説明

プロスタグランジンEP4作用薬

プロスタグランジンEP4作用薬のプロドラッグを含み、該プロドラッグがアミノ酸のエステル、エーテルまたはアミドであることを特徴とする化合物を本明細書において開示する。治療上有効な量のプロスタグランジンEP4作用薬を哺乳類の結腸に投与することを含む方法による結腸粘膜バリアの維持も本明細書において開示する。また、上記に関連する投与剤形、医薬品および組成物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2006年4月4日に出願された米国仮特許出願第60/744,234号に対する35 U.S.C. § 120による優先権に基づき、その権利主張する;該出願は、参考として本明細書に合体させる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、治療活性化合物並びにその伝達および使用に関する。とりわけ、本発明は、プロスタグランジンEP4作用薬の伝達および使用に関する。
【0003】
(背景技術)
プロスタグランジン類は、下記の構造式を有するプロスタン酸の誘導体として説明することができる。
【化1】

種々のタイプのプロスタグランジンが、プロスタン酸骨格の構造およびその脂環式環上に担持された置換基に応じて知られている。さらなる分類は、包括的タイプのプロスタグランジンの後の下付き数字[例えば、プロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE2(PGE2)]によって示される側鎖中の不飽和結合の数、およびαまたはβ[例えば、プロスタグランジンF(PGF)]によって示される脂環式環上の置換基の構造に基づく。
ある種の10,10-ジメチルプロスタグランジン類は、既知である。これらは、以下のような文献に記載されている:
Donde、米国特許出願公開公報第20040157901号;
Pernet等、米国特許第4,117,014号;
Pernet, Andre G. et al., Prostaglandin analogs modified at the 10 and 11 positions, Tetrahedron Letters, (41), 1979, pp. 3933-3936;
Plantema, Otto G. et al., Synthesis of (.+-.)-10.10-dimethylprostaglandin E1 methyl ester and its 15-epimer, Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-organic Chemistry (1972-1999), (3), 1978, pp. 304-308;
Plantema, O. G. et al., Synthesis of 10,10-dimethylprostaglandin E1, Tetrahedron Letters, (51), 1975, 4039;
Hamon, A., et al., Synthesis of (+-)- and 15-EPI(+-)-10,10-Dimethylprostaglandin E1, Tetrahedron Letters, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, NL, no. 3, January 1976, pp. 211-214;および、
Patent Abstracts of Japan, Vol. 0082, no. 18 (C-503), June 10, 1988 & JP 63 002972 A (Nippon Iyakuhin Kogyo KK), 7 January 1988;
これら文献の内容は、参考として本明細書に明確に合体させる。
【0004】
米国特許出願公開公報第2004/0142969 A1号(参考として本明細書に明確に合体させる)は、下記の式に従う化合物を開示している:
【化2】

該出願は、下記のような基の存在を開示している:
mは、1〜4であり;nは、0〜4であり;Aは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールシクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアリールオキシアルキルであり;Eは、-CHOH-または-C(O)-であり;Xは、-(CH2)2-または-CH=CH-であり;Yは、-CH2-、アリーレン、ヘテロアリーレン、-CH=CH-、-O-、-S(O)p- (pは0〜2である)、または-NRa- (Raは、水素またはアルキルである)であり;Zは、-CH2OH、CHO、テトラゾル-5-イル、または-COORb (Rbは、水素またはアルキルであり;そして、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、各々、個々に、水素またはアルキルである。
米国特許第6,747,037号(参考として本明細書に明確に合体させる)は、下記のようなプロスタグランジンEP4作用薬を開示している:
【化3】

【0005】
米国特許第6,610,719号(参考として本明細書に明確に合体させる)は、下記の構造を有する作用薬から選択したEP4を開示している:
【化4】

該特許は、下記のような基の存在を開示している:
Qは、COOR3、CONHR4またはテトラゾル-5-イルであり;
Aは、単またはシス二重結合であり;
Bは、単またはトランス二重結合であり;
Uは、下記:
【化5】

であり;
R2は、α-チエニル、フェニル、フェノキシ、モノ置換フェニルまたはモノ置換フェノキシであり、その置換基は、クロロ、フルオロ、フェニル、メトキシ、トリフルオロメチルおよび(C1〜C3)アルキルからなる群から選ばれ;
R3は、水素、(C1〜C5)アルキル、フェニルまたはp-ビフェニルであり;
R4は、COR5またはSO2R5であり;そして、
R5は、フェニルまたは(C1〜C5)アルキルである。
【0006】
ヒドロキシドが炭素11よりはむしろ炭素10上に存在する天然プロスタグランジンE化合物である10-ヒドロキシプロスタグランジンアナログ類は、米国特許第4,171,375号、米国特許第3,931,297号、FR 2408567号、DE 2752523号、JP 53065854号、DE 2701455号、SE 7700257号、DK 7700272号、NL 7700272号、JP 52087144号、BE 850348号、FR 2338244号、FR 2162213号、GB 1405301号およびES 409167号のような幾つかの特許文献において既知である;これらの文献は、参考として本明細書に明確に合体させる。
2004年4月9日に出願された米国特許出願第821,705号(参考として本明細書に明確に合体させる)は、下記の構造を有する化合物を開示している:
【化6】

