説明

三次元形状計測システムおよび三次元形状計測方法

【課題】搬送中の振動による誤差を補正する。
【解決手段】三次元形状計測システム1は第1基準物11および第2基準物22を備えている。三次元形状算出部18bは、測定対象物10とともに搬送される第1基準物11および第2基準物22の像の形状に基づいて、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(3)を用いて補正する。このように、測定対象物10とともに搬送されるものの形状に基づいて補正を行うことにより、本発明によれば、搬送の前後段で配置された例えば生産機械の振動による時間的なデータずれを補正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状計測システムおよび三次元形状計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物の三次元形状を計測するシステムとして、例えば特許文献1に記載された三次元形状計測システムが知られている。特許文献1に記載された三次元形状計測システムは、撮像手段がスリット光の測定対象物表面による細長い反射光を直接撮像するのではなく、反射手段を用い、反射光を分割して撮像するので、撮像手段の撮像範囲を有効に利用することができる。その結果、測定対象物表面による反射光を直接撮像した場合の画像(例えば図15を参照)と比べて、画像全体に占める反射光の像の割合を格段に増加させることができる。なお、図15では、測定対象物表面による反射光を直接撮像したため、画像Q10に占める反射光Q11の像の割合が小さくなっている。
【特許文献1】特開2007−240197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載された三次元形状計測システムでは、測定対象物がX軸方向に一定の速度で搬送されること、および搬送中にY軸方向およびZ軸方向にて測定対象物の位置に時間的な変動は全くないことを前提としている。その反面、実際の生産環境の搬送システムでは、搬送の前後段に生産機械が配置されるなど、周辺環境に起因する振動が発生する可能性がある。したがって、測定対象物に振動が生じた場合に、特許文献1に記載された三次元形状計測システムの計測結果には当該振動による誤差が含まれるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたもので、搬送中の振動による誤差を補正することが可能な三次元形状計測システムおよび三次元形状計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の三次元形状計測システムは、測定対象物を所定の搬送方向であるX軸方向に搬送する搬送テーブルと、前記搬送テーブルによって搬送されている前記測定対象物に対して、前記X軸方向と交差する方向であるY軸方向に長軸が延びるスリット光を照射する照射手段と、前記X軸方向と平行な表面を有し、前記搬送テーブル上に前記測定対象物とともに配置される第1基準物と、前記X軸方向、および前記X軸方向と交差する方向であるZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面を有し、前記搬送テーブル上に前記測定対象物とともに配置される第2基準物と、前記照射手段から照射された前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を反射する反射手段と、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を前記反射手段を介して撮像するとともに、前記第1基準物および前記第2基準物を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された前記測定対象物表面による反射光の像の形状を、前記撮像手段により撮像された前記第1基準物および前記第2基準物の像の形状に基づいて補正し、前記測定対象物の三次元形状P(t,x,y,z)(ただし、tは時間を表す変数である。)を算出する三次元形状算出手段と、を備え、前記反射手段は、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を、当該スリット光の長軸方向に沿って複数に分割し、当該分割された複数の反射光が前記長軸方向と垂直方向に配置されて前記撮像手段によって撮像されるように、形成されており、前記三次元形状算出手段は、静止状態の前記第1基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第1基準物の前記Z軸上での座標を求めて基準値Z0とし、静止状態の前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第2基準物の前記X軸上での座標を求めて基準値X0とし、静止状態の前記第1基準物または前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第1基準物または前記第2基準物の前記Y軸上での座標を求めて基準値Y0とし、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を前記撮像手段が撮像した画像より、前記測定対象物の補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を求め、前記測定対象物とともに搬送中の前記第1基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、前記第1基準物のZ座標Z1(t)を求め、前記測定対象物とともに搬送中の前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、前記第2基準物のZ座標Z’2(t)を求め、前記測定対象物とともに搬送中の前記第1基準物または前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、それぞれ前記第1基準物のY座標Y1(t)または前記第2基準物のY座標Y2(t)を求め、前記Z座標Z’2(t)を下記数式(1)
Z2(t)=Z’2(t)-Z1(t)…(1)
により補正し、前記第2基準物の補正後のZ座標Z2(t)を求め、前記測定対象物とともに搬送中の前記第2基準物のX座標X2(t)を下記数式(2)
X2(t)=F×Z2(t) …(2)
により求め、前記測定対象物の補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を下記数式(3)
P(t,x,y,z)=P’(t,x-Xt(t), y-Yt(t), z-Zt(t),) …(3)
(ただし、Xt(t)=X2(t)-X0, Yt(t)=Y1(t)-Y0またはYt(t)=Y2(t)-Y0, Zt(t)=Z1(t)-Z0)
により補正し、前記測定対象物の補正後の三次元形状P(t,x,y,z)を求めることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の三次元形状計測方法は、測定対象物を所定の搬送方向であるX軸方向に搬送する搬送テーブルと、前記搬送テーブルによって搬送されている前記測定対象物に対して、前記X軸方向と交差する方向であるY軸方向に長軸が延びるスリット光を照射する照射手段と、前記X軸方向と平行な表面を有し、前記搬送テーブル上に前記測定対象物とともに配置される第1基準物と、前記X軸方向、および前記X軸方向と交差する方向であるZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面を有し、前記搬送テーブル上に前記測定対象物とともに配置される第2基準物と、前記照射手段から照射された前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を反射する反射手段と、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を前記反射手段を介して撮像するとともに、前記第1基準物および前記第2基準物を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された前記測定対象物表面による反射光の像の形状を、前記撮像手段により撮像された前記第1基準物および前記第2基準物の像の形状に基づいて補正し、前記測定対象物の三次元形状P(t,x,y,z)(ただし、tは時間を表す変数である。)