説明

ポンプ吐出流量制御装置

【課題】 バイパス弁及び絞り捨て用の絞りを用いることなく、しかも簡単な構成で可変容量ポンプの吐出流量の制御を行うことのできるポンプ吐出流量制御装置を提供する。
【解決手段】 ポンプ容量制御弁(2)の第1受圧面ポート(58)には可変容量ポンプ(1)のポンプ圧を作用させ、第2受圧面ポート(59)には複数のアクチュエータにおける各負荷圧のなかの最大負荷圧を最高負荷圧検知ライン(48)により検出して、ロードセンシング圧として作用させる。第1受圧面ポート(58)における受圧面積を第2受圧面ポート(59)における受圧面積より大きく形成する。受圧面積の面積段差により、従来の絞り捨て用の絞りにより奏して圧力変動を抑える機能を行わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1以上のアクチュエータに圧油を供給する可変容量型ポンプに対して、その吐出流量を制御するポンプ吐出流量制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、装置全体の構造をコンパクトにし、価格を安価にするため、複数のアクチュエータに対する駆動源を、1つの油圧ポンプにより構成することが行われている。このとき、複数のアクチュエータにおける最大の負荷圧と油圧ポンプからのポンプ圧との間での差圧が、予め設定された制御圧となるように油圧ポンプから吐出される吐出流量の制御が行われている。
【0003】
このような、油圧ポンプから吐出する流量の制御を行うものとして、油圧流量制御装置(特許文献1参照。)が提案されている。特許文献1に記載された油圧流量制御装置は、図2に示す構成を備えている。
【0004】
図2に示すように油圧流量制御装置は、1つの可変容量ポンプ70の吐出流量を複数のアクチュエータ装置85、86に分配することができる。可変容量ポンプ70からの吐出流量は、流量制御装置72によって制御されている。即ち、流量制御装置72におけるパイロットポート71の圧力が、予め設定されたポンプ制御圧力になると、流量制御装置72によりポンプ吐出流量を減少させる制御が行われる。また、パイロットポート71の圧力が前記ポンプ制御圧力以下になると、流量制御装置72によりポンプ吐出流量を増大させる制御が行われる。
【0005】
各アクチュエータ装置85、86は、それぞれアクチュエータ73と、アクチュエータ73の駆動速度並びに駆動方向を設定するアクチュエータ速度設定器74と、アクチュエータ速度設定器74の設定値に対応して吐出流量を所定流量に制御する可変絞り75と、可変絞り75の開口面積が定まると吐出圧油の圧力が変化してもこの可変絞り75を通過する流量を一定に保持する圧力補償弁76とを備えている。
【0006】
可変容量ポンプ70とアクチュエータ装置85、86との間には、各アクチュエータ73の負荷圧のうちで最大の負荷圧を検出するシャトル弁77が配設されている。シャトル弁77により検出した最大負荷圧とポンプ吐出圧との間における差圧が、予め設定されたバイパス制御圧力以上になると、バイパス弁79を介してポンプ吐出流量の一部をバイパスライン78に流出する。
【0007】
圧油がバイパスライン78に流出すると、絞り80によってパイロットライン83にポンプ制御圧を発生させる。パイロットライン83におけるポンプ制御圧が予め設定された流量制御圧以下になると、パイロットライン83におけるポンプ制御圧によって油圧シリンダ装置81を作動させる。また、ポンプ制御圧は、各可変絞り75の前後差圧が等しくなるように各圧力補償弁76を作動させる。なお、パイロットライン83にはリリーフ弁87が配設されている。
【0008】
各圧力補償弁76の油圧シリンダ装置81は、バイパスライン78の油圧により各圧力補償弁76の設定差圧を同一に調整することができ、各可変絞り75の開口面積に比例した流量を通過させることができる
【特許文献1】特開平1−312201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている油圧流量制御装置では、流量制御装置72を作動するポンプ制御圧を得るため、バイパス弁79を設けなければならなかった。バイパス弁79を設けずに、パイロットライン82をポンプ制御圧とした場合には、制御が不安定になる。制御を安定させるためには、絞り捨て(絞りを介したタンクへの流路)を設けることが知られている。
