一軸コンバインドプラント及びこの一軸コンバインドプラントの起動方法
【課題】本発明は、クラッチ嵌合時の2つの軸の軸ずれを測定する軸ずれ測定装置及びこの軸ずれ測定装置を備えた一軸コンバインドプラントを提供することを目的とする。
【解決手段】制御装置10において、ガスタービン3の軸3aと蒸気タービン5の軸5aとの軸ずれ量を測定し、測定した軸ずれ量に応じて蒸気タービン5の回転速度の昇速率及びヒートソーク時間を設定し、クラッチ7が軸3a,5aを結合するときの軸ずれ量が許容範囲内に収まるようにする。
【解決手段】制御装置10において、ガスタービン3の軸3aと蒸気タービン5の軸5aとの軸ずれ量を測定し、測定した軸ずれ量に応じて蒸気タービン5の回転速度の昇速率及びヒートソーク時間を設定し、クラッチ7が軸3a,5aを結合するときの軸ずれ量が許容範囲内に収まるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチが嵌合された2つの軸の軸ずれを測定する軸ずれ測定装置及び軸ずれ測定方法に関するとともに、この軸ずれ測定装置を使用した一軸コンバインドプラント及び当該一軸コンバインドプラントの起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高効率で且つNOxなどの有害物質の排出量が少なく、又、一日の消費電力量の変化に柔軟に対応可能なコンバインドプラントとして、ガスタービンと蒸気タービンとを一本の軸で直結した一軸コンバインドプラントが用いられている。このような一軸コンバインドプラントでは、従来、起動時にガスタービンと蒸気タービンとを同時に起動するものであった。そのため、両方のタービンを同時に起動するために必要な起動トルクを大きくなり、この巨大な起動トルクを発生させることが可能なサイリスタ(起動装置)が必要となる。
又、蒸気タービンの翼が風損によって過度に温度上昇しないように蒸気タービンに冷却蒸気を供給する必要がある。しかしながら、ガスタービンによる発電機出力が上昇するまでは、ガスタービンの排ガスにより蒸気を生成する排ガスボイラにおいて蒸気タービンに投入可能な蒸気が生成できない。そのため、蒸気タービンに十分な冷却蒸気を送るための容量を備えた補助ボイラが必要となる。更に、従来の一軸コンバインドプラントにおいては、ガスタービン及び蒸気タービン及び発電機を並べて設置する必要があるとともに、軸流排気型の蒸気タービンが適用できない。そのため、復水器を蒸気タービンの下側に設置しなければならず、結果的に、ガスタービン及び蒸気タービン及び発電機を高所に設置する必要があり、プラント建家を複数階層の建家とする必要がある。
【0003】
これらの課題を解決するために、図11に示すようなガスタービン201と蒸気タービン202との間にクラッチ204を適用した一軸コンバインドプラントが提案されている(特許文献1参照)。又、図11の一軸コンバインドプラントは、ガスタービン201とクラッチ204との間に発電機203が設置されている。このようにクラッチ204を適用することで、ガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202との間での結合及び切り離しを可能とする。よって、起動時において、まず、クラッチ204によってガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202が切り離された状態で、ガスタービン201と発電機203のみを起動する。そして、排ガスボイラ(不図示)から発生する蒸気が蒸気タービン202に投入可能となると、蒸気を蒸気タービン202に投入して蒸気タービン202を起動する。その後、蒸気タービン202が定格回転数に到達すると、クラッチ204によってガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202とを結合して、蒸気タービン202のトルクを発電機203に伝達させる。
【0004】
このクラッチ204を適用した一軸コンバインドプラントは、起動時において最初にガスタービン201と発電機203のみを起動するのみでよいため、起動に必要なサイリスタの容量を小さくすることができる。又、ガスタービン201と発電機203のみが起動している間は、蒸気タービン202は低速回転で回転しており、冷却蒸気が不要であり、補助ボイラの容量を小さくすることができる。更に、蒸気タービン202の熱伸びがクラッチ204において吸収できるため、図11のようにガスタービン201、発電機203、蒸気タービン202の順で一軸コンバインドプラントを構成して、蒸気タービン202を端側に設置することができる。よって、蒸気タービン202を軸流排気型とすることができるため、軸流排気復水器を使用することができ、タービン軸を従来のように高い位置に設置する必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−13709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11のようにクラッチ204を備えた一軸コンバインドプラントは、上述したように、起動時において、先にガスタービン201を起動させた後に蒸気タービン202を起動させるため、蒸気タービン202の起動前の段階で、ガスタービン201が長時間定格回転数で回転していることとなる。よって、クラッチ204のガスタービン201側の軸受支持台が高温の軸受排油温度によって伸びているのに対して、クラッチ204の蒸気タービン202側の軸受支持台は、蒸気タービン202の状態に応じてその伸び率が異なる。
【0007】
即ち、復水器を真空に保って蒸気タービン202を停止させた場合は、蒸気タービン202の軸受に長時間グランド蒸気が流れるため、蒸気タービン202側の軸受支持台が若干伸びるが、復水器の真空を破壊して蒸気タービン202を停止させた場合は、蒸気タービン202の軸受けにグランド蒸気が流れないため、蒸気タービン202側の軸受支持台はほぼ初期状態で伸びていない。更に、蒸気タービン202の起動前においては、蒸気タービン202はほとんど回転していないため、蒸気タービン202側の軸受支持台は、ガスタービン201側の軸受支持台ほど伸び率が大きくない。
【0008】
このように、クラッチ204を備えた一軸コンバインドプラントは、その起動時においてガスタービン201側の軸受支持台と蒸気タービン202側の軸受支持台の伸び率が異なるとともに、その伸び率の差異が蒸気タービン202の状態によって異なるものとなる。更に、このガスタービン201側の軸受支持台と蒸気タービン202側の軸受支持台の伸び率の差異以外に、ガスタービン201側の軸と蒸気タービン202側の軸の浮き上がり量の差や傾きの差なども発生するため、ガスタービン201側の軸の中心と蒸気タービン202側の軸の中心との間にずれが生じる。
【0009】
このガスタービン201側の軸の中心と蒸気タービン202側の軸の中心との間のずれ量は、起動時にクラッチ204を嵌合してガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202とを結合するときにおいて影響を与える。即ち、ガスタービン201側の軸の中心と蒸気タービン202側の軸の中心との間のずれ量が所定の規定値よりも大きな値となるとき、ガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202とがともに定格回転数付近で回転した状態でクラッチ204が嵌合されるため、クラッチ204に過大な応力がかかり、結果的にクラッチ204を破損する恐れがある。
【0010】
このような問題を鑑みて、本発明は、クラッチ嵌合時の2つの軸の軸ずれを測定する軸ずれ測定装置及びこの軸ずれ測定装置を備えた一軸コンバインドプラントを提供することを目的とする。又、本発明は、起動時の蒸気タービン側の軸の中心位置とガスタービン側の軸の中心位置の間のずれに基づいて起動動作を切り換える一軸コンバインドプラントの起動方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の軸ずれ測定装置は、第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の温度を測定する第1温度センサと、第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の温度を測定する第2温度センサと、前記第1温度センサで測定された温度より前記第1軸受支持台の伸び量を求めるとともに、前記第2温度センサで測定された温度より前記第2軸受支持台の伸び量を求め、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量に基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような軸ずれ測定装置において、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とする。
【0013】
又、本発明の軸ずれ測定装置は、第1回転体の第1軸の上側の第1定点との距離を測定する第1ギャップ計測センサと、前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離を測定する第2ギャップ計測センサと、第2回転体の第2軸の上側の第3定点との距離を測定する第3ギャップ計測センサと、前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離を測定する第4ギャップ計測センサと、前記第1及び第2ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第1及び第2定点との距離より前記第1軸の傾きを求めるとともに、前記第3及び第4ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第3及び第4定点との距離より前記第2軸の傾きを求め、前記第1及び第2軸の傾きに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、を備えることを特徴とする。前記第1及び第2定点が前記第1軸の外周に突起した面上に存在し、前記第3及び第4定点が前記第2軸の外周に突起した面上に存在するものとしても構わない。
【0014】
このような軸ずれ測定装置において、前記第1及び第2ギャップ計測センサ間の距離をd1とし、前記第1及び第2ギャップ計測センサにより測定された前記第1及び第2定点それぞれへの距離をdu1,dd1とし、前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、前記第3及び第4ギャップ計測センサ間の距離をd2とし、前記第3及び第4ギャップ計測センサにより測定された前記第3及び第4定点それぞれへの距離をdu2,dd2とし、前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とする。更に、前記第1及び第2温度センサを備え、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量をも求めることができるとともに、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量と前記第1及び第2軸の傾きとに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求めるようにしても構わない。
【0015】
又、本発明の軸ずれ測定装置は、第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受の周方向の複数点に設けられた複数の第1ギャップ計測センサと、第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受の周方向の複数点に設けられた複数の第2ギャップ計測センサと、前記第1ギャップセンサで測定された前記第1軸受の周方向の複数点から前記第1軸までの距離より前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれを求めるとともに、前記第2ギャップセンサで測定された前記第2軸受の周方向の複数点から前記第2軸までの距離より前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれを求め、前記第1及び第2軸の軸心のずれに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
このような軸ずれ測定装置において、前記第1ギャップセンサが、前記第1軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第1軸受の中心に対して点対称となるように配置され、前記第2ギャップセンサが、前記第2軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となる
とともに、前記第2軸受の中心に対して点対称となるように配置される。そして、前記軸ずれ測定装置において、点対称となる2つの前記第1ギャップセンサ毎に、測定された前記第1軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記第1ギャップセンサ毎に求められた前記第1軸との距離の差の平均を、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれとし、点対称となる2つの前記第2ギャップセンサ毎に、測定された前記第2軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記第2ギャップセンサ毎に求められ
た前記第2軸との距離の差の平均を、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとし、当該第1及び第2軸それぞれの軸心のずれの差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とする。
【0017】
このとき、前記第1及び第2温度センサを備え、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量をも求めることができるとともに、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量と前記第1及び第2軸それぞれの軸心のずれとに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求めるようにしても構わない。又、前記第1軸の上側の第1定点との距離を測定する第3ギャップ計測センサと、前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離を測定する第4ギャップ計測センサと、前記第2軸の上側の第3定点との距離を測定する第5ギャップ計測センサと、前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離を測定する第6ギャップ計測センサと、を備え、前記第1及び第2軸の傾きを求めることができるとともに、前記第1及び第2軸の傾きと前記第1及び第2軸それぞれの軸心のずれとに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求めるようにしても構わない。
又、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量と前記第1及び第2軸の傾きと前記第1及び第2軸それぞれの軸心のずれとに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求めるようにしても構わない。
【0018】
又、本発明の軸ずれ測定方法は、第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の伸び量と、第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の伸び量と、を求める第1ステップと、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれと、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれと、を求める第2ステップと、前記第1軸の傾きと、前記第2軸の傾きと、を求める第3ステップと、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差と、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれと前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとの差と、前記第1及び第2軸の傾きと、に基づいて、前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求める第4ステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
このとき、前記第1ステップにおいて、前記第1及び第2軸受支持台それぞれの温度より前記第1及び第2軸受支持台それぞれの伸び量を求める。又、前記第2ステップにおいて、前記第1軸受の周方向の複数点からの前記第1軸への距離より前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれを求め、前記第2軸受の周方向の複数点からの前記第2軸への距離より前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれを求める。更に、前記第3ステップにおいて、前記第1軸の上側の第1定点との距離と、前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離とに基づいて、前記第1軸の傾きを求め、前記第2軸の上側の第3定点との距離と、前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離とに基づいて、前記第2軸の傾きを求める。
【0020】
前記ステップ2において前記第1及び第2軸の軸心のずれが上述のようにして求められるとき、前記第1軸受の周方向の複数点が、前記第1軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第1軸受の中心に対して点対称となるように配置されるとともに、前記第2軸受の周方向の複数点が、前記第2軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第2軸受の中心に対して点対称となるように配置され、前記第2ステップにおいて、前記第1軸受の周方向の複数点に対して、点対称となる2つの点毎に、測定された前記第1軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記点毎に求められた前記第1軸との距離の差の平均を、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれとし、前記第2軸受の周方向の複数点に対して、点対称となる2つの点毎に、測定された前記第2軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記点毎に求められた前記第2軸との距離の差の平均を、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとするものとしても構わない。
【0021】
前記ステップ3において前記第1及び第2軸の傾きが上述のようにして求められるとき、前記第1定点への距離の測定点と前記第2定点への距離の測定点との間の距離をd1とし、前記第1及び第2定点それぞれとの距離をdu1,dd1とし、前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、前記第3定点への距離の測定点と前記第4定点への距離の測定点との間の距離をd2とし、前記第3及び第4定点それぞれとの距離をdu2,dd2とし、前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、前記第4ステップにおいて、D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とする。
【0022】
又、本発明の一軸コンバインドプラントは、前記第1回転体となるガスタービンと、前記第2回転体となる蒸気タービンと、前記第1軸と前記第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、上述のいずれかの軸ずれ測定装置を備え、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に応じて、前記クラッチにおける前記第1及び第2軸の結合動作を制御することを特徴とする。このとき、前記第1及び第2軸を結合するとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が所定値より大きいとき、前記第1及び第2軸の結合を禁止するように、前記クラッチの動作を制御するようにしても構わない。
【0023】
又、本発明の一軸コンバインドプラントは、第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、前記第1軸と前記第2軸の軸ずれ量を測定する軸ずれ測定装置を備えるとともに、起動時において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を設定することを特徴とする。
【0024】
このとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくする。更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を変更するものとしても構わない。このとき、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更する。
【0025】
