説明

レジスト用重合体、レジスト組成物、パターンが形成された基板の製造方法

【課題】液浸用レジスト組成物に用いた場合に、浸漬液よりも高い屈折率となり、他の単量体との共重合性に優れたレジスト用重合体の提供。
【解決手段】下記式で表されるナフタレン骨格を有する構成単位を含有するレジスト用重合体。


(R10は水素原子またはメチル基、Gは−C(=O)−O−、−O−、または−O−C(=O)−のいずれかを表す。L1およびL2は、2価の炭化水素基,Yは−C(=O)−OH、−OH、−C(=O)−OR13、または−OR13を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト用重合体、それを含むレジスト組成物およびパターンが形成された基板の製造方法に関し、特に、エキシマレーザーおよび電子線リソグラフィーを使用する微細加工に好適なレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶素子の製造における微細加工の分野においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。その微細化の手法としては、一般に、照射光の短波長化が図られており、具体的には、従来のg線(波長:438nm)、i線(波長:365nm)に代表される紫外線から、より短波長のDUV(Deep Ultra Violet)へと照射光が変化してきている。
現在では、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)リソグラフィー技術が市場に導入され、さらなる短波長化を図ったArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィー技術およびEUVエキシマレーザー(波長:13nm)リソグラフィー技術が研究されている。さらに、最近はこれらの液浸リソグラフィー技術も研究されている。また、これらとは異なるタイプのリソグラフィー技術として、電子線リソグラフィー技術についても精力的に研究されている。
【0003】
このような短波長の照射光あるいは電子線を用いた高解像度のレジストとして、光酸発生剤を含有する「化学増幅型レジスト」が提唱され、現在、この化学増幅型レジストの改良および開発が進められている。
例えば、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいて使用される化学増幅型レジスト樹脂として、波長193nmの光に対して透明なアクリル系樹脂が注目されている。このようなアクリル系樹脂としては、例えば、エステル部にアダマンタン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとエステル部にラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体が特許文献1、特許文献2等に開示されている。
【0004】
しかしながら、これらのアクリル系樹脂は、レジスト組成物として使用した場合、レジストパターンを製造するためのアルカリ現像液による現像処理の際に、ディフェクトと呼ばれる現像欠陥が生じることがある。そして、このディフェクトにより、レジストパターンに抜けが発生することにより、回路の断線や欠陥などを生じ、半導体製造工程での歩留まりの低下を招く恐れがある。
また、レジストパターンの側壁荒れ(ラインエッジラフネスとも言う)も大きいことがあり、ディフェクトと同様に、回路の断線や欠陥などを生じ、半導体製造工程での歩留まりの低下を招く恐れがある。
さらに、レジスト膜厚の薄膜化により、ドライエッチング耐性が不足することも懸念される。
【0005】
そして、これらのアクリル系樹脂を液浸用レジスト組成物として使用した場合、レジスト組成物の屈折率が浸漬液のそれよりも低くなる恐れがあり、エキシマレーザー光がレジスト組成物で全反射するので、レジストパターン自体が形成できない可能性がある。また、浸漬液が純水の時には、純水とレジスト組成物が接触することで、ドライ環境でのリソグラフィーと比較して、よりディフェクトが発生しやすくなる恐れもある。
一方で、特許文献3、特許文献4などに複素芳香族環を有する重合体が開示されている。
しかしながら、これらの樹脂はドライエッチング耐性には優れるものの、特にArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィーの場合、露光波長における重合体の光線透過率が十分でない場合や、他の単量体との共重合性が十分でない場合が多く、感度や解像度へ悪影響を及ぼす可能性がある。
【特許文献1】特開平10−319595号公報
【特許文献2】特開平10−274852号公報
【特許文献3】特開2005−114968号公報
【特許文献4】特開2004−163877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、DUVエキシマレーザーリソグラフィー等においてレジスト組成物に用いた場合に、高感度、高解像度であり、光線透過率が高く、現像時のディフェクトが少なく、レジスト膜の薄膜化に耐え得るドライエッチング耐性を有し、加えて液浸用レジスト組成物に用いた場合に、浸漬液よりも高い屈折率となり、他の単量体との共重合性に優れたレジスト用重合体、レジスト用重合体を含むレジスト組成物、および、このレジスト組成物を用いたパターンが形成された基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)を含有するレジスト用重合体に関するものであり、このレジスト用重合体を含むレジスト組成物に関するものであり、このレジスト組成物を用いたパターンが形成された基板の製造方法に関するものである。
【化1】

【0008】
(式(1−1)中、R10は水素原子またはメチル基を表し、Gは−C(=O)−O−、−O−、または−O−C(=O)−のいずれかを表す。L1、L2は、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20の直鎖、分岐、もしくは環状の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基は置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい。R11、R12はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、R11とR12とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖を表す。Yは−C(=O)−OH、−OH、−C(=O)−OR13、または、−OR13を表し、R13は炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の炭化水素基を表し、この炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。X1は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、またはアミノ基を表す。前記X1の炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。h11は0〜4の整数を表す。なお、h11が2以上の場合にはX1として複数の異なる基を有することも含む。h2は1〜4の整数を表す。また、h2が2以上の場合には−[(L2)g4−Y]として複数の異なる基を有することも含む。h11+h2≦7である。h1、g1、g3、g4はそれぞれ独立して0または1であり、g2は0〜20の整数である。)
【発明の効果】
【0009】
本発明のレジスト用重合体を含有するレジスト組成物は、高感度、高解像度であり、エキシマレーザー光に対する光線透過率が高く、現像時のディフェクトが少なく、レジスト膜の薄膜化に耐え得るドライエッチング耐性が高い。
【0010】
加えて、本発明のレジスト用重合体を液浸用レジスト組成物として使用した場合は、浸漬液よりも高い屈折率となるため、エキシマレーザー光が全反射せずに、高い解像度でレジストパターンを形成することができる。そのため、本発明のレジスト用重合体およびレジスト組成物は、DUVエキシマレーザーリソグラフィー、これらの液浸リソグラフィーおよび電子線リソグラフィー、特にArFエキシマレーザーリソグラフィーおよびこの液浸リソグラフィーに好適に用いることができる。
さらに、本発明の製造方法により高精度の微細なパターンが形成された基板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のレジスト用重合体について説明する。
本発明のレジスト用重合体は、下記式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)を含有する。
【化2】

【0012】
式(1−1)中のh1は、0または1である。解像性の点からは、h1は0が好ましく、ディフェクトやレジスト感度の点からは、h1は1が好ましい。
式(1−1)中のh2は、1〜4の整数を表す。解像性の点からは、h2は1が好ましく、ディフェクトやレジスト感度の点からは、h2は2〜4が好ましい。
式(1−1)中のg1は0または1であり、g2は0〜20の整数である。
また、h1=1の場合、解像性の点から、g2は1〜4が好ましい。
式(1−1)中のg3は、0または1である。
式(1−1)中のR10は、水素原子またはメチル基を表す。
式(1−1)中のGは、Gは−C(=O)−O−、−O−、または−O−C(=O)−のいずれかを表す。中でも、重合性の点から、−C(=O)−O−、または−O−C(=O)−が好ましい。
【0013】
式(1−1)中のL1は、単結合、または炭素数1〜20の直鎖、分岐、もしくは環状の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基は置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい。
ヘテロ原子としては、特に制限されないが、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子等が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の2価の炭化水素基としては、特に制限されないが、例えば下記式(2−1)〜(2−33)が例示できる。なお、本発明はこれらの例示に限定されない。
【0014】
【化3】

【0015】
【化4】

【0016】
式(1−1)中のL1は、有機溶剤への溶解性の点から、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐の2価の炭化水素基、−(CH2CH2O)g21−、または−(CH2CH(CH3)O)g22−が好ましい。ここで、g21、g22はそれぞれ1〜5の整数を表し、解像性の点から、g21、g22は1または2が好ましい。
また、式(1−1)中のL1は、ドライエッチング耐性の点から、下記式(1−11)〜(1−14)から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0017】
【化5】

【0018】
式(1−11)中、R111は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Zは、L1中で環式炭化水素を構成する原子団である。
式(1−12)中、R112、R113はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Zは、L1中で環式炭化水素を構成する原子団である。
【0019】
式(1−13)中、R114は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Zは、L1中で環式炭化水素を構成する原子団である。
式(1−14)中、R115、R116は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Zは、L1中で環式炭化水素を構成する原子団である。
なお、式(1−11)〜(1−14)中、左上の結合手はGへ、右下の結合手は酸素原子またはナフタレン環へそれぞれ結合する。
【0020】
さらに、Gが−C(=O)−O−の場合、レジスト感度の点から、式(1−1)中のL1は、−C(CH3)2−、−C(CH3)2−CH2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、前記式(1−11)、および前記式(1−12)の中から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
また、h1=1の場合、レジスト感度の点から、式(1−1)中のL1は、−C(CH3)2−、−CH2−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、前記式(1−13)、および前記式(1−14)の中から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0021】
式(1−1)のR11、R12はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、R11とR12とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖を表す。
h1=1の場合、エキシマレーザー光に対する透明性や解像性の点から、式(1−1)中のR11、R12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基が好ましい。
【0022】
式(1−1)中のYは、−C(=O)−OH、−OH、−C(=O)−OR13、または、−OR13を表し、R13は炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の炭化水素基を表し、この炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。
193nm透過率の点から、Yは−OH、−OR13が好ましく、−OHが特に好ましい。R13は炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の炭化水素基を表し、この炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。
13としては、特に制限されないが、例えば、下記の式(3−1)〜(3−27)が例示できる。なお、本発明はこれらの例示に限定されない。
【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
また、式(1−1)中のYは、ディフェクト、ラインエッジラフネス、およびレジスト感度の点からは、−C(=O)−OHまたは−OHが好ましく、レジスト組成物の保存安定性の点からは、下記式(1−21)〜(1−24)で表される酸脱離性基が好ましい。
本発明において、「酸脱離性基」とは、酸の作用により分解または脱離する基をいう。
【0026】
【化8】

