説明

レーザー光出射装置、及び画像形成装置

【課題】レーザー光を遮蔽する遮光部材の強度を向上することが容易なレーザー光出射装置、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】レーザー光出射装置104は、レーザー光を出射する出射部2と、出射部2を収容し、出射部2から出射されたレーザー光が外部へ通り抜けるように形成された開口部45を有するハウジング43と、軸方向と直交する方向に貫通する貫通孔32が設けられた円柱形の円筒シャッター3とを備え、円筒シャッター3は、軸方向がレーザー光と交差する方向に向けられ、開口部45を塞ぐように配設され、かつ軸回りに回動自在にされるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を出射するレーザー光出射装置、およびこのレーザー光出射装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の画像形成装置は、感光体をレーザー光で走査するレーザー走査ユニット(LSU)を備えている。レーザー光は、人体、特に眼球に対して有害である。そのため、レーザー走査ユニットは、画像形成装置の筐体内に収容され、レーザー光が筐体の外に漏れないようにされている。
【0003】
ところで、画像形成装置の筐体には、保守点検の際や、紙詰まりを解消する際に、保守作業者やユーザーが装置内部にアクセス可能とする開閉扉が設けられている。そのため、開閉扉が開かれたときに、開閉扉と連動してレーザー走査ユニットから出射されるレーザー光を遮蔽するシャッターを備えた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載のシャッターは、板状の形状を有している。そして、シャッターの端部に設けられた回動軸を中心にシャッターが回動されることによって、シャッターが開閉されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−208848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような板状のシャッターは、肉厚の薄い板状の部材を、回動軸を中心に回動させて開閉する構造のため、シャッターの強度を確保するのが容易でないといいう不都合があった。
【0007】
本発明の目的は、レーザー光を遮蔽する遮光部材の強度を向上することが容易なレーザー光出射装置、およびこのレーザー光出射装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレーザー光出射装置は、レーザー光を出射する出射部と、前記出射部を収容し、前記出射部から出射されたレーザー光を外部へ通過させる開口部を有するハウジングと、軸方向と直交する方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔が貫通する方向の幅と前記貫通孔が貫通する方向と直交する方向の幅とが実質的に同一である遮光部材とを備え、前記遮光部材は、前記軸方向が前記レーザー光の通過方向と交差する方向に向けられ、前記開口部を塞ぐように配設され、かつ軸回りに回動することにより前記貫通孔に前記レーザー光を通過させる開姿勢と前記貫通孔の貫通する方向が前記レーザー光の通過方向と交差する閉姿勢とを取り得るように回動可能に支持されている。
【0009】
この構成によれば、貫通孔が設けられた遮光部材がハウジングの開口部を塞ぐように配設されている。そして、遮光部材は軸回りに回動することにより貫通孔にレーザー光を通過させる開姿勢と貫通孔の貫通する方向が前記レーザー光の通過方向と交差する閉姿勢とを取り得るようにされているので、遮光部材に開姿勢をとらせる向きに遮光部材を回動させることによって、レーザー光をレーザー光出射装置の外部へ出射させることができる。また、遮光部材に閉姿勢をとらせる向きに遮光部材を回動させることによって、レーザー光を遮蔽することができる。そして、遮光部材は、貫通孔が貫通する方向の幅と貫通孔が貫通する方向と直交する方向の幅とが実質的に同一とされているので、板状の部材よりも遮光部材が肉厚となる。従って、遮光部材の強度を向上することが容易となる。
【0010】
また、前記出射部は、前記レーザー光を直線状の走査方向に沿って走査し、前記開口部は、前記走査方向に沿って延びる長尺の開口部であり、前記貫通孔は、前記軸方向に沿って長尺の長孔であることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、レーザー光出射装置が、レーザー光による走査を行うレーザー光走査装置である場合であっても、遮光部材に開姿勢とらせるように遮光部材を回動させることによって、遮光部材の貫通孔を介してレーザー光の走査を行うことができる。また、遮光部材に閉姿勢をとらせるように遮光部材を回動させることによって、レーザー光を遮蔽することができる。
