説明

マルチポートカプラ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及びファイバレーザ装置及び共振器

【課題】 出力する光のビーム品質を良好にすることができるマルチポートカプラ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及びファイバレーザ装置及び共振器を提供する。
【解決手段】 マルチポートカプラ3は、信号光用ファイバ15と、励起光用ファイバ25と、一方側が縮径されているブリッジファイバ50とを備え、信号光用ファイバ15及びそれぞれの励起光用ファイバ25が、ブリッジファイバ50の縮径されていない側からブリッジファイバ50に接続され、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の屈折率は、コア56の屈折率よりも低く、外側クラッド58の屈折率よりも高くされ、内側クラッド57の縮径されていない部分の外径をr1とし、縮径されている部分の最も小さな外径をr2とし、信号光用ファイバ15のコア16の開口数をNA0とし、内側クラッド57の開口数をNA1とする場合に、
(r1/r2)×NA0≧NA1
を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチポートカプラ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及びファイバレーザ装置及び共振器に関し、特に、出力する光のビーム品質を良好にすることができるマルチポートカプラ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及びファイバレーザ装置及び共振器に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバレーザ装置等には、希土類元素が添加された増幅用光ファイバが用いられている。そして、この増幅用光ファイバに対してより強い励起光を入力するために、信号光を伝播する信号光用ファイバと、この信号光用ファイバの周りに配置される複数本の励起光用ファイバと、一方の端部が縮径されたブリッジファイバとを備えるマルチポートカプラが用いられる場合がある。このマルチポートカプラにおいては、ブリッジファイバの縮径されていない側において、信号光用ファイバがブリッジファイバのコアに接続されると共に、それぞれの励起光用ファイバが、ブリッジファイバのクラッドに接続され、ブリッジファイバの縮径されている側の端部が、増幅用光ファイバに接続される。そして、このようなマルチポートカプラを用いたファイバレーザ装置においては、信号光用ファイバのコアを伝播する信号光が、ブリッジファイバのコアを介して、増幅用光ファイバのコアに入力すると共に、複数の励起光用ファイバを伝播する励起光が、ブリッジファイバのクラッドを介して、増幅用光ファイバのクラッドに入力する。そして、増幅用光ファイバにおいて、信号光が励起光により増幅されて、増幅された信号光が出力光として出力される。
【0003】
ところで、ファイバレーザ装置においては、出力光の一部が、被照射物で反射して、再び増幅用光ファイバのコアに入力する場合がある。このような場合、増幅用光ファイバに入力した反射光が増幅用光ファイバで増幅して、増幅した反射光の一部が増幅用光ファイバのコアから励起光用ファイバに入力することがある。このように増幅した反射光の一部が励起光用ファイバに入力すると、この反射光が励起光源まで達して、励起光源が損傷する場合がある。
【0004】
このような問題を解決するため、下記特許文献1においては、ブリッジファイバのクラッドよりも屈折率が高く、ブリッジファイバのコアよりも屈折率が低い放射光閉じ込め導波路部が、ブリッジファイバのコアとクラッドとの間に設けられているマルチポートカプラが記載されている。このマルチポートカプラによれば、ブリッジファイバと増幅用光ファイバとの接続部において漏れる反射光が、ブリッジファイバの放射光閉じ込め導波路部に入力して、放射光閉じ込め導波路部を伝播する。従って、ブリッジファイバのクラッドに接続されている励起光用ファイバに反射光が入力することを防止することができる。このため下記特許文献1のマルチポートカプラによれば、反射光による励起光源の損傷を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−10804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載のマルチポートカプラを用いた、ファイバレーザ装置においては、増幅用光ファイバから出力する光のビーム品質が良くない場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、出力する光のビーム品質を良好にすることができるマルチポートカプラ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及びファイバレーザ装置及び共振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明者らは、出力されるビーム品質が良くない場合がある原因について、鋭意検討した。その結果、増幅用光ファイバのマルチポートカプラとの接続点において、コアに高次モード光が励振され、その高次モードの光が増幅用光ファイバのコアを伝播し増幅されるためであることが分かった。そして、この原因は、上記特許文献1に記載のマルチポートカプラにおいては、信号光用ファイバとブリッジファイバとの接続部において、信号光用ファイバのコアから漏れた信号光の一部が放射光閉じ込め導波路部を伝わり、増幅用光ファイバのコアに入力する場合があることが原因であることを見出した。そこで、本発明者らは、信号光用ファイバとブリッジファイバとの接続部において、信号光用ファイバのコアから漏れた信号光が増幅用光ファイバのコアに入力することを抑制し、出力する光のビーム品質を良好にすることができるように、鋭意研究を重ねて、本発明をするに至った。
【0009】
すなわち、本発明のマルチポートカプラは、信号光を伝播する信号光用ファイバと、励起光を伝播する複数の励起光用ファイバと、コアと、内側クラッドと、外側クラッドとを有し、一方の端部が縮径されているブリッジファイバと、を備え、前記ブリッジファイバの縮径されていない側の端部において、前記信号光用ファイバのコアが、前記ブリッジファイバの前記コアに接続され、前記信号光用ファイバのクラッドが前記内側クラッドに接続され、それぞれの前記励起光用ファイバのコアが前記ブリッジファイバの前記外側クラッドに接続され、前記内側クラッドの屈折率は、前記コアの屈折率よりも低く、前記外側クラッドの屈折率よりも高くされ、前記内側クラッドの縮径されていない部分の外径をr1とし、前記内側クラッドの縮径されている部分の最も小さな外径をr2とし、前記信号光用ファイバのコアの開口数をNA0とし、前記内側クラッドの開口数をNA1とする場合に、
(r1/r2)×NA0≧NA1
を満たすことを特徴とするものである。
【0010】
このマルチポートカプラは、ブリッジファイバの縮径されている側の端部が、他の光ファイバに接続されて使用される。この状態において、他の光ファイバのコアからブリッジファイバのコアに光が入力する場合がある。例えば、この他の光ファイバが増幅用光ファイバである場合において、増幅用光ファイバの出力端から出力される出力光の一部が、被照射物で反射し、増幅用光ファイバのコアに反射光として入力して、増幅用光ファイバで増幅された反射光が、増幅用光ファイバのコアからブリッジファイバのコアに入力する場合である。このような場合に、ブリッジファイバと他の光ファイバとの接続部において、他の光ファイバからブリッジファイバに入力する光が、他の光ファイバのコアから漏れることがある。しかし、本発明のマルチポートカプラによれば、内側クラッドの屈折率が、コアの屈折率よりも低く、外側クラッドの屈折率よりも高くされるため、漏れた光は、内側クラッドを伝播して、信号光用ファイバのクラッドに入力する。このため、外側クラッドに接続されている励起光用ファイバにコアから漏れた光が入力することを抑制することができる。従って、マルチポートカプラに接続される光ファイバから入力する光により励起光用ファイバに接続される励起光源が損傷することを抑制することができる。
