説明

プラズマ発生方法及びそのための装置

【課題】 絶縁物、特に耐熱性の低い絶縁物に、短時間で効率的にプラズマ成膜、及び表面改質処理可能な方法及びそのための装置を提供する。
【解決手段】 真空排気された反応容器内にプラズマ生成源となる原料ガスを導入し、該反応容器内に設置されたカソード電極にマイナス電圧を印加して原料ガスを分解しプラズマを生成すると共に、上記反応容器内に設置された被処理基材上との間で反応を起こさせて、電圧印加による電界で生成されるプラズマイオン、ラジカルを前記被処理基材に照射または堆積させる、表面改質及び成膜方法において、カソード電極の少なくとも一部を、原料ガスが透過可能な電極とすると共に、被処理基材の改質や成膜など表面処理が必要な面と直接接触しないようカソード電極を配置し、且つ、カソード電極に−2kV〜−20kVのパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ表面改質、成膜方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマCVD法による成膜又は表面改質に用いられるプラズマ発生方法及びそのための装置に関し、特に、被処理基材が、プラスチックやゴムなどの絶縁性で、かつ耐熱性の低いものであっても、短時間で効率的に成膜又は表面改質が可能なプラズマ発生方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ダイヤモンド様炭素膜(以下、「DLC膜」ということもある。)等の非晶質炭素膜は、耐摩耗性、耐凝着性などを有し、かつ低摩擦係数を有する膜であるため、切削工具、金型等の治工具、各種デバイスの保護膜や、物理的、化学的、機械的に優れた機能を付加する基材改質等、従来、金属系基材改質の様々な分野で用いられている。
昨今は、基材自体の軽量化や、プレス、射出成形など大量生産性、加工性などを考慮し、樹脂やゴムなどを基材とする治工具、デバイス等が開発されており、これらにも、金属系基材のものと同様に非晶質炭素膜の成膜が要望されてきている。
また、非晶質炭素膜は、水蒸気や酸素の透過を防止する性質も有し、各種樹脂フィルムや有機高分子からなる立体形状容器等の表面に数十nmと薄く成膜することにより、ガスバリア性など高付加価値を付与することが可能となる。
【0003】
この非晶質炭素膜は、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等により形成できるが、中でも、プラズマプロセスを利用したプラズマCVD法は、反応ガスにより成膜するものであり、また、成膜装置の構造も比較的単純であって、安価であるため、好ましく用いられており、その装置には各種各様の方式が開発されている。
また、このプラズマを利用した装置は、被処理物(以下、「非処理基材」あるいは「ワーク」ということもある。)への成膜以外にも、被処理基材表面に存在する異物のプラズマによるクリーニング、被処理基材表面上に形成された他の膜の剥離、被処理基材表面の密着性の改善等、被処理基材の表面改質にも多く用いられている。
【0004】
プラズマ発生装置を用いた成膜或いは表面改質においては、被処理基材の表面形状にかかわらず、均一な成膜や表面改質が行われることが必要とされている。
例えば、特許文献1では、被処理物の形状にかかわらず均一な膜厚で薄膜が形成可能な装置として、特定の形状を有する電極を用いた装置が提案されている。
前記特許文献1に記載されたプラズマCVD装置では、反応容器内に、被処理基材を収容可能な大きさのプラズマ発生領域を内部に形成する螺旋形状の線材からなる第1電極と、前記第1電極とは同電位でない第2電極と、前記被処理物を前記プラズマ発生領域内に支持し前記第2電極と電気的に接続する支持部材とを備え、前記第1電極に高周波電圧を印加可能に構成した装置である。
そして、前記装置によれば、カソード電極と被処理物の相対的な位置調整が狂うと均一な膜が形成されないという従来の課題を解消し、被処理基材の形状にかかわらず均一な膜厚で薄膜が形成できるとしているが、被処理基材導電性を有する物が前提となっている。
【0005】
しかしながら、ワークが樹脂製部品やゴム製品等、通常は電気絶縁性を有するものの場合、ワークが導電性であることが前提となっている特許文献1に記載された装置を使用することはできない。
すなわち、ワークが絶縁性である場合は、ワーク自体を一方の電極、ひいてはプラズマ発生源とし、ワークの周囲に均一にプラズマを発生させる方法が適用できないため、プラズマ発生に必要な別の電極をワークの周囲に所定の間隔で配置し、ワークと前記別の電極の間に原料ガスを供給する機構を備えるように設計された当該ワーク専用設計のプラズマCVD装置が要求される。
【0006】
例えば、特許文献2には、容器の外側面を囲むように外周電極を配置し、前記容器の外表面に出発原料を供給しながらプラズマCVD法により前記容器の外表面に成膜する装置が記載されている。
