=360度/7)回転させた場合に、回転させる前と同じ形状となるよう構成されている。円158は、図4において、一点鎖線で示しており、円158の直径は154mm、第2凹部153a〜153gの直径は30mmである。
【0071】
第2凹部153(153a〜153g)の深さ、すなわち、図8中の長さL3で示す平坦面146と底面155との間の距離は、適切に定められ、この実施形態においては32mmとしている。凹部153の直径、及び、凹部153の底面から誘電体窓の上面までの距離は、これに導入されるマイクロ波の波長λgの4分の1に設定される。なお、この実施形態においては、誘電体窓16の直径は約460mmである。なお、上記円158の直径、凹部153の直径、誘電体窓16の直径、及び凹部153の深さは±10%の変更を許容することもできるが、本装置が動作する条件はこれに限定されるものではなく、プラズマが凹部内に閉じ込められれば装置としては機能する。センターに近い凹部の直径や深さの値が大きくなると、センター側の方が周囲よりもプラズマ密度が大きくなるため、これらのバランスを調整することもできる。
【0072】
この第2凹部153a〜153gにより、マイクロ波の電界を当該凹部内に集中させることができ、誘電体窓16の径方向内側領域において、強固なモード固定を行なうことができる。この場合、プロセス条件が種々変更されても、径方向内側領域における強固なモード固定の領域を確保することができ、安定で均一なプラズマを発生させることができ、基板処理量の面内均一性を高めることが可能となる。特に、第2凹部153a〜153gは、回転対称性を有するため、誘電体窓16の径方向内側領域において強固なモード固定の高い軸対称性を確保することができ、生成するプラズマにおいても、高い軸対称性を有する。
【0073】
以上より、このような構成の誘電体窓16は、広いプロセスマージンを有すると共に、生成するプラズマが高い軸対称性を有する。
【0074】
図7は、スロット板と誘電体窓を組み合わせたアンテナの平面図である。同図は、図1におけるZ軸に沿って、ラジアルラインスロットアンテナを下側から見た図である。
【0075】
平面視において、外側のテーパ面150と第4スロット群(内側から4番目のスロット群)に属するスロット134’とは一部分が重なっている。また、環状の平坦な底面149と第3スロット群(内側から3番目のスロット群)に属するスロット133’とは重なっている。
【0076】
また、平面視において、内側のテーパ面と第2スロット群(内側から2番目のスロット群)に属するスロット134とは重なっている。また、最も内側の第1スロット群に属するスロット133は、全て平坦面146上に位置している。更に、第2凹部153の重心位置は、スロット133と重複している。
【0077】
図14は、スロット133及び凹部153の近傍の斜視図(a)及び断面図(b)である。
【0078】
図14(a)に示すように、凹部153の直上にスロット133が位置しており、マイクロ波導入時において、スロット133の幅方向に発生する電界によって、凹部153内にプラズマPSが発生する(図14(b))。
【0079】
図15は、スロットと第2凹部の位置関係を示す図である。
【0080】
図15(a)では、凹部153の重心G2の位置を、スロット133からの電界Eが選択的に導入される位置に設定した場合を示している。マイクロ波の導入によって、電界Eはスロット133,134の幅方向に発生する。本例では、スロット133の重心位置G1と第2凹部153の重心位置G2とが一致し、スロット133内に、第2凹部153の重心位置G2が重なって位置している。この場合は、第2凹部153にプラズマが確実に固定されるため、プラズマの揺らぎは少なく、各種の条件変化に対してもプラズマの面内変動が少なくなる。特に、凹部153の形成されている位置が中央の平坦面146(図7参照)上であるため、1つの凹部153周囲の面の等価性が高く、プラズマの固定度合いが高くなる。
【0081】