【0027】
(式(1−21)中、R121、R122、R123は、(i)それぞれ独立に、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体、または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、かつR121、R122、R123のうち少なくとも1つが該脂環式炭化水素基もしくはその誘導体であるか、あるいは(ii)R121、R122、R123のうち何れか2つが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、R121、R122、R123のうち結合に関与しなかった残りの1つは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を表す。
【0028】
式(1−22)中、R133は、(i)炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、R131、R132は、それぞれ独立に水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表すか、あるいは(ii)R131とR133またはR132とR133の2つが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、R131、R132のうち結合に関与しなかった残りの1つは水素原子を表す。
【0029】
式(1−23)中、R141、R142、R143は、(i)それぞれ独立に炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体、または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、かつR141、R142、R143のうち少なくとも1つが該脂環式炭化水素基もしくはその誘導体であるか、あるいは(ii)R141、R142、R143のうち何れか2つが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、R141、R142、R143のうち結合に関与しなかった残りの1つは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を表す。
【0030】
式(1−24)中、R153は、(i)炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、R151、R152はそれぞれ独立に水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表すか、あるいは(ii)R151とR153またはR152とR153の2つが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、R151、R152のうち結合に関与しなかった残りの1つは水素原子を表す。)
【0031】
式(1−1)中のg4は、Yが前記式(1−21)〜(1−23)のいずれか1種の場合、エキシマレーザー光に対する透明性やレジスト感度の点から1が好ましく、Yが前記式(1−24)の場合、エキシマレーザー光に対する透明性やレジスト感度の点から0が好ましい。
式(1−1)中のL2は、単結合、または炭素数1〜20の直鎖、分岐、もしくは環状の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基は置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい。
式(1−1)中のL2は、g4=1の場合、有機溶剤への溶解性の点から、炭素数1〜4の直鎖または分岐の2価の炭化水素基、−(OCH2CH2)g31−、または−(OCH2CH(CH3))g32−が好ましい。ここで、g31、g32はそれぞれ1〜5の整数を表し、解像性の点から、g31、g32は1または2が好ましい。
【0032】
1は、レジスト組成物のディフェクト低減、パターン矩形性の改善の点から、ヒドロキシ基、置換基としてヒドロキシ基あるいはシアノ基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基が好ましい。
h11は、解像度の点から、0が好ましい。
【0033】
式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)は、1種でも2種以上でも構わない。
式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)は、193nmエキシマレーザー光に対する透明性の点から、下記式(7−1)であることが好ましい。
【化9】

【0034】
式(7−1)中、R10、R11、R12、G、L1、L2、X1、Y、h1、h2、h11、g1、g2、g3、g4は、それぞれ式(1−1)と同義である。
式(7−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】
式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)の含有量は、特に制限されないが、ドライエッチング耐性や屈折率の点から、レジスト用重合体の構成単位中、3モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、感度および解像度の点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましい。
【0036】
式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)を含有する重合体は、ナフタレン骨格を有する構成単位(A)を与える、下記式(1−6)で表される単量体(a)を含む単量体を重合することによって製造することができる。
【0037】
【化10】

(式(1−6)中、R10、R11、R12、G、L1、L2、X1、Y、g1、g2、g3、g4、h1、h2、およびh11は、式(1−1)と同義である。)
【0038】
式(1−6)で表される単量体(a)は、特に制限されないが、例えば、下記式(8−1)〜(8−78)で表される単量体が挙げられる。式(8−1)〜(8−78)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
【0039】
【化11】

【化12】

【0040】
【化13】

【化14】

【0041】
【化15】

【化16】

【0042】
【化17】

【化18】

【0043】
【化19】

【化20】

【0044】
中でも、ディフェクトやラインエッジラフネスの点から、上記式(8−1)〜(8−30)、上記式(8−38)〜(8−52)、上記式(8−60)〜(8−70)で表される単量体、ならびにこれらの幾何異性体および光学異性体がより好ましく、これらの中でも、レジスト感度の点から、上記式(8−11)〜(8−12)、上記式(8−15)〜(8−20)、上記式(8−23)〜(8−28)、上記式(8−46)〜(8−47)、上記式(8−49)〜(8−52)、上記式(8−69)で表される単量体、ならびにこれらの幾何異性体および光学異性体がさらに好ましい。
また、レジスト組成物の保存安定性の点から、上記式(8−31)〜(8−37)、上記式(8−53)〜(8−59)、上記式(8−71)〜(8−78)で表される単量体、ならびにこれらの幾何異性体および光学異性体がより好ましい。
【0045】
式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位の中でも、193nmエキシマレーザー光に対する透明性、ディフェクト、あるいはラインエッジラフネスの点から、下記式(1−2)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位が好ましく、下記式(1−3)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位がより好ましく、下記式(1−4)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位がさらに好ましく、下記式(1−5)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位が特に好ましい。
【0046】
【化21】

【0047】
式(1−2)〜(1−5)中、R10、G、L1、Y、g3、およびh2は、式(1−1)と同義である。
式(1−3)中、L1’は炭素数1〜20の直鎖、分岐、もしくは環状の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。
式(1−4)および(1−5)中、L1”は炭素数1〜4の直鎖炭化水素基を表す。
【0048】
本発明のレジスト用重合体は、式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)を含有することにより、レジスト組成物の屈折率を高くすることができ、特に浸漬液が純水の場合はレジスト組成物のディフェクトを低減するという作用を奏する。
【0049】
構成単位(A)を含むレジスト用重合体は、構成単位(A)が酸脱離性基を有している場合(Yが酸脱離性基である場合)は、酸脱離性基が脱離することによってアルカリに可溶となり、レジストパターン形成を可能とする。また、構成単位(A)が酸脱離性基を有していない場合(Yが−C(=O)−OHまたは−OHである場合)には、構成単位(A)自体が酸性であるため、構成単位(A)を含むレジスト用重合体は、アルカリに可溶となり、レジストパターン形成を可能とする。
【0050】
なお、構成単位(A)が酸脱離性基を有している場合には、構成単位(A)は、後述する構成単位(C)にも該当することになるが、本発明においては、このような構成単位は構成単位(A)であるとみなす。
また、構成単位(A)が親水性基を有している場合、レジストパターン矩形性が良好となる傾向にある。なお、この場合、構成単位(A)は、後述する構成単位(D)にも該当することになるが、本発明においては、このような構成単位は構成単位(A)であるとみなす。
【0051】
本発明のレジスト用重合体は、式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)を含有するものであるが、必要に応じて、ラクトン骨格を有する構成単位(B)、酸脱離性基を有する構成単位(C)、親水性基を有する構成単位(D)等の他の構成単位を含有してもよい。
【0052】
ラクトン骨格を有する構成単位(B)について説明する。
ラクトン骨格を有する構成単位(B)は、レジスト組成物の基板への密着性を発現させる作用を奏することから、レジスト用重合体の構成成分として用いることが好ましい。
構成単位(B)の含有量は、特に制限されないが、基板への密着性の点から、レジスト用重合体の構成単位中、30モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましい。また、レジストの感度および解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0053】
また、構成単位(B)が酸の作用により分解または脱離する基を有する場合、より優れた感度を有する傾向にある。なお、この場合、構成単位(B)は、後述する構成単位(C)にも該当することになるが、本発明においては、このような構成単位は構成単位(B)であるとみなす。
また、構成単位(B)が親水性基を有している場合、レジストパターン矩形性が良好となる傾向にある。なお、この場合、構成単位(B)は、後述する構成単位(D)にも該当することになるが、本発明においては、このような構成単位は構成単位(B)であるとみなす。
【0054】
ラクトン骨格を有する構成単位(B)としては、特に制限されないが、感度あるいはドライエッチング耐性の点から、下記式(4−1)〜(4−6)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【化22】