又、本発明の一軸コンバインドプラントは、第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、前記第1軸と前記第2軸の軸ずれ量を測定する軸ずれ測定装置を備えるとともに、起動時において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンのヒートソーク時間を設定することを特徴とする。
【0026】
このとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長くする。更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンのヒートソーク時間を変更するものとしても構わない。このとき、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長く変更する。
【0027】
又、上述の各一軸コンバインドプラントにおいて、前記蒸気タービンの目標回転速度の値に応じて前記蒸気タービンの回転速度の昇速率又はヒートソーク時間を変更するようにしても構わない。更に、上述の各一軸コンバインドプラントにおいて、前記軸ずれ測定装置を、上述のいずれかの軸ずれ測定装置としても構わない。
【0028】
又、本発明の一軸コンバインドプラントの起動方法は、第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントの起動方法において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、前記ガスタービンを回転させた後に、前記蒸気タービンを回転させる第1ステップと、前記蒸気タービンの回転を開始させたときに、前記第1軸と前記第2軸との軸ずれ量を測定する第2ステップと、前記軸ずれ量に応じて、前記蒸気タービンの昇速率及びヒートソーク時間を設定する第3ステップと、前記蒸気タービンの回転速度と前記ガスタービンとの回転速度とが略同一となったとき、前記クラッチによって、前記第1軸と前記第2軸とを結合する第4ステップと、を備えることを特徴とする。
【0029】
このとき、前記第3ステップにおいて、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくする。又、前記第3ステップにおいて、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長くする。
【0030】
更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率及びヒートソーク時間を変更するものとしても構わない。このとき、前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更する。又、前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長く変更する。
【0031】
又、上述の各一軸コンバインドプラントの起動方法において、前記第3ステップで、前記蒸気タービンの目標回転速度の値に応じて前記蒸気タービンの回転速度の昇速率又はヒートソーク時間を変更するようにしても構わない。更に、上述の各一軸コンバインドプラントの起動方法において、前記第2ステップで、上述のいずれかの軸ずれ測定方法によって前記第1及び第2軸の軸ずれ量を測定するようにしても構わない。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、軸受支持台の伸び量より第1軸と第2軸の軸ずれを測定することができるため、第1軸と第2軸とを結合させるクラッチなどにおいて、第1軸と第2軸とを結合させるときに、その軸ずれが許容範囲内にあるか否かを確認することができる。又、ギャップ計測センサによって非接触で測定された情報より第1軸と第2軸の軸ずれを測定することができるため、回転体の軸ずれを測定する際、その回転を妨げることなく測定することができる。又、このようにして軸ずれを測定することができるため、クラッチによって第1軸と第2軸とを結合させるときに、その軸ずれが許容範囲外である場合、結合を禁止して、クラッチの破損を防ぐことができる。又、一軸コンバインドプラントにおいて、軸ずれ量に応じて蒸気タービンの駆動方法を変更することができるため、蒸気タービンの軸受支持台を流れる排油温度を十分に高くして、ガスタービンの軸受支持台と同等の伸び量とすることができる。よって、ガスタービンの軸と蒸気タービンの軸をクラッチで結合させるとき、軸ずれ量を許容範囲内に抑えることができ、クラッチの破損を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】は、本発明の一軸コンバインドプラントの構成を示すブロック図である。
【図2】は、軸ずれ測定装置を構成する各種センサの設置位置を示す図である。
【図3】は、蒸気タービン及びガスタービンの軸ずれ状態を示すための模式図である 。
【図4】は、軸受におけるギャップ計測センサの設置位置を示す図である。
【図5】は、図1の一軸コンバインドプラントに設けられる制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図6】は、図5の制御装置内の起動時モード設定部の内部構成を示すブロック図で ある。
【図7】は、図5の制御装置内の昇速率設定部の内部構成を示すブロック図である。
【図8】は、図5の制御装置内のヒートソーク時間設定部の内部構成を示すブロック図である。
【図9】は、一軸コンバインドプラントの起動時におけるプラント全体及びガスター ビン及び蒸気タービンそれぞれの負荷の値の変遷を表すタイミングチャートである。
【図10】は、蒸気タービンの回転速度の変遷を表すタイミングチャートである。
【図11】は、従来の一軸コンバインドプラントの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。図1は、一軸コンバインドプラントの構成を示すブロック図である。
図1の一軸コンバインドプラントは、外気を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1からの圧縮空気により燃料を燃焼して燃焼ガスを供給する燃焼器2と、燃焼器2から供給される燃焼ガスにより回転するガスタービン3と、ガスタービン3からの排ガスにより蒸気を発生する排ガスボイラ(HRSG)4と、HRSG4からの蒸気により回転する蒸気タービン5と、ガスタービン3及び蒸気タービン5とによって回転して発電する発電機6と、ガスタービン3の軸3aと蒸気タービン5の軸5aとを結合又は切り離しを行うクラッチ7と、蒸気タービン5から排出される蒸気を回収するとともに回収した蒸気をHRSG4に供給する復水器8と、HRSG4からの排出されるガスタービン3からの排ガスを排出する煙突9と、各ブロックの動作制御を行う制御装置10と、を備える。
【0035】
又、この一軸コンバインドプラントは、燃焼器2に供給する燃料の燃料流量を調整する燃料制御弁2bと、HRSG4で発生された蒸気の蒸気タービン5への供給量を制御する蒸気加減弁5bと、圧縮機1の第1段静翼であるとともに圧縮機1に供給される空気の流量を調整する入口案内翼(IGV)1aと、を備える。この燃料制御弁2b及び蒸気加減弁5b及びIGV1aはそれぞれ制御装置10より信号が与えられて、その開度が制御されることによって、ガスタービン3及び蒸気タービン5の回転速度が制御される。又、圧縮機1及び発電機6の軸は、ガスタービン3と同一の軸3aである。
【0036】
このような構成の一軸コンバインドプラントは、クラッチ7によって軸3a及び軸5aが嵌合されるまでは、蒸気タービン5が切り離された状態であり、軸3aによって回転する圧縮機1及びガスタービン3及び発電機6と別に、軸5aによって蒸気タービン5が回転する。そして、ガスタービン3と蒸気タービン5の回転速度が略等しくなると、クラッチ7が自動的に嵌合する。このように、クラッチ7によって軸3a及び軸5aが結合されると、同一軸となる軸3a及び軸5aによって、圧縮機1及びガスタービン3及び蒸気タービン5及び発電機6が同一軸で回転する。このように動作するとき、圧縮機1によって圧縮された空気が燃焼器2に与えられる燃料が燃焼されると、燃焼器2からの燃焼ガスによってガスタービン3が回転するとともに、HRSG4でガスタービン3からの排ガスによって生成された蒸気が蒸気タービン5に供給されて蒸気タービン5が回転する。
【0037】
1.軸ずれ測定
図1のように構成される一軸コンバインドプラントにおいて、軸3a及び軸5aそれぞれの中心位置のずれを測定するための軸ずれ測定装置が、クラッチ7周辺に設置された後述する各種センサと制御装置10内の軸ずれ演算部101(図5)とによって構成される。図2に、クラッチ7周辺に設置される各種センサの設置位置を示す。
【0038】
図2に示すように、軸3aが挿入される軸受71と、軸受71を支持する軸受支持台72とが、クラッチ7のガスタービン3側に設けられるとともに、軸5aが挿入される軸受73と、軸受73を支持する軸受支持台74とが、クラッチ7の蒸気タービン5側に設けられる。即ち、軸受71,73の間にクラッチ7が設けられた構成となる。更に、軸受3a,5aそれぞれにフランジ3c,5cが設置されている。
【0039】
図2のようにクラッチ7及び軸3a,5aが構成されるとき、軸受支持台72,74それぞれの温度を計測するための温度センサ51,52が軸受支持台72,74それぞれに設置され、又、軸3a,5aの径方向のギャップを計測して軸3a,5aそれぞれの中心位置を測定する径方向ギャップ計測センサ53,54がそれぞれ軸受71,73に設置される。又、フランジ3c,5cとの軸方向の距離を測定して軸3a,5aそれぞれの傾きを測定する軸方向ギャップ計測センサ55u,55d,56u,56dがそれぞれフランジ3c,5c近傍に設置される。このとき、温度センサ51,52として、例えば、熱電対を適用する。又、軸方向ギャップ計測センサ53,54,55u,55d,56u,56dについては、回転する軸3a,5aの状態を確認するための非接触センサを適用し、例えば、渦電流式ギャップセンサ又はCCDレーザセンサを適用する。
【0040】
このように各種センサが設置されるとき、温度センサ51,52で計測された軸受支持台72,74それぞれの温度が軸ずれ演算部101に与えられると、軸受支持台72,74それぞれの伸び量(すなわち温度による変位量)が求められる。即ち、温度センサ51によって軸受支持台72の温度Ti1が計測されるとともに、温度センサ52によって軸受支持台74の温度Ti2が計測されると、(1)式より軸受支持台72の伸び量Δhi1が求められるとともに、(2)式より軸受支持台74の伸び量Δhi2が求められる。尚、h0が軸受支持台72,74の高さを、τが線膨張係数を、To1が軸受支持台72設置時の温度(オフセット温度)を、To2が軸受支持台74設置時の温度(オフセット温度)を、それぞれ表す。
【0041】
Δhi1=h0×τ×(Ti1−To1) …(1)
Δhi2=h0×τ×(Ti2−To2) …(2)
【0042】
このように、軸ずれ演算部101によって温度センサ51での計測値に基づいて演算することで、図3(a)に示すように、軸3aを支持する軸受支持台72の高さがΔhi1だけ伸びたことが確認される。又、軸ずれ演算部101によって温度センサ52での計測値に基づいて演算することで、図3(a)に示すように、軸5aを支持する軸受支持台74の高さがΔhi2だけ伸びたことが確認される。尚、図3は、軸3a,5aの軸ずれ状態を示すための模式図である。
【0043】
又、軸受71,73に設置される径方向ギャップ計測センサ53,54は、図4のように、軸受71,73が備える軸受支持環71a,73aの周方向の4点A〜Dに設けられる。このとき、軸受支持環71a,73aの中心Oと4点A〜Dそれぞれとを結ぶ直線が、軸受支持環71a,73aの中心Oを通る水平面Xに対して45°となるとともに、点A,C及び点B,Dそれぞれが対角線上にある。即ち、点A,Cを結ぶ直線と点B,Dを結ぶ直線が垂直な関係となるとともに、水平面Xに対して45°となる。このように径方向ギャップ計測センサ53,54が、軸受支持環71a,73aの4点A〜Dに設置され、軸3a,5aの4方向のギャップ変化を計測する。
【0044】
このとき、軸受支持環71a,73aの点A〜Dそれぞれの径方向ギャップ計測センサ53,54で計測された軸3a,5aの側壁との距離(ギャップ)が軸ずれ演算部101に与えられると、軸3a,5aの軸心位置の変位量(垂直方向変位量)が求められる。即ち、軸受支持環71aの点A〜Dそれぞれの径方向ギャップ計測センサ53で軸3aの側壁とのギャップGA1〜GD1が計測されるとともに、軸受支持環73aの点A〜Dそれぞれの径方向ギャップ計測センサ54で軸5aの側壁とのギャップGA2〜GD2が計測されると、(3)式より軸3aの軸心位置の変位量Δd1が求められるとともに、(4)式より軸5aの軸心位置の変位量Δd2が求められる。尚、変位量Δd1,d2は水平面Xに対して垂直な方向の変位量である。
【0045】
Δd1=((GC1−GA1)+(GB1−GD1))/(2×21/2) …(3)
Δd2=((GC2−GA2)+(GB2−GD2))/(2×21/2) …(4)
【0046】
このように、軸ずれ演算部101によって径方向ギャップ計測センサ53での計測値に基づいて演算することで、図3(b)に示すように、軸受71における軸3aの軸心のずれがΔd1だけずれていることが確認される。又、軸ずれ演算部101によって径方向ギャップ計測センサ54での計測値に基づいて演算することで、図3(b)に示すように、軸受73における軸5aの軸心のずれがΔd2だけずれていることが確認される。
【0047】
更に、図2のように、軸方向ギャップ計測センサ55u,56uがそれぞれ、フランジ3c,5cの軸3a,5aよりも上側の点uとの距離(ギャップ)を測定するように、フランジ3c,5cの点u近傍に設置され、又、軸方向ギャップ計測センサ55d,56dがそれぞれ、フランジ3c,5cの軸3a,5aよりも下側の点dとのギャップを測定するように、フランジ3c,5cの点d近傍に設置される。そして、フランジ3cの点u,dに対して設置された軸方向ギャップ計測センサ55u,55dで計測されたギャップの変化量(すなわち計測された距離の変化量)と、フランジ5cの点u,dに対して設置されたギャップ計測センサ56u,56dで計測されたギャップの変化量とがそれぞれ軸ずれ演算部101に与えられると、軸3a,5aの軸の傾きによる軸ずれ量(すなわち軸心変位量)が求められる。
【0048】
即ち、軸方向ギャップ計測センサ55uでフランジ3cの上側の点uとの距離(ギャップ)の変化量Gu1が、軸方向ギャップ計測センサ55dでフランジ3cの下側の点dとのギャップの変化量Gd1が、軸方向ギャップ計測センサ56uでフランジ5cの上側の点uとのギャップの変化量Gu2が、軸方向ギャップ計測センサ56dでフランジ5cの下側の点dとのギャップの変化量Gd2が、それぞれ計測されると、(5)式より軸3aの傾きによる軸ずれ量ΔS1が求められるとともに、(6)式より軸5aの傾きによる軸ずれ量ΔS2が求められる。尚、ds1が軸方向ギャップ計測センサ55u,55dの設置位置間距離を、ds2が軸方向ギャップ計測センサ56u,56dの設置位置間距離を、それぞれ表す。又、ギャップの変化量Gu1,Gd1,Gu2,Gd2はそれぞれ、軸3a,5aの傾きのない設置時の値が0となる。
【0049】
ΔS1=(Gu1−Gd1)/ds1 …(5)
ΔS2=(Gu2−Gd2)/ds2 …(6)
【0050】
このとき、図3(c)に示すように、軸ずれ演算部101によって軸方向ギャップ計測センサ55u,55dでの計測値Gu1,Gd1に基づいて演算することで、軸3aの傾きΔθ1による軸ずれ量ΔS1(=tanΔθ1)が確認される。又、図3(c)に示すように、軸ずれ演算部101によって軸方向ギャップ計測センサ56u,56dでの計測値Gu2,Gd2に基づいて演算することで、軸5aの傾きΔθ2による軸ずれ量ΔS2(=tanΔθ2)が確認される。
【0051】
このようにして、軸ずれ演算部101において、軸受支持台72,74の伸び量Δhi1,Δhi2、軸3a,5aの軸心位置の変位量Δd1,Δd2、及び、軸3a,5aの傾きによる軸ずれ量ΔS1,ΔS2がそれぞれ求められると、(7)式より、図3(c)に示す軸3a,5aの軸ずれ量doが求められる。尚、dcが設置時の軸3a,5aの軸ずれ量を、L1がクラッチ7の嵌合部70と軸受支持台72の中心との距離を、L2がクラッチ7の嵌合部70と軸受支持台74の中心との距離を、それぞれ表す。
【0052】
do=dc+(Δhi1+Δd1)+ΔS1×L1
−(Δhi2+Δd2)+ΔS2×L2…(7)
【0053】
2.制御装置におけるプラント起動制御部分の構成
次に、上述のように軸3a,5aの軸ずれを測定する軸ずれ測定装置を備える一軸コンバインドプラントにおける制御装置10の構成の一部について、以下に説明する。図5は、制御装置10の構成の一部を示すブロック図である。
【0054】
図5に示すように、制御装置10は、軸3a,5aの軸ずれ量doを求める軸ずれ演算部101と、軸ずれ演算部101で求められた軸ずれ量do及び蒸気タービン5のロータメタル温度に基づいて起動時の動作モードを設定する起動時モード設定部102と、起動時モード設定部102で設定された動作モードに応じて蒸気タービン5の回転速度の昇速率を設定する昇速率設定部103と、起動時モード設定部102で設定された動作モードに応じて蒸気タービン5を安全な回転速度に保持して回転させるヒートソーク時間を設定するヒートソーク時間設定部104と、を備える。
【0055】
又、起動時モード設定部102は、図6に示すように、軸ずれ演算部101で求められた軸ずれ量doを閾値dthと比較する比較器111と、蒸気タービン5へのHRSG4からの蒸気供給が開始されたときにパルス信号を発生するパルス発生回路112と、比較器111からの信号とパルス発生回路112からのパルス信号が入力されるAND回路A1と、比較器111からの信号を反転するインバータIn1と、インバータIn1からの信号とパルス発生回路112からのパルス信号が入力されるAND回路A2と、クラッチ7が正常に嵌合されたか否かを示す信号などが入力されるOR回路O1と、AND回路A1からの信号によってハイを出力するとともにOR回路O1からの信号によってローを出力するRS回路113と、AND回路A2からの信号によってハイを出力するとともにOR回路O1からの信号によってローを出力するRS回路114と、蒸気タービン5の初段入口メタル温度であるロータメタル温度に関する温度情報が与えられ閾値t1,t2(t2>t1)と比較する比較器115,116と、比較器116の信号を反転するインバータIn2と、比較器115からの信号とインバータIn2からの信号が入力されるAND回路A3と、蒸気タービン5が定格回転速度付近の所定の回転速度となったことを確認する回転速度確認部117と、比較器111及び回転速度確認部117それぞれからの信号
が入力されるAND回路A4と、AND回路A4からの信号によってハイを出力するとともにOR回路O1からの信号によってローを出力するRS回路118と、を備える。
【0056】
このように起動時モード設定部102が設定されるとき、軸ずれ量doが閾値dthより大きい場合、比較器111よりハイとなる信号が出力される。そして、蒸気タービン5へのHRSG4からの蒸気供給が開始されて蒸気タービン5を起動することが確認されると、パルス発生回路112でパルス信号が発生されるため、AND回路A1よりハイとなる信号がRS回路113に与えられるとともに、AND回路A2よりローとなる信号がRS回路114に与えられる。よって、RS回路113からの信号がハイとなるとともに、RS回路114からの信号がローのままである。よって、クラッチ7における軸3a,5aの軸ずれ量の大きい軸ずれ量大モードであることを表す信号M1がRS回路113より出力される。
【0057】
又、軸ずれ量doが閾値dth以下である場合、比較器111よりローとなる信号が出力される。そして、蒸気タービン5へのHRSG4からの蒸気供給が開始されて蒸気タービン5を起動することが確認されると、パルス発生回路112でパルス信号が発生されるため、AND回路A1よりローとなる信号がRS回路113に与えられるとともに、AND回路A2よりハイとなる信号がRS回路114に与えられる。よって、RS回路113からの信号がローのままであるとともに、RS回路114からの信号がハイとなる。よって、クラッチ7における軸3a,5aの軸ずれ量の小さい軸ずれ量小モードであることを表す信号M2がRS回路114より出力される。この軸ずれ量小モードを表す信号M2が与えられたとき、制御装置10において、クラッチ7での嵌合動作が安定して行えることが確認され、通常の起動動作が行われる。
【0058】
又、蒸気タービン5のロータメタル温度が閾値t1以下のとき、比較器115,116からローとなる信号が出力され、結果的に、比較器116及びAND回路A3からローとなる信号が出力され、コールドモードであることが示される。又、蒸気タービン5のロータメタル温度が閾値t1より高く閾値t2以下となるとき、比較器115からハイとなる信号が出力されるとともに116からローとなる信号が出力され、結果的に、比較器116からローとなる信号が出力されるとともにAND回路A3からハイとなる信号が出力され、ウォームモードであることが示される。又、蒸気タービン5のロータメタル温度が閾値t2より高くなるとき、比較器115,116からハイとなる信号が出力され、結果的に、比較器116からハイとなる信号が出力されるとともにAND回路A3からローとなる信号が出力され、ホットモードであることが示される。
【0059】
更に、蒸気タービン5の回転速度が定格回転速度よりも所定値分低い回転速度に達したことが確認されると、回転速度確認部117よりハイとなる信号が出力される。このとき、軸ずれ量doが閾値dth以下である場合、比較器111よりローとなる信号が出力されて、AND回路A4よりローとなる信号がRS回路118に与えられ、RS回路118からの出力がローとなる。又、軸ずれ量doが閾値dthより大きい場合、比較器111よりハイとなる信号が出力されて、AND回路A4よりハイとなる信号がRS回路118に与えられ、RS回路118からの出力がハイとなり、クラッチ7での嵌合動作が禁止される。又、クラッチ7での嵌合動作が正常に行われたことを示す信号がOR回路O1に与えられると、OR回路O1よりハイとなる信号がRS回路113,114,118に与えられて、RS回路113,114,118の信号がローとなる。
