説明

ユニット及び画像形成装置

【課題】本発明の目的は、寿命測定装置をユニットに搭載することによるコストの上昇やユニットの大型化を抑え、画像形成装置から取り外しても寿命に達したものなのかどうかが判別できるようにすることである。
【解決手段】画像形成装置本体に対して着脱自在なユニット93であって、ユニット93が寿命に達したことを表示する寿命表示部材96と、寿命表示部材96を覆うカバー97と、寿命表示部材96又はカバー97に駆動力を伝達する歯車9とを有し、寿命表示部材96又はカバー97は、寿命表示部材96がカバー97から露出する露出位置から、カバー97が寿命表示部材96を覆う被覆位置へ移動可能に設けられ、画像形成装置本体が有する寿命判定手段によってユニット93が寿命に達したと判断した際は、歯車9によって伝達された駆動力によって、寿命表示部材96又はカバー97が被覆位置から露出位置に移動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能なユニット及び前記ユニットが着脱可能に装着される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において定期的な交換が必要なユニットとしては、像担持体とこれに作用する作用手段(帯電手段、現像手段、クリーニング手段)を一体にまとめたプロセスカートリッジが、一般的に知られている。
【0003】
このプロセスカートリッジには、特開昭57−163276号公報(以下、特許文献1という)に開示されているように、プロセスカートリッジの交換時期を知らせるための寿命測定装置が設けられているものがある。この特許文献1に開示されているプロセスキットは、プロセスキットの使用時間や画像形成回数に連動して作動する寿命測定装置を有する構成となっている。このプロセスキットの寿命測定装置は、像担持体の回転総数を測定し、その測定結果を表示装置に表示して、プロセスキットの交換時期を知らせている。
【0004】
前記プロセスカートリッジの他にも、画像形成装置において定期交換が必要なユニットとしては、中間転写体ユニット、記録材担持体ユニット、定着ユニットが挙げられる。
【0005】
前記中間転写体ユニットは、複数の像担持体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される中間転写体を有するユニットである。この中間転写体ユニットが着脱可能に装着された画像形成装置では、前記中間転写体に重ね転写されたトナー像は記録材に一括して転写される。前記記録材担持体ユニットは、記録材を担持して搬送する記録材担持体を有するユニットである。この記録材担持体ユニットが着脱可能に装着された画像形成装置では、前記記録材担持体に担持された記録材に対して、複数の像担持体上に形成された各色のトナー像が順次重ねて転写される。前記定着ユニットは、前記中間転写体ユニットを有する画像形成装置や前記記録材担持体ユニットを有する画像形成装置を含む画像形成装置において、記録材上の未定着トナー像を定着するためのユニットである。
【0006】
【特許文献1】特開昭57−163276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ユーザに対してユニットが寿命に達したことを判断させて迅速に対処させるには、ユニット自体にもユニットが寿命に達したことを目視で分かりやすく認識させ、使用可否を判断させることが望ましい。しかも、そうした寿命報知の表示手段が簡易な構造でコスト的にも安価で得られるならば、画像形成装置全体の高い信頼性確保につながると考えられる。
【0008】
本発明の目的は、ユーザが簡単に目視判断することで寿命か否かを認識できるユニットを提供するとともに、そうしたユニットを備えた電子写真画像形成装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、簡単な構成で、画像形成装置から取り外しても寿命に達したことが確認できるユニットを提供することである。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、画像形成装置の大型化、コスト上昇、消費電力増大を招くことなく、ユーザーがユニットの寿命判定に関わる情報を容易に認識できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、画像形成装置本体に対して着脱自在なユニットであって、前記ユニットが寿命に達したことを表示する寿命表示部材と、前記寿命表示部材を覆う被覆部材と、前記寿命表示部材又は前記被覆部材に駆動力を伝達する駆動力伝達部材と、を有し、前記寿命表示部材又は前記被覆部材は、前記寿命表示部材が前記被覆部材から露出する露出位置から、前記被覆部材が前記寿命表示部材を覆う被覆位置へ移動可能に設けられ、前記画像形成装置本体が有する寿命判定手段によって前記ユニットが寿命に達したと判断した際は、前記駆動力伝達部材によって伝達された前記駆動力によって、前記寿命表示部材又は前記被覆部材が前記被覆位置から前記露出位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユニットが寿命に達したことを表示する寿命表示部材を有するため、ユーザが簡単に目視判断することで寿命か否かを認識できる。また、簡単な構成で、ユニットを画像形成装置本体から取り外しても、該ユニットが寿命に達したことが確認できる。また、寿命判定手段をユニットへ搭載することによるコストの上昇やユニットの大型化を抑えることができる。さらに、ユニットの寿命に関わる情報を表示するために画像形成装置の表示部を大型化する必要がない。よって、前記画像形成装置の表示部の大型化に起因する画像形成装置の大型化、コスト上昇、消費電力増大を招くことがない。またユニットが有する寿命表示部材を通して該ユニットの寿命が知らされるため、ユーザーがユニットの寿命判定に関わる情報を容易に認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1〜図14を用いて、第1実施形態に係るユニット及び前記ユニットが着脱可能に装着される画像形成装置について説明する。なお、本実施形態では、ユニットとして、画像形成装置に対して着脱自在な静電搬送ベルトユニット93、定着ユニット70を例示している。
【0015】
