説明

プラズマCVD装置

【課題】 基板の表面に、膜質及び膜厚が均質な膜を生成する。
【解決手段】 チャンバー10内の陽極11aに対向する陰極14を、陽極11aの中央部に対向する中央電極14aと、陽極11aの周辺部に対向するリング状の周辺電極14bとで構成している。また、陽極11aの外周を囲むように、絶縁体12を配置している。成膜の開始時には、アークの発生を予防するために、中央電極14aと陽極11aとの間の電圧を周辺電極14bと陽極11aとの間の電圧よりも高くし、陽柱光が発生した後、中央電極14aと陽極11aとの間の電圧を周辺電極14bと陽極11aとの間の電圧未満にする。これにより、プラズマの中央部の温度が周辺部に対して高くなることが防止される。絶縁体12は、アークに起因する電流が基板1の側面に流れることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマCVD装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを発生して処理対象体の表面に成膜するプラズマCVD装置には、対向する1対の電極間に直流電圧を印加してプラズマを発生して、基板に膜を形成するDCプラズマCVD装置や、交流駆動のACプラズマCVD装置があった。
【特許文献1】特開2004−143542号公報
【0003】
特許文献1のプラズマCVD装置では、リング状に形成された陽極及び陰極が交互に配置され、互いに等電位の複数の陰極及び互いに等電位の複数の陽極の中心孔に円筒状の処理対象体が挿入されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構造のプラズマCVD装置では、中段の陰極は、斜めに位置する二つの陽極によって電界が形成されるが、上段または下段に位置する陰極は、一つの陽極によって電界が形成されるため、円筒状の処理対象体の上端部又は下端部は、円筒状の処理対象体の中央部に比べて電界強度が弱くなってしまい、さらに、円筒状の処理対象体の中央部が上端部及び下端部に挟まれているのに対して、上端部及び下端部は、一方が開放されているので放熱しやすい。そのため、円筒状の処理対象体の表面では、中央部と上端部及び下端部とでプラズマ温度が不均一になって活性種濃度にばらつきが生じることがあり、生成される膜の膜質や膜厚が場所によって不均一になることがある。このようなプラズマCVD装置で、炭素原子で構成された電界放出膜を形成すると、その表面で均等に電子が放出できないといった問題を生じてしまっていた。このような課題は、装置を大型化して電極を大きくすると、その傾向が顕著になる。
【0005】
また、基板や処理対象体の温度を放射温度計を用いて測定しつつ、電極間に与えるエネルギーを調整する成膜方法では、プラズマ自体の熱放射を考慮することで、基板や処理対象の温度を正確に測定できる。しかしながら、位置ごとにプラズマの発生する放射にばらつきがあれば、その分、基板や処理対象の温度の測定が不正確になる。
【0006】
一方、例えば陽極であるステージ上に、ステージよりも小さい処理対象体となる基板を載置して上方に配置された1つの陰極との間でプラズマを発生させる場合、基板面積に対して陽光柱を十分な大きさにするためには、陽極と陰極の間の距離を長くとる必要がある。しかしながら、陽極と陰極の間の距離を長くとることにより、陽極と陰極とに印加する電圧が高くなり、基板を介したステージと陰極との間だけでなく、基板の周囲で露出されるステージと陰極との間に強い電界が生じ、局所的なアーク放電や火花放電の発生頻度が高まってしまう。基板以外でのアーク放電や火花放電が発生すると、電力消費の無駄が発生するばかりではなく、プラズマの状態が不均一になり、均一な膜の生成が阻害される危険性もある。
【0007】
本発明は、均一な膜の生成を可能とするプラズマCVD装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る請求項1のプラズマCVD装置は、
プラズマを発生させて処理対象体の表面に所定の処理を施すプラズマCVD装置であって、
第1の電極と、
前記第1の電極に対向して配置され、該第1の電極との間に前記プラズマを発生させる複数の第2の電極と、
前記各第2の電極と前記第1の電極との間の電圧又は電流値をそれぞれ個別に任意の値に設定する出力設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプラズマCVD装置であって、
前記処理対象体は、平板状の基板であり、前記第1の電極の前記複数の第2の電極に対向する面に載置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のプラズマCVD装置であって、
前記複数の第2の電極は、前記第1の電極の中央部に対向する中央電極と、該第1の電極の周辺部に対向する周辺電極とで構成され、
前記出力設定手段は、立ち上がり時に、前記所定の処理の開始時には前記中央電極と前記第1の電極との間の電圧又は電流値を、前記周辺電極と該第1の電極との間の電圧又は電流値よりも高く設定する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマCVD装置であって、
