説明

レベル・センサの光経路中の外乱を補正する方法

【課題】改善した位置測定補正を行って基板の高さを求めるレベル・センサを提供すること。
【解決手段】レベル・センサは、1つ又は複数の測定ビームを生成し、測定ビームを基板上の測定スポットに向け、反射測定ビームを生成する。レベル・センサはまた、1つ又は複数の基準ビームも生成する。検出器は、反射測定ビームと基準ビームの両方をそれぞれ検出し、測定スポットでの高さを示す測定信号と、基準信号をそれぞれ生成する。プロセッサが、これらの信号を受け取り、基準信号に基づいて測定信号を補正する。レベル・センサは、基板を配置すべき場所に近い所定のエリアに光学的構成を有する。測定ビームと基準ビームは、所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路に沿って伝播する。光学的構成は、少なくとも1つの基準ビームが基板に当たらないように、所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路から基準ビームを偏向させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリソグラフィ装置に関し、より詳細にはレベル・センサに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、内容全体を参照により本明細書に援用する、2005年6月3日出願の米国仮出願第60/686965号と、2005年10月18日出願の米国11/252254号の優先権を主張するものである。
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板の対象部分に当てる機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造で使用することができる。その場合、マスクやレチクルとも呼ばれるパターン形成装置を使用して、ICの個々の層上に回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコン・ウェハ)上の(例えば1つ又はいくつかのダイの含む)対象部分上に転写することができる。パターンの転写は、通常基板上に設けられた放射線感応材料(レジスト)の層への結像を介して行われる。一般には、単一の基板は、次々にパターン形成される隣接する各対象部分のネットワークを含むことになる。既知のリソグラフィ装置には、パターン全体を対象部分に一度に照射することによって各対象部分を照射するいわゆるステッパ、及び所与の方向(「走査」方向)に放射線ビームを介してパターンを走査すると同時に、基板をこの方向に平行又は逆平行に走査することによって各対象部分を照射するいわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることによってパターン形成装置から基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
リソグラフィでは、基板の高さを測定するのにレベル・センサ(LS)が使用される。基板の高さは、基板上の複数の位置で測定される。このことは、複数のLSスポット(「測定スポット」)を並列に使用することによって行われる。レベル・センサ中の雑音及びドリフトは、測定された位置の精度及び再現性を低下させる。この雑音及びドリフトは、LSシステムの機械部品及び光学部品の移動、LSシステムの電気部品のドリフト及び雑音、並びにLSシステムの光ビームが通過する媒体(例えば空気、ガラス)の(光学的)屈折率の変化によって引き起こされる可能性がある。すべてのLSスポットが、こうした効果の影響を受ける可能性があり、基準面上で測定されるスポットもそうである。基板の高さ変化で導入される信号から雑音及びドリフトを分離するために、雑音及びドリフトが、基準ビームを使用して、高さ測定とは別個に測定される。基準ビームからの信号が、基板上で測定される測定スポットから引かれ、外乱が補正される。これにより、雑音とドリフトのない位置測定が得られる。
【0005】
しかし、測定ビームでの外乱と同一ではない基準ビームでの外乱が存在する可能性がある。測定ビームの外乱に対する基準ビームの外乱の差の理由は、以下のものである可能性がある。
外乱の時間遅延。外乱はすべてのLSスポットで同じ時間に確認されるわけではない(LSスポット間の位相差)。
外乱の位置。LSスポットの焦点での空気中の非常に局所的な外乱は、わずかなLSスポットでしか確認されない可能性がある。
LS中の機械構成部品の移動又は変形は、異なるLSスポットに対して異なる効果を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レベル・センサに関する既知の補正方法を改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板の高さを求めるレベル・センサであって、
少なくとも1つの反射測定ビームを生成するために、少なくとも1つの測定ビームを生成し、その少なくとも1つの測定ビームを基板上の測定スポットに向け、
少なくとも1つの基準ビームを生成し、
少なくとも1つの反射測定ビームと、少なくとも1つの基準ビームの両方をそれぞれ検出し、測定スポットでの高さを示す少なくとも1つの測定信号と、少なくとも1つの基準信号の両方をそれぞれ生成し、
基準信号に基づいて測定信号を補正するように構成され、
基板を配置すべき場所に近い所定のエリアに配置された光学的構成を備え、所定のエリア内のほぼ等しいが異なる伝播光路に沿って少なくとも1つの測定ビーム及び少なくとも1つの基準ビームを投射するように配置され、光学的構成が、少なくとも1つの基準ビームが基板に当たらないように、所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路から少なくとも1つの基準ビームを偏向させるように構成される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、そのようなレベル・センサを備える結像(イメージ)装置が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、そのような結像装置を備えるリソグラフィ投射装置が提供される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、基板の高さを求める方法であって、
少なくとも1つの反射測定ビームを生成するために、少なくとも1つの測定ビームを生成し、その少なくとも1つの測定ビームを基板上の測定スポットに向けること、
少なくとも1つの基準ビームを生成すること、
少なくとも1つの反射測定ビームと、少なくとも1つの基準ビームの両方をそれぞれ検出し、測定スポットでの高さを示す少なくとも1つの測定信号と、少なくとも1つの基準信号の両方をそれぞれ生成すること、
基準信号に基づいて測定信号を補正すること、
基板を配置すべき場所に近い所定のエリアに光学的構成を配置すること、所定のエリアから離れたほぼ等しいが異なる伝播光路に沿って少なくとも1つの測定ビーム及び少なくとも1つの基準ビームを伝播させること、少なくとも1つの基準ビームが基板に当たらないように、光学的構成によって所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路から少なくとも1つの基準ビームを偏向させることを含む方法が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、基板の高さを求めるレベル・センサであって、
少なくとも1つの反射測定ビームを生成するために、少なくとも1つの基準ビームを生成し、少なくとも1つの測定ビームを生成し、少なくとも1つの測定ビームを基板上の測定スポットに向ける少なくとも1つの放射源と、
少なくとも1つの反射測定ビームと、少なくとも1つの基準ビームの両方をそれぞれ検出し、測定スポットでの高さを示す少なくとも1つの測定信号と、少なくとも1つの基準信号の両方をそれぞれ生成する少なくとも1つの検出器と、
少なくとも1つの測定信号及び少なくとも1つの基準信号を受け取り、基準信号に基づいて測定信号を補正するプロセッサとを備え、
基板を配置すべき場所に近い所定のエリアに配置された光学的構成を備え、所定のエリア内のほぼ等しいが異なる伝播光路に沿って少なくとも1つの測定ビーム及び少なくとも1つの基準ビームを向けるように配置され、光学的構成が、少なくとも1つの基準ビームが基板に当たらないように、所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路から少なくとも1つの基準ビームを偏向させるように構成されるレベル・センサが提供される。
【0012】
本発明の一態様によれば、
投射レンズ系と、所定の平面内の測定位置に測定ビームを向け、基準位置に基準ビームを向けるように配置された投射ブランチ(部分)と、測定ビーム及び基準ビームの横方向変位を測定するように配置された検出ブランチと、所定の平面内の第1反射面を有する物体を支持する基板ステージと、投射レンズ系及び第1反射面の位置の影響を受けないように配置された光基準経路を介して基準ビームをレベル・センサ検出ブランチに向けるように配置された光基準素子とを備え、投射ブランチ及び基準ブランチの少なくとも1つが、投射ブランチ及び基準ブランチの少なくとも1つで少なくとも部分的にほぼ等しい光路に沿って測定ビーム及び基準ビームを向けるように構成されるリソグラフィ装置であって、光基準素子が、投射ブランチと所定の平面の間に配置されることを特徴とするリソグラフィ装置が提供される。
【0013】
測定ビームと基準ビームがほぼ等しい場合、関連する横方向変位を受ける。したがって、基準ビームを使用して測定ビームを補正することができる。光基準素子が投射ブランチと所定の平面の間に配置され、投射ブランチ又は基準ブランチ内に配置されないので、測定ビーム及び基準ビームを、測定ブランチ、投射ブランチ、又はその両方全体にわたってほぼ等しくすることができ、その場合、測定ブランチ、投射ブランチ、又はその両方全体にわたる、関連する横方向変位を、基準ビームを使用することによって補正することができる。測定ビームと基準ビームが投射ブランチ、基準ブランチ、又はその両方の一部だけでほぼ等しい場合に、必要な変更を加えて同じことが当てはまる。
【0014】
本発明の一実施例では、投射ブランチ及び検出ブランチの少なくとも1つが、少なくとも部分的にほぼ平行である光路に沿って測定ビーム及び基準ビームを向けるように配置される。
【0015】
定義により、光ビームは媒体中を進む。測定ビームと基準ビームが投射ブランチ内で平行である場合、投射ブランチの光学素子間の媒体の屈折率における勾配と測定ビームの間の角度は、勾配と基準ビームの間の角度に等しい。これは、投射ブランチの光軸に沿った勾配の位置に依存しない。したがって、測定ビーム及び基準ビームの横方向変位は、勾配によって引き起こされる範囲では等しい。したがって、基準信号を引くことにより、勾配について測定信号を正確に補正することができる。測定ブランチ又は測定ブランチと基準ブランチの両方、或いは部分的に平行であるのではなく、測定ビームと基準ビームが検出ブランチ内で平行である場合に、必要な変更を加えて同じことが当てはまる。
【0016】
本発明の一実施例では、投射ブランチ及び検出ブランチの少なくとも1つが、少なくとも部分的に重なる光路に沿って測定ビーム及び基準ビームを向けるように配置される。
【0017】
測定ビームと基準ビームが重なる場合、両者は、屈折率の勾配などの同じ雑音の影響を受ける。同じ効果が、測定ビーム及び基準ビームに存在し、基準ビームを使用して測定ビームを補正することができる。
【0018】
本発明の一実施例では、測定面内の光測定経路を有し、光測定経路は、測定ビームがそれに沿って進む、測定ブランチから検出ブランチまでの経路である、本発明によるリソグラフィ装置は、光測定経路及び光基準経路の少なくとも1つの少なくとも一部の屈折率の測定面に沿った勾配を、所定の値に設定するように配置された制御手段を特徴とする。
【0019】
このことは、屈折率の勾配が光基準経路の一部に沿ってあらかじめ決定される場合、基準ビームは所定の変位を受けることになるので有利である。次いでこの変位を補償することができる。光測定経路に沿った所定の値の勾配について、必要な変更を加えて同じことが当てはまる。
【0020】
本発明の一実施例では、本発明によるリソグラフィ装置は、
光基準素子が、投射ブランチから基準ビームを受けるように配置された入力面と、入力面からの基準ビームを内反射するように配置された第2反射面と、前記反射ビームを出力するように配置された出力面とを有するプリズムを備えることを特徴とする。
【0021】
このことは、ガラス中の媒体の流れが存在しないために屈折率がプリズム内部で非常に安定しており、その結果基準ビームの位置に対するプリズムの効果が安定するので有利である。
【0022】
本発明の一実施例では、本発明によるリソグラフィ装置は、
測定ビームと基準ビームが、投射ブランチと基準ブランチの両方で平行であること、
測定位置及び基準位置が、投射ブランチ及び基準ブランチの焦点にあること、及び