【0010】
バイパス弁79を設けることなしに絞り捨てを設けると、アクチュエータ73にポンプ圧を供給してアクチュエータ73の作動を開始した段階において、アクチュエータ73に供給される圧油の一部が負荷検出回路よりタンクに流出してしまい、アクチュエータ73が一旦逆戻りしてしまう現象が発生する。
【0011】
パイロットライン82の最大負可圧と吐出圧との差圧に応じて可変容量ポンプ70の吐出流量を変化させる場合について、ポンプの制御を行う面から考えてみる。可変容量ポンプ70の斜板角度が前記差圧によって制御されたときには、吐出圧は前記差圧によって制御された新しい吐出圧となる。しかし、最大負可圧は管路長さ等によって、吐出圧の圧力が新しい吐出圧に変化した時からある時間を経た後に新しい負可圧となる。
【0012】
即ち、例えば、負荷が減少した場合を考えると、前記パイロットライン82における最大負可圧は変化せずに、ポンプからの吐出圧が減少する。このため、バイパス弁79は作動せずに、可変容量ポンプ70からの吐出流量が増加することになる。
これにより、ポンプ容量は過大となり、吐出圧は本来制御すべき吐出圧よりも高い吐出圧状態になる。
【0013】
本来減少すべき吐出圧以上となったポンプからの吐出圧に対して、今度は最大負荷圧が遅れて減少してくることになる。これにともなってバイパス弁79が作動し、ポンプ制御圧は増大してくることとなる。そのため、ポンプ吐出流量を減少させるように流量制御装置72が作動することになる。この時の最大負荷圧も時間遅れを持っているため、実際よりも低めの圧となり、今度はポンプからの吐出流量が過少となる。
【0014】
このように負荷圧の変化した時から、同変化した負荷圧に基づいてポンプ制御圧が変化するまでの応答時間の遅れから、変化したポンプ制御圧をそのまま流量制御装置72に作用させていたのでは、吐出圧とポンプ制御圧とが時間差をもって変動を繰り返しながら流量制御装置72に作用することになる。このため、可変容量ポンプ70からの吐出流量を安定した状態で吐出させることができなくなる。
【0015】
これに対する対応としては、流量制御装置の制御開口面積のゲインを下げることが行われる。そして、絞り捨てを配設することが一般的な対処方法となっている。
【0016】
特許文献1における絞り80は、ポンプ制御圧に対して絞り捨てにより減圧効果を与え、ポンプ制御圧の圧力変動時における時定数を大きくする機能を奏しているものと考えられる。絞り捨て用の絞り80をバイパスライン78に設けることによって、ポンプ制御圧の変動幅を抑え流量制御装置72の作動を安定させることで、可変容量ポンプ70の不安定さを解消することができる。
【0017】
このため、特許文献1に記載されている油圧流量制御装置や従来の油圧ポンプの制御装置では、絞り捨て用の絞りを制御装置から取り除くことはできなかった。また、絞り捨て用の絞りを設けるためには、バイパス弁79を設けておかなければならなかった。
【0018】
本願発明では、バイパス弁及び絞り捨て用の絞りを用いることなく、上述した問題点を解決し、しかも簡単な構成で可変容量ポンプの吐出流量の制御を行うことのできるポンプ吐出流量制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願発明の課題は請求項1、2に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明では請求項1に記載したように、少なくとも1以上のアクチュエータに圧油を供給する可変容量型ポンプと、同可変容量型ポンプの吐出流量を制御するポンプ制御弁と、を有するポンプ吐出流量制御装置において、前記ポンプ制御弁を作動させる作動圧力のうちで、前記可変容量型ポンプの吐出量を増大させる方向に前記ポンプ制御弁を作動する第1作動力として、前記少なくとも1以上のアクチュエータにおける負荷圧のうちの最高負荷圧に対応したロードセンシング圧とバネ力とを作用させ、前記第1作動力とは反対方向に前記ポンプ制御弁を作動する第2作動力として、前記可変容量型ポンプからのポンプ圧を作用させ、前記ポンプ制御弁における前記ポンプ圧の作用する側の受圧面積が、前記ロードセンシング圧の作用する側の受圧面積よりも大きく形成されてなることを最も主要な特徴となしている。
【0020】
