説明

マイクロマニピュレータ

【課題】把持指開閉の微調整可能で操作性の高いマイクロマニュピュレータを提供する。
【解決手段】細胞ハンドリングシステムは、把持アクチュエータ71の駆動力により2本の把持指の先端部を近接させて細胞を把持するハンドリング部と、ハンドリング部をX、Y及びZ方向に移動させるX、Y、Z方向アクチュエータと、ポテンショメータ9aを有し、アクチュエータ71の駆動信号を入力するための第1コントローラと、X、Y、Zアクチュエータの駆動信号を入力するための第2コントローラと、ポテンショメータ9aから出力される電圧とホール素子715aから出力される電圧との差がゼロとなるようにアクチュエータ71の駆動を制御する把持アクチュエータ制御部70と、第2コントローラからの入力に応じたパルス数により、X、Y、Zアクチュエータの駆動を制御するX、Y、Zアクチュエータ制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロマニピュレータに係り、特に、アクチュエータの駆動力により2本の把持指の先端部間を近接ないし離間させて微小物体を把持・開放する把持手段と、複数のモータを有し把持手段をX、Y及びZ方向に移動させるXYZ方向移動手段とを具備するマイクロマニュピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、微小部品の組み立てや細胞操作等にマイクロマニュピュレータが用いられている。一般に、マイクロマニュピュレータは、微小物体を取り扱う(把持する)ために、把持指を移動させる機構を有しており(例えば、特許文献1参照)、把持対象物が微小なため、マイクロマニュピュレータによる作業は、肉眼による顕微鏡視野下や、顕微鏡に取り付けられたカメラを介してディスプレイ等のモニタに出力された画像を参照して行われる(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
また、マイクロマニピュレータの中には微小物体を取り扱うための2本の把持指を有しているものがある。このようなマイクロマニピュレータでは、把持指を作動させるアクチュエータと、アクチュエータの駆動を制御するための制御部と、制御部を介して把持指を操作するための入力部(コントローラ)とを備えており、オペレータが入力部の把持指作動ボタンを押している時間だけ一定速で把持指を開閉する制御(いわゆる時間制御)が用いられている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−168979号公報
【特許文献2】特開平4−303810号公報
【特許文献3】特開2005−342844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、オペレータが入力部の把持指作動ボタンを押している時間に応じて把持指が開閉するため、顕微鏡又は拡大されたディスプレイ視野下で、細胞等の微小物体に損傷を与えず微小物体の把持を適正に行うには経験を必要とした。例えば、1.0秒と1.1秒との違いをオペレータがボタンを押している時間で区別するのは難しく(時間制御による把持指移動の微調整は難しく)、把持指の開閉距離のフルスケールを1.8mm、フルスケールの開閉時間を5秒とした場合に、1秒間ボタンを押していると開閉距離は360μm(1.8mm/5秒)動くので、オペレータのボタン操作に0.1秒の差異が生じると、把持位置に36μmの誤差が生じてしまう。このため、把持指による微小物体把持の微調整を行うことは経験を要するものとなっていた。
【0006】
本発明は上記事案に鑑み、把持指開閉の微調整が可能で操作性の高いマイクロマニュピュレータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、アクチュエータの駆動力により2本の把持指の先端部間を近接ないし離間させて微小物体を把持・開放する把持手段と、複数のモータを有し前記把持手段をX、Y及びZ方向に移動させるXYZ方向移動手段とを具備するマイクロマニュピュレータにおいて、可変抵抗器を有し前記把持手段の駆動信号を入力するための第1の入力部と、前記XYZ方向移動手段の駆動信号を入力するための第2の入力部と、前記第1の入力部の可変抵抗器の抵抗値に応じて前記把持手段の把持指の先端部間の位置制御を行うように前記アクチュエータの駆動を制御する第1の制御手段と、前記第2の入力部からの入力に応じて前記XYZ方向移動手段の複数のモータの駆動を制御する第2の制御手段と、を備える。
【0008】
本発明のマイクロマニピュレータでは、まず、第2の制御手段により、第2の入力部からの入力に応じてXYZ方向移動手段のモータが駆動されることで把持手段がX、Y及びZ方向に移動し、把持指による微小物体の把持が可能な位置に把持手段が位置付けられる。次に、第1の制御手段により、第1の入力部の可変抵抗器の抵抗値に応じて把持手段の把持指の先端部間の位置制御を行うようにアクチュエータの駆動が制御され、把持指の先端部が近接して微小物体が把持される。次いで、オペレータによる操作の必要に応じて、第2の制御手段により、第2の入力部からの入力に応じて把持手段がX、Y及びZ方向に移動し、オペレータの所望の(操作)位置に把持指で微小物体を把持した把持手段が位置付けられる。例えば、微小物体が細胞の場合には、この位置で細胞操作が行われる。そして、第2の制御手段により、第2の入力部からの入力に応じて把持手段がX、Y及びZ方向に移動し、オペレータの所望の(載置)位置に把持手段が位置付けられ、第1の制御手段により、第1の入力部の可変抵抗器の抵抗値に応じて把持手段の把持指の先端部間の位置制御を行うようにアクチュエータの駆動が制御され、把持指の先端部が離間して微小物体が把持指から開放され、オペレータの所望の位置に載置される。本発明によれば、第1の制御手段が第1の入力部の可変抵抗器の抵抗値に応じて把持手段の把持指間の位置制御を行うので、オペレータは、第1の入力部の可変抵抗器のツマミを操作することで、時間を掛けてゆっくりと把持指開閉の微調整を行うことができるため、操作性の高いマイクロマニュピュレータを得ることができる。
