説明

レースタイヤ摩耗予測方法及びレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラム、並びにレースタイヤ摩耗予測装置

【課題】より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うこと。
【解決手段】レース走行をする車両5に、処理部11と記憶部12とを有する制御部10を搭載する。また、処理部11には、表示モニタ17と入力部16と走行状態検出センサ15を接続し、さらに、タイヤ20の近傍に設けられた撮像部31を有する画像解析装置30を接続する。記憶部12では、入力部16からの入力によりレース走行前に摩耗データを記憶する。また、画像解析装置30で、レース走行中のタイヤ摩耗状態情報を取得し、走行状態検出センサ15によって走行状態を検出する。処理部11では、これらの情報と記憶された摩耗データとを演算してタイヤ摩耗速度を予測する。従って、レース走行中における走行状態に応じた、当該レース走行時のタイヤ20の摩耗予測をすることができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レースタイヤ摩耗予測方法及びレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラム、並びにレースタイヤ摩耗予測装置に関するものである。特に、この発明は、レース走行中の車両に装着されたタイヤの摩耗を予測することのできるレースタイヤ摩耗予測方法及びレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラム、並びにレースタイヤ摩耗予測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤの摩耗を予測する場合には、タイヤを摩耗予測装置などの試験機に装着し、このような試験機を用いて予測していた。例えば、特許文献1では、タイヤを摩耗予測装置に装着し、タイヤをドラムに接触させて走行させ、そのときのトレッドの踏面部の温度上昇を計測している。上昇温度が大きい場合には、摩擦熱が大きいことになり、摩耗量が多いということになる。これにより、タイヤの摩耗予測を行うことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−264041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のタイヤ摩耗予測装置では、タイヤ単体を摩耗予測装置に装着して摩耗量を予測するが、車両の走行時には、車速度や路面温度などの走行状態が時々刻々と変化する。このため、従来のタイヤ摩耗予測装置によるタイヤの摩耗予測では、実際の車両の走行中におけるタイヤ摩耗予測を行うことが困難なものとなっていた。特に、車両のレース走行中には、タイヤのグリップ力を効率よく使用するため、この場合、より正確にタイヤ摩耗予測を行う必要があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことのできるレースタイヤ摩耗予測方法及びレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラム、並びにレースタイヤ摩耗予測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、車両の走行状態に応じたタイヤ摩耗状態である摩耗データを記憶する手順と、前記車両のレース走行中におけるタイヤ摩耗状態情報を取得する手順と、前記車両のレース走行中における走行状態情報を取得する手順と、少なくとも前記タイヤ摩耗状態情報と前記走行状態情報と前記摩耗データとからタイヤ摩耗速度を予測する手順と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、車両の走行状態に応じたタイヤ摩耗状態である摩耗データを記憶するタイヤ摩耗状態記憶手段と、前記車両のレース走行中におけるタイヤ摩耗状態情報を取得するタイヤ摩耗状態情報取得手段と、前記車両のレース走行中における走行状態情報を取得する走行状態取得手段と、少なくとも前記タイヤ摩耗状態情報取得手段で取得した前記タイヤ摩耗状態情報と前記走行状態取得手段で取得した前記走行状態情報と前記タイヤ摩耗状態記憶手段に記憶された前記摩耗データとを演算してタイヤ摩耗速度を予測するタイヤ摩耗速度予測手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明では、レース走行中のタイヤ摩耗状態情報及び走行状態情報を取得し、これらの情報と前記摩耗データとから車両摩耗速度を予測している。これにより、レース走行中における走行状態に応じた、当該レース走行時の摩耗予測をすることができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0009】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、前記摩耗データには、前記レース前の走行である予備走行時に取得した予備走行時タイヤ摩耗状態情報と、前記予備走行時タイヤ摩耗状態情報取得時の走行状態の情報である予備走行時走行状態情報と、により生成したタイヤの摩耗状態の情報である予備走行時摩耗データが含まれていることを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、前記タイヤ摩耗状態記憶手段が記憶する前記摩耗データには、さらに、前記レース前の走行である予備走行時に取得した予備走行時タイヤ摩耗状態情報と、前記予備走行時タイヤ摩耗状態情報取得時の走行状態の情報である予備走行時走行状態情報と、により生成したタイヤの摩耗状態の情報である予備走行時摩耗データが含まれていることを特徴とする。
【0011】
この発明では、摩耗データに予備走行時摩耗データが含まれているため、タイヤ摩耗速度を予測する際に用いる摩耗データのデータ量が増え、より正確にタイヤ摩耗速度を予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0012】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、前記レース走行時のタイヤ摩耗速度情報を取得する手順と、取得した前記タイヤ摩耗速度情報と前記走行状態情報とにより前記摩耗データを生成する手順と、前記タイヤ摩耗速度情報を取得時の前記摩耗データを、記憶されている前記摩耗データに追加する手順と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、さらに、前記レース走行時のタイヤ摩耗速度情報を取得するレース走行時タイヤ摩耗速度情報取得手段と、前記レース走行時タイヤ摩耗速度情報取得手段で取得した前記タイヤ摩耗速度情報と前記走行状態取得手段で取得した前記走行状態情報とにより前記摩耗データを生成するレース走行時摩耗データ生成手段と、を備えており、前記タイヤ摩耗状態記憶手段は、前記レース走行時摩耗データ生成手段で生成した前記摩耗データを、さらに追加して記憶することを特徴とする。
