説明

ポリアミドイミド及びネガ型感光性樹脂組成物

【課題】加熱硬化後の残膜率に優れるネガ型感光性樹脂組成物の成分であるポリアミドイミド及びこれを用いたネガ型感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】下記化学式(1)で表される構造を有するポリアミドイミド。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性樹脂の前駆体となるポリアミドイミド、及びポリアミドイミドを含む感光性を有するネガ型感光性樹脂組成物、該ネガ型感光性樹脂組成物からなる硬化レリーフパターンの形成方法、並びに該硬化レリーフパターンを有してなる半導体装置及びその製造方法に関する。更に詳しくは、電子部品の絶縁材料、並びに半導体装置における表面保護膜、層間絶縁膜、液晶配向膜、半導体のパッシベーション膜、保護膜及びα線遮蔽膜などの用途に好適に用いることができるポリアミドイミド樹脂を与える前駆体となるネガ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の絶縁材料、半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、及びα線遮蔽膜などには、優れた耐熱性、電気特性、及び機械特性を併せ持つポリイミド樹脂からなる塗膜が広く用いられてきた。
このポリイミド樹脂からなる塗膜を形成するにあたっては、非感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物、又は感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物を使用することが可能である。後者の形で供されるものを基板上に塗布し、所望のパターニングマスクを介して活性光線で露光し、現像し、加熱することにより、耐熱性を有するポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターン層をより容易に形成させることができる。
従って、硬化レリーフパターンを形成する必要のない塗膜としてポリイミド樹脂を使用する場合には、非感光性又は感光性のどちらのポリイミド樹脂前駆体組成物でもよいが、ポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターン層を有してなる半導体装置を製造するためにポリイミド樹脂を使用する場合には、感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物は非感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物に比べて大幅な工程短縮が可能となるという利点を有する。
【0003】
一般に、薄膜トランジスタ型液晶配向体素子や磁気ヘッド素子、集積回路素子、固体撮像素子などの電子部品において、絶縁膜は充分な平坦性を有するものでなければ良好な絶縁性能を有するものとはならない。また、液晶表示素子における液晶配向膜においても、通常、得られた膜表面を、例えば、ナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻きつけたロールで一定方向に擦るラビング処理を施して液晶配向能を付与するため、膜表面が平坦能を有していないとラビングむらが発生し、配向不良が起る原因となる。
そこで、特定のテトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸および当該ポリアミック酸を脱水閉環させて得られる構造を有するポリイミドから選ばれる少なくとも一種の重合体を含有することを特徴とする膜形成用組成物が、平坦性に優れた膜を形成することが可能な膜形成用組成物として、例えば特許文献1で、提案されている。
【0004】
また、ポリアミド樹脂の骨格内構造に、5−アミノイソフタル酸からカルボン酸基およびアミノ基を除いた芳香族基を導入し、該芳香族基を光重合性の不飽和二重結合を有するモノマーと重合させることで、高耐熱性を有する樹脂を得ることが、例えば特許文献2で、提案されている。
近年、半導体素子などの微細化及び高集積化要求による多層配線技術が多用されている。多層配線とは、すなわち、微細な導体パターンや絶縁層パターンを形成している被加工基板上に、更にレジストなどの薄膜を形成することである。なかでも該技術を、高段差を持つ基板上に精度よく微細パターンを形成する二層構造レジスト法の上層レジスト層として利用しようとする提案が多くなされている。しかし、形成した上層レジストは加熱硬化などの後工程による膜収縮が避けられず、前述の段差による膜厚差のため、加熱硬化により残膜量に差が生じるが、この残膜量の差が平坦性に影響し、製品の最終物性に大きいダメージを与える。そこで、加熱後の残膜率を更に向上させることが求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開2002−226579号公報
【特許文献2】国際公開第06/008991号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、加熱硬化によって高残膜率を有する樹脂となり得るポリアミドイミドを提供することを目的とする。また、該ポリアミドイミドを含み、ネガ型感光性を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、該組成物を用いた硬化レリーフパターンの形成方法、該方法を含有する半導体装置の製造方法、および該組成物を硬化させて得られる樹脂からなる塗膜を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重縮合させたポリアミドイミドにおいて、熱架橋基を有する化合物を共重縮合させることによって加熱による硬化反応後の樹脂の耐熱性を向上させ、さらに、テトラカルボン酸二無水物の一部に、非対称で剛直な骨格を有する構造を加えることで残膜率を向上させようとの着想を抱いた。本発明者らが鋭意検討した結果、テトラカルボン酸二無水物の一部にrel−[1S,5R,6R]−3−オキサビシクロ[3,2,1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)を共重縮合させたポリアミドイミドを含むネガ型感光性樹脂組成物は高残膜率を有することを見出し本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第一は、化学式(1)で表される構造を有するポリアミドイミドである。
【化1】