また、本願発明では請求項2に記載したように、前記各アクチュエータの負可圧の中での最大負荷圧を前記ロードセンシング圧における前記最高負荷圧としたことを主要な特徴となしている。
【発明の効果】
【0021】
本願発明では、ロードセンシング圧を、従来の回路で用いられていたように絞り捨てを形成することなく、直接ポンプ制御弁に作用させることができる。これにより、ロードセンシング圧がタンクに流れ出るのを防止できる。しかも、絞り捨て用の絞りを配設しないことに伴って、同絞りにより奏していたロードセンシング圧の圧力変動を抑える機能を、ポンプ制御弁の受圧面積を異ならせることにより達成することができる。
【0022】
前記ポンプ制御弁の受圧面積として、ポンプ圧が作用する受圧面積を、前記ロードセンシング圧が作用する受圧面積よりも大きくすることで、ロードセンシング圧の圧力変動を抑える機能を奏することができる。ロードセンシング圧が作用する受圧面積を、ポンプ圧が作用する受圧面積よりも、小さく形成しているので、ポンプ制御弁の受圧面に作用するロードセンシング圧の圧力変動を小さく抑えることができる。これにより、ポンプ制御弁を安定した状態で作動させることができ、可変容量ポンプからの吐出流量制御も安定して行うことができるようになる。
【0023】
なお、ロードセンシング圧としては、最高負荷圧をそのまま使用する構成とすることも、ロードセンシング圧を流すパイロット管路上に絞りを配設した構成とすることもできる。
【0024】
また、請求項2に記載したように、シャトル弁を介して複数のアクチュエータの負荷圧のなかから最高負荷圧を取り出すことができる。例えば3個のアクチュエータに可変容量ポンプのポンプ圧を供給している場合には、最初に、3個のうち2個のアクチュエータにおける負荷圧のうちで高圧側となっている負荷圧をシャトル弁により取り出す。次に、前記シャトル弁により取り出した負荷圧と残りのアクチュエータにおける負荷圧とを別のシャトル弁により高圧側となっている負荷圧を取り出す。これにより、3個のアクチュエータのなかでの最高負荷圧を取り出すことができる。
【0025】
アクチュエータ数が4個以上のときは、シャトル弁を用いて順次高圧側の負荷圧を順次取り出すことにより、4個以上のアクチュエータの負可圧のなかから最高負荷圧を取り出すことができる。このようにして取り出した最高負荷圧に対応したロードセンシング圧を、ポンプ制御弁に作用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明のポンプ吐出流量制御装置の構成としては、以下でフォークリフトにおける油圧回路を例にとって説明を行うが、本願発明のポンプ吐出流量制御装置としてはフォークリフトの油圧回路に使用されるポンプ吐出流量制御装置に限定されるものではなく、本願発明のポンプ吐出流量制御装置を適用することができる各種油圧回路に対して適用することができるものである。このため、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係わる油圧回路図である。図では、フォークリフトのステアリングを駆動操作するアクチュエータを優先されるアクチュエータとし、フォーク昇降用のリフトシリンダ13A、13B及びマストの前後傾動用のチルトシリンダ20A、20Bを優先されないアクチュエータとした油圧回路を示している。優先されるアクチュエータと優先されないアクチュエータへの分流は、負荷圧感応型の優先弁3により行うことができる。
【0028】
可変容量ポンプ1から管路30に吐出した圧油は、パイロット管路31を通ってポンプ容量制御弁2の一端面に、第2作動力として作用している。また、ポンプ容量制御弁2の他端面には、ステアリングを駆動操作するアクチュエータの負荷圧、リフトシリンダ13A、13Bの負荷圧及びチルトシリンダ20A、20Bの負荷圧のうちで一番高圧となった負荷圧が、最高負荷圧検知ライン48を通って作用している。即ち、最高負荷圧検知ライン48を通って作用する負荷圧とバネ60のバネ力とが第1作動力としてポンプ容量制御弁2の他端面に作用している。
【0029】
これにより、管路30の油圧とアクチュエータの負荷圧のうちで最高負荷圧との差圧に応じて、前記ポンプ容量制御弁2を制御することができ、同差圧に応じて前記可変容量ポンプ1の突出流量を制御することができる。
【0030】
