説明

レゾルシノールを含有する剥離溶液を用いた金属保護の改善

【課題】半導体集積回路及び/又は液晶のための半導体デバイス上に回路を作製し、及び/又は電極を形成するために有用な、金属及び合金エッチレート(特に銅エッチレート及びTiWエッチレート)の低下したレジスト剥離剤及び、その使用方法の提供。
【解決手段】銅塩を添加するか、又は銅塩無しで、及び銅塩の可溶性を改善するためのアミンを添加するか、又はアミン無しで、低い濃度のレゾルシノール又はレゾルシノール誘導体を含有し、更に、これらの方法によって製造された集積回路デバイス及び電気的相互接続構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年8月15日出願の米国仮出願第60/956,030号の利益、及び2007年10月30日出願の米国出願第11/928,728号の優先権を請求し、各々の出願を参照により本明細書中に援用する。
【0002】
本開示は、半導体集積回路、液晶ディスプレイなどのための半導体デバイス上の回路の作製又は電極の形成に用いるための、レゾルシノール及び/又はレゾルシノール誘導体を含有するレジスト残渣剥離剤及びエッチング後残渣剥離剤に関し、更に、金属成分から実質的な量の金属を損失することなくこの剥離剤を用いて半導体デバイスを生産するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体集積回路及びMEMSデバイスの作製技術は、単一のコンポーネント又はデバイス上に作製可能なトランジスタ、キャパシタ、及びその他の電子デバイスの数に関して進歩してきた。この集積レベルの増加は、その大部分が、集積回路の最小特徴寸法を減少させ、その中に含まれる層の数を増加させてきた。今日の設計の特徴は一般的に「サブミクロン」と呼ばれ、0.25ミクロンを割り込んでいる。減少した寸法を有する集積回路のコンポーネントの製造は、化学的剥離溶液を用いてレジスト残渣及びエッチング残渣を取り除くことを含む、それらの生産の全ての側面に新たな要求を突きつけている。半導体集積回路又は液晶ディスプレイのための半導体デバイスは、基板をポリマーレジスト組成物でコーティングし、露光及びそれに続く現像によってレジストフィルムをパターニングし、パターン化されたレジストフィルムをマスクとして用いて基板の露光部分をエッチングして微細回路を形成し、そして基板からレジストフィルムを取り除く工程を含むプロセスによって、一般的に生産される。あるいは、微細回路を形成した後、そのレジストフィルムを灰化して、残りのレジスト残渣を基板から取り除くこともできる。優れた剥離溶液は、中温〜低温でレジスト残渣及びレジスト材料を迅速に取り除き、全ての暴露されたコンポーネントへの影響が許容可能であり、固体の沈殿及び剥離溶液の早期廃棄の両方を未然に防ぐために、レジスト残渣及び/又はエッチング後残渣の実質的な溶解能を有するべきである。優れた剥離溶液はまた、基板に損傷を与えることなく、再加工プロセスにおいてレジスト残渣を迅速に取り除くべきである。最後に、優れた剥離溶液は最小限の毒性を示すべきである。
【0004】
様々な剥離溶液が開発され、それらは初期の半導体デバイスの製造においては十分に機能していた。初期の剥離溶液の相当数は、強アルカリ溶液であった。このアルカリ剥離溶液を用いて、特にタングステン又は銅、及びその合金などの金属を含有する超小型回路を製造すると、金属損失を引き起こす可能性がある。例えば腐食ピット及び金属線のノッチングなどの様々な形態の金属損失が、これらのアルカリ剥離剤を使用している間に観察された。タングステン、銅、及び合金の場合には、陰極反応を提供する溶解酸素により、加熱された乾燥有機剥離組成混合物中で腐食が生ずる可能性がある。初期の半導体デバイスの製造においてはかかる金属損失は許容可能であったが、サブミクロンのコンポーネントを有するデバイスは、かかる金属損失に耐えることができない。
【0005】