各基は、下記のように特定されている:
Jは、C=OまたはCHOHであり;
Aは、-(CH2)6-または-CH2CH=CH-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素はSまたはOで置換し得;
Bは、CO2HまたはCO2R、CONR2、CONHCH2CH2OH、CON(CH2CH2OH)2、CH2OR、P(O)(OR)2、CONRSO2R、SONR2、または下記:
【化7】

(式中、Rは、H、C1-6アルキルである)
であり;
Dは、-(CH2)n-、-X(CH2)nまたは-(CH2)nX-であり、nは0〜3であり、XはSまたはOであり;そして、
Eは、0〜4個の置換基を有する芳香族または複素芳香族成分であり、各々1〜6個の非水素原子を含む上記置換基は、本明細書に開示されている。
【0007】
興味ある他の化合物は、米国特許第6,670,485号、米国特許第6,410,591号、米国特許第6,538,018号、WO 2004/065365号、WO 03/074483号、WO 03/009872号、WO 2004/019938号、WO 03/103664号、WO 2004/037786号、WO 2004/037813号、WO 03/103604号、WO 03/077910号、WO 02/42268号、WO 03/008377号、WO 03/053923号、WO 2004/078103号およびWO 2003/035064号に開示されている;これらの特許は、全て本明細書に参考として明確に合体させる。
プロスタグランジンEP4選択性作用薬は、数種の医療用途を有すると信じられている。例えば、米国特許第6,552,067 B1号(参考として本明細書に明確に合体させる)は、プロスタグランジンEP4選択性作用薬の“哺乳類における低骨質量を示す症状、とりわけ、骨粗しょう症、虚弱性(frailty)、骨粗しょう症性骨折、骨欠損、小児特発性骨粗しょう症、歯槽骨粗しょう症、下顎骨粗しょう症、骨折、骨切術、歯周炎に関連する骨粗しょう症または人工装具内成長(prosthetic ingrowth)の治療方法”の処置における使用を教示している。
米国特許第6,586,468 B1号(参考として本明細書に明確に合体させる)は、プロスタグランジンEP4選択性作用薬が“免疫疾患(自己免疫疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、シェーグレン症候群、関節炎、間接リウマチ、全身性エリテマトーデス等)、移植後移植片拒絶、ぜんそく、異常骨形成、神経細胞死、肺疾患、肝疾患、急性肝炎、腎炎、腎不全、高血圧、心筋虚血、全身性炎症症候群、熱傷によって誘発される疼痛、敗血症、血球貪食症候群、マクロファージ活性化症候群、スティル病、川崎病、火傷、全身性肉芽腫、潰瘍性大腸炎、クローン病、透析時の高サイトカイン血症、多臓器不全、ショック等の予防および/または治療において有用である。また、プロスタグランジンEP4選択性作用薬は、睡眠障害および血小板凝固とも関連しており、従って、プロスタグランジンEP4選択性作用薬は、これらの疾患に対しても有用であると考えられる”。
炎症性腸疾患(IBD)は、大腸または小腸の炎症に特徴を有する疾病群であり、下痢、疼痛および体重減のような症状として現れる。非ステロイド系抗炎症薬は、IBDを発症するリスクと関連していることが証明されており、最近、Kabashimaおよびその同僚等は、“EP4が粘膜構造を保ち、先天性免疫を抑制し、且つCD4+T細胞の増殖および活性化をダウン調節するように作用すること開示している。これらの知見は、NSAID類によるIBDのメカニズムを解明しているだけでなく、EP4選択性作用薬のIBDの予防および治療における治療上の潜在力を示唆している” (Kabashima, et. al., The Journal of Clinical Investigation, April 2002, Vol. 9, 883-893)。
【0008】
(発明の開示)
プロスタグランジンEP4作用薬のプロドラッグを含み、該プロドラッグが炭水化物のエステル、エーテルまたはアミドであり;或いは、該プロドラッグがアミノ酸のエステル、エーテルまたはアミドであることを特徴とする化合物を、本明細書において開示する。
また、治療上有効量のプロスタグランジンEP4作用薬を哺乳類の結腸に投与することを含む方法による結腸粘膜バリアの保全も開示する。
また、上記に関連する投与剤形、医薬品および組成物も開示する。
【0009】
(発明を実施するための最良の形態)
プロスタグランジンEP4作用薬は、当業者にとって周知であるEP4活性の測定のための多くのアッセイ法の任意の1以上の方法に従ってプロスタグランジンEP4レセプターに作用することを当業者が合理的に信ずる化合物として広範囲に定義されている。限定するつもりはないが、1つのそのようなアッセイ法は、後の実施例に示している。
1つの実施態様においては、プロスタグランジンEP4作用薬は、他のプロスタグランジンレセプターサブタイプと対比して、プロスタグランジンEP4レセプターに対して選択性である。もう1つの実施態様においては、プロスタグランジンEP4作用薬は、任意の他のプロスタグランジンレセプターサブタイプにおけるよりもEP4レセプターにおいて少なくとも10倍活性である。もう1つの実施態様においては、プロスタグランジンEP4作用薬は、任意の他のプロスタグランジンレセプターサブタイプにおけるよりもEP4レセプターにおいて少なくとも100倍活性である。もう1つの実施態様においては、プロスタグランジンEP4作用薬は、任意の他のプロスタグランジンレセプターサブタイプにおけるよりもEP4レセプターにおいて少なくとも1000倍活性である。限定するつもりはないが、他のレセプターサブタイプについての典型的なアッセイ法も後の実施例において示している。
【0010】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の構造に従う化合物、またはその製薬上許容し得る塩もしくはプロドラッグは、プロスタグランジンEP4作用薬の例である:
【化8】

