説明

プラズマCVD装置及び方法

【課題】本発明は、より大型な基板に膜厚均一性に優れた高品質薄膜を形成できるプラズマCVD装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】反応容器内に、直線形状又は中央で折り返した形状の誘導結合型電極を配置したプラズマCVD装置であって、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部の間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、前記誘導結合型電極の電極径を変化させるか、給電部から接地部までの少なくとも一部の電極径を10mm以下とするか、又は電極を誘電体で被覆したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマCVD装置及び方法に係り、特に、誘導結合型電極を用い、膜厚均一性に優れた薄膜を形成するプラズマCVD装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池はクリーンなエネルギー源として注目され期待されているが、その普及を図るためにはコストダウンが不可欠であり、そのために大型基板に高品質で均一膜厚のa−Si膜を高いスループットで形成できる薄膜形成装置が強く望まれている。
【0003】
a−Siのような薄膜の形成には、平行平板型(容量結合型)のプラズマCVD装置が実用化されている。
平行平板型のプラズマCVD装置では、一つの電極板に対し対向する一面しか成膜することができない。
このため同一成膜室内で二面に同時成膜を行いたい場合には、成膜室内に二つの高周波電極を設置し二つの放電領域を形成し両面成膜を行うのがせいぜいである。放電領域数を増加させて多領域とするアイデアもあるが、現実的には構造の複雑さや保守性の悪さ等、平行平板型電極の採用に伴う問題点が原因となって、実現が非常に難しい。
【0004】
また、基板の大型化とともに形成される薄膜の膜厚均一性が著しく低下してしまい、所望の特性の太陽電池が得られなくなるという問題がある。
【0005】
膜厚均一性の高い薄膜作製を行うには、基板全体で均一密度のプラズマを形成する必要があり、このために様々な検討がなされてきた。しかし、平行平板型電極方式では、基板の大型化に伴い電極が大型化すると、均一密度のプラズマ形成は容易でなく、その理由として、次のような原理上の問題が挙げられている。
【0006】
すなわち、平行平板型電極では、均一密度のプラズマを形成するには、基板全体にわたり電極間距離を精度良く維持して配置する必要があるが、これは基板が大型化すると極めて困難となる。
【0007】
さらには、電極が大きくなるとその表面に定在波が発生してしまい、このためプラズマが分布してしまう場合がある。
これは、VHF帯等のより高い周波数を用いる場合には一層顕著になる。このような理由から、例えば80MHzの高周波の場合、基板の大きさは0.3mx0.3mが限界といわれている(U.Kroll et al.,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.vol 557(1999)p121−126)。
【0008】
そこで、プラズマ維持メカニズムが容量結合型とは全く異なり、上記容量結合型固有の電極間距離精度等の問題が起こることがなく、しかも高品質膜の高速成膜に有利なVHF帯の高周波を用いて高いプラズマ密度を発生できる誘導結合型のプラズマCVD法が提案されている。
【0009】
具体的には、梯子形状の電極(特開平4−236781号公報)や導電性線材をジグザグに多数回折り曲げた電極(特許第2785442号公報)等の電極を用いた誘導結合型電極方式のプラズマCVD装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−236781号公報
【特許文献2】特許第2785442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、本発明者らが、上記構造の電極を含め、種々の誘電結合型電極を検討したところ、例えば、梯子形状やジグザグに折り曲げた誘導結合型電極は、基板の大型化に対応して大きくなると、電流経路が均一となりにくく、また、予期できない場所に部分的に定在波が発生してしまうため、プラズマ密度を均一にするのは難しく、従来の誘導結合型電極方式で大面積基板に対応するのは困難であることが分かった。
【0012】
そこで、本発明者らは、誘導結合型電極について、プラズマ均一化の基本的検討を行い、上記従来の誘電結合型電極では、問題となった定在波を逆に利用した電極構造を開発した。この電極は、例えばU字型電極の一端に給電部を設け、他端を接地する構造とし、接地部及び給電部と折り返し部との距離を高周波の励起波長の1/2として、電極上の定められた位置に定在波を立たせる構成とするものである(特願平11−255219号)。このような構成で、プラズマを発生させ薄膜を形成すると、電極の長手方向に沿って、給電部側から徐々に減少した後増加し、極大をとって再び減少する膜厚分布が得られる。この分布は、高周波電力の減衰と定在波の効果とが相乗的に作用する結果と考えられるが、この膜厚分布には再現性があるため、所望の膜厚均一性が得られる領域だけを利用し、この領域と同程度の大きさの基板を配置して均一膜厚の薄膜を形成するというものである。
【0013】
