説明

ルート探索装置、その方法、そのプログラム及びその記録媒体

【課題】
適切な再ルート探索制御を行う。
【解決手段】
保留制御部230は操作入力ユニット150に再ルート保留指令が入力されたか否かを判定する。この判定結果が肯定的な場合、保留制御部230は、ルート探索部220における再ルート指令部の動作が中止され、ルート案内提示部240における案内部241の動作が中止される保留モードを設定する。また、保留制御部230は、再ルート探索後の保留受付期間中に操作入力ユニット150に再ルート保留指令が入力されたか否かを判定する。この判定結果が肯定的な場合、再ルート探索が行われる前の推奨ルートであった前回推奨ルートを新たな推奨ルートとする。そして、保留モードが設定されている場合に、操作入力ユニット150に再ルート保留解除指令が入力されると、保留制御部230は保留モードを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート探索装置、ルート探索方法、ルート探索プログラム及びそのルート探索方法が記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体に搭載され、目的地までの推奨ルートを探索し、当該推奨ルートに沿った移動の誘導及び案内を行うナビゲーション装置が広く普及している。こうしたナビゲーション装置に関する技術の進歩は目覚しいものがあり、利便性を向上させるための様々な技術が実用化されている。
【0003】
かかる利便性を高めるための技術の一つとして、移動体の位置が推奨ルートから離脱したと判断された場合に、離脱後における移動体の現在位置から目的地までの新たな推奨ルートの探索(以下、「再ルート探索」という)を自動的に行う技術がある(特許文献1参照;以下、「従来例」という)。この従来例の技術を採用することにより、車両が推奨ルートを離脱したために新たな推奨ルートを探索する際に、目的地を指定したルート探索の指令を利用者が入力する必要がなくなるので、利用者は移動体の移動操作に集中することができる。
【特許文献1】特開平7−103775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来例の技術では、推奨ルートに戻ってくることを想定した寄り道や近道をする等のために一時的に推奨ルートを離脱した場合でも、推奨ルートから離脱するたびに、自動的に再ルート探索が行われるとともに、再ルート探索により探索された新たな推奨ルートに沿った移動のための案内が行われる。こうした推奨ルートに戻ってくることを想定した一時的に推奨ルートを離脱した場合における再ルート探索の実行は、利用者にとっては煩わしいことであり、改善が望まれていた。こうした要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、適切に再ルート探索の実行を制御することのできるルート探索装置及びルート探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、操作情報が入力される操作入力手段と;移動体の位置を算出する位置算出手段と;目的地までの移動ルートを探索する探索手段と;前記探索手段により探索された移動ルートが設定されている場合に、前記移動体の前記移動ルートからの離脱を検出し、前記離脱を検出したときに、前記探索手段に対して再ルート探索をすべき指令を発行する指令手段と;前記移動体が前記移動ルートを移動中に前記操作入力手段に再ルート保留指令が入力された場合には、前記指令手段の動作を中止させるとともに、前記操作入力手段に再ルート保留解除指令が入力された場合には、前記指令手段の動作を再開させる制御手段と;を備えることを特徴とするルート探索装置である。
【0007】
請求項5に記載の発明は、移動体の位置を算出する位置算出工程と;目的地までの移動ルートを探索するルート探索工程と;前記ルート探索工程により探索された移動ルートが設定されている場合における再ルート保留指令の入力に応答して再ルート探索を保留する再ルート保留モードに設定する設定工程と;前記再ルート保留モードの設定中における再ルート保留解除指令の入力に応答して前記再ルート保留モードを解除する解除工程と;前記再ルート保留モードが解除されている場合に、前記移動体の前記移動ルートからの離脱を検出する離脱検出工程と;前記離脱検出工程において前記離脱が検出された場合に、前記目的地までの新たな移動ルートを探索する再ルート探索工程と;を備えることを特徴とするルート探索方法である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のルート探索方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とするルート探索プログラムである。
【0009】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のルート探索プログラムが演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図6を参照しつつ説明する。なお、本実施形態においては、車両に搭載され、ルート探索装置の機能を有するナビゲーション装置を例示して説明する。
【0011】
[構成]
図1には、本実施形態に係るナビゲーション装置100の構成がブロック図にて示されている。図1に示されるように、このナビゲーション装置100は、制御ユニット110と、記憶装置120とを備えている。また、ナビゲーション装置100は、音出力ユニット130と、表示ユニット140と、操作入力手段としての操作入力ユニット150と、走行センサユニット160と、GPS(Global Positioning System)受信ユニット170とを備えている。上記制御ユニット110以外の要素120〜170は、それぞれ制御ユニット110に接続されている。