また、特許文献3では、プラズマ源が装置内の特定の方向、場所に配置された装置において、プラズマ源に対して、ワークが自公転する回転機構を当該真空装置内に設け、それに被処理基材を搭載し、前記被処理基材の被処理面をプラズマ源に対して均等に回転させながら露出させ、処理するような機構も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−80478号公報
【特許文献2】特開2006−176865号公報
【特許文献3】特開平11−131241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ワークが樹脂などの耐熱性の低い基材からなる場合においては、発熱による基材の熱変形対策として、以下のような対策も必要となる。
(1)プラズマや、ワークの支持体に流れる電流による発熱で、ワーク自身が変形・損傷しないようにする為、ワークに接触させてワークを冷却する為の冷却機構を導入する。
(2)ワークの処理中、プラズマCVD装置の電源を一定時間間隔で停止させ、ワークの急激な昇温を防止する。
(3)プラズマ発生源をワークから遠く離れた場所に設置し、失活プラズマでの成膜も前提としてより低温で成膜を行う。
【0009】
特に、特許文献2、3に記載された装置では、ワークの周囲にプラズマを発生させる方法として、高周波(RF)電源によるCVD方法(高周波プラズマCVD法)が採用されているが、高周波プラズマCVD法や、さらに直流プラズマCVD法は、電流が間断なく流れるため、プラズマ温度の上昇が早く、成膜開始後、短時間に少なくとも成膜温度が200℃前後以上となる。
そこで、従来の高周波プラズマCVD法では、ワーク温度が上昇することを防ぐために、成膜を間欠的に繰り返し行う方法が採用されており、例えば、高周波を所定時間入力して成膜を行った後、所定時間出力を停止し、これを人為的に必要回数繰り返すなど煩雑な操作を繰り返すことにより、必要な膜厚のDLC膜を成膜している。
【0010】
また、ワークが、絶縁性で、かつ低温で変形する基材(以下、「絶縁性低温変形基材」ということもある。)からなる薄い板状のものである場合、薄板状のワークに冷却装置を面接触させて冷却しながら成膜を行うことは不可能ではないが、高価で複雑な冷却機構が必要となり、さらに、立体的なワークの場合、その3次元的な全表面を隈なく冷却しながら成膜を行うことは著しく困難である。
【0011】
そこで、本発明者等は、近年実用化されてきている直流パルス電源を用いるプラズマCVD装置を用いて、絶縁性低温変形基材への適用を試みたところ、通常の直流プラズマCVD方法や、高周波プラズマCVD法に比べ、パルス状の直流(パルスDC)電源によるプラズマCVD方法を採用した場合、通電のデューティー比を1〜2%程度までに抑えることが可能で、温度上昇カーブを制御可能であることが判明した。
しかしながら、該装置に於いても、電気を通さない絶縁基材を電極としてその周囲にプラズマを発生させることは、他の装置同様不可能であり、前述のように、ワークの立体成膜面形状に適合させた専用のプラズマ発生電極を作成し、ワークの周囲に配置し、ワークと当該電極との間に原料ガスを供給するか、ワークから離れた場所にプラズマ発生用の電極を配置し、ワークを自公転させる機構を導入する必要がある。
【0012】
また、従来の実務上、パルスDC電源によるプラズマCVD装置に於いても、樹脂など絶縁性低温変形基材を処理する場合には、以下の(1)、(2)等の対応が必要になってくる。
(1)例えば、薄板状の絶縁性低温変形基材がワークである場合、前記ワークを、通電可能な金属基板上に載せて、前記金属基板を通電して前記ワークの周囲に電界を形成させ、プラズマを前記ワーク表面に発生させることでプラズマ処理を行うことは可能であるが、この場合、印加(通電)電圧を下げ、大電流が前記金属基板に流れて前記金属基板が昇温するのを防止する必要がある。
(2)1パルス入力における通電時間を短くし、電源のデューティー比を下げる必要がある。
【0013】
しかし、(1)の方法で対応する場合、通常金属基材の成膜では−4kV以上の電圧を印加するのに対し、変形温度が100℃前後に存在する絶縁性低温変形基材である樹脂基材を成膜するためには、−2kV程度に印加電圧を落とさなければならない。
通常金属基材での成膜に使われる−4kV以上の印加電圧というのは、被成膜基材へのイオン注入加速度を上げることで、基材と非晶質炭素膜の密着や、当該膜の硬さなどの制御を行うために必要な電圧である。
ところが前記−2kV程度の印加電圧では、形成された非晶質炭素膜は前記樹脂基材との密着が悪く、最悪の場合、市販のセロハンテープなどを貼付して引き剥がすと非晶質炭素膜が前記樹脂基材から膜が剥がれてしまうケースもある。
また、(2)の方法で対応する場合、例えば、パルス周波数10kHz、パルス幅を通常10μsとするところを、パルス幅を1μs、または、2μs程度まで引き下げることになり、通電している時間が短いため、成膜に要する時間が10μs時の3〜4倍以上(成膜レートの著しい低下)を要することになる。
このように、上記(1)、(2)のいずれの方法で対応する場合も、樹脂等の絶縁性低温変形性基材への成膜は効率が悪く、出来上がった物の品質も要求水準と比較すると不十分なものであった。
【0014】