この成膜方法は、電極周辺に発生するプラズマの均一な密度領域を利用するものであるため、基板寸法に比べて電極は当然に長くなり、装置自体もその分大きなものとなる。その一方で、省スペース化、保守容易性や装置コストの観点から、装置の小型化に対する要望は強く、そのためには、電極長手方向のより広い範囲で均一なプラズマを形成可能な電極構造及び装置が必要となる。
【0014】
また、プラズマCVD装置で安定した薄膜形成を連続して行うには、内壁等に付着する膜が剥離する厚さになる前にクリーニング等を行い、定期的に付着膜を除去する必要があるが、U字型電極構造の場合、給電部近傍でのプラズマ密度が高くなることから、給電部近傍の内壁に付着する膜量が多くなり、クリーニング頻度が高いという問題があることが分かった。
【0015】
本発明は、かかる状況に鑑み、より大型な基板に膜厚均一性に優れた高品質薄膜を形成できるプラズマCVD装置及び方法を提供することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、電極長手方向のプラズマ均一領域を拡大し得る電極構造及び電力供給方法を提供し、これにより、同じ装置寸法で、より大きな基板に膜厚均一性に優れた薄膜形成可能なプラズマCVD装置及び方法を実現することにある。また、係る薄膜を高いスループットで形成できるプラズマCVD装置及び方法を提供することを目的とする。さらに、装置内壁等に付着する膜を抑制してクリーニング周期を延長し、生産性の高いプラズマCVD装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成すべく、本発明者は、プラズマ密度の均一領域の拡大を図るため、高周波電力の給電方法、電極構造、成膜条件等を種々検討する中で、U字型電極の径により放電領域が拡大縮小し、さらに給電部近傍のプラズマ密度が相対的に変化することを見出した。また、電極径が部分的に異なる電極を用いてプラズマを発生させたところ、電極径の大きさに対応したプラズマ密度の濃淡が生じる傾向があることが分かった。また、U字型電極を誘電体で被覆すると、被覆の仕方によって、形成される薄膜の膜厚分布は特異な変化を示すことを見出した。本発明は、かかる知見を基に、プラズマの均一化及び膜厚均一化の検討をさらに進めて完成したものである。
【0017】
すなわち、本発明のプラズマCVD装置は、反応容器内に、直線形状又は中央で折り返した形状の誘導結合型電極を配置したプラズマCVD装置であって、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、前記誘導結合型電極の給電部から接地部までの少なくとも一部の電極径を10mm以下としたことを特徴とする。
【0018】
このように、給電部と接地部との距離又は給電部及び接地部と折り返し部との距離Lを、高周波電力の励振波長λとの間で、nを自然数としたとき、L=n・λ/2の関係が略成立するように設定することにより、安定したプラズマの発生・維持が可能となり、電極上の所定の位置に均一なプラズマ密度を形成することができる。
【0019】
さらに、電極径を10mm以下で細くするほど、少ない投入電力で放電領域を伸ばすことができ、より大型の基板に対応することができる。しかも、給電部近傍でのプラズマ密度が相対的に低くなるため、その周辺の内壁に堆積する付着膜量が減少し、その結果、クリーニング周期が延びることになる。このように、電極径は10mm以下であれば、特に制限はないが、取扱い、取付け容易の観点から、1mm〜10mmとするのが好ましい。また電極径を変化させても良い。
【0020】
なお、上記励振波長λと距離Lとの間の関係において、λは励振周波数fと真空中における電波伝搬速度cとによって決定される真空中におけるλとは厳密には異なっている。本発明者らの検討によれば、λは第一近似としてはλで求まるものの、電極をとりまく誘電体やプラズマの誘電率や幾何学的構造等にも影響を受ける。
【0021】
また、本発明のプラズマCVD装置は、反応容器内に、直線形状又は中央で折り返した形状の誘導結合型電極を配置したプラズマCVD装置であって、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、前記誘導結合型電極の電極径を変化させたことを特徴とする。
【0022】
1つの電極内で電極径を変化させると、プラズマの強度がそれに応じて変化する傾向にあるため、同一径の電極を用いた場合に生じるプラズマ密度の濃淡に対応して電極径を部分的に変えることにより、プラズマ密度の均一化を図ることができる。この場合、電極径を10mm以下とすることにより、放電領域を拡大しかつプラズマを均一化できるため、より大型の基板に膜厚均一性に優れた薄膜を形成することが可能となる。
【0023】
すなわち、本発明のプラズマCVD装置は、反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状の誘導結合型電極を配置したプラズマCVD装置であって、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、前記誘導結合型電極の表面の一部又は全体を誘電体で被覆したことを特徴とする。
【0024】
誘電体で電極表面を被覆することにより、電極長手方向のプラズマ密度分布をより均一化できることになる。即ち、電極径を変化させる場合と同様の効果が得られ、同じ装置寸法で、より大型の基板に均一膜厚の薄膜を形成することが可能となる。すなわち、装置の小型化が達成されることになる。