【0055】
式(4−1)中、R41は水素原子またはメチル基を表し、R401、R402はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、R401とR402とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)j−(jは1〜6の整数を表す)]を表す。
【0056】
iは0または1を表し、X5は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。
n5は0〜4の整数を表し、mは1または2を表す。なお、n5が2以上の場合にはX5として複数の異なる基を有することも含む。
【0057】
式(4−2)中、R42は水素原子またはメチル基を表し、R201、R202はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表す。
1、A2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、A1とA2とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)k−(kは1〜6の整数を表す)]を表す。
【0058】
6は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。
n6は0〜4の整数を表す。なお、n6が2以上の場合にはX6として複数の異なる基を有することも含む。
【0059】
式(4−3)中、R43は水素原子またはメチル基を表し、R203、R204はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表す。
3、A4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、A3とA4とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)l−(lは1〜6の整数を表す)]を表す。
【0060】
7は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基、またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。
n7は0〜4の整数を表す。なお、n7が2以上の場合にはX7として複数の異なる基を有することも含む。
【0061】
式(4−4)中、R44は水素原子またはメチル基を表し、R205、R206、R207はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。Y11、Y12、Y13はそれぞれ独立に−CH2−または−C(=O)−O−を表し、そのうち少なくとも一つは−C(=O)−O−を表す。
【0062】
8は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基、またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。
n8は0〜4の整数を表す。なお、n8が2以上の場合にはX8として複数の異なる基を有することも含む。
【0063】
式(4−5)中、R91、R92、R93、R94はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、R91とR92とが一緒になって−O−、−S−、−NH−、または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)t−(tは1〜6の整数を表す)]を表し、m1は1または2を表す。)
【0064】
式(4−6)中、R45は水素原子またはメチル基を表し、R208、R209はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表す。
210、R211はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。A5、A6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、A5とA6とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)k1−(k1は1〜6の整数を表す)]を表す。Y21、Y22はそれぞれ独立に−CH2−または−C(=O)−を表し、そのうち少なくとも一つは−C(=O)−を表す。
【0065】
9は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基、またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。n9は0〜4の整数を表す。なお、n9が2以上の場合にはX9として複数の異なる基を有することも含む。
【0066】
式(4−1)中のn5は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
式(4−1)中のmは、感度および解像度の点からは、1であることが好ましい。
【0067】
式(4−2)中のA1、A2は、ドライエッチング耐性が高い点からは、一緒になって−CH2−、−CH2CH2−となることが好ましく、有機溶媒への溶解性が高い点からは、一緒になって−O−となることが好ましい。
式(4−2)中のR201およびR202としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(4−2)中のn6は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
【0068】
式(4−3)中のA3およびA4としては、ドライエッチング耐性が高い点からは、一緒になって−CH2−または−CH2CH2−となることが好ましく、有機溶媒への溶解性が高い点からは、一緒になって−O−となることが好ましい。
式(4−3)中のR203およびR204としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であること好ましい。
式(4−3)中のn7は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
【0069】
式(4−4)中のR205、R206、およびR207は、有機溶媒への溶解性が高い点から、水素原子であることが好ましい。
式(4−4)中のY11、Y12、Y13は、基板表面等への密着性が高い点から、一つが−C(=O)−O−であり、残りの二つが−CH2−であることが好ましい。
式(4−4)中のn8は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
【0070】
式(4−5)中、R91、R92、R93、およびR94としては、有機溶媒への溶解性が高い点からそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であることが好ましい。
式(4−5)中のm1は、感度および解像度の点から、1であることが好ましい。
【0071】
式(4−6)中のA5およびA6としては、ドライエッチング耐性が高い点からは、一緒になって−CH2−または−CH2CH2−となることが好ましく、有機溶媒への溶解性が高い点からは、一緒になって−O−となることが好ましい。
式(4−6)中のR208およびR209としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
【0072】
式(4−6)中のR210およびR211としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(4−6)中のY21、Y22は、基板表面等への密着性が高い点から、1つが−C(=O)−であり、残りの1つが−CH2−であることが好ましい。
式(4−6)中のn9は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
【0073】
ラクトン骨格を有する構成単位(B)は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
ラクトン骨格を有する構成単位(B)を有する重合体は、ラクトン骨格を有する構成単位(B)を与える単量体(b)を含む単量体を重合することによって製造することができる。
この単量体(b)は、特に制限されないが、例えば、下記式(10−1)〜(10−29)で表される単量体が挙げられる。式(10−1)〜(10−29)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
【0074】
【化23】

【化24】

【0075】
中でも、感度の点から、上記式(10−1)〜(10−3)、および上記式(10−5)で表される単量体、ならびにこれらの幾何異性体および光学異性体がより好ましく、ドライエッチング耐性の点から、上記式(10−7)、(10−9)、(10−10)、(10−12)、(10−14)、(10−24)〜(10−26)、および(10−29)で表される単量体、ならびに、これらの幾何異性体、および光学異性体がより好ましく、レジスト溶媒への溶解性の点から、上記式(10−8)、(10−13)、(10−16)〜(10−23)、および(10−28)で表される単量体、ならびに、これらの幾何異性体、および光学異性体がより好ましい。
【0076】
酸脱離性基を有する構成単位(C)について説明する。
ここで、「酸脱離性基」とは、酸の作用により分解または脱離する基をいう。
酸脱離性基を有する構成単位(C)は、酸によってアルカリに可溶となる成分であり、レジストパターン形成を可能とする作用を奏するため、レジスト用重合体の構成成分として用いることが好ましい。
構成単位(C)の含有量は、特に制限されないが、感度および解像度の点から、レジスト用重合体の構成単位中、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板表面等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0077】
構成単位(C)がラクトン骨格を有する場合、基板密着性が良好となる傾向にある。なお、この場合、構成単位(C)は、構成単位(B)にも該当することになるが、本発明においては、このような構成単位は構成単位(B)であるとみなす。
また、構成単位(C)が親水性基を有する場合、より優れた感度を有する傾向にある。なお、この場合、構成単位(C)は、後述する構成単位(D)にも該当することになるが、本発明においては、このような構成単位は構成単位(C)であるとみなす。
【0078】
酸脱離性基を有する構成単位(C)としては、特に制限されないが、レジストに必要とされるドライエッチング耐性が高い点から、下記式(3−1−1)、(3−2−1)、(3−3−1)、(3−4−1)、(3−5−1)、(3−6−1)、(3−7−1)および(3−8−1)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0079】
【化25】

【0080】
式(3−1−1)中、R31は水素原子またはメチル基を表し、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表し、X1は炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n1は0〜4の整数を表す。なお、n1が2以上の場合にはX1として複数の異なる基を有することも含む。
式(3−2−1)中、R32は水素原子またはメチル基を表し、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、X2は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n2は0〜4の整数を表す。なお、n2が2以上の場合にはX2として複数の異なる基を有することも含む。
【0081】
式(3−3−1)中、R33は水素原子またはメチル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R331、R332、R333、R334はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、V1、V2はそれぞれ独立に−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)u1−(u1は1〜6の整数を表す)]を表し、X3は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n3は0〜4の整数を表し、qは0または1を表す。なお、n3が2以上の場合にはX3として複数の異なる基を有することも含む。
【0082】
式(3−4−1)中、R34は水素原子またはメチル基を表し、R5は炭素数1〜3のアルキル基を表し、X4は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n4は0〜4の整数を表し、rは0〜2の整数を表す。なお、n4が2以上の場合にはX4として複数の異なる基を有することも含む。
【0083】
式(3−5−1)中、R35は水素原子またはメチル基を表し、R351、R352、R353、R354はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、V3、V4はそれぞれ独立に−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)u11−(u11は1〜6の整数を表す)]を表し、X51は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n51は0〜4の整数を表し、q3は0または1を表す。
【0084】
355、R356、R357はそれぞれ独立に炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、かつR355、R356、R357のうち少なくとも1つが該脂環式炭化水素基もしくはその誘導体であるか、あるいはR355、R356、R357のうち何れか2つが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、R355、R356、R357のうち結合に関与しなかった残りの1つは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を表す。なお、n51が2以上の場合にはX51として複数の異なる基を有することも含む。
【0085】
式(3−6−1)中、R36は水素原子またはメチル基を表し、R361、R362、R363、R364はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、V5、V6はそれぞれ独立に−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)u12−(u12は1〜6の整数を表す)]を表し、X61は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n61は0〜4の整数を表し、q4は0または1を表す。
【0086】
367は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、R365、R366はそれぞれ独立に水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表すか、あるいはR365とR367またはR366とR367の2つが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、R365、R366のうち結合に関与しなかった残りの1つは水素原子を表す。なお、n61が2以上の場合にはX61として複数の異なる基を有することも含む。
【0087】
式(3−7−1)中、R37は水素原子またはメチル基を表す。R373は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、R371、R372はそれぞれ独立に水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表すか、あるいはR371とR373またはR372とR373の2つが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に、炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、R371、R372のうち結合に関与しなかった残りの1つは水素原子を表す。
式(3−8−1)中、R38は水素原子またはメチル基を表す。R381、R382、R383はそれぞれ独立に炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。)
【0088】
式(3−1−1)中のR1は、感度および解像度の点からは、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(3−1−1)中のn1は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
【0089】
式(3−2−1)中のR2およびR3は、感度および解像度の点から、それぞれ独立にメチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(3−2−1)中のn2は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
【0090】
式(3−3−1)中のR4は、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(3−3−1)中のV1およびV2は、ドライエッチング耐性が高い点から、それぞれ独立に−CH2−または−CH2CH2−であることが好ましい。
式(3−3−1)中のR331、R332、R333、およびR334は、有機溶媒への溶解性が高い点から、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(3−3−1)中のn3は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
式(3−3−1)中のqは、ドライエッチング耐性が高い点では、1であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点では、0であることが好ましい。
【0091】
式(3−4−1)中のR5としては、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(3−4−1)中のn4は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
式(3−4−1)中のrは、ドライエッチング耐性が高い点では、1であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点では、0であることが好ましい。
【0092】
式(3−5−1)中のV3およびV4は、ドライエッチング耐性が高い点から、それぞれ独立に−CH2−または−CH2CH2−であることが好ましい。
式(3−5−1)中のR351、R352、R353、およびR354は、有機溶媒への溶解性が高い点から、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(3−5−1)中のn51は、ドライエッチング耐性が高い点からは、0であることが好ましい。
【0093】
式(3−5−1)中のq3は、ドライエッチング耐性が高い点では、1であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点では、0であることが好ましい。
式(3−5−1)中の−C(R355)(R356)(R357)は、ラインエッジラフネスに優れている点では、下記式(K−1)〜(K−6)で表される構造が好ましく、ドライエッチング耐性が高い点では、下記式(K−7)〜(K−17)で表される構造が好ましい。
【0094】
【化26】

【0095】
式(3−6−1)中のV5およびV6は、ドライエッチング耐性が高い点から、それぞれ独立に−CH2−または−CH2CH2−であることが好ましい。
式(3−6−1)中のR361、R362、R363、およびR364は、有機溶媒への溶解性が高い点から、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(3−6−1)中のn61は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(3−6−1)中のq4は、ドライエッチング耐性が高い点では、1であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点では、0であることが好ましい。
【0096】
式(3−6−1)中の−C(R365)(R366)−O−R367は、ラインエッジラフネスに優れている点では、下記式(J−1)〜(J−24)で表される構造が好ましく、ドライエッチング耐性が高い点では、下記式(J−25)〜(J−52)で表される構造が好ましい。
【0097】
【化27】