前記複数の第2の電極は、前記第1の電極の中央部と対向する前記中央電極と、該第1の電極の周辺部に対向する周辺電極とで構成され、
該中央電極と該第1の電極との間に陽光柱が形成された後に、該中央電極と該第1の電極との間の電圧又は電流値を、該周辺電極と該第1の電極との間の電圧又は電流値未満にする、
ことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る請求項5のプラズマCVD装置発明は、
プラズマを発生させて処理対象体の表面に所定の処理を施すプラズマCVD装置であって、
第1の電極と、
前記第1の電極に対向して配置され、該第1の電極との間に前記プラズマを発生させる複数の第2の電極と、
前記第1の電極の外周を近接して囲むリング状の絶縁体と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る請求項5のプラズマCVD装置発明は、
プラズマを発生させて処理対象体の表面に所定の処理を施すプラズマCVD装置であって、
第1の電極と、
前記第1の電極に対向して配置され、該第1の電極との間に前記プラズマを発生させる複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、リング状をなし、該第1の電極の側面を前記第2の電極に対して隠すリング状の絶縁体と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載のプラズマCVD装置であって、
前記絶縁体は、石英をはじめとした耐熱性酸化物、耐熱性窒化物、および耐熱性炭化物で形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項5乃至7に記載のプラズマCVD装置であって、
前記第1の電極に対向する前記第2の電極は複数であり、
前記各第2の電極と前記第1の電極との間の電圧をそれぞれ個別に任意の電圧又は電流値を設定する出力設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の観点に係る請求項9のプラズマCVD装置は、
プラズマを発生させて処理対象体の表面に所定の処理を施すプラズマCVD装置であって、
第1の電極と、
前記第1の電極に対向して配置され、該第1の電極との間に前記プラズマを発生させ、且つ互いに離間している第2の電極及び第3電極と、
前記第2の電極と前記第3の電極との間に配置された絶縁部と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項9に記載のプラズマCVD装置であって、
前記絶縁部は、前記第2の電極及び前記第3電極の互いに対向する側壁に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アーク放電や火花放電等の異常放電の発生を抑制するとともに、処理対象体に対する温度ばらつきと活性種密度のばらつきを抑制するので、均一な表面処理が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のプラズマCVD装置の実施形態に係る直流プラズマCVD装置の概要を示す構成図である。
【0020】
この直流プラズマCVD装置は、処理対象の基板1の表面に膜を形成する装置であり、基板1を外気から遮断するためのチャンバー10を備えている。
チャンバー10内には、テーブル11が配置され、テーブル11の上部に円板状の陽極11aが取付けられている。テーブル11は、陽極11aとともに軸11xを軸に回転するように設定されている。基板1は、陽極11aの上側表面に固定される。
【0021】
チャンバー10内には、アークの発生を抑制するための絶縁体12がテーブル11の周囲に設けられている。絶縁体12は、石英ガラスやアルミナ等の耐熱性酸化物、窒化アルミ、窒化珪素等の耐熱性窒化物、および炭化珪素等の耐熱性炭化物で構成されている。
図2は、基板1とテーブル11の陽極11aと絶縁体12とを示す平面図である。絶縁体12は、支持体13によって陽極11aと同じ高さに支持され、その内周側で陽極11aの外周を囲んだリング状に形成されている。絶縁体12の外径Dは、陰極14の最外径Dcの1.2倍以上の長さになっている。
尚、絶縁体12は、陰極14と陽極11aの側面との間において、異常放電(アーク放電、火花放電)の発生を抑制するものであり、陽極11aの陰極14と対向する面に載置されて陰極14に対して陽極11aの側面を隠すようにしてもよい。
【0022】
陽極11aの上方には、一定の距離を置いて陰極14が配置されている。陰極14は、陽極11aの中央部と対向する円板状の中央電極14aと、中央電極14aの外周を囲んだリング状で、中央電極14aに対して同心円をなすと共に、陽極11aの周辺部と対向する周辺電極14bと、中央電極14aと周辺電極14bとの間に隙間なく充填されているセラミック等の絶縁部14cと、を有している。中央電極14aと周辺電極14bとの間に絶縁部14cを介在させない場合、中央電極14a及び周辺電極14b間距離が十分長くないと、後述する電子放出膜を成膜している際に、基板1のみならず、互いに対向する中央電極14aの側壁及び周辺電極14bの側壁に、炭素膜が堆積してしまう。このため、絶縁部14cを介在させることによって、互いに対向する中央電極14aの側壁及び周辺電極14bの側壁に、炭素膜が堆積させることを防止している。
