説明

プロピレンメルトブローン樹脂、プロピレンメルトブローン樹脂繊維及びそれから製造される不織布、並びにその製造方法

230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、プロピレンメルトブローン樹脂、より詳しくは高いメルトフローレート及び融点を有するプロピレンメルトブローン樹脂に関する。これらのプロピレンメルトブローン樹脂は、より効率的且つよりコスト効率的に加工することができ、優れた品質を有する製品を製造するのに用いることができる。これらの組成物は、更に、優れた機械的及び物理的品質を有するプロピレンメルトブローン樹脂繊維を製造するのに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
メルトブローン不織布は、ほぼ間違いなく、最も需要があり技術的に進歩したメルトブローン樹脂に関する最終用途である。特に、ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂は、一体構造の重秤量の(厚い)油吸着材、赤ちゃん用ウエットティッシュ、及び個人用の衛生、医療、及び濾過用途のための軽量の多層及び多材料複合布帛のような幅広い多様な範囲の最終用途の製品を提供することによって道を開く。
【0003】
メルトブローン樹脂に関するより価値のある用途の一つは、バリヤー又はフィルターとして用いられる不織布のために微細なメルトブローン樹脂繊維を製造することである。通常、メルトブローン樹脂繊維がより微細になると、不織布中の孔がより小さくなり、これにより、より効率的なバリヤー又はフィルター装置が導かれる。したがって、より一層微細な繊維の製造を達成するために、樹脂の製造者によって、樹脂の粘度を低下させて、それによってメルトフローレートを上昇させることを試みることによってメルトブローン樹脂を改良することが絶えず試みられていることは驚くべきことではない。より微細な繊維を製造することに加えて、メルトブローン樹脂の粘度を低下させることによって、より好適で経済的な加工条件を達成することができる。
【0004】
当初は、メルトブローン布帛の加工業者は、標準的なポリプロピレン樹脂を購入して、押出加工工程中に有機過酸化物を加えて、ポリプロピレンを化学的に分解し、メルトフローレートを上昇させ、樹脂の分子量分布(即ち多分散指数)を狭くしていた。このプロセスは、化学的ビスブレーキングとして知られている。このプロセスは、原則としては機能するが、品質の制御及び一貫性に欠け、これが劣った品質の最終製品及び限られた最終用途に反映されている。
【0005】
これらの欠点を克服するために、ポリプロピレンの製造者は、メルトブローンプロセスのために過酸化物被覆ポリプロピレンを導入した。大体において、これらの樹脂は、より高く達成しうるメルトフローレート及び融点が認められ、樹脂から製造される最終製品の品質が向上した。特に、メルトブローン不織布が改良された。更に、過酸化物被覆ポリプロピレンにより、不織布製品のような最終製品のためにより微細な繊維を用いる可能性が向上した。しかしながら、未だ、樹脂加工中の押出機処理条件における変動により、過酸化物被覆ポリプロピレンから製造される不織布における一貫性の欠落がもたらされる。更に、化学的ビスブレーキングプロセスは、不可避的に樹脂内に分解副生成物を生成し、これが最終製品に混入する。勿論、これらの副生成物により、最終製品の用途が限定され、また一般にメルトブローンプロセスにおける過酸化物被覆ポリプロピレンの使用も限定される。
【0006】
過酸化物処理又は過酸化物被覆ポリプロピレンメルトブローン樹脂から製造される最終製品における分解副生成物に加えて、従来のメルトブローン樹脂においては、樹脂を繊維に加工する際に紡糸煙が生成していた。紡糸煙は、メルトブローン樹脂内の低融点フラクション、揮発物質、及び他の望ましくない副生成物の気化から生成する。メルトブローン樹脂によって生成する紡糸煙の量がより多いと、メルトブローン樹脂から繊維を製造するプラントに関して排出物がより大きくなる。
【0007】
更に、より高い排出物に加えて、紡糸煙により、メルトブローン樹脂繊維を製造するのに用いる加工ダイが腐食する可能性がある。紡糸煙の腐食性により、ダイの寿命が短くなり、このために製造コストがより高くなる。更に、紡糸煙の腐食性を考慮すると、過酸化物処理又は過酸化物被覆メルトブローン樹脂をはじめとする従来公知のメルトブローン樹脂を加工する際には、適当な安全対策を採る必要がある。
【0008】
したがって、化学的にビスブレーキングすることなく高いメルトフロー及び融点を有するポリプロピレンメルトブローン樹脂は、当該技術においてこれまで知られていなかった。更に、多くの従来公知のメルトブローン樹脂は、高いメルトフローレート及びより小さい分子量分布(即ちより低い多分散指数)、並びに高い融点及び減少した量の分解副生成物を有する樹脂を与えることができなかった。
【0009】
本発明のメルトブローン樹脂は、より高いメルトフローレート、高い融点、より低い多分散指数、及び減少した分解副生成物を有するので、本発明の樹脂からメルトブローン樹脂繊維を製造する加工プラントの処理量及び生産性を向上させることができる。更に、本発明のメルトブローン樹脂は、向上した濾過特性を有するより柔軟でより手触りがよい最終製品を与えるより微細なメルトブローン樹脂繊維を与える。向上した濾過特性は、より微細な繊維が製造されるためであり、且つ、繊維の静電荷保持特性が予期しなかったことに向上するためである。
【0010】
更に、本発明のメルトブローン樹脂を用いて、ハイドロヘッド及び空気透過性のような向上した布帛特性を有する不織布を製造することができる。なお更に、本発明のメルトブローン樹脂を用いて、向上した均一性及び一貫性を有する製品を製造して、それによって生成する廃棄物の量を減少して原材料の経済性を高めることができる。また、本発明のメルトブローン樹脂を用いて、従来公知のメルトブローン樹脂から製造される匹敵する不織布よりも小さい孔径を有する不織布を製造ことができる。
【0011】
原材料の経済性を高めることに加えて、樹脂を繊維及び不織布に加工するのに必要なより低い加工温度及びより少ないプロセスドロー空気のために、本発明のメルトブローン樹脂によってエネルギー及び資源の節約が提供される。更に、本発明のメルトブローン樹脂は、より少ない副生成物及び揮発性物質を有し、このために紡糸煙及びプラントの排気がより少なくなり、樹脂を加工する際のダイの洗浄及び交換の間の時間がより長くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの理由のために、当該技術において、高いメルトフローレート及び融点並びにより低い多分散指数を有する本発明のメルトブローン樹脂に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、プロピレンメルトブローン樹脂、より詳しくは高いメルトフローレート及び融点を有するプロピレンメルトブローン樹脂に関する。
これに関して、本発明の好ましい態様は、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂に関する。
【0014】
本発明の他の好ましい態様は、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を含むポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維に関する。
【0015】
更に、本発明の他の好ましい態様は、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を含むポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維を含む不織布に関する。
【0016】
更に、本発明の他の好ましい態様は、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を含むポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維を含む多層不織布に関する。
【0017】
本発明の更に他の好ましい態様は、式(I):
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、
Mは、元素周期表の第3、4、5、又は6族の遷移金属、或いはランタニド若しくはアクチニドであり;
Xは、水素、ハロゲン、或いはR、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、PR、並びにこれらの組み合わせであり、或いはXは置換若しくは非置換のブタジエニル基又はOR’Oを形成してもよく;
Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基、並びにこれらの組み合わせであり;
R’は、C〜C40アルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む二価のC〜C40炭化水素基、或いは5個以下のケイ素原子を含む二価のシリリデン基であり;
及びRは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここでRとRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、及びRは、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、R、R、及びR10は、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、R、R、及びR10は同一であっても異なっていてもよく、但し、R、R、R、R、及びR10からなる群の少なくとも1つは水素でない)
のメタロセン化合物;
少なくとも1種類のアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物;
場合によっては、有機アルミニウム化合物;及び
プロピレンモノマー;
を接触させ、該プロピレンモノマーを重合して、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を形成することを含む、ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂の製造方法に関する。
【0020】
更に、本発明の他の好ましい態様は、式(I):
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、
Mは、元素周期表の第3、4、5、又は6族の遷移金属、或いはランタニド若しくはアクチニドであり;
Xは、水素、ハロゲン、或いはR、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、PR、並びにこれらの組み合わせであり、或いはXは置換若しくは非置換のブタジエニル基又はOR’Oを形成してもよく;
Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基、並びにこれらの組み合わせであり;
R’は、C〜C40アルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む二価のC〜C40炭化水素基、或いは5個以下のケイ素原子を含む二価のシリリデン基であり;