チルトシリンダ20A、20Bの負荷圧検知ライン45と、リフトシリンダ13A、13Bの負荷圧検知ライン44、46とのうちで高圧側の圧油を、シャトル弁21により負荷圧検知ライン47に導出する。同導出した負荷圧検知ライン47とステアリングを駆動操作するアクチュエータの負荷圧検知ライン35とのうちで高圧側の油圧を、シャトル弁22により最高負荷圧検知ライン48に導出する。これによりアクチュエータの負荷圧のうちで最高負荷圧をポンプ容量制御弁2に対して作用させることができる。
【0031】
バネ60のバネ力は、前記管路30におけるポンプ圧とパイロット管路48におけるロードセンシング圧とのLS差圧(ロードセンシング差圧)が予め設定した差圧となるように設定されている。第1作動力と第2作動力とによるポンプ容量制御弁2の作動に応じてピストン57を作動させ、可変容量ポンプ1の斜板角度を制御することができる。
【0032】
これにより、管路30におけるポンプ圧とロードセンシング圧とのLS差圧が大きくなったときには、可変容量ポンプ1の吐出流量を減少させ、LS差圧が小さくなったときには、ポンプ容量制御弁2の吐出流量を増大させる制御を行うことができる。
【0033】
最高負荷圧検知ライン48には絞り53が配設され、前記最高負荷圧を同絞り53を介してポンプ容量制御弁2に作用させている。また、最高負荷圧検知ライン48は、リリーフ弁28を介してドレイン管路43と連通している。最高負荷圧検知ライン48を流れる油圧が、予め設定した圧力以上になったときには、前記リリーフ弁28を介してタンク27に流出させることができる。即ち、リリーフ弁28により、最高負荷圧検知ライン48を流れる油圧を予め設定した一定の圧力以下にしておくことができる。
【0034】
ポンプ容量制御弁2の受圧面積において、パイロット管路55のパイロット圧が作用している第1受圧面ポート58の受圧面積は、最高負荷圧検知ライン48からのロードセンシング圧が作用している第2受圧面ポート59の受圧面積よりも大きく形成されている。望ましくは、第1受圧面ポート58の受圧面積としては、第2受圧面ポート59の受圧面積よりも数%大きな受圧面積としておくことが望ましい。
【0035】
これにより、従来の回路で用いられていたように絞り捨用の絞りを、最高負荷圧検知ライン48に配設することなく、ロードセンシング圧を直接ポンプ制御弁に作用させることができる。それとともに、ロードセンシング圧がタンク27に流れ出ることを防止できる。また、リフトシリンダ13A、13Bや、ステアリング操縦用のアクチュエータ、チルトシリンダ20A、20Bにおける絞り捨てによる一時的な圧力低下を防止することができる。
【0036】
しかも、従来から絞り捨て用の絞りを最高負荷圧検知ライン48に配設することにより行っていたロードセンシング圧の圧力変動を抑える機能を、本願発明では第1受圧面ポート58と第2受圧面ポート59の受圧面積段差により行わせることができる。
【0037】
即ち、ロードセンシング圧が作用する第2受圧面ポート59の受圧面積をポンプ圧が作用する第1受圧面ポート58の受圧面積より小さく形成することで、第2受圧面ポート59に作用するロードセンシング圧は、ロードセンシング圧の圧力変動が小さく抑えられた状態にて作用させることができる。このため、ポンプ容量制御弁2を安定した状態で作動させることができるようになり、可変容量ポンプ1からの吐出流量制御も安定して行うことができるようになる。
【0038】
優先弁3は3ポート23A〜23Cを有し、ポート23Cは管路30を介して可変容量ポンプ1に接続している。ポート23Aは、管路38を通って第1方向切換弁8のポート24Fに接続するとともに、チェック弁16を介して第2方向制御弁17のポート25Dに接続している。ポート23Bは、管路32を介して図示せぬステアリングを駆動操作するアクチュエータと接続されており、可変容量ポンプ1の吐出圧油を優先されるアクチュエータ用として供給することができる。
【0039】
また、管路32内の前記出力圧は、パイロット管路49、絞り54を介して負荷圧検知ライン35に連通している。絞り54によって減圧された管路32内の出力圧は、優先されるアクチュエータの負荷検知圧となることができる。
【0040】
パイロット管路34は、負荷圧検知ライン35から分岐したパイロット管路36と合流し、絞り51を介して優先弁3の一端に接続している。同絞り51を通った圧油は、第1検知圧となってバネ4の付勢力とともに優先弁3に作用し、優先弁3を図1における第1位置3−1側に切換えることができる。