【0012】
また、前記貫通孔の長手方向と直交する方向の孔の幅は、前記貫通孔の両端部よりも前記両端部に挟まれた内側の方が広いことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、レーザー光の通路となる貫通孔の幅が、撓みにくい貫通孔の両端部よりも、撓みやすい貫通孔の中央付近で広くなる。従って、貫通孔の中央付近で遮光部材が撓んだ場合であっても、遮光部材の撓みによってレーザー光が妨げられるおそれが低減される。
【0014】
また、前記貫通孔の前記レーザー光の通過方向に沿った幅は、前記貫通孔の両側の開口端が、前記貫通孔の両側の開口端に挟まれた内側よりも広い幅であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、貫通孔の入口と出口が貫通孔の内部よりも拡げられている。従って、軸方向と直交する方向の貫通孔の幅が一定である場合よりも、貫通孔をレーザー光が通過可能な遮光部材の回転角度範囲が広くなる。その結果、レーザー光をレーザー光出射装置の外部へ出射させる際に必要となる遮光部材の位置決め精度を低下させることができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、上述のレーザー光出射装置と、前記レーザー光出射装置から出射されたレーザー光によって、感光体を感光させることにより画像を形成する画像形成部と、前記レーザー光出射装置と前記画像形成部とを収容する筐体と、前記筐体に開閉自在に取り付けられた開閉扉と、前記開閉扉の開閉と連動して前記遮光部材を回動させる連動機構とを備え、前記連動機構は、前記開閉扉が閉状態のとき、前記遮光部材の姿勢が前記開姿勢となるように前記遮光部材の回転位置を位置決めし、前記開閉扉が開状態のとき、前記遮光部材の姿勢が前記閉姿勢となるように前記遮光部材の回転位置を位置決めする。
【0017】
この構成によれば、レーザー光出射装置を用いた画像形成装置の開閉扉が開かれると、連動機構によって、遮光部材の回転位置が閉姿勢となるように遮光部材が位置決めされ、レーザー光が遮光される。これにより、ユーザーや保守作業者が画像形成装置の開閉扉を開いた場合、遮光部材によってレーザー光出射装置からのレーザー光が遮光される結果、安全性が高められる。また、開閉扉が閉じられると、連動機構によって、遮光部材の回転位置が開姿勢となるように遮光部材が位置決めされ、レーザー光が遮光部材の貫通孔を通過可能にされる。これにより、ユーザーや保守作業者が画像形成装置の開閉扉を閉めた場合、レーザー光出射装置からのレーザー光によって感光体を感光させて、画像を形成することが可能となる。
【0018】
また、前記遮光部材は、その両端から軸方向外側へ突出する軸芯を備え、前記軸芯の両側には、前記軸芯と直交する方向に延びる第1及び第2レバーが設けられ、前記開閉扉は第1開閉扉と第2開閉扉とを含み、前記連動機構は、前記第1開閉扉の閉状態から開状態への変化に連動して所定の第1方向へスライドし、前記第1方向へのスライドに伴い前記第1レバーを押圧することで前記遮光部材を第2方向へ回転させて前記閉姿勢にさせる第1リンクレバーと、前記第2開閉扉の閉状態から開状態への変化に連動して前記第1方向とは逆方向の第3方向へスライドし、前記第3方向へのスライドに伴い前記第2レバーを押圧することで前記遮光部材を前記第1方向に回転させて前記閉姿勢にさせる第2リンクレバーとを備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、開閉扉を二つ備えた画像形成装置において、いずれか一方の開閉扉が開かれると、連動機構によって、遮光部材の回転位置が閉姿勢となるように遮光部材が位置決めされ、レーザー光が遮光される。
【0020】
また、前記第1リンクレバーは、前記第1開閉扉の開状態から閉状態への変化に連動して前記第3方向へスライドし、前記第2リンクレバーは、前記第2開閉扉の開状態から閉状態への変化に連動して前記第1方向へスライドし、前記連動機構は、前記遮光部材を前記第2方向とは逆方向の第4方向へ回転させる付勢力を前記遮光部材に付与する付勢部材と、前記付勢力に抗して、前記遮光部材の回転を前記開姿勢で押しとどめる回転止部材とをさらに備えることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、開閉扉を二つ備えた画像形成装置において、両方の開閉扉が閉じられると、第1及び第2リンクレバーによる第1及び第2レバーの押圧が解除される。そうすると、遮光部材は、付勢部材によって付勢された付勢力によって第4方向へ回転し、回転止部材によって押しとどめられて開姿勢に位置決めされる。