(式中のm及びnは、m≧1、n≧1、2≦(m+n)≦150、及び0.05≦m/(m+n)≦0.9を満たす整数である。また、繰り返し単位の配列は、ブロック的であってもランダム的であってもかまわない。式中のXは、少なくとも1つの3価または4価の芳香族基を示す。式中のY1 及びY2 は、それぞれ同じであっても異なっていても良く、少なくとも1つの2価の有機基を示す。式中のZは(R)t で表され、Rは光重合性の不飽和二重結合を有する一価の有機基である。tは1〜2の整数を表し、t=2の場合の2つのRは同じであっても異なっていても良い。)
【0009】
さらに、式中のZが、下記化学式(2)で表される基の中から選択される少なくとも1つの1価の有機基を有するネガ型感光性樹脂組成物であることが好ましい。
【化2】

(式中のR1 は炭素数3〜15の1価の有機基を示し、式中のR2 は炭素数1〜13の2価の有機基を示す。)
【0010】
本発明の第二は、(A)上記第一のポリアミドイミド100質量部に対し、(B)光重合性の不飽和二重結合を有するモノマー1〜80質量部、及び(C)光重合開始剤1〜20質量部を含むネガ型感光性樹脂組成である。
本発明の第三は、(1)上記第二のネガ型感光性樹脂組成物を層またはフィルムの形で基板上に形成する工程、(2)該基板に対し、マスクを介して活性光線で露光するか、又は化学線を直接照射する工程、(3)未露光部又は未照射部を現像液により溶解除去する工程、(4)得られたネガ型レリーフパターンを加熱する工程、を含む硬化レリーフパターンの形成方法、である。
本発明の第四は、上記硬化レリーフパターンの形成方法を包含する半導体装置の製造方法である。
本発明の第五は、上記ネガ型感光性樹脂組成物を硬化させた樹脂からなる塗膜を有する半導体装置、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリアミドイミドは、加熱硬化後の残膜率に優れたポリアミドイミドであるネガ型感光性樹脂組成物のポリマーとして使用できる。
本発明の樹脂組成物は、ネガ型感光性を有することによって硬化レリーフパターンを容易に形成でき、しかも加熱硬化後のポリアミドイミド樹脂は残膜率に優れるという効果を有する。
本発明の硬化レリーフパターンの形成方法は、加熱硬化後の残膜率に優れたポリアミドイミド樹脂塗膜からなる硬化レリーフパターンを基板上に容易に形成することができるという効果を有する。
本発明の半導体装置の製造方法は、層間絶縁膜、又は表面保護膜として加熱硬化後の残膜率に優れた硬化レリーフパターンを有する半導体装置を容易に製造することができるという効果を有する。
本発明の半導体装置は、層間絶縁膜、又は表面保護膜として加熱硬化後の残膜率に優れた硬化レリーフパターンを有する半導体装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体的に説明する。
<ポリアミドイミドとネガ型感光性樹脂組成物>
本発明のポリアミドイミド及び本発明のネガ型感光性樹脂組成物を構成する各成分について、以下具体的に説明する。
(A)ポリアミドイミド
本発明のポリアミドイミドは、下記化学式(1)で表される構造を有するポリアミドイミドである。該ポリアミドイミドは、有機基Zが光重合性の不飽和二重結合を有することにより、光重合開始剤を添加することによって、ネガ型の感光性を有する樹脂組成物とすることができる。
【化3】

(式中のm及びnは、m≧1、n≧1、2≦(m+n)≦150、及び0.05≦m/(m+n)≦0.9を満たす整数である。また、繰り返し単位の配列は、ブロック的であってもランダム的であってもかまわない。式中のXは、少なくとも1つの3価または4価の芳香族基を示す。式中のY1 及びY2 は、それぞれ同じであっても異なっていても良く、少なくとも1つの2価の有機基を示す。式中のZは(R)t で表され、Rは光重合性の不飽和二重結合を有する一価の有機基である。tは1〜2の整数を表し、t=2の場合の2つのRは同じであっても異なっていても良い。)
【0013】
さらに、式中のZが、下記化学式(2)で表される基の中から選択される少なくとも1つの1価の有機基であることが好ましい。
【化4】

(式中のR1 は炭素数3〜15の1価の有機基を示し、式中のR2 は炭素数1〜13の2価の有機基を示す。)
【0014】
前記化学式(1)中のXは、少なくとも1つの3価または4価の芳香族基であるが、以下の構造で表される基の中から選ばれる少なくとも1つの3価の基であることが好ましく、5−アミノイソフタル酸からカルボン酸基及びアミノ基を除いた芳香族基であることがより好ましい。
【化5】

【0015】
前記化学式(1)中のY1 及びY2 は2価の有機基であり、同一であっても異なっていても良い。また、前記2価の有機基としては、以下の構造で表される基の中から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましい。
【化6】

【0016】
(フタル酸系化合物封止体の合成)
3価または4価の芳香族基Xを有する、芳香環がアミノ基で置換されたフタル酸、芳香環がアミノ基で置換されたイソフタル酸、及び、芳香環がアミノ基で置換されたテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物(以下、「フタル酸系化合物」ともいう。)1モルと、アミノ基と反応する化合物1モルまた2モルとを反応させて、該フタル酸系化合物のアミノ基を後述の熱架橋基または保護基を有する化合物(以下、「封止剤」ともいう。)によってブロックした化合物(以下、「フタル酸系化合物封止体」ともいう。)を合成する。これらは単独でもよいし、混合して用いてもよい。
上述のフタル酸系化合物封止体は、フタル酸系化合物のアミノ基と、熱架橋基を有する、酸クロリド、酸無水物、イソシアネート化合物、またはエポキシ化合物等(以下、「熱架橋性化合物」ともいう。)とを反応させることで得ることが出来る。該熱架橋基としては、150〜400℃の範囲で架橋反応を起こすものが望ましく、ノルボルネン基、グリシジル基、シクロヘキセン基、エチニル基、アリル基、アルデヒド基、ベンゾシクロブテン基、フリル基、フルフリル基、ジメトキシジメチルアミノ基、ジヒドロキシジメチルアミノ基、アルキニル基、アルケニル基、オキセタン基、メタクリレート基、アクリレート基、シアノ基、チオフェン基、マレイミド基、及びグアナミン基が好ましい。フタル酸系化合物を上記熱架橋基でブロックした構造とすると、ネガ型感光性樹脂組成物樹脂塗膜を加熱により硬化させる工程で、これら熱架橋基を分子間架橋させることが出来、塗膜の耐熱性を向上させることができる。
【0017】
該熱架橋基を有する酸クロリドとしては、不飽和二重結合又は三重結合を有する酸クロリドが好ましく、環状もしくは非環状のアルケニル基を有する炭素数が3〜11の酸クロリド、又は、環状もしくは非環状のアルキニル基を有する炭素数が3〜11の酸クロリドがより好ましい。具体的には、3−シクロヘキセン−1カルボン酸クロリド、2−フランカルボン酸クロリド、クロトン酸クロリド、ケイ皮酸クロリド、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド、p−スチレンスルホニルクロリド、及びチオフェン−2−アセチルクロリドが挙げられる。