【0041】
パイロット管路33及び絞り52を介して得られる第2検知圧は、前記第1検知圧とは反対に、優先弁3を図1における第3位置3−3側に切換えるように作用している。
【0042】
パイロット管路36に配した電磁切換制御弁5の電磁コイル7が励磁されて、電磁切換制御弁5が開弁状態にあるときには、パイロット管路64の検知圧は、負荷検知圧ライン35内の負荷検知圧と等しくなる。優先弁3を第1位置3−1側に切換える第1作動圧力としては、負荷検知圧ライン35内の負荷検知圧とバネ4の付勢力とが作用する。このとき、優先弁3を第3位置3−3に切換える第2作動圧力としては、ステアリングの駆動操作アクチュエータに供給される管路32内の出力圧が第2検知圧として作用する。
【0043】
第2作動圧力と第1作動圧力との差圧が、ステアリングの駆動操作アクチュエータを駆動するために予め設定した差圧以上となると、同差圧に応じて優先弁3は第2作動圧により第2位置3−1から第2位置3−2、第3位置3−3に切換わる。これにより、ステアリングの駆動操作アクチュエータを駆動するに必要な流量以上の圧油は、管路38からリフトシリンダ13A、13B及び/又はチルトシリンダ20A、20Bに供給することができる。
【0044】
電磁切換制御弁5を切換えて閉弁状態とすると、第1検知圧及び第2検知圧は共に管路32内のパイロット圧となり、等しい圧力となる。このため、優先弁3は、バネ4の付勢力により第1位置3−1に切換わり、同第1位置3−1状態が維持されることになる。このとき、優先弁3は、他のアクチュエータであるリフトシリンダ13A、13B及び/又はチルトシリンダ20A、20Bへの給油を停止した状態となる。また、優先弁3は、優先されるアクチュエータに対してのみ給油することのでき、管路32のみと連通した状態が維持される。
【0045】
電磁切換制御弁5の切換制御としては、例えば、運転席に設置した着座確認スイッチにより切換制御を行わせることができる。即ち、運転者が運転席に着座していることを前記着座確認スイッチにより検出しているときには、電磁切換制御弁5の電磁コイル7を励磁状態として導通状態となし、パイロット管路36と負荷圧検知ライン35とを導通状態としておくことができる。
【0046】
第1方向切換弁8は23A〜24Gの7ポートを備え、第1スプール11Aと第2スプール11Bとに2分割されたスプールを有している。ポート24B及びポート24Dは下流側で合流し、パイロットチェック弁12を介して管路39を通りリフトシリンダ13A、13Bに接続している。
【0047】
ポート24Aは、パイロットチェック弁12のばね箱と電磁切換制御弁15とを介して接続しているポートである。ポート24Cは、パイロット管路46を介してシャトル弁21に連通している。
【0048】
即ち、ポートCは、第1方向制御弁8が第1位置8−1にあるとき、リフトシリンダ13A、13Bに供給する出力圧を、パイロット圧としてパイロット管路46を介してシャトル弁21に供給することができるポートとなっている。
【0049】
ポート24E、24Gは、リフトシリンダ13A、13Bから排出される背圧をドレイン管路43に排出するポートとして使用されるとともに、同背圧をパイロット圧として前記第2スプール11Bに作用させるポートとして使用される。ポート24E、24Gからの前記パイロット圧に基づいて、第2スプール11Bをバネ10の付勢力に抗して図1の左側に移動させることができる。
【0050】
第1方向切換弁8のリフト操作レバー9を操作して、第1方向切換弁8を第3位置8−3に切り換え、電磁切換制御弁15を制御してパイロット管路44を第1方向切換弁8のポート24Aと連通させる。このとき、パイロットチェック弁12は開となり、ポート24Aはポート24Eを介してドレイン管路43と連通する。また、このとき、ポート24G、24Eからドレイン管路43に排出する背圧によって、ポート24Dを閉じる方向、言い換えると、第2スプール11Bを図1の左側に移動させる制御を行うことができる。
【0051】