【発明の効果】
【0022】
このような構成のレーザー光出射装置及び画像形成装置は、レーザー光を遮断する遮光部材の強度を向上することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すレーザー走査ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示すレーザー走査ユニット104のIII−III断面を示す断面図である。図3(a)は円筒シャッターが開姿勢に位置するときのレーザー走査ユニット全体の断面を示し、図3(b)は円筒シャッターが閉姿勢に位置するときの円筒シャッターの断面を示している。
【図4】図2に示す円筒シャッターの構成の一例を示す斜視図である。
【図5】図2に示す円筒シャッターの構成の一例を示す正面図である。
【図6】右カバーの開閉動作と、円筒シャッターの回動動作とを連動させる連動機構の構成の一例を示す説明図である。
【図7】図2に示す円筒シャッターの開閉動作を説明するための説明図である。
【図8】図4に示すシャッター部のVII−VII断面の変形例を示す断面図である。
【図9】貫通孔の両側の開口端の幅W2が、貫通孔の内部よりも広い形状とされていることにより得られる効果を説明するための説明図である。
【図10】図5に示す円筒シャッターの変形例を、貫通孔の開口方向から見た正面図である。
【図11】図6に示す連動機構の変形例を示す説明図である。
【図12】図11に示す連動機構の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は本発明の一実施形態に係るプリンターの概略構成を示す断面図である。
【0025】
図1に示すように、このプリンター(画像形成装置の一例)1は、箱状の筐体101内に、画像形成部100、レーザー走査ユニット(レーザー光出射装置の一例)104、及び給紙カセット210,220が収容されて構成されている。給紙カセット210,220は、プリンター1の下部に、着脱自在に配設されている。
【0026】
画像形成部100は、帯電装置102、感光体ドラム103(感光体の一例)、現像装置105、転写ローラ106、クリーニング装置107、及び定着ローラユニット108を備えている。
【0027】
画像形成部100では、帯電装置102によって図中のA方向に回転する感光体ドラム103の周面が一様に帯電される。そして、外部から入力された印字データに基づくレーザー光Bが、レーザー走査ユニット104によってその感光体ドラム103の周面に照射されて静電潜像が形成され、感光体ドラム103の周面に形成された静電潜像に現像装置105からトナーが供給されることによってその感光体ドラム103の周面にトナー像が形成されるようになっている。
【0028】
給紙カセット210,220には、用紙Pが収容されている。給紙カセット210,220と画像形成部100との間には、搬送路300が配設されている。搬送路300には、給紙ローラ対213,223、搬送ローラ対214,224、及びレジストローラ対215が設けられている。
【0029】
そして、給紙カセット210,220から搬送路300へ、ピックアップローラ212,222によって用紙Pが繰り出され、搬送路300によって、用紙Pが感光体ドラム103に向けて搬送され、転写ローラ106により感光体ドラム103表面のトナー像が用紙Pの表面に転写されるようになっている。転写後の感光体ドラム103に残留したトナーは、クリーニング装置107によって除去され、その後の感光体ドラム103の残留電荷は除電装置(図略)によって除去されるようになっている。
【0030】
そして、転写ローラ106によって、感光体ドラム103のトナー像が転写された用紙Pは定着ローラユニット108に搬送され、ここで用紙Pのトナー像が定着される。用紙Pは、そのまま(或いは、図略のスイッチバック部で反転されて両面プリントされた後に)、排出ローラ対110により排紙トレイ119に排出されるようになっている。
【0031】
