説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】ゲート絶縁層の信頼性とデータ保持特性を向上させた不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】不揮発性半導体記憶装置100は、半導体基板Baに対して垂直方向に延びるメモリ柱状半導体層38と、メモリ柱状半導体層38の側壁側に電荷蓄積層36を介して形成された第1〜第4ワード線導電層32a〜32dと、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの上下に形成された第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eとを備える。第1〜第4ワード線導電層32a〜32dのメモリ柱状半導体層38側の側壁は、上方から下方へと移動するに従いメモリ柱状半導体層38の中心軸から離れる方向へ傾斜するように形成されている。第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eのメモリ柱状半導体層38側の側壁は、上方から下方へと移動するに従いメモリ柱状半導体層38の中心軸に近づく方向へ傾斜するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン基板上の2次元平面内に素子を集積して、LSIが形成されてきた。メモリの記憶容量を増加させるために、一素子の寸法を小さくする(微細化する)方法に従ってきたが、近年その微細化もコスト的、技術的に困難なものになってきた。微細化のためにはフォトリソグラフィの技術向上が必要であるが、例えば、現在のArF液浸露光技術では40nm付近のルールが解像限界となっており、更なる微細化のためにはEUV露光機の導入が必要である。しかし、EUV露光機はコスト高であり、コストを考えた場合には現実的ではない。また、仮に微細化が達成されたとしても、駆動電圧などがスケーリングされない限り、素子間の耐圧など物理的な限界点を迎える事が予想される。つまり、デバイスとしての動作が困難になる可能性が高い。
【0003】
そこで、近年、メモリの集積度を高めるために、メモリセルを3次元的に配置した半導体記憶装置が多数提案されている(特許文献1)。
【0004】
メモリセルを3次元的に配置した従来の半導体記憶装置の一つに、円柱型構造のトランジスタを用いた半導体記憶装置がある(特許文献1)。円柱型構造のトランジスタを用いた半導体記憶装置においては、ゲート電極となる多層に積層された積層導電層、及びピラー状の柱状半導体が設けられる。柱状半導体は、トランジスタのチャネル(ボディ)部として機能する。柱状半導体の周りには、電荷を蓄積可能な電荷蓄積層が設けられる。これら積層導電層、柱状半導体、メモリゲート絶縁層を含む構成は、メモリストリングスと呼ばれる。
【0005】
上記メモリストリングスを有する半導体記憶装置においては、電荷蓄積層の構造及び製造方法により、メモリゲート絶縁層の信頼性や半導体記憶装置のデータ保持特性の優劣が決まる。
【0006】
例えば、従来のメモリストリングスの製造方法は、概ね次の通りである。先ず、交互に積層させた積層導電層及び層間絶縁層を貫通してホールを形成する。次に、そのホールに面する積層導電層及び層間絶縁層の側壁側にブロック絶縁層、及び電荷蓄積層(SiN)を形成する。その後、ホールの下方に設けられた導電層(下部選択ゲート層)又はシリコン(Si)基板とコンタクトをとるために、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)でホール底部の窒化シリコン(SiN)や酸化シリコン(SiO)を除去する。このとき、RIEによって、ホール底部のみでなく、積層導電層に面するブロック絶縁層(ゲート絶縁層)が、ダメージを受ける懸念があり、これがゲートリークの大きな原因の一つとなる。したがって、上記の従来の製造方法にあっては、他のセルへの誤書き込みのおそれがある。
【0007】
また、例えば、従来の構造において、電荷蓄積層は、積層された複数の積層導電層にわたって形成されている。したがって、電荷蓄積層内において電荷が拡散し、データの保持特性が低下するおそれがある。
【特許文献1】特開2007−266143号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ゲート絶縁層の信頼性とデータ保持特性を向上させた不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る不揮発性半導体記憶装置は、電気的に書き換え可能な複数のメモリセルが直列に接続された複数のメモリストリングスを有する不揮発性半導体記憶装置であって、前記メモリストリングスは、基板に対して垂直方向に延びる柱状半導体層と、前記柱状半導体層の側壁側にメモリ層を介して形成された複数の導電層と、前記導電層の上下に形成された層間絶縁層とを備え、前記各導電層の前記柱状半導体層側の側壁は、上方から下方へと移動するに従い前記柱状半導体層の中心軸から離れる方向へ傾斜するように形成され、前記各層間絶縁層の前記柱状半導体層側の側壁は、上方から下方へと移動するに従い前記柱状半導体層の中心軸に近づく方向へ傾斜するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ゲート絶縁層の信頼性とデータ保持特性を向上させた不揮発性半導体記憶装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の一実施形態について説明する。