及びRは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここでRとRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、及びRは、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、R、R、及びR10は、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、R、R、及びR10は同一であっても異なっていてもよく、但し、R、R、R、R、及びR10からなる群の少なくとも1つは水素でない)
のメタロセン化合物;
少なくとも1種類のアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物;
場合によっては、有機アルミニウム化合物;及び
プロピレンモノマー;
を接触させ、該プロピレンモノマーを重合して、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9(測定値?)の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を形成し;該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を押出機内において処理してポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維を形成することを含む、ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維の製造方法に関する。
【0023】
定義:
本明細書において用いる「融点」という用語は、樹脂の大部分が溶融する樹脂の最終融点を指し、最終融点はピーク融点及び開始融点とは異なる。
【0024】
本明細書において用いる「ピーク融点」という用語は、樹脂の大部分が溶融する温度を指す。
本明細書において用いる「開始融点」という用語は、樹脂が溶融し始める温度を指す。
【0025】
本明細書において用いる「繊度」という用語は、製造された繊維の厚さ又は直径を指す。
触媒系:
一般的なメルトブローン樹脂を製造するのに利用することができる種々の触媒系が存在する。チーグラー・ナッタ触媒系は、一般的なメルトブローン樹脂を製造するのに用いられていて、現在も用いられている。しかしながら、チーグラー・ナッタ触媒系から製造されるメルトブローン樹脂は、劣った機械的及び物理的特性を示す。特に、公知のチーグラー・ナッタ触媒系は、本発明のメルトブローン樹脂のようなより高いメルトフローレート及び融点を有するメルトブローン樹脂を製造することができない。本発明のメルトブローン樹脂よりも低いメルトフローレート及び融点を有することに加えて、チーグラー・ナッタ触媒系から製造されるメルトブローン樹脂はより高い多分散指数(即ち分子量分布)を有し、樹脂内により多い量の揮発性物質が存在し、このため、樹脂を加工する際により多い量の紡糸煙が生成する。上記で議論したように、メルトブローン樹脂を加工する際に紡糸煙がより多く発生すると、排出物がより多くなり、ダイ洗浄及びダイ交換の間の時間が短くなる。
【0026】
したがって、本発明のメルトブローン樹脂によってこれらの問題が軽減される。好ましい態様においては、本発明のメルトブローン樹脂は、メタロセン触媒系によって製造することができる。更に、好ましい態様においては、メタロセン触媒系は、式(I):
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、
Mは、元素周期表の第3、4、5、又は6族の遷移金属、或いはランタニド若しくはアクチニドであり;
Xは、水素、ハロゲン、或いはR、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、PR、並びにこれらの組み合わせであり、或いはXは置換若しくは非置換のブタジエニル基又はOR’Oを形成してもよく;
Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基、並びにこれらの組み合わせであり;
R’は、C〜C40アルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む二価のC〜C40炭化水素基、或いは5個以下のケイ素原子を含む二価のシリリデン基であり;
及びRは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここでRとRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、及びRは、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、R、R、及びR10は、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、R、R、及びR10は同一であっても異なっていてもよく、但し、R、R、R、R、及びR10からなる群の少なくとも1つは水素でない)
のメタロセン化合物;少なくとも1種類のアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物;及び場合によっては有機アルミニウム化合物;を含む。
【0029】
本発明の好ましい態様においては、メタロセン触媒系は、式(I):
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、
Mは、元素周期表の第3、4、5、又は6族の遷移金属、或いはランタニド若しくはアクチニドであり;
Xは、水素、ハロゲン、或いはR、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、PR、並びにこれらの組み合わせであり、或いはXは置換若しくは非置換のブタジエニル基又はOR’Oを形成してもよく;
Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基、並びにこれらの組み合わせであり;
R’は、C〜C40アルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む二価のC〜C40炭化水素基、或いは5個以下のケイ素原子を含む二価のシリリデン基であり;
及びRは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここでRとRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、及びRは、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、R、R、及びR10は、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、R、R、及びR10は同一であっても異なっていてもよく、但し、R、R、R、R、及びR10からなる群の少なくとも1つは水素でない)
のメタロセン化合物を、少なくとも1種類のアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物、及び場合によっては有機アルミニウム化合物と接触させることによって調製することができる。
【0032】
本発明の更なる好ましい態様においては、メタロセン触媒系は、式(I)のメタロセン化合物におけるMとして、チタン、ジルコニウム、又はハフニウムを含む。本発明の他の好ましい態様においては、Rは線状又は分岐のC〜C20アルキル基である。本発明の更に他の好ましい態様においては、Xは、水素、ハロゲン、又はRである。本発明の更に他の好ましい態様においては、Xは塩素又はC〜C10アルキル基である。本発明の更に他の好ましい態様においては、Xは、メチル、エチル、及びこれらの組み合わせである。
【0033】
更に、本発明の好ましい態様においては、式(I)のメタロセン化合物において、Lは、5個以下のケイ素原子を含むシリリデン基、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、C〜C40アルキリデン、C〜C40シクロアルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の橋架基である。本発明の更に他の好ましい態様においては、Lは、SiMe又はSiPhである。本発明の更に他の好ましい態様においては、Lは、(Z(R”)(ここで、Zは炭素又はケイ素であり、nは1又は2であり、R”は場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C20炭化水素基である)である。本発明の更に他の好ましい態様においては、R”は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、又はC〜C20アリールアルキル基、及びこれらの組み合わせである。
【0034】
更に、本発明の好ましい態様においては、式(I)のメタロセン化合物において、Lは、Si(CH、SiPh、SiPhMe、SiMe(SiMe)、CH、(CH、又はC(CHである。本発明の更に他の好ましい態様においては、R及びRは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり、ここでRとRは同一であっても異なっていてもよい。本発明の更に他の好ましい態様においては、R及びRは、線状又は分岐で飽和又は不飽和のC〜C20アルキル基である。
【0035】
更に、本発明の好ましい態様においては、式(I)のメタロセン化合物において、R、R、及びRは、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり、ここでR、R、及びRは同一であっても異なっていてもよい。本発明の更に他の好ましい態様においては、R、R、及びRは、水素又はC〜C40アルキル基である。本発明の更に他の好ましい態様においては、RはC〜C40アルキル基である。本発明の更に他の好ましい態様においては、Rは、α−位に第2級炭素又は第3級炭素を有してイソプロピル又はtert−ブチル基を形成するC〜C40アルキル基である。
【0036】
本発明の特に好ましい態様においては、式(I)のメタロセン化合物において、Lは(Si)Meであり、MはZrであり、XはClであり、Rはt−プロピルであり、R、R、及びRは水素であり、Rはメチルであり、R、R、R、及びR10は水素であり、そして、Rはt−ブチルである。
【0037】
式(I)のメタロセン化合物に加えて、本発明による触媒系においてはアルモキサンを用いることができる。アルモキサンは、水と、式(II)又は(III):
AlU3−j (II) HAl6−j (III)
(式中、Uは、水素、ハロゲン、場合によってはケイ素又はゲルマニウム原子を含む、C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、又はC〜C20アリールアルキル基であり、Uは同一であっても異なっていてもよく、但し少なくとも一つのUはハロゲンではなく、jは0〜1の範囲であり、ここでjは非整数でもあってもよい)の有機アルミニウム化合物とを反応させることによって得ることができる。この反応において、Al/水のモル比は、好ましくは1:1〜100:1の間である。
【0038】
本発明による触媒系において用いることのできるアルモキサンは、式(IV):
【0039】
【化5】

【0040】
(式中、Uは上記に定義した通りである)
の少なくとも一つの基を有する、線状、分岐、又は環式の化合物であると考えられる。
特に、線状化合物の場合には、式(V):
【0041】
【化6】

【0042】
(式中、nは0又は1〜40の整数であり、Uは上記に定義した通りである)
のアルモキサンを用いることができる。
更に、式(VI);
【0043】
【化7】

【0044】
(式中、nは2〜40の整数であり、Uは上記に定義した通りである)