を算出する三次元形状算出手段と、を備え、前記反射手段は、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を、当該スリット光の長軸方向に沿って複数に分割し、当該分割された複数の反射光が前記長軸方向と垂直方向に配置されて前記撮像手段によって撮像されるように、形成されている三次元形状計測システムにおける三次元形状計測方法であって、前記三次元形状算出手段が、静止状態の前記第1基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第1基準物の前記Z軸上での座標を求めて基準値Z0とする第1ステップと、前記三次元形状算出手段が、静止状態の前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第2基準物の前記X軸上での座標を求めて基準値X0とする第2ステップと、前記三次元形状算出手段が、静止状態の前記第1基準物または前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第1基準物または前記第2基準物の前記Y軸上での座標を求めて基準値Y0とする第3ステップと、前記三次元形状算出手段が、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を前記撮像手段が撮像した画像より、前記測定対象物の補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を求める第4ステップと、前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物とともに搬送中の前記第1基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、前記第1基準物のZ座標Z1(t)を求める第5ステップと、前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物とともに搬送中の前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、前記第2基準物のZ座標Z’2(t)を求める第6ステップと、前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物とともに搬送中の前記第1基準物または前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、それぞれ前記第1基準物のY座標Y1(t)または前記第2基準物のY座標Y2(t)を求める第7ステップと、前記三次元形状算出手段が、前記Z座標Z’2(t)を下記数式(1)
Z2(t)=Z’2(t)-Z1(t)…(1)
により補正し、前記第2基準物の補正後のZ座標Z2(t)を求める第8ステップと、前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物とともに搬送中の前記第2基準物のX座標X2(t)を下記数式(2)
X2(t)=F×Z2(t) …(2)
により求める第9ステップと、前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物の補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を下記数式(3)
P(t,x,y,z)=P’(t,x-Xt(t), y-Yt(t), z-Zt(t),) …(3)
(ただし、Xt(t)=X2(t)-X0, Yt(t)=Y1(t)-Y0またはYt(t)=Y2(t)-Y0, Zt(t)=Z1(t)-Z0)
により補正し、前記測定対象物の補正後の三次元形状P(t,x,y,z)を求める第10ステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような本発明の三次元形状計測システムおよび三次元形状計測方法によれば、三次元形状計測システムは第1基準物および第2基準物を備えており、三次元形状算出手段は、測定対象物とともに搬送される第1基準物および第2基準物の像の形状に基づいて、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(3)を用いて補正する。このように、測定対象物とともに搬送されるものの形状に基づいて補正を行うことにより、搬送の前後段で配置された例えば生産機械の振動による時間的なデータずれを補正することができる。
【0008】
具体的に、第1基準物はX軸方向と平行な表面を有しており、この第1基準物を用いれば、搬送システム内で生じたX軸方向の振動による誤差を含まない第1基準物のZ座標Z1(t)を求めることができる。また、第2基準物はX軸方向およびZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面を有しており、この第2基準物を用いれば、Z座標Z2(t)に応じて所定の比率Fで変動するX座標X2(t)を式(2)を用いて求めることができる。このとき、第2基準物のZ座標Z2(t)は、搬送システム内で生じたX軸方向の振動による誤差を含む可能性があるが、この誤差は上記求めた第1基準物のZ座標Z1(t)を用いて式(1)により補正することができる。上述したように、第1基準物のZ座標Z1(t)は搬送システム内で生じたX軸方向の振動による誤差を含まないため、Z1(t)を用いてZ2(t)を補正することにより、Z2(t)においてもX軸方向の振動による誤差を無くすことができる。そして、最終的に、搬送システム内で生じたX軸方向の振動による誤差を含まないX座標X2(t)等を用いて、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(3)を用いて補正することができる。以上により、搬送の前後段で配置された例えば生産機械の振動による時間的なデータずれを補正することができる。
【0009】
また、本発明においては、前記第1基準物は直方体の形状をなし、前記第2基準物は三角柱の形状をなし、前記三角柱における三角形は直角三角形であり、前記直角三角形における、互いに直交する両辺のうちの一方は前記X軸方向に延び、他方は前記Z軸方向に延びることが好ましい。
【0010】
この発明は、X軸方向と平行な表面を有している第1基準物の形状が直方体であり、且つX軸方向およびZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面を有している第2基準物の形状が三角柱である場合に、特に有用である。
【0011】
また、本発明においては、前記照射手段は、平面からなる表面を有する静止状態の第3基準物に対して前記スリット光を照射し、前記反射手段は、前記スリット光の前記第3基準物表面による反射光を、当該スリット光の長軸方向に沿って複数に分割し、当該分割された複数の反射光が前記長軸方向と垂直方向に配置されて前記撮像手段によって撮像されるように、形成されており、前記撮像手段は、前記スリット光の前記第3基準物表面による反射光を前記反射手段を介して撮像し、三次元形状算出手段は、該反射光の像に基づいて当該第3基準物における基準値A(t,x,y,z)を求め、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光の像に基づいて前記測定対象物の撮像直後の三次元形状P’’(t,x,y,z)を求め、前記撮像直後の三次元形状P’’(t,x,y,z)を下記数式(4)
P’(t,x,y,z)= P’’(t,x,y,z) - A(t,x,y,z) …(4)
により補正し、前記三次元形状P’(t,x,y,z)を求めることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、三次元形状計測システムは第3基準物を備えており、三次元形状算出手段は静止状態の第3基準物の像の形状に基づいて、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(4)を用いて補正する。このように、三次元形状算出手段は静止状態のものの形状に基づいて補正を行うので、この補正によれば、三次元形状計測システムを構成する各要素、つまり搬送テーブル、照射手段、反射手段、および撮像手段の設置ずれによる空間的なデータずれを補正することができる。
【0013】
また、本発明においては、前記三次元形状算出手段は、前記基準値A(t,x,y,z)の近似曲線B(t,x,y,z)を最小二乗法により求めた場合に、前記三次元形状P’’(t,x,y,z)を下記数式(5)
P’(t,x,y,z)= P’’(t,x,y,z) - B(t,x,y,z) …(5)
