説明

ランドパターン形状を有する基板とそこに実装する圧電部品

【課題】
本発明の目的は、圧電部品が小型化しても、隣接する実装電極同士が短絡することなく、また、リフロー等による急激な温度変化による熱応力の影響を受けることのないユーザ基板のランドパターン形状とそこに実装する圧電部品を提供することにある。
【解決手段】
電子部品Aの実装電極17を、ユーザ基板30のランドパターン18位置に合致させて実装するランドパターン18形状を有する基板において、電子部品Aの各辺から点対称に垂直に延びる方向にランドパターン18が延出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用通信機器等の電子機器に用いられるランドパターン形状とそこに実装される圧電部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯用通信機器等の電子機器に圧電部品が用いられている。
【0003】
かかる従来の圧電部品としては、例えば図5に示す如く、内部に図中には示されていないが、圧電振動素子が収容されている第1の容器42を、開口部43内に前記の圧電振動素子の振動に基づいて発振出力を制御する半導体集積部品44やコンデンサ等の電子部品素子が収容されている第2の容器41上に取着させた構造のものが知られており、かかる圧電部品をマザーボード等のユーザ基板上に載置させた上、第2の容器41の下面に設けられている実装電極をユーザ基板の配線にはんだ接合することによりユーザ基板上に実装される。
【0004】
なお、第1の容器42や第2の容器41は、通常、セラミック材料によって形成されており、その内部や表面には配線導体が形成され、従来周知のセラミックグリーンシート積層法等を採用することにより製作される。
【0005】
また、前記半導体集積部品44の内部には、圧電振動素子の温度特性に応じて作成された温度補償データに基づいて圧電部品の発振周波数を補正するための温度補償回路が設けられており、圧電部品を組み立てた後、上述の温度補償データを半導体集積部品44のメモリ内に格納すべく、第2の容器41の下面や外側面等には温度補償データ書込用の書込端子45が設けられていた。この書込端子45に温度補償データ書込装置のプローブ針を当てて半導体集積部品44内のメモリに温度補償データを入力することにより、温度補償データが半導体集積部品44のメモリ内に格納される。
【0006】
また、上述の第2の容器41とユーザ基板との接続には、第2の容器41下面の実装電極(不図示)とユーザ基板側のランドパターンとをはんだ等の導電性接着剤で固着することにより行っていた。
【特許文献1】特開2005−39435号公報
【0007】
なお、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の圧電部品の第2の容器41の下面に設けられている実装電極(不図示)をユーザ基板の配線にはんだ接合することによりユーザ基板上に実装させる場合、圧電部品が小型化するにつれ、第2の容器41の下面の実装電極間距離が狭くなり、隣接する実装電極間の短絡やリフロー等による急激な温度変化による実装電極とユーザ基板間の熱応力により圧電部品の発振周波数が変動するという欠点を有していた。
【0009】
本発明は上記欠点に鑑み考え出されたものであり、従ってその目的は、圧電部品が小型化しても、隣接する実装電極同士が短絡することがなく、また、リフロー等による急激な温度変化による熱応力の影響を受けることのないユーザ基板のランドパターン形状とそこに実装する圧電部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のランドパターン形状は、電子部品の実装電極を、ユーザ基板のランドパターン位置に合致させて実装するランドパターン形状を有する基板において、前記電子部品の各辺から垂直に延びる方向に、相対する各辺で点対称になるランドパターンが延出していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の圧電部品は、圧電部品の各辺から点対称に垂直に延びる方向にユーザ基板のランドパターンが延出した前記ユーザ基板上に、前記圧電部品を実装し前記圧電部品の各辺から垂直方向に接合材により前記圧電部品を固着することを特徴とする。
【0012】
また、上記構成における圧電部品の接合材は、はんだ、導電性接着剤であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のランドパターン形状によれば、電子部品の実装電極を、ユーザ基板のランドパターン位置に合致させて実装するランドパターン形状を有する基板において、前記電子部品の各辺から垂直に延びる方向に、相対する各辺で点対称になるランドパターンが延出しているため、リフロー等の急激な温度変化による電子部品に掛かる熱応力をユーザ基板のランドパターンの配置形状により電子部品の各辺から垂直に延びる方向に分散できるため、電子部品に掛かる熱応力を緩和でき、リフロー等の急激な温度変化による周波数変動等の特性変動の少ない電子部品を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図においての同一の符号は同じ対象を示すものとする。
【0015】
図1は図2のX−X’線で切断した場合の本発明における電子部品Aをユーザ基板30に実装した状態を示す概略の断面図であり、図2は図1の電子部品Aの底面の実装電極17の配置と、電子部品Aの実装電極17とユーザ基板30のランドパターン18の配置関係を示している。
【0016】