のアルモキサンを用いることができる。
本発明にしたがって用いるのに好適な好ましいアルモキサンの非限定的な例は、メチルアルモキサン(MAO)、テトラ(イソブチル)アルモキサン(TIBAO)、テトラ(2,4,4−トリメチルペンチル)アルモキサン(TIOAO)、テトラ(2,3−ジメチルブチル)アルモキサン(TDMBAO)、及びテトラ(2,3,3−トリメチルブチル)アルモキサン(TTMBAO)である。
【0045】
特に興味深い共触媒は、アルキル及びアリール基が特定の分岐パターンを有するWO 99/21899及びWO 01/21674に記載されているものである。
水と反応させて好適なアルモキサンを与えることができるアルミニウム化合物の非限定的な例は、WO 99/21899及びWO 01/21674に記載されており、トリス(2,3,3−トリメチルブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチルヘキシル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチルブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチルヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチルペンチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチルヘキシル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチルヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−プロピルヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチルブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジエチルペンチル)アルミニウム、トリス(2−プロピル−3−メチルブチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3−メチルブチル)アルミニウム、トリス(2−イソブチル−3−メチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチルヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチルブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチルペンチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3,3−ジメチルブチル)アルミニウム、トリス(2−トリメチルシリルプロピル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−3−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(2−フェニルプロピル)アルミニウム、トリス[2−(4−フルオロフェニル)プロピル]アルミニウム、トリス[2−(4−クロロフェニル)プロピル]アルミニウム、トリス[2−(3−イソプロピルフェニル)プロピル]アルミニウム、トリス(2−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(3−メチル−2−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(2−フェニルペンチル)アルミニウム、トリス[2−(ペンタフルオロフェニル)プロピル]アルミニウム、トリス[2,2−ジフェニルエチル]アルミニウム、及びトリス[2−フェニル−2−メチルプロピル]アルミニウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基の一つが水素原子で置き換えられている上記記載のものに対応する化合物、及び炭化水素基の一つ又は二つがイソブチル基で置き換えられている上記記載のものに対応する化合物もまた、本発明において有用である。
【0046】
本発明において有用な好ましいアルミニウム化合物の非限定的な例としては、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム(TIOA)、トリス(2,3−ジメチルブチル)アルミニウム(TDMBA)、トリス(2,3,3−トリメチルブチル)アルミニウム(TTMBA)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
本発明において有用なアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物の非限定的な例は、式(VII):
(VII)
(式中、Dは、ブレンステッド酸であり、プロトンを供与し、式(I)のメタロセン化合物の置換基Xと不可逆的に反応することができ、Eは、適合しうるアニオンであり、Dと式(I)のメタロセン化合物とのの反応から生成する活性触媒種を安定化することができ、十分に不安定でオレフィンモノマーによって除去することができる)の化合物である。本発明の好ましい態様においては、アニオンEは1以上のホウ素原子を含む。本発明のより好ましい態様においては、アニオンEは、式:BAr(−)(式中、Arは、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、及びこれらの組み合わせのようなアリール基である)のアニオンである。WO 91/02012に記載されているようなテトラキス−ペンタフルオロフェニルボレートが、特に好ましい化合物である。
【0048】
更に、本発明において、式(VIII):
BAr (VIII)
の化合物を用いて式(VII)の化合物Eを形成することができる。このタイプの化合物は、例えば、国際特許出願WO 92/00333に記載されている。アルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物の他の例は、式(VIIII)
BArP (VIIII)
(式中、Pは、置換又は非置換ピロール基である)の化合物である。これらの化合物は、WO 01/62764に記載されている。ホウ素原子を含む化合物は、DE−A−19962814及びDE−A−19962910の記載にしたがって好都合に担持させることができる。少なくとも1つのホウ素原子を含む式(VII)〜(VIIII)の化合物は、約1:1〜約10:1、好ましくは1:1〜2:1の間、より好ましくは約1:1のモル比(ここでは、ホウ素原子と式(I)のメタロセン化合物のMとの間の比が比のファクターを定める)で用いることができる。
【0049】
更に、本発明において有用な式:D(VII)の化合物の非限定的な例としては、
トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート;
トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート;
トリメチルアンモニウムテトラ(トリル)ボレート;
トリブチルアンモニウムテトラ(トリル)ボレート;
トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミネート;
トリプロピルアンモニウムテトラ(ジメチルフェニル)ボレート;
トリブチルアンモニウムテトラ(トリフルオロメチルフェニル)ボレート;
トリブチルアンモニウムテトラ(4−フルオロフェニル)ボレート;
N,N−ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート;
N,N−ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート;
N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボレート;
N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボレート;
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート;
N,N−ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート;
N,N−ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート;
ジ(プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
ジ(シクロヘキシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
トリフェニルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート;
トリエチルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート;
ジフェニルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート;
トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート;
トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート;
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート;
トリフェニルカルベニウムテトラキス(フェニル)アルミネート;
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート;
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;及び
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
が挙げられる。
【0050】
本発明にしたがって有用な式:D(VII)の化合物の更なる例は、WO 04/005360、WO 02/102811、及びWO 01/62764に記載されている。
【0051】
更に、ここで記載した触媒は、また、不活性担体上に担持させることもできる。これは、式(I)のメタロセン化合物、或いは式(I)のメタロセン化合物とアルモキサンとの反応の生成物、或いは式(I)のメタロセン化合物とアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物との反応の生成物を、不活性担体上に堆積させることによって行うことができる。不活性担体の非限定的な例としては、シリカ、アルミナ、Al−Si、Al−Mg混合酸化物、ハロゲン化マグネシウム、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
更に、アルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物、及び式(I)のメタロセン化合物を、不活性担体上に堆積させることによって、触媒系を不活性担体上に担持させることができる。不活性担体上に触媒系を堆積させるプロセスは、不活性溶媒中、0℃〜100℃の温度範囲において行う。好ましくは、このプロセスは室温において行う。不活性溶媒の非限定的な例としては、トルエン、ヘキサン、ペンタン、プロパン、及びこれらの混合物のような炭化水素が挙げられる。
【0053】