様々な腐食防止剤を含有する剥離溶液を利用することによって、半導体デバイスを作製する間の金属損失を減少させるための努力がなされてきた。米国特許第6,276,372号、6,221,818号、及び6,187,730号は、剥離液中で腐食防止剤として機能する様々な没食子酸化合物の使用を教示している。米国特許第6,156,661号及び5,981,454号は、剥離液中の腐食防止剤として有機酸の使用を教示している。米国特許第6,140,287号;6,000,411号;及び6,110,881号は、剥離液中の腐食防止剤としてキレート剤の使用を教示している。米国特許第5,902,780号;5,672,577号;及び5,482,566号は、剥離液中の腐食防止剤として1,2−ジヒドロキシベンゼンキレート剤の使用を教示している。米国特許第5,997,658号は、剥離液中の腐食防止剤としてベンゾトリアゾールの使用を教示している。米国特許第5,928,430号は、剥離液中の腐食防止剤として没食子酸の使用を教示している。米国特許第5,419,779号は、剥離液中の腐食防止剤としてカテコール、ピロガロール、アントラニル酸、没食子酸、及び没食子酸エステルの使用を教示している。
【0006】
これまでに用いられてきた腐食防止剤は、(a)水洗浄で容易に取り除くことのできない有機化合物であること、(b)相当量の防止剤が必要とされ、溶液の剥離能力に影響を及ぼす可能性があること;(c)キレート性を有する防止剤が金属及びその他のコンポーネントの表面に付着し、性能に干渉する可能性があること;及び(d)成分の毒性と生分解性の欠如とが溶液への暴露を望ましくないものとし、使用済み剥離溶液の処分をより困難とすること、などを含む多くの欠点を一般的に有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,276,372号
【特許文献2】米国特許第6,221,818号
【特許文献3】米国特許第6,187,730号
【特許文献4】米国特許第6,156,661号
【特許文献5】米国特許第5,981,454号
【特許文献6】米国特許第6,140,287号
【特許文献7】米国特許第6,000,411号
【特許文献8】米国特許第6,110,881号
【特許文献9】米国特許第5,902,780号
【特許文献10】米国特許第5,672,577号
【特許文献11】米国特許第5,482,566号
【特許文献12】米国特許第5,997,658号
【特許文献13】米国特許第5,928,430号
【特許文献14】米国特許第5,419,779号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
求められているものは、レジスト残渣及びエッチング後残渣を取り除くための剥離溶液であって、(a)半導体デバイスの製作において用いられる銅及びその他の金属、ならびにそれらの合金を含む、金属及びその合金の溶解を非常に低いレベルに防止可能であり、(b)剥離溶液と適合性があり、その働きに干渉せず、(c)残渣を残すことなく、水及び/又は水溶性アルコールを用いて半導体デバイスから容易に洗浄可能であり、そして(d)低い毒性を有し、使用済み剥離溶液の生分解性に負の影響を与えない成分を含有する剥離溶液である。この開示は、これらの要求に取り組み、そして解決する。
【発明を解決するための手段】
【0009】
本発明の一般的な目的は、レジスト、レジスト残渣、及びエッチング後残渣を例えば銅などの金属成分を含有する基板から取り除くための組成物を提供することであり、かかる組成物は、金属エッチレートの低下を示す。この組成物は、剥離溶液と、レゾルシノール又はレゾルシノール誘導体とのいずれかを含み、この組成物は0よりも大きく且つ1以下の値の金属保存係数(MCF(metal conservation factor))を有する。ここで、MCFは、
MCF = (a−b)/a
と定義され、式中、「a」はレゾルシノール又はレゾルシノール誘導体を含有しない剥離溶液で決定されたエッチレートであり、「b」は例えばレゾルシノール誘導体などのエッチング防止剤を含有する同一の剥離溶液で決定されたエッチレートである。本明細書中で用いられる用語「金属」は、例えば銅などの金属、及び/又は例えばTiWなどの金属合金のことを指しうる。レゾルシノール誘導体としては、芳香族環の位置、又は一つもしくは両方のヒドロキシル基に付加された一つ以上の追加の部分を有するか又は有しない1,3−ジヒドロキシベンゼンが挙げられる。用語「レゾルシノール」又は「レゾルシノール類」は、レゾルシノール自体、及び/又はその誘導体を指すために用いるものとする。好ましいレゾルシノール類は、提供された剥離溶液中に可溶であり、剥離溶液のpHに依存して、プロトン化した形態、塩の形態、又はそれらの組み合わせとして存在することができる。レゾルシノール自体は、これまでの試験に基づけば好ましいものであり、アミン、第4級水酸化アミン、及び溶媒の様々な組み合わせに基づく剥離溶液の範囲を利用する銅のエッチレートを低下させるのに効果的であることが分かっている。本明細書中において用いる用語「レジスト」は、フォトレジストもしくはレジスト、レジスト残渣、エッチング後残渣、又はその組み合わせを指す。