【0025】
また、前記誘電体は電極長手方向に厚みを変化させるのが好ましい。
特に給電部付近で膜厚が厚くなると言う現象を抑制するため、給電部に近い電極部を厚い誘電体で覆い、その厚みを徐々に薄くしていったり、電極中央付近で膜厚が厚くなるという現象を抑制するために、中央付近を厚い誘電体で覆い、その端部をテーパー形状とし、誘電体の端ほど誘電体の厚みが減少する形状とするのが好ましい。これにより、誘電体端部での急激なインピーダンス変化が抑えられ、より均一密度のプラズマを形成することが可能となる。あるいは、前記電極の長手方向に沿ってらせん形状に電極を被覆しても良い。これにより、誘電体端部でのプラズマ密度が平坦化され、電極に沿ったプラズマ密度は一層均一化する。
【0026】
本発明のプラズマCVD装置は、前記誘導結合型電極を同一平面内に、複数個平行に配置したことを特徴とする。基板の幅方向に複数の電極を配置することにより、簡単な構成でどのような幅の基板にも均一な薄膜形成が可能となる。
【0027】
この場合、前記複数の誘導結合型電極の給電部において、高周波の位相を常に同じ関係が保たれるように構成するのが好ましい。これは、各電極の位相が制御された状態にないと、基板幅方向において再現性のない不均一な分布が生じ易くなるからである。特に、隣り合う電極間で逆位相とするのが好ましい。電極間で位相を交互に逆位相とすることで、膜厚均一性は一層向上する。すなわち、隣り合う電極間の高周波電力の相互作用により、基板幅方向のみならず、電極長手方向の膜厚均一性もさらに向上する。
【0028】
さらに、本発明のプラズマCVD装置は、前記誘導結合型電極を複数の層に配置し、各層の両側に基板を配置したことを特徴とする。上記誘導結合型電極を用いることにより、容量結合型の場合とは異なり装置の巨大化や保守性の悪化を招くことなく、いわゆる多領域成膜方式を採用することができ、多数の基板面上に同時成膜することが可能な装置を構築することが可能となる。その結果、スループットが大幅に向上し、例えば太陽電池の低コスト化に大きく貢献する。
【0029】
また、本発明のプラズマCVD装置は、反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状の誘導結合型電極を複数個平行に配置したプラズマCVD装置であって、前記複数の誘導結合型電極の各々の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部及び接地部を設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と前記折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、隣り合う電極の給電部に供給する高周波電力の位相が互いに逆位相となるようにしたことを特徴とする。
【0030】
逆位相とする方法は、電極を誘電体で覆っていない場合にも有効であり、電極中央付近に膜厚の厚い領域が生ずる現象が抑制される。
【0031】
一方、本発明のプラズマCVD法は、反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状を有する誘導結合型電極を配置し、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記誘導結合型電極の給電部から接地部までの少なくとも一部の電極径を10mm以下とするか、あるいは前記誘導結合型電極の電極径を変化させ、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給して前記反応容器内に導入された反応性ガスのプラズマを発生させ、該反応性ガスの構成元素の少なくとも1つを含む薄膜を形成することを特徴とする。
【0032】
また、本発明のプラズマCVD法は、反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状を有しかつその表面の一部又は全体を誘電体で被覆した誘導結合型電極を配置し、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給して前記反応容器内に導入された反応性ガスのプラズマを発生させ、該反応性ガスの構成元素の少なくとも1つを含む薄膜を形成することを特徴とする。
【0033】
さらに、本発明のプラズマCVD法は、反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状の誘導結合型電極を複数個平行に配置し、前記複数の誘導結合型電極の各々の両端部に高周波電力の給電部と接地部とを設け、隣り合う電極の給電部に供給する高周波電力の位相を互いに逆位相とし、かつ前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と前記折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給して前記反応容器内に導入された反応性ガスのプラズマを発生させ、該反応性ガスの構成元素の少なくとも1つを含む薄膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明のプラズマCVD法により、すなわち、折り返し形状の誘導結合型電極の給電部から折り返し部までの少なくとも一部を10mm以下とし、定在波が立つように高周波電力を供給してプラズマを発生させることにより、電極長手方向に放電領域を拡大することができ、より大型の基板への薄膜形成が可能となる。電極径を細くすることにより、より小さな電力でプラズマが発生し、また同じ電力を投入した場合、電極径の細いほうがより速い成膜速度を実現できる。さらには、給電部近傍でのプラズマ密度を低減することができるため、給電部近傍の装置内壁に付着する膜を減少させ、クリーニング頻度を大きく下げることができる。
