説明

ポジ型感光性樹脂組成物

【課題】高透明性、低誘電率性、高耐溶剤性、高耐水性、高耐酸性、高耐アルカリ性、高耐熱性、下地との密着性等に優れ、アルカリ水溶液で現像することにより得られるパターニングされた樹脂膜の形成に有用なポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】一般式(I)で表される化合物を含む共重合体と1,2−キノンジアジド化合物との組成物、あるいはさらに他のアルカリ可溶性重合体を混合した組成物からなるポジ型感光性樹脂組成物を提供する。



(式中、Rは水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキルであり、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、または-O(Si(ClH2l+1)O) Si(CpH2p+1)であり、lは1〜5の整数であり、mは0または1〜10の整数であり、nは1〜5の整数であり、pは1〜5の整数である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト分野等で利用可能なポジ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パターニングされた透明膜は、スペーサー、絶縁膜、保護膜等表示素子の多くの部分で使用されており、これまでに多くのポジ型感光性樹脂組成物がこの用途に提案されてきた(例えば、特許文献1〜3参照。)。また、4−ヒドロキシスチレンをモノマーとする重合体を含有するポジ型感光性樹脂組成物が知られている(例えば特許文献4参照。)。
【0003】
一般に、薄膜トランジスタ型液晶表示素子や固体撮像素子等の電子部品には、層状に配置される配線の間を絶縁するために絶縁膜が設けられている。絶縁膜を形成する材料としては、必要とするパターン形状の絶縁膜を得るための工程数が少ないポジ型感光性樹脂組成物が幅広く使用されている。ポジ型感光性樹脂組成物は、絶縁膜を形成する過程において広いプロセスマージンを有することが必要である。さらに、ポジ型感光性樹脂組成物を用いた絶縁膜や表示素子は、製造後工程において、溶剤、酸、アルカリ溶液等に浸漬等によって接触することおよび熱処理されることが不可欠である。
【特許文献1】特開昭51−34711号公報
【特許文献2】特開昭56−122031号公報
【特許文献3】特開平5−165214号公報
【特許文献4】特公昭52−41050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況の下、高耐溶剤性、高耐水性、高耐酸性、高耐アルカリ性、高耐熱性、高透明性、下地との密着性等に優れ、アルカリ水溶液で現像することにより得られるパターニングされた樹脂膜、すなわちパターニングされた透明膜(パターン状透明膜)を形成できるポジ型感光性樹脂組成物等が求められている。
【0005】
同様にして、高耐溶剤性、高耐水性、高耐酸性、高耐アルカリ性、高耐熱性、高透明性、下地との密着性等に優れたパターニング状透明膜や絶縁膜、表示素子等も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、下記一般式(I)で表されるモノマー(a1)と他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られる共重合体(A)および1、2−キノンジアジド化合物(B)を含有するポジ型感光性樹脂組成物を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下の項を含む。
【0007】
1)一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)およびその他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られる共重合体(A)、1、2−キノンジアジド化合物(B)を含む感光性樹脂組成物。



(式中、Rは水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキルであり、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、または-O(Si(ClH2l+1)2O)m Si(CpH2p+1)3であり、lは1〜5の整数であり、mは0または1〜10の整数であり、nは1〜5の整数であり、pは1〜5の整数である)
【0008】
2)不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、およびフェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーから選ばれる1種以上を重合して得られるアルカリ可溶性共重合体(C)をさらに含有する項1に記載の感光性樹脂組成物。
【0009】
3)その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、エポキシを有するラジカル重合性モノマーから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする項1または項2に記載の感光性樹脂組成物。
【0010】
4)その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、およびフェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【0011】
5)その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、一般式(II)であらわされるフェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーから選ばれることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。



(一般式(II)中、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1〜3のアルキルであり、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OCF3、−OH、任意の−CH2−が−COO−、−OCO−、−CO−で置き換えられてもよく、また任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキル、又は任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルコキシである。但し、R8〜R12のうち少なくとも1つは−OHである)
【0012】
6)アルカリ可溶性共重合体(C)が、一般式(II)であらわされるフェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーを重合して得られることを特徴とする項2〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
7)アルカリ可溶性共重合体(C)が、一般式(I)であらわされるラジカル重合性モノマーを重合して得られることを特徴とする項2〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0014】
8)ラジカル重合性モノマー(a1)が、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびメタクリロイロキシプロピル−トリス−トリメチルシロキシシランから選ばれる1種以上であることを特徴とする項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0015】