により補正し、前記三次元形状P’(t,x,y,z)を求めることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、基準値A(t,x,y,z)を最小二乗法により更に補正してから、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(5)を用いて補正することにより、補正の精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、搬送中の振動による誤差を補正することが可能な三次元形状計測システムおよび三次元形状計測方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
(三次元形状計測システム1の構成)
本実施形態に係る三次元形状計測システム1の構成について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る三次元形状計測システム1の斜視図である。図1に示されるように、本実施形態の三次元形状計測システム1は、搬送テーブル12、光源ユニット14(照射手段)、カメラ16(撮像手段)、ミラーユニット17(反射手段)、コンピュータ装置18(三次元形状算出手段)およびディスプレイ20を備えている。
【0018】
搬送テーブル12は、一定速度で回転するベルトコンベアによって構成されており、ベルト上に載置された測定対象物10、第1基準物11および第2基準物22を所定の搬送方向に搬送する。ここで、所定の搬送方向とは、図1に示されるX軸正方向である。搬送テーブル12は、ベルト上に載置された測定対象物10、第1基準物11および第2基準物22を0.01mm/msecの速度で搬送する。
【0019】
第1基準物11は、図2に示すように、X軸方向と平行に延びる表面111を有するものである。図2では、第1基準物11のなす形状の一例として直方体を示しているが、X軸方向と平行な表面を有するもの(例えば立方体など)であれば直方体に限らずに第1基準物11として用いることができる。また、第1基準物11は、図1に示すように、搬送テーブル12上に配置され、測定対象物10が搬送されるときに測定対象物10とともに搬送される。
【0020】
第2基準物22は、図3に示すように、X軸方向およびZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面221を有するものである。図3では、第2基準物22のなす形状の一例として三角柱を示している。この三角柱における三角形222は例えば直角三角形であり、この直角三角形における、互いに直交する両辺のうちの一方223はX軸方向に延び、他方224はZ軸方向に延びる。図3では、第2基準物22のなす形状の一例として三角柱を示しているが、X軸方向およびZ軸方向に対して予め定められた所定の比率で単調に傾斜する表面を有するものであれば三角柱に限らずに第2基準物22として用いることができる。また、第2基準物22は、図1に示すように、搬送テーブル12上に配置され、測定対象物10が搬送されるときに測定対象物10とともに搬送される。
【0021】
光源ユニット14は、搬送テーブル12によって搬送されている測定対象物10に対して、スリット光を照射するためのものである。スリット光の照射方向は、搬送方向すなわちX軸正方向と交差する方向である。
【0022】
より具体的には、光源ユニット14は、スリット光を照射する9つのスリット光源141,142,143,144,145,146,147,148,149を有している。9つのスリット光源141〜149としては、一次元半導体レーザアレイ、半導体レーザとシリンドリカルレンズとを組み合わせたもの、半導体レーザとレーザ光スキャン機構(たとえば回転鏡)とを組み合わせたものなど、種々の構成が採用されうる。
【0023】
スリット光源141〜149は、搬送テーブル12の上方、すなわち図1のZ軸正方向に配設されており、搬送テーブル12によって搬送されている測定対象物10に対してスリット光をそれぞれ照射する。スリット光源141〜149によるスリット光の照射方向は、固定されている。各スリット光の長軸は、搬送テーブル12による測定対象物10の搬送方向と交差する方向、すなわち図1のY軸方向に延びている。
【0024】
スリット光源141〜149が測定対象物10にスリット光を照射すると、測定対象物10表面による反射光が発生する。ミラーユニット17はこの反射光を反射するものである。ミラーユニット17は、発生した反射光をスリット光の長軸方向に沿って複数に分割し、当該分割された複数の反射光が長軸方向と垂直方向に配置されてカメラ16によって撮像されるように、形成されている。
【0025】
より具体的には、ミラーユニット17は9つの反射鏡171,172,173,174,175,176,177,178,179を有している。反射鏡171〜179はそれぞれ短冊形状を呈している。反射鏡171〜179を図1のY軸正方向から見たときの側面図を、図4に示す。また、反射鏡171〜179、カメラ16、及び搬送テーブル12上の測定対象物10を図1のX軸正方向から見たときの側面図を、図5に示す。
【0026】
反射鏡171〜179は、図4に示されるように、実質的にX軸方向に沿って配列されている。また、反射鏡171〜179は、図5に示されるように、カメラ16の有するテレセントリックレンズ16aの中心軸と所定の角度θをなしている。角度θは反射鏡171〜179それぞれで異なり、反射鏡171では25°、反射鏡172では30°、反射鏡173では35°、反射鏡174では40°、反射鏡175では45°、反射鏡176では50°、反射鏡177では55°、反射鏡178では60°、反射鏡179では65°、となっている。本実施形態の反射鏡171〜179それぞれは、図4及び図5に示されるように、22.5mmの長辺L1を有し、2.5mmの短辺W1を有している。
【0027】
図1に示されるように、9つの反射鏡171〜179は、9つのスリット光源141〜149とそれぞれ対応している。9つの反射鏡171〜179は、スリット光源141〜149から照射されたスリット光の反射光をカメラ16に向けて反射する。
【0028】
図6は、搬送テーブル12上の測定対象物10の反射領域を示す図であって、測定対象物10を図1に示されるZ軸正方向から見たときのものである。ここで、反射領域R1〜R9はそれぞれ、スリット光源141〜149によりスリット光が照射される領域である。反射領域R1〜R9は非連続となっている。また、測定対象物10が搬送されると、反射領域R1〜R9の位置は移動することとなる。これは、測定対象物10の搬送に応じて、測定対象物10に対するスリット光の照射位置が移動するためである。
【0029】
スリット光源141から照射されたスリット光の、反射領域R1による反射光は、反射鏡171によってカメラ16に向けて反射される。スリット光源142〜149から照射されたスリット光の、反射領域R2〜R9での反射光は、反射鏡172〜179によってカメラ16に向けてそれぞれ反射される。このように、9つの反射鏡171〜179は、9つのスリット光源141〜149がスリット光を照射することにより発生した9つの反射光を反射することとなる。スリット光源141〜149と反射鏡171〜179とをそれぞれ同数備えて一対一の関係とすることで、発生した反射光を確実に反射させることができるとともに、スリット光源と反射鏡との位置合わせが容易となる。
【0030】
図1に示されるように、9つの反射鏡171〜179と実質的に対向する位置には、カメラ16が設置されている。カメラ16は、ミラーユニット17を介して、スリット光源141〜149から照射されたスリット光の測定対象物10表面による反射光を撮像する。より具体的には、カメラ16は、スリット光源141〜149から照射されたスリット光の、測定対象物10表面の反射領域R1〜R9による反射光を、反射鏡171〜179を介して撮像する。
【0031】
カメラ16は、撮像倍率が1倍のテレセントリックレンズ16aを有している。図5に示されるように、カメラ16の向きは、テレセントリックレンズ16aの中心軸が搬送テーブル12と平行となるように調整されている。Z軸方向におけるテレセントリックレンズ16aの中心軸と搬送テーブル12との距離D1は、71mmとなっている。カメラ16と9つの反射鏡171〜179との距離D2は78mmとなっている。
【0032】
カメラ16は、1000fps以上の高フレームレートを有する。このようなカメラとしては、例えば、フォトロン社のFASTCAM ultima1024などが挙げられる。カメラ16は、1024ピクセル×1024ピクセル以上の空間解像度を有することが好ましいが、必要精度に応じて、512ピクセル×512ピクセル、あるいは128ピクセル×128ピクセルというように適宜変更可能である。カメラ16は、RGBぞれぞれが256階調(8ビット)以上のカラー画像を撮像可能なカラーカメラが好ましいが、RGBぞれぞれが256階調(8ビット)未満のカラー画像を撮像するカラーカメラや、白黒画像を撮像する白黒カメラを用いることもできる。カメラ16の画素サイズは17μm×17μmであり、カメラ16のセンササイズは17.6mm×17.6mmとなって