【0060】
又、昇速率設定部103は、図7に示すように、昇速率R1〜R14[rpm/min]となる信号をそれぞれ出力する信号発生器SG1〜SG14と、信号発生器SG1,SG2それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS1と、セレクタS1及び信号発生器SG3それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS2と、信号発生器SG4,SG5それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS3と、セレクタS3及び信号発生器SG6それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS4と、信号発生器SG7,SG8それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS5と、セレクタS5及び信号発生器SG9それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS6と、信号発生器SG10,SG11それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS7と、セレクタS7及び信号発生器SG12それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS8と、セレクタS2及び信号発生器SG13それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS9と、セレクタS4,S9それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS10と、セレクタS6及び信号発生器SG14それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS11と、セレクタS8,S11それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS12と、セレクタS10,S12それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS13と、信号M1,M2が入力されるOR回路O11と、OR回路O11からの出力により制御されるスイッチSW1と蒸気タービン5の目標回転速度がRa以上であるとき信号M5を出力する比較器121と、蒸気タービン5の目標回転速度がRb以上であるとき信号M6を出力する比較器122と、を備える。
【0061】
このとき、AND回路A3からの信号M3がセレクタS1,S3,S5,S7に入力され、信号M3がローのとき、セレクタS1が信号発生器SG1の信号を、セレクタS3が信号発生器SG4の信号を、セレクタS5が信号発生器SG7の信号を、セレクタS7が信号発生器SG10の信号を、それぞれ選択し、又、信号M3がハイのとき、セレクタS1が信号発生器SG2の信号を、セレクタS3が信号発生器SG5の信号を、セレクタS5が信号発生器SG8の信号を、セレクタS7が信号発生器SG11の信号を、それぞれ選択する。又、比較器116からの信号M4がセレクタS2,S4,S6,S8に入力され、信号M4がローのとき、セレクタS2がセレクタS1の信号を、セレクタS4がセレクタS3の信号を、セレクタS6がセレクタS5の信号を、セレクタS8がセレクタS7の信号を、それぞれ選択し、又、信号M3がハイのとき、セレクタS2が信号発生器SG3の信号を、セレクタS4が信号発生器SG6の信号を、セレクタS6が信号発生器SG9の信号を、セレクタS8が信号発生器SG12の信号を、それぞれ選択する。
【0062】
又、蒸気タービン5の目標回転速度がRa以上であることを示す信号M5が比較器121からセレクタS9,S11に入力され、信号M5がローのとき、セレクタS9が信号発生器SG13の信号を、セレクタS11が信号発生器SG14の信号を、それぞれ選択し、又、信号M5がハイのとき、セレクタS9がセレクタS2の信号を、セレクタS11がセレクタS6の信号を、それぞれ選択する。又、蒸気タービン5の目標回転速度がRb以上であることを示す信号M6が比較器122からセレクタS10,S12に入力され、信号M6がローのとき、セレクタS10がセレクタS9の信号を、セレクタS12がセレクタS11の信号を、それぞれ選択し、又、信号M6がハイのとき、セレクタS10がセレクタS4の信号を、セレクタS12がセレクタS8の信号を、それぞれ選択する。又、RS回路113からの信号M1がセレクタ13に入力され、信号M1がローのとき、セレクタS13がセレクタ10の信号を、選択し、又、信号M1がハイのとき、セレクタS13がセレクタS12の信号を選択する。
【0063】
更に、RS回路113,114から信号M1,M2がOR回路O11に入力されるため、信号M1,M2のいずれかがハイとなったとき、OR回路O11からの信号がハイとなってスイッチSW1をONとし、セレクタS13で選択された信号が蒸気タービン5の昇速率の値を設定する信号として出力される。又、信号M1,M2がともにローとなったとき、OR回路O11からの信号がローとなってスイッチSW1をOFFとし、セレクタS13で選択された信号の出力が禁止される。このように昇速率設定部103が構成されるとき、各種モードにおける動作が以下のようになる。
【0064】
(1)軸ずれ量小モード
a.目標回転速度がRaより低いとき
信号M2がハイとなるとともに、信号M1,M3〜M6がローとなるため、セレクタS9,S10,S13によって、信号発生器SG13の昇速率R13が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b.目標回転速度がRa以上且つRbより低いとき
b−1.コールドモード
信号M2,M5がハイとなるとともに、信号M1,M3,M4,M6がローとなるため、セレクタS1,S2,S9,S10,S13によって、信号発生器SG1の昇速率R1が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b−2.ウォームモード
信号M2,M3,M5がハイとなるとともに、信号M1,M4,M6がローとなるため、セレクタS1,S2,S9,S10,S13によって、信号発生器SG2の昇速率R2が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b−3.ホットモード
信号M2,M4,M5がハイとなるとともに、信号M1,M3,M6がローとなるため、セレクタS2,S9,S10,S13によって、信号発生器SG3の昇速率R3が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c.目標回転速度がRb以上のとき
c−1.コールドモード
信号M2,M5,M6がハイとなるとともに、信号M1,M3,M4がローとなるため、セレクタS3,S4,S10,S13によって、信号発生器SG4の昇速率R4が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c−2.ウォームモード
信号M2,M3,M5,M6がハイとなるとともに、信号M1,M4がローとなるため、セレクタS3,S4,S10,S13によって、信号発生器SG5の昇速率R5が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c−3.ホットモード
信号M2,M4〜M6がハイとなるとともに、信号M1,M3がローとなるため、セレクタS4,S10,S13によって、信号発生器SG6の昇速率R6が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
【0065】
(2)軸ずれ量大モード
a.目標回転速度がRaより低いとき
信号M1がハイとなるとともに、信号M2〜M6がローとなるため、セレクタS11〜S13によって、信号発生器SG14の昇速率R14が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b.目標回転速度がRa以上且つRbより低いとき
b−1.コールドモード
信号M1,M5がハイとなるとともに、信号M2〜M4,M6がローとなるため、セレクタS5,S6,S11〜S13によって、信号発生器SG7の昇速率R7が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b−2.ウォームモード
信号M1,M3,M5がハイとなるとともに、信号M2,M4,M6がローとなるため、セレクタS5,S6,S11〜S13によって、信号発生器SG8の昇速率R8が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b−3.ホットモード
信号M1,M4,M5がハイとなるとともに、信号M2,M3,M6がローとなるため、セレクタS6,S11〜S13によって、信号発生器SG9の昇速率R9が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c.目標回転速度がRb以上のとき
c−1.コールドモード
信号M1,M5,M6がハイとなるとともに、信号M2,M3,M4がローとなるため、セレクタS7,S8,S12,S13によって、信号発生器SG10の昇速率R10が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c−2.ウォームモード
信号M1,M3,M5,M6がハイとなるとともに、信号M2,M4がローとなるため、セレクタS7,S8,S12,S13によって、信号発生器SG11の昇速率R11が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c−3.ホットモード
信号M1,M4〜M6がハイとなるとともに、信号M2,M3がローとなるため、セレクタS8,S12,S13によって、信号発生器SG12の昇速率R12が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
【0066】
このとき、昇速率R1〜R3の関係をR1≦R2≦R3とし、昇速率R4〜R6の関係をR4≦R5≦R6とし、昇速率R7〜R9の関係をR7≦R8≦R9とし、昇速率R10〜R12の関係をR10≦R11≦R12とすることによって、蒸気タービン5のロータメタル温度が低いコールドモードにおいては昇速率を小さい値とするとともに、蒸気タービン5のロータメタル温度が高いコールドモードにおいては昇速率を大きい値とする。このようにすることで、クラッチ7において嵌合するように蒸気タービン5が定格回転速度となったときに、蒸気タービン5のロータメタル温度が十分高くなるようにすることができる。
【0067】
又、昇速率R1,R7の関係をR1≧R7とし、昇速率R4,R10の関係をR4≧R10とすることによって、軸3a,5aの軸ずれが所定範囲となる軸ずれ小モードにおいては昇速率を大きい値とするとともに、軸3a,5aの軸ずれが所定範囲より大きくなる軸ずれ大モードにおいては昇速率を小さい値とする。このようにすることで、蒸気タービン5起動時の軸ずれが大きいときは、蒸気タービン5の回転速度を徐々に昇速させて軸受73からの排油温度を高くして、高温の排油を軸受支持台74に流すことで、軸受支持台74の伸び量を変化させ、軸3a,5aの軸ずれを小さくすることができる。又、蒸気タービン5起動時の軸ずれが小さいときは、蒸気タービン5の回転速度を早く昇速させて、早いタイミングでクラッチ7を嵌合して発電機6からの発電出力が早く得られるようにする。
【0068】
又、ヒートソーク時間設定部104は、図8に示すように、ヒートソーク時間T1〜T6となる信号をそれぞれ出力する信号発生器SG21〜SG26と、信号発生器SG21,SG22それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS21と、セレクタS21及び信号発生器SG23それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS22と、信号発生器SG24,SG25それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS23と、セレクタS23及び信号発生器SG26それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS24と、セレクタS22,S24それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS25と、信号M1,M2が入力されるOR回路O21と、OR回路O21からの出力により制御されるスイッチSW2と、を備える。
【0069】
このとき、AND回路A3からの信号M3がセレクタS21,S23に入力され、信号M3がローのとき、セレクタS21が信号発生器SG21の信号を、セレクタS23が信号発生器SG24の信号を、それぞれ選択し、又、信号M3がハイのとき、セレクタS21が信号発生器SG22の信号を、セレクタS23が信号発生器SG25の信号を、それぞれ選択する。又、比較器116からの信号M4がセレクタS22,S24に入力され、信号M4がローのとき、セレクタS22がセレクタS21の信号を、セレクタS24がセレクタS23の信号を、それぞれ選択し、又、信号M4がハイのとき、セレクタS22が信号発生器SG23の信号を、セレクタS24が信号発生器SG26の信号を、それぞれ選択する。
【0070】
又、RS回路113からの信号M1がセレクタ25に入力され、信号M1がローのとき、セレクタS25がセレクタ22の信号を、選択し、又、信号M1がハイのとき、セレクタS25がセレクタS24の信号を選択する。更に、RS回路113,114から信号M1,M2がOR回路O21に入力されるため、信号M1,M2のいずれかがハイとなったとき、OR回路O21からの信号がハイとなってスイッチSW2をONとし、セレクタS25で選択された信号が蒸気タービン5の昇速率の値を設定する信号として出力される。又、信号M1,M2がともにローとなったとき、OR回路O21からの信号がローとなってスイッチSW2をOFFとし、セレクタS25で選択された信号の出力が禁止される。
【0071】
(1)軸ずれ量小モード
a.コールドモード
信号M2がハイとなるとともに、信号M1,M3,M4がローとなるため、セレクタS21,S22,S25によって、信号発生器SG21のヒートソーク時間T1が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
b.ウォームモード
信号M2,M3がハイとなるとともに、信号M1,M4がローとなるため、セレクタS21,S22,S25によって、信号発生器SG22のヒートソーク時間T2が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
c.ホットモード
信号M2,M4がハイとなるとともに、信号M1,M3がローとなるため、セレクタS22,S25によって、信号発生器SG23のヒートソーク時間T3が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
【0072】
(2)軸ずれ量大モード
a.コールドモード
信号M1がハイとなるとともに、信号M2〜M4がローとなるため、セレクタS23,S24,S25によって、信号発生器SG24のヒートソーク時間T4が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
b.ウォームモード
信号M1,M3がハイとなるとともに、信号M2,M4がローとなるため、セレクタS23,S24,S25によって、信号発生器SG25のヒートソーク時間T5が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
c.ホットモード
信号M1,M4がハイとなるとともに、信号M2,M3がローとなるため、セレクタS24,S25によって、信号発生器SG26のヒートソーク時間T6が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
【0073】
このとき、ヒートソーク時間T1〜T3の関係をT1≧T2≧T3とし、ヒートソーク時間T4〜T6の関係をT4≧T5≧T6とすることによって、蒸気タービン5のロータメタル温度が低いコールドモードにおいてはヒートソーク時間を大きい値とするとともに、蒸気タービン5のロータメタル温度が高いホットモードにおいてはヒートソーク時間Tを小さい値とする。このようにすることで、蒸気タービン5のロータメタル温度が低いときはヒートソーク時間を長くするとともに、蒸気タービン5のロータメタル温度が高いときはヒートソーク時間を短くして、ヒートソーク時間終了後において、蒸気タービン5のロータメタル温度が十分高くなるようにすることができる。
【0074】
又、ヒートソーク時間T1,T4の関係をT1≦T4とすることによって、軸3a,5aの軸ずれが所定範囲となる軸ずれ小モードにおいてはヒートソーク時間を小さい値とするとともに、軸3a,5aの軸ずれが所定範囲より大きくなる軸ずれ大モードにおいてはヒートソーク時間を大きい値とする。このようにすることで、蒸気タービン5起動時の軸ずれが大きいときは、ヒートソーク時間を長くして蒸気タービン5が定格回転速度となるまでの時間を長くし、軸受73からの排油温度を高くして、高温の排油を軸受支持台74に流すことで、軸受支持台74の伸び量を変化させ、軸3a,5aの軸ずれを小さくすることができる。又、蒸気タービン5起動時の軸ずれが小さいときは、ヒートソーク時間を短くして蒸気タービン5が定格回転速度となるまでの時間を短くし、早いタイミングでクラッチ7を嵌合して発電機6からの発電出力が早く得られるようにする。
【0075】
3.プラント起動動作
次に、図1に示す一軸コンバインドプラントの起動時の動作について、以下に説明する。図9は、一軸コンバインドプラントの起動時におけるプラント全体及びガスタービン3及び蒸気タービン5それぞれの負荷の値の変遷を表すタイミングチャートである。尚、図9において、実線がプラント全体の負荷を、一点鎖線がガスタービン3の負荷を、点線が蒸気タービン5の負荷を、それぞれ表す。
【0076】
まず、発電機6をサイリスタとして駆動し、ガスタービン3を回転させる。そして、時刻taにおいて、燃焼器2に燃料が供給されるとともに圧縮機1で圧縮された空気が供給されて燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスがガスタービン3に供給される。このようにして、ガスタービン3が燃焼ガスによって回転されると、発電機6が発電機として動作し、その負荷(プラント全体の負荷)がガスタービン3の負荷と等しい値となる。その後、燃料制御弁2bによって燃焼器2への燃料流量を調整するとともにIGB1aによって圧縮機1への空気流量を調整して、ガスタービン3及び発電機6の負荷を上昇させる。
【0077】
そして、時刻tbにおいて、HRSG4から蒸気タービン5を駆動させるのに十分な蒸気が発生すると、蒸気タービン5へ蒸気を供給し駆動開始させる。このとき、クラッチ7によって軸3a,5aが切り離された状態であるため、蒸気タービン5による回転が発電機6に伝えられない。よって、蒸気タービン5による負荷は現れない。このように蒸気タービン5の回転を開始すると、制御装置10では、上述したように、蒸気タービン5のロータメタル温度及び軸3a,5aの軸ずれ量及び蒸気タービン5の目標回転速度を確認する。そして、確認した蒸気タービン5のロータメタル温度及び軸3a,5aの軸ずれ量及び蒸気タービン5の目標回転速度に応じた昇速率とヒートソーク時間とを設定する。
【0078】
このように蒸気タービン5の昇速率とヒートソーク時間が設定されると、図10のように、まず、蒸気加減弁5bで蒸気タービン5へ供給する蒸気流量を調整して、ヒートソークさせるための所定回転速度Rxまで、設定された昇速率で回転速度を昇速させる。そして、蒸気タービン5の回転速度が所定回転速度Rxに達すると、この所定回転速度Rxで設定されたヒートソーク時間の間回転させる。その後、再び、設定された昇速率で蒸気タービン5の回転速度を昇速させる。そして、蒸気タービン5の回転速度がガスタービン3の回転速度(上述の定格回転速度)Ryに近づくと、クラッチ7が嵌合することで、軸3a,5aが結合される。尚、このとき、制御装置10において軸3a,5aの軸ずれ量が大きいと判断したとき、クラッチ7による嵌合動作が禁止される。
【0079】
このように動作するとき、図9に示すように、時刻tcにおいて、蒸気タービン5の回転速度がガスタービン3の回転速度に近づいて、クラッチ7により軸3a,5aが結合され、蒸気タービン5による回転も軸3a,5aにより発電機6に伝達される。又、ガスタービン3は、蒸気タービン5が結合される時刻tc付近では、一定の負荷が出力されるように、その回転速度も一定とされる。よって、時刻tdまで、蒸気タービン5の負荷に応じて発電機6の負荷が大きくなる。そして、時刻tdとなると、ガスタービン3及び蒸気タービン5両方の負荷を上昇させるようにIGV1a及び燃料制御弁2b及び蒸気加減弁5bの開度を調節する。このようにして、発電機6の負荷が目標負荷となるように、発電機6の負荷を設定された変化率で上昇させる。
【0080】
尚、本実施形態において、制御装置10の起動時モード設定部102において、軸3a,5aの軸ずれ量に対して軸ずれ小モードと軸ずれ大モードの2つの動作状態が設定されるものとしたが、閾値2つ以上とし、その動作状態を3つ以上設定されるものとしても構わない。又、制御装置10を図5〜図8のようなブロックで構成されるものとしたが、このような構成に限らず、軸ずれ量が大きくなると昇速率を小さくするとともにヒートソーク時間を長く設定し、又、軸ずれ量が小さくなると昇速率を大きくするとともにヒートソーク時間を短く設定するようなソフトウェアを備えた装置としても構わない。このとき、更に、本実施形態で示したように、軸3a,5aの軸ずれ量による各動作状態とともに蒸気タービン5のロータメタル温度に基づいて昇速率及びヒートソーク時間を設定するソフトウェアを、制御装置10が備えるものとしても構わない。