【0035】
また、電極径を変化させ、又は電極を誘電体で被覆することにより、電極長手方向でプラズマ密度を部分的に調整でき、より一層、膜厚均一性に優れた薄膜を形成することが可能となる。
【0036】
さらには、誘導結合型電極を複数配置し、一つおきに逆位相となる高周波電力を供給することにより、膜厚均一性を一層向上させることが可能となる。
【0037】
これにより、クリーニング頻度が少なくてすみ、しかも大型基板に膜厚均一性の高い薄膜を形成可能なプラズマCVD装置を実現することが可能となる。
【0038】
本発明の誘導結合型電極を複数層に配置しその両側に基板を配置する構成とすることにより、高スループットのプラズマCVD装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明のプラズマCVD装置の第1の実施形態を示す模式的断面図である。
【図2】図2は、誘導結合型電極の電極形状の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明のプラズマCVD装置の第2の実施形態を示す模式的断面図である。
【図4】図4は、誘電体の被覆形状の一例を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明のプラズマCVD装置の第3の実施形態を示す模式的断面図である。
【図6】図6は、本発明のプラズマCVD装置の第4の実施形態を示す模式的側面断面図である。
【図7】図7は、実施例1の膜厚分布を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例2の膜厚分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に本発明の実施の形態を図を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明のプラズマCVD装置の第1の実施形態を示す模式的断面図である。図に示すように、プラズマCVD装置は、ガス導入口5と排気口6を有する成膜室1に、外径10mm以下でU字型に折り曲げられた誘導結合型電極2が配置され、その一端の高周波電力の給電部9を同軸ケーブル8を介して高周波電源7に接続し、他端の接地部10を成膜室の壁に連結して接地する。
【0041】
ここで、給電部9及び接地部10と折り返し部4との間の長さは、高周波の励振波長の略1/2又はその自然数倍に定められる。これにより、安定して放電を発生・維持することができる。なお、図1に示すU字型電極の場合、折り返し部とは曲率を有する半円状の部分をいう。
【0042】
本実施形態の誘導結合型電極としては、図1に示したように、外径10mm以下のSUS、Al、Cu製等の棒(線)状または管状の導体をU字型に折り返した形状のもの以外に、例えば「コ」の字型のような矩形のものでも良い。また、電極全体が導体である必要はなく、例えば、絶縁体を導体で被覆した形態のものであっても良い。本発明の中央で折り返した形状の電極は、例えば一本の棒材を折り曲げて一体に形成したものである必要はなく、例えば2本の直線状電極を金属板等で接続・固定した構造であっても良い。なお、コの字型電極の場合、折り返し部とは、間の直線部をいう。
【0043】
本実施形態の電極は、例えば図2に示すように、給電部から折り返し部までの少なくとも一部の電極径が10mm以下であれば、他の部分は10mmより太くても良い。従って、電極全体にわたって同一径であっても、長手方向に変化させてもよく、例えば、給電部から徐々に径が増加する形状であっても良い。また、電極径の下限は特に制限はなく、投入電力等との関係で電極が断線することなく安定して放電を持続できるものであればどのような細線でも良いが、取扱い、取付け容易性から、電極径1mm〜10mmのものが好適に用いられる。
【0044】
例えば、給電側の電極を10mmより細くすることにより、放電領域をより小さい投入電力で先端部(折り返し部)側に拡げることができる。この結果、より広い成膜領域が形成され、大型基板への成膜が可能となる。
【0045】
また、給電側の電極径を小さくすることにより、給電部近傍のプラズマ密度が相対的に減少する。即ち、成膜領域に対する給電部近傍のプラズマ密度比が小さくなるため、エネルギーが効率的に成膜に使われ、また給電部近傍の装置内壁に付着する膜量が抑えられることになる。そして、内壁に付着する膜厚が剥離する膜厚になるまでの成膜回数が増加するため、メンテナンス周期が伸び、全体的な生産性を向上させることが可能となる。
【0046】
次に、図1に示したプラズマCVD装置を用いて、基板上に薄膜を形成する方法を説明する。
【0047】
まず、ガス導入口5から所定の流量の反応性ガスを成膜室1に導入し、排気口6部に設けられたメインバルブ(不図示)を調節して所定の圧力に設定した後、高周波電源7から給電部9に高周波電力を供給する。高周波の周波数を定在波が立つように調節すると、電極2に沿ってプラズマが発生する。プラズマは電極2に沿って給電側及び接地側から電極先端部(折り返し部)に向かって伸び、反応性ガスは、プラズマにより分解・活性化され、電極2に対向する位置に配置された基板11上に膜厚均一性に優れた薄膜が堆積する。ここで、給電側の電極径を10mm以下とすることにより、より小さい電力で電極先端部まで放電が伸びる。また、同じ電力を投入した場合、電極径の細い方が速い成膜速度が得られる。さらに、給電部付近のプラズマ密度は低くなるため、内壁への膜の付着量が減少することになる。
