説明

マンニッヒ塩基N−オキシド薬物

本発明は、酸性N-H基を含む薬物のマンニッヒ塩基のN-オキシドに関する。マンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの治療上有効な量を含む薬学的組成物が開示される。さらに、本発明は、化合物を単独または1つもしくは複数の他の活性作用物質もしくは治療と組み合わせて使用する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、酸性N-H基を含み、過剰増殖障害を治療するための活性を有する、薬物およびプロドラッグのマンニッヒ塩基のN-オキシドならびに薬物またはプロドラッグとしてのその使用に関する。さらに、本発明は、過剰増殖障害を治療するために、化合物を単独または1つもしくは複数の他の活性作用物質もしくは治療と組み合わせて使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
米国における死亡の4分の1は癌が原因であり、癌は2番目に多い死亡原因である。U.S. Cancer Statistics Working Group; United States Cancer Statistics: 1999-2001 Incidence, Atlanta (GA): Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, and National Cancer Institute (2004)。米国立がん研究所は、ほぼ1000万人の米国人が浸潤癌の既往歴を有していると報告している一方、米国がん協会は2004年に130万人を越える米国人が浸潤癌の診断を受け、そのうち50万を超える症例が死亡すると推定している。American Cancer Society, Cancer Facts & Figures 2004。これらの統計は米国で診断されると予想される100万例の基底および扁平上皮細胞皮膚癌を除外している。
【0003】
癌はその起源となる臓器および細胞組織に基づいて分類され、下記が含まれる:(i)癌腫(体表面を覆っている、または内臓および様々な腺を裏打ちしている細胞層である上皮組織で生じる、最も一般的な種類の癌);(ii)白血病(骨髄、リンパ節および脾臓を含む造血組織で生じる);(iii)リンパ腫(リンパ系の細胞で生じる);(iv)黒色腫(皮膚の上皮細胞の間に位置する色素細胞で生じる);および(v)肉腫(骨、筋肉および血管などの体の結合組織で生じる)。(Molecular Biology of the Cell: Third Edition, “Cancer,” Chapter 24, pp.1255-1294, B. Alberts et al, (eds.), Garland Publishing, Inc., New York (1994); およびStedman's Pocket Medical Dictionary; Williams and Wilkins, Baltimore (1987)参照)。これらの広い癌分類の中で、いくつかの例を挙げると、乳癌、肺癌、膵臓癌、結腸癌、および前立腺癌などの100を越える癌の下位分類がある。
【0004】
癌細胞は、様々な化学物質、放射線、ウイルスへの曝露による細胞のDNAへの損傷(すなわち、DNA配列の変化または発現パターンの変化)の結果として、またはいくつかのまだ完全には解明されていない内部の細胞シグナリング事象が起こる場合に発生する。細胞のDNAが損傷を受けるとほとんどの場合、細胞は死滅するか、またはDNAを修復しうるかのいずれかである。しかし、癌細胞の場合、損傷を受けたDNAは修復されず、細胞は分裂を続けて、変化した細胞生理および機能を示す。
【0005】
新生物、または腫瘍は、異常で加速された増殖速度(すなわち、過剰増殖性の細胞成長)によって生じる細胞の塊である。腫瘍細胞が1つの塊に限局されたままであるかぎり、腫瘍は良性であると考えられる。しかし、癌性腫瘍は他の組織に浸潤する能力を有し、悪性と呼ばれる。一般に、癌細胞は2つの遺伝的特性によって規定される:細胞およびそれらの後代は、1)正常な抑制に逆らって複製し、かつ2)他の細胞の領域に浸潤し、コロニー形成する。
【0006】
癌性腫瘍は高度に複雑な脈管構造と分化した組織からなる。癌性腫瘍の大多数は低酸素成分を有し、これらは放射線療法および化学療法を含む標準の抗癌治療に対して相対的に抵抗性である。Brown, Cancer Res. 59:5863 (1999); およびKunz, M. et al., Mol. Cancer 2:1 (2003)。ThomlinsonおよびGrayはヒト腫瘍の最初の解剖学的モデルを示し、血管と壊死腫瘍組織との間に位置する組織の厚さ100から150μmの低酸素層を記載している。
【0007】
研究により、いくつかの癌性腫瘍内の低酸素組織は一連の複雑なメカニズムにより癌の進行を促進することが示されている。Brown、上記、およびKunzら、上記参照。これらの中には特定のシグナル伝達経路および遺伝子調節メカニズムの活性化、遺伝子突然変異の選択過程の誘導、腫瘍細胞アポトーシスならびに腫瘍血管形成がある。これらのメカニズムのほとんどは腫瘍進行に寄与する。したがって、組織低酸素は腫瘍の攻撃性および転移の中心となる因子とみなされている。腫瘍内の低酸素組織を標的とする治療法は、腫瘍関連の癌および/または障害を患っている患者に改善された治療を確実に提供することになろう。
【0008】
癌に加えて、所与の組織における低酸素の発生に関連するいくつかの過剰増殖疾患および/または障害がある。例えば、Shweikiらは不十分な酸素レベルは低酸素組織の要求を補うために新血管新生を引き起こすことが多いと説明している。新血管新生は、血管内皮成長因子(VEGF)などの特定の成長因子の発現によって仲介される。Shweiki et al, Nature 359: 843 (1992)。しかし、特定の組織または成長因子が組織発現を制御するための十分なフィードバックメカニズムなしに低酸素に反応して直接または間接的にアップレギュレートされると、様々な疾患および/または障害が起こりうる(すなわち、低酸素により悪化した過剰増殖による)。
【0009】
5-フルオロウラシル(5-FU)は、イミドN-H基を含み、頭部、頸部、乳房、結腸、直腸、肝臓および膵臓の固形腫瘍の治療に用いるチミジル酸シンターゼ阻害剤(代謝拮抗剤)である。チミジル酸シンターゼ(TS)はデオキシウリジン5'-O-一リン酸(dUMP)のデオキシチミジン5'-O-一リン酸(dTMP)への変換を触媒する。5-FUは急速に増殖している腫瘍細胞においてチミジンプールの枯渇を引き起こすことにより腫瘍の拡大を遅らせると考えられる。米国特許第5,614,505号参照。
【0010】
5-FUは、治療上有効な用量よりも低い用量での毒性のため、低い治療指数を有し、可能性のある有用性を引き下げている。米国特許第6,702,705号。これは、酵素分解後に5-FUをゆっくり放出する、5-FU類縁体またはプロドラッグ(例えば、フトラフールまたはテガフールとして一般に公知の1-(テトラヒドロ-2-フラニル)-5-フルオロウラシル)の開発につながった。例えば、米国特許第5,719,132号参照。米国特許第3,948,897号は、下記の構造を有するテガフールの合成および抗癌活性を記載している。

【0011】
5-FUは、その可能性のある細胞毒性を発揮するために、ヌクレオチドのレベル(例えば、フルオロウリジン-またはフルオロデオキシウリジン-5'-リン酸)まで同化されなければならない。これらのヌクレオチドに対応するヌクレオシド(5-フルオロウリジンおよび5-フルオロ-2'-デオキシウリジン)も活性抗新生物薬であり、いくつかのモデル系においては、おそらくこれらは5-FUよりも容易にヌクレオチドに変換されるため、5-FUよりも実質的に効力が高い。米国特許第6,702,705号参照。
【0012】
米国特許第3,322,747号は、下記の構造AおよびBを有する5-FU類縁体またはプロドラッグの群を記載している:

式中、Rはアシル、アルキルまたはアラルキルであり;
R'は水素、ハロ、アルキル、アミン、アルキルアミン(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、プロピルアミン)またはトリフロウロメチルアミン(triflouromethyl amine)であり;R''は亜リン酸アルキルである。
【0013】
米国特許第5,032,680号は、下記の構造を有する2'-デオキシ-5-フルオロウリジン誘導体の群を記載している:

式中、R1は水素またはアシルであり、かつR2およびR3はそれぞれ水素、アシルまたは下記の式の基であり、

式中、X1およびX2はそれぞれ酸素または硫黄であり、R4はフェニル、ベンジル、またはナフチルであり、これらはそれぞれアルキル、アルコキシル、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、アシル、ハロ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、カルボキシルまたはメチレンジオキシで置換されていてもよく、かつR5はアルキル、アルケニルまたはR4であり、R2およびR3の少なくとも1つは下記の式の基である


【0014】
米国特許第4,757,139号は、下記の構造を有する5-FU類縁体またはプロドラッグの群を記載している:

式中、R1およびR2は同じまたは互いに異なっていて、それぞれ置換基としてカルボキシル基を有する1から18炭素原子のアルキル基、もしくは9から14炭素原子のアルキル基、またはそれらの薬理学的に許容される塩である。
【0015】
米国特許第5,808,049号は、下記の構造を有する5-FU類縁体またはプロドラッグの群を記載している:

式中、R1はメチル、メトキシまたはトリフルオルアセトアミド(trifluoracetamido)であり;R2はフェニル、またはフェニルメチルであり;かつキラル中心の絶対立体配置はRである。
【0016】
米国特許第5,530,003は、下記の構造を有する5-FU類縁体またはプロドラッグを記載している。

【0017】
米国特許第6,702,705号('705号特許)は、ヌクレオチド類縁体の3'または5'酸素に共有結合している単糖ヘキサピラノースまたはヘキサフラノースを含む、抗新生物ヌクレオチド類縁体を記載している。'705特許によって開示されたヌクレオチド類縁体の例には、フルオロウラシル、フルオロデオキシウリジン、フルオロウリジン、アラビノシルシトシン、メルカプトプリンリボシド、チオグアノシン、アラビノシルフルオロウラシル、アザウリジン、アザシチジン、フルオルシチジン、フルダラビンが含まれる。開示された単糖(ヘキサピラノースまたはヘキサフラノース)には、グルコース、グリコサミン、D-キノボピラノース、ガラクトース、ガラクトサミン、L-フコピラノース、L-ラムノピラノース、D-グルコピラヌロン酸(D-glucopyranuronic acid)、D-ガラクトイプラヌロン酸(D-galactoypranuronic acid)、D-マンノピラヌロン酸、D-ヨードピラヌロン酸、グルコース、グリコサミン、D-キノボピラノース、ガラクトース、ガラクトサミン、L-フコピラノース、L-ラムノピラノース、D-グルコピラヌロン酸、D-ガラクトイプラヌロン酸、D-マンノピラヌロン酸およびD-ヨードピラヌロン酸が含まれる。
【0018】
マンニッヒ塩基は当業者には公知である。マンニッヒ塩基は生理的条件下で構成部分に容易に変換され、プロドラッグとして研究されてきた。例えば、Bundgaard, H. and Moss, J. J. Pharm. Sci. 78(2):122-26 (1989)参照。しかし、親薬物に容易に変換されるため、マンニッヒ塩基プロドラッグの使用は限定される。
【発明の概要】
【0019】
発明の概要
本発明の一つの局面は、下記の式Iを有するマンニッヒ塩基N-オキシド化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する:

式中、
R'1およびR'2はそれぞれ独立に直鎖もしくは分枝アルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、アリール、ヘテロアリールであるか、またはR'1およびR'2はそれらが結合している窒素原子と一緒にN、OおよびSからなる群より選択される1つもしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成し;かつ
R'3R'4N-は酸性N-H基を含む薬物の残基である。
【0020】
本発明のもう一つの局面は、下記の式IIを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する:

式中、R'1およびR'2は上で定義したとおりであり;かつ-R'7NC(=O)R'6基はカルボキサミドに変換しうるカルボキサミド含有薬物またはカルボキシル含有薬物の残基である。
【0021】
本発明のもう一つの局面は、-NR'3R'4基が、例えば下記の式IIIを有するタキサンからの残基である化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する:

式中、R'1およびR'2は上で定義したとおりであり;R'8はモノまたはジハロゲン化アシル基、アロイル基、ヘテロアロイル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルまたはヘテロアリールオキシカボニル(heteroaryloxycabonyl)であり、R'9は水素またはアシルであり、かつR'10は置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいアロイル、置換されていてもよいヘテロアロイルまたは置換されていてもよいヘテロアリールオキシカボニルである。
【0022】
本発明の一つの局面は、下記の式IVを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する:

式中、
R1およびR2はそれぞれ独立に水素またはヒドロキシであり;
R3およびR4はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ;OC(=O)R11、OR12であるか、またはR1およびR2の1つとR3およびR4の1つは一緒になって二重結合もしくは-OC(=X)O-基を形成し、ここでXはSまたはOであり;
R5およびR6はそれぞれ独立に水素、アルキル、CH2OR13またはC(=O)-CR'R''Hであり;ここでR'はアルキル、アルコキシ、またはトリフルオロアセトアミドであり;R''はフェニルまたはフェニルメチルであり;
R7は水素、ハロ、アルキル、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、ジアルキルアミンN-オキシド、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメチルアミンであり;
R8およびR9はそれぞれ独立にアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルであるか、またはR8およびR9はそれらが結合している窒素と一緒になってN、O、S、SOおよびSO2からなる群より選択される1、2もしくは3つのヘテロ原子を含む複素環を形成し、該複素環はヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲンまたはヒドロキシアルキルからなる群より選択される1〜4つの置換基で置換されていてもよく;
R10は、R7がジアルキルアミンN-オキシドではない場合にR10はOであるとの条件で、Oであるか、または存在せず;
R11は水素、アシル、アルキルカルボキシ、アルキルであり;
R12は水素、アシルまたは下記の式の基であり、

式中、X1およびX2は独立にOまたはSであり;R4は置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいベンジルまたは置換されていてもよいナフチルであり;R5はアルキルまたはアルケニルであり;かつ
R13は水素、アシル、アルキルカルボキシ、アルキル、アラルキル、単糖、または式の基であり、

式中、X1およびX2は独立にOまたはSであり;R6は置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいベンジルまたは置換されていてもよいナフチルであり;R7はアルキルまたはアルケニルである。
【0023】
一つの局面において、本発明は下記の式Vを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する。

【0024】
もう一つの局面において、本発明は下記の式VIを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する。

【0025】
さらにもう一つの局面において、本発明は下記の式VIIを有するテガフールマンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する。