図1に示す電子部品Aは、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10の下面に実装電極17が設けられ、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10の上面には半導体集積部品6が搭載されている。また、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10の開口部14を囲う側面には枠壁部12、枠壁部12の外側面には書込端子11が形成されている。また、図1に示すように枠壁部12の上面には、圧電振動素子5が収容されている第1の容器1を載置して固定した構造を有している。また、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10とその上面に搭載された半導体集積部品6間には熱硬化性樹脂13が注入されており、半導体集積部品6の回路形成面(下面)を保護している。
【0017】
図1において、第1の容器1は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る基板2と、基板2と同様のセラミック材料から成る側壁3、42アロイやコバール、リン青銅等の金属から成る蓋体4とから成り、基板2の上面に側壁3を取着させ、その上面に蓋体4を載置して固定させることによって第1の容器1が構成され、側壁3の内側に位置する基板2の上面に圧電振動素子5が実装されている。
【0018】
また、第1の容器1は、その内部に、具体的には、基板2の上面と側壁3の内面と蓋体4の下面とで囲まれる開口部内に圧電振動素子5を収容して気密封止されており、基板2の上面には圧電振動素子5の振動電極に接続される一対の搭載パッド等が、基板2の下面には後述する第2の容器10上の枠壁部12に接続される複数個の接続用端子16がそれぞれ設けられ、これらのパッドや端子は基板2表面の配線パターンや基板内部に埋設されているビアホール等を介して、対応するもの同士、相互に電気的に接続されている。また、第1の容器1の下面に形成される接続用端子15は第1の容器1の下面の4隅部と第1の容器1の下面の長辺側の中央部にそれぞれ1個ずつ形成されている。
【0019】
また、同様に図3に示すように第2の容器10の上面に形成された接続用端子16も第2の容器10の上面の4隅部と第2の容器10の上面の長辺側にそれぞれ1個ずつ形成され、第1の容器1の接続用端子15と対応する位置にある第2の容器10の接続用端子16とは半田等の導電性接着剤により第1の容器1と第2の容器10とが電気的、機械的に接続固着されている。
【0020】
また、図2〜図4に示すように第1の容器1の下面の長辺側の中央部に形成された第1の容器1の接続用端子15は第1の容器1の側面に形成された書込端子11に電気的に接続されており、また同様に第2の容器10の上面の長辺側の中央部に形成された第2の容器10の接続用端子16は第2の容器10の側面に形成された書込端子11と電気的に接続されるように形成されている。
【0021】
そして、上述した第1の容器1が取着される半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10は概略矩形状を成しており、ガラス布基材エポキシ樹脂やポリカーボネイト,エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂等の樹脂材料やガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料等によって平板状を成すように形成されている。
【0022】
また、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10は、基板領域Aの下面の四隅部に4つの実装電極17(電源電圧端子、グランド端子、発振出力端子、発振制御端子)が形成され、上面の四隅部を囲む周縁には枠壁部12が形成されている。また、第2の容器10の上面の中央域にはフリップチップ型の半導体集積部品6が、枠壁部12の長辺側の外側側面中央部には書込端子11が設けられている。
【0023】
また、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10の下面に設けられている4つの実装電極17は、電子部品Aをマザーボード等のユーザ基板30に接続するための端子として機能するものであり、電子部品Aをユーザ基板30上に搭載する際、ユーザ基板30のランドパターン18とはんだ等の導電性接着剤19を介して電気的に接続されるように成っている。
【0024】
また、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10の上面に設けられる枠壁部12は、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10と第1の容器1との間に、半導体集積部品6を配置させるのに必要な所定の間隔を確保しつつ、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10の接続用端子16を第1の容器1の接続用端子15に接続するためのものである。
【0025】
更に、上述した半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10の中央域には、複数個の電極パッドが設けられており、これら電極パッドに半導体集積部品6の接続パッドをAuバンプや半田、異方性導電接着材等の導電性接着剤を介して電気的、及び機械的に接続させることによって半導体集積部品6が開口部14を有する第2の容器10上の所定位置に取着される。
【0026】