9)エポキシを有するラジカル重合性モノマーが、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、および3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタンから選ばれる1種以上の化合物を含むことを特徴とする項3に記載の感光性樹脂組成物。
【0016】
10)その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシスチレン、および4−ヒドロキシフェニルビニルケトンから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする項1〜9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0017】
11)アルカリ可溶性共重合体(C)が、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシスチレン、および4−ヒドロキシフェニルビニルケトンから選ばれる1種以上のラジカル重合性モノマーを重合して得られることを特徴とする項2〜10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0018】
12)アルカリ可溶性共重合体(C)が、N置換マレイミドを有するラジカル重合性モノマーおよびジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする項2〜11のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0019】
13)N置換マレイミドが、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(1−アニリノナフチル−4)マレイミド、N−[4−(2−ベンズオキサゾリル)フェニル]マレイミド、およびN−(9−アクリジニル)マレイミドから選ばれることを特徴とする項12に記載の感光性樹脂組成物。
【0020】
14)ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーが、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートであることを特徴とする項1〜13のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0021】
15)項1〜14のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物によって形成されるパターン状透明膜。
【0022】
16)項15に記載のパターン状透明膜を用いた絶縁膜。
【0023】
17)項15に記載のパターン状透明膜を含む表示素子。
【0024】
本明細書中、アクリル酸とメタクリル酸の両者を示すために「(メタ)アクリル酸」のように表記することがある。また同様にアクリレートとメタクリレートの両者を示すために「(メタ)アクリレート」のように表記することがある。
【0025】
本明細書中、「アルキル」とは、直鎖又は分岐鎖のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、透明性、低誘電率性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性に優れているから、当該ポジ型感光性樹脂組成物を用いた透明膜、絶縁膜、表示素子等の樹脂膜は、その製造後工程において溶剤、酸、アルカリ溶液等の液への浸漬や接触、および熱処理等の後処理がなされても、樹脂膜に表面荒れが発生しにくい。その結果、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いた透明膜等の樹脂膜における光の透過率が高まり、それを用いた表示素子の表示品位が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<1−1.共重合体(A)>
本発明の共重合体(A)は、一般式(I)であらわされるラジカル重合性モノマー(a1)とその他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られる重合体である。すなわち、この共重合体(A)は、モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である。
【0028】
上記共重合体(A)は、その他のラジカル重合性モノマー(a2)として、複数のラジカル重合性モノマーを用いてよい。
【0029】
<1−1−1.一般式(I)であらわされるモノマー(a1)>
一般式(I)であらわされるラジカル重合性モノマー(a1)の具体例として、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランまたはメタクリロイロキシプロピル−トリス−トリメチルシロキシシランなどが挙げられる。これらのラジカル重合性モノマーを使用した共重合体を用いると、初期の透明性が高く、かつ高温での焼成による透明性の劣化がほとんどなく、また現像時のアルカリ水溶液に対する溶解性が高く、すなわち現像性が高く、容易にパターン状透明膜が得られ、かつ耐溶剤性、高耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性を示し、さらには下地との密着性が高くなる。
【0030】
<1−1−2.エポキシを有するラジカル重合性モノマー(a2)>
本発明で用いられるエポキシを有するラジカル重合性モノマー(a2)の具体例として、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルアクリル酸グリシジルエステル3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、または3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタンなどが挙げられる。これらのラジカル重合性モノマーを使用した共重合体を用いると、耐スパッタ性が良好であり、また透明性が高くなる。
【0031】
上記具体例の中でも、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、および3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタンは入手が容易であり、得られたパターン状透明膜の耐溶剤性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、透明性を高める観点から好ましい。
【0032】
また、上記のエポキシを有するラジカル重合性モノマーは1種のみ用いても、複数混合して用いてもよい。
【0033】
<1−1−3.その他のラジカル重合性モノマー(a2)>
本発明で用いることのできる好ましいラジカル重合性モノマー(a2)は、不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、フェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーである。ラジカル重合性モノマー(a2)の具体例として、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシスチレン、または4−ヒドロキシフェニルビニルケトンなどが挙げられる。これらのラジカル重合性モノマーを使用した共重合体を用いると、アルカリ可溶性の観点から好ましい。
【0034】
上記具体例の中でも、メタクリル酸、ヒドロキシスチレン、または4−ヒドロキシフェニルビニルケトンが好ましい。メタクリル酸およびヒドロキシスチレンは入手が容易であり、4−ヒドロキシフェニルビニルケトンは透明性、耐熱性の点で良好な特性を得ることができる。
【0035】