【0026】
一つの態様において、式IVを有する化合物は下記からなる群より選択される5-FU類縁体またはプロドラッグのマンニッヒ塩基N-オキシドである:
テガフール;
5-フルオロウリジン-5'-リン酸;
5-フルオロデオキシウリジン-5'-リン酸;
5-フルオロウリジン;
5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-ウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-5-クロロウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-5-メチルアミノウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-5-メチルウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-5-トリフルオロメチルウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-ベンジル-β-D-リボフラノシル)-ウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-ベンジル-β-D-リボフラノシル)-5-ブロモウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-ベンジル-β-D-リボフラノシル)-5-アミノウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-ウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-5-トリフルオロメチルウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-ベンゾイル-β-D-リボフラノシル)-ウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-ベンゾイル-β-D-リボフラノシル)-5-ブロモウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-ベンゾイル-β-D-リボフラノシル)-5-エチルウラシル-2',3'-O-チオノカーボネート;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-クロロウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-アミノウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-トリフルオロメチルウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-メチルアミノウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-ジメチルアミノウラシル;
1-(5'-O-ベンジル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-クロロウラシル;
1-(5'-O-ベンジル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-アミノウラシル;
1-(5'-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-メチルアミノウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-3-メチルウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-3-メチル-5-クロロウラシル;
1-(5'-O-ベンジル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-3-エチルウラシル;
1-(5'-O-ベンジル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-3-エチル-5-メチルアミノウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-クロロウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロウラシル-5-メチルアミノウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロウラシル-5-メチルウラシル;
1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロウラシル-5-トリフルオロメチルウラシル;
1-(5'-O-ベンジル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロウラシル-ウラシル;
1-(5'-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロウラシル-ウラシル;
ジフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-3'-ウリジレート;
ジフェニル-2'-デオキシ-5'-O-(ジフェノキシホスフィニル)-5-フルオロ-3'-ウリジレート;
ジフェニル-3-ベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-メチルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-n-ヘキシルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-メトキシフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-n-ヘキシルオキシフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-メトキシカルボニルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-メトキシカルボニルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-n-ヘキシルオキシカルボニルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-メチルチオフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-n-ヘキシルチオフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-アセチルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-アセチルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-ベンゾイルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-フルオロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-フルオロフェニル-3-p-ヘキシルオキシカルボニルベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-フルオロフェニル-3-p-ニトロベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-フルオロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-フルオロフェニル-3-(3,4-メチレンジオキシベンゾイル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-o-クロロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-クロロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-クロロフェニル-3-m-メトキシベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-クロロフェニル-3-p-メチルベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3-ホルミル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3'-O-アセチル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3'-O-ブチリル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3'-O-ベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3'-O-m-メチルベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3-アセチル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3-ベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3-m-メチルベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3-(3,4-メチレンジオキシベンゾイル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-クロロフェニル-3'-O-アセチル-3-ベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-ブロモフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-ブロモフェニル-3'-O-ヘキサノイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-ブロモフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-トリフルオロメチルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-トリフルオロメチルフェニル-3'-O-プロピオニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-トリフルオロメチルフェニル-3'-O-ブチリル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-トリフルオロメチルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-トリフルオロメチルフェニル-3-(3,4-メチレンジオキシベンゾイル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-o-シアノフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-m-シアノフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-シアノフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-シアノフェニル-3-m-メトキシベンゾイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-o-ニトロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-o-ニトロフェニル-3-ヘキサノイル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5-ウリジレート;
ジ-m-ニトロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-ニトロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-ニトロフェニル-3'-O-アセチル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-ニトロフェニル-3-(3,4-メチレンジオキシベンゾイル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-カルボキシフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-p-カルボキシフェニル-3-(1-ナフトイル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ジ-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-3'-ブチリル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(2,3-ジクロロフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(2,4-ジクロロフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(2,4-ジクロロフェニル)-3'-O-アセチル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(3,4-ジクロロフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(3,5-ジクロロフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(2-ブロモ-4-メチルフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(2-クロロ-4-ニトロフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(3,4-ジメチルフェニル)-3'-O-アセチル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(2,3,5-トリクロロフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(2,3,5-トリメチルフェニル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-1-ナフチル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-2-ナフチル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-4-メトキシカルボニルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(2,4-ジクロロ-1-ナフチル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジベンジル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ジ-(4-クロロ-3-ニトロベンジル)-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
2'-デオキシ-5-フルオロウリジン-5'-(S,S-ジフェニルホスホロジチオエート);
2'-デオキシ-5-フルオロウリジン-5'-(S,S-ジ-p-メトキシフェニルホスホロジチオエート);
2'-デオキシ-5-フルオロウリジン-5'-(S,S-ジ-p-クロロフェニルホスホロジチオエート);
p-クロロフェニル-フェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
p-クロロフェニル-フェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-3'-ウリジレート;
p-クロロフェニル-p-ブロモフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
4-クロロ-3-メチルフェニルフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
メチル-フェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
n-ブチリル-フェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
n-ドデシル-フェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
シトロネリル-フェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
ゲラニル-フェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
シトロネリル-p-クロロフェニル-2'-デオキシ-5-フルオロ-5'-ウリジレート;
3',5'-ジマロニル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジスクシニル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジグルタリル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジアジポイル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジピメリル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジスベリル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジスベシル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジデカノイル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジドデカノイル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジテトラデカノイル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジアジポイル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジグルタリル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ジスクシニル-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ビス-(β-カルボキシウンデカノイル)-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ビス-(β-カルボキシトリデカノイル)-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ビス-(β-カルボキシペンタデカノイル)-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
3',5'-ビス-(3-カルボキシ-3-メチルペンタノイル)-5-フルオロ-2'-デオキシウリジン;
5'-(RS)-(2-フェニルプロピオニル)-5-フルオロウリジン;
5'-(RS)-(2-メトキシ-2-フェニルアセチル)-5-フルオロウリジン;および
5'-(RS)-(2-トリフルオロアセトアミド-3-フェニルプロピオニル)-5-フルオロウリジン。
【0027】
本発明のもう一つの局面に従い、式Iを有する化合物の治療上有効な量を少なくとも1つの薬学的に許容される担体を有する薬学的組成物の形で提供する。一つの態様において、薬学的組成物は1つまたは複数の活性作用物質または治療をさらに含む。もう一つの態様において、1つまたは複数の活性作用物質または治療は化学療法剤、放射線療法剤/治療、抗血管形成剤、血管標的剤、低酸素誘導因子1(HIF1)阻害剤、Hsp90阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、HDAC阻害剤、カスパーゼ誘導物質、CDK阻害剤、およびアポトーシス促進分子である。
【0028】
一つの態様において、本発明は被験者における過剰増殖疾患を治療、改善、または予防する方法であって、該被験者に本発明の式Iを有する化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法に関する。
【0029】
本発明のさらなる局面は、動物における過剰増殖障害を治療、改善、または予防する方法であって、動物に式Iを有する化合物の治療上有効な量を1つまたは複数の活性作用物質または治療と組み合わせて投与する段階を含む方法である。一つの態様において、1つまたは複数の活性作用物質または治療は化学療法剤、放射線療法剤/治療、抗血管形成剤、血管標的剤、低酸素誘導因子1(HIF1)阻害剤、Hsp90阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、HDAC阻害剤、カスパーゼ誘導物質、CDK阻害剤、およびアポトーシス促進分子である。もう一つの態様において、1つまたは複数の活性作用物質または治療は、過剰増殖障害の治療のために用いられる、用いられてきた、または有用であることが公知である。
【0030】
一つの態様において、動物における過剰増殖障害を治療、改善、または予防する方法は、動物に本発明の化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む。特定の態様において、化合物は1つまたは複数の活性作用物質または治療、例えば、化学療法剤または放射線療法剤/治療と組み合わせてのテガフールである。
【0031】
本発明の好ましい態様において、1つまたは複数の化学療法剤は、過剰増殖障害の治療のために用いられる、用いられてきた、または有用であることが公知である任意の化学療法剤でありうる。
【0032】
本発明の好ましい態様において、1つまたは複数の放射線療法剤または治療は体外ビーム放射線療法、近接照射療法、温熱療法、放射線外科術、荷電粒子放射線療法、中性子放射線療法、光力学療法、または放射性核種療法でありうる。
【0033】
本発明の一つの態様において、式Iを有する化合物は1つまたは複数の化学療法剤または放射線療法剤もしくは治療の投与前、投与中、および/または投与後に投与することができる。本発明のもう一つの態様において、式Iを有する化合物を1つまたは複数の化学療法剤または放射線療法剤もしくは治療と組み合わせて投与する方法を複数回繰り返す。
【0034】
本発明の式Iを有する化合物と1つまたは複数の化学療法剤または放射線療法剤もしくは治療との組み合わせは、相加的効力または相加的治療効果を有することになる。本発明は、治療の有効性が相加的よりも大きい相乗的組み合わせも含む。好ましくは、そのような組み合わせは望まれない、または有害な作用を減らす、または回避することになる。特定の態様において、本発明に含まれる併用療法は式Iを有する化合物あるいは任意の化学療法剤または放射線療法剤もしくは治療単独の投与に比べて改善された全治療を提供することになる。特定の態様において、既存または実験的化学療法剤または放射線療法剤もしくは治療の用量が減る、または低頻度で投与されることになり、これは患者のコンプライアンスを高め、それにより治療を改善し、望まれない、または有害な作用を減らすことになる。
【0035】
さらに、本発明の方法は、これまで未治療の患者で有用であるのみならず、放射線療法、化学療法、および/または手術を含むが、それらに限定されるわけではない、現行の標準および/または実験的癌療法に対して部分的または完全に不応性の患者の治療においても有用となる。好ましい態様において、本発明は、他の治療法に対して不応性または非反応性であることが判明している、またはその可能性がある、過剰増殖障害の治療または改善のための治療法を提供することになる。
【0036】
いかなる理論にも縛られたくはないが、マンニッヒ塩基のN-オキシド誘導体は親化合物の細胞毒活性を低減または消失させるため、本発明のN-オキシド化合物のいくつかは、細胞毒性が大幅に減少したプロドラッグとして機能すると考えられる。これらのN-オキシド化合物は標的組織内の低酸素条件下で活性化され(すなわち、窒素原子において還元され)、細胞死を誘導する、または細胞の複製能力を低下させることにより、細胞において細胞毒性効果を発揮すると考えられる。本発明の他のN-オキシド化合物は、N-オキシドマンニッヒ塩基誘導体が親化合物の細胞毒活性を著しく低下させない場合、固有の細胞毒活性を有する可能性がある。いくつかの病的組織は過剰増殖を促進する著しい低酸素成分を有するため、組織のこの部分が優先的に標的にされると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
本発明の一つの局面は、下記の式Iを有するマンニッヒ塩基N-オキシド化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する:

式中、R'1〜R'4は上で定義したとおりである。
【0038】
一つの態様において、R'3およびR'4の一方は、それらが結合しているNと一緒に、またはNなしで、O、N、SおよびPからなる群より選択される1〜3つのヘテロ原子を含む置換されていてもよい5〜7員複素環の一部であり、該複素環は置換されていてもよい5〜7員炭素環または複素環と任意に縮合しており;R'3およびR'4の他方は水素、アルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいフェニルである。
【0039】
もう一つの態様において、R'3およびR'4はそれらが結合している窒素原子と一緒に、-N-、-O-、-S-、-C(=O)-、-C=N-、-SO2-、-PO2-および-CX2-からなる群より選択される1〜3つの基を含む置換されていてもよい5〜7員複素環を形成し、この複素環は置換されていてもよい5〜7員炭素環または複素環と任意に縮合している。
【0040】
もう一つの態様において、基-NR'3R'4は、シタラビン(Cytosar-U(登録商標))、5-アザシチジン(Vidaza(商標))、5-アザ-2'-デオキシシチジン、6-シクロヘキシルメトキシ-2-(4'-スルファモイルアニリノ)プリン、6-ベンジルアミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-9-メチルプリン、(2R)-2-[[6-[3-クロロフェニルアミノ]-9-メチルエチル)-9H-プリン-2イル]アミノ]-3-メチル-1-ブタノール(プルバラノールA)、(2R)-2-[[6-[3-クロロ-4-カルボキシフェニルアミノ]-9-メチルエチル)-9H-プリン-2イル]アミノ]-3-メチル-1-ブタノール(プルバラノールB)、カルムスチン、ダカルバジン、フロクスウリジン、ロムスチン、メルカプトプリン、メトトレキセート、チオグアニン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、インジルビン、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、4-[[2-(3-メチルブタ-2-エニル)-1H-インドル-3-イル]メチル]-3,6-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン-2,5-ジオン(トリプロスタチンA)、4-[[2-(3-メチルブタ-2-エニル)-6-メトキシ-1H-インドル-3-イル]メチル]-3,6-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン-2,5-ジオン(トリプロスタチンB)、モナストロール、DHP2、カペシタビン(CAP)、(3R,4S,5S,6R)-5-メトキシ-4-[(2R,3R)-2-メチル-3-(3-メチル-2-ブテニル)オキシラニル]-1-オキサスピロ[2.5]オクタ-6-イルクロロアセチルカルバメート(O-(クロロアセチルカルバモイル)フマギロールまたはTNP-470としても公知)、7,12-ジヒドロインドロ[3,2-d][1]ベンズアゼピン-6(5H)-オン(パウロン)、9-ブロモ-7,12-ジヒドロインドロ[3,2-d][1]ベンズアゼピン-6(5H)-オン(ケンパウロン)、6-(ベンジルアミノ)-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-9-メチルプリン(オロモウシン)、タキサン(米国特許第6,815,462号、第6,884,817号、第6,765,015号、第6,476,242号および第5,688,977号によって開示されるものなど)、テモゾロミド、シクロホスファミドおよびその類縁体(米国特許第5,190,929号によって開示されるものなど)、メルファランおよびその誘導体(米国特許第5,075,108号によって開示されるものなど)、ならびにマイトマイシンおよびその誘導体(米国特許第4,652,644号によって開示されるものなど)を含むが、それらに限定されるわけではない、酸性N-H基を含む薬物の残基である。
【0041】
本発明のもう一つの局面は、下記の式IIを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する:

式中、R'1、R'2、R'6およびR'7は上で定義したとおりである。
【0042】
一つの態様において、-R'7NC(=O)R'6基は、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、TNP-470、パウロン、ケンパウロン、エニルウラシル、タキサン、テモゾロミド、メルファランおよびその誘導体ならびにマイトマイシンおよびその誘導体を含むが、それらに限定されるわけではない、酸性N-H基を含む薬物の残基である。
【0043】
もう一つの態様は、下記の式IIIを有するタキサンのマンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する:

式中、R'1、R'2、R'8、R'9およびR'10は上で定義したとおりである。さらなる態様において、タキサンはパクリタキセル、ドセタキセル、ノナタキセルまたはアブラキサンである。
【0044】
もう一つの態様は、下記の式IVを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する:

式中、
R1〜R10は上で定義したとおりである。
【0045】
もう一つの態様は、下記の式Vの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する。

【0046】
もう一つの態様は、下記の式VIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する。

【0047】
もう一つの態様は、下記の式VIIを有するテガフールマンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグに関する。

【0048】
もう一つの態様において、本発明の薬学的組成物は、5-アザシチジン、5-アザ-2'-デオキシシチジン、カルムスチン、ダカルバジン、フロクスウリジン、ロムスチン、メルカプトプリン、メトトレキセート、チオグアニン、6-シクロヘキシルメトキシ-2-(4'-スルファモイルアニリノ)プリン、6-ベンジルアミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-9-メチルプリン、(2R)-2-[[6-[3-クロロフェニルアミノ]-9-メチルエチル)-9H-プリン-2イル]アミノ]-3-メチル-1-ブタノール、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、モナストロール、DHP2、CAP、TNP-470、パウロン、ケンパウロン、タキサン、テモゾロミド、シクロホスファミドおよびその類縁体、メルファランおよびその誘導体ならびにマイトマイシンおよびその誘導体を含む、酸性N-H基を含む薬物のマンニッヒ塩基N-オキシドの治療上有効な量を含む。
【0049】
もう一つの態様に従い、式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量、および少なくとも1つの他の活性作用物質を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を有する薬学的組成物の形で提供する。特定の場合において、少なくとも1つの他の活性作用物質は化学療法剤である。式Iを有する化合物は他の活性作用物質と共に単一の製剤に製剤してもよく、または独立に製剤してもよい。
【0050】
もう一つの態様に従い、過剰増殖障害を治療、改善、または予防するための方法を提供し、ここで式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を、それを必要としている動物に投与する。特定の態様において、過剰増殖障害は癌である。一つの態様において、癌は固形腫瘍である。もう一つの態様において、癌は結腸癌、脳癌、神経膠腫、多発性骨髄腫、頭頸部癌、肝細胞癌、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、腎臓癌、および非小細胞肺癌からなる群より選択される。さらなる態様において、癌は急性および慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、子宮頚部過形成、絨毛癌、慢性顆粒球性白血病、慢性リンパ球性白血病、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、本態性血小板増多症、尿生殖器癌、有毛細胞白血病、頭頸部癌、ホジキン病、カポジ肉腫、肺癌、リンパ腫、悪性カルチノイド癌、悪性高カルシウム血症、悪性黒色腫、悪性膵インスリノーマ、甲状腺髄様癌、黒色腫、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄性およびリンパ球性白血病、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、骨原性肉腫、卵巣癌、膵臓癌、真性赤血球増加症、原発性脳癌、原発性マクログロブリン血症、前立腺癌、腎細胞癌、横紋筋肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、またはウィルムス腫瘍である。
【0051】
もう一つの態様において、過剰増殖障害は加齢性黄斑変性症、クローン病、肝硬変、慢性炎症関連障害、増殖性糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症、未熟児網膜症、肉芽腫症、臓器もしくは組織移植に関連する免疫過剰増殖、免疫増殖性疾患もしくは障害、例えば、炎症性腸疾患、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、網膜低酸素症に続発する血管過剰増殖、または血管炎の任意の1つである。
【0052】
もう一つの態様は、過剰増殖障害を治療、改善、または予防するための方法であって、式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を、少なくとも1つの他の活性作用物質または治療と組み合わせて、それを必要としている患者に投与する段階を含む方法に関する。特定の態様において、式Iを有する化合物と化学療法剤との組み合わせを投与する。
【0053】
式Iを有する化合物で治療することができる過剰増殖障害には、任意の数の癌などの、任意の低酸素により悪化する過剰増殖疾患および/または障害が含まれる。一般に、そのような癌には、膀胱、脳、乳房、子宮頸、結腸、子宮内膜、食道、頭頸部、腎臓、咽頭、肝臓、肺、口腔、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、胃、および精巣の癌が含まれるが、それらに限定されるわけではない。これらの癌のいくつかはより具体的には、急性および慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、子宮頚部過形成、絨毛癌、慢性顆粒球性白血病、慢性リンパ球性白血病、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、本態性血小板増多症、尿生殖器癌、有毛細胞白血病、頭頸部癌、ホジキン病、カポジ肉腫、肺癌、リンパ腫、悪性カルチノイド癌、悪性高カルシウム血症、悪性黒色腫、悪性膵インスリノーマ、甲状腺髄様癌、黒色腫、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄性およびリンパ球性白血病、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、骨原性肉腫、卵巣癌、膵臓癌、真性赤血球増加症、原発性脳癌、原発性マクログロブリン血症、前立腺癌、腎細胞癌、横紋筋肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、およびウィルムス腫瘍といってもよい。一つの態様において、癌は固形腫瘍である。もう一つの態様において、癌は結腸癌、脳癌、神経膠腫、多発性骨髄腫、頭頸部癌、肝細胞癌、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、腎臓癌、および非小細胞肺癌からなる群より選択される。
【0054】
本発明に従って治療しうる動物には、式Iを有する化合物の投与から利益を受けうるすべての動物が含まれる。そのような動物には、ヒト、イヌおよびネコなどのペット、ならびにウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどの家畜が含まれる。
【0055】
本明細書において用いられる「非N-オキシド」なる用語は、窒素原子において酸化されていないアミン化合物を意味する。例として、テガフールマンニッヒ塩基はテガフールマンニッヒ塩基N-オキシドの非N-オキシド型である。
【0056】
本明細書において用いられる「非マンニッヒ塩基N-オキシド」なる用語は、マンニッヒ塩基またはマンニッヒ塩基N-オキシドに変換されていない、酸性N-H基を含む薬物を意味する。例として、テガフールはテガフールマンニッヒ塩基N-オキシドの非マンニッヒ塩基N-オキシドである。
【0057】
本明細書において用いられる「マンニッヒ塩基N-オキシド」なる用語は、マンニッヒ塩基のN-オキシドを意味する。本発明のマンニッヒ塩基は二級アミン、アルデヒドおよび薬物分子上のNH-酸性部位(例えば、アミド、イミド、スルホンアミド、複素環NH)の間の反応から調製しうる。アミドのマンニッヒ塩基の調製およびN-酸化の実例を下記のスキームに示す。このスキームに従い、マンニッヒ塩基(7)を二級アミン、アルデヒドおよび薬物分子上のNH-酸性部位(例えば、アミド、イミド、スルホンアミド、複素環NHなど)の間の反応から調製する。縮合後、マンニッヒ塩基を、例えば、クロロホルムまたはジクロロメタン中、m-クロロ過安息香酸またはオゾンで酸化して、ベンズアミドマンニッヒ塩基N-オキシド(8)を得てもよい。環式アミンを含む任意のジアルキルアミンが適当でありうる。したがって、マンニッヒ塩基を得るために、ジメチルアミン、ピペリジン、ピロリジンまたはモルホリンなどの他のジアルキルアミンを二級アミンとして用いてもよい。