いる。
【0033】
図7は、カメラ16により撮像された画像を示す図である。カメラ16の撮像範囲は正方形に近い矩形を呈しているため、撮像される画像Qもまた、正方形に近い矩形状となる。画像Qに映っている、スリット光の反射領域R1〜R9による反射光の像34はそれぞれ、画像Qの一方の辺方向(Qy軸方向)に延びている。また、反射光の像34は他方の辺方向(Qx軸方向)に並んでいる。カメラ16は、撮像した画像Qをコンピュータ装置18に出力する。
【0034】
更に、カメラ16は、第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33を撮像する(図1を参照)。第3基準物33の形状については後述する。実装の便宜により、測定対象物10撮像用のカメラと、第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33撮像用のカメラとを別々に設けてもよいが、本実施形態においては、一台のカメラが測定対象物10、第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33を全て撮像するように構成している。また、第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33を撮像する際に、カメラ16は、ミラーユニット17を介して反射した反射光を撮像してもよく、第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33をそのまま撮像してもよい。本実施形態においては、カメラ16は、第1基準物11、第2基準物22をそのまま撮像し、第3基準物33についてはミラーユニット17を介して反射した反射光を撮像する。カメラ16は、第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33を撮像した画像をコンピュータ装置18に出力する。
【0035】
コンピュータ装置18は、カメラ16により撮像された、スリット光の反射領域R1〜R9による反射光の像34の形状を、カメラ16により撮像された第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33の像の形状に基づいて補正し、測定対象物10の三次元形状P(t,x,y,z)(ただし、tは時間、xはX軸、yはY軸、zはZ軸をそれぞれ表す変数である。)を算出する部分である。図8は、コンピュータ装置18の構成を示す図である。コンピュータ装置18は、物理的には、パーソナルコンピュータやワークステーション等の汎用コンピュータであり、特定のソフトウェアをインストールすることによって、図8に示される入力インターフェイス部18a、三次元形状算出部18b、格納部18c、及び出力インターフェイス部18dの機能を実現する。
【0036】
入力インターフェイス部18aは、カメラ16により出力された測定対象物10、第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33の像を順次取り込む部分である。入力インターフェイス部18aは、取り込んだ画像を三次元形状算出部18bに対して出力する。
【0037】
三次元形状算出部18bは、まず、カメラ16により出力された測定対象物10の像である画像Qから測定対象物10をスライスしたものの形状(二次元形状)を算出し、かかる形状に基づいて三次元形状P(t,x,y,z)を算出する。図9に示す画像Qを用いて、三次元形状算出部18bによる三次元形状P(t,x,y,z)の算出手順を説明する。
【0038】
三次元形状算出部18bは、入力インターフェイス部18aから画像Qを受け取る。三次元形状算出部18bは、Qy軸方向に延びる9つの画素領域A1〜A9を画像Qから抽出する。画素領域A1〜A9はそれぞれ、反射領域R1〜R9に対応する部分となる。画素領域A1〜A9は全て同一のサイズとなっているが、反射領域R1〜R9はそれぞれサイズが異なっている。そこで三次元形状算出部18bは、正確な三次元形状を計測するために、画素領域A1〜A9のサイズを、反射領域R1〜R9それぞれの実際のサイズに合わせて補正する。
【0039】
サイズの補正の方法について、具体的に説明する。図5に示されるカメラ16のセンサは、縦幅L2が17.6mmとなっている。したがって、反射領域R1〜R9のY軸方向における実際の長さdy(単位mm)を、以下の式(6)で算出することができる。なお、θは、先述したように、反射鏡171〜179とテレセントリックレンズ16aの中心軸とがなす角度である。
dy=17.6/sin(2θ) ・・・(6)
【0040】
式(6)によれば、反射領域R1の実際の長さdy1は22.98mmである。反射領域R2,R8の実際の長さは20.32mmであり、反射領域R3,R7の実際の長さは18.7mmであり、反射領域R4,R6の実際の長さは17.9mmであり、反射領域R5の実際の長さは17.6mmであり、反射領域R9の実際の長さは22.98mmである。三次元形状算出部18bは、画素領域A1〜A9それぞれの長さの比が反射領域R1〜R9それぞれの長さの比(22.98:20.32:18.7:17.9:17.6:17.9:18.7:20.32:22.98)と同一となるように、画素領域A1〜A9のサイズを補正する。サイズを補正する際には、画素領域A1〜A9に映っている反射光の像34の位置等もあわせて補正(以下、「位置補正」という。)するが、この位置補正の方法については後述する。なお、サイズ補正後の三次元形状P’’(t,x,y,z)に後述する位置補正を施すことにより、位置補正後の三次元形状P(t,x,y,z)が得られることとなる。
【0041】
三次元形状算出部18bは、補正後の画素領域A1の情報を、格納部18cに格納する。この情報には、画素領域A1における反射光の像34の補正後の位置等についての情報が含まれている。格納する際、画素領域A1の情報にA1(t)の識別子を付与する。この識別子から、格納された情報が、計測開始から「n」ミリ秒後に撮像された画像Q中の、画素領域「A1」における反射光の像34の位置等についての情報であることがわかる。三次元形状算出部18bは、同様にして、補正後の画素領域A2〜A9の情報を格納部18cに格納する。格納する際には、A2(t)〜A9(t)の識別子を付与する。
【0042】
次に、三次元形状算出部18bは、格納部18cに格納された情報に基づいて、測定対象物10をスライスしたものの形状を得る。
【0043】
図10は、測定対象物10を図1に示されるZ軸正方向から見たときのものである。先述したように、反射領域R1〜R9は不連続となっている。また、反射鏡171〜179がそれぞれ2.5mmの短辺を有する長方形を呈していることから、反射領域R1〜R9も2.5mmの短辺dxを有する長方形であることがわかる。更に、測定対象物10の搬送速度は0.01mm/msecである。これらのことから、図10に示されるように、mミリ秒後における反射領域R9(図10のR9(m))と、m+250ミリ秒後における反射領域R8(図10のR8(m+250))と、m+500ミリ秒後における反射領域R7(図10のR7(m+500))と、m+750ミリ秒後における反射領域R6(図10のR6(m+750))と、m+1000ミリ秒後における反射領域R5(図10のR5(m+1000))と、m+1250ミリ秒後における反射領域R4(図10のR4(m+1250))と、m+1500ミリ秒後における反射領域R3(図10のR3(m+1500))と、m+1750ミリ秒後における反射領域R2(図10のR2(m+1750))と、m+2000ミリ秒後における反射領域R1(図10のR1(m+2000))とは、図1のY軸方向に沿って連続して並ぶということが判明する。
【0044】
そこで、三次元形状算出部18bは、識別子A1(tm+2000),A2(tm+1750),A3(tm+1500),A4(tm+1250),A5(tm+1000),A6(tm+750),A7(tm+500),A8(tm+250),A9(t)が付与された情報を格納部18cからそれぞれ抽出し、これらの情報を順に並べることで図11に示される合成画像Sを得る。このようにして得られた合成画像Sは、細長い形状となる。また、得られた合成画像S中では、反射光の像34は連続したものとなる。
【0045】
