説明

ポジ型感光性組成物、該ポジ型感光性組成物を用いたパターン形成方法、該ポジ型感光性組成物に用いられる樹脂及び該樹脂を合成するための化合物

【課題】IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物に於いて、100nm以下の微細パターンの形成においても、ラインエッジラフネス、パターン倒れが改良されたポジ型感光性組成物、該ポジ型感光性組成物を用いたパターン形成方法、該ポジ型感光性組成物に用いられる樹脂及び該樹脂を合成するための化合物を提供する。
【解決手段】(A)特定構造の繰り返し単位を有する、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有するポジ型感光性組成物、該ポジ型感光性組成物を用いたパターン形成方法、該ポジ型感光性組成物に用いられる樹脂及び該樹脂を合成するための化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物、該ポジ型感光性組成物を用いたパターン形成方法、該ポジ型感光性組成物に用いられる樹脂及び該樹脂を合成するための化合物に関するものである。さらに詳しくは250nm以下、好ましくは220nm以下の遠紫外線などの露光光源、および電子線などによる照射源とする場合に好適なポジ型感光性組成物、該ポジ型感光性組成物を用いたパターン形成方法、該ポジ型感光性組成物に用いられる樹脂及び該樹脂を合成するための化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学増幅系感光性組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0003】
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、且つ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
【0004】
一方、更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
このため、脂環炭化水素構造を有する樹脂を含有するArFエキシマレーザー用レジストが開発されてきている。特開2002−202604公報(特許文献1)にはアクリルアミド構造を有する繰り返し単位を有する樹脂が記載されている。この樹脂では、良好な基板密着性を有するが、アミド結合部分が有する塩基性と遠紫外光等の放射線の吸収が原因となり感度が低下し、十分な解像性が得られないなどの問題がある。更に、線幅100nm以下のような微細なパターンを形成する際には、低い解像性により所望の寸法精度が達成できないことや、形成したラインパターンが倒れてしまい、デバイス製造時の欠陥となってしまうパターン倒れなどの問題があり、また、ラインパターンのラインエッジラフネス性能について更なる改良が求められていた。
ここで、ラインエッジラフネスとは、レジストの特性に起因して、レジストのラインパターンと基板界面のエッジが、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動した形状を呈することをいう。このパターンを真上から観察するとエッジが凸凹(±数nm〜数十nm程度)に見える。この凸凹は、エッチング工程により基板に転写されるため、凸凹が大きいと電気特性不良を引き起こし、歩留まりを低下させることになる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−202604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、放射線に対する透明性が高く、100nm以下の微細パターンの形成においても、感度、解像性、ラインエッジラフネス、パターン倒れが改良されたポジ型感光性組成物、該ポジ型感光性組成物を用いたパターン形成方法、該ポジ型感光性組成物に用いられる樹脂及び該樹脂を合成するための化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次の通りである。
【0008】
(1) (A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
一般式(I)に於いて、
Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Ra1及びRa2は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性である基を表す。ただし、Ra1及びRa2の内の少なくともいずれか一つは、電子吸引性である基を表す。Ra1及びRa2は、結合して環構造を形成し、Ra1及びRa2が結合して形成される部分が、電子吸引性であってもよい。
【0011】
(2) (A)成分の樹脂が、更に、脂環炭化水素構造を有する酸分解性基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする(1)に記載のポジ型感光性組成物。
【0012】
(3) (A)成分の樹脂が、更に、ラクトン構造を有する繰り返し単位を有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のポジ型感光性組成物。
【0013】
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型感光性組成物を用いて、感光性膜を形成し、該感光性膜を、露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
【0014】
(5) 下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする樹脂。
【0015】
【化2】

【0016】
一般式(I)に於いて、
Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Ra1及びRa2は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性である基を表す。ただし、Ra1及びRa2の内の少なくともいずれか一つは、電子吸引性である基を表す。Ra1及びRa2は、結合して環構造を形成し、Ra1及びRa2が結合して形成される部分が、電子吸引性であってもよい。
【0017】
(6) 下記一般式(IM)で表されることを特徴とする化合物。
【0018】
【化3】

【0019】
一般式(IM)に於いて、
Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Ra1及びRa2は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性である基を表す。ただし、Ra1及びRa2の内の少なくともいずれか一つは、電子吸引性である基を表す。Ra1及びRa2は、結合して環構造を形成し、Ra1及びRa2が結合して形成される部分が、電子吸引性であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、100nm以下の微細パターンの形成においても、感度、解像性、ラインエッジラフネス、パターン倒れが改良された、良好なパターンを生産性良く形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0022】
〔1〕酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂
本発明のポジ型感光性組成物は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう)を含有する。
【0023】
【化4】