【0012】
[第1実施形態]
(第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の概略図を示す。図1に示すように、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、主として、メモリトランジスタ領域12、ワード線駆動回路13、ソース側選択ゲート線(SGS)駆動回路14、ドレイン側選択ゲート線(SGD)駆動回路15、及びセンスアンプ16を有する。メモリトランジスタ領域12は、データを記憶するメモリトランジスタを有する。ワード線駆動回路13は、ワード線WLにかける電圧を制御する。ソース側選択ゲート線(SGS)駆動回路14は、ソース側選択ゲート線SGSにかける電圧を制御する。ドレイン側選択ゲート線(SGD)駆動回路15は、ドレイン側選択ゲート線SGDにかける電圧を制御する。センスアンプ16は、メモリトランジスタから読み出した電位を増幅する。なお、上記の他、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、ビット線BLにかける電圧を制御するビット線駆動回路、ソース線SLにかける電圧を制御するソース線駆動回路を有する(図示略)。
【0013】
また、図1に示すように、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100において、メモリトランジスタ領域12を構成するメモリトランジスタは、半導体層を複数積層することによって形成されている。
【0014】
図2は、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100のメモリトランジスタ領域12の一部の概略斜視図である。第1実施形態においては、メモリトランジスタ領域12は、メモリトランジスタMTr1mn〜MTr4mn、ソース側選択トランジスタSSTrmn及びドレイン側選択トランジスタSDTrmnからなるメモリストリングスMSをm×n個(m、nは自然数)を有している。図2においては、m=3、n=4の一例を示している。
【0015】
各メモリストリングスMSのメモリトランジスタMTr1mn〜MTr4mnのゲートに接続されているワード線(WL1〜WL4)は、それぞれ同一の導電層によって形成されており、それぞれ共通である。即ち、各メモリストリングスMSのメモリトランジスタMTr1mnのゲートの全てがワード線WL1に接続されている。また、各メモリストリングスMSのメモリトランジスタMTr2mnのゲートの全てがワード線WL2に接続されている。また、各メモリストリングスMSのメモリトランジスタMTr3mnのゲートの全てがワード線WL3に接続されている。また、各メモリストリングスMSのメモリトランジスタMTr4mnのゲートの全てがワード線WL4に接続されている。第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100においては、図1及び図2に示すように、ワード線WL1〜WL4は、それぞれ、半導体基板Baと平行な水平方向において2次元的に広がりを有するように形成されている。また、ワード線WL1〜WL4は、それぞれ、メモリストリングスMSに略垂直に配置されている。また、ワード線WL1〜WL4のロウ方向の端部は、階段状に形成されている。ここで、ロウ方向は、垂直方向に直交する方向であり、カラム方向は、垂直方向及びロウ方向に直交する方向である。
【0016】
各メモリストリングスMSは、半導体基板BaのP−well領域Ba1に形成されたn+領域の上に柱状の柱状半導体CLmn(図2に示す場合、m=1〜3、n=1〜4)を有している。各柱状半導体CLmnは、半導体基板Baから垂直方向に形成されており、半導体基板Ba及びワード線(WL1〜WL4)の面上においてマトリクス状になるように配置されている。つまり、メモリストリングスMSも、柱状半導体CLmnに垂直な面内にマトリクス状に配置されている。なお、この柱状半導体CLmnは、円柱状であっても、角柱状であってもよい。また、柱状半導体CLmnとは、段々形状を有する柱状の半導体を含む。
【0017】
また、図2に示すように、メモリストリングスMSの上方には、柱状半導体CLmnと絶縁層(図示せず)を介し接してドレイン側選択トランジスタSDTrmnを構成する矩形板状のドレイン側選択ゲート線SGD(図2に示す場合、SGD1〜SGD4)が設けられている。各ドレイン側選択ゲート線SGDは、互いに絶縁分離され、ワード線WL1〜WL4とは異なり、ロウ方向に延びカラム方向に繰り返し設けられたライン状に形成されている。また、ドレイン側選択ゲート線SGDのカラム方向の中心を貫通して、柱状半導体CLmnが設けられている。
【0018】
また、図2に示すように、メモリストリングスMSの下方には、柱状半導体CLmnと絶縁膜(図示せず)を介し接してソース側選択トランジスタSSTrmnを構成するソース側選択ゲート線SGSが設けられている。ソース側選択ゲート線SGSは、ワード線WL1〜WL4と同様に水平方向において2次元的に広がりを有するように形成されている。なお、ソース側選択ゲート線SGSは、図2に示すような構造の他、ロウ方向に延び且つカラム方向に繰り返し設けられた短冊状であってもよい。