【0048】
以上は、給電側の電極径を10mm以下とする場合について述べてきたが、本実施形態の誘導結合型電極は、これに限らず、10mm以上であっても、電極の径が電極長手方向に変化する形状のものであれば用いることができる。即ち、同一径で、中央で折り返した形状の電極を用いると部分的にプラズマに濃淡が生じるが、この濃淡分布に対応して電極径を変化させることにより、プラズマの濃淡比を減少させ、膜厚の均一性を向上させることができる。
【0049】
従って、電極径を変化させるとともに10mm以下の部分を設けることにより、放電領域拡大の効果とプラズマ均一化の効果とが得られることになり、一層大型の基板に均一膜厚の薄膜形成が可能となる。
【0050】
(第2の実施形態)
図3は、本発明のプラズマCVD装置の第2の実施形態を示す模式的断面図である。装置構成は、誘導結合型電極を除いて図1の装置構成と同じであり、誘導結合型電極2の表面はテフロンのような誘電体3で被覆されている。
【0051】
誘電体は、図3に示すように、電極全面を被覆するように形成してもよいが、電極表面の一部のみを被覆しても良い。いずれの場合も、膜厚均一性を向上させることができ、プラズマ密度分布(或いは膜厚分布)のパターンに応じて、誘電体形成位置及びその形状等が定められる。
【0052】
例えば、電極全面を誘電体で被覆すると、高周波電力の伝搬に伴う減衰の効果と定在波との効果との相乗的作用に起因して出現すると考えられる膜厚分布の極大が減少し、所定の膜厚が得られる成膜範囲が拡大する。さらに、誘電体の厚さを電極長手方向に変化させることにより、得られる薄膜の膜厚均一性を更に向上させることができる。
【0053】
また、誘電体を電極表面全体ではなく、例えば、図4(a)に示したように、給電部側の直線部にのみ形成しても良い。これにより、給電部側でのプラズマ密度の増大が抑えられ、電極全体としてプラズマ密度が平均化され、膜厚均一性が向上する。
【0054】
さらに、プラズマ密度が高くなる電極部分のみに設けることにより、電極長手方向に沿ってより膜厚均一性のある薄膜形成が可能となる。ここで、被覆する誘電体の厚さによっては、誘電体端部でプラズマ密度が増大し、対応する基板上の位置で膜厚分布のピークが現れる場合がある。この場合には、図4(b)に示したように、誘電体端部での断面をテーパー形状とし、誘電体端部に向かって徐々に誘電体の厚みを薄くする形状とするのが好ましい。これにより、端部に対応する部分での膜厚ピークの出現が抑えられ、膜厚分布は更に改善される。あるいは、図4(c)に示すように、電極長手方向に沿って、誘電体をらせん形に被覆しても良く、誘電体端部でのプラズマ密度が平均化され、同様に膜厚分布は改善される。
【0055】
なお、誘電体の厚さは、その誘電率(材質)により、プラズマ密度分布(膜厚分布)の程度に応じて適宜選択されるが、例えばテフロンの場合0.1mm程度以上が好適に用いられる。誘電体は、プラズマ、熱に対して安定なものであれば、テフロンのような有機系材料、アルミナ、石英のような無機系材料等のどのような材質のものでも良いが、高周波損失の大きな材料は好ましくない。
【0056】
本実施形態においては、誘導結合型電極として、図1に示した折り返し形状の電極に限らず、直線状の電極を用いることもできる。この場合は、一端を供給部、他端を接地部として成膜室の対向する壁に取り付け、この2点間距離Lを高周波の励振波長λとの間で、L=n・λ/2(nは自然数)の関係が略成立するように設定する。
【0057】
以上、第1の実施形態及び第2の実施形態で述べてきたように、誘導結合型電極を、1)給電部から接地部までの少なくとも一部の電極径を10mm以下とする、2)電極径を変化させる、3)誘電体で被覆することにより、またこれらを組み合わせることにより、より大型の基板に対し、膜厚均一性に優れた薄膜を形成することが可能となる。
(第3の実施形態)
本発明のプラズマCVD装置の第3の実施形態を図5に示す。
【0058】
図1及び3に示したPCVD装置は、成膜室に誘導結合型電極を1つ配置する構成としたが、基板の幅が大きい場合には、図5に示すように、複数の電極を基板幅に対応して平行に配列し、各々の電極に高周波電力を供給できるようにすればよい。なお、図5において、12は基板ホルダである。
【0059】
ここで、各電極の給電部で、高周波の位相が制御された状態となるように高周波電力を供給するのが好ましい。各電極の位相が制御された状態にないと基板幅方向に再現性のない不均一な膜厚分布が発生し易くなる。さらに、隣り合う電極間で逆位相となるように(即ち、位相を180°ずらして)高周波電力を供給するのがより好ましい。隣り合う電極間で高周波の位相を逆転させることにより、基板全体で特性の揃った均一膜厚の薄膜を形成することができる。以上はU字型のような折り返し形状を有する電極に限らず、直線状の棒状電極を用いた場合も同様である。
【0060】
