説明

マーク検出装置と駆動制御装置と画像形成装置

【目的】 無端移動部材におけるマークを光学センサによって検出する場合でも、その光学センサの出力をその周囲の温度変化や光学センサ自体の経時劣化等の環境変化に関係なく安定化させる。
【構成】 マークセンサ(光学センサ)が、中間転写ベルト(無端移動部材)におけるスケールのマークを検出するための受光素子115の出力を安定化させるサーミスタ304(温度補償回路)を設けると共に、受光素子115から出力されるアナログ信号をLPF312(平均化手段)が平均化して出力し、その出力に基づいて駆動回路311(光量調整手段)がトランジスタ309によって発光素子111の光量調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無端ベルト部材やドラム状部材等の無端移動部材を適切に無端移動させるためのマーク検出装置、それを接続した駆動制御装置、およびそれを備えた複写機,プリンタ,ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置として、複数個の感光体(第1の像担持体)上にそれぞれ形成された各単色トナーによる単色画像を中間転写体(第2の像担持体)上に順次転写してその各単色画像を重ね合わせた合成カラー画像を形成させる複数個の1次転写部(1次転写手段)と、それによって中間転写体上に形成された合成カラー画像を用紙上に一括転写する2次転写部(2次転写手段)とを備えたものや、感光体上に順次形成される各単色トナーによる単色画像を中間転写体上に順次転写してその各単色画像を重ね合わせた合成カラー画像を形成させる1次転写部と、それによって中間転写体上に形成された合成カラー画像を用紙上に一括転写する2次転写部とを備えたものがある。
【0003】
このような画像形成装置、つまりベルト状又はドラム状の感光体や中間転写体等の画像形成用の無端移動部材(無端ベルト部材やドラム状部材)を備えた画像形成装置においては、無端移動部材やそれで搬送される用紙(転写材)上の画像(トナー画像)の位置合わせを高精度に行うために、その無端移動部材(実際はその移動面)の移動量および移動位置を正確に制御することが要求される。
ところが、無端移動部材である無端ドラム状部材(感光体ドラムや中間転写ドラム)あるいは無端ベルト状部材(感光体ベルトや中間転写ベルト)を移動(回動)させるための駆動ローラ(回転体)の回転角速度が何らかの原因で変動すると、その無端移動部材の移動速度,移動量,および移動位置も変動し、その無端移動部材やそれで搬送される用紙上の画像の位置誤差を高精度に抑制することが困難になるという問題がある。
【0004】
そこで、そのような問題を解消するため、無端ドラム状部材や駆動ローラ(無端ベルト状部材を移動させるためのもの)の回転角速度の変動による画像の位置誤差を高精度に抑制するために、無端ドラム状部材の回転軸や駆動ローラの回転軸にロータリエンコーダを直結し、このロータリエンコーダによって検出された無端ドラム状部材や駆動ローラの回転角速度に基づいて、その無端ドラム状部材や駆動ローラの駆動手段である駆動モータの回転角速度を制御するようにした画像形成装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この画像形成装置は、無端ドラム状部材や駆動ローラの回転角速度を制御することにより、その無端ドラム状部材や無端ベルト状部材の移動量(移動位置)を間接的に制御するものである。
【0005】
一方、ベルト(無端ベルト状部材)の外周面(表面)または内周面(裏面)にその移動方向に沿って所定間隔で連続するようにマーク(又は穴)を形成し、そのマークをセンサによって検出して得られたパルス間隔からベルト面の移動速度を算出して駆動制御にフィードバックするようにした画像形成装置も提案されている(例えば特許文献2〜4参照)。この画像形成装置によれば、ベルト表面の挙動を直接観測できるため、その移動量を直接制御することができる。これにより、ベルトを駆動させるための駆動ローラの偏心、駆動ローラとベルトの滑り、そしてベルトの厚み偏差による計測誤差を低減できる。
【特許文献1】特許第3107259号公報
【特許文献2】特開平6−263281号公報
【特許文献3】特開平9−114348号公報
【特許文献4】特開平11−24507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したようなベルト面の移動量を直接制御する画像形成装置では、ロータリエンコーダのように安定した信号の出力が可能な場合には有効であるが、ベルト面にマークを形成した場合、そのマークを光学センサ(発光素子と受光素子とを用いたもの)によって検出すると、その光学センサ(受光素子)の出力がその周囲の温度変化や光学センサ自体の経時劣化等の環境変化によって安定せず、画像品質に悪影響を与えるという問題がある。
【0007】
また、ベルト面の移動量を直接制御する画像形成装置では、ロータリエンコーダのように切れ目のない信号出力が可能な場合には有効であるが、ベルト面にマークを形成した場合、マークの切れ目があると、その部分で速度計測にエラーが生じ、動作が不安定になるという問題もある。
前述した特許文献2〜4に記載の画像形成装置では、ベルト面へのマーク形成方法について言及されていないが、ベルトの柔軟性・周長偏差などによって等間隔(一定間隔)のマークを切れ目なく全周に亘って加工することは非常に困難である。
【0008】
例えば、ベルト形成時の金型に凹凸の加工を施してベルト成形することを考えた場合、一般的にベルトの周長を制御するために金型から取り出した後のアニーリング行程で熱が均一に与えられないことや、成形後のベルト内部のひずみによって収縮率が全体で不均一になるため、できあがったマークは一定間隔にはならない。また、印刷や接着を考えた場合にも、ベルトの周長公差が0.2〜0.3%とすると、周長500mmのベルトでは1mm以上の偏差があり、切れ目(継ぎ目)なくマークを形成することは非常に困難であることがわかる。
【0009】
また、上記のマークの切れ目以外に、マークが汚れたり傷がついたりしても、光学センサがマークを検出できなくなり、信号出力に切れ目が生じてしまうが、画像形成装置では、トナーなどの汚れの要因となるものがベルトの近傍にあるため、マークに汚れや傷が付きやすいと思われる。
そこで、マークの切れ目等によって光学センサの信号出力に切れ目が生じてしまう場合にも安定した制御を行う方法として、マークの切れ目等を検知可能にし、マークの切れ目等を検知した場合に別の制御方法に切り替えることで安定した制御を行う方法が考えられる。しかし、この方法を行うには、マークの切れ目,汚れや傷を検知する手段や方法が必要となる。
【0010】
そのため、次のようにすることが考えられる。
ベルトにマークを作成する過程でできてしまうマークの切れ目は、初めから存在の有無や位置がわかっているので、例えばマークの切れ目のみを検知するための専用のマークと光学センサを用いてマークの切れ目を検知可能にし、マークの切れ目を検知した場合に別の制御方法に切り替えることで安定した制御を行うことができる。
しかし、汚れや傷などは、装置作成時ではなく、装置が使用されている途中で現れることが多く、ベルト面のマークのどの部分で現れるのかがわからないので、専用のマークを設けることなく、同一のマークからマークの切れ目,汚れや傷を検知できるようにする必要がある。
【0011】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、無端移動部材におけるマークを光学センサによって検出する場合でも、その光学センサの出力をその周囲の温度変化や光学センサ自体の経時劣化等の環境変化に関係なく安定化させることを目的とする。また、専用のマークと光学センサを使用せずに、無端移動部材におけるマークの間隔が予め決められた範囲外となる不連続部分(マークの切れ目)や汚れや傷等の欠陥部分に相当するマーク検出不可部分を正確に検知できるようにすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記の目的を達成するため、マーク検出装置、それを接続した駆動制御装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【0013】
請求項1の発明によるマーク検出装置は、無端移動する無端移動部材の無端移動方向に沿って等間隔で連続するように形成された複数のマーク(穴でもよい)を光学的に検出して、該無端移動部材の移動によるマークの有無により連続的に変調されたアナログ信号を出力する(例えば無端移動部材の移動量を直流成分に正弦波交流信号を重畳した電気信号であるアナログ交番信号に変換して出力する)光学センサと、該光学センサから出力されるアナログ信号を2値化信号に変換する2値化手段とを有するマーク検出装置であって、 上記光学センサに発光素子と受光素子とを備え、上記受光素子の出力を安定化させる温度補償手段を設けたものである。
請求項2の発明によるマーク検出装置は、請求項1のマーク検出装置において、上記温度補償手段にサーミスタを用いたものである。
【0014】