【0011】
【化9】

(式中、点線は、結合の存在または不存在を示し;
Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインター(中間)アリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1〜4であり、1個のCH2はSまたはOで置換し得;
Xは、SまたはOであり;
Jは、C=O、CHOHまたはCH2CHOHであり;そして、
Eは、C1-12アルキル、R2または-Y-R2であり、YはCH2、SまたはOであり、R2はアリールまたはヘテロアリールである)。
【0012】
これらの構造体においては、点線は、結合の存在を示す。従って、以下の1つ:
【化10】

のような構造体は、下記に示すような3種の異なる構造を示す:
【化11】

【0013】
本明細書において示す化学構造体において開示するAの広い意味における属性に関しては、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)n-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1〜3であり、1個のCH2はSまたはOで置換し得る。
限定するつもりはないが、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり得る。
また、Aは、任意の炭素をSおよび/またはOによって置換したこれらの3種の成分の1つに関連する基であり得る。例えば、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、Aは、下記の1つ等のようなS置換成分であり得る:
【化12】

【0014】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、Aは、下記の1つ等のようなO置換成分であり得る:
【化13】

また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、Aは、下記の1つ等のような、鎖中に置換させたOおよびSの双方を得る:
【化14】

【0015】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、ある種の実施態様においては、Aは、-(CH2)n-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1〜4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得る。換言すれば、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、1つの実施態様においては、Aは、1〜4個のCH2成分とAr、例えば、-CH2-Ar-、-(CH2)2-Ar-、-CH2-Ar-CH2-、-CH2Ar-(CH2)2-、-(CH2)2-Ar-(CH2)2-等を含み;或いは、Aは、O;0〜3個のCH2成分およびAr、例えば、-O-Ar-、Ar-CH2-O-、-O-Ar-(CH2)2-、-O-CH2-Ar-、-O-CH2-Ar-(CH2)2等を含み;或いは、、Aは、S;0〜3個のCH2成分およびAr、例えば、-S-Ar-、Ar-CH2-S-、-S-Ar-(CH2)2-、-S-CH2-Ar-、-S-CH2-Ar-(CH2)2、-(CH2)2-S-Ar等を含む。
インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンとは、分子の2つの他の部分と結合しているアリール環もしくは環系またはヘテロアリール環もしくは環系を称する、即ち、これら2つの部分は、環に2つの異なる環位置において結合している。インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンは、置換してもまたは置換しなくてもよい。従って、非置換インターアリーレンは、置換基を結合させ得る4つの潜在的位置を有する。1つの実施態様においては、Arは、置換されたまたは置換されていないインターフェニレン、インターチエニレン、インターフリレンまたはインターピリジニレンである。もう1つの実施態様においては、Arは、インターフェニレン(Ph)である。もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)2-Ph-である。本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、置換基は、4個以下の重原子、換言すれば、非水素原子を有し得る。また、特定の置換基においては必要な任意の数の水素原子も含ませる。従って、置換基は、C4までのアルキル、アルケニル、アルキニル等のような4個までの炭素原子を有するヒドロカルビル;C3までのヒドロカルビルオキシ; CF3;F、ClまたはBrのようなハロ;ヒドロキシル;NH2およびC3までのアルキルアミン官能基;他のNまたはS含有置換基等であり得る。
【0016】
1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターフェニレンであり、mとoの和は1〜3であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得る。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2-Ar-OCH2-である。もう1つの実施態様においては、Aは-CH2-Ar-OCH2-であり、Arはインターフェニレンである。もう1つの実施態様においては、Arは、Aが下記に示す構造を有するときのように、1および3位置で結合している。
【化15】

もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得る;或いは、Aは、-(CH2)2-Ph-であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得る。
もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)2-Ph-である。
【0017】
Jは、C=O、CHOHまたはCH2CHOHである。従って、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の1つのような化合物が、プロスタグランジンEP4作用薬として有用である。
【化16】

