説明

プロセスカートリッジ

【課題】簡易な構成で、容易かつ確実にカバーを装着することができ、像担持体を確実に保護することができるプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】
静電潜像が形成される感光ドラム5と、感光ドラム5に圧接されて感光ドラム5にトナーを供給する現像ローラ7とを備えるプロセスカートリッジ3に、感光ドラム5を被覆するように装着されるカバー31において、カバー31の右端部のみに、感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力を低減させる弾性変形可能なドラム軸係合部34を備える。そして、カバー31をプロセスカートリッジ3に装着した後、現像ローラ7の左端部を支点として、現像ローラ7の右端部にドラム軸係合部34を当接させて、現像ローラ7の右端部のみを感光ドラム5から離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に備えられるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタに備えられるプロセスカートリッジとして、表面に静電潜像を担持する感光体と、表面に現像剤を担持し、感光体に現像剤を供給する現像ローラとを回転自在に支持するプロセスカートリッジが知られている。
たとえば、現像ローラと感光体とを、互いに圧接させるように支持するプロセスカートリッジが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
このプロセスカートリッジには、画像形成装置に装着されていないときに、感光体を覆うように像担持体カバーが装着される。像担持体カバーには、現像ローラと感光体とを離間させる離間部材が、一体的に備えられている。
このプロセスカートリッジでは、感光体を覆うように像担持体カバーを装着したときに、離間部材によって現像ローラと感光体とが離間され、現像ローラと感光体とが、長期間、同一の部分において接触し続けることにより、圧接痕などが発生することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−282079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記した特許文献1に記載のプロセスカートリッジでは、像担持体カバーを装着するときに、現像ローラを支持する第1筐体ブロックと、感光体を支持する第2筺体ブロックとの間に、現像ローラと感光体とを圧接させるように第1筐体ブロックと第2筺体ブロックとを付勢しているスプリングの付勢力に抗して、第1筐体ブロックと第2筺体ブロックとを押し広げるように、離間部材を挿入している。
【0006】
そのため、像担持体カバーを装着するためには、スプリングの付勢力に抗して、第1筐体ブロックと第2筺体ブロックとを押し広げるための強い押圧力が必要となる。
その結果、像担持体カバーの装着作業が困難になるという不具合がある。また、像担持体カバーの離間部材に強い押圧力が作用することにより、離間部材が破損するという不具合もある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、容易かつ確実にカバーを装着することができ、像担持体を確実に保護することができるプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明は、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、静電潜像が形成される像担持体と、現像剤を担持し、像担持体に圧接されて像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、像担持体と現像剤担持体とを接離可能に収容するケーシングと、プロセスカートリッジが画像形成装置本体から離脱されたときに、像担持体を被覆するようにケーシングに装着されるカバーと、像担持体の長手方向におけるカバーの一端部のみに設けられ、像担持体と現像剤担持体との圧接力を低減させる弾性変形可能な圧接力低減部材とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧接力低減部材は、像担持体の長手方向において、像担持体を被覆するカバーの一端部のみに設けられている。
そのため、カバーを装着した後、像担持体と現像剤担持体とを、長手方向他端部を支点として、長手方向一端部に圧接力低減部材を作用させることができる。
これにより、像担持体の長手方向両端において、像担持体と現像剤担持体との圧接力を低減させる場合と比べて、弱い押圧力で像担持体と現像剤担持体との圧接力を低減させることができる。
【0010】
その結果、簡易な構成で、容易かつ確実にカバーを装着することができ、像担持体を確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のプリンタを示す側断面図である。
【図2】図1に示すプロセスカートリッジであって、本体ケーシングから離脱され、カバーが装着された状態の左下から見た斜視図である。
【図3】図2に示すカバーの左上から見た斜視図である。
【図4】図2に示すカバーの背面図である。
【図5】プロセスカートリッジへのカバーの装着を説明するための説明図であって、カップリング係合部をプロセスカートリッジのカップリングカバーに係合させた状態を示す。