請求項3の発明によるマーク検出装置は、無端移動する無端移動部材の無端移動方向に沿って等間隔で連続するように形成された複数のマークを光学的に検出して、該無端移動部材の移動によるマークの有無により連続的に変調されたアナログ信号を出力する光学センサと、該光学センサから出力されるアナログ信号を2値化信号に変換する2値化手段とを有するマーク検出装置であって、上記光学センサに発光素子と受光素子とを備え、上記受光素子から出力されるアナログ信号を平均化して出力する平均化手段と、該平均化手段の出力に基づいて上記発光素子の光量調整を行う光量調整手段とを設けたものである。
【0015】
請求項4の発明によるマーク検出装置は、請求項3のマーク検出装置において、上記平均化手段をローパスフィルタとしたものである。
請求項5の発明によるマーク検出装置は、請求項3又は4のマーク検出装置において、上記受光素子の出力を安定化させる温度補償手段を設けたものである。
請求項6の発明によるマーク検出装置は、請求項5のマーク検出装置において、上記温度補償手段を上記受光素子の出力側に設けられたものである。
【0016】
請求項7の発明によるマーク検出装置は、請求項5のマーク検出装置において、上記温度補償手段を上記光量調整手段の出力側に設けられたものである。
請求項8の発明によるマーク検出装置は、請求項5のマーク検出装置において、上記温度補償手段を上記受光素子の出力側と上記光量調整手段の出力側の両方に設けられたものである。
請求項9の発明によるマーク検出装置は、請求項5〜8のいずれかのマーク検出装置において、上記温度補償手段にサーミスタを用いたものである。
【0017】
請求項10の発明によるマーク検出装置は、請求項3〜9のいずれかのマーク検出装置において、上記光量調整手段に、上記平均化手段の出力値を所定の基準値と比較する比較手段と、該比較手段による比較結果に応じて上記発光素子の駆動電流を制御する駆動電流制御手段とを備えたものである。
請求項11の発明によるマーク検出装置は、請求項10のマーク検出装置において、上記比較手段を前記平均化手段の出力値をそれぞれ異なる所定の基準値と比較して、その比較結果に応じた信号を出力する複数のコンパレータによって構成し、上記駆動電流制御手段が、上記複数のコンパレータの出力信号の組み合わせに応じて上記発光素子の駆動電流を段階的に切り替えるものである。
【0018】
請求項12の発明によるマーク検出装置は、請求項3〜11のいずれかのマーク検出装置において、上記マークの間隔が予め決められた範囲外となるマーク検出不可部分(マークの切れ目等の不連続部分や汚れや傷等の欠陥部分に相当する)が上記光学センサの検出領域に存在するか否かを上記アナログ信号の出力変化(特に正弦波交流信号の振幅の大きさの変化)から判定し、上記マーク検出不可部分が上記検出領域に存在する場合にエラー信号を出力するエラー検出手段を設けたものである。
【0019】
請求項13の発明によるマーク検出装置は、請求項12のマーク検出装置において、上記エラー検出手段が、上記光学センサから出力されるアナログ信号を平均化する平均化手段を備え、該平均化手段の出力値を所定の基準値と比較することにより、上記マーク検出不可部分が上記光学センサの検出領域に存在するか否かを判定し、上記マーク検出不可部分が上記検出領域に存在する場合にエラー信号を出力するものである。
請求項14の発明によるマーク検出装置は、請求項13のマーク検出装置において、上記エラー検出手段の平均化手段をローパスフィルタとしたものである。
【0020】
請求項15の発明によるマーク検出装置は、請求項12のマーク検出装置において、上記エラー検出手段が、上記平均化手段の出力値を所定の基準値と比較することにより、上記マーク検出不可部分が上記光学センサの検出領域に存在するか否かを判定し、上記マーク検出不可部分が上記検出領域に存在する場合にエラー信号を出力するものである。
請求項16の発明によるマーク検出装置は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のマーク検出装置を接続し、該マーク検出装置から出力された2値化信号に基づく制御信号を用いて上記無端移動部材の速度制御又は位置制御を行うものである。
【0021】
請求項17の発明による駆動制御装置は、請求項12又は15のマーク検出装置を接続し、上記エラー検出手段の出力に基づいて、上記光学センサの検出領域に上記マーク検出不可部分が存在していないことを認識した場合には、上記2値化手段が出力する2値化信号に基づく制御信号を用いて速度制御又は位置制御を行い、上記光学センサの検出領域に上記マーク検出不可部分が存在していることを認識した場合には、上記光学センサの検出領域に上記マーク検出不可部分が存在していない場合とは異なる速度制御又は位置制御を行う速度・位置制御手段を設けたものである。
【0022】
請求項18の発明による駆動制御装置は、請求項13又は14のマーク検出装置を接続し、上記マーク検出装置に、上記エラー検出手段を複数備え、その各エラー検出手段の平均化手段をそれぞれカットオフ周波数が異なるローパスフィルタとし、上記複数のエラー検出手段からそれぞれ出力されるエラー信号のうちのいずれかを上記無端移動部材の移動速度に応じて選択して出力するエラー信号選択手段を設けたものである。
【0023】
請求項19の発明による駆動制御装置は、請求項18の駆動制御装置において、上記エラー信号選択手段の出力に基づいて、上記光学センサの検出領域に上記マーク検出不可部分が存在していないことを認識した場合には、上記2値化手段が出力する2値化信号に基づく制御信号を用いて速度制御又は位置制御を行い、上記光学センサの検出領域に上記マーク検出不可部分が存在していることを認識した場合には、上記光学センサの検出領域に上記マーク検出不可部分が存在していない場合とは異なる速度制御又は位置制御を行う速度・位置制御手段を設けたものである。
請求項20の発明による駆動制御装置は、請求項16〜19のいずれかの駆動制御装置において、上記無端移動部材をベルト又はドラムとしたものである。
【0024】
請求項21の発明による画像形成装置は、請求項16〜19のいずれかの駆動制御装置と、複数のマークが無端移動方向に沿って等間隔で連続するように形成された無端移動部材と、該無端移動部材を無端移動するための駆動力を該無端移動部材に伝達するための駆動力伝達手段とを備え、上記駆動制御装置が、上記駆動力伝達手段の駆動制御を行うようにしたものである。
請求項22の発明による画像形成装置は、上記無端移動部材を、搬送ベルト,転写ベルト,中間転写ベルト,感光体ベルト,転写ドラム,中間転写ドラム,感光体ドラムのいずれかとしたものである。
【発明の効果】
【0025】
この発明のマーク検出装置によれば、無端移動部材におけるマークを検出するための光学センサの受光素子の出力を安定化させる温度補償手段を設けることにより、無端移動部材におけるマークを光学センサによって検出する場合でも、周囲の温度変化や光学センサ自体の経時劣化等の環境変化による光学センサの出力変化を抑制することができる(光学センサの出力を環境変化に関係なく安定化させることができる)ため、2値化回路からのマーク信号(矩形信号)のエッジ精度の低下を防止することができる。あるいは、上記光学センサの受光素子から出力されるアナログ信号を平均化して出力し、その出力に基づいて上記光学センサの発光素子の光量調整を行うことによっても、光学センサの出力を環境変化に関係なく安定化させることができる。
【0026】
また、無端移動部材におけるマークの間隔が予め決められた範囲外となるマーク検出不可部分が光学センサの検出領域に存在するか否かを光学センサの出力変化から判定し、上記マーク検出不可部分が上記検出領域に存在する場合にエラー信号を出力することにより、そのエラー信号を受ける側(駆動制御装置)で無端移動部材におけるマーク検出不可部分を検知できることになる。つまり、専用のマークと光学センサを使用せずに、無端移動部材におけるマーク検出不可部分を正確に検知することができる。
【0027】
この発明の駆動制御装置によれば、上記マーク検出装置を用いることにより、コストアップせずに、無端移動部材の速度制御又は位置制御を適切に行うことができる。
この発明の画像形成装置によれば、上記駆動制御装置を用いることにより、コストアップせずに適切な画像形成を行え、画像品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図2は、この発明による画像形成装置の一実施形態であるカラー複写機の内部構成例を示す構成図である。
【0029】
このカラー複写機は、タンデム型間接転写方式の電子写真装置であり、複写機本体(装置本体)1の下部に用紙Pを積載する複数段(この例では4段)の給紙カセット22を備えた給紙バンク(給紙部)2を、上部に原稿を自動的にコンタクトガラス31(図2)上に給送する自動原稿給送部(以下「ADF」という)3を、中央部にプリンタ部(画像形成部)20をそれぞれ配置している。なお、給紙バンク2には、必要に応じて別の給紙部を増設することも可能である。
【0030】
ADF3の手前側の複写機本体1の上面に、図示しない操作部が設けられており、そこにはコピー動作を開始するためのスタートキーや、コピー枚数等をセットするためのテンキー、両面モード(用紙の表裏両面に画像を形成するモード)を含む各種モード,用紙サイズ,コピー濃度等を選択するキー、各種の表示を行う液晶表示器などを備えている。