上記共重合体(A)は、ラジカル重合性モノマー(a2)として、不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、フェノール性OHを有するラジカル重合性モノマー以外のラジカル重合性モノマーを含んでもよい。
【0036】
本発明の共重合体(A)は、前記モノマー(a1)および(a2)をラジカル重合させることによって得られる。このラジカル重合は、公知の重合開始剤を用いて行うことができる。
【0037】
<1−2.アルカリ可溶性共重合体(C)>
本発明のアルカリ可溶性共重合体(C)は、不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、フェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーを用いることが出来る。具体例として、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシスチレン、または4−ヒドロキシフェニルビニルケトンなどを挙げられる。これらのラジカル重合性モノマーを使用した共重合体を用いると、アルカリ可溶性の観点から好ましい。
【0038】
また、上記アルカリ可溶性共重合体(C)は、N置換マレイミドと、ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーを用いることが出来る。これらのラジカル重合性モノマーを用いると、耐熱性、低誘電率性の観点で好ましい。
【0039】
上記N置換マレイミドの具体例として、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(1−アニリノナフチル−4)マレイミド、N−[4−(2−ベンズオキサゾリル)フェニル]マレイミド、またはN−(9−アクリジニル)マレイミドなどを挙げられる。
【0040】
また、上記ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーの具体例として、ジシクロペンタニルアクリレートまたはジシクロペンタニルメタクリレートなどを挙げられる。
【0041】
さらには、本発明の効果を損なわない範囲で、上記アルカリ可溶製共重合体(C)は、上記N置換マレイミド、ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマー以外のラジカル重合性モノマーを含んでいてもよい。
【0042】
なお本発明のアルカリ可溶性重合体は、例えばアルカリ可溶性重合体を熱分解したときに、熱分解により生じたガスをGC−MSで測定することによってモノマー成分を推定することができる。
【0043】
上記アルカリ可溶性重合体(C)を用いると、アルカリ水溶液による溶解性が高く、すなわち、現像性が高く、容易にパターン状透明膜が得られる。また、低誘電率性、耐溶剤性、高耐水性、高耐酸性、高耐アルカリ性、高耐熱性の観点から好ましい。
【0044】
<1−3.共重合体(A)およびアルカリ可溶性共重合体(C)の重合方法>
共重合体(A)、アルカリ可溶性共重合体(C)の重合方法は、特に制限されないが、共重合体(A)はラジカル重合性モノマー(a1)とラジカル重合性モノマー(a2)との混合物を重合させて得ることができ、溶剤を用いた溶液中でのラジカル重合が好ましい。重合温度は使用する重合開始剤からラジカルが十分発生する温度であれば特に限定されないが、通常50℃〜150℃の範囲である。重合時間も特に限定されないが、通常1〜24時間の範囲である。また、当該重合は、加圧、減圧又は大気圧のいずれの圧力下でも行うことができる。
【0045】
上記の重合反応に使用する溶剤は、使用するラジカル重合性モノマーおよび生成する共重合体(A)およびアルカリ可溶性共重合体(C)を溶解する溶剤が好ましい。当該溶剤の具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、または水等が挙げられる。前記溶剤は、これらの一種であってもよいし、これらの二種以上の混合物であってもよい。
【0046】
共重合体(A)およびアルカリ可溶性共重合体(C)を合成する際に用いる重合開始剤は、熱によりラジカルを発生する化合物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤や、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤を使用することができる。分子量を調節するために、チオグリコール酸等の連鎖移動剤を適量添加してもよい。
【0047】
共重合体(A)およびアルカリ可溶性共重合体(C)は、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析で求めた重量平均分子量が1,000〜100,000の範囲であると、露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、かつ、現像時に膜の表面が荒れにくくなり好ましい。さらに、重量平均分子量が1,500〜50,000の範囲であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、かつ、現像時に膜の表面が荒にくく、現像残渣も極めて少なくなるので、一層好ましい。同様の理由により、重量平均分子量が2,000〜20,000の範囲であると、特に一層好ましい。
【0048】
共重合体(A)およびアルカリ可溶性共重合体(C)の重量平均分子量は、例えば、標準のポリエチレンオキシドには、分子量が1,000〜510,000のポリエチレンオキシド(例えば東ソー(株)製のTSK standard)を用い、カラムにはShodex KD−806M(昭和電工(株)製)を用い、移動相としてDMFを用いる条件で測定することができる。
【0049】
<2.本発明のポジ型感光性樹脂組成物>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、一般式(I)で表されるモノマー(a1)と他のラジカル重合性モノマー(a2)を共重合して得られる共重合体(A)、ならびに1,2−キノンジアジド化合物(B)を含む。さらに、アルカリ可溶性共重合体(C)を含んでもよい。
【0050】
<2−1.1,2−キノンジアジド化合物(B)>
1,2−キノンジアジド化合物(B)には、例えばレジスト分野において感光剤として使用される化合物を用いることができる。1,2−キノンジアジド化合物(B)としては、フェノール化合物と1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル、フェノール化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル、フェノール化合物の水酸基をアミノ基に置き換えた化合物と1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸とのスルホンアミド、フェノール化合物の水酸基をアミノ基に置き換えた化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸または1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのスルホンアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
フェノール化合物の具体例は、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール、または2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバンなどである。
【0052】