用いることのできる不活性担体の好適な種類としては、活性水素原子を有する基によって官能化されている多孔質有機担体が挙げられる。特に好適な不活性担体としては、不活性担体が部分的に架橋したスチレンポリマーを含むものが挙げられる。このタイプの不活性担体はヨーロッパ出願EP−633272に記載されている。
【0054】
本発明において特に有用な不活性担体の他の種類としては、ポリオレフィン多孔質プレポリマーが挙げられる。本発明の好ましい態様においては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの組み合わせを包含するポリオレフィン多孔質プレポリマーが特に有用である。
【0055】
更に、本発明による更なる有用な不活性担体としては、国際出願WO 95/32995において記載されているもののような多孔質ハロゲン化マグネシウムが挙げられる。
メルトブローン樹脂:
本発明のメルトブローン樹脂は、概してポリプロピレンメルトブローン樹脂に関する。本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレンコポリマーを含んでいてよく、コポリマーは、式(X):
CH=CHR11 (X)
(式中、R11は、水素又はC〜C10炭化水素である)
を有するモノマーから製造される。
【0056】
好ましい態様においては、本発明は、種々のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂に関する。この点に関し、本発明は、好ましくは、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂に関する。
【0057】
従来公知のメルトブローン樹脂は、230℃において約500g/10分より高いメルトフローレート、少なくとも160℃の融点、及び約1.3〜約2.9の多分散指数を有しない。特に、従来公知のメルトブローン樹脂は、上記の全ての特性を組み合わせて有していない。
【0058】
更に、上記で議論したように、従来のメルトブローン樹脂は、樹脂を加工すると劣ったメルトブローン樹脂繊維を与える。これは、従来のメルトブローン樹脂が、230℃において約500g/10分より高いメルトフローレート、少なくとも160℃の融点、及び約1.3〜約2.9の多分散指数を有しないためである。
【0059】
したがって、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂は、高いメルトフローレート、高い融点、及びより低い多分散指数の組み合わせを有するという点でユニークである。本発明の好ましい態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂は、230℃において約500〜約2000g/10分のメルトフローレートを有する。本発明の更に他の好ましい態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂は、230℃において約1200〜約1800g/10分のメルトフローレートを有する。本発明の更に他の態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂は、少なくとも163℃の融点を有する。
【0060】
高いメルトフローレート及び融点を有することに加えて、本発明のメルトブローン樹脂は、従来公知のメルトブローン樹脂よりも低い多分散指数を有する。これは、特に、チーグラー・ナッタ触媒系によって製造された従来公知のメルトブローン樹脂にあてはまる。樹脂の分子量分布の関数である本発明の樹脂のより低い多分散指数により、従来公知のメルトブローン樹脂と比較してより低い多分散指数(即ちより狭い分子量分布)を有する本発明のメルトブローン樹脂が得られる。これは、特に、チーグラー・ナッタ触媒系から製造された従来公知のメルトブローン樹脂にあてはまる。更に、本発明の樹脂のより低い多分散指数により、より高い多分散指数(即ちより幅広い分子量分布)を有する従来公知のメルトブローン樹脂と比較して優れた加工特性が与えられる。特に、本発明のメルトブローン樹脂は、約1.3〜約2.9のより低い多分散指数を有する結果として、加工した際に生成する紡糸煙がより少ない。本発明の更に他の好ましい態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂は、約1.4〜約2.0の多分散指数を有する。本発明の更に他の好ましい態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂は、約1.4〜約1.8の多分散指数を有する。
【0061】
本発明の更に他の態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂は、約90%より大きいアイソタクチシティーを有する。本発明の更に他の態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂は、約94%より大きいアイソタクチシティーを有する。本発明の更に他の態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂は、約96%より大きいアイソタクチシティーを有する。
【0062】
更に、上記で議論したように、ビスブレーキングングによってポリプロピレンメルトブローン樹脂のメルトフローレートを上昇させる試みが行われてきた。ポリプロピレンメルトブローン樹脂をビスブレーキングしてメルトフローレートを上昇させるプロセスは、過酸化物によって開始されるラジカル反応のような激しい化学物質を用いる化学反応によって樹脂内のポリプロピレンポリマー鎖の分子量を低下させることによって行われる。ビスブレーキングによって得られるメルトブローン樹脂及びこれらの樹脂から製造される製品は、高い黄変指数、より高い分解傾向、及び増加した量の樹脂内の副生成物などの多くの欠点を有する。この理由のために、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂は、ビスブレーキングせず、したがってビスブレーキングプロセスからの過酸化物化合物の残留物を含まない
更に、本発明の樹脂の機械的及び物理的特性を調節するために、安定剤を加えることができる。好ましい安定剤の非限定的な例としては、立体障害フェノール及び立体障害アミンのような酸化防止剤、UV安定剤、ホスファイト又はホスホナイトのような加工安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛のような酸スキャベンジャー、又はジヒドロタルサイト、並びにカルシウム、亜鉛、及びナトリウムのカプリル酸塩が挙げられる。一般に、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂には、1種類又は複数の安定剤を約5重量%以下の量で含ませることができる。
【0063】
更に、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂に滑剤及び離型剤を加えることができる。滑剤及び離型剤の非限定的な例としては、脂肪酸、並びに、カルシウム、ナトリウム、及び亜鉛を含むその塩、脂肪酸アミド及びその塩、或いは低分子量ポリオレフィンワックスが挙げられる。一般に、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂には、1種類又は複数の滑剤又は離型剤を、約5重量%以下の量で含ませることができる。
【0064】
更に、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂に充填剤を加えることができる。充填剤の非限定的な例としては、タルク、炭酸カルシウム、チョーク、及びガラス繊維が挙げられる。一般に、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂には、1種類又は複数の充填剤を約50重量%以下の量で含ませることができる。好ましくは、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂には、1種類又は複数の充填剤を約25重量%以下の量で含ませることができる。本発明の他の好ましい態様においては、ポリプロピレンメルトブローン樹脂に、1種類又は複数の充填剤を約10重量%以下の量で含ませることができる。
【0065】
本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂において、成核剤を用いることもできる。有用な成核剤の非限定的な例としては、シリカ又はカオリンのような無機添加剤、モノカルボン酸又はポリカルボン酸の塩、例えば、ナトリウムベンゾエート、アルミニウム−tert−ブチルベンゾエート、及びジベンジリデンソルビトール、或いはジベンジリデンソルビトールのC〜Cアルキル置換誘導体、例えばメチルジベンジリデンソルビトール、エチルジベンジリデンソルビトール、及びジメチルジベンジリデンソルビトール、並びに、リン酸のジエステルの塩、例えばナトリウム2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェートが挙げられる。好ましくは、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂に、1種類又は複数の成核剤を約5重量%以下の量で含ませることができる。
【0066】
かかる添加剤は、一般に、商業的に入手することができ、例えば、Gachter/Muller, Plastics Additives Handbook, 第4版, Hansa Publishers, Munich, 1993に記載されている。
【0067】
一般に、本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂は、式(I):
【0068】
【化8】

【0069】
(式中、
Mは、元素周期表の第3、4、5、又は6族の遷移金属、或いはランタニド若しくはアクチニドであり;
Xは、水素、ハロゲン、或いはR、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、PR、並びにこれらの組み合わせであり、或いはXは置換若しくは非置換のブタジエニル基又はOR’Oを形成してもよく;
Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基、並びにこれらの組み合わせであり;
R’は、C〜C40アルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む二価のC〜C40炭化水素基、或いは5個以下のケイ素原子を含む二価のシリリデン基であり;
及びRは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここでRとRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、及びRは、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、R、R、及びR10は、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、R、R、及びR10は同一であっても異なっていてもよく、但し、R、R、R、R、及びR10からなる群の少なくとも1つは水素でない)
のメタロセン化合物を、反応条件下において、少なくとも1種類のアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物、場合によっては有機アルミニウム化合物、及びプロピレンモノマーと接触させることによって製造することができる。
【0070】