【0014】
この発明では、レース走行時のタイヤ摩耗速度情報を取得し、このタイヤ摩耗速度情報と前記走行状態情報とから摩耗データを生成し、生成した摩耗データを記憶されている摩耗データに追加している。これにより、摩耗データに、現在のレース走行中のデータが追加されるので、摩耗データより摩耗速度を予測する際に、より正確に予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0015】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、前記タイヤ摩耗状態情報と、予測した前記タイヤ摩耗速度と、によりタイヤ全寿命を推定する手順を含むことを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、さらに、少なくとも前記タイヤ摩耗状態情報取得手段で取得した前記タイヤ摩耗状態情報と、前記タイヤ摩耗速度予測手段で予測した前記タイヤ摩耗速度と、を演算してタイヤ全寿命を推定するタイヤ全寿命推定手段が備えられていることを特徴とする。
【0017】
この発明では、前記タイヤ摩耗状態情報と前記タイヤ摩耗速度とにより、タイヤ全寿命を推定しているので、当該レースの走行可能周回数を推定できる。この結果、レース走行時にタイヤ交換をする周回を推定することができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0018】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、初期全トレッド厚み情報を取得する手順と、前記初期全トレッド厚み情報と、前記タイヤ摩耗状態情報と、予測した前記タイヤ摩耗速度と、によりタイヤ全寿命を推定する手順と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、さらに、初期全トレッド厚み情報を取得する初期全トレッド厚み情報取得手段が備えられており、前記タイヤ全寿命推定手段は、前記タイヤ全寿命を推定する際に前記初期全トレッド厚み情報取得手段で取得した前記初期全トレッド厚み情報を含めて演算することを特徴とする。
【0020】
この発明では、タイヤの初期全トレッド厚み情報を取得し、タイヤ全寿命を推定する際に初期全トレッド厚み情報も用いているので、より正確にタイヤ全寿命を推定することができる。この結果、レース走行時にタイヤ交換をする周回を、より正確に推定することができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0021】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、前記タイヤ摩耗状態情報は、タイヤトレッドに埋設されると共に走行距離によって外部に露出する部分の大きさが変化する色ゴムのうち外部に露出している部分の大きさの変化を撮像し、解析することにより取得することを特徴とする。
【0022】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、前記タイヤには、タイヤトレッドに走行距離によって外部に露出する部分の大きさが変化する色ゴムが埋設されており、前記タイヤ摩耗状態情報取得手段は、前記色ゴムのうち外部に露出している部分を撮像する撮像部が前記タイヤ近傍に位置する画像解析装置に接続されていると共に、前記画像解析装置で解析した情報より前記タイヤ摩耗状態情報を取得することを特徴とする。
【0023】
この発明では、タイヤトレッドに埋設され、露出する部分の大きさが変化する色ゴムを撮像することにより、タイヤ摩耗状態情報を取得している。これにより、レース走行中のタイヤ摩耗状態情報を、より確実に取得することができ、レース走行中のタイヤ摩耗速度を、より確実に予測することができる。この結果、より確実にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0024】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、前記タイヤ摩耗状態情報は、タイヤトレッドに埋設されると共に走行距離によって磁界強度が変化する磁性粉末ゴムの磁界強度の変化により取得することを特徴とする。
【0025】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、前記タイヤには、タイヤトレッドに走行距離によって磁界強度が変化する磁性粉末ゴムが埋設されており、前記タイヤ摩耗状態情報取得手段は、前記タイヤ近傍に位置すると共に前記磁性粉末ゴムの磁界強度を検出する磁気検出装置で検出した情報より前記タイヤ摩耗状態情報を取得することを特徴とする。
【0026】
この発明では、タイヤトレッドに埋設され、走行距離によって磁界強度が変化する磁性粉末ゴムの磁界強度を検出することにより、タイヤ摩耗状態情報を取得している。これにより、レース走行中のタイヤ摩耗状態情報を、より確実に取得することができ、レース走行中のタイヤ摩耗速度を、より確実に予測することができる。この結果、より確実にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0027】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、前記タイヤ摩耗速度を予測する際に、さらに前記車両の車速度または加速度の少なくともいずれか一方を含めて前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする。
【0028】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、前記走行状態取得手段は、前記車両の車速度または加速度の少なくともいずれか一方を検出し、前記タイヤ摩耗速度予測手段は、前記タイヤ摩耗速度を予測する際に、前記車速度または前記加速度の少なくともいずれか一方を含めて演算し、前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする。
【0029】
この発明では、タイヤ摩耗速度を予測する際に、車速度や加速度を含めて予測している。車速度や加速度は、タイヤの摩耗に大きく関係してくるため、これらを含めてタイヤ摩耗速度を予測することにより、より正確に予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0030】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、前記車速度の3〜5乗または前記加速度の1.5〜2.5乗の少なくともいずれか一方を含めて前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする。
【0031】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、前記タイヤ摩耗速度予測手段は、前記車速度の3〜5乗または前記加速度の1.5〜2.5乗の少なくともいずれか一方を含めて演算し、前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする。