【0012】
制御ユニット110は、ナビゲーション装置100の全体を制御しつつ、様々な処理を行う。この制御ユニット110は、ナビゲーションに関する処理を行うナビゲーション処理部200を備えている。このナビゲーション処理部200については、後述する。
【0013】
記憶装置120は、ハードディスク装置等から構成される。記憶装置120には、地図情報121、ルート情報122をはじめとして、ナビゲーション装置100の動作のために必要な様々なデータが記憶される。ここで、地図情報121には、道路データ、道路ネットワークデータ、背景データ、地図上の地点(POI(Points Of Interest))情報等が含まれている。
【0014】
ルート情報122には、図2に示されるように、バッファポインタ126、第1ルート情報127、第2ルート情報128、ルート設定フラグ129が含まれている。ここで、バッファポインタ126は、現在使用されている推奨ルートの情報が、第1ルート情報127又は第2ルート情報128かを示すポインタ情報である。例えば、バッファポインタ126のために1バイトの領域を確保し、当該1バイト領域に記憶されているデータのLSB(Least Significant Bit)が「0」であるか「1」であるかによって、現在使用されている推奨ルートの情報が、第1ルート情報127であるか第2ルート情報128であるかを示すようにすることができる。こうしたバッファポインタ126を利用することにより、第1ルート情報127を記憶する領域及び第2ルート情報128を記憶する領域を、いわゆるトグルバッファとして利用できるようになっている。
【0015】
ルート設定フラグ129は、ルートが設定されているか否かを示すフラグ情報である。このルート設定フラグ129を参照することにより、推奨ルートの設定が行われているか否かを判定できるようになっている。
【0016】
なお、制御ユニット110は、記憶装置120の記憶領域にアクセス可能であり、当該記憶領域からのデータを読み取ることができるようになっている。
【0017】
図1に戻り、音出力ユニット130は、(i)制御ユニット110から受信したデジタル音声データをアナログ信号に変換するDA変換器(Digital to Analog Converter)と、(ii)当該DA変換器から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、(iii)増幅されたアナログ信号を音声に変換するスピーカとを備えて構成されている。この音出力ユニット130は、制御ユニット110による制御のもとで、車両の進行方向、走行状況、交通状況等の案内用音声、音楽等を出力する。
【0018】
表示ユニット140は、(i)液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等の表示デバイスと、(ii)制御ユニット110から送出された表示制御データに基づいて、表示ユニット140全体の制御を行うグラフィックレンダラ等の表示コントローラと、(iii)表示画像データを記憶する表示画像メモリ等を備えて構成されている。この表示ユニット140は、制御ユニット110による制御のもとで、地図情報、ルート情報、操作ガイダンス情報等を表示する。
【0019】
操作入力ユニット150は、ナビゲーション装置100の本体部に設けられたキー部、あるいはキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット140に設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、音声入力する構成を採用することもできる。操作入力ユニット150に入力された操作情報は、操作入力ユニット150から制御ユニット110に報告される。
【0020】
走行センサユニット160は、(i)車両の移動速度を検出する速度センサと、(ii)車両の角速度を検出する角速度センサと、(iii)車両に作用している加速度を検出する加速度センサとを備えている。ここで、速度センサは、例えば、車輪や車輪の回転により出力されるパルス信号や電圧値を検出する。また、角速度センサは、例えば、いわゆるジャイロセンサとして構成され、角速度を検出する。また、加速度センサは、例えば、3次元加速度を検出する。こうした検出結果は、走行センサユニット160から制御ユニット110へ送られる。
【0021】
GPS受信ユニット170は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両の現在位置(以下、「測位結果」という)を算出し、その精度情報とともに制御ユニット110へ報告する。また、GPS受信ユニット170は、GPS衛星からの電波のドップラー効果による波長変化に基づいて、車両の速度及び走行方位を検出し、制御ユニット110へ報告する。また、GPS受信ユニット170は、GPS衛星から送出された時刻に基づいて現在時刻を計時し、制御ユニット110へ報告する。
【0022】
