説明

ラミネート装置及び長尺シートの加工方法

【課題】長尺プラスチックシート同士を一体に貼り合わせるラミネート装置を利用して、原反ロールから繰り出されるシートの表面加工を連続的に行えるようにする。
【解決手段】一対のシート供給手段とシート圧着手段を備えたラミネート装置に、紫外線硬化性の塗剤を塗布する塗剤塗布手段と乾燥手段と塗剤硬化手段と一対のシート巻き取り手段とを設け、両シート供給手段から基材シートと賦型シートをそれぞれ送り出し、基材シートに塗剤を塗布し必要に応じ乾燥させ、当該塗布面に賦型シートを貼り合わせて圧着した状態で塗剤を硬化させた後、基材シートから賦型シートを剥離して両シートをシート巻き取り手段で巻き取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原反ロールに巻かれたプラスチックシート同士を一体に貼り合わせるラミネート装置及びこれを利用した長尺シートの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
短冊形のプラスチックラベルの表面に凹凸溝を形成する加工装置として、例えば図4に示されるように、型用フィルム100をテンションローラー101、101間に循環配置させてなる装置に紫外線硬化性樹脂を表面に塗布した加工ラベル102を搬送し、圧着ローラー103、103で加工ラベル102と型用フィルム100を圧着し、紫外線ランプ104で紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた後、加工ラベル102から型用フィルム100を剥離することで加工ラベル102の表面に凹凸溝が形成されるように構成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−66980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面に凹凸溝などの装飾加工が施されたプラスチックシートは、前述のラベルやステッカー、包装物流資材、メディア資材、工業用プレートや建材の加工資材など様々な技術分野で利用される産業用シートとして需要が見込まれている。
然しながら、紫外線硬化性樹脂を用いてラベルの表面に凹凸溝を形成する前記従来の加工装置は、縦横の寸法が短い短冊形のラベルの加工に対応したものであり、長尺のプラスチックシートを連続的に加工することはできなかった。
【0005】
すなわち、従来の加工装置で加工可能なシートの大きさは、縦横がせいぜい数十センチ程度のものに止まり、数メートルの幅を有するシート、或いは原反ロールから連続的に繰り出されるシートは加工することができず、また、前記加工装置の他に長尺なシートの表面を連続的に加工する装置や方法はなく、短尺なシートでなければ加工することができないことから、表面に凹凸溝が形成されてなるこの種の産業用シートの利用用途が制限され、前記幅広い分野での需要に応えられていないのが実情であった。
また、従来の加工装置では、紫外線ランプで紫外線を照射する時に加工ラベルと型用フィルムとに多くの熱がかかってしまうため、加工ラベルと型用フィルムが変形を来すおそれがあった。
さらに、従来の加工装置では、加工ラベルと型用フィルムは、両フィルム間に介在する硬化前の紫外線硬化性樹脂の粘着性によって粘着させたのみの状態で、紫外線を照射し樹脂を硬化させていたので、型用フィルムの凹凸溝の転写精度が悪く、加工ラベル表面に凹凸溝を綺麗に精度良く転写することが困難であった。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、長尺なプラスチックシート同士を一体に貼り合わせるラミネート装置を利用して、原反ロールから繰り出されるシートの表面に極めて微細な凹凸溝を形成するなどの加工を連続的に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明のラミネート装置は、基材シートが巻かれた原反ロールを支持して前記シートを送り出す第1のシート供給手段と、賦型された賦型シートを支持して前記シートを送り出す第2のシート供給手段と、第1又は第2のシート供給手段の後段にシート表面に塗剤を塗布する塗剤塗布手段と、前記塗剤塗布手段の後段に送り出されるシート同士を貼り合わせる二本の圧着ロールからなる圧着手段と、圧着手段の後段に前記塗布された塗剤を硬化させる塗剤硬化手段とを備えたラミネート装置において、
前記賦型シートを供給する第2のシート供給手段がロール状であり、
前記圧着手段で貼り合わされた両シートを分離してそれぞれに巻き取る一対のシート巻き取り手段を前記塗剤硬化手段の後段に設けた構成を有することを特徴とする。
また、前記塗剤塗布手段の後段で前記塗剤硬化手段の間に、塗剤乾燥手段を設けることがより好ましい。この塗剤乾燥手段を備えることにより、溶剤を含む場合でも塗剤を確実に乾燥させることができる。