【0018】
【化17】

【0019】
C1-12アルキルは、下記のような1〜12個の炭素原子を有するアルキルである:
メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル等のような線状アルキル
イソ-プロピル、イソ-ブチル、t-ブチル、イソペンチル等のような枝分れアルキル
シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル等のような環状アルキル;メチルシクロヘキシル、エチルシクロプロピル、ジメチルシクロヘプチル等のような置換シクロアルキルも包含し、さらに、環状基が分子の残余に対する結合点でないCH2-シクロヘキシルのような成分、および上記した他のタイプのアルキル基の任意の組合せも包含する。
従って、Eは、これらの基のいずれかであり得る。とりわけ、C1-6の線状アルキル、とりわけブチルを本発明においては意図する。他のとりわけ有用な基は、シクロヘキシル、シクロペンチル、並びに9個未満の炭素原子を有する置換シクロヘキシルおよびシクロブチルである。
また、Eは、R2またはY-R2であり、YはCH2、SまたはOであり、R2はアリールまたはヘテロアリールである。従って、Eは、アリール、ヘテロアリール、-CH2-アリール、-S-アリール、-O-アリール、-CH2-ヘテロアリール、-S-ヘテロアリール、または-O-ヘテロアリールである。
アリールは、芳香環または芳香環系並びに1個以上の置換基で水素を置換したそれらの置換誘導体として定義される。本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル等は、アリールの例である。
ヘテロアリールは、芳香環または環系中に少なくとも1個の非炭素原子を有するアリールとして定義される。本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、多くの場合、1個以上の酸素、イオウおよび/または窒素原子が存在する。本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、ヘテロアリールの例は、フリル、チエニル、ピリジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル等である。
【0020】
アリールまたはヘテロアリールの置換基は、各々12個までの非水素原子と必要な限りの水素とを有し得る。従って、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、置換基は、下記であり得る:
アルキル、アルケニル、アルキニル等、およびこれらの組合せのようなヒドロカルビル
11個の炭素原子までの、OCH3、OCH2CH3、O-シクロヘキシル等のようなO-ヒドロカルビルを意味するヒドロカルビルオキシ
11個の炭素原子までの、CH2OH、C(CH3)2OH等のようなヒドロカルビル-OHを意味するヒドロキシヒドロカルビル
NO2、CN等のような、また、NH2、NH(CH2CH3OH)、NHCH3等のようなアミノも包含する、11個までの炭素原子の窒素置換基
CO2H、エステル、アミド等のようなカルボニル置換基
クロロ、フルオロ、ブロモ等のようなハロゲン
CF3、CF2CF3等のようなフルオロカルボニル
PO32-等のようなリン置換基
S-ヒドロカルビル、SH、SO3H、SO2-ヒドロカルビル、SO3-ヒドロカルビル等のようなイオウ置換基
【0021】
ある種の実施態様においては、非水素原子の数は、置換基中で6個以下である。他の実施態様においては、非水素原子の数は、置換基中で3個以下である。他の実施態様においては、置換基上の非水素原子の数は、1である。
ある種の実施態様においては、置換基は、水素、炭素、酸素、ハロ、窒素およびイオウのみを含有する。他の実施態様においては、置換基は、水素、炭素、酸素およびハロのみを含有する。
ある種の実施態様においては、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOで置換し得;Eは、C1-6アルキル、R2または-Y-R2であり、YはCH2、SまたはOであり、R2はアリールまたはヘテロアリールである。
1つの実施態様においては、R1は、H、クロロまたはフルオロである。もう1つの実施態様においては、R1は、Hである。もう1つの実施態様においては、R1は、クロロである。
他の実施態様においては、R2は、F、Cl、Br、メチル、メトキシおよびCF3からなる群から選ばれる0〜2個の置換基を有するフェニル、ナフチル、ビフェニル、チエニルまたはベンゾチエニルである。
他の実施態様においては、R2は、CH2-ナフチル、CH2-ビフェニル、CH2-(2-チエニル)、CH2-(3-チエニル)、ナフチル、ビフェニル、2-チエニル、3-チエニル、CH2-(2-(3-クロロベンゾチエニル))、CH2-(3-ベンゾチエニル)、2-(3-クロロベンゾチエニル)または3-ベンゾチエニルである。
他の実施態様においては、R2は、CH2-(2-チエニル)、CH2-(3-チエニル)、2-チエニル、3-チエニル、CH2-(2-(3-クロロベンゾチエニル))、CH2-(3-ベンゾチエニル)、2-(3-クロロベンゾチエニル)または3-ベンゾチエニルである。
【0022】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の構造に従い、xが0または1であり、R1が、H、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、メトキシまたはCF3である化合物も、プロスタグランジンEP4作用薬の例である。
【化18】

【0023】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の構造に従う化合物も、プロスタグランジンEP4作用薬の例である。
【化19】

【0024】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の構造に従う化合物も、プロスタグランジンEP4作用薬の例である。
【化20】

【0025】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の構造に従う化合物も、プロスタグランジンEP4作用薬の例である。
【化21】

【0026】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の構造に従い、xが0または1であり、R1が、H、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、メトキシまたはCF3である化合物も、プロスタグランジンEP4作用薬の例である。
【化22】

【0027】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の構造に従う化合物も、プロスタグランジンEP4作用薬の例である。
【化23】