図14は記録材担持体を用いたインライン方式の電子写真画像形成装置の模式的概略図である。図14において、記録材担持体としての静電搬送ベルト90は、複数の支持部材である駆動ローラ91、テンションローラ92により張架され、図中矢印方向に回転する。静電搬送ベルト90の周面には、異なる色画像を形成する複数のプロセスユニットY(イエロー),M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)が静電搬送ベルト90の回転方向に一列に配置されている。各プロセスユニットY,M,C,Kの感光体ドラム11,12,13,14は、それぞれ静電搬送ベルト90を介して転写ローラ51,52,53,54に当接されている。なお、各プロセスユニットは、像担持体としての感光体ドラムと、該感光体ドラムに作用する作用手段(後述する帯電装置、現像装置、クリーニング装置)が一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能となっている。なお、図示していないが、画像形成装置は、前記ユニットを取り外し可能に装着する装着部材を有している。
【0016】
ここで、画像形成プロセスについて説明する。感光体ドラム11は帯電装置21によって一様に帯電され、画像露光装置31からの走査光により潜像を形成される。この潜像は現像装置41の現像ローラ41bによって現像され、感光体ドラム11上にトナー像が形成される。現像装置41内のイエロートナー(不図示)は、供給ローラ41aによって現像ローラ41bに供給される。後述する転写プロセスで転写されなかった転写残トナーはクリーニング装置61によって除去される。なお、画像形成プロセスの説明はイエローの画像形成プロセスで行ったが、他の色(マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成プロセスも同様である。図14において、22,23,24は帯電装置、42,43,44は現像装置、42a,43a,44aは供給ローラ、42b,43b,44bは現像ローラ、62,63,64はクリーニング装置である。
【0017】
次に転写プロセスについて説明する。各感光体ドラム上に形成されたトナー像は、静電搬送ベルト90を介して配置された各転写ローラによって、静電搬送ベルト90に静電吸着され担持搬送される記録材Sに対して転写される。
【0018】
実際の画像形成プロセスにおいては、記録材収納部100に収納された記録材Sが、搬送部材としてのピックアップローラ55によって一枚ずつ分離給送される。そして、記録材Sは搬送部材としてのレジストローラ対56によって送り出され、静電搬送ベルト90に静電吸着される。そして、記録材S上に形成される各色のトナー像の位置が一致するタイミングで前記画像形成プロセスと転写プロセスとが行われる。それによって、静電搬送ベルト90上の記録材Sが4つの感光体ドラムを通過する間に記録材S上にトナー像が形成される。この記録材S上に形成された未定着のトナー像は、定着ユニット70によって定着される。
【0019】
次に図1〜図6を用いてユニットとしての静電搬送ベルトユニット93について説明する。図1及び図2に示すように、静電搬送ベルトユニット93は、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けてある。そして、静電搬送ベルトユニット93は、前述した静電搬送ベルト90、駆動ローラ91、テンションローラ92を有している。この静電搬送ベルトユニット93は、駆動ローラ91の軸に支持された歯車94と、この歯車94から駆動力が伝達される、駆動力伝達部材としての歯車9を有している。更に静電搬送ベルトユニット93は、該ユニットが寿命に達したことを表示する寿命表示部材96と、前記寿命表示部材96を覆う被覆部材としてのカバー97を有している。前記寿命表示部材96は、該寿命表示部材96が前記カバー97から露出するように移動可能に設けてある。
【0020】
歯車9は、前記歯車94と噛合している歯車9Aと、歯車9Aの一方向への回転を伝達する歯車9Bの2部品で構成されている。図13に示すように、歯車9Aに対して歯車9Bは略同軸に位置を決められ、相互に接触する面にはそれぞれカム9C,9Dを設けてある。また、歯車9Aに対して歯車9Bはバネ9Eで押圧してある。ここではバネ9Eを用いて押圧したが、押圧できればバネでなくても良い。
【0021】
静電搬送ベルト90が寿命に到達したかどうかの判断は、画像形成装置本体側に、所定の画像形成回数や、所定の静電搬送ベルト回転数に達したかどうかを判断する等のための寿命判定手段102(図14参照)を設けることによって行う。
【0022】
静電搬送ベルト90が寿命に達していない状態では、図2に示すように、歯車9Aに対して歯車9Bはバネ9Eによって軸方向の当接部9F(図13参照)に接触した状態を保っている。歯車9Bに近接する寿命表示部材96の一部には受動部としての歯車96aが設けてある。しかしながら、歯車9Aに対して歯車9Bがバネ9Eによって軸方向の当接部9Fに接触した状態にある限り、この歯車9Bと歯車96aは係合することは無い。このため、寿命表示部材96は移動せず、カバー97によって覆われた状態を保つ(被覆位置)。これは画像形成時において、静電搬送ベルトユニット93に含まれる駆動ローラ91が記録材搬送方向に回転しているときも同様である。
【0023】
画像形成装置側の寿命判定手段102(図14参照)が、前記静電搬送ベルトが寿命に達したと判断すると、画像形成装置の制御部101(図14参照)の指示によって駆動ローラ91を画像形成時の回転方向とは反対の回転方向に回転させる。すると、歯車9Aに対して歯車9Bはバネ9Eの押圧力に抗してカム9Dに沿って歯車の軸方向に移動する。この歯車9Bの移動によって、該歯車9Bが歯車96aに噛合する。そして歯車9Bの回転によって歯車96aとともに寿命表示部材96が動かされる。そして、図1に示すように、カバー97の開口部97aから寿命表示部材96が露出する(露出位置)。これにより、画像形成装置から静電搬送ベルトユニット93を取り外しても、このカバー97の開口部97aから露出した寿命表示部材96を目視することで、静電搬送ベルトユニット93が寿命に達したと判断することができる。
【0024】
なお、前記画像形成装置が、静電搬送ベルトユニット93が装着された状態において、前記カバー97から露出した前記寿命表示部材96に対応する位置に開口部(不図示)を有する構成としても良い。このように、開口部(不図示)を設けておくと、静電搬送ベルトユニット93を画像形成装置に装着した状態でも静電搬送ベルトユニット93が寿命に達したかどうかの判断をすることができる。なお、この開口部は、ユニットの交換やジャム処理など装置内のメンテナンスに用いる既存の開口部を利用することも可能である。また、前記カバー97から露出した寿命表示部材96に対応する位置に新たに開口部を設けてもよい。
【0025】