【0032】
この発明では、タイヤ摩耗速度を予測する際に、車速度の3〜5乗や加速度の1.5〜2.5乗を含めて予測している。タイヤ摩耗速度は、車速度を3〜5乗したり加速度を1.5〜2.5乗したりして、これらを含めて予測することにより、より正確に予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0033】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、前記タイヤ摩耗速度を予測する際に、さらに路面の温度またはトレッドのコンパウンド情報の少なくともいずれか一方を含めて前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする。
【0034】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、前記タイヤ摩耗速度予測手段には、路面の温度またはトレッドのコンパウンド情報の少なくともいずれか一方を入力する入力手段が接続されており、前記タイヤ摩耗速度予測手段は、前記タイヤ摩耗速度を予測する際に、さらに前記入力手段に入力された情報を含めて演算し、前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする。
【0035】
この発明では、タイヤ摩耗速度を予測する際に、路面の温度やコンパウンド情報を含めて予測している。路面の温度やコンパウンドの種類は、タイヤの摩耗速度に大きく関係してくるため、これらを含めてタイヤ摩耗速度を予測することにより、より正確に予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムによれば、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0036】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、前記車両には、運転席近傍に情報表示手段が設けられており、前記情報表示手段は、前記タイヤ摩耗速度予測手段が予測した前記タイヤ摩耗速度または前記タイヤ摩耗速度に基づく情報を表示することを特徴とする。
【0037】
この発明では、運転席近傍に情報表示手段を設けることにより、タイヤ摩耗速度予測手段が予測したタイヤ摩耗速度や、タイヤ摩耗速度に基づく情報を運転者に対して出力することができる。この結果、運転者は、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を認識することができる。
【0038】
また、この発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、前記車両には、前記タイヤ摩耗速度予測手段が予測した前記タイヤ摩耗速度または前記タイヤ摩耗速度に基づく情報を前記車両の外部に送信する情報送信手段が設けられていることを特徴とする。
【0039】
この発明では、車両に情報送信手段を設けることにより、タイヤ摩耗速度予測手段が予測したタイヤ摩耗速度や、タイヤ摩耗速度に基づく情報を、レース中のピットなど車両の外部に送信することができる。この結果、レース中のタイヤ摩耗予測を、車両の外部で認識することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法は、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる、という効果を奏する。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラムは、前述のレースタイヤ摩耗予測方法がコンピュータを利用して実現できる、という効果を奏する。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法及びレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラム、並びにレースタイヤ摩耗予測装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法及びレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラム、並びにレースタイヤ摩耗予測装置は、競技用の車両に搭載されるものであれば、どのような車両に搭載されていてもよいが、以下の説明では、サーキットを規定の周回数で周回することによるレース競技を走行する車両に搭載されるレースタイヤ摩耗予測方法及びレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラム、並びにレースタイヤ摩耗予測装置について説明する。
【実施例】
【0042】
図1は、本発明の実施例に係るレースタイヤ摩耗予測装置が搭載されている車両の概略図である。同図に示すレースタイヤ摩耗予測装置1は、主にレースで使用される車両5に搭載されており、当該レースタイヤ摩耗予測装置1には、制御部10が設けられている。この制御部10には、前記車両5の走行状態を検出して取得するセンサである走行状態検出センサ15が接続されている。また、制御部10には、制御部10に対して情報を入力する入力手段である入力部16と、制御部10からの情報を表示する情報表示手段である表示モニタ17とが接続されている。これらの入力部16と表示モニタ17とは、共に当該車両5の運転席(図示省略)近傍に設けられている。また、車両5には4つのタイヤ20が設けられているが、タイヤ20の近傍には後述する画像解析装置30の撮像部31が配設されており、画像解析装置30は制御部10に接続されている。
【0043】
図2は、図1に示したレースタイヤ摩耗予測装置の構成図である。また、前記制御部10には、処理部11及び記憶部12が設けられており、これらは互いに接続されている。制御部10に接続されている上記の走行状態検出センサ15、入力部16、表示モニタ17、画像解析装置30は、全て制御部10内の処理部11に接続されている。また、記憶部12には、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法を実現するコンピュータプログラムが格納されている。ここで、記憶部12は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0044】
また、上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムにすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法を実現できるものであってもよい。また、処理部11の機能を実現するための上記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明に係るレースタイヤ摩耗予測方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
【0045】