以上のように、自公転等の回転機構、並びに基材冷却装置を使用せず、絶縁物(通電しにくい基材含む)、特に、より低温で変形する樹脂やゴム等の基材の全面、ならびに選択された任意の面をプラズマ処理可能にする装置がないのが現状である。
本発明は、こうした従来技術における課題を解決するものであって、自公転等の回転機構、並びに基材冷却装置を使用せず、多用な形状の絶縁物、特に耐熱性の低い絶縁物に、短時間で効率的にプラズマ成膜、及び改質処理可能な方法及びそのための装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、被処理物が絶縁物である場合において、下記(1)〜(4)のプラズマ処理方法の組合せが有効に成立することを見出した。
(1)プラズマCVD装置の反応容器を他方電極とする。この反応容器内には被処理物が配置される。
(2)前記他方電極を兼ねる前記反応容器内に配置される前記被処理物の処理必要面に対して、前記被処理物の処理必要面に向けて発生させたプラズマが失活しない一定距離を置いて一方電極を設置する。
(3)前記一方電極は、金属メッシュ、金属スリット、金属コイル等の形状とする。
(4)プラズマ発生電圧の印加に於いては、高圧マイクロパルスDC電源を使用する。
この高圧マイクロパルスDC電源は
(a)通電間隔や、連続通電時間をμ秒単位で制御可能なものとする。
(電源のデューティー比の制御が可能)
(b)よって、前記一方電極や被処理物である基材処理必要面の昇温を
制御し易い。
(c)高電圧を瞬時パルス状に前記一方電極に印加可能で、被処理物の
処理必要面から一定距離だけ離れた場所からでも活性度の高い
プラズマを生成、供給が可能である。
という特徴を有する。
【0016】
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]真空排気された反応容器内に原料ガスを導入し、
該反応容器内に設置された一方電極に電圧を印加することにより、前記原料ガスをプラズマ化すると共に、前記反応容器内に設置された被処理基材上で反応を起こさせる方法において、
前記一方電極の少なくとも一部を、原料ガスが透過可能な電極とするとともに、前記一方電極が被処理基材と直接接触しないように配置し、且つ、前記一方電極にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。
[2]前記原料ガスが透過可能な電極の形状が、メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状であることを特徴とする前記[1]のプラズマ発生方法。
[3]前記被処理基材が、半導体基材又は絶縁性基材であることを特徴とする前記[1]又は[2]のプラズマ発生方法。
[4]前記被処理基材が、低温で変形する基材であることを特徴とする前記[1]又は[2]のプラズマ発生方法。
[5]前記被処理基材が立体形状を有するものであって、前記原料ガスが透過可能な電極が、該被処理基材を囲むように配置されていることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかのプラズマ発生方法。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかのプラズマ発生方法を用いることを特徴とする成膜方法。
[7]被処理基材上に非晶質炭素膜を成膜することを特徴とする前記[6]の成膜方法。
[8]前記[1]〜[5]のいずれかのプラズマ発生方法を用いることを特徴とする表面改質方法。
[9]真空排気可能であり、かつ内部に被処理基材を収容可能な反応容器と、
前記反応容器内にプラズマ生成源となる原料ガスを導入する手段と、
前記反応容器内に設置された一方電極と、
前記一方電極に対向する他方電極と、
前記一方電極と前記他方電極との間に電圧を印加する手段と、
を備え、前記反応容器内に導入後の前記原料ガスを前記電圧印加手段により発生した電界によってプラズマ化させると共に、前記反応容器内に設置された前記被処理基材の表面と前記プラズマとの間で反応を起こさせる装置において、
前記一方電極の少なくとも一部が、前記原料ガスが透過可能な電極であり、且つ、前記一方電極と前記他方電極との両電極が前記被処理基材と直接接触しないようにそれぞれ所定距離で離間配置されており、
前記印加する電圧が、パルス状のDC電圧であることを特徴とするプラズマ発生装置。
[10]前記原料ガスが透過可能な電極の形状が、メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状であることを特徴とする前記[9]のプラズマ発生装置。
[11]前記被処理基材が、半導体基材又は絶縁性基材であることを特徴とする前記[9]又は[10]のプラズマ発生装置。
[12]前記被処理基材が、低温で変形する基材であることを特徴とする前記[9]又は[10]のプラズマ発生装置。
[13]前記被処理基材が立体形状を有するものであって、前記原料ガスが透過可能な電極が、該被処理基材を囲むように配置されていることを特徴とする前記[9]〜[12]のいずれかのプラズマ発生装置。