本実施形態に係る静電搬送ベルトユニット93では、寿命表示部材96を移動させ、カバー97の開口部97aから該寿命表示部材96を露出させる構成を例示した。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、前記カバー97に前記受動部としての歯車を設けて、前記寿命表示部材96に対してカバー97を移動可能に構成しても良い。或いは、図4に示すように、カバー97に寿命表示部材としての寿命表示部97bを設け、このカバー97の寿命表示部97bを覆う被覆部材としての蓋98を移動可能に設けても良い。そして、駆動ローラ91の逆回転時に蓋98に設けた受動部としての歯車98aに、前記歯車9の歯車9Bを噛合させる。そして、蓋98を移動することによってカバー97の寿命表示部97bを露出させる構成にしても良い。即ち、図4(a)における蓋98の位置が、露出位置であり、図4(b)における蓋98の位置が、被覆位置となる。
【0026】
静電搬送ベルト90が寿命に達したことを表示させるのは、画像形成動作中、及びその前後において静電搬送ベルトが正規方向(画像形成時の回転方向)に回転する必要があるとき(ベルトクリーニング、濃度検知、書き出し位置検知等)以外のタイミングにすると良い。静電搬送ベルト90が寿命に達したことを表示させるためには、駆動ローラ91を画像形成時の回転方向とは反対の回転方向に回転させる必要があるからである。
【0027】
静電搬送ベルトユニット93の駆動ローラ91を駆動させるためのモータ等の駆動手段(不図示)としては、静電搬送ベルトユニット93に前記駆動手段を設けた構成としても良い。或いは、画像形成装置が有する既存の駆動手段を利用し又は画像形成装置本体側に前記駆動手段を設けても良い。その際は、駆動ローラ91の端部に設けた駆動入力部材である継ぎ手等(不図示)で前記駆動手段と連結させて駆動ローラ91を駆動させるように構成する。
【0028】
本実施形態では駆動ローラ同軸の歯車94によって駆動させる歯車9に含まれる歯車9Bを用いて寿命表示部材96を移動させる構成を例示したが、この構成に限定されるものではない。すなわち、駆動ローラ91を画像形成時の回転方向とは反対の方向に回転させたときに、この回転力を寿命表示部材96の歯車96aに伝達する。また、該寿命表示部材96を移動させることが可能ならば、その他の駆動伝達構成であってもよい。また前記寿命表示部材96に設ける歯車は、歯車96aのような円形歯車にしても良いし、ラックを用いても良い。
【0029】
また、本実施形態では、駆動ローラ91の逆回転時にその動力を伝達する駆動力伝達部材として歯車とカムを用いた歯車9を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、駆動力伝達部材としてワンウェイクラッチを利用して、駆動ローラ91の逆回転時にのみ動力を伝達する構成としても良い。
【0030】
また、前述したように寿命表示部材96(又は蓋98)を移動させて、カバー97から寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を露出させた後は、該寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)は露出したままの状態を保つことが望ましい。そのため、前記寿命表示部材96(又は蓋98)を、カバー97から寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)が露出した位置で固定するように構成している。すなわち、前記寿命表示部材96(又は蓋98)と前記カバー97は互いに係止可能な係止部を有する構成となっている。そして、前記係止部が、前記寿命表示部材96(又は蓋98)と前記カバーとを、前記寿命表示部材96が前記カバー97から露出した位置(露出位置)で係止するように構成している。
【0031】
具体的には、図1〜図5を用いて説明する。寿命表示部材96が移動する場合は、図1〜図3に示すように、寿命表示部材96とカバー97にそれぞれ互いに係止可能な係止部96bと係止部97cを設ける。そして、図1〜図3に示すように、前記寿命表示部材96が前記カバー97から露出した位置(露出位置)で寿命表示部材96の係止部96bとカバー97の係止部97cとが係合し、寿命表示部材96は前記露出位置に固定される。
【0032】
また、蓋98が移動する場合は、図4及び図5に示すように、カバー97と蓋98にそれぞれ互いに係止可能な係止部97cと係止部98bを設ける。そして、図4及び図5に示すように、前記カバー97の寿命表示部97bが蓋98から露出した位置(露出位置)で蓋98の係止部98bとカバー97の係止部97cとが係合し、蓋98は前記露出位置で固定される。
【0033】
このようにしておけば、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を露出させた後に、例えば駆動ローラが通常方向の回転をしたときも、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)は露出したままの状態を保つことができる。各係止部の形状は、ここで例示した構成に限定されるものではなく、露出位置において、前記寿命表示部材96(又は蓋98)とカバー97とが係止される構成であれば、その他の構成であってもよい。
【0034】
また、前記寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)の表示内容の信頼性を確保するため、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を外部から操作されてしまうことを防ぐ必要がある。そのために、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を視認性を確保できる防護部材で覆うと良い。この防護部材は、図6(a)に示すように、透明ポリカーボネート、アクリル、ガラス等の光透過性を有する材質で一体的に形成した防護部材99aを用いても良い。或いは、図6(b)に示すように、外部から操作されない剛性、強度がある材質であり、視認性を確保できる格子状などの形状を有する防護部材99bを用いても良い。
【0035】
次に図7〜図12を用いてユニットとしての定着ユニット70について説明する。図7及び図8に示すように、ユニットとしての定着ユニット70は、画像形成装置に対して着脱自在であり、加圧ローラ71、加熱手段72を有している。なお、定着ユニットの加熱手段72は、例えばハロゲンランプをローラ内部に設置する方法、電磁誘導加熱する方法、セラミックヒータと耐熱フィルムを用いる方法等、どのような加熱手段を用いても構わない。この定着ユニット70は、加圧ローラ71の軸に支持された歯車74と、この歯車74から駆動力が伝達される、駆動力伝達部材としての歯車9を有している。この歯車9は前述した静電搬送ベルトユニット93における歯車9と同様の構成である。更に定着ユニット70は、該ユニットが寿命に達したことを表示する寿命表示部材96と、前記寿命表示部材96を覆う被覆部材としてのカバー97を有している。前記寿命表示部材96は、該寿命表示部材96が前記カバー97から露出するように移動可能に設けてある。
【0036】