【0019】
次に、図2及び図3を参照して、第1実施形態におけるメモリストリングスMSにより構成される回路構成及びその動作を説明する。図3は、第1実施形態における一つのメモリストリングスMSの回路図である。
【0020】
図2及び図3に示すように、第1実施形態において、メモリストリングスMSは、4つのメモリトランジスタMTr1mn〜MTr4mn並びにソース側選択トランジスタSSTrm及びドレイン側選択トランジスタSDTrmnを有している。これら4つのメモリトランジスタMTr1mn〜MTr4mn並びにソース側選択トランジスタSSTrmn及びドレイン側選択トランジスタSDTrmnは、それぞれ直列に接続されている(図3参照)。第1実施形態のメモリストリングスMSにおいては、半導体基板Ba上のP−型領域(P−Well領域)Ba1に形成されたn+領域に柱状半導体CLmnが形成されている。
【0021】
また、ソース側選択トランジスタSSTrmnのソースにはソース線SL(半導体基板BaのP−well領域Ba1に形成されたn+領域)が接続されている。また、ドレイン側選択トランジスタSDTrmnのドレインにはビット線BLが接続されている。
【0022】
各メモリトランジスタMTrmnは、柱状半導体CLmn、その柱状半導体CLmnを取り囲むように形成された電荷蓄積層(メモリ層)、その電荷蓄積層を取り囲むように形成されたワード線WLを有する。ワード線WLは、メモリトランジスタMTrmnの制御ゲート電極として機能する。
【0023】
上記構成を有する不揮発性半導体記憶装置100においては、ビット線BL1〜BL3、ドレイン側選択ゲート線SGD、ワード線WL1〜WL4、ソース側選択ゲート線SGS、ソース線SLの電圧は、ビット線駆動回路(図示略)、ドレイン側選択ゲート線駆動回路15、ワード線駆動回路13、ソース側選択ゲート線駆動回路14、ソース線駆動回路(図示略)によって制御される。すなわち、所定のメモリトランジスタMTrmnの電荷蓄積層の電荷を制御することによって、データの読み出し、書き込み、消去を実行する。
【0024】
(第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の具体的構成)
次に、図4を参照して、不揮発性半導体記憶装置100の更に具体的構成を説明する。図4は、第1実施形態におけるメモリストリングスMSを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。図4に示すように、不揮発性半導体記憶装置100(メモリストリングスMS)は、メモリトランジスタ領域12において、半導体基板Ba上に下層から上層へと、ソース側選択トランジスタ層20、メモリトランジスタ層30、及びドレイン側選択トランジスタ層40を有する。ソース側選択トランジスタ層20は、ソース側選択トランジスタSSTrmnとして機能する。メモリトランジスタ層30は、メモリトランジスタMTrmnとして機能する。ドレイン側選択トランジスタ層40は、ドレイン側選択トランジスタSDTrmnとして機能する。
【0025】
半導体基板Ba上には、第1絶縁層Ba31、及び第2絶縁層Ba32が形成されている。第1絶縁層Ba31は、窒化シリコン(SiN)にて構成されている。第2絶縁層Ba32は、TEOSにて構成されている。
【0026】
ソース側選択トランジスタ層20は、半導体基板Ba上に順次積層された、ソース側第1絶縁層21、ソース側導電層22、ソース側第2絶縁層23、及びソース側分離絶縁層24を有する。
【0027】
ソース側第1絶縁層21、ソース側導電層22、ソース側第2絶縁層23、及びソース側分離絶縁層24は、半導体基板Baと平行な水平方向において2次元的に広がりを有するようにメモリトランジスタ領域12に形成されている。ソース側第1絶縁層21、ソース側導電層22、ソース側第1絶縁層23、及びソース側分離絶縁層24は、メモリトランジスタ領域12内の所定領域(消去単位)毎に分断されている。
【0028】
ソース側第1絶縁層21、及びソース側第2絶縁層23は、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。ソース側導電層22は、例えば、p+型のポリシリコン(多結晶シリコン)にて構成されている。ソース側分離絶縁層24は、窒化シリコン(SiN)にて構成されている。
【0029】
また、ソース側分離絶縁層24、ソース側第2絶縁層23、ソース側導電層22、ソース側第1絶縁層21、第2絶縁層Ba32、及び第1絶縁層Ba31を貫通するようにソース側ホール25が形成されている。ソース側ホール25に面する側壁には、順次、ソース側ゲート絶縁層26、ソース側柱状半導体層27が設けられている。
【0030】
ソース側ゲート絶縁層26は、酸化シリコン(SiO)にて形成されている。ソース側柱状半導体層27は、ポリシリコン(多結晶シリコン)にて形成されている。また、ソース側柱状半導体層27は、その上部をn+型のポリシリコンにて構成されたものであってもよい。
【0031】
また、ソース側選択トランジスタ層20において、ソース側導電層22が、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する。また、ソース側導電層22が、ソース側選択トランジスタSSTrmnの制御ゲートとして機能する。
【0032】