基準ビームが第2反射面によって第1位置で反射された後、基準位置で基準ビームを第2反射面上の第2位置に反射するように配置された第3反射面を特徴とする。
【0023】
投射ブランチと検出ブランチとの間の対称性は、収差を克服するのに有利である。対称性により、測定ビームと基準ビームは、投射ブランチと検出ブランチの両方で平行であり、測定位置及び基準位置は、投射ブランチと基準ブランチの両方の焦点にある。
【0024】
投射ブランチと基準ブランチの両方の焦点の測定位置を有することにより、検出ブランチで小さいスポットを検出することができる。測定位置での小さいスポットは、対応する測定信号が第1反射面上のほんの小さいエリアの高さ情報を含むことを意味する。
【0025】
対称性と、光基準素子(即ちプリズム)が存在しないために、基準位置は投射ブランチに関しても集束する。しかし、プリズム中では、屈折率が基準ビームがプリズムがない場合に受ける屈折率とは異なる。したがって、基準位置は、プリズムがない場合よりもさらに光基準経路に沿って形成される可能性がある。そのような位置では、基準位置は、検出ブランチの焦点から外れる。基準ビームを第3反射面に反射し、第2反射面に戻すことにより、投射ブランチから基準スポットまでの光基準経路長を、基準スポットから検出ブランチまでの光基準経路長とは別個に設定することができる。
【0026】
本発明の一実施例では、本発明によるリソグラフィ装置は、
第1位置が第2反射面の第1下面上にあり、第2位置が第2反射面の第2下面上にあり、第1下面と第2下面が角度をなすように配置されることを特徴とする。
【0027】
第1下面及び第2下面を角度をなすように配置することにより、投射ブランチ及び検出ブランチに関する光路長に影響を及ぼすことができる。
【0028】
本発明の一実施例では、本発明によるリソグラフィ装置は、
入力面及び出力面の少なくとも1つが、基準ビームの光路に対して垂直であることを特徴とする。
【0029】
光路に対して垂直な表面では、分散が少ない。
【0030】
本発明の一実施例では、本発明によるリソグラフィ装置は、
投射ブランチ、検出ブランチ、及び光基準素子が1つ又は複数の追加の測定ビームに適応するように配置されることを特徴とする。
【0031】
本発明の一実施例では、本発明によるリソグラフィ装置は、
投射ブランチが、1つ又は複数の追加の光基準ビームを1つ又は複数の追加の基準位置に向けるように配置され、
検出ブランチが、1つ又は複数の追加の基準位置の横方向変位を測定するように配置され、
光基準素子が、1つ又は複数の追加の基準ビームを、投射レンズ系及び第1反射面の位置の影響を受けない1つ又は複数の追加の光基準経路を介して検出ブランチに向けるように配置され、
測定ビーム、基準ビーム、及び追加の基準ビームが、投射ブランチ及び基準ブランチの少なくとも1つで少なくとも部分的にほぼ等しいことを特徴とする。
【0032】
この利点は、基準情報が多いと、より良好な基準情報が利用可能であることである。
【0033】
本発明の一態様によれば、レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビームを反射するように配置された反射物体の位置を光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
1つ又は複数の基準測定を実施して、反射物体から離れて配置された第1光基準ビームの位置を求める段階とを含み、
1つ又は複数の物体測定値及び1つ又は複数の基準測定値に基づいて、光測定ビームの位置と第1光基準ビームの位置との間の第1の関係を求める段階と、
第1の関係を使用して、1つ又は複数の基準測定値で1つ又は複数の物体測定値を補正する段階とを特徴とする方法が提供される。
【0034】
本発明によれば、1つ又は複数の物体測定値から1つ又は複数の基準測定値を単に引くことが回避される。その代わりに、1つ又は複数の物体測定値及び1つ又は複数の基準測定値自体が使用されて、それらの間の第1の関係が求められる。第1の関係により、どのように1つ又は複数の基準測定値を使用して1つ又は複数の物体測定値を補正すべきかが確立される。
【0035】
本発明の一実施例では、本発明による方法は、
1つ又は複数の物体測定のうちの第1の測定の後に、1つ又は複数の基準測定の少なくとも一部を実施することを特徴とする。
【0036】
1つ又は複数の物体測定のうちの第1の測定の後に1つ又は複数の基準測定の少なくとも一部を実施することにより、第1の測定の後の基準ビームにのみ影響を及ぼす効果が補正される。
【0037】
本発明の一実施例では、本発明による方法は、
1つ又は複数の物体測定のうちの少なくとも2つを実施する間に反射物体を走査することを特徴とする。
【0038】
本発明によれば、第1の関係を求めるのに必要な情報を得る間に、反射物体上の少なくとも2つの地点の位置が得られる。このことは、測定を完了するのに必要な時間が短いことを意味する。
【0039】
本発明の一実施例では、本発明による方法は、
1つ又は複数の物体測定値及び1つ又は複数の基準測定値に基づいて相関関数を計算することを特徴とする。
【0040】
1つ又は複数の基準測定で測定された効果と、1つ又は複数の物体測定で測定された効果との間の時間遅延が、その時間遅延での相関関数のピークに現れる。したがって、1つ又は複数の物体測定値を補正する間に時間遅延が補償される。
【0041】
本発明の一実施例では、本発明による方法は、
フーリエ領域で相関関数を計算し、1つ又は複数の物体測定値を補正することを特徴とする。
【0042】
フーリエ領域では、時間領域よりも相関関数の計算をずっと高速に実施することができる。したがって、補正をずっと高速に実施することができる。
【0043】
本発明の一実施例では、本発明による方法は、
フーリエ領域の一部のみで1つ又は複数の物体測定値を補正することを特徴とする。
【0044】
本発明の一実施例では、第1の関係を使用して1つ又は複数の基準測定値で補正された1つ又は複数の物体測定値が1つ又は複数の補正後測定値を形成する、本発明による方法は、
1つ又は複数の追加の基準測定を実施して、反射物体から離れて配置された第2光基準ビームの位置を求めること、
1つ又は複数の補正後測定値と1つ又は複数の追加の基準測定値との間の第2の関係を求めること、
第2の関係を使用して、1つ又は複数の追加の測定値で1つ又は複数の補正後測定値を補正することを特徴とする。
【0045】
1つ又は複数の物体測定値の補正を改善するのに、第2光基準ビームが使用される。第2の関係を求めることにより、どのように1つ又は複数の追加の基準測定値を使用して1つ又は複数の補正後測定値を補正すべきかが確立される。
【0046】
本発明の一態様によれば、レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビームを反射するように配置された反射物体の位置を光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
1つ又は複数の基準測定を実施して、反射物体から離れて配置された第1光基準ビームの位置を求める段階と、
1つ又は複数のさらなる追加の測定を実施して、反射物体から離れて配置された第2光基準ビームの位置を求める段階とを含み、
1つ又は複数の基準測定値及び1つ又は複数のさらなる追加の測定値に基づいて、第1光基準ビームの位置と第2光基準ビームの位置との間の第3の関係を求める段階と、
第3の関係を使用して、1つ又は複数の基準測定値及び1つ又は複数のさらなる追加の測定値で1つ又は複数の物体測定値を補正する段階とを特徴とする方法が提供される。
【0047】
2つの基準ビーム中に存在する効果は、測定ビーム中に存在する効果を大いに予示する。第1及び第2基準ビームと測定ビームに共通の効果を示す1つの関係である第3の関係だけが求められる。1つの関係だけを計算することは効率的であり、したがって迅速に実施することができる。
【0048】
本発明の一態様によれば、レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビームを反射するように配置された反射物体の位置を光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
1つ又は複数の基準測定を実施して、反射物体から離れて配置された第1光基準ビームの位置を求める段階とを含み、
1つ又は複数のさらなる追加の測定を実施して、反射物体から離れて配置された第2光基準ビームの位置を求める段階と、
1つ又は複数の基準測定値及び1つ又は複数のさらなる追加の測定値の間を補間することによって補正を求める段階と、
1つ又は複数の物体測定値に補正を加える段階とを特徴とする方法が提供される。
【0049】
補間は高速なプロセスである。これは、補正の決定を迅速に実施できることを意味する。したがって、これは高速な方法である。
【0050】
EP0502583は、光測定ビームを使用してウェハ表面の位置を測定するように配置されたレベル・センサを説明している。レベル・センサ内の光基準ビームが、レベル・センサとリソグラフィ装置の投射レンズ系との間の配置公差を補償するのに使用される。基準ビームが、投射ブランチによって投射レンズ系上の基準板上に投射される。基準板は、基準ビームを検出ブランチに向けて反射し、検出ブランチは、基準ビームの横方向変位を測定する。したがって、基準ビーム経路の光路の位置は、投射レンズ系の実際の位置を示す。第1の複数の測定で投射レンズ系の位置を測定し、第2の複数の測定でウェハ表面の位置を測定することにより、投射レンズ系とウェハ表面との間の実際の距離が求められる。
【0051】
EP0502583は、投射レンズ系及びウェハ表面の位置の影響を受けない光基準経路を介して基準ビームを検出ブランチに向けるように配置される光基準素子を開示していない。
【0052】
EP0502583はまた、空気圧、温度、湿度などの周囲パラメータがリソグラフィ装置の投射レンズ系によって形成された回路パターン像の位置を変化させる可能性があることも説明している。この位置変化を補償するために、調節可能補償板が測定ビーム中に導入される。補償板を回転させることにより、周囲パラメータの変化に対してレベル・センサが調節される。補償板を回転させることにより、調節可能補償板の正面側に対する入射角が、調節可能補償板から離れる測定ビームの背面側の位置が変化するように変化する。
【0053】
EP0502583は、測定ビーム位置の1つ又は複数の測定値と、基準ビーム位置の1つ又は複数の測定値とに基づいて、光測定ビームの位置と光基準ビームの位置との間の関係を求め、その関係を用いて測定ビーム位置の1つ又は複数の測定値を補正することを開示していない。
【0054】
次に、添付の略図を参照しながら、単に例示によって本発明の実施例を説明する。添付の略図では、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【実施例】
【0055】
図1に、本発明の一実施例によるリソグラフィ装置の略図を示す。この装置は、
放射ビームB(例えばUV放射又はEUV放射)を調整するように構成された照明系(イルミネータ)ILと、
パターン形成装置(例えばマスク)MAを支持するように構成され、一定のパラメータに従ってパターン形成装置を正確に位置決めする第1ポジショナ(位置決め装置)PMに接続された支持構造(例えばマスク・テーブル)MTと、
基板(例えばレジスト被覆基板)Wを保持するように構成され、一定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば基板テーブル)WTaと、
パターン形成装置MAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ又は複数のダイを含む)対象部分C上に投射するように構成された投射系(例えば屈折投射レンズ系)PSとを備える。
【0056】
照明系は、放射を配向、形成、又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型、又はその他のタイプの光学構成部品、或いはそれらの任意の組合せなどの様々なタイプの光学構成部品を含むことができる。
【0057】
支持構造は、パターン形成装置の重量を支持即ち支承する。支持構造は、パターン形成装置の向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターン形成装置が真空環境で保持されるかどうかなどの他の条件に応じた方式でパターン形成装置を保持する。支持構造は、パターン形成装置を保持するのに機械的技法、真空技法、静電技法、又は他のクランピング技法を使用することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動にすることのできるフレーム又はテーブルでよい。支持構造は、パターン形成装置が例えば投射系に対して所望の位置となるように保証することができる。本明細書での「レチクル」又は「マスク」という用語の使用はいずれも、より一般的な用語「パターン形成装置」と同義とみなすことができる。
【0058】