【0011】
更に、信号光用ファイバのコアからブリッジファイバに信号光が伝播する場合において、信号光用ファイバとブリッジファイバの接続部において、信号光用ファイバのコアから信号光の一部が漏れる場合がある。このコアから漏れる光は、NAの大きな光を含む。そして、信号光用ファイバのコアから漏れたNAの大きな光の一部は、ブリッジファイバの内側クラッドにおける比較的信号光用ファイバに近い場所において、内側クラッドから外側クラッドに伝播する。また、一方、コアから漏れた光のうち、内側クラッドから外側クラッドに伝播するほどNAが大きくない光は、内側クラッド内を伝播する。しかし、ブリッジファイバは、終端部に向かって縮径されているため、内側クラッドと外側クラッドの界面を反射する毎に、光の内側クラッドと外側クラッドとの界面に対する入射角度が小さくなる。そして、本発明のマルチポートカプラは、
(r1/r2)×NA0≧NA1
を満たしているため、信号光用ファイバのコアから漏れた時点において、NAの低かった光も、上述の様に反射することにより、徐々にNAが大きくなり、その一部は、内側クラッドに閉じ込められなくなり、ブリッジファイバの縮径されている側の端面に到達する前に内側クラッドから外側クラッドに伝播する。こうして、内側クラッドを伝播する漏れ光のうち、NAが大きい光の伝播が抑制されるため、マルチポートカプラに接続される他の光ファイバのコアに入力する漏れ光の量が低減される。よって、マルチポートカプラに接続される他の光ファイバのコアに高次モードの光が励振されることが抑制される。このように、他の光ファイバのコアを伝播する光のうち、高次モード光の割合が抑制されるため、他の光ファイバから出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0012】
また、上記マルチポートカプラにおいて、前記信号光用ファイバの端部及び前記励起光用ファイバの端部がそれぞれ挿入される複数の貫通孔が形成されたキャピラリを更に備え、前記信号光用ファイバの端部、及び、前記励起光用ファイバの端部は、それぞれ前記貫通孔に挿入されると共に、前記キャピラリと一体とされ、前記信号光用ファイバ及び前記励起光用ファイバは、前記キャピラリと共に前記ブリッジファイバに接続されていることが好ましい。
【0013】
このようなマルチポートカプラは、信号光用ファイバ及び励起光用ファイバとブリッジファイバとの接続を安定して維持することができる。
【0014】
さらに、上記マルチポートカプラにおいて、前記キャピラリの屈折率が、前記信号光用ファイバのクラッドの屈折率よりも低いことが好ましい。
【0015】
このようなマルチモードファイバによれば、ブリッジファイバの内側クラッドから信号光用ファイバのクラッドに入力した光が、信号光用ファイバのクラッドの外周面からキャピラリに漏れることを抑制することができる。
【0016】
或いは、上記マルチポートカプラにおいて、前記キャピラリの屈折率が、前記信号光用ファイバのクラッドの屈折率と同等であり、かつ、励起光用ファイバのクラッドの屈折率よりも高いことが好ましい。
【0017】
このようなマルチモードファイバによれば、ブリッジファイバの内側クラッドから信号光用ファイバのクラッドに入力した光が、キャピラリに伝播することがあるが、この光は、キャピラリから励起光用ファイバのクラッドに入力することを抑制することができる。
【0018】
また、上記マルチポートカプラにおいて、コアと、内側クラッドと、外側クラッドとを有し、直径が一定の接続用ファイバを更に備え、前記接続用ファイバの前記内側クラッドの屈折率は、前記接続用ファイバの前記コアよりも低く、前記接続用ファイバの前記外側クラッドよりも高くされ、前記ブリッジファイバの縮径されている側の端部において、前記接続用ファイバの前記コアが、前記ブリッジファイバの前記コアに接続され、前記接続用ファイバの前記内側クラッドが、前記ブリッジファイバの前記内側クラッドに接続され、前記接続用ファイバの前記外側クラッドが、前記ブリッジファイバの前記外側クラッドに接続されることが好ましい。
【0019】
このように接続用ファイバを更に備えることにより、接続用ファイバと他の光ファイバとを接続するときに、接続に不具合が生じる場合においても、接続用ファイバの直径は一定であるため、接続用ファイバの端部を切断して、再び接続を行うことができる。そして、この接続用ファイバは、内側クラッドの屈折率が、コアの屈折率よりも低く、クラッドの屈折率よりも高いため、接続用ファイバに接続される他の光ファイバのコアから入力される光の一部が漏れる場合においても、この漏れる光を内側クラッドに閉じ込めて伝播して、さらに、この漏れた光をブリッジファイバの内側クラッドに伝播することができる。従って、励起光用ファイバにコアから漏れた光が入力することを抑制することができる。
【0020】
さらに、上記マルチポートカプラにおいて、前記接続用ファイバの前記コアの開口数をNA3とする場合に、
NA1≧NA3
を満たすことが好ましい。
【0021】
このようなマルチポートカプラによれば、接続用ファイバのコアからブリッジファイバのコアに光が伝播する場合において、接続用ファイバとブリッジファイバとの接続部において、接続用ファイバのコアから光が漏れる場合においても、漏れた光をより確実にブリッジファイバの内側クラッドに閉じ込めることができる。
【0022】
また、本発明の光ファイバ増幅器は、上記のいずれかのマルチポートカプラと、前記励起光用ファイバのそれぞれに励起光を入力する励起光源と、コアと、クラッドとを有し、前記コアに活性元素が添加されている増幅用光ファイバと、を備え、前記ブリッジファイバの縮径されている側において、前記増幅用光ファイバの前記コアが前記ブリッジファイバの前記コアに接続されると共に、前記増幅用光ファイバの前記クラッドが前記ブリッジファイバの前記外側クラッドに接続されることを特徴とするものである。
【0023】
このような光ファイバ増幅器においては、信号光用ファイバの端部から信号光を入力し、励起光源から励起光用ファイバに励起光を入力すると、増幅用光ファイバにおいて、信号光が増幅されて出力する。ところで、増幅用光ファイバから出力された出力光の一部は、被照射物で反射して、再び増幅用光ファイバのコアに反射光として入力する場合がある。しかし、このような光ファイバ増幅器によれば、反射光の一部が、励起光用ファイバに入力することを抑制することができ、励起光源が損傷することを抑制することができる。
【0024】
さらに、光ファイバ増幅器に用いられるマルチポートカプラにおいては、信号光用ファイバとブリッジファイバの接続部において、信号光用ファイバのコアから信号光の一部が漏れブリッジファイバの内側クラッドを伝播し増幅用光ファイバのコアに入力する場合がある。しかし、内側クラッドを伝播する間この漏れ光のうちNAが高い光が内側クラッドから外側クラッドに伝播するため、増幅用光ファイバのコアに入力する漏れ光の量が低減される。よって、マルチポートカプラに接続される増幅用光ファイバのコアに高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバを伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバから出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0025】
さらに、上記光ファイバ増幅器において、増幅用光ファイバの前記コアの開口数をNA2とする場合に、
NA1≧NA2
を満たすことが好ましい。
【0026】
このような光ファイバ増幅器によれば、反射光の一部が、増幅用光ファイバのコアから漏れて、ブリッジファイバの内側クラッドに入力する場合においても、漏れた光を、内側クラッド内により確実に閉じ込めることができる。
【0027】
また、本発明のファイバレーザ装置は、上記のいずれかの光ファイバ増幅器と、前記信号光用ファイバに信号光を入力する信号光源と、を備えることを特徴とするものである。
【0028】