【0008】
前記構成のラミネート装置において、塗剤塗布手段で光硬化性樹脂を基材シートに塗布し、貼り合わせたシートに、塗剤硬化手段で光を照射する構成を備えていることが好ましい。
本発明における光硬化性樹脂とは、光の照射により流動性を失って固体又はゲル状態になる樹脂、或いは樹脂組成物などをいう。例えば、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などがある。また、可視光、X線、α線、β線、γ線などのその他の光線により硬化する樹脂、樹脂組成物などもこれに含まれる。
特に、光硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を使用することが好ましい。紫外線硬化性樹脂は光硬化性樹脂の中では最も取り扱いが簡便であり、種類も多いからである。また、電子線硬化性樹脂を用いることも好ましい。電子線硬化性樹脂は、一般的には重合開始剤を含んでいないため、硬化後の樹脂硬化物の物性に優れているという利点がある。
塗剤硬化手段は、塗剤が紫外線硬化性樹脂のときは紫外光放射装置、電子線硬化性樹脂のときは電子線放射装置のように、塗剤塗布手段で塗布する光硬化性樹脂に応じた光放射手段、或いは発光装置が用いられる。
【0009】
また、前記構成のラミネート装置において、貼り合わせたシートを冷却する構成を塗剤硬化手段が備えていることが好ましい。
一般に紫外線などを放射する発光装置は、発光に伴って多大な熱を発生する。ラミネート装置では、プラスチックフィルムなどの熱に弱い基材を主に扱うので、発光に伴う熱の影響を受けて基材シートが熱変形するおそれがある。とりわけ、厚さ100μm以下の薄膜フィルムは熱に弱く、熱の影響がある中でフィルム表面に極めて微細な、例えば2〜5μmの幅の凹凸溝を形成加工は困難である。
そこで、本発明では、塗剤硬化手段として光放射手段や発光装置を用いる場合は、貼り合わせたシートを冷却する手段を含んだ構成とし、貼り合わせたシートを冷却しながら光を照射することで、基材シートへの熱の影響を少なくして、シートが熱変形するのを防止している。
【0010】
さらに、前記構成のラミネート装置において、貼り合わせたシートにテンションをかけてドラムに密着させ、その状態で塗剤硬化手段で塗剤を硬化させる構成を備えていることが好ましい。
このように貼り合わせたシートにテンションをかけてドラムに密着させた状態にて塗剤硬化手段で塗剤を硬化させるので、賦型シート表面の極めて微細な凹凸溝などを、基材シート上により確実に転写することが可能である。
【0011】
また、本発明の長尺シートの加工方法は、基材シートが巻かれた原反ロールを支持して前記シートを送り出す第1のシート供給手段と、賦型された賦型シートを支持して前記シートを送り出す第2のシート供給手段と、第1又は第2のシート供給手段の後段にシート表面に塗剤を塗布する塗剤塗布手段と、前記塗剤塗布手段の後段に送り出されるシート同士を貼り合わせる二本の圧着ロールからなる圧着手段と、圧着手段の後段に前記塗布された塗剤を硬化させる塗剤硬化手段とを備えていて、
前記賦型シートを供給する第2のシート供給手段がロール状であり、
前記圧着手段で貼り合わされた両シートを分離してそれぞれに巻き取る一対のシート巻き取り手段を前記塗剤硬化手段の後段に設けた構成を有するラミネート装置を用いた加工方法であって、
前記第1のシート供給手段から基材シート、第2のシート供給手段から賦型シートをそれぞれ送り出す工程、基材シート又は賦型シートの表面に塗剤を塗布する工程、塗剤が塗布された面を他方のシートの表面に向けて基材シートと賦型シートを貼り合わせる工程、塗剤を硬化させる工程、及び基材シートから賦型シートを剥離する工程を経て、基材シートの表面を賦型シートの表面型に加工することを特徴とするものである。
前記構成の長尺シートの加工方法において、塗剤が光硬化性樹脂であり、塗剤を硬化させる工程が光の照射を含んだ工程であり、且つ、貼り合わせたシートを冷却しながら前記塗剤を硬化させる工程を有することが好ましく、これにより、光放射源からの熱ダメージを受けることなく、基材シートの表面を高精度に加工することが可能となる。
さらに、貼り合わせたシートにテンションをかけてドラムに密着させ、その状態で塗剤硬化手段で塗剤を硬化させる工程を有することが好ましい。
【0012】
本発明のラミネート装置によれば、第1のシート供給手段から連続的に送り出される基材シート又は第2のシート供給手段から連続的に送り出される賦型シートの表面に紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂など光硬化性樹脂塗剤を塗布し、これを必要に応じ乾燥させてから、基材シートと賦型シートとを貼り合わせ、両シートを一体に圧着させた状態で発光装置などの塗剤硬化手段で前記塗剤を硬化させ、その後に賦型シートを基材シートから剥離することで、基材シートの表面を賦型シート表面型の形状に加工することができ、表面加工がなされた基材シートは巻き取り手段でロールに巻き取られる。