【0058】
さらなる例として、下記のスキームはベンズアミドおよびジメチルアミンから調製したマンニッヒ塩基N-オキシドの合成を例示する。

【0059】
特定の薬物のマンニッヒ塩基N-オキシドはそれ自体が生物活性を有し、N-オキシド基の生体還元の必要なしに薬物として適していることもある。他の状況において、N-オキシドは生物活性でなくてもよく、そのマンニッヒ塩基への生体還元と、それに続くマンニッヒ塩基の親薬物への加水分解が薬物を活性化することになる。したがって、薬物のマンニッヒ塩基N-オキシドは親薬物のプロドラッグと考えてもよい。
【0060】
本明細書において用いられる「プロドラッグ」なる用語は、親マンニッヒ塩基N-オキシド分子のエステル、リン酸エステル、イミン、カルバミン酸エステル、アセタールまたはケタールを意味する。例えば、本発明のカルボン酸含有マンニッヒ塩基N-オキシドのエステルは、アルコール、好ましくは低級アルキルアルコール、より好ましくはC1-4アルキルアルコールとの縮合により調製しうる。同様に、本発明のヒドロキシ含有化合物のエステルは、カルボン酸または二酸、好ましくはアルキルカルボン酸または二酸、より好ましくはC1-4カルボン酸もしくはC3-6二酸またはその無水物との縮合により調製しうる。さらに、本発明のアミノ含有化合物のイミンは、アミノ基のアルデヒドまたはケトンのカルボニル基との縮合により得られる。本発明のアミノ含有化合物との縮合に適したアルデヒドおよびケトンには、アルキルおよびアリールケトンおよびアルデヒド、より好ましくはアルキルケトンおよびアルデヒド、より好ましくは低級アルキルケトンおよびアルデヒド、最も好ましくはC1-4アルキルアルデヒドおよびケトンが含まれる。本発明のアミノ含有化合物のカルバメートは、アミノ基の、例えば、塩化ベンジルオキシカルボニルとの縮合により調製しうる。加えて、本発明のアルコール含有化合物のアセタールまたはケタールは、ヒドロキシ基のクロロメチルメチルエーテルまたはクロロメチルエチルエーテルとの縮合により得られる。
【0061】
本発明の化合物をさらにホスホリボシル化して本発明のプロドラッグを調製してもよい。例えば、本発明の化合物のプロドラッグは、式IVの化合物の任意のヘキサピラノースおよび/またはヘキサフラノース置換基に存在する任意のヒドロキシ基を一、二または三リン酸化することにより調製してもよい。
【0062】
そのような誘導体は典型的には、N-オキシド基を有する、または有していない、カルボン酸含有化合物、ヒドロキシ含有化合物、またはアミノ含有化合物を放出するために、生物内での加溶媒分解または酵素のいずれかによる生物変換を必要とする。
【0063】
好ましい単糖は、グルコース、グリコサミン、D-キノボピラノース、ガラクトース、ガラクトサミン、L-フコピラノース、L-ラムノピラノース、D-グルコピラヌロン酸、D-ガラクトイプラヌロン酸、D-マンノピラヌロン酸、D-ヨードピラヌロン酸、グルコース、グリコサミン、D-キノボピラノース、ガラクトース、ガラクトサミン、L-フコピラノース、L-ラムノピラノース、D-グルコピラヌロン酸、D-ガラクトイプラヌロン酸、D-マンノピラヌロン酸およびD-ヨードピラヌロン酸からなる群より選択されるヘキサピラノースまたはヘキサフラノースである。
【0064】
本明細書において用いられる「炭素環」および「複素環」なる用語は、飽和および不飽和環の両方を含む。
【0065】
複素環、炭素環、アラルキルおよびアルキルアリール上の任意の置換基には、ヒドロキシ;=O(C、SまたはP原子に結合);=S(C、SまたはP原子に結合);アルキル;アルコキシ;ハロ;アミン、SO2NH2;SO3;カルボキシ;アリール;アライルアルキル(araylaklyl);アルキルカルボニル;アルコキシカルボニル;アルコキシフェニル;シクロアルキルアルコキシ;モノ-およびジ-(ヒドロキシアルキル)アミン;モノ-およびジアルキルアミン;ジアルキルアミンN-オキシド、モノ-およびジ-(ハロフェニル)アミン;ジ-(ハロフェニル)アミンN-オキシド;フェニルアルキルアミン;フェニルアルキルアミンN-オキシド;ヒドロキシフェニル;置換されていてもよいアルコキシ基で置換されているプリニルアミノ;ヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルカボニルオキシからなる群より選択される3つまでの置換基で置換されているインドル-2-イル;N、SおよびOからなる群より選択される1または2つのヘテロ原子を含む、置換されていてもよい5〜7員複素環;ならびに置換されていてもよいテトラヒドロフリルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0066】
テトラヒドロフリル上の任意の置換基には、水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ;ヒドロキシアルキル;R11が水素、アシル、アルキルカルボキシまたはアルキルであるOC(=O)R11;R12が水素、アシルまたは下記の基であるOR12

式中、X1およびX2は独立にOまたはSであり;R4は置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいベンジルまたは置換されていてもよいナフチルであり;R5はアルキルまたはアルケニルである;
R13が水素、アシル、アルキルカルボキシ、アルキル、アラルキル、単糖、または下記の基であるCH2OR13