筐体101の右側面には右カバー111(第1開閉扉の一例)が設けられ、筐体101の左側面には左カバー113(第2開閉扉の一例)が設けられている。右カバー111の下側端部には軸112が設けられている。右カバー111は、軸112によって軸支され、軸回りに回動することによって開閉可能にされている。左カバー113の下側端部には軸114が設けられている。左カバー113は、軸114によって軸支され、軸回りに回動することによって開閉可能にされている。
【0032】
なお、開閉扉は一つであってもよく、三つ以上あってもよい。また、画像形成装置は、プリンターに限られず、複写機、ファクシミリ、複合機等であってもよい。
【0033】
図2は、図1に示すレーザー走査ユニット104の構成の一例を示す斜視図である。図3は、図2に示すレーザー走査ユニット104のIII−III断面を示す断面図である。図3(a)は、円筒シャッター3が開姿勢に位置するときのレーザー走査ユニット104全体の断面を示し、図3(b)は、円筒シャッターが閉姿勢に位置するときの円筒シャッター3の断面を示す部分断面図である。
【0034】
図2、図3に示すレーザー走査ユニット104は、一方が開口した有底の容器状のフレーム41と、フレーム41の開口を塞ぐカバー42とを備えている。そして、フレーム41とカバー42とが組み合わされて、ハウジング43が構成されている。
【0035】
ハウジング43の側壁面44には、レーザー光をハウジング43の外部へ取り出すための、長尺の開口部45が形成されている。そして、レーザー走査ユニット104は、側壁面44が感光体ドラム103と対向するように、筐体101内に配設されている。以下、レーザー走査ユニット104の、側壁面44側を前方、側壁面44と反対側を後方と称する。
【0036】
開口部45の内側には、遮光部材の一例である円筒シャッター3が配設されている。図4は、図2に示す円筒シャッター3の構成の一例を示す斜視図である。図5は、図2に示す円筒シャッター3の構成の一例を示す正面図である。
【0037】
円筒シャッター3は、長尺の円筒形の部材からなるシャッター部30を備えている。シャッター部30には、軸方向と直交する方向に貫通する貫通孔32が設けられている。シャッター部30は、開口部45の内側に、開口部45の長手方向とシャッター部30の軸方向とが沿うように、かつ開口部45を塞ぐように配設されている。なお、シャッター部30は、開口部45の外側に、開口部45を塞ぐように配設されていてもよい。
【0038】
円筒シャッター3は、シャッター部30の両端部から前記軸方向の延長線上の外側へ延びる軸芯31を備えている。軸芯31は、ハウジング43の側面に形成された孔に挿通されている。ハウジング43の孔は、軸受けとして機能し、軸芯31を回動可能に支持している。シャッター部30は、軸芯31の軸回りに一体的に回動する。一方の軸芯31は、ハウジング43の外部に、径方向外側へ突出する一対のレバー33a,33bを備える。レバー33a,33bは、軸芯の周方向に180°の間隔を置いて取り付けられている。レバー33aは第1レバーの一例に相当し、レバー33bは第2レバーの一例に相当している。
【0039】
また、軸芯31には、軸芯31と直交する方向に突出する係合部34が設けられている。係合部34には、付勢バネ35の一端が係合されている。付勢バネ35の他端は、例えばプリンター1のフレームに固着された係合部11に係合されている。付勢バネ35は、付勢部材の一例に相当している。なお、付勢部材は、バネに限られず、ゴム等の弾性部材であってもよい。
【0040】
そして、付勢バネ35が収縮しようとする力によって、軸芯31が図中D方向に回転される。プリンター1のフレームには、フレームから軸芯31へ向かって突出する回転止12(回転止部材の一例)が設けられている。そのため、付勢バネ35によって回転した円筒シャッター3は、レバー33aが回転止12に当たることによって、円筒シャッター3の回転が衝止される。
【0041】
このように、レバー33aが回転止12に当たることによって、円筒シャッター3の回転位置が位置決めされたときの円筒シャッター3の姿勢を、開姿勢と称する。一方、円筒シャッター3が、貫通孔32の貫通方向がレーザー光の出射方向と交差する回転角度にされた姿勢を閉姿勢と称する。
【0042】
円筒シャッター3は、開姿勢になったとき、開口部45の開口方向と貫通孔32の貫通方向とが一致し、貫通孔32の貫通方向がレーザー光の出射方向と一致するようにされている。また、円筒シャッター3は、閉姿勢になったとき、レーザー光を遮断するようにされている。
【0043】
さらに、シャッター部30は、円筒であるから、貫通孔32の貫通方向の幅(径)と貫通孔32の貫通方向と直交する方向の幅(径)とが同一である。なお、実質的に同一、とは、製造誤差によるばらつきや、シャッター部30を貫通孔32が貫通することにより、シャッター部30の貫通方向の径が貫通方向と直交する方向の径よりわずかに短くなっている状態を、同一に含める意味である。