このように長尺シート同士をラミネートする一連の工程でシート表面に加工を施すことができるので、表面に凹凸溝などが形成されたシートを、使用する長さを問わず、様々な分野及び用途で利用することが可能となる。
また、基材シートと貼り合わす賦型シートを、その表面型を異ならせて幾つか設けておくことにより、例えば微細な凹凸溝が形成されたもの(半艶面)、粗い凹凸溝が形成されたもの(艶消し面)、表面が平滑なもの(艶面)などというように異なる表面型のものを準備しておき、これらを選択的に用いて基材シートと貼り合わせ、剥離することで、表面が半艶面、艶消し面、艶面など賦型シートの表面型に対応した形状の表面加工がなされた基材シートを得ることが可能である。
【0013】
また、本発明のラミネート装置は、シート供給手段、シートを圧着する手段及び巻き取り手段を備えた既存の装置を利用し、これに塗剤塗布手段、乾燥手段及び塗剤硬化手段を増設し、さらに基材シートと賦型シートをシート供給手段から送出するとともに、両シートを一旦貼り合わせた後に剥離するように設けることで、長尺シートの表面を連続的に加工する装置を簡易に構成することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好適な一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明のラミネート装置の一実施形態を示しており、図中、符号BSは基材シート、PSは賦型シート、1、2はシート供給手段、3は塗剤塗布手段、4は乾燥手段、5は圧着手段、6は塗剤硬化手段、7、7は剥離ローラー、8、9はシート巻き取り手段、10は各手段間に配したテンションローラー、11は冷却手段である。
【0015】
より詳しくは、基材シートBSは、例えばポリエステルやポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどからなる長尺薄肉なプラスチックシートであり、原反ロールに巻かれた状態でシート供給手段1から繰り出し自在に配置してある。
【0016】
賦型シートPSは、基材シートBSと同様な長尺薄肉なプラスチックシートからなり、その表裏何れかの面に、図2に示されるような微細な凹凸溝を設けて形成してあり、原反ロールに巻かれた状態でシート供給手段2から繰り出し自在に配置してある。
【0017】
シート供給手段1は、前記原反ロールに巻かれた基材シートBSを支持し、シートを連続的に送り出す原反給紙ローラーからなり、また、シート供給手段2は、前記原反ロールに巻かれた賦型シートPSを支持し、シートを連続的に送り出す賦型原反給紙ローラーからなっている。
【0018】
塗剤塗布手段3は、シート供給手段1の後段に設置されており、基材シートBSに送出経路上にコーターヘッドを配して、シート供給手段1から連続的に送り出される基材シートBSの表面に塗剤としての紫外線硬化性樹脂URを一様な厚みで塗布するように設けてある(図3(B)参照)。
【0019】
乾燥手段4は、遠赤外線ランプを用いた電熱式熱乾燥炉などの、個別に温度調節が可能な複数の乾燥炉4aにより構成されており、塗剤塗布手段3の後段に各乾燥炉4aを連ねて設置し、各乾燥炉4a内を基材シートBSが通過する過程でその表面に塗布された紫外線硬化性樹脂URを乾燥させるように設けてある。
【0020】
圧着手段5は、上下に配した金属製の押圧ローラー5aと合成ゴム製の押圧ローラー5bからなり、乾燥手段4から送出される基材シートBSとシート供給手段2から送出される賦型シートPSとを両押圧ローラー5a、5b間に引き入れ、基材シートBSの紫外線硬化性樹脂URが塗布された面と賦型シートPSの凹凸溝が形成された面とを貼り合わせ、一体に圧着するように設けてある。
【0021】
塗剤硬化手段6は、圧着手段5の後段に設置された大径のドラム6aと、このドラム6aの外周面を照射面として配置された紫外線を放射する一対の紫外線照射装置6b、6bからなり、前記圧着手段5で一体に圧着されたシートがドラム6aの外周を転動する過程で紫外線照射装置6b、6bで紫外線をシートに照射することにより、基材シートBSの表面に塗布された紫外線硬化性樹脂URを硬化させるように設けてある。
【0022】
剥離ローラー7、7は、圧着手段5で圧着されて塗剤硬化手段6を通過した一体のシートを両ローラー間に引き入れ、且つ重なり合った基材シートBSと賦型シートPSとを上下に分離してそれぞれシート巻き取り手段8、9へと送出するように設けてある。
【0023】
シート巻き取り手段8、9は、剥離ローラー7、7で分離された基材シートBSと賦型シートPSをそれぞれが支持するローラーに巻き取るように設けてある。