本明細書で使用する「パターン形成装置」という用語は、基板の対象部分内にパターンを作成するなどのために放射線ビームの断面にパターンを付与するのに使用することのできる任意の装置を指すと広く解釈すべきである。例えばパターンが移相フィーチャ又はいわゆるアシスト・フィーチャを含む場合、放射線ビームに付与されるパターンは基板の対象部分内の所望のパターンに厳密に対応しないことがあることに留意されたい。一般に、放射線ビームに付与されるパターンは、対象部分内に作成されるデバイス内の特定の機能層、例えば集積回路に対応する。
【0059】
パターン形成装置は透過型又は反射型でよい。パターン形成装置の例には、マスク、プログラム可能ミラー・アレイ、及びプログラム可能LCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィで周知であり、マスクには、バイナリ、交番移相、減衰移相などのマスク・タイプ、並びに様々なハイブリッド・マスク・タイプが含まれる。プログラム可能ミラー・アレイの一実施例では、着信放射線ビームを様々な方向に反射するように個々にそれぞれ傾斜することができる小型ミラーのマトリックス構成が使用される。傾斜したミラーは、ミラー・マトリックスによって反射される放射線ビームにパターンを付与する。
【0060】
本明細書で使用する「投射系」という用語は、使用する露光放射にとって、又は浸液の使用や真空の使用などの他の因子にとって適切な屈折光学系、反射光学系、カタディオプトリック光学系、磁気光学系、電磁光学系、及び静電光学系を含む任意のタイプの投射系を包含するものとして広い意味で解釈すべきである。本明細書での「レンズ」という用語の使用はいずれも、より一般的な「投射系」という用語と同義とみなすことができる。
【0061】
ここで示すように、この装置は、(例えば透過マスクを使用する)透過型である。或いは、この装置は、(例えば上記で参照したプログラム可能ミラー・アレイを使用し、又は反射マスクを使用する)反射型でもよい。
【0062】
リソグラフィ装置は、2つ(2重ステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスク・テーブル)を有するタイプでよい。このような「多重ステージ」マシンでは、追加のテーブルを並行して使用することができ、或いは露光のために1つ又は複数のテーブルを使用中に、1つ又は複数の他のテーブル上で予備ステップを実施することができる。
【0063】
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水によって覆われ、それによって投射系と基板との間の空間が埋められるタイプでもよい。浸液をリソグラフィ装置内の他の空間、例えばマスクと投射系との間にも適用することができる。投射系の開口数を向上させるための液浸技法が当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸(immersion)」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないことを意味するのではなく、液体が露光中に投射系と基板との間に位置することを意味するに過ぎない。
【0064】
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射線ビームを受ける。例えば放射源がエキシマ・レーザであるとき、放射源とリソグラフィ装置は別々の実体でよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとはみなされず、放射線ビームは、例えば適切な配向ミラー及び/又はビーム拡大器を含むビーム送達系BDを用いて、放射源SOからイルミネータILまで通過する。他の場合には、例えば放射源が水銀ランプであるとき、放射源はリソグラフィ装置の一体部分でよい。放射源SO及びイルミネータILは、ビーム送達系BDが使用される場合、ビーム送達系BDと共に、放射系と呼ばれることがある。
【0065】
イルミネータILは、放射線ビームの角度輝度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の輝度分布の少なくとも外径及び/又は内径範囲(一般にそれぞれσ外径及びσ内径と呼ぶ)を調節することができる。さらに、イルミネータILは一般に、積分器INやコンデンサCOなどの様々な他の構成部品を含むことができる。イルミネータを使用して、放射線ビームの断面内に所望の一様性及び輝度分布を有するように放射ビームを調整することができる。
【0066】
放射線ビームBは、支持構造(例えばマスク・テーブルMT)上に保持されたパターン形成装置(例えばマスクMA)に入射し、パターン形成装置によってパターン形成される。マスクMAを横切ると、放射線ビームBは投射系PSを通過し、投射系PSは、ビームを基板Wの対象部分C上に集束させる。第2ポジショナPW及び位置センサIF(例えば干渉装置、線形エンコーダ、又は容量センサ)を用いて、例えば放射線ビームBの経路内に異なる対象部分Cを配置するように、基板テーブルWTaを正確に移動することができる。同様に、第1ポジショナPM及び別の位置センサ(図1には明示せず)を使用して、例えばマスク・ライブラリからの機械的取出しの後、又は走査中に、放射線ビームBの経路に対してマスクMAを正確に配置することができる。一般には、オブジェクト・テーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロング・ストローク・モジュール(粗い位置決め)及びショート・ストローク・モジュール(細かい位置決め)によって実現することができる。同様に、基板テーブルWTaの移動は、第2ポジショナPWの一部を形成するロング・ストローク・モジュール及びショート・ストローク・モジュールを使用して実現することができる。(スキャナではなく)ステッパの場合、マスク・テーブルMTをショート・ストローク・アクチュエータだけに接続することができ、又は固定することができる。マスクMA及び基板Wは、マスク位置合せマークM1、M2及び基板位置合せマークP1、P2を使用して位置合せすることができる。図示する基板位置合せマークは専用の対象部分を占有するが、対象部分間の空間に配置することもできる(これはスクライブ・レーン位置合せマークと呼ばれる)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられる状況では、マスク位置合せマークをダイ間に配置することができる。
【0067】
図示する装置は、以下のモードのうちの少なくとも1つで使用することができる。
1.ステップ・モードでは、マスク・テーブルMT及び基板テーブルWTaがほぼ静止状態に保たれると共に、放射線ビームに付与されたパターン全体が対象部分C上に1回で投射される(即ち単一の静止露光)。次いで基板テーブルWTaがX方向及び/又はY方向にシフトされ、それによって異なる対象部分Cを露光することができる。ステップ・モードでは、露光域の最大サイズにより、単一の静止露光で結像される対象部分Cのサイズが制限される。
2.走査モードでは、マスク・テーブルMT及び基板テーブルWTaが同期式に走査されると共に、放射線ビームに付与されたパターンが対象部分Cに投射される(即ち単一の動的露光)。マスク・テーブルMTに対する基板テーブルWTaの速度及び方向は、投射系PSの拡大(縮小)率特性及び像反転特性によって決定することができる。走査モードでは、露光域の最大サイズにより、単一の動的露光での対象部分の(非走査方向の)幅が制限されるのに対して、走査運動の長さにより、対象部分の(走査方向の)高さが決定される。
3.別のモードでは、マスク・テーブルMTがほぼ静止状態に保たれ、プログラム可能パターン形成装置が保持され、基板テーブルWTaが移動又は走査されると共に、投射ビームに付与されたパターンが対象部分Cに投射される。このモードでは、一般にパルス放射源が使用され、プログラム可能パターン形成装置が、基板テーブルWTaのそれぞれの移動の後、又は走査中の連続する放射パルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上記で参照したタイプのプログラム可能ミラー・アレイなどのプログラム可能パターン形成装置を使用するマスクレス・リソグラフィに容易に適用することができる。
【0068】
上述の使用モードに関する組合せ及び/又は変形形態、或いはまったく異なる使用モードも使用することができる。
【0069】
本発明による一実施例では、2重ステージ・リソグラフィ装置は、測定ステーション及び露光ステーションを備える。露光ステーションは投射レンズ系PSを備える。測定ステーションは、基板Wがその上に配置される基板テーブルWTbを備える。基板テーブルWTbの上に(図2)、投射系21及び検出系22を備えるレベル・センサLSシステムが配置される。投射系21は、放射源23、投射格子24、及び光学素子25を備える。検出系22は、光学素子26、検出格子27、及び検出器28を備える。投射系21は、基準ビーム31及び測定ビーム31’を所定の平面上に投射するように配置される。基板Wの反射面100が所定の平面内に配置される。測定ビームは基板W上でスポット30となる。このいわゆるLSスポット30が反射面100で反射されて反射測定ビーム32’が生じ、それが検出系22によって検出される。検出系22は、測定信号をプロセッサ33に送るように配置される。
【0070】
三角測量法に基づく高さ測定では、反射測定ビーム32’の横方向位置が反射面100の高さに対応する。この場合、横方向位置は、測定ビーム31’及び反射測定ビーム32’を通る平面内の、反射測定ビーム32’に垂直な方向の位置を意味する。測定ビーム31の横方向位置の変化、即ち反射面100によって反射される前の横方向位置の変化は、反射測定ビーム31’の横方向位置の変化として確認することもできる。基準ビームの位置は同様にして測定され、即ち横方向位置が求められる。検出系は、反射測定ビーム32’の横方向位置に対応する測定信号と、基準ビーム32の横方向位置に対応する基準信号とをプロセッサ33に送るように配置される。
【0071】
基準ビーム31は、基板Wからすぐ上流側に偏向する。偏向がない場合、基準ビーム31は、基板W上の関連する測定位置となる。この偏向は、放射源23によって生成されたビームの一部を偏向させるプリズム又は1組のミラーで行うことができる。側面から見ると(図3)、プリズム35が、LSスポット30の隣にある1つの関連する測定位置の真上に配置される。プリズム35の構成により、基準ビーム31が偏向し、基板W上に投射されない。その代わりに、基準ビームがプリズム35の頂面に投射され、基準スポット36となる。基準ビーム31は、図示するようにプリズム35内部で3回反射し、スポット36の像を含む反射基準ビーム32を生成する。この基準スポット36の像が、検出系22内の基準検出器28r(図4)によって検出され、検出系22は基準信号を生成し、基準信号がプロセッサ33に送られてさらに評価される。図3では、プリズム35内部の偏向光ビームを点線で示す。
【0072】
投射系21と検出系22の間の基準ビームがたどる経路である光基準経路では、基準ビームが反射面100に決して到達しないので、光路が、基板Wの反射面100の部分の影響を受けなくなる。
【0073】
プリズム35は、投射系21、検出系22、又はその両方に固定状に取り付けられる。或いは、プリズムは、投射系21及び検出系22が取り付けられる計測フレームに取り付けられる。計測フレームは、基板テーブルWTbを移動することによって引き起こされる振動から分離される。選択された1組のシステムだけが計測フレームに取り付けられる。こうしたシステムは、一定の周波数範囲のみで振動を引き起こすことがあり、その周波数範囲内で、計測フレームは、例えば重いことによって、その一定の周波数範囲に対して設計及び/又は調節されたエア・マウント上に支持されることによって、且つその周波数領域で固有値を有さないことによって振動を吸収する。したがって、プリズム35の位置は、露光ステーションに存在する投射レンズ系PSの位置の影響を受けないのに対して、プリズム35は測定ステーションに存在する。プリズムの位置は投射レンズ系PSの位置の影響を受けないので、基準ビーム31、32の位置も投射レンズ系PSの位置の影響を受けない。
【0074】
測定ブランチ(21)全体及び基準ブランチ(22)全体にわたって平行な経路に沿って測定ビーム(31’、32’)及び基準ビーム(31、32)を向け、測定ビーム(31’、32’)に平行な経路から基準ビーム(31、32)だけを偏向させることにより、測定ブランチ(21)全体及び基準ブランチ(22)全体にわたって横方向変位を補正できることは明らかであろう。後で説明するが、補正の品質は、測定ビーム(31’、32’)と基準ビーム(31、32)を重ね合わせることによって向上させることができる。
【0075】
測定ビーム31’は、プリズム35で覆われた基準スポット36の隣のLSスポット30上に投射される。基板Wで反射される測定ビーム31’を図3では直線で示す。測定ビーム31’は、基板Wの反射面100によって反射され、スポット30の像を含む反射測定ビーム32’が生成される。このスポット30の像が検出器28によって検出され、検出器28は、プロセッサ33に対する測定信号を生成する。
【0076】