一方、図15(b)では、凹部153の重心位置G2の位置を、双方のスロット133,134からの電界Eが導入される位置に設定した場合を示している。換言すれば、図15(b)においては、スロット133の重心位置G1と第2凹部153の重心G2とは離間し、スロット133内に、第2凹部153の重心位置G2が重なって位置していない場合を示している。この場合は、図15(a)の場合よりも、凹部153内にマイクロ波が入りにくく、したがってプラズマ密度が下がり、プラズマの発生に揺らぎが生じる場合がある。
【0082】
次に、別のスロット板について説明する。
【0083】
図9は、別のスロット板の平面図である。
【0084】
このスロット板は、上述のものよりもスロットの数を減少させ、スロット167の開口幅を狭くしたスロット板20を板厚方向から見た図である。スロット167の開口幅、すなわち、スロット167のうち、長手方向に延びる一方側の壁部168aと長手方向に延びる他方側の壁部168bとの間の長さWは、6mmとなるように構成されている。この長さWは、上述のスロット板のスロット133の場合の長さWの約半分である。
【0085】
一方、長さWで示すスロット167の長手方向の長さ、すなわち、スロット167の長手方向の一方側の端部168cとスロット167の長手方向の他方側の端部168dとの間の長さWは、50mmとなるように構成されている。この長さWは、上述のスロット板に設けられるスロット133の場合の長さWと同じである。スロット167について、長手方向の長さに対する短手方向の長さの比W/Wは、6/50であり、約1/8である。その他のスロットの構成等については、図5に示すスロット板20と同様であるため、その説明を省略する。
【0086】
ここで、スロットの開口形状については、幅広になるほど、導入されるマイクロ波の電界が低下するが、周方向のずれに強いものとなる。
【0087】
スロットの開口幅が狭くなれば、それだけマイクロ波を強く放射することができるが、スロット板の取り付けにおけるスロットの位置が周方向にずれや、マイクロ波の伝播の乱れによって、マイクロ波の放射が極端に弱くなる場合がある。一方、スロットの開口幅が広くなれば、マイクロ波の放射は全体として弱くなるが、スロット板の取り付けにおける周方向のスロットの位置のずれや、マイクロ波の伝播の乱れに対応して、極端に弱くならずにマイクロ波を放射することができる。すなわち、プラズマの開口幅が広いほど、プラズマの安定性が高くなる。
【0088】
図10は、比較例に係る誘電体窓の平面図である。
【0089】
比較例に係る誘電体窓16は、平坦面146上に形成された第2凹部が存在しない。
【0090】
図11は、位置X(mm)と電子濃度Ne(/cm)との関係を示すグラフである。
【0091】
グラフ内の実施例1は、図1に装置において、図7に示したアンテナを用い、これにマイクロ波(1000W)を導入した場合のデータを示し、実施例2は、図7に示したアンテナを用い、これにマイクロ波(2000W)を導入した場合のデータを示し、比較例は、図10に示した誘電体窓16に、図9のスロット板20を組み合わせ、これにマイクロ波(1500W)を導入した場合のデータを示している。中央導入部から、ArとOを1:1の比率で導入し、処理容器内圧力を10m(Torr)=1.3Paに設定した。
【0092】
いずれのデータの場合も、アンテナの中心からの位置Xが大きくなると、発生するプラズマの電子濃度Ne(/cm)が下がる傾向にあるが、実施例1,2の場合には、中央に近い領域では電子濃度はフラットであり、且つ、左右の対称性も比較例よりも高い。これは、環状の第1凹部のみならず、第2凹部にプラズマが良好に固定されることを間接的に示しており、上述の構造が、安定で均一なプラズマの発生に有効であることが確認された。
【0093】
図12は、位置(mm)とエッチングレートER(nm/min)の関係を示すグラフである。エッチング対象物は、SiOである。このグラフでは、X軸、Y軸のほかに、これらとそれぞれ45度を成す軸V軸、W軸を示している。
【0094】