【0024】
一般式(I)に於いて、
Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Ra1及びRa2は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性である基を表す。ただし、Ra1及びRa2の内の少なくともいずれか一つは、電子吸引性である基を表す。Ra1及びRa2は、結合して環構造を形成し、Ra1及びRa2が結合して形成される部分が、電子吸引性であってもよい。
【0025】
Rxにおけるアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基等を挙げることができる。Rxにおけるアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)等で置換されていてもよい。Rxにおけるアルキル基は、メチル基、CH2OH、CF3などが好ましい。
Ra1〜Ra2のアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などの鎖状アルキル基が挙げられる。
Ra1〜Ra2のシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、トリシクロデシル基などが挙げられる。
Ra1〜Ra2のアリール基としては、炭素数4〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、インドール基などが挙げられる。
Ra1〜Ra2の電子吸引性である基とは、アミド窒素原子に対して、電子吸引性基を有し、基全体として電子吸引性を有する基のことである。電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、シアノ基、ニトロ基、フルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基などを挙げることができる。電子吸引性である基は、電子吸引性基自体であってもよいし、電子吸引性基で置換された炭化水素基であってもよい。炭化水素基としては直鎖または分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを挙げることができる。
炭化水素基における、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などの鎖状アルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、トリシクロデシル基などが挙げられる。
アリール基としては、炭素数4〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、
ナフチル基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、インドール基などが挙げられる。
アラルキル基としては上記アリール基が炭素数1〜4のアルキル基で連結された基をあげることができる。
電子吸引性基における、アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状アルコキカルボニル基が好ましく、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
フルオロアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐状フルオロアルキル基が好ましく、具体的には、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、トリフロロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などが挙げられる。
フルオロシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のフルオロシクロアルキル基が好ましく、具体的には、フルオロシクロプロピル基、フルオロシクロブチル基、フルオロシクロペンチル基、フルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0026】
Ra1とRa2が結合して環構造を形成する場合に、Ra1とRa2が結合して形成される電子吸引性である部分としては、例えば、炭素−炭素結合で構成され、少なくとも一つの電子吸引性基を有する構造を挙げることができる。炭素−炭素結合に於ける、炭素原子の数は、3〜20個であることが好ましい。
【0027】
Ra1〜Ra2の電子吸引性である基として好ましくは、シアノ基、フルオロアルキル基、及びシアノ基、フルオロアルキル基、カルボニル基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基を有する炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基を挙げることができる。より好ましくは、シアノ基、フルオロアルキル基、及びシアノ基、フルオロアルキル基又はカルボニル基を有する炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を挙げることができる。さらに好ましくは、シアノ基、フルオロアルキル基、及びシアノ基、フルオロアルキル基又はカルボニル基を有する炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数5または6のシクロアルキル基を挙げることができる。特に好ましくは、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノメチル基、シアノエチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロメチルシクロヘキシル基、シアノシクロヘキシル基を挙げることができる。
【0028】
アクルリルアミドの窒素上の置換基として、電子吸引性基を有するアルキル基を有することで、放射線に対する透明性が高く、パターン形状に優れる。
【0029】
以下、一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0030】
【化5】

【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
上記具体例に於いて、Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
【0034】
一般式(I)で表される繰り返し単位は、下記一般式(IM)で表される化合物の重合反応により形成させることができる。
【0035】
【化8】

【0036】
一般式(IM)に於いて、
Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Ra1及びRa2は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性である基を表す。ただし、Ra1及びRa2の内の少なくともいずれか一つは、電子吸引性である基を表す。Ra1及びRa2は、結合して環構造を形成し、Ra1及びRa2が結合して形成される部分が、電子吸引性であってもよい。
【0037】
一般式(IM)に於ける、Rx、Ra1及びRa2は、一般式(I)に於ける、Rx、Ra1及びRa2と同義である。
【0038】
一般式(IM)で表される化合物は、新規化合物である。
一般式(IM)で表される化合物は、例えば、対応するカルボニルクロリドと対応するアミンを塩基性条件下で反応させる方法や対応するカルボン酸と対応するアミンをジシクロヘキシルカルボジイミドやカルボニルジイミダゾールなどの縮合剤を用いて反応させることにより得ることができる。
【0039】
【化9】

【0040】
樹脂(A)は、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)であり、酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を生じる基(酸分解性基)を有する。
すなわち、樹脂(A)は、酸分解性基を、樹脂の主鎖又は側鎖、或いは、主鎖及び側鎖の両方に有してもよいが、側鎖に有するほうが好ましい。
酸分解性基として好ましい基は、−COOH基、−OH基等のアルカリ可溶性基の水素
原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37、R36とR39とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
本発明においては、酸分解性基は、アセタール基又は3級エステル基が好ましい。
樹脂(A)は、酸分解性基をいかなる繰り返し単位に有していてもよいが、後述の脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位中に有することが好ましい。
【0041】
本発明のポジ型感光性組成物に特にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、樹脂(A)は、一般式(I)で表される繰り返し単位を有するとともに、更に脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
また、脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位において、脂環炭化水素構造は、酸の作用により分解して、アルカリ可溶性基を生じる基(酸分解性基)における、脱離基中に含まれることが好ましい。
【0042】
脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び下記一般式(II−AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0043】
【化10】

【0044】
一般式(pI)〜(pV)中、
11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す。
Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかはシクロアルキル基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。また、R19、R21のいずれかは直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0045】
【化11】

【0046】
一般式(II−AB)中、
11'及びR12'は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Z'は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0047】
一般式(II−AB)は、下記一般式(II−AB1)又は一般式(II−AB2)であることが更に好ましい。
【0048】
【化12】