【化28】

【化29】

【0098】
式(3−7−1)中の−C(R371)(R372)−O−R373は、ラインエッジラフネスに優れている点では、上記式(J−1)〜(J−24)で表される構造が好ましく、ドライエッチング耐性が高い点では、上記式(J−25)〜(J−52)で表される構造が好ましい。
酸脱離性基を有する構成単位(C)は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0099】
酸脱離性基を有する構成単位(C)を有する重合体は、酸脱離性基を有する構成単位(C)を与える単量体(c)を含む単量体を重合することによって製造することができる。
この単量体(c)は、特に制限されないが、例えば、下記式(9−1)〜(9−224)で表される単量体が挙げられる。式(9−1)〜(9−224)中、RおよびR’は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
【0100】
【化30】

【化31】

【0101】
【化32】

【化33】

【0102】
【化34】

【化35】

【0103】
【化36】

【化37】

【化38】

【0104】
【化39】

【化40】

【化41】

【0105】
【化42】

【化43】

【化44】

【0106】
中でも、感度および解像度の点から、上記式(9−1)〜(9−3)、上記式(9−5)、上記式(9−16)、上記式(9−19)、上記式(9−20)、上記式(9−22)、上記式(9−23)、上記式(9−25)〜(9−28)、上記式(9−30)、上記式(9−31)、上記式(9−33)、上記式(9−34)および上記式(9−102)〜(9−129)で表される単量体、並びにこれらの幾何異性体および光学異性体がより好ましく、上記式(9−1)、上記式(9−2)、上記式(9−16)、上記式(9−20)、上記式(9−23)、上記式(9−28)、上記式(9−31)、上記式(9−34)、上記式(9−109)、上記式(9−111)、上記式(9−114)〜(9−117)、上記式(9−125)、上記式(9−128)および上記式(9−129)で表される単量体が特に好ましい。
【0107】
また、ラインエッジラフネスに優れている点から、上記式(9−35)〜(9−40)で表される単量体、上記式(9−52)〜(9−62)で表される単量体、上記式(9−76)〜(9−88)で表される単量体、上記式(9−130)〜(9−135)で表される単量体、上記式(9−147)〜(9−157)で表される単量体、上記式(9−171)〜(9−183)で表される単量体、並びにこれらの幾何異性体および光学異性体がより好ましい。
【0108】
また、ドライエッチング耐性に優れている点から、上記式(9−41)〜(9−51)で表される単量体、上記式(9−63)〜(9−75)で表される単量体、上記式(9−89)〜(9−101)で表される単量体、上記式(9−136)〜(9−146)で表される単量体、上記式(9−158)〜(9−170)で表される単量体、上記式(9−184)〜(9−196)で表される単量体、並びにこれらの幾何異性体および光学異性体がより好ましい。
また、パターン矩形性が良好な点から、上記式(9−197)〜(9−224)で表される単量体、並びにこれらの幾何異性体および光学異性体がより好ましい。
【0109】
親水性基を有する構成単位(D)について説明する。
ここで「親水性基」とは、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基の少なくとも1種である。
親水性基を有する構成単位(D)は、レジスト組成物のディフェクト低減、パターン矩形性の改善に効果を奏するため、レジスト用重合体の構成単位として用いることが好ましい。
構成単位(D)の含有量は、パターン矩形性の点から、レジスト用重合体の構成単位中、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
【0110】
構成単位(D)が酸の作用により分解または脱離する基を有する場合、より優れた感度を有する傾向にある。なお、この場合、構成単位(D)は、構成単位(C)にも該当することになるが、本発明においては、このような構成単位は構成単位(C)であるとみなす。
また、構成単位(D)がラクトン骨格を有する場合、より優れた感度を有する傾向にある。なお、この場合、構成単位(D)は、構成単位(B)にも該当することになるが、本発明においては、このような構成単位は構成単位(B)であるとみなす。
【0111】
親水性基を有する構成単位(D)は、特に制限されないが、レジストに必要とされるドライエッチング耐性が高い点から、下記式(5−1)〜(5−7)からなる群より選ばれる少なくとも1種であるものが好ましい。
【化45】

【0112】
式(5−1)中、R51は水素原子またはメチル基を表し、R501は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、X51は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、またはアミノ基を表す。
前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基として−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。n51は1〜4の整数を表す。なお、n51が2以上の場合にはX51として複数の異なる基を有することも含む。
【0113】
式(5−2)中、R52は水素原子またはメチル基を表し、X52は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基として−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。n52は1〜4の整数を表す。なお、n52が2以上の場合にはX52として複数の異なる基を有することも含む。
【0114】
式(5−3)中、R53は水素原子またはメチル基を表し、R502は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R531〜R534はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、W1、W2はそれぞれ独立に−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)u2−(u2は1〜6の整数を表す)]を表す。
53は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n53は1〜4の整数を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基として−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。q1は0または1を表す。なお、n53が2以上の場合にはX53として複数の異なる基を有することも含む。
【0115】
式(5−4)中、R54は水素原子またはメチル基を表し、R503は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、X54は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、またはアミノ基を表す。
前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基として−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。n54は1〜4の整数を表し、r1は0〜2の整数を表す。なお、n54が2以上の場合にはX54として複数の異なる基を有することも含む。
【0116】
式(5−5)中、R55は水素原子またはメチル基を表し、R504、R505はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、X55は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基置換基として−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。n55は1〜4の整数を表す。なお、n55が2以上の場合にはX55として複数の異なる基を有することも含む。
【0117】
式(5−6)中、R56は水素原子またはメチル基を表し、R506は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R535〜R536はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、W3は−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖[−(CH2)u3−(u3は1〜6の整数を表す)]を表す。
56は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基として−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。n56は1〜4の整数を表し、q2は0または1を表す。なお、n56が2以上の場合にはX56として複数の異なる基を有することも含む。
【0118】
式(5−7)中、R57は水素原子またはメチル基を表し、R571は炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R572は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいはR571とR572とが一緒になって、それぞれが結合している炭素原子とともに炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を形成していてもよい。
ここで前記アルキル基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、または炭素数1〜6のアルコールとエステル化されたカルボキシ基を有していても良い。また、前期橋かけ環式炭化水素基は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を有していてもよく、該アルキル基はヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、または炭素数1〜6のアルコールとエステル化されたカルボキシ基を有していてもよい。
【0119】
57は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、またはアミノ基を表す。前記炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基として−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。
【0120】
式(5−1)中のR501は、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点から、水素原子であることが好ましい。
式(5−1)中のn51は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
式(5−1)中のX51は、パターン形状が良好な点から、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基であることが好ましい。
【0121】
式(5−2)中のn52は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
式(5−2)中のX52は、パターン形状が良好な点から、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基であることが好ましい。
【0122】
式(5−3)中のR502は、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点から、水素原子であることが好ましい。
式(5−3)中のW1、W2は、ドライエッチング耐性が高い点から、−CH2−、−CH2CH2−であることが好ましい。
式(5−3)中のR531、R532、R533、およびR534は、有機溶媒への溶解性が高い点から、それぞれ独立して水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
【0123】
式(5−3)中のn53は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
式(5−3)中のX53は、パターン形状が良好な点から、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基であることが好ましい。
式(5−3)中のq1は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点から、0であることが好ましい。
【0124】
式(5−4)中のR503は、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点から、水素原子であることが好ましい。
式(5−4)中のn54は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
式(5−4)中のX54は、パターン形状が良好な点から、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基であることが好ましい。
式(5−4)中のr1は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点から、0であることが好ましい。
【0125】
式(5−5)中のR504およびR505は、感度および解像度の点から、それぞれ独立にメチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
式(5−5)中のn55は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
式(5−5)中のX55は、パターン形状が良好な点から、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基であることが好ましい。
【0126】
式(5−6)中のR506は、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点から、水素原子であることが好ましい。
式(5−6)中のW3は、ドライエッチング耐性が高い点から、−CH2−、−CH2CH2−であることが好ましい。
式(5−6)中のR535およびR536は、有機溶媒への溶解性が高い点から、水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。
【0127】
式(5−6)中のn56は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
式(5−6)中のX56は、パターン形状が良好な点から、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基であることが好ましい。
式(5−6)中のq2は、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましく、有機溶媒への溶解性が良い点から、0であることが好ましい。
【0128】
式(5−7)中のR571およびR572は、ドライエッチング耐性が高い点から、R571とR572とが一緒になって、それぞれが結合している炭素原子とともに炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を形成している構造が好ましい。また、耐熱性、安定性に優れる点から、R571とR572とが一緒になって、それぞれが結合している炭素原子とともに形成する橋かけ環式炭化水素基に含まれる環が、ショウノウ環、アダマンタン環、ノルボルナン環、ピナン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、テトラシクロドデカン環、トリシクロデカン環、デカヒドロナフタレン環を有していることが好ましい。
【0129】
式(5−7)中のX57は、パターン形状が良好な点から、−CH2−C(CF3)2−OH、−CH2−OH基、−CH2−CN基、−CH2−O−CH3基、−(CH2)2−O−CH3基であることが好ましい。
なお、式(5−1)〜(5−7)において、X51、X52、X53、X54、X55、X56およびX57で置換される位置は、環状構造のどの位置であってもよい。
親水性基を有する構成単位(D)は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0130】
親水性基を有する構成単位(D)を有する重合体は、親水性基を有する構成単位(D)を与える単量体(d)を含む単量体を重合することによって製造することができる。
この単量体(d)は、特に制限されないが、例えば、下記式(13−1)〜(13−79)で表される単量体が挙げられる。式(13−1)〜(13−79)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
【0131】
【化46】