【0010】
これまでに得られた結果に基づくと、0よりも大きく約1までの範囲の金属保存係数(MCF)によって明らかとなるように、エッチレートの低下は、商業的な剥離製剤の範囲を含む様々な剥離溶液に、銅塩の添加とともに、又は銅塩の添加無しでレゾルシノール類を添加することで一般的に観察される。レゾルシノール類の添加によって特に利益を受ける剥離溶液を含む組成物としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、第4級水酸化アンモニウム(塩基)、及びアルカノールアミンを、グリコールエーテルなどの二次溶媒とともに、又は二次溶媒無しで含む組成物が挙げられる。
【0011】
本開示の別の目的は、フォトレジスト又はエッチング残渣(レジスト残渣)を金属銅などの金属を含有する基板から取り除くための組成物を提供することであり、該組成物は剥離溶液、レゾルシノール類、銅塩、及び任意成分としてアミンを含み、該組成物は銅塩を含有しない該剥離溶液よりも低いエッチレートを提供する。剥離溶液に混合するために適したアミンは、モノマーアミン及び/又はポリマーアミンであっても良い。レゾルシノール類/銅塩/アミンの組み合わせは、銅塩を剥離溶液中に十分な可溶性を有するように提供し得なかった場合に特に適している。もし剥離溶液中における可溶性が限られた金属塩と組み合わせて利用する場合には、モノマーアミン又はポリマーアミンの添加によってその塩の可溶性を高めることができる。+1及び+2価を有する銅塩は、レゾルシノール類と組み合わせて利用することができる。かかる価数を有する銅塩の例としては、CuCl及びCu(NOが挙げられる。各々100gの溶液に対して約0.001gの銅塩〜各々100gの銅塩に対して約0.1gの銅塩の範囲のレベルの銅塩をレゾルシノール類と組み合わせることが一般的に好ましい。100gの溶液に対して約0.005gの銅塩〜100gの銅塩に対して約0.075gの銅塩の範囲のレベルの銅塩がより適している。100gの溶液に対して約0.025gの銅塩のレベルが最も適している。
【0012】
本開示の別の目的は、フォトレジスト及び/又はエッチング残渣(レジスト残渣)を金属銅などの金属又はTiWなどの金属合金を含有する基板から取り除くための方法を提供することである。この方法は、レジスト残渣及び金属をその上に有する基板を提供する工程、及び基板を剥離溶液及びレゾルシノール類を含む組成物と接触させる工程を含む。特に適した剥離溶液/レゾルシノール類は、レジスト/エッチング残渣の除去を達成するために、0より大きく1以下のMCFの値を有する。基板と組成物との接触にはレゾルシノール類を含む組成物を伴う。上述のように、好ましい剥離溶液は、可溶性の要求に応じて、アミンの添加とともに、又はアミン無しで銅塩を更に含有することができる。
【0013】
接触工程において用いられる特に好ましい剥離溶液としては、ジメチルスルホキシド、第4級水酸化アンモニウム、アルカノールアミンを二次溶媒とともに、又は二次溶媒無しで含む溶液が挙げられる。
【0014】
接触工程は、典型的には剥離溶液中への基板の浸漬、又はスプレイツールを用いて剥離溶液を基板上にスプレイすることを伴う。接触工程に続く更なる工程は、基板を剥離溶液との接触から取り除く追加の工程、及び/又は基板を適切な溶媒で洗浄する追加の工程を伴うことができる。接触工程の間、好ましくは剥離溶液を少なくとも約50℃の温度、より好ましくは約50℃〜約85℃の範囲の温度に維持する。
【0015】
本開示の別の目的は、上述の方法に従って金属成分を有する基板からレジスト残渣を取り除いて損傷のない金属のレベルが増加した相互接続構造を創生することによって一部調製される、電気的相互接続構造を提供することである。図2は、バリアー層4によって分離された二つの誘電体層5及び6の内部でビア3を通じて相互接続されたトレンチ1及び2を有する典型的な電気的相互接続構造を説明している。トレンチ1及び2、ならびにビア3は、典型的には銅などの金属で満たされている。