歯車9は前述した静電搬送ベルトユニット93における歯車9と同様の構成(図13参照)であるため、その説明を援用するものとし、ここでは省略する。
【0037】
また、定着ユニット70が寿命に到達したかどうかの判断は、図14に示す画像形成装置本体側に設けた寿命判定手段102を用いて行う。この寿命判定手段102は、所定の画像形成回数や、所定の加圧ローラ回転数に達したかどうかを判断する等するためのものである。
【0038】
定着ユニット70が寿命に達していない状態では、図7に示すように、歯車9Aに対して歯車9Bはバネ9Eによって軸方向の当接部9F(図13参照)に接触した状態を保っている。歯車9Bに近接する寿命表示部材96の一部には受動部としての歯車96aが設けてある。しかしながら、歯車9Aに対して歯車9Bがバネ9Eによって軸方向の当接部9Fに接触した状態にある限り、この歯車9Bと歯車96aは係合することは無い。このため、寿命表示部材96は移動せず、カバー97によって覆われた状態を保つ(被覆位置)。これは画像形成時において、定着ユニット70の加圧ローラ71が記録材搬送方向に回転しているときも同様である。
【0039】
画像形成装置側の寿命判定手段102(図14参照)が、前記定着ユニット70が寿命に達したと判断すると、画像形成装置の制御部101(図14参照)の指示によって加圧ローラ71を画像形成時の回転方向とは反対の回転方向に回転させる。すると、歯車9Aに対して歯車9Bはバネ9Eの押圧力に抗してカム9Dに沿って歯車軸方向に移動する。この歯車9Bの移動によって、歯車9Bと歯車96aは噛合する。そして歯車9Bの回転によって歯車96aとともに寿命表示部材96は動かされる。そして、図7に示すように、カバー97の開口部97aから寿命表示部材96が露出する(露出位置)。これにより、画像形成装置から定着ユニット70を取り外しても、このカバー97の開口部97aから露出した寿命表示部材96を目視することで、定着ユニット70が寿命に達したと判断することができる。
【0040】
なお、前記画像形成装置が、定着ユニット70が装着された状態において、前記カバー97から露出した前記寿命表示部材96に対応する位置に開口部(不図示)を有する構成としても良い。このように、開口部(不図示)を設けておくと、定着ユニット70を画像形成装置に装着した状態でも定着ユニット70が寿命に達したかどうかの判断をすることができる。なお、この開口部は、ユニットの交換やジャム処理など装置内のメンテナンスに用いる既存の開口部を利用することも可能である。また、前記カバー97から露出した寿命表示部材96に対応する位置に新たに開口部を設けてもよい。
【0041】
本実施形態に係る定着ユニット70でも、前述した静電搬送ベルトユニット93と同様に、寿命表示部材96を移動させ、カバー97の開口部97aから該寿命表示部材96を露出させる構成を例示した。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、前記カバー97に前記受動部としての歯車を設けて、前記寿命表示部材96に対してカバー97を移動可能に構成しても良い。或いは、図10に示すように、カバー97に寿命表示部材としての寿命表示部97bを設け、このカバー97の寿命表示部97bを覆う被覆部材としての蓋98を移動可能に設けても良い。そして、駆動ローラ91の逆回転時に蓋98に設けた受動部としての歯車98aに、前記歯車9の歯車9Bを噛合させる。そして、蓋98を移動することによってカバー97の寿命表示部97bを露出させる構成にしても良い。即ち、図10(a)における蓋98の位置が、露出位置であり、図10(b)における蓋98の位置が、被覆位置となる。
【0042】
定着ユニット70が寿命であると表示させるのは、画像形成動作中、及びその前後において加圧ローラ71が正規方向(画像形成時の回転方向)に回転する必要があるとき(加熱手段72を予熱する等)以外のタイミングにすると良い。定着ユニット70が寿命に達したことを表示させるためには、加圧ローラ71を画像形成時の回転方向とは反対の回転方向に回転させる必要があるからである。
【0043】
定着ユニット70の加圧ローラ71を駆動させるためのモータ等の駆動手段(不図示)としては、定着ユニット70に前記駆動手段を設けた構成としても良い。或いは、画像形成装置が有する既存の駆動手段を利用し又は画像形成装置本体側に前記駆動手段を設けても良い。その際は、加圧ローラ71の端部に設けた駆動入力部材である歯車等(不図示)で前記駆動手段と連結させて加圧ローラ71を駆動させるように構成する
【0044】
本実施形態では加圧ローラ同軸の歯車74によって駆動させる歯車9に含まれる歯車9Bを用いて寿命表示部材96を移動させる構成を例示したが、この構成に限定されるものではない。すなわち、加圧ローラ71を画像形成時の回転方向とは反対の方向に回転させたときに、この回転力を寿命表示部材96の歯車96aに伝達し、該寿命表示部材96を移動させることが可能ならば、その他の駆動伝達構成であっても良い。また前記寿命表示部材96に設ける歯車は、歯車96aのような円形歯車にしても良いし、ラックを用いても良い。
【0045】
また、本実施形態では定着ユニット70の加圧ローラ71に伝達される駆動力を用いてカバー97から寿命表示部材96が露出する構成を例示した。しかし、加熱手段72に伝達される駆動力を用いてカバー97から寿命表示部材96が露出する構成としても良い。
【0046】
また、本実施形態では、加圧ローラ71の逆回転時にその動力を伝達する駆動力伝達部材として歯車とカムを用いた歯車9を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、駆動力伝達部材としてワンウェイクラッチを利用して、加圧ローラ71の逆回転時にのみ動力を伝達する構成としても良い。
【0047】
また、カバー97から寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を露出させた後は、該寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)は露出したままの状態を保つことが望ましい。そのため、前記寿命表示部材96(又は蓋98)を、カバー97から寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)が露出した位置で固定するように構成している。すなわち、前記寿命表示部材96(又は蓋98)と前記カバー97は互いに係止可能な係止部を有する構成となっている。そして、前記係止部が、前記寿命表示部材96(又は蓋98)と前記カバーとを、前記寿命表示部材96が前記カバー97から露出した位置(露出位置)で係止するように構成している。
【0048】