式中、X1およびX2は独立にOまたはSであり;R6は置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいベンジルまたは置換されていてもよいナフチルであり;R7はアルキルまたはアルケニルである;
ならびに、R'がアルキル、アルコキシ、またはトリフルオロアセトアミドであり、R''がフェニルまたはフェニルメチルであるC(=O)-CR'R''Hからなる群より選択される6つまでの置換基が含まれるか;あるいは隣接する炭素原子上の2つの置換基は二重結合または-OC(=X)O-基を形成し、ここでXはSまたはOである。
【0067】
アルキル基上の任意の置換基には、置換されていてもよいアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロおよびアミノからなる群より選択される3つまでの置換基が含まれる。
【0068】
適当な置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基には、フェノキシカルボニルおよびナフチルオキシカルボニルが含まれ、これらはそれぞれハロ、ヒドロキシおよび置換されていてもよいアルキルからなる群より選択される3つまでの置換基で置換されている。適当な置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル基には、ピリジルオキシカルボニル、キノリンオキシカルボニル、プリニルオキシカルボニルが含まれ、これらはそれぞれハロ、ヒドロキシおよび置換されていてもよいアルキルからなる群より選択される3つまでの置換基で置換されている。
【0069】
適当な置換されていてもよいアロイル基には、フェニルカルボキシおよびナフチルカルボキシが含まれ、これらはそれぞれハロ、ヒドロキシおよび置換されていてもよいアルキルからなる群より選択される3つまでの置換基で置換されている。適当な置換されていてもよいヘテロアロイル基には、ピリジルカルボキシ、チオフェニルカルボキシ、ピロリルカルボキシおよびキノリニルカルボキシが含まれ、これらはそれぞれハロ、ヒドロキシおよび置換されていてもよいアルキルからなる群より選択される3つまでの置換基で置換されている。
【0070】
有用な二級アミンには、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ピペリジン、4,4-ジフルオロピペリジン、N-アルキルピペラジンおよびモルホリンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0071】
本明細書において用いられる「アルキル」なる用語は、1から10炭素原子、好ましくは1から8炭素原子、より好ましくは1から約4炭素原子を含む飽和非環式炭化水素基を意味する。「低級アルキル」なる用語は、1から約6炭素原子を含む非環式炭化水素基を意味する。適当なアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルなどが含まれる。
【0072】
「アルコキシ」なる用語は、1から10炭素原子、好ましくは1から8炭素原子、より好ましくは1から約4炭素原子、および結合点の酸素原子を含む、直鎖、分枝または環式炭化水素配置およびその組み合わせを意味する。適当なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれる。「低級アルコキシ」とは、1から6炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。
【0073】
「アルケニル」なる用語は、約2から約10炭素原子、好ましくは約2から約8炭素原子、より好ましくは1から約6炭素原子を含む、不飽和非環式炭化水素基を意味する。アルケニル基はジエニルであってもよく、それ以外はアルキル基上に連結または置換されている不飽和アルケニル基が含まれる。アルケニル基の例にはビニル、アリル(または2-プロペニル)、1-プロペニル、イソ-プロペニルおよび2-ブテニルが含まれる。
【0074】
本明細書において用いられる「シクロアルキル」なる用語は、飽和環式炭化水素基を意味する。「低級シクロアルキル」なる用語は、約3から約8炭素原子、好ましくは約3から約7炭素原子、より好ましくは5から約7炭素原子を含む、環式炭化水素基を意味する。適当なシクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0075】
「アシル」または「アルカノイル」とは、カルボニル基に結合しているアルキル基を意味する。
【0076】
「ハロゲノアシル」なる用語は、トリフルオロアセチル、ペンタフルオロプロピオニルなどを含む、1つまたは複数のハロゲン基(例えば、F、Cl、BrおよびI基)で置換されているアシル基を意味する。
【0077】
「アロイル」なる用語は、アリール-CO-基を意味し、ここでアリール基は本明細書に記載のとおりである。例示的アロイル基には、ベンゾイルならびに1-および2-ナフトイルが含まれる。
【0078】
基または基の一部としての「アリール」なる用語は下記を意味する:(i)フェニルもしくはナフチルなどの、約6から約14炭素原子の置換されていてもよい単環式または多環式芳香族炭素環部分;または(ii)アリールおよびシクロアルキル、シクロアルケニルもしくは複素環基が一緒に縮合して、テトラヒドロナフチル、インデニルもしくはインダニル環などの環式構造を形成する、置換されていてもよい部分飽和多環式芳香族炭素環部分。アリール基は、例えば、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキレンジオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アロイル、アロイルアミノ、アリール、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキルオキシカルボニル、アリールアルキルチオ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシカルボニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールチオ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヘテロアロイル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロアリールアルキルオキシ、ヘテロアロイルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシアルキル、ヒドロキシ、ニトロおよびトリフルオロメチルを含む、1つまたは複数で置換されていてもよい。
【0079】
「ヘテロアロイル」なる用語は、ヘテロアリール-CO-基を意味し、ここでヘテロアリール基は本明細書に記載のとおりである。「ヘテロアリール」なる用語は、1つまたは複数のヘテロ原子を組み込んでいる芳香族環式基を意味し、これは1つまたは複数の飽和または不飽和環と縮合していてもよい。
【0080】
有用なヘテロアリール基には、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンテニル、2H-ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタルジニル(phtalzinyl)、ナフチリジニル、キノザリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、1,4-ジヒドロキノキサリン-2,3-ジオン、7-アミノイソクマリン、ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、1,2-ベンゾイソキサゾル-3-イル、ベンズイミダゾリル、2-オキシインドリル、および2-オキソベンズイミダゾリルが含まれる。ヘテロアリール基が環に窒素原子を含む場合、そのような窒素原子はN-オキシド、例えば、ピリジルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシドなどの形であってもよい。
【0081】
本明細書において用いられる「薬学的組成物」なる用語は、その個々の成分または要素がそれ自体で薬学的に許容される、例えば、経口投与が予想される場合、経口使用に対して許容され;局所投与が予想される場合、局所で許容され;静脈内投与が予想される場合、静脈内で許容される、限定的組成物と理解される。
【0082】
本明細書において用いられる「治療上有効な量」なる用語は、障害の1つまたは複数の症状の改善をもたらす、または障害の進行を予防する、または障害の緩解をきたすのに十分な治療薬の量を意味する。例えば、癌の治療に関して、治療上有効な量は、好ましくは、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、腫瘍成長の速度を低下させる、腫瘍の量を減少させる、転移の数を減少させる、腫瘍進行までの時間を延長する、または生存期間を延長する、治療薬の量を意味する。
【0083】
本明細書において用いられる「予防する」、「予防すること」、および「予防」なる用語は、動物における病的細胞(例えば、過剰増殖または新生物細胞)の出現の低減を意味する。予防は完全、例えば、被験者において病的細胞がまったくないこともある。予防は、被験者における病的細胞の出現が本発明なしで出現したであろう出現よりも少ないような、部分的予防の場合もある。
【0084】
式Iを有する化合物は薬学的に許容される塩として提供することもできる。薬学的に許容される塩(すなわち、付加塩)の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸鉛、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩およびシュウ酸塩などの、無機および有機酸付加塩;ならびにヒドロキシナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS、トロメタン)およびN-メチル-グルカミンなどの塩基との無機および有機塩基付加塩が含まれる。塩は典型的には遊離塩基と比べて類似の生理的特性を有するが、特定の酸付加塩は好ましい物理化学的特性、例えば、溶解性増強、安定性改善を示すこともある。一つの特定の薬学的に許容される塩はマレイン酸由来で、この塩はマレイン酸水素または二マレイン酸塩のいずれかである。
【0085】
本発明の化合物のいくつかは、光学異性体を含む立体異性体として存在してもよい。本発明は、すべての立体異性体と、そのような立体異性体のラセミ混合物ならびに当業者には周知の方法に従って分離しうる個々の鏡像異性体の両方を含む。
【0086】
本発明の特定の態様において、式Iを有する化合物を1つまたは複数の他の活性作用物質(例えば、化学療法剤)または治療と組み合わせて投与する。非限定例として、患者を癌などの過剰増殖障害に対して、式Iを有する化合物の治療上有効な量を、放射線療法剤/治療または化学療法剤の投与と組み合わせて投与することにより治療してもよい。
【0087】
他の態様において、本発明の化合物を腫瘍の新血管新生を阻止、阻害または調節する、抗血管形成剤などの薬剤と組み合わせて投与する。好ましい態様において、抗血管形成剤は、過剰増殖障害の治療のために用いられる、用いられてきた、または有用であることが公知である任意の抗血管形成剤でありうる。抗血管形成剤の例には、ベバシズマブ(Avastin(商標))、VEGF-TRAP、抗VEGF受容体抗体、アンジオスタチン、エンドスタチン、バチマスタット、カプトプリル、軟骨由来阻害剤、ゲニステイン、インターロイキン12、ラベンダスチン、酢酸メドロキシプレゲステロン(medroxypregesterone acetate)、組換えヒト血小板因子4、テコガラン、トロンボスポンジン、TNP-470、VEGF拮抗剤、抗VEGFモノクローナル抗体、可溶性VEGF受容体キメラタンパク質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド、siRNA、抗VEGFアプタマー、色素上皮由来因子、チロシンキナーゼ阻害剤、表皮由来成長因子の阻害剤、線維芽細胞由来成長因子の阻害剤、血小板由来成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断剤、インターフェロン-α、ペントサンポリ硫酸塩、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA-4、スクアラミン、6-O-クロロアセチル-カルボニル)-フマギロール、サリドマイド、トロポニン-1、インドリンチオン、ピリドピリミジン、キノアゾリン、フェニル-ピロロ-ピリミジン、トラスツズマブ、カルシウム流入阻害剤(CAI)、ネオマイシン、スクアラミン、マリマスタット、プリノマスタット(AG-3340)、メタスタット(COL-3)およびシンノリン誘導体が含まれる。本発明の化合物と組み合わせて投与しうるその他の抗血管形成化合物は、米国特許第5,192,744号、第5,426,100号、第5,733,876号、第5,840,692号、第5,854,205号、第5,990,280号、第5,994,292号、第6,342,219号、第6,342,221号、第6,346,510号、第6,479,512号、第6,719,540号、第6,797,488号、第6,849,599号、第6,869,952号、第6,887,874号、第6,958,340号および第6,979,682号に記載されている。
【0088】
特定の態様において、本発明の化合物を血管標的剤(血管損傷剤としても知られている)と組み合わせて投与する。一つの態様において、血管標的剤は悪性または非悪性血管増殖障害の治療用である。他の態様において、血管標的剤は、過剰増殖障害の治療のために用いられる、用いられてきた、または有用であることが公知である任意の血管標的剤でありうる。本発明の化合物と組み合わせて投与しうる血管標的剤の例には、DMXAA 5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸、ZD6126、(5S)-5-(アセチルアミノ)-9,10,11-トリメトキシ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,c]シクロヘプテン-3-イルリン酸二水素塩、N-アセチルコルヒノール-O-リン酸としても知られている(例えば、米国特許第6,906,048号参照);コンブレタスタチンA4およびそのプロドラッグなどの官能基化スチルベン誘導体(例えば、米国特許第6,919,324号および第6,773,702号);ジオレオイルトリメチル-アンモニウムプロパン(DOTAP)、塩化N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム(DOTMA)、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)、1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチルヒドロキシエチル(DMRIE)、ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、塩化N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウム(DODAC)、もしくはN-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロ酢酸塩(DOSPA)、または、例えば、ジオレオイルホスファチジル-コリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステロイルホスファチジルコリン(disteroylphosphatidylcholine)(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、もしくは1,2-sn-ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)を含む任意の他の天然もしくは合成カチオン脂質、または任意の他の天然もしくは合成の静電気的に中性の脂質(例えば、米国特許第6,680,068号参照);米国特許第6,593,374号に記載のものなどの、ベンゾ[b]チオフェン、インドール、およびベンゾフラン分子骨格を組み込む血管標的剤が含まれる。
【0089】
他の態様において、本発明の化合物を低酸素誘導因子1(HIF1)阻害剤と組み合わせて投与する。一つの態様において、HIF1阻害剤は悪性または非悪性血管増殖障害の治療用である。他の態様において、HIF1阻害剤は、過剰増殖障害の治療のために用いられる、用いられてきた、または有用であることが公知である任意のHIF1阻害剤でありうる。本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適したHIF1阻害剤の例には、トポテカン、P13キナーゼ阻害剤;LY294002;ラパマイシン;[(E)-(1S,4S,10S,21R)-7-[(Z)-エチリデン]-4,21-ジイソプロピル-2-オキサ-12,13-ジチア-5,8,20,23-テトラアザビシクロ-[8,7,6]-トリコス-16-エン-3,6,9,19,22-ペンタノン(FR901228、デプシペプチド)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤;ゲルダナマイシン、17-アリルアミノ-ゲルダナマイシン(17-AAG)、および他のゲルダナマイシン類縁体、ならびにラディシコールおよびKF58333などのラディシコール誘導体などの熱ショックタンパク質90(Hsp90)阻害剤;ゲニステイン;インダノン;スタウロスポリン;PD98059(2'-アミノ-3'-メトキシフラボン)などのタンパク質キナーゼ-1(MEK-1)阻害剤;PX-12(1-メチルプロピル2-イミダゾリルジスルフィド);プロイロチンPX478;キノキサリン1,4-ジオキシド;酪酸ナトリウム(NaB);ニトロプルシドナトリウム(SNP)および他のNO供与体;ノボビオシン、パンゼム(2-メトキシエストラジオールまたは2-ME2)、ビンクリスチン、タキサン、エポチロン、ディスコデルモリド、および前述のいずれかの誘導体などの微小管阻害剤;クマリン;バルビツールおよびチオバルビツール酸類縁体;カンプトテシン;ならびにYC-1が含まれる。米国特許第6,979,675号参照。
【0090】
特定の態様において、本発明の化合物をHsp90阻害剤と組み合わせて投与する。一つの態様において、Hsp90阻害剤は悪性または非悪性血管増殖障害の治療用である。他の態様において、Hsp90阻害剤は、過剰増殖障害の治療のために用いられる、用いられてきた、または有用であることが公知である任意のHsp90阻害剤でありうる。本発明の化合物と組み合わせうるHsp90阻害剤の例には、ゲルダナマイシン、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、米国特許第6,890,917号に記載のものなどのゲルダナマイシン誘導体、デキサメタゾンおよび米国特許第6,872,715号に記載のものなどのベンゾキノンアンサマイシンが含まれる。その他のHsp90阻害剤は米国特許第6,613,780号、第6,281,229号および第6,903,116号に開示されている。
【0091】
他の態様において、本発明の化合物を細胞シグナリングに関与するチロシンおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼならびにチロシンキナーゼ受容体の阻害剤と組み合わせて投与する。これらにはSrc、Abl、血小板由来成長因子受容体、血管内皮成長因子受容体、c-Met、線維芽細胞成長因子受容体、表皮成長因子受容体、インスリン成長因子受容体、mTOR、Flt-3、CSF-1受容体、AKT、ポロキナーゼ、オーロラキナーゼ、STAT-3、PI-3キナーゼ、Ras、Rafおよびマイトジェン活性化キナーゼ、MEK、ERKのチロシンキナーゼ阻害剤が含まれる。チロシンキナーゼおよびセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤の例には下記が含まれる(がそれらに限定されるわけではない):AMG706、ZA6474、BAY 43-9006、ダサチニブ、CEP-701、XL647、XL999、ラパチニブ、MLN518/CT53518、PKC412、ST1571、AMN107、AEE 788、OSI-930、OSI-817、SU11248、AG-03736、GW-786034m、CEP-7055。
【0092】
他の態様において、本発明の化合物をHDAC阻害剤と組み合わせて投与する。例にはSAHA、MS-275、MGCD0103、LBH589、PXD101、FK228が含まれる(がそれらに限定されるわけではない)。
【0093】
他の態様において、本発明の化合物をベルケードなどのプロテアソーム阻害剤と組み合わせて投与する。
【0094】
他の態様において、本発明の化合物をTRAIL、抗DR4/DR5(TRA8)抗体、IAP、サバイビンまたはカスパーゼ活性化を刺激する小分子などのアポトーシス促進剤と組み合わせて投与する。
【0095】
他の態様において、本発明の化合物をCDK阻害剤などの細胞周期調節物質の阻害剤と組み合わせて投与する。
【0096】
「組み合わせて」とは、複数の治療の使用を意味する。「組み合わせて」なる用語の使用は、過剰増殖障害に対して治療中の被験者に治療を投与する順を限定するものではない。第一の治療を、第二の治療の前、同時、後、または第二の治療の投与を含む任意の周期的治療中に、過剰増殖障害を有する被験者に投与することができる。例えば、第一の治療を治療の5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前に投与することができ;または第一の治療を第二の治療の5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後に投与することができる。そのような治療には、例えば、式Iを有する化合物の1つまたは複数の化学療法剤または放射線療法剤/治療と組み合わせての投与が含まれる。
【0097】
本明細書において用いられる「化学療法剤」なる用語は、癌などの過剰増殖障害の治療、予防または改善に有効であることが当業者に公知の任意の化学療法剤を意味することが意図される。化学療法剤には、小分子、合成薬物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、アンチセンスヌクレオチド配列、三重らせんおよび生物活性タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むが、それらに限定されるわけではないDNAおよびRNAポリヌクレオチド)、抗体、合成または天然無機分子、模倣物質、および合成または天然有機分子が含まれるが、それらに限定されるわけではない。過剰増殖障害の治療または改善のために有用であることが公知である、またはそのために用いられてきた、もしくは現在用いられている任意の物質を、式Iを有する化合物と組み合わせて用いることができる。過剰増殖障害の治療または改善のために用いられてきた、もしくは現在用いられている治療薬に関する情報については、例えば、Hardman et al, eds., 2002, Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Therapeutics 10th Ed, Mc-Graw-Hill, New York, NY参照。
【0098】
本発明の方法および組成物において有用な特定の化学療法剤には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、エピポドフィロトキシン、抗生物質、ホルモンおよびホルモン拮抗剤、酵素、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、イミダゾテトラジン誘導体、細胞保護剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、生体応答調節剤、レチノイド、治療抗体、分化誘導剤、免疫調節剤、血管形成阻害剤および抗血管形成剤が含まれる。
【0099】
特定の化学療法剤には、アバレリックス、活性ビタミンD化合物、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生菌、ベバセイズマブ(bevaceizumab)、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルステロン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロランブシル、シナカルセット、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロン、エリオットB液、エピルビシン、エポエチンアルファ、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲフィチニブ、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロン、ノフェツモマブ、オブリメルセン、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペグアデマーゼ、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポリフェプロサン、ポルフィマー、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、タルセバ、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、およびゾレドロネートが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0100】
化学療法剤は、過剰増殖障害の治療に有効であると当業者によって認識されている用量で投与しうる。特定の態様において、化学療法剤は、式Iを有する化合物の相加または相乗効果のため、当技術分野において用いられるものよりも低い用量で投与してもよい。
【0101】
本発明の方法および組成物において有用な治療薬には、活性ビタミンD化合物またはその模倣物質、抗新生物剤(例えば、アクチノマイシンD、イリノテカン、ビンクリスチン、ビノレルビン、SN-38、アザシチジン(5-アザシチジン、5AzaC)、サリドマイド ビンブラスチン、メトトレキセート、アザチオプリン、フルオロウラシル、ドキソルビシン、マイトマイシン、ドセタキセル、パクリタキセル)、血管形成阻害剤(例えば、VEGF-TRAP、アンジオスタチン、エンドスタチン、VEGFのアプタマーアントゴニスト(antogonist)、バチマスタット、カプトプリル、軟骨由来阻害剤、ゲニステイン、インターロイキン12、ラベンダスチン、酢酸メドロキシプレゲステロン、組換えヒト血小板因子4、テコガラン、トロンボスポンジンおよびTNP-470)、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、HDAC阻害剤、プロテアソーム阻害剤、CDK阻害剤、HSP阻害剤、血管拡張剤(例えば、硝酸塩、カルシウムチャネル遮断剤)、抗凝血剤(例えば、ヘパリン)、抗血小板剤(例えば、アスピリン、IIb/IIIa受容体の遮断剤、クロピドグレル)、抗トロンビン(例えば、ヒルジン、イロプロスト)、免疫抑制剤(例えば、シロリムス、トラニラスト、デキサメタゾン、タクロリムス、エベロリムス、A24)、コラーゲンシンセターゼ阻害剤(例えば、ハロフジノン、プロピルヒドロキシラーゼ、C-プロテイナーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤)、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬)、17β-エストラジオール、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、コルヒチン、線維芽細胞成長因子拮抗剤、ヒスタミン拮抗剤、ロバスタチン、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断剤、チオプロテアーゼ阻害剤、血小板由来成長因子拮抗剤、酸化窒素、およびアンギオペプチンが含まれる。一つの態様において、治療薬はタキサン、例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルである。
【0102】
特定の態様において、本発明の化合物を含む組成物の投与の前に患者を低酸素撮像技術に供する。低酸素腫瘍細胞の存在を調べるのに適した撮像技術の例には、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、およびポジトロン放射断層撮影法(PET)が含まれる。例示として、PET撮像技術を用いて物質の低酸素組織と血液との比をもとめてもよく、低酸素組織で保持率が高い。1つのそのような物質の例は[F-18]フルオロミソニダゾール(FMISO)である。例えば、患者に0.05〜0.5mCi/KgのFMISOを注射した後、PET撮像を行ってもよい。低酸素を示すために、組織と血液(T:B)のFMISO比を、スキャンの放出部分で得た静脈血を用い、カットオフT:B比を、例えば、1.2で計算してもよい。そのような可視化法を有利に用いて、本発明の低酸素により活性化される抗増殖組成物での治療に特に適した患者の部分集団を選択することができる。
【0103】
この態様において、本発明はそれを必要としている動物における過剰増殖疾患を治療、予防または改善する方法であって、該過剰増殖疾患が低酸素組織によって特徴づけられるかどうかを調べる段階、および該動物を本発明の化合物の有効量で治療する段階を含む方法を目的とする。
【0104】
本明細書において用いられる「放射線療法剤」なる用語は、癌(それに限定されるわけではない)を治療または改善するのに有効であることが当業者に公知の任意の放射線療法剤を意味することが意図される。例えば、放射線療法剤は、近接照射療法または放射性核種療法で投与されるものなどの任意の物質でありうる。そのような方法は任意に、化学療法、手術、および/またはもう一つの放射線療法などであるが、それらに限定されるわけではない、1つまたは複数の追加の癌療法の投与をさらに含むことができる。
【0105】
放射線療法剤または治療に関与する特定の態様において、本発明は癌の治療法であって、5-FU類縁体または式Iを有するプロドラッグN-オキシドの、近接照射療法の治療上有効な線量を含む治療と組み合わせての投与を含む方法に関する。近接照射療法は、癌(それに限定されるわけではない)の治療または改善において有効であることが当業者に公知の、任意のスケジュール、線量、または方法に従って投与することができる。一般に、近接照射療法は、腫瘍が放射線源に最大限に曝露される一方で、好ましくは健常組織の曝露を最小限にするような、癌を治療する被験者の体内、好ましくは腫瘍自体の内部への放射線源の挿入を含む。