【0028】
さらにまた、米国特許出願または特許(その全部を参考として本明細書に合体させる)も、プロスタグランジンEP4作用薬である化合物を開示している:米国特許第6,552,067号、米国特許第6,747,054号、米国特許出願公開公報第20030120079号および米国特許出願公開公報第20030207925号、米国特許出願公開公報第20040157901号、米国特許第4,117,014号、米国特許出願公開公報第2004/0142969号、米国特許第6,747,037号、米国特許第6,610,719号、米国特許第4,171,375号、米国特許第3,931,297号、2004年4月9日に出願された米国特許出願第821,705号、米国特許第6,670,485号、米国特許第6,410,591号および米国特許第6,538,018号。
【0029】
これらのプロスタグランジンEP4作用薬の全てに関連する方法およびプロドラッグも本発明においてとりわけ意図する。
また、下記を含むプロスタグランジンEP4作用薬のプロドラッグも本発明において意図する:
【化24】

(式中、R4は、H、ハロまたはC1-6アルキルである)。
ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ、イオド等のような第7族原子である。
C1-6アルキルは、限定するものではないがメチル、エチル、各プロピル異性体、各ブチル異性体、各ペンチル異性体、各ヘキシル異性体、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル等のような、1〜6個の炭素を有する線状、枝分れまたは環状アルキルである。
【0030】
下記の構造に従うプロスタグランジンEP4作用薬のプロドラッグも意図する。
【化25】

【0031】
【化26】

【0032】
【化27】

【0033】
本明細書におけるエステル類、エーテル類またはアミドプロドラッグは、アミノ酸への直接結合を受入れてもよく、或いは、限定するものではないが下記のようなスペーサー基に合体してもよい:
エチレングリコール、グリセリン等、またはこれらのオリゴマーもしくはポリマーのようなポリオール類
コハク酸、マレイン酸、マロン酸、アゼライン酸等のようなジカルボン酸類
乳酸、ヒドロキシ酢酸、クエン酸等のようなヒドロキシカルボン酸類
エチレンジアミン等のようなポリアミン類;および、
上記のいずれかの組合せを形成するエステル類、アミド類またはエーテル類。
使用するアミノ酸は、天然または非天然アミノ酸であり得る。下記に示す構造体は、天然アミノ酸におけるアミノ酸プロドラッグを例示しており、式中、Rは天然アミノ酸の側鎖特性を示し、Rおよびアミド窒素はプロリンにより結合させ得る。これらの構造を有する化合物の製薬上許容し得る塩も、アニオン性、カチオン性または両性イオン性のいずれであれ有用である。
【0034】
【化28】

【0035】
ある種の実施態様においては、Rは、H、メチル、イソ-プロピル、sec-ブチル、ベンジル、インドール-3-イルメチル、ヒドロキシメチル、CHOHCH3、CH2CONH2、p-ヒドロキシベンジル、CH2SH、(CH2)4NH2、(CH2)3NHC(NH2)2+、メチルイミジゾール-5-イル、CH2CO2Hまたは(CH2)2CO2Hからなる群から選ばれる。
勿論、非天然アミノ酸の同類プロドラッグも製造し得る。非天然アミノ酸もα-アミノ酸である場合、その構造は、Rが天然アミノ酸由来の側鎖を示す以外は同じであろう。天然アミノ酸においては、任意の立体異性体を使用し得る。事実、天然アミノ酸の鏡像体を、本発明においては、非天然アミノ酸としてとりわけ意図する。
有用なタイプの非天然アミノ酸の例としては、限定するものではないが、フェニルアラニン誘導体、とりわけ、L-ドーパ(L-Dopa)のような環を置換した誘導体またはフェニルをナフチルもしくは複素環のような他の芳香族基で置換した誘導体;β-アミノ酸およびホモアミノ酸;環状アミノ酸;アラニン誘導体;グリシン誘導体;チロシン誘導体、とりわけ、環をさらなる環置換基で置換した誘導体、フェニルをナフチルもしくは複素環のような他の芳香族基で置換した誘導体、またはフェノール酸素でのエーテル類;線状コアアミノ酸;ジアミノ酸がある。
【0036】
とりわけ、以下の非天然アミノ酸を本発明において意図する:L-ドーパ、D-ペニシラミン、D-2-ナフチルアラニン、D-4-ヒドロキシフェニルグリシン、L-ホモフェニルアラニン、(2R,3S)-フェニルイソセリン、チエニルアラニン、アリルグリシン、3-メチルフェニルアラニン、3-ピリジルアラニン、4-チアゾリルアラニン、4,4'-ビフェニルアラニン、4-アミノメチルフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、3,4-ジクロロフェニルアラニン、ピペコリン酸、β-ホモリシン、β-ホモフェニルアラニン、β-ホモセリン、β-ホモトリプトファン、3-アミノ-3-ベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イルプロピオン酸、3-アミノ-3-(6-メトキシ‐ピリジン-3-イル)プロピオン酸、3-アミノ-4-(3,4-ジフルオロフェニル)酪酸、3-アミノ-4-(4-フルオロフェニル)酪酸、3-アミノ-5-ヘキサン酸、2-テトラヒドロイソキノリン酢酸、3-アミノ-5-フェニルペンタン酸およびアゼチジン-3-カルボン酸。
【0037】
また、EP4作用薬のエステルプロドラッグも、下記の例で示すように、アミノ酸に基づき得る。これらの構造を有する化合物の製薬上許容し得る塩も、アニオン性、カチオン性または両性イオン性のいずれであれ有用である。
【化29】