合成画像S中の連続した反射光の像34は、図1に示される搬送テーブル12上の測定対象物10に対して、当該測定対象物10をY軸方向に横切るような1本のスリット光を照射した場合に生じる反射光の像と同一である。合成画像Sでは、全体に占める反射光の像34の割合が大きいため、反射光の像34が連続してなる形状を正確に把握することができる。
【0046】
三次元形状算出部18bは、合成画像S中の連続した反射光の像34の形状から、搬送テーブル12に対する測定対象物10の表面高さを公知の方法で算出する。これにより、測定対象物10をスリット光の長軸方向(図1のY軸方向)にスライスしたものの形状が計測される。
【0047】
三次元形状算出部18bは、スリット光が照射されながら搬送される測定対象物10の画像について、上述の処理を繰り返す。これにより、測定対象物10をスリット光の長軸方向(図1のY軸方向)にスライスしたものの形状が順次算出されることとなる。三次元形状算出部18bは、これらを図1のX軸方向に重ね合わせることによって、三次元形状を算出する。
【0048】
出力インターフェイス部18dは、三次元形状算出部18bによって算出された測定対象物10の三次元形状のデータをディスプレイ20に対して出力する。ディスプレイ20は、出力インターフェイス部18dから出力されたデータから、測定対象物10の三次元形状についての特徴量(搬送テーブル12に対する最高点の位置及び高さなど)を表示したり、測定対象物10の三次元形状のデータを三次元グラフィックにて表示したりする。
【0049】
(位置補正)
続いて、上記のサイズ補正後の三次元形状P’’(t,x,y,z)に位置補正を施すことにより、位置補正後の三次元形状P(t,x,y,z)を得る方法について説明する。以下に説明する位置補正は、搬送の前後段で配置された例えば生産機械の振動による時間的なデータずれを補正すること、および三次元形状計測システム1を構成する各要素、つまり搬送テーブル12、光源ユニット14、カメラ16、ミラーユニット17の設置ずれによる空間的なデータずれを補正することを目的として行われる。以下では、図12〜図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0050】
(位置補正の前処理)
まず、図12を参照しながら、位置補正を行うための前処理について説明する。図12に示すように、最初に、カメラ16が第3基準物33を撮像する。第3基準物33は平面からなる表面を有するものであればよく、本実施形態では例えば図1に示す測定対象物10の平面部101や搬送テーブル12の平面部121を第3基準物33として用いることができる。また、例えば第1基準物11(図2)と同じ形状のものを第3基準物33として用いてもよい。第1基準物11の表面111が平面からなる表面であるからである。撮像の際には、光源ユニット14が静止状態の第3基準物33に対してスリット光を照射し、ミラーユニット17が当該スリット光の第3基準物表面による反射光を当該スリット光の長軸方向に沿って複数に分割する。そして、カメラ16が当該スリット光の第3基準物表面による反射光をミラーユニット17を介して撮像する。次に、三次元形状算出部18bが当該反射光の像に基づいて当該第3基準物33における基準値A(t,x,y,z)を求める。基準値A(t,x,y,z)は、例えば、分割された反射光の像それぞれにおける重心である。また、例えばA(m,t,x,y,z)のように、各反射光の像それぞれを識別するための別途の識別子mを更に付与してもよい(ステップS1)。
【0051】
次に、三次元形状算出部18bが、必要に応じて、ステップS1で求めた基準値A(t,x,y,z)の近似曲線B(t,x,y,z)を求めておく。このとき、三次元形状算出部18bは公知の最小二乗法を用いることができる(ステップS2)。
【0052】
次に、三次元形状算出部18bが、第2基準物22について、変換式X2(t)=F×Z2(t)を用意する。つまり、三次元形状算出部18bは図3に示す第2基準物22における所定の比率Fを予め計算しておく。所定の比率Fは第2基準物22の形状によるものであり例えば「1」であってもよく、その他特定の整数であってもよい。所定の比率Fが例えば「1」である場合に、変換式はX2(t)=Z2(t)となる(ステップS3)。
【0053】
次に、三次元形状算出部18bが、カメラ16より静止状態の第1基準物11および第2基準物22を撮像した画像を入力され、当該画像に基づいて基準値X0、Y0、Z0を求める。具体的に、三次元形状算出部18bは、カメラ16が静止状態の第1基準物11を撮像した画像より、静止状態の第1基準物11のZ軸上での座標を求め、基準値Z0とする。また、三次元形状算出部18bは、カメラ16が静止状態の第2基準物22を撮像した画像より、静止状態の第2基準物22のX軸上での座標を求め、基準値X0とする。また、三次元形状算出部18bは、カメラ16が静止状態の第2基準物22を撮像した画像より、静止状態の第2基準物22のY軸上での座標を求め、基準値Y0とする。なお、基準値Y0を求める際に、三次元形状算出部18bは、カメラ16が静止状態の第1基準物11を撮像した画像より、静止状態の第1基準物11のY軸上での座標を求め、基準値Y0としてもよい(ステップS4、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ)。
【0054】
(位置補正の本処理)
以上により、位置補正を行うための前処理について説明した。引き続き、ステップS1〜ステップS4の前処理の後に行われる位置補正の本処理について、図13および図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0055】
最初に、三次元形状算出部18bが、搬送中の測定対象物10をカメラ16が撮像した画像に基づいて、測定対象物10の撮像直後の三次元形状P’’(t,x,y,z)を求める。なお、この三次元形状P’’(t,x,y,z)は、上記説明したサイズ補正の後の三次元形状P’’(t,x,y,z)である。カメラ16の撮像の際には、上述したように、光源ユニット14が搬送中の測定対象物10に対してスリット光を照射し、ミラーユニット17が当該スリット光の測定対象物10表面による反射光を当該スリット光の長軸方向に沿って複数に分割する。そして、カメラ16が当該スリット光の測定対象物10表面による反射光をミラーユニット17を介して撮像する。次に、三次元形状算出部18bが当該反射光の像に上記のサイズ補正を施し、当該測定対象物10の撮像直後の三次元形状P’’(t,x,y,z)を求める(ステップS11、第4ステップ)。
【0056】
次に、三次元形状算出部18bが、ステップS11で求めた撮像直後の三次元形状P’’(t,x,y,z)を下記数式(4)
P’(t,x,y,z)= P’’(t,x,y,z) - A(t,x,y,z) …(4)
により補正し、測定対象物10の位置補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を求める。なお、式中、A(t,x,y,z)はステップS1で求めた基準値A(t,x,y,z)である(ステップS12)。
【0057】
次に、三次元形状算出部18bが、測定対象物10とともに搬送中の第1基準物11をカメラ16が撮像した画像に基づいて、第1基準物11のZ座標Z1(t)を求める(ステップS13、第5ステップ)。
【0058】
次に、三次元形状算出部18bが、測定対象物10とともに搬送中の第2基準物22をカメラ16が撮像した画像に基づいて、第2基準物22のZ座標Z’2(t)を求める(ステップS14、第6ステップ)。
【0059】
次に、三次元形状算出部18bが、測定対象物10とともに搬送中の第2基準物22をカメラ16が撮像した画像に基づいて、第2基準物22のY座標Y2(t)を求める。なお、Y座標として第2基準物22のY座標Y2(t)を求める代わりに、測定対象物10とともに搬送中の第1基準物11の画像に基づいて、第1基準物11のY座標Y1(t)を求めるようにしてもよい(ステップS15、第7ステップ)。
【0060】
次に、三次元形状算出部18bが、ステップS14で求めた第2基準物22のZ座標Z’2(t)を下記数式(1)
Z2(t)=Z’2(t)-Z1(t)…(1)
により補正し、第2基準物22の補正後のZ座標Z2(t)を求める。なお、式中Z1(t)はステップS13で求めた第1基準物11のZ座標Z1(t)である(ステップS16、第8ステップ)。
【0061】
次に、三次元形状算出部18bが、測定対象物10とともに搬送中の第2基準物22のX座標X2(t)を下記数式(2)
X2(t)=F×Z2(t) …(2)
により求める(ステップS17、第9ステップ)。
【0062】
次に、三次元形状算出部18bが、ステップS12で求めた測定対象物10の三次元形状P’(t,x,y,z)を下記数式(3)