【0009】
本発明において、可変抵抗器は回転式ポテンショメータであることが好ましく、アクチュエータは駆動量を検出するためのホール素子を内蔵したメータであることが好ましい。このとき、第1の制御手段は、ポテンショメータから出力される電圧とホール素子から出力される電圧との差がなくなるようにメータの駆動を制御するようにしてもよい。また、把持指のうち一方の把持指は固定指であり、他方の把持指は可動指であって把持指の先端部間が開くようにバネで付勢されており、メータがバネの付勢力に抗して可動指の先端部を固定指に近接させて微小物体を把持するようにすれば、メータに一方向の電流を流すだけで開閉が可能なため(双方向の電流を流す必要がなくなるので)、第1の制御手段の回路を簡易に構成することができる。また、モータを有し把持手段の把持指の先端部を中心として把持指がXY平面で回動するように把持指の姿勢方向を変更する姿勢変更手段を更に備え、第2の制御手段が、第2の入力部からの入力に応じて姿勢変更手段のモータの駆動を制御するようにしてもよい。更に、モータを有し把持手段の支持軸を中心として把持手段を回動させる回動手段を更に備え、第2の制御手段が、第2の入力部からの入力に応じて回動手段のモータの駆動を制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の制御手段が第1の入力部の可変抵抗器の抵抗値に応じて把持手段の把持指間の位置制御を行うので、オペレータは、第1の入力部の可変抵抗器のツマミを操作することで、時間を掛けてゆっくりと把持指開閉の微調整を行うことができるため、操作性の高いマイクロマニュピュレータを得ることができる、という効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係るマイクロマニピュレータを、微小物体としての細胞を操作するための細胞ハンドリングシステムに適用した実施の形態について説明する。
【0012】
(構成)
図1に示すように、本実施形態の細胞ハンドリングシステム100は、定盤2に固定され細胞を操作するためのマイクロマニピュレータ1と、XYステージ上に配置され細胞を載置するためのステージ42と、支柱52が定盤2に固定されCCDカメラ55が装着された顕微鏡5と、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略記する。)6と、PC6のスレーブ(奴隷)コンピュータとしてマイクロマニピュレータ1の駆動を制御するプログラマブル・ロジック・コントローラ(以下、PLCと略記する。)8等を内蔵したコントロールボックスと、を備えている。
【0013】
PC6には、PLC8との入出力ケーブル、液晶表示装置等のモニタ7への出力ケーブル及びCCDカメラ55からの入力ケーブルが接続されている。従って、細胞ハンドリングシステム100のオペレータは、モニタ7を介してステージ42に載置された細胞10を拡大画面で目視することができる。
【0014】
PLC8にはマイクロマニピュレータ1に対する駆動信号を送出するための接続ケーブル8aが接続されている。また、PLC8には、オペレータがマイクロマニピュレータ1を操作するための第1コントローラ9(第1の入力部)及び第2コントローラ11(第2の入力部)が接続されている。第1コントローラ9の筺体内には減速ギアを有し抵抗値がほぼリニアに変化する多回転式(本例では10回転式)ポテンショメータ9a(図6参照)が内蔵されており、ポテンショメータ9aのシャフトには回転ツマミが固着されている。一方、第2コントローラ11にはゲーム用のコントローラが用いられており、ジョイスティックや十字ボタン等種々のボタンが配設されている。なお、本形態のマイクロマニピュレータ1、PLC8、第1コントローラ9、第2コントローラ11及び接続ケーブル8aが本発明のマイクロマニピュレータに相当する。
【0015】
図2に示すように、マイクロマニピュレータ1は、大別して、細胞10を操作するためのハンドリング部34と、後述するX方向アクチュエータ311及びY方向アクチュエータ312の駆動力によりハンドリング部34をX方向、Y方向に移動させるXY駆動部31と、後述するZ方向アクチュエータ331の駆動力によりハンドリング部34をZ方向に移動させるZ駆動部33と、で構成されている。なお、背面パネルには、接続ケーブル8aを接続するためのコネクタが固定されている。
【0016】
XY駆動部31は、定盤2に固定された4本の支柱で支持された基台21上に配置されており、Z駆動部33は後述するようにXY駆動部31の出力側(パンタグラフ機構317の出力リンク317c)に支持されている。XY駆動部31は、ハンドリング部34の先端部(エンドエフェクタ345a、347aの先端部)を中心としてハンドリング部34をXY平面上で回動(厳密には回転揺動機構学における「揺動」に相当するため、以下、揺動という。)させステージ42上に載置された細胞10に対するハンドリング部34(エンドエフェクタ345a、347a)の姿勢方向を変更するθzアクチュエータ315を有している。