図12(a)は、上記比較例のアンテナを用いた場合のデータを示している。処理容器内圧力10m(Torr)=1.3Pa、マイクロ波パワー2000(W)、Ar/Cの流量を600/10(sccm)とし、Arガスは中央導入部から20%、周辺導入部から80%を導入し、10sccmのCは周辺導入部から処理容器内に導入した。エッチングレートERの平均は71nm/min、標準偏差Σは9.1%である。
【0095】
図12(b)は、図7のアンテナを用いた場合のデータを示している。処理容器内圧力1.3Pa、マイクロ波パワー2000(W)、Ar/Cの全体の流量を600/10(sccm)とし、これらの混合ガスを20%:80%で分岐して、それぞれ中央導入部と周辺導入部から処理容器内に導入した。エッチングレートERの平均は70nm/min、標準偏差Σは4.7%である。
【0096】
図12(c)は、図7のアンテナを用いた場合のデータを示している。処理容器内圧力1.3Pa、マイクロ波パワー2000(W)、Ar/Cの全体の流量を600/10(sccm)とし、中心導入部からArを122(sccm)、周辺導入部からはAr/Cを478/10(sccm)供給した。エッチングレートERの平均は69nm/min、標準偏差Σは3.1%である。
【0097】
図13は、位置(mm)とエッチングレートER(nm/min)の関係を示すグラフである。エッチング対象物は、SiNである。このグラフでは、X軸、Y軸のほかに、これらとそれぞれ45度を成す軸V軸、W軸を示している。
【0098】
図13(a)は、上記比較例のアンテナを用いた場合のデータを示している。処理容器内圧力10m(Torr)=1.3Pa、マイクロ波パワー2000(W)、Ar/Cの流量を600/10(sccm)としている。Arガスは中央導入部から20%、周辺導入部から80%を導入し、10sccmのCは周辺導入部から処理容器内に導入した。エッチングレートERの平均は11nm/min、標準偏差Σは29.1%である。SiOのSiNに対するエッチングの選択比は6.23である。
【0099】
図13(b)は、図7のアンテナを用いた場合のデータを示している。処理容器内圧力1.3Pa、マイクロ波パワー2000(W)、Ar/Cの全体の流量を600/10(sccm)とし、これらの混合ガスを20%:80%で分岐して、それぞれ中央導入部と周辺導入部から処理容器内に導入した。エッチングレートERの平均は13nm/min、標準偏差Σは24.6%である。SiOのSiNに対するエッチングの選択比は5.28である。
【0100】
図13(c)は、図7のアンテナを用いた場合のデータを示している。処理容器内圧力1.3Pa、マイクロ波パワー2000(W)、Ar/Cの全体の流量を600/10(sccm)とし、中心導入部からArを122(sccm)、周辺導入部からはAr/Cを478/10(sccm)供給した。エッチングレートERの平均は11nm/min、標準偏差Σは16.5%である。SiOのSiNに対するエッチングの選択比は6.28である。
【0101】
以上のように、図7に示したアンテナを用いた場合、いずれの膜のエッチングにおいても、標準偏差Σを小さくすることができ、選択比の高いエッチングを行うことも可能である。また、エッチング対象の物質をシリコンや有機材料に変更した場合も、同様の結果が得られた。特に、ガス種として、Cを用いた場合、その解離状態を制御し、エッチングに適した種を得ることができるため、高精度でエッチングが可能となる。プラズマ処理装置における解離は、τ×Ne×(σ×v)に依存する。τはプラズマ内への滞在時間(sec)、Neはプラズマの電子濃度(/cm)、σは解離断面積(cm)、vは電子速度(m/sec)である。
【0102】
なお、c−CとL−Cも解離過程が異なる。c−Cは容易に分解して多くのラジカルと高分子重合物からなる膜を生成するが、L−Cは2つのCFCFに解離して、緻密な膜を形成する。cは環状、Lは直鎖状であることを示す。
【0103】