メモリトランジスタ層30は、ソース側分離絶縁層24の上方に設けられた第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eと、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの上下間に設けられた第1〜第4ワード線導電層32a〜32dと、第5ワード線間絶縁層31e上に積層されたメモリ分離絶縁層33を有する。
【0033】
第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31e、第1〜第4ワード線導電層32a〜32d、及びメモリ分離絶縁層33は、ロウ方向及びカラム方向において2次元的に広がりを有するように形成され、ロウ方向の端部で階段状に形成されている。
【0034】
第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eは、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。第1〜第4ワード線導電層32a〜32dは、p+型のポリシリコン(多結晶シリコン)にて構成されている。メモリ分離絶縁層33は、窒化シリコン(SiN)にて構成されている。
【0035】
また、メモリトランジスタ層30において、メモリ分離絶縁層33、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31e、及び第1〜第4ワード線導電層32a〜32dを貫通するようにメモリホール34が形成されている。メモリホール34は、ソース側ホール25と整合する位置に設けられている。
【0036】
メモリホール34内には、ブロック絶縁層(第1絶縁層)35、電荷蓄積層(メモリ層)36、トンネル絶縁層(第2絶縁層)37、及びメモリ柱状半導体層38が設けられている。メモリ柱状半導体層38は、半導体基板Baに対して略垂直方向に延びるように形成されている。
【0037】
ここで、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dのメモリ柱状半導体層38側の側壁は、上方から下方へとメモリ柱状半導体層38の中心軸から離れる方向へ傾斜するように形成されている。一方、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eのメモリ柱状半導体層38側の側壁は、上方から下方へとメモリ柱状半導体層38の中心軸に近づく方向へ傾斜するように形成されている。換言すると、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31e、及び第1〜第4ワード線導電層32a〜32dのメモリ柱状半導体層38側の側壁は、連続した鋸歯状に形成されている。
【0038】
ブロック絶縁層35、電荷蓄積層36、及びトンネル絶縁層37は、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの側壁に、順次形成されている。ブロック絶縁層35は、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁にも形成されている。ブロック絶縁層35は、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31e、及び第1〜第4ワード線導電層32a〜32dにて共通となるように連続して形成されている。一方、電荷蓄積層36及びトンネル絶縁層37は、第1〜第4ワード線導電層32a〜32d毎に分離して形成され、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eには形成されていない。
【0039】
ブロック絶縁層35、及びトンネル絶縁層37は、酸化シリコン(SiO)にて形成されている。電荷蓄積層36は、窒化シリコン(SiN)にて形成されている。電荷蓄積層36は、電荷を蓄積可能に構成されている。メモリ柱状半導体38は、ポリシリコン(多結晶シリコン)にて構成されている。また、メモリ柱状半導体層38は、その上部をn+型のポリシリコンにて構成されたものであってもよい。
【0040】
なお、上記構成を換言すると、ブロック絶縁層35は、各々の電荷蓄積層36と第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの側壁との間に設けられると共に、メモリ柱状半導体層38と第1〜第4ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁との間に設けられている。各々のトンネル絶縁層37は、各々の電荷蓄積層36の側壁とメモリ柱状半導体層38の側壁との間に設けられている。
【0041】
メモリトランジスタ層30において、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dが、ワード線WL1〜WL4として機能する。また、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dが、メモリトランジスタMTrmnの制御ゲートとして機能する。
【0042】
ドレイン側選択トランジスタ層40は、メモリ保護絶縁層33上に順次積層されたドレイン側第1絶縁層41、ドレイン側導電層42、ドレイン側第2絶縁層43、及びドレイン側分離絶縁層44を有する。
【0043】