【0049】
一般式(II−AB1)〜(II−AB2)中、
13'〜R16'は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A'−R17'、アルキル基あるいはシクロアルキル基を表す。Rl3'〜R16'のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。
ここで、R5は、アルキル基、シクロアルキル基又はラクトン構造を有する基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A'は、単結合又は2価の連結基を表す。
17'は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、アルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又はラクトン構造を有する基を表す。
6は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
nは、0又は1を表す。
【0050】
前記一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。
【0051】
12〜R25におけるシクロアルキル基或いはZと炭素原子が形成するシクロアルキル基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。
【0052】
好ましいシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。
【0053】
上記のアルキル基、シクロアルキル基は、更に、置換基を有していてもよい。アルキル基、シクロアルキル基の更なる置換基としては、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)が挙げられる。上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が、更に有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
【0054】
一般式(pI)〜(pV)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護基として使用して、酸分解性基を形成することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
【0055】
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基の水素原子が一般式(pI)〜(pV)で表される構造で置換された構造などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基の水素原子が一般式(pI)〜(pV)で表される構造で置換された構造である。
【0056】
一般式(pI)〜(pV)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0057】
【化13】

【0058】
一般式(pA)に於いて、
Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。
Aは、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。好ましくは単結合である。
Rp1は、上記一般式(pI)〜(pV)のいずれかの基を表す。
【0059】
一般式(pA)で表される繰り返し単位は、最も好ましくは、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位である。
【0060】
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0061】
【化14】

【0062】
前記一般式(II−AB)、R11'、R12'におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0063】
11'、R12'におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が挙げられる。
【0064】
上記Z'の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
【0065】
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)に於けるR12〜R25の脂環式炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0066】
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記一般式(II−AB1)あるいは(II−AB2)中のR13'〜R16'を挙げることができる。
【0067】
樹脂(A)においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II-AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
【0068】
前記一般式(II−AB1)あるいは一般式(II−AB2)におけるR13'〜R16'の各種置換基は、一般式(II−AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなり得る。
【0069】
一般式(II−AB1)あるいは一般式(II−AB2)で表される繰り返し単位として、下記具体例が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されない。
【0070】
【化15】

【0071】
樹脂(A)は、ラクトン基を有することが好ましい。ラクトン基としては、ラクトン構造を有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
【0072】
【化16】

【0073】
ラクトン構造部分は置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。n2は、0〜4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在する置換基(Rb2)は同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb2)同士が結合して環を形成してもよい。
【0074】
一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、前記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR13'〜R16'のうち少なくとも1つが一般式(LC1−1)〜(LC1−16)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(LC1−1)〜(LC1−16)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0075】
【化17】

【0076】
一般式(AI)中、
b0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
b0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
b0は、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0077】
bは、単結合、アルキレン基、単環または多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。好ましくは単結合、−Ab1−CO2−で表される連結基である。Ab1は、直鎖、分岐アルキレン基、単環または多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基である。
【0078】
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のうちのいずれかで示される基を表す。
【0079】
ラクトン構造を有する繰り返し単位は通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
【0080】
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0081】
【化18】

【0082】
【化19】

【0083】
【化20】

【0084】
樹脂(A)は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を有していることが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。極性基で置換された脂環炭化水素構造の脂環炭化水素構造としてはアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。好ましい極性基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
【0085】
【化21】

【0086】
一般式(VIIa)〜(VIIc)中、
2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくはR2c〜R4cのうち1
つまたは2つが水酸基で残りが水素原子である。一般式(VIIa)において更に好ましくはR2c〜R4cのうち2つが水酸基で残りが水素原子である。
【0087】
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される基を有する繰り返し単位としては、前記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR13'〜R16'のうち少なくとも1つが上記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(VIIa)〜(VIId)で表される基を表す)、又は下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0088】
【化22】

【0089】
一般式(AIIa)または(AIIc)中、
1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基、ヒドロキメチル基を表す。
2c〜R4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於けるR2c〜R4cと同義である。
【0090】
一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0091】
【化23】

【0092】
樹脂(A)は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を有してもよい。
【0093】
【化24】

【0094】
一般式(VIII)に於いて、
2は、−O−又は−N(R41)−を表す。R41は、水素原子、水酸基、アルキル基又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。R41及びR42のアルキル基は、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)等で置換されていてもよい。
【0095】
一般式(VIII)で表される繰り返し単位として、以下の具体例が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0096】
【化25】

【0097】
樹脂(A)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有することが好ましく、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。これを有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。カルボキシル基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接カルボキシル基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にカルボキシル基が結合している繰り返し単位、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環または多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
【0098】
樹脂(A)は、更に、下記一般式(F1)で表される基を1〜3個有する繰り返し単位を有していてもよい。これによりラインエッジラフネス性能が向上する。
【0099】
【化26】

【0100】
一般式(F1)中、
50〜R55は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R50〜R55の内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
Rxaは、水素原子または有機基(好ましくは酸分解性保護基、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基)を表す。
【0101】
50〜R55のアルキル基は、フッ素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよく、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基を挙げることができる。
50〜R55は、すべてフッ素原子であることが好ましい。
【0102】
Rxaが表わす有機基としては、酸分解性保護基、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシメチル基、1−アルコキシエチル基が好ましい。
【0103】
一般式(F1)を有する繰り返し単位として好ましくは、下記一般式(F2)で表される繰り返し単位である。
【0104】
【化27】