具体的には、図7〜図11を用いて説明する。寿命表示部材96が移動する場合は、図7〜図9に示すように、寿命表示部材96とカバー97にそれぞれ互いに係止可能な係止部96bと係止部97cを設ける。そして、図7〜図9に示すように、前記寿命表示部材96が前記カバー97から露出した位置(露出位置)で寿命表示部材96の係止部96bとカバー97の係止部97cとが係合し、寿命表示部材96は前記露出位置に固定される。
【0049】
また、蓋98が移動する場合は、図10及び図11に示すように、カバー97と蓋98にそれぞれ互いに係止可能な係止部97cと係止部98bを設ける。そして、図10及び図11に示すように、前記カバー97の寿命表示部97bが蓋98から露出した位置(露出位置)で蓋98の係止部98bとカバー97の係止部97cとが係合し、蓋98は前記露出位置で固定される。
【0050】
このようにしておけば、カバー97から寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を露出させた後に、例えば加圧ローラが通常方向の回転をしたときも、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)は露出したままの状態を保つことができる。各係止部の形状は、ここで例示した構成に限定されるものではない。即ち、カバー97から寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)が露出した位置で、前記寿命表示部材96(又は蓋98)とカバー97とが係止される構成であれば、その他の構成であってもよい。
【0051】
また、前記寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)の表示内容の信頼性を確保するため、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を外部から操作されてしまうことを防ぐ必要がある。そのために、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を視認性を確保できる防護部材で覆うと良い。この防護部材は、図12(a)に示すように、透明ポリカーボネート、アクリル、ガラス等の光透過性を有する材質で一体的に形成した防護部材99aを用いても良い。或いは、図12(b)に示すように、外部から操作されない剛性、強度がある材質であり、視認性を確保できる格子状などの形状を有する防護部材99bを用いても良い。
【0052】
上述したように、本実施形態によれば、静電搬送ベルトユニット93や定着ユニット70が寿命に達したことを表示する寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を有するため、ユーザが簡単に目視判断することで寿命か否かを認識できる。また、簡単な構成で、該ユニットを画像形成装置から取り外しても、該ユニットが寿命に達したものなのかどうかを判別できる。寿命判定手段を前記ユニットに搭載することによるコストの上昇や前記ユニットの大型化を抑えることができる。また前記ユニットの寿命に関わる情報を表示するために画像形成装置の表示部を大型化する必要がない。よって、前記画像形成装置の表示部の大型化に起因する画像形成装置の大型化、コスト上昇、消費電力増大を招くことがない。また前記ユニットが有する寿命表示部材を通して該ユニットの寿命が知らされるため、ユーザーがユニットの寿命判定に関わる情報を容易に認識できる。
【0053】
また、寿命に達した静電搬送ベルトユニット93、定着ユニット70の寿命表示部材96はその寿命表示状態を維持することができるので、寿命表示部材の表示内容の信頼性を確保することが出来る。
【0054】
また、寿命に達した静電搬送ベルトユニット93、定着ユニット70の寿命表示部材96を外部から操作されることを防ぐことが出来るので、寿命表示部材96の表示内容の信頼性を高めることが出来る。
【0055】
〔第2実施形態〕
図15を用いて、第2実施形態に係るユニット及び前記ユニットが着脱可能に装着される画像形成装置について説明する。なお、本実施形態では、ユニットとして、画像形成装置に対して着脱自在な中間転写ベルトユニット83を例示している。
【0056】
図15は中間転写体を用いたインライン方式の電子写真画像形成装置の模式的概略図である。図15において、中間転写体としての中間転写ベルト80は、複数の支持部材である駆動ローラ81、テンションローラ82の各ローラにより張架され、図中矢印方向に回転する。中間転写ベルト80の周面には、異なる色画像を形成する複数のプロセスユニットY(イエロー),M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)が中間転写ベルト80の回転方向に一列に配置されている。各プロセスユニットY,M,C,Kの感光体ドラム11,12,13,14は、それぞれ中間転写ベルト80を介して転写ローラ51,52,53,54に当接されている。なお、各プロセスユニットは、像担持体としての感光体ドラムと、該感光体ドラムに作用する作用手段(後述する帯電装置、現像装置、クリーニング装置)が一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能となっている。なお、図示していないが、画像形成装置は、前記ユニットを取り外し可能に装着する装着部材を有している。
【0057】
画像形成プロセスの構成及び動作は、前述した第1実施形態と同様であるため、その説明を援用するものとし、ここでは省略する。
【0058】
次に転写プロセスについて説明する。各感光体ドラム上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト80上に順次重ねて転写される(1次転写)。この中間転写ベルト80に重畳転写されたトナー像は、2次転写ローラ57によって記録材Sに一括転写される(2次転写)。
【0059】
実際の画像形成プロセスにおいては、中間転写ベルト80上に形成される各色のトナー像の位置が一致するタイミングでプロセスユニットでの画像形成プロセスと転写プロセスとが行われる。そして、中間転写ベルト80が各プロセスユニットY,M,C,Kを順次通過する間に中間転写ベルト80上にトナー像が重ね合わせて転写される(1次転写)。一方、記録材収納部100に収納された記録材Sは、搬送部材としてのピックアップローラ55によって一枚ずつ分離給送される。そして、記録材Sは、搬送部材としてのレジストローラ対56によって2次転写位置に向けて送り出される。そして、前記中間転写ベルト80上に重畳転写されたトナー像は、2次転写ローラ57が当接する2次転写位置において前記記録材Sに一括して転写される(2次転写)。この記録材S上に形成された未定着のトナー像は、定着ユニット70によって定着される。
【0060】