【0044】
また、シャッター部30の形状は、必ずしも円筒でなくてもよい。例えばシャッター部30は、中央部で最も太く、両端に近づくほど徐々に径が細くなる所謂クラウン形状(樽型)であってもよい。また、シャッター部30の断面形状も必ずしも円に限らない。シャッター部30の断面形状は、例えば8角形や6角形等の多角形であってもよい。
【0045】
フレーム41の底部には、出射部2が配設されている。出射部2は、レーザー装置21と、ポリゴンミラー22と、Fシータレンズ23とから構成されている。ポリゴンミラー22は、例えば正六角形の多面鏡である。ポリゴンミラー22は、フレーム41の後方の底部に配設されている。そして、ポリゴンミラー22は、図略のモーターによって、フレーム41の底面と直交する軸回りに図中C方向に一定速度で回転される。
【0046】
レーザー装置21は、例えば半導体レーザーである。なお、レーザー装置21は、レーザー光を出力するものであればよく、半導体レーザーに限らない。レーザー装置21は、ポリゴンミラー22に向かってレーザー光Bを照射する。そうすると、ポリゴンミラー22の回転に伴い、レーザー光Bの反射角が変化し、レーザー光Bが主走査方向に走査される。
【0047】
ポリゴンミラー22によって反射されたレーザー光Bは、Fシータレンズ23を透過し、開姿勢にされた円筒シャッター3の貫通孔32を介して感光体ドラム103に照射される。
【0048】
図6は、右カバー111の開閉動作と、円筒シャッター3の回動動作とを連動させる連動機構の構成の一例を示す説明図である。図6に示す連動機構5は、ピニオンギア51と、リンクレバー52と、リンクレバー53(第1リンクレバーの一例)とを備えている。
【0049】
ピニオンギア51は、右カバー111の軸112と同軸に固着されている。ピニオンギア51は、右カバー111の開閉に伴い、右カバー111と連動して回動するようになっている。
【0050】
リンクレバー52は、長尺の板状部材である。リンクレバー52の長手方向の一辺には、ピニオンギア51と咬合するラック521が形成されている。リンクレバー52は、その一方の端部付近でラック521とピニオンギア51とが咬合し、リンクレバー52の他端がレバー33aの近傍に達するように立設されている。リンクレバー52の他端近傍には、リンクレバー52の長手方向に対して斜め方向に延びる長孔520が形成されている。また、リンクレバー52は、長手方向にスライド可能にされている。
【0051】
これにより、右カバー111が開かれると、ピニオンギア51が図中時計回りに回転し、ピニオンギア51の回転に伴いリンクレバー52が図中E方向にスライドされる。一方、右カバー111が閉められると、ピニオンギア51が図中反時計回りに回転し、ピニオンギア51の回転に伴いリンクレバー52が図中F方向にスライドされる。
【0052】
リンクレバー53は、長尺の板状部材である。リンクレバー53は、長手方向が略水平になるように配設されており、長手方向にスライド可能にされている。また、リンクレバー53の一端付近には、突起531が設けられている。突起531は、リンクレバー52の長孔520に嵌め込まれて長孔520と係合するようにされている。
【0053】
これにより、リンクレバー52が図中E方向にスライドすると、突起531が長孔520によってガイドされて、リンクレバー53が図中G方向(第1方向)にスライドする。また、リンクレバー52が図中F方向にスライドすると、突起531が長孔520によってガイドされて、リンクレバー53が図中H方向(第3方向)にスライドする。
【0054】
図7は、図2に示す円筒シャッター3の開閉動作を説明するための説明図である。図7においては、図4に示すVII−VII断面図によって、シャッター部30の姿勢を示している。まず、右カバー111及び左カバー113が両方閉じているときは、レバー33a,33bは、リンクレバー53,54から押圧力を受けない。従って、図7(a)に示すように、付勢バネ35によって円筒シャッター3が反時計回りのD方向(第4方向)に回動する方向に付勢される一方で、レバー33aが回転止12に当接する。これにより、円筒シャッター3が開姿勢に位置決めされる。
【0055】
右カバー111が開かれると、図7(b)に示すように、リンクレバー53がG方向にスライドする。そして、リンクレバー53の先端がレバー33aを押圧し、円筒シャッター3が付勢バネ35の付勢力に抗して図中時計回り(第2方向)に、約90°回転する。そうすると、円筒シャッター3が閉姿勢にされて、レーザー光Bが遮蔽される。