【0105】
一般式(F2)中、
Rxは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rxのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
Faは、単結合又は直鎖若しくは分岐のアルキレン基(好ましくは単結合)を表す。
Fbは、単環若しくは多環の環状炭化水素基を表す。
Fcは、単結合又は直鎖若しくは分岐のアルキレン基(好ましくは単結合、メチレン基)を表す。
1は、一般式(F1)で表される基を表す。
1は、1〜3の整数を表す。
【0106】
Fbにおける環状炭化水素基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基が好ましい。
【0107】
以下、一般式(F1)で表される基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0108】
【化28】

【0109】
樹脂(A)は、更に脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有してもよい。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。このような繰り返し単位として、例えば1−アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0110】
樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を含有することができる。
【0111】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
これにより、樹脂(A)に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
【0113】
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0114】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0115】
樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比は、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、パターンプロファイル、さらには、一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0116】
樹脂(A)の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を有するもの(側鎖型)。
好ましくは一般式(pI)〜(pV)の構造を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位を有するもの。
(2) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位を有するもの(主鎖型)。
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート系繰り返し単位を有するもの(ハイブリッド型)。
【0117】
樹脂(A)中、一般式(I)で表される基を有する繰り返し単位の含有量は、総量として、全繰り返し構造単位中1〜50モル%が好ましく、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
【0118】
樹脂(A)中、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは20〜50モル%、更に好ましくは25〜40モル%である。
【0119】
樹脂(A)中、一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中20〜70モル%が好ましく、より好ましくは20〜50モル%、更に好ましくは25〜40モル%である。
【0120】
樹脂(A)中、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
【0121】
ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜70モル%が好ましく、より好ましくは15〜60モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中5〜50モル%が好ましく、より好ましくは10〜40モル%、更に好ましくは15〜30モル%である。
【0122】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、上記一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し構造単位と上記一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
【0123】
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
【0124】
樹脂(A)として、好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位、メタクリレート系繰り返し単位/アクリレート系繰り返し単位の混合のいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50mol%以下であることが好ましい。
【0125】
樹脂(A)として、より好ましくは、一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位20〜50モル%、ラクトン構造を有する繰り返し単位20〜50モル%、一般式(I)で表される基を有する繰り返し単位5〜30%含有する3元共重合ポリマー、更に前記極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位0〜30モル%、またはその他の繰り返し単位を0〜20モル%含む4元共重合ポリマーである。
【0126】
特に好ましい樹脂(A)としては、下記一般式(ARA−1)〜(ARA−5)で表される酸分解性基を有する繰り返し単位20〜50モル%、下記一般式(ARL−1)〜(ARL−6)で表されるラクトン基を有する繰り返し単位20〜50モル%、一般式(I)で表される基を有する繰り返し単位5〜20モル%含有する3元共重合ポリマー、または更にカルボキシル基、下記一般式(ARH−1)〜(ARH−3)で表される極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位、前記一般式(F1)で表される構造を有する繰り返し単位、或いは脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を5〜20モル%含む4元共重合ポリマーである。
【0127】
【化29】

【0128】
上記一般式中、
Rxy1は、水素原子またはメチル基を表し、Rxa1及びRxb1は、メチル基またはエチル基を表す。
【0129】
一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂(A)は、新規化合物である。
【0130】
本発明に用いる樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
【0131】
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマー
を回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
【0132】
樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000、最も好ましくは5,000〜15,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。 分子量分布は通常1〜5であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、パターン形状が優れ、且つパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0133】
本発明の感光性組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全固形分中50〜99.9質量%が好ましく、より好ましくは60〜99.0質量%である。
また、本発明において、樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0134】
本発明のポジ型感光性組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)を照射する場合には、樹脂(A)は、一般式(I)で表される繰り返し単位の他に、更に、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくは、一般式(I)で表される繰り返し単位/ヒドロキシスチレン系繰り返し単位/酸で脱離する基で保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位共重合体、一般式(I)で表される繰り返し単位/ヒドロキシスチレン系繰り返し単位/(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル系繰り返し単位共重合体が好ましい。
【0135】
ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有する樹脂(A)に於いて、酸分解性基の含有率は、樹脂中の酸で脱離する基で保護されたアルカリ可溶性基(酸分解性基)の数(B)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。
【0136】
〔2〕活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のポジ型感光性組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう)を含有する。
そのような光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0137】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0138】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0139】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0140】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0141】
【化30】

【0142】
一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4-、PF6-、SbF6-などが挙げられ、好ましくは炭素原子を含有する有機アニオンである。
【0143】
好ましい有機アニオンとしては、下記一般式(AN1)〜(AN4)に示す有機アニオンが挙げられる。
【0144】
【化31】