ナビゲーション処理部200は、図3に示されるように、位置算出手段としての位置算出部210と、探索手段としてのルート探索部220と、制御手段としての保留制御部230と、ルート案内提示部240とを備えている。このように構成されたナビゲーション処理部200は、記憶装置120にアクセスしつつ、上述した構成要素130〜170を利用して、利用者にナビゲーション情報を提供する。すなわち、ナビゲーション処理に関連する操作入力ユニット150からの指令入力結果、走行センサユニット160による検出結果、GPS受信ユニット170における測位結果等に対応して、ナビゲーション処理部200は、記憶装置120に記憶されたナビゲーション用のデータを適宜読み出す。そして、ナビゲーション処理部200は、(a)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット140の表示デバイスに表示する地図表示、(b)車両が地図上のどこに位置するのかを算出する位置算出、(c)車両の現在位置から、利用者が指定する目的地の位置までの推奨ルートの探索、(d)設定されたルートに沿って目的地まで運転するときに、目的地への到達予想時刻や、進行すべき方向を的確にアドバイスするために、表示ユニット140の表示デバイスに案内表示をしたり、音出力ユニット130から音声案内を出力するルート案内等を行う。
【0023】
位置算出部210は、上記の(b)の機能を有している。この機能の実行に際して、位置算出部210は、利用者による車両位置の操作入力ユニットへの入力結果、走行センサユニット160による検出結果に基づいて不図示のセンサデータ処理部によって算出された移動距離、走行方位(車両の傾斜角(傾斜方位)を含んでもよい)等の走行状況情報、GPS受信ユニット170からの報告結果等に基づいて、車両の推測位置の算出を行う。そして、位置算出部210は、地図情報121を利用して、推測位置を地図上の車両の位置として最も確からしい位置へ補正するマップマッチング処理を行い、車両の位置を求める。こうして求められた車両の位置は、ルート探索部220及びルート案内提示部240へ通知される。
【0024】
ルート探索部220は、上記の(c)の機能を有している。このルート探索部220は、図3に示されるように、指令手段としての再ルート指令部221を備えており、利用者による目的地を指定したルート探索指令、及び、再ルート指令部221からの現在位置を指定した再ルート探索指令に応答して推奨ルートの探索を行う。なお、ルート探索部220は、新たな推奨ルートが探索されると、新たな推奨ルートが探索された旨を保留制御部230へ報告する。また、ルート探索部220は、探索された新たな推奨ルートの情報を記憶装置120内に格納するとともに、上述した記憶装置120内のルート設定フラグ129をルートが設定されていることを示す値に設定する。
【0025】
なお、ルート設定フラグ129は、目的地に到着した場合や、利用者によるルート設定解除指令が操作入力ユニット150に入力され、ルート設定が解除された場合には、ルートが設定されていないことを示す値にリセットされるようになっている。
【0026】
かかる記憶装置120内への新たな推奨ルートの情報への格納に際して、ルート探索部220は、バッファポインタ126を参照し、バッファポインタ126が第1ルート情報127を示している場合には、第2ルート情報128として新たな推奨ルートの情報を格納する。一方、バッファポインタ126が第2ルート情報128を示している場合には、ルート探索部220は、第1ルート情報127として新たな推奨ルートの情報を格納する。こうして新たな推奨ルートの情報の格納が終了すると、ルート探索部220は、バッファポインタ126を、新たに格納されたルート情報を示す内容に更新する。
【0027】
以上のようにして新たな推奨ルートの情報を記憶装置120内に格納することにより、現在の推奨ルートと、現在の推奨ルートが探索される前に推奨ルートであった前回推奨ルートの両方が、記憶装置120内に保持されることになる。
【0028】
再ルート指令部221は、記憶装置120内のルート設定フラグ129を監視することで推奨ルートの有無を検知する。そして、後述する保留制御部230により再ルート保留モードに設定されていない状態において、推奨ルートが存在し、かつ、位置算出部210によって算出された車両の位置より車両が当該推奨ルート上から離脱したことが判明した場合、再ルート指令部221は、再ルート探索指令を発行する。
【0029】
保留制御部230は、操作入力ユニット150に再ルート保留指令が入力された場合には、再ルート指令部221に対して再ルート保留指令を発行し、再ルート指令部221を再ルート保留モードに設定するとともに、ルート案内提示部240における後述する案内部241に対して案内保留指令を発行し、案内部241を案内保留モードに設定する。以下、再ルート保留モード及び案内保留モードを総称する場合には、単に「保留モード」と記すものとする。
【0030】
また、保留制御部230は、保留モードの設定中に、操作入力ユニット150に再ルート保留解除指令が入力された場合には、再ルート指令部221に対して再ルート保留解除指令を発行し、再ルート指令部221の再ルート保留モードを解除するとともに、案内部241に対して案内保留解除指令を発行し、案内部241の案内保留モードを解除する。以下、再ルート保留解除モード及び案内保留解除モードを総称する場合には、単に「保留解除モード」と記すものとする。
【0031】
また、保留制御部230は、ルート探索部220から新しいルートが探索された旨の報告を受けた場合、再ルート保留指令の受付期間の経過を監視する。こうした受付期間としては、当該報告を受けた時点からの所定時間の経過及び所定距離の車両の移動の少なくとも一方が発生するまでの期間を採用することができる。なお、本実施形態では、当該報告を受けた時点からの所定時間の経過までの期間を再ルート保留指令の受付期間として採用している。なお、「所定時間」や「所定距離」は、実験やシミュレーションの結果等により予め定められる。