次に第1実施形態の静電搬送ベルトユニットの説明に用いた図1〜図6及び図13を利用して、ユニットとしての中間転写ベルトユニット83について説明する。なお、各図において括弧書きの符号は前述した中間転写ベルトユニット83を構成する部材に関わる符号であり、括弧がない符号は前述した静電搬送ベルトユニット93と同様の構成部材の符号である。図1及び図2に示すように、ユニットとしての中間転写ベルトユニット83は、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けてある。そして、中間転写ベルトユニット83は、前述した中間転写ベルト80、駆動ローラ81、テンションローラ82を有している。この中間転写ベルトユニット83は、駆動ローラ81の軸に支持された歯車84と、この歯車84から駆動力が伝達される、駆動力伝達部材としての歯車9を有している。この歯車9は前述した静電搬送ベルトユニット93や定着ユニット70における歯車9と同様の構成である。更に中間転写ベルトユニット83は、該ユニットが寿命に達したことを表示する寿命表示部材96と、前記寿命表示部材96を覆う被覆部材としてのカバー97を有している。前記寿命表示部材96は、該寿命表示部材96が前記カバー97から露出するように移動可能に設けてある。
【0061】
歯車9は前述した静電搬送ベルトユニット93や定着ユニット70における歯車9と同様の構成(図13参照)であるため、その説明を援用するものとし、ここでは省略する。
【0062】
中間転写ベルト80が寿命に到達したかどうかの判断は、画像形成装置本体側に、所定の画像形成回数や、所定の中間転写ベルト回転数に達したかどうかを判断する等のための寿命判定手段102(図15参照)を設けることによって行う。
【0063】
中間転写ベルト80が寿命に達していない状態では、図2に示すように、歯車9Aに対し歯車9Bはバネ9Eによって軸方向の当接部9F(図13参照)に接触した状態を保っている。歯車9Bに近接する寿命表示部材96の一部には受動部としての歯車96aが設けてある。しかしながら、歯車9Aに対して歯車9Bがバネ9Eによって軸方向の当接部8Eに接触した状態にある限り、この歯車9Bと歯車96aは係合することは無い。このため、寿命表示部材96は移動せず、カバー97によって覆われた状態を保つ(被覆位置)。これは画像形成時において、中間転写ベルトユニット83に含まれる駆動ローラ81が記録材搬送方向に回転しているときも同様である。
【0064】
画像形成装置側の寿命判定手段102(図15参照)が、前記中間転写ベルトが寿命に達したと判断すると、画像形成装置の制御部101(図15参照)の指示によって駆動ローラ81を画像形成時の回転方向とは反対の回転方向に回転させる。すると、歯車9Aに対して歯車9Bはバネ9Eの押圧力に抗してカム9Dに沿って歯車の軸方向に移動する。この歯車9Bの移動によって、該歯車9Bが歯車96aに噛合する。そして歯車9Bの回転によって歯車96aとともに寿命表示部材96が動かされる。そして、図1に示すように、カバー97の開口部97aから寿命表示部材96が露出する(露出位置)。これにより、画像形成装置から中間転写ベルトユニット83を取り外しても、このカバー97の開口部97aから露出した寿命表示部材96を目視することで、中間転写ベルトユニット83が寿命に達したと判断することができる。
【0065】
なお、前記画像形成装置が、前記ユニットとしての中間転写ベルトユニット83が装着された状態において、前記カバー97から露出した前記寿命表示部材96に対応する位置に開口部(不図示)を有する構成としても良い。このように、開口部(不図示)を設けておくと、中間転写ベルトユニット83を画像形成装置に装着した状態でも中間転写ベルトユニット83が寿命に達したかどうかの判断をすることができる。なお、この開口部は、ユニットの交換やジャム処理など装置内のメンテナンスに用いる既存の開口部を利用することも可能である。また、前記カバー97から露出した寿命表示部材96に対応する位置に新たに開口部を設けてもよい。
【0066】
本実施形態に係る中間転写ベルトユニット83では、寿命表示部材96を移動させ、カバー97の開口部97aから該寿命表示部材96を露出させる構成を例示した。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、前記カバー97に前記受動部としての歯車を設けて、前記寿命表示部材96に対してカバー97を移動可能に構成しても良い。或いは、図4に示すように、カバー97に寿命表示部材としての寿命表示部97bを設け、このカバー97の寿命表示部97bを覆う被覆部材としての蓋98を移動可能に設けても良い。そして、駆動ローラ81の逆回転時に蓋98に設けた受動部としての歯車98aに、前記歯車9の歯車9Bを噛合させる。そして、蓋98を移動することによってカバー97の寿命表示部97bを露出させる構成にしても良い。即ち、図4(a)における蓋98の位置が、露出位置であり、図4(b)における蓋98の位置が、被覆位置となる。
【0067】
中間転写ベルト80が寿命に達したことを表示させるのは、画像形成動作中、及びその前後において中間転写ベルトが正規方向(画像形成時の回転方向)に回転する必要があるとき(ベルトクリーニング、濃度検知、書き出し位置検知等)以外のタイミングにすると良い。中間転写ベルト80が寿命に達したことを表示させるためには、駆動ローラ81を画像形成時の回転方向とは反対の回転方向に回転させる必要があるからである。
【0068】
中間転写ベルトユニット83の駆動ローラ81を駆動させるためのモータ等の駆動手段(不図示)としては、中間転写ベルトユニット83に前記駆動手段を設けた構成としても良い。或いは、画像形成装置が有する既存の駆動手段を利用し又は画像形成装置本体側に前記駆動手段を設けても良い。その際は、駆動ローラ81の端部に設けた駆動入力部材である継ぎ手等(不図示)で前記駆動手段と連結させて駆動ローラ81を駆動させるように構成する。
【0069】
本実施形態では駆動ローラ同軸の歯車94によって駆動させる歯車9に含まれる歯車9Bを用いて寿命表示部材96を移動させる構成を例示したが、この構成に限定されるものではない。すなわち、駆動ローラ91を画像形成時の回転方向とは反対の方向に回転させたときに、この回転力を寿命表示部材96の歯車96aに伝達する。また、該寿命表示部材96を移動させることが可能ならば、その他の駆動伝達構成であってもよい。また前記寿命表示部材96に設ける歯車は、歯車96aのような円形歯車にしても良いし、ラックを用いても良い。
【0070】
また、本実施形態では、中間転写体として無端状のベルト部材(中間転写ベルト)を例示したが、これは限定されるものではなく、ドラム状の中間転写ドラムを用いても良い。
【0071】