【0017】
Z駆動部33とハンドリング部34との間には、ハンドリング部34が軸支された軸を中心としてハンドリング部34を回動させ細胞10に対するハンドリング部34の姿勢方向を変更するθkアクチュエータ36が配置されている。
【0018】
<XY駆動部31>
基台21には、ハンドリング部34を、それぞれ、X、Y方向に駆動するための駆動源となるX方向アクチュエータ311と、Y方向アクチュエータ312とが互いに交差する方向に固定されている。
【0019】
X方向アクチュエータ311は、エンコーダを有し正逆転可能なステッピングモータ311aと、ステッピングモータ311aの出力軸であってエンコーダの反対側に形成されたボールネジ311bに係合した出力部のスライダ311cと、スライダ311cが摺動可能な直進ガイドレール(不図示)と、を有する直動アクチュエータであり、Y方向アクチュエータ312も同様に、エンコーダを有し正逆転可能なステッピングモータ312aと、ステッピングモータ312aの出力軸であってエンコーダの反対側に形成されたボールネジに係合するスライダと、スライダが摺動可能な直進ガイドレール(不図示)と、を有している。
【0020】
X方向アクチュエータ311のスライダ311cには、ステッピングモータを有し、ハンドリング部34のXY平面での姿勢方向を変更するための駆動力を供給するθzアクチュエータ315が固定されている。θzアクチュエータ315の出力軸にはプーリ315aが固着されており、直径がプーリ315aより大きいプーリ315cとの間にベルト315bが巻き掛けられている。プーリ315cの回動軸はパンタグラフ機構317のX方向入力リンク317aに固定されている。また、Y方向アクチュエータ312のスライダは、パンタグラフ機構317のY方向入力リンク317bに固定されている。このため、X方向アクチュエータ311、Y方向アクチュエータ312及びθzアクチュエータ315はパンタグラフ機構317にX方向及びY方向の直動変位、並びに、後述するようにハンドリング部34の姿勢方向を変更する(ハンドリング部34を揺動させる)ためのθz変位を与えることができる。
【0021】
パンタグラフ機構317は、X方向入力リンク317a及びY方向入力リンク317bの他に、略直線状の複数のリンク及び複数の回転対偶、例えば、7つのリンク及び9つの回転対遇とハンドリング部34側の出力リンク317cとが組み合わされて構成されている。このため、X方向アクチュエータ311、Y方向アクチュエータ312及びθzアクチュエータ315からそれぞれ入力されたX方向及びY方向の直動変位、並びに、上述したθz変位が合成、拡大乃至縮小されて出力リンク317cに出力される。パンタグラフ機構317は、X方向アクチュエータ311、Y方向アクチュエータ312及びθzアクチュエータ315と干渉しないように、これらのアクチュエータより上方に配置されている。また、出力リンク317cにはZ駆動部33が支持されている。
【0022】
<Z駆動部33>
Z駆動部33のZ方向アクチュエータ331は、正逆転可能なステッピングモータ331aと、減速歯車列を有しステッピングモータ331aからの回転駆動力を減速するギアボックスと、ハンドリング部34をZ方向に移動させるボールネジ331bとで構成されている。ギアボックスの減速歯車列の出力端には下方に延出されたボールネジ331bの先端部(上部)が連結されている。ボールネジ331bにはナットが螺合しており、ナットにはθkアクチュエータ36を支持するための支持部材333が固定されている。
【0023】
θkアクチュエータ36は、支持部材333に支持されている。θkアクチュエータ36には、ハンドリング部34が軸348を介して着脱可能に軸支されている。支持部材333には、ハンドリング部34を軸348を中心として回動させる、すなわち、ハンドリング部34に回動変位(θk変位)を与えるθkアクチュエータ36が固定されている。θkアクチュエータ36は、正逆回転可能なステッピングモータと、該ステッピングモータからの回転駆動力を減速する減速歯車列とで構成されている。減速歯車列の出力端は軸348に接続されている。このため、θkアクチュエータ36のステッピングモータからの回転駆動力が減速歯車列で減速されて軸348を介してハンドリング部34に伝達されることで、ハンドリング部34が軸348を中心として、例えば、±90度の範囲で回動する。
【0024】
<ハンドリング部34>
図3に示すように、ハンドリング部34は、細胞を把持するために、固定指345と可動指347との2本の把持指を有している。固定指345、可動指347には、それぞれ細胞と接触する針状のエンドエフェクタ345a、347aが取り付けられている。
【0025】
ハンドリング部34のベース341にはメータ等の把持アクチュエータ71がブラケット342を伴って固定されており、プレート343には固定指345が組み付けられている(固定されている)。プレート343は、固定指345が組み付けられた状態で、ベース341と一定の隙間を形成してベース341に固定されている。この隙間には長板状のレバー346が介在している。レバー346の先端部一側(Z駆動部33の反対側)には可動指347が固定されており、先端部側中央には上下両方向に支点軸346aが突設されている。上述した隙間は、この支点軸346aがプレート343の軸受343aとベース341の軸受341aとに軸支されることにより画定されている。
【0026】