この実施例をより良く説明するために、2つのLSスポットの上面図を図4に示す。図4は、2つのビーム31、31’を示す。基準ビーム31は、プリズム35を通るように向けられ、最終的には基準検出器28rによって検出される。図4は、プリズム35とLSスポット30が近接することをはっきりと示している。測定ビーム31は、基板Wによって反射され、測定検出器と呼ばれる検出器28によって検出される。より多くの測定ビームを投射系21によって投射し、検出システム22によって検出できることは当業者には明らかであろう。好ましくは、測定ビームは互いに平行であり、図2に垂直な方向に互いに平行であるLSスポット30となる。同様に、投射系21によって投射され、検出系22によって検出される、より多くの基準ビームが存在することができる。好ましくは、基準ビームは互いに平行である。
【0077】
プリズムを使用する代わりに、代替実施例の側面図を示す図6と上面図を示す図7に示すように、ミラーを使用することもできる。この実施例では、基準ビーム31を偏向させ、基準ビーム31を基準スポット36、即ちミラー61上に投射するように、3つのミラー60、61、62が1つのLSスポット30のすぐ上に配置される。ミラー61は、基準ビーム31を反射し、基準ビーム31をミラー62に向け、ミラー62は、基準ビーム31を再び反射して反射基準ビーム32を生成する。図6及び7の構成では、測定ビーム31’は偏向せず、図3、4の構成と同様に、単に基板Wの反射面100で反射する。
【0078】
図3、4のプリズム構成では、ガラス中では気流が存在せず、機械的構成が非常に安定しているので、偏向した光路が非常に安定し、雑音がなく、ドリフトがない。空気が均質でない状況での気流は、偏向した光路に垂直な屈折率の勾配の変化を引き起こす可能性がある。勾配の変化は、偏向した光路の位置を変化させる。プリズムの材料の屈折率は、プリズム全体にわたって非常に安定しており、その結果、屈折率の勾配がプリズムによって設定される。プリズム構成は、プリズム35中の余分な経路長を補償し、屈折によって引き起こされる分散効果を低減するように修正することができる(図5参照)。ミラー60、61、62を使用する実施例では、偏向した光路に沿った空気を制御するエア・シャワー(図示せず)を適用することにより、偏向した光路を、非常に安定し、雑音がなく、ドリフトがないようにすることができる。エア・シャワーは、一定の、好ましくは空気の層流を偏向した光路に通す。空気の一定の層流を偏向した光路に通すことにより、屈折率は一定となる。供給される空気の純度及び温度をどちらも制御することができる。この空気は、例えば純度クラス1であり、その温度は、例えば0.1度以内で安定する。
【0079】
測定ビーム31’、32’及び基準ビーム31、32などの光ビームは、自明のこととして媒体(例えば、真空、空気、混合気、又は液体)を通過することを当業者は理解されよう。
【0080】
この実施例では、入力面35i、出力面35o、頂面35t、及び反射面35rを有する代替プリズム35’が使用される。入力面35iは、基準ビーム31にほぼ垂直に配置されるが、出力面35oは、反射基準ビーム32にほぼ垂直に配置される。反射面35rは平坦ではないが、所定の角度で互いに接続される第1下面35r1及び第2下面35r2を有する。反射面は、入力面35iを透過した後に基準ビーム31を受け、第1下面35r1で基準ビーム31を反射し、プリズム35’の頂面35t上に基準スポット36を形成する。頂面35tは、基準ビーム31を第2下面35r2に向けて反射し、第2下面35r2は、受けたビームを反射して反射基準ビーム32を形成する。図3のプリズム35と比較して、図5のプリズム35’の利点は、表面35i及び35oでのガラスと空気の界面がビーム31、31’、32、32’にほぼ垂直であるので、プリズム35’が分散を示さないことである。
【0081】
別の実施例では、元のビーム50が、例えば半透明ミラーを使用して、測定ビーム31’及び基準ビーム31に分割される(図8を参照)。半透明ミラー40は、元のビーム50の一部、例えば50%を反射して基準ビーム31を形成し、元のビーム50の残りの部分を透過して測定ビーム31’を形成する。基準ビーム31は、ウェハWに対して傾斜した向きを有することのできるミラー42上に基準スポット36として結像される。ミラー42は、基準ビーム31をミラー44に反射し、ミラー44は反射基準ビーム32を生成し、反射基準ビーム32は、光学素子26を介して基準検出器28rに向けられる。測定ビーム31’は、ウェハWの反射面100によって反射される。反射基準ビーム32と反射測定ビーム32’はどちらも、この同一の光学素子26を通過する。図8の実施例は、複数の元のビーム、即ち複数の半透明ミラー、複数の基準ビーム、及び関連する測定ビームを有する実施例に対して拡張することができる。
【0082】
図9に、図8の実施例の上面図を示す。この図では、測定スポット30がミラー42によって覆われることに留意されたい。図8、9の設計は、あらゆる測定スポット30がそれ自体の基準スポット36と関連付けられる複数のスポットに対して行うことができる。
【0083】
本発明の一態様では、上述のレベル・センサLSを備える2重ステージ・リソグラフィ装置が提供される。測定ステージで基板W上のすべての測定位置に対する高さを測定した後、「ウェハ・マップ」が決定される。次に、基準ビーム31で測定された外乱の形状(即ち、長さ、振幅、周波数、相関、差)を使用して、以下で説明する1つ又は複数の補正方法を使用して補正後ウェハ・マップを生成することができる。
【0084】
補正方法の原理は以下に基づく。基準ビーム31によって測定された全雑音及びドリフトは、測定ビーム31’の雑音及びドリフトと同一であるが、基準ビーム31は測定された位置についての高さ情報を含まないと仮定する。次いで、基準ビーム31の信号をプロセッサ33で使用して、1つ又は複数の測定ビームの測定結果を補正することができる。
【0085】
位置測定の再現性及び精度は、システムの機械部品及び光学部品の移動によって引き起こされる雑音及びドリフト、システムの電気部品のドリフト及び雑音、並びにビーム31、31’が通過する媒体(例えば空気、ガラス)の(光学的)屈折率の変化を低減することによって向上する。さらに、同期検出により、基準ビーム31中の雑音及びドリフトと、位置情報を含む測定ビーム31’中雑音及びドリフトとの間の相関が向上する。したがって、測定信号中の雑音は、基準信号での補正後にプロセッサ33によって除去することができる。基準ビーム31と測定ビーム31’の光路は本質的に同一である(好ましいが必須ではない)ので、基準信号中の雑音及びドリフトは、位置(即ち高さ)情報を含む測定信号中の雑音及びドリフトに対して高い相関を有する。したがって、位置測定信号中の雑音は、基準ビームからの基準信号での補正によりプロセッサ33によって除去することができる。基準ビームを検出する基準検出器28rと、測定ビーム31’を検出する測定検出器28が同一であるとき、基準信号及び測定信号の検出中に導入される雑音及びドリフトは同一である。したがって、測定信号中の雑音は、基準信号での補正によりプロセッサ33によって除去することができる。
【0086】
追加の光学的構成、例えばプリズム35、35’及びミラー60、61、62、40、42、44が測定スポットの直前に配置されるため、基準ビーム31が実際の測定ビーム31’と異なる経路に沿って伝播する唯一の場所は、測定サンプル(例えば基板W)上のスポット30付近である。しかし、光学系のこの部分は、システムの他の部分よりも気流又は温度勾配の影響を受けにくい。光学系の(光学的)屈折率の変化に最も影響の受けやすい部分は、像が基板W上に形成される焦点から遠方である。この位置では、基準ビーム31と測定ビーム31’が重なり、この位置で両方のビーム中に引き起こされる外乱はまったく同じである(高い相関)。したがって、この部分で引き起こされる雑音及びドリフトは、本発明によるレベルLSセンサを使用して完全に補償することができる。
【0087】
図10に、本発明の一実施例におけるいくつかの測定スポットM−1からM−7及び基準スポットRef−1及びRef−2を示す。これらのスポットM−1、M−7、Ref−1、Ref−2のすべてはそれぞれ、1つの検出器又は複数の検出器上に結像することができる。図10は上面図であり、測定スポットM−1、M−7は基板W上に集束されるが、基準スポットRef−1、Ref−2は実際には例えばプリズム35又はミラー61、42の上側に集束されることに留意されたい。この実施例での、基板W上の(集束した)測定スポットM−1、M−7の位置が、投射格子24及び検出格子27によって決定される。両方の格子24、27の開口と、ミラー60、61、62、42、44、及びプリズム35のレイアウトが、基準スポットRef−1、Ref−2の位置を決定する。
【0088】
格子を使用する代わりに、1つの測定ビームをそれぞれ生成する、例えばレーザ源などの複数の放射源を使用して測定スポットが生成される構成でも本発明は機能することに留意されたい。
【0089】
基板W(図示せず)の反射面100(図示せず)が投射系21に対して集束されないとき、ビームの発散(開口数>0)のために測定スポットM−1及びM−2が重なる。同じことが、他の隣接する測定スポットについても当てはまる。重なった測定スポットは同じ外乱を有し、検出される信号は高い相関を有する。互いに近いスポットの検出信号が最高の相関を有することになる。互いに隣合わない2つのスポット(例えばRef−1及びRef−2。図10を参照)の検出信号の補正部分は、これらの2つのスポット間に位置する中間スポット(M−1〜M−7)で同一である。
【0090】
別の仕方で説明すると、ビームは、投射ブランチの像平面の外側で重なる。像平面では、中間スポットがくっきりと結像され、重なり合わない。基準ビームがその経路から反射面100上の関連するスポットに偏向しない限り、基準ビームでさえも重なり合う。基準ビームと測定ビームが重なり、平行である部分が多いと、基準ビームと測定ビームの横方向変位間の相関が高くなる。
【0091】
以下のいくつかの雑音の寄与/外乱が存在する可能性がある。
レベル・センサ・ビームの光路中の汚染、温度変化、屈折率変化を介する光学的外乱、
基板の高さの測定からのLS信号雑音、
レベル・センサLSからの電子雑音、
温度変化によるドリフト(電気的又は機械的)、
LS構成部品の機械的共鳴/振動。
【0092】
本発明の実施例によれば、プロセッサ33は、様々な補正方法を使用して、測定ビーム中の外乱を除去することができる。
【0093】
測定ビームの外乱は、こうした測定ビームの周り又は間の様々な位置の基準ビームに関連する基準信号の補間を使用することによって求めることができる。
【0094】
プロセッサ33が様々な基準信号の時間トレース間の高い相関を測定した場合、基準ビームと測定ビームの外乱の間の高い相関が予想される。この相関に関係する相関係数は、どれほどの補正を使用すべきかに関する重み因子としてプロセッサ33で使用することができる。
【0095】
プロセッサ33が、測定信号と基準信号の間で、周波数スペクトルの一部、さらには一定の周波数ピーク(例えばシステムの共鳴)に関する高い相関のみを測定した場合、このスペクトルの部分のみに関する補正をプロセッサ33で行うことができる。
【0096】
プロセッサ33が相異なる基準信号の時間トレース間の遅延を測定した場合、基準ビームと、相異なる測定ビームの間の遅延も存在することになる。この場合、遅延補正方法をプロセッサ33で使用することができる。
【0097】
プロセッサ33が、測定信号と基準信号の間で、周波数スペクトルの一部、さらには一定の周波数ピーク(例えばシステムの共鳴)に関する位相ずれ(遅延)のみを測定した場合、このスペクトルの部分のみに関する補正をプロセッサ33で行うことができる。
【0098】
一実施例では、基準信号に基づいて、ストローク、ダイ、又は測定地点ごとに、任意の補正方法をオン/オフに切り換えることができる。
【0099】
こうした補正方法を、2重ステージ装置などのオフラインの測定状況で使用することができる。測定信号及び基準信号の形状(即ち、その時間の関数として振舞い)を知らなければならず、補正前の可能な補正を露光中に適用することができるからである。そのような補正は、補正されたウェハ・マップの形態を取ることができる。次いで、補正されたウェハ・マップに基づいて基板Wを露光することができる。
【0100】
一実施例では、測定スポット30の周り又は間の異なる地点での2つ以上の基準ビーム31、例えば測定スポット30の左側及び右側の2つの基準ビーム31を使用することができる。
【0101】
基準ビーム31の外乱と測定ビーム31’の外乱の間の関係をあらかじめ求め、その結果として較正データを得ることも可能である。測定ビーム31’の信号は、基準信号及びそれらの較正データを使用してプロセッサ33で処理することができる。
【0102】
一実施例では、測定スポットM−1〜M−7の外乱が、基準スポットRef−1、Ref−2、及び補間アルゴリズムからの情報を使用して求められる。ここで、そのような補間の単純で実際的な実装の一例を与える。この例では、ZM−x(t)が、測定スポットM−xを検出する測定検出器によって生成された測定信号であり、ZRef−y(t)が、基準スポットRef−yを検出する基準検出器によって生成された基準信号である。
【0103】
【数1】