[14]前記[9]〜[13]のいずれかのプラズマ発生装置を用いること特徴とする成膜装置。
[15]被処理基材上に非晶質炭素膜を成膜する装置であることを特徴とする前記[14]の成膜装置。
[16]前記[9]〜[13]のいずれかのプラズマ発生装置を用いることを特徴とする表面改質装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下の(ア)〜(ウ)の効果を奏する。
(ア)絶縁物、又は導電性が低く、基材自体の周囲に自らプラズマを形成しにくい基材で、特に低温での成膜が必要な基材への処理を、真空装置内の回転機構、冷却機構無しで実現できる。
(イ)特に、印加電圧、パルスデューティー比などの条件が、従来の金属基材での処理の時と同条件でも被処理基材の温度が上昇せず、低温での処理が必要な絶縁性の基材の処理を早めることができ、装置の稼働率を上げることが可能になる。
(ウ)補助電極を任意の部分に配置することにより、プラズマによる選択的な部分成膜、改質が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】非晶質炭素膜の成膜装置の第1の実施形態を模式的に示す図
【図2】非晶質炭素膜の成膜装置の第2の実施形態を模式的に示す図
【図3】非晶質炭素膜の成膜装置の第3の実施形態を模式的に示す図
【図4】絶縁性低温変形基材からなる立体形状ワークへの成膜における、該ワークとメッシュ電極の配置を示す図
【図5】上左写真はPET底部外周部分とPPキャップ部分の成膜前の写真であり、上右写真は非晶質炭素膜成膜後のPET底部外周部分、下側写真は非晶質炭素膜成膜後のPPキャップ部分を撮影した写真の拡大画像である。
【図6】ワークのPET底部外周部分に配置した評価用ガラス小片上に形成された非晶質炭素膜のラマン分光スペクトル解析の結果を示す図
【図7】ワークのPP製キャップ部分に配置した評価用ガラス小片上に形成された非晶質炭素膜のラマン分光スペクトル解析の結果を示す図
【図8】絶縁性基材からなる立体物のプラズマ表面改質における、ワークとメッシュ電極の配置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の方法は、真空排気された反応容器内に原料ガスを導入し、該反応容器内に設置された一方電極に電圧を印加することにより、前記原料ガスをプラズマ化すると共に、前記反応容器内に設置された被処理基材上で反応を起こさせる方法において、 前記一方電極の少なくとも一部を、原料ガスが透過可能な電極とするとともに、前記一方電極が被処理基材と直接接触しないように配置し、且つ、前記一方電極にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の装置は、真空排気可能であり、かつ内部に被処理基材を収容可能な反応容器と、前記反応容器内にプラズマ生成源となる原料ガスを導入する手段と、前記反応容器内に設置された一方電極と、前記一方電極に対向する他方電極と、前記一方電極に電圧を印加する手段と、を備え、前記反応容器内に導入後の前記原料ガスを前記電圧印加手段により発生した電界によってプラズマ化させると共に、前記反応容器内に設置された前記被処理基材の表面と前記プラズマとの間で反応を起こさせる装置において、前記一方電極の少なくとも一部が、前記原料ガスが透過可能な電極であり、且つ、前記一方電極と前記他方電極との両電極が前記被処理基材と直接接触しないようにそれぞれ所定距離で離間配置されており、前記印加する電圧が、パルス状のDC電圧であることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、一方電極の少なくとも一部が、前記原料ガスが透過可能な、メッシュ状などの「空間」を伴う電極とすることにより、プラズマ発生時にプラズマ原料ガスの供給確保と同時に、プラズマの電子雪崩にて生成される余剰電子を効率良く排出させ、余剰電子の閉塞によるプラズマの高密度化、プラズマの局所的に濃い状態(ホロカソードの発生)を防止できる。
本発明の一実施形態におけるワークを低温変形絶縁物とした場合、電極等の発熱物がワークに直接接触しないため、また、真空装置内であり、発熱する電極等からの熱が対流によりワークへ伝播しにくい為、基材の冷却機構等を用いることが不要になる。
また、本発明の一実施形態に於いて、被処理基材が立体形状を有するものである場合、前記原料ガスが透過可能な電極を、該被処理基材を囲むように配置することにより、従来の高価で、保守コストの大きい煩雑な自公転機構、また、ワーク形状に対する互換性に乏しい特定のワーク専用の電極などを用いることなく、さまざまな立体形状を有する被処理基材への適用が可能なプラズマ発生方法及び装置が実現可能となる。
【0021】
上記の本発明のプラズマ発生方法及びプラズマ発生装置は、前記反応容器内に設置された前記被処理基材に対し、前記プラズマ、特にプラズマイオンやラジカルからの反応生成物を前記被処理基材表面上に堆積させる成膜方法又は成膜装置、あるいは、前記プラズマイオンや前記ラジカルを照射して前記被処理基材表面を浄化或いは改質する表面改質方法及び表面改質装置に用いられる。