【0032】
かかる受付期間内に操作入力ユニット150に再ルート保留指令が入力された場合、保留制御部230は、バッファポインタ126の値が前回推奨ルートを示すようにバッファポインタ126の値を変更し、前回推奨ルートを新たな推奨ルートとして設定するようになっている。
【0033】
また、保留制御部230は、記憶装置120内のルート設定フラグ129を監視し、ルート設定フラグ129の値が変化した場合に、保留モード設定中であるか否かを判定する。この判定が肯定的であった場合には、保留制御部230は、保留解除モードの設定を行うようになっている。
【0034】
ルート案内提示部240は、案内手段としての案内部241と、提示手段としての提示部242とを備え、上記の(d)の機能を有している。ここで、案内部241は、案内保留解除モードの場合に、音出力ユニット130や表示ユニット140を使用し、位置算出部210によって算出された車両の位置及び記憶装置120内のバッファポインタ126が示す推奨ルート情報を基にしたルート案内を行う。また、提示部242は、表示ユニット140を使用し、位置算出部210による車両の位置及び記憶装置120内のバッファポインタ126が示す推奨ルート情報の提示を行う。
【0035】
[動作]
次に、以上のように構成されたナビゲーション装置100における再ルート探索の制御に主に着目して説明する。前提として、当初は保留解除モードであるものとする。
【0036】
再ルート探索の制御処理は、ナビゲーション装置100への通電開始によって開始される。この再ルート探索の制御処理では、図4に示されるように、まず、ステップS11において、ルート設定フラグ129が参照されて、推奨ルートが設定されているか否かが判定される。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11において肯定的な判定結果が得られるまで、ステップS11の処理が繰り返される。
【0037】
ステップS11における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、保留制御部230が、操作入力ユニット150に再ルート保留指令が入力されたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS12:Y)には、処理はステップS18へ進む。
【0038】
ステップS18では、保留制御部230が第1保留処理を行う。この第1保留処理では、図5に示されるように、まず、ステップS21において、保留制御部230が、再ルート指令部221に対して再ルート保留指令を発行し、再ルート指令部221を再ルート保留モードに設定するとともに、案内部241に対して案内保留指令を発行し、案内部241を案内保留モードに設定する。この結果、再ルート指令部221が再ルート指令の発行のための動作を中止するとともに、案内部241が案内動作を中止する。
【0039】
引き続き、ステップS22において、保留制御部230は、再ルート保留解除指令が操作入力ユニット150に入力されたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS22:N)には、処理はステップS23へ進む。
【0040】
ステップS23では、保留制御部230が、ルート設定フラグ129を参照し、ルート設定が解除されたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS23:N)には、処理はステップS22へ進む。この後、ステップS22における判定の結果が肯定的となるか、ステップS23における判定の結果が肯定的となるかするまで、ステップS22及びステップS23の処理が繰り返される。
【0041】
ステップS22における判定の結果が肯定的となった場合(ステップS22:Y)、又は、ステップS23における判定の結果が肯定的となった場合(ステップS23:Y)には、処理はステップS24へ進む。このステップS24では、保留制御部230が、再ルート指令部221に対して再ルート保留解除指令を発行し、再ルート指令部221を再ルート保留解除モードに設定するとともに、案内部241に対して案内保留解除指令を発行し、案内部241を案内保留解除モードに設定する。この結果、再ルート指令部221が再ルート指令の発行のための動作を再開するとともに、案内部241が案内動作を再開する。
【0042】
こうして保留解除モードが設定されると、ステップS18の処理が終了する。そして、処理は図4のステップS11へ進む。
【0043】
上記のステップS12における判定の結果が否定的であった場合(ステップS12:N)、処理はステップS13へ進む。このステップS13では、再ルート指令部221が、位置算出部210によって算出された車両の位置及びルート情報122に基づいて、移動体が推奨ルート上から離脱したか否かを判定する。かかる推奨ルート上からの離脱の判定は、例えば、離脱状態のまま所定距離(例えば、30m)以上の走行があったか否かを判定することにより行われる。
【0044】
ステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、処理はステップS11へ進む。一方、ステップS13における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS13:Y)には、処理はステップS14へ進む。
【0045】