【化47】

【0132】
【化48】

【化49】

【0133】
中でも、レジスト溶媒への溶解性が良好な点から、上記式(13−1)〜(13−9)、上記式(13−13)〜(13−16)、上記式(13−21)〜(13−24)、上記式(13−30)〜(13−34)、上記式(13−37)〜(13−43)、上記式(13−56)〜(13−59)、上記式(13−62)〜(13−63)、上記式(13−66)〜(13−69)、上記式(13−72)、上記式(13−76)〜(13−79)で表される単量体、およびこれらの幾何異性体、ならびに、これらの光学異性体がより好ましい。
【0134】
また、ドライエッチング耐性が高い点から、上記式(13−25)〜(13−30)、上記式(13−44)〜(13−55)、上記式(13−60)〜(13−61)、上記式(13−64)〜(13−65)、上記式(13−71)、上記式(13−73)〜(13−75)で表される単量体、ならびにこれらの幾何異性体およびこれらの光学異性体がより好ましい。
【0135】
本発明のレジスト用重合体は、上述の構成単位(B)〜(D)以外にも、必要に応じてこれらの構成単位以外の構成単位(E)を含有してもよい。
このような構成単位(E)としては、例えば、酸脱離性基および親水性基を有しない脂環式骨格(非極性脂環式骨格)を有する構成単位(E1)を含有することができる。ここで脂環式骨格とは、環状の飽和炭化水素基を1個以上有する骨格である。構成単位(E1)は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0136】
構成単位(E1)は、レジスト組成物のドライエッチング耐性を発現する作用を奏する傾向にある。
構成単位(E1)としては、特に制限されないが、レジストに必要とされるドライエッチング耐性が高い点から、下記式(11−1)〜(11−4)で表される構成単位が好ましい。
【0137】
【化50】

【0138】
式(11−1)中、R301は水素原子またはメチル基を表し、X301は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n301は0〜4の整数を表す。なお、n301が2以上の場合にはX301として複数の異なる基を有することも含む。
式(11−2)中、R302は水素原子またはメチル基を表し、X302は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n302は0〜4の整数を表す。なお、n302が2以上の場合にはX302として複数の異なる基を有することも含む。
【0139】
式(11−3)中、R303は水素原子またはメチル基を表し、X303は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n303は0〜4の整数を表す。なお、n303が2以上の場合にはX303として複数の異なる基を有することも含む。また、pは0〜2の整数を表す。
式(11−4)中、R304は水素原子またはメチル基を表し、X304は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、n304は0〜4の整数を表す。なお、n304が2以上の場合にはX304として複数の異なる基を有することも含む。また、p1は0〜2の整数を表す。)
なお、式(11−1)〜(11−4)において、X301、X302、X303およびX304が結合する位置は、環状構造のどこであってもよい。
【0140】
式(11−1)中のn301は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(11−2)中のn302は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(11−3)中のn303は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(11−3)中のpは、有機溶媒への溶解性が高い点から、0であることが好ましく、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
式(11−4)中のn304は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(11−4)中のp1は、有機溶媒への溶解性が高い点から、0であることが好ましく、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
【0141】
非極性脂環式骨格を有する構成単位(E1)を含有する重合体は、非極性脂環式骨格を有する単量体(e1)を含む単量体を重合することによって製造することができる。
非極性脂環式骨格を有する単量体(e1)としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、および、これらの化合物の脂環式骨格上に炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を有する誘導体が好ましい。
具体的には、下記式(14−1)〜(14−5)で表される単量体が挙げられる。式(14−1)〜(14−5)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
【0142】
【化51】

【0143】
レジスト用重合体は、さらに、上記以外の構成単位(E2)を含有してもよい。
構成単位(E2)を含有する重合体は、単量体(e2)を含む単量体を重合することによって製造することができる。
【0144】
単量体(e2)としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸iso−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸iso−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸tert−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシ−n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸1−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸メチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸エチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸n−プロピル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸iso−プロピル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸n−ブチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸iso−ブチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸tert−ブチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸メトキシメチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸エトキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸n−プロポキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸iso−プロポキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸n−ブトキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸iso−ブトキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸tert−ブトキシエチル等の直鎖もしくは分岐構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−ヒドロキシスチレン、p−tert−ブトキシカルボニルヒドロキシスチレン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシスチレン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシスチレン、p−tert−ぺルフルオロブチルスチレン、p−(2−ヒドロキシ−iso−プロピル)スチレン等の芳香族アルケニル化合物;
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物;
エチレン、プロピレン、ノルボルネン、テトラフルオロエチレン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0145】
構成単位(E1)および構成単位(E2)の含有量は、特に制限されないが、レジスト用重合体の構成単位中、20モル%以下の範囲が好ましい。
レジスト用重合体中の構成単位(B)と構成単位(C)の好ましい組み合わせを表1〜4に列挙する。
【0146】
【表1】