このようなファイバレーザ装置によれば、信号光源から信号光用ファイバに入力する信号光が、信号光用ファイバとブリッジファイバの接続部において、ブリッジファイバの内側クラッドに漏れる場合においても、内側クラッドを伝播する間この漏れ光のうちNAが高い光が内側クラッドから外側クラッドに伝播するため、増幅用光ファイバのコアに入力する漏れ光の量が低減される。よって、マルチポートカプラに接続される増幅用光ファイバのコアに高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバを伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバから出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0029】
また、本発明の共振器は、上記のいずれかの増幅器と、前記活性元素が放出する自然放出光の少なくとも一部の波長であり、前記信号光用ファイバの前記コアを伝播する光を反射する第1ミラーと、前記第1ミラーが反射する光の波長と同じ波長であり、前記増幅用光ファイバの前記マルチポートカプラが接続される側と反対側から出力される光を前記第1ミラーよりも低い反射率で反射する第2ミラーと、を備えることを特徴とするものである。
【0030】
このような共振器においては、第1ミラーと第2ミラーとの間を共振する光が、増幅用光ファイバからブリッジファイバに入力するときに、光の一部が、増幅用光ファイバのコアから漏れる場合がある。しかし、このような共振器によれば、漏れ光は、ブリッジファイバの内側クラッドに入力し、内側クラッドを伝播して、信号光用ファイバのクラッドに入力する。従って、励起光用ファイバに漏れ光が入力することを抑制することができる。
【0031】
また、第1ミラーと第2ミラーとの間を共振する光が、信号光用ファイバからブリッジファイバに信号光として入力するとき、信号光用ファイバとブリッジファイバの接続部において、信号光の一部が、信号光用ファイバのコアから漏れてブリッジファイバの内側クラッドを伝播し増幅用光ファイバのコアに入力する場合がある。しかし、このような共振器によれば、ブリッジファイバの内側クラッドを伝播する間この漏れ光のうちNAが高い光が内側クラッドから外側クラッドに伝播するため、増幅用光ファイバのコアに入力する漏れ光の量が低減される。よって、マルチポートカプラに接続される増幅用光ファイバのコアに高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバを伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバから出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0032】
また、本発明の光ファイバ増幅器は、上記のマルチポートカプラと、前記励起光用ファイバのそれぞれに励起光を入力する励起光源と、コアと、クラッドとを有し、前記コアに活性元素が添加されている増幅用光ファイバと、を備え、前記接続用ファイバの前記ブリッジファイバが接続されている側と反対側において、前記増幅用光ファイバの前記コアが前記接続用ファイバの前記コアに接続されると共に、前記増幅用光ファイバの前記クラッドが前記接続用ファイバの前記外側クラッドに接続されることを特徴とするものである。
【0033】
このような光ファイバ増幅器においては、製造時において、接続用ファイバと増幅用光ファイバとの接続に不具合が生じる場合においても、接続用ファイバの直径が一定であるため、接続用ファイバの端部を切断して、再び接続を行うことができるため、全体として、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0034】
そして、増幅用光ファイバから出力する出力光の一部が、被照射物で反射して、再び増幅用光ファイバのコアに反射光として入力する場合がある。この場合、入力した反射光は、増幅用光ファイバで増幅されて、マルチポートカプラにおける接続用ファイバのコアに入力する。このとき、増幅用光ファイバとマルチポートカプラの接続部において、反射光の一部が、漏れる場合においても、漏れ光を接続用ファイバの内側クラッドに閉じ込めて伝播して、さらに、この漏れ光をブリッジファイバの内側クラッドに伝播することができる。従って、励起光用ファイバに漏れ光が入力することを抑制することができる。
【0035】
さらに、上述のようなマルチポートカプラにおいては、信号光用ファイバからブリッジファイバに信号光が入力するとき、信号光の一部が信号光用ファイバのコアから漏れてブリッジファイバの内側クラッドを伝播し増幅用光ファイバのコアに入力する場合がある。しかし、このような共振器によれば、ブリッジファイバの内側クラッドを伝播する間この漏れ光のうちNAが高い光が内側クラッドから外側クラッドに伝播するため、増幅用光ファイバのコアに入力する漏れ光の量が低減される。よって、マルチポートカプラに接続される増幅用光ファイバのコアに高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバを伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバから出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0036】
さらに、上記光ファイバ増幅器において、前記増幅用光ファイバの前記コアの開口数をNA2とし、前記接続用ファイバの内側クラッドの開口数をNA4とする場合に、
NA4≧NA2
を満たすことが好ましい。
【0037】
このような光ファイバ増幅器によれば、増幅用光ファイバのコアから接続用ファイバのコアに反射光が伝播し、増幅用光ファイバと接続用ファイバとの接続部において、増幅用光ファイバのコアから反射光が漏れる場合においても、漏れた光をより確実に接続用ファイバの内側クラッドに閉じ込めることができる。
【0038】
また、本発明のファイバレーザ装置は、上記のいずれかの光ファイバ増幅器と、前記信号光用ファイバに信号光を入力する信号光源と、を備えることを特徴とするものである。
【0039】
このようなファイバレーザ装置によれば、信号光源から信号光用ファイバに入力する信号光が、信号光用ファイバとブリッジファイバの接続部において、ブリッジファイバの内側クラッドに漏れる場合においても、内側クラッドを伝播する間この漏れ光のうちNAが高い光が内側クラッドから外側クラッドに伝播するため、増幅用光ファイバのコアに入力する漏れ光の量が低減される。よって、マルチポートカプラに接続される増幅用光ファイバのコアに高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバを伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバから出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0040】
また、本発明の共振器は、上記のいずれかの光ファイバ増幅器と、前記活性元素が放出する自然放出光の少なくとも一部の波長であり、前記信号光用ファイバの前記コアを伝播する光を反射する第1ミラーと、前記第1ミラーが反射する光の波長と同じ波長であり、前記増幅用光ファイバの前記マルチポートカプラが接続される側と反対側から出力される光を前記第1ミラーよりも低い反射率で反射する第2ミラーと、を備えることを特徴とするものである。
【0041】
このような共振器においては、第1ミラーと第2ミラーとの間を共振する光が、増幅用光ファイバから接続用ファイバに入力するときに、光の一部が、増幅用光ファイバのコアから接続用ファイバの内側クラッドに漏れる場合においても、漏れた光を接続用光ファイバの内側クラッドからブリッジファイバの内側クラッドに伝播させて、励起光用ファイバに漏れた光が入力することを抑制することができる。
【0042】