【0056】
これにより、ユーザーや保守作業者が右カバー111を開くと、円筒シャッター3によってレーザー光Bが遮蔽されるので、レーザー光が人体に対して害をなすことが防止される。
【0057】
一方、右カバー111が閉められると、ピニオンギア51が図中反時計回りに回転し、ピニオンギア51の回転に伴いリンクレバー52が図6のF方向にスライドされる。リンクレバー52がF方向にスライドすると、突起531が長孔520によってガイドされて、リンクレバー53が図中H方向(第3方向)にスライドする。そうすると、付勢バネ35の付勢力によって円筒シャッター3が反時計回り(第4方向)に回転し、レバー33aが回転止12に当接する。その結果、円筒シャッター3が開姿勢に位置決めされる(図7(a))。
【0058】
これにより、右カバー111が閉じると、円筒シャッター3が開姿勢となって、レーザー光Bがレーザー走査ユニット104から射出可能にされる。
【0059】
また、リンクレバー54は、連動機構5と同様に構成された図略の連動機構によって、左カバー113が閉められると図中J方向(第1方向)にスライドされ、左カバー113が開かれると図中I方向(第3方向)にスライドされるようになっている。リンクレバー54は、第2リンクレバーの一例に相当している。
【0060】
そして、左カバー113が開かれると、図7(c)に示すように、リンクレバー54が図中I方向にスライドし、リンクレバー54の先端がレバー33bを押圧する。そして、円筒シャッター3が付勢バネ35に抗して図中時計回り(第2方向)に、約90°回転する。そうすると、円筒シャッター3が閉姿勢にされて、レーザー光Bが遮蔽される。
【0061】
これにより、ユーザーや保守作業者が左カバー113を開くと、円筒シャッター3によってレーザー光Bが遮蔽されるので、レーザー光が人体に対して害をなすことが防止される。
【0062】
一方、左カバー113が閉められると、リンクレバー54が図中J方向にスライドされる。リンクレバー54が図中J方向にスライドすると、付勢バネ35によって円筒シャッター3が反時計回り(第4方向)に回転し、レバー33aが回転止12によって衝止されて、円筒シャッター3が開姿勢に位置決めされる。
【0063】
これにより、右カバー111及び左カバー113の両方が閉じると、円筒シャッター3が開姿勢となって、レーザー光Bがレーザー走査ユニット104から射出可能にされる。
【0064】
また、右カバー111及び左カバー113の両方が開いたときは、図7(d)に示すように、円筒シャッター3が閉姿勢に位置決めされる。
【0065】
また、円筒シャッター3は、背景技術に記載されているような板状のシャッターよりもシャッター部30を肉厚の部材で構成することが容易なので、シャッター(遮光部材)の強度を向上することが容易である。
【0066】
図8は、図4に示すシャッター部30のVII−VII断面の変形例を示す断面図である。図8に示すシャッター部30aは、貫通孔32aの内壁面のうち、シャッター部30aの軸方向に沿う方向に延びる壁面321,322が、貫通孔32aの内側に凸となる略円弧状となっている。これにより、貫通孔32aの断面形状は、貫通孔32aの両側の開口端の幅W2が、レーザー光Bの通過方向において貫通孔32aの両側の開口端の内側よりも広く、貫通孔32aの深さ方向の略中央部における、貫通孔32aの幅W1すなわち壁面321と壁面322との対向距離が最短になっている。
【0067】
図9は、貫通孔32aの両側の開口端の幅W2が、貫通孔32aの内部よりも広い形状とされていることにより得られる効果を説明するための説明図である。
【0068】
図9(a)、図9(b)は、図4に示すシャッター部30が、レーザー光Bを通過させることができる姿勢を示している。図9(a)に示す角度αは、シャッター部30が開姿勢から反時計回りに回転した場合にレーザー光Bを通過させることができる最大の角度を示している。図9(b)に示す角度αは、シャッター部30が開姿勢から時計回りに回転した場合にレーザー光Bを通過させることができる最大の角度を示している。
【0069】
一方、図9(c)、図9(d)は、図8に示すシャッター部30aが、レーザー光Bを通過させることができる姿勢を示している。図9(c)に示す角度βは、シャッター部30aが開姿勢から反時計回りに回転した場合にレーザー光Bを通過させることができる最大の角度を示している。図9(d)に示す角度βは、シャッター部30aが開姿勢から時計回りに回転した場合にレーザー光Bを通過させることができる最大の角度を示している。
【0070】