【符号の説明】
【0081】
1 圧縮機
2 燃焼器
3 ガスタービン
4 HRSG
5 蒸気タービン
6 発電機
7 クラッチ
8 復水器
9 煙突
10 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチが嵌合された2つの軸の軸ずれを測定する軸ずれ測定装置及び軸ずれ測定方法に関するとともに、この軸ずれ測定装置を使用した一軸コンバインドプラント及び当該一軸コンバインドプラントの起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高効率で且つNOxなどの有害物質の排出量が少なく、又、一日の消費電力量の変化に柔軟に対応可能なコンバインドプラントとして、ガスタービンと蒸気タービンとを一本の軸で直結した一軸コンバインドプラントが用いられている。このような一軸コンバインドプラントでは、従来、起動時にガスタービンと蒸気タービンとを同時に起動するものであった。そのため、両方のタービンを同時に起動するために必要な起動トルクを大きくなり、この巨大な起動トルクを発生させることが可能なサイリスタ(起動装置)が必要となる。
又、蒸気タービンの翼が風損によって過度に温度上昇しないように蒸気タービンに冷却蒸気を供給する必要がある。しかしながら、ガスタービンによる発電機出力が上昇するまでは、ガスタービンの排ガスにより蒸気を生成する排ガスボイラにおいて蒸気タービンに投入可能な蒸気が生成できない。そのため、蒸気タービンに十分な冷却蒸気を送るための容量を備えた補助ボイラが必要となる。更に、従来の一軸コンバインドプラントにおいては、ガスタービン及び蒸気タービン及び発電機を並べて設置する必要があるとともに、軸流排気型の蒸気タービンが適用できない。そのため、復水器を蒸気タービンの下側に設置しなければならず、結果的に、ガスタービン及び蒸気タービン及び発電機を高所に設置する必要があり、プラント建家を複数階層の建家とする必要がある。
【0003】
これらの課題を解決するために、図11に示すようなガスタービン201と蒸気タービン202との間にクラッチ204を適用した一軸コンバインドプラントが提案されている(特許文献1参照)。又、図11の一軸コンバインドプラントは、ガスタービン201とクラッチ204との間に発電機203が設置されている。このようにクラッチ204を適用することで、ガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202との間での結合及び切り離しを可能とする。よって、起動時において、まず、クラッチ204によってガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202が切り離された状態で、ガスタービン201と発電機203のみを起動する。そして、排ガスボイラ(不図示)から発生する蒸気が蒸気タービン202に投入可能となると、蒸気を蒸気タービン202に投入して蒸気タービン202を起動する。その後、蒸気タービン202が定格回転数に到達すると、クラッチ204によってガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202とを結合して、蒸気タービン202のトルクを発電機203に伝達させる。
【0004】
このクラッチ204を適用した一軸コンバインドプラントは、起動時において最初にガスタービン201と発電機203のみを起動するのみでよいため、起動に必要なサイリスタの容量を小さくすることができる。又、ガスタービン201と発電機203のみが起動している間は、蒸気タービン202は低速回転で回転しており、冷却蒸気が不要であり、補助ボイラの容量を小さくすることができる。更に、蒸気タービン202の熱伸びがクラッチ204において吸収できるため、図11のようにガスタービン201、発電機203、蒸気タービン202の順で一軸コンバインドプラントを構成して、蒸気タービン202を端側に設置することができる。よって、蒸気タービン202を軸流排気型とすることができるため、軸流排気復水器を使用することができ、タービン軸を従来のように高い位置に設置する必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−13709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11のようにクラッチ204を備えた一軸コンバインドプラントは、上述したように、起動時において、先にガスタービン201を起動させた後に蒸気タービン202を起動させるため、蒸気タービン202の起動前の段階で、ガスタービン201が長時間定格回転数で回転していることとなる。よって、クラッチ204のガスタービン201側の軸受支持台が高温の軸受排油温度によって伸びているのに対して、クラッチ204の蒸気タービン202側の軸受支持台は、蒸気タービン202の状態に応じてその伸び率が異なる。
【0007】
即ち、復水器を真空に保って蒸気タービン202を停止させた場合は、蒸気タービン202の軸受に長時間グランド蒸気が流れるため、蒸気タービン202側の軸受支持台が若干伸びるが、復水器の真空を破壊して蒸気タービン202を停止させた場合は、蒸気タービン202の軸受けにグランド蒸気が流れないため、蒸気タービン202側の軸受支持台はほぼ初期状態で伸びていない。更に、蒸気タービン202の起動前においては、蒸気タービン202はほとんど回転していないため、蒸気タービン202側の軸受支持台は、ガスタービン201側の軸受支持台ほど伸び率が大きくない。
【0008】
このように、クラッチ204を備えた一軸コンバインドプラントは、その起動時においてガスタービン201側の軸受支持台と蒸気タービン202側の軸受支持台の伸び率が異なるとともに、その伸び率の差異が蒸気タービン202の状態によって異なるものとなる。更に、このガスタービン201側の軸受支持台と蒸気タービン202側の軸受支持台の伸び率の差異以外に、ガスタービン201側の軸と蒸気タービン202側の軸の浮き上がり量の差や傾きの差なども発生するため、ガスタービン201側の軸の中心と蒸気タービン202側の軸の中心との間にずれが生じる。
【0009】
このガスタービン201側の軸の中心と蒸気タービン202側の軸の中心との間のずれ量は、起動時にクラッチ204を嵌合してガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202とを結合するときにおいて影響を与える。即ち、ガスタービン201側の軸の中心と蒸気タービン202側の軸の中心との間のずれ量が所定の規定値よりも大きな値となるとき、ガスタービン201及び発電機203と蒸気タービン202とがともに定格回転数付近で回転した状態でクラッチ204が嵌合されるため、クラッチ204に過大な応力がかかり、結果的にクラッチ204を破損する恐れがある。
【0010】
このような問題を鑑みて、本発明は、クラッチ嵌合時の2つの軸の軸ずれを測定する軸ずれ測定装置及びこの軸ずれ測定装置を備えた一軸コンバインドプラントを提供することを目的とする。又、本発明は、起動時の蒸気タービン側の軸の中心位置とガスタービン側の軸の中心位置の間のずれに基づいて起動動作を切り換える一軸コンバインドプラントの起動方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の軸ずれ測定装置は、第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の温度を測定する第1温度センサと、第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の温度を測定する第2温度センサと、前記第1温度センサで測定された温度より前記第1軸受支持台の伸び量を求めるとともに、前記第2温度センサで測定された温度より前記第2軸受支持台の伸び量を求め、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量に基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような軸ずれ測定装置において、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とする。
【0013】
又、本発明の軸ずれ測定装置は、第1回転体の第1軸の上側の第1定点との距離を測定する第1ギャップ計測センサと、前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離を測定する第2ギャップ計測センサと、第2回転体の第2軸の上側の第3定点との距離を測定する第3ギャップ計測センサと、前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離を測定する第4ギャップ計測センサと、前記第1及び第2ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第1及び第2定点との距離より前記第1軸の傾きを求めるとともに、前記第3及び第4ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第3及び第4定点との距離より前記第2軸の傾きを求め、前記第1及び第2軸の傾きに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、を備えることを特徴とする。前記第1及び第2定点が前記第1軸の外周に突起した面上に存在し、前記第3及び第4定点が前記第2軸の外周に突起した面上に存在するものとしても構わない。
【0014】
このような軸ずれ測定装置において、前記第1及び第2ギャップ計測センサ間の距離をd1とし、前記第1及び第2ギャップ計測センサにより測定された前記第1及び第2定点それぞれへの距離をdu1,dd1とし、前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、前記第3及び第4ギャップ計測センサ間の距離をd2とし、前記第3及び第4ギャップ計測センサにより測定された前記第3及び第4定点それぞれへの距離をdu2,dd2とし、前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とする。更に、前記第1及び第2温度センサを備え、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量をも求めることができるとともに、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量と前記第1及び第2軸の傾きとに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求めるようにしても構わない。
【0015】
又、本発明の軸ずれ測定装置は、第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受の周方向の複数点に設けられた複数の第1ギャップ計測センサと、第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受の周方向の複数点に設けられた複数の第2ギャップ計測センサと、前記第1ギャップセンサで測定された前記第1軸受の周方向の複数点から前記第1軸までの距離より前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれを求めるとともに、前記第2ギャップセンサで測定された前記第2軸受の周方向の複数点から前記第2軸までの距離より前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれを求め、前記第1及び第2軸の軸心のずれに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
このような軸ずれ測定装置において、前記第1ギャップセンサが、前記第1軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第1軸受の中心に対して点対称となるように配置され、前記第2ギャップセンサが、前記第2軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となる
とともに、前記第2軸受の中心に対して点対称となるように配置される。そして、前記軸ずれ測定装置において、点対称となる2つの前記第1ギャップセンサ毎に、測定された前記第1軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記第1ギャップセンサ毎に求められた前記第1軸との距離の差の平均を、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれとし、点対称となる2つの前記第2ギャップセンサ毎に、測定された前記第2軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記第2ギャップセンサ毎に求められ
た前記第2軸との距離の差の平均を、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとし、当該第1及び第2軸それぞれの軸心のずれの差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とする。
【0017】
このとき、前記第1及び第2温度センサを備え、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量をも求めることができるとともに、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量と前記第1及び第2軸それぞれの軸心のずれとに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求めるようにしても構わない。又、前記第1軸の上側の第1定点との距離を測定する第3ギャップ計測センサと、前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離を測定する第4ギャップ計測センサと、前記第2軸の上側の第3定点との距離を測定する第5ギャップ計測センサと、前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離を測定する第6ギャップ計測センサと、を備え、前記第1及び第2軸の傾きを求めることができるとともに、前記第1及び第2軸の傾きと前記第1及び第2軸それぞれの軸心のずれとに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求めるようにしても構わない。
又、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量と前記第1及び第2軸の傾きと前記第1及び第2軸それぞれの軸心のずれとに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求めるようにしても構わない。
【0018】
又、本発明の軸ずれ測定方法は、第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の伸び量と、第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の伸び量と、を求める第1ステップと、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれと、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれと、を求める第2ステップと、前記第1軸の傾きと、前記第2軸の傾きと、を求める第3ステップと、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差と、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれと前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとの差と、前記第1及び第2軸の傾きと、に基づいて、前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求める第4ステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
このとき、前記第1ステップにおいて、前記第1及び第2軸受支持台それぞれの温度より前記第1及び第2軸受支持台それぞれの伸び量を求める。又、前記第2ステップにおいて、前記第1軸受の周方向の複数点からの前記第1軸への距離より前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれを求め、前記第2軸受の周方向の複数点からの前記第2軸への距離より前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれを求める。更に、前記第3ステップにおいて、前記第1軸の上側の第1定点との距離と、前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離とに基づいて、前記第1軸の傾きを求め、前記第2軸の上側の第3定点との距離と、前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離とに基づいて、前記第2軸の傾きを求める。
【0020】
前記ステップ2において前記第1及び第2軸の軸心のずれが上述のようにして求められるとき、前記第1軸受の周方向の複数点が、前記第1軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第1軸受の中心に対して点対称となるように配置されるとともに、前記第2軸受の周方向の複数点が、前記第2軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第2軸受の中心に対して点対称となるように配置され、前記第2ステップにおいて、前記第1軸受の周方向の複数点に対して、点対称となる2つの点毎に、測定された前記第1軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記点毎に求められた前記第1軸との距離の差の平均を、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれとし、前記第2軸受の周方向の複数点に対して、点対称となる2つの点毎に、測定された前記第2軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記点毎に求められた前記第2軸との距離の差の平均を、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとするものとしても構わない。
【0021】
前記ステップ3において前記第1及び第2軸の傾きが上述のようにして求められるとき、前記第1定点への距離の測定点と前記第2定点への距離の測定点との間の距離をd1とし、前記第1及び第2定点それぞれとの距離をdu1,dd1とし、前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、前記第3定点への距離の測定点と前記第4定点への距離の測定点との間の距離をd2とし、前記第3及び第4定点それぞれとの距離をdu2,dd2とし、前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、前記第4ステップにおいて、D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とする。
【0022】
又、本発明の一軸コンバインドプラントは、前記第1回転体となるガスタービンと、前記第2回転体となる蒸気タービンと、前記第1軸と前記第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、上述のいずれかの軸ずれ測定装置を備え、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に応じて、前記クラッチにおける前記第1及び第2軸の結合動作を制御することを特徴とする。このとき、前記第1及び第2軸を結合するとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が所定値より大きいとき、前記第1及び第2軸の結合を禁止するように、前記クラッチの動作を制御するようにしても構わない。
【0023】
又、本発明の一軸コンバインドプラントは、第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、前記第1軸と前記第2軸の軸ずれ量を測定する軸ずれ測定装置を備えるとともに、起動時において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を設定することを特徴とする。
【0024】
このとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくする。更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を変更するものとしても構わない。このとき、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更する。
【0025】
又、本発明の一軸コンバインドプラントは、第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、前記第1軸と前記第2軸の軸ずれ量を測定する軸ずれ測定装置を備えるとともに、起動時において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンのヒートソーク時間を設定することを特徴とする。