ステップS14では、再ルート指令部221が、位置算出部210から受けた最新の車両の位置を現在位置に指定して、再ルート探索をすべき旨の指令を発行する。この指令に応答して、ルート探索部220は、目的地までの新たな推奨ルートの探索を行う。そして、ルート探索部220は、探索された新たな推奨ルートを記憶装置120へ格納し、バッファポインタ126を、新たに格納された推奨ルート情報を示す値に変更する。その後、ルート探索部220は、新たな推奨ルートが探索された旨を保留制御部230へ報告する。
【0046】
次に、ステップS15において、保留制御部230が、再ルート保留指令の受付期間の経過の監視を開始する。
【0047】
次いで、ステップS16において、保留制御部230が、当該受付期間中に操作入力ユニット150に再ルート保留指令が入力されたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的の場合(ステップS16:Y)、処理はステップS19へ進む。
【0048】
ステップS19では、保留制御部230が第2保留処理を行う。この第2保留処理では、図6に示されるように、まず、ステップS31において、保留制御部230が、上述のステップS21と同様に、再ルート指令部221に対して再ルート保留指令を発行し、再ルート指令部221を再ルート保留モードに設定するとともに、案内部241に対して案内保留指令を発行し、案内部241を案内保留モードに設定する。この結果、再ルート指令部221が再ルート指令の発行のための動作を中止するとともに、案内部241が案内動作を中止する。
【0049】
引き続き、ステップS32において、保留制御部230は、バッファポインタ126の値を更新し、ステップS14が実行される前の前回推奨ルートを新たな推奨ルートとして設定する。
【0050】
以後、ステップS33〜S35において、保留制御部230は、上述のステップS22〜S24と同様の処理を行う。そして、ステップS35において、保留解除モードが設定されると、ステップS19の処理が終了する。そして、処理は図4のステップS11へ進む。
【0051】
ステップS16の判定の結果が否定的であった場合(ステップS16:N)には、処理はステップS17へ進む。ステップS17では、保留制御部230が、受付期間が所定時間を超過したか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS17:N)には、処理はステップS16へ移る。そして、ステップS16における判定の結果が肯定的になるか、ステップS17における判定の結果が肯定的になるまで、上述したステップS16〜S17の処理が繰り返される。一方、この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS17:Y)には、処理はステップS11へ進む。
【0052】
以上のようにして、ステップS13、ステップS17、ステップS18又はステップS19からステップS11に処理が移行した後は、上述したステップS11〜S19の処理が繰り返される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では、保留制御部230は操作入力ユニット150に再ルート保留指令が入力されたか否かを判定する。この判定結果が肯定的な場合、保留制御部230は、ルート探索部220が再ルート探索を中止する保留モードを設定する。そして、保留モードの設定中に、操作入力ユニット150に再ルート保留解除指令が入力されると、保留制御部230は保留モードの設定を解除する。この結果、ルート探索部220が再ルート探索を再開する。
【0054】
また、保留制御部230は、再ルート探索後の保留受付期間中に操作入力ユニット150に再ルート保留指令が入力されたか否かを判定する。この判定結果が肯定的な場合、再ルート探索が行われる前の推奨ルートであった前回推奨ルートを新たな推奨ルートとして設定した後に、保留モードを設定する。
【0055】
このため、利用者が推奨ルートに戻ってくることを前提とした推奨ルートからの車両の一時的な離脱を行う場合に、車両が推奨ルートに戻るまでの間、新たな再ルート探索を保留することができるため、適切な再ルート探索制御を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、保留モードが設定されると、設定されている推奨ルートを走行するための案内は中止されるが、車両の位置と設定されている推奨ルートの利用者への提示は継続される。したがって、利用者が推奨ルートに戻ってくることを前提とした推奨ルートから車両が一時的に離脱している期間であっても、推奨ルートに関する情報を適切に提示することができる。
【0057】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0058】
例えば、上記の実施形態では、ルート探索部220から新しいルートが探索された旨の報告を受けてから所定時間の経過までの期間を再ルート保留指令の受付期間としているが、当該報告を受けてから所定距離の移動までの期間を再ルート保留指令の受付期間としてもよいし、両方を用いてもよい。ここで、両方を用いる場合には、受付期間を、いずれか一方が満たされるまでの期間としてもよいし、両方が満たされるまでの期間としてもよい。
【0059】
また、再ルート保留指令及び再ルート保留解除指令の入力は独立した個々のキーに割り当ててもよいし、保留モードが設定されているか否かを検知し、保留モード未設定の場合は再ルート保留指令を発行し、保留モード設定中の場合は再ルート保留解除指令を発行する機能を備えたワンタッチキーによって入力を行うようにしてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、本発明を車両に搭載されるナビゲーション装置に適用したが、例えば、航空機や船舶に搭載されるナビゲーション装置に本発明を適用することもできる。また、例えば、ナビゲーション機能を有する携帯端末装置等のルート探索を行う装置であれば、本発明を適用することができる。