1,2−キノンジアジド化合物(B)として、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸とのエステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸とのエステル、または4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステルなどを用いると、ポジ型感光性樹脂組成物の透明性を高める観点から好ましい。これらは単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、共重合体(A)およびアルカリ可溶性共重合体(C)の合計量100重量部に対し、1,2−キノンジアジド化合物が5〜50重量部であることが好ましい。
【0054】
<2−2.溶剤>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、当該組成物に含まれる共重合体と、1,2−キノンジアジド化合物との他に、さらに溶剤を含むことが好ましい。この際に用いられる溶剤は、共重合体(A)およびアルカリ可溶性共重合体(C)と1,2−キノンジアジド化合物とを溶解する溶剤が好ましい。
【0055】
また、本発明で用いられる溶剤は、沸点が100℃〜300℃である化合物が好ましい。沸点が100℃〜300℃である前記溶剤の具体例には、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、またはN,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
本発明で用いられる溶剤は、これらの沸点が100〜300℃である溶剤を20重量%以上含有する混合溶剤であってもよい。混合溶剤における、沸点が100〜300℃である溶剤以外の溶剤には、公知の溶剤の一又は二以上を用いることができる。
【0057】
ポジ型感光性樹脂組成物に含まれる溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチルおよび酢酸ブチルから選ばれる少なくとも1つを用いると、塗布均一性が高くなるのでより好ましい。さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル、および酢酸ブチルから選ばれる少なくとも1つを用いると、ポジ型感光性樹脂組成物の塗布均一性を高め、また人体への安全性の観点からより一層好ましい。
【0058】
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、共重合体、1,2−キノンジアジド化合物および溶剤の総量に対し、固形分である共重合体および感光剤が総量で5〜50重量%となるように溶剤が配合されることが好ましい。
【0059】
<2−3.その他の成分>
<2−3−1.添加剤>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、解像度、塗布均一性、現像性、接着性を向上させるために、各種の添加剤を添加することができる。添加剤には、アクリル系、スチレン系、ポリエチレンイミン系又はウレタン系の高分子分散剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又はフッ素系の界面活性剤、シリコン樹脂系塗布性向上剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤、エポキシ化合物、メラミン化合物またはビスアジド化合物等の熱架橋剤、有機カルボン酸等のアルカリ溶解性促進剤等が挙げられる。
【0060】
添加剤の具体例は、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上いずれも商標、共栄社化学工業株式会社製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK344、BYK346(以上いずれも商標、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(以上いずれも商標、信越化学工業株式会社製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(以上いずれも商標、セイミケミカル株式会社製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(以上いずれも商標、株式会社ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(以上いずれも商標、三菱マテリアル株式会社製)、メガファックF−171、メガファックF−177、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックR−30(以上いずれも商標、大日本インキ化学工業株式会社製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、またはアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。これらから選ばれる少なくとも1つを前記添加剤に用いることが好ましい。
【0061】
これらの添加剤の中でも、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、またはフルオロアルキルアミノスルホン酸塩等のフッ素系の界面活性剤、BYK306、BYK344、BYK346、KP−341、KP−358、またはKP−368等のシリコン樹脂系塗布性向上剤の中から選ばれる少なくとも1種が添加されると、ポジ型感光性組成物の塗布均一性が高くなるので好ましい。
【0062】
<2−3−2.多価カルボン酸>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、無水トリメリット酸、無水フタル酸、または4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物等の多価カルボン酸を添加してもよい。これらの多価カルボン酸の中でも無水トリメリット酸が好ましい。
【0063】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に前記多価カルボン酸が添加されて加熱されると、多価カルボン酸のカルボキシルは、ポジ型感光性樹脂組成物にエポキシが含まれる場合に、これらと反応して、耐熱性、耐薬品性をさらに向上させることができる。また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物に前記多価カルボン酸が添加されると、保存時に1,2−キノンジアジド化合物の分解が抑制され、ポジ型感光性樹脂組成物の着色を防ぐことができる。
【0064】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、多価カルボン酸を添加する場合には、共重合体(A)およびアルカリ可溶性共重合体(C)の合計量100重量部に対し、多価カルボン酸が1〜30重量部であることが好ましく、2〜20重量部であることがさらに好ましい。
【0065】
<2−4.ポジ型感光性樹脂組成物の保存>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、温度−30℃〜25℃の範囲で遮光して保存すると、組成物の経時安定性が良好となり好ましい。保存温度が−20℃〜10℃であれば、析出物もなく一層好ましい。
【0066】
<3.本発明のポジ型感光性樹脂組成物より形成された樹脂膜>
本発明の感光性樹脂組成物は、透明の樹脂膜を形成するのに適しており、パターニングの際の解像度が比較的高いことから10μm以下の小さな穴の開いた絶縁膜を形成するのに最適である。ここで、絶縁膜とは、例えば、層状に配置される配線間を絶縁するために設ける膜(層間絶縁膜)等をいう。
【0067】
前記透明膜および絶縁膜等の樹脂膜は、レジスト分野において樹脂膜を形成する通常の方法で形成することができ、例えば以下のようにして形成される。