プリンタ部20の上方には原稿画像を読み取るスキャナ部23を、そのプリンタ部20の図2で左側には排紙トレイ(排紙収納部)24をそれぞれ設けており、その排紙トレイ24には画像形成された用紙Pが排紙収納される。
【0031】
プリンタ部20には、それぞれ表面(但し予め帯電されている)が露光されて静電潜像が形成される複数の第1の像担持体となるドラム状の感光体(以下「感光体ドラム」という)26Y,26M,26C,26K(以下総称して「感光体ドラム26」ともいう)と、その各感光体ドラム26の表面に形成された静電潜像をそれぞれ各色のトナーで可視像化して単色のトナー画像(以下「単色画像」という)を形成する各現像部63と、その各感光体ドラム26上に形成された各単色画像が順次1次転写されることによって4色重ねの合成カラー画像が形成される第2の像担持体であるドラム状の中間転写体(以下「中間転写ベルト」という)25とが設けられており、その中間転写ベルト25は矢示A方向に回動するようになっている。
【0032】
図2に示した各感光体ドラム26(26Y,26M,26C,26K)のそれぞれの回りには、その各感光体ドラム26の表面を一様に帯電処理する各帯電部62と、その各感光体ドラム26上の単色画像(可視像)を中間転写ベルト25に1次転写した後に各感光体ドラム26上に残った未転写トナー(残留トナー)を除去回収するクリーニング処理を行う各感光体クリーニング部64とをそれぞれ設けている。
このプリンタ部20の上部には、そのプリンタ部20の各感光体ドラム26上のそれぞれ露光位置(帯電面)に、それぞれ各色の画像情報に対応したレーザ光を照射してそこに静電潜像を形成する露光部7を設けている。
【0033】
また、プリンタ部20の用紙搬送上流側にレジスト部を構成するレジストローラ33を、そのプリンタ部20の用紙搬送下流側に定着部28をそれぞれ設け、そのレジストローラ33により用紙のスキュー補正を行うと共に、その用紙を感光体ドラム26上のトナー画像とタイミングをとって、中間転写ベルト25と2次転写対向ローラ54との間の2次転写部へ向けて給送するようにしている。そして、その2次転写部で、中間転写ベルト25上に担持した合成カラー画像を給紙バンク2内のいずれかの給紙カセット22あるいは手差し給紙トレイ70から給紙した用紙Pに順次2次転写し、その合成カラー画像を定着部28で熱と圧力とを加えて定着する。その定着部28の下流側には、定着部28を通過した用紙を排紙トレイ24上に排出する排紙ローラ41を設けている。
【0034】
さて、いま、このカラー複写機を用いてコピーをとるときは、ユーザがADF3の原稿台上に原稿をセットする。または、ADF3を開いてスキャナ部23のコンタクトガラス31上に原稿をセットし、ADF3を閉じてそれで押さえる。
そして、操作部上のスタートキーを押すと、カラー複写機は次のような動作を行う。
すなわち、まず、ADF3の原稿台に原稿がセットされている場合には、その原稿をコンタクトガラス31上へ自動給送した後、コンタクトガラス31上に直接原稿がセットされている場合には、直ちに、スキャナ部23を駆動し、第1走行体32aおよび第2走行体32bを図2で左右方向に往復移動させる。
【0035】
そして、第1走行体32aで原稿照明用の光源を点灯させると共に原稿面からの反射光を更に反射して第2走行体32bに向け、第2走行体32bのミラーで反射して結像レンズ34を通してCCD(読み取りセンサ)35に入れ、原稿の画像を読み取る。このとき、R(レッド),G(グリーン),B(ブルー)の色分解光毎に光電変換され、電気的なR,G,Bの画像信号が出力される。そのRGB画像信号はデジタル化されて画像処理がなされ、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の画像信号として露光部7へ送られ、その内部のレーザダイオードがPM(Phase Modulation)又はPWM(Pulse Width Modulation)等の変調方式によって駆動されることにより、原稿画像に対応するレーザ光が射出される。そして、そのレーザ光により、図示しないポリゴンミラーやレンズを介して各感光体ドラム26の帯電面(帯電部62による)が露光され、そこに静電潜像が形成される。
【0036】
また、スタートキーの押下により、図示しない駆動モータによって駆動ローラ51を回転駆動して他のローラ52,53を従動回転させ、中間転写ベルト25を回動させる。同時に、プリンタ部20で各感光体ドラム26を回転させて各感光体ドラム26上の静電潜像にそれぞれ各現像部63によりY,M,C,Kの各単色トナーを付着させ、各単色のトナー画像(単色画像)を形成する。
そして、中間転写ベルト25の回動とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト25上に4色重ねの合成カラー画像を形成する。
【0037】
すなわち、最初に感光体ドラム26Y上のY画像(イエロー色の画像)を図2の矢示A方向に回動している中間転写ベルト25上に1次転写ローラ65(図3)により1次転写し、次にそのY画像が感光体ドラム26Mの位置まで移動したときに、そこにM画像(マゼンタ色の画像)を重ね合わせて1次転写ローラ65により1次転写する。そのM画像を転写した部分が感光体ドラム26Cの位置まで移動したときに、そこにC画像(シアン色の画像)を重ね合わせて1次転写ローラ65により1次転写し、更にそのC画像を転写した部分が感光体ドラム26Kの位置まで移動したときに、そこにK画像(ブラック色の画像)を重ね合わせて1次転写ローラ65により1次転写する。
【0038】
そして、そのY,M,C,Kの4色を重ね合わせた合成カラー画像が中間転写ベルト25の回動により、その内側に位置する2次転写ローラ53と外側に位置する2次転写対向ローラ54との間の2次転写位置まで移動すると、そのタイミングに一致するように同期がとられて給送された用紙(記録紙)に、2次転写ローラ53により一括転写する。
このように、このカラー複写機は、中間転写ベルト25が1回動して1つの合成カラー画像を形成する作像プロセスを行う。
そして、その中間転写ベルト25上の4色重ねの合成カラー画像が用紙に一括転写された後は、その中間転写ベルト25上に残留する未転写トナーが中間転写クリーニング部(ベルトクリーニング部)55により除去回収される。
【0039】
合成カラー画像が定着されて定着部28を通過した用紙は、片面モード(用紙の片面にのみ画像を形成するモード)が設定されている場合には、排紙ローラ41により排紙トレイ24に排出される。
また、両面モードが設定されている場合には、定着部28と排紙ローラ41との間の搬送経路上に設けている分岐爪43により、用紙がプリンタ部20の下側に配設している両面部29に送り込まれ、それが反転されて再びレジストローラ33に搬送され、今度は裏面(第2面)に合成カラー画像が形成された後に排紙ローラ41により排紙トレイ24上に排出される。
【0040】
一方、用紙を給送する給紙バンク2には、各給紙段ごとに給紙部4がそれぞれ設けられている。
その各給紙段の給紙部4は、用紙Pを積載する底板5と、その底板5に積載された用紙Pを同図で反時計回り方向に回転することにより給送するピックアップコロ6と、そのピックアップコロ6により給送された用紙Pが複数枚であったときにはそれを1枚に分離するフィードコロとリバースコロとからなる分離手段8とを備えている。
この給紙部4からの給送は、給紙カセット22の底板5上に収納した未使用の用紙Pが、その底板5が上昇側に回動することにより最上位に位置する用紙がピックアップコロ6に当接する位置まで上昇し、その状態でピックアップコロ6が回転することにより給紙カセット22から送り出される。
【0041】
そこで、用紙Pが2枚以上送り出されたときには、それが分離手段8によって1枚に分離される。そして、その用紙Pが、停止状態にあるレジストローラ33へ搬送され、そこで一旦停止されて、その先端と中間転写ベルト25上の合成カラー画像との位置関係が正確に一致するタイミングで、そのレジストローラ33が回転を開始することによりプリンタ部20に向けて搬送される。以下、上述したプロセスを経て画像形成が行われ、それが排紙トレイ24に排出される。
【0042】
このように、このカラー複写機は、原稿を走査してその画像を読み取り、その画像情報をデジタル化して用紙に画像を形成するデジタル複写機としての機能の他に、図示しない制御部により原稿の画像情報を遠隔地との間で授受するファクシミリ装置としての機能や、コンピュータが扱う画像情報を用紙上に印刷するプリンタとしての機能も有する多機能の画像形成装置である。そして、どの機能によって形成した画像も、全て一つの排紙トレイ24に排出される。
【0043】
次に、プリンタ部20について、図3を参照して具体的に説明する。
図3は、プリンタ部20の構成を詳細に示す構成図である。
プリンタ部20は、前述したように、各感光体ドラム26の回りにそれぞれ、帯電部62,現像部63,1次転写ローラ(1次転写部)65,および感光体クリーニング部64を設け、フルカラーの画像形成を行うために、各感光体ドラム26上にそれぞれ各色に対応する静電潜像を形成し、その各静電潜像にそれぞれ各色のトナーを付着してトナー画像を形成し、その各色のトナー画像を各1次転写ローラ65によって中間転写ベルト25上に順次1次転写することにより、その中間転写ベルト25上に4色重ねの合成カラー画像を形成するタンデム方式の画像形成部である。