【0016】
本開示の別の目的は、金属エッチングの低下した上述の方法に従って金属成分を含有するウエハを処理してレジスト残渣を取り除くことによって部分的に得られる集積回路デバイスを提供することである。図3は、2によって表されたチップルーターを通して相互接続された1によって表された複数のコンピューターチップを有する典型的な集積回路デバイスを説明している。
【0017】
本開示のなお更なる目的は、容器を提供し;剥離溶液の成分を提供し;レゾルシノール類を提供し;そしてその成分及びレゾルシノール類を容器に添加して容器内に内容物を提供することによって、金属エッチレートの低下を提供する剥離溶液を調製するための方法を提供することである。成分の提供は、個々の成分、様々な成分を含有する組成物、又はそれらの組み合わせを提供することを含むことができる。更に、剥離溶液の成分の添加は、個々の成分、予め混合された成分、及び/又は実質的に如何なる順番でも提供された成分を含有する形成された剥離溶液を添加することを含むことができる。容器としては、剥離溶液を保持可能な実質的に任意の容器を挙げることができ、液体製品を船上搬送し、又は搬送するために用いられる典型的な容器、ならびに/又はフォトレジスト及び/もしくはエッチング残渣を取り除くための基板の処理に用いるための剥離溶液を含有するために用いられる設備が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、剥離溶液のレゾルシノール含有量と、該溶液を露出された銅金属を有する基板に暴露した場合に生ずる銅エッチレートとの間の関係を示すグラフである。
【図2】図2は、電気的相互接続構造の説明図である。
【図3】図3は、複数の電気的相互接続構造を含有する電子デバイスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の理解を高める目的のために、説明された実施態様を参照し、特別な用語を用いてこの実施態様を記載する。それでも、これによって特許請求されている範囲を限定することを意図していないことが理解されるであろうし、そこに示されたような変更及び更なる修正、ならびにその中に説明されたそれらの原理の更なる応用が、本開示に関連する分野の当業者には通常思い浮かぶであろうと考えられる。
【0020】
本開示による組成物は、銅塩とともに、又は銅塩無しで、及びアミンの添加とともに、又はアミン無しで、レゾルシノール及び/又はレゾルシノール誘導体(レゾルシノール類)を含有する剥離溶液を含む。かかる組成物は、0より大きく1以下の金属保存係数(MCF)を有し、その組成物と接触状態にある基板を含む金属又は合金からの、金属銅などの金属又はTiWなどの合金のエッチレートの低下を示す。特に適した剥離溶液としては、ジメチルスルホキシド、第4級水酸化アンモニウム、アルカノールアミンを、例えばグリコールエーテルなどの二次溶媒とともに、又は二次溶媒無しで含む剥離溶液が挙げられる。好ましいアルカノールアミンは、少なくとも二つの炭素原子、少なくとも一つのアミノ置換基、及びアミノ基を有する少なくとも一つのヒドロキシル置換基、ならびに異なった炭素原子に付加したヒドロキシル置換基を有する。好ましい第4級水酸化アンモニウムは、テトラメチル水酸化アンモニウムである。実施例1からのデータに基づく図1は、ジメチルスルホキシド、モノエタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム、3−メチル−3−メトキシブタノール、及び少量の水を含有する剥離溶液と、濃度の異なるレゾルシノールが金属銅のエッチレートに与える影響を説明している。銅と接触する剥離溶液に関しては、剥離溶液中に含まれるレゾルシノール類のレベルは約5重量%までの範囲であっても良いが、より一般的には約0.02重量%〜約1重量%の範囲である。レゾルシノール類の好ましいレベルは、約0.1重量%〜約0.25重量%の範囲である。アルミニウムと接触する剥離溶液に関しては、より高いレベルのレゾルシノール、典型的には約7重量%までの範囲のレゾルシノールを有利に利用することができる。