【0104】
【数2】

【0105】
【数3】

【0106】
【数4】

【0107】
【数5】

【0108】
【数6】

【0109】
【数7】

【0110】
一実施例では、相関アルゴリズムがプロセッサ33で使用される。プロセッサ33は、データセット間の相関係数を計算する。データセットは、測定スポット30に関連する高さ測定値の時間シーケンスである。測定信号間の計算された相関係数は、レベル・センサLSに影響を及ぼす雑音の種類について伝える。例えば、純粋に相関する雑音は、測定される高さの標準偏差を引き起こし、相異なるスポットに関する雑音が位相差(遅延)を有するときに傾斜を引き起こすことがある。一方、純粋に非相関の雑音は、測定される傾斜の標準偏差を引き起こす。相関する雑音と非相関の雑音の組合せは、測定される高さと測定される傾斜の両方で逸脱を引き起こす。実際には、レベル・センサLSの雑音は、非常に相関する(相関係数約0.9)ことが分かっており、このことは、非相関(例えばC&T=汚染及び温度制御)雑音の少しの増加が比較的大きな傾斜雑音の増加を引き起こすことを示唆する。相関分析について最も有用なのは、システムの変化と共に相関分析を変更することである。
【0111】
相関係数はまた、測定信号と基準信号の互いに対する時間のシフトの関数として、プロセッサ33で計算することもできる。これにより、レベル・センサLSの雑音に対する空間移動効果(例えば気流)についての情報が得られる。
【0112】
プロセッサ33は、受け取った測定信号及び基準信号の周波数領域のフーリエ信号を生成することができる。次いで、プロセッサ33はフーリエ解析を実施することができる。測定信号のフーリエ解析では、プロセッサは振幅情報及び位相情報を使用することができる。位相情報は、シフトした相関について上記で説明したのと同様の情報を与える。以下の洞察を用いることができる。2つの信号P1、P2の間の相関係数corrcoef(P1,P2)が以下のように定義される。
【0113】
【数8】


上式で、cov(P1,P2)は以下によって定義される共分散である。
【0114】
【数9】


上式で、E(..)は期待値であり、av..は平均値である。
【0115】
これらの式をフーリエ変換後時間信号に適用すると、単純になる。時間平均値av..はゼロである。P1及びP2は、振幅及び位相を有する単一の正弦である。
【0116】
【数10】

【0117】
上式で、A1,A2=P1,P2の振幅
phi1,phi2=P1,P2の位相
dphi=phi1−phi2
【0118】
【数11】


であるので、これらの式により、以下が得られる。
【0119】
【数12】

【0120】
プロセッサ33は、いわゆる「cohere」関数を使用することができる。MatLabの「cohere」関数(例えば、MATLAB:Copyright 1984〜2001 The MathWorks,Inc.、バージョン6.3を参照)は、Welchの平均化ピリオドグラム法を使用して振幅2乗コヒーレンス関数を推定する。Rabiner,L.R.、Gold,B.、Theory and Application of Digital Signal Processing、Englewood Cliffs、NJ:Prentice−Hall、1975年、及びWelch,P.D.「The Use of Fast Fourier Transform for the Estimation of Power Spectra:Method Based on Time Averaging Over Short,Modified Periodgrams」、IEEE Trans、Audio Electroacoust、Vol.AU−15(1967年6月)、70〜73ページを参照。
【0121】
例えば、Cxy=cohere(x,y)は、Welchの平均化修正ピリオドグラム法を使用して、2つの入力信号x及びyの振幅2乗コヒーレンス推定Cxyを見つける。振幅2乗コヒーレンス推定Cxyは、各周波数でxがどれほどyに対応するかを示す0から1の間の値を有する、周波数の関数である。コヒーレンスは、x及びyのパワー・スペクトル密度(Pxx及びPyy)と、x及びyのクロス・パワー・スペクトル密度(Pxy)の関数である。
【0122】
【数13】