ドレイン側第1絶縁層41、ドレイン側導電層42、ドレイン側第2絶縁層43、及びドレイン側分離絶縁層44は、メモリ柱状半導体層38の上部に整合する位置に設けられ且つロウ方向に延びカラム方向に繰り返し設けられたライン状に形成されている。
【0044】
ドレイン側第1絶縁層41及びドレイン側第2絶縁層43は、酸化シリコン(SiO)にて形成されている。ドレイン側導電層42は、例えば、p+型のポリシリコン(多結晶シリコン)にて形成されている。ドレイン側導電層42は、例えば、n型のポリシリコン(多結晶シリコン)にて形成されていてもよい。ドレイン側分離絶縁層44は、窒化シリコン(SiN)にて形成されている。
【0045】
また、ドレイン側選択トランジスタ層40において、ドレイン側分離絶縁層44、ドレイン側第2絶縁層43、ドレイン側導電層42、及びドレイン側第1絶縁層41を貫通するようにドレイン側ホール45が形成されている。ドレイン側ホール45は、メモリホール34と整合する位置に設けられている。ドレイン側ホール45に面する側壁には、順次、ドレイン側ゲート絶縁層46、及びドレイン側柱状半導体層47が設けられている。
【0046】
ドレイン側ゲート絶縁層46は、酸化シリコン(SiO)にて形成されている。ドレイン側柱状半導体層47は、ポリシリコン(多結晶シリコン)にて形成されている。また、ドレイン側柱状半導体層47の上部は、n+型ポリシリコンにて構成されている。
【0047】
また、ドレイン側選択トランジスタ層40において、ドレイン側導電層42が、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する。また、ドレイン側導電層42が、ドレイン側選択トランジスタSDTrmnの制御ゲートとして機能する。
【0048】
(第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程)
次に、図5〜図10を参照して、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程について説明する。詳しくは、図5〜図10においては、メモリトランジスタ層30の製造工程について説明する。なお、図5〜図10は、主にメモリトランジスタ層30を示しており、ソース側選択トランジスタ層20及びドレイン側選択トランジスタ層40を省略して示している。
【0049】
先ず、図5に示すように、ソース側選択トランジスタ層20上(ソース側分離絶縁層24及びソース側柱状半導体層27上)に酸化シリコン(SiO)51a〜51eと、p+型のポリシリコン(多結晶シリコン)52a〜52dとを交互に順次積層させた後、窒化シリコン(SiN)53を堆積させる。
【0050】
次に、図6に示すように、RIEにより、ソース側ホール27と整合する位置で、窒化シリコン(SiN)53、酸化シリコン(SiO)51a〜51e、及びポリシリコン(多結晶シリコン)52a〜52dを貫通するようにメモリホール34を形成する。この工程により、酸化シリコン(SiO)51a〜51eは、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eとなる。また、ポリシリコン(多結晶シリコン)52a〜52dは、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dとなる。また、窒化シリコン(SiN)53は、メモリ分離絶縁層33となる。
【0051】
また、図6に示す工程において、RIEのエッチング条件を連続的に変化させることにより、メモリホール34は、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの側壁が上方から下方へとメモリホール34の中心軸から離れる方向へ傾斜するように形成される。また、メモリホール34は、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁が上方から下方へとメモリホール34の中心軸に近づく方向へ傾斜するように形成される。RIEのエッチング条件とは、例えば、用いられるガスの種類や、温度などである。
【0052】
次に、図7に示すように、メモリホール34内に、酸化シリコン(SiO)35、及び窒化シリコン(SiN)36aを順次積層させる。例えば、酸化シリコン(SiO)35は、5nmとし、窒化シリコン(SiN)36aは、10nmとする。上記工程において、酸化シリコン(SiO)35は、ブロック絶縁層35として機能する。
【0053】
続いて、図8に示すように、RIEを行なう。このRIE処理により、ソース側柱状半導体層27の上(メモリホール34の底部)の窒化シリコン(SiN)36a、及び酸化シリコン(SiO)35が除去され、ソース側柱状半導体層27とコンタクト可能な構成とする。さらに、図8に示すRIE処理により、メモリ分離絶縁層33の上面に形成されたブロック絶縁層35及び窒化シリコン(SiN)36aが除去される。ここで、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの側壁は、上記のような傾斜をもって形成され、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁は、上記のような傾斜をもって形成されている。したがって、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの側壁に形成された窒化シリコン(SiN)36aは、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁に形成された窒化シリコン(SiN)36aよりも、RIEのエッチングイオンにより照射される面積が小さい。つまり、上記工程を経て、窒化シリコン(SiN)36aは、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの側壁にのみ残存する。これら残存した窒化シリコン(SiN)36aが、電荷蓄積層36として機能する。