【図6】プロセスカートリッジへのカバーの装着を説明するための説明図であって、プロセスカートリッジにカバーが装着され、ドラム軸係合部が弾性変形されている状態を示す。
【図7】図6に示すプロセスカートリッジおよびカバーの右側面図である。
【図8】プロセスカートリッジへのカバーの装着を説明するための説明図であって、現像ローラの右端部が、感光ドラムから離れるように上方に移動され、ドラム軸係合部の当接部が、下方から現像ローラ軸に当接されている状態を示す。
【図9】現像ローラと感光ドラムとの圧接力の低減を説明するための説明図である。
【図10】第2実施形態のプロセスカートリッジであって、本体ケーシングから離脱され、カバーが装着された状態の左下から見た斜視図である。
【図11】図10に示すカバーの右上から見た斜視図である。
【図12】図10に示すカバーの背面図である。
【図13】第2実施形態のプロセスカートリッジにおいて、現像ローラと感光ドラムとの圧接力の低減を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.プリンタの全体構成
図1に示すように、プリンタ1は、ダイレクトタンデムタイプのカラープリンタである。プリンタ1は、画像形成装置本体の一例としての本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内には、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して、4つのプロセスカートリッジ3(3K,3Y,3M,3C)が備えられている。各プロセスカートリッジ3は、後述する搬送ベルト11による用紙Pの搬送方向において、その上流側からブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの順に等間隔に並列配置されている。
【0013】
なお、以下の説明において、搬送ベルト11(後述)による用紙Pの搬送方向上流側(図1における紙面左側)を前側とし、その反対側(図1における紙面右側)を後側とする。また、プリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
各プロセスカートリッジ3は、本体ケーシング2の上面に設けられたトップカバー4を開放した状態で、本体ケーシング2内に対して上方から着脱することができる。
【0014】
各プロセスカートリッジ3は、後述するが、像担持体の一例としての感光ドラム5と、スコロトロン帯電器6と、現像剤担持体の一例としての現像ローラ7と、クリーニングローラ8とを備えている。
スコロトロン帯電器6、現像ローラ7およびクリーニングローラ8は、感光ドラム5の周囲に配置されている。スコロトロン帯電器6は、感光ドラム5の表面と間隔を隔てて対向している。現像ローラ7およびクリーニングローラ8は、それらの周面が感光ドラム5の表面に接触した状態で設けられている。
【0015】
また、本体ケーシング2内には、プロセスカートリッジ3に対応する4つのLEDユニット9が設けられている。各LEDユニット9の先端部は、感光ドラム5の周面に対向している。
画像形成動作時には、感光ドラム5が図1における反時計回りに一定速度で回転される。また、スコロトロン帯電器6から感光ドラム5の表面に電荷が放射される。これにより、感光ドラム5の表面は、スコロトロン帯電器6と対向した部分から正極性に帯電する。
【0016】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面の帯電した部分がLEDユニット9に対向すると、LEDユニット9の先端部に設けられたLED(図示せず)により、その帯電した部分が選択的に露光される。感光ドラム5の表面の露光された部分からは電荷が除去され、感光ドラム5の表面には、電位差(電荷の有無)による静電潜像が形成される。
【0017】
また、現像ローラ7には、正極性の現像バイアスが印加され、現像剤の一例としてのトナーが担持される。感光ドラム5の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ7に対向すると、現像ローラ7と感光ドラム5の表面との間の電位差により、現像ローラ7から静電潜像に正極性に帯電したトナーが供給される。これにより、静電潜像がトナー像に現像されて、感光ドラム5の表面にトナー像が担持される。
【0018】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット10が配置されている。給紙カセット10に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト11上に搬送される。
搬送ベルト11は、4つの感光ドラム5に下方から対向して配置されている。各感光ドラム5に対して搬送ベルト11の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ12が配置されている。搬送ベルト11上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト11の走行により、各感光ドラム5と搬送ベルト11との間を順次に通過する。感光ドラム5の表面上のトナー像は、転写ローラ12の転写バイアスによって、感光ドラム5と搬送ベルト11との間を通過する用紙Pに転写される。
【0019】