処理部11は、メモリ(図示省略)及びCPU(図示省略)により構成されている。前記走行状態検出センサ15で検出した車両5の走行状態などからタイヤ20の摩耗を予測する際には、予め設定されている本発明のレースタイヤ摩耗予測方法の手順に基づいて、処理部11が前記コンピュータプログラムを当該処理部11に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部11は、適宜記憶部12へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、この処理部11は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
【0046】
図3は、図1に示した画像解析装置及びタイヤの詳細図である。図4は、図3のA−A断面図である。前記画像解析装置30は、解析部32と撮像部31とにより構成されており、これらは互いに接続されている。このうち撮像部31は、タイヤ20の近傍に設けられており、タイヤトレッド21を撮像可能になっている。この撮像された画像は、解析部32に送られる。また、撮像部31によって撮像されるタイヤ20のタイヤトレッド21には、色ゴム23が埋設されている。この色ゴム23は、タイヤ径方向の外方から内方に向かうに従って径が大きくなる略円錐形の形状で形成されており、さらに、それぞれ色が異なる複数の層がタイヤ20のタイヤ径方向において積層されている。なお、この複数の層は、3層以上となっているのが好ましい。また、色ゴム23は、前記タイヤ20のタイヤ幅方向における2箇所以上に埋設されているのが好ましい。
【0047】
また、前記走行状態検出センサ15は走行状態取得手段として設けられており、この走行状態検出センサ15は、車速度及び加速度を検出する。詳細には、車速度は、車速センサ(図示省略)によって検出し、加速度はGセンサ(図示省略)によって検出する。このうち、車速センサは、車両5の駆動系に設けられるいずれかの回転軸(図示省略)から検出したり、赤外線センサ等により、車両5と路面との相対的な速度を検出したりすることにより、車速度を検出する。また、Gセンサは、車両5の進行方向の加速度を検出する。これらの走行状態検出センサ15で検出した結果は、制御部10に伝達される。
【0048】
前記入力部16は、表示モニタ17付近に設けられた入力スイッチ(図示省略)や表示モニタ17上に形成されたタッチパネル(図示省略)等により形成されており、表示モニタ17を視認しながら情報を入力できるようになっている。入力する情報は、タイヤ20の初期全トレッド厚みや、車両5が走行する路面の温度、つまり路温、路面の粗さや路面が乾いているか等の路面情報などである。入力部16で入力されたこれらの各情報は、制御部10に伝達される。また、表示モニタ17には、レースタイヤ摩耗予測方法で予測されたタイヤ摩耗速度や、推定されたタイヤ全寿命が表示される。この表示モニタ17は運転席近傍に設けられているため、運転者は表示モニタ17を視認することができ、前記タイヤ全寿命などを認識できる。また、この表示モニタ17は、液晶パネルや発光ダイオードパネルなど、表示内容を視認することができるものであれば、どのようなものでもよい。
【0049】
この実施例に係るレースタイヤ摩耗予測装置1は以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。前記レースタイヤ摩耗予測装置1が搭載される車両5がレース走行をする場合には、制御部10が、後述するように記憶部12に予め記憶されたタイヤ20の摩耗データや走行状態検出センサ15での検出結果、また、入力部16で入力した情報より、タイヤ摩耗速度を予測する。さらに、このタイヤ摩耗速度より、タイヤ全寿命を推定し、その結果を前記表示モニタ17に表示する。
【0050】
また、車両5がレース走行をすると、当該車両5に装着されているタイヤ20の踏面22は摩耗し、走行距離が長くなるに従って摩耗の度合いも大きくなってくる。このため、タイヤ20の外径は走行距離が長くなり、タイヤ20が摩耗するに従って小さくなる。このタイヤ20には色ゴム23が埋設されており、色ゴム23は略円錐形の形状で形成されている。また、この色ゴム23は、タイヤ20のタイヤ径方向外方からタイヤ径方向内方に向かうに従って、円錐の径が大きくなる形状で形成されており、最もタイヤ20のタイヤ径方向外方に位置する面のみが外部に露出している。このため、タイヤ20が摩耗してタイヤ20の外径が小さくなるに従って、色ゴム23は径が大きい部分が外部に露出することになるので、露出している部分の面積は大きくなる。また、当該色ゴム23は、異なる色の層が積層されているので、タイヤ20の摩耗が進行するに従って、色ゴム23のうち外部に露出する部分の色は変化する。
【0051】
画像解析装置30の撮像部31は、このように走行距離に応じて外部に露出している部分の色ゴム23が変化するタイヤ20の踏面22を撮像している。撮像された画像は、画像解析装置30の解析部32に伝達される。解析部32では、撮像部31が撮像した画像より、色ゴム23の大きさ及び色を判断し、色ゴム23の大きさと色とからタイヤ20の摩耗状態を解析する。
【0052】
図5は、レースタイヤ摩耗予測方法の処理手順を示すフロー図である。当該レースタイヤ摩耗予測装置1による処理手順を詳細に説明すると、まず、車両5の走行前に、予め車両5の走行状態に応じたタイヤ摩耗状態である摩耗データを、制御部10の記憶部12に記憶させる(ステップST1)。つまり、車速度や路温など、車両5のレース走行時においてタイヤ20の摩耗に寄与する各走行状態と、各走行状態におけるタイヤ摩耗状態、つまりタイヤ20の摩耗速度の度合いと、の関係である摩耗データを、記憶部12に記憶させる。この記憶の方法は、制御部10に入力装置(図示量略)を接続して入力装置により入力したり、外部の記憶媒体に記録されている摩耗データを転送したりしてもよい。記憶部12に摩耗データを記憶させる方法は問わない。また、記憶部12は、このように車両5の走行状態に応じたタイヤ摩耗状態である摩耗データを記憶するタイヤ摩耗状態記憶手段としても設けられている。
【0053】
なお、上述した走行状態は、車速や路温以外でもよく、車速、路温、レース走行をするサーキット、路面情報(粗さ、DRY,WET水深、カント、高低差)、ドライバー(運転者)、LAP TIME(周回時間)、走行距離、加速度、ヨー角速度(前後輪の車両進行方向に対するスリップ角や操安性、即ちアンダーステアやオーバーステアの度合い、車両進行方向に対するスライド量を演算する)、舵角、アクセル開度、ブレーキ圧、荷重、燃料搭載量、イニシャル空気圧、サーモグラフィーによる4輪タイヤ表面温度分布、キャンバー、トー、デフセット(前後輪のスリップ率に影響する)のうち、少なくとも1つの状態が分かればよく、この走行状態と、そのときのタイヤ摩耗状態との関係である摩耗データを記憶部12に記憶させればよい。
【0054】