【0106】
特定の態様において、近接照射療法は腔内近接照射療法でありうる。他の態様において、近接照射療法は組織内近接照射療法でありうる。近接照射療法が腔内近接照射療法または組織内近接照射療法のいずれであろうと、近接照射療法は高線量率、持続的低線量率、またはパルス線量率で投与することができる。例えば、限定のためではなく、高線量率近接照射療法は6日間にわたって10分割で投与する60Gyの線量でありうる一方で、持続的低線量率近接照射療法は1時間に約40から50cGyで持続的に投与する、約65Gyの全線量でありうる。高線量率、持続的低線量率、およびパルス線量率近接照射療法の他の例は当技術分野において公知である。例えば、Mazeron et al, Sem. Rad Onc. 12:95-108 (2002)参照。
【0107】
前述の近接照射療法のいずれかにおいて投与しうる代表的放射性同位体には、リン32、コバルト60、パラジウム103、ルテニウム106、ヨウ素125、セシウム137、インジウム192、キセノン133、ラジウム226、カリホルニウム252、または金198が含まれるが、それらに限定されるわけではない。他の放射性同位体はそのような放射性同位体の望ましい物理的特性に従って近接照射療法における投与のために選択しうる。当業者であれば、放射性同位体の半減期、放出された放射線が周囲の組織に透過する程度、放出された放射線のエネルギー、放射性同位体を十分に遮蔽する難易度、放射性同位体の入手可能性、および投与前の放射性同位体の形状を変える難易度を含むが、それらに限定されるわけではない、多くの特性が放射性同位体の近接照射療法における使用のための適性に影響をおよぼすことを容易に理解するであろう。
【0108】
近接照射療法にとって有用なさらなる投与法ならびに機器および組成物は米国特許第6,319,189号、第6,179,766号、第6,168,777号、第6,149,889号、および第5,611,767号に記載されている。
【0109】
放射線療法剤または治療に関与する特定の態様において、本発明は癌の治療法であって、5-FU類縁体または式Iを有するプロドラッグN-オキシドの、放射性核種の治療上有効な線量を含む治療と組み合わせての投与を含む方法に関する。放射性核種療法は、癌(それに限定されるわけではない)の治療または改善において有効であることが当業者に公知の、任意のスケジュール、線量、または方法に従って投与することができる。一般に、放射性核種療法は、優先的に癌細胞内に蓄積する、または癌細胞の表面に結合する放射性同位体の全身投与を含む。放射性核種の優先的蓄積は、放射性核種の急速に増殖している細胞への取り込み、特別な標的指向なしの放射性核種の癌組織による特異的蓄積(例えば、甲状腺癌におけるヨウ素131蓄積)、または放射性核種の新生物に特異的な生体分子への結合を含むが、それらに限定されるわけではない、いくつかのメカニズムによって仲介されうる。
【0110】
放射性核種療法において投与しうる代表的放射性同位体には、リン32、イットリウム90、ジスプロシウム165、インジウム111、ストロンチウム89、サマリウム153、レニウム186、ヨウ素131、ヨウ素125、ルテチウム177、およびビスマス213が含まれるが、それらに限定されるわけではない。これらの放射性同位体はすべて生体分子と連結して標的指向の特異性を提供しうるが、ヨウ素131、インジウム111、リン32、サマリウム153、およびレニウム186はそのような結合をせずに全身投与してもよい。当業者であれば、放射性核種療法のために特定の新生物を標的指向する際に用いる特異的生体分子を、その新生物上に存在する細胞表面分子に基づいて選択してもよい。例えば、肝細胞癌を、そのような腫瘍でしばしば過剰発現されるフェリチンに特異的な抗体によって特異的に標的指向してもよい。癌の治療用の抗体標的指向放射性同位体の例には、ZEVALIN(イブリツモマブチウキセタン)およびBEXXAR(トシツモマブ)が含まれ、これらはいずれもB細胞抗原CD20に特異的な抗体を含み、非ホジキンリンパ腫の治療用に用いられる。
【0111】
特定の細胞に対する特異性を提供する生体分子の他の例は、Thomas, Cancer Biother. Radiopharm. 17:71-82 (2002)による論文に総説が記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。さらに、放射性核種療法にとって有用な投与法および組成物は米国特許第6,426,400号、第6,358,194号、第5,766,571号、および第5,563,250号において見いだされる。
【0112】
放射線療法剤または治療に関与する特定の態様において、本発明は癌の治療法であって、5-FU類縁体または式Iを有するプロドラッグN-オキシドの、体外ビーム放射線療法の治療上有効な線量を含む治療と組み合わせての投与を含む方法に関する。体外ビーム放射線療法は、癌(それに限定されるわけではない)の治療または改善において有効であることが当業者に公知の、任意のスケジュール、線量、または方法に従って投与することができる。一般に、体外ビーム放射線療法は、被験者内の規定の体積を高エネルギービームで照射し、それによりその体積内の細胞死を引き起こすことを含む。照射した体積は、好ましくは治療する癌全体を含み、かつ好ましくは可能なかぎり少ない健常組織を含む。
【0113】
特定の態様において、体外ビーム放射線療法は三次元原体照射法でありうる。他の態様において、体外ビーム放射線療法は持続的多分割放射線療法でありうる。さらに他の態様において、体外ビーム放射線療法は強度変調放射線療法でありうる。さらに他の態様において、体外ビーム放射線療法は線量を漸増しながらの三次元原体照射法でありうる。さらに他の態様において、体外ビーム放射線療法は、一分割定位放射線療法、分割定位放射線療法、および分割定位誘導原体照射法を含むが、それらに限定されるわけではない、定位放射線療法でありうる。
【0114】
体外ビーム放射線療法は、当業者には公知の任意の手段により生成または操作することができる。例えば、体外ビーム放射線療法において用いる光子ビームはマルチリーフコリメータによって整形することができる。体外ビーム放射線療法において用いる光子ビームを生成するための適当な装置の他の例には、ガンマナイフおよびライナック(linac)を用いた定位照射機器が含まれる。特定の態様において、体外ビーム放射線療法の投与を治療位置における患者の三次元モデルに従ってコンピュータにより制御する。そのようなモデルは、例えば、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、およびポジトロン放射断層撮影法(PET)によって生成することができる。そのような可視化法の使用は、治療する健常組織の体積を有利に最小化することができ、それにより患者に投与する全放射線量をより高くすることができる。
【0115】
加えて、例えば、鉛の遮蔽物などの遮断装置をそのような保護が必要な場所におくことにより、健常組織を任意に体外ビーム放射線療法の影響から保護することができる。代わりに、または加えて、放射線を癌組織に集中し、健常組織を保護するために、金属反射遮蔽物を任意において光子ビームを反射することもできる。いずれの遮蔽物の設置も当業者の知識の範囲内である。
【0116】
体外ビーム放射線療法にとって有用な投与法ならびに機器および組成物は米国特許第6,449,336号、第6,398,710号、第6,393,096号、第6,335,961号、第6,307,914号、第6,256,591号、第6,245,005号、第6,038,283号、第6,001,054号、第5,802,136号、第5,596,619号、および第5,528,652号において見いだされる。
【0117】
放射線療法剤または治療に関与する特定の態様において、本発明は癌の治療法であって、5-FU類縁体または式Iを有するプロドラッグN-オキシドの、温熱療法の治療上有効な量を含む治療と組み合わせての投与を含む方法に関する。温熱療法は、癌(それに限定されるわけではない)の治療または改善において有効であることが当業者に公知の、任意のスケジュール、量、または方法に従って投与することができる。特定の態様において、温熱療法は凍結融解壊死療法でありうる。他の態様において、温熱療法は高体温(hyperthermic)療法でありうる。さらに他の態様において、温熱療法は腫瘍の温度を高体温療法よりも高く上昇させる療法でありうる。
【0118】
凍結融解壊死療法は、細胞内および細胞外の氷結晶の沈着;細胞膜、タンパク質、および細胞小器官の破壊;ならびに高浸透圧環境の誘導につながり、それにより細胞死を引き起こす、新生物塊の凍結を含む。凍結融解壊死療法は1、2、またはそれ以上の凍結-解凍周期で実施することができ、さらに凍結および解凍の期間は当業者であれば腫瘍細胞死を最大とするよう調節することができる。凍結融解壊死療法において用いることができる1つの例示的装置は、真空断熱液体窒素を組み込んだクリオプローブである。例えば、Murphy et al, Sem. Urol. Oncol. 19:133-140 (2001)参照。しかし、約-180℃から約-195℃の局所温度を達成しうる任意の装置を凍結融解壊死療法において用いることができる。凍結融解壊死療法において有用な方法および機器は米国特許第6,383,181号、第6,383,180号、第5,993,444号、第5,654,279号、第5,437,673号、および第5,147,355号に記載されている。
【0119】
高体温療法は典型的には新生物塊の温度を約42℃から約44℃の範囲まで上昇させることを含む。癌の温度をこの範囲よりもさらに上げてもよい;しかし、そのような温度は周囲の健常組織への損傷を増やす一方で、治療する腫瘍内の細胞死を増加させないこともある。腫瘍を高体温療法において当業者には公知の任意の手段によって加熱しうるが、それらに限定されるわけではない。例えば、限定のためではなく、腫瘍をマイクロ波、高密度焦点式超音波、強磁性サーモシード、局所電流場、赤外線照射、湿式または乾式ラジオ波焼灼療法、レーザー光凝固、レーザー組織内温熱療法、および電気焼灼法により加熱してもよい。マイクロ波およびラジオ波は導波管アプリケータ、ホーン、らせん、電流シート、およびコンパクトアプリケータによって発生させることができる。
【0120】
腫瘍の温度を上げるための他の方法ならびに機器および組成物は、Wust et al., Lancet Oncol. 3:487-97 (2002)により総説が記載され、米国特許第6,470,217号、第6,379,347号、第6,165,440号、第6,163,726号、第6,099,554号、第6,009,351号、第5,776,175号、第5,707,401号、第5,658,234号、第5,620,479号、第5,549,639号、および第5,523,058号に記載されている。
【0121】
放射線療法剤または治療に関与する特定の態様において、本発明は癌の治療法であって、5-FU類縁体または式Iを有するプロドラッグN-オキシドの、放射線外科術の治療上有効な線量を含む治療と組み合わせての投与を含む方法に関する。放射線外科術は、癌(それに限定されるわけではない)の治療または改善において有効であることが当業者に公知の、任意のスケジュール、線量、または方法に従って投与することができる。一般に、放射線外科術は、被験者内の規定の体積を手動誘導した放射線源に曝露し、それによりその体積内の細胞死を引き起こすことを含む。照射した体積は、好ましくは治療する癌全体を含み、かつ好ましくは可能なかぎり少ない健常組織を含む。典型的には、治療する組織をまず通常の外科技術を用いて露出し、次いで放射線源を外科医が手動でその領域に誘導する。または、例えば、腹腔鏡を用いて放射線源を照射する組織の近くに設置することもできる。放射線外科術にとって有用な方法および機器はValentini et al, Eur. J. Surg. Oncol. 28:180-185 (2002)および米国特許第6,421,416号、第6,248,056号、および第5,547,454号にさらに記載されている。
【0122】
放射線療法剤または治療に関与する特定の態様において、本発明は癌の治療法であって、5-FU類縁体または式Iを有するプロドラッグN-オキシドの、荷電粒子放射線療法の治療上有効な線量を含む治療と組み合わせての投与を含む方法に関する。荷電粒子放射線療法は、癌(それに限定されるわけではない)の治療または改善において有効であることが当業者に公知の、任意のスケジュール、線量、または方法に従って投与することができる。特定の態様において、荷電粒子放射線療法はプロトンビーム放射線療法でありうる。他の態様において、荷電粒子放射線療法はヘリウムイオン放射線療法でありうる。一般に、荷電粒子放射線療法は、被験者内の規定の体積を荷電粒子ビームで照射し、それによりその体積内の細胞死を引き起こすことを含む。照射した体積は、好ましくは治療する癌全体を含み、かつ好ましくは可能なかぎり少ない健常組織を含む。荷電粒子放射線療法の投与法は米国特許第5,668,371号に記載されている。
【0123】
放射線療法剤または治療に関与する特定の態様において、本発明は癌の治療法であって、5-FU類縁体または式Iを有するプロドラッグN-オキシドの、中性子放射線療法の治療上有効な線量を含む治療と組み合わせての投与を含む方法に関する。中性子放射線療法は、癌(それに限定されるわけではない)の治療または改善において有効であることが当業者に公知の、任意のスケジュール、線量、または方法に従って投与することができる。
【0124】
特定の態様において、中性子放射線療法は中性子捕捉療法でありうる。そのような態様において、中性子で照射すると放射線を放出し、好ましくは新生物塊に蓄積する化合物を被験者に投与する。続いて、腫瘍を低エネルギー中性子ビームで照射して、化合物を活性化し、癌細胞を死滅させる崩壊生成物を放出させる。そのような化合物は、典型的にはホウ素含有化合物であるが、一般的な体の構成要素よりも著しく大きい中性子捕捉断面を有する任意の化合物を用いることができる。そのような治療法で投与する中性子は、典型的には約0.5eV以下のエネルギーを有する比較的低エネルギーの中性子である。活性化される化合物は、下記に記載のとおり、またはLaramore, Semin. Oncol. 24:672-685 (1997)および米国特許第6,400,796号、第5,877,165号、第5,872,107号、および第5,653,957号に記載の方法における、放射性核種の標的指向に撮って有用な任意の方法に従って、標的組織に優先的に蓄積させることができる。
【0125】
他の態様において、中性子放射線療法は速中性子放射線療法でありうる。一般に、速中性子放射線療法は被験者内の規定の体積を中性子ビームで照射し、それによりその体積内の細胞死を引き起こすことを含む。照射した体積は、好ましくは治療する癌全体を含み、かつ好ましくは可能なかぎり少ない健常組織を含む。一般に、そのような治療法においては、約1000万から約1億eVの範囲のエネルギーを有する高エネルギー中性子を投与する。任意に、速中性子放射線療法は混合プロトン-中性子放射線療法の投与において荷電粒子放射線療法と組み合わせることができる。
【0126】
放射線療法剤または治療に関与する特定の態様において、本発明は癌の治療法であって、5-FU類縁体または式Iを有するプロドラッグN-オキシドの、光力学療法の治療上有効な用量を含む治療と組み合わせての投与を含む方法に関する。光力学療法は、癌(それに限定されるわけではない)の治療または改善において有効であることが当業者に公知の、任意のスケジュール、用量、または方法に従って投与することができる。一般に、光力学療法は、新生物塊に優先的に蓄積し、新生物を光に対して感作する光増感剤を投与し、次いで腫瘍を適当な波長の光に曝露することを含む。そのような曝露後、光増感剤は、例えば、癌細胞を死滅させる一重項酸素などの細胞毒性物質の生成を触媒する。
【0127】
光力学療法において用いうる代表的光増感剤には、ポルフィマーナトリウム、5-アミノレブラン酸(5-aminolaevulanic acid)およびベルテポルフィンなどのポルフィリン;テモポルフィンなどのクロリン;ルテチウムテキセフィリン(lutetium texephyrin)などのテキサフィリン;エチオプルプリンすずなどのプルプリン;フタロシアニン;ならびに二酸化チタンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。光増感剤を活性化するために用いる光の波長は、皮膚の下の腫瘍の深度および投与する光増感剤の吸収スペクトルを含むいくつかの因子に応じて選択することができる。光曝露の期間も、光増感剤による光の吸収の効率および細胞毒性物質へのエネルギーの移動の効率に応じて変動しうる。そのような決定は当業者の技術の範囲内である。
【0128】
光力学療法の投与法ならびにそれにとって有用な機器および組成物はHopper, Lancet Oncol. 1:212-219 (2000)および米国特許第6,283,957号、第6,071,908号、第6,011,563号、第5,855,595号、第5,716,595号、および第5,707,401号に開示されている。
【0129】
過剰増殖障害を治療する際に用いる特定の放射線線量および投与法はいずれも様々な因子に依存することが理解されるであろう。したがって、本発明の方法に従って用いることができる放射線の線量は、各状況の特定の必要条件によって決定される。線量は腫瘍のサイズ、腫瘍の位置、患者の年齢および性別、投与の頻度、他の腫瘍の有無、転移の可能性などの因子に依存することになる。放射線療法の当業者であれば、Hall, E. J., Radiobiology for the Radiologist, 5th edition, Lippincott Williams & Wilkins Publishers, Philadelphia, PA, 2000;Gunderson, L. L. and Tepper J. E., eds., Clinical Radiation Oncology, Churchill Livingstone, London, England, 2000;およびGrosch, D. S., Biological Effects of Radiation, 2nd edition, Academic Press, San Francisco, CA, 1980を参照することにより、任意の特定の腫瘍に対する線量および投与法を容易に確認することができる。特定の態様において、放射線療法剤および治療は、式Iを有する化合物の相加または相乗効果のため、当技術分野において公知のものよりも低い線量で投与してもよい。
【0130】
本発明の組成物は任意の適当な様式での投与、例えば、経口または口腔内投与のために、例えば、単位用量剤形、錠剤の形、液剤、ゼラチンカプセル化剤形を含む硬もしくは軟カプセル化剤形、サシェ、またはロゼンジで用いてもよい。組成物は非経口または局所、例えば、皮膚への適用のために、例えば、クリーム、ペースト、ローション、ゲル、軟膏、湿布、パップ、硬膏、皮膚パッチなどの形で、または眼への適用のために、例えば、点眼剤、眼用ローションまたは眼用ゲル製剤の形で投与してもよい。容易に流動可能な剤形、例えば、液剤、乳剤および懸濁剤を、例えば、病巣内注入のために用いてもよく、または例えば、浣腸もしくは坐剤として直腸投与してもよく、または例えば、鼻スプレーもしくはエアロゾルとして鼻内投与してもよい。微結晶粉末を吸入、例えば、鼻、副鼻腔、咽頭または肺への送達のために製剤してもよい。経皮組成物/装置およびペッサリーを本発明の化合物の送達用に用いてもよい。組成物は式Iを有する化合物(または他の活性作用物質)の送達を増強する物質、例えば、リポソーム、ポリマーまたはコポリマー(例えば、分枝鎖ポリマー)をさらに含んでいてもよい。本発明の好ましい剤形には経口剤形および静脈内剤形が含まれる。
【0131】
静脈内剤形には、ボーラスおよび点滴注入が含まれるが、それらに限定されるわけではない。好ましい態様において、静脈内剤形は典型的には被験者の汚染菌に対する自然の防御を迂回するため、無菌であるか、または被験者への投与前に滅菌可能である。静脈内剤形の例には、米国薬局方注射用水;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、ならびに乳酸リンゲル注射液を含むが、それらに限定されるわけではない、水性媒体;エチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを含むが、それらに限定されるわけではない、水混和性媒体;ならびにとうもろこし油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルおよび安息香酸ベンジルを含むが、それらに限定されるわけではない非水性媒体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0132】
本発明の薬学的組成物は、1つまたは複数の添加物をさらに含んでいてもよい。当技術分野において周知の添加物には、例えば、粘着性低下剤、消泡剤、緩衝化剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、リンゴ酸、フマル酸、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびトコフェロール、例えば、α-トコフェロール(ビタミンE))、保存剤、キレート剤、粘性調節剤、等張化剤、着香剤、着色剤、着臭剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、充填剤、可塑剤、滑沢剤、およびその混合物が含まれる。そのような添加物の量は、当業者であれば、所望の特定の特性にしたがって容易に決定することができ、式Iを有する化合物が安定である、例えば、抗酸化添加物によって還元されないように製剤することができる。
【0133】
添加物は増粘剤を含んでいてもよい。適当な増粘剤は、例えば、薬学的に許容されるポリマー材料および無機増粘剤を含む、当技術分野において公知であり、かつ使用されるものでありうる。本発明の薬学的組成物において用いられる例示的増粘剤には、ポリアクリレートおよびポリアクリレートコポリマー樹脂、例えば、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸/メタクリル酸樹脂;アルキルセルロース、例えば、メチル-、エチル-およびプロピルセルロースを含むセルロースおよびセルロース誘導体;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシプロピルアルキルセルロース;アシル化セルロース、例えば、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロースおよびフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのその塩;例えば、ポリ-N-ビニルピロリドンを含むポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーなどのビニルピロリドンコポリマー;例えば、ポリ酢酸ビニルおよびアルコールを含むポリビニル樹脂、ならびにトラガカントガム、アラビアゴム、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸、および例えばアルギン酸ナトリウムなどのその塩を含む他のポリマー材料;ならびにアタパルジャイト、ベントナイトおよび親水性二酸化ケイ素産物、例えば、アルキル化(例えばメチル化)シリカゲル、特にコロイド状二酸化ケイ素産物を含むケイ酸塩などの無機増粘剤が含まれる。
【0134】
前述の増粘剤は、例えば、徐放性効果を提供するために含まれていてもよい。しかし、経口投与が意図される場合は、増粘剤の使用は必要とさないこともある。増粘剤の使用は一方で、例えば局所適用が予想される場合に指示される。
【0135】
本発明の一つの態様において、式Iを有する化合物を、例えば、米国特許第6,653,319号に記載のとおりに製剤する。
【0136】
式Iを有する化合物の用量は特定の化合物の活性および/または毒性、治療中の状態、ならびに投与用に用いている薬学的組成物の物理的形状に応じて変動することになるが、指標として、1日に体重1kgあたり0.1から20mgの範囲で選択された用量が適当であることが多いが、1日に体重1kgあたり0.1から50mgなどのより高い用量が有用でありうると言うこともできる。当業者であれば、適当な用量を決定する方法を熟知している。式Iを有する化合物の毒性、活性および/または選択性を評価する方法は、抗増殖活性試験を含む当技術分野において公知の任意の方法を用いて実施してもよい。
【0137】
特定の場合において、式Iを有する化合物の用量は、例えば、少なくとも第二の過剰増殖障害治療と組み合わせて用いる場合に低くなり、特定の化合物の活性および/または毒性、治療中の状態、ならびに投与用に用いている薬学的組成物の物理的形状に応じて変動することになる。
【0138】
本発明の組成物を単位用量剤形に製剤する場合、式Iを有する化合物は好ましくは単位用量あたり0.01から2000mgの間の量で存在することになる。より好ましくは、単位用量あたりの式Iを有する化合物の量は約0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、もしくは2000mgまたはその間の任意の量となる。
【0139】
組成物の単位用量剤形がカプセル剤の場合、カプセル剤中に存在する要素の総量は、好ましくは約10〜1000μLである。より好ましくは、カプセル剤中に存在する要素の総量は約100〜300μLである。もう一つの態様において、カプセル剤中に存在する要素の総量は、好ましくは約10〜1500mg、好ましくは約100〜1000mgである。
【0140】
本発明の組成物中の要素の相対的な割合は、当然のことながら、対象となる特定の型の組成物に依存して相当変動することになる。相対的な割合は、組成物中の要素の特定の機能に依存しても変動する。相対的な割合はまた、用いる特定の要素、および生成組成物の所望の物理的特徴に依存して、例えば、局所使用のための組成物の場合、これが流動性の液体か、またはペーストであるかによっても変動する。任意の特定の状況における実行可能な割合の決定は一般に、当業者の能力の範囲内である。したがって、以下に指定する割合および相対重量範囲はすべて、個別に発明の教示を示すに過ぎず、その最も広い局面において本発明を制限しないと理解される。
【0141】
本発明の組成物中の式Iを有する化合物の量は、当然のことながら、例えば、意図された投与経路および他の成分が存在する程度に依存して変動することになる。しかし一般に、式Iを有する化合物は、組成物の総重量に対して約0.005重量%から20重量%の量で適当に存在する。特定の態様において、式Iを有する化合物は、組成物の総重量に対して約0.01重量%から15重量%の量で存在する。
【0142】
前述に加えて、本発明は、本明細書において既に定義した薬学的組成物を製造する過程も提供し、この過程はその個々の成分を均質な混合物とする段階、また必要に応じて、得られた組成物を単位用量剤形に配合する段階、例えば、該組成物を錠剤、ゼラチン、例えば、軟もしくは硬ゼラチンカプセル剤、または非ゼラチンカプセル剤中に充填する段階を含む。
【0143】
本発明のマンニッヒ塩基N-オキシドの出発原料は公知で、それらのいくつかは、例えば、米国特許第3,322,747号、第3,948,897号、第4,757,139号、第5,032,680号、第5,530,003号、第5,614,505号、第5,808,049号および第6,702,705号に記載されている。本発明のマンニッヒ塩基N-オキシドを調製するための他の出発原料の例には、カペシタビン(CAPとして公知、これは5-FUのプロドラッグである;例えば、Malet-Martino, M. et al., The Oncologist, 7:288-323 (2002)参照)、シタルビン(cytarbine)(Arc-aとして公知で、Cytosar-U(登録商標)、DepoCyst(登録商標)の商品名で販売されている)、5-ヨード-2'-デオキシシチジン(5-IDC、例えば、Koch, S. A. M, and Sloan, K. B. Phram. Res. 4:317 (1987)参照)、シチジン、アザシチジン(5-アザシチジン、5AzaC、Vidaza(商標))、5-アザ-2'-デオキシシチジン、2-ピリミドン-1-β-D-リボシド(ゼブラリン)、カルムスチン、テトラサイクリン(Achromycin(登録商標)[DSC]、Brodspec(登録商標)、EmTet(登録商標))、クロロテトラサイクリン(Aureomycin Soluble Powder Concentrate(登録商標))、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、3-[1,3-ジヒドロ-3-(ヒドロキシイミノ)-2H-インドル-2-イリデン]-1,3-ジヒドロ-2H-インドル-2-オン(インジルビン-3'-オキシム)、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、4-(3-ヒドロキシフェニル)-6-メチル-2-チオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-4H-ピリミジン-5-カルボン酸エチルエステル(モナストロール)、4-(4-メトキシフェニル)-6-メチル-2-チオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-4H-ピリミジン-5-カルボン酸エチルエステル(DHP2)、パクリタキセル、ノナタキセル、7,12-ジヒドロインドロ[3,2-d][1]ベンズアゼピン-6(5H)-オン(パウロン)および9-ブロモ-7,12-ジヒドロインドロ[3,2-d][1]ベンズアゼピン-6(5H)-オン(ケンパウロン)が含まれる。ヌクレオシド(例えば、デオキシシチジン)は一、二または三リン酸化されて、ヌクレオチド一、二または三リン酸を生成しうることが理解されるであろう。したがって、本発明のマンニッヒ塩基N-オキシドの出発原料には、本発明において開示されるヌクレオシドのすべてのヌクレオチド一、二および三リン酸も含まれる。
【0144】
例えば、N-H含有薬物のマンニッヒ塩基N-オキシドは、薬物をホルムアルデヒドと二級アミン存在下で反応させた後、得られる三級アミンの酸化によって調製してもよい。そのようなマンニッヒ塩基N-オキシドはN-H含有薬物の低酸素により活性化されるプロドラッグのファミリーを生成しうるか、またはこれらは生物活性を有しうる。一例として、ペプチド、カルボキサミド、スルホンアミド、ラクタムまたはイミドなどのN-H含有化合物のマンニッヒ塩基N-オキシドを、下記のスキームに従って調製してもよい:

式中、RCONHはカルボキサミド(例えば、ペプチド)などの生物活性薬物由来の残基である。本発明にとって適当でありうるN-H含有薬物の具体例には、TNP-470、CAP、エナウラシル(enauracil)、CDHP、カペシタビン、シタラビン、5-ヨード-2'-デオキシシチジン、シチジン、5-アザシチジン、5-アザ-2'-デオキシシチジン、2-ピリミドン-1-β-D-リボシド、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、モナストロール、DHP2、パクリタキセル、ノナタキセル、パウロンおよびケンパウロンが含まれる。
【0145】
同様に、スルホンアミドマンニッヒ塩基を、下記のスキームに示すとおりに調製してもよい。

【0146】
マンニッヒ塩基N-オキシドに変換しうる-N=C-基に結合されているN-H基を含む薬物の例はAra-Cである。

【0147】
マンニッヒ塩基N-オキシドの生成にとって適当でありうるイミドの例は、抗血管形成化合物TNP-470である。

【0148】
加えて、CAPを下記に示すとおりその対応するマンニッヒ塩基N-オキシドに変換してもよい。

【0149】
エニルウラシルおよびギメスタット(CDHP)のマンニッヒ塩基N-オキシドを、下記に示すとおり調製してもよい。

【0150】
様々なテトラサイクリン誘導体のマンニッヒ塩基N-オキシドを、下記に示すとおりに親化合物から調製してもよい。

【0151】
酸性N-Hを含む薬物のマンニッヒ塩基N-オキシドを、任意の適当な二級アミンを用いて調製してもよい。例えば、ピペリジンまたはモルホリンで調製した5-ヨード-2'-デオキシシチジンのマンニッヒ塩基を、5-ヨード-2'-デオキシシチジンについて以下に図示する。

【0152】
さらなる例として、モルホリンで調製した5-アザシチジンおよび5-アザ-2'-デオキシシチジンのマンニッヒ塩基N-オキシドを以下に示す。

【0153】
さらに、式IIの基-NR'3R'4はタキサン由来でありうる。例えば、米国特許第6,765,015号は、下記の一般式を有するタキサンを開示している:

式中、R'8はモノまたはジハロゲン化アシル基、アロイル基、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、またはヘテロアリールオキシカボニルであり;R'9は水素またはアシルであり、かつR'10は置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいアロイル、または置換されていてもよいヘテロアロイルである。これらのタキサンはマンニッヒ塩基N-オキシドに変換してもよく、これは下記のとおりに図示することができ、

式中、R'1R'2N基は適当な二級アミン由来である。
【0154】
適当な二級アミンの例には、式NHR'7C(=O)R'6のアミド薬物について以下に図示するとおり、ジメチルアミン、モルホリン、ピペリジンおよび4,4-ジフルオロピペリジンが含まれる:

式中、-NR'7C(=O)R'6基は、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、TNP-470、パウロン、ケンパウロン、エニルウラシル、タキサン、テモゾロミド、メルファランおよびその誘導体ならびにマイトマイシンおよびその誘導体を含むが、それらに限定されるわけではない、アミド含有薬物由来である。
【0155】
テガフールマンニッヒ塩基などのマンニッヒ塩基N-オキシドを用いて、5-FUマンニッヒ塩基N-オキシドを下記のスキームに示すとおりに調製してもよい。