【0038】
セリン、スレオニンおよびチロシンのようなアミノ酸並びに多くの非天然アミノ酸類はその側鎖中にヒドロキシル官能基を有するので、アミノ酸に基づくEP4作用薬のエーテルプロドラッグも、下記の例で示すように可能である。これらの構造を有する化合物の製薬上許容し得る塩も、アニオン性、カチオン性または両性イオン性のいずれであれ有用である。
【化30】

【0039】
さらに、本明細書において例示するスペーサーをアミノ酸に適用して、利用し得るアミノ酸プロドラッグの種類数をさらに増大させ得る。
また、ヒドロキシル官能基を有するこれらのアミノ酸は、C1アミノ酸エステルプロドラッグを調製するのにも使用し得る。本発明における目的においては、C1アミノ酸エステルプロドラッグは、プロスタグランジンにおいて“C1”として伝統的に考えられているエステルであるプロドラッグである。天然プロスタグランジンと同じ炭素骨格を有していないプロスタグランジンにおいては、“C1”エステルは、本明細書におけるAに結合したカルボン酸でのエステルである。
【0040】
下記に示す化合物のプロドラッグ、並びにこれらの化合物またはその塩もしくはプロドラッグの本明細書において開示するいずれかの方法、組成物または処置における使用を、本明細書においてはとりわけ意図している。
【0041】
【化31】