次に、入力部16からタイヤ20の初期全トレッド厚み情報を入力する(ステップST2)。これにより、初期全トレッド厚み情報は取得され、この初期全トレッド厚み情報は、制御部10の処理部11に伝達され、処理部11から記憶部12に伝達される。さらに、初期全トレッド厚み情報は、この記憶部12で記憶される。また、このように入力部16は、初期全トレッド厚み情報を取得する初期全トレッド厚み情報取得手段としても設けられている。なお、初期全トレッド厚み情報は入力部16からの入力により取得する以外の方法で取得してもよく、例えば、前記摩耗データを外部の記憶媒体から記憶部に転送する際に、同時に初期全トレッド厚み情報も転送し、取得してもよい。
【0055】
当該レースタイヤ摩耗予測装置1が搭載された車両5は、このように車両5のレース走行前に摩耗データを記憶し、初期全トレッド厚み情報が入力された後に、レース走行が開始される。車両5がレース走行を開始すると、前記画像解析装置30は、タイヤ摩耗状態情報を取得する(ステップST3)。つまり、撮像部31でタイヤ20の踏面22を撮像し、撮像された画像内の色ゴム23の大きさや色から解析部32でタイヤ20の摩耗状態を解析する。これにより、車両5の走行中における現在のタイヤ20の摩耗状態、即ち、タイヤ摩耗状態情報を取得することができる。また、このタイヤ摩耗状態情報は、処理部11から記憶部12に伝達される。また、画像解析装置30及び色ゴム23は、車両5が走行している状態においてもタイヤ20の摩耗状態を認識できるように設けられており、タイヤ摩耗状態情報取得手段として設けられている。
【0056】
次に、走行状態検出センサ15により、走行状態情報を取得する(ステップST4)。この走行状態検出センサ15は、前記車速センサやGセンサなどにより、車速度や加速度などの走行状態を検出し、検出結果は走行状態情報として制御部10に伝達される。なお、この走行状態は、上述した走行状態のうち、実際に車両5の走行に関わる走行状態のうち、少なくとも1つの走行状態が検出できればよい。また、走行状態検出センサ15は、このように車両5のレース走行中における走行状態情報を取得する走行状態取得手段として設けられている。
【0057】
次に、レース開始後の数周のタイヤ摩耗速度の情報、即ち、レース走行時のタイヤ摩耗速度情報を、画像解析装置30及び処理部11によって取得する(ステップST5)。つまり、画像解析装置30で取得するタイヤ摩耗状態情報の、所定の走行距離における変化を処理部11で判断する。詳細には、上述した走行状態、例えば、車速や路温などタイヤ20の摩耗に寄与する要因を摩耗因子とし、各摩耗因子をX1、X2、X3、X4・・・とする。さらに、レース開始後の数周のタイヤ摩耗状態情報と、このタイヤ摩耗状態情報取得時における摩耗因子との関係を処理部11で演算して求める。この演算によって、ΔGaをタイヤ20の摩耗量とし、f(X1、X2・・・)を、X1、X2・・・の摩耗因子とタイヤ摩耗状態情報との関係式とした場合における正規化摩耗速度=ΔGa/f(X1、X2、X3、X4・・・)を算出する。この正規化摩耗速度が、レース走行時のタイヤ摩耗速度情報として制御部10に伝達される。また、画像解析装置30及び処理部11は、車両5のレース走行時におけるタイヤ摩耗速度を演算し、取得することができるので、レース走行時タイヤ摩耗速度情報取得手段としても設けられている。
【0058】
次に、上述したレース開始後のタイヤ摩耗速度情報と、走行状態検出センサ15で取得された走行状態情報とにより、処理部11で摩耗データを生成する(ステップST6)。つまり、レース走行中の車両5の走行状態と、各走行状態におけるタイヤ摩耗速度との関係である摩耗データを、処理部11で演算して生成する。また、このように、処理部11は、レース走行時の摩耗データを生成するので、レース走行時摩耗データ生成手段としても設けられている。
【0059】
次に、処理部11で生成したレース走行時の摩耗データを、記憶部12に記憶されている摩耗データに追加する(ステップST7)。つまり、摩耗状態記憶手段となる記憶部12は、車両5がレース走行をする前に摩耗データを記憶しているが、当該記憶部12は、この摩耗データにレース走行時の摩耗データを追加して記憶する。
【0060】
次に、画像解析装置30で解析したタイヤ摩耗状態情報と、走行状態検出センサ15で取得された走行状態情報と、記憶部12に記憶されている摩耗データとにより、処理部11でタイヤ摩耗速度を予測する(ステップST8)。つまり、処理部11で、タイヤ摩耗状態情報と走行状態情報と摩耗データとを演算し、タイヤ摩耗速度を予測する。また、このように、処理部11はタイヤ摩耗速度を予測するので、タイヤ摩耗速度予測手段としても設けられている。
【0061】
次に、入力部16で入力された初期全トレッド厚み情報と、画像解析装置30で解析したタイヤ摩耗状態情報と、処理部11で演算して予測したタイヤ摩耗速度とにより、さらに処理部11でタイヤ全寿命を推定する(ステップST9)。つまり、初期全トレッド厚みと、タイヤ摩耗状態情報と、タイヤ摩耗速度とを演算し、各情報取得時の走行状態でタイヤ20の摩耗が進行した場合のタイヤ20の使用限度を推定する。具体的には、残りGa=Ga−ΔGa=Ga−正規化摩耗速度×f(X’1、X’2、X’3、X’4・・・)により算出する。ここで、Gaはトレッド厚さであり、X’nはレース走行中の各摩耗因子である。このように算出し、残りGa=0になる時点がタイヤ全寿命になる。また、このように、処理部11はタイヤ全寿命を推定するので、タイヤ全寿命推定手段としても設けられている。
【0062】
図6は、表示モニタでの表示結果の一例を示す図である。次に、処理部11で推定したタイヤ全寿命の推定結果を、表示モニタ17に表示する(ステップST10)。表示モニタ17は運転者が視認できるように設けられているので、このように、タイヤ全寿命の推定結果を表示モニタ17に表示することにより、運転者が推定したタイヤ全寿命を認識することができる。なお、このタイヤ全寿命の表示方法は、寿命までの周回数や、寿命までの走行距離など、運転者が認識できる方法であれば、どのような表示方法でもよい。例えば、図6に示すように、レース走行をサーキットとドライバーとを1つの組合せとし、トレッドGa残量、つまり、トレッド厚みごとの路温に対する走行可能周回数によって表示してもよい。
【0063】
以上のレースタイヤ摩耗予測装置1は、レース走行前に記憶部12で摩耗データを記憶し(ステップST1)、画像解析装置30によってレース走行中のタイヤ摩耗状態情報を取得し(ステップST3)、走行状態検出センサ15によって走行状態情報を取得している(ステップST4)。これにより、これらの情報と記憶された摩耗データとを処理部11で演算し、タイヤ摩耗速度を予測している(ステップST8)。従って、レース走行中における走行状態に応じた、当該レース走行時のタイヤ20の摩耗予測をすることができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0064】
また、処理部11でタイヤ摩耗速度を予測する際に、走行状態検出センサ15で車速度と加速度とを検出し、これらを含めて演算してタイヤ摩耗速度を予測している。車速度や加速度は、タイヤ20の摩耗に大きく関与するため、これらを含めてタイヤ摩耗速度を予測することにより、より正確に予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0065】