これにより、ポート24Dから排出される圧油の流量が、第2スプール11Bに作用する前記パイロット圧によって制御されることになる。即ち、第1方向切換弁8内にポート24Dに対する流量制御特性を持たせることが可能となり、リフトシリンダ13A、13Bの下降を第1方向制御弁8にて制御することができる。リフトシリンダ13A、13Bに加わる負荷荷重によって、リフトシリンダ13A、13Bの下降速度が変化しようとしても、方向制御弁8内に形成した流量制御弁によって、フォークの下降速度を制御することができる。
【0052】
リフトシリンダ13Aとリフトシリンダ13Bとの間は、管路40に配した下降セフティ弁14を介して接続されている。下降セフティ弁14は、例えば、管路39等が破損した場合にリフトシリンダ13Aが下降した場合であっても、リフトシリンダ13Bが下降するのを停止するように機能する。
【0053】
図1においては、流量制御弁機能を第1方向制御弁8に持たせた例を示しているが、管路39に流量制御弁を配設することで、リフトシリンダ13Aとリフトシリンダ13Bとの負荷圧が大きな状態において、前記フォークを下降させるときにフォークの下降速度が過大となるのを防止しておくこともできる。
【0054】
チルトシリンダ20A、20Bの作動制御は、優先弁3から出力された管路38内の圧油を、第2方向切換弁17におけるポート25Dからポート25A又はポート25Bに切り換えることにより行える。チルトシリンダ20A、20Bから排出される圧油は、管路41又は管路42を通り、ドレイン管路43からタンク27に戻すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明は、負荷圧感応型の制御弁を用いて流量制御等を行うことのできる制御装置に対して、本願発明の技術思想を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】油圧回路図である。(実施例)
【図2】油圧回路図である。(従来例)
【符号の説明】
【0057】
1 可変容量ポンプ
2 ポンプ制御弁
3 優先弁
5 電磁切換制御弁
8 第1方向切換弁
11A 第1スプール
11B 第2スプール
17 第2方向切換弁
20A、20B チルトシリンダ
21、22 シャトル弁
28 リリーフ弁
44〜47 パイロット管路
48 最高負荷圧検知ライン
55、56 パイロット管路
57 ピストン
58 第1受圧ポート
59 第2受圧ポート
60 バネ
70 可変容量ポンプ
71 パイロットポート
72 流量制御装置
73 アクチュエータ
74 アクチュエータ速度設定器
76 圧力補償弁
77 シャトル弁
78 バイパスライン
79 バイパス弁
80 絞り
82 パイロットライン
83 パイロットライン
85、86 アクチュエータ装置
87 リリーフ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上のアクチュエータに圧油を供給する可変容量型ポンプと、
同可変容量型ポンプの吐出流量を制御するポンプ制御弁と、
を有するポンプ吐出流量制御装置において、
前記ポンプ制御弁を作動させる作動圧力のうちで、前記可変容量型ポンプの吐出量を増大させる方向に前記ポンプ制御弁を作動する第1作動力として、前記少なくとも1以上のアクチュエータにおける負荷圧のうちの最高負荷圧に対応したロードセンシング圧とバネ力とを作用させ、
前記第1作動力とは反対方向に前記ポンプ制御弁を作動する第2作動力として、前記可変容量型ポンプからのポンプ圧を作用させ、
前記ポンプ制御弁における前記ポンプ圧の作用する側の受圧面積が、前記ロードセンシング圧の作用する側の受圧面積よりも大きく形成されてなることを特徴とするポンプ吐出流量制御装置。
【請求項2】
前記アクチュエータが複数配設され、シャトル弁を介して前記各アクチュエータ間における負荷圧のうちで高圧側の負荷圧を検出し、前記シャトル弁を介して検出した最大の負荷圧を前記ロードセンシング圧における前記最高負荷圧としてなることを特徴とする請求項1記載のポンプ吐出流量制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−70707(P2006−70707A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251309(P2004−251309)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】