【0044】
各帯電部62はそれぞれ、ローラ状の接触帯電部材(帯電ローラ)であり、対応する感光体ドラム26に接触して電圧を印加することによりその感光体ドラム26の表面を一様に帯電する。もちろん、ローラ状以外の接触帯電部材あるいは非接触のスコロトロンチャージャで帯電を行うこともできる。
各現像部63はそれぞれ、一成分現像剤を使用してもよいが、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブに二成分現像剤を供給付着させる攪拌部と、その現像スリーブに付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体ドラム26に転移する現像部とによって構成し、その現像部より攪拌部を低い位置とする。
【0045】
各1次転写ローラ65はそれぞれ、ローラ状の接触転写部材であり、対応する感光体ドラム26上の単色画像を中間転写ベルト25上に1次転写する。もちろん、ローラ状以外の接触転写部材あるいは非接触のスコロトロンチャージャで1次転写を行うこともできる。
各感光体クリーニング部64はそれぞれ、対応する感光体ドラム26上に残留する未転写トナーを除去回収する。
【0046】
中間転写ベルト25は、駆動ローラ51と従動ローラ52と2次転写ローラ53との間に張架され、A方向に回動可能となっている。
この中間転写ベルト25の従動ローラ52と2次転写ローラ53との間に架け渡された部分の表面上には、中間転写クリーニング部55を設けている。
【0047】
2次転写ローラ53は、2次転写対向ローラ54と共に2次転写部を構成するローラ状の接触転写部材であり、中間転写ベルト25上に形成された合成カラー画像を用紙上に一括転写する。もちろん、ローラ状以外の接触転写部材あるいは非接触のスコロトロンチャージャで2次転写を行うこともできる。
中間転写クリーニング部55は、中間転写ベルト25による画像転写後にその表面に残留する未転写トナーを除去回収する。
【0048】
なお、各1次転写ローラ65,2次転写ローラ53,および中間転写クリーニング部55にはそれぞれ、図示しない高圧電源部が接続されている。この高圧電源部は、各感光体ドラム26上に形成された単色画像を中間転写ベルト25上に1次転写するために、所定のバイアス電圧を各1次転写ローラ65に印加する1次転写プロセスを行う。また、中間転写ベルト25上に形成された合成カラー画像を用紙上に2次転写するために、所定のバイアス電圧を2次転写ローラ53に印加する2次転写プロセスを行う。さらに、中間転写ベルト25上に残留する未転写トナーを除去するため、所定のバイアス電圧を中間転写クリーニング部55に印加する。
【0049】
次に、このカラー複写機におけるこの発明に係わる部分について、図1,図4〜図12を参照して具体的に説明する。
図4は、図3の中間転写ベルト25とその周辺の駆動系および制御系とを構成するベルト駆動装置の構成例を示す図である。
このベルト駆動装置では、無端ベルト状部材(無端移動部材)である中間転写ベルト25の内周面(裏面)にその回動方向(無端移動方向)に沿って等間隔(所定間隔)で連続するように複数のマーク(反射部)を形成したスケール250を備えている。
【0050】
駆動制御装置100は、速度・位置制御手段としての機能を果たすマイクロコンピュータ(CPU)を用いており、スケール250上のマークを検出するマークセンサ110の出力に基づく制御信号を用いて中間転写ベルト25の速度制御又は位置制御を行う。つまり、スケール250上のマークをマークセンサ110によって検出して得られたパルス間隔(後述する2値化信号)から中間転写ベルト25の外周面(表面)の速度(移動速度)を算出して、その算出結果を制御にフィードバックし、対応する制御信号を駆動モータ120へ出力してその駆動モータ120を駆動制御することにより、ギア121,122,および駆動ローラ51を介して中間転写ベルト25の外周面の速度又は位置を最適値に制御する。
【0051】
なお、駆動モータ120,ギア121,122,駆動ローラ51が、中間転写ベルト25を回動(無端移動)させるための駆動力を中間転写ベルト25に伝達するための駆動力伝達手段に相当する。
また、マークセンサ110は、光学センサであり、マーク検出装置全体であっても良いし、その一部(例えば発光素子と受光素子との組み合わせ)であっても良いが、この実施形態ではマーク検出装置全体とする。また、このマークセンサ110は、駆動制御装置100に接続されていればよいので、駆動制御装置100の一部としても構わないし、駆動制御装置100と別にしても構わない。
【0052】
図5は、中間転写ベルト25の内周面に設けたスケール250とマークセンサ110(光学センサ)の一例を示す構成図であり、(a)はスケール250の一部を上方から見た正面、(b)はマークセンサ110の光学系の構成と光路を示す図、(c)はマークセンサ110を上方から見た正面図である。
【0053】
スケール250は、反射型スケールであり、中間転写ベルト25の内周面(外周面でもよい)にその回動方向Aに沿って斜線を施して示す反射部(マーク)251と遮光部252とを交互に形成した(反射部251が等間隔で連続するように形成した)ものである。反射部251には、例えば反射率が高いアルミニウムを用いている。
マークセンサ110は、発光素子(LED等)111,コリメートレンズ112,スリットマスク113,ガラス114(透明樹脂フィルムなどの透明のカバーでもよい),および受光素子(フォトトランジスタ等)115等によって構成されている。
【0054】
マークセンサ110において、発光素子(光源)111で発光してコリメートレンズ112で平行光にされたビーム(光線)は、スケール250と平行な複数のスリットからなるスリットマスク(センサスリット部材)113を通って複数本(この例では3本)のビームLBに分割され、中間転写ベルト25のスケール250に入射され、その一部が反射部251で反射する。
中間転写ベルト25のスケール250の反射部251で反射した光である複数の分割ビームLBは、マークセンサ110のガラス114を介して受光素子115で受光され、そこで反射光の明暗の変化を電気信号に変換する。
【0055】
よって、マークセンサ110の受光素子115は、スケール250の反射部(マーク)251を反射光の受光によって検出して、中間転写ベルト25の回動による反射部251の有無により連続的に変調されたアナログ交番信号(アナログ信号)を出力する(中間転写ベルト25の移動量を直流成分に正弦波交流信号を重畳した電気信号に変換して出力する)ことができる。
ここで、マークセンサ110の表面のビーム光路に位置するスリットマスク113とガラス114をマーク検出領域(光学センサの検出領域)とする。また、スリットマスク113として、フォトエマルジョン型の光学スリットを用いるとよい。
【0056】
図6は、マークセンサ110のマーク検出領域に汚れ(ゴミ)が付着した状態を示す図である。
図7は、マークセンサ110によるマーク検出時の各種信号の波形例を示す線図であり、(a)はマークセンサ110から出力される各種アナログ交番信号(センサアナログ信号)の波形例を、(b)はアナログ交番信号を2値化した2値化信号の波形例をそれぞれ示している。
【0057】
ここで、アナログ交番信号とは、直流成分(反射率もしくは透過率のムラや検出距離変動などにより多少変動する)に正弦波交流信号を重畳した電気信号に相当する。
図7を見て分かるように、マークセンサ110の受光素子115から出力されるアナログ交番信号は、マーク検出領域に対するゴミの付着(マーク検知部の汚れ)の有無やそのゴミの量(汚れ)によって異なる波形となる。
例えば、図6に示すように、マークセンサ110のマーク検出領域にゴミが付着すると、それによって発光素子111からのビームが遮られ、受光素子115で受光できる光量が減少するため、変換される電気信号(アナログ交番信号)の出力レベルが低下する。
【0058】
そうすると、アナログ交番信号から制御の際に使用する2値化信号に変換しにくくなったりする。また、図示は省略しているが、マークセンサ110を構成している発光素子(LED等)111や受光素子(フォトトランジスタ等)115の温度特性(温度による特性の変化)により、マークセンサ(光学センサ)110としての特性も温度により変化してしまい、図7の(a)に示すように出力レベルは変動する。温度特性の場合は、常温での特性を基準として、出力レベルは増減する。
【0059】
図8は、このカラー複写機が低速コピー(通常コピー)を行っている時(中間転写ベルトが低速回動している時)におけるマークセンサ110によるマーク検出不可時の(マーク検出不可部分に対応する)各種信号の波形例を示す線図であり、(a)はマークセンサ110の受光素子115から出力されるアナログ交番信号の波形例を、(b)(c)はそのアナログ交番信号に対応する後述する各回路からそれぞれ出力される信号の波形例をそれぞれ示している。
【0060】