【0156】
テガフールマンニッヒ塩基N-オキシドからテトラヒドロフル-2-イル基がなくなることで、5-FUマンニッヒ塩基N-オキシドが生成することになる。テガフールマンニッヒ塩基N-オキシドに類似の化合物、例えば、5-アザシチジン、5-アザ-2'-デオキシシチジン、5-ヨード-2'-デオキシシチジン、CAPおよびAra-Cのマンニッヒ塩基N-オキシドも同様の脱離を起こし、5-FU類縁体のマンニッヒ塩基N-オキシド生成を引き起こしうる。
【0157】
リボフラノシル置換ウラシル誘導体(上記参照)であるマンニッヒ塩基N-オキシドの多くも、リボフラノシル基の脱離およびN1が無置換のウラシル誘導体のマンニッヒ塩基N-オキシド生成を起こすと予想される。例示のために、例えば、1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-クロロウラシルおよび1-(5'-O-トリチル-β-D-リボフラノシル)-2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロ-5-アミノウラシルのマンニッヒ塩基N-オキシドはリボフラノシル基の脱離を起こし、それぞれ5-クロロウラシルおよび5-アミノウラシルのマンニッヒ塩基N-オキシドを生成すると予想される。したがって、テトラヒドロフリル-およびリボフラノシル置換5-FU類縁体は5-FUマンニッヒ塩基N-オキシドおよびその類縁体のプロドラッグであると考えてもよい。
【0158】
マンニッヒ塩基を生成するために用いるアミンの選択を通して、マンニッヒ塩基の加水分解安定性を制御することが可能でありうる。一般に、アミンの塩基性が強いほど、マンニッヒ塩基の加水分解に対する安定性は低い。同じ概念をマンニッヒ塩基N-オキシドにも拡大することができよう。したがって、例えば、ピペリジニルマンニッヒ塩基N-オキシドが加水分解に対して十分に安定でない場合には、モルホリンまたは4,4-ジフルオロピペリジンが加水分解安定性を高めると考えられる。
【0159】
5-FUおよびその類縁体の特定のマンニッヒ塩基N-オキシドは、それら自身に生物活性を有することもある。生体還元後に、速やかな加水分解を起こして親5-FU類縁体を生成するマンニッヒ塩基を生成する、低酸素により活性化可能なプロドラッグもありうる。
【0160】
マンニッヒ塩基における三級および/またはヘテロ芳香族アミン基を、公知の酸化剤を用いて選択的に酸化することができる。芳香族および三級アミン基からN-オキシドを調製するために当技術分野において公知の特定の酸化剤には、モノ過硫酸カリウム、モノペルオキシフタル酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム(MMPP)、過酸化水素、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸(MCPBA)、および2-フェニルスルホニル-3-フェニルオキサジリジン(デービス試薬)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。酸化反応はクロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、または酢酸などの溶媒中、任意に炭酸または炭酸水素アルカリまたはアルカリ土類金属存在下で実施することができる。反応は0℃から還流温度で約1から48時間行い、所望のN-オキシドの存在について定期的にチェックすることができる。アミンに結合している基に依存して、所望のビス-N-オキシドの生成物の適当な量を得るために、反応時間を相応に調節しなければならないこともある。Lee et al., “Nitracrine N-oxides: effects of variations in the nature of the side chain N-oxide on hypoxia-selective cytotoxicity” Anticancer Drug Des. 14(6):487-497 (1999)も参照されたい。
【0161】
特定の状況において、マンニッヒ塩基の複数の窒素原子を同時に酸化してもよい。特定の場合において、複数のN-オキシド基の1つ以上を選択的に還元し、他のN-オキシド基の1つ以上をそのままにしてもよい。したがって、本発明は、特定の窒素原子のN-オキシド生成に対する感受性または特定のN-オキシド基の還元に対する感受性には関係なく、N-オキシド生成に適した窒素原子の1つ以上がN-オキシドとして存在する、N-オキシド類縁体の調製を企図する。酸化を起こさない窒素原子を保護するために、適当な保護基の組み合わせを用いることが構想される(Greene, T. W.; Wuts, P. G. M. Protective Groups in Organic Synthesis, second edition, Wiley Interscience, 1991参照)。
【0162】
一例として、5-FU類縁体またはプロドラッグに存在する一級および二級アミンを、例えば、tert-ブチルスルホニル(BUS)基を用いて保護してもよい。Jarowicki, K. and Kocienski, P., J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 4005-4037, 4029 (1998);Sun, P. and Weinreb, S. M. J. Org. Chem. 62:8604-08 (1997)。BUS保護基はアミンの塩化tert-ブチルスルフィニルとの反応と、続くスルフィニルアミドの、例えば、ジメチルジオキシラン、m-クロロ過安息香酸またはRuCl3触媒NaIO4を用いての酸化により導入する。BUS保護一級または二級アミンの調製における酸化段階は化合物に存在する任意の三級アミンおよびヘテロ芳香族窒素を酸化することもある。したがって、この保護基を一級および二級アミンに導入する一方で、同時に三級およびヘテロ芳香族窒素原子を酸化しうる。
【0163】
BUS保護基はアルキルリチウム、グリニャール試薬、MeOH中の0.1M HCl(20℃、1時間)、ジクロロメタン中の0.1M TFA(20℃、1時間)および180℃での熱分解などの強い試薬に対して安定である。BUS保護二級アミンは、カチオン捕捉剤としてアニソールを含むジクロロメタン中の0.1Mトリフルオロメタンスルホン酸により0℃、15〜30分間で切断することができるが、一級アミンは室温でさらにゆっくり放出される。望まれる場合には、BUS保護一級および二級アミンの両方を、カチオン捕捉剤としてアニソールを含むジクロロメタン中の0.1Mトリフルオロメタンスルホン酸により25℃、2.5時間で脱保護してもよい。したがって、BUS保護基は一級および二級アミンを同時に保護する一方で、三級アミンおよびヘテロ芳香族窒素原子をN-オキシドに酸化することも可能にしうる。さらに、BUS保護基は一級および二級アミンを同時に保護し、三級アミンおよびヘテロ芳香族窒素原子をN-オキシドに酸化し、二級アミンを選択的に脱保護し、二級アミンを三級アミンにアルキル化し、得られた三級アミンを酸化し、かつ一級アミンを脱保護することを可能にしうる。または、一級および二級アミンをBUS保護基で保護し、二級アミンを選択的に脱保護し、二級アミンを、例えば、Boc保護基で保護し、次いで一級アミンを選択的に脱保護した後、アルキル化および酸化してもよい。したがって、一級アミンおよび二級アミンが5-FU類縁体に存在する場合、アミンの一方を他方に影響することなくN-オキシドに変換するためにBUS保護基を用いてもよい。
【0164】
アミンを保護するためのBoc基の使用における最近の発展は、緩和条件下での基の導入および除去を可能にする。例えば、5-FU類縁体またはプロドラッグのアミン基を、類縁体とBoc-ON(2-(Boc-オキシイミノ)-2-フェニルアセトニトリル、Aldrich Co.から市販)とを、ベンゼン中、粉末亜鉛存在下、25℃で20分間(またはアミンが電子欠乏アニリンであれば6時間)単純に混合することにより、Boc基で保護しうる。Spivey, A. C. and Maddaford A. Annu. Rep. Prog. Chem., Sect. B, 95:83-95 (1999)参照。アルキルエステルは耐容性がある。
【0165】
Boc保護アミンは一般にはトリフルオロメタンスルホン酸を用いて脱保護するが、最近の発展により一般には酸に不安定な基を影響をおよぼさずに脱離する緩和な酸性条件を用いる。例えば、Boc保護p-アニシジンを4-クロロフェノール存在下、180℃で加熱すると、アミン基は酸感受性のメトキシエノール(-CH=C(OCH3)-)に影響をおよぼすことなく脱保護される。Jarowicki, K. and Kocienski, P., J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 4005-4037, 4025 (1998)。したがって、5-FUにおける一級および二級アミンをBoc基で保護した後、三級アミンを酸化し、一級および二級アミンを脱保護してもよい。
【0166】
新しい塩基感受性アミノ保護基、1,1-ジオキソベンゾ[b]チオフェン-メトキシカルボニル(Bsmoc)も最近報告された。Bsmocはそのクロロギ酸エステルまたはN-ヒドロキシ-スクシンイミド誘導体を介して導入する。Bsmoc基は三級アミンに対して24時間でも安定であるが、ピペリジンを用いて3〜5分以内に除去される。Jarowicki, K. and Kocienski, P., J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 4005-4037, 4027 (1998)。したがって、5-FU類縁体またはプロドラッグに存在する一級および二級アミンをBsmoc保護基で都合よく保護した後、三級アミンを酸化し、保護基を緩和な条件下で除去してもよい。
【0167】
以下の実施例は本発明の方法および組成物を例示するものであって、限定的なものではない。臨床療法において通常見られ、当業者には明白な、様々な条件およびパラメーターの他の適当な改変および適合は、本発明の精神および範囲内に含まれる。
【0168】
実施例
1H NMRスペクトルはINOVA-300 MHzまたはINOVA-500 MHz分光計から溶媒としてCDCl3を用いて記録した(s、d、t、ddおよびmはそれぞれ一重線、二重線、三重線、二重線の二重線、および多重線を示す)。分析用薄層クロマトグラフィをシリカゲル60Åであらかじめコーティングされた裏がポリエステルのプレート(SILG/UV254、UV254蛍光インジケータ付きのWhatman(登録商標) Flexible-Backed TLC Plate)で実施した。放射状薄層クロマトグラフィをHarrison Research Chromatron (7924T)において厚さ2mmのシリカプレート(石膏付きのシリカゲル60 PF254、EMD Chemicals, Inc.)で実施した。分析規模の高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)を4.6mm×250mm MICROSORB C18カラムで1800〜2100psiの圧を用いて行った。
【0169】
実施例1
ベンズアミドマンニッヒ塩基の調製
ベンズアミドマンニッヒ塩基7。水(5mL)中のベンズアミド1(0.11g、0.88mmol)、4,4-ジフルオロピペリジン6(0.11g、0.88mmol)およびホルムアルデヒド(0.065mL、37%水溶液、0.88mmol)の混合物を60℃でベンズアミドが溶解するまで加熱した。室温で24時間撹拌した後、Na2CO3(約100mg)を加え、所望の化合物をエーテル(3×10mL)で抽出した。合わせた抽出物をNa2SO4で乾燥した。溶媒を蒸発させて、粗製マンニッヒ塩基7を得、これをChromatotronでクロロホルム/メタノール混合物(50:1)を用いてクロマトグラフィにかけた。溶出物を濃縮して、ベンズアミドマンニッヒ塩基7(0.8g、35%)をTLCおよび1H NMRにより純粋な粘着性固体で得た。

【0170】
モデルベンズアミドマンニッヒ塩基4の合成を、文献の方法に従い、水中でベンズアミド1をホルムアルデヒド2およびジメチルアミン3と反応させて行った。Anker, L. et al., Helvetica Chimica Acta, 66:542-555 (1983)。

【0171】
実施例2
ベンズアミドマンニッヒ塩基N-オキシドの調製
N-オキシドマンニッヒ塩基8
0.01g(0.043mmol)のマンニッヒ塩基7を1mLのクロロホルムに溶解した。この溶液に、クロロホルム(1mL)中のm-クロロ過安息香酸(0.01g、0.06mmol)を室温で撹拌しながら加えた。溶液を室温で15分間撹拌した。溶媒を蒸発させて、粗製N-オキシド8を帯黄色油状物で得た。これを調製用TLCプレート上でクロロホルム/メタノール5:1混合物を用いてクロマトグラフィにかけた。所望の分画を集め、クロロホルム/メタノール5:1混合物で溶出した。溶出物を蒸発させて、N-オキシド8(0.05g、45%)をろう状固体で得、これはTLCおよび1H NMRにより純粋であった。

【0172】
N-オキシドマンニッヒ塩基5
ベンズアミドマンニッヒ塩基4をクロロホルム中のm-クロロ過安息香酸(MCPBA)を室温で用いてマンニッヒ塩基N-オキシド5に変換した。0.15g(0.84mmol)のマンニッヒ塩基4を2mLのクロロホルムに溶解した。この溶液に、クロロホルム(2mL)中のm-クロロ過安息香酸(0.22g、1.2mmol)を室温で撹拌しながら加えた。溶液を室温で30分間撹拌した。溶媒を蒸発させて、粗製N-オキシド5を帯黄色油状物で得た。これをChromatotronで2mmディスクを用いてクロマトグラフィにかけた。m-クロロ安息香酸および他のより速く溶出する不純物を5:1塩化メチレン/メタノール混合物で溶出した。所望のN-オキシド5は5:3塩化メチレン/メタノール混合物で溶出した。溶出物を濃縮して、N-オキシド5(0.1g、61%)を油状物で得、これは冷凍庫で保存後にろう状固体となり、TLCおよびNMRで純粋であった。

【0173】
実施例3
ベンズアミドマンニッヒ塩基N-オキシドの調製:1段階法
N,N-ジメチルヒドロキシルアミン遊離塩基をN,N-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩から下記の方法に従って調製し、次いでメタノール溶液の形で用いた。
【0174】
N,N-ジメチルヒドロキシルアミンHCl(313.5mg、3.210mmol)を10mL丸底フラスコ中、2mLのMeOHに溶解した。NaOCH3(0.75mL、3.3 mmol、MeOH中25%)を10mL丸底フラスコ中の溶液に室温で撹拌しながら一度に加えた。白色固体が溶液から析出し、スラリーを5分間撹拌した。スラリーを減圧下でミクロンフィルターを通して清浄な25mL丸底フラスコ中にろ過した。反応フラスコに残った白色固体(NaCl)をMeOH(1×1mL)で洗浄して、残存アミンがあればそれを除去した。MeOH洗液をろ液と合わせ、下記のマンニッヒ塩基N-オキシド調製のためのN,N-ジメチルヒドロキシルアミンの供給源として用いた。
【0175】
ベンズアミド(386.9mg、3.198mmol)を25mL丸底フラスコ中の5mLのH2Oに懸濁した。ホルムアルデヒド(0.2mL、2mmol、H2O中37%)を懸濁液に室温で撹拌しながら一度に加えた。3mLのMeOH中のN,N-ジメチルヒドロキシルアミン(196mg、3.21mmol)(上記参照)を懸濁液に室温で撹拌しながら一度に加えた。反応溶液を含む丸底フラスコに冷却器をとりつけた。油浴を用いて反応溶液を68℃で終夜加熱した。24時間後、反応溶液を、TLCプレート上の前の合成中に生成したベンズアミドマンニッヒ塩基N-オキシドの隣にスポットし、5:1 CHCl3:CH3OHで溶出した。前の合成からのN-オキシドのスポットのRf値(Rf=0.7)は反応溶液からの主スポットのRf値と等しかったが、TLCは不完全な反応を示していた。したがって、反応混合物の温度を75℃に高め、72時間放置した。TLC分析により、反応はさらに進行したが、まだ不完全であることが示された。この時点で、反応溶液を冷却し、次いでEt2O(3×15mL)で抽出した。溶媒を各層から除去した。水層から得た黄色固体(297mg)をCHCl3(2mL)に溶解し、2mmのシリカゲルプレートにロードした。クロマトグラフィ中の主バンドはベンズアミドマンニッヒ塩基N-オキシドで、N-オキシドの独立に調製した試料と同じRf値を有していた。溶媒除去後、黄色固体を得た(35.1mg、収率9%)。
【0176】
実施例4
テガフールマンニッヒ塩基N-オキシドの調製
テガフールマンニッヒ塩基6
0.041g(0.5mmol)のホルムアルデヒド4(37%水溶液)を0.044g(0.5mmol)のモルホリン5に、氷/水浴温度で加え、続いて2mLのTHFを加えた。溶液を10分間撹拌し、0.1g(0.5mmol)のテガフールを加えた。テガフールは徐々に溶解した。混合物を室温に戻し、18時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を減圧下で乾燥して、マンニッヒ塩基6をTLCおよびNMRで100%に近い純度の白色ガラス状泡状物(0.15g、100%)で得た。試料をいかなる精製もせずに次の段階で用いた。

【0177】
テガフールマンニッヒ塩基N-オキシド7
マンニッヒ塩基6(0.13g、0.45mmol)をクロロホルム(1mL)に溶解した。この溶液にクロロホルム(1mL)中のMCPBA(m-クロロ過安息香酸、0.12g、0,68mmol)を加えた。混合物を30分間撹拌した(反応をTLCで出発原料が消費されるまでモニターした)。溶媒を蒸発させ、残渣をChromatotronおよび酢酸エチルメタノール混合物による溶出で精製した。移動が速く、極性の低い不純物を酢酸エチル/メタノールの5:1混合物で溶出し、所望のN-オキシドは5:2混合物で溶出した。N-オキシド7を収率77%(0.11g)で得、純度はTLCおよびNMRで約98%であった。

【0178】
テガフールマンニッヒ塩基N-オキシドを水に溶解し、続いて凍結乾燥して、テガフールマンニッヒ塩基N-オキシドを飛散性の白色粉末で得、これはフラスコから容易に取り出すことができる。
【0179】
実施例5
リンパ腫、白血病、および多発性骨髄腫における5-FU類縁体またはそのプロドラッグN-オキシドの細胞毒性
異なるリンパ腫、白血病、および多発性骨髄腫細胞株に対する5-FU類縁体またはそのプロドラッグN-オキシドの細胞毒性を、酸素正常条件ならびに1%O2低酸素条件下のインビトロで試験する。MTS色素を用いての標準細胞毒性アッセイを行い、各化合物のIC50をもとめる。細胞を化合物に24時間曝露し、薬物曝露の24〜72時間後に染色する。陽性対照は化学療法剤を当技術分野において有効であることが示されている用量で用いる。結果は5-FU類縁体またはプロドラッグが細胞株の多くに対して細胞毒性であり、そのIC50値はナノモル濃度からナノモル濃度以下の範囲であることを示すべきである。5-FU類縁体またはプロドラッグN-オキシドは酸素正常条件下で非N-オキシドに比べて活性が低いか、または不活性であると予想される。しかし、1%O2低酸素条件下では、5-FU類縁体またはプロドラッグN-オキシドは対応する親非N-オキシドへ変換され、これはマンニッヒ塩基の分解および5-FU類縁体またはプロドラッグの放出を引き起こしうると予想される。5-FU類縁体またはプロドラッグは細胞毒性であり、そのIC50値はミリモル濃度からナノモル濃度以下の範囲であると予想される。
【0180】
実施例6
固形腫瘍株における5-FU類縁体またはそのプロドラッグN-オキシドの細胞毒性
異なる固形腫瘍細胞株に対する5-FU類縁体またはそのプロドラッグN-オキシドの細胞毒性を、酸素正常条件および1%O2低酸素条件下のインビトロで試験する。MTS色素を用いての標準細胞毒性アッセイを行い、各化合物のIC50をもとめる。細胞を化合物に24時間曝露し、薬物曝露の24〜72時間後に染色する。当技術分野において有効であることが示されている用量の化学療法剤を陽性対照として用いる。結果は5-FU類縁体またはプロドラッグが細胞株の多くに対して細胞毒性であり、そのIC50値はナノモル濃度からナノモル濃度以下の範囲であることを示すと予想される。5-FU類縁体またはそのプロドラッグN-オキシドは対応する5-FU類縁体またはプロドラッグに比べて活性が低いか、または不活性であると予想される。
【0181】
実施例7
癌細胞における5-FU類縁体またはそのプロドラッグN-オキシドの抗増殖活性
樹立および原発性癌細胞および癌細胞株に対する5-FU類縁体またはそのプロドラッグN-オキシドの抗増殖活性を、酸素正常条件および1%O2低酸素条件下のインビトロで、1nMから10mMの範囲の濃度で試験する。抗増殖効果は5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(「BrDU」)取り込み技術を用いて評価する。細胞を化合物にBrDU存在下で24時間曝露する。BrDUは複製中の細胞DNAに取り込まれる。細胞を固定し、洗浄した後、取り込まれたBrDUを、ペルオキシダーゼに結合したBrDUに特異的な抗体を用いての特異的ELISAで定量する。N-オキシドは酸素正常条件下では、10mMまでの濃度で癌細胞における有意な抗増殖活性を持たないと予想される。しかし、N-オキシドは1%O2低酸素条件下では、癌細胞株に対して有意な抗増殖活性を示すと予想される。
【0182】
実施例8
マウス腫瘍モデルにおけるNH-酸性部位含有抗過剰増殖薬のマンニッヒ塩基N-オキシドの抗腫瘍活性
NH-酸性部位含有薬物のマンニッヒ塩基N-オキシドのインビボ抗腫瘍効果を、異種移植マウスモデルを用いて評価する。例えば、雄の5〜6週齢のヌードマウスのそれぞれの側の乳腺脂肪体に、ヒト癌細胞株、例えば、0.3mlの無血清培地中、約1×106 MDA-MB-231(2LMP)を注入して皮下に接種する。最良の異種移植受容体を用いる。NH-酸性部位含有薬物のマンニッヒ塩基N-オキシドによる治療を、腫瘍が直径約5〜7mmの平均に達した時点で開始し、4週間継続した後、2ヶ月間追跡する。
【0183】
試験動物を下記の治療群への5〜8匹のコホート群に分類する:対照(第1群);媒体対照(第2群)、媒体だけの1日1回投与;およびマンニッヒ塩基N-オキシド試験群(試験群)。様々な用量のマンニッヒ塩基N-オキシド試験薬を試験群に投与し、用量は親試験薬(すなわち、非マンニッヒ塩基N-オキシド)の通常のkgあたり用量の約10分の1から約10倍まで変動する。例えば、表1にいくつかの抗増殖薬について報告された用量、および親薬物の対応するマンニッヒ塩基N-オキシドの有効性を試験するために当業者が開始しうる対応する試験用量を記載している。
【0184】
(表1)マンニッヒ塩基N-オキシド化合物の代表的試験用量