レバー346の後端には略U字状のスリット(切り欠き)346bが形成されている。スリット346bには把持アクチュエータ71の出力ピン711cが係合している。このため、把持アクチュエータ71を駆動すると、レバー346が支点軸346bを中心として回動することで、固定指345のエンドエフェクタ345aに可動指347のエンドエフェクタ347aが近接ないし離間し、細胞の把持ないし把持した細胞の開放を行うことができる。なお、可動指347はエンドエフェクタ345a、347a間が開放する方向に図示を省略したバネで引っ張られており、把持アクチュエータ71はこのバネの力に抗して可動指347のエンドエフェクタ347aを固定指345のエンドエフェクタ345aに近接させる。また、エンドエフェクタ345a、347aは、先端同士が接触するように、固定指345及び可動指347に配設されたネジで調整可能である。
【0027】
図4に示すように、把持アクチュエータ71は、中央部に直径方向に2極着磁された円筒型永久磁石711を有している。永久磁石711は、中央部に回動軸711a−711bが貫通しており、底部に、アームが延出された円環状部材が固着されている。アームからは上述したレバー346のスリットに係合する出力ピン711cが下方に延出されている。なお、アーム及び出力ピン711cは円環状部材に一体形成されている。永久磁石711は、内側に円柱状の空間を有し上部に4本の端子ピン712aが固定されたコイル枠712及びコイル枠712の底側に嵌合された底蓋713の中に収容されており、回動軸711a−711bの上下端部は、コイル枠712と底蓋713とに回動可能に軸支されている。
【0028】
コイル枠712の外側には、永久磁石711を回動させるトルクを生成するための図示を省略した被覆銅線コイルが捲回されている。被覆銅線コイルの両端部は端子ピン712aに接続されている。
【0029】
コイル枠712は、ギャップを有し永久磁石711の磁力線に閉ループを形成し磁気回路を効率よく構成するための継鉄714内に収容されている。継鉄714は底蓋713に固定されており、底蓋713にはアームの回動角を規制する角度規制部材が一体形成されている。継鉄714の上方には、接続ケーブル8aを介してPLC8の把持アクチュエータ制御部70(図5、図6参照)と接続されるフレキシブルプリント基板715が配置されている。フレキシブルプリント基板715には、4本の端子ピン712aがそれぞれ接続されている。フレキシブルプリント基板715には永久磁石711の回動変位(駆動量)を検出するホール素子715aが実装されており、ホール素子715aは端子ピン712aに接続されている。ホール素子715aはコイル枠712と継鉄714との間に挿入されている。すなわち、ホール素子715aは把持アクチュエータ71に内蔵されている。なお、把持アクチュエータ71は継鉄714の上側に配置される上蓋を有しているが、図4ではこの上蓋を捨象している。
【0030】
また、ハンドリング部34は、(固定)エンドエフェクタ345aや(可動)エンドエフェクタ347aに付着した細胞10を脱離させるために、固定指345及び可動指347に衝撃を付与する衝撃アクチュエータ(不図示)を有している。ハンドリング部34は、軸348に軸支するための基台を有しており、基台に挿入された軸348がネジで固定されている。基台は、プランジャ部及びコイル部を有するプランジャソレノイドで構成された衝撃アクチュエータを内蔵している。基台の上方に延出したアームに形成された穴には、把持ベース74が軸支されている。プランジャ部の一側は把持ベース74の下方に延出したアーム部に軸支されており、プランジャ部の他側はコイル部内に挿入されている。
【0031】
把持ベース74の側面に突設されたピンと、基台の側面に突設されたピンとの間にはコイルバネが掛け渡されており、基台に対して把持ベース74を、軸支された軸を回転支点として時計回り(CW方向)に付勢しており、この付勢力でストッパが基台に当接した状態に保たれている。
【0032】
<PLC8>
図5に示すように、PLC8は、CPU、ROM、RAMの他に、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ、I/O、並びに、X方向アクチュエータ制御部、Y方向アクチュエータ制御部、Z方向アクチュエータ制御部、θzアクチュエータ制御部、θkアクチュエータ制御部等のアクチュエータ制御部(第2の制御手段)を有して構成されている。なお、図5では衝撃アクチュエータを制御する衝撃アクチュエータ制御部を捨象している。PLC8は、ROMに格納されたプログラム及びプログラムデータにしたがって、PC6から基本動作命令を受信すると共に、PC6に登録商標イーサネット(Ethernet)を介してエンコーダ等で検出したデータや種々のアクチュエータのステータスを送信する。
【0033】
また、PLC8は、第2コントローラ11から入力された命令を各アクチュエータの駆動(パルス)信号に変換して接続ケーブル8aを介してマイクロマニピュレータ1に送出する。すなわち、オペレータが、X方向アクチュエータ311、Y方向アクチュエータ312、Z方向アクチュエータ331、θzアクチュエータ315、θkアクチュエータ36を駆動させるために第2コントローラに割り当てられた各ボタンを押下すると、PLC8は入力信号を取り込み、X方向アクチュエータ制御部、Y方向アクチュエータ制御部、Z方向アクチュエータ制御部、θzアクチュエータ制御部、θkアクチュエータ制御部においてアクチュエータを駆動させるパルス(ステップ信号)を各アクチュエータに送出する。