図9は、このカラー複写機が高速コピーを行っている時(中間転写ベルトが高速回動している時)におけるマークセンサ110によるマーク検出不可時の各種信号の波形例を示す線図であり、(a)はマークセンサ110の受光素子115から出力されるアナログ交番信号の波形例を、(b)(c)はそのアナログ交番信号に対応する後述する各回路からそれぞれ出力される信号の波形例をそれぞれ示している。
【0061】
図1は、図4のマークセンサ110の制御系(マーク検出回路)の構成例を示すブロック図である。
マークセンサ110において、センサ部201(上述した発光素子111,コリメートレンズ112,スリットマスク113,ガラス114,および受光素子115等からなる)を構成する受光素子(この例ではNPN型のフォトトランジスタ)115のコレクタ端子が所定の電源に接続され、エミッタ端子が抵抗(RL)301を介して接地されている。
【0062】
また、受光素子115のコレクタ端子と抵抗301との接続点とマーク信号の出力端子との間にアンプ302および2値化回路303が直列に接続(介挿)され、温度補償回路(温度補償手段)を構成するサーミスタ304がアンプ302と並列に接続されている。
さらに、受光素子115のコレクタ端子と抵抗301との接続点とエラー信号1の出力端子との間に、エラー検出回路(エラー検出手段)を構成するLPF(ローパスフィルタ)305および2値化回路306が、上記接続点とエラー信号2の出力端子との間に、他のエラー検出回路を構成するLPF307および2値化回路308がそれぞれ直列に接続されている。
【0063】
一方、センサ部201を構成する発光素子(この例ではLED)111のアノード端子が所定の電源に接続され、カソード端子がNPN型のトランジスタ309のコレクタ端子に接続されている。
また、トランジスタ309のエミッタ端子が抵抗310を介して接地され、ベース端子が駆動回路311の出力側に接続されている。
さらに、駆動回路311の入力側と、受光素子115のコレクタ端子と抵抗301との接続点との間にLPF312が接続されている。
【0064】
このマークセンサ110において、受光素子115から出力される図7の(a)に示したようなアナログ交番信号(実際には受光素子115のエミッタ端子から流出された電流が抵抗301によって電圧に変換され、アナログ交番信号となる)は、アンプ302によって増幅された後、2値化回路303へ出力される。このとき、アンプ302(受光素子115)の出力をサーミスタ304によって安定化させている。つまり、アンプ302から2値化回路303への出力が周囲温度の影響によって変化しないように、サーミスタ304がアンプ302のゲイン調整(温度補正)を行っている。なお、サーミスタ304は、温度上昇と共に抵抗値が増大する(電流値が減少する)PTCタイプの温度センサである。
【0065】
2値化回路303は、2値化手段であり、アンプ302からのアナログ交番信号を図7の(b)に示したような2値化信号(デジタル信号)に変換し、マーク信号として図4の駆動制御装置100へ出力する。
受光素子115から出力されるアナログ交番信号は、各LPF305,307,312へもそれぞれ入力される。
LPF305は、低速コピー(通常コピー)時に、受光素子115から出力される図8の(a)に示すようなアナログ交番信号(1K〜2KHz)を同図の(b)に示すように平均化(平滑化)して2値化回路306へ出力する。つまり、受光素子115からのアナログ交番信号のうち、所定のカットオフ周波数(低速コピーに対応するもの)以下の周波数帯の信号のみを通過させ、それをフィルタ通過信号1として2値化回路306へ出力する。
【0066】
2値化回路306は、コンパレータ(比較手段)を有しており、スケール250の反射部(マーク)251の間隔が予め決められた範囲外となる不連続部分(マークの切れ目)や汚れや傷等の欠陥部分に相当するマーク検出不可部分がマーク検出領域に存在するか否かをLPF305からのフィルタ通過信号1の出力変化から判定する。つまり、コンパレータにより、LPF305からのフィルタ通過信号1の電圧レベルを所定のしきい値レベル(基準値)と比較することにより、マーク検出不可部分がマーク検出領域に存在する(フィルタ通過信号1の電圧レベルが所定のしきい値レベルより低くなった)か否かを判定する。そして、マーク検出不可部分がマーク検出領域に存在する場合に、図8の(c)に示すように対応する2値信号(ローレベル信号)を生成し、それをエラー信号1として出力する。
【0067】
LPF307は、高速コピー時に、受光素子115から出力される図9の(a)に示すようなアナログ交番信号を同図の(b)に実線で示すように平均化して2値化回路308へ出力する。つまり、受光素子115からのアナログ交番信号のうち、所定のカットオフ周波数(高速コピーに対応するもの)以下の周波数帯の信号のみを通過させ、それをフィルタ通過信号2として2値化回路308へ出力する。なお、図8の(b)に示した低速コピー時のフィルタ通過信号1を図9の(b)に破線で示している。このことから、LPF305,307のカットオフ周波数が異なることが分かる。
【0068】
2値化回路308は、コンパレータを有しており、マーク検出不可部分がマーク検出領域に存在するか否かをLPF307からのフィルタ通過信号2の出力変化から判定する。つまり、コンパレータにより、LPF307からのフィルタ通過信号2の電圧レベルを所定のしきい値レベルと比較することにより、マーク検出不可部分がマーク検出領域に存在する(フィルタ通過信号2の電圧レベルが所定のしきい値レベルより低くなった)か否かを判定する。そして、マーク検出不可部分がマーク検出領域に存在する場合に、図9の(c)に実線で示すように対応する2値信号を生成し、それをエラー信号2として出力する。なお、図8の(c)に示した低速コピー時のエラー信号1を図9の(c)に破線で示している。
【0069】
LPF312は、LPF305と同様に、受光素子115から出力されるアナログ交番信号を平均化し、それをフィルタ通過信号3として駆動回路311へ出力する。
駆動回路311は、トランジスタ309とにより、光量調整手段としての機能を果たすものであり、LPF312の出力に基づいてトランジスタ309のベース端子への電流量を変化させることにより、発光素子111の光量調整を行う。
【0070】
図10は、図1の駆動回路311の具体的構成例を示す回路図である。なお、図1では図示を省略したが、トランジスタ309と抵抗310との接続点が、それらと共に定電流回路を構成するオペアンプ407の入力端子(−)に接続されている。
【0071】
この駆動回路311において、コンパレータ401は、LPF312の出力値(電圧レベル)Vsを予め設定された所定の基準値(しきい値レベル)Vref1と比較し、その比較結果に応じてトランジスタ402をオン又はオフにする。
すなわち、LPF312の出力値Vsと基準値Vref1との関係がVs>Vref1であれば、トランジスタ402への出力をハイレベル“H”にすることにより、トランジスタ402をオンにする。また、LPF312の出力値Vsと基準値Vref1との関係がVs≦Vref1であれば、トランジスタ402への出力をローレベル“L”にすることにより、トランジスタ402をオフにする。
【0072】
コンパレータ403は、LPF312の出力値Vsを予め設定された所定の基準値Vref2と比較し、その比較結果に応じてトランジスタ404をオン又はオフにする。
すなわち、LPF312の出力値Vsと基準値Vref2との関係がVs>Vref2であれば、トランジスタ404への出力をハイレベル“H”にすることにより、トランジスタ404をオンにする。また、LPF312の出力値Vsと基準値Vref2との関係がVs≦Vref2であれば、トランジスタ404への出力をローレベル“L”にすることにより、トランジスタ404をオフにする。
【0073】
コンパレータ401,403の出力(出力信号)の組み合わせ、つまりトランジスタ402,404のオン/オフの組み合わせにより、ボルテージホロワ405およびLPF406を介して定電流回路を構成するトランジスタ309のベース端子へ入力される電流(ベース電流)は3段階に変化する。
ここで、基準値Vref1,Vref2の関係をVref1<Vref2、抵抗R1,R2の関係をR1>R2と仮定した場合、ベース電流は以下の(1)〜(3)に示すようになる。
(1)LPF312の出力値Vsと基準値Vref1,Vref2との関係がVs≦Vref1<Vref2の場合には、コンパレータ401,403の出力はいずれもローレベル“L”なので、トランジスタ402,404はいずれもオフ状態となり、この時のベース電流(B1とする)が最大値となる。
【0074】
(2)LPF312の出力値Vsと基準値Vref1,Vref2との関係がVref1<Vs≦Vref2の場合には、コンパレータ401の出力はハイレベル“H”、コンパレータ403の出力はローレベル“L”なので、トランジスタ402はオン、トランジスタ404はオフとなり、この時のベース電流(B2とする)は中間値となる。
(3)LPF312の出力値Vsと基準値Vref1,Vref2との関係がVref1<Vref2<Vsの場合には、コンパレータ401,403の出力はいずれも“H”なので、トランジスタ402,404はいずれもオン状態となり、この時のベース電流(B3とする)は最小値となる。
【0075】