【0123】
信号x及びyは、周波数領域で同じ長さを有さなければならない。実数のx及びyについて、コヒーレンスは片側コヒーレンス推定を返し、複素数のx又はyについて、コヒーレンスは両側推定を返す。
【0124】
「実施例1」
次に、基準信号Zref(t)及び測定信号ZM(t)へのこれらの式の応用の一例を与える。これらのZref(t)及びZM(t)は、プロセッサ33によってフーリエ変換され、それぞれZ−ref(ω)及びZ−M(ω)となる。周波数ごとの基準信号Z−ref(ω)と測定信号Z−M(ω)の間の相関/コヒーレンスCM−ref(ω)がプロセッサ33で計算される。次いで、プロセッサは、以下の式に従って相関CM−ref(ω)を使用しながら、測定信号Z−M(ω)を補正し、補正後測定信号ZcorrM(ω)とする。
【0125】
【数14】

【0126】
この後、補正後測定信号ZcorrM(ω)が補正後測定信号ZcorrM(t)に逆フーリエ変換される。
【0127】
この実施例では、基板Wからの測定信号(これは測定信号中にのみある)が基準ビーム31から基準信号と相関しないと仮定される。これは一般には真実であるが、基板Wの高さが外乱と厳密に同一であるとき、補正によってマスクされることになる。
【0128】
「実施例2」
別の実施例では、プロセッサ33が、基準スポットの2つの基準信号Zref−1(t)、Zref−2(t)をZ−ref−1(ω)、Z−ref−2(ω)にフーリエ変換し、測定スポットのいくつかの測定信号ZM−x(t)をZ−M−x(ω)にフーリエ変換する。プロセッサ33は、周波数ごとのこれらのフーリエ変換後基準信号Z−ref−1(ω)、Z−ref−2(ω)間の相関/コヒーレンスCrl−r2(ω)を計算する。これらの2つのフーリエ変換後基準信号間を相関付けるものは、測定信号間も相関付け、したがって、プロセッサ33で測定信号を補正のために使用することができる。次いで、プロセッサ33は、以下の式に従って相関Crl−r2(ω)を使用しながら、フーリエ変換後測定信号Z−M−x(ω)を補正し、補正後フーリエ変換後測定信号ZcorrM−x(ω)とする。
【0129】
【数15】