【0026】
このとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長くする。更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンのヒートソーク時間を変更するものとしても構わない。このとき、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長く変更する。
【0027】
又、上述の各一軸コンバインドプラントにおいて、前記蒸気タービンの目標回転速度の値に応じて前記蒸気タービンの回転速度の昇速率又はヒートソーク時間を変更するようにしても構わない。更に、上述の各一軸コンバインドプラントにおいて、前記軸ずれ測定装置を、上述のいずれかの軸ずれ測定装置としても構わない。
【0028】
又、本発明の一軸コンバインドプラントの起動方法は、第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントの起動方法において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、前記ガスタービンを回転させた後に、前記蒸気タービンを回転させる第1ステップと、前記蒸気タービンの回転を開始させたときに、前記第1軸と前記第2軸との軸ずれ量を測定する第2ステップと、前記軸ずれ量に応じて、前記蒸気タービンの昇速率及びヒートソーク時間を設定する第3ステップと、前記蒸気タービンの回転速度と前記ガスタービンとの回転速度とが略同一となったとき、前記クラッチによって、前記第1軸と前記第2軸とを結合する第4ステップと、を備えることを特徴とする。
【0029】
このとき、前記第3ステップにおいて、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくする。又、前記第3ステップにおいて、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長くする。
【0030】
更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率及びヒートソーク時間を変更するものとしても構わない。このとき、前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更する。又、前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長く変更する。
【0031】
又、上述の各一軸コンバインドプラントの起動方法において、前記第3ステップで、前記蒸気タービンの目標回転速度の値に応じて前記蒸気タービンの回転速度の昇速率又はヒートソーク時間を変更するようにしても構わない。更に、上述の各一軸コンバインドプラントの起動方法において、前記第2ステップで、上述のいずれかの軸ずれ測定方法によって前記第1及び第2軸の軸ずれ量を測定するようにしても構わない。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、軸受支持台の伸び量より第1軸と第2軸の軸ずれを測定することができるため、第1軸と第2軸とを結合させるクラッチなどにおいて、第1軸と第2軸とを結合させるときに、その軸ずれが許容範囲内にあるか否かを確認することができる。又、ギャップ計測センサによって非接触で測定された情報より第1軸と第2軸の軸ずれを測定することができるため、回転体の軸ずれを測定する際、その回転を妨げることなく測定することができる。又、このようにして軸ずれを測定することができるため、クラッチによって第1軸と第2軸とを結合させるときに、その軸ずれが許容範囲外である場合、結合を禁止して、クラッチの破損を防ぐことができる。又、一軸コンバインドプラントにおいて、軸ずれ量に応じて蒸気タービンの駆動方法を変更することができるため、蒸気タービンの軸受支持台を流れる排油温度を十分に高くして、ガスタービンの軸受支持台と同等の伸び量とすることができる。よって、ガスタービンの軸と蒸気タービンの軸をクラッチで結合させるとき、軸ずれ量を許容範囲内に抑えることができ、クラッチの破損を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】は、本発明の一軸コンバインドプラントの構成を示すブロック図である。
【図2】は、軸ずれ測定装置を構成する各種センサの設置位置を示す図である。
【図3】は、蒸気タービン及びガスタービンの軸ずれ状態を示すための模式図である 。
【図4】は、軸受におけるギャップ計測センサの設置位置を示す図である。
【図5】は、図1の一軸コンバインドプラントに設けられる制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図6】は、図5の制御装置内の起動時モード設定部の内部構成を示すブロック図で ある。
【図7】は、図5の制御装置内の昇速率設定部の内部構成を示すブロック図である。
【図8】は、図5の制御装置内のヒートソーク時間設定部の内部構成を示すブロック図である。
【図9】は、一軸コンバインドプラントの起動時におけるプラント全体及びガスター ビン及び蒸気タービンそれぞれの負荷の値の変遷を表すタイミングチャートである。
【図10】は、蒸気タービンの回転速度の変遷を表すタイミングチャートである。
【図11】は、従来の一軸コンバインドプラントの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。図1は、一軸コンバインドプラントの構成を示すブロック図である。
図1の一軸コンバインドプラントは、外気を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1からの圧縮空気により燃料を燃焼して燃焼ガスを供給する燃焼器2と、燃焼器2から供給される燃焼ガスにより回転するガスタービン3と、ガスタービン3からの排ガスにより蒸気を発生する排ガスボイラ(HRSG)4と、HRSG4からの蒸気により回転する蒸気タービン5と、ガスタービン3及び蒸気タービン5とによって回転して発電する発電機6と、ガスタービン3の軸3aと蒸気タービン5の軸5aとを結合又は切り離しを行うクラッチ7と、蒸気タービン5から排出される蒸気を回収するとともに回収した蒸気をHRSG4に供給する復水器8と、HRSG4からの排出されるガスタービン3からの排ガスを排出する煙突9と、各ブロックの動作制御を行う制御装置10と、を備える。
【0035】
又、この一軸コンバインドプラントは、燃焼器2に供給する燃料の燃料流量を調整する燃料制御弁2bと、HRSG4で発生された蒸気の蒸気タービン5への供給量を制御する蒸気加減弁5bと、圧縮機1の第1段静翼であるとともに圧縮機1に供給される空気の流量を調整する入口案内翼(IGV)1aと、を備える。この燃料制御弁2b及び蒸気加減弁5b及びIGV1aはそれぞれ制御装置10より信号が与えられて、その開度が制御されることによって、ガスタービン3及び蒸気タービン5の回転速度が制御される。又、圧縮機1及び発電機6の軸は、ガスタービン3と同一の軸3aである。
【0036】
このような構成の一軸コンバインドプラントは、クラッチ7によって軸3a及び軸5aが嵌合されるまでは、蒸気タービン5が切り離された状態であり、軸3aによって回転する圧縮機1及びガスタービン3及び発電機6と別に、軸5aによって蒸気タービン5が回転する。そして、ガスタービン3と蒸気タービン5の回転速度が略等しくなると、クラッチ7が自動的に嵌合する。このように、クラッチ7によって軸3a及び軸5aが結合されると、同一軸となる軸3a及び軸5aによって、圧縮機1及びガスタービン3及び蒸気タービン5及び発電機6が同一軸で回転する。このように動作するとき、圧縮機1によって圧縮された空気が燃焼器2に与えられる燃料が燃焼されると、燃焼器2からの燃焼ガスによってガスタービン3が回転するとともに、HRSG4でガスタービン3からの排ガスによって生成された蒸気が蒸気タービン5に供給されて蒸気タービン5が回転する。
【0037】
1.軸ずれ測定
図1のように構成される一軸コンバインドプラントにおいて、軸3a及び軸5aそれぞれの中心位置のずれを測定するための軸ずれ測定装置が、クラッチ7周辺に設置された後述する各種センサと制御装置10内の軸ずれ演算部101(図5)とによって構成される。図2に、クラッチ7周辺に設置される各種センサの設置位置を示す。
【0038】
図2に示すように、軸3aが挿入される軸受71と、軸受71を支持する軸受支持台72とが、クラッチ7のガスタービン3側に設けられるとともに、軸5aが挿入される軸受73と、軸受73を支持する軸受支持台74とが、クラッチ7の蒸気タービン5側に設けられる。即ち、軸受71,73の間にクラッチ7が設けられた構成となる。更に、軸受3a,5aそれぞれにフランジ3c,5cが設置されている。
【0039】
図2のようにクラッチ7及び軸3a,5aが構成されるとき、軸受支持台72,74それぞれの温度を計測するための温度センサ51,52が軸受支持台72,74それぞれに設置され、又、軸3a,5aの径方向のギャップを計測して軸3a,5aそれぞれの中心位置を測定する径方向ギャップ計測センサ53,54がそれぞれ軸受71,73に設置される。又、フランジ3c,5cとの軸方向の距離を測定して軸3a,5aそれぞれの傾きを測定する軸方向ギャップ計測センサ55u,55d,56u,56dがそれぞれフランジ3c,5c近傍に設置される。このとき、温度センサ51,52として、例えば、熱電対を適用する。又、軸方向ギャップ計測センサ53,54,55u,55d,56u,56dについては、回転する軸3a,5aの状態を確認するための非接触センサを適用し、例えば、渦電流式ギャップセンサ又はCCDレーザセンサを適用する。
【0040】
このように各種センサが設置されるとき、温度センサ51,52で計測された軸受支持台72,74それぞれの温度が軸ずれ演算部101に与えられると、軸受支持台72,74それぞれの伸び量(すなわち温度による変位量)が求められる。即ち、温度センサ51によって軸受支持台72の温度Ti1が計測されるとともに、温度センサ52によって軸受支持台74の温度Ti2が計測されると、(1)式より軸受支持台72の伸び量Δhi1が求められるとともに、(2)式より軸受支持台74の伸び量Δhi2が求められる。尚、h0が軸受支持台72,74の高さを、τが線膨張係数を、To1が軸受支持台72設置時の温度(オフセット温度)を、To2が軸受支持台74設置時の温度(オフセット温度)を、それぞれ表す。
【0041】
Δhi1=h0×τ×(Ti1−To1) …(1)
Δhi2=h0×τ×(Ti2−To2) …(2)
【0042】
このように、軸ずれ演算部101によって温度センサ51での計測値に基づいて演算することで、図3(a)に示すように、軸3aを支持する軸受支持台72の高さがΔhi1だけ伸びたことが確認される。又、軸ずれ演算部101によって温度センサ52での計測値に基づいて演算することで、図3(a)に示すように、軸5aを支持する軸受支持台74の高さがΔhi2だけ伸びたことが確認される。尚、図3は、軸3a,5aの軸ずれ状態を示すための模式図である。
【0043】
又、軸受71,73に設置される径方向ギャップ計測センサ53,54は、図4のように、軸受71,73が備える軸受支持環71a,73aの周方向の4点A〜Dに設けられる。このとき、軸受支持環71a,73aの中心Oと4点A〜Dそれぞれとを結ぶ直線が、軸受支持環71a,73aの中心Oを通る水平面Xに対して45°となるとともに、点A,C及び点B,Dそれぞれが対角線上にある。即ち、点A,Cを結ぶ直線と点B,Dを結ぶ直線が垂直な関係となるとともに、水平面Xに対して45°となる。このように径方向ギャップ計測センサ53,54が、軸受支持環71a,73aの4点A〜Dに設置され、軸3a,5aの4方向のギャップ変化を計測する。
【0044】
このとき、軸受支持環71a,73aの点A〜Dそれぞれの径方向ギャップ計測センサ53,54で計測された軸3a,5aの側壁との距離(ギャップ)が軸ずれ演算部101に与えられると、軸3a,5aの軸心位置の変位量(垂直方向変位量)が求められる。即ち、軸受支持環71aの点A〜Dそれぞれの径方向ギャップ計測センサ53で軸3aの側壁とのギャップGA1〜GD1が計測されるとともに、軸受支持環73aの点A〜Dそれぞれの径方向ギャップ計測センサ54で軸5aの側壁とのギャップGA2〜GD2が計測されると、(3)式より軸3aの軸心位置の変位量Δd1が求められるとともに、(4)式より軸5aの軸心位置の変位量Δd2が求められる。尚、変位量Δd1,d2は水平面Xに対して垂直な方向の変位量である。
【0045】
Δd1=((GC1−GA1)+(GB1−GD1))/(2×21/2) …(3)
Δd2=((GC2−GA2)+(GB2−GD2))/(2×21/2) …(4)
【0046】
このように、軸ずれ演算部101によって径方向ギャップ計測センサ53での計測値に基づいて演算することで、図3(b)に示すように、軸受71における軸3aの軸心のずれがΔd1だけずれていることが確認される。又、軸ずれ演算部101によって径方向ギャップ計測センサ54での計測値に基づいて演算することで、図3(b)に示すように、軸受73における軸5aの軸心のずれがΔd2だけずれていることが確認される。
【0047】
更に、図2のように、軸方向ギャップ計測センサ55u,56uがそれぞれ、フランジ3c,5cの軸3a,5aよりも上側の点uとの距離(ギャップ)を測定するように、フランジ3c,5cの点u近傍に設置され、又、軸方向ギャップ計測センサ55d,56dがそれぞれ、フランジ3c,5cの軸3a,5aよりも下側の点dとのギャップを測定するように、フランジ3c,5cの点d近傍に設置される。そして、フランジ3cの点u,dに対して設置された軸方向ギャップ計測センサ55u,55dで計測されたギャップの変化量(すなわち計測された距離の変化量)と、フランジ5cの点u,dに対して設置されたギャップ計測センサ56u,56dで計測されたギャップの変化量とがそれぞれ軸ずれ演算部101に与えられると、軸3a,5aの軸の傾きによる軸ずれ量(すなわち軸心変位量)が求められる。
【0048】
即ち、軸方向ギャップ計測センサ55uでフランジ3cの上側の点uとの距離(ギャップ)の変化量Gu1が、軸方向ギャップ計測センサ55dでフランジ3cの下側の点dとのギャップの変化量Gd1が、軸方向ギャップ計測センサ56uでフランジ5cの上側の点uとのギャップの変化量Gu2が、軸方向ギャップ計測センサ56dでフランジ5cの下側の点dとのギャップの変化量Gd2が、それぞれ計測されると、(5)式より軸3aの傾きによる軸ずれ量ΔS1が求められるとともに、(6)式より軸5aの傾きによる軸ずれ量ΔS2が求められる。尚、ds1が軸方向ギャップ計測センサ55u,55dの設置位置間距離を、ds2が軸方向ギャップ計測センサ56u,56dの設置位置間距離を、それぞれ表す。又、ギャップの変化量Gu1,Gd1,Gu2,Gd2はそれぞれ、軸3a,5aの傾きのない設置時の値が0となる。
【0049】
ΔS1=(Gu1−Gd1)/ds1 …(5)
ΔS2=(Gu2−Gd2)/ds2 …(6)
【0050】
このとき、図3(c)に示すように、軸ずれ演算部101によって軸方向ギャップ計測センサ55u,55dでの計測値Gu1,Gd1に基づいて演算することで、軸3aの傾きΔθ1による軸ずれ量ΔS1(=tanΔθ1)が確認される。又、図3(c)に示すように、軸ずれ演算部101によって軸方向ギャップ計測センサ56u,56dでの計測値Gu2,Gd2に基づいて演算することで、軸5aの傾きΔθ2による軸ずれ量ΔS2(=tanΔθ2)が確認される。
【0051】
このようにして、軸ずれ演算部101において、軸受支持台72,74の伸び量Δhi1,Δhi2、軸3a,5aの軸心位置の変位量Δd1,Δd2、及び、軸3a,5aの傾きによる軸ずれ量ΔS1,ΔS2がそれぞれ求められると、(7)式より、図3(c)に示す軸3a,5aの軸ずれ量doが求められる。尚、dcが設置時の軸3a,5aの軸ずれ量を、L1がクラッチ7の嵌合部70と軸受支持台72の中心との距離を、L2がクラッチ7の嵌合部70と軸受支持台74の中心との距離を、それぞれ表す。
【0052】
do=dc+(Δhi1+Δd1)+ΔS1×L1
−(Δhi2+Δd2)+ΔS2×L2…(7)
【0053】
2.制御装置におけるプラント起動制御部分の構成
次に、上述のように軸3a,5aの軸ずれを測定する軸ずれ測定装置を備える一軸コンバインドプラントにおける制御装置10の構成の一部について、以下に説明する。図5は、制御装置10の構成の一部を示すブロック図である。
【0054】
図5に示すように、制御装置10は、軸3a,5aの軸ずれ量doを求める軸ずれ演算部101と、軸ずれ演算部101で求められた軸ずれ量do及び蒸気タービン5のロータメタル温度に基づいて起動時の動作モードを設定する起動時モード設定部102と、起動時モード設定部102で設定された動作モードに応じて蒸気タービン5の回転速度の昇速率を設定する昇速率設定部103と、起動時モード設定部102で設定された動作モードに応じて蒸気タービン5を安全な回転速度に保持して回転させるヒートソーク時間を設定するヒートソーク時間設定部104と、を備える。
【0055】
又、起動時モード設定部102は、図6に示すように、軸ずれ演算部101で求められた軸ずれ量doを閾値dthと比較する比較器111と、蒸気タービン5へのHRSG4からの蒸気供給が開始されたときにパルス信号を発生するパルス発生回路112と、比較器111からの信号とパルス発生回路112からのパルス信号が入力されるAND回路A1と、比較器111からの信号を反転するインバータIn1と、インバータIn1からの信号とパルス発生回路112からのパルス信号が入力されるAND回路A2と、クラッチ7が正常に嵌合されたか否かを示す信号などが入力されるOR回路O1と、AND回路A1からの信号によってハイを出力するとともにOR回路O1からの信号によってローを出力するRS回路113と、AND回路A2からの信号によってハイを出力するとともにOR回路O1からの信号によってローを出力するRS回路114と、蒸気タービン5の初段入口メタル温度であるロータメタル温度に関する温度情報が与えられ閾値t1,t2(t2>t1)と比較する比較器115,116と、比較器116の信号を反転するインバータIn2と、比較器115からの信号とインバータIn2からの信号が入力されるAND回路A3と、蒸気タービン5が定格回転速度付近の所定の回転速度となったことを確認する回転速度確認部117と、比較器111及び回転速度確認部117それぞれからの信号
が入力されるAND回路A4と、AND回路A4からの信号によってハイを出力するとともにOR回路O1からの信号によってローを出力するRS回路118と、を備える。
【0056】
このように起動時モード設定部102が設定されるとき、軸ずれ量doが閾値dthより大きい場合、比較器111よりハイとなる信号が出力される。そして、蒸気タービン5へのHRSG4からの蒸気供給が開始されて蒸気タービン5を起動することが確認されると、パルス発生回路112でパルス信号が発生されるため、AND回路A1よりハイとなる信号がRS回路113に与えられるとともに、AND回路A2よりローとなる信号がRS回路114に与えられる。よって、RS回路113からの信号がハイとなるとともに、RS回路114からの信号がローのままである。よって、クラッチ7における軸3a,5aの軸ずれ量の大きい軸ずれ量大モードであることを表す信号M1がRS回路113より出力される。
【0057】
又、軸ずれ量doが閾値dth以下である場合、比較器111よりローとなる信号が出力される。そして、蒸気タービン5へのHRSG4からの蒸気供給が開始されて蒸気タービン5を起動することが確認されると、パルス発生回路112でパルス信号が発生されるため、AND回路A1よりローとなる信号がRS回路113に与えられるとともに、AND回路A2よりハイとなる信号がRS回路114に与えられる。よって、RS回路113からの信号がローのままであるとともに、RS回路114からの信号がハイとなる。よって、クラッチ7における軸3a,5aの軸ずれ量の小さい軸ずれ量小モードであることを表す信号M2がRS回路114より出力される。この軸ずれ量小モードを表す信号M2が与えられたとき、制御装置10において、クラッチ7での嵌合動作が安定して行えることが確認され、通常の起動動作が行われる。
【0058】
又、蒸気タービン5のロータメタル温度が閾値t1以下のとき、比較器115,116からローとなる信号が出力され、結果的に、比較器116及びAND回路A3からローとなる信号が出力され、コールドモードであることが示される。又、蒸気タービン5のロータメタル温度が閾値t1より高く閾値t2以下となるとき、比較器115からハイとなる信号が出力されるとともに116からローとなる信号が出力され、結果的に、比較器116からローとなる信号が出力されるとともにAND回路A3からハイとなる信号が出力され、ウォームモードであることが示される。又、蒸気タービン5のロータメタル温度が閾値t2より高くなるとき、比較器115,116からハイとなる信号が出力され、結果的に、比較器116からハイとなる信号が出力されるとともにAND回路A3からローとなる信号が出力され、ホットモードであることが示される。
【0059】
更に、蒸気タービン5の回転速度が定格回転速度よりも所定値分低い回転速度に達したことが確認されると、回転速度確認部117よりハイとなる信号が出力される。このとき、軸ずれ量doが閾値dth以下である場合、比較器111よりローとなる信号が出力されて、AND回路A4よりローとなる信号がRS回路118に与えられ、RS回路118からの出力がローとなる。又、軸ずれ量doが閾値dthより大きい場合、比較器111よりハイとなる信号が出力されて、AND回路A4よりハイとなる信号がRS回路118に与えられ、RS回路118からの出力がハイとなり、クラッチ7での嵌合動作が禁止される。又、クラッチ7での嵌合動作が正常に行われたことを示す信号がOR回路O1に与えられると、OR回路O1よりハイとなる信号がRS回路113,114,118に与えられて、RS回路113,114,118の信号がローとなる。