また、第1ミラーと第2ミラーとの間を共振する光が、信号光用ファイバからブリッジファイバに信号光として入力するとき、信号光用ファイバとブリッジファイバの接続部において、ブリッジファイバの内側クラッドに漏れる場合においても、内側クラッドを伝播する間この漏れ光のうちNAが高い光が内側クラッドから外側クラッドに伝播するため、増幅用光ファイバのコアに入力する漏れ光の量が低減される。よって、マルチポートカプラに接続される増幅用光ファイバのコアに高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバを伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバから出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明によれば、出力する光のビーム品質を良好にすることができるマルチポートカプラ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及びファイバレーザ装置及び共振器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係るファイバレーザ装置を示す図である。
【図2】図1の増幅用光ファイバの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
【図3】図1のマルチポートカプラを示す図である。
【図4】図3のキャピラリの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
【図5】図3のマルチポートカプラの長手方向に沿った断面における構造を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るマルチポートカプラの長手方向に沿った断面における構造を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る共振器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に係るマルチポートカプラ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及びファイバレーザ装置及び共振器の好適な実施形態について、図面を参照しながらそれぞれ詳細に説明する。
【0046】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るファイバレーザ装置を示す図である。
【0047】
図1に示すように、ファイバレーザ装置1は、信号光としての種光を出力する信号光源としての種光源10と、光ファイバ増幅器2とを主な構成として備えており、MO−PA(Master Oscillator Power Amplifier)型のファイバレーザ装置とされる。
【0048】
種光源10は、例えば、レーザダイオードから成るレーザ光源や、ファブリペロー型やファイバリング型のファイバレーザ装置から構成されている。
【0049】
また、光ファイバ増幅器2は、励起光を出力する励起光源20と、増幅用光ファイバ30と、増幅用光ファイバ30に種光源10から出力される種光と、励起光源20から出力される励起光とを入力するマルチポートカプラ3とを主な構成として備える。
【0050】
励起光源20は、複数の励起光出力用のレーザダイオード(LD)21から構成され、それぞれのLD21から励起光が出力される。
【0051】
図2は、図1に示す増幅用光ファイバ30の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。図2に示すように、増幅用光ファイバ30は、コア36と、コア36を被覆するクラッド37と、クラッド37を被覆する樹脂クラッド38とから構成され、ダブルクラッドファイバとされている。クラッド37の屈折率はコア36の屈折率よりも低く、樹脂クラッド38の屈折率はクラッド37の屈折率よりもさらに低くされている。また、コア36の直径は、例えば、28μmとされ、クラッド37の外径は、例えば400μmとされ、樹脂クラッド38の外径は、例えば、450μmとされている。
【0052】
また、コア36を構成する材料としては、例えば、励起光源20から出力される励起光により励起状態とされるイッテルビウム(Yb)等の活性元素添加された石英が挙げられる。このような活性元素としては、希土類元素が挙げられ、希土類元素としては、上記Ybの他にツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、エルビウム(Er)等が挙げられる。さらに活性元素として、希土類元素の他に、ビスマス(Bi)やクロム(Cr)等が挙げられる。また、コア36を構成する石英には、必要に応じてコア36の屈折率を上昇させるゲルマニウム等の元素が添加される。また、クラッド37を構成する材料としては、コア36を構成する石英に屈折率を上昇させる元素が添加されている場合には、例えば、何らドーパントが添加されていない石英が挙げられ、コア36を構成する石英に屈折率を上昇させる元素が添加されていない場合には、屈折率を低下させるフッ素等のドーパントが添加された石英が挙げられる。また、樹脂クラッドを構成する材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0053】
なお、上述のように増幅用光ファイバ30のコア36にドーパントとしてYbが添加されている場合においては、上述の種光源10から出力される種光は、特に制限されるものではないが、波長が1080nmのレーザ光とされ、さらに、それぞれのLD21から出力される励起光は、特に制限されないが、例えば910nmのレーザ光とされる。
【0054】
図3は、図1のマルチポートカプラ3を示す図である。図3に示すように、マルチポートカプラ3は、種光を伝播する信号光用ファイバ15と、励起光を伝播する複数の励起光用ファイバ25と、一方の端部が縮径されているブリッジファイバ50と、信号光用ファイバ15の端部及び励起光用ファイバ25の端部と一体とされるキャピラリ40とを主な構成として備える。
【0055】
図4は、図3のキャピラリ40の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。図4に示すように、信号光用ファイバ15は、コア16と、コア16を被覆するクラッド17とを有し、例えば、シングルモードファイバとされる。クラッド17の屈折率は、コア16の屈折率よりも低くされている。また、コア16の直径は、例えば4μmとされ、クラッド17の外径は、例えば、125μmとされている。また、信号光用ファイバ15のコア16を構成する材料としては、例えば、ゲルマニウムが添加された石英が挙げられ、クラッド17を構成する材料としては、例えば、添加物のない石英が挙げられる。この信号光用ファイバ15の一方の端部は、種光源10に接続されている。従って、種光源10から出力される種光は、信号光用ファイバ15のコア16を伝播する。
【0056】
複数の励起光用ファイバ25は、励起光源20のLD21の数と同じ数とされ、それぞれの励起光用ファイバ25は、コア26と、コア26を被覆するクラッド27とを有し、例えば、マルチモードファイバとされる。それぞれの励起光用ファイバ25のクラッド27の屈折率は、コア26の屈折率よりも低くされる。また、それぞれの励起光用ファイバ25のコア26の直径は、例えば、105μmとされ、クラッド27の外径は、例えば、125μmとされている。また、それぞれの励起光用ファイバ25のコア26を構成する材料としては、例えば、何もドーパントが添加されていない石英が挙げられ、クラッド27を構成する材料としては、例えば、フッ素が添加された石英が挙げられる。これらの励起光用ファイバ25の一方の端部は、励起光源20のそれぞれのLD21に接続されている。従って、励起光源20のLD21から出力される励起光は、励起光用ファイバ25のコア26を伝播する。
【0057】
キャピラリ40は、円柱状の外形をしており、径方向の中心において、一方の端面43から他方の端面44まで貫通する貫通孔41が、長手方向に沿って形成されており、貫通孔41を囲むように、励起光用ファイバ25と同数の貫通孔42が、一方の端面43から他方の端面44まで長手方向に沿って形成されている。
【0058】
そして、信号光用ファイバ15の他方の端部が、キャピラリ40の貫通孔41に一方の端面43から他方の端面44まで挿入されており、それぞれの励起光用ファイバ25の他方の端部が、それぞれの貫通孔42に一方の端面43から他方の端面44まで挿入されている。さらに、この状態において、信号光用ファイバ15の他方の端部及びそれぞれの励起光用ファイバ25の他方の端部とキャピラリ40とが一体とされている。このように、信号光用ファイバ15の他方の端部及びそれぞれの励起光用ファイバ25の他方の端部とキャピラリ40とを一体にするには、上述のように信号光用ファイバ15の他方の端部と、それぞれの励起光用ファイバ25の他方の端部とが、それぞれの貫通孔41、42に挿入されている状態において、キャピラリ40を加熱すれば良い。