【0061】
なお、上記の実施形態における制御ユニット110を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、読出専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、上記の実施形態における処理を、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行するようにしてもよい。これらのプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1のルート情報の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図1のナビゲーション処理部の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明における再ルート探索制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4における第1保留処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図4における第2保留処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
100 … ナビゲーション装置(ルート探索装置)
150 … 操作入力ユニット(操作入力手段)
210 … 位置算出部(位置算出手段)
220 … ルート探索部(探索手段)
221 … 再ルート指令部(指令手段)
230 … 保留制御部(制御手段)
241 … 案内部(案内手段)
242 … 提示部(提示手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作情報が入力される操作入力手段と;
移動体の位置を算出する位置算出手段と;
目的地までの移動ルートを探索する探索手段と;
前記探索手段により探索された移動ルートが設定されている場合に、前記移動体の前記移動ルートからの離脱を検出し、前記離脱を検出したときに、前記探索手段に対して再ルート探索をすべき指令を発行する指令手段と;
前記移動体が前記移動ルートを移動中に前記操作入力手段に再ルート保留指令が入力された場合には、前記指令手段の動作を中止させるとともに、前記操作入力手段に再ルート保留解除指令が入力された場合には、前記指令手段の動作を再開させる制御手段と;を備えることを特徴とするルート探索装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記探索手段による前記再ルート探索が行われた後の所定期間内に前記操作入力手段に前記再ルート保留指令が入力された場合、前記再ルート探索前の移動ルートであった前回移動ルートを新たな移動ルートとして設定するとともに、前記指令手段の動作を中止させる、ことを特徴とする請求項1に記載のルート探索装置。
【請求項3】
前記所定期間は、前記再ルート探索の終了から所定時間の経過及び所定距離の前記移動体の移動の少なくとも一方の発生までの期間である、ことを特徴とする請求項2に記載のルート探索装置。
【請求項4】
前記位置検出手段の検出結果及び前記移動ルートを提示する提示手段と;
前記移動ルートに沿った移動のための案内を行う案内手段と;を更に備え、
前記制御手段は、前記操作入力手段に前記再ルート保留指令が入力された場合には、前記提示手段による提示は継続させつつ前記案内手段による案内を中止させ、前記操作入力手段に前記再ルート保留解除指令が入力された場合には、前記案内手段による案内を再開させる、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のルート探索装置。
【請求項5】
移動体の位置を算出する位置算出工程と;
目的地までの移動ルートを探索するルート探索工程と;
前記ルート探索工程により探索された移動ルートが設定されている場合における再ルート保留指令の入力に応答して再ルート探索を保留する再ルート保留モードに設定する設定工程と;
前記再ルート保留モードの設定中における再ルート保留解除指令の入力に応答して前記再ルート保留モードを解除する解除工程と;
前記再ルート保留モードが解除されている場合に、前記移動体の前記移動ルートからの離脱を検出する離脱検出工程と;
前記離脱検出工程において前記離脱が検出された場合に、前記目的地までの新たな移動ルートを探索する再ルート探索工程と;を備えることを特徴とするルート探索方法。
【請求項6】
請求項5に記載のルート探索方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とするルート探索プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のルート探索プログラムが演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−256224(P2007−256224A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84432(P2006−84432)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】