【0147】
【表2】

【0148】
【表3】

【0149】
【表4】

【0150】
また、構成単位(B)は、前記式(10−1)および前記式(10−3)からなる群より選ばれる1種以上と、前記式(10−7)、(10−8)、(10−10)、(10−12)、(10−17)および前記式(10−19)からなる群より選ばれる1種以上とを併用してもよい。さらに、表1に列挙した組み合わせに加えて、構成単位(D)として、前記式(13−1)、前記式(13−26)、前記式(13−27)、前記式(13−30)、前記式(13−31)、および前記式(13−68)からなる群より選ばれる1つの単量体を加えた組み合わせ(以下、「組み合わせA」と言う。)も好ましい。そして、表1に列挙した組み合わせ、または組み合わせAに対して、構成単位(E1)として、前記式(14−1)、および前記式(14−3)からなる群より選ばれる1種以上の単量体を加えた組み合わせも好ましい。
【0151】
本発明のレジスト用重合体の質量平均分子量は、特に限定されないが、ドライエッチング耐性およびレジストパターン形状の点から、2,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましく、4,000以上であることが特に好ましく、5,000以上であることが更に好ましい。また、本発明のレジスト用重合体の質量平均分子量は、レジスト溶液に対する溶解性および解像度の点から、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましく、30,000以下である
ことが特に好ましく、20,000以下が更に好ましい。
本発明のレジスト用重合体の分子量分布は、特に限定されないが、レジスト溶液に対する溶解性および解像度の点から、2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.8以下であることが特に好ましい。
【0152】
次に、本発明のレジスト用重合体の製造方法について説明する。
本発明のレジスト用重合体を製造する方法は、溶液重合で行われれば特に限定されない。また、溶液重合の重合方法については、特に制限されず、一括重合でも滴下重合でもよい。中でも、組成分布および/または分子量分布の狭い重合体が簡便に得られる点から、単量体を重合容器中に滴下する滴下重合と呼ばれる重合方法が好ましい。滴下する単量体は、単量体のみであっても、単量体を有機溶媒に溶解させた溶液であってもよい。
【0153】
滴下重合法においては、例えば、有機溶媒をあらかじめ重合容器に仕込み(この有機溶媒を「仕込み溶媒」ともいう)、所定の重合温度まで加熱した後、単量体や重合開始剤を、それぞれ独立または任意の組み合わせで、有機溶媒に溶解させた溶液(この有機溶媒を「滴下溶媒」とも言う。)を、仕込み溶媒中に滴下する。単量体は滴下溶媒に溶解させずに滴下してもよく、その場合、重合開始剤は、単量体に溶解させてもよいし、重合開始剤だけを有機溶媒へ溶解させた溶液を有機溶媒中に滴下してもよい。また、仕込み溶媒が重合容器内にない状態で単量体あるいは重合開始剤を重合容器中に滴下してもよい。
単量体と重合開始剤は、それぞれ独立した貯槽から所定の重合温度まで加熱された仕込み溶媒へ直接滴下してもよいし、それぞれ独立した貯槽から所定の重合温度まで加熱された仕込み溶媒へ滴下する直前で混合し、前記仕込み溶媒へ滴下してもよい。
【0154】
さらに、単量体あるいは重合開始剤を、前記仕込み溶媒へ滴下するタイミングは、単量体を先に滴下した後、遅れて重合開始剤を滴下してもよいし、重合開始剤を先に滴下した後、遅れて単量体を滴下してもよいし、単量体と重合開始剤を同じタイミングで滴下してもよい。また、これらの滴下速度は、滴下終了まで一定の速度であってもよいし、単量体や重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に速度を変化させてもよいし、あるいは間欠的に滴下を停止させたり、開始してもよい。
滴下重合法における重合温度は特に限定されないが、通常、50〜150℃の範囲内であることが好ましい。
【0155】
滴下重合法において用いられる有機溶剤としては、重合溶媒としては公知の溶媒を使用でき、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下「PGME」とも言う。)等の鎖状エーテル、テトラヒドロフラン(以下「THF」とも言う。)、1,4−ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」とも言う。)など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン(以下「MEK」とも言う。)、メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」とも言う。)など)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶剤などが挙げられる。
また、これらの溶媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0156】
重合溶媒の使用量は特に限定されず、適宜決めればよい。通常は、共重合に使用する単量体全量100質量部に対して30〜700質量部の範囲内で使用することが好ましい。
滴下重合法においては、重合溶媒を2種以上使用する場合、滴下溶媒と仕込み溶媒における重合溶媒の混合比は任意の割合で設定することができる。
【0157】
有機溶媒中に滴下する単量体溶液の単量体濃度は特に限定されないが、5〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
なお、仕込み溶媒の量は特に限定されず、適宜決めればよい。通常は、共重合に使用する単量体全量100質量部に対して30〜700質量部の範囲内で使用することが好ましい。
【0158】
本発明のレジスト用重合体は、通常、重合開始剤の存在下で、前記式(1)で現されるナフタレン骨格を有する単量体の1種以上を含む単量体組成物を重合して得られる。重合開始剤は、熱により効率的にラジカルを発生するものが好ましい。このような重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNとも言う。)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(以下、DAIBとも言う。)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ化合物;2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物などが挙げられる。
【0159】
また、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィーにおいて使用されるレジスト用重合体を製造する場合、得られるレジスト用重合体の光線透過率(波長193nmの光に対する透過率)をできるだけ低下させない点から、重合開始剤は、分子構造中に芳香環を有しないものが好ましい。さらに、重合時の安全性等を考慮すると、重合開始剤は、10時間半減期温度が60℃以上のものが好ましい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、共重合体の収率を高くさせる点から、共重合に使用する単量体全量100モル部に対して0.3モル部以上が好ましく、1モル部以上がより好ましく、共重合体の分子量分布を狭くさせる点から、共重合に使用する単量体全量100モル部に対して30モル部以下が好ましい。
【0160】
本発明のレジスト用重合体を製造する際には、レジスト組成物の保存安定性を妨げない範囲で連鎖移動剤(以下、連鎖移動剤という)を使用してもよい。このような連鎖移動剤としては、例えば、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1−オクタンチオール、1−デカンチオール、1−テトラデカンチオール、シクロヘキサンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−ヒドロキシエチルメルカプタンなどが挙げられる。
ArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィーにおいて使用されるレジスト用重合体を製造する場合、得られるレジスト用重合体の光線透過率(波長193nmの光に対する透過率)をできるだけ低下させない点から、連鎖移動剤は、芳香環を有しないものが好ましい。
【0161】
溶液重合によって製造された重合体溶液は、必要に応じて、1,4−ジオキサン、アセトン、THF、MEK、MIBK、γ−ブチロラクトン、PGMEA、PGME等の良溶媒で適当な溶液粘度に希釈した後、メタノール、水、ヘキサン、ヘプタン等の多量の貧溶媒中に滴下して重合体を析出させる。この工程は一般に再沈殿と呼ばれ、重合溶液中に残存する未反応の単量体や重合開始剤等を取り除くために非常に有効である。これらの未反応物は、そのまま残存しているとレジスト性能に悪影響を及ぼす可能性があるので、できるだけ取り除くことが好ましい。再沈殿工程は、場合により不要となることもある。その後、その析出物を濾別し、十分に乾燥して本発明の重合体を得る。また、濾別した後、乾燥せずに湿粉のまま使用することもできる。
また、製造された重合体溶液はそのまま、または適当な溶媒で希釈してレジスト組成物として使うこともできる。その際、保存安定剤などの添加剤を適宜添加してもよい。
【0162】
次に、本発明のレジスト組成物について説明する。
本発明のレジスト組成物は、本発明のレジスト用重合体を溶媒に溶解したものである。また、本発明の化学増幅型レジスト組成物は、本発明のレジスト用重合体および光酸発生剤を溶媒に溶解したものである。本発明のレジスト用重合体は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。なお、溶液重合等によって得られた重合体溶液から重合体を分離することなく、この重合体溶液をそのままレジスト組成物に使用し、または、この重合体溶液を適当な溶媒で希釈して、または濃縮してレジスト組成物に使用することもできる。
【0163】
溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン等の直鎖もしくは分岐鎖ケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状ケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等のアルコール類;1,4−ジオキサン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0164】
溶媒の含有量は、通常、レジスト用重合体100質量部に対して、200〜5000質量部であり、300〜2000質量部であることがより好ましい。
本発明のレジスト用重合体を化学増幅型レジストに使用する場合は、光酸発生剤を用いることが必要である。
本発明の化学増幅型レジスト組成物に含有される光酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物の酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択することができる。光酸発生剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0165】
このような光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。光酸発生剤としては、中でも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩化合物が好ましく、具体的には、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−メチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリ(tert−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
【0166】
光酸発生剤の含有量は、選択された光酸発生剤の種類により適宜決められるが、通常、レジスト用重合体100質量部に対して0.1質量部以上であり、0.5質量部以上であることがより好ましい。光酸発生剤の含有量をこの範囲にすることにより、露光により発生した酸の触媒作用による化学反応を十分に生起させることができる。また、光酸発生剤の含有量は、通常、レジスト用重合体100質量部に対して20質量部以下であり、10質量部以下であることがより好ましい。光酸発生剤の含有量をこの範囲にすることにより、レジスト組成物の安定性が向上し、組成物を塗布する際の塗布むらや現像時のスカム等の発生が十分に少なくなる。
【0167】
さらに、本発明の化学増幅型レジスト組成物には、含窒素化合物を配合することもできる。含窒素化合物を含有させることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などがさらに向上する。つまり、レジストパターンの断面形状が矩形により近くなり、また、レジスト膜を露光し、露光後ベーク(PEB)して、次の現像処理までの間に数時間放置されることが半導体の量産ラインではあるが、そのような放置(経時)したときにレジストパターンの断面形状の劣化の発生がより抑制される。
【0168】
含窒素化合物は、公知のものいずれも使用可能であるが、アミンが好ましく、中でも、第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンがより好ましい。
ここで「低級脂肪族アミン」とは、炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンのことをいう。
第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。含窒素化合物としては、中でも、トリエタノールアミンなどの第3級アルカノールアミンがより好ましい。
【0169】
含窒素化合物は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
含窒素化合物の含有量は、選択された含窒素化合物の種類などにより適宜決められるが、通常、レジスト用重合体100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましい。含窒素化合物の含有量をこの範囲にすることにより、レジストパターン形状をより矩形にすることができる。また、含窒素化合物の含有量は、通常、レジスト用重合体100質量部に対して2質量部以下であることが好ましい。含窒素化合物の含有量をこの範囲にすることにより、感度の劣化を小さくすることができる。
【0170】
また、本発明の化学増幅型レジスト組成物には、有機カルボン酸、リンのオキソ酸、または、その誘導体を配合することもできる。これらの化合物を含有させることにより、含窒素化合物の配合による感度劣化を防止することができ、また、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などがさらに向上する。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好ましい。
【0171】
リンのオキソ酸、または、その誘導体としては、例えば、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸およびそれらのエステルのような誘導体;ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸およびそれらのエステルのような誘導体;ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸およびそれらのエステルのような誘導体などが挙げられ、中でも、ホスホン酸が好ましい。
これらの化合物(有機カルボン酸、リンのオキソ酸、または、その誘導体)は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0172】
これらの化合物(有機カルボン酸、リンのオキソ酸、または、その誘導体)の含有量は、選択された化合物の種類などにより適宜決められるが、通常、レジスト用重合体100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましい。これらの化合物の含有量をこの範囲にすることにより、レジストパターン形状をより矩形にすることができる。また、これらの化合物(有機カルボン酸、リンのオキソ酸、または、その誘導体)の含有量は、通常、レジスト用重合体100質量部に対して5質量部以下であることが好ましい。これらの化合物の含有量をこの範囲にすることにより、レジストパターンの膜減りを小さくすることができる。
なお、含窒素化合物と有機カルボン酸、リンのオキソ酸、または、その誘導体との両方を本発明の化学増幅型レジスト組成物に含有させることもできるし、いずれか片方のみを含有させることもできる。
【0173】
さらに、本発明のレジスト組成物には、必要に応じて、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を配合することもできる。これらの添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも使用可能である。また、これらの添加剤の配合量は特に限定されず、適宜決めればよい。
本発明のレジスト用重合体は、金属エッチング用、フォトファブリケーション用、製版用、ホログラム用、カラーフィルター用、位相差フィルム用等のレジスト組成物として使用してもよい。
【0174】
次に、本発明のパターンが形成された基板の製造方法の一例について説明する。
最初に、パターンを形成するシリコンウエハー等の被加工基板の表面に、本発明のレジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、このレジスト組成物が塗布された被加工基板は、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥し、基板上にレジスト膜を製造する。
【0175】
次いで、このようにして得られたレジスト膜に、フォトマスクを介して、光を照射する(露光)。露光に用いる光は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、またはEUVエキシマレーザーであることが好ましく、特にArFエキシマレーザーであることが好ましい。また、電子線で露光することも好ましい。
一方で、該レジスト膜と露光装置の最終レンズとの間に、純水やパーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフランやパーフルオロトリアルキルアミンなどの高屈折率液体を介在させた状態で露光する液浸露光を行ってもよい。
【0176】
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、基板をアルカリ現像液に浸漬し、露光部分を現像液に溶解除去する(現像)。アルカリ現像液は公知のものいずれを用いてもよい。そして、現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが製造される。
そして、レジストパターンが製造された被加工基板は、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にエッチングする。エッチングを行った後、レジストを剥離剤によって除去することによって、パターンが形成された基板が得られる。
【実施例】
【0177】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各実施例、比較例中「部」とあるのは、特に断りのない限り「質量部」を示す。
また、以下のようにして、レジスト用重合体の共重合性、レジスト用重合体およびレジスト組成物を評価した。
【0178】
1.レジスト用重合体の共重合性評価
<重合時間に対する各構成単位の含有量>
レジスト用重合体の共重合性評価は、各々の重合時間における仕込み単量体量に対する重合溶液中に存在する未反応単量体量を、それぞれの単量体について求め、単量体ごとの消費割合を比較した。
重合溶液中に残存する単量体量は次の方法で求めた。まず、各々の重合時間において、重合反応器から0.5g採取した重合溶液をアセトニトリルで希釈し、メスフラスコを用いて全量を50mLとした。この希釈液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、東ソー製高速液体クロマトグラフHPLC−8020(製品名)を用いて、それぞれの未反応単量体量を求めた。
【0179】
この測定は、分離カラムはジーエルサイエンス製Inertsil ODS−2(商品名)を1本使用し、移動相は水/アセトニトリルのグラジエント系、流量0.8mL/min、検出器は東ソー製紫外・可視吸光光度計UV−8020(商品名)、検出波長220nm、測定温度40℃、注入量4μLで測定した。なお、分離カラムであるInertsil ODS−2(商品名)は、シリカゲル粒径5μm、カラム内径4.6mm×カラム長さ450mmのものを使用した。また、移動相のグラジエント条件は、A液を水、B液をアセトニトリルとし、下記の通りとした。また、未反応単量体量を定量するために、濃度の異なる3種類の各単量体溶液を標準液として用いた。
【0180】
測定時間0〜3分:A液/B液=90体積%/10体積%
測定時間3〜24分:A液/B液=90体積%/10体積%→50体積%/50体積%
測定時間24〜36.5分:A液/B液=50体積%/50体積%→0体積%/100体積%
測定時間36.5〜44分:A液/B液=0体積%/100体積%
それぞれの単量体について、各重合時間における消費割合が一致するほど共重合性がよいと言える。一方で、単量体の消費割合が、単量体の種類によって大きく異なる場合は、偏った共重合組成比の重合体が生成していると言え、共重合性が悪いと言える。
【0181】
2.レジスト用重合体の評価
<各構成単位の含有量>
レジスト用重合体の各構成単位の含有量は、1H−NMR測定で求めることができる場合には1H−NMR測定により求め、プロトンピークの重なり等により1H−NMR測定で求めることができない場合には、13C−NMR測定により求めた。
【0182】
1H−NMRの測定は、日本電子(株)製、JNM−GX270型FT−NMR(商品名)を用いて、約5質量%のレジスト用重合体試料の溶液(重水素化クロロホルム溶液または重水素化ジメチルスルホキシド溶液)を直径5mmφの試験管に入れ、観測周波数270MHz、シングルパルスモードにて、64回の積算で行った。なお、測定温度は、重水素化クロロホルムを溶媒とした場合は40℃、重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした場合は60℃で行った。
13C−NMR測定の場合は、バリアンテクノロジーズ社製、UNITY−INOVA型FT−NMR(商品名)を用いて、約20質量%のレジスト用重合体試料の重水素化ジメチルスルホキシドの溶液を直径5mmφの試験管に入れ、測定温度60℃、観測周波数125MHz、核オーバーハウザー効果(NOE)が除去されたプロトン完全デカップリング法にて、50000回の積算を行う。
【0183】
<質量平均分子量>
約20mgのレジスト用重合体を5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過して試料溶液を調製し、この試料溶液を東ソー製ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。この測定は、分離カラムは昭和電工製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列にしたものを用い、溶媒はTHF、流量1.0mL/min、検出器は示差屈折計、測定温度40℃、注入量0.1mLで、標準ポリマーとしてポリスチレンを使用して測定した。
【0184】
<光線透過率>
製造したレジスト用重合体5部と、溶媒であるPGMEA45部とを混合して均一溶液とした後、孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、重合体組成物溶液を調製した。
調製した重合体組成物溶液を石英ウエハー上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、60秒間プリベークを行い、膜厚1μmのレジスト膜を製造した。
石英ウエハー上に製造された重合体薄膜を試料側に、未処理の石英ウエハーを参照側にそれぞれ設置し、島津製作所製紫外・可視吸光光度計UV−3100(商品名)を用いて、波長範囲を192〜194nm、スキャンスピードを中速、サンプリングピッチを自動、スリット幅を2.0にそれぞれ設定して測定を行い、193nmにおける光線透過率を求めた。
【0185】
3.レジスト組成物の評価
製造した重合体を用い、以下のようにしてレジスト組成物を調製して、その性能を評価した。
<レジスト組成物の調製>
製造したレジスト用重合体100部と、光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレート2部と、溶媒であるPGMEA720部および乳酸エチル180部を混合して均一溶液とした後、孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、レジスト組成物溶液を調製した。
【0186】
<感度>
調製したレジスト組成物溶液をシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、60秒間プリベークを行い、膜厚0.3μmのレジスト膜を製造した。次いで、ニコン製ArFエキシマレーザー露光機SP−193(製品名)を使用して、露光量を1〜50mJ/cm2の間で18点変化させて露光した後、ホットプレートを用いて110℃、60秒間露光後ベークを行った。
次いで、リソテックジャパン製現像速度アナライザーRDA−790EB(製品名)を用いて、23.5℃に保たれた2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液へ、露光された上記ウエハーを投入し、65秒間保持した。
上記測定にて得られたデータから、抜け始め露光量(Eth)(mJ/cm2)を感度とした。
【0187】
<実施例1>
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを58.2部入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
下記式(51)で表されるα−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(以下、GBLMAと言う。)27.20部、
下記式(52)で表される2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン(以下、MAdMAと言う。)26.21部、
下記式(53)で表される単量体(以下、BOCNMAと言う。)16.42部、
【0188】
【化52】