【0034】
更に、PLC8は、本発明の特徴の一つであり、第1コントローラ9から入力され信号(ポテンショメータ9aから出力された電圧)により把持アクチュエータ71の駆動を制御する把持アクチュエータ制御部70を有している。
【0035】
図6に示すように、把持アクチュエータ制御部70は複数のOPアンプ及び図示を省略した抵抗等を有するアナログ回路で構成されている。この回路の機能を簡単に説明すると、トライブ用OPアンプは把持アクチュエータ71に電流を流すための回路素子であり(上述したように、可動指347がエンドエフェクタ345a、347a間が開放する方向に図示を省略したバネで引っ張られているため、一方向に電流を流すだけでエンドエフェクタ345a、347aの先端部の近接・離間が可能である。)、位置制御用OPアンプはポテンショメータ9aから出力される電圧とホール素子715aから出力される電圧との差がゼロとなるように制御するための回路素子である。つまり、把持アクチュエータ制御部70は、オペレータがポテンショメータ9aの回転ツマミを回すと、ホール素子715aとの電圧差が発生するので、この差がゼロとなるように把持アクチュエータ71に流れる電流を制御する回路である。
【0036】
(動作)
次に、本実施形態の細胞ハンドリングシステム100の動作について、マイクロマニュピュレータ1の細胞把持・開放動作を中心として、マイクロマニュピュレータ1の機能毎に説明する。
【0037】
まず、オペレータは、図1に示すように、XYステージを駆動させた後(細胞10が載置されたステージ42を顕微鏡5下に位置させた後)、第2コントローラ11を操作して、ステージ42上に載置された細胞10及びハンドリング部34のエンドエフェクタ345a、347aを、顕微鏡5、CCDカメラ55及びPC6を介して、モニタ7の画面内に捉える。すなわち、オペレータは、第2コントローラ11からコントロールボックスのPLC8を介してマイクロマニュピュレータ1のハンドリング部34をX方向、Y方向、Z方向に駆動し、エンドエフェクタ345a、347aを細胞10の近傍に位置付け細胞10及びエンドエフェクタ345a、347aをモニタ7の画面内に捉え、更に、細胞10をエンドエフェクタ345a、347aで把持可能な位置に位置付ける。このとき、PLC8及びマイクロマニピュレータ1の動作は次の通りである。
【0038】
<X方向駆動>
第2コントローラ11のX方向駆動ボタンが押下されると、PLC8は入力コンマド(X方向駆動ボタンが押下されたこと及び押下時間等)を取り込み、X方向アクチュエータ制御部に、X方向駆動ボタンの押下時間に応じたパルス数(ステップ数)の駆動信号を、接続ケーブル8aを介してX方向アクチュエータ311に対して出力させる。マイクロマニピュレータ1側では、X方向アクチュエータ311に駆動信号が与えられると、ステッピングモータ311aが、ボールネジ311bを回転させ、スライダ311cを介して、パンタグラフ機構317のX方向入力リンク317aをX方向に移動させる。
【0039】
<Y方向駆動>
第2コントローラ11のY方向駆動ボタンが押下されると、PLC8は入力コンマドを取り込み、Y方向アクチュエータ制御部に、Y方向駆動ボタンの押下時間に応じたパルス数(ステップ数)の駆動信号をY方向アクチュエータ312に対して出力させる。Y方向アクチュエータ312に駆動信号が与えられると、X方向アクチュエータ311の場合と同様に、ステッピングモータ312aは、ボールネジを回転させ、スライダを介して、パンタグラフ機構317のY方向入力リンク317bをY方向に移動させる。
【0040】
<XY方向駆動>
上述したように、X方向、Y方向の入力によりパンタグラフ機構317の出力リンク317cにはX方向、Y方向の変位を合成した変位が拡大ないし縮小されて出力される。従って、出力リンク317cにZ駆動部331を介して軸支されたハンドリング部34が、オペレータによる第2コントローラ11のX方向駆動ボタン及びY方向駆動ボタンの押下時間に応じてXY方向に移動される。
【0041】
<Z方向駆動>
第2コントローラ11のZ方向駆動ボタンが押下されると、PLC8は入力コンマドを取り込み、Z方向アクチュエータ制御部に、Z方向駆動ボタンの押下時間に応じたパルス数(ステップ数)の駆動信号をZ方向アクチュエータ331に対して出力させる。Z方向アクチュエータ331に駆動信号が与えられると、ステッピングモータ331aの回転駆動力がギアボックスに配設された減速歯車列を介してボールネジ331bに伝達され、ボールネジ331bに螺合したナットをZ方向に移動させる。これにより、ナットに固定された支持部材333を介して支持されたハンドリング部34がZ方向に移動される。
【0042】
次に、オペレータは、第2コントローラ11を操作して、マイクロマニュピュレータ1のハンドリング部34を上述したθz方向及びθk方向に駆動し、細胞10に対するエンドエフェクタ505a、507aの相対位置を補正する。このような補正操作を行う理由は、細胞10には把持するのに不適当な箇所や細胞10が球状のみならず、例えば、楕球状のものや一方向に長い直方体状のものがあるからである。このとき、PLC8及びマイクロマニピュレータ1の動作は次の通りである。
【0043】
<θz駆動>