【0130】
【数16】

【0131】
【数17】

【0132】
【数18】

【0133】
【数19】

【0134】
【数20】

【0135】
これらの式では、7つの測定ビームが使用されると仮定される。この後、各補正後フーリエ変換後測定信号ZcorrM−x(ω)が、補正後測定信号ZcorrM−x(t)に逆フーリエ変換される。
【0136】
実施例2では、両方の基準ビーム間の外乱の相関が、測定スポットでの外乱以下であると仮定される。これは、実験的に、且つモデル分析によって検証されるが、両方の基準ビーム間の外乱の相関が測定スポットでの外乱以下であるとき、すべての外乱が測定スポットで補正されるわけではない(相関が測定スポットでの外乱よりも大きい場合、外乱が補正過度となる)。
【0137】
ウェハ・マップが別々の測定ステージでオフラインで測定される2重ステージ装置を組み込む実施例の利点は、ある時刻(t)での補正がその時刻の前及び後、即ち時刻t−δ..t+δでのデータに基づくことである。高さ測定値をあらかじめ測定することができるので、すべての高さ測定値を使用することができる。単一ステージ装置では、既に測定したデータ(t−δ..t)だけをプロセッサによって補正演算で使用することができる。これにより、データ点の数が減少し、過去のデータのみからの予測は精度が低いので、精度が低下する。
【0138】
上述の方法を使用することにより、レベル・センサLSによる高さ測定値の再現性及び精度を雑音及びドリフトを低減することによって向上させることができる。システムの機械部品及び光学部品の移動、システムの電気部品のドリフト及び雑音、並びに媒体(例えば空気、ガラス)の(光学的)屈折率の変化に対するレベル・センサLSの感度が著しく低減される。
【0139】
本文では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に対して特定の参照を行うであろうが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は、集積光学系の製造、磁気ドメイン・メモリ用の誘導パターン及び検出パターン、フラット・パネル・ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの他の応用があることを理解されたい。こうした代替応用例の状況では、本明細書での「ウェハ」又は「ダイ」という用語の使用は、それぞれより一般的な「基板」又は「対象部分」という用語と同義とみなせることを当業者は理解されよう。本明細書で参照する基板は、露光の前又は後に、例えばトラック(通常はレジスト層を基板に付着させ、露光したレジストを現像する工具)、測定工具、及び/又は検査工具で処理することができる。適用可能なら、本明細書での開示は、そのような基板処理工具又はその他の基板処理工具に適用することができる。さらに、基板を、例えば多層ICを作成するために複数回処理することができ、したがって、本明細書で使用する基板という用語は、複数回処理した層を既に含む基板も指すことがある。
【0140】
光リソグラフィの状況での本発明の実施例の使用に対して上記で特定の参照を行うことがあったが、他の応用例、例えばインプリント・リソグラフィで本発明を使用することもでき、状況が許すならば本発明は光リソグラフィに限定されないことを理解されよう。インプリント・リソグラフィでは、パターン形成装置でのトポグラフィが、基板上に作成されるパターンを画定する。パターン形成装置のトポグラフィを、基板に供給されるレジスト層に押し付けることができ、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組合せを加えることによって基板上でレジストが硬化する。レジストが硬化した後、パターン形成装置がレジストから取り除かれ、レジストにパターンが残る。
【0141】
本明細書で使用した「放射」及び「ビーム」という用語は、(例えば波長約365、355、248、193、157、又は126nmを有する)紫外(UV)放射、(例えば5〜20nmの範囲の波長を有する)極紫外(EUV)放射、並びにイオン・ビームや電子ビームなどの粒子ビームを含むすべてのタイプの電磁放射を包含する。
【0142】
「レンズ」という用語は、状況が許すならば、屈折光学構成部品、反射光学構成部品、磁気光学構成部品、及び静電光学構成部品を含む様々なタイプの光学構成部品のうちのいずれか1つ又は組合せを指すことができる。
【0143】
以上、本発明の特定の実施例を説明したが、上記以外の方法で本発明を実施できることを理解されよう。例えば、本発明は、上記で開示した方法を記述する1つ又は複数の機械可読命令のシーケンスを含むコンピュータ・プログラム、又はそのようなコンピュータ・プログラムが格納されたデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、又は光ディスク)の形態を取ることができる。
【0144】
上記の説明は例示的なものであって限定的なものではない。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載の本発明に修正を加えることができることを当業者は理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の実施例によるリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】一実施例によるレベル・センサ・システムを示す図である。
【図3】一実施例による、測定ビームを偏向させる光学的構成を示す図である。
【図4】図3の上面図である。
【図5】図3の構成の特別な実施例を示す図である。
【図6】別の実施例による、測定ビームを偏向させる光学的構成を示す図である。
【図7】図6の上面図である。
【図8】さらに別の実施例による構成を示す図である。
【図9】図8の上面図である。
【図10】基準スポットに対する測定スポットの配置の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
21 投射系
22 検出系
23 放射源
24 投射格子
25 光学素子
26 光学素子
27 検出格子
28 検出器
28r 基準検出器
30 スポット
31 基準ビーム
31’ 測定ビーム
32 基準ビーム
32’ 反射測定ビーム
33 プロセッサ
35 プリズム
35’ 代替プリズム
36 基準スポット
40 半透明ミラー
50 元のビーム
42、44、60、61、62 ミラー
100 反射面
AD アジャスタ
B 放射線ビーム
BD ビーム送達系
CO コンデンサ
IF 位置センサ
IL イルミネータ
IN 積分器
LS レベル・センサ
M−1〜M−7 測定スポット
MA マスク
MT マスク・テーブル
M1、M2 マスク位置合せマーク
P1、P2 基板位置合せマーク
PM 第1ポジショナ
PS 投射系
PW 第2ポジショナ
Ref−1、Ref−2 基準スポット
SO 放射源
W 基板
WTa、WTb 基板テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の高さを求めるレベル・センサであって、
少なくとも1つの反射測定ビームを生成するために、少なくとも1つの測定ビームを生成し、前記少なくとも1つの測定ビームを前記基板上の測定スポットに向ける測定ビーム・ジェネレータ(発生器)と、
少なくとも1つの基準ビームを生成する基準ビーム・ジェネレータと、
前記少なくとも1つの反射測定ビームと、前記少なくとも1つの基準ビームの両方をそれぞれ検出し、前記測定スポットでの前記高さを示す少なくとも1つの測定信号と、少なくとも1つの基準信号の両方をそれぞれ生成する検出器ビームと、
前記基準信号に基づいて前記測定信号を補正するプロセッサとを備え、
前記基板を配置すべき場所に近い所定のエリアに配置された光学的構成を備え、前記所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路に沿って前記少なくとも1つの測定ビーム及び前記少なくとも1つの基準ビームを投射するように配置され、前記光学的構成が、前記少なくとも1つの基準ビームが前記基板に当たらないように、前記所定のエリア内の前記ほぼ等しい伝播光路から少なくとも1つの基準ビームを偏向させるように構成されるレベル・センサ。
【請求項2】
前記光学的構成が、平行六面体形状を有するプリズムを備える請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項3】
前記プリズムが、前記少なくとも1つの基準ビームを受けるように配置された入力面と、前記基準ビームを内反射するように配置された反射面と、前記反射ビームを出力する出力面とを備え、前記反射面が、互いに角度をなすように接続された2つの下面を有する請求項2に記載のレベル・センサ。
【請求項4】
前記光学的構成が複数のミラーを備える請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項5】
少なくとも1つの元のビームを生成するように配置され、前記複数のミラーが、前記少なくとも1つの元のビームを受け、前記少なくとも1つの元のビームを前記少なくとも1つの測定ビームと前記少なくとも1つの基準ビームとに分割するように配置された半透明ミラーを備える請求項4に記載のレベル・センサ。
【請求項6】
複数の測定スポットで前記基板の前記高さを測定し、前記複数の測定スポットに基づく前記高さを含むウェハ・マップを生成するように配置される請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項7】
前記測定信号中の雑音及びドリフトを前記基準信号中の雑音及びドリフトと比較することによって前記測定信号中の雑音及びドリフトを補正するように配置される請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項8】
前記測定ビーム・ジェネレータが、複数の測定ビームを生成し、これらの測定ビームによって複数の測定スポットを生成するように配置され、前記検出器が、これらの複数の測定スポットに関連する複数の測定信号を検出し、前記基準ビーム・ジェネレータが、複数の基準ビームと、これらの基準ビームに基づく複数の基準信号とを生成し、前記プロセッサが、基準信号の補間を使用することによってこれらの測定ビームのうちの少なくとも1つの外乱を求める請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項9】
前記測定ビーム・ジェネレータが、複数の測定ビームを生成し、これらの測定ビームによって複数の測定スポットを生成するように配置され、前記検出器が、これらの複数の測定スポットに関連する複数の測定信号を検出し、前記基準ビーム・ジェネレータが、複数の基準ビームと、これらの基準ビームに基づく複数の基準信号とを生成し、前記プロセッサが、前記複数の測定信号及び基準信号のうちの少なくとも2つの時間トレース間の相関を測定し、この相関に関する相関係数を計算し、前記相関係数を重み因子として使用して、前記測定信号を補正するための量を求める請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項10】
前記測定ビーム・ジェネレータが、複数の測定ビームを生成し、これらの測定ビームによって複数の測定スポットを生成するように配置され、前記検出器が、これらの複数の測定スポットに関連する複数の測定信号を検出し、前記基準ビーム・ジェネレータが、複数の基準ビームと、これらの基準ビームに基づく複数の基準信号とを生成し、前記プロセッサが、前記複数の測定信号及び基準信号のうちの少なくとも2つの間の周波数スペクトルの一部に関する相関を測定し、前記周波数スペクトルの前記一部内の前記測定信号を補正する請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項11】
前記測定ビーム・ジェネレータが、複数の測定ビームを生成し、これらの測定ビームによって複数の測定スポットを生成するように配置され、前記検出器が、これらの複数の測定スポットに関連する複数の測定信号を検出し、前記基準ビーム・ジェネレータが、複数の基準ビームと、これらの基準ビームに基づく複数の基準信号とを生成し、前記プロセッサが、前記複数の測定信号及び基準信号のうちの少なくとも2つの時間トレース間の遅延を測定し、この遅延を遅延補正方法で使用して、前記複数の測定信号を補正する請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項12】
前記測定ビーム・ジェネレータが、複数の測定ビームを生成し、これらの測定ビームによって複数の測定スポットを生成するように配置され、前記検出器が、これらの複数の測定スポットに関連する複数の測定信号を検出し、前記基準ビーム・ジェネレータが、複数の基準ビームと、これらの基準ビームに基づく複数の基準信号とを生成し、前記プロセッサが、前記測定信号及び基準信号のうちの少なくとも2つの間の周波数スペクトルの一部に関する位相ずれを測定し、前記周波数スペクトルの前記一部内の前記測定信号を補正する請求項1に記載のレベル・センサ。
【請求項13】
請求項1に記載のレベル・センサを備え、前記基板上に結像すべき像を生成するように配置された結像装置。
【請求項14】
請求項13に記載の結像装置を備えるリソグラフィ投射装置。
【請求項15】
露光ステージと、測定ステージと、請求項13に記載の結像装置とを備えるリソグラフィ投射装置。
【請求項16】
基板の高さを求める方法であって、
少なくとも1つの反射測定ビームを生成するために、少なくとも1つの測定ビームを生成し、前記少なくとも1つの測定ビームを前記基板上の測定スポットに向けること、
少なくとも1つの基準ビームを生成すること、
少なくとも1つの反射測定ビームと、少なくとも1つの基準ビームの両方をそれぞれ検出し、前記測定スポットでの前記高さを示す少なくとも1つの測定信号と、少なくとも1つの基準信号の両方をそれぞれ生成すること、
前記基準信号に基づいて前記測定信号を補正すること、及び
前記基板を配置すべき場所に近い所定のエリアに光学的構成を配置すること、所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路に沿って前記少なくとも1つの測定ビーム及び前記少なくとも1つの基準ビームを向けること、前記少なくとも1つの基準ビームが前記基板に当たらないように、前記光学的構成によって所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路から前記少なくとも1つの基準ビームを偏向させることを含む方法。
【請求項17】
基板の高さを求めるレベル・センサであって、
少なくとも1つの反射測定ビームを生成するために、少なくとも1つの基準ビームを生成し、少なくとも1つの測定ビームを生成し、前記少なくとも1つの測定ビームを前記基板上の測定スポットに向ける少なくとも1つの放射源と、
前記少なくとも1つの反射測定ビームと、前記少なくとも1つの基準ビームの両方をそれぞれ検出し、前記測定スポットでの前記高さを示す少なくとも1つの測定信号と、少なくとも1つの基準信号の両方をそれぞれ生成する少なくとも1つの検出器と、
前記少なくとも1つの測定信号及び前記少なくとも1つの基準信号を受け取り、前記基準信号に基づいて前記測定信号を補正するプロセッサとを備え、
前記基板を配置すべき場所に近い所定のエリアに配置された光学的構成を備え、前記所定のエリアから離れたほぼ等しい伝播光路に沿って前記少なくとも1つの測定ビーム及び前記少なくとも1つの基準ビームを向けるように配置され、前記光学的構成が、前記少なくとも1つの基準ビームが前記基板に当たらないように、前記所定のエリア内のほぼ等しい伝播光路から前記少なくとも1つの基準ビームを偏向させるように配置されるレベル・センサ。
【請求項18】
投射レンズ系(PS)と、
所定の平面内の測定位置(30)に測定ビーム(31’、32’)を向け、基準位置(36)に基準ビーム(31、32)を向けるように配置された投射ブランチ(21)と、
前記測定ビーム及び前記基準ビームの横方向変位を測定するように配置された検出ブランチ(22)と、
前記所定の平面内の第1反射面(100)を有する物体(W)を支持する基板ステージ(WTb)と、
前記投射レンズ系及び前記第1反射面の位置の影響を受けないように配置された光基準経路を介して前記基準ビームを前記レベル・センサ検出ブランチに向けるように配置された光基準素子(35、35’、60、61、62)とを備え、
前記投射ブランチ及び前記基準ブランチの少なくとも1つが、前記投射ブランチ及び前記基準ブランチの少なくとも1つで少なくとも部分的にほぼ等しい光路に沿って前記測定ビーム及び前記基準ビームを向けるように構成されるリソグラフィ装置であって、
前記光基準素子が、前記投射ブランチと前記所定の平面の間に配置されることを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項19】
前記投射ブランチ及び前記検出ブランチの少なくとも1つが、少なくとも部分的にほぼ平行な光路に沿って前記測定ビーム及び前記基準ビームを向けるように配置されることを特徴とする請求項18に記載のリソグラフィ装置。
【請求項20】
前記投射ブランチ及び前記検出ブランチの少なくとも1つが、少なくとも部分的に重なる光路に沿って前記測定ビーム及び前記基準ビームを向けるように配置されることを特徴とする請求項18又は19に記載のリソグラフィ装置。
【請求項21】
測定面内の光測定経路を有し、前記光測定経路が、前記測定ビームがそれに沿って進む、前記測定ブランチから前記検出ブランチまでの経路であるリソグラフィ装置であって、前記光測定経路及び前記光基準経路の少なくとも1つの少なくとも一部の屈折率の前記測定面に沿った勾配を、所定の値に設定するように配置された制御手段(35)を特徴とする請求項18から20までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項22】