P(t,x,y,z)=P’(t,x-Xt(t), y-Yt(t), z-Zt(t),)
(ただし、Xt(t)=X2(t)-X0, Yt(t)=Y2(t)-Y0またはYt(t)=Y1(t)-Y0, Zt(t)=Z1(t)-Z0)
により補正し、測定対象物10の位置補正後の三次元形状P(t,x,y,z)を求める。式中、X2(t)はステップS17で求めた搬送中の第2基準物22のX座標X2(t)である。X0はステップS4で求めた静止状態の第2基準物22のX軸上での基準値X0である。Y2(t)はステップS15で求めた搬送中の第2基準物22のY座標Y2(t)である。Y1(t)はステップS15で求めた搬送中の第1基準物11のY座標Y1(t)である。Y0は、ステップS4で求めた静止状態の第2基準物22のY軸上での基準値Y0、または静止状態の第1基準物11のY軸上での基準値Y0である。式中、Yt(t)=Y2(t)-Y0がYt(t)として用いられる場合にY0は第2基準物22のY軸上での基準値Y0であり、Yt(t)=Y1(t)-Y0がYt(t)として用いられる場合にY0は第1基準物11のY軸上での基準値Y0である。Z1(t)はステップS13で求めた第1基準物11のZ座標Z1(t)である。Z0はステップS4で求めた静止状態の第1基準物11のZ軸上での基準値Z0である(ステップS18、第10ステップ)。
【0063】
以上により、ステップS1〜ステップS4の前処理の後に行われる、ステップS11〜ステップS18の位置補正の本処理について説明した。これらの処理によって求められた測定対象物10の三次元形状P(t,x,y,z)は、格納部18cに格納され、上述した格納後の各処理に用いられる。
【0064】
また、図13における上記の説明では、ステップS12にて基準値A(t,x,y,z)を用いて測定対象物10の三次元形状P’(t,x,y,z)を求めた。これに限らず、ステップS2で求めた基準値A(t,x,y,z)の近似曲線B(t,x,y,z)を用いて測定対象物10の三次元形状P’(t,x,y,z)を求めてもよい。この場合には、三次元形状算出部18bが、ステップS11で求めた三次元形状P’’(t,x,y,z)を下記数式(5)
P’(t,x,y,z)= P’’(t,x,y,z) - B(t,x,y,z) …(5)
により補正し、測定対象物10の三次元形状P’(t,x,y,z)を求める(ステップS121)。なお、図14のフローチャートはステップS121を示しており、図14においてステップS121以外の手順は図13と一致している。
【0065】
(三次元形状計測システム1の動作)
続いて、本実施形態の三次元形状計測システム1の動作について説明する。測定対象物10の三次元形状を計測するに当たって、まず、位置補正のための前処理が行われる。そして、測定対象物10、第1基準物11および第2基準物22を図1に示されるように搬送テーブル12のベルト上に載置する。搬送テーブル12を動かすことによって、ベルト上に載置された測定対象物10、第1基準物11および第2基準物22をX軸正方向に搬送する。搬送テーブル12によって搬送中の測定対象物10に対して、光源ユニット14のスリット光源141〜149からスリット光を照射する。
【0066】
測定対象物10の反射領域R1〜R9では、スリット光源141〜149から照射されたスリット光によって、反射光がそれぞれ発生する。反射鏡171〜179は、これらの反射光をそれぞれカメラ16に向けて反射する。これにより、反射領域R1〜R9による反射光は、カメラ16によって撮像されることとなる。カメラ16は、図9に示されるように、反射光の像34が映った画像Qを出力する。画像Qでは、スリット光の反射領域R1〜R9による反射光の像34はそれぞれ、画像Qの一方の辺方向(Qy軸方向)に延びている。また、反射光の像34は画像Qの他方の辺方向(Qx軸方向)に並んでいる。このような画像Qは、コンピュータ装置18の入力インターフェイス部18aに取り込まれた後、三次元形状算出部18bに出力される。カメラ16は、測定対象物10の搬送に応じて反射領域R1〜R9が変化するたびに、画像Qを出力する。
【0067】
測定対象物10の反射光を撮像することとともに、カメラ16は第1基準物11および第2基準物22を撮像する。なお、第3基準物33については、搬送前の前処理において予め撮像されている。第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33を撮像した画像は、コンピュータ装置18の入力インターフェイス部18aに取り込まれた後、三次元形状算出部18bに出力される。
【0068】
三次元形状算出部18bは、入力インターフェイス部18aから画像Qを受け取ると、画像Qから反射領域R1〜R9と対応する9つの画素領域A1〜A9を抽出する。三次元形状算出部18bは、画素領域A1〜A9のサイズ比が反射領域R1〜R9のサイズ比と同一となるように、画素領域A1〜A9のサイズを補正する。また、第1基準物11、第2基準物22および第3基準物33を撮像した画像に基づいて、上述した位置補正方法により画素領域A1〜A9を位置補正する。そして、位置補正後の画素領域A1〜A9の情報を、識別子と共に格納部18cに順次格納する。
【0069】
続いて、三次元形状算出部18bは、格納部18cから画素領域A1〜A9の情報を抽出する。抽出する情報は、識別子A1(tm+2000),A2(tm+1750),A3(tm+1500),A4(tm+1250),A5(tm+1000),A6(tm+750),A7(tm+500),A8(tm+250),A9(t)がそれぞれ付与されたものである。三次元形状算出部18bは、抽出したこれらの情報を並べることにより、合成画像Sを取得する。
【0070】
三次元形状算出部18bは、合成画像S中の連続した反射光の像34の形状から、公知の方法で搬送テーブル12に対する測定対象物10の表面高さを算出する。これにより、測定対象物10をスリット光の長軸方向(図1のY軸方向)にスライスしたものの形状が計測される。
【0071】
三次元形状算出部18bは、入力インターフェイス部18aから画像Qが出力されると、そのつど上述の処理を繰り返す。そして、測定対象物10をスリット光の長軸方向(図1のY軸方向)にスライスしたものの形状を順次算出し、これらを図1のX軸方向に重ね合わせたものの形状を算出する。このようにして、三次元形状算出部18bは測定対象物10の三次元形状を計測する。三次元形状算出部18bは、計測した測定対象物10の三次元形状のデータを出力インターフェイス部18dに出力する。
【0072】
出力インターフェイス部18dは、三次元形状算出部18bから受けとったデータを、ディスプレイ20に対して出力する。ディスプレイ20は、このデータに基づいて、測定対象物10の三次元形状における特徴量を表示したり、測定対象物10の三次元形状を三次元グラフィックで表示したりする。
【0073】
(三次元形状計測システム1の作用及び効果)
続いて、本実施形態の三次元形状計測システム1の作用及び効果について説明する。本実施形態の三次元形状計測システム1によれば、三次元形状計測システム1は第1基準物11および第2基準物22を備えており、三次元形状算出部18bは、測定対象物10とともに搬送される第1基準物11および第2基準物22の像の形状に基づいて、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(3)を用いて補正する。このように、測定対象物10とともに搬送されるものの形状に基づいて補正を行うことにより、搬送の前後段で配置された例えば生産機械の振動による時間的なデータずれを補正することができる。
【0074】
具体的に、第1基準物11はX軸方向と平行な表面111を有しており、この第1基準物11を用いれば、搬送システム内で生じたX軸方向の振動による誤差を含まない第1基準物11のZ座標Z1(t)を求めることができる。また、第2基準物22はX軸方向およびZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面221を有しており、この第2基準物22を用いれば、Z座標Z2(t)に応じて所定の比率Fで変動するX座標X2(t)を式(2)を用いて求めることができる。このとき、第2基準物22のZ座標Z2(t)は、搬送システム内で生じたX軸方向の振動による誤差を含む可能性があるが、この誤差は上記求めた第1基準物11のZ座標Z1(t)を用いて式(1)により補正することができる。上述したように、第1基準物11のZ座標Z1(t)は搬送システム内で生じたX軸方向の振動による誤差を含まないため、Z1(t)を用いてZ2(t)を補正することにより、Z2(t)においてもX軸方向の振動による誤差を無くすことができる。そして、最終的に、搬送システム内で生じたX軸方向の振動による誤差を含まないX座標X2(t)等を用いて、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(3)を用いて補正することができる。以上により、搬送の前後段で配置された例えば生産機械の振動による時間的なデータずれを補正することができる。