【0022】
以下、本発明のプラズマ発生方法及びプラズマ発生装置について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の方法及び装置を、非晶質炭素膜成膜方法に用いた装置の1つの実施形態を模式的に示す図である。
図中、1は、反応容器、2は、被処理基材(「ワーク」ということもある)、3は、一方電極、4は、該一方電極に接続された、原料ガス透過性電極(「補助電極」ということもある)、5は、高圧DCパルス電源、6は、反応容器底面に設けられた、被処理基材を支持又は載置するための絶縁性の支持手段、をそれぞれ示している。
図1に示す装置においては、高圧DCパルス電源5は、一方電極3(カソード電極)に電気的に接続されており、一方電極3の先端には、補助電極4が電気的に接続されている。一方、反応容器1は接地(アース)されて、一方電極3の対極(アノード電極)となっている。そして、補助電極4は、被処理基材2を覆うように配置されるともに、被処理基材と接触しないように配置されており、他方の対極である反応容器1も、絶縁性の支持手段6を介して、被処理基材2と接触しないように配置されている。
【0023】
図2は、本発明の装置の他の実施形態を示すものであり、前記支持手段6が、一方電極3の端部に設けられており、支持手段6により被処理基材2を吊すように変更されたものであって、補助電極4は、被処理基材2を覆うように配置されるともに、両電極が被処理基材2と接触しないように配置されている点は同じである。
なお、補助電極4は、一方電極3から通電されるように配置される。
【0024】
また、図3は、本発明の装置のもう1つの他の実施形態を示すものであり、前記補助電極4が、被処理基材2の一部のみを覆うように変更されたものであって、該装置によれば、補助電極に覆われた所定部分にのみ成膜することができるものである。
【0025】
なお、図1〜3に示す実施形態においては、被処理基材2を囲むように配置された前記補助電極4を一方電極3に接続し、他方、反応容器1の内壁を他方電極として電気的に接地し、前記一方電極3にパルス状のDC電圧を印加するようにしているが、他方電極はこれらの実施形態に限定されることなく、例えば、反応装置内に必要に応じた位置、形状、素材にて追加して設けるようにしても良いことはいうまでもない。
【0026】
本発明において、原料ガスが透過可能な補助電極の形状としては、具体的には、メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状が挙げられ、特に、メッシュ電極である場合は、自由に変形することができるので、好適に用いられる。
材質は、導電性を有していれば特に限定されず、鉄や、タングステン鋼、ステンレス鋼などの合金、その他めっき処理やスパッタ、蒸着などの薄膜表面処理の為された導電物のみならず、炭素などの導電性材料も用いることができる。
また、メッシュ電極の場合、そのメッシュの開口率は、40%〜90%、好ましくは、60%〜90%である。また、メッシュを構成するワイヤの太さは直径10μm〜5mm、開口幅は10μm〜5cmであり、開口率がこれ以上小さいと補助電極の形状にもよるが、補助電極内でのホロカソードの発生や異常放電を誘発するとともに、原料ガスの供給効率が落ちる。また、大きすぎるとプラズマの発生密度が低下し、連続した面への処理や充分なワークへの成膜レートを確保することが困難となる。
【0027】
図1に示す実施形態においては、原料ガスが透過可能な補助電極は、被処理基材と接触しないように、且つ、被処理基材の少なくとも一部を覆うように配置されている。例えば、被処理基材の形状が円筒であれば、補助電極も円筒状のものを用いるのが好ましいが、補助電極の形状は該実施形態に限定されない。
【0028】
また、被処理絶縁性低温変形基材との距離は、前記被処理基材の大きさ、形状にもよるが、成膜速度、原料ガスの供給効率、補助電極で発生したプラズマのワークに到達するまでの間の失活やクラスター発生防止、補助電極からの熱の真空中でのワークへの放射、距離が近すぎる場合の補助電極の影による不均一な膜厚の発生防止などの観点から0.5cm〜10cmが好ましい。
【0029】
本発明において印加するパルス状のDC電圧は、成膜目的、表面改質目的にもよるが、周波数:1kHz〜10kHz、パルス間隔:1μs〜10μs、印加電圧:−2kV〜−20kVであり、好ましくは、−3kV〜−15kVである。
【0030】
本発明の方法・装置により成膜される被処理基材としては、絶縁物(通電しにくい基材含む)、特により低温で変形するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂やゴム、セルロースなど有機材料をはじめ、ガラス、シリコン、セラミックス等の無機系材料等、用途に応じてあらゆる材料を用いることができる。
【0031】