【0024】
また、冷却手段11は、圧着手段5で一体に圧着されたシートが塗剤硬化手段6のドラム6aの外周を転動する過程でシートを冷却するためのものであり、ドラム6aの内部に形成された冷却水循環路11aに冷却水を冷却装置11bから循環供給するように設けてある。
【0025】
このように構成された本形態のラミネート装置によれば、シート供給手段1から送り出される基材シートBSの表面に(図3(A))、塗剤塗布手段3で紫外線硬化性樹脂URを均一な厚みで塗布し(同図(B))、これを乾燥手段4で乾燥させた後、シート供給手段2から送り出される賦型シートPSを、圧着手段5で基材シートBSの紫外線硬化性樹脂URが塗布された面に一体に貼り合わせて圧着し(同図(C))、さらに塗剤硬化手段6において、テンションをかけられることで冷却したドラム6aに密着させられて、且つ冷却状態の貼り合わされたシートに紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂URを硬化させ、その後、剥離ローラー7、7で基材シートBSから賦型シートPSを剥離することで、基材シートBSの樹脂塗布面に賦型シートPSの表面型が転写され(同図(D))、表面が凹凸溝形状に加工された基材シートBSを連続的に形成することが可能である。
【0026】
なお、図示した形態では、賦型シートPSとして表面に微細な凹凸溝が形成されたものを用いたが、粗い凹凸溝やその他任意の凹凸模様が形成されたもの、或いは表面を凹凸のない滑らかな面としたものなどを用いてもよい。本発明のラミネート装置では、賦型シートPSの表面型が基材シートBSの塗剤塗布面に転写され、表面型の形状などに応じて、基材シートBSの表面を艶消し面や半艶面、艶面、凹凸模様面などに加工することが可能である。図示した形態は一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
〔実施例〕
塗剤として紫外線硬化性樹脂組成物を用い、長尺な基材シートBSの表面に、賦型シートPSの微細な凹凸型を連続的に転写する加工を行った。
基材シートBSは、長さ1000m、厚さ50μm、幅1280mmの易接着PETフィルム(東洋紡社製)を用い、賦型シートPSは、長さ1000m、厚さ50μm、幅1280mmのPETフィルム(東レ株式会社製の「ルミラー」(登録商標))を用いた。このフィルムは、表面に2〜5μmのランダムな凹凸を形成して艶消しエンボス加工がなされたフィルムである。
【0028】
塗剤である紫外線硬化性樹脂組成物としては、塗料を以下の成分比で配合したものを用いた。
ビームセット577(荒川化学社製) 50重量部
ビームセット371(荒川化学社製) 50重量部
アエロジルR7200(日本アエロジル社製)5重量部
イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ)3重量部
BYK−333(ビックケミー社製) 0.01重量部
酢酸ブチル 80重量部
エチレングリコールモノメチルエーテル 10重量部
2−プロパノール 10重量部
また、塗剤硬化手段6の紫外線照射装置6bとして、120W/cmのメタルハライドランプを使用した。
【0029】
加工の実施要領は以下の通りである。
塗剤である前記紫外線硬化性樹脂組成物を塗剤塗布手段3に供給し、当該手段のコーターヘッドの位置を調整することで、基材シートBSの送り出し速度を20m/分とした時に、基材シートBS上に前記塗剤が約20μmの厚さで塗布されるように設定した。
乾燥手段4の乾燥炉4aは、上記の塗布条件とした場合に、基材シートBSの変形が起きず、且つ溶剤が完全に蒸発しきる温度に設定した。
シート供給手段2の賦型原反給紙ローラーには、賦型シートPSをその凹凸加工面が内巻きとなるようにセットした。
乾燥手段4を通って送り出される基材シートBSの塗剤塗布面と、シート供給手段2から送り出される賦型シートPSの凹凸加工面とを重ね、これを対になっている圧着手段5の押圧ローラー5a、5a間を通して一体に圧着させた。
押圧ローラー5a、5aで一体に圧着されたシートを、テンションローラー10でテンションを与え、引っ張ることにより、ドラム6aに密着させた。
ドラム6aは冷却手段11で十分に冷却した状態に保っておき、ドラム6aの周面に重なった前記一体のシートの表面に、紫外線照射装置6b、6bで紫外線を照射して、前記両シート間の塗剤を硬化させた。
塗剤を硬化させた一体のシートを剥離ローラー7、7を通して、塗膜が形成された基材フィルムBSをシート巻き取り手段8のローラーに、賦型シートPSをシート巻き取り手段9のローラーにそれぞれ巻き取った。
【0030】