図9(a)〜(d)に示すように、角度αよりも角度βの方が大きい。従って、シャッター部30よりもシャッター部30aの方が、開姿勢の位置決め精度を低くできる。その結果、シャッター部30よりもシャッター部30aの方が、連動機構5による位置決め精度が低くてよいので、連動機構5を構成することが容易となる。
【0071】
また、シャッター部30aの開口幅が最も狭い部分の幅W1は、シャッター部30の開口幅と等しいので、シャッター部30aが開姿勢となっているときに塵がフレーム41内に侵入するのを防止する効果は、シャッター部30とシャッター部30aとは同等である。
【0072】
図10は、図5に示す円筒シャッター3の変形例を、貫通孔の開口方向から見た正面図である。図10に示す円筒シャッター3bは、円筒シャッター3とは、貫通孔32bの形状が異なっている。貫通孔32bの長尺方向と直交する方向の開口部の幅は、貫通孔32bの両端部の幅W3よりも、両端部に挟まれた内側、例えば貫通孔32bの長尺方向略中央の幅W4の方が広くなっている。具体的には、貫通孔32bの開口方向から見た貫通孔32bの形状は、例えばクラウン形状(樽型)にされている。
【0073】
長孔形状の貫通孔32,32bは、中央付近では円筒シャッター3,3bが撓みやすい。しかしながら、円筒シャッター3bは、貫通孔32bの両端部の幅W3よりも、貫通孔32bの長尺方向略中央の幅W4の方が広いので、円筒シャッター3bに撓みが生じた場合であっても、レーザー光Bの光路が妨げられるおそれが低減される。
【0074】
なお、図10に示す円筒シャッター3bの、軸方向と直交する方向の断面形状を、図8に示すシャッター部30aと同様にしてもむろんよい。
【0075】
また、レーザー光がポリゴンミラー22によって走査され、貫通孔32,32a,32bが走査方向に沿って延びる長孔にされている例を示したが、レーザー光出射装置は、ポリゴンミラー22を備えず、レーザー光を走査することなく出射するものであってもよい。そして、貫通孔32,32aは、長孔でなく、矩形、あるいは円形等の孔であってもよい。シャッター部30,30a,30bは、貫通孔32,32aの貫通方向の幅と貫通孔32,32aが貫通する方向と直交する方向の幅とが実質的に同一であればよく、貫通孔32,32aが長孔ではない場合、シャッター部30,30a,30bは軸方向に長尺でなくてもよい。
【0076】
また、レーザー光出射装置は、画像形成装置に用いられるものでなくてもよい。
【0077】
図11は、図6に示す連動機構5の変形例を示す説明図である。図11に示す連動機構5aは、連動機構5とは、円筒シャッター3がレバー33a,33bを備えず、代わりに軸芯31にピニオンギア36が取り付けられている点、及びリンクレバー53aの一辺にラック532が形成され、ピニオンギア36とラック532とが咬合している点が異なる。連動機構5aの構成によっても、右カバー111の開閉に連動して、円筒シャッター3を閉姿勢と開姿勢との間で切り替えることができる。
【0078】
図12は、図11に示す連動機構5aの変形例を示す説明図である。図12に示す連動機構5bは、連動機構5aとは、リンクレバー53aを備えず、代わりにリンクレバー52aのラック521とは反対側の一辺にラック522が形成されている点、及びラック522とピニオンギア36とが咬合している点が異なる。
【0079】
連動機構5bは、右カバー111が開閉されたときの円筒シャッター3の回転方向が連動機構5,5aとは逆回転になる。しかしながら、円筒シャッター3は、円筒形状であるから、回転方向にかかわらず、閉姿勢及び開姿勢にすることが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 プリンター
2 出射部
3,3b 円筒シャッター(遮光部材)
5,5a,5b 連動機構
11 係合部
12 回転止(回転止部材)
21 レーザー装置
22 ポリゴンミラー
23 Fシータレンズ
30,30a シャッター部
31 軸芯
32,32a,32b 貫通孔
33a レバー(第1レバー)
33b レバー(第2レバー)
34 係合部
35 付勢バネ(付勢部材)
36 ピニオンギア
41,43 フレーム
42 カバー
44 側壁面
45 開口部
51 ピニオンギア
52,52a リンクレバー
53,53a リンクレバー(第1リンクレバー)
54 リンクレバー(第2リンクレバー)
100 画像形成部
101 筐体
102 帯電装置
103 感光体ドラム(感光体)
104 レーザー走査ユニット(レーザー光出射装置)
105 現像装置
106 転写ローラ
107 クリーニング装置
108 定着ローラユニット