【0068】
まず、本発明のポジ型感光性樹脂組成物をスピンコート、ロールコート、スリットコート等の公知の方法により、ガラス等の基板上に塗布する。基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂製シート、フィルムまたは基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板等を挙げることができる。これらの基板には所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の前処理を行うことができる。
【0069】
次に、基板上のポジ型感光性樹脂組成物の膜をホットプレート又はオーブンで乾燥する。通常、60〜120℃で1〜5分間乾燥する。乾燥した基板上の前記膜に、所望のパターン形状のマスクを介して紫外線等の放射線を照射する。照射条件は、ポジ型感光性樹脂組成物中の感光剤の種類にもよるが、例えば感光剤が1,2−キノンジアジド化合物であれば、i線で5〜1,000mJ/cm2が適当である。紫外線の当たった部分の1,2−キノンジアジド化合物はインデンカルボン酸となり速やかに現像液に溶解する状態になる。
【0070】
放射線が照射後の膜は、アルカリ溶液等の現像液を用いて現像される。この現像により、前記膜における放射線が照射された部分は速やかに現像液に溶解する。現像方法は特に限定されず、ディップ現像、パドル現像、シャワー現像のいずれも用いることができる。
【0071】
前記現像液はアルカリ溶液が好ましい。アルカリ溶液に含まれるアルカリの具体例は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウム等が挙げられる。また、現像液としては、これらのアルカリの水溶液が好適に用いられる。すなわち、現像液として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、または2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アルカリ類等、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウム等の無機アルカリ類の水溶液を挙げることができる。
【0072】
現像液には現像残渣の低減やパターン形状の適性化を目的として、メタノール、エタノールや界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤には、例えばアニオン系、カチオン系、およびノニオン系から選択される界面活性剤を使用することができる。これらの中でも、特に、ノニオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加すると、解像度を高める観点から好ましい。
【0073】
前記現像された前記膜は、純水で十分すすがれ、その後、再度放射線が基板上の膜の全面に照射される。例えば放射線が紫外線の場合は、100〜1,000mJ/cm2の強度で前記膜に照射される。放射線が再照射された基板上の前記膜は、最後に180〜250℃で10〜120分間焼成される。こうして、所望のパターニングされた透明膜を得ることができる。
【0074】
このようにして得られたパターン状透明膜は、パターン状絶縁膜として用いることもできる。絶縁膜に形成された穴の形状は、真上から見た場合、正方形、長方形、円形又は楕円形であることが好ましい。さらに、該絶縁膜上に透明電極を形成し、エッチングによりパターニングを行った後、配向処理を行う膜を形成させてもよい。該絶縁膜は、耐スパッタ性が高いため、透明電極を形成しても絶縁膜にしわが発生せず、高い透明性を保つことができる。
【0075】
<4.前記樹脂膜を含む表示素子>
前記透明膜および絶縁膜等の前記樹脂膜は、液晶等を用いる表示素子に用いられる。例えば前記表示素子は、上記のようにして基板上にパターニングされた透明膜又は絶縁膜が設けられた素子基板と、対向基板であるカラーフィルター基板とを、位置を合わせて圧着し、その後熱処理して組み合わせ、対向する基板の間に液晶を注入し、注入口を封止することによって製作される。
【0076】
又は、前記素子基板上に液晶を散布した後、素子基板を重ね合わせ、液晶が漏れないように密封することによっても製作することができ、前記表示素子はこのように製作された表示素子であってもよい。
【0077】
このようにして、本発明のポジ型感光性樹脂組成物で形成された、優れた透明性を有する絶縁膜を液晶表示素子に用いることができる。なお、本発明の液晶表示素子に用いられる液晶、すなわち液晶化合物および液晶組成物については特に限定されず、いずれの液晶化合物および液晶組成物をも使用することができる。
【0078】
本発明の好ましい態様に係るポジ型感光性樹脂組成物は、例えば、パターニング透明膜および絶縁膜に対して一般的に求められている高耐溶剤性、高耐水性、高耐酸性、高耐アルカリ性、高耐熱性、高透明性、下地との密着性等の各種特性を有する。
【0079】
また、本発明の好ましい態様に係るポジ型感光性樹脂組成物は、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、透明性に優れているから、当該ポジ型感光性樹脂組成物を用いた透明膜、絶縁膜、および表示素子等は、その製造後工程において溶剤、酸、アルカリ溶液等に浸漬、接触、熱処理等がなされても、樹脂膜に表面荒れが発生しにくい。その結果、本発明の好ましい態様に係るポジ型感光性樹脂組成物を用いた透明膜等の光の透過率が高まり、それを用いた表示素子等の製品の表示品位を高めることができる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0081】
[合成例1]共重合体(A1)の合成
攪拌器付4つ口フラスコに、重合溶媒として3−メトキシプロピオン酸メチル、モノマー(a1)として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、モノマー(a2)として、4−ヒドロキシフェニルビニルケトン、ならびにグリシジルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を下記の重量で仕込み、80℃の重合温度で4時間加熱して重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 30.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 10.0g
グリシジルメタクリレート 40.0g
(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0082】
反応液を室温まで冷却し、共重合体(A1)を得た。
【0083】
溶液の一部をサンプリングし、GPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により重量平均分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は5,800であった。
【0084】
[合成例2]共重合体(A2)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 30.0g
グリシジルメタクリレート 30.0g
スチレン 35.0g
メタクリル酸 5.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0085】
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A2)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は5,000であった。
【0086】