*. Harvey, S. C., “Antineoplastic and Immunosuppressive Drugs,” in Remington's Pharmaceutical Sciences, Osol, A. et al., eds., Mack Publishing Company, Easton, PA, pp. 1081-1098 (1980)参照。
【0185】
試験用量は、そのような改変が特定の試験化合物に対して保証されていることを認識した上で、さらに増加または減少させてもよい。例えば、特定のマンニッヒ塩基N-オキシドはそれ自体の、例えば、抗増殖効果を発揮して、マンニッヒ塩基N-オキシドが生物学的に不活性となった場合よりも有効となることもある。そのような場合、低用量のマンニッヒ塩基N-オキシドが有効と判明することもある。さらに、より多くのコホート群を追加して、NH-酸性部位含有薬物の様々なマンニッヒ塩基N-オキシドのさらなる用量を試験してもよい。
【0186】
治療経過中に、各動物について腫瘍サイズおよび動物の体重を定期的に、例えば、1週間に1〜3回測定する。治療後、腫瘍サイズを定期的に、例えば、1週間に1〜3回測定し、動物の体重を1週間に1回測定する。腫瘍サイズおよび体重の観察は動物の治療群の知識なしに行う。
【0187】
データは、例えば、時間に対する腫瘍体積の自然対数を用いてモデル化する。様々な用量を投与した動物の成長速度の比較を行う。例えば、様々な用量についての腫瘍成長遅延および腫瘍成長阻害を対照と比較する。
【0188】
さらに、化学療法剤および/または放射線療法と組み合わせてのマンニッヒ塩基N-オキシドのインビボ抗腫瘍活性を、ヌードマウスにおける異種移植モデルを用いて評価する。
【0189】
ここまで本発明を詳細に記載してきたが、当業者であれば、広範で同等の条件、製剤および他のパラメーターの範囲内で、本発明またはその任意の態様の範囲に影響することなく、本発明を実施しうることを理解するであろう。本明細書において引用するすべての特許、特許出願および発行物は、その全体がすべて参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ:

式中、
R'1およびR'2はそれぞれ独立に直鎖もしくは分枝アルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、アリール、ヘテロアリールであるか、またはR'1およびR'2はそれらが結合している窒素原子と一緒にN、OおよびSからなる群より選択される1つもしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成し;かつ
R'3R'4N-は酸性N-H基を含む薬物の残基である。
【請求項2】
R'3およびR'4の一方が、それらが結合しているNと一緒に、またはNなしで、O、N、SおよびPからなる群より選択される1〜3つのヘテロ原子を含む置換されていてもよい5〜7員複素環の一部であり、該複素環は置換されていてもよい5〜7員炭素環または複素環と任意に縮合しており;R'3およびR'4の他方が水素、アルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいフェニルであるか;または
R'3およびR'4がそれらが結合している窒素原子と一緒に、-N-、-O-、-S-、-C(=O)-、-C=N-、-SO2-、-PO2-および-CX2-からなる群より選択される1〜3つの基を含む置換されていてもよい5〜7員複素環を形成し、ここで該複素環は置換されていてもよい5〜7員炭素環または複素環と任意に縮合している、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記-NR'3R'4基が、シタラビン、5-アザシチジン、5-アザ-2'-デオキシシチジン、6-シクロヘキシルメトキシ-2-(4'-スルファモイルアニリノ)プリン、6-ベンジルアミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-9-メチルプリン、(2R)-2-[[6-[3-クロロフェニルアミノ]-9-メチルエチル)-9H-プリン-2イル]アミノ]-3-メチル-1-ブタノール、ダカルバジン、フロクスウリジン、ロムスチン、メルカプトプリン、メトトレキセート、チオグアニン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、モナストロール、TNP-470、CAP、DHP2、パウロン、ケンパウロン、オロモウシン、テモゾロミド、シクロホスファミドおよびその類縁体、メルファランおよびその誘導体、ならびにマイトマイシンおよびその誘導体からなる群より選択される薬物の残基である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
下記式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ:

式中、R'1R'2Nは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ピペリジン、4,4-ジフルオロピペリジン、N-アルキルピペラジンおよびモルホリンからなる群より選択される二級アミンの残基であり;かつ
-R'7NC(=O)R'6基は、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、TNP-470、パウロン、ケンパウロン、エニルウラシル、テモゾロミド、メルファランおよびその誘導体ならびにマイトマイシンおよびその誘導体からなる群より選択される薬物の残基である。
【請求項5】
下記式IIIのタキサンマンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物:

式中、R'8はモノまたはジハロゲン化アシル基、アロイル基、ヘテロアロイル基、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルまたはヘテロアリールオキシカボニル(heteroaryloxycabonyl)であり、R'9は水素またはアシルであり、かつR'10は置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールオキシカボニル、置換されていてもよいアロイルまたは置換されていてもよいヘテロアロイルである。
【請求項6】
前記タキサンがパクリタキセル、ドセタキセル、ノナタキセルまたはアブラキサンである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
下記式IVを有するか、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物:

式中、
R1〜R4はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ;OC(=O)R11、OR12であるか、またはR1およびR2の1つとR3およびR4の1つは一緒になって二重結合もしくは-OC(=X)O-基を形成し、ここでXはSまたはOであり;
R5およびR6はそれぞれ独立に水素、アルキル、CH2OR13またはC(=O)-CR'R''Hであり;ここでR'はアルキル、アルコキシ、またはトリフルオロアセトアミドであり;R''はフェニルまたはフェニルメチルであり;
R7は水素、ハロ、アルキル、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、ジアルキルアミンN-オキシド、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメチルアミンであり;
R8およびR9はそれぞれ独立にアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルであるか、またはR8およびR9はそれらが結合している窒素と一緒になってN、O、S、SOおよびSO2からなる群より選択される1、2もしくは3つのヘテロ原子を含む複素環を形成し、該複素環はヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲンまたはヒドロキシアルキルからなる群より選択される1〜4つの置換基を有し;
R10は、R7がジアルキルアミンN-オキシドではない場合にR10はOであるとの条件で、Oであるかまたは存在せず;
R11は水素、アシル、アルキルカルボキシ、アルキルであり;
R12は水素、アシルまたは下記の式の基であり、

式中、X1およびX2は独立にOまたはSであり;R4は置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいベンジルまたは置換されていてもよいナフチルであり;R5はアルキルまたはアルケニルであり;かつ
R13は水素、アシル、アルキルカルボキシ、アルキル、アラルキル、単糖、または下記の式の基であり、

式中、X1およびX2は独立にOまたはSであり;R6は置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいベンジルまたは置換されていてもよいナフチルであり;R7はアルキルまたはアルケニルである。
【請求項8】
下記式Vを有するか、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項7記載の化合物:


【請求項9】
下記式VIを有するか、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項7記載の化合物:


【請求項10】
前記式IIの化合物が下記式VIIを有するテガフールマンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項7記載の化合物:


【請求項11】
過剰増殖障害を治療、改善、または予防する方法であって、それを必要としている動物に請求項1記載の化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法。
【請求項12】
以下の段階を含む、それを必要としている動物において、過剰増殖障害を治療、予防または改善する方法:
(a)該過剰増殖障害が低酸素組織によって特徴づけられるかどうかを決定する段階、および
(b)該動物を請求項1記載の化合物の有効量で治療する段階。
【請求項13】
前記化合物がシタラビン、5-アザシチジン、5-アザ-2'-デオキシシチジン、カルムスチン、6-シクロヘキシルメトキシ-2-(4'-スルファモイルアニリノ)プリン、6-ベンジルアミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-9-メチルプリン、(2R)-2-[[6-[3-クロロフェニルアミノ]-9-メチルエチル)-9H-プリン-2イル]アミノ]-3-メチル-1-ブタノール、ダカルバジン、フロクスウリジン、ロムスチン、メルカプトプリン、メトトレキセート、チオグアニン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、モナストロール、TNP-470、CAP、DHP2、パウロン、ケンパウロン、タキサン、テモゾロミド、シクロホスファミドおよびその類縁体、メルファランおよびその誘導体、ならびにマイトマイシンおよびその誘導体からなる群より選択される薬物のマンニッヒ塩基N-オキシドである、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が下記式Vを有するか、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項11または12記載の方法:


【請求項15】
前記化合物が下記式VIを有するか、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項11または12記載の方法:


【請求項16】
前記化合物が下記式VIIを有するテガフールマンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項11または12記載の方法:


【請求項17】
前記過剰増殖障害が癌である、請求項11または12記載の方法。
【請求項18】
前記動物を前記化合物の投与前または投与中に、コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴映像法、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法およびポジトロン放射断層撮影法からなる群より選択される撮像技術に供する段階をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項19】
癌が膀胱、脳、乳房、子宮頸、結腸、子宮内膜、食道、頭頸部、腎臓、咽頭、肝臓、肺、口腔、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、胃、または精巣の癌である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
癌が急性および慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、子宮頚部過形成、絨毛癌、慢性顆粒球性白血病、慢性リンパ球性白血病、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、本態性血小板増多症、尿生殖器癌、有毛細胞白血病、頭頸部癌、ホジキン病、カポジ肉腫、肺癌、リンパ腫、悪性カルチノイド癌、悪性高カルシウム血症、悪性黒色腫、悪性膵インスリノーマ、甲状腺髄様癌、黒色腫、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄性およびリンパ球性白血病、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、骨原性肉腫、卵巣癌、膵臓癌、真性赤血球増加症、原発性脳癌、原発性マクログロブリン血症、前立腺癌、腎細胞癌、横紋筋肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、およびウィルムス腫瘍からなる群より選択される、請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記過剰増殖障害が加齢性黄斑変性症、クローン病、肝硬変、慢性炎症関連障害、増殖性糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症、未熟児網膜症、肉芽腫症、臓器もしくは組織移植に関連する免疫過剰増殖、免疫増殖性疾患もしくは障害、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、網膜低酸素症に続発する血管過剰増殖、または血管炎である、請求項17記載の方法。
【請求項22】
1つまたは複数の他の活性作用物質または治療を動物に投与する段階をさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記1つまたは複数の他の活性作用物質または治療が化学療法剤、放射線療法剤/治療、抗血管形成剤、血管標的剤、HIF1阻害剤、Hsp90阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、HDAC阻害剤、カスパーゼ誘導物質、CDK阻害剤、およびアポトーシス促進分子からなる群より独立に選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
化学療法剤がアバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生菌、ベバセイズマブ(bevaceizumab)、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルステロン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロランブシル、シナカルセット、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロン、エリオットB液、エピルビシン、エポエチンアルファ、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲフィチニブ、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロン、ノフェツモマブ、オブリメルセン、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペグアデマーゼ、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポリフェプロサン、ポルフィマー、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、タルセバ、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、およびゾレドロネートからなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記抗血管形成剤がベバシズマブ、アンジオスタチン、エンドスタチン、バチマスタット、カプトプリル、軟骨由来阻害剤、ゲニステイン、インターロイキン12、ラベンダスチン、酢酸メドロキシプレゲステロン(medroxypregesterone acetate)、組換えヒト血小板因子4、テコガラン、トロンボスポンジン、TNP-470、抗VEGFモノクローナル抗体、可溶性VEGF受容体キメラタンパク質、抗VEGF受容体抗体、抗PDGF受容体、インテグリンの阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド、siRNA、抗VEGFアプタマーおよび色素上皮由来因子からなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記化合物を前記活性作用物質または治療の投与の前に投与する、請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記化合物を前記活性作用物質または治療の投与と同時に投与する、請求項22記載の方法。
【請求項28】
前記化合物の投与を前記活性作用物質または治療の投与の後も継続する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記化合物を前記活性作用物質または治療の投与の後に投与する、請求項22記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1回繰り返される、請求項22記載の方法。
【請求項31】
請求項1記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項32】
前記化合物がシタラビン、5-アザシチジン、5-アザ-2'-デオキシシチジン、カルムスチン、ダカルバジン、フロクスウリジン、ロムスチン、メルカプトプリン、メトトレキセート、チオグアニン、6-シクロヘキシルメトキシ-2-(4'-スルファモイルアニリノ)プリン、6-ベンジルアミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-9-メチルプリン、(2R)-2-[[6-[3-クロロフェニルアミノ]-9-メチルエチル)-9H-プリン-2イル]アミノ]-3-メチル-1-ブタノール、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、インジルビン-3'-オキシム、インジルビン-5-スルホン酸、5-クロロインジルビン、トリプロスタチンA、トリプロスタチンB、モナストロール、TNP-470、CAP、DHP2、パウロン、ケンパウロン、テモゾロミド、シクロホスファミドおよびその類縁体、メルファランおよびその誘導体、ならびにマイトマイシンおよびその誘導体からなる群より選択される薬物由来のマンニッヒ塩基N-オキシドである、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記化合物が下記式IIIのタキサンマンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項31記載の薬学的組成物:

式中、R'8はモノまたはジハロゲン化アシル基、アロイル基、ヘテロアロイル基、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルまたはヘテロアリールオキシカボニルであり、R'9は水素またはアシルであり、かつR'10は置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールオキシカボニル、置換されていてもよいアロイルまたは置換されていてもよいヘテロアロイルである。
【請求項34】
前記タキサンがパクリタキセルである、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記化合物が下記の式を有するテガフールマンニッヒ塩基N-オキシド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項31記載の薬学的組成物:


【請求項36】
前記化合物が下記式Vを有するか、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項31記載の薬学的組成物:


【請求項37】
前記化合物が下記式IVを有するか、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項31記載の薬学的組成物:


【請求項38】
化学療法剤、抗血管形成剤、血管標的剤、HIF1阻害剤、Hsp90阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、HDAC阻害剤、カスパーゼ誘導物質、CDK阻害剤、およびアポトーシス促進分子からなる群より独立に選択される1つまたは複数の活性作用物質をさらに含む、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記化学療法剤がアバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生菌、ベバセイズマブ、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルステロン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロランブシル、シナカルセット、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロン、エリオットB液、エピルビシン、エポエチンアルファ、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲフィチニブ、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロン、ノフェツモマブ、オブリメルセン、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペグアデマーゼ、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポリフェプロサン、ポルフィマー、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、タルセバ、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、およびゾレドロネートからなる群より選択される、請求項38記載の薬学的組成物。
【請求項40】
前記抗血管形成剤がベバシズマブ、アンジオスタチン、エンドスタチン、バチマスタット、カプトプリル、軟骨由来阻害剤、ゲニステイン、インターロイキン12、ラベンダスチン、酢酸メドロキシプレゲステロン、組換えヒト血小板因子4、テコガラン、トロンボスポンジン、TNP-470、抗VEGFモノクローナル抗体、可溶性VEGF受容体キメラタンパク質、抗VEGF受容体抗体、抗PDGF受容体、インテグリンの阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド、siRNA、抗VEGFアプタマーおよび色素上皮由来因子からなる群より選択される、請求項38記載の薬学的組成物。

【公表番号】特表2010−522165(P2010−522165A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554553(P2009−554553)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/003550
【国際公開番号】WO2008/115499
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(502418376)ステイト オブ オレゴン アクティング バイ アンド スルー ザ オレゴン ステイト ボード オブ ハイヤー エデュケイション オン ビハーフ オブ ザ ユニバーシティー オブ オレゴン (5)
【Fターム(参考)】