ウェッジまたはダッシュ記号で示さない限り、キラル中心を有する炭素は、S異性体、R異性体、または50:50 R/S混合物のような任意の異性体混合物を含むものと解釈できる。とりわけ、上記の構造体の各々の純粋異性体、および50:50 R/S混合物のような任意の可能性ある異性体混合物を意図する。これらの化合物の製造方法は、米国特許第6,747,037号および米国特許第6,875,787号に記載されている。
【0042】
アミノ酸プロドラッグは、多くの方法によって容易に得られる。例えば、限定するつもりはないが、サリチル酸をアラニン、グリシン、メチオニンまたはチロシンのメチルエステルにカップリングさせるのに使用する数種の手順の1つ(Nakamura et. al. J. Pharm. Pharmacol. 1992, 44, 295-299;およびNakamura et. al. Int. J. Pharm. 1992, 87, 59-66)を、プロスタグランジンEP4作用薬と一緒に使用するのに採用し得る。この方法においては、等モル量のジシクロヘキシルカルボジイミドを0℃以下でプロスタグランジンEP4作用薬カルボン酸に加え、約30分間撹拌する。その後、等モル量の上記アミノ酸のメチルエステルを加え、室温で1夜撹拌してアミドを調製する。その後、存在し得るヒドロキシル基の脱保護を、希塩水溶液または保護基に応じた別の方法を使用して実施し得る。
【0043】
理論によって拘束するつもりはないが、結腸粘膜バリアが、結腸の内部層を、食物、酸化性因子、細菌代謝物および腸内細菌叢のような刺激物から保護する中心であるということは、当業者が一般的に信じていることである。理論によって如何なる形でも拘束するつもりはないが、損傷したおよび/または漏れやすい上皮層は、免疫原性の炎症性腸疾患およびその後の二次炎症のような種々の結腸炎症をもたらすものと信じている。理論によって拘束するつもりはないが、プロスタグランジンEP4レセプターは、2つの細胞シグナリング経路を、第2のメッセンジャーcAMPまたはERKのリン酸化或いはホスホイノシチド 3-キナーゼおよび初期成長応答因子-1の活性化のいずれかを使用して介在するものと信じている。後者の経路は、上皮細胞においてとりわけ顕著であると信じられている。
【0044】
理論によって拘束するつもりはないが、上記シグナリング経路の活性化は、細胞増殖、細胞成長、細胞代謝およびアポトーシスの抑制を促進するものと信じている。従って、理論によって如何なる形でも拘束するつもりはないが、結腸に投与したEP4作用薬は、プロスタグランジンEP4レセプターを認識し、そのようにして、これらのシグナリング経路の1以上を活性化すべきである。従って、それによって上皮細胞の成長、増殖、アポトーシスの抑制および粘液分泌の増加を促進し、腸内抗原および刺激物に対する透過性を低下させるべきである。従って、理論によって拘束するつもりはないが、プロスタグランジンEP4作用薬による結腸粘膜バリアのこの増強および維持は、結腸炎、アメーバ性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、深在性嚢胞性大腸炎、表在性嚢胞性大腸炎、肉芽腫性大腸炎、出血性大腸炎、粘液性大腸炎、クローン病および潰瘍性大腸炎に対して予防的であり治療的であるべきである。
【0045】
薬物を結腸に経口投与剤形によって伝達する多くの方法が、当該技術において既知であり、ChourasiaおよびJainにより、J Pharm Pharmaceut Sci 6 (1): 33-66, 2003において再検討されている。これらの方法は、1) アゾまたは炭水化物系プロドラッグのようなプロドラッグの投与;2) 薬物の結腸への伝達用に設計したポリマーによるコーティーング或いは薬物のそのようなポリマー中への封入または含浸;3) 薬物の時間放出伝達;4) 生体接着剤系の使用等を含む。腸内微生物叢は、アゾ結合の還元的開裂を可能にし、2個の窒素原子をアミン官能基として残存させる。また、下部GIの細菌は、グリコシド、グルクロニド、シクロデキストリン、デキストランおよび他の炭水化物を消化し得る酵素を有し、これらの炭水化物から調製したエステルプロドラッグは、親活性薬物を結腸に選択的に伝達することが証明されている。このプロドラッグ法は、5-アミノサリチル酸をヒトに伝達するのに使用されている。デキサメタゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾンおよびフルドロコルチゾンのプロドラッグによるラットまたはモルモットにおける生体内および生体外試験は、グリコシド接合体がステロイド類のヒト結腸への伝達において有用であり得ることを示唆している。他の生体内試験は、ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬のグルクロニド、シクロデキストリンおよびデキストランプロドラッグがこれらの薬物の下部GI管への伝達において有用であることを示唆している。同様に、アミラーゼ、アラビノガラクタン、キトサン、コンドロイチン硫酸(chondroiton sulfate)、デキストラン、グアーゴム、ペクチン、キシリン等のような炭水化物ポリマーを使用して薬物化合物をコーティーングすることができ、或いは、薬物を上記ポリマー中に含浸または封入させることもできる。サリチル酸およびグルタミン酸のアミドは、サリチル酸のウサギまたはイヌの結腸への伝達において有用であることが証明されている。経口投与した後、上記ポリマーは、上部GI管内では安定なままであるが、下部GIの微生物叢によって消化され、そのようにして薬物を治療のために放出する。また、pHに対して感受性であるポリマーも、 結腸が上部GI管よりも高いpHを有するので使用し得る。そのようなポリマーは、商業的に入手可能である。例えば、Rohm Pharmaceuticals社(ドイツ国ダルムシュタット)は、ポリマー中の遊離カルボン酸基の数に基づき種々のpH範囲に亘って多様な溶解性を有するpH依存性メタクリレート系ポリマーおよびコポリマーを、商品名EudragitRとして商業的に提供している。数種のEudragitR投与剤形が、潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療のためにサルサラジン(salsalazine)を伝達するのに現在使用されている。また、時間放出系、生体接着系および他の伝達系も研究されている。
【0046】
また、プロスタグランジンEP4作用薬の単一組成物または別個の投与剤形のいずれかでの併用も意図する。本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、EP4作用薬およびそのプロドラッグとの併用治療において含ませ得る薬物としては、限定するものではないが、下記がある:
1.アミノサリチル酸塩およびそのプロドラッグ、スルファサラジン等のような抗炎症薬
2.コルチコステロイド類等のようなステロイド類
3.アザチオプリン、6-メルカプトプリン、シクロスポリン等のような免疫調節剤;および、
4.インフリキシマブ、エタネルセプト、オネルセプト、アダリムマブ、CDP571、CDP870、ナタリズマブ、MLN-02、ISIS 2302、cM-T412、BF-5、バシリズマブ、デクリズマブ、バシリキシマブ、抗-CD40L等のような、炎症性サイトカインに対するヒト化モノクローナル抗体。
【0047】
化合物のプロスタグランジンEP4活性および選択性を判定する1つの有用なアッセイ法を以下で説明する。
ヒト組換えEP1、EP2、EP3、EP4、FP、TP、IPおよびDPレセプター:安定形質転換体
ヒトEP1、EP2、EP3、EP4、FP、TP、IPおよびDPレセプターをコード化するプラスミドを、それぞれのコード配列を真核発現ベクターpCEP4 (Invitrogen社)中にクローニングすることよって調製した。pCEP4ベクターは、エプスタイン・バールウイルス(EBV)起原の複製を含有し、霊長類細胞系中でエピソーム複製を可能にしてEBV核抗原(EBNA-1)を発現する。また、このベクターは、真核生物選択において使用するハイグロマイシン耐性遺伝子を含有する。安定形質転換において使用する細胞は、EBNA-1タンパク質を移入し該タンパク質を発現するヒト胚腎細胞(HEK-293)である。これらのHEK-293-EBNA細胞(Invitrogen社)を、Geneticin (G418)を含有する培地中で増殖させてEBNA-1タンパク質の発現を維持する。HEK-293細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)、250μg ml-1のG418 (Life Technologies社)および200μg ml-1のゲンタマイシンまたはペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM中で増殖させる。安定な形質転換体の選択は200μg ml-1のハイグロマイシンによって行い、最適濃度は、前以ってのハイグロマイシン殺生曲線試験によって決定する。
【0048】
形質転換に当っては、細胞を、10cmプレート上で50〜60%の密集度に増殖させる。それぞれのヒトプロスタノイドレセプターに対するcDNA挿入物(20μg)を取込んだプラスミドpCEP4を、500μlの250 mM CaCl2中に添加する。その後、HEPES緩衝生理食塩水×2 (2×HBS、280mM NaCl、20mM HEPES酸、1.5mM Na2HPO4、pH 7.05〜7.12)を、室温で連続渦流処理しながら、総計500μlに滴下により添加する。30分後、9mlのDMEMを混合物に添加する。次いで、DNA/DMEM/リン酸カルシウム混合物を、10mlのPBSで前以って洗浄した細胞に添加する。その後、細胞を、湿潤95%空気/5%CO2中で、37℃で5時間インキュベートする。その後、リン酸カルシウム溶液を除去し、細胞を、DMEM中10%のグリセリンで2分間処理する。次に、グリセリン溶液を、10%のFBSを含むDMEMで置換える。細胞を1夜インキュベートし、培地を、250 μg ml-1のG418およびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM/10% FBSで置換える。翌日、ハイグロマイシンBを200μg ml-1の最終濃度まで添加する。
形質転換10日後に、ハイグロマイシンB耐性クローンを個々に選択し、24ウェルプレートの個々のウェルに移す。合流点で、各クローンを6ウェルプレートの1つのウェルに移し、次いで、10cm皿内で増殖させる。細胞を、使用するまで、連続ハイグロマイシン選択下に維持する。
【0049】
放射性リガンド結合性
各細胞から調製した原形質膜画分における放射性リガンド結合性試験を次のようにして実施する:各細胞を、TME緩衝液で洗浄し、フラスコ底部からすくい取り、ブリンクマン(Brinkman)PT 10/35ポリトロンを使用して30秒間均質化する。TME緩衝液を必要に応じて添加して、遠心分離チューブ内で40ml容量を得る。TMEは、50mM TRIS塩基、10mM MgCl2、1M EDTAからなる;1N HClを添加して7.4のpHを得る。細胞ホモジネートを、Beckman Ti-60またはTi-70ローターを使用して19000rpmにて4℃で20〜25分間遠心分離する。その後、ペレットを、TME緩衝液中に再懸濁させて、Bio-Radアッセイにより測定したときに1mg/mlの最終タンパク質濃度を得る。放射性リガンド結合性アッセイを100μlまたは200μl容量で行う。
[3H-]PGE2(特異性活性165Ci/ミリモル)の結合性を、正副二通りで且つ少なくとも3回の別々の試験において測定する。インキュベーションは、25℃で60分間であり、4mlの氷冷50mM TRIS-HClを添加することによって終了させ、その後、WhatmanGF/Bフィルターによる急速濾過および細胞ハーベスター(Brandel社)内での3回のさらなる4ml洗浄を行う。競合試験は、2.5または5nM [3H]-PGE2の最終濃度を使用して実施し、非特異結合性は、10-5Mのラベル化していないPGE2によって測定する。
全ての放射性リガンド結合性試験において、算入基準は、>50%の特異結合および500〜1000間またはそれ以上良好な置換計数である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロスタグランジンEP4作用薬のプロドラッグを含み、該プロドラッグがアミノ酸のエステル、エーテルまたはアミドであることを特徴とする化合物。
【請求項2】
前記プロスタグランジンEP4作用薬が、下記からなる群から選ばれる化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグである、請求項2記載の化合物:
【化1】