【0059】
このキャピラリ40の屈折率は、信号光用ファイバ15のクラッド17の屈折率よりも低いことが好ましい。このように構成することにより、信号光用ファイバ17のクラッド17を伝播する光が、キャピラリ40に伝播することを抑制することができる。このように構成するには、例えば、信号光用ファイバ15のクラッド17を何らドーパントが添加されていない石英から構成し、キャピラリ40をフッ素が添加された石英から構成すれば良い。或いは、キャピラリ40の屈折率は、信号光用ファイバ15のクラッド17の屈折率と同等であり、かつ、励起光用ファイバ25のクラッド27の屈折率よりも高いことがやはり好ましい。このように構成することにより、信号光用ファイバ17のクラッド17を伝播する光が、キャピラリ40に伝播することがあるが、この光が励起光用ファイバ25のクラッド27に伝播することを抑制することができる。このように構成するには、例えば、信号光用ファイバ15のクラッド17、及び、キャピラリ40を何らドーパントが添加されていない石英から構成し、励起光用ファイバ25のクラッド27をフッ素が添加された石英から構成すれば良い。
【0060】
図5は、図3のマルチポートカプラ3の長手方向に沿った断面における構造を示す図である。図5に示すように、ブリッジファイバ50は、径方向の中心に設けられるコア56と、コア56を被覆する内側クラッド57と、内側クラッド57を被覆する外側クラッド58とを有しており、一方の端部の外径が縮径されているテーパファイバである。具体的には、ブリッジファイバ50の他方の端部側は、一定の外径を保っており、途中から外形が徐々に小さくされることで、一方の端部が、最も縮径されている。そして、内側クラッド57の外径は、ブリッジファイバ50の直径が縮径されるに伴って、徐々に縮径されており、一方の端部において、最も小さな外径とされている。例えば、内側クラッド57の縮径されていない側における直径は、120μmとされ、内側クラッド57の縮径されている側の端部における直径は、90μmとされる。
【0061】
また、内側クラッド57の屈折率は、コア56の屈折率よりも低く、外側クラッド58の屈折率は、内側クラッド57の屈折率よりもさらに低くされている。このようなコア56の材料としては、例えば、ゲルマニウムが添加された石英が挙げられ、内側クラッド57を構成する材料としては、例えば、添加物のない石英が挙げられ、外側クラッド58を構成する材料としては、フッ素等の屈折率を下げるドーパントが添加された石英を挙げることができる。
【0062】
そして、ブリッジファイバ50の縮径されていない側の端面51とキャピラリ40の他方の端面44とが接続されている。こうして、信号光用ファイバ15のコア16とブリッジファイバ50のコア56とが接続され、信号光用ファイバ15のクラッド17とブリッジファイバ50の内側クラッド57とが接続され、さらに、それぞれの励起光用ファイバ25のコア26とブリッジファイバ50の外側クラッド58とが接続されている。また、ブリッジファイバ50の縮径されている側の端面52と増幅用光ファイバ30の一方側の端面が接続されている。こうして、ブリッジファイバ50のコア56と増幅用光ファイバ30のコア36とが接続され、ブリッジファイバ50の内側クラッド57と増幅用光ファイバ30のコア36及びクラッド37とが接続され、さらに、ブリッジファイバ50の外側クラッド58と増幅用光ファイバ30のクラッド37とが接続されている。なお、図3においては、理解の容易のため、キャピラリ40とブリッジファイバ50と増幅用光ファイバ30とを離間して描いている。
【0063】
さらに、ブリッジファイバ50は、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の縮径されていない部分の外径をr1とし、内側クラッド57の縮径されている部分の最も小さな外径をr2とし、信号光用ファイバ15のコア16の開口数をNA0とし、内側クラッドの開口数をNA1とする場合に、
(r1/r2)×NA0≧NA1
を満たしている。
【0064】
なお、上述の様に内側クラッド57の外径は、一方の端部において、最も小さな外径とされているため、一方の端部おける内側クラッド57の外径がr2となる。ただし、図5においては、理解の容易のため、r2の位置を僅かにずらして記載している。このような関係が成り立つためには、例えば、上述のように、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の縮径されていない側における直径が120μmとされ、内側クラッド57の縮径されている側の直径が90μmとされる場合、例えば、信号光用ファイバ15のコア16の開口数は、0.12とされ、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の開口数は、0.1とされる。
【0065】
そして更に、信号光用ファイバ15のコア16の開口数NA0と、内側クラッドの開口数NA1とが、
NA0≧NA1
を満たしていることがより好ましい。
【0066】
このような関係が成り立つためには、例えば、上述のように、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の縮径されていない側における直径が120μmとされ、内側クラッド57の縮径されている側の直径が90μmとされる場合、例えば、信号光用ファイバ15のコア16の開口数は、0.12とされ、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の開口数は、0.1とされる。
【0067】
また、増幅用光ファイバ30のコア36の開口数をNA2とする場合に、
NA1≧NA2
を満たしていることが好ましい。
【0068】
このような関係が成り立つためには、例えば、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の開口数は、0.1とされ、増幅用光ファイバ30のコア36の開口数は、0.06とされる。
【0069】
次に、ファイバレーザ装置1の動作について説明する。
【0070】
まず、励起光源20の複数のLD21から励起光が出力される。出力される励起光は、上述のように、例えば、910nmの波長とされる。それぞれのLD21から出力された励起光は、それぞれの励起光用ファイバ25を伝播し、ブリッジファイバ50の縮径されていない側の端面51から外側クラッド58に入力する。そして、外側クラッド58から増幅用光ファイバ30のクラッド37に入力して、クラッド37を伝播する。
【0071】
また、種光源10から種光が出力される。出力される種光は、上述のように、例えば、1080nmの波長とされる。そして、種光は、信号光用ファイバ15のコア16を伝播して、ブリッジファイバ50のコア56に入力する。このとき、上述のようにブリッジファイバ50のコア56の直径が、信号光用ファイバ15のコア16の直径より大きければ、信号光用ファイバ15のコア16からブリッジファイバ50のコア56に入力される種光のロスを抑制できるため好ましい。そして、ブリッジファイバ50のコア56に入力した種光は、コア56を伝播する。
【0072】
なお、種光の一部が信号光用ファイバ15のコア16からブリッジファイバ50のコア56に入力されずに漏れる場合、この漏れ光は、内側クラッド57に入射される。そして、この内側クラッド57に入射された漏れ光の内、NAが所定の値より高い光(図5においてHiNAと示す)は、内側クラッド57に閉じ込められることなく外側クラッド58に抜けていく。一方、内側クラッド57に入射された漏れ光の内、NAが所定の値より小さい光(図5においてLowNAと示す)は、内側クラッド57に閉じ込められて外径が縮径されている領域まで伝播する。この内側クラッド57の外径が縮径されている領域において、内側クラッド57に閉じ込められた光は、外側クラッド58との界面に対する入射角度が小さくなるため、その一部が、もはや内側クラッド57に閉じ込められず、外側クラッド58へと放射されることになる。すなわち、上述のように、内側クラッド57の縮径されていない部分の外径r1と、内側クラッドの縮径されている部分の最も小さな外径r2と、信号光用ファイバ15のコア16の開口数NA0と、内側クラッド57の開口数NA1とが、