すなわち、(1)の場合のベース電流B1と(2)の場合のベース電流B2と(3)の場合のベース電流B3との関係は、B1>B2>B3となる。よって、ベース電流の大きさに比例する発光素子111の駆動電流の大きさを3段階に切り替えることができるため、発光素子111の光量も3段階に切り替えることができることになる。
なお、LPF406は、LPF312と同等の特性を持っている。このLPF406は、省略することもできる。
また、ここでは、駆動回路311内の分圧抵抗を3段階に切り替えるために、コンパレータ,トランジスタ,抵抗の組み合わせ回路を並列に2つ設けたが、3つ以上設けることもできる。そうすれば、発光素子111の光量を4段階以上に切り替えることが可能になる。
【0076】
一方、図4に示した駆動制御装置100は、低速コピー時には、マークセンサ110の2値化回路306の出力を選択し、その出力に基づいて、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していないことを認識した場合には、2値化回路303が出力する2値化信号に基づく制御信号を用いて中間転写ベルト25の速度制御又は位置制御を行い、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していることを認識した場合には、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していない場合とは異なる速度制御又は位置制御を行う。
【0077】
また、高速コピー時には、マークセンサ110の2値化回路308の出力を選択し、その出力に基づいて、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していないことを認識した場合には、2値化回路303が出力する2値化信号に基づく制御信号を用いて中間転写ベルト25の速度制御又は位置制御を行い、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していることを認識した場合には、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していない場合とは異なる速度制御又は位置制御を行う。
【0078】
なお、この実施形態では、駆動回路311の入力側と、受光素子115のコレクタ端子と抵抗301との接続点との間に、LPF312を接続しているが、低速コピーに対応するLPF305および高速コピーに対応するLPF307と同等の2つのLPFを並列に接続することもできる。
また、この実施形態のカラー複写機が、コピー速度を3段階以上に切り替え可能な場合には、LPFと2値化回路の直列回路であるエラー検出回路を3つ以上設けるとよい。但し、各LPFのカットオフ周波数を各コピー速度毎に異ならせる必要がある。また、駆動回路311の入力側と、受光素子115のコレクタ端子と抵抗301との接続点との間に、各エラー検出回路のLPFと同等のLPFを接続するとよい。
【0079】
図11は、駆動制御装置100による中間転写ベルト25の速度制御の一例(マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していない場合の速度制御)を示すフローチャートである。
駆動制御装置100は、図示しないメイン制御装置(装置全体を統括的に制御する制御装置)から駆動モータ120をON(オン)にする信号が入力されると(中間転写ベルト25の駆動開始タイミングで)、図11の処理ルーチンをスタートし、まずステップS1で駆動モータ120をONにして目標速度である基本速度V(例えば低速コピーに対応するものとする)で回転させ、ステップS2でメイン制御装置からの駆動モータ120をOFF(オフ)にする信号の入力の有無をチェックする。
【0080】
そして、メイン制御装置からの駆動モータ120をOFFにする信号が入力されていない場合には、ステップS4でフィードバックされるマークセンサ110からの信号を入力して、その信号から中間転写ベルト25の表面(外周面)の実際の速度V′を算出(計算)し、ステップS5で基本速度Vと算出した実際の速度V′とを比較して、ステップS6で基本速度Vと実際の速度V′が同じかどうかを判断し、同じであればそのままステップS2に戻って上述と同様の判断および処理を行う。
もし、基本速度Vと実際の速度V′が異なる場合には、ステップS7で基本速度Vと実際の速度V′との速度差V″(V−V′)を算出し、ステップS8でその速度差V″がV″>「0」であるか否かを判断する。
【0081】
そして、速度差V″がV″>「0」の場合には、基本速度Vよりも実際の速度V′の方が遅いと判断できるため、ステップS9で基本速度Vに速度差V″を加えた速度V(V+V″)になるように駆動モータ120の回転数(回転速度)を制御し、ステップS2に戻る。速度差V″がV″>「0」でない場合、つまりV″<「0」の場合には、基本速度Vよりも実際の速度V′の方が速いと判断できるため、ステップS10で基本速度Vから速度差V″を差し引いた速度V(V−V″)になるように駆動モータ120の回転数を制御し、ステップS2に戻る。
【0082】
したがって、ステップS2以降の判断および処理を繰り返すことにより、中間転写ベルト25の表面の実際の速度V′が基本速度Vになるように補正制御される。
その後、ステップS2でメイン制御装置から駆動モータ120をOFFにする信号が入力されたと判断すると、ステップS3へ移行し、駆動モータ120をOFFにして、図10の制御を終了する。
【0083】
ところで、上述した駆動制御装置100は、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していないと認識した場合には、図11によって説明した速度制御を行うが、マークセンサ110からのエラー信号(図1に示したマークセンサ110の回路構成では2つのエラー信号1又は2のいずれか)によってマーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していると認識した場合には、図11によって説明した速度制御とは一部異なる制御を行う。例えば、マーク検出不可部分(マークの切れ目等)の場合、その部分がエラー信号の入力によって認識(検知)できるため、そのエラー信号(ローレベル信号)が入力されている間だけ、図11のステップS4〜10の判断および処理を禁止し、駆動モータ120の回転数をエラー信号入力前の速度に保持する。あるいは、本出願人が先に提出した特願2003−140376号等に記載された技術を用いて駆動モータ120の回転数を制御するようにしてもよい。
【0084】
図12は図4のマークセンサ110の制御系の他の構成例を示すブロック図であり、図1と同じ部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
このマークセンサ110において、LPF350は、エラー検出(エラー信号生成)用のLPF(図1のLPF305に相当する)と発光素子111の光量調整用のLPF(図1のLPF312に相当する)の機能を兼ねたものである。しかし、それらのLPFは同等の機能でよいため、LPFを1つ削減できることになる。但し、LPF350は、低速コピーに対応するものであるため、高速コピーを行う場合には、それに対応するLPF(図1のLPF307に相当する)と2値化回路(図1の2値化回路308に相当する)を備える必要がある。
【0085】
なお、図1および図12によって説明したマークセンサ110において、センサ部201を除いた部分の全て又は一部をDSP(Digital Signal Processor)等の演算手段によって構成することができる。
また、この実施形態では、中間転写ベルト25におけるスケール250の反射部251(マーク)を検出するための受光素子115の出力を安定化させる温度補償回路として、受光素子115のエミッタ端子と抵抗(固定抵抗)301との接続点と2値化回路303との間にサーミスタ304を接続(介挿)したが、以下の(1)〜(4)のいずれかに示すようにすることもできる。
【0086】
(1)サーミスタ304を削除し、抵抗301をサーミスタに変更する。但し、その場合のサーミスタとしては、温度上昇と共に抵抗値が減少する(電流値が増大する)NTCタイプのものを利用する。
(2)サーミスタ304を削除し、抵抗310をPTCタイプのサーミスタに変更する。
(3)サーミスタ304をそのまま残し、更に抵抗310をPTCタイプのサーミスタに変更する。
(4)サーミスタ304を削除し、抵抗301をNTCタイプのサーミスタに、抵抗310をPTCタイプのサーミスタにそれぞれ変更する。
【0087】
ここで、抵抗310をサーミスタに代えた場合、その温度補正によって発光素子(LED)111に流れる電流が安定化してその発光量が一定値を保持され、結果的に受光素子115の出力が安定化することになる。
さらに、上述したサーミスタに代えて、それと同等の特性を有する他の温度補償回路を設けることもできる。
さらにまた、アンプ302は省略することもでき、サーミスタ304も必要ないような場合には、受光素子115のエミッタ端子と抵抗301(又はNTCタイプのサーミスタ)との接続点を2値化回路303の入力端子に直接接続するとよい。