また、画像解析装置30によってレース走行時のタイヤ摩耗速度情報を取得し(ステップST5)、このタイヤ摩耗速度情報と、前記走行状態検出センサ15で検出した走行状態情報とから処理部11で摩耗データを生成し(ステップST6)、生成した摩耗データを記憶部12に記憶されている摩耗データに追加している(ステップST7)。これにより、記憶部12に記憶されている摩耗データに、現在のレース走行中の摩耗データが追加されるので、摩耗データより摩耗速度を予測する際に、より正確に予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0066】
また、前記画像解析装置30によって取得したタイヤ摩耗状態情報と、前記処理部11で予測したタイヤ摩耗速度とにより、処理部11でタイヤ全寿命を推定している(ステップST9)。これにより、当該レースの走行可能周回数を推定できる。この結果、レース走行時にタイヤ交換をする周回を推定することができる。
【0067】
また、入力部16にタイヤ20の初期全トレッド厚み情報を入力することにより初期全トレッド厚み情報を取得し(ステップST2)、処理部11でタイヤ全寿命を推定する際に初期全トレッド厚み情報も用いているので、より正確にタイヤ全寿命を推定することができる。この結果、レース走行時にタイヤ交換をする周回を、より正確に推定することができる。
【0068】
また、前記画像解析装置30でタイヤ摩耗状態情報を取得する際に、タイヤトレッド21に埋設され、摩耗の度合いによって踏面22に露出する部分の大きさが変化する色ゴム23を撮像することにより取得している。これにより、レース走行中のタイヤ摩耗状態情報を、より確実に取得することができ、レース走行中のタイヤ摩耗速度を、より確実に予測することができる。この結果、より確実にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0069】
また、表示モニタ17が運転席近傍に設けられており、処理部11で予測したタイヤ摩耗速度や、タイヤ全寿命などタイヤ摩耗速度に基づく情報は、表示モニタ17によって運転者に対して出力している(ステップST10)。この結果、運転者は、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を認識することができる。
【0070】
なお、記憶部12が記憶する摩耗データには、車両の実際の走行時のデータが含まれていてもよい。例えば、テスト走行など、レース走行前の車両5の走行である予備走行時に、当該予備走行時のタイヤ摩耗状態情報である予備走行時タイヤ摩耗状態情報を画像解析装置30によって取得し、当該予備走行時タイヤ摩耗状態情報取得時の走行状態の情報である予備走行時走行状態情報を走行状態検出センサ15によって検出する。これらの予備走行時タイヤ摩耗状態情報と予備走行時走行状態情報とを処理部11で演算し、予備走行時の走行状態におけるタイヤ20の摩耗状態の情報である予備走行時摩耗データを生成し、この予備走行時摩耗データを記憶部12が記憶する摩耗データに含ませてもよい。これにより、処理部11でタイヤ摩耗速度を予測する際に用いる摩耗データのデータ量が増え、より正確にタイヤ摩耗速度を予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0071】
なお、前記予備走行は、テスト走行ではなく、タイヤ摩耗速度を予測するレースの前のレース走行でもよい。つまり、レース走行に取得するタイヤ摩耗状態情報や走行状態情報から摩耗データを生成し、この摩耗データを逐次記憶部12に記憶させてもよい。これにより、摩耗データのデータ量が逐次増加していくので、タイヤ摩耗速度を予測する際に、より正確にタイヤ摩耗速度を予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0072】
また、処理部11でタイヤ摩耗速度を予測する際に、走行状態検出センサ15で検出した車速度や加速度は乗算してもよい。例えば、処理部11でタイヤ摩耗速度を予測する際に、車速度の3〜5乗や加速度の1.5〜2.5乗を含めて演算し、タイヤ摩耗速度を予測してもよい。タイヤ摩耗速度は、車速度を3〜5乗したり加速度を1.5〜2.5乗したりして、これらを含めて予測することにより、より正確に予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0073】
また、レース走行をする前に、レース走行時の路温やトレッドコンパウンド情報、つまり、トレッドコンパウンドの種類や物性などを入力部16から入力し、処理部11でタイヤ摩耗速度を予測する際には、これらを含めて演算し、予測してもよい。路面の温度やコンパウンドの物性は、タイヤ20の摩耗速度に大きく関与するため、これらを含めて演算してタイヤ摩耗速度を予測することにより、より正確に予測することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0074】
図7は、実施例に係るレースタイヤ摩耗予測装置の変形例であり、タイヤ摩耗状態情報取得手段として磁気検出装置が用いられた状態を示す概略図である。図8は、図7のB−B断面図である。また、実施例に係るレースタイヤ摩耗予測装置1では、タイヤ摩耗状態情報取得手段として画像解析装置30及び色ゴム23が用いられているが、タイヤ摩耗状態情報取得手段は、これ以外のものによって構成されていてもよい。例えば、図7及び図8に示すように、画像解析装置30の代わりにタイヤ20の近傍に磁気検出装置41を配設し、タイヤ20には磁性粉末を混ぜたゴムである磁性粉末ゴム40を埋設してもよい。この磁性粉末ゴム40は、略円筒形の形状で形成されており、円筒形の軸方向がほぼタイヤ径方向に沿った向きで、タイヤトレッド部の幅方向に、複数本が並んで埋設されている。また、当該磁性粉末ゴム40は、走行距離によって、つまり、タイヤ20が摩耗するに従って磁界強度が変化するように設けられており、タイヤ20の近傍に配設されている磁気検出装置41は、この磁界強度の変化を検出できるように設けられている。
【0075】
これにより、タイヤトレッド21に埋設され、タイヤ20が摩耗するに従って変化する磁性粉末ゴム40の磁界強度を磁気検出装置41で検出することができ、この変化する磁界強度よりタイヤ20の摩耗状態を認識することができるので、タイヤ摩耗状態情報を取得することができる。従って、レース走行中のタイヤ摩耗状態情報を、より確実に取得することができ、レース走行中のタイヤ摩耗速度を、より確実に予測することができる。この結果、より確実にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。なお、磁性粉末ゴム40は、前記タイヤ20のタイヤ幅方向における2箇所以上に埋設されているのが好ましい。
【0076】