以上、説明したように、上述のアンテナは、誘電体窓16と、誘電体窓16の一方面に設けられたスロット板20とを備え、誘電体窓16の他方面は、環状の第1凹部に囲まれた平坦面146と、平坦面146の重心位置を囲むように、平坦面146内に形成された複数の第2凹部153とを有している。また、スロット板20の主表面に垂直な方向からみた場合、スロット板20におけるそれぞれのスロット133内に、それぞれの第2凹部153の重心位置が重なって位置している。このアンテナを用いた場合、均一性の高いプラズマを発生させることができ、したがって、これを用いたプラズマ処理装置において、処理量の面内均一性を高くすることができる。このようなプラズマ処理装置は、エッチングのみならず、膜の堆積にも用いることができる。
【0104】
また、上述のプラズマ処理方法は、共通ガス源は、希ガス(Ar)を有しており、添加ガス源は、Cを有しており、マイクロ波発生器から、マイクロ波導入路を介して、スロット板にマイクロ波を供給して誘電体窓の他方面側にプラズマを発生させ、共通ガス源から、第1分岐共通ガスラインを介して、中央導入部に、希ガス(Ar)を供給し、更に、添加ガス源から、第2分岐共通ガスラインを介して、周辺導入部に、Cを供給することで、台上の基板をエッチングするなどの処理している。このプラズマ処理方法は、表面処理量の面内均一性を高くすることができる。
【0105】
なお、図12(c)、図13(c)に示す方法は、流量比を中心導入部と周辺導入部で変更しつつ、周辺導入部へ供給される添加ガス量を清書している。すなわち、これらのプラズマ処理を実現するプラズマ処理装置は、図1及び図2に示されるように、共通ガス源41に接続される共通ガスライン45と、共通ガスライン45に設けられ、共通ガスライン45を、第1及び第2分岐共通ガスライン46,47に分岐し、第1及び第2分岐共通ガスライン46,47を流れるガスの流量の比率を調節可能なフロースプリッタ44と、第1分岐共通ガスライン46,47に接続され、台3に載置される基板の中央部の上方に位置する中央導入口を有する中央導入部55と、第2分岐共通ガスライン47に接続され基板上方の空間の周方向に沿って配列され、誘電体窓16よりも下方に位置する複数の周辺導入口62を有する周辺導入部61と、添加ガス源42と第1及び第2分岐共通ガスライン46,47の少なくとも一方とを接続する添加ガスライン48(48’)とを備えており、各ガスラインの流量を制御することにより、基板表面処理量の面内均一性を高くすることができる。
【0106】
図16は、改良された中央導入部を示す図であり、同図は、図1において点線Aで囲まれた領域の改良部分を示している。
【0107】
図16に示すように、略円板状の誘電体窓16には、軸線Xに沿って延びる貫通孔16aが形成されている。誘電体窓16には、軸線X方向に沿って略一定の直径を有する貫通孔16aが形成されている。この貫通孔16aは、下方に向けてその径が小さくなるテーパ形状を有し得る。誘電体窓16においては、貫通孔16aの上方に空間16sが形成されている。空間16sは、例えば、軸線X中心に延びる誘電体窓16の内周面16b及び底面16cによって画成される。また、誘電体窓16には、空間16sの下側周縁に連続する環状の溝16gが形成されている。
【0108】
ガスの供給路(配管部材)52は、金属製の部材であり、例えば、ステンレス鋼によって構成される。供給路52は、第1の部分52a、第2の部分52b、及び第3の部分52cを含んでいる。第1の部分52aは、軸線Xに沿って延在する管であり、内側導体31の内孔の中に挿入されている。
【0109】
第2の部分52bは、第1の部分52aの下方において当該第1の部分52aに連続している。第2の部分52bは、第1の部分52aの直径より大きい直径を有する。第2の部分52bには、第1の部分52aの内孔に連続する孔が設けられている。この第2の部分52bは、スロット板20を内側導体31の下端と当該第2の部分52bの間に狭持している。
【0110】
第3の部分52cは、第2の部分52bの下側周縁に連続して下方に延在しており、環形状を有している。第3の部分52cの下端部分は、上述した溝16g内に収容されている。
【0111】