該熱架橋基を有する酸無水物としては、不飽和二重結合又は三重結合を有する酸無水物が好ましく、環状もしくは非環状のアルケニル基を有する炭素数が4〜12の酸無水物、又は、環状もしくは非環状のアルキニル基を有する炭素数が4〜12の酸無水物がより好ましい。具体的には、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3−エチニル−1,2−フタル酸無水物、4−エチニル−1,2−フタル酸無水物、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、マレイン酸無水物、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、アリルスクシン酸無水物、及びメチルテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。
【0018】
該熱架橋基を有するイソシアネート化合物としては、不飽和二重結合又は三重結合を有するイソシアネートが好ましく、環状もしくは非環状のアルケニル基を有する炭素数が5〜15のイソシアネート、又は、環状もしくは非環状のアルキニル基を有する炭素数が5〜15のイソシアネートがより好ましい。具体的には、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。
該熱架橋基を有するエポキシ化合物としては、不飽和二重結合又は三重結合を有するエポキシ化合物が好ましく、環状もしくは非環状のアルケニル基を有する炭素数が5〜15のエポキシ化合物、又は、環状もしくは非環状のアルキニル基を有する炭素数が5〜15のエポキシ化合物がより好ましい。具体的には、グリシジルメタクリレート、及びアリルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0019】
フタル酸系化合物封止体は、フタル酸系化合物のアミノ基を、ウレア型、ウレタン型、アシル型、アラルキル型、シリコ−ン型等の保護基で保護することで得ることもできる。フタル酸系化合物を上記保護基で保護した構造とすると、ネガ型感光性樹脂膜を加熱硬化させる工程で、これら保護基が脱離してアミノ基が再生し、ポリマー主鎖の一部、または末端部と反応して分子間架橋させることが出来、耐熱性を向上させることができる。
フタル酸系化合物のアミノ基をウレア型保護基で保護するには、フタル酸系化合物とモノイソシアネート化合物を反応させればよい。該モノイソシアネート化合物としては、フェニルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、n−オクタデシルイソシアネート、o−トルイルイソシアネート、及び2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
【0020】
フタル酸系化合物のアミノ基をウレタン型保護基で保護するには、フタル酸系化合物と、アルコキシカルボニルクロリドまたは炭酸ジアルキルを反応させればよい。該アルコキシカルボニル基としては、ベンジルオキシカルボニル基、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、イソボルニルベンジルオキシカルボニル基、及びp−ビフェニルイソプロピルベンジルオキシカルボニル基などが挙げられる。
フタル酸系化合物のアミノ基をアシル型保護基で保護するには、フタル酸系化合物と、アシルクロリドを反応させればよい。該アシル基としては、ホルミル基、フタロイル基、ジチアスクシノイル基、トシル基、メシル基、o−ニトロフェニルスルフェニル基、o−ニトロピリジンスルフェニル基、ジフェニルホスフィニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、及びシンナモイル基などが挙げられる。
【0021】
フタル酸系化合物のアミノ基をアラルキル型保護基で保護するには、フタル酸系化合物とアラルキルクロリドを反応させればよい。該アラルキル型保護基としては、トリフェニルメチル基が挙げられる。
フタル酸系化合物のアミノ基をシリコ−ン型保護基で保護するには、フタル酸系化合物とシリル化剤を反応させればよい。該シリコ−ン型保護基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、及びt−ブチルジフェニルシリル基などが挙げられる。また、該シリル化剤としては、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,N−ジメチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリメチルシリルジフェニル尿素、及びビス(トリメチルシリル)尿素などが挙げられる。
【0022】
これらのフタル酸系化合物封止体としては、フタル酸系化合物が5−アミノイソフタル酸(以下、「AIPA」と略す。)であるものが、加熱による硬化後に耐熱性が高いポリアミドイミド樹脂を得ることができるために好ましい。AIPAのアミノ基に熱架橋性二重結合を有する熱架橋基を導入したものが、加熱による硬化後の耐熱性をより高く出来るためにより好ましい。例としては、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とAIPAの反応物以下、「AIPA−N」と略す。)が挙げられる。また、AIPAのアミノ基に光重合性二重結合を有する保護基を導入したものが、リソグラフィー時の感度、解像度等の感光特性により優れるためより好ましい。例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートとAIPAの反応物が挙げられる。
フタル酸系化合物と、上述の封止剤とを、ピリジンなどの塩基性触媒の存在下溶媒中で撹拌溶解、混合することにより、アミノ基と封止剤との反応が進行し、所望のフタル酸系化合物封止体を得ることができる。
【0023】
上述の溶媒としては、アミド類、スルホキシド類、テトラメチル尿素、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類が好ましい。例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの中で、これとジアミン化合物とのポリアミドイミドを完全に溶解するものがより好ましい。例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶媒は必要に応じて、単独でも混合して用いることもできる。