【0054】
次に、図9に示すように、酸化シリコン(SiO)37aを堆積させる。
【0055】
続いて、図10に示すように、RIE処理を行なう。このRIE処理により、メモリ分離絶縁層33の上面に形成された酸化シリコン(SiO)37aが、除去される。また、電荷蓄積層36の形成工程と同様の理由により、酸化シリコン(SiO)37aは、電荷蓄積層36(第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの側壁側)上にのみに残存する。この残存した酸化シリコン(SiO)37aが、トンネル絶縁層37として機能する。
【0056】
次に、図10に示す工程の後、希フッ酸処理を行い、露出したソース側柱状半導体層27上の自然酸化膜を除去する。ここで、電荷蓄積層36及びトンネル絶縁層37の形成工程と同様の理由により、トンネル絶縁層37は、希フッ酸処理により略エッチングされることなく残存する。続いて、メモリホール34内にアモルファスシリコン(a−Si)を堆積させ、RIE処理、及び熱処理を行う。上記工程を経て、メモリホール34内にメモリ柱状半導体層38が形成される。また、ここで、メモリ柱状半導体層38の上端に、不純物イオンをイオン注入し、メモリ柱状半導体層38の上部をn+型のポリシリコンとしてもよい。以上の工程により、図4に示すメモリトランジスタ層30が形成される。
【0057】
(第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の効果)
次に、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の効果について説明する。第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、上記積層構造に示したように高集積化可能である。また、不揮発性半導体記憶装置100は、上記製造工程にて説明したように、メモリトランジスタMTrmnとなる各層、ソース側選択トランジスタSSTrmn、及びドレイン側選択トランジスタ層SDTrmnとなる各層を、積層数に関係なく所定のリソグラフィ工程数で製造することができる。すなわち、安価に不揮発性半導体記憶装置100を製造することが可能である。
【0058】
また、本発明の第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100において、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dのメモリ柱状半導体層34側の側壁は、上方から下方へと移動するに従いメモリ柱状半導体層38から離れる方向へ傾斜するように形成されている。また、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eのメモリ柱状半導体層38側の側壁は、上方から下方へと移動するに従いメモリ柱状半導体層38に近づく方向へ傾斜するように形成されている。これらの構成より、各々の第1〜第4ワード線導電層32a〜32dのメモリ柱状半導体層38側の側壁には、それら第1〜第4ワード線導電層32a〜32d毎に分離して、電荷蓄積層36、及びトンネル絶縁層37が形成されている。換言すると、電荷蓄積層36は、メモリトランジスタMTrmn毎に分離されて形成されている。したがって、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、各第1〜第4ワード線導電層32a〜32dに形成された電荷蓄積層36毎に電荷を保持することができる。つまり、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、メモリホール34に面する側壁全体を電荷蓄積層36にて覆う構成と比較して、データ保持特性を向上させることができる。また、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、他のメモリセルへの誤書き込みを減らすことができる。
【0059】
[第2実施形態]
(第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成)
次に、図11を参照して、本発明の第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成について説明する。図11は、第2実施形態におけるメモリストリングスMSを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
図11に示すように、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置(メモリストリングス)は、第1実施形態と異なるメモリトランジスタ層30aを有する。
【0061】