【0021】
実施例2において、銅金属含有物を有する基板を、添加された量のレゾルシノールとともに、又はレゾルシノール無しで様々な剥離溶液と接触させた。その基板を試験し、銅エッチレートを決定した。銅エッチレートの実質的な低下はレゾルシノールが0.25重量%の剥離溶液に添加した際に得られ、この溶液は0.25〜0.88の範囲の金属保存係数(MCF)を提供した。実施例2の結果を以下の表IIに表す。
【0022】
実施例3において、様々なレゾルシノール誘導体が添加された幅広い範囲の剥離溶液に関して、銅エッチレート及び金属保存係数を決定した。得られた結果及び表IIIに示す結果は、レゾルシノールを剥離溶液に添加して得られた結果と同様であった。
【0023】
実施例4において、銅のエッチングを低下させるために剥離溶液に目下のところ添加されている添加剤であるカテコール、及びレゾルシノールを含有する剥離溶液に関して、銅エッチレートを決定した。0.5重量%のレゾルシノールを含有する剥離溶液は、7重量%のカテコールを含有する同じ剥離溶液より10倍以上低い銅エッチレートを提供した。カテコールのわずかに約1/10のレゾルシノールの添加による銅エッチレートのこの一桁の低下は予期せぬものであり、驚きであった。実施例4の結果を以下の表IVに示す。
【0024】
実施例5において、TiW合金を含有する基板を、添加された量(0.5重量%)のレゾルシノールとともに、又はレゾルシノール無しで様々な剥離溶液にさらした。上述の実施例のように、レゾルシノールの添加とともに、又はレゾルシノール無しで各々の剥離溶液に関して金属エッチレートを決定した。試験した剥離溶液の大部分に関して、レゾルシノールの添加に伴うエッチレートの低下が実証されている。
【0025】
実施例6は、金属エッチレートを低下させるためにレゾルシノールを適切な充填を決定することの重要性を説明している。実施例6において、アルミニウムを含有する基板を35%のヒドロキシルアミン、0〜10%のレゾルシノール、ならびに残分のジグリコールアミン組成物を含有する剥離溶液にさらした。結果を表VIに示す。レゾルシノールが約3〜約7%の範囲のレゾルシノール濃度で、剥離溶液はエッチレートの低下を示した。予期せず、驚くべきことに、金属エッチレートはレゾルシノールの濃度に非常に依存した。
【0026】
これまでに実施された研究は、レゾルシノール類を含有する様々な剥離溶液が、これらの溶液と接触した半導体の基板に関して金属エッチレートの実質的な低下を提供することを示唆している。剥離溶液中の適切なレベルのレゾルシノールの包含は、銅などの金属及びTiWなどの合金のエッチレートを比較的低い濃度で低下させることができる。例えばアルミニウムなどのその他の金属と接触する剥離溶液に関しては、有益な効果を達成するためにより高いレベルのレゾルシノールが必要とされる。このレゾルシノールと剥離溶液の組み合わせは、銅、コバルトなどの塩といった金属塩の添加により更に有益となりうる。金属塩の可溶性はレゾルシノールの包含によって促進される可能性があるけれども、金属塩が十分に可溶でないレゾルシノール/剥離溶液に関しては、アミンの添加が塩の可溶性と金属/アミン塩の組み合わせを提供する。この組み合わせは、有益な金属エッチレートの低下を同様に提供している。レゾルシノール単体、又はアミンの添加とともに、もしくはアミン無しでの金属塩との組み合わせにおけるレゾルシノールは、剥離溶液の範囲と互換性がある。レゾルシノール類は剥離溶液の動きに干渉せず、水又はアルコールを用いて半導体デバイス又はコンポーネントから容易に洗浄でき、そしてデバイスの作用に干渉しうる残渣を残さないことができる。最後に、レゾルシノール、レゾルシノール/金属塩の組み合わせ、及びレゾルシノール/金属塩/アミンの組み合わせを、溶液の毒性を増加させずに、又は使用済み剥離溶液の生分解性に負の影響を与えずに、非常に低い濃度で利用することができる。
【0027】
特定の実施態様を参照して出願人の開示を提供したが、発明の精神及び範囲を逸脱することなく、開示された実施態様において当業者が修正及び変更をなしうることが理解されるだろう。全てのかかる修正及び変更をカバーするものと意図している。
【実施例】
【0028】
実施例1−レゾルシノール濃度の関数としてのエッチレート