また、半導体集積部品6は、その回路形成面(下面)に、周囲の温度状態を検知する感温素子、圧電振動素子5の温度特性を補償する温度補償データを格納するメモリ、メモリ内の温度補償データに基づいて圧電振動素子5の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路、先の温度補償回路に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等が設けられており、この発振回路で生成された発振出力は、外部に出力された後、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
【0027】
なお、上述した半導体集積部品6と開口部14を有する第2の容器10との間にはエポキシ樹脂等から成る熱硬化性樹脂13が介在されており、この熱硬化性樹脂13は半導体集積部品6の回路形成面(下面)と側面の一部を被覆するように被着されている。
【0028】
これにより、半導体集積部品6を収容する開口部14を有する第2の容器10に対する半導体集積部品6の取着強度が向上されるとともに、半導体集積部品6の回路形成面が熱硬化性樹脂13によって良好に被覆され、回路形成面の電子回路が大気中の水分等によって腐食されるのを有効に防止することができる。
【0029】
ここで、本発明の特徴部分は図1、図2に示すように、電子部品Aの実装電極17を、ユーザ基板30のランドパターン18の位置に合致させて実装するランドパターン形状を有する基板において、電子部品Aの各辺から垂直に延びる方向に相対する各辺で点対称になるランドパターン18が延出している点である。これにより、電子部品の実装電極17が各辺から垂直方向の実装力が加わることから、リフロー等の急激な温度変化による電子部品Aに掛かる熱応力を、ユーザ基板30のランドパターン18の配置形状により電子部品Aの各辺から垂直に延びる方向に分散できるため、電子部品Aに掛かる熱応力を緩和でき、リフロー等の急激な温度変化に対して周波数変動等の特性変動の少ない電子部品Aを得ることが可能となる。
【0030】
また、電子部品Aの実装電極17とユーザ基板30のランドパターン18を電子部品Aの各辺から垂直に延びる方向に分散させたことから、隣接する実装電極17の間隔を十分確保出来できるため、電子部品Aの小型化に有利となるととともに、隣接する実装電極17同士の短絡も防止可能となり電子部品Aの実装上の作業性の向上が可能となる。
【0031】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0032】
例えば、上述の実施形態においては、図1、図2に示すように電子部品Aの各辺から垂直に延びる方向にランドパターン18と実装電極17が各々1個ずつ延出しているが、各辺にそれぞれ複数個のランドパターン18と複数個の実装電極17を設けても構わない。この場合も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでも無い。また、実施例では各辺から1箇所のランドパターン18あるいは、実装電極17を例にしているが、ランドパターンと実装電極の数に拘るものでなく、これらが点対称で配置がなされたものであることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態にかかる図2のX−X’線で切断した場合の電子部品をユーザ基板に実装した状態を示す概略の断面図である。
【図2】本発明の電子部品の底面の実装電極の配置と、電子部品の実装電極とユーザ基板のランドパターンの配置関係を示している。
【図3】従来の電子部品を図4のX−X’線で切断した場合の電子部品をユーザ基板に実装した状態を示す概略の断面図である。
【図4】従来の電子部品の底面の実装電極の配置と、電子部品の実装電極とユーザ基板のランドパターンの配置関係を示している。
【図5】従来の電子部品の概略の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
A・・・電子部品(圧電部品)
1・・・第1の容器
2・・・基板
3・・・側壁
4・・・蓋体
5・・・圧電振動素子
6・・・半導体集積部品
10・・・第2の容器
11・・・書込端子
12・・・枠壁部
13・・・熱硬化性樹脂
14・・・開口部
15・・・第1の容器の接続用端子
16・・・第2の容器の接続用端子
17・・・実装電極
18・・・ランドパターン
19・・・導電性接着剤
30・・・ユーザ基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の実装電極を、ユーザ基板のランドパターン位置に合致させて実装するランドパターン形状を有する基板において、
前記電子部品の各辺から垂直に延びる方向に、相対する各辺で点対称になるランドパターンが延出していることを特徴とするランドパターン形状を有する基板。
【請求項2】
圧電部品の各辺から点対称に垂直に延びる方向にユーザ基板のランドパターンが延出した前記ユーザ基板上に、前記圧電部品を実装し前記圧電部品の各辺から垂直方向に接合材により前記圧電部品を固着することを特徴とする圧電部品。
【請求項3】
請求項2に記載の接合材は、はんだ、導電性接着剤であることを特徴とする圧電部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−67135(P2007−67135A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250644(P2005−250644)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】