【0023】
図3は、陰極14を示す平面図である。陰極14の最外径Dcは、陽極11aの径Daと等しい。基板1は矩形であり、基板1が載置された円形の陽極11aの上面は一部露出している。このため、この露出している部分は、基板1を介することなく陰極14と対向している。
【0024】
チャンバー10には、窓15が形成され、その窓15には、石英ガラスがはめ込まれている。窓15は、チャンバー10内を観察するために設けられたものであり、チャンバー10の外側に、窓15の石英ガラスを介して基板1の温度を測定する放射温度計16が配置されている。
【0025】
この直流プラズマCVD装置には、原料ガスを管路17を介して導入する原料系(図示略)とチャンバー10内から気体を管路18を介して排出してチャンバー10内の気圧を調整する排気系(図示略)と、出力制御部19とを備えている。
各管路17,18は、チャンバー10に設けられた孔を通過している。その孔と管路17,18の外周との間は、シール材でシールされ、チャンバー10の内の気密性が確保されている。
【0026】
出力制御部19は、陰極14の中央電極14aと陽極11aとの間の電圧又は電流値、及び周辺電極14bと陽極11aとの間の電圧又は電流値を互いに独立して任意に設定する手段である。この出力制御部19は、中央電極14a、周辺電極14b及び陽極11aと、それぞれリード線で別々に接続されている。各リード線は、チャンバー10に設けられた孔を通過している。リード線が通されたチャンバー10の孔は、アルミナセメントでシールされている。
【0027】
出力制御部19は、制御部19aを備え、その制御部19aは、放射温度計16とリード線で接続されている。制御部19aは、起動されると、放射温度計16の測定した基板1の温度を参照し、基板1の温度が予定の値になるように、中央電極14aと陽極11aとの間の電圧又は電流値、及び周辺電極14bと陽極11aとの間の電圧又は電流値を調整する。尚、中央電極14aと陽極11aとの間の電圧又は電流値、及び周辺電極14bと陽極11aとの間の電圧又は電流値は、ユーザが設定することも可能である。
【0028】
次に、図1の直流プラズマCVD装置を用いた成膜処理例を説明する。
この成膜処理例では、図4に示すように、基板1の表面に、カーボンナノウォール21の層とカーボンナノウォール21の層上に形成された複数のダイヤモンド粒子22を含む層とからなる電子放出膜20を成膜する。
【0029】
カーボンナノウォール21は、曲面をなす花弁状(扇状)の複数の炭素薄片が起立しながら互いにランダムな方向に繋がりあって構成され、0.1nm〜10μmの厚さである。各炭素薄片は、格子間隔が0.34nmの数層〜数十層のグラフェンシートから構成される。グラフェンシートは、sp結合であり、導電性を示している。
【0030】
そして、粒径が5nm〜10nmのsp結合の複数のダイヤモンド粒子22がカーボンナノウォール21の層を覆う。ダイヤモンド粒子22同士の隙間には、導電性のsp結合の炭素材料23が介在している。
【0031】
成膜処理では、例えばニッケル板を基板1として切り出し、エタノール又はアセトンにより脱脂・超音波洗浄を十分に洗浄し、基板1を陽極11aの上に載置する。
【0032】
次に、排気系を用い、チャンバー10内を管路18を介して減圧し、続いて、原料系により、管路17から原料ガスとして水素ガスとメタン等の組成中に炭素原子を含有する化合物のガス(炭素含有化合物)とをチャンバー10内に導く。
【0033】
原料ガス中の組成中に炭素を含有する化合物のガスは、全体の3vol%〜30vol%の範囲内にあることが望ましい。例えば、メタンの流量を50SCCM、水素の流量を500SCCMとし、全体の圧力を0.05〜1.5atm、好ましくは0.07〜0.1atmにする。
【0034】
まずプラズマの立ち上げ時に、基板1を1rpmで回転させ、出力制御部19の操作部を操作し、陽極11aと中央電極14aとの間の電圧V1が、陽極11aと周辺電極14bとの間の電圧V2よりも高くなるようにして、陰極14と陽極11aとの間の電圧を設定する。このような電圧のかけ方をすることにより、陽極11aと中央電極14aとの間でプラズマの陽光柱を発生させ、また成膜初期段階でのアークの発生を予防できる。
【0035】
このように電圧又は電流の印加により、基板1の中央部分の上部に安定した陽光柱が形成されたことを確認すると、制御部19aは、陽極11aと中央電極14aとの間の電圧又は電流値が、陽極11aと周辺電極14bとの間の電圧未満又は電流値未満となるように電圧又は電流を印加して、これにより、陽極11aと中央電極14aとの間の温度と、陽極11aと周辺電極14bとの間の温度とを近似又は略一致させる。
【0036】
放射温度計16は、検知した輻射からプラズマ輻射を除いた熱輻射に基づいて正確な温度を測定する。出力制御部19は放射温度計16で測定された温度に基づいて、陽極11aと中央電極14aとの間の温度と、陽極11aと周辺電極14bとの間の温度とがより近似するように電圧又は電流値を微調整する。