また、本実施形態では、駆動ローラ81の逆回転時にその動力を伝達する駆動力伝達部材として歯車とカムを用いた歯車9を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、駆動力伝達部材としてワンウェイクラッチを利用して、駆動ローラ81の逆回転時にのみ動力を伝達する構成としても良い。
【0072】
また、前述したように寿命表示部材96(又は蓋98)を移動させて、カバー97から寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を露出させた後は、該寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)は露出したままの状態を保つことが望ましい。そのため、前記寿命表示部材96(又は蓋98)を、カバー97から寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)が露出した位置で固定するように構成している。すなわち、前記寿命表示部材96(又は蓋98)と前記カバー97は互いに係止可能な係止部を有する構成となっている。そして、前記係止部が、前記寿命表示部材96(又は蓋98)と前記カバーとを、前記寿命表示部材96が前記カバー97から露出した位置(露出位置)で係止するように構成している。
【0073】
具体的には、図1〜図5を用いて説明する。寿命表示部材96が移動する場合は、図1〜図3に示すように、寿命表示部材96とカバー97にそれぞれ互いに係止可能な係止部96bと係止部97cを設ける。そして、図1〜図3に示すように、前記寿命表示部材96が前記カバー97から露出した位置(露出位置)で寿命表示部材96の係止部96bとカバー97の係止部97cとが係合し、寿命表示部材96は前記露出位置に固定される。
【0074】
また、蓋98が移動する場合は、図4及び図5に示すように、カバー97と蓋98にそれぞれ互いに係止可能な係止部97cと係止部98bを設ける。そして、図4及び図5に示すように、前記カバー97の寿命表示部97bが蓋98から露出した位置(露出位置)で蓋98の係止部98bとカバー97の係止部97cとが係合し、蓋98は前記露出位置で固定される。
【0075】
このようにしておけば、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を露出させた後に、例えば駆動ローラが通常方向の回転をしたときも、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)は露出したままの状態を保つことができる。各係止部の形状は、ここで例示した構成に限定されるものではなく、露出位置において、前記寿命表示部材96(又は蓋98)とカバー97とが係止される構成であれば、その他の構成であってもよい。
【0076】
また、前記寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)の表示内容の信頼性を確保するため、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を外部から操作されてしまうことを防ぐ必要がある。そのために、寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を視認性を確保できる防護部材で覆うと良い。この防護部材は、図6(a)に示すように、透明ポリカーボネート、アクリル、ガラス等の光透過性を有する材質で一体的に形成した防護部材99aを用いても良い。或いは、図6(b)に示すように、外部から操作されない剛性、強度がある材質であり、視認性を確保できる格子状などの形状を有する防護部材99bを用いても良い。
【0077】
上述したように、本実施形態によれば、ユニットとしての中間転写ベルトユニット83が寿命に達したことを表示する寿命表示部材96(又は寿命表示部97b)を有するため、ユーザが簡単に目視判断することで寿命か否かを認識できる。また、簡単な構成で、該ユニットを画像形成装置から取り外しても、該ユニットが寿命に達したものなのかどうかを判別できる。寿命判定手段を前記ユニットに搭載することによるコストの上昇や前記ユニットの大型化を抑えることができる。また前記ユニットの寿命に関わる情報を表示するために画像形成装置の表示部を大型化する必要がない。よって、前記画像形成装置の表示部の大型化に起因する画像形成装置の大型化、コスト上昇、消費電力増大を招くことがない。また前記ユニットが有する寿命表示部材を通して該ユニットの寿命が知らされるため、ユーザーがユニットの寿命判定に関わる情報を容易に認識できる。
【0078】
また、寿命に達した中間転写ベルトユニット83の寿命表示部材96はその寿命表示状態を維持することができるので、寿命表示部材の表示内容の信頼性を確保することが出来る。
【0079】
また、寿命に達した中間転写ベルトユニット83の寿命表示部材96を外部から操作されることを防ぐことが出来るので、寿命表示部材96の表示内容の信頼性を高めることが出来る。
【0080】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、カラー画像形成のためにプロセスユニットを4つ使用しているが、この使用個数は限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。またカラー画像形成装置に限定されるものではなく、モノクロ画像形成装置であってもよい。
【0081】
また前述した実施形態では、画像形成装置に対して着脱自在なユニットとして、記録材担持体ユニット(静電搬送ベルトユニット93)、定着ユニット(定着ユニット70)、中間転写体ユニット(中間転写ベルトユニット83)をそれぞれ例示して説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、画像形成装置本体に対して着脱可能なユニットであって、寿命による交換を要するユニットであれば、その他のユニットであっても本発明は有効である。また、前記ユニットとして、第1実施形態では記録材担持体ユニットと定着ユニットを、第2実施形態では中間転写体ユニットを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、第2実施形態における画像形成装置の定着ユニットを前記ユニットとして本発明を適用しても良く、或いはその他の画像形成装置において着脱可能な定着ユニットに本発明を適用しても同様の効果が得られ、必要に応じて本発明は適宜適用できる。
【0082】
また前述した実施形態では、ユニットが着脱可能な画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良く、該画像形成装置及びユニットに本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態に係る記録材担持体ユニット及び中間転写ベルトユニットの寿命表示部を露出させる動作を説明する斜視図