乳酸エチル104.7部、およびジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(以下、DAIBと言う。)2.355部を混合した単量体溶液の入った滴下装置から、該単量体溶液を一定速度で4時間かけてフラスコ中へ滴下した。その後、80℃の温度を3時間保持した。
【0189】
次いで、得られた反応溶液を1.6Lのメタノール/水=85容量%/15容量%中に攪拌しながら滴下し、淡黄色の析出物(レジスト用重合体Y−1)の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別し、再度、前記反応溶液に対して1.6Lのメタノール/水=90容量%/10容量%へ投入し、撹拌しながら沈殿の洗浄を行った。そして、洗浄後の沈殿を濾別し、減圧下60℃で約40時間乾燥した。得られたレジスト用重合体Y−1の各物性を測定した結果を表5に示した。
また、重合開始後1時間あるいは1.5時間ごとに重合反応液をサンプリングし、未反応単量体量を求めることで、各単量体の消費割合を求めた。その結果を表6に示した。
【0190】
<実施例2>
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを50.8部入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
GBLMA25.50部、MAdMA24.57部、
下記式(54)で表される単量体(以下、HNMMAと言う。)10.89部、
【0191】
【化53】

乳酸エチル91.4部、およびDAIB2.070部を混合した単量体溶液の入った滴下装置から、該単量体溶液を一定速度で4時間かけてフラスコ中へ滴下した。その後、80℃の温度を3時間保持した。
【0192】
次いで、得られた反応溶液を1.4Lのメタノール中に攪拌しながら滴下し、淡黄色の析出物(レジスト用重合体Y−2)の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別し、再度、前記反応溶液に対して1.4Lのメタノールへ投入し、撹拌しながら沈殿の洗浄を行った。そして、洗浄後の沈殿を濾別し、減圧下60℃で約40時間乾燥した。得られたレジスト用重合体Y−2の各物性を測定した結果を表5に示した。
また、重合開始後1時間あるいは1.5時間ごとに重合反応液をサンプリングし、未反応単量体量を求めることで、各単量体の消費割合を求めた。その結果を表6に示した。
【0193】
<比較例1>
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを52.9部入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
GBLMAを28.05部、MAdMAを27.03部、
下記式(55)で表される単量体(以下、HVNと言う。)8.415部、
【0194】
【化54】

乳酸エチルを95.2部、およびDAIBを2.277部を混合した単量体溶液の入った滴下装置から、一定速度で4時間かけてフラスコ中へ滴下した。その後、80℃の温度を3時間保持した。
【0195】
以降の操作は、実施例2と同様の操作で、レジスト用重合体B−2を得た。得られたレジスト用重合体B−2の各物性を測定した結果を表5に示した。
また、重合開始後1時間あるいは1.5時間ごとに重合反応液をサンプリングし、未反応単量体量を求めることで、各単量体の消費割合を求めた。その結果を表7に示した。
【0196】
【表5】