本発明の方法・装置を用いてこれらの基材上に非晶質炭素膜を成膜する際には、基材のクリーニング用のガスとしてアルゴンなどの不活性ガス、反応ガスとして、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素系ガス、トリメチルシラン、テトラメチルシランなどシリコン等を含む炭化水素系のガスなど、プラズマ発生源となる多様なガスを用いることができる。また、キャリアガスとしては、アルゴンガス、水素ガスなどを用いることができる。
【0032】
成膜する際のガス濃度、基材の温度、圧力、成膜時間などの各種条件は、プラズマ処理
を行う基材、成膜する非晶質炭素質膜の膜組成、表面粗さ、膜厚等に応じて適宜設定される。
その他のプラズマ成膜、及び改質処理を行う場合の原料ガスは、プラズマ化できれば用途に応じて適宜選択可能である。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例及び参考例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
本実施例では、絶縁性低温変形基材からなる立体形状ワークへの全面成膜(但し、ワーク保持部分を除く)を行った。
市場で流通しているPETボトル(株式会社ニチレイフーズ アセロラシーライフ280ml、本体PET、キャップ部 PPと記載)の一部を切り出し、この切り出し片をワークとし、この立体形状になっているワークを所定範囲の距離だけ前記ワークから離したメッシュ電極で囲い、高圧パルスプラズマCVD装置の反応容器中に前述の図2の方法にて配置し、メッシュ電極に通電し前記ワーク表面に非晶質炭素膜を成膜した。
【0035】
〈成膜方法条件〉
(1)メッシュ電極:ステンレス鋼(SUS304)製メッシュ容器
金網線径:約230μm 、開口幅:約1.2mm
配置の概要を、図4に示す。
ワーク処理表面からメッシュ電極までの距離は、短い部分で10mm、長い部分で
32mmとなっている。
なお、図4では省略されているが、ワークを含むメッシュ電極は、高圧パルスプラ
ズマCVD装置の円筒形反応容器に収容されており、この反応容器がグランドとな
り他方電極となっている。
前記メッシュ電極の側面と前記高圧パルスプラズマCVD装置の円筒形反応容器の
側壁(グランドを兼ねている)との距離は、同心放射円状に概ね20cm、前記メ
ッシュ電極の底部と前記高圧パルスプラズマCVD装置の円筒形反応容器の底部と
の距離は概ね32cmになるよう配置した。
(2)プラズマ成膜方法
(i)高圧パルスプラズマCVD装置 真空排気後到達圧力:1×10−3Pa
(ii)印加電圧:−2.5kVから―4、5kVまで順次昇圧
パルス周波数10kHz、パルス幅10μs
通常、高圧パルスプラズマCVD装置で低温で変形するワークを成膜する場合、パ
ルス幅を短くし、時間をかけて急速な温度上昇を抑えながら成膜するが(電源のデ
ューティー比:1%〜2%)、本実施例では、比較的高温にて成膜可能なもの(金
属等)に成膜する場合のパルス幅10μs(電源のデューティー比:10%)を使
用した。
(iii)原料ガス:C 30SCCM ガス圧:2Pa
(3)成膜時間 3分間
【0036】
〈サンプル〉
ワークのPET底部外周部分(メッシュ電極と成膜面との距離10mm部分)と、PPキャップ部分(円筒状のキャップ本体の円筒胴体曲面を有する面部分に於いて、メッシュ電極とPPキャップ成膜面との距離25mm部分)とに、絶縁物であるガラス小片を添付し、形成される非晶質炭素膜の評価サンプルとした。ガラス小片を評価サンプルに使用するのは、ワークと同様絶縁素材であり、薄膜の膜厚測定などに平滑な表面を持つサンプルが必要なためである。
評価サンプルのガラス小片は、サイズは5mm×5mm、厚さ1mmとし、膜厚測定用と、ラマン分光スペクトル解析用の計2個を、ワークのPET底部外周部分と、PPキャップ部分(図示しない)にそれぞれ2個づつ両面テープで貼り付けた。また、温度計測用のサーモラベルのPET底部外周部分への貼り付け位置、及びメッシュ電極の配置等については、図4を参照されたい。
【0037】
〈結果〉
(1)図5上左側の写真は、非晶質炭素膜成膜前のPET底部外周部分とPPキャップ部分を撮影したものであり、図5上右側の写真は、非晶質炭素膜成膜後のPETボトル底部(メッシュ電極との距離13mm〜32mm部)の成型模様の部分拡大写真であり、図5下側の写真は、非晶質炭素膜成膜後のPETボトルのキャップ部分(PP製)の部分拡大写真である。
本実施例では、所定の印加電圧−4、5kVまで、異常放電も発生せず、ワークの表面の細かい3次元的な凹凸を含む曲面に奇麗な連続性のある非晶質炭素膜が成膜できた。
さらに、メッシュ電極の金網模様は転写されていないことも確認できた。
該メッシュ電極が、ワークに接触していると、非晶質炭素膜が不連続となり、ガスバリア性等、所望の効果が発現できなくなることになり、さらには、通電して過熱したメッシュ電極によりワークが熱変形する等の損傷を受ける場合がある。
(2)上記条件にて形成した非晶質炭素膜を、ワークであるPETボトル底部外周付近に添付したガラス小片による評価サンプル、及びワークのPP製キャップ部分に配置したガラス小片による評価サンプルにて評価した。
【0038】
(i)成膜された炭素膜の厚さ