更に、通常公知の混合技術によって、安定剤、滑剤及び離型剤、充填剤、成核剤、及び他の添加剤を本発明のメルトブローン樹脂に加えることができる。
メルトブローン樹脂繊維:
本発明のメルトブローン樹脂繊維は、一般に、優れた機械的及び物理的特性を有するポリプロピレンメルトブローン樹脂繊維に関する。これに関し、本発明は、好ましくは、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を含むポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維に関する。
【0071】
従来公知のメルトブローン樹脂から製造される従来公知のメルトブローン樹脂繊維は、種々の理由のために、本発明のメルトブローン樹脂から製造される本発明のメルトブローン樹脂繊維よりも劣る。上記に議論したように、従来のメルトブローン樹脂繊維は、230℃において約500g/10分より大きいメルトフローレート、少なくとも160℃の融点、及び約1.3〜約2.9の多分散指数を有しないメルトブローンから製造されていた。したがって、これらの従来公知の樹脂から製造された繊維は、加工機から押出した後に一緒に凝集及び接着する。更に、従来公知のメルトブローン樹脂から製造される繊維はより小さいフィラメント減衰を有する。したがって、従来のメルトブローン樹脂から製造される繊維は、本発明のメルトブローン樹脂から製造される繊維ほど微細でない。従来公知のメルトブローン樹脂から製造されるメルトブローン樹脂繊維は加工機から押出した後に一緒に凝集及び接着する傾向を有しているので、製造される繊維の繊度の変動及び分布は非常に大きい。これは、繊維から製造される製品にも悪影響を与える。
【0072】
したがって、本発明の好ましい態様においては、メルトブローン樹脂繊維は約0.1〜約10μmの直径を有する。本発明の他の好ましい態様においては、メルトブローン樹脂繊維は約1〜約6μmの直径を有する。
【0073】
製造される繊維の繊度に加えて、本発明のメルトブローン樹脂繊維は、従来公知のメルトブローン樹脂繊維よりも予期しなかったほどに高い静電荷保持率を有することができる。特に、本発明のメルトブローン樹脂繊維は、現在商業的に入手することができるメルトブローン樹脂から製造される繊維と同等か又はこれより高い静電荷保持率を有することができる。特に、本発明の非配合メルトブローン樹脂は、配合された商業的に入手することができるメルトブローン樹脂と同等か又はこれより高い静電荷保持率を示すことができる。
【0074】
更に、上記で議論したように、本発明のメルトブローン樹脂はより少ない量の揮発性物質を含む(これは本発明のメルトブローン樹脂繊維がより低い多分散指数を有することに反映される)ために、本発明のメルトブローン樹脂繊維は、加工した際により少ない量の紡糸煙を生成する。
【0075】
不織布:
本発明の不織布は、一般に、本発明のメルトブローン樹脂繊維を含む不織布に関する。これに関し、本発明は、好ましくは、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を含むポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維を含む不織布に関する。更に、本発明の不織布は、単層又は多層構造を有することができる。多層構造は、本発明のメルトブローン樹脂の単層又は複層を有することができる。
【0076】
本発明の不織布は、従来公知のメルトブローン樹脂を含む従来公知の不織布よりも優れた、濾過及びバリヤー特性などの機械的及び物理的特性を示す。特に、本発明の不織布は、優れた静電荷保持率及び濾過効率を示し、このために本発明の不織布を、従来公知のメルトブローン樹脂を含む従来公知の不織布と同等か又はこれよりも効率的にフィルター又はバリヤーとして用いることができる。これは、本発明の触媒系から得られる本発明のメルトブローン樹脂から製造されるメルトブローン樹脂繊維の独特の特性のためである。
【実施例】
【0077】
以下の実施例によって、好ましいメルトブローン樹脂、メルトブローン樹脂繊維、及び本発明のメルトブローン繊維を含む不織布を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。全てのポリマー分子量は平均分子量である。全てのパーセントは、他に示さない限り、最終樹脂、繊維、不織布繊維、或いは製品の重量%に基づき、合計は100重量%に等しい。
【0078】
以下の実施例により本発明の好ましい態様を説明する。
実施例1:
ポリプロピレン樹脂の製造:
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリドに代えて、US−2003/0149199に記載のように調製したrac−ジメチルシリレン(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いることによって、PCT/EP2004/00761に記載のようにして触媒系を調製した。
【0079】
プロピレンの重合:
PCT/EP2004/00761に記載のようにして得られた触媒泥の形態の触媒系を、予備接触容器内に供給し、その中で約5(kg/時)のプロパンで希釈した。触媒系を、予備接触容器から予備重合ループに供給し、ここに同時に、表1に報告するデータにしたがってプロピレンを供給した。予備重合ループ内での触媒の滞留時間は8分間であった。予備重合ループ内で得られた予備重合触媒を、次に第1のループ反応器中に連続的に供給し、ここに表1にしたがってプロピレンを供給した。ポリマーを第1のループ反応器から取り出し、未反応のモノマーから分離し、乾燥した。反応条件を表1に報告する。水素の供給によって生成物のMFRを制御した。
【0080】
【表1】

【0081】
実施例2:
試験法:
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238(230℃;2.16kg)によって測定した(単位=dg/分)。
【0082】
分子量分布(M/M)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いてM及びMを測定することによって決定した。測定は、WatersスチラゲルHMW 6Eトルエン、長さ300mm、混合床カラムを有するWaters GPCV 2000 Alliance機械を用いて行った。測定温度は150℃であった。溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いた。測定のために、70mg/72g(0.097重量%)の濃度の試料を209.5μLの量で供給した。M及びMの値は、ポリスチレン標準試料を用いて形成した較正曲線を用いて導いた。
【0083】
25℃においてキシレン中に可溶のフラクション及び不溶のフラクションは、撹拌下、135℃において、2.5gのポリマーを250mLのキシレン中に溶解することによって測定した。20分後に溶液を、未だ撹拌下において25℃に冷却し、次に30分間沈降させた。沈殿物を濾紙によって濾過し、溶液を窒素気流中で蒸発させ、残渣を、一定の重量に達するまで真空下80℃において乾燥した。このようにして、雰囲気温度においてキシレン中に可溶及び不溶のポリマーの重量%を算出した。
【0084】
多分散指数(PI)は、ポリマーにおける分子量分布の測定によって測定した。PI値を測定するために、0.01rad/秒から100rad/秒に増加する振動数で運転するRheometrics(USA)によって販売されているRMS-800並行プレート流量計モデルを用いることによって、200℃の温度において、低弾性率値、例えば500Paにおける弾性率分離を測定した。弾性率分離値から、次式:
PI=54.6×(弾性率分離)−1.76
を用いてPIを導くことができる。
【0085】
弾性率分離(MS)は、
MS=(G’=500Paにおける振動数)/(G”=500Paにおける振動数)
として定義される。ここで、G’は貯蔵弾性率であり、G”は低弾性率である。
【0086】
密度は、ASTM D1505によって測定した。
融点は、ASTM D2117によって測定した。
静水圧(即ちハイドロヘッド)は、INDA標準試験法IST80.6によって測定した。
【0087】
空気透過性は、ASTM D737によって測定した。
試験結果:
上記で議論したように、本発明のメルトブローン樹脂は、優れた機械的及び物理的特性を示し、これによりメルトブローン樹脂繊維及び不織布のような優れた製品を与える。表2に、試験した6種類のメルトブローン樹脂試料を列記する。比較例1〜3は、全て本発明の触媒系とは異なる触媒系から製造された3種類の異なるメルトブローン樹脂を示す。特に、それぞれBasellから販売されている樹脂HH661、HH662H、及びPRO17である比較例1〜3は、従来公知のチーグラー・ナッタ触媒系から製造されたものであった。更に、比較例2及び3はビスブレーキング(即ち化学的に過酸化物処理)した。
【0088】
実施例1〜3は、本発明の触媒系から製造された本発明の3種類のメルトブローン樹脂を示す。特に、実施例1〜3は、本発明の触媒系から製造し、ビスブレーキング(即ち化学的に過酸化物処理)しなかった。したがって、実施例1〜3は、比較例1〜3よりも高いメルトフローレート、高い融点、及び小さい多分散指数の組み合わせを示した。
【0089】
【表2】

【0090】
実施例3:
メルトブローン繊維及びメルトブローン不織布の製造方法:
1種類又は複数のメルトブローン樹脂を計量し押出す(又は多重押出機を用いて共押出する)ことから、メルトブローン繊維及びメルトブローン布帛の製造を開始した。樹脂の押出は、ポリマー溶融体の均一性を最適にするために、種々のL/D比及び種々のスクリューデザインを用いて、単軸及び二軸押出機の両方(共回転及び逆回転の両方)によって、昇温温度において行うことができる。ポリマー溶融体をダイに連続的に供給することは、一定の圧力及び条件流下でダイ又はスピナレットへのポリマー溶融体の一定の供給を確保する計量ポンプによって達成した。
【0091】
低いポリマー粘度、したがってより微細な繊維の形成及びより良好なバリヤー特性の見込みを促進するために、押出す1種類又は複数の樹脂の融点よりも遙かに高い非常に高い温度においてメルトブローンプロセスを行うことができる。更に、メルトブローンプロセスにおいては、通常は1〜10μの範囲のより小さい直径を有するより微細な繊維を形成するために、ポリマー溶融体に隣接して(ポリマーの流れに衝突するか又はこれと平行に)存在する加熱加圧空気(即ち加熱プロセス空気又はドロー空気)を用いて、ポリマー溶融体を更に減衰及び縮小させた。加熱プロセス空気又はドロー空気は、押出される1種類又は複数の樹脂の融点か又はこれより高い温度であってよい。
【0092】
紡糸プロセスにおいて、メルトブローン樹脂からメルトブローン樹脂繊維を形成するために、種々のメルトブローンダイ又はスピナレットデザインを用いることができる。溶融したメルトブローン樹脂を、極めて高い速度で、ダイ、ベンチュリ、又はスピナレット内の特に設計されたオリフィス又は孔に通すことができる。最も通常的には、メルトブローン樹脂繊維を製造するために用いられる装置は、いずれもメルトブローンプロセスのために加熱され、且つ通常は加圧された空気を用いる2つのカテゴリーの1つに分類される。特に、空気急冷機構を有する単列の孔を有するダイを用いることができる。この場合、ダイは、ダイ、ベンチュリ、又はスピナレットの面を横切る単列の小さなオリフィス又はダイホールを有する。この種のダイ、ベンチュリ、又はスピナレットのデザインは、全ての種類のメルトブローン不織布の製造に好適であり、多数の他のダイに接続することができるので、連続して不織布が複数の装置から製造され、多層構造を有する不織布又はフィルムを形成することができる。多層構造は、他のメルトブローン樹脂、非メルトブローン樹脂、不織布(例えばスパンボンド)、及び/又は少なくとも1つのフィルム若しくはラミネート層を有することができる。このタイプの空気急冷機構を有するダイのデザインは、極めて低い乃至低い乃至中程度の秤量の布帛のために最も適している。