【0060】
又、昇速率設定部103は、図7に示すように、昇速率R1〜R14[rpm/min]となる信号をそれぞれ出力する信号発生器SG1〜SG14と、信号発生器SG1,SG2それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS1と、セレクタS1及び信号発生器SG3それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS2と、信号発生器SG4,SG5それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS3と、セレクタS3及び信号発生器SG6それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS4と、信号発生器SG7,SG8それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS5と、セレクタS5及び信号発生器SG9それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS6と、信号発生器SG10,SG11それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS7と、セレクタS7及び信号発生器SG12それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS8と、セレクタS2及び信号発生器SG13それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS9と、セレクタS4,S9それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS10と、セレクタS6及び信号発生器SG14それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS11と、セレクタS8,S11それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS12と、セレクタS10,S12それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS13と、信号M1,M2が入力されるOR回路O11と、OR回路O11からの出力により制御されるスイッチSW1と蒸気タービン5の目標回転速度がRa以上であるとき信号M5を出力する比較器121と、蒸気タービン5の目標回転速度がRb以上であるとき信号M6を出力する比較器122と、を備える。
【0061】
このとき、AND回路A3からの信号M3がセレクタS1,S3,S5,S7に入力され、信号M3がローのとき、セレクタS1が信号発生器SG1の信号を、セレクタS3が信号発生器SG4の信号を、セレクタS5が信号発生器SG7の信号を、セレクタS7が信号発生器SG10の信号を、それぞれ選択し、又、信号M3がハイのとき、セレクタS1が信号発生器SG2の信号を、セレクタS3が信号発生器SG5の信号を、セレクタS5が信号発生器SG8の信号を、セレクタS7が信号発生器SG11の信号を、それぞれ選択する。又、比較器116からの信号M4がセレクタS2,S4,S6,S8に入力され、信号M4がローのとき、セレクタS2がセレクタS1の信号を、セレクタS4がセレクタS3の信号を、セレクタS6がセレクタS5の信号を、セレクタS8がセレクタS7の信号を、それぞれ選択し、又、信号M3がハイのとき、セレクタS2が信号発生器SG3の信号を、セレクタS4が信号発生器SG6の信号を、セレクタS6が信号発生器SG9の信号を、セレクタS8が信号発生器SG12の信号を、それぞれ選択する。
【0062】
又、蒸気タービン5の目標回転速度がRa以上であることを示す信号M5が比較器121からセレクタS9,S11に入力され、信号M5がローのとき、セレクタS9が信号発生器SG13の信号を、セレクタS11が信号発生器SG14の信号を、それぞれ選択し、又、信号M5がハイのとき、セレクタS9がセレクタS2の信号を、セレクタS11がセレクタS6の信号を、それぞれ選択する。又、蒸気タービン5の目標回転速度がRb以上であることを示す信号M6が比較器122からセレクタS10,S12に入力され、信号M6がローのとき、セレクタS10がセレクタS9の信号を、セレクタS12がセレクタS11の信号を、それぞれ選択し、又、信号M6がハイのとき、セレクタS10がセレクタS4の信号を、セレクタS12がセレクタS8の信号を、それぞれ選択する。又、RS回路113からの信号M1がセレクタ13に入力され、信号M1がローのとき、セレクタS13がセレクタ10の信号を、選択し、又、信号M1がハイのとき、セレクタS13がセレクタS12の信号を選択する。
【0063】
更に、RS回路113,114から信号M1,M2がOR回路O11に入力されるため、信号M1,M2のいずれかがハイとなったとき、OR回路O11からの信号がハイとなってスイッチSW1をONとし、セレクタS13で選択された信号が蒸気タービン5の昇速率の値を設定する信号として出力される。又、信号M1,M2がともにローとなったとき、OR回路O11からの信号がローとなってスイッチSW1をOFFとし、セレクタS13で選択された信号の出力が禁止される。このように昇速率設定部103が構成されるとき、各種モードにおける動作が以下のようになる。
【0064】
(1)軸ずれ量小モード
a.目標回転速度がRaより低いとき
信号M2がハイとなるとともに、信号M1,M3〜M6がローとなるため、セレクタS9,S10,S13によって、信号発生器SG13の昇速率R13が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b.目標回転速度がRa以上且つRbより低いとき
b−1.コールドモード
信号M2,M5がハイとなるとともに、信号M1,M3,M4,M6がローとなるため、セレクタS1,S2,S9,S10,S13によって、信号発生器SG1の昇速率R1が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b−2.ウォームモード
信号M2,M3,M5がハイとなるとともに、信号M1,M4,M6がローとなるため、セレクタS1,S2,S9,S10,S13によって、信号発生器SG2の昇速率R2が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b−3.ホットモード
信号M2,M4,M5がハイとなるとともに、信号M1,M3,M6がローとなるため、セレクタS2,S9,S10,S13によって、信号発生器SG3の昇速率R3が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c.目標回転速度がRb以上のとき
c−1.コールドモード
信号M2,M5,M6がハイとなるとともに、信号M1,M3,M4がローとなるため、セレクタS3,S4,S10,S13によって、信号発生器SG4の昇速率R4が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c−2.ウォームモード
信号M2,M3,M5,M6がハイとなるとともに、信号M1,M4がローとなるため、セレクタS3,S4,S10,S13によって、信号発生器SG5の昇速率R5が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c−3.ホットモード
信号M2,M4〜M6がハイとなるとともに、信号M1,M3がローとなるため、セレクタS4,S10,S13によって、信号発生器SG6の昇速率R6が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
【0065】
(2)軸ずれ量大モード
a.目標回転速度がRaより低いとき
信号M1がハイとなるとともに、信号M2〜M6がローとなるため、セレクタS11〜S13によって、信号発生器SG14の昇速率R14が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b.目標回転速度がRa以上且つRbより低いとき
b−1.コールドモード
信号M1,M5がハイとなるとともに、信号M2〜M4,M6がローとなるため、セレクタS5,S6,S11〜S13によって、信号発生器SG7の昇速率R7が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b−2.ウォームモード
信号M1,M3,M5がハイとなるとともに、信号M2,M4,M6がローとなるため、セレクタS5,S6,S11〜S13によって、信号発生器SG8の昇速率R8が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
b−3.ホットモード
信号M1,M4,M5がハイとなるとともに、信号M2,M3,M6がローとなるため、セレクタS6,S11〜S13によって、信号発生器SG9の昇速率R9が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c.目標回転速度がRb以上のとき
c−1.コールドモード
信号M1,M5,M6がハイとなるとともに、信号M2,M3,M4がローとなるため、セレクタS7,S8,S12,S13によって、信号発生器SG10の昇速率R10が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c−2.ウォームモード
信号M1,M3,M5,M6がハイとなるとともに、信号M2,M4がローとなるため、セレクタS7,S8,S12,S13によって、信号発生器SG11の昇速率R11が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
c−3.ホットモード
信号M1,M4〜M6がハイとなるとともに、信号M2,M3がローとなるため、セレクタS8,S12,S13によって、信号発生器SG12の昇速率R12が選択され、スイッチSW1を介して出力される。
【0066】
このとき、昇速率R1〜R3の関係をR1≦R2≦R3とし、昇速率R4〜R6の関係をR4≦R5≦R6とし、昇速率R7〜R9の関係をR7≦R8≦R9とし、昇速率R10〜R12の関係をR10≦R11≦R12とすることによって、蒸気タービン5のロータメタル温度が低いコールドモードにおいては昇速率を小さい値とするとともに、蒸気タービン5のロータメタル温度が高いコールドモードにおいては昇速率を大きい値とする。このようにすることで、クラッチ7において嵌合するように蒸気タービン5が定格回転速度となったときに、蒸気タービン5のロータメタル温度が十分高くなるようにすることができる。
【0067】
又、昇速率R1,R7の関係をR1≧R7とし、昇速率R4,R10の関係をR4≧R10とすることによって、軸3a,5aの軸ずれが所定範囲となる軸ずれ小モードにおいては昇速率を大きい値とするとともに、軸3a,5aの軸ずれが所定範囲より大きくなる軸ずれ大モードにおいては昇速率を小さい値とする。このようにすることで、蒸気タービン5起動時の軸ずれが大きいときは、蒸気タービン5の回転速度を徐々に昇速させて軸受73からの排油温度を高くして、高温の排油を軸受支持台74に流すことで、軸受支持台74の伸び量を変化させ、軸3a,5aの軸ずれを小さくすることができる。又、蒸気タービン5起動時の軸ずれが小さいときは、蒸気タービン5の回転速度を早く昇速させて、早いタイミングでクラッチ7を嵌合して発電機6からの発電出力が早く得られるようにする。
【0068】
又、ヒートソーク時間設定部104は、図8に示すように、ヒートソーク時間T1〜T6となる信号をそれぞれ出力する信号発生器SG21〜SG26と、信号発生器SG21,SG22それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS21と、セレクタS21及び信号発生器SG23それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS22と、信号発生器SG24,SG25それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS23と、セレクタS23及び信号発生器SG26それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS24と、セレクタS22,S24それぞれからの信号から1つの信号を選択するセレクタS25と、信号M1,M2が入力されるOR回路O21と、OR回路O21からの出力により制御されるスイッチSW2と、を備える。
【0069】
このとき、AND回路A3からの信号M3がセレクタS21,S23に入力され、信号M3がローのとき、セレクタS21が信号発生器SG21の信号を、セレクタS23が信号発生器SG24の信号を、それぞれ選択し、又、信号M3がハイのとき、セレクタS21が信号発生器SG22の信号を、セレクタS23が信号発生器SG25の信号を、それぞれ選択する。又、比較器116からの信号M4がセレクタS22,S24に入力され、信号M4がローのとき、セレクタS22がセレクタS21の信号を、セレクタS24がセレクタS23の信号を、それぞれ選択し、又、信号M4がハイのとき、セレクタS22が信号発生器SG23の信号を、セレクタS24が信号発生器SG26の信号を、それぞれ選択する。
【0070】
又、RS回路113からの信号M1がセレクタ25に入力され、信号M1がローのとき、セレクタS25がセレクタ22の信号を、選択し、又、信号M1がハイのとき、セレクタS25がセレクタS24の信号を選択する。更に、RS回路113,114から信号M1,M2がOR回路O21に入力されるため、信号M1,M2のいずれかがハイとなったとき、OR回路O21からの信号がハイとなってスイッチSW2をONとし、セレクタS25で選択された信号が蒸気タービン5の昇速率の値を設定する信号として出力される。又、信号M1,M2がともにローとなったとき、OR回路O21からの信号がローとなってスイッチSW2をOFFとし、セレクタS25で選択された信号の出力が禁止される。
【0071】
(1)軸ずれ量小モード
a.コールドモード
信号M2がハイとなるとともに、信号M1,M3,M4がローとなるため、セレクタS21,S22,S25によって、信号発生器SG21のヒートソーク時間T1が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
b.ウォームモード
信号M2,M3がハイとなるとともに、信号M1,M4がローとなるため、セレクタS21,S22,S25によって、信号発生器SG22のヒートソーク時間T2が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
c.ホットモード
信号M2,M4がハイとなるとともに、信号M1,M3がローとなるため、セレクタS22,S25によって、信号発生器SG23のヒートソーク時間T3が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
【0072】
(2)軸ずれ量大モード
a.コールドモード
信号M1がハイとなるとともに、信号M2〜M4がローとなるため、セレクタS23,S24,S25によって、信号発生器SG24のヒートソーク時間T4が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
b.ウォームモード
信号M1,M3がハイとなるとともに、信号M2,M4がローとなるため、セレクタS23,S24,S25によって、信号発生器SG25のヒートソーク時間T5が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
c.ホットモード
信号M1,M4がハイとなるとともに、信号M2,M3がローとなるため、セレクタS24,S25によって、信号発生器SG26のヒートソーク時間T6が選択され、スイッチSW2を介して出力される。
【0073】
このとき、ヒートソーク時間T1〜T3の関係をT1≧T2≧T3とし、ヒートソーク時間T4〜T6の関係をT4≧T5≧T6とすることによって、蒸気タービン5のロータメタル温度が低いコールドモードにおいてはヒートソーク時間を大きい値とするとともに、蒸気タービン5のロータメタル温度が高いホットモードにおいてはヒートソーク時間Tを小さい値とする。このようにすることで、蒸気タービン5のロータメタル温度が低いときはヒートソーク時間を長くするとともに、蒸気タービン5のロータメタル温度が高いときはヒートソーク時間を短くして、ヒートソーク時間終了後において、蒸気タービン5のロータメタル温度が十分高くなるようにすることができる。
【0074】
又、ヒートソーク時間T1,T4の関係をT1≦T4とすることによって、軸3a,5aの軸ずれが所定範囲となる軸ずれ小モードにおいてはヒートソーク時間を小さい値とするとともに、軸3a,5aの軸ずれが所定範囲より大きくなる軸ずれ大モードにおいてはヒートソーク時間を大きい値とする。このようにすることで、蒸気タービン5起動時の軸ずれが大きいときは、ヒートソーク時間を長くして蒸気タービン5が定格回転速度となるまでの時間を長くし、軸受73からの排油温度を高くして、高温の排油を軸受支持台74に流すことで、軸受支持台74の伸び量を変化させ、軸3a,5aの軸ずれを小さくすることができる。又、蒸気タービン5起動時の軸ずれが小さいときは、ヒートソーク時間を短くして蒸気タービン5が定格回転速度となるまでの時間を短くし、早いタイミングでクラッチ7を嵌合して発電機6からの発電出力が早く得られるようにする。
【0075】
3.プラント起動動作
次に、図1に示す一軸コンバインドプラントの起動時の動作について、以下に説明する。図9は、一軸コンバインドプラントの起動時におけるプラント全体及びガスタービン3及び蒸気タービン5それぞれの負荷の値の変遷を表すタイミングチャートである。尚、図9において、実線がプラント全体の負荷を、一点鎖線がガスタービン3の負荷を、点線が蒸気タービン5の負荷を、それぞれ表す。
【0076】
まず、発電機6をサイリスタとして駆動し、ガスタービン3を回転させる。そして、時刻taにおいて、燃焼器2に燃料が供給されるとともに圧縮機1で圧縮された空気が供給されて燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスがガスタービン3に供給される。このようにして、ガスタービン3が燃焼ガスによって回転されると、発電機6が発電機として動作し、その負荷(プラント全体の負荷)がガスタービン3の負荷と等しい値となる。その後、燃料制御弁2bによって燃焼器2への燃料流量を調整するとともにIGB1aによって圧縮機1への空気流量を調整して、ガスタービン3及び発電機6の負荷を上昇させる。
【0077】
そして、時刻tbにおいて、HRSG4から蒸気タービン5を駆動させるのに十分な蒸気が発生すると、蒸気タービン5へ蒸気を供給し駆動開始させる。このとき、クラッチ7によって軸3a,5aが切り離された状態であるため、蒸気タービン5による回転が発電機6に伝えられない。よって、蒸気タービン5による負荷は現れない。このように蒸気タービン5の回転を開始すると、制御装置10では、上述したように、蒸気タービン5のロータメタル温度及び軸3a,5aの軸ずれ量及び蒸気タービン5の目標回転速度を確認する。そして、確認した蒸気タービン5のロータメタル温度及び軸3a,5aの軸ずれ量及び蒸気タービン5の目標回転速度に応じた昇速率とヒートソーク時間とを設定する。
【0078】
このように蒸気タービン5の昇速率とヒートソーク時間が設定されると、図10のように、まず、蒸気加減弁5bで蒸気タービン5へ供給する蒸気流量を調整して、ヒートソークさせるための所定回転速度Rxまで、設定された昇速率で回転速度を昇速させる。そして、蒸気タービン5の回転速度が所定回転速度Rxに達すると、この所定回転速度Rxで設定されたヒートソーク時間の間回転させる。その後、再び、設定された昇速率で蒸気タービン5の回転速度を昇速させる。そして、蒸気タービン5の回転速度がガスタービン3の回転速度(上述の定格回転速度)Ryに近づくと、クラッチ7が嵌合することで、軸3a,5aが結合される。尚、このとき、制御装置10において軸3a,5aの軸ずれ量が大きいと判断したとき、クラッチ7による嵌合動作が禁止される。
【0079】
このように動作するとき、図9に示すように、時刻tcにおいて、蒸気タービン5の回転速度がガスタービン3の回転速度に近づいて、クラッチ7により軸3a,5aが結合され、蒸気タービン5による回転も軸3a,5aにより発電機6に伝達される。又、ガスタービン3は、蒸気タービン5が結合される時刻tc付近では、一定の負荷が出力されるように、その回転速度も一定とされる。よって、時刻tdまで、蒸気タービン5の負荷に応じて発電機6の負荷が大きくなる。そして、時刻tdとなると、ガスタービン3及び蒸気タービン5両方の負荷を上昇させるようにIGV1a及び燃料制御弁2b及び蒸気加減弁5bの開度を調節する。このようにして、発電機6の負荷が目標負荷となるように、発電機6の負荷を設定された変化率で上昇させる。
【0080】
尚、本実施形態において、制御装置10の起動時モード設定部102において、軸3a,5aの軸ずれ量に対して軸ずれ小モードと軸ずれ大モードの2つの動作状態が設定されるものとしたが、閾値2つ以上とし、その動作状態を3つ以上設定されるものとしても構わない。又、制御装置10を図5〜図8のようなブロックで構成されるものとしたが、このような構成に限らず、軸ずれ量が大きくなると昇速率を小さくするとともにヒートソーク時間を長く設定し、又、軸ずれ量が小さくなると昇速率を大きくするとともにヒートソーク時間を短く設定するようなソフトウェアを備えた装置としても構わない。このとき、更に、本実施形態で示したように、軸3a,5aの軸ずれ量による各動作状態とともに蒸気タービン5のロータメタル温度に基づいて昇速率及びヒートソーク時間を設定するソフトウェアを、制御装置10が備えるものとしても構わない。
【符号の説明】
【0081】
1 圧縮機
2 燃焼器
3 ガスタービン
4 HRSG
5 蒸気タービン
6 発電機
7 クラッチ
8 復水器
9 煙突