測定機器に、VEECO社製 触針式表面形状測定器 「DEKTAK150 スタイラス プロファイラ」を用いて測定した結果、PETボトル底部外周付近に添付した評価用ガラスサンプルの任意3点の平均非晶質炭素膜厚は32nm(成膜レート:10.6nm/min)であり、ワークのPP製キャップ部分に配置した評価用ガラスサンプルの任意3点の平均非晶質炭素膜厚は46nm(成膜レート:15.4nm/min)であった。
ワークのPP製キャップ部分等のレートは、導電性ワーク自体に電圧を印加し、プラズマを発生させ成膜する場合の成膜レート概ね18nm/minに迫る成膜レートであり、本件実施例に於いて、成膜レートを著しく損なうことなく、非晶質炭素膜が形成可能であることが確認できた。
(ii)ラマン分光スペクトル解析
図6、図7に、ラマン分光スペクトル解析の結果を示す。なお、解析装置は日本分光製NRS-3300を使用した。図6がワークのPET底部外周部分に配置したガラスサンプル上に形成された非晶質炭素膜のラマン分光スペクトル、図7が、ワークのPP製キャップ部分に配置したガラスサンプル上に形成された非晶質炭素膜のラマン分光スペクトルである。
この図6、図7から、双方とも非晶質炭素膜が形成されていることが確認できた。
一般的な非晶質炭素膜のラマン分光スペクトルは1540cm-1付近に主ピークと1390cm-1付近にショルダーバンドを持つが、図6、図7双方とも2つのピークがフィッティングで確認されており、形成された膜が非晶質炭素膜の構造を持っていると考えられる。
(iii)耐熱性
上記PETボトル底部外周付近に添付したサーモラベルは、60℃に達したことを示す色に変色していないことが確認できた。従って、PETの耐熱変形温度より十分低い温度にてPET表面に非晶質炭素膜を成膜できたと判断される。
なお、円筒状の金属メッシュ電極の外部側(収容部の外側)で、PETボトル底部外周付近に貼り付けた評価用ガラスサンプルと対向する位置にサーモラベルを添付し、成膜終了後の温度を併せて確認した。
この位置は前述のようにメッシュ電極で作られた収容部の外側に位置するため、前記評価用ガラスサンプルへの非晶質炭素膜形成に影響を与えない。
その結果、前記金属メッシュ電極上に直接貼り付けたサーモラベルは、PETやPPの耐熱変形温度をはるかに超える160℃に達したことを示す色の変色が確認された。
【0039】
本実施例により、上記メッシュ電極で形成された空間中に絶縁物を配置した場合に於いて、被成膜ワークの温度を上昇させず、原料ガスの供給を確保しつつ、ホロカソードなど異常放電の発生を抑制し、非晶質炭素膜の成膜に必要な高電圧を印加することができ、その結果良質な非晶質炭素膜の成膜が可能であることを確認できた。
【0040】
(参考例)導電性ワークへの成膜
実施例1と同じメッシュ電極を使用し、内容物をアルミ箔で作成した同形状ワークとし、実施例1と同様に配置して非晶質炭素膜を成膜した。導電物の内容物に通電させるため、キャップ部の保持用碍子は、ワークが同じ位置に配置できるように固定した。
〈プラズマ成膜方法〉
(1)高圧パルスプラズマCVD装置 真空排気後到達圧力:1×10−3Pa
パルス周波数10kHz、パルス幅:10μs
(2)原料ガス:アセチレン ガス流量:30SCCM
ガス圧2Paにて、印加電圧−2kVから成膜を開始したところ、メッシュ電極の底部(キャップ付近)に激しい異常放電が発生し、成膜の継続が即不能となり、印加電圧を−1.5kVまで引き下げたが、異常放電は終息せず成膜を中止した。
【0041】
(実施例2)
本実施例では、絶縁性基材からなる立体物へのプラズマ表面改質を行った。
下記のメッシュ電極中に非晶質炭素膜の付着した直径約5cmの円筒状の碍子を投入し、下記の条件にて、アルゴンプラズマによるスパッタリングにて表面改質(碍子表面に予め付着していた非晶質炭素膜の剥離)を行った。
1.メッシュ電極
ステンレス鋼(SUS304)製メッシュ容器 金網線径:約230μm、開口幅:約1.2mmを使用した。ワーク、電極の配置の概要を、図8に示す。
なお、碍子は、耐熱性を有するため、碍子を置いた底部にも同様のステンレス鋼(SUS304)製金網を用いた。
2.アルゴンプラズマスパッタリング条件
(1)高圧パルスプラズマCVD装置 真空排気後到達圧力:1×10−3Pa
(2)印加電圧:−4kV(10分間)、−4、5kV(15分間)、−4kV(10
分間)で3回に分けて繰り返し、計35分間
パルス周波数10kHz、パルス幅10μs
(3)原料ガス:アルゴンガス ガス流量:30SCCM ガス圧:2Pa
【0042】
〈測定方法〉
炭素膜がスパッタリングにて剥離される非晶質炭素膜の厚さ量は、投入した碍子の上部に配置した非晶質炭素膜成膜済、炭素膜厚測定済のSi(100)のサンプル片上の非晶質炭素膜表層の一部を市販の油性マーカー(「マジックインキ」(登録商標))で部分被覆し、アルゴンガスプラズマを照射、油性マーカー被覆部分とアルゴンガスプラズマに暴露された部分の段差を測定する方法にて実施した。
段差測定装置は、VEECO社製 触針式表面形状測定器 「DEKTAK150 スタイラス プロファイラ」を用いた。
【0043】