【0093】
空気急冷機構を有する単列の孔を有するダイに加えて、水急冷機構を有する複数列の孔を有するダイを用いることができる。水急冷機構を有するシステムにおいては、ダイは、ダイ、ベンチュリ、又はスピナレットの面に沿って、複数列、通常は5〜12の小さなオリフィスを有する。このシステムは、より高い処理能力、より低いダイの温度要求、及びより少ないポリマー分解を有することを特徴とする。更に、これはより重い秤量の布帛のためにより好適である。
【0094】
ダイ、ベンチュリ、又はスピナレットから排出されると、得られた加熱押出物は、上記に記載のように空気又は水によって急冷し、別々の繊維又はフィラメントの形態で現れた。これらは、極めて低い直径を示し、比較的低いレベルの配向を有していた。
【0095】
次に、繊維又はフィラメントの流れを冷却し、移動スクリーン又はベルト上に吹き付けた。不織ウエブは非常に高い相当量の残留熱を伴っているので、自己結合する傾向があった。フィラメントの自己結合及び機械的絡み合いの組み合わせによって、結合力のある構造的に強固な布帛が生成し、カレンダーによる熱結合が必要なくなる可能性がある。しかしながら、ウエブを加熱されたエンボスローラーの間に通すカレンダーを用いることができ、これは、スパンボンドなどの他の不織プロセスにおいて通常的である。
【0096】
最後に、不織ウエブを、ロール上に巻き取ることによって回収した。
不織布のために用いることができる特定の装置:
Reifenhauser REICOFIL500mmメルトブローライン上で、二成分(Bi−co)メルトブローン布帛を製造した。Bi−coラインは、同時に2つの50mm押出機を用いた。このラインは、ポリプロピレン、ポリオレフィン混合物、及び多くの関連するポリマーを用いて、10〜300g/smのメルトブローン樹脂から不織布を製造することができた。最大処理量は約50〜70kg/時であった。最大ライン速度は約200m/分であった。有効メルトブローン布帛幅は約500mmであることができた。
【0097】
REICOFILBi−coメルトブローラインは、2つの50mm(L/d=25)押出機を用いた。それぞれは、押出機からダイ本体への個々の熱制御を行うことができた。それぞれは、20cc/rev/ポンプ出力を有する独自の溶融ポリマー計量ポンプを有していた。
【0098】
メルトブローは、601個の孔の600mmスロットダイを通して行った。それぞれの孔は直径0.4mmであった。スロットダイの前に2つの溶融ポリマー流を合わせて、フィルタースクリーンを有するブレーカープレートに通した。スロットダイのそれぞれの側部に加熱空気を分配して、それによって、急冷して固体フィブリルにする前に溶融ポリマーを均一に伸長させた。
【0099】
移動スクリーンベルト又は回収器上にフィブリルを回収した。縦方向に調節する装置フレームによって、ダイ−回収器の距離(DCD)を変化させることができる。500mmの張力制御巻き取り機によって、布帛を取り外し可能なロールとして回収した。
【0100】
実施例4:
濾過効率試験法:
本発明のポリプロピレンメルトブローン樹脂から製造された繊維を含む不織布の濾過効率を、従来公知で商業的に入手できるメルトブローン樹脂から製造した繊維を含む不織布と比較した。それぞれの不織布の濾過効率を比較するために、当該技術において公知の従来手段によって、本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から2種類の不織布を製造し、Basellによって販売されている商業的に入手できるメルトブローン樹脂であるValtec HH442Hを含む繊維から1種類の不織布を製造した。次に、布帛をイオン化空気に通すことによって両方の布帛をコロナ荷電にかけることにより、両方の布帛の濾過効率を比較した。次に、両方の布帛を、室温(RT)、及び静電荷減衰を促進させるために昇温温度において所定時間濾過効率に関して測定した。濾過効率を測定するために用いた装置は、TSIによるCertiTest Model 8127/8130自動フィルターテスターであった。
【0101】
試験結果:
実施例3は、本発明のメタロセン触媒系から製造された本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布であり、一方、比較例5は、チーグラー・ナッタ触媒系から製造された商業的に入手できるメルトブローン樹脂の繊維から製造された不織布であった。表3Aに示すように、本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布は、商業的に入手できるメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布よりも、より高い濾過効率を示し、したがってより高い静電荷を保持していた。
【0102】
【表3】

【0103】
実施例4は、本発明のメタロセン触媒系から製造された本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された他の不織布であり、一方、比較例6は、チーグラー・ナッタ触媒系から製造された商業的に入手できるメルトブローン樹脂の繊維から製造された他の不織布であった。表3Bに示すように、本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布は、商業的に入手できるメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布と比較して、匹敵する濾過効率を示し、したがって匹敵する静電荷を保持していた。
【0104】
【表4】

【0105】
実施例5
不織布のバリヤー特性:
不織布のバリヤー特性は、不織布の特性及び価値を測定する上で重要な、しばしば全てのファクターの中で最も重要なファクターである。布帛のバリヤー特性は、通常、2種類の試験法によって測定される。(a)静水圧(ハイドロヘッド)(INDA標準試験法IST80.6)は、静水圧下での水の浸透に対する不織布の抵抗を測定する。静水圧がより高い値であると、より少ない欠陥及びより小さい孔を有するより微細な不織構造(より高い繊度の繊維)が示される。(b)空気透過性(ASTM D737)は、布帛の2つの表面の間の差圧下で材料を通る空気流の速度を測定する。空気透過性におけるより低い値により、布帛を通って透過する空気のより低いレベル、即ちより高いバリヤー特性が数値化される。
【0106】
試験結果:
実施例2及び3(mPP 1200MFR及びmPP 1800MFR)は、本発明のメタロセン触媒系から製造された本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布であり、一方、比較例2(znPP 1100MFR)は、チーグラー・ナッタ触媒系から製造された商業的に入手できるメルトブローン樹脂の繊維から製造された不織布であった。図1及び2(0.6及び0.8g/孔/分の2種類の異なる生産量に関する)に示されるように、本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布は、商業的に入手できるメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布よりも高い静水圧(より高いハイドロヘッド)を示した。
【0107】
同様に、実施例2及び3(mPP 1200MFR及びmPP 1800MFR)は、本発明のメタロセン触媒系から製造された本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布であり、一方、比較例2(znPP 1100MFR)は、チーグラー・ナッタ触媒系から製造された商業的に入手できるメルトブローン樹脂の繊維から製造された不織布であった。図3及び4(0.6及び0.8g/孔/分の2種類の異なる生産量に関する)に示されるように、本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布は、商業的に入手できるメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布よりも低い空気透過性を示した。
【0108】
実施例6:
処理効率及びエネルギー節約:
実施例2(mPP 1200MFR)は、本発明のメタロセン触媒系から製造された本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布であり、一方、比較例2(znPP 1100MFR)は、チーグラー・ナッタ触媒系から製造された商業的に入手できるメルトブローン樹脂の繊維から製造された不織布であった。図5に示されるように、本発明のメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布は、商業的に入手できるメルトブローン樹脂を含む繊維から製造された不織布と比較して、低い温度及び減少したプロセス空気において2種類の押出機生産量(実施例3に示される)において向上したバリヤー特性を達成した。
【0109】
上記のように本発明を説明したが、これを多くの方法で修正又は変更することができることは明らかである。かかる修正及び変更は本発明の精神及び範囲から逸脱するものではなく、かかる修正及び変更は全て特許請求の範囲内に包含されると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、0.6ghmで製造した20gsmのメルトブローン布帛の静水圧を示すグラフである。
【図2】図2は、0.8ghmで製造した20gsmのメルトブローン布帛の静水圧を示すグラフである。
【図3】図3は、0.6ghmで製造した20gsmのメルトブローン布帛の空気透過性を示すグラフである。
【図4】図4は、0.8ghmで製造した20gsmのメルトブローン布帛の空気透過性を示すグラフである。
【図5】図5は、1100g/10分のMFRのznPPと1200g/10分のMFRのメタロセンPPとの間のプロセスの差を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項2】
該メルトフローレートが、230℃において約500〜約2000g/10分である、請求項1に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項3】
該メルトフローレートが、230℃において約1200〜約1800g/10分である、請求項1に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項4】
該多分散指数が約1.4〜約2.0である、請求項1に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項5】