10 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の温度を測定する第1温度センサと、
第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の温度を測定する第2温度センサと、
前記第1温度センサで測定された温度より前記第1軸受支持台の伸び量を求めるとともに、前記第2温度センサで測定された温度より前記第2軸受支持台の伸び量を求め、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量に基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、
を備えることを特徴とする軸ずれ測定装置。
【請求項2】
前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項1に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項3】
第1回転体の第1軸の上側の第1定点との距離を測定する第1ギャップ計測センサと、 前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離を測定する第2ギャップ計測センサと、
第2回転体の第2軸の上側の第3定点との距離を測定する第3ギャップ計測センサと、 前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離を測定する第4ギャップ計測センサと、
前記第1及び第2ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第1及び第2定点との距離より前記第1軸の傾きを求めるとともに、前記第3及び第4ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第3及び第4定点との距離より前記第2軸の傾きを求め、前記第1及び第2軸の傾きに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、
を備えることを特徴とする軸ずれ測定装置。
【請求項4】
前記第1及び第2ギャップ計測センサ間の距離をd1とし、
前記第1及び第2ギャップ計測センサにより測定された前記第1及び第2定点それぞれへの距離をdu1,dd1とし、
前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、
前記第3及び第4ギャップ計測センサ間の距離をd2とし、
前記第3及び第4ギャップ計測センサにより測定された前記第3及び第4定点それぞれへの距離をdu2,dd2とし、
前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、
D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項3に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項5】
第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受の周方向の複数点に設けられた複数の第1ギャップ計測センサと、
第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受の周方向の複数点に設けられた複数の第2ギャップ計測センサと、
前記第1ギャップセンサで測定された前記第1軸受の周方向の複数点から前記第1軸までの距離より前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれを求めるとともに、前記第2ギャップセンサで測定された前記第2軸受の周方向の複数点から前記第2軸までの距離より前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれを求め、前記第1及び第2軸の軸心のずれに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、
を備えることを特徴とする軸ずれ測定装置。
【請求項6】
前記第1ギャップセンサが、前記第1軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第1軸受の中心に対して点対称となるように配置され、
前記第2ギャップセンサが、前記第2軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第2軸受の中心に対して点対称となるように配置されることを特徴とする請求項5に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項7】
前記軸ずれ測定装置において、
点対称となる2つの前記第1ギャップセンサ毎に、測定された前記第1軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記第1ギャップセンサ毎に求められた前記第1軸との距離の差の平均を、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれとし、
点対称となる2つの前記第2ギャップセンサ毎に、測定された前記第2軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記第2ギャップセンサ毎に求められた前記第2軸との距離の差の平均を、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとし、
当該第1及び第2軸それぞれの軸心のずれの差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項6に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項8】
前記第1軸の上側の第1定点との距離を測定する第3ギャップ計測センサと、
前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離を測定する第4ギャップ計測センサと、
前記第2軸の上側の第3定点との距離を測定する第5ギャップ計測センサと、
前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離を測定する第6ギャップ計測センサと、
を更に備え、
前記軸ずれ演算部において、前記第3及び第4ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第1及び第2定点との距離より前記第1軸の傾きを求めるとともに、前記第5及び第6ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第3及び第4定点との距離より前記第2軸の傾きを求め、前記第1及び第2軸の傾きに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求めることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の軸ずれ測定装置。
【請求項9】
前記第3及び第4ギャップ計測センサ間の距離をd1とし、
前記第3及び第4ギャップ計測センサにより測定された前記第1及び第2定点それぞれへの距離をdu1,dd1とし、
前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、
前記第5及び第6ギャップ計測センサ間の距離をd2とし、
前記第5及び第6ギャップ計測センサにより測定された前記第3及び第4定点それぞれへの距離をdu2,dd2とし、
前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、
D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項8に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項10】
前記第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の温度を測定する第1温度
前記第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の温度を測定する第2温度
センサと、
を更に備え、
前記軸ずれ演算部において、前記第1温度センサで測定された温度より前記第1軸受支持台の伸び量を求めるとともに、前記第2温度センサで測定された温度より前記第2軸受支持台の伸び量を求め、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量に基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求めることを特徴とする請求項3〜請求項9のいずれかに記載の軸ずれ測定装置。
【請求項11】
前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項10に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項12】
第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の伸び量と、第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の伸び量と、を求める第1ステップと、
前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれと、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれと、を求める第2ステップと、
前記第1軸の傾きと、前記第2軸の傾きと、を求める第3ステップと、
前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差と、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれと前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとの差と、前記第1及び第2軸の傾きと、に基づいて、前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求める第4ステップと、
を備えることを特徴とする軸ずれ測定方法。
【請求項13】
前記第1ステップにおいて、前記第1及び第2軸受支持台それぞれの温度より前記第1及び第2軸受支持台それぞれの伸び量を求めることを特徴とする請求項12に記載の軸ずれ測定方法。
【請求項14】
前記第2ステップにおいて、
前記第1軸受の周方向の複数点からの前記第1軸への距離より前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれを求め、
前記第2軸受の周方向の複数点からの前記第2軸への距離より前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれを求めることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の軸ずれ測定方法。
【請求項15】
前記第1軸受の周方向の複数点が、前記第1軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第1軸受の中心に対して点対称となるように配置されるとともに、
前記第2軸受の周方向の複数点が、前記第2軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第2軸受の中心に対して点対称となるように配置され、
前記第2ステップにおいて、
前記第1軸受の周方向の複数点に対して、点対称となる2つの点毎に、測定された前記第1軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記点毎に求められた前記第1軸との距離の差の平均を、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれとし、
前記第2軸受の周方向の複数点に対して、点対称となる2つの点毎に、測定された前記第2軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記点毎に求められた前記第2軸との距離の差の平均を、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとすることを特徴とする請求項14に記載の軸ずれ測定方法。
【請求項16】
前記第3ステップにおいて、
前記第1軸の上側の第1定点との距離と、前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離とに基づいて、前記第1軸の傾きを求め、
前記第2軸の上側の第3定点との距離と、前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離とに基づいて、前記第2軸の傾きを求めることを特徴とする請求項12〜請求項15のいずれかに記載の軸ずれ測定方法。
【請求項17】
前記第1定点への距離の測定点と前記第2定点への距離の測定点との間の距離をd1とし、
前記第1及び第2定点それぞれとの距離をdu1,dd1とし、
前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、
前記第3定点への距離の測定点と前記第4定点への距離の測定点との間の距離をd2とし、
前記第3及び第4定点それぞれとの距離をdu2,dd2とし、
前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、
前記第4ステップにおいて、
D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項16に記載の軸ずれ測定方法。
【請求項18】
前記第1回転体となるガスタービンと、前記第2回転体となる蒸気タービンと、前記第1軸と前記第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、
請求項1〜請求項11のいずれかに記載の軸ずれ測定装置を備え、
前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に応じて、前記クラッチにおける前記第1及び第2軸の結合動作を制御することを特徴とする一軸コンバインドプラント。
【請求項19】
第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、
前記第1軸と前記第2軸の軸ずれ量を測定する軸ずれ測定装置を備えるとともに、
起動時において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、
前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を設定することを特徴とする一軸コンバインドプラント。
【請求項20】
前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくすることを特徴とする請求項19に記載の一コンバインドプラント。
【請求項21】
更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を変更することを特徴とする請求項19又は請求項20に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項22】
前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更することを特徴とする請求項21に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項23】
第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、
前記第1軸と前記第2軸の軸ずれ量を測定する軸ずれ測定装置を備えるとともに、
起動時において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、
前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンのヒートソーク時間を設定することを特徴とする一軸コンバインドプラント。
【請求項24】
前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長くすることを特徴とする請求項23に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項25】
更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンのヒートソーク時間を変更することを特徴とする請求項23又は請求項24に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項26】
前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長く変更することを特徴とする請求項25に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項27】
起動時において、前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率をも設定することを特徴とする請求項23〜請求項26のいずれかに記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項28】
前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくすることを特徴とする請求項27に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項29】
更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を変更することを特徴とする請求項27又は請求項28に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項30】
前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更することを特徴とする請求項29に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項31】
前記軸ずれ測定装置が、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の軸ずれ測定装置であることを特徴とする請求項19〜請求項30のいずれかに記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項32】
第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントの起動方法において、
前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、前記ガスタービンを回転させた後に、前記蒸気タービンを回転させる第1ステップと、
前記蒸気タービンの回転を開始させたときに、前記第1軸と前記第2軸との軸ずれ量を測定する第2ステップと、
前記軸ずれ量に応じて、前記蒸気タービンの昇速率及びヒートソーク時間を設定する第
3ステップと、
前記蒸気タービンの回転速度と前記ガスタービンとの回転速度とが略同一となったとき、前記クラッチによって、前記第1軸と前記第2軸とを結合する第4ステップと、
を備えることを特徴とする一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項33】
前記第3ステップにおいて、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくすることを特徴とする請求項32に記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項34】
前記第3ステップにおいて、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長くすることを特徴とする請求項32又は請求項33に記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項35】
前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率及びヒートソーク時間を変更することを特徴とする請求項32〜請求項34のいずれかに記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項36】
前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更することを特徴とする請求項35に記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項37】
前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長く変更することを特徴とする請求項35又は請求項36に記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項38】
前記第2ステップにおいて、請求項12〜請求項17のいずれかに記載の軸ずれ測定方法によって前記第1及び第2軸の軸ずれ量を測定することを特徴とする請求項32〜請求項37のいずれかに記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項1】
第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の温度を測定する第1温度センサと、