なお、逆位相の高周波を、複数の電極に交互に供給する方法としては、複数の電極の一つおきに、給電部と折り返し部の長さ(直線形状の電極の場合は、給電部と接地部との長さ)を高周波の半波長分長くして給電部を成膜室外に設けるか、又は半波長分の長さに等価な同軸ケーブルを給電部に継ぎ足せばよい。また、高周波電源に移相器を設けて、半波長ずれた高周波を1つおきに供給してもよい。逆位相の高周波を入力することにより、基板幅方向のみならず電極長手方向の膜厚均一性は一層向上する。
【0061】
(第4の実施形態)
本発明のプラズマCVD装置の第4の実施形態を図6に示す。
【0062】
本実施形態のプラズマCVD装置は、図5に示した基板幅に配列した電極列を、さらに所定の間隔を開けて複数層に配置し、各電極層の両側に基板を配置したものである。このような構成とすることにより、多数の基板(図の例では、6枚)上に薄膜を同時に形成することが可能となり、スループットを大幅に上げることができる。しかも、電極と基板間距離は30〜60mm程度と短くできるため、装置設置面積に対するスループット比の優れた薄膜形成装置を実現することができる。
【0063】
なお、本発明においては、30〜300MHzのVHF帯の高周波電源が好適に用いられる。
【実施例】
【0064】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
図5に示す構造の装置において、種々の外径の棒材をU字型又はコの字型に加工して配置し、種々の条件でプラズマを発生させて薄膜を形成するとともに、発生するプラズマ状態を目視で観察した。
【0065】
本実施例では、外径1、4、6、10mmのSUS又はCu製棒又は管を中心間距離が30mmとなるように折り返して、長さ1570mmのU字型又はコの字型とし、図4(a)に示したように、給電側の表面をテフロンチューブで被覆した電極を用いた。この電極6本を、隣接する棒材の中心間距離を30mmとして、図5に示すように同一平面内に取り付け、電極表面と基板表面との間隔を40mmとして、基板11(1200mmx500mm)を配置した。なお、電極の給電部はフィードスルーの成膜室内部側端子に連結し、接地部は成膜室内壁に連結した。
【0066】
この成膜室1内部にSiHガスを200sccmを導入し、1Paに設定した後、交互に逆位相の高周波を供給し、定在波を立たせるように周波数を調節してプラズマを発生させ、a−Siの薄膜を基板11上に形成した。このときの高周波の周波数は85MHzであり、真空中の半波長(=1765mm)は、給電部9と折り返し部4との間の長さL(=1570mm)と異なるが、これはプラズマの比誘電率が真空と異なるからであり、この周波数で安定した放電が確認されている。
【0067】
なお、外径1mmの電極は、Cu線を用い、テフロンの厚さを2mmとし、外径4、6、10mmの電極については、ステンレス棒材を用い、テフロンの厚さを1mmとした。なお、電極形状は、1mm、10mm径の場合U字型とし、4mm、6mm径の電極はコの字型とした。
【0068】
1〜10mm径の各電極について、投入電力を変化させたときの放電領域の変化を目視観察した結果を表1に示す。また、形成した薄膜について、基板中心部における電極長手方向の膜厚分布を測定した結果の一例を図7に示す。
【0069】


表1が示すように、電極径が大きいほど、放電領域を電極先端側に広げるにはより大きな投入電力が必要となり、低い電力では放電領域が伸びないか、あるいは安定した放電を維持できない傾向があることが分かる。逆に、電極が細いほど、低い電力で安定した放電を維持できるとともに、放電領域が伸び成膜領域を拡大できることが分かる。図7は異なる電極径を用いて成膜速度の変化を比較したグラフである。図7において、φ6mmとφ10mmは電極1本あたり25W、φ4mmは13.75W投入している。図7の膜厚分布からも明かなように、電極径を10mm以下とし、所定の電力を供給することにより、広い範囲にわたって均一な膜厚分布を得ることができる。また、同じ電力を投入した場合、電極径が細いほど速い成膜速度が得られることが分かる。このことから、細い電極ほどエネルギーの利用効率が高くなると思われる。
【0070】
また、表1には示していないが、電極径を小さくするほど、給電部付近のプラズマは暗くなり、成膜領域のプラズマの明るさに近づく現象が観察された。これは、図7の膜厚分布において、電極が太い場合には給電部(図の左端の外側の位置)に向かって成膜速度が大きく上昇するのに対し、電極が細くなるほど成膜速度上昇の程度が減少することと一致する。
【0071】
(実施例2)
本実施例では、誘電体被覆及び給電方法の違いにより膜厚分布が変動する様子を説明する。
【0072】
図5に示す構成のプラズマCVD装置を用いて、ガラス基板上にa−Siの成膜を行った。本実施例では、直径10mmのSUS製丸管を中心間距離が30mmとなりように折り返して、長さ1570mmのU字型とし、その表面全面を厚さ1mmのテフロンチューブで被覆した電極を用いた。この電極6本を、隣接する丸管の中心間距離を30mmとして図5に示すように同一平面内に取り付け、電極表面と基板表面との間隔を40mmとして、基板11(1200mmx500mm)を配置した。
【0073】
この成膜室1内部にSiHガスを200sccmを導入し、1Paに設定した後、全電極に同位相、又は交互に逆位相の高周波を25Wずつ供給し、定在波を立たせるように周波数を調節してプラズマを発生させa−Siの薄膜を基板上に形成した。他の条件は実施例1と同じである。
【0074】
得られた薄膜について、基板中心部における電極長手方向の膜厚分布を測定した。その結果を図8に示す。なお、比較のため、誘電体を被覆しない電極を用いて同様に薄膜を形成した場合についても併せて図8に示した。