(r1/r2)×NA0≧NA1
を満たしている場合には、信号光用ファイバ15のコア16から漏れた時点において、NAが低く内側クラッド57に閉じ込められた光の一部は、上述の様に反射することにより、ブリッジファイバ50の縮径されている側の端面に到達する前に、図5に示すように内側クラッド57から外側クラッド58に伝播していくことになる。こうして、種光の一部が信号光用ファイバ15のコア16からブリッジファイバ50のコア56に入力されずに漏れる場合においても、この漏れ光の一部が内側クラッド57から外側クラッド58に伝播し増幅用光ファイバ30のコア36に入力することが抑制される。よって、増幅用光ファイバ30のコア36に高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバ30のコア36を伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバ30のコア36から出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0073】
そして、クラッド37を伝播する励起光がコア36を通過するときに、コア36に添加されている活性元素を励起状態として、励起状態とされた活性元素の誘導放出により、コア36を伝播する種光が増幅される。こうして、増幅された種光が出力光として、増幅用光ファイバ30から出力される。
【0074】
ところで、増幅用光ファイバ30から出力される出力光が、被照射物に照射される際、出力光の一部が、被照射物で反射されて、反射光として増幅用光ファイバ30のコア36から入力する場合がある。この反射光は、増幅用光ファイバ30により増幅されながら、ブリッジファイバ50に向かって伝播する。
【0075】
そして、増幅された反射光は、増幅用光ファイバ30のコア36からブリッジファイバ50のコア56及び内側クラッド57に入力する。コア56に入力して、コア56を伝播する反射光は、信号光用ファイバ15のコア16に入力する。そして、信号光用ファイバ15のコア16に入力して、コア16を伝播する反射光は、種光源10に設けられている図示しないアイソレータにより反射される。一方、ブリッジファイバ50のコア56から信号光用ファイバ15のコア16に入力されない反射光は、信号光用ファイバ15のクラッド17に入力する。そして、クラッド17を伝播するうちに、クラッド17を被覆する図示しない樹脂に吸収されて消滅する。
【0076】
また、内側クラッド57に入力する反射光は、内側クラッド57を伝播する。このとき、上述のように、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の開口数NA1と、増幅用光ファイバ30のコア36の開口数NA2とが、
NA1≧NA2
を満たしていれば、内側クラッド57に入力した反射光をより確実に内側クラッド57に閉じ込めて伝播させることができるため好ましい。
【0077】
こうして、内側クラッド57を伝播する反射光は、信号光用ファイバ15のクラッド17に入力する。そして、クラッド17に入力した反射光は、クラッド17を伝播するうちに、クラッド17を被覆する図示しない樹脂に吸収されて消滅する。こうして、マルチポートカプラ3において、反射光の一部が励起光用ファイバに入力することを抑制することができる。
【0078】
なお、上述のようにキャピラリ40の屈折率が、信号光用ファイバ15のクラッド17の屈折率よりも低ければ、信号光用ファイバ15のクラッド17からキャピラリ40に反射光が漏れてないため好ましい。或いは、キャピラリ40の屈折率が、信号光用ファイバ15のクラッド17の屈折率と同等であり、かつ、励起光用ファイバ25のクラッド27の屈折率よりも高ければ、信号光用ファイバ15のクラッド17からキャピラリ40に反射光が伝播するが、反射光は励起光用ファイバに入力しないためはやり好ましい。
【0079】
以上説明したように、マルチポートカプラ3を用いた光ファイバ増幅器2及びファイバレーザ装置1によれば、増幅用光ファイバ30の出力端から出力される出力光が、被照射物で反射し、増幅用光ファイバ30のコア36に反射光として入力する場合においても、ブリッジファイバ50の外側クラッド58に接続されている励起光用ファイバ25に反射光が入力することを抑制することができる。従って、励起光用ファイバ25に接続される励起光源20が損傷することを抑制することができる。
【0080】
更に、信号光用ファイバ15のコア16からブリッジファイバ50に種光が伝播する場合において、信号光用ファイバ15とブリッジファイバ50の接続部において、コアから種光の一部が漏れる場合においても、この漏れた光は、ブリッジファイバ50の内側クラッド57に入力して、さらに、ブリッジファイバ50の縮径されている側の端面52に到達する前に内側クラッド57から外側クラッド58に伝播する。こうして、信号光用ファイバ15のコア16から漏れて、内側クラッド57を伝播する光が、マルチポートカプラ3から出力されることが抑制されるため、マルチポートカプラ3に接続される増幅用光ファイバ30のコア36に高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバ30のコア36を伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバ30から出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図6は、本発明の第2実施形態に係るマルチポートカプラの長手方向に沿った断面における構造を示す図である。
【0082】
図6に示すように、本実施形態のマルチポートカプラ4は、接続用ファイバ60を更に備え、接続用ファイバ60の一方の端面61が、ブリッジファイバ50における縮径されている側の端面52に接続されている点において、第1実施形態のマルチポートカプラ3と異なる。
【0083】
接続用ファイバ60は、直径が一定の光ファイバであり、コア66と、コア66を被覆する内側クラッド67と、内側クラッド67を被覆する外側クラッド68とを有している。
【0084】
そして、ブリッジファイバ50の縮径されている側の端面52において、ブリッジファイバ50のコア56と接続用ファイバ60のコア66とが接続され、ブリッジファイバ50の内側クラッド57と接続用ファイバ60の内側クラッド67とが接続され、さらに、ブリッジファイバ50の外側クラッド58と接続用ファイバ60の外側クラッド68とが接続されている。
【0085】
また、内側クラッド67の屈折率は、コア66の屈折率よりも低く、外側クラッド68の屈折率は、内側クラッド67の屈折率よりもさらに低くされている。このようなコア66の材料としては、ブリッジファイバ50のコア56を構成する材料と同様の材料が挙げられ、内側クラッド67を構成する材料としては、ブリッジファイバ50の内側クラッド57を構成する材料と同様の材料が挙げられ、外側クラッド68を構成する材料としては、ブリッジファイバ50の外側クラッド58を構成する材料と同様の材料が挙げられる。
【0086】
さらに、接続用ファイバ60のコア66の開口数をNA3とする場合に、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の開口数NA1との間で
NA1≧NA3
を満たすことが好ましい。
【0087】
このような関係を満たすことにより、接続用ファイバ60のコア66からブリッジファイバ50のコア56に光が入力するときに、接続用ファイバ60とブリッジファイバ50との接続部において、この光が漏れて、ブリッジファイバ50の内側クラッド57に入力する場合、この漏れた光を内側クラッド57により確実に閉じ込めることができる。従って、この漏れた光が、ブリッジファイバ50の外側クラッド58に接続される励起光用ファイバ25のコア26に入力することをより抑制することができる。
【0088】