【0075】
また、本実施形態は、X軸方向と平行な表面を有している第1基準物11の形状が直方体であり、且つX軸方向およびZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面を有している第2基準物22の形状が三角柱である場合に、特に有用である。
【0076】
また、本実施形態によれば、三次元形状計測システム1は第3基準物33を備えており、三次元形状算出部18bは静止状態の第3基準物33の像の形状に基づいて、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(4)を用いて補正する。このように、三次元形状算出部18bは静止状態のものの形状に基づいて補正を行うので、この補正によれば、三次元形状計測システム1を構成する各要素、つまり搬送テーブル12、光源ユニット14、ミラーユニット17、およびカメラ16の設置ずれによる空間的なデータずれを補正することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、基準値A(t,x,y,z)を最小二乗法により更に補正してから、測定対象物表面による反射光の像の形状を式(5)を用いて補正することにより、補正の精度を高めることができる。
【0078】
また、三次元形状計測システム1は、光切断法を用いている。そのため、例えばステレオ画像法を用いたシステムと比べて、三次元形状の計測にかかる時間を短縮することができる。
【0079】
また、三次元形状計測システム1のミラーユニット17は9つの反射鏡171〜179を有している。反射鏡171〜179は、スリット光の反射領域R1〜R9による反射光をそれぞれ反射する。すなわち反射鏡171〜179は、測定対象物10表面による反射光を反射領域R1〜R9毎に分割して反射することとなる。カメラ16は反射鏡171〜179を介して測定対象物10表面による反射光を撮像し、画像Qを得る。得られた画像Qには、分割された反射光の像34が、一方の辺方向(図7に示されるQy軸方向)に延び、且つ、他方の辺方向(図7に示されるQx軸方向)に並んで映っている。このように、反射鏡171〜179を用いて、分割された反射光の像34が並列に配列された画像を撮像することにより、スリット光の測定対象物表面による細長い反射光の全体を直接撮像した時と比べて、画像全体に占める反射光の像の割合を格段に増加させることができる。その結果、反射光の像34の形状を正確に把握することが容易となる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしもこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0081】
例えば、本実施形態では、サイズ補正の後に位置補正を行っているが、これら補正の順序を逆にしてもよい。
【0082】
また、例えば、本実施形態では、反射鏡及びスリット光源を9つずつ用いたが、反射鏡及びスリット光源の数はこれに限られない。ただし、反射鏡及びスリット光源の数を変更する場合には、反射鏡の大きさや向き、反射鏡とテレセントリックレンズ16aの中心軸との角度等を適宜変更する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施形態に係る三次元形状計測システムの斜視図である。
【図2】第1基準物の一例を示す図である。
【図3】第2基準物の一例を示す図である。
【図4】反射鏡の側面図である。
【図5】反射鏡、カメラ、及び搬送テーブル上の測定対象物の側面図である。
【図6】測定対象物の反射領域を示す図である。
【図7】カメラにより撮像された画像を示す図である。
【図8】コンピュータ装置の構成を示す図である。
【図9】三次元形状算出部による三次元形状の算出手順を説明するための図である。
【図10】測定対象物を図1に示されるZ軸正方向から見たときのものである。
【図11】合成画像を示す図である。
【図12】三次元形状計測システムにて行われる補正を説明するためのフローチャートである。
【図13】三次元形状計測システムにて行われる補正を説明するためのフローチャートである。
【図14】三次元形状計測システムにて行われる補正を説明するためのフローチャートである。
【図15】従来の三次元形状計測システムで撮像される画像を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1・・・三次元形状計測システム、10・・・測定対象物、11・・・第1基準物、12・・・搬送テーブル、14・・・光源ユニット、141-149・・・スリット光源、16・・・カメラ、17・・・ミラーユニット、171-179・・・反射鏡、18・・・コンピュータ装置、18a・・・入力インターフェイス部、18b・・・三次元形状算出部、18c・・・格納部、18d・・・出力インターフェイス部、22・・・第2基準物、20・・・ディスプレイ、33・・・第3基準物。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を所定の搬送方向であるX軸方向に搬送する搬送テーブルと、
前記搬送テーブルによって搬送されている前記測定対象物に対して、前記X軸方向と交差する方向であるY軸方向に長軸が延びるスリット光を照射する照射手段と、
前記X軸方向と平行な表面を有し、前記搬送テーブル上に前記測定対象物とともに配置される第1基準物と、
前記X軸方向、および前記X軸方向と交差する方向であるZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面を有し、前記搬送テーブル上に前記測定対象物とともに配置される第2基準物と、
前記照射手段から照射された前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を反射する反射手段と、
前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を前記反射手段を介して撮像するとともに、前記第1基準物および前記第2基準物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記測定対象物表面による反射光の像の形状を、前記撮像手段により撮像された前記第1基準物および前記第2基準物の像の形状に基づいて補正し、前記測定対象物の三次元形状P(t,x,y,z)(ただし、tは時間を表す変数である。)を算出する三次元形状算出手段と、
を備え、
前記反射手段は、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を、当該スリット光の長軸方向に沿って複数に分割し、当該分割された複数の反射光が前記長軸方向と垂直方向に配置されて前記撮像手段によって撮像されるように、形成されており、
前記三次元形状算出手段は、
静止状態の前記第1基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第1基準物の前記Z軸上での座標を求めて基準値Z0とし、
静止状態の前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第2基準物の前記X軸上での座標を求めて基準値X0とし、
静止状態の前記第1基準物または前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第1基準物または前記第2基準物の前記Y軸上での座標を求めて基準値Y0とし、
前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を前記撮像手段が撮像した画像より、前記測定対象物の補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を求め、
前記測定対象物とともに搬送中の前記第1基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、前記第1基準物のZ座標Z1(t)を求め、
前記測定対象物とともに搬送中の前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、前記第2基準物のZ座標Z’2(t)を求め、