[合成例3]共重合体(A3)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 40.0g
メタクリロイロキシプロピル−トリス−トリメチルシロキシシラン 20.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 20.0g
グリシジルメタクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0087】
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A3)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は6,000であった。
【0088】
[合成例4]共重合体(A4)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
メタクリロイロキシプロピル−トリス−トリメチルシロキシシラン 50.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 30.0g
(2−エチル−2−オキセタニル)メチルメタクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0089】
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A4)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は5,100であった。
【0090】
[合成例5]共重合体(A5)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 40.0g
グリシジルメタクリレート 60.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0091】
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A5)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は4,700であった。
【0092】
[合成例6] 共重合体(A6)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 40.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 15.0g
3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート 45.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0093】
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A6)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は5,100であった。
【0094】
[合成例7]アルカリ可溶性共重合体(C1)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
ジシクロペンタニルメタクリレート 50.0g
N−フェニルマレイミド 30.0g
メタクリル酸 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0095】
合成例1と同様の処理を行い、アルカリ可溶性共重合体(C1)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は8,900であった。
【0096】
[合成例8]アルカリ可溶性共重合体(C2)の合成
合成例1と同様の装置を用いて、下記組成にて、3−メトキシプロピオン酸メチルを重合溶媒とし、80℃の温度で4時間加熱し重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
ジシクロペンタニルメタクリレート 65.0g
メタクリル酸 35.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0097】
合成例1と同様の処理を行い、アルカリ可溶性共重合体(C2)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は7,600であった。
【0098】
[合成例9]アルカリ可溶性共重合体(C3)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 40.0g
N−シクロヘキシルマレイミド 50.0g
メタクリル酸 10.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0099】
合成例1と同様の処理を行い、アルカリ可溶性共重合体(C3)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は8,300であった。
[合成例10]アルカリ可溶性共重合体(C4)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 35.0g
N−シクロヘキシルマレイミド 40.0g
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン 25.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0100】
合成例1と同様の処理を行い、アルカリ可溶性共重合体(C4)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は8,600であった。
【0101】
[比較合成例1]比較共重合体(D1)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
メタクリル酸 20.0g
グリシジルメタクリレート 40.0g
3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン 20.0g
N−シクロヘキシルマレイミド 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0102】
合成例1と同様の処理を行い、得られた比較共重合体(D1)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は6,200であった。
【0103】
[比較合成例2]比較共重合体(D2)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
メタクリル酸 15.0g
グリシジルアクリレート 50.0g
N−フェニルマレイミド 25.0g
ジシクロペンタニルメタクリレート 10.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0104】
合成例1と同様の処理を行い、得られた比較共重合体(D2)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は7,900であった。
【0105】
[比較合成例3]比較共重合体(D3)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、重合を行った。
3−メトキシプロピオン酸メチル 200.0g
メチルメタクリレート 50.0g
グリシジルメタクリレート 50.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
【0106】
合成例1と同様の処理を行い、得られた比較重合体(D3)のGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は7,800であった。