【0037】
このようにして、プラズマが生じている基板1の表面温度を950℃〜1100℃に維持して、カーボンナノウォール21の成膜を行う。上述の製造方法によれば、基板1全体が均等な温度になるので、比較的均一な膜厚でかつ均一な特性のカーボンナノウォール21を形成することができる。
【0038】
カーボンナノウォール21が所望の厚さに成膜されたら、引き続きガス雰囲気を変えることなく連続して、さらに、陽極11aと中央電極14aとの間の電圧又は電流値、並びに陽極11aと周辺電極14bとの間の電圧又は電流値を、ともに下げて、且つ陽極11aと中央電極14aとの間での輻射熱及び陽極11aと周辺電極14bとの間での輻射熱を近似させる。このときも陽極11aと中央電極14aとの間の電圧又は電流値が、陽極11aと周辺電極14bとの間の電圧未満又は電流値未満となるように設定されている。
【0039】
このようにして、複数のダイヤモンド微粒子22が成膜される箇所の温度を、カーボンナノウォール21の成膜時の温度よりも10℃以上下げ、且つ890℃〜950℃、より望ましくは920℃〜940℃にすることでカーボンナノウォール21上にカーボンナノウォール21を核として成長した複数のダイヤモンド粒子22が密集してなる層が成膜される。この温度保持時間は、30分〜120分程度が好ましい。上述の製造方法によれば、基板1全体が均等な温度になるので、比較的均一な膜厚でかつ均一な性質の複数のダイヤモンド微粒子22を形成することができる。複数のダイヤモンド微粒子22同士の隙間には、導電性のsp結合の炭素材料23が介在している。
【0040】
以上のように、本実施形態の直流プラズマCVD装置は、陰極14を1つの電極ではなく、中央電極14aと周辺電極14bとで構成し、個別に印加電圧又は電流値を設定できるようにしている。このような構成を採用したことによる利点を確認するために、検証実験を行った。
【0041】
図5(a),(b)は、検証実験の実験条件を示す説明図である。
検証実験では、本実施例の陰極14を中央電極14a及び周辺電極14bで構成した場合と、比較例である一つの電極14zで構成した場合とを比較するとともに、陰極14を中央電極14a及び周辺電極14bで構成し、周辺電極14bに流れる電流を変化させて成膜状態を調べる実験とを行った。
【0042】
陰極14を1つの電極14zで構成する比較例では、図5(a)のように、電極14zを直径を120mm、厚みを10mmの円板状とし、陽極11aと平行に対向させ、電極14zの中心軸が陽極11aの中心を通るようにした。陽極11aは、円板状であり、陽極11aの上面には、絶縁体12としてリング状の石英ガラスを載置し、陰極14に対して陽極11aの外縁部及び側面を隠している。絶縁体12の内周は、直径が120mmの円形になっており、そこから陽極11aが円形に露出している。陽極11a上に、処理対象の基板1を陽極11aの中央に載置した。基板1は、一辺が60mmの正方形のものである。
【0043】
陰極14を中央電極14a及び周辺電極14bで構成する本実施例では、図5(b)のように、陽極11a及び絶縁体12の構成は図5(a)と同様である。陰極14を構成する中央電極14aを、直径が83.8mmの厚みが10mmの円板状とし、その中央電極14aを絶縁体12から露出した陽極11aに平行に対向させ、中央電極14aの中心軸が陽極11aの露出した部分の中心を通るようにした。さらに、周辺電極14bは、外径が120mm、内径が93.8mmで厚みが10mmの円環状であり、中央電極14aと同じ高さに支持すると共に、中央電極14aと同心になるように配置し、中央電極14aの外周面を周辺電極14bの内周面で囲むようにした。中央電極14aの外周面と周辺電極14bの内周面との間には、5mmの隙間が形成されている。処理対象の基板1を載置した。基板1は、一辺が60mmの正方形のものである。
【0044】
陰極14を中央電極14a及び周辺電極14bで構成した本実施例と一つの電極14zで構成した比較例とを比較する実験では、チャンバー10の外側に、放射温度計16の他にデジタルカメラ30を配置し、図1の窓15の石英ガラスを介してチャンバー10の内部を撮影し、陽光柱の発生の状態を観察した。
【0045】
図6(a),(b),(c)は、陽光柱の発生状況を示す図である。
陰極14を一つの電極14zで構成した場合、図6(a)のように、絶縁体12から露出した陽極11a全体を覆う陽光柱、つまりφ120mmの陽光柱を発生させるためには、電極14zと陽極11aとの距離が85mm以上必要であった。このときの電極14zと陽極11aとの間の電圧は900(V)であり、電極14zと陽極11aとの間の電流は、11A(0.097A/cm)であった。このような状態では、1,100℃において基板温度と活性種密度のバランスが崩れナノウォールの合成ができなかった。
【0046】