第2コントローラ11のθz駆動ボタンが押下されると、PLC8は入力コンマドを取り込み、θzアクチュエータ制御部に、θz駆動ボタンの押下時間に応じたパルス数(ステップ数)の駆動信号をθzアクチュエータ315に対して出力させる。θzアクチュエータ315に駆動信号が与えられると、ベルト315bを介してプーリ315cの回動軸が回動され、パンタグラフ機構317のX方向入力リンク317aに揺動変位(θz変位)が与えられる。これにより、パンタグラフ機構317を介して出力リンク317cにも同じ角度の揺動変位が出力される。従って、ハンドリング部34は、エンドエフェクタ345a、347aの先端部を中心として細胞10に対するXY平面での姿勢方向が変更される。
【0044】
<θk駆動>
第2コントローラ11のθk駆動ボタンが押下されると、PLC8は入力コンマドを取り込み、θkアクチュエータ制御部に、θk駆動ボタンの押下時間に応じたパルス数(ステップ数)の駆動信号をθkアクチュエータ36に対して出力させる。θkアクチュエータ36に駆動信号が与えられると、ステッピングモータの回転駆動力が減速歯車列、軸348を介してハンドリング部34に伝達され、ハンドリング部34が軸348を中心として回動し、エンドエフェクタ345a、347aの細胞10に対する姿勢方向が変更される。
【0045】
エンドエフェクタ345a、347aが細胞10に対して適正な姿勢となると、オペレータは、第1コントローラ9を操作して、ハンドリング部34のエンドエフェクタ345a、347aの先端部で細胞10を把持させる。このとき、PLC8及びマイクロマニピュレータ1の動作は次の通りである。
【0046】
<把持駆動>
第1コントローラ9のポテンショメータ9aのシャフトに固着された回転ツマミが回されると、PLC8の把持アクチュエータ制御部70は、上述したように、位置制御用OPアンプによりポテンショメータ9aから出力される電圧とホール素子715aから出力される電圧との差がなくなるように把持アクチュエータ71に流れる電流を制御する(図6参照)。換言すれば、オペレータがポテンショメータ9aの回転ツマミの回転角度に応じて、(可動)エンドエフェクタ347aが(固定)エンドエフェクタ345aに近接する。
【0047】
本例では10回転式ポテンショメータを用いているので、ポテンショメータ9aのフルスケールは3600°であり、エンドエフェクタ345a、347aの先端部間の開閉フルスケールを1.8mmとすれば(上述したように、固定指345及び可動指347に配設されたネジで若干の調整が可能である。)、1.8mm/3600°=0.5μmとなり、ポテンショメータ9aの回転ツマミを1°回せば(可動)エンドエフェクタ347aの先端部を0.5μm、10°でも5μmの精度で駆動することができ、オペレータはモニタ7を参照しつつ、ポテンショメータ9aの回転ツマミを落ち着いて操作してエンドエフェクタ345a、347aの先端部で細胞10を把持することができる。なお、本例では説明を簡単にするために、ハンドリング部34のエンドエフェクタ345a、347aで細胞10を把持する例(細胞10の位置移動)についてのみ説明するが、この状態で別のマイクロマニピュレータよりマイクロマニピュレータ1で把持した細胞1に対して細胞操作を行うようにしてもよい。
【0048】
次に、オペレータは、第1コントローラ9及び第2コントローラ11を操作して、ハンドリング部34のエンドエフェクタ345a、347aの先端部で把持した細胞10を所望の位置に載置する。すなわち、オペレータは、第2コントローラ11のX方向駆動ボタン、Y方向駆動ボタン、Z方向駆動ボタンを押下することにより、エンドエフェクタ345a、347aの先端部で把持した細胞10を所望の位置まで移動させる。細胞10の載置方向を補正する必要がある場合には、第2コントローラ11のθz駆動ボタン、θk駆動ボタンを押下することにより、エンドエフェクタ345a、347aの先端部で把持した細胞10の載置方向を修正する。次いで、第1コントローラ9のポテンショメータ9aの回転ツマミを把持回転方向とは逆の方向に回転させることにより(可動)エンドエフェクタ347aを(固定)エンドエフェクタ345aから離間させることで、細胞10を開放する。
【0049】
細胞10等のサイズのミクロ界では、一般自然(マクロ)界の力学関係とは異なり、エンドエフェクタ345a、347aが有する静電気による吸引力や細胞10に付着した水等の液体の表面張力が大きく作用し、(可動)エンドエフェクタ347aを(固定)エンドエフェクタ345aから離間させただけでは、細胞10がエンドエフェクタ345a、347aから離脱しない場合がある。このような場合に、オペレータは、第2コントローラ11の衝撃アクチュエータ駆動ボタンを押下し、衝撃アクチュエータ制御部を介して衝撃アクチュエータを駆動させ、衝撃アクチュエータの衝撃により細胞10をエンドエフェクタ345a、347aから離脱させる。
【0050】
<衝撃駆動>
第2コントローラ11の衝撃アクチュエータ駆動ボタンが押下されると、PLC8は入力コンマドを取り込み、図示を省略した衝撃アクチュエータ制御部に衝撃アクチュエータを作動させる。すなわち、衝撃アクチュエータを構成するプランジャソレノイドのコイル部に電圧が印加されると起磁力が生じ、プランジャ部がコイル部内に引きつけられる。プランジャ部の移動に伴い、アーム部を介して、把持ベース74を、軸支された軸を回転支点として、コイルバネの付勢力に抗して反時計回り(CCW方向)に回転させる。これにより、基台に当接していたストッパが基台から離間する。把持ベースの回転は、プランジャ部がコイル部内のストッパに当接することにより停止する。コイル部の起磁力が解放されると、把持ベース74が時計回りに回転し、ストッパが基台に当接することにより、把持ベースの回転が停止する。プランジャ部の動作は短時間で行われる衝撃変位であり、停止時の衝撃も大きくなるため、時計回り、反時計回りの回転停止時の衝撃によりエンドエフェクタ345a、347aの先端部に付着した細胞10等を慣性力の作用を利用して脱離させることができる。