【0075】
各グラフの電極構成及び高周波供給方法は、(a)電極被覆なし、同位相、(b)電極被覆なし、逆位相、(c)電極テフロン被覆、同位相、(d)電極テフロン被覆、逆位相であり、横軸は基板上の電極長手方向の位置、縦軸は規格化した膜厚を示す。
【0076】
図8が示すように、テフロンで被覆した電極を用いることにより、高周波の減衰と定在波との相乗効果に起因する基板位置800mm付近のピークは消失し、膜厚均一性は大きく改善されることが分かる。また、逆位相の高周波電力を1つおきに供給することにより、膜厚均一性はさらに向上することが分かる。
【0077】
このように、1mm厚のテフロンを均一に電極全面に形成し、逆位相の高周波を供給する装置構成とすることにより、従来に比べ膜厚分布を大幅に改善することが可能となるが、さらに誘電体の膜厚を電極長手方向に変化させるか、あるいは誘電体を部分的に形成することにより、1200mm若しくはそれ以上の大型基板でもより一層均一性の高い薄膜を形成することが可能となる。
【0078】
以上の実施例で述べたように、直径10mm以下のU字型またはコの字型電極を用い、あるいは誘電体で被覆した電極を用いることにより、プラズマ領域をより一層拡大し、かつ均一化することが可能となる。しかも、給電部近傍での装置内壁への付着膜の形成を抑えることが可能となることから、メンテナンス周期が伸び、生産性が向上することになる。
【符号の説明】
【0079】
なお、図において、1は成膜室、2は誘導結合型電極、3は誘電体、4は折り返し部、5はガス導入口、6は排気口、7は高周波電源、8は同軸ケーブル、9は高周波電力給電部、10は接地部、11は基板、12は基板ホルダーを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
応容器内に、直線形状又は中央で折り返した形状の誘導結合型電極を配置したプラズマCVD装置であって、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、前記誘導結合型電極の給電部から接地部までの少なくとも一部の電極径を10mm以下としたことを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項2】
前記給電部から接地部までの少なくとも一部の電極径を1mm〜10mmとしたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項3】
前記誘導結合型電極の電極径を変化させたことを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項4】
反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状の誘導結合型電極を配置したプラズマCVD装置であって、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、前記誘導結合型電極の電極径を変化させたことを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項5】
前記誘導結合型電極の表面の一部又は全体を誘電体で被覆したことを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項6】
反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状の誘導結合型電極を配置したプラズマCVD装置であって、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、前記誘導結合型電極の表面の一部又は全体を誘電体で被覆したことを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項7】
前記誘電体の厚さを電極長手方向に変化させたことを特徴とする請求の範囲第5項又は第6項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項8】
前記誘電体の端部において、その断面をテーパー状としたことを特徴とする請求の範囲第5項又は第6項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項9】
前記誘電体を電極の長手方向に沿ってらせん形状に被覆したことを特徴とする請求の範囲第5項〜第8項のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項10】
前記高周波は60MHz以上の高周波であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第9項のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項11】
複数の前記誘導結合型電極を、同一平面内に平行に配置したことを特徴とする請求の範囲第1項〜第10項のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項12】
前記複数の誘導結合型電極の各々において、所定の位相の関係が保たれるように高周波電力を供給する構成としたことを特徴とする請求の範囲第11項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項13】