該融点が少なくとも163℃である、請求項1に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項6】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約90%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項1に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項7】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約94%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項1に記載のプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項8】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約96%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項1に記載のプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項9】
式(I):
【化1】

(式中、
Mは、元素周期表の第3、4、5、又は6族の遷移金属、或いはランタニド若しくはアクチニドであり;
Xは、水素、ハロゲン、或いはR、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、PR、並びにこれらの組み合わせであり、或いはXは置換若しくは非置換のブタジエニル基又はOR’Oを形成してもよく;
Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基、並びにこれらの組み合わせであり;
R’は、C〜C40アルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む二価のC〜C40炭化水素基、或いは5個以下のケイ素原子を含む二価のシリリデン基であり;
及びRは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここでRとRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、及びRは、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、R、R、及びR10は、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、R、R、及びR10は同一であっても異なっていてもよく、但し、R、R、R、R、及びR10からなる群の少なくとも1つは水素でない)
のメタロセン化合物;
少なくとも1種類のアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物;
場合によっては、有機アルミニウム化合物;及び
プロピレンモノマー;
を接触させ、該プロピレンモノマーを重合して、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を形成することを含む、ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂の製造方法。
【請求項10】
Mが、チタン、ジルコニウム、又はハフニウムである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Rが線状又は分岐のC〜C20アルキル基である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
Xが、水素、ハロゲン、又はRである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
Xが塩素又はC〜C10アルキル基である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
Xが、メチル、エチル、及びこれらの組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
Lが、5個以下のケイ素原子を含むシリリデン基、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、C〜C40アルキリデン、C〜C40シクロアルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の橋架基である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
LがSiMe又はSiPhである、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
Lが(Z(R”)(ここで、Zは炭素又はケイ素であり、nは1又は2であり、R”は場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C20炭化水素基である)である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
R”が、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、又はC〜C20アリールアルキル基、或いはこれらの組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
Lが、Si(CH、SiPh、SiPhMe、SiMe(SiMe)、CH、(CH、又はC(CHである、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
LがSi(CHである、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
及びRが、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり、RとRは同一であっても異なっていてもよい、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
及びRが、線状又は分岐で飽和又は不飽和のC〜C20アルキル基である、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
、R、及びRが、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよい、請求項9に記載の方法。
【請求項24】
、R、及びRが水素又はC〜C40アルキル基である、請求項9に記載の方法。
【請求項25】
がC〜C40アルキル基である、請求項9に記載の方法。
【請求項26】
が、α−位に第2級炭素又は第3級炭素を有してイソプロピル基又はtert−ブチル基を形成するC〜C40アルキル基である、請求項9に記載の方法。
【請求項27】
Lが(Si)Meであり;
MがZrであり;
XがClであり;
がt−プロピルであり;
、R、及びRが水素であり;
がメチルであり;
、R、R、及びR10が水素であり;そして
がt−ブチルである;
請求項9に記載の方法。
【請求項28】
230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を含むポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項29】
該メルトフローレートが、230℃において約500〜約2000g/10分である、請求項28に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項30】
該メルトフローレートが、230℃において約1200〜約1800g/10分である、請求項28に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項31】
該多分散指数が約1.4〜約2.0である、請求項28に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項32】
該融点が少なくとも163℃である、請求項28に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項33】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約90%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項28に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項34】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約94%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項28に記載のプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項35】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約96%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項28に記載のプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項36】
該繊維が約0.1〜10μmの直径を有する、請求項28に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項37】
該繊維が約1〜6μmの直径を有する、請求項28に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項38】
式(I):
【化2】

(式中、
Mは、元素周期表の第3、4、5、又は6族の遷移金属、或いはランタニド若しくはアクチニドであり;
Xは、水素、ハロゲン、或いはR、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、PR、並びにこれらの組み合わせであり、或いはXは置換若しくは非置換のブタジエニル基又はOR’Oを形成してもよく;
Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基、並びにこれらの組み合わせであり;
R’は、C〜C40アルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む二価のC〜C40炭化水素基、或いは5個以下のケイ素原子を含む二価のシリリデン基であり;
及びRは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここでRとRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、及びRは、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよく;
、R、R、R、及びR10は、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C40炭化水素基であり、ここで、R、R、R、R、及びR10は同一であっても異なっていてもよく、但し、R、R、R、R、及びR10からなる群の少なくとも1つは水素でない)
のメタロセン化合物;
少なくとも1種類のアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物;
場合によっては、有機アルミニウム化合物;及び
プロピレンモノマー;
を接触させ、該プロピレンモノマーを重合して、230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を形成し;該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を押出機内において処理してポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維を形成することを含む、ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維の製造方法。