【0088】
このように、このカラー複写機におけるマークセンサ110が、中間転写ベルト25におけるスケール250のマーク(反射部)を検出するための受光素子115の出力を安定化させる温度補償回路(サーミスタ)を設けると共に、受光素子115から出力されるアナログ信号をLPF312(他の平均化手段でもよい)が平均化して出力し、その出力に基づいて駆動回路311(光量調整手段)が発光素子111の光量調整を行うことにより、中間転写ベルト25におけるマークをマークセンサ110によって検出する場合でも、周囲の温度変化やマークセンサ110自体の経時劣化等の環境変化によるマークセンサ110の出力変化を抑制することができる(マークセンサ110の出力を環境変化に関係なく安定化させることができる)。よって、2値化回路303からのマーク信号(矩形信号)のエッジ精度の低下を防止することができる。
【0089】
また、駆動回路311内の各コンパレータ401,403がそれぞれ、LPF312の出力値を所定の基準値(コンパレータ毎に異なる)と比較して、その比較結果に応じた信号を出力し、その各出力信号の組み合わせに応じて定電流回路が発光素子111の駆動電流を段階的に切り替えることにより、発光素子111の光量調整を容易に行うことができる。なお、1つのコンパレータが、LPF312の出力値を所定の基準値と比較して、その比較結果に応じた信号を出力し、その出力信号に応じて定電流回路が発光素子111の駆動電流を切り替えることもできる。
【0090】
さらに、受光素子115の出力をLPF305又は307が平均化して出力し、その出力値を2値化回路306又は308内のコンパレータが所定の基準値と比較することにより、中間転写ベルト25におけるマークの間隔が予め決められた範囲外となる不連続部分(マークの切れ目)や汚れや傷等の欠陥部分に相当するマーク検出不可部分がマーク検出領域に存在するか否かを判定し(マーク検出不可部分がマーク検出領域に存在するか否かを受光素子の出力変化から判定し)、マーク検出不可部分がマーク検出領域に存在する場合にエラー信号を出力することにより、そのエラー信号を受ける側の駆動制御装置100で中間転写ベルト25におけるマーク検出不可部分を検知できる。つまり、専用のマークと光学センサを使用せずに、中間転写ベルト25におけるマーク検出不可部分を正確に検知することができる。よって、マーク検出不可部分を検出するための専用のマークとセンサを使用せずに済み、低コストを実現することができる。
【0091】
さらにまた、複数のコピー速度のいずれかでコピーを行う場合、その各コピー速度にそれぞれ対応するエラー検出用のLPF(この実施形態ではLPF305,307)を含むエラー検出回路を備えることにより、どのコピー速度でコピーを行った場合でも、マーク検出不可部分がマーク検出領域に存在する場合に、最適なタイミングでエラー信号が出力されることになるため、そのエラー信号を受ける側の駆動制御装置100で中間転写ベルト25におけるマーク検出不可部分を検知できる。つまり、専用のマークと光学センサを使用せずに、中間転写ベルトにおけるマーク検出不可部分をコピー速度に関係なく正確に検知することができる。
また、エラー検出用のLPFと発光素子の光量調整用のLPFの機能を兼ねたLPF350を使用することにより、より安価なマークセンサを実現することも可能になる。
【0092】
さらに、駆動制御装置100が、マークセンサ110の出力に基づいて、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していないことを認識した場合には、マーク信号(2値化信号)に基づく制御信号を用いて中間転写ベルトの速度制御又は位置制御を行い、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していることを認識した場合には、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在していない場合とは異なる速度制御又は位置制御を行うことにより、マーク検出領域にマーク検出不可部分が存在している場合でも、中間転写ベルト25の速度制御又は位置制御として最適な制御を行うことができる。
【0093】
したがって、この実施形態のカラー複写機では、駆動制御装置100と、回動方向(無端移動方向)に沿って複数のマークが等間隔で連続するように形成されたスケール250を有する中間転写ベルト25(無端移動部材)と、その中間転写ベルト25を回動させるための駆動力を中間転写ベルト25に伝達するための駆動モータ120,ギア121,122,駆動ローラ51とを備え、駆動制御装置100が、駆動モータ120を駆動制御することにより、ギア121,122および駆動ローラ51を介して中間転写ベルト25の速度制御又は位置制御を正確に行えるため、中間転写ベルト25上への各色のトナー画像の位置合わせを高精度に行うことができ、画像品質を向上させることができる。
【0094】
なお、上述の実施形態では、中間転写ベルト25の回動方向に沿って複数のマークが等間隔で連続するように形成されたスケール250と、そのマークの有無を検出するための光反射型のマークセンサ110とを使用したが、マークをスリット等の穴(透過部)に代えたスケール(中間転写ベルトの回動方向に沿って透過部と遮光部とを交互に形成したもの)等と、その穴の有無を検出するための光透過型のセンサとを使用することもできる。
【0095】
また、中間転写ベルト25以外の無端ベルト部材(搬送ベルト,転写ベルト,感光体ベルト等)や無端ドラム状部材(転写ドラム,中間転写ドラム,感光体ドラム等)などの無端移動部材の回動方向に沿って等間隔(所定間隔)で連続するようにマーク又は穴を形成したスケール等を使用することもできる。
さらに、この実施形態では、1つのマークセンサを用いてスケール上のマークを検出することにより中間転写ベルトの速度制御又は位置制御を行うようにしたが、複数のマークセンサを用いてスケール上のマークを検出することにより中間転写ベルト等の無端移動部材の速度制御又は位置制御を行うことも可能である(例えば特開平9−175687号公報参照)。その場合、複数のマークセンサとしてそれぞれ、前述したマークセンサ110と同様の機能を持ったものを使用すればよい。
【0096】
以上、この発明を、中間転写ベルト等の無端移動部材を適切に無端移動させるためのマーク(穴)検出回路、それを接続した駆動制御装置、およびそれを備えたカラー複写機に適用した実施例について説明したが、この発明はこれに限らず、上記駆動制御装置を備えたプリンタ,ファクシミリ装置,複合機等の各種画像形成装置に適用し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上の説明から明らかなように、この発明のマーク検出装置によれば、無端移動部材におけるマークを光学センサによって検出する場合でも、その光学センサの出力をその周囲の温度変化や光学センサ自体の経時劣化等の環境変化に関係なく安定化させることができる。また、専用のマークと光学センサを使用しなくても、無端移動部材におけるマークの間隔が予め決められた範囲外となるマーク検出不可部分が光学センサの検出領域に存在する場合、それを駆動制御装置側で検知できる。したがって、この発明を利用すれば、無端移動部材のマーク(マーク検出不可部分を含む)を正確且つ確実に検出可能なマーク検出装置を提供することができる。
【0098】
また、この発明の駆動制御装置によれば、上記マーク検出装置を用いることにより、コストアップせずに、無端移動部材の速度制御又は位置制御を適切に行うことができる。したがって、この発明を利用すれば、低コストで且つ最適な駆動が可能な駆動制御装置を提供することができる。
さらに、この発明の画像形成装置によれば、上記駆動制御装置を用いることにより、コストアップせずに適切な画像形成を行え、画像品質を向上させることができる。したがって、この発明を利用すれば、低コストで且つ高品位の画像を取得可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図4のマークセンサ110の制御系(マーク検出回路)の構成例を示すブロック図である。
【図2】この発明による画像形成装置の一実施例であるカラー複写機の内部構成例を示す構成図である。
【図3】図2に示したプリンタ部20の構成を詳細に示す構成図である。
【図4】図3の中間転写ベルト25とその周辺の駆動系および制御系とを構成するベルト駆動装置の構成例を示す図である。
【0100】
【図5】図4に示した中間転写ベルト25の内周面に設けたスケール250とマークセンサ(光学センサ)110の一例を示す構成図である。
【図6】図5に示したマークセンサ110のマーク検出領域に汚れ(ゴミ)が付着した状態を示す図である。
【図7】図5に示したマークセンサ110によるマーク検出時の各種信号の波形例を示す線図である。
【図8】図5に示したマークセンサ110によるマーク検出不可時の(マーク検出不可部分に対応する)各種信号の波形例を示す線図である。
【0101】
【図9】同じく他の波形例を示す線図である。
【図10】図1の駆動回路311内の具体的構成例を示す回路図である。
【図11】図4の駆動制御装置100による中間転写ベルト25の速度制御の一例を示すフロー図である。