インジェクタ22Aは、誘電体製であり、誘電体窓16と一体成形され、又は、別部材として誘電体窓16に接合される。インジェクタ22Aは、誘電体窓16の中心部に位置し、実効的な領域が略円板形状を有している。インジェクタ22Aは、一体成形の場合には誘電体窓16と同じ材料からなり、別部材を接合する場合も同一材料とすることができる。誘電体窓16とインジェクタ22Aとが、一体形成されている場合、インジェクタ22Aと誘電体窓16Aの間の間隙の発生がより確実に防止される。インジェクタ22Aは、バルク誘電体材料から構成され得る。上記接合には、例えば、拡散接合が用いられ得る。インジェクタ22Aを構成する誘電体材料には、例えば、石英、Yといった材料を用いることができる。
【0112】
インジェクタ22Aは、軸線Xに交差する方向に延在する二つの面22b及び22cを含んでいる。面22cは、面22bと対向しており、処理空間S(図1参照)に面している。インジェクタ22Aには、面22cと面22bの間に延在する一以上の貫通孔22aが形成されている。このような形状を有するインジェクタ22Aは、例えば、誘電体窓16を加工する際に、これを構成するバルク誘電体材料に対する機械加工を行なった後に、表面の破砕層をウェットエッチング等により除去することにより、製造され得る。破砕層の除去は、インジェクタ22Aをより化学的に安定的なものとし得る。
【0113】
このインジェクタ22Aは、誘電体窓16の内部の空間16s内に位置している。より具体的には、インジェクタ22Aは、供給路52の第2の部分52bの下面、及び、供給路52の第3の部分52cによって画成される部分空間内に配置される。
【0114】
供給路52からの処理ガスは、このインジェクタ22Aの貫通孔22aを通り、次いで、誘電体窓16の貫通孔16aを通って、処理空間S内に供給される。即ち、インジェクタ22Aは、誘電体窓16の孔16aと共に処理空間Sに処理ガスを供給するための経路を構成している。このように、インジェクタ22Aの内部には処理ガスが通されるが、インジェクタ22Aは、誘電体材料によって構成されているので、当該処理ガスに対して化学的に安定している。したがって、インジェクタ22Aからのパーティクルの発生が低減され得る。
【0115】
プラズマ処理装置では、上記の供給路52の第3の部分52cがインジェクタ22の周囲を覆う電界遮蔽部を構成している。この電界遮蔽部により、インジェクタ22Aの内部においてプラズマが発生し難くなっている。したがって、インジェクタ22Aからのパーティクルの発生が更に抑制され得る。
【0116】
上述のように、インジェクタ22Aと誘電体窓16とは一体化されているので、インジェクタ22Aと誘電体窓16との間における間隙の発生を抑制し得る。これにより、処理空間S等から処理ガスが間隙を介して空間16sに逆流してプラズマ処理装置の部品を汚染する事態を防止することができる。
【0117】
また、一実施形態では、インジェクタ22Aに対する電界遮蔽部である第3の部分52cが、供給路52の一部として構成され得る。即ち、電界遮蔽部が、インジェクタ22Aへの処理ガスの配管と一体化され得る。これにより、電界遮蔽部の組立及び配置といった製造工程が簡易化される。
【0118】
また、一実施形態においては、第3の部分52c、即ち電界遮蔽部は、インジェクタ22Aの面22cよりも、軸線X方向において処理空間Sに近い位置まで延在し得る。これにより、インジェクタ22Aが配置された空間における電界強度が更に低減される。その結果、インジェクタ22Aの内部におけるプラズマの発生が更に抑制され、インジェクタ22Aからのパーティクルの発生が更に抑制される。
【0119】
なお、電界遮蔽部の下端面、即ち、第3の部分52cの下端面52dとインジェクタ22Aの面22cとの間の軸線X方向の距離GAPと、インジェクタ22が配置された空間における電界強度との関係のシミュレーション結果、電界遮蔽部の下端面(52d)を、インジェクタ22Aの面22cよりも下方に設けることで、電界強度を小さくして、インジェクタ22Aの内部におけるプラズマの発生を効果的に抑制し得ることが確認された。
【0120】