【0051】
オペレータは、細胞10の把持と所望の位置への移動が終了したので、ハンドリング部34を退避させる指令を第2コントローラ11のX方向駆動ボタン、Y方向駆動ボタン及びZ方向駆動ボタンで入力した後、基準位置ボタンを押下する。基準位置ボタンが押下されると、PLC8は、θzアクチュエータ制御部及びθkアクチュエータ制御部を介してθzアクチュエータ315、θkアクチュエータ36を駆動して、ハンドリング部34を予め定められたθz方向及びθk方向の基準位置に位置させる。これにより、細胞ハンドリングシステム100による一連の動作が終了する。なお、PC6はPLC8から送られた各アクチュエータのステータスを数値等に変換してオペレータによる第2コントローラの操作によりモニタ7に表示することが可能である。
【0052】
(作用等)
次に、本実施形態の細胞ハンドリングシステム100の作用等について説明する。
【0053】
本実施形態の細胞ハンドリングシステム100は、第2コントローラ11の他に第1コントローラ9を備えており、エンドエフェクタ345a、347aの近接、離間動作を、従来技術の第2コントローラ11を操作して行うのではなく、ポテンショメータ9aを有する第1コントローラ9で行っている。換言すれば、エンドエフェクタ345a、347aの近接、離間動作を、いわば、時間制御(ボタンを押した時間に対応したパルス数をアクチュエータに送出する制御)ではなく、位置制御(ポテンショメータ9aのツマミの回転に併せて(可動)エンドエフェクタ347aに対する(固定)エンドエフェクタ347aの位置を制御)している。
【0054】
従来の細胞ハンドリングシステムでは、発明が解決しようとする課題欄に記載した通り、入力部(本発明の第2コントローラ11に相当)のボタン操作に0.1秒の差異が生じると、把持位置に36μmの誤差が生じてしまう。この誤差のために、細胞10の細胞膜が薄く柔らかい場合には細部10に損傷を与えるという不都合や、逆に、細胞10の細胞膜が堅い場合には細部10が弾け飛んでしまうという不都合が生じ、取り扱う細胞に対する操作性の問題が生じていた。従って、従来の細胞ハンドリングシステムでは、細胞把持の信頼性を向上させるために、取り扱う細胞に対する十分な知識と細胞ハンドリングシステムの操作経験が必須であった。これに対し、本実施形態の細胞ハンドリングシステム100では、上述した構成、制御(第1コントローラ9及びPLC8内の把持アクチュエータ制御部70、並びに、位置制御)を採用したので、エンドエフェクタ345a、347a間の開閉をポテンショメータ9aの回転ツマミの回転角度に比例させ、ツマミを1°回すことで0.5μm(10°で5μm)の精度で動かすことができる。このため、回転ツマミを速く回せば(可動)エンドエフェクタ347aは速く(固定)エンドエフェクタ345aに近接(離間)し、ゆっくり回せばエンドエフェクタ347aはゆっくり(固定)エンドエフェクタ345aに近接(離間)するため、モニタ7を参照しつつ、エンドエフェクタ345a、347aによる細胞10の把持を時間にとらわれず、落ち着いて行うことができる。従って、従来の細胞ハンドリングシステムのように、細胞10に損傷を与えたり、弾き飛ばしてしまうという不都合を回避でき、例えば、赤血球や卵細胞等の弾力性が異なると予想される細胞でも適切に把持することができ、細胞ハンドリングシステム100の信頼性を高めることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、第1コントローラ9に内蔵した可変抵抗器に多回転式ポテンショメータ9aを例示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、直線状のスライドボリュームや感圧センサ等を用いるようにしてもよい。また、ロータリエンコーダを用い、把持アクチュエータ制御部70の回路をエンコーダに応じて変更するようにしてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、把持アクチュエータ71の駆動量を検出するためにホール素子715aを例示したが、例えば、ロータリエンコーダ等を使用して永久磁石711の回動角度を検出するようにしてもよい。
【0057】
更に、本実施形態では、把持アクチュエータ制御部70を構成する回路素子数を少なくするために、可動指347をバネで引っ張り(エンドエフェクタ345a、347a間が開くようにバネで付勢しており)、把持アクチュエータ71に流れる電流を一方向に流す例を示したが、可動指347を引っ張るバネをなくし、図7に示すように、把持アクチュエータ71の双方向に電流を流す構成を採るようにしてもよい。更にまた、把持アクチュエータ71に流れる電流を制御することに代えて、電流を一定として電圧を制御するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、把持アクチュエータ71により支点軸346aを中心に可動指347を回動させる例を示したが、本発明はこれに制限されず、例えば、エンドエフェクタ345a、347a間の距離が狭まるように(エンドエフェクタ347aの先端がエンドエフェクタ345aの先端に近接するように)可動指347をスライドさせるように構成してもよく、更には、固定指345も可動とし2本の把持指の双方が近接、離間可能に構成してもよい。