【0107】
[実施例1]
[ポジ型感光性樹脂組成物の製造]
合成例1で得られた共重合体(A1)、1,2−キノンジアジド化合物である4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドとの縮合物(平均エステル化率58%、以下「PAD」ともいう)、添加剤としてフッ素系界面活性剤である大日本インキ化学工業株式会社製メガファックR−08(以下「R−08」と略す)、溶剤として3−メトキシプロピオン酸メチルを下記の重量で混合溶解し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
3−メトキシプロピオン酸メチル 1.40g
共重合体(A1)の30重量%溶液 10.00g
PAD 0.60g
R−08 0.006g
【0108】
[ポジ感光性樹脂組成物の評価方法]
1)パターン状透明膜の形成
ガラス基板上に実施例1で合成されたポジ型感光性樹脂組成物を800rpmで10秒間スピンコートし、100℃のホットプレート上で2分間乾燥した。この基板を空気中、ホールパターン形成用のマスクを介して、株式会社トプコン製プロキシミティー露光機TME−150PRCを使用し、波長カットフィルターを通して350nm以下の光をカットしてg、h、i線を取り出し、露光ギャップ100μmで露光した。露光量はウシオ電機株式会社製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して150mJ/cm2とした。露光後のガラス基板を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶
液で60秒間ディップ現像し、露光部の樹脂組成物を除去した。現像後の基板を純水で60秒間洗ってから100℃のホットプレートで2分間乾燥した。この基板を前記露光機にてマスクを介さずに露光量300mJ/cm2で全面露光した後、オーブン中230℃で30分ポストベイクし、膜厚3μmのパターン状透明膜を形成した。膜厚はKLA−Tencor Japan株式会社製触針式膜厚計αステップ200を使用し、3箇所の測定の平均値を膜厚とした。
【0109】
2)現像後残膜率
現像の前後で膜厚を測定し、次式から計算した。
(現像後膜厚/現像前膜厚)×100(%)
【0110】
3)解像度
上記1)で得られたポストベイク後のパターン状透明膜の基板を光学顕微鏡で400倍にて観察し、ホールパターンの底にガラスが露出しているマスクサイズを確認した。ホールパターンができていない場合は不良(NG:No Good)とした。
【0111】
4)透明性
有限会社東京電色製TC−1800を使用し、透明膜を形成していないガラス基板をリファレンスとして波長400nmでの光透過率を測定した。
【0112】
5)耐溶剤性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を100℃のN−メチル−2−ピロリドン中に5分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で膜厚を測定し、膜厚の変化率を次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
なお、膜厚の変化率が−2〜2%である場合は良好と判定でき、膨潤により2%を超えたり、溶解により−2%より低かった場合は不良と判定できる。
【0113】
6)耐酸性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を50℃の塩酸/硝酸/水=4/2/4(重量比)に3分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で膜厚を測定し、膜厚の変化率を次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−2〜2%である場合は良好と判定でき、膨潤により2%を超えたり、溶解により−2%より低かった場合は不良と判定できる。
【0114】
7)耐アルカリ性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を60℃の5%水酸化カリウム水溶液に10分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で膜厚を測定し、膜厚の変化率を次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−2〜2%である場合は良好と判定でき、膨潤により2%を超えたり、溶解により−2%より低かった場合は不良と判定できる。
【0115】
8)耐熱性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を230℃のオーブンで1時間追加ベイクし、加熱の前後において上記4)と同様に光透過率を測定し、ポストベイク後(追加ベイク前)の光透過率をT1とし、追加ベイク後の光透過率をT2とした。ポストベイク後から追加ベイク後の光透過率の低下が少ないほど良好と判定できる。また加熱の前後で膜厚を測定し、膜厚の変化率を次式から計算した。
(追加ベイク後膜厚/ポストベイク後膜厚)×100(%)
【0116】
9)密着性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板を碁盤目剥離試験(クロスカット試験)により評価した。評価は1mm角の碁盤目100個中におけるテープ剥離後の残存碁盤目数を表した。
【0117】
10)耐スパッタ性
上記1)で得られたパターン状透明膜の基板にITO(インジウムチンオキシド)の透明電極を200℃にてスパッタリングにより150nmの膜厚で形成し、室温に戻した後で膜面のしわの有無を目視により観察した。膜面にしわが生じなかった場合は耐スパッタ性が良好(G:Good)と、膜面にしわが生じた場合は耐スパッタ性が不良(NG:No Good)と判定した。
【0118】
11)比誘電率
アジレントテクノロジー社製LCRメーター(4284A)を使用し、透明膜の上下に電極を作成し、比誘電率測定を行った。評価は1kHzで行った。
【0119】
実施例1で合成されたポジ型感光性樹脂組成物について、上記の評価方法によって得られた結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
[実施例2]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の代わりに、合成例2で得られた共重合体(A2)と、合成例7で得られたアルカリ可溶性共重合体(C1)の1:1混合物を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0122】
[実施例3]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の代わりに、合成例3で得られた共重合体(A3)と合成例8で得られたアルカリ可溶性共重合体(C2)の1:1混合物を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0123】
[実施例4]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の代わりに、合成例4で得られた共重合体(A4)と合成例9で得られたアルカリ可溶性共重合体(C3)の1:1混合物を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0124】
[実施例5]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の代わりに、合成例5で得られた共重合体(A5)と合成例10で得られたアルカリ可溶性共重合体(C4)の1:1混合物を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0125】