このような関係が成り立つためには、例えば、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の開口数は、0.1とされ、接続用ファイバ60のコア66の開口数は、0.06とされる。
【0089】
このようなマルチポートカプラ4が、図1に示す光ファイバ増幅器2や、ファイバレーザ装置1に用いられる場合、図6に示すように接続用ファイバ60の他方の端面62が増幅用光ファイバ30の一方の端面と接続される。こうして、接続用ファイバ60のコア66と増幅用光ファイバ30のコア36とが接続され、接続用ファイバ60の内側クラッド67と増幅用光ファイバ30のコア36及びクラッド37とが接続され、さらに、接続用ファイバ60の外側クラッド68と増幅用光ファイバ30のクラッド37とが接続される。
【0090】
そして、接続用ファイバ60の内側クラッド67の開口数をNA4とする場合に、増幅用光ファイバ30のコア36の開口数NA2との間で、
NA4≧NA2
を満たしていることが好ましい。
【0091】
このような関係を満たすことで、第1実施形態のファイバレーザ装置1と同様に出力光の一部が増幅用光ファイバ30のコア36に反射光として入力して、増幅用光ファイバ30のコア36から接続用ファイバ60のコア66に反射光が伝播するとき、増幅用光ファイバ30と接続用ファイバ60との接続部において、増幅用光ファイバ30のコア36から反射光が漏れる場合においても、漏れた光をより確実に接続用ファイバ60の内側クラッド57に閉じ込めることができる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態のマルチポートカプラ4は、接続用ファイバ60を更に備えることにより、マルチポートカプラ4を他の光ファイバと接続するときに、接続に不具合が生じる場合においても、接続用ファイバ60の直径が一定であるため、接続用ファイバ60の端部を切断して、再び接続を行うことができる。従って、このようなマルチポートファイバ4を用いる光ファイバ増幅器やファイバレーザ装置においては、製造時において、接続用ファイバ60と増幅用光ファイバ30との接続を複数回行うことができるため、全体として、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0093】
また、この接続用ファイバ60は、内側クラッド67の屈折率が、コア66の屈折率よりも低く、外側クラッド68の屈折率よりも高いため、接続用ファイバ60に接続される他の光ファイバのコアから入力される光の一部が漏れる場合においても、この漏れる光を内側クラッド67に閉じ込めて伝播して、さらに、この漏れた光をブリッジファイバ50の内側クラッド57に伝播することができるため、励起光用ファイバ25に漏れた光が入力することを抑制することができる。従って、このマルチポートカプラ4を用いた、光ファイバ増幅器やファイバレーザ装置においては、出力光の一部が被照射物で反射して、反射光として増幅用光ファイバのコアに入力する場合においても、励起光用ファイバ25に反射光の一部が入力することを抑制することができるので、反射光による励起光源の損傷を抑制することができる。
【0094】
また、信号光用ファイバ15に入力する信号光が、信号光用ファイバ15とブリッジファイバ50の接続部において、ブリッジファイバ50の内側クラッド57に漏れる場合においても、この漏れ光の一部は内側クラッド57の外径が縮径されている領域において外側クラッド58に伝播しマルチポートカプラ3から出力されることが抑制される。よって、マルチポートカプラ3に接続される増幅用光ファイバ30のコア36に高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、増幅用光ファイバ30のコア36を伝播する光においては、高次モード光の割合が低くなり、増幅用光ファイバ30から出力する光のビーム品質を良好にすることができる。
【0095】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7を参照して詳細に説明する。本実施形態は、共振器に係る実施形態である。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図7は、本発明の第3実施形態に係る共振器を示す図である。
【0096】
図7に示すように、本実施形態の共振器5は、光ファイバ増幅器2と、光ファイバ増幅器2の増幅用光ファイバ30と接続される出力用ファイバ70と、信号光用ファイバ15に設けられる第1ミラーとしての第1FBG(Fiber Bragg Grating)71と、出力用ファイバ70に設けられる第2ミラーとしての第2FBG72とを主な構成として備える。
【0097】
出力用ファイバ70は、例えば、信号光用ファイバ15と同様の構成とされる。そして、出力用ファイバ70の一端は、増幅用光ファイバ30におけるマルチポートカプラ3と接続される側と反対側の端部と接続されている。このようにして、増幅用光ファイバ30のコア36と、出力用ファイバ70のコアが接続されている。
【0098】
また、信号光用ファイバ15のコア16には、第1FBG71が設けられており、第1FBG71は、上述の様に増幅用光ファイバの活性元素がYbである場合、例えば1080nmの波長の光の反射率が、例えば100%とされる。
【0099】
また、出力用ファイバ70のコアには、第2FBG72が設けられており、第2FBG72は、第1FBG71の反射波長と同じ反射波長とされると共に、第1FBG71よりも低い反射率とされ、反射率が例えば4%とされている。
【0100】
このような共振器5の動作においては、励起光源20から励起光が出力され、励起光が増幅用光ファイバ30のクラッド37を伝播し、この励起光がコア36を通過するときに、コア36に添加されている希土類元素を励起状態にする。そして、励起状態とされた希土類元素から自然放出光が放出され、この自然放出光を元にして第1FBG71と第2FBG72との間で光の共振が起こる。共振光は、第1FBG71及び第2FBG72の反射波長と同じ波長であり、この共振光が、信号光として増幅用光ファイバ30において励起された活性元素の誘導放出により増幅される。そして、増幅された光の一部が、第2FBG72を透過して、出力光として出力する。
【0101】
このように光が共振する場合において、増幅用光ファイバ30からマルチポートカプラ3に光が入力するとき、共振光の一部が、増幅用光ファイバ30とブリッジファイバ50との接続部において、増幅用光ファイバ30のコア36から漏れる場合がある。このような場合においても、漏れた共振光は、ブリッジファイバ50の内側クラッド57に入力して、内側クラッド57を伝播するため、漏れた共振光が、励起光用ファイバ25のコア26に入力することが抑制される。従って、漏れた共振光により励起光源20が、損傷することを抑制することができる。
【0102】
また、共振光が、信号光用ファイバ15のコア16からブリッジファイバ50のコア56に信号光として入力するときに、信号光用ファイバ15とブリッジファイバ50との接続部において漏れる場合がある。この漏れた光は、第1の実施形態で説明したように、出力光における高次モードの光の原因となる。しかし、本実施形態においても第1実施形態と同様にして、この漏れた光の一部は、ブリッジファイバ50において一旦、内側クラッド57に閉じ込められても、ブリッジファイバ50の内側クラッド57の外径が縮径されている領域において、外側クラッド58に放射させることができる。このように、漏れた光が、増幅用光ファイバ30のコア36に入力することが抑制されるため、増幅用光ファイバ30のコア36に高次モードの光が励振されることが抑制される。従って、ビーム品質の良い共振光を増幅することができ、ビーム品質の良い光を出力することができる。
【0103】
以上、本発明について、第1〜第3実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0104】
例えば、マルチポートカプラ3、4には、増幅用光ファイバ30が接続されるものとされたが、マルチポートカプラ3は、必ずしも増幅用光ファイバが接続された状態で使用されなくとも良く、通常の光ファイバが接続されて使用さえれても良い。
【0105】