エッチレートの調査のために、以下の配合を有する剥離溶液Aを調製した:剥離溶液A−85.7%のジメチルスルホキシド、6.0%のジエチレングリコールメチルエーテル、2.7%のテトラメチル水酸化アンモニウム、2.7%のアミノエチルエタノールアミン、2.8%の水、及び0.1のZonyl(登録商標)FSO。0.13%、0.25%、0.5%、及び1%の剥離溶液中のレゾルシノールの濃度を提供するのに十分な溶液中のレゾルシノールとなるように剥離溶液Aの一部にレゾルシノールを添加した。レゾルシノールの添加されていない対照溶液を以下のエッチレートの調査に使用した。
【0029】
プラズマ気相堆積させた銅薄膜で覆われた商業的に供給されるシリコンウエハを、調査のためにおよそ2cm×2cmのテストサンプルに分割した。各片の銅の膜厚を4探針を用いて3度測定し、初期の銅膜厚として平均の膜厚を計算した。テストされた各々の溶液に関して、3つのテストサンプルを剥離溶液に30分間浸漬し、洗浄し、そして銅膜厚を測定し、これを各々のテストサンプルに関して繰り返した。各々のテストサンプルに関する平均の銅膜厚を、結果物の銅膜厚と判断した。銅膜厚の損失を、初期の膜厚から結果物の銅膜厚を引き算することにより決定した。30分間で観測された銅膜厚の損失(オングストロームで)を30で割ることにより、オングストローム/分の単位でのエッチレートを与えた。表Iは、異なるレベルのレゾルシノールを含有する剥離溶液Aに関して決定されたエッチレートをまとめたものである。図1は、これらの結果をグラフにより説明している。この実施例におけるように、レゾルシノールを剥離溶液Aに直接添加することもできるし、残りの成分を添加するより先に剥離溶液の適合成分に溶解することもできる。
【0030】
【表1】

【0031】
実施例2−レゾルシノールの添加された、及び添加されていない様々な剥離溶液の配合における銅ウエハに関する銅エッチレート
以下の表IIに提供される様々な剥離溶液の配合を、実施例1に記載したように、実施例1に記載された種類のテストストリップと接触させた。レゾルシノールの添加とともに、及びレゾルシノール無しで各々の配合をテストし、銅エッチレートを決定した。配合1〜5が含有する添加されたレゾルシノールは、0.25重量%であった。テストした全ての銅ウエハは、Silicon Valley Microelectronics, Inc.から購入した。様々な剥離溶液の水分含有量を、適用可能な場合には、溶液の乾燥係数(dryness coefficient(DC))としてこの実施例において示す。乾燥係数は式
DC=(塩基の質量/テストした溶液の質量)/(水の質量/テストされた溶液の質量)
によって定義される。
【0032】
【表2】

【0033】
実施例3−レゾルシノールの誘導体の添加された、及び添加されていない様々な剥離溶液における銅ウエハに関する銅エッチレート
以下の表IIIに提供される様々な剥離溶液の配合を、実施例1に記載したように、実施例1に記載された種類のテストストリップと接触させた。レゾルシノール誘導体の添加とともに、又は誘導体無しで各々の配合をテストし、銅エッチレートを決定した。添加されたレゾルシノール誘導体を含有する配合は、0.5重量%の添加剤を含有していた。この実施例において用いた銅ウエハは、実施例2において利用された市販のウエハと一般的に相互に交換可能であると決定された非商業的な供給源から入手した。
【0034】
【表3】

【0035】
実施例4−一般的な腐食防止剤であるカテコールを有する剥離溶液の配合、及び次いでレゾルシノールの添加に変更した配合における銅ウエハに関する銅エッチレート
以下の表IVに提供される剥離溶液の配合を、実施例1に記載したように、実施例1に記載された種類のテストストリップと接触させた。配合1は、既知の腐食防止剤であるカテコールを含有する。配合2は、そのカテコールをより低い濃度のレゾルシノールに変更した。そして、両方の配合に関して銅エッチレートを決定した。
【0036】
【表4】

【0037】
実施例5−レゾルシノールの添加された、及び添加されていない様々な剥離溶液の配合におけるTiWウエハに関するチタン・タングステン(TiW)エッチレート