酸クロリド体など、上記封止剤の種類によっては、封止反応の過程で塩化水素が副生するものがある。この場合は、以降の工程汚染を防止する意味からも、一旦水再沈して水洗乾燥したり、イオン交換樹脂カラムを通すなど、適宜精製を行うことが好ましい。
【0024】
(重縮合物Aの合成)
本発明のポリアミドイミドは、以下のようにして好適に合成することができる。
第一に、rel−[1S,5R,6R]−3−オキサビシクロ[3,2,1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)(以下、「DAn」ともいう。)と、本発明で好適に用いられる、2価の芳香族基Y1 を含むジアミン化合物とを極性有機溶媒中、180℃で、必要に応じてγ−バレロラクトン、ピリジン、トルエン、トリエチルアミンなどの触媒を用いて反応させることによって、ポリイミド(以下、「重縮合物A」ともいう)を得ることが出来る。
【0025】
本発明で好適に用いられる、2価の芳香族基Y1 を含むジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
【0026】
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、
【0027】
オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、並びにこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及びハロゲン原子からなる群から選択される1つ以上の基で置換されたジアミン化合物があげられる。このベンゼン環上の水素原子が置換されたジアミン化合物の例としては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0028】
また、上述の極性有機溶媒としては、アミド類、スルホキシド類、テトラメチル尿素、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類が好ましい。例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの中で、ポリアミドイミドを完全に溶解するものがより好ましい。例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン、スルホラン等が挙げられる。これらの溶媒は必要に応じて、単独でも混合して用いることもできる。
【0029】
(ポリアミドイミドの合成)
前述の方法で得られた重縮合物Aの反応液に、室温で、前述したフタル酸系化合物封止体と、必要に応じて、本発明で好適に用いられる、2価の芳香族基Y2 を含むジアミン類とを、別途溶媒に溶解または分散させておいたものを滴下投入し、続いて、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1’−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートなどを滴下投入し、アミド重縮合させることにより目的のポリアミドイミドを得ることが出来る。
DAnとフタル酸系化合物封止体との共重合比は前述の化学式(1)におけるm/(m+n)で表され、好ましくはモル比で0.05〜0.9の範囲であり、より好ましくは0.4〜0.8の範囲である。m/(m+n)の比が0.9以下であれば光感度等のリソグラフィー性能に優れるので好ましく、0.05以上であれば残膜率に優れるので好ましい。
【0030】
本発明で好適に用いられる、2価の芳香族基Y2 を含むジアミンとしては、前述した2価の芳香族基Y1 を含むジアミンと同じものであっても、異なるものであってもよい。2価の芳香族基Y2 を含むジアミンは、2価の芳香族基Y1 を含むジアミンと同じものを使う場合、第一の重縮合物Aを合成する段階で、原料として一緒に仕込んでもよい。具体的に2価の芳香族基Y2 を含むジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
【0031】
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、
【0032】
2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、並びにこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及びハロゲン原子からなる群から選択される1つ以上の基で置換されたジアミン化合物があげられる。このベンゼン環上の水素原子が置換されたジアミン化合物の例としては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル− 4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0033】
前述のポリアミドイミドにおいて、その末端基を有機基(以下、封止基という)で封止して使用することも好ましい。該ポリアミドイミドの重縮合において、テトラカルボン酸成分及びジカルボン酸成分をジアミン成分の和に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としては、アミノ基、または水酸基を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、アニリン、エチニルアニリン、ノルボルネンアミン、ブチルアミン、プロパルギルアミン、エタノール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
逆にジアミン成分の和をテトラカルボン酸成分及びジカルボン酸成分に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としては、酸無水物、カルボン酸、酸クロリド、イソシアネート基等を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、ベンゾイルクロリド、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ノルボルネンカルボン酸、エチニルフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロへキセンジカルボン酸無水物、メタクロイルオキシエチルメタクリレート、フェニルイソイアネート、メシルクロリド、及びトシル酸クロリド等が挙げられる。
【0034】