【0145】
一般式(AN1)〜(AN2)に於いて、
Rc1は、有機基を表す。
Rc1における有機基として、炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくは置換していてもよいアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rd1は、水素原子、アルキル基を表し、結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rc1の有機基としてより好ましくは、1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の
酸性度が上がり、感度が向上する。Rc1において炭素原子を5個以上有する時、少なくとも1つの炭素原子は水素原子が全てフッ素原子で置換されているのではなく、水素原子を有していることが好ましく、水素原子の数がフッ素原子より多いことがより好ましい。炭素数5以上のパーフロロアルキル基を有さないことにより生態への毒性が軽減する。
Rc1の特に好ましい様態としては、下記一般式で表される基である。
【0146】
【化32】

【0147】
上記一般式に於いて、
Rc6は、炭素数4以下、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2〜3のパーフロロアルキレン基、又は、1〜4個のフッ素原子及び/又は1〜3個のフロロアルキル基で置換されたフェニレン基を表す。
Axは、単結合又は2価の連結基(好ましくは、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−)を表す。Rd1は、水素原子又はアルキル基を表し、Rc7と結合して環構造を形成してもよい。
Rc7は、水素原子、フッ素原子、置換していてもよい直鎖若しくは分岐状アルキル基、単環若しくは多環シクロアルキル基又は置換していてもよいアリール基を表す。置換していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基は、置換基としてフッソ原子を含有しないことが好ましい。
【0148】
一般式(AN3)及び(AN4)に於いて、
Rc3、Rc4及びRc5は、各々独立に、有機基を表す。
Rc3、Rc4及びRc5の有機基として、好ましくは、Rc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができる。
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
Rc3とRc4が結合して形成される基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2−4のパーフロロアルキレン基である。Rc3とRc4が結合して環を形成することにより光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上し、好ましい。
【0149】
一般式(ZI)に於ける、R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203の内の2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
【0150】
尚、一般式(Z1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0151】
更に好ましい(Z1)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)
、及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0152】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基は、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0153】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、一般式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0154】
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖若しくは分岐状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。R201〜R203としてのシクロアルキル基は、環状2−オキソアルキル基であることが好ましい。
201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0155】
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0156】
【化33】

【0157】
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R7c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R7c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0158】
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個の直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは、炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができる。
1c〜R7cとしてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくは、R1c〜R5cのうちいずれかが直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0159】
x及びRyとしてのアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基と同様のものを挙げることができる。Rx及びRyとしてのアルキル基は、直鎖若しくは分岐状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
x及びRyとしてのシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのシクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。Rx及びRyとしてのシクロアルキル基は、環状2−オキソアルキル基であることが好ましい。
直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基である。
【0160】
前記一般式(ZII)及び(ZIII)に於いて、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0161】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【0162】
【化34】

【0163】
一般式(ZIV)〜(ZVI)に於いて、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性基を表す。R207として、好ましくは、アリール基である。R208として、好ましくは、電子吸引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
【0164】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物であり、更に好ましくは一般式(ZI)で表される化合物であり、特に好ましくは一般式(ZI−1)〜(ZI−3)で表される化合物である。
更に、活性光線又は放射線の照射により、下記一般式(AC1)〜(AC3)で表される酸を発生する化合物が好ましい。
【0165】
【化35】

【0166】
すなわち、特に好ましい光酸発生剤の様態としては、前記一般式(ZI)で表される化合物に於いて、X−が、前記一般式(AN1)、(AN3)、(AN4)から選ばれるアニオンである化合物である。
【0167】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0168】
【化36】

【0169】
【化37】

【0170】
【化38】

【0171】
光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
光酸発生剤の組成物中の含量は、ポジ型感光性組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
【0172】
〔3〕溶解制御化合物
本発明のポジ型感光性組成物には、アルカリ可溶性基、親水基、酸分解性基から選ばれるすくなくとも1つを有する、分子量3000以下の溶解制御化合物(以下、「(C)成
分」或いは「溶解制御化合物」ともいう)を加えてもよい。
【0173】
溶解制御化合物としては、カルボキシル基、スルホニルイミド基、α位がフロロアルキル基で置換された水酸基などのようなアルカリ可溶性基を有する化合物、水酸基やラクトン基、シアノ基、アミド基、ピロリドン基、スルホンアミド基、などの親水性基を有する化合物、または酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基または親水性基を放出する基を有する化合物が好ましい。酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基または親水性基を放出する基としてはカルボキシル基あるいは水酸基を酸の作用により脱離する基で保護した基が好ましい。溶解制御化合物としては220nm以下の透過性を低下させないため、芳香環を有さない化合物を用いるか、芳香環を有する化合物を組成物の固形分に対し20質量%以下の添加量で用いることが好ましい。
好ましい溶解制御化合物としてはアダマンタン(ジ)カルボン酸、ノルボルナンカルボン酸、コール酸などの脂環炭化水素構造を有するカルボン酸化合物、またはそのカルボン酸を酸の作用により脱離する基で保護した化合物、糖類などのポリオール、またはその水酸基を酸の作用により脱離する基で保護した化合物が好ましい。
【0174】
本発明における溶解制御化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
【0175】
溶解制御化合物の添加量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対し、好ましくは3〜40質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。
【0176】
以下に溶解制御化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0177】
【化39】

【0178】
〔4〕塩基性化合物
本発明のポジ型感光性組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減あるいは、露光によって発生した酸の膜中拡散性を制御するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。
【0179】
塩基性化合物としては含窒素塩基性化合物、オニウム塩化合物を挙げることができる。好ましい含窒素塩基性化合物として、下記一般式(A)〜(E)で示される部分構造を有する化合物を挙げることができる。
【0180】
【化40】