前記測定対象物とともに搬送中の前記第1基準物または前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、それぞれ前記第1基準物のY座標Y1(t)または前記第2基準物のY座標Y2(t)を求め、
前記Z座標Z’2(t)を下記数式(1)
Z2(t)=Z’2(t)-Z1(t)…(1)
により補正し、前記第2基準物の補正後のZ座標Z2(t)を求め、
前記測定対象物とともに搬送中の前記第2基準物のX座標X2(t)を下記数式(2)
X2(t)=F×Z2(t) …(2)
により求め、
前記測定対象物の補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を下記数式(3)
P(t,x,y,z)=P’(t,x-Xt(t), y-Yt(t), z-Zt(t),) …(3)
(ただし、Xt(t)=X2(t)-X0, Yt(t)=Y1(t)-Y0またはYt(t)=Y2(t)-Y0, Zt(t)=Z1(t)-Z0)
により補正し、前記測定対象物の補正後の三次元形状P(t,x,y,z)を求める
ことを特徴とする三次元形状計測システム。
【請求項2】
前記第1基準物は直方体の形状をなし、
前記第2基準物は三角柱の形状をなし、
前記三角柱における三角形は直角三角形であり、
前記直角三角形における、互いに直交する両辺のうちの一方は前記X軸方向に延び、他方は前記Z軸方向に延びる
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元形状計測システム。
【請求項3】
前記照射手段は、平面からなる表面を有する静止状態の第3基準物に対して前記スリット光を照射し、
前記反射手段は、前記スリット光の前記第3基準物表面による反射光を、当該スリット光の長軸方向に沿って複数に分割し、当該分割された複数の反射光が前記長軸方向と垂直方向に配置されて前記撮像手段によって撮像されるように、形成されており、
前記撮像手段は、前記スリット光の前記第3基準物表面による反射光を前記反射手段を介して撮像し、
三次元形状算出手段は、
該反射光の像に基づいて当該第3基準物における基準値A(t,x,y,z)を求め、
前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光の像に基づいて前記測定対象物の撮像直後の三次元形状P’’(t,x,y,z)を求め、
前記撮像直後の三次元形状P’’(t,x,y,z)を下記数式(4)
P’(t,x,y,z)= P’’(t,x,y,z) - A(t,x,y,z) …(4)
により補正し、前記三次元形状P’(t,x,y,z)を求める
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元形状計測システム。
【請求項4】
前記三次元形状算出手段は、前記基準値A(t,x,y,z)の近似曲線B(t,x,y,z)を最小二乗法により求めた場合に、前記三次元形状P’’(t,x,y,z)を下記数式(5)
P’(t,x,y,z)= P’’(t,x,y,z) - B(t,x,y,z) …(5)
により補正し、前記三次元形状P’(t,x,y,z)を求める
ことを特徴とする請求項3に記載の三次元形状計測システム。
【請求項5】
測定対象物を所定の搬送方向であるX軸方向に搬送する搬送テーブルと、
前記搬送テーブルによって搬送されている前記測定対象物に対して、前記X軸方向と交差する方向であるY軸方向に長軸が延びるスリット光を照射する照射手段と、
前記X軸方向と平行な表面を有し、前記搬送テーブル上に前記測定対象物とともに配置される第1基準物と、
前記X軸方向、および前記X軸方向と交差する方向であるZ軸方向に対して予め定められた所定の比率Fで単調に傾斜する表面を有し、前記搬送テーブル上に前記測定対象物とともに配置される第2基準物と、
前記照射手段から照射された前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を反射する反射手段と、
前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を前記反射手段を介して撮像するとともに、前記第1基準物および前記第2基準物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記測定対象物表面による反射光の像の形状を、前記撮像手段により撮像された前記第1基準物および前記第2基準物の像の形状に基づいて補正し、前記測定対象物の三次元形状P(t,x,y,z)(ただし、tは時間を表す変数である。)を算出する三次元形状算出手段と、
を備え、
前記反射手段は、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を、当該スリット光の長軸方向に沿って複数に分割し、当該分割された複数の反射光が前記長軸方向と垂直方向に配置されて前記撮像手段によって撮像されるように、形成されている三次元形状計測システムにおける三次元形状計測方法であって、
前記三次元形状算出手段が、静止状態の前記第1基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第1基準物の前記Z軸上での座標を求めて基準値Z0とする第1ステップと、
前記三次元形状算出手段が、静止状態の前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第2基準物の前記X軸上での座標を求めて基準値X0とする第2ステップと、
前記三次元形状算出手段が、静止状態の前記第1基準物または前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、当該静止状態の前記第1基準物または前記第2基準物の前記Y軸上での座標を求めて基準値Y0とする第3ステップと、
前記三次元形状算出手段が、前記スリット光の前記測定対象物表面による反射光を前記撮像手段が撮像した画像より、前記測定対象物の補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を求める第4ステップと、
前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物とともに搬送中の前記第1基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、前記第1基準物のZ座標Z1(t)を求める第5ステップと、
前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物とともに搬送中の前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、前記第2基準物のZ座標Z’2(t)を求める第6ステップと、
前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物とともに搬送中の前記第1基準物または前記第2基準物を前記撮像手段が撮像した画像より、それぞれ前記第1基準物のY座標Y1(t)または前記第2基準物のY座標Y2(t)を求める第7ステップと、
前記三次元形状算出手段が、前記Z座標Z’2(t)を下記数式(1)
Z2(t)=Z’2(t)-Z1(t)…(1)
により補正し、前記第2基準物の補正後のZ座標Z2(t)を求める第8ステップと、
前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物とともに搬送中の前記第2基準物のX座標X2(t)を下記数式(2)
X2(t)=F×Z2(t) …(2)
により求める第9ステップと、
前記三次元形状算出手段が、前記測定対象物の補正前の三次元形状P’(t,x,y,z)を下記数式(3)
P(t,x,y,z)=P’(t,x-Xt(t), y-Yt(t), z-Zt(t),) …(3)
(ただし、Xt(t)=X2(t)-X0, Yt(t)=Y1(t)-Y0またはYt(t)=Y2(t)-Y0, Zt(t)=Z1(t)-Z0)
により補正し、前記測定対象物の補正後の三次元形状P(t,x,y,z)を求める第10ステップと、
を備えることを特徴とする三次元形状計測方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−222464(P2009−222464A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65245(P2008−65245)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(803000104)財団法人ひろしま産業振興機構 (70)
【Fターム(参考)】