また、ステンレス鋼などからなる供給路52の第2の部分52bの下面に、イットリア(酸化イットリウム(Y))からなる保護層PL1を設けることができる。保護層PL1は、プラズマやガスから第2の部分52bを保護しているが、パーティクル発生抑制や強度の増強の観点から、保護層PL1に特定の処理を施すことが好ましい。すなわち、酸素含有雰囲気中での金属イットリウム又はイットリアの溶射、或いは、減圧環境下でのイットリアの溶射より、第2の部分52bの下面上に堆積したイットリアからなる保護層PL1に、電子ビームなどのエネルギー線を照射することで、保護層PL1が加熱されて溶融するため、冷却後に、これをアモルファス化することができる。これにより、保護層PL1が改質化され増強されることになる。この場合、保護層PL1の平坦性も高くなり、表面粒子間の隙間が埋まるので、表面積が小さくなり、ガス等に対する耐性が更に高くなる。
【0121】
ラジアルラインスロットアンテナによって生成されたマイクロ波プラズマの特徴は、誘電体窓直下(プラズマ励起領域と称される)で生成された比較的電子温度の高い数eVのプラズマが拡散し、誘電体窓より100mm以上下方の基板直上(拡散プラズマ領域と称される)では約1〜2eV程度の低い電子温度となることにある。すなわち、プラズマの電子温度の分布が誘電体窓からの距離の関数として生ずることに特徴がある。
【0122】
ラジアルラインスロットアンテナ型のプラズマエッチング装置においては、低電子温度領域にエッチングガスを供給し、エッチングガスの解離制御(プラズマ中のエッチング種の生成量の制御)を行い、これによりエッチング反応(エッチング種による基板の表面化学反応)を制御するので、エッチングの高精度化が図れると共に、基板にダメージを与えることが大幅に低減される。例えば、スペーサ形成工程におけるエッチングなど、設計寸法どおりにデバイスを作製できると共に、基板にリセス等のダメージが入るのを抑えることができる。
【0123】
しかしながら、処理される基板の大型化に伴い、基板表面処理量の面内均一性の更なる改善が期待されている。例えば、特許文献2に記載のラジアルラインスロットアンテナを使用したエッチング装置においては、基板の面内でのエッチングレートやエッチング形状等を一定にするのが困難であり、エッチング処理を基板の面内で均一に行なうことが課題となっている。
【0124】
基板表面処理量の面内均一性も改善することができるアンテナ、誘電体窓、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供するため、上述のアンテナは、誘電体窓と、前記誘電体窓の一方面に設けられたスロット板と、を備え、前記誘電体窓の他方面は、環状の第1凹部に囲まれた平坦面と、前記平坦面の重心位置を囲むように、前記平坦面内に形成された複数の第2凹部と、を有し、前記スロット板の主表面に垂直な方向からみた場合、前記スロット板におけるそれぞれのスロット内に、それぞれの前記第2凹部の重心位置が重なって位置していることを特徴とする。
【0125】
このアンテナを用いた場合、面内均一性の高いプラズマを発生させることができ、したがって、これを用いたプラズマ処理装置において、基板表面処理量の面内均一性を高くすることができる。
【0126】
上述のアンテナにおいては、前記スロット板は、前記スロット板の重心位置から第1距離に位置する第1スロット群と、前記スロット板の重心位置から第2距離に位置する第2スロット群と、前記スロット板の重心位置から第3距離に位置する第3スロット群と、前記スロット板の重心位置から第4距離に位置する第4スロット群と、を備え、第1距離<第2距離<第3距離<第4距離の関係を満たし、対象となるスロットに向けて前記スロット板の重心位置から延びた径と、このスロットの長手方向の成す角度は、第1乃至第4スロット群におけるそれぞれのスロット群毎に同一であり、前記スロット板の重心位置から延びる同じ径上に位置する第1スロット群のスロットと、第2スロット群のスロットは、異なる方向に延びており、前記スロット板の重心位置から延びる同じ径上に位置する第3スロット群のスロットと、第4スロット群のスロットは、異なる方向に延びており、第1スロット群のスロット数と第2スロット群のスロット数は、同一の数N1であり、第3スロット群のスロット数と第4スロット群のスロット数は、同一で数N2であり、N2はN1の整数倍である、ことを特徴とする。