これに対して、図6(b)に示す陰極14を中央電極14aと周辺電極14bとで構成した本実施例において、比較例と同様の陽光柱を形成する際に、陰極14(陽極中央電極14a及び周辺電極14b)と陽極11aとの距離は70mmと比較例よりも15mm短くすることができた。このため、陰極14を中央電極14aとの間の電圧を720(V)、陰極14を周辺電極14bとの電圧を680(V)と一つの電極で構成した場合と比べて低く抑えられたため、異常放電の発生を防ぐことができた。このときの中央電極14aに流れる電流5.5A(電流密度0.1A/cm)、周辺電極14bに流れる電流はそれよりも少ない5.0A(電流密度0.11A/cm)であった。このような状態(陰極14と陽極11aとの間に電圧を印加してから例えば200分経過後)での基板1の中央部(図中センター)とその周辺部(図中サイド)との温度差は、15℃であった。
【0047】
これに対し、図6(c)に示す陰極14を中央電極14aと周辺電極14bとで構成した本実施例において、図6(b)と同様に、陰極14(陽極中央電極14a及び周辺電極14b)と陽極11aとの距離は70mmと設定して、陰極14を中央電極14aとの間の電圧を730(V)、陰極14を周辺電極14bとの電圧を725(V)に設定した。このときの陽光柱は、図6(b)の時よりも幅広であった。中央電極14aに流れる電流5.5A(電流密度0.1A/cmに)、周辺電極14bに流れる電流はそれよりも大きい6.0A(電流密度0.11A/cm)であった。このような状態(陰極14と陽極11aとの間に電圧を印加してから例えば200分経過後)での基板1の中央部(図中センター)とその周辺部(図中サイド)との温度差は5℃となり、均一な温度にすることができたので中央部と周辺部での膜質をより均等化できた。
【0048】
即ち、陰極14を中央電極14aと周辺電極14bとで構成することは、陰極14を電極14zで構成した場合よりも、陽極11aと陰極14との距離を短くして陽光柱を形成することができる。よって、陰極14を中央電極14aと周辺電極14bとで構成すると、陽極11と陰極14とに印加する電圧が低くてよく、アーク放電や火花放電の発生頻度を抑制することができる。
【0049】
その上、中央電極14aに対して流す電流に対して、周辺電極14bに流す電流を少なくして基板1の中心に集中した陽光柱を発生させて、その後に、周辺電極14bに与える電力を増加させて周辺電極14bに流す電流を増加させると、成膜の初期に発生する局所的なアーク放電を防ぎ、その後に陽光柱を必要な大きさに成長させることができる。
【0050】
よって、陰極14を電極14zで構成する場合よりも、陰極14を中央電極14a及び周辺電極14bで構成する場合は、基板1の温度を均一にできる。また、中央電極14aに流す電流に対して周辺電極14bに流す電流を多くすると、より一層、基板1の温度を均一にできる。
【0051】
従って、陰極14を中央電極14aと周辺電極14bとで構成することにより、基板1の温度分布が均等化することができる。さらに、前述したように、中央電極14aに流す電流に対して、周辺電極14bに流す電流を少なくして、基板1の中心に集中した陽光柱を発生させて、その後に速やかに、周辺電極14bに与える電力を増加させて周辺電極14bに流す電流を増加させると、アーク放電を防ぐことと基板温度を均一にすることの両方が可能になる。
【0052】
次に、成膜開始1時間後のプラズマのスペクトルを測定した。
図7(a)、図7(b)は比較例における成膜開始から1時間後のプラズマのスペクトルの測定結果を示す図であり、図7(c)〜図7(f)は、本実施例における成膜開始から1時間後のプラズマのスペクトルの測定結果を示す図である。図7(a)〜図7(f)は基板1からの熱輻射も含まれている。
【0053】
陰極14を、図5(a)のように1つの電極14zで構成し、陰極14と陽極11aとの距離を85mmとして電極14zに11A(0.097A/cm)の電流を流した場合に、基板1の周辺部(サイド)から得られるプラズマのスペクトルを基板1からの熱輻射を含んで測定すると、図7(a)のような測定結果が得られる。同様に、陰極14を1つの電極14zで構成し、陰極14と陽極11aとの距離を85mmとして電極14zに11A(0.097A/cm)の電流を流した場合に、基板1の中央部(センター)から得られるプラズマのスペクトルを測定すると、図7(b)のような測定結果が得られる。図7(a)の測定結果におけるCのピークとHαのピークの強度比(R(C)/R(Hα))は0.21であり、図7(b)の測定結果におけるCのピークとHαのピークの強度比(R(C)/R(Hα))は0.25であった。
【0054】
陰極14を、図5(b)のように中央電極14aと周辺電極14bとで構成し、陰極14と陽極11aとの距離を70mmとして中央電極14aには5.5A(0.1A/cm)、周辺電極14bには5.0A(0.11A/cm)を連続的に流した場合に、基板1の周辺部(サイド)から得られるプラズマのスペクトルを基板1からの熱輻射を含んで測定すると、図7(c)のような測定結果が得られる。
【0055】