また、第1FBG71は、信号光用ファイバ15のコア16には設けられる例について説明したが、第1FBG71を形成した別のファイバを信号光用ファイバ15に接続する構成としても良い。同様に、第2FBG72を形成した別のファイバを出力用ファイバ70に接続する構成としても良い。
【0106】
また、第3実施形態において、第2実施形態において説明したマルチポートカプラ4をマルチポートカプラ3の代わりに用いても良い。
【0107】
また、第3実施形態において、第1、第2ミラーとして、第1、第2FBG71、72を用いたが、多層酸化膜等から成る他の反射手段を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明によれば、出力する光のビーム品質を良好にすることができるマルチポートカプラ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及びファイバレーザ装置及び共振器が提供される。
【符号の説明】
【0109】
1・・・ファイバレーザ装置
2・・・光ファイバ増幅器
3、4・・・マルチポートカプラ
5・・・共振器
10・・・種光源(信号光源)
15・・・信号光用ファイバ
16・・・コア
17・・・クラッド
20・・・励起光源
25・・・励起光用ファイバ
26・・・コア
27・・・クラッド
30・・・増幅用光ファイバ
36・・・コア
37・・・クラッド
38・・・樹脂クラッド
40・・・キャピラリ
41、42・・・貫通孔
50・・・ブリッジファイバ
56・・・コア
57・・・内側クラッド
58・・・外側クラッド
60・・・接続用ファイバ
66・・・コア
67・・・内側クラッド
68・・・外側クラッド
70・・・出力用ファイバ
71・・・第1FBG(第1ミラー)
72・・・第2FBG(第2ミラー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光を伝播する信号光用ファイバと、
励起光を伝播する複数の励起光用ファイバと、
コアと、内側クラッドと、外側クラッドとを有し、一方の端部が縮径されているブリッジファイバと、
を備え、
前記ブリッジファイバの縮径されていない側の端部において、前記信号光用ファイバのコアが、前記ブリッジファイバの前記コアに接続され、前記信号光用ファイバのクラッドが前記内側クラッドに接続され、それぞれの前記励起光用ファイバのコアが前記ブリッジファイバの前記外側クラッドに接続され、
前記内側クラッドの屈折率は、前記コアの屈折率よりも低く、前記外側クラッドの屈折率よりも高くされ、
前記内側クラッドの縮径されていない部分の外径をr1とし、前記内側クラッドの縮径されている部分の最も小さな外径をr2とし、前記信号光用ファイバのコアの開口数をNA0とし、前記内側クラッドの開口数をNA1とする場合に、
(r1/r2)×NA0≧NA1
を満たすことを特徴とするマルチポートカプラ。
【請求項2】
前記信号光用ファイバの端部及び前記励起光用ファイバの端部がそれぞれ挿入される複数の貫通孔が形成されたキャピラリを更に備え、
前記信号光用ファイバの端部、及び、前記励起光用ファイバの端部は、それぞれ前記貫通孔に挿入されると共に、前記キャピラリと一体とされ、
前記信号光用ファイバ及び前記励起光用ファイバは、前記キャピラリと共に前記ブリッジファイバに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチポートカプラ。
【請求項3】
前記キャピラリの屈折率が、前記信号光用ファイバのクラッドの屈折率よりも低いことを特徴とする請求項2に記載のマルチポートカプラ。
【請求項4】
前記キャピラリの屈折率が、前記信号光用ファイバのクラッドの屈折率と同等であり、かつ、励起光用ファイバのクラッドの屈折率よりも高いことを特徴とする請求項2に記載のマルチポートカプラ。
【請求項5】
コアと、内側クラッドと、外側クラッドとを有し、直径が一定の接続用ファイバを更に備え、
前記接続用ファイバの前記内側クラッドの屈折率は、前記接続用ファイバの前記コアよりも低く、前記接続用ファイバの前記外側クラッドよりも高くされ、
前記ブリッジファイバの縮径されている側の端部において、前記接続用ファイバの前記コアが、前記ブリッジファイバの前記コアに接続され、前記接続用ファイバの前記内側クラッドが、前記ブリッジファイバの前記内側クラッドに接続され、前記接続用ファイバの前記外側クラッドが、前記ブリッジファイバの前記外側クラッドに接続される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチポートカプラ。
【請求項6】
前記接続用ファイバの前記コアの開口数をNA3とする場合に、
NA1≧NA3
を満たすことを特徴とする請求項5に記載のマルチポートカプラ。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチポートカプラと、
前記励起光用ファイバのそれぞれに励起光を入力する励起光源と、
コアと、クラッドとを有し、前記コアに活性元素が添加されている増幅用光ファイバと、
を備え、
前記ブリッジファイバの縮径されている側において、前記増幅用光ファイバの前記コアが前記ブリッジファイバの前記コアに接続されると共に、前記増幅用光ファイバの前記クラッドが前記ブリッジファイバの前記外側クラッドに接続される
ことを特徴とする光ファイバ増幅器。
【請求項8】
前記増幅用光ファイバの前記コアの開口数をNA2とする場合に、
NA1≧NA2
を満たすことを特徴とする請求項7に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項9】
請求項7または8に記載の光ファイバ増幅器と、
前記信号光用ファイバに信号光を入力する信号光源と、
を備えることを特徴とするファイバレーザ装置。
【請求項10】
請求項7または8に記載の光ファイバ増幅器と、
前記活性元素が放出する自然放出光の少なくとも一部の波長であり、前記信号光用ファイバの前記コアを伝播する光を反射する第1ミラーと、
前記第1ミラーが反射する光の波長と同じ波長であり、前記増幅用光ファイバの前記マルチポートカプラが接続される側と反対側から出力される光を前記第1ミラーよりも低い反射率で反射する第2ミラーと、
を備えることを特徴とする共振器。
【請求項11】
請求項5または6に記載のマルチポートカプラと、
前記励起光用ファイバのそれぞれに励起光を入力する励起光源と、
コアと、クラッドとを有し、前記コアに活性元素が添加されている増幅用光ファイバと、
を備え、
前記接続用ファイバの前記ブリッジファイバが接続されている側と反対側において、前記増幅用光ファイバの前記コアが前記接続用ファイバの前記コアに接続されると共に、前記増幅用光ファイバの前記クラッドが前記接続用ファイバの前記外側クラッドに接続される
ことを特徴とする光ファイバ増幅器。
【請求項12】
前記増幅用光ファイバの前記コアの開口数をNA2とし、前記接続用ファイバの内側クラッドの開口数をNA4とする場合に、
NA4≧NA2
を満たすことを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項13】
請求項11または12に記載の光ファイバ増幅器と、
前記信号光用ファイバに信号光を入力する信号光源と、
を備えることを特徴とするファイバレーザ装置。
【請求項14】
請求項11または12に記載の光ファイバ増幅器と、
前記活性元素が放出する自然放出光の少なくとも一部の波長であり、前記信号光用ファイバの前記コアを伝播する光を反射する第1ミラーと、
前記第1ミラーが反射する光の波長と同じ波長であり、前記増幅用光ファイバの前記マルチポートカプラが接続される側と反対側から出力される光を前記第1ミラーよりも低い反射率で反射する第2ミラーと、
を備えることを特徴とする共振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−129426(P2012−129426A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281065(P2010−281065)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】