【化2】

(式中、点線は、結合の存在または不存在を示し;
Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1〜4であり、1個のCH2はSまたはOで置換し得;
Xは、SまたはOであり;
Jは、C=O、CHOHまたはCH2CHOHであり;そして、
Eは、C1-12アルキル、R2または-Y-R2であり、YはCH2、SまたはOであり、R2はアリールまたはヘテロアリールである)。
【請求項3】
Aが、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;Eが、C1-6アルキル、R2または-Y-R2であり、YはCH2、SまたはOであり、R2はアリールまたはヘテロアリールである、請求項3記載の化合物。
【請求項4】
R2が、F、Cl、Br、メチル、メトキシおよびCF3からなる群から選ばれる0〜2個の置換基を有するフェニル、ナフチル、ビフェニル、チエニルまたはベンゾチエニルである、請求項4記載の化合物。
【請求項5】
R2が、CH2-ナフチル、CH2-ビフェニル、CH2-(2-チエニル)、CH2-(3-チエニル)、ナフチル、ビフェニル、2-チエニル、3-チエニル、CH2-(2-(3-クロロベンゾチエニル))、CH2-(3-ベンゾチエニル)、(2-(3-クロロベンゾチエニル)または3-ベンゾチエニルである、請求項5記載の化合物。
【請求項6】
前記プロスタグランジンEP4作用薬が、下記を含む、請求項5記載の化合物:
【化3】

(式中、xは、0または1であり;R1は、H、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、メトキシまたはCF3である)。
【請求項7】
前記プロスタグランジンEP4作用薬が、下記を含む、請求項7記載の化合物:
【化4】

【請求項8】
下記のプロドラッグまたはその製薬上許容し得る塩である、請求項1記載の化合物:
【化5】

【請求項9】
下記のプロドラッグまたはその製薬上許容し得る塩である、請求項1記載の化合物:
【化6】

【請求項10】
アミノ酸が、天然アミノ酸である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
アミノ酸が、非天然アミノ酸である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
前記プロドラッグが、C1アミノ酸エステルである、請求項1記載の化合物。

【公表番号】特表2009−532491(P2009−532491A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504375(P2009−504375)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/064360
【国際公開番号】WO2007/115001
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】