同様に、陰極14を、図5(b)のように中央電極14aと周辺電極14bとで構成し、陰極14と陽極11aとの距離を70mmとして中央電極14aには5.5A(0.1A/cm)、周辺電極14bには5.0A(0.11A/cm)を連続的に流した場合に、基板1の中央部(センター)から得られるプラズマのスペクトルを基板1からの熱輻射を含んで測定すると、図7(d)のような測定結果が得られる。図7(c)の測定結果におけるCのピークとHαのピークの強度比(R(C)/R(Hα))は0.31であり、図7(d)の測定結果におけるCのピークとHαのピークの強度比(R(C)/R(Hα))は0.27であった。
【0056】
これに対し、陰極14を、図5(b)のように中央電極14aと周辺電極14bとで構成し、陰極14と陽極11aとの距離を70mmとして中央電極14aには5.5A(0.1A/cm)、周辺電極14bには6.0A(0.14A/cm)を連続的に流した場合に、基板1の周辺部(サイド)から得られるプラズマのスペクトルを基板1からの熱輻射を含んで測定すると、図7(e)のような測定結果が得られる。
【0057】
同様に、陰極14を、図5(b)のように中央電極14aと周辺電極14bとで構成し、陰極14と陽極11aとの距離を70mmとして中央電極14aには5.5A(0.1A/cm)、周辺電極14bには6.0A(0.14A/cm)を連続的に流した場合に、基板1の中央部(センター)から得られるプラズマのスペクトルを基板1からの熱輻射を含んで測定すると、図7(f)のような測定結果が得られる。
【0058】
図7(e)の測定結果におけるCのピークとHαのピークの強度比(R(C)/R(Hα))は0.26であり、図7(f)の測定結果におけるCのピークとHαのピークの強度比(R(C)/R(Hα))は0.25であった。
【0059】
ここで、CのピークとHαのピークの強度比(R(C)/R(Hα))は、活性種の密度を表し、ピークの強度比(R(C)/R(Hα))に関して、基板1の中央と端部とで差があることは活性種密度にばらつきがあることを示し、差が小さければ、ばらつきが少ない。よって、周辺電極14bに流す電流が大きいほど、活性種密度が均一であるという結果が得られ、図6(c)に示す条件が最も効果的であった。本実施形態では、周辺電極14bへの印加電力が中央電極14aとは独立して設定できるので、活性種密度を十分に均一化できる。
【0060】
以上の検証実験により、本実施形態のように、陰極14を中央電極14aと周辺電極14bとで構成し、周辺電極14bに流す電流を中央電極14aに流す電流よりも増加させることにより、温度分布が均一で、活性種密度が均一になることが確認された。
そこで、周辺電極14bに流す電流によって、成膜状態がどのように異なるかをラマン分光分析から確認する。
【0061】
図8は、波長=532nmのレーザ光によるラマン分光測定のスペクトルであり、太線は、電子放出膜20の複数のダイヤモンド粒子22の集合体と無定形炭素材料23のラマンスペクトルである。
ラマン分光測定のスペクトルをフィッティングにより信号分離解析を行うと、図8に破線で示された1141cm−1にピークを持つナノ結晶ダイヤモンド(ND)相が観測される。さらに、信号分離解析では、図8に一点鎖線及び2点鎖線で示される1331cm−1に幅広のピークと幅の狭いピークを持つ膜20中のsp結合が観測され、図8に長線で示される1521cm−1は、ナノダイヤモンドの粒界に存在する応力が加わったグラファイト相(sp粒界)であると考えられている.図8に実線で示される1580cm−1のピークは、Gバンドとよばれるsp結合によるものであるである。
【0062】
ダイヤモンド粒子22の下部には、カーボンナノウォール21が設けられるが、ダイヤモンド粒子22がカーボンナノウォール21の表面全体を十分覆う程度に成膜されているので、ダイヤモンド粒子22のスペクトルが支配的となる。
陰極14を中央電極14aと周辺電極14bで構成し、中央電極14aに5.5A(0.1A/cm)、周辺電極14bにはそれよりも多い6.0A(0.14A/cm)を連続的に流したのち、中央電極14a及び周辺電極14bに流れる電流を、中央電極14aに流れる電流が周辺電極14bに流れる電流よりも少ない状態を維持しつつ減少させて成膜し、ラマン分光スペクトルの信号分離解析を行い、基板1の端部と基板1の中央におけるND,sp,sp(粒界),spの評価を行った。
【0063】
この評価では、比較基板1の端部におけるND,sp3,sp(粒界),spのピーク強度の和をそれぞれ1としたとき、基板1の中央と周辺部の各ピークの組成(%)の差を算出した。評価結果を図9に示す。周辺電極14bに電流を6.0A(0.14A/cm)流した場合の相対評価値は、NDの評価値が−0.04となり,spの評価値が0.11となり、sp(粒界)の評価値が−1.78となり、spの評価値が1.71となった。
【0064】
これと同様に、陰極14を中央電極14aと周辺電極14bで構成し、中央電極14aに5.5A(0.1A/cm)、周辺電極14bにはそれよりも低い5.0A(0.11A/cm)を連続的に流したのち、中央電極14a及び周辺電極14bに流れる電流を、中央電極14aに流れる電流が周辺電極14bに流れる電流よりも多い状態を維持しつつ減少させて成膜し、ラマン分光スペクトルの信号分離解析を行い、基板1の端部と基板1の中央におけるND,sp,sp(粒界),spの評価を行った。評価結果は、図9のように、NDの評価値が−1.50となり,spの評価値が3.34となり、sp(粒界)の評価値が−3.51となり、spの評価値が1.68となった。