以下の表Vにおいて提供される様々な剥離溶液の配合を、テストストリップに接触させた。テストストリップはプラズマ気相堆積させたTiW薄膜で覆われた市販のシリコンウエハから劈開し、およそ2cm×2cmの寸法であった。各片のTiWの膜厚を4探針を用いて3度測定し、初期のTiW膜厚として平均の膜厚を計算した。テストされた各々の溶液に関して、3つのテストサンプルを剥離溶液に30分間浸漬し、洗浄し、そしてTiW膜厚を測定し、これを各々のテストサンプルに関して繰り返した。各々のテストサンプルに関する平均のTiW膜厚を、結果物のTiW膜厚と判断した。TiW膜厚の損失を、初期の膜厚から結果物のTiW膜厚を引き算することにより決定した。30分間で観測されたTiW膜厚の損失(オングストロームで)を30で割ることにより、オングストローム/分の単位でのエッチレートを与えた。レゾルシノールとともに、又はレゾルシノール無しで各々の配合をテストし、TiWエッチレートを決定した。全ての配合は、0.5重量%で添加されたレゾルシノールを含有していた。
【0038】
【表5】

【0039】
実施例6−レゾルシノールの添加された、及び添加されていない特定の剥離溶液の配合におけるアルミニウムウエハに関するアルミニウムエッチレート
上述の方法を利用して、0重量%〜10重量%の範囲の量でレゾルシノールを含有する剥離製剤にさらした場合の、アルミニウムを含有する基板に関するエッチレートを決定した。得られたエッチレート及び金属保存係数を、以下の表VIに提供する。結果は、一定の金属にさらした選択された剥離製剤に関して、レゾルシノール濃度が重要であることを説明している。
【0040】
【表6】

【0041】
特定の実施態様を参照して出願人の発明を上に詳細に記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された実施態様において、当業者によって修正及び変更が可能であることが理解されよう。全てのかかる修正及び変更がカバーされることを意図している。加えて、本明細書中に引用された全ての刊行物は、当業者のレベルを示唆するものであり、あたかも各々の刊行物を参照により別々に援用して、完全に説明したかのように、その全体を本明細書中に参照により援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)レジスト及び金属をその上に有する基板を準備し;そして
(b)前記基板を剥離溶液及びレゾルシノール類を含む組成物と接触させる
工程を含む、基板からレジストを取り除くための方法。
【請求項2】
前記接触は、前記基板をレゾルシノールを含む組成物と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触は、前記基板を0よりも大きく且つ1以下の値を有する金属保存係数(MCF)を有する組成物と接触させることを含み、前記MCFは
MCF=(a−b)/a
として定義され、式中、「a」は前記レゾルシノール類を含有しない前記剥離溶液で決定されたエッチレートであり、「b」は前記レゾルシノール類を含有する前記剥離溶液で決定されたエッチレートである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接触は、前記基板を約0.02重量%〜約1重量%のレゾルシノール類を含む組成物と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接触は、前記基板を、ジメチルスルホキシド(DMSO)、第4級水酸化アンモニウム、及びアルカノールアミンを含む組成物と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接触は、前記基板を、二次溶媒を更に含む組成物と接触させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基板の準備は、前記レジストがフォトレジストである基板を準備することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属が銅である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記金属がTiWである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基板の準備は、前記レジストがエッチング後残渣である基板を準備することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法によって部分的に得られる、集積回路デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の方法によって部分的に得られる、電気的相互接続構造。