前記複数の誘導結合型電極の隣り合う電極の給電部において、高周波の位相が互いに逆位相となるように高周波電力を供給する構成としたことを特徴とする請求の範囲第12項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項14】
反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状の誘導結合型電極を複数個平行に配置したプラズマCVD装置であって、前記複数の誘導結合型電極の各々の両端部に高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と前記折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、隣り合う電極の給電部に供給する高周波電力の位相が互いに逆位相となるようにしたことを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項15】
前記誘導結合型電極を複数の層に配置し、各層の両側に基板を配置したことを特徴とする請求の範囲第1項〜第14項のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項16】
反応容器内に、直線形状又は中央で折り返した形状を有する誘導結合型電極を配置し、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記誘導結合型電極の給電部から接地部までの少なくとも一部の電極径を10mm以下とし、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給して前記反応容器内に導入された反応性ガスのプラズマを発生させ、該反応性ガスの構成元素の少なくとも1つを含む薄膜を形成することを特徴とするプラズマCVD法。
【請求項17】
前記給電部から接地部までの少なくとも一部の電極径を1mm〜10mmとすることを特徴とすることを特徴とする請求の範囲第16項に記載のプラズマCVD法。
【請求項18】
前記誘導結合型電極の電極径を変化させることを特徴とすることを特徴とする請求の範囲第17項に記載のプラズマCVD法。
【請求項19】
反応容器内に、直線形状又は中央で折り返した形状を有する誘導結合型電極を配置し、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記誘導結合型電極の電極径を変化させ、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給して前記反応容器内に導入された反応性ガスのプラズマを発生させ、該反応性ガスの構成元素の少なくとも1つを含む薄膜を形成することを特徴とするプラズマCVD法。
【請求項20】
前記電極の表面の一部又は全体を誘電体で被覆することを特徴とする請求の範囲第16項〜第19項のいずれか1項に記載のプラズマCVD法。
【請求項21】
反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状の誘導結合型電極を配置し、前記誘導結合型電極の両端部にそれぞれ高周波電力の給電部と接地部とを設け、前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給する構成とし、かつ、前記誘導結合型電極の表面の一部又は全体を誘電体で被覆したことを特徴とするプラズマCVD法。
【請求項22】
複数の前記誘導結合型電極を、同一平面内に平行に配置し、前記複数の誘導結合型電極の各々において、所定の位相の関係が保たれるように高周波電力を供給することを特徴とする請求の範囲第16項〜第21項のいずれか1項に記載のプラズマCVD法。
【請求項23】
前記複数の誘導結合型電極の隣り合う電極の給電部において、高周波の位相が互いに逆位相となるように高周波電力を供給することを特徴とする請求の範囲第22項に記載のプラズマCVD法。
【請求項24】
反応容器内に、直線形状又は中央で折返した形状の誘導結合型電極を複数個平行に配置し、前記複数の誘導結合型電極の各々の両端部に高周波電力の給電部と接地部とを設け、隣り合う電極の給電部に供給する高周波電力の位相を互いに逆位相とし、かつ前記給電部と接地部との間又は前記給電部及び接地部と前記折り返し部との間に半波長若しくはその自然数倍の定在波が立つように高周波電力を供給して前記反応容器内に導入された反応性ガスのプラズマを発生させ、該反応性ガスの構成元素の少なくとも1つを含む薄膜を形成することを特徴とするプラズマCVD法。
【請求項25】
前記誘導結合型電極を複数の層に配置し、各層の両側に基板を配置することを特徴とする請求の範囲第16項〜第24項のいずれか1項に記載のプラズマCVD法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−7239(P2012−7239A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151674(P2011−151674)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【分割の表示】特願2001−584602(P2001−584602)の分割
【原出願日】平成13年5月17日(2001.5.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】