図9は、実施例に係るレースタイヤ摩耗予測装置の変形例であり、処理部での演算結果をピット側で受信できる状態を示す概略図である。また、実施例に係るレースタイヤ摩耗予測装置1では、処理部11で推定したタイヤ全寿命の推定結果を、運転席近傍に設けられた表示モニタ17に表示し、運転者が認識するのみであるが、推定結果は車両5の外部で認識できるようにしてもよい。例えば、図9に示すように、車両5に搭載される制御部10の処理部11に、当該処理部11で推定した結果を電波などの搬送波によって送信する情報送信手段となる送信部50を接続してもよい。これにより、処理部11で推定したタイヤ全寿命の推定結果などの情報を、車両5の外部で認識することができる。
【0077】
具体的には、当該車両5がレース走行をするサーキットのピットに、ピット側制御部61を有するピット側摩耗予測装置60を設け、このピット側制御部61に、前記送信部50が送信した情報を受信することができる受信部64を接続する。このピット側制御部61には、前記制御部10と同様に、互いに接続された処理部62と記憶部63とが設けられており、前記受信部64は処理部62に接続され、処理部62にはさらに表示モニタ65と入力部66とが接続されている。このため、車両5に搭載された制御部10内の処理部11で予測したタイヤ摩耗速度や、当該タイヤ摩耗速度に基づく情報であるタイヤ全寿命などを、送信部50で送信し、送信した情報を受信部64で受信できる。また、受信部64で受信した情報は、ピット側制御部61の処理部62を介して表示モニタ65で表示する。さらに、送信部50から複数の情報や多量の情報が送信される場合には、ピット内に設けられたピット側摩耗予測装置60の入力部66で情報を選択することにより、得たい情報を認識することができる。この結果、レース中のタイヤ摩耗予測を、車両5の外部で認識することができる。
【0078】
また、上記ではレース走行をする車両5側の制御部10には送信部50が接続され、ピット側制御部61には受信部64が接続されているが、車両5側の制御部10及びピット側制御部61には、共に送受信部(図示省略)を接続してもよい。これにより、車両5とピットで情報を送受信でき、例えば、レースの途中で気温が急激に下がり、路温が急激に低下するなど、走行状態が変化した場合に、ピット側の入力部66からその変化を入力し、ピット側と車両5側との双方の送受信部を介して、その変化した情報を車両5側に伝達することができる。この結果、より正確にレース走行中のタイヤ摩耗予測を行うことができる。
【0079】
また、車両5に搭載された制御部10内の処理部11では、タイヤ摩耗速度を予測したり、タイヤ全寿命を推定するなど、現在の走行状態を続けた場合の結果を予測したり推定したりしているが、目標に合わせて走行状態を推定してもよい。例えば、装着しているタイヤ20の必要な寿命として、当該タイヤ20で走行すべき周回数を入力部16から入力し、装着しているタイヤ20でその周回数を走り切ることのできる走行状態(加速度やヨー角速度、LAP TIMEなど)を処理部11で推定してもよい。レース走行を、この推定された走行状態で行うことにより、装着しているタイヤ20で過不足なく、予定している周回数を走行することができる。この結果、タイヤ20を効率よく使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明に係るレースタイヤ摩耗予測装置は、走行中の車両に装着されたタイヤの摩耗を予測する場合に有用であり、特に、レース走行をしている車両のタイヤの摩耗を予測する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明を適用したレースタイヤ摩耗予測装置の実施例が搭載されている車両の概略図である。
【図2】図1に示したレースタイヤ摩耗予測装置の構成図である。
【図3】図1に示した画像解析装置及びタイヤの詳細図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】レースタイヤ摩耗予測方法の処理手順を示すフロー図である。
【図6】表示モニタでの表示結果の一例を示す図である。
【図7】実施例に係るレースタイヤ摩耗予測装置の変形例であり、タイヤ摩耗状態情報取得手段として磁気検出装置が用いられた状態を示す概略図である。
【図8】図7のB−B断面図である。
【図9】実施例に係るレースタイヤ摩耗予測装置の変形例であり、処理部での演算結果をピット側で受信できる状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0082】
1 レースタイヤ摩耗予測装置
5 車両
10 制御部
11 処理部
12 記憶部
15 走行状態検出センサ
16 入力部
17 表示モニタ
20 タイヤ
21 タイヤトレッド
22 踏面
23 色ゴム
30 画像解析装置
31 撮像部
32 解析部
40 磁性粉末ゴム
41 磁気検出装置
50 送信部
60 ピット側摩耗予測装置
61 ピット側制御部
62 処理部
63 記憶部
64 受信部
65 表示モニタ
66 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状態に応じたタイヤ摩耗状態である摩耗データを記憶する手順と、
前記車両のレース走行中におけるタイヤ摩耗状態情報を取得する手順と、
前記車両のレース走行中における走行状態情報を取得する手順と、
少なくとも前記タイヤ摩耗状態情報と前記走行状態情報と前記摩耗データとからタイヤ摩耗速度を予測する手順と、
を含むことを特徴とするレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項2】
前記摩耗データには、前記レース前の走行である予備走行時に取得した予備走行時タイヤ摩耗状態情報と、
前記予備走行時タイヤ摩耗状態情報取得時の走行状態の情報である予備走行時走行状態情報と、
により生成したタイヤの摩耗状態の情報である予備走行時摩耗データが含まれていることを特徴とする請求項1に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項3】
前記レース走行時のタイヤ摩耗速度情報を取得する手順と、
取得した前記タイヤ摩耗速度情報と前記走行状態情報とにより前記摩耗データを生成する手順と、
前記タイヤ摩耗速度情報を取得時の前記摩耗データを、記憶されている前記摩耗データに追加する手順と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項4】
前記タイヤ摩耗状態情報と、予測した前記タイヤ摩耗速度と、によりタイヤ全寿命を推定する手順を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項5】
初期全トレッド厚み情報を取得する手順と、
前記初期全トレッド厚み情報と、前記タイヤ摩耗状態情報と、予測した前記タイヤ摩耗速度と、によりタイヤ全寿命を推定する手順と、
を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項6】
前記タイヤ摩耗状態情報は、タイヤトレッドに埋設されると共に走行距離によって外部に露出する部分の大きさが変化する色ゴムのうち外部に露出している部分の大きさの変化を撮像し、解析することにより取得することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項7】