【0181】
一般式(A)に於いて、
250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)を表す。R250とR251は、互いに結合して環を形成してもよい。これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
【0182】
一般式(E)に於いて、
253、R254、R255及びR256は、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)を表す。
【0183】
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
【0184】
イミダゾール構造を有する化合物としては、イミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物
としては、1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン等が挙げられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としては、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシド等が挙げられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としては、オニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等が挙げられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
【0185】
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。塩基性化合物の使用量は、ポジ型感光性組成物の固形分を基準として、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。十分な添加効果を得る上で0.001質量%以上が好ましく、感度や非露光部の現像性の点で10質量%以下が好ましい。
【0186】
〔5〕フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型感光性組成物は、更に、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0187】
本発明のポジ型感光性組成物がフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないパターンを与えることが可能となる。
【0188】
これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0189】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0190】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0191】
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0192】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0193】
フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、ポジ型感光性組成物の全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0194】
〔6〕有機溶剤
本発明のポジ型感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
【0195】
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
【0196】
本発明において、有機溶剤としては、単独で用いても混合して用いても良いが、異なる
官能基を有する2種以上の溶剤を含有する混合溶剤を用いることが好ましい。これにより素材の溶解性が高まり、経時におけるパーティクルの発生が抑制できるだけでなく、良好なパターンプロファイルが得られる。溶剤が含有する好ましい官能基としては、エステル基、ラクトン基、水酸基、ケトン基、カーボネート基が挙げられる。異なる官能基を有する混合溶剤としては以下の(S1)〜(S5)の混合溶剤が好ましい。
(S1)水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤、
(S2)エステル構造を有する溶剤と、ケトン構造を有する溶剤とを混合した混合溶剤、
(S3)エステル構造を有する溶剤と、ラクトン構造を有する溶剤とを混合した混合溶剤、
(S4)エステル構造を有する溶剤と、ラクトン構造を有する溶剤と、水酸基を含有する溶剤とを混合した混合溶剤、
(S5)エステル構造を有する溶剤と、カーボネート構造を有する溶剤と、水酸基を含有する溶剤とを混合した混合溶剤。
これにより感光性組成物の保存時のパーティクル発生を軽減でき、また、塗布時の欠陥の発生を抑制することができる。
【0197】
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが好ましい。
【0198】
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンがより好ましい。
【0199】
ケトン構造を有する溶剤としては、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどが挙げられ、好ましくはシクロヘキサノンである。
エステル構造を有する溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、酢酸ブチルなどが挙げられ、好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
ラクトン構造を有する溶剤としては、γ−ブチロラクトンが挙げられる。
カーボネート構造を有する溶剤としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートが挙げられ、好ましくはプロピレンカーボネートである。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
エステル構造を有する溶剤とケトン構造を有する溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは40/60〜80/20である。エステル構造を有する溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
エステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤との混合比(質量)は、70/30〜99/1、好ましくは80/20〜99/1、更に好ましくは90/10〜99/
1である。エステル構造を有する溶剤を70質量%以上含有する混合溶剤が経時安定性の点で特に好ましい。
エステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤と水酸基を含有する溶剤を混合する際は、エステル構造を有する溶剤を30〜80質量%、ラクトン構造を有する溶剤を1〜20質量%、水酸基を含有する溶剤を10〜60質量%含有することが好ましい。
エステル構造を有する溶剤とカーボネート構造を有する溶剤と水酸基を含有する溶剤を混合する際は、エステル構造を有する溶剤を30〜80質量%、カーボネート構造を有する溶剤を1〜20質量%、水酸基を含有する溶剤を10〜60質量%含有することが好ましい。
これら溶剤の好ましい様態としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート(好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を含有する溶剤であり、より好ましくはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートと他の溶剤の混合溶剤であり、他の溶剤が水酸基、ケトン基、ラクトン基、エステル基、エーテル基、カーボネート基から選ばれる官能基、あるいはこれらのうちの複数の官能基を併せ持つ溶剤から選ばれる少なくとも1種である。特に好ましい混合溶剤は、乳酸エチル、γブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル、シクロヘキサノンから選ばれる少なくとも1種と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合溶剤である。
最適な溶剤を選択することにより現像欠陥性能を改良することができる。
【0200】
〔7〕その他の添加剤
本発明のポジ型感光性組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、前記フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤、光増感剤等を含有させることができる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪族エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類等のノニオン系界面活性剤を挙げることができる。
【0201】
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0202】
〔8〕パターン形成方法
本発明のポジ型感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターは0.1ミクロン以下、より好ましくは0.05ミクロン以下、更に好ましくは0.03ミクロン以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。
【0203】
例えば、ポジ型感光性組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、感光性膜を形成する。なお、感光性膜の塗設に先立って反射防止膜を塗設してもよい。
当該感光性膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像、リンスする。これにより良好なパターンを得ることができる。
活性光線又は放射線の照射時に感光性膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体としては空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが好ましくは純水である。また、液浸露光を行なう際に液浸媒体と
感光性膜が直接触れ合わないようにするために感光性膜の上にさらにオーバーコート層を設けても良い。これにより感光性膜から液浸媒体への組成物の溶出が抑えられ、現像欠陥が低減する。
【0204】
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線等を挙げることができるが、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等であり、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(13nm)、電子ビームが好ましい。
【0205】
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。アルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
【実施例】
【0206】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0207】
合成例1(繰り返し単位(I−21、但し、Rx=Me)に相当するモノマー(I−21)の合成)
2,2,2−トリフルオロエチルアミン5.7g、およびトリエチルアミン8.7gをテトラヒドロフラン50mlに溶解させ、氷冷下にて塩化メタクリロイル6.0gをゆっくり加えた。混合液を室温に昇温し、2時間反応させた。反応液に1M−塩酸水溶液100mlを加え、これを酢酸エチル200mlで抽出した。有機相を飽和重曹水、および蒸留水で洗浄し、乾燥、濃縮すると、粗生成物が得られた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、繰り返し単位(I−21、但し、Rx=Me)に相当するモノマー(I−21)を4.9g得た。
1H−NMR:1.97(m、3H)、4.99(ddd、2H)、5.42(m、1H)、5.74(m、1H)、6.13(br、1H)
【0208】
【化41】