前記光基準素子が、前記投射ブランチから前記基準ビームを受けるように配置された入力面と、前記入力面からの前記基準ビームを内反射するように配置された第2反射面と、前記反射ビームを出力するように配置された出力面とを有するプリズムを備えることを特徴とする請求項18から21までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項23】
前記測定ビームと前記基準ビームが、前記投射ブランチと前記基準ブランチの両方で平行であること、
前記測定位置及び前記基準位置が、前記投射ブランチ及び前記基準ブランチの焦点にあること、及び
前記基準ビームが前記第2反射面によって第1位置で反射された後、前記基準位置で前記基準ビームを前記第2反射面上の第2位置に反射するように配置された第3反射面を特徴とする請求項22に記載のリソグラフィ装置。
【請求項24】
前記第1位置が、前記第2反射面の第1下面上にあり、前記第2位置が、前記第2反射面の第2下面上にあり、前記第1下面と前記第2下面が角度をなすように配置されることを特徴とする請求項23に記載のリソグラフィ装置。
【請求項25】
前記入力面及び前記出力面の少なくとも1つが、前記基準ビームの前記光路に対して垂直である請求項22から24までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項26】
前記投射ブランチ、前記検出ブランチ、及び前記光基準素子が1つ又は複数の追加の測定ビームを収容するように配置されることを特徴とする請求項18から25までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項27】
前記投射ブランチが、1つ又は複数の追加の光基準ビームを1つ又は複数の追加の基準位置に向けるように配置され、
前記検出ブランチが、前記1つ又は複数の追加の基準位置の横方向変位を測定するように配置され、
前記光基準素子が、前記1つ又は複数の追加の基準ビームを、前記投射レンズ系及び前記第1反射面の位置の影響を受けない1つ又は複数の追加の光基準経路を介して前記検出ブランチに向けるように配置され、
前記測定ビーム、前記基準ビーム、及び前記追加の基準ビームが、前記投射ブランチ及び前記基準ブランチの少なくとも1つで少なくとも部分的にほぼ等しいことを特徴とする請求項18から26までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項28】
レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビーム(31’、32’)を反射するように配置された反射物体の位置を前記光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
前記1つ又は複数の基準測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第1光基準ビーム(31、32)の位置を求める段階とを含み、
前記1つ又は複数の物体測定値及び前記1つ又は複数の基準測定値に基づいて、前記光測定ビームの位置と前記第1光基準ビームの位置との間の第1の関係を求める段階と、
前記第1の関係を使用して、前記1つ又は複数の基準測定値で前記1つ又は複数の物体測定値を補正する段階とを特徴とする方法。
【請求項29】
少なくとも2つの物体測定値及び少なくとも2つの基準測定値のうちの少なくとも1つを使用して前記第1の関係を求めることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ又は複数の物体測定のうちの第1の測定の後に前記1つ又は複数の基準測定の少なくとも一部を実施することを特徴とする請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ又は複数の物体測定のうちの少なくとも2つを実施する間に前記反射物体を走査することを特徴とする請求項28から30までのいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記1つ又は複数の物体測定値及び前記1つ又は複数の基準測定値に基づいて相関関数を計算することを特徴とする請求項28から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項33】
フーリエ領域で相関関数を計算し、前記1つ又は複数の物体測定値を補正することを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
フーリエ領域の一部のみで前記1つ又は複数の物体測定値を補正することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の関係を使用して前記1つ又は複数の基準測定値で補正された前記1つ又は複数の物体測定値が、1つ又は複数の補正後測定値を形成する方法であって、
1つ又は複数の追加の基準測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第2光基準ビームの位置を求めること、
前記1つ又は複数の補正後測定値と前記1つ又は複数の追加の基準測定値との間の第2の関係を求めること、
前記第2の関係を使用して、前記1つ又は複数の追加の測定値で前記1つ又は複数の補正後測定値を補正することを特徴とする請求項28から34までのいずれかに記載の方法。
【請求項36】
2つ以上の物体測定を実施することを特徴とする請求項28から35までのいずれかに記載の方法。
【請求項37】
レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビーム(31’、32’)を反射するように配置された反射物体(W)の位置を光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
1つ又は複数の基準測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第1光基準ビーム(31、32)の位置を求める段階と、
1つ又は複数のさらなる追加の測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第2光基準ビーム(31、32)の位置を求める段階とを含み、
前記1つ又は複数の基準測定値及び前記1つ又は複数のさらなる追加の測定値に基づいて、前記第1光基準ビームの位置と前記第2光基準ビームの位置との間の第3の関係を求める段階と、
前記第3の関係を使用して、前記1つ又は複数の基準測定値及び前記1つ又は複数のさらなる追加の測定値で前記1つ又は複数の物体測定値を補正する段階とを特徴とする方法。
【請求項38】
レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビーム(31’、32’)を反射するように配置された反射物体(W)の位置を光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
1つ又は複数の基準測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された前記第1光基準ビーム(31、32)の位置を求める段階とを含み、
1つ又は複数のさらなる追加の測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第2光基準ビームの位置を求める段階と、
前記1つ又は複数の基準測定値及び前記1つ又は複数のさらなる追加の測定値の間を補間することによって補正を求める段階と、
前記1つ又は複数の物体測定値に前記補正を適用する段階とを特徴とする方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射レンズ系(PS)と、
所定の平面内の測定位置(30)に測定ビーム(31’、32’)を向け、基準位置(36)に基準ビーム(31、32)を向けるように配置された投射ブランチ(21)と、
前記測定ビーム及び前記基準ビームの横方向変位を測定するように配置された検出ブランチ(22)と、
前記所定の平面内の第1反射面(100)を有する物体(W)を支持する基板ステージ(WTb)と、
前記投射レンズ系及び前記第1反射面の位置の影響を受けないように配置された光基準経路を介して前記基準ビームを前記レベル・センサ検出ブランチに向けるように配置された光基準素子(35、35’、60、61、62)とを備え、
前記投射ブランチ及び前記基準ブランチの少なくとも1つが、前記投射ブランチ及び前記基準ブランチの少なくとも1つで少なくとも部分的にほぼ等しい光路に沿って前記測定ビーム及び前記基準ビームを向けるように構成されるリソグラフィ装置であって、
前記光基準素子が、前記投射ブランチと前記所定の平面の間に配置されることを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項2】
前記投射ブランチ及び前記検出ブランチの少なくとも1つが、少なくとも部分的にほぼ平行な光路に沿って前記測定ビーム及び前記基準ビームを向けるように配置されることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記投射ブランチ及び前記検出ブランチの少なくとも1つが、少なくとも部分的に重なる光路に沿って前記測定ビーム及び前記基準ビームを向けるように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
測定面内の光測定経路を有し、前記光測定経路が、前記測定ビームがそれに沿って進む、前記測定ブランチから前記検出ブランチまでの経路であるリソグラフィ装置であって、前記光測定経路及び前記光基準経路の少なくとも1つの少なくとも一部の屈折率の前記測定面に沿った勾配を、所定の値に設定するように配置された制御手段(35)を特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記光基準素子が、前記投射ブランチから前記基準ビームを受けるように配置された入力面と、前記入力面からの前記基準ビームを内反射するように配置された第2反射面と、前記反射ビームを出力するように配置された出力面とを有するプリズムを備えることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
前記測定ビームと前記基準ビームが、前記投射ブランチと前記基準ブランチの両方で平行であること、
前記測定位置及び前記基準位置が、前記投射ブランチ及び前記基準ブランチの焦点にあること、及び
前記基準ビームが前記第2反射面によって第1位置で反射された後、前記基準位置で前記基準ビームを前記第2反射面上の第2位置に反射するように配置された第3反射面を特徴とする請求項5に記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記第1位置が、前記第2反射面の第1下面上にあり、前記第2位置が、前記第2反射面の第2下面上にあり、前記第1下面と前記第2下面が角度をなすように配置されることを特徴とする請求項6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記入力面及び前記出力面の少なくとも1つが、前記基準ビームの前記光路に対して垂直である請求項5から7までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
前記投射ブランチ、前記検出ブランチ、及び前記光基準素子が1つ又は複数の追加の測定ビームを収容するように配置されることを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記投射ブランチが、1つ又は複数の追加の光基準ビームを1つ又は複数の追加の基準位置に向けるように配置され、
前記検出ブランチが、前記1つ又は複数の追加の基準位置の横方向変位を測定するように配置され、
前記光基準素子が、前記1つ又は複数の追加の基準ビームを、前記投射レンズ系及び前記第1反射面の位置の影響を受けない1つ又は複数の追加の光基準経路を介して前記検出ブランチに向けるように配置され、
前記測定ビーム、前記基準ビーム、及び前記追加の基準ビームが、前記投射ブランチ及び前記基準ブランチの少なくとも1つで少なくとも部分的にほぼ等しいことを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビーム(31’、32’)を反射するように配置された反射物体の位置を前記光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
前記1つ又は複数の基準測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第1光基準ビーム(31、32)の位置を求める段階とを含み、
前記1つ又は複数の物体測定値及び前記1つ又は複数の基準測定値に基づいて、前記光測定ビームの位置と前記第1光基準ビームの位置との間の第1の関係を求める段階と、
前記第1の関係を使用して、前記1つ又は複数の基準測定値で前記1つ又は複数の物体測定値を補正する段階とを特徴とする方法。
【請求項12】
少なくとも2つの物体測定値及び少なくとも2つの基準測定値のうちの少なくとも1つを使用して前記第1の関係を求めることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ又は複数の物体測定のうちの第1の測定の後に前記1つ又は複数の基準測定の少なくとも一部を実施することを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ又は複数の物体測定のうちの少なくとも2つを実施する間に前記反射物体を走査することを特徴とする請求項11から13までのいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記1つ又は複数の物体測定値及び前記1つ又は複数の基準測定値に基づいて相関関数を計算することを特徴とする請求項11から14までのいずれかに記載の方法。
【請求項16】
フーリエ領域で相関関数を計算し、前記1つ又は複数の物体測定値を補正することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フーリエ領域の一部のみで前記1つ又は複数の物体測定値を補正することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の関係を使用して前記1つ又は複数の基準測定値で補正された前記1つ又は複数の物体測定値が、1つ又は複数の補正後測定値を形成する方法であって、
1つ又は複数の追加の基準測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第2光基準ビームの位置を求めること、
前記1つ又は複数の補正後測定値と前記1つ又は複数の追加の基準測定値との間の第2の関係を求めること、
前記第2の関係を使用して、前記1つ又は複数の追加の測定値で前記1つ又は複数の補正後測定値を補正することを特徴とする請求項11から17までのいずれかに記載の方法。
【請求項19】
2つ以上の物体測定を実施することを特徴とする請求項11から18までのいずれかに記載の方法。
【請求項20】
レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビーム(31’、32’)を反射するように配置された反射物体(W)の位置を光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
1つ又は複数の基準測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第1光基準ビーム(31、32)の位置を求める段階と、
1つ又は複数のさらなる追加の測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第2光基準ビーム(31、32)の位置を求める段階とを含み、
前記1つ又は複数の基準測定値及び前記1つ又は複数のさらなる追加の測定値に基づいて、前記第1光基準ビームの位置と前記第2光基準ビームの位置との間の第3の関係を求める段階と、
前記第3の関係を使用して、前記1つ又は複数の基準測定値及び前記1つ又は複数のさらなる追加の測定値で前記1つ又は複数の物体測定値を補正する段階とを特徴とする方法。
【請求項21】
レベル・センサ測定値を基準測定値で補正する方法であって、
1つ又は複数の物体測定を実施して、光測定ビーム(31’、32’)を反射するように配置された反射物体(W)の位置を光測定ビームの位置を測定することによって求める段階と、
1つ又は複数の基準測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された前記第1光基準ビーム(31、32)の位置を求める段階とを含み、
1つ又は複数のさらなる追加の測定を実施して、前記反射物体から離れて配置された第2光基準ビームの位置を求める段階と、
前記1つ又は複数の基準測定値及び前記1つ又は複数のさらなる追加の測定値の間を補間することによって補正を求める段階と、
前記1つ又は複数の物体測定値に前記補正を適用する段階とを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−337373(P2006−337373A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−155056(P2006−155056)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】