【0197】
【表6】

【0198】
【表7】

【0199】
本発明のレジスト用重合体(実施例1および2)は、共重合性や露光波長における光線透過率に優れていた。また、本発明のレジスト用重合体を用いたレジスト組成物(実施例1および2)は、十分な感度を備えていた。
一方、構成単位(A)を含有しない比較例1のレジスト用重合体は露光波長における光線透過率が劣っていた。
【0200】
<実施例3>
実施例2で製造したレジスト用重合体Y−2について、露光されたレジスト用重合体の現像液への溶解性を評価するために、レジスト組成物が溶解した現像液の粒径分布(水で希釈する前の現像液の粒径分布)およびレジスト組成物が溶解した現像液を水で希釈した溶液の粒径分布(水で希釈する後の現像液の粒径分布)を求めた。
装置は大塚電子製濃厚系粒径アナラーザーFPAR−1000(高感度タイプ)(商品名)を用いた。測定温度を25℃、測定時間を120秒とした。
また、データ処理方法は、粒子径10nm〜100000nm(=100μm)の範囲で、マルカッド法を用いて行った。
【0201】
水で希釈する前の現像液の粒径分布と、水で希釈した後の現像液の粒径分布が、同じような分布である場合は、露光されたレジスト用重合体の現像液への溶解性が良好であることを表しており、これまでの検討から、このような場合には、ディフェクトなどの現像欠陥が少ないことを見出している。
一方、水で希釈する前の現像液の粒径分布と比較して、水で希釈した後の現像液の粒径分布が、大粒径側にピークが出現したり、あるいは大粒径側のピーク面積の割合が相対的に大きくなったりした場合は、露光されたレジスト用重合体の現像液への溶解性が悪いことを表しており、これまでの検討から、このような場合には、ディフェクトなどの現像欠陥が多いことを見出している。
したがって、水で希釈する前の現像液の粒径分布と水で現像した後の粒径分布を比較することによって、ディフェクトなどの現像欠陥を予想することができる。
【0202】
具体的な測定方法は、実施例2で調製したレジスト組成物溶液を6インチのシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、60秒間プリベークを行い、膜厚0.3μmのレジスト膜を製造した。
次いで、アズワン製ハンディーUVランプSUV−4(商品名)(波長254nm)を用いて、照射面とウエハーの間隔を5cmに設定し、20秒間露光した後、ホットプレートを用いて110℃、60秒間露光後ベークを行った。
そして、23℃に保たれた2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液100部の入ったガラスシャーレの中へ、レジスト膜が製膜されたシリコンウエハーを60秒間浸漬し、現像処理した。
上記の現像液を用いて、上記と同じ条件でレジスト膜の製膜、加熱処理、露光、現像を繰り返し、15枚のレジスト膜が製膜されたシリコンウエハーを現像し、重合体Y−2が溶解した現像液G−1を調製した。
【0203】
上記操作で調製した現像液G−1と、現像液G−1の10質量%水溶液の粒径分布測定を実施した結果を図1に示す。
レジスト用重合体Y−2を用いたレジスト組成物を露光することで得られた現像液は、水で希釈する前の粒径分布と水で希釈した後の粒径分布とで、ほぼ同じような分布であった。そのため、露光されたレジスト用重合体の現像液への溶解性が良好であり、ディフェクトなどの現像欠陥が少ないことが予想される。
【0204】
<比較例2>
レジスト用重合体を比較例1で製造したもの(重合体B−2)へ変更した以外は、実施例3と同様にして現像液F−1を調製した。
そして、現像液F−1と、現像液F−1の10質量%水溶液の粒径分布測定を実施した結果を図2に示す。
【0205】
<参考例1>
下記式(61)の化合物(式(55)の単量体を用いて重合して得られる構成単位のモデル構造)のモル吸光定数(1/モル・cm)を富士通製計算化学ソフトCAChe(製品名)を用いて計算した。
【0206】
【化55】

【0207】
具体的には、式(61)のモル吸光定数は、式(61)を構成する原子および原子間の結合種(単結合、二重結合、三重結合等の結合の種類)を二次元情報として入力するモデリングを行い、その二次元情報から、PM3法により、原子間のポテンシャルエネルギーが最小になるように原子および結合種を三次元的に配置する構造最適化を行う。そして、ZINDO−CI PM3法により、構造最適化された各原子間の紫外−可視領域のモル吸光定数を計算し、全波長領域で総和することで、任意の波長におけるモル吸光定数を求めることができる。モル吸光定数が小さいほど、その波長における光線透過率が良好であることを示す。
【0208】
富士通製計算化学ソフトCAChe(製品名)によるPM3法の構造最適化の具体的な操作方法は、富士通製計算化学ソフトCAChe(製品名)のWorkspace画面上で構成単位のモデリングを行った後、「Experiment」のプルダウンメニューから「New」を選択し、新たに現れた画面において、「Proparty of:」の項目は「chemical sample」を、「Proparty:」の項目は「optimized geometry」を、「Using:」の項目は「PM3 geometry」をそれぞれ選択した後、「Start」を選択することであり、この操作によって構造最適化をすることができる。
【0209】
そして、ZINDO−CI PM3法によるモル吸光定数を求めるための具体的な操作方法は、上記PM3による構造最適化をした状態で、「Experiment」のプルダウンメニューから「New」を選択し、新たに現れた画面において、「Proparty of:」の項目は「chemical sample」を、「Proparty:」の項目は「UV−visible transitions」を、「Using:」の項目は「ZINDO−CI at PM3 geometry」をそれぞれ選択した後、「Start」を選択することであり、さらに計算終了後、「Analize」のプルダウンメニューから「UV−visible transitions」を選択することで表示される紫外−可視吸収スペクトルにおいて、193nmでのモル吸光定数を求めることができる。
上記操作の結果、式(61)の化合物の193nmにおけるモル吸光定数は、600(1/モル・cm)であった。
【0210】
<参考例2>
下記式(62)の化合物(式(8−1)の単量体を用いて重合して得られる構成単位のモデル構造)の、193nmにおけるモル吸光定数(1/モル・cm)を、実施例3と同様に、富士通製計算化学ソフトCAChe(製品名)を用いて計算した結果、800(1/モル・cm)であった。
【0211】
【化56】

【0212】
前記式(61)で表されるモデル化合物の193nmにおけるモル吸光係数(600(1/モル・cm))と、このモデル化合物に対応する構成単位を有するレジスト用重合体Y−2(実施例2)の193nm光線透過率の結果を勘案すると、前記式(62)で表されるモデル化合物(193nmにおけるモル吸光係数=800(1/モル・cm))に対応する構成単位を有する重合体も、193nmにおける光線透過率が良好であると予想され、レジスト組成物として用いた場合の感度あるいは解像度が良好であることが予想される。
【0213】
しかし、前記式(62)で表されるモデル化合物のモル吸光係数は、前記式(61)で表されるモデル化合物のモル吸光係数よりも大きいため、前記式(61)で表されるモデル化合物に対応する構成単位を有するレジスト用重合体Y−2(実施例2)と、前記式(62)で表されるモデル化合物に対応する構成単位を有するレジスト用重合体を比較すると、レジスト用重合体Y−2の方が、レジスト組成物として用いた場合の感度あるいは解像度がより優れていると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】現像液G−1の粒径分布(実施例3)
【図2】現像液F−1の粒径分布(比較例2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1−1)で表されるナフタレン骨格を有する構成単位(A)を含有するレジスト用重合体。
【化1】

(式(1−1)中、R10は水素原子またはメチル基を表し、Gは−C(=O)−O−、−O−、または−O−C(=O)−のいずれかを表す。L1、L2は、それぞれ独立して、単結合、または炭素数1〜20の直鎖、分岐、もしくは環状の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基は置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい。R11、R12はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、R11とR12とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または鎖長1〜6のメチレン鎖を表す。Yは、−C(=O)−OH、−OH、−C(=O)−OR13、または、−OR13を表し、R13は炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の炭化水素基を表し、この炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。X1は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、またはアミノ基を表す。前記X1の炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。h11は0〜4の整数を表す。なお、h11が2以上の場合にはX1として複数の異なる基を有することも含む。h2は1〜4の整数を表す。また、h2が2以上の場合には−[(L2)g4−Y]として複数の異なる基を有することも含む。h11+h2≦7である。h1、g1、g3、g4はそれぞれ独立して0または1であり、g2は0〜20の整数である。)
【請求項2】
前記式(1−1)が、h1、h11、およびg4がいずれも0であり、したがってレジスト用重合体が下記式(1−2)に示すナフタレン骨格を有する構成単位を含有する、請求項1記載のレジスト用重合体。
【化2】

(式(1−2)中、R10は水素原子またはメチル基を表し、Gは−C(=O)−O−、−O−、または−O−C(=O)−のいずれかを表す。L1は、単結合、または炭素数1〜20の直鎖、分岐、もしくは環状の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基は置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい。Yは、−C(=O)−OH、−OH、−C(=O)−OR13、または、−OR13を表し、R13は炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の炭化水素基を表し、この炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。g3は0または1である。h2は1〜4の整数を表し、h2が2以上の場合には−[Y]として複数の異なる基を有することも含む。)
【請求項3】
前記式(1−2)中、[L1−(O)g3]−がナフタレン骨格の2位に結合し、L1がL1’であり、h2が1でかつ、−[Y]h2がナフタレン骨格の6位に結合し、したがってレジスト用重合体が下記式(1−3)に示すナフタレン骨格を有する構成単位を含有する、請求項2記載のレジスト用重合体。
【化3】

(式(1−3)中、R10は水素原子またはメチル基を表し、Gは−C(=O)−O−、−O−、または−O−C(=O)−のいずれかを表す。g3は0または1である。Yは、−C(=O)−OH、−OH、−C(=O)−OR13、または、−OR13を表し、R13は炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の炭化水素基を表し、この炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。h2は1〜4の整数を表し、h2が2以上の場合には−[Y]として複数の異なる基を有することも含む。また、L1’は、炭素数1〜20の直鎖、分岐、もしくは環状の2価の炭化水素基を表し、この2価の炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。)
【請求項4】
前記式(1−3)中、Gが−C(=O)−O−であり、g3が0であり、L1’がL1”であり、したがってレジスト用重合体が下記式(1−4)に示すナフタレン骨格を有する構成単位を含有する、請求項3記載のレジスト用重合体。
【化4】

(式(1−4)中、R10は水素原子またはメチル基を表す。Yは、−C(=O)−OH、−OH、−C(=O)−OR13、または、−OR13を表し、R13は炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の炭化水素基を表し、この炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。また、L1”は炭素数1〜4の直鎖炭化水素基を表す。)
【請求項5】
前記式(1−4)中、Yがヒドロキシル基であり、したがってレジスト用重合体が下記式(1−5)に示すナフタレン骨格を有する構成単位を含有する、請求項4記載のレジスト用重合体。
【化5】

(式(1−5)中、R10は水素原子またはメチル基を表し、L1”は炭素数1〜4の直鎖炭化水素基を表す。)
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のレジスト用重合体を含有するレジスト組成物。
【請求項7】
請求項6に記載のレジスト組成物を被加工基板上に塗布する工程と、250nm以下の波長の光で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むパターンが形成された基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−146142(P2007−146142A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290491(P2006−290491)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】