搬送ベルト11に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器13が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器13に搬送される。定着器13では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ14に排出される。
画像形成動作時には、クリーニングローラ8に負極性の回収バイアスが印加される。感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の転写後、感光ドラム5の表面に残留しているトナーや用紙Pの紙粉などの付着物は、感光ドラム5の回転に伴ってクリーニングローラ8に対向したときに、クリーニングローラ8に回収される。
2.プロセスカートリッジの詳細
プロセスカートリッジ3は、図1および図2に示すように、ケーシング21と、現像カートリッジ22とを備えている。
【0020】
ケーシング21は、左右方向に延び、略矩形有底枠形状に形成されている。ケーシング21は、ドラム保持部23とカートリッジ装着部24とを備えている。
ドラム保持部23は、ケーシング21の下側部に設けられている。ドラム保持部23は、カップリングカバー25を備えており、感光ドラム5を支持している。
カップリングカバー25は、ドラム保持部23の左端部において、左方に突出する略円筒形状に形成されている。
【0021】
感光ドラム5は、左右方向に沿って設けられるドラム軸15と、ドラム軸15の左端部に相対回転不能に設けられるドラムカップリング雌部材30とを備えている。ドラムカップリング雌部材30には、本体ケーシング2に設けられるドラムカップリング雄部材(図示せず)が左方から嵌合され、本体ケーシング2の駆動源(図示せず)からの駆動力が入力される。
【0022】
そして、ドラムカップリング雌部材30は、カップリングカバー25内に回転自在に支持されており、ドラム軸15の右端部は、ドラム保持部23の右壁を貫通して右方に突出するように、回転自在に支持されている。これにより、感光ドラム5は、ドラム保持部23に回転自在に支持されている。なお、カップリングカバー25およびドラムカップリング雌部材30は、駆動受部を構成する。
【0023】
カートリッジ装着部24は、ドラム保持部23に連続して、ドラム保持部23の上方に設けられ、現像カートリッジ22を着脱自在に収容している。また、カートリッジ装着部24の上端部には、押圧部材26が設けられている(図5参照)。また、カートリッジ装着部24の左右方向両端部には、現像ローラ軸嵌合穴27が形成されている(図7参照)。
【0024】
押圧部材26は、現像カートリッジ22が装着されたときに、現像カートリッジ22の上端部を下方に向かって押圧する(図5参照)。
現像ローラ軸嵌合穴27は、上下方向に延びる側面視略矩形状に形成されている(図7参照)。現像ローラ軸嵌合穴27は、現像ローラ軸28(後述)を受け入れ可能に形成されている。
【0025】
現像カートリッジ22は、左右方向に延びる略ボックス形状に形成されている。現像カートリッジ22は、現像ローラ7を備えている。
現像ローラ7は、現像カートリッジ22の後側下端部から、後方に向かって露出されるように、現像カートリッジ22の下端部に回転自在に支持されている。現像ローラ7は、現像ローラ軸28と被覆層29とを備えている。
【0026】
現像ローラ軸28は、現像ローラ7の回転軸であって、金属などの導電性材料から左右方向に延びる棒状に形成されている。
被覆層29は、半導電性のゴムなどの弾性材料からなるゴムローラであり、現像ローラ軸28の左右方向中央部分を被覆している(図9参照)。
そして、現像カートリッジ22は、その上端部が、カートリッジ装着部24の押圧部材26に下方から当接されるように、カートリッジ装着部24に装着されている。また、現像ローラ軸28の左右方向両端部は、カートリッジ装着部24の現像ローラ軸嵌合穴27に左右方向内方から遊嵌されている。
【0027】
現像カートリッジ22は、押圧部材26によって下方に向かって押圧されることにより、感光ドラム5に向かって圧接されている。同時に、現像ローラ7も、感光ドラム5に向かって圧接されている。
なお、現像カートリッジ22は、本体ケーシング2の接離機構(図示せず)によって、押圧部材26の付勢力に抗して、上方に持ち上げられて、感光ドラム5から離間できるように設けられている。すなわち、ケーシング21は、感光ドラム5と現像ローラ7とを接離可能に収容している。
3.プロセスカートリッジの保護
(1)カバーの詳細
プロセスカートリッジ3が本体ケーシング2から離脱されたときには、図2に示すように、プロセスカートリッジ3のケーシング21の下端部(ドラム保持部23)には、感光ドラム5を被覆して保護するために、カバー31が装着される。
【0028】
カバー31は、図3および図4に示すように、左右方向に延び、側面視略扇形の部分円筒形状に形成されている。カバー31は、プロセスカートリッジ3に装着されたときに、ドラム保持部23を、後下方からほぼ完全に被覆するように、形成されている。
また、カバー31は、左右方向に延びる被覆部32と、被覆部32の左端部に設けられるカップリング係合部33と、被覆部32の右端部に設けられる圧接力低減部材の一例としてのドラム軸係合部34とを備えている。
【0029】
被覆部32は、左右方向に延びる側断面視略L字形状に形成されており、カバー31の前端部および下端部を構成している。また、被覆部32は、ドラム保護部35と先端保護部36とを備えている。