第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の温度を測定する第2温度センサと、
前記第1温度センサで測定された温度より前記第1軸受支持台の伸び量を求めるとともに、前記第2温度センサで測定された温度より前記第2軸受支持台の伸び量を求め、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量に基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、
を備えることを特徴とする軸ずれ測定装置。
【請求項2】
前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項1に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項3】
第1回転体の第1軸の上側の第1定点との距離を測定する第1ギャップ計測センサと、 前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離を測定する第2ギャップ計測センサと、
第2回転体の第2軸の上側の第3定点との距離を測定する第3ギャップ計測センサと、 前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離を測定する第4ギャップ計測センサと、
前記第1及び第2ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第1及び第2定点との距離より前記第1軸の傾きを求めるとともに、前記第3及び第4ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第3及び第4定点との距離より前記第2軸の傾きを求め、前記第1及び第2軸の傾きに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、
を備えることを特徴とする軸ずれ測定装置。
【請求項4】
前記第1及び第2ギャップ計測センサ間の距離をd1とし、
前記第1及び第2ギャップ計測センサにより測定された前記第1及び第2定点それぞれへの距離をdu1,dd1とし、
前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、
前記第3及び第4ギャップ計測センサ間の距離をd2とし、
前記第3及び第4ギャップ計測センサにより測定された前記第3及び第4定点それぞれへの距離をdu2,dd2とし、
前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、
D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項3に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項5】
第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受の周方向の複数点に設けられた複数の第1ギャップ計測センサと、
第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受の周方向の複数点に設けられた複数の第2ギャップ計測センサと、
前記第1ギャップセンサで測定された前記第1軸受の周方向の複数点から前記第1軸までの距離より前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれを求めるとともに、前記第2ギャップセンサで測定された前記第2軸受の周方向の複数点から前記第2軸までの距離より前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれを求め、前記第1及び第2軸の軸心のずれに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求める軸ずれ演算部と、
を備えることを特徴とする軸ずれ測定装置。
【請求項6】
前記第1ギャップセンサが、前記第1軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第1軸受の中心に対して点対称となるように配置され、
前記第2ギャップセンサが、前記第2軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第2軸受の中心に対して点対称となるように配置されることを特徴とする請求項5に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項7】
前記軸ずれ測定装置において、
点対称となる2つの前記第1ギャップセンサ毎に、測定された前記第1軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記第1ギャップセンサ毎に求められた前記第1軸との距離の差の平均を、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれとし、
点対称となる2つの前記第2ギャップセンサ毎に、測定された前記第2軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記第2ギャップセンサ毎に求められた前記第2軸との距離の差の平均を、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとし、
当該第1及び第2軸それぞれの軸心のずれの差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項6に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項8】
前記第1軸の上側の第1定点との距離を測定する第3ギャップ計測センサと、
前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離を測定する第4ギャップ計測センサと、
前記第2軸の上側の第3定点との距離を測定する第5ギャップ計測センサと、
前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離を測定する第6ギャップ計測センサと、
を更に備え、
前記軸ずれ演算部において、前記第3及び第4ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第1及び第2定点との距離より前記第1軸の傾きを求めるとともに、前記第5及び第6ギャップ計測センサそれぞれで測定された前記第3及び第4定点との距離より前記第2軸の傾きを求め、前記第1及び第2軸の傾きに基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求めることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の軸ずれ測定装置。
【請求項9】
前記第3及び第4ギャップ計測センサ間の距離をd1とし、
前記第3及び第4ギャップ計測センサにより測定された前記第1及び第2定点それぞれへの距離をdu1,dd1とし、
前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、
前記第5及び第6ギャップ計測センサ間の距離をd2とし、
前記第5及び第6ギャップ計測センサにより測定された前記第3及び第4定点それぞれへの距離をdu2,dd2とし、
前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、
D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項8に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項10】
前記第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の温度を測定する第1温度
前記第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の温度を測定する第2温度
センサと、
を更に備え、
前記軸ずれ演算部において、前記第1温度センサで測定された温度より前記第1軸受支持台の伸び量を求めるとともに、前記第2温度センサで測定された温度より前記第2軸受支持台の伸び量を求め、前記第1及び第2軸受支持台の伸び量に基づいて前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部を求めることを特徴とする請求項3〜請求項9のいずれかに記載の軸ずれ測定装置。
【請求項11】
前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項10に記載の軸ずれ測定装置。
【請求項12】
第1回転体の第1軸が挿入される第1軸受を支持する第1軸受支持台の伸び量と、第2回転体の第2軸が挿入される第2軸受を支持する第2軸受支持台の伸び量と、を求める第1ステップと、
前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれと、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれと、を求める第2ステップと、
前記第1軸の傾きと、前記第2軸の傾きと、を求める第3ステップと、
前記第1及び第2軸受支持台の伸び量の差と、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれと前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとの差と、前記第1及び第2軸の傾きと、に基づいて、前記第1及び第2軸の軸ずれ量を求める第4ステップと、
を備えることを特徴とする軸ずれ測定方法。
【請求項13】
前記第1ステップにおいて、前記第1及び第2軸受支持台それぞれの温度より前記第1及び第2軸受支持台それぞれの伸び量を求めることを特徴とする請求項12に記載の軸ずれ測定方法。
【請求項14】
前記第2ステップにおいて、
前記第1軸受の周方向の複数点からの前記第1軸への距離より前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれを求め、
前記第2軸受の周方向の複数点からの前記第2軸への距離より前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれを求めることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の軸ずれ測定方法。
【請求項15】
前記第1軸受の周方向の複数点が、前記第1軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第1軸受の中心に対して点対称となるように配置されるとともに、
前記第2軸受の周方向の複数点が、前記第2軸受の軸方向に垂直な断面における水平面に対して垂直な直線に対して線対称となるとともに、前記第2軸受の中心に対して点対称となるように配置され、
前記第2ステップにおいて、
前記第1軸受の周方向の複数点に対して、点対称となる2つの点毎に、測定された前記第1軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記点毎に求められた前記第1軸との距離の差の平均を、前記第1軸受の中心からの前記第1軸の軸心のずれとし、
前記第2軸受の周方向の複数点に対して、点対称となる2つの点毎に、測定された前記第2軸との距離の差を求めた後、当該点対称となる2つの前記点毎に求められた前記第2軸との距離の差の平均を、前記第2軸受の中心からの前記第2軸の軸心のずれとすることを特徴とする請求項14に記載の軸ずれ測定方法。
【請求項16】
前記第3ステップにおいて、
前記第1軸の上側の第1定点との距離と、前記第1定点と同一面において前記第1軸の下側となる第2定点との距離とに基づいて、前記第1軸の傾きを求め、
前記第2軸の上側の第3定点との距離と、前記第3定点と同一面において前記第2軸の下側となる第4定点との距離とに基づいて、前記第2軸の傾きを求めることを特徴とする請求項12〜請求項15のいずれかに記載の軸ずれ測定方法。
【請求項17】
前記第1定点への距離の測定点と前記第2定点への距離の測定点との間の距離をd1とし、
前記第1及び第2定点それぞれとの距離をdu1,dd1とし、
前記第1軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD1とし、
前記第3定点への距離の測定点と前記第4定点への距離の測定点との間の距離をd2とし、
前記第3及び第4定点それぞれとの距離をdu2,dd2とし、
前記第2軸が支持されている支持点から前記第1及び第2軸が結合される結合点までの距離をD2としたとき、
前記第4ステップにおいて、
D1×(du1−dd1)/d1+D2×(du2−dd2)/d2となる値を、前記第1及び第2軸の軸ずれ量の一部とすることを特徴とする請求項16に記載の軸ずれ測定方法。
【請求項18】
前記第1回転体となるガスタービンと、前記第2回転体となる蒸気タービンと、前記第1軸と前記第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、
請求項1〜請求項11のいずれかに記載の軸ずれ測定装置を備え、
前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に応じて、前記クラッチにおける前記第1及び第2軸の結合動作を制御することを特徴とする一軸コンバインドプラント。
【請求項19】
第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、
前記第1軸と前記第2軸の軸ずれ量を測定する軸ずれ測定装置を備えるとともに、
起動時において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、
前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を設定することを特徴とする一軸コンバインドプラント。
【請求項20】
前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくすることを特徴とする請求項19に記載の一コンバインドプラント。
【請求項21】
更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を変更することを特徴とする請求項19又は請求項20に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項22】
前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更することを特徴とする請求項21に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項23】
第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントにおいて、
前記第1軸と前記第2軸の軸ずれ量を測定する軸ずれ測定装置を備えるとともに、
起動時において、前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、
前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンのヒートソーク時間を設定することを特徴とする一軸コンバインドプラント。
【請求項24】
前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長くすることを特徴とする請求項23に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項25】
更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンのヒートソーク時間を変更することを特徴とする請求項23又は請求項24に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項26】
前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長く変更することを特徴とする請求項25に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項27】
起動時において、前記ガスタービンを起動させた後に前記蒸気タービンを起動させたとき、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率をも設定することを特徴とする請求項23〜請求項26のいずれかに記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項28】
前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくすることを特徴とする請求項27に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項29】
更に、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率を変更することを特徴とする請求項27又は請求項28に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項30】
前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更することを特徴とする請求項29に記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項31】
前記軸ずれ測定装置が、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の軸ずれ測定装置であることを特徴とする請求項19〜請求項30のいずれかに記載の一軸コンバインドプラント。
【請求項32】
第1回転体となるガスタービンと、第2回転体となる蒸気タービンと、前記ガスタービンの第1軸と前記蒸気タービンの第2軸との結合及び切り離しを行うクラッチと、を備えた一軸コンバインドプラントの起動方法において、
前記第1軸と前記第2軸とを前記クラッチで切り離した状態として、前記ガスタービンを回転させた後に、前記蒸気タービンを回転させる第1ステップと、
前記蒸気タービンの回転を開始させたときに、前記第1軸と前記第2軸との軸ずれ量を測定する第2ステップと、
前記軸ずれ量に応じて、前記蒸気タービンの昇速率及びヒートソーク時間を設定する第
3ステップと、
前記蒸気タービンの回転速度と前記ガスタービンとの回転速度とが略同一となったとき、前記クラッチによって、前記第1軸と前記第2軸とを結合する第4ステップと、
を備えることを特徴とする一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項33】
前記第3ステップにおいて、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さくすることを特徴とする請求項32に記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項34】
前記第3ステップにおいて、前記軸ずれ測定装置で測定された前記第1及び第2軸の軸ずれ量が大きいほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長くすることを特徴とする請求項32又は請求項33に記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項35】
前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度に基づいて、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率及びヒートソーク時間を変更することを特徴とする請求項32〜請求項34のいずれかに記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項36】
前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンの回転速度の昇速率の値を小さい値に変更することを特徴とする請求項35に記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項37】
前記第3ステップにおいて、前記蒸気タービンのロータの温度が低いほど、前記蒸気タービンのヒートソーク時間の値を長く変更することを特徴とする請求項35又は請求項36に記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【請求項38】
前記第2ステップにおいて、請求項12〜請求項17のいずれかに記載の軸ずれ測定方法によって前記第1及び第2軸の軸ずれ量を測定することを特徴とする請求項32〜請求項37のいずれかに記載の一軸コンバインドプラントの起動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−48822(P2010−48822A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272640(P2009−272640)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【分割の表示】特願2003−343442(P2003−343442)の分割
【原出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【分割の表示】特願2003−343442(P2003−343442)の分割
【原出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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