【図12】図4のマークセンサ110の制御系の他の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0102】
1:複写機本体 20:プリンタ部 25:中間転写ベルト 26:感光体ドラム51:駆動ローラ 53:2次転写ローラ 54:2次転写対向ローラ
62:帯電部 65:1次転写ローラ 100:駆動制御装置
110:マークセンサ 111:発光素子 112:コリメートレンズ
113:スリットマスク 114:ガラス 115:受光素子
120:駆動モータ 121,122:ギア 201:センサ部
250:スケール 251:反射部(マーク) 301,310:抵抗
302:アンプ 303,306,308:2値化回路 304:サーミスタ
305,307,312,350,406:LPF
309,402,404:トランジスタ 311:駆動回路
401,403:コンパレータ 405:ボルテージホロワ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端移動する無端移動部材の無端移動方向に沿って等間隔で連続するように形成された複数のマークを光学的に検出して、該無端移動部材の移動によるマークの有無により連続的に変調されたアナログ信号を出力する光学センサと、該光学センサから出力されるアナログ信号を2値化信号に変換する2値化手段とを有するマーク検出装置であって、
前記光学センサは、発光素子と受光素子とを有し、
前記受光素子の出力を安定化させる温度補償手段を設けたことを特徴とするマーク検出装置。
【請求項2】
請求項1記載のマーク検出装置において、
前記温度補償手段は、サーミスタを用いていることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項3】
無端移動する無端移動部材の無端移動方向に沿って等間隔で連続するように形成された複数のマークを光学的に検出して、該無端移動部材の移動によるマークの有無により連続的に変調されたアナログ信号を出力する光学センサと、該光学センサから出力されるアナログ信号を2値化信号に変換する2値化手段とを有するマーク検出装置であって、
前記光学センサは、発光素子と受光素子とを有し、
前記受光素子から出力されるアナログ信号を平均化して出力する平均化手段と、
該平均化手段の出力に基づいて前記発光素子の光量調整を行う光量調整手段と
を設けたことを特徴とするマーク検出装置。
【請求項4】
請求項3記載のマーク検出装置において、
前記平均化手段は、ローパスフィルタであることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載のマーク検出装置において、
前記受光素子の出力を安定化させる温度補償手段を設けたことを特徴とするマーク検出装置。
【請求項6】
請求項5記載のマーク検出装置において、
前記温度補償手段は、前記受光素子の出力側に設けられていることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項7】
請求項5記載のマーク検出装置において、
前記温度補償手段は、前記光量調整手段の出力側に設けられていることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項8】
請求項5記載のマーク検出装置において、
前記温度補償手段は、前記受光素子の出力側と前記光量調整手段の出力側の両方に設けられていることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか一項に記載のマーク検出装置において、
前記温度補償手段は、サーミスタを用いていることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項10】
請求項3乃至9のいずれか一項に記載のマーク検出装置において、
前記光量調整手段は、
前記平均化手段の出力値を所定の基準値と比較する比較手段と、
該比較手段による比較結果に応じて前記発光素子の駆動電流を制御する駆動電流制御手段と
を有することを特徴とするマーク検出装置。
【請求項11】
請求項10記載のマーク検出装置において、
前記比較手段は、前記平均化手段の出力値をそれぞれ異なる所定の基準値と比較し、その比較結果に応じた信号を出力する複数のコンパレータからなり、
前記駆動電流制御手段は、前記複数のコンパレータの出力信号の組み合わせに応じて前記発光素子の駆動電流を段階的に切り替えることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項12】
請求項3乃至11のいずれか一項に記載のマーク検出装置において、
前記マークの間隔が予め決められた範囲外となるマーク検出不可部分が前記光学センサの検出領域に存在するか否かを前記アナログ信号の出力変化から判定し、前記マーク検出不可部分が前記検出領域に存在する場合にエラー信号を出力するエラー検出手段を設けたことを特徴とするマーク検出装置。
【請求項13】
請求項12記載のマーク検出装置において、
前記エラー検出手段は、前記光学センサから出力されるアナログ信号を平均化する平均化手段を有し、該平均化手段の出力値を所定の基準値と比較することにより、前記マーク検出不可部分が前記光学センサの検出領域に存在するか否かを判定し、前記マーク検出不可部分が前記検出領域に存在する場合にエラー信号を出力することを特徴とするマーク検出装置。
【請求項14】
請求項13記載のマーク検出装置において、
前記エラー検出手段の平均化手段は、ローパスフィルタであることを特徴とするマーク検出装置。
【請求項15】
請求項12記載のマーク検出装置において、
前記エラー検出手段は、前記平均化手段の出力値を所定の基準値と比較することにより、前記マーク検出不可部分が前記光学センサの検出領域に存在するか否かを判定し、前記マーク検出不可部分が前記検出領域に存在する場合にエラー信号を出力することを特徴とするマーク検出装置。
【請求項16】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のマーク検出装置を接続し、
該マーク検出装置から出力された2値化信号に基づく制御信号を用いて前記無端移動部材の速度制御又は位置制御を行うことを特徴とする駆動制御装置。
【請求項17】
請求項12又は15記載のマーク検出装置を接続し、
前記エラー検出手段の出力に基づいて、前記光学センサの検出領域に前記マーク検出不可部分が存在していないことを認識した場合には、前記2値化手段が出力する2値化信号に基づく制御信号を用いて速度制御又は位置制御を行い、前記光学センサの検出領域に前記マーク検出不可部分が存在していることを認識した場合には、前記光学センサの検出領域に前記マーク検出不可部分が存在していない場合とは異なる速度制御又は位置制御を行う速度・位置制御手段
を設けたことを特徴とする駆動制御装置。
【請求項18】
請求項13又は14記載のマーク検出装置を接続し、
前記マーク検出装置に、前記エラー検出手段を複数備え、その各エラー検出手段の平均化手段はそれぞれ、カットオフ周波数が異なるローパスフィルタであり、
前記複数のエラー検出手段からそれぞれ出力されるエラー信号のうちのいずれかを前記無端移動部材の移動速度に応じて選択して出力するエラー信号選択手段を設けたことを特徴とする駆動制御装置。
【請求項19】
請求項18記載の駆動制御装置において、
前記エラー信号選択手段の出力に基づいて、前記光学センサの検出領域に前記マーク検出不可部分が存在していないことを認識した場合には、前記2値化手段が出力する2値化信号に基づく制御信号を用いて速度制御又は位置制御を行い、前記光学センサの検出領域に前記マーク検出不可部分が存在していることを認識した場合には、前記光学センサの検出領域に前記マーク検出不可部分が存在していない場合とは異なる速度制御又は位置制御を行う速度・位置制御手段
を設けたことを特徴とする駆動制御装置。
【請求項20】
請求項16乃至19のいずれか一項に記載の駆動制御装置において、
前記無端移動部材が、ベルト又はドラムであることを特徴とする駆動制御装置。
【請求項21】
請求項16乃至19のいずれか一項に記載の駆動制御装置と、
複数のマークが無端移動方向に沿って等間隔で連続するように形成された無端移動部材と、
該無端移動部材を無端移動するための駆動力を該無端移動部材に伝達するための駆動力伝達手段と
を備え、
前記駆動制御装置が、前記駆動力伝達手段の駆動制御を行うようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
請求項21記載の画像形成装置において、
前記無端移動部材が、搬送ベルト,転写ベルト,中間転写ベルト,感光体ベルト,転写ドラム,中間転写ドラム,感光体ドラムのいずれかであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−139216(P2006−139216A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331064(P2004−331064)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】