【0065】
この評価結果から、周辺電極14bに流す電流を中央電極14aに流す電流よりも多くすることにより、中央部と周辺部でのラマン分光による結合の組成比の均一性を向上させうることが判明した。
さらに、本実施形態では、陽極11aの周辺が、絶縁体12で囲まれるか、陰極14から隠されるのでので、基板1の側方に流れる電流を阻害し、さらに確実にアークの発生を予防でき、無駄な電流消費もなくなり、プラズマが基板1全体に安定して形成できる。
【0066】
また、絶縁体12を耐熱性酸化物で構成することにより、絶縁体12上に堆積される炭素膜がわずかであるため、チャンバー10内のメンテナンスも容易であり、成膜中の異常放電の軽減に大きく寄与した。
【0067】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
陰極14の構成は、処理対象体となる基板1や陽極11aのサイズにより、適宜に変更できる。例えば、図10の陰極14は、周辺電極14bを複数に分割している。この場合、出力制御部19を用いて、複数の各周辺電極14bごとに陽極11aとの間の電圧又は電流値を個別に設定してもよい。中央電極14aと周辺電極14bとの間には、セラミックからなる絶縁部14cが充填されている。図11及び図12は、複数の周辺電極14bを、中央電極14aと同様の円形としたものである。図11及び図12のいずれも、中央電極14aと周辺電極14bとの間には、セラミックからなる絶縁部14cが充填されている。
【0068】
上記実施形態では、中央電極14a及び周辺電極14bと陽極11aとの間の電圧又は電流値を変化させたが、変化するタイミングは、利用者が窓15を介して陽光柱の形成状態を確認してもよく、また安定した陽光柱できる時間が予測できる場合には、制御部19aがその時間に中央電極14a及び周辺電極14bと陽極11aとの間の電圧又は電流値を変化させるようにしてもよい。
【0069】
また上記実施形態では、同心円状の2つの中央電極14aと、リング状の周辺電極14bを設けたが、図13に示すように、3つの同心円状の、リング状の中央電極114aと、中央電極114aの外周を離間して囲むリング状の第一周辺電極114bと、第一周辺電極114bの外周を離間して囲むリング状の第二周辺電極114cと、を備えた陰極114でもよい。
【0070】
ここで基板1の中央部の位置Aの放射を窓15を介して読み取る放射温度計16aと、位置Aから少し外側にずれた位置Bの放射を読み取る放射温度計16bと、位置Bから少し外側にずれた位置Cの放射を読み取る放射温度計16cとが、設けられている。
【0071】
図14は、陰極114の平面図であり、絶縁性のベース体114dに、中央電極114a、第一周辺電極114b、第二周辺電極114cが固定されており、それぞれ絶縁性のベース体114dを貫通したリード線が出力制御部19に接続されている。中央電極114aの中央に設けられたセラミック等からなる絶縁部115a、中央電極114aと第一周辺電極114bとの間に設けられたセラミック等からなる絶縁部115b、並びに第一周辺電極114bと第二周辺電極114cとの間に設けられたセラミック等からなる絶縁部115cは、プラズマによる輻射熱が集中しないように適宜所定の距離だけ離間するように設けられている。
【0072】
図15は、制御部19aが、中央電極114aと陽極11aとの間の電流値C1、第一周辺電極114bと陽極11aとの間の電流値C2、第二周辺電極114cと陽極11aとの間の電流値C3を適宜調整することによって、図16に示すように基板1の位置A、位置B、位置Cでの温度を近似させている。このとき、少なくとも基板1の中央に位置する電流値C1を、基板1の端に位置する電流値C2よりも低くすればよい。
【0073】
また上記実施形態では、陰極を複数に分割したが、陽極を複数に分割して、複数の陽極の印加電圧又は電流値を互いに異なるようにしてもよい。
【0074】
また、陰極14及び陽極11aを円形でなく、帯状に形成し、陰極14を帯状の中央電極14aと、その中央電極14aの両端から所定の距離だけ離れた位置に、周辺電極14bを配置してもよい(縦列配置)。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る直流プラズマCVD装置の概要を示す構成図である。
【図2】図1中の陽極及び絶縁体の説明するための平面図である。
【図3】図1中の陰極の構成を示す平面図である。
【図4】成膜例を示す図である。
【図5】検証実験の実験条件を示す説明図である。
【図6】陽光柱の発生状況を示す図である。
【図7】プラズマのスペクトルの測定結果を示す図である。
【図8】波長=532nmのレーザ光によるラマン分光測定のスペクトルである。
【図9】成膜状態の評価結果を示す図である。
【図10】陰極の変形例を示す図である。
【図11】陰極の変形例を示す図である。
【図12】陰極の変形例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る他の直流プラズマCVD装置の概要を示す構成図である。