【0059】
更にまた、本実施形態では、PLC8、PC6を例示したが、専用回路を構成するようにしてもよい。更に、本実施形態では、微小物体として細胞10を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、金属やマイクロチップ(小型回路素子)等の硬質の微小物体を操作することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は把持指開閉の微調整が可能で操作性の高いマイクロマニュピュレータを提供するものであるため、マイクロマニピュレータの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の細胞ハンドリングシステムの概略構成図である。
【図2】細胞ハンドリングシステムのマイクロマニピュレータの斜視図である。
【図3】マイクロマニピュレータのハンドリング部の分解斜視図である。
【図4】ハンドリング部の把持アクチュエータの分解斜視図である。
【図5】PLCの概略構成を示すブロック図である。
【図6】PLCの把持アクチュエータ制御部の概略回路図である。
【図7】他の実施形態におけるPLCの把持アクチュエータ制御部の概略回路図である。
【符号の説明】
【0062】
1 マイクロマニピュレータ
8 PLC(第1の制御手段、第2の制御手段)
9 第1コントローラ(第1の入力部)
9a ポテンショメータ(可変抵抗器)
11 第2コントローラ(第2の入力部)
34 ハンドリング部(把持手段)
36 θkアクチュエータ(回動手段の一部)
70 把持アクチュエータ制御部(第1の制御手段)
71 把持アクチュエータ(アクチュエータ)
100 細胞ハンドリングシステム
311 X方向アクチュエータ(XYZ方向移動手段の一部)
312 Y方向アクチュエータ(XYZ方向移動手段の一部)
315 θzアクチュエータ(姿勢変更手段の一部)
317 パンタグラフ機構(XYZ方向移動手段の一部)
331 Z方向アクチュエータ(XYZ方向移動手段の一部)
311a、312a、331a ステッピングモータ
345 固定指(把持指)
345a エンドエフェクタ(先端部)
347 可動指(把持指)
347a エンドエフェクタ(先端部)
715a ホール素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの駆動力により2本の把持指の先端部間を近接ないし離間させて微小物体を把持・開放する把持手段と、複数のモータを有し前記把持手段をX、Y及びZ方向に移動させるXYZ方向移動手段とを具備するマイクロマニュピュレータにおいて、
可変抵抗器を有し前記把持手段の駆動信号を入力するための第1の入力部と、
前記XYZ方向移動手段の駆動信号を入力するための第2の入力部と、
前記第1の入力部の可変抵抗器の抵抗値に応じて前記把持手段の把持指の先端部間の位置制御を行うように前記アクチュエータの駆動を制御する第1の制御手段と、
前記第2の入力部からの入力に応じて前記XYZ方向移動手段の複数のモータの駆動を制御する第2の制御手段と、
を備えたマイクロマニュピュレータ。
【請求項2】
前記可変抵抗器は回転式ポテンショメータであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロマニュピュレータ。
【請求項3】
前記アクチュエータは駆動量を検出するためのホール素子を内蔵したメータであることを特徴とする請求項2に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項4】
前記第1の制御手段は、前記ポテンショメータから出力される電圧と前記ホール素子から出力される電圧との差がなくなるように前記メータの駆動を制御することを特徴する請求項3に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項5】
前記把持指のうち一方の把持指は固定指であり、他方の把持指は可動指であって前記把持指の先端部間が開くようにバネで付勢されており、前記メータは前記バネの付勢力に抗して前記可動指の先端部を前記固定指に近接させて微小物体を把持することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項6】
モータを有し前記把持手段の把持指の先端部を中心として前記把持指がXY平面で回動するように前記把持指の姿勢方向を変更する姿勢変更手段を更に備え、前記第2の制御手段は、前記第2の入力部からの入力に応じて前記姿勢変更手段のモータの駆動を制御することを特徴する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項7】
モータを有し前記把持手段の支持軸を中心として前記把持手段を回動させる回動手段を更に備え、前記第2の制御手段は、前記第2の入力部からの入力に応じて前記回動手段のモータの駆動を制御することを特徴する請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のマイクロマニピュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−863(P2008−863A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175085(P2006−175085)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】