〈結果〉
段差を測定した結果、326nmの段差が確認でき、非晶質炭素膜がアルゴンガスプラズマにてエッチィングされたことが確認できた。
【符号の説明】
【0044】
1:反応容器
2:被処理基材(ワーク)
3:一方電極
4:原料ガス透過性電極(メッシュ電極、補助電極)
5:高圧DCパルス電源
6:絶縁性の支持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空排気された反応容器内に原料ガスを導入し、
該反応容器内に設置された一方電極に電圧を印加することにより、前記原料ガスをプラズマ化すると共に、前記反応容器内に設置された被処理基材上で反応を起こさせる方法において、
前記一方電極の少なくとも一部を、原料ガスが透過可能な電極とするとともに、該一方電極が被処理基材と直接接触しないように配置し、且つ、前記一方電極にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。
【請求項2】
前記原料ガスが透過可能な電極の形状が、メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生方法。
【請求項3】
前記被処理基材が、半導体基材又は絶縁性基材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ発生方法。
【請求項4】
前記被処理基材が、低温で変形する基材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ発生方法。
【請求項5】
前記被処理基材が立体形状を有するものであって、前記原料ガスが透過可能な電極が、該被処理基材を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマ発生方法。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ発生方法を用いることを特徴とする成膜方法。
【請求項7】
被処理基材上に非晶質炭素膜を成膜することを特徴とする請求項6に記載の成膜方法。
【請求項8】
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ発生方法を用いることを特徴とする表面改質方法。
【請求項9】
真空排気可能であり、かつ内部に被処理基材を収容可能な反応容器と、
前記反応容器内にプラズマ生成源となる原料ガスを導入する手段と、
前記反応容器内に設置された一方電極と、
前記一方電極に対向する他方電極と、
前記一方電極と前記他方電極との間に電圧を印加する手段と、
を備え、前記反応容器内に導入後の前記原料ガスを前記電圧印加手段により発生した電界によってプラズマ化させると共に、前記反応容器内に設置された前記被処理基材の表面と前記プラズマとの間で反応を起こさせる装置において、
前記一方電極の少なくとも一部が、前記原料ガスが透過可能な電極であり、且つ、前記一方電極と前記他方電極との両電極が前記被処理基材と直接接触しないようにそれぞれ所定距離で離間配置されており、
前記印加する電圧が、パルス状のDC電圧であることを特徴とするプラズマ発生装置。
【請求項10】
前記原料ガスが透過可能な電極の形状が、メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状であることを特徴とする請求項9に記載のプラズマ発生装置。
【請求項11】
前記被処理基材が、半導体基材又は絶縁性基材であることを特徴とする請求項9又は10に記載のプラズマ発生装置。
【請求項12】
前記被処理基材が、低温で変形する基材であることを特徴とする請求項9又は10に記載のプラズマ発生装置。
【請求項13】
前記被処理基材が立体形状を有するものであって、前記原料ガスが透過可能な電極が、該被処理基材を囲むように配置されていることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項14】
前記請求項9〜13のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置を用いることを特徴とする成膜装置。
【請求項15】
被処理基材上に非晶質炭素膜を成膜する装置であることを特徴とする請求項14に記載の成膜装置。
【請求項16】
前記請求項9〜13のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置を用いることを特徴とする表面改質装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−38723(P2012−38723A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156221(P2011−156221)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(593135365)太陽化学工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】