【請求項13】
金属を含有する基板からレジスト残渣を取り除くための、剥離溶液及びレゾルシノール類を含む組成物。
【請求項14】
レゾルシノール又は1,3−ジヒドロキシベンゼンを含有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物は、約0.02重量%〜約1重量%の前記レゾルシノール又は1,3−ジヒドロキシベンゼンを含有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
0よりも大きく且つ1以下の範囲の金属保存係数(MCF)を有する請求項13に記載の組成物であって、前記MCFは
MCF=(a−b)/a
として定義され、式中、「a」は前記レゾルシノール類を含有しない前記剥離溶液で決定されたエッチレートであり、「b」は前記レゾルシノール類を含有する前記剥離溶液で決定されたエッチレートである、前記組成物。
【請求項17】
前記組成物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、第4級水酸化アンモニウム、及びアルカノールアミンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物は、二次溶媒を更に含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
(a)容器を準備し;
(b)剥離溶液の配合物の成分を準備し;
(c)レゾルシノール類を準備し;そして
(d)前記剥離溶液の成分及び前記レゾルシノール類を前記容器に添加して、その内容物を調製する;
工程を含む、低下した銅エッチレートを提供する剥離溶液を調製するための方法。
【請求項20】
前記添加は、レゾルシノール、又は1,3−ジヒドロキシベンゼンを前記容器に添加することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記レゾルシノール類の準備は、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシメチルベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、及び2−カルボキシ−1,3−ジヒドロキシベンゼンからなる群から成分を準備することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記レゾルシノール類の前記添加は、十分なレゾルシノールを添加して約0.02重量%〜約1重量%の前記レゾルシノールを前記内容物中に準備することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記剥離溶液の前記成分の準備は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、第4級水酸化アンモニウム、及びアルカノールアミンを準備することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記剥離溶液の前記成分の準備は、二次溶媒を更に準備することを含む、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−8042(P2013−8042A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−182316(P2012−182316)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【分割の表示】特願2010−521124(P2010−521124)の分割
【原出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(511265327)ダイナロイ・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】