【図2】本発明の実施の形態に係る記録材担持体ユニット及び中間転写ベルトユニットの寿命表示部が覆われた状態を説明する斜視図
【図3】本発明の実施の形態に係る記録材担持体ユニット及び中間転写ベルトユニットの寿命表示部を固定する構成を説明する要部斜視図
【図4】本発明の実施の形態に係る記録材担持体ユニット及び中間転写ベルトユニットの寿命表示部の他例を説明する斜視図
【図5】本発明の実施の形態に係る記録材担持体ユニット及び中間転写ベルトユニットの寿命表示部を固定する他の構成を説明する要部斜視図
【図6】本発明の実施の形態に係る記録材担持体ユニット及び中間転写ベルトユニットの寿命表示部の防護部材を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態に係る定着ユニットの寿命表示部を露出させる動作を説明する斜視図
【図8】本発明の実施の形態に係る定着ユニットの寿命表示部が覆われた状態を説明する斜視図
【図9】本発明の実施の形態に係る定着ユニットの寿命表示部を固定する構成を説明する要部斜視図
【図10】本発明の実施の形態に係る定着ユニットの寿命表示部の他例を説明する斜視図
【図11】本発明の実施の形態に係る定着ユニットの寿命表示部を固定する他の構成を説明する要部斜視図
【図12】本発明の実施の形態に係る定着ユニットの寿命表示部の防護部材を示す斜視図
【図13】歯車とカムを用いた駆動伝達手段を説明する斜視図
【図14】記録材担持体ユニットを用いたインライン方式の電子写真画像形成装置の模式的概略図
【図15】中間転写体ユニットを用いたインライン方式の電子写真画像形成装置の模式的概略図
【符号の説明】
【0084】
S …記録材
Y,M,C,K …プロセスユニット
9,9A,9B …歯車(駆動力伝達部材)
9C,9D …カム
9E …バネ
11,12,13,14 …感光体ドラム(像担持体)
51,52,53,54 …転写ローラ
55 …ピックアップローラ(搬送部材)
56 …レジストローラ対(搬送部材)
57 …2次転写ローラ
70 …定着ユニット(ユニット)
71 …加圧ローラ
72 …加熱手段
74 …歯車
80 …中間転写ベルト(中間転写体)
81 …駆動ローラ
82 …テンションローラ
83 …中間転写ベルトユニット(ユニット)
84 …歯車
90 …静電搬送ベルト(記録材担持体)
91 …駆動ローラ
92 …テンションローラ
93 …静電搬送ベルトユニット(ユニット)
94 …歯車
96 …寿命表示部材
96a …歯車(受動部)
96b …係止部
97 …カバー(被覆部材)
97a …開口部
97b …寿命表示部(寿命表示部材)
97c …係止部
98 …蓋(被覆部材)
98a …歯車(受動部)
98b …係止部
99a …防護部材
101 …制御部
102 …寿命判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して着脱自在なユニットであって、
前記ユニットが寿命に達したことを表示する寿命表示部材と、
前記寿命表示部材を覆う被覆部材と、
前記寿命表示部材又は前記被覆部材に駆動力を伝達する駆動力伝達部材と、
を有し、
前記寿命表示部材又は前記被覆部材は、前記寿命表示部材が前記被覆部材から露出する露出位置から、前記被覆部材が前記寿命表示部材を覆う被覆位置へ移動可能に設けられ、前記画像形成装置本体が有する寿命判定手段によって前記ユニットが寿命に達したと判断した際は、前記駆動力伝達部材によって伝達された前記駆動力によって、前記寿命表示部材又は前記被覆部材が前記被覆位置から前記露出位置に移動することを特徴とするユニット。
【請求項2】
前記寿命表示部材が前記被覆部材から露出するように前記寿命表示部材又は前記被覆部材を移動させる際の、前記駆動力伝達部材の回転方向は、画像形成時の回転方向とは逆方向であることを特徴とする請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記寿命表示部材又は前記被覆部材は前記駆動力伝達部材からの前記駆動力を受ける受動部を有し、前記駆動力伝達部材の回転方向が画像形成時の回転方向とは逆方向のときに前記駆動力伝達部材からの前記駆動力が前記受動部に伝達されて、前記寿命表示部材又は前記被覆部材が移動することを特徴とする請求項2に記載のユニット。
【請求項4】
前記寿命表示部材及び前記被覆部材は互いに係止可能な係止部を有し、前記係止部は前記寿命表示部材と前記被覆部材とを、前記露出位置で係止することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項5】
更に、前記ユニットは、
前記露出位置において前記寿命表示部材を覆う防護部材を有し、前記防護部材を通して前記寿命表示部材を視認することができることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項6】
画像形成装置本体に対して着脱自在なユニットは、像担持体上に形成された像が一時的に転写される中間転写体を有する中間転写体ユニットであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項7】
画像形成装置本体に対して着脱自在なユニットは、像担持体上に形成された像を転写する記録材を担持搬送する記録材担持体を有する記録材担持体ユニットであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項8】
画像形成装置本体に対して着脱自在なユニットは、記録材上の未定着像を定着させるための定着ユニットであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項9】
ユニットが着脱可能で、記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記ユニットの寿命を判定する寿命判定手段と、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のユニットを取り外し可能に装着する装着部材と、
前記記録材を搬送する搬送部材と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
更に、前記画像形成装置は、
前記ユニットが装着された状態において、前記露出位置における前記寿命表示部材に対応する位置に開口部を有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−292805(P2006−292805A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109478(P2005−109478)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】