【0209】
合成例2(繰り返し単位(I−1、但し、Rx=Me)に相当するモノマー(I−1)の合成)
合成例1の2,2,2−トリフルオロエチルアミンをシアノメチルアミン3.3gにかえ同様の操作を行い、繰り返し単位(I−1、但し、Rx=Me)に相当するモノマー(I−1)を合成した。
【0210】
合成例3(繰り返し単位(I−33、但し、Rx=Me)に相当するモノマー(I−33)の合成)
合成例1の2,2,2−トリフルオロエチルアミンを2,2−ジフルオロエチルアミン4.7gにかえ同様の操作を行い、繰り返し単位(I−33、但し、Rx=Me)に相当するモノマー(I−33)を合成した。
【0211】
合成例4(樹脂(RA−1)の合成)
窒素気流下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.9gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した。これに、モノマー(I−1)1.0g、γブチロラクトンメタクリレート5.5g、2−(1−アダマンチル)イソプロピル−2−メタクリレート6.3g、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート3.8g、重合開始剤V−601(和光純薬製)をモノマーに対し8mol%をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート36gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル24gに溶解させたものを6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後ヘキサン700ml/酢酸エチル300mlに注ぎ、析出した紛体をろ取、乾燥すると、樹脂(RA−1)が11g得られた。得られた樹脂の重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で8600、分散度(Mw/Mn)は、1.58であった。
【0212】
合成例4と同様にして、他の(A)成分の樹脂を合成した。
以下、(A)成分の樹脂(RA−1)〜(RA−21)及び比較例の樹脂(P−X)の構造を示す。
【0213】
【化42】

【0214】
【化43】

【0215】
【化44】

【0216】
【化45】

【0217】
実施例1〜23及び比較例1
<ポジ型感光性組成物の調製>
下記表1に示す成分を溶剤に溶解させ固形分濃度8質量%の溶液を調製し、これを0.03μmのポリエチレンフィルターでろ過してポジ型感光性組成物を調製した。次いで、下記の方法で評価し、結果も表1に示した。
【0218】
<評価>
スピンコーターにてヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上にブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−42を600オングストローム均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、190℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後、各ポジ型感光性組成物をスピンコーターで塗布し、110℃で90秒乾燥を行い、180nmの感光性膜を形成させた。この感光性膜に対し、マスクを通してArFエキシマレーザーステッパー(ASML社製 NA=0.75、2/3輪帯)で露光し、露光後直ぐに120℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを得た。
【0219】
感度:
80nmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射エネルギーを感度とした。
【0220】
パターン倒れ評価法:
80nmのラインアンドスペース1:1のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量からさらに露光量を増大させて形成されるラインパターンの線幅を細らせた際に、パターンが倒れずに解像する線幅をもって定義した。値が小さいほど、より
微細なパターンが倒れずに解像することを表し、パターン倒れが発生しにくく、解像力が高いことを示す。
【0221】
ラインエッジラフネス評価方法:
測長走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して80nmのラインアンドスペース1:1パターンを観察し、ラインパターンの長手方向のエッジが5μmの範囲についてエッジのあるべき基準線からの距離を測長SEM((株)日立製作所S−8840)により20ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
【0222】
解像度評価法:
90nmのラインアンドスペース1:1のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量で解像しているラインアンドスペース1:1パターンの最小寸法を解像度とした。
【0223】
【表1】