110 排出ローラ対
111 右カバー(第1開閉扉)
112 軸
113 左カバー(第2開閉扉)
114 軸
119 排紙トレイ
210,220 給紙カセット
212,222 ピックアップローラ
213,223 給紙ローラ対
214,224 搬送ローラ対
215 レジストローラ対
300 搬送路
321,322 壁面
520 長孔
521,522,532 ラック
531 突起
B レーザー光
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を出射する出射部と、
前記出射部を収容し、前記出射部から出射されたレーザー光を外部へ通過させる開口部を有するハウジングと、
軸方向と直交する方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔が貫通する方向の幅と前記貫通孔が貫通する方向と直交する方向の幅とが実質的に同一である遮光部材とを備え、
前記遮光部材は、前記軸方向が前記レーザー光の通過方向と交差する方向に向けられ、前記開口部を塞ぐように配設され、かつ軸回りに回動することにより前記貫通孔に前記レーザー光を通過させる開姿勢と前記貫通孔の貫通する方向が前記レーザー光の通過方向と交差する閉姿勢とを取り得るように回動可能に支持されているレーザー光出射装置。
【請求項2】
前記出射部は、前記レーザー光を直線状の走査方向に沿って走査し、
前記開口部は、前記走査方向に沿って延びる長尺の開口部であり、
前記貫通孔は、前記軸方向に沿って長尺の長孔である請求項1記載のレーザー光出射装置。
【請求項3】
前記貫通孔の長手方向と直交する方向の孔の幅は、前記貫通孔の両端部よりも前記両端部に挟まれた内側の方が広い請求項2記載のレーザー光出射装置。
【請求項4】
前記貫通孔の前記レーザー光の通過方向に沿った幅は、前記貫通孔の両側の開口端が、前記貫通孔の両側の開口端に挟まれた内側よりも広い幅である請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー光出射装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー光出射装置と、
前記レーザー光出射装置から出射されたレーザー光によって、感光体を感光させることにより画像を形成する画像形成部と、
前記レーザー光出射装置と前記画像形成部とを収容する筐体と、
前記筐体に開閉自在に取り付けられた開閉扉と、
前記開閉扉の開閉と連動して前記遮光部材を回動させる連動機構とを備え、
前記連動機構は、前記開閉扉が閉状態のとき、前記遮光部材の姿勢が前記開姿勢となるように前記遮光部材の回転位置を位置決めし、前記開閉扉が開状態のとき、前記遮光部材の姿勢が前記閉姿勢となるように前記遮光部材の回転位置を位置決めする画像形成装置。
【請求項6】
前記遮光部材は、その両端から軸方向外側へ突出する軸芯を備え、
前記軸芯の両側には、前記軸芯と直交する方向に延びる第1及び第2レバーが設けられ、
前記開閉扉は第1開閉扉と第2開閉扉とを含み、
前記連動機構は、前記第1開閉扉の閉状態から開状態への変化に連動して所定の第1方向へスライドし、前記第1方向へのスライドに伴い前記第1レバーを押圧することで前記遮光部材を第2方向へ回転させて前記閉姿勢にさせる第1リンクレバーと、前記第2開閉扉の閉状態から開状態への変化に連動して前記第1方向とは逆方向の第3方向へスライドし、前記第3方向へのスライドに伴い前記第2レバーを押圧することで前記遮光部材を前記第1方向に回転させて前記閉姿勢にさせる第2リンクレバーとを備える請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1リンクレバーは、前記第1開閉扉の開状態から閉状態への変化に連動して前記第3方向へスライドし、
前記第2リンクレバーは、前記第2開閉扉の開状態から閉状態への変化に連動して前記第1方向へスライドし、
前記連動機構は、
前記遮光部材を前記第2方向とは逆方向の第4方向へ回転させる付勢力を前記遮光部材に付与する付勢部材と、
前記付勢力に抗して、前記遮光部材の回転を前記開姿勢で押しとどめる回転止部材とをさらに備える請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−44869(P2013−44869A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181474(P2011−181474)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】