前記タイヤ摩耗状態情報は、タイヤトレッドに埋設されると共に走行距離によって磁界強度が変化する磁性粉末ゴムの磁界強度の変化により取得することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項8】
前記タイヤ摩耗速度を予測する際に、さらに前記車両の車速度または加速度の少なくともいずれか一方を含めて前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項9】
前記車速度の3〜5乗または前記加速度の1.5〜2.5乗の少なくともいずれか一方を含めて前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする請求項8に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項10】
前記タイヤ摩耗速度を予測する際に、さらに路面の温度またはトレッドのコンパウンド情報の少なくともいずれか一方を含めて前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とするレースタイヤ摩耗予測用コンピュータプログラム。
【請求項12】
車両の走行状態に応じたタイヤ摩耗状態である摩耗データを記憶するタイヤ摩耗状態記憶手段と、
前記車両のレース走行中におけるタイヤ摩耗状態情報を取得するタイヤ摩耗状態情報取得手段と、
前記車両のレース走行中における走行状態情報を取得する走行状態取得手段と、
少なくとも前記タイヤ摩耗状態情報取得手段で取得した前記タイヤ摩耗状態情報と前記走行状態取得手段で取得した前記走行状態情報と前記タイヤ摩耗状態記憶手段に記憶された前記摩耗データとを演算してタイヤ摩耗速度を予測するタイヤ摩耗速度予測手段と、
を備えることを特徴とするレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項13】
前記タイヤ摩耗状態記憶手段が記憶する前記摩耗データには、さらに、前記レース前の走行である予備走行時に取得した予備走行時タイヤ摩耗状態情報と、
前記予備走行時タイヤ摩耗状態情報取得時の走行状態の情報である予備走行時走行状態情報と、
により生成したタイヤの摩耗状態の情報である予備走行時摩耗データが含まれていることを特徴とする請求項12に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項14】
さらに、前記レース走行時のタイヤ摩耗速度情報を取得するレース走行時タイヤ摩耗速度情報取得手段と、
前記レース走行時タイヤ摩耗速度情報取得手段で取得した前記タイヤ摩耗速度情報と前記走行状態取得手段で取得した前記走行状態情報とにより前記摩耗データを生成するレース走行時摩耗データ生成手段と、
を備えており、
前記タイヤ摩耗状態記憶手段は、前記レース走行時摩耗データ生成手段で生成した前記摩耗データを、さらに追加して記憶することを特徴とする請求項12または13に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項15】
さらに、少なくとも前記タイヤ摩耗状態情報取得手段で取得した前記タイヤ摩耗状態情報と、前記タイヤ摩耗速度予測手段で予測した前記タイヤ摩耗速度と、を演算してタイヤ全寿命を推定するタイヤ全寿命推定手段が備えられていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項16】
さらに、初期全トレッド厚み情報を取得する初期全トレッド厚み情報取得手段が備えられており、
前記タイヤ全寿命推定手段は、前記タイヤ全寿命を推定する際に前記初期全トレッド厚み情報取得手段で取得した前記初期全トレッド厚み情報を含めて演算することを特徴とする請求項15に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項17】
前記タイヤには、タイヤトレッドに走行距離によって外部に露出する部分の大きさが変化する色ゴムが埋設されており、
前記タイヤ摩耗状態情報取得手段は、前記色ゴムのうち外部に露出している部分を撮像する撮像部が前記タイヤ近傍に位置する画像解析装置に接続されていると共に、前記画像解析装置で解析した情報より前記タイヤ摩耗状態情報を取得することを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項18】
前記タイヤには、タイヤトレッドに走行距離によって磁界強度が変化する磁性粉末ゴムが埋設されており、
前記タイヤ摩耗状態情報取得手段は、前記タイヤ近傍に位置すると共に前記磁性粉末ゴムの磁界強度を検出する磁気検出装置で検出した情報より前記タイヤ摩耗状態情報を取得することを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項19】
前記走行状態取得手段は、前記車両の車速度または加速度の少なくともいずれか一方を検出し、
前記タイヤ摩耗速度予測手段は、前記タイヤ摩耗速度を予測する際に、前記車速度または前記加速度の少なくともいずれか一方を含めて演算し、前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項20】
前記タイヤ摩耗速度予測手段は、前記車速度の3〜5乗または前記加速度の1.5〜2.5乗の少なくともいずれか一方を含めて演算し、前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする請求項19に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項21】
前記タイヤ摩耗速度予測手段には、路面の温度またはトレッドのコンパウンド情報の少なくともいずれか一方を入力する入力手段が接続されており、
前記タイヤ摩耗速度予測手段は、前記タイヤ摩耗速度を予測する際に、さらに前記入力手段に入力された情報を含めて演算し、前記タイヤ摩耗速度を予測することを特徴とする請求項12〜20のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項22】
前記車両には、運転席近傍に情報表示手段が設けられており、
前記情報表示手段は、前記タイヤ摩耗速度予測手段が予測した前記タイヤ摩耗速度または前記タイヤ摩耗速度に基づく情報を表示することを特徴とする請求項12〜21のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。
【請求項23】
前記車両には、前記タイヤ摩耗速度予測手段が予測した前記タイヤ摩耗速度または前記タイヤ摩耗速度に基づく情報を前記車両の外部に送信する情報送信手段が設けられていることを特徴とする請求項12〜22のいずれか1項に記載のレースタイヤ摩耗予測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−327368(P2006−327368A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152590(P2005−152590)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】