[比較例1]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の代わりに、比較合成例1で得られた比較共重合体(D1)と合成例7で得られたアルカリ可溶性共重合体(C1)の1:1混合物を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し評価した。結果を表2に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
[比較例2]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の代わりに、比較合成例2で得られた比較共重合体(D2)と合成例8で得られたアルカリ可溶性共重合体(C2)の1:1混合物を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し評価した。結果を表2に示す。
【0128】
[比較例3]
実施例1において用いられた共重合体(A1)の代わりに、比較合成例3で得られた比較共重合体(D3)と合成例7で得られたアルカリ可溶性共重合体(C1)の1:1混合物を用いた以外は、実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製し評価した。結果を表2に示す。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、例えば、液晶表示素子に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー(a1)およびその他のラジカル重合性モノマー(a2)を重合して得られる共重合体(A)、1、2−キノンジアジド化合物(B)を含む感光性樹脂組成物。



(式中、Rは水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキルであり、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水酸基、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、または-O(Si(ClH2l+1)2O)m Si(CpH2p+1)3であり、lは1〜5の整数であり、mは0または1〜10の整数であり、nは1〜5の整数であり、pは1〜5の整数である)
【請求項2】
不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、およびフェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーから選ばれる1種以上を重合して得られるアルカリ可溶性共重合体(C)をさらに含有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、エポキシを有するラジカル重合性モノマーから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、不飽和カルボン酸を有するラジカル重合性モノマー、不飽和カルボン酸無水物を有するラジカル重合性モノマー、およびフェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、一般式(II)であらわされるフェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーから選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。



(一般式(II)中、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1〜3のアルキルであり、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OCF3、−OH、任意の−CH2−が−COO−、−OCO−、−CO−で置き換えられてもよく、また任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキル、又は任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルコキシである。但し、R8〜R12のうち少なくとも1つは−OHである)
【請求項6】
アルカリ可溶性共重合体(C)が、一般式(II)であらわされるフェノール性OHを有するラジカル重合性モノマーを重合して得られることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
アルカリ可溶性共重合体(C)が、一般式(I)であらわされるラジカル重合性モノマーを重合して得られることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
ラジカル重合性モノマー(a1)が、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびメタクリロイロキシプロピル−トリス−トリメチルシロキシシランから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
エポキシを有するラジカル重合性モノマーが、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、および3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタンから選ばれる1種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
その他のラジカル重合性モノマー(a2)が、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシスチレン、および4−ヒドロキシフェニルビニルケトンから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
アルカリ可溶性共重合体(C)が、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシスチレン、および4−ヒドロキシフェニルビニルケトンから選ばれる1種以上のラジカル重合性モノマーを重合して得られることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
アルカリ可溶性共重合体(C)が、N置換マレイミドを有するラジカル重合性モノマーおよびジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
N置換マレイミドが、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(1−アニリノナフチル−4)マレイミド、N−[4−(2−ベンズオキサゾリル)フェニル]マレイミド、およびN−(9−アクリジニル)マレイミドから選ばれることを特徴とする請求項12に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
ジシクロペンタニルを含むラジカル重合性モノマーが、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物によって形成されるパターン状透明膜。
【請求項16】
請求項15に記載のパターン状透明膜を用いた絶縁膜。
【請求項17】
請求項15に記載のパターン状透明膜を含む表示素子。

【公開番号】特開2008−242438(P2008−242438A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23828(P2008−23828)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】