【請求項39】
Mが、チタン、ジルコニウム、又はハフニウムである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
Rが線状又は分岐のC〜C20アルキル基である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
Xが、水素、ハロゲン、又はRである、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
Xが塩素又はC〜C10アルキル基である、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
Xが、メチル、エチル、及びこれらの組み合わせである、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
Lが、5個以下のケイ素原子を含むシリリデン基、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、C〜C40アルキリデン、C〜C40シクロアルキリデン、C〜C40アリーリデン、C〜C40アルキルアリーリデン、又はC〜C40アリールアルキリデン基から選択される二価の橋架基である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
LがSiMe又はSiPhである、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
Lが(Z(R”)(ここで、Zは炭素又はケイ素であり、nは1又は2であり、R”は場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含むC〜C20炭化水素基である)である、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
R”が、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、又はC〜C20アリールアルキル基であり、R”は同一であっても異なっていてもよい、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
Lが、Si(CH、SiPh、SiPhMe、SiMe(SiMe)、CH、(CH、又はC(CHである、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
LがSi(CHである、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
及びRが、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり、RとRは同一であっても異なっていてもよい、請求項38に記載の方法。
【請求項51】
及びRが、線状又は分岐で飽和又は不飽和のC〜C20アルキル基である、請求項38に記載の方法。
【請求項52】
、R、及びRが、水素、或いは場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を含む、線状又は分岐で環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり、R、R、及びRは同一であっても異なっていてもよい、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
、R、及びRが水素又はC〜C40アルキル基である、請求項38に記載の方法。
【請求項54】
がC〜C40アルキル基である、請求項38に記載の方法。
【請求項55】
が、α−位に第2級炭素又は第3級炭素を有してイソプロピル基又はtert−ブチル基を形成するC〜C40アルキル基である、請求項38に記載の方法。
【請求項56】
該メルトフローレートが約500〜約2000である、請求項38に記載の方法。
【請求項57】
該メルトフローレートが約1200〜約1800である、請求項38に記載の方法。
【請求項58】
該多分散指数が約1.4〜約2.0である、請求項38に記載の方法。
【請求項59】
該融点が少なくとも163℃である、請求項38に記載の方法。
【請求項60】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約90%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項61】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約94%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約96%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項63】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維が約0.1〜10μmの直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項64】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維が約1〜6μmの直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項65】
Lが(Si)Meであり;
MがZrであり;
XがClであり;
がt−プロピルであり;
、R、及びRが水素であり;
がメチルであり;
、R、R、及びR10が水素であり;そして
がt−ブチルである;
請求項38に記載の方法。
【請求項66】
230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を含むポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維を含む不織布。
【請求項67】
該メルトフローレートが、230℃において約500〜約2000g/10分である、請求項66に記載の不織布。
【請求項68】
該メルトフローレートが、230℃において約1200〜約1800g/10分である、請求項66に記載の不織布。
【請求項69】
該多分散指数が約1.5〜約1.7である、請求項66に記載の不織布。
【請求項70】
該融点が少なくとも163℃である、請求項66に記載の不織布。
【請求項71】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約90%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項66に記載の不織布。
【請求項72】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約94%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項66に記載の不織布。
【請求項73】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約96%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項66に記載の不織布。
【請求項74】
該プロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維が約0.1〜10μmの直径を有する、請求項66に記載の不織布。
【請求項75】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維が約1〜6μmの直径を有する、請求項66に記載の不織布。
【請求項76】
230℃において約300〜約2500g/10分のメルトフローレート、約1.3〜約2.9の多分散指数、及び少なくとも160℃の融点を有するプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂を含むポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維を含む多層不織布。
【請求項77】
該メルトフローレートが、230℃において約500〜約2000g/10分である、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項78】
該メルトフローレートが、230℃において約1200〜約1800g/10分である、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項79】
該多分散指数が約1.5〜約1.7である、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項80】
該融点が少なくとも163℃である、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項81】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約90%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項82】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約94%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項83】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂が約96%より大きいアイソタクチシティーを有する、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項84】
該プロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維が約0.1〜10μmの直径を有する、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項85】
該ポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維が約1〜6μmの直径を有する、請求項76に記載の多層不織布。
【請求項86】
該多分散指数が約1.4〜約1.8である、請求項1に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂。
【請求項87】
該多分散指数が約1.4〜約1.8である、請求項28に記載のポリプロピレンホモポリマーメルトブローン樹脂繊維。
【請求項88】
該多分散指数が約1.4〜約1.8である、請求項38に記載の方法。
【請求項89】
該多分散指数が約1.4〜約1.8である、請求項66に記載の不織布。
【請求項90】
該多分散指数が約1.4〜約1.8である、請求項76に記載の多層不織布。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−525375(P2009−525375A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552822(P2008−552822)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051040
【国際公開番号】WO2007/088204
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】