【図14】図12の陰極の構成を示す平面図である。
【図15】出力制御部により電流値を異ならせていることを示す図である。
【図16】図15に示す制御による基板の温度を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10・・・チャンバー、11・・・テーブル、11a・・・陽極、12・・・絶縁体、13・・・支持体、14・・・陰極、14a・・・中央電極、14b・・・周辺電極、15・・・窓、16・・・放射温度計、17,18・・・管路、19・・・出力制御部、19a・・・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを発生させて処理対象体の表面に所定の処理を施すプラズマCVD装置であって、
第1の電極と、
前記第1の電極に対向して配置され、該第1の電極との間に前記プラズマを発生させる複数の第2の電極と、
前記各第2の電極と前記第1の電極との間の電圧又は電流値をそれぞれ個別に任意の値に設定する出力設定手段と、
を備えることを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項2】
前記処理対象体は、平板状の基板であり、前記第1の電極の前記複数の第2の電極に対向する面に載置されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
【請求項3】
前記複数の第2の電極は、前記第1の電極の中央部に対向する中央電極と、該第1の電極の周辺部に対向する周辺電極とで構成され、
前記出力設定手段は、立ち上がり時に、前記所定の処理の開始時には前記中央電極と前記第1の電極との間の電圧又は電流値を、前記周辺電極と該第1の電極との間の電圧又は電流値よりも高く設定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマCVD装置。
【請求項4】
前記複数の第2の電極は、前記第1の電極の中央部に対向する前記中央電極と、該第1の電極の周辺部に対向する周辺電極とで構成され、該中央電極と該第1の電極との間に陽光柱が形成された後に、該中央電極と該第1の電極との間の電圧又は電流値を、該周辺電極と該第1の電極との間の電圧又は電流値未満にする、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項5】
プラズマを発生させて処理対象体の表面に所定の処理を施すプラズマCVD装置であって、
第1の電極と、
前記第1の電極に対向して配置され、該第1の電極との間に前記プラズマを発生させる複数の第2の電極と、
前記第1の電極の外周を近接して囲むリング状の絶縁体と、
を備えることを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項6】
プラズマを発生させて処理対象体の表面に所定の処理を施すプラズマCVD装置であって、
第1の電極と、
前記第1の電極に対向して配置され、該第1の電極との間に前記プラズマを発生させる複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、リング状をなし、該第1の電極の側面を前記第2の電極に対して隠すリング状の絶縁体と、
を備えることを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項7】
前記絶縁体は、耐熱性酸化物で形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のプラズマCVD装置。
【請求項8】
前記第1の電極に対向する前記第2の電極は複数であり、
前記各第2の電極と前記第1の電極との間の電圧をそれぞれ個別に任意の電圧又は電流値を設定する出力設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
【請求項9】
プラズマを発生させて処理対象体の表面に所定の処理を施すプラズマCVD装置であって、
第1の電極と、
前記第1の電極に対向して配置され、該第1の電極との間に前記プラズマを発生させ、且つ互いに離間している第2の電極及び第3の電極と、
前記第2の電極と前記第3の電極との間に配置された絶縁部と、
を備えることを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項10】
前記絶縁部は、前記第2の電極及び前記第3電極の互いに対向する側壁に形成されていることを特徴とする請求項9に記載のプラズマCVD装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−119910(P2007−119910A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256436(P2006−256436)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(397070439)財団法人高知県産業振興センター (47)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】