重縮合物Aとフタル酸系化合物封止体とのアミド化反応終了後、反応液中に析出してきたジシクロヘキシルウレア等の脱水縮合剤由来の析出物を必要に応じて濾別する。続いて、反応液中に、水もしくは脂肪族低級アルコール、またはその混合液などの貧溶媒を投入してポリアミドイミドを析出させる。更に、析出したポリアミドイミドを溶媒に再溶解させ、再沈析出操作を繰り返すことによって精製し、真空乾燥を行い、目的のポリアミドイミドを単離する。なお、精製度を更に向上させるために、このポリアミドイミドの溶液をイオン交換樹脂を有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに通し、イオン性不純物を除去してもよい。
以上、上述の方法によりブロック共重合体を得ることができるが、DAn、フタル酸系化合物封止体及びジアミンを合わせて極性有機溶媒中、180℃で、必要に応じてγ−バレロラクトン、ピリジン、トルエン、トリエチルアミンなどの触媒を用いて反応させることによって、ポリイミド(以下、「重縮合物A」ともいう)を得ることも出来る。
【0035】
(B)光重合性の不飽和二重結合を有するモノマー
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、感光特性向上のために、光重合性の不飽和二重結合を有するモノマー(以下、「光重合性モノマー」ともいう。)を添加することができる。
このような光重合性モノマーとしては、光重合開始剤により重合可能な(メタ)アクリル化合物が好ましく、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート(各エチレングリコールユニットの数2〜20)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(各エチレングリコールユニットの数2〜20)、ポリ(1,2−プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(1,2−プロピレングリコール)ジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレングリコールジグリシジルエーテル−メタクリル酸付加物、グリセロールジグリシジルエーテル−アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル−アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル−メタクリル酸付加物、N,N’−ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)尿素などが挙げられる。また、これらの使用にあたっては、必要に応じて、単独でも2種以上を混合して用いてもかまわない。
光重合性モノマーの添加量は、本発明のポリアミドイミド100質量部に対して、1〜80質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
【0036】
(C)光重合開始剤
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、前述したポリアミドイミドに光重合開始剤を添加する。好ましいものとしては以下(1)〜(6)に記載される化合物が挙げられ、特に光感度の点で、(6)のオキシム類が、より好ましい。これらの使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でもかまわない。
(1)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体
(2)2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン誘導体
(3)チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体
(4)ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどのベンジル誘導体
(5)ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾイン誘導体
(6)1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシムなどのオキシム類
光重合開始剤の添加量は、本発明のポリアミドイミド100質量部に対して、1〜20質量部とするのが好ましく、1〜10質量部とするのがより好ましい。添加量が1質量部以上であれば、光感度が高くなるので好ましく、添加量が20質量部以下であれば、塗膜の基板面付近まで十分に硬化させることができるので好ましい。
【0037】
(D)溶媒
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、溶媒を添加して粘度を調整することが好ましい。好適な溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどが挙げられ、これらは単独または二種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトンが、特に好ましい。
これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、本発明の樹脂組成物に適宜加えることができるが、本発明のポリアミドイミド100質量部に対し、溶媒100〜1000質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0038】
さらに本発明のネガ型感光性樹脂組成物の経時的な保存安定性を向上させるために、上記に記載した溶媒に加えて、以下に示すようなアルコール類を併用することもできる。
これらのアルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ(n−プロピル)エーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ(n−プロピル)エーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジアルコール類を挙げることができる。これらの中でも、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテルが特に好ましい。
これらアルコール類が溶媒中に占める含量が50質量%以下であると、ポリアミドイミドの溶解性が良好であるため好ましい。
【0039】
(E)増感剤
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、必要に応じ、光感度向上のための増感剤を添加することができる。
このような増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(4’−ジメチルアミノシンナミリデン)インダノン、2−(4’−ジメチルアミノベンジリデン)インダノン、2−(p−4’−ジメチルアミノビフェニル)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)アセトン、