ドラム保護部35は、被覆部32の前端部に設けられ、左右方向に延びる側断面視略L字形状に形成されている。詳しくは、ドラム保護部35は、被覆部32の上端部から下方に向かって延び、その後、感光ドラム5の外周面に沿うように後方に向かって湾曲されている。
【0030】
先端保護部36は、ドラム保護部35の後方に連続して設けられている。また、先端保護部36は、ドラム保護部35の後端縁から下方に向かって突出するように、左右方向に延び、上側が開放された側断面視略U字形の溝状に形成されている。また、先端保護部36の溝幅(前後方向長さ)は、プロセスカートリッジ3の下側後端部を受け入れ可能な長さに形成されている。
【0031】
カップリング係合部33は、被覆部32の左端縁から上下前後方向に延び、カップリング嵌合穴37、および、被覆部の一例としてのカップリング被覆部38を備えている。
カップリング嵌合穴37は、カップリング係合部33を左右方向に貫通するように設けられている。カップリング嵌合穴37は、上下方向に延びる長穴であり、プロセスカートリッジ3のカップリングカバー25を受け入れ可能な大きさに形成されている。
【0032】
カップリング被覆部38は、カップリング嵌合穴37の上側周端縁から右方に向かって突出し、下側に向かって開放された側面視略U字形の部分円筒形状に形成されている。また、カップリング被覆部38の左端部には、カップリング被覆部38の径方向内方は突出するフランジ39が形成されている。
ドラム軸係合部34は、被覆部32の右端縁から連続して上下前後方向に延びる弾性変形可能な平板形状に形成されている。すなわち、ドラム軸係合部34は、カバー31に一体的に設けられている。また、ドラム軸係合部34は、収容部の一例としてのドラム軸嵌合穴40、保持部の一例としての当接部41、および、操作部42を備えている。
【0033】
ドラム軸嵌合穴40は、ドラム軸係合部34を左右方向に貫通するように設けられている。ドラム軸嵌合穴40は、上下方向に延びる側面視略矩形状に形成され、その上端部の前後方向長さは、感光ドラム5のドラム軸15の径方向長さよりも長い(図7参照)。
当接部41は、屈曲した平板状に形成され、ドラム軸嵌合穴40の上方に設けられている。詳しくは、当接部41は、ドラム軸係合部34の上端縁から連続して右方に向かって突出し、その後、上方に向かって屈曲され、上方に向かって延びている。
【0034】
操作部42は、当接部41の後方において、ドラム軸係合部34の上端縁から左上方に延びる平板形状に形成されている。
(2)カバーの装着
次いで、図5〜図8を参照して、プロセスカートリッジ3へのカバー31の装着について説明する。
【0035】
カバー31をプロセスカートリッジ3に装着するには、図5に示すように、まず、プロセスカートリッジ3のカップリングカバー25に、カバー31のカップリング係合部33を係合させる。
カップリングカバー25にカップリング係合部33を係合させるには、プロセスカートリッジ3に対して、カバー31を下側から近接させる。なお、このとき、プロセスカートリッジ3に対して、カバー31の左端部から斜めに近接させる。
【0036】
そして、カップリング嵌合穴37にカップリングカバー25を挿通させるとともに、カップリング被覆部38をカップリングカバー25に下方から被せる。
これにより、カップリングカバー25およびドラムカップリング雌部材30(駆動受部)は、カップリング被覆部38によって下方および左方から被覆される。また、カバー31のカップリング係合部33が、プロセスカートリッジ3のカップリングカバー25に対して、位置固定される。
【0037】
次いで、現像ローラ軸28を支点にカバー31を揺動させ、プロセスカートリッジ3に対して、カバー31の左端部を下方から近接させる。
なお、ドラム軸係合部34は、ドラム軸15の右端部と上下方向に重なるように設けられているので、プロセスカートリッジ3に対してカバー31の右端部をそのまま近接させるだけでは、ドラム軸係合部34がドラム軸15に下方から干渉し、カバー31のそれ以上の揺動が規制される。
【0038】
そこで、操作部42を右方に向かって引っ張り、ドラム軸係合部34を、ドラム軸15に干渉しないように右方に撓ませながら、カバー31の右端部を、プロセスカートリッジ3に対して下方から近接させる。
そして、ドラム軸15がドラム軸嵌合穴40の上端部に左方から挿通されるように、カバー31をプロセスカートリッジ3に被せて、その後、操作部42の引っ張りを解除する。
【0039】
すると、図6に示すように、ドラム軸係合部34は、その弾性により、左方に向かって移動し、ドラム軸15がドラム軸嵌合穴40の上端部に左方から挿通される。
これにより、ドラム軸15の右端部がドラム軸嵌合穴40内に収容され、カバー31のプロセスカートリッジ3への装着が完了される。
このとき、ドラム軸係合部34の当接部41は、図7に示すように、現像ローラ軸28の右端部に右方から当接している。すなわち、ドラム軸係合部34は、左右方向に投影したときに、現像ローラ軸28の右端部と重なっている。また、ドラム軸係合部34は、ドラム保持部23に右方において、ケーシング21の外部に露出されている。
【0040】
これにより、ドラム軸係合部34は、現像ローラ軸28の右端部によって、右方に押圧される。すなわち、ドラム軸係合部34は、引き続き右方に弾性変形されており、左方への付勢力を有している。
次いで、現像ローラ軸28の右端部を上方に向かって移動させて、現像ローラ7と感光ドラム5との圧接力を低減させる。
【0041】
現像ローラ軸28の右端部を上方に向かって移動させるには、現像ローラ軸28の左端部を上方に向かって引き上げる。