【0127】
N2はN1の整数倍であり、面内対称性の高いプラズマを発生することが可能である。
【0128】
上述のアンテナにおいては、前記第2凹部の平面形状は円形であることを特徴とする。
【0129】
面形状が円形である場合には、中心からの形状の等価性が高いため、安定したプラズマが発生する。
【0130】
上述のプラズマ処理装置は、上述のアンテナと、前記アンテナを内部に有する処理容器と、前記処理容器の内部に設けられ、前記誘電体窓の他方面に対向し、処理される基板が載せられる台と、マイクロ波発生器と前記スロット板とを接続するマイクロ波導入路と、を備えることを特徴とする。
【0131】
上記アンテナを用いたプラズマ処理装置は、プラズマの均一性が高く、基板表面処理量の面内均一性を高くすることができる。
【0132】
上述のプラズマ処理装置は、共通ガス源に接続される共通ガスラインと、前記共通ガスラインに設けられ、前記共通ガスラインを、第1及び第2分岐共通ガスラインに分岐し、前記第1及び第2分岐共通ガスラインを流れるガスの流量の比率を調節可能なフロースプリッタと、前記第1分岐共通ガスラインに接続され、台に載置される基板の中央部の上方に位置する中央導入口を有する中央導入部と、前記第2分岐共通ガスラインに接続され前記基板上方の空間の周方向に沿って配列され、前記誘電体窓よりも下方に位置する複数の周辺導入口を有する周辺導入部と、添加ガス源と前記第1及び第2分岐共通ガスラインの少なくとも一方とを接続する添加ガスラインと、を備えることを特徴とする。
【0133】
各ガスラインの流量を制御することにより、基板表面処理量の面内均一性を高くすることができる。
【0134】
上述のプラズマ処理方法は、上述のプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、前記共通ガス源は、希ガスを有しており、前記添加ガス源は、Cを有しており、前記マイクロ波発生器から、前記マイクロ波導入路を介して、前記スロット板にマイクロ波を供給して前記誘電体窓の他方面側にプラズマを発生させ、前記共通ガス源から、前記第1分岐共通ガスラインを介して、前記中央導入部に、希ガスを供給し、更に、前記添加ガス源から、前記第2分岐共通ガスラインを介して、前記周辺導入部に、Cを供給することで、前記台上の基板を処理することを特徴とする。
【0135】
このプラズマ処理方法は、表面処理量の面内均一性を高くすることができる。
【0136】
上述の誘電体窓は、スロット板が一方面上に設けられる誘電体窓であって、前記誘電体窓の他方面は、環状の第1凹部に囲まれた平坦面と、前記平坦面の重心位置を囲むように、前記平坦面内に形成された複数の第2凹部と、を有し、前記スロット板の主表面に垂直な方向からみた場合、前記スロット板におけるそれぞれのスロット内に、それぞれの前記第2凹部の重心位置が重なって位置しており、前記スロット板は、前記スロット板の重心位置から第1距離に位置する第1スロット群と、前記スロット板の重心位置から第2距離に位置する第2スロット群と、前記スロット板の重心位置から第3距離に位置する第3スロット群と、前記スロット板の重心位置から第4距離に位置する第4スロット群と、を備え、第1距離<第2距離<第3距離<第4距離の関係を満たし、対象となるスロットに向けて前記スロット板の重心位置から延びた径と、このスロットの長手方向の成す角度は、第1乃至第4スロット群におけるそれぞれのスロット群毎に同一であり、前記スロット板の重心位置から延びる同じ径上に位置する第1スロット群のスロットと、第2スロット群のスロットは、異なる方向に延びており、前記スロット板の重心位置から延びる同じ径上に位置する第3スロット群のスロットと、第4スロット群のスロットは、異なる方向に延びており、第1スロット群のスロット数と第2スロット群のスロット数は、同一の数であり、第3スロット群のスロット数と第4スロット群のスロット数は、同一で数であることを特徴とする。
【0137】