【0224】
以下、表中の略号を示す。
【0225】
〔塩基性化合物〕
TPSA:トリフェニルスルホニウムアセテート
DIA:2,6−ジイソプロピルアニリン
DCMA:ジシクロヘキシルメチルアミン
TPA:トリペンチルアミン
HAP:ヒドロキシアンチピリン
TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
TMEA:トリス(メトキシエトキシエチル)アミン
PEA:N−フェニルジエタノールアミン]
TPI:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
【0226】
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製) (フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製) (シリコン系)
W‐4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
【0227】
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
S2:2−ヘプタノン
S3:シクロヘキサノン
S4: γ−ブチロラクトン
S5:プロピレングリコールメチルエーテル
S6:乳酸エチル
S7:プロピレンカーボネート
【0228】
表1より、本発明のポジ型感光性組成物は、ArFエキシマレーザー露光に於いて、パターン倒れ性能、ラインエッジラフネス性能が良好であることが分る。
【0229】
(液浸露光)
<ポジ型感光性組成物の調製>
表1の実施例1〜23および比較例1の成分を溶剤に溶解させ固形分濃度6質量%の溶液を調製し、これを0.03μmのポリエチレンフィルターで濾過してポジ型感光性組成物を調製し、下記の方法で評価した。
【0230】
<解像性評価>
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃、60秒ベークを行い、78nmの反射防止膜を形成した。その上に調製したポジ型感光性組成物を塗布し、115℃、60秒ベークを行い150nmの感光性膜を形成した。こうして得られたウエハーを液浸液としては純水を使用し、2光束干渉露光を行った(ウェット露光)。尚、2光束干渉露光(ウエット)では、図1に示すように、レーザー1、絞り2、シャッター3、3枚の反射ミラー4、5、6、集光レンズ7を使用し、プリズム8、液浸液(純水)9を介して反射防止膜及び感光性膜を有するウエハー10に露光を行った。レーザー1の波長は、193nmを用い、65nmのラインアンドスペースパターンを形成するプリズム8を使用した。露光直後に115℃、90秒加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38%)で60秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥して得たパターンについて走査型電子顕微鏡(日立製S−9260)を用い、観察した。実施例1〜23の組成物を用いたところ、65nmのラインアンドスペースパターンがパターン倒れを発生せずに解像した。比較例1の組成物を用いたところ、70nmのラインアンドスペースパターンは解像するものの、一部のパターンでパターン倒れが観測された。
本発明のポジ型感光性組成物は、液浸液を介した露光方法においても良好な画像形成能を有することが明らかである。
【0231】
実施例24〜29及び比較例2
<ポジ型感光性組成物の調製>
下記表2に示した成分を溶剤に溶解させ、これを0.05μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して固形分濃度14質量%のポジ型感光性組成物を調製した。
【0232】
<レジスト評価>
調製したポジ型感光性組成物を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.4 mの感光性膜を形成させた。この感光性膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃下60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを形成した。
【0233】
感度:
180nmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射エネルギーを感度とした。
【0234】
解像力:
上記の感度を示す照射量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像)を解像力とした。
【0235】
パターン倒れ評価方法:
膜厚を0.4μmとして、180nmのラインアンドスペース1:1のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量からさらに露光量を増大させて形成されるラインパターンの線幅を細らせた際に、パターンが倒れずに解像する線幅をもって定義した。
【0236】
ラインエッジラフネス評価方法:
測長走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して180nmのラインアンドスペース1:1パターンを観察し、ラインパターンの長手方向のエッジが5μmの範囲についてエッジのあるべき基準線からの距離を測長SEM((株)日立製作所S−8840)により20ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
【0237】
【表2】

【0238】
以下、表2に於ける、樹脂(PB−1)〜(PB−4)及び樹脂(P−Y)の構造を示す。
【0239】
【化46】

【0240】
【化47】

【0241】
表2より、本発明のポジ型感光性組成物は、KrFエキシマレーザー露光に於いて、ラインエッジラフネス性能が良好であることが分る。
【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】2光束干渉露光実験装置の概略図である。
【符号の説明】
【0243】
1 レーザー
2 絞り
3 シャッター
4、5、6 反射ミラー
7 集光レンズ
8 プリズム
9 液浸液
10 反射防止膜及びレジスト膜を有するウエハー
11 ウエハーステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物。
【化1】

一般式(I)に於いて、
Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Ra1及びRa2は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性である基を表す。ただし、Ra1及びRa2の内の少なくともいずれか一つは、電子吸引性である基を表す。Ra1及びRa2は、結合して環構造を形成し、Ra1及びRa2が結合して形成される部分が、電子吸引性であってもよい。
【請求項2】
(A)成分の樹脂が、更に、脂環炭化水素構造を有する酸分解性基を有する繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項3】
(A)成分の樹脂が、更に、ラクトン構造を有する繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性組成物を用いて、感光性膜を形成し、該感光性膜を、露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項5】
下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする樹脂。
【化2】

一般式(I)に於いて、
Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Ra1及びRa2は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性である基を表す。ただし、Ra1及びRa2の内の少なくともいずれか一つは、電子吸引性である基を表す。Ra1及びRa2は、結合して環構造を形成し、Ra
1及びRa2が結合して形成される部分が、電子吸引性であってもよい。
【請求項6】
下記一般式(IM)で表されることを特徴とする化合物。
【化3】

一般式(IM)に於いて、
Rxは、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Ra1及びRa2は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性である基を表す。ただし、Ra1及びRa2の内の少なくともいずれか一つは、電子吸引性である基を表す。Ra1及びRa2は、結合して環構造を形成し、Ra1及びRa2が結合して形成される部分が、電子吸引性であってもよい。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−15422(P2008−15422A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189267(P2006−189267)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】