【0040】
1,3−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、
【0041】
2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−p)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレンなどが挙げられる。これらの中で、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、及び1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾールからなる群から選ばれる1つ以上の増感剤を添加することが好ましい。また、使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でもかまわない。
増感剤の添加量は、本発明のポリアミドイミド100質量部に対して0〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
【0042】
(F)重合禁止剤
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、必要に応じ、保存時の組成物溶液の粘度や光感度の安定性を向上させるために重合禁止剤を添加することができる。
このような重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル)フェニルメタンなどを用いることができる。
重合禁止剤の添加量は、本発明のポリアミドイミド100質量部に対して、0〜5質量部であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましい。
【0043】
(G)熱架橋剤
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、必要に応じ、塗膜を加熱硬化する際に、ポリアミドイミドを架橋し得るか、またはそれ自身が架橋ネットワークを形成し得る熱架橋剤を添加し、耐熱性を更に強化することができる。このような熱架橋剤としては、アミノ樹脂またはその誘導体が好適に用いられ、中でも、尿素樹脂、グリコール尿素樹脂、ヒドロキシエチレン尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及びこれらの誘導体が好適に用いられる。特に好ましくは、ヘキサメトキシメチル化メラミンである。
熱架橋剤の添加量は、ポリアミドイミド100質量部に対して、0〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがより好ましい。
【0044】
(H)シランカップリング剤
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じ、シリコン系カップリング剤は、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名;KBM803、チッソ株式会社製:商品名;サイラエースS810)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名;SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名;LS1375、アズマックス株式会社製:商品名;SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名;SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名;SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、
【0045】
3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名;LS3610、アズマックス株式会社製:商品名;SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、
【0046】
N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、
N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名;SLA0598.0)、
【0047】
m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名;SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名;SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名;SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名;SIT8396.0)、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、N−[ 3−(トリエトキシシリル)プロピル] フタルアミド酸などが挙げられる。
シランカップリング剤の添加量は、ポリアミドイミド100質量部に対して、0〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがより好ましい。
【0048】
(I)その他の添加剤
以上の他にも、本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、散乱光吸収剤、及び塗膜平滑性付与剤など、必要に応じて種々の添加剤を適宜配合することが出来る。
<硬化レリーフパターンと半導体装置の製造方法>
本発明の硬化レリーフパターンの形成方法には、上述のネガ型感光性樹脂組成物が使用される。その製造は、以下の工程で行われる。
まず、該組成物を基板となるシリコンウエハーに塗布する。その時には、該組成物と基板との接着性を高める目的で、あらかじめシランカップリング剤を基板に前塗布しておいてもよい。塗布方法としては、スピンコーターを用いる回転塗布、ダイコータ−による塗布、スプレーコーターを用いる噴霧塗布、浸漬、印刷、ブレードコーター、またはロールコーティング等が利用できる。これらの中でも、回転塗布法は、スピンコータ−の回転数を変更することにより容易に膜厚を制御することができるので好ましい。該組成物の塗布膜厚は、最終硬化膜の膜厚が0.1〜20μmとなるように設定するのが好ましい。
【0049】