この誘電体窓は、上述のスロット板と組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0138】
W…ウェハ(基板)、2…処理容器、3…台、11a…排気口、16…誘電体窓、20…スロット板、21…スロット、35…マイクロ波発生器、41…共通ガス源、42…添加ガス源、44…フロースプリッタ、45…共通ガスライン、46,47…分岐共通ガスライン、48…添加ガスライン、55…中央導入部(第1のガス導入部)、58…中央導入口、61…周辺導入部(第2のガス導入部)、62…周辺導入口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波のエネルギーを、処理容器の上部に配置された誘電体窓を介して前記処理容器内に供給して、ガス供給源から前記処理容器内に供給した処理ガスをプラズマ化して、前記処理容器の下部に配置された基板をプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、
前記ガス供給源から供給される処理ガスを、前記誘電体窓からの距離が異なる位置に導入する少なくとも第1及び第2のガス導入部を備える、
ことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給源は、第1及び第2のガス源を有し、
前記第1のガス導入部は、前記誘電体窓直下のプラズマ励起領域側に設けられ、
前記第2のガス導入部は、前記基板直上のプラズマ拡散領域側に設けられ、
前記プラズマ励起領域は電子温度が前記プラズマ拡散領域よりも高く、
前記第1及び第2のガス導入部には、前記第1のガス源からガス供給が行われ、
前記第1又は第2のガス導入部には、前記第2のガス源からガス供給が行われ、
前記基板におけるプラズマ処理の特性を変化させるよう、前記第1及び第2のガス導入部に供給されるガス量が変化可能とされている、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1のガス導入部は、前記誘電体窓の中央部に位置する中央導入口を有する中央導入部であり、
前記第2のガス導入部は、前記基板上方の空間の周方向に沿って配列され、前記誘電体窓よりも下方に位置する複数の周辺導入口を有する周辺導入部である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1のガス導入部からガス供給するステップと、前記第2のガス導入部からガス供給するステップと、を所定周期で繰り返す制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
共通ガス源に接続される共通ガスラインと、
前記共通ガスラインに設けられ、前記共通ガスラインを、第1及び第2分岐共通ガスラインに分岐し、前記第1及び第2分岐共通ガスラインを流れるガスの流量の比率を調節可能なフロースプリッタと、
添加ガス源と前記第1及び第2分岐共通ガスラインの少なくとも一方とを接続する添加ガスラインと、
を備え、
前記ガス供給源は、前記共通ガス源と、前記添加ガス源とを備えており、
前記第1のガス導入部は、前記第1分岐共通ガスラインに接続され、前記基板の中央部の上方に位置する中央導入口を有する中央導入部であり、
前記第2のガス導入部は、前記第2分岐共通ガスラインに接続され、前記基板上方の空間の周方向に沿って配列され、前記誘電体窓よりも下方に位置する複数の周辺導入口を有する周辺導入部である、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−20973(P2013−20973A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181763(P2012−181763)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【分割の表示】特願2011−150365(P2011−150365)の分割
【原出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】