すると、現像ローラ7は、図9に示すように、左端部において、感光ドラム5に圧接されながら、右端部において、感光ドラム5への圧接力に抗して、感光ドラム5から離間される。すなわち、現像ローラ7と感光ドラム5とは、その長手方向にわたって、圧接力が低減される。なお、このとき、感光ドラム5の左端部と、現像ローラ7の左端部とは、画像形成領域外で接触されている。
【0042】
また、現像ローラ軸28の右端部が上方に向かって移動すると、ドラム軸係合部34の当接部41が現像ローラ軸28の右端部から外れて、その付勢力により、左方へ移動される。
そして、現像ローラ軸28の右端部への引き上げを解除すると、図8に示すように、現像ローラ軸28の右端部が、ドラム軸係合部34の当接部41に上方から当接され、現像ローラ軸28の上方への移動がそのまま保持される。
【0043】
これにより、ドラム軸係合部34の当接部41によって、感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力が低減されるとともに、その感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力の低減が維持される。
このようにして、現像ローラ7と感光ドラム5との圧接力を低減させることができる。
4.作用効果
(1)このプロセスカートリッジ3によれば、ドラム軸係合部34の当接部41は、図3に示すように、感光ドラム5を被覆するカバー31の右端部のみに設けられている。
【0044】
そのため、図9に示すように、カバー31を装着した後、現像ローラ7の左端部を支点として、現像ローラ7の右端部にドラム軸係合部34を当接させて、現像ローラ7の右端部のみを感光ドラム5から離間させることができる。
これにより、左右方向両端において、現像ローラ7を感光ドラム5から離間させて、感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力を低減させる場合と比べて、弱い押圧力で感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力を低減させることができる。
【0045】
その結果、簡易な構成で、容易かつ確実にカバー31を装着することができ、感光ドラム5を確実に保護することができる。
(2)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図6および図7に示すように、ドラム軸係合部34の当接部41は、カバー31がケーシング21に装着されたときには、左右方向に投影したときに、現像ローラ軸28の右端部と重なっており、左方への付勢力を有している。
【0046】
そのため、カバー31がケーシング21に装着された後、左右方向に投影したときに、ドラム軸係合部34の当接部41が現像ローラ軸28の右端部と重ならないように、現像ローラ軸28の右端部を、上方(感光ドラム5から離れる方向)へ一旦移動させれば、ドラム軸係合部34の当接部41が、現像ローラ軸28の右端部から外れて、その付勢力により左方へ移動し、現像ローラ軸28の右端部に、下方から当接する。
【0047】
すると、現像ローラ軸28の右端部が、ドラム軸係合部34の当接部41との当接により、上方(感光ドラム5から離れる方向)へ移動された状態で保持される。
これにより、感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力が低減された状態を保持することができる。
その結果、簡易な構成で、確実に現像ローラ7と感光ドラム5との圧接力を低減させて、感光ドラム5を確実に保護することができる。
(3)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図6および図7に示すように、ドラム軸係合部34は、カバー31がケーシング21に装着されたときには、現像ローラ軸28の右端部によって、右方に押圧されることにより、弾性変形されている。
【0048】
そのため、カバー31をケーシング21に装着するときに、ドラム軸係合部34を現像ローラ軸28の右端部に干渉させて弾性変形させておけば、確実に、ドラム軸係合部34に、左方への付勢力を発生させることができる。
(4)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図3および図7に示すように、ドラム軸係合部34は、カバー31がケーシング21に装着されたときに、ドラム軸15の右端部を収容するドラム軸嵌合穴40を備えている。
【0049】
そのため、カバー31をケーシング21に装着したときに、ドラム軸15の右端部を収容しながら、ドラム軸係合部34の当接部41を現像ローラ軸28の右端部に作用させることができる。
(5)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図6および図7に示すように、ドラム軸係合部34は、カバー31がケーシング21に装着されたときに、ケーシング21の外部に露出されている。
【0050】
そのため、ドラム軸係合部34の当接部41を視認することができ、確実に、ドラム軸係合部34の当接部41を現像ローラ軸28の右端部に作用させることができる。
(6)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図9に示すように、ドラム軸係合部34が感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力を低減させたときには、感光ドラム5の左端部と、現像ローラ7の左端部とは、接触されている。