次に80〜120℃でプリベークして塗膜を乾燥後、フォトマスクを介して所望のパターン形状に活性光線を照射する。活性光線としては、X線、電子線、紫外線、または可視光線などが利用できるが、200〜500nmの波長のものを用いるのが好ましく、i線(365nm)であることが特に好ましい。露光機としては、通常コンタクトアライナーやステッパーが使用される。また、化学線のレーザー照射によって塗膜上に直接パターン描画を行ってもよい。この後、光感度の向上などの目的で、必要に応じて、任意の温度、時間の組み合わせ(好ましくは温度40℃〜120℃、時間10秒〜240秒)による露光後ベーク(PEB)や、現像前ベークを施しても良い。
【0050】
次に未照射部を現像液で溶解除去することにより、ネガ型レリーフパターンを得ることができる。
ここで用いられる現像液としては、ポリアミドイミドの良溶媒、または良溶媒と貧溶媒との混合溶媒を用いることが出来る。該良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ガンマブチロラクトン、α−アセチル−ガンマブチロラクトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンなどが挙げられる。また、該貧溶媒としては、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、および水などが挙げられる。良溶媒と貧溶媒との混合溶媒を用いる場合、その混合比率は、現像するネガ型感光性樹脂塗膜の溶解性や、現像方法に応じて調整される。現像方法としては、浸漬法、パドル法、または回転スプレー法等の方法から選択して行うことが出来る。
【0051】
次に、現像によって形成したネガ型レリーフパターンをリンス液により洗浄を行い、現像液を除去する。リンス液としては、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を単独または混合して用いる。
次に、このようにして得られたネガ型感光性樹脂組成物のレリ−フパターンを200〜400℃に加熱することにより、脱水環化反応に加えて架橋反応が起こり、耐熱性に富んだポリアミドイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンを得ることができる。このような加熱環化反応は、ホットプレート、イナートオーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンなどを用いて行うことが出来る。加熱環化させる際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
このようにして得られた硬化レリーフパターンを半導体装置の製造工程において、シリコンウエハー等の基材上に作りこまれた半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、またはα線遮蔽膜として使用することにより、半導体装置を製造するのに好適に使用することができる。
【実施例】
【0052】
次に、実施例および比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
実施例、比較例及び参考例においては、ポリアミドイミドの物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
<ポリアミドイミドの合成>
(1)重量平均分子量
各ポリアミドイミドの重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(以下、「GPC」ともいう。)(標準ポリスチレン換算)で測定した。GPCの分析条件を以下に記す。
カラム:昭和電工社製、商品名;Shodex 805M/806M直列
容離液:ジメチルホルムアミド、40℃
流速 :1.0ml/分
検出器:昭和電工製、商標名:Shodex RI−930
(2)硬化塗膜の残膜率測定
ネガ型感光性樹脂組成物を5インチシリコンウエハー上に回転塗布し、95℃、480秒プリベークした後、塗膜の膜厚(T1)が約20μmとなるように調整した。その後、高圧水銀灯を用いて、i線領域において600mJ/cm2 全波長露光を行った。次いで、塗膜を形成したウエハーを昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で1時間、続いて350℃で2時間熱処理を行った。得られたキュア膜の膜厚(T4)を測定し、計算式:T4/T1×100%で残膜率を計算した。
【0053】
〔参考例1〕
(ポリアミドイミドAの合成)
攪拌機、温度計、窒素導入管及び冷却器を備えた1リットル容量のセパラブルフラスコに4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン(以下、「MDT」ともいう。)45.26g(0.2モル)を入れ、N−メチルピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)200gを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらrel−[1S,5R,6R]−3−オキサビシクロ[3,2,1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)(以下、「DAn」ともいう。)22.42g(0.1モル)を仕込んだ。追加溶媒としてNMP50g、更に触媒として、γ―バレロラクトン2g、ピリジン4g、トルエン50gを加えた。室温下、窒素ガスを通じながら約1時間攪拌し、均一な溶液としてからシリコンオイル浴温度190℃で、200rpmで2時間30分間攪拌した。反応中、副生成物である水がトルエンと共沸して留去した。
【0054】
一段階目の反応が終了後、室温まで冷やし、5−アミノイソフタル酸と2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させ得られたフタル酸系化合物封止体(以下、「AIX」ともいう。)30.16g(0.09モル)、NMP50gと、さらに触媒としてピリジン16gを仕込んだ。室温で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、「DCC」ともいう。)29.71g(0.144モル)をNMP50gに溶解した溶液を、30分かけて反応混合物に加えた。室温で3時間攪拌した後、無水フタル酸2.96g(0.02モル)を加え、更に室温で1時間攪拌した後、反応混合物に生じた沈殿物を加圧ろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を2リットルのエチルアルコールと0.5リットルの水に加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、NMP0.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を8リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を洗浄、濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリアミドイミドA)を得た。ポリアミドイミドAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は32000だった。