このようにして、長さ1000mに渡る長尺フィルムを加工した。シート巻き取り手段8で巻き取った基材シートBSの表面には、賦型シートPSの表面の凹凸がくっきりと転写され、光沢が非常に少ない艶消し面に加工されたことを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態のラミネート装置の構成を示した図である。
【図2】表面に凹凸溝を設けた賦型シートの要部断面図である。
【図3】(A)〜(D)は図1のラミネート装置によって表面が加工される基材シートの断面を加工工程毎に示した図である。
【図4】ラベルの表面を加工する従来の加工装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0032】
BS 基材シート、PS 賦型シート、UR 紫外線硬化性樹脂、1、2 シート供給手段、3 塗剤塗布手段、4 乾燥手段、5 圧着手段、6 塗剤硬化手段、7 剥離ローラー、8、9 シート巻き取り手段、10 テンションローラー、11 冷却装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートが巻かれた原反ロールを支持して前記シートを送り出す第1のシート供給手段と、賦型された賦型シートを支持して前記シートを送り出す第2のシート供給手段と、第1又は第2のシート供給手段の後段にシート表面に塗剤を塗布する塗剤塗布手段と、前記塗剤塗布手段の後段に送り出されるシート同士を貼り合わせる二本の圧着ロールからなる圧着手段と、圧着手段の後段に前記塗布された塗剤を硬化させる塗剤硬化手段とを備えたラミネート装置において、
前記賦型シートを供給する第2のシート供給手段がロール状であり、
前記圧着手段で貼り合わされた両シートを分離してそれぞれに巻き取る一対のシート巻き取り手段を前記塗剤硬化手段の後段に設けた構成を有することを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
塗剤塗布手段で光硬化性樹脂を基材シートに塗布し、貼り合わせたシートに、塗剤硬化手段で光を照射する構成を備えた請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項3】
塗剤硬化手段は、貼り合わせたシートを冷却する手段を含んで構成されたことを特徴とする請求項2に記載のラミネート装置。
【請求項4】
貼り合わせたシートにテンションをかけてドラムに密着させ、その状態で塗剤硬化手段で塗剤を硬化させる構成を備えた請求項1〜3のいずれかに記載のラミネート装置。
【請求項5】
基材シートが巻かれた原反ロールを支持して前記シートを送り出す第1のシート供給手段と、賦型された賦型シートを支持して前記シートを送り出す第2のシート供給手段と、第1又は第2のシート供給手段の後段にシート表面に塗剤を塗布する塗剤塗布手段と、前記塗剤塗布手段の後段に送り出されるシート同士を貼り合わせる二本の圧着ロールからなる圧着手段と、圧着手段の後段に前記塗布された塗剤を硬化させる塗剤硬化手段とを備えていて、
前記賦型シートを供給する第2のシート供給手段がロール状であり、
前記圧着手段で貼り合わされた両シートを分離してそれぞれに巻き取る一対のシート巻き取り手段を前記塗剤硬化手段の後段に設けた構成を有するラミネート装置を用いた長尺シートの加工方法であって、
前記第1のシート供給手段から基材シート、第2のシート供給手段から賦型シートをそれぞれ送り出す工程、基材シート又は賦型シートの表面に塗剤を塗布する工程、塗剤が塗布された面を他方のシートの表面に向けて基材シートと賦型シートを貼り合わせる工程、塗剤を硬化させる工程、及び基材シートから賦型シートを剥離する工程を経て、基材シートの表面を賦型シートの表面型に加工することを特徴とする長尺シートの加工方法。
【請求項6】
塗剤が光硬化性樹脂であり、塗剤を硬化させる工程が光の照射を含んだ工程であり、且つ、貼り合わせたシートを冷却しながら前記塗剤を硬化させる工程を有することを特徴とする請求項5に記載の長尺シートの加工方法。
【請求項7】
貼り合わせたシートにテンションをかけてドラムに密着させ、その状態で塗剤硬化手段で塗剤を硬化させる工程を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の長尺シートの加工方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−213398(P2008−213398A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56908(P2007−56908)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(503276034)栄和化工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】