【0051】
そのため、感光ドラム5の左端部と、現像ローラ7の左端部とが接触されている部分を支点として、より小さな力で、感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力に抗して、ドラム軸係合部34が感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力を低減させることができる。
その結果、より容易に感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力を低減させることができる。
(7)また、このプロセスカートリッジ3によれば、現像ローラ7は、弾性を有する被覆層29を備えており、感光ドラム5の左端部と、現像ローラ7の左端部とは、画像形成領域外で接触されている。
【0052】
そのため、左右方向両端において、感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力を低減させる場合と比べて、容易に感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力を低減させることができながら、画像形成領域内に圧接痕などが発生することを防止することができる。
(8)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図3に示すように、ドラム軸係合部34は、カバー31に一体的に設けられている。
【0053】
そのため、ドラム軸係合部34をカバー31と別途設けることなく、部品点数を低減することができる。
(9)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図3および図8に示すように、ドラム軸係合部34は、感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力の低減を維持するための当接部41を備えている。
【0054】
そのため、当接部41を現像ローラ軸28の右端部に作用させれば、確実に、感光ドラム5と現像ローラ7との圧接力の低減を維持することができる。
(10)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図2に示すように、ケーシング21は、左端部において、本体ケーシング2から駆動力が入力されるカップリングカバー25およびドラムカップリング雌部材30(駆動受部)を備え、カバー31は、左端部において、カバー31がケーシング21に装着されたときに、カップリングカバー25およびドラムカップリング雌部材30(駆動受部)を被覆するカップリング係合部33を備えている。
【0055】
そのため、カバー31が装着されたときには、感光ドラム5だけでなく、カップリング係合部33により、カップリングカバー25およびドラムカップリング雌部材30(駆動受部)も保護することができる。
(11)また、このプロセスカートリッジ3によれば、図6および図7に示すように、カバー31のプロセスカートリッジ3への装着が完了した後、図8に示すように、現像ローラ軸28の左端部と、カバー31の当接部41とを当接させて、現像ローラ7と感光ドラム5との圧接力を低減させることができる。
【0056】
そのため、プロセスカートリッジ3の工場出荷時には、カバー31をプロセスカートリッジ3に装着するとともに、現像ローラ7と感光ドラム5との圧接力を低減させて、確実に、感光ドラム5を保護することができる。
また、使用済みのプロセスカートリッジ3をユーザーから回収するときには、現像ローラ7と感光ドラム5との圧接力を低減させることなく、カバー31をプロセスカートリッジ3に装着することができる。
【0057】
そのため、ユーザーは、現像ローラ7と感光ドラム5との圧接力を低減させながら、カバー31をプロセスカートリッジ3に装着する場合と比べて、容易に、カバー31をプロセスカートリッジ3に装着することができる。
その結果、プロセスカートリッジ3の工場出荷時には、感光ドラム5を確実に保護できながら、プロセスカートリッジ3をユーザーから回収するときには、ユーザーによるカバー31の装着動作を簡略化することができる。
5.変形例
上記した実施形態では、ドラム軸係合部34に当接部41が設けられ、ドラム軸係合部34が圧接力低減部材として作用しているが、図11および図12に示すように、カップリング係合部33に当接部51を設け、カップリング係合部33を圧接力低減部材としてもよい。なお、図10〜図13において、上記した実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
(1)カバーの詳細
変形例のカバー31は、図10および図11に示すように、ドラム軸係合部34に当接部41が設けられておらず、カップリング係合部33に当接部51を設けられている以外は、上記実施形態のカバー31と同様に形成されている。
【0058】
当接部51は、カップリング被覆部38の上端縁から上方に突出するように、カップリング被覆部38の左右方向すべてにわたって設けられており、略角柱形状に形成されている。
(2)カバーの装着
変形例のカバー31をプロセスカートリッジ3に装着するには、まず、上記した実施形態と同様にして、プロセスカートリッジ3のカップリングカバー25に、カバー31のカップリング係合部33を係合させる。
【0059】