【0055】
〔参考例2〕
(ポリアミドイミドBの合成)
MDTの換わりとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、「ODE」ともいう。)40.04g(0.2モル)を用いた以外は、前述の参考例1に記載の方法にて反応させてポリアミドイミドBを得た。ポリアミドイミドBの分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量(Mw)は39000だった。
〔参考例3〕
(ポリアミドイミドCの合成)
DAnの換わりとして、ビシクロ[2,2,2]オクタ−2−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(以下、「BCD」ともいう。)24.82g(0.1モル)を用いた以外は、前述の参考例1に記載の方法にて反応させてポリアミドイミドCを得た。ポリアミドイミドCの分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21000だった。
【0056】
〔参考例4〕
(ポリアミドイミドDの合成)
MDTの換わりとして、ODE40.04g(0.2モル)、DAnの換わりとしてBCD24.82g(0.1モル)を用いた以外は、参考例1に記載の方法にて反応させてポリアミドイミドDを得た。ポリアミドイミドDの分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量(Mw)は33000だった。
<実施例1>
得られたポリアミドイミドAを用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調整し、調整した組成物の評価を行った。
ポリアミドイミドA15gを、ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム(光開始剤)0.6g、テトラエチレングリコールジメタクリレート0.6g、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール0.15g、N−フェニルジエタノールアミン0.6g、N−[ 3−(トリエトキシシリル)プロピル] フタルアミド酸0.75g、2−ニトロソ−1−ナフトール0.0075g及びヘキサメトキシメチル化メラミン2.25g(三和ケミカル社製、商標名;ニカラック、品番MW−30HM、重合度1.01)と共に、NMP20.7gに溶解し、ネガ型感光性樹脂組成物Aとした。
【0057】
<実施例2>
ポリアミドイミドBをポリアミドイミドAの代わりに使用した以外は実施例1と同様にネガ型感光性樹脂組成物を調整した。
<実施例3>
ヘキサメトキシメチル化メラミンを添加しなかったこと以外は実施例2と同様にネガ型感光性樹脂組成物を調整した。
<比較例1>
ポリアミドイミドCをポリアミドイミドAの代わりに使用した以外は実施例1と同様にネガ型感光性樹脂組成物を調整した。
<比較例2>
ポリアミドイミドDをポリアミドイミドAの代わりに使用した以外は実施例1と同様にネガ型感光性樹脂組成物を調整した。
<比較例3>
ポリアミドイミドDをポリアミドイミドBの代わりに使用した以外は実施例3と同様にネガ型感光性樹脂組成物を調整した。
【0058】
上記実施例1〜3及び比較例1〜3から得られたネガ型感光性樹脂組成物の残膜率を表1に示した。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、電子部品や半導体装置における耐熱性塗膜の形成に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表される構造を有することを特徴とするポリアミドイミド。
【化1】

(式中のm及びnは、m≧1、n≧1、2≦(m+n)≦150、及び0.05≦m/(m+n)≦0.9を満たす整数である。また、繰り返し単位の配列は、ブロック的であってもランダム的であってもかまわない。式中のXは、少なくとも1つの3価または4価の芳香族基を示す。式中のY1 及びY2 は、それぞれ同じであっても異なっていても良く、少なくとも1つの2価の有機基を示す。式中のZは(R)t で表され、Rは光重合性の不飽和二重結合を有する一価の有機基である。tは1〜2の整数を表し、t=2の場合の2つのRは同じであっても異なっていても良い。)
【請求項2】
前記Zが、下式化学式(2)で表される基の中から選択される少なくとも1つの1価の有機基を示すことを特徴とする請求項1に記載のポリアミドイミド。
【化2】

(式中のR1 は炭素数3〜15の1価の有機基を示し、式中のR2 は炭素数1〜13の2価の有機基を示す。)
【請求項3】
(A)請求項1又は2に記載のポリアミドイミド100質量部に対し、(B)光重合性の不飽和二重結合を有するモノマー1〜80質量部、及び(C)光重合開始剤1〜20質量部を含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(1)請求項3に記載のネガ型感光性樹脂組成物を層またはフィルムの形で基板上に形成する工程、(2)該基板に対し、マスクを介して活性光線で露光するか、又は化学線を直接照射する工程、(3)未露光部又は未照射部を現像液により溶解除去する工程、(4)得られたネガ型レリーフパターンを加熱する工程、を含むことを特徴とする硬化レリーフパターンの形成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の硬化レリーフパターンの形成方法を包含することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させた樹脂からなる塗膜を有することを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2008−260839(P2008−260839A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104427(P2007−104427)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】