このとき、現像ローラ軸28の左端部を上方に押圧し、現像ローラ軸28の右端部を支点として、現像ローラ軸28の左端部を上方へ移動させながら、カップリングカバー25にカップリング係合部33を係合させる。
そして、現像ローラ軸28の左端部への押圧を解除すると、現像ローラ軸28の左端部が、カップリング係合部33の当接部51に上方から当接され、その上方への移動を保持される。
【0060】
これにより、現像ローラ7は、図13に示すように、右端部において、感光ドラム5に圧接されながら、左端部において、感光ドラム5への圧接力に抗して、感光ドラム5から離間され、カップリング係合部33の当接部51により、その離間が保持される。
すなわち、現像ローラ7と感光ドラム5とは、長手方向にわたって圧接力が低減され、カップリング係合部33の当接部51により、その圧接力の低減が保持される。
【0061】
次いで、上記した実施形態と同様にして、図12に示すように、ドラム軸係合部34をドラム軸15の右端部に係合させる。
これにより、図10に示すように、変形例のカバー31のプロセスカートリッジへの装着が完了される。
(3)作用効果
変形例においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0062】
2 本体ケーシング
3 プロセスカートリッジ
5 感光ドラム
7 現像ローラ
21 ケーシング
25 カップリングカバー
30 ドラムカップリング雌部材
31 カバー
33 カップリング係合部
34 ドラム軸係合部
38 カップリング被覆部
40 ドラム軸嵌合穴
41 当接部
51 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、
静電潜像が形成される像担持体と、
現像剤を担持し、前記像担持体に圧接されて前記像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、
前記像担持体と前記現像剤担持体とを接離可能に収容するケーシングと、
前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置本体から離脱されたときに、前記像担持体を被覆するように前記ケーシングに装着されるカバーと、
前記像担持体の長手方向における前記カバーの一端部のみに設けられ、前記像担持体と前記現像剤担持体との圧接力を低減させる弾性変形可能な圧接力低減部材と
を備えることを特徴とする、プロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記圧接力低減部材は、前記カバーが前記ケーシングに装着されたときには、前記長手方向に投影したときに、前記現像剤担持体の前記長手方向一端部と重なっており、前記長手方向他方側への付勢力を有していることを特徴とする、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記圧接力低減部材は、前記カバーが前記ケーシングに装着されたときには、前記現像剤担持体の前記長手方向一端部によって、前記長手方向一方側に押圧されることにより、弾性変形されていることを特徴とする、請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記圧接力低減部材は、前記カバーが前記ケーシングに装着されたときに前記像担持体の前記長手方向一端部を収容する収容部を備えていることを特徴とする、請求項2または3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記圧接力低減部材は、前記カバーが前記ケーシングに装着されたときに、前記ケーシングの外部に露出されていることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記圧接力低減部材が前記像担持体と前記現像剤担持体との圧接力を低減させたときには、前記像担持体の前記長手方向他端部と、前記現像剤担持体の前記長手方向他端部とは、接触されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記現像剤担持体は、弾性を有しており、
前記像担持体の前記長手方向他端部と、前記現像剤担持体の前記長手方向他端部とは、画像形成領域外で接触されていることを特徴とする、請求項6に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記圧接力低減部材は、前記カバーに一体的に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記圧接力低減部材は、前記像担持体と前記現像剤担持体との圧接力の低減を維持するための保持部を備えていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記ケーシングは、前記長手方向他端部において、前記画像形成装置本体から駆動力が入力される駆動受部を備え、
前記カバーは、前記長手方向他端部において、前記カバーが前記ケーシングに装着されたときに、前記駆動受部を被覆する被覆部を備えていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−75654(P2011−75654A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224706(P2009−224706)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】