メモリトランジスタ層30aは、第1実施形態と異なる第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’、メモリホール34’、ブロック絶縁層(第1絶縁層)35b、電荷蓄積層36b、トンネル絶縁層(第2絶縁層)37b、及びメモリ柱状半導体層38aを有する。
【0062】
第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’のメモリ柱状半導体層38a側の側壁は、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eのメモリ柱状半導体層38a側の側壁よりもメモリ柱状半導体層38aの中心軸から離れた位置に形成されている。換言すると、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’の側壁は、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁よりもメモリ柱状半導体層38aから所定の後退幅をもって後退して形成されている。後退幅は、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’上に形成されたブロック絶縁層35b及び電荷蓄積層36bの厚みに略等しいか、それよりも大きく設定されている。
【0063】
メモリホール34’は、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31e、及び第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’を貫通するように形成されている。ブロック絶縁層35b、電荷蓄積層36b、トンネル絶縁層37b、及びメモリ柱状半導体層38aは、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31e、及び第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’の形状に沿うように形成されている。第1実施形態と同様に、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31e、及び第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’の側壁には、連続して形成されたブロック絶縁層35bが形成されている。また、ブロック絶縁層35b上には、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’の側壁毎に、分離して電荷蓄積層36b、及びトンネル絶縁層37bが形成されている。
【0064】
電荷蓄積層36bは、半導体基板Baと略平行な方向に延びる上部361b、及び積層方向と略平行な方向(半導体基板Baに対して垂直方向)に延びる側部362bを有する。上部361bは、その一端をメモリ柱状半導体層38aに接するように形成されている。側部362bは、ブロック絶縁層35bに接するように形成されている。
【0065】
トンネル絶縁層37bは、半導体基板Baと略平行な方向に延びる上部371b、及び積層方向と略平行な方向に延びる側部372bを有する。上部371bは、電荷蓄積層36bの上部361b及びメモリ柱状半導体層38aに接するように形成されている。側部372bは、電荷蓄積層36bの側部362b及びメモリ柱状半導体層38aに接するように形成されている。
【0066】
(第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程)
次に、図12〜図15を参照して、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程について説明する。詳しくは、図12〜図15においては、メモリトランジスタ層30aの製造工程について説明する。なお、図12〜図15は、主にメモリトランジスタ層30aを示しており、ソース側選択トランジスタ層20及びドレイン側選択トランジスタ層40を省略して示している。
【0067】
先ず、第1実施形態の図5及び図6と同様の工程を行う。続いて、図12に示すように、ケミカルドライエッチングを行い、メモリホール34’を形成する。この工程で行うCDEは、酸化シリコン(SiO)及び窒化シリコン(SiN)と比較してポリシリコン(多結晶シリコン)の選択比が大きいものとする。したがって、CDEにより、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d ’が、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eよりもエッチングされる。つまり、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d ’の側壁が、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁よりも、所定の後退幅だけメモリホール34’の中心軸から離れた位置に形成される。ここで、後退幅は、後述する工程にて形成するブロック絶縁層35b、及び電荷蓄積層36bの厚み以上の幅とする。
【0068】
次に、図13に示すように、酸化シリコン(SiO)35b、及び窒化シリコン(SiN)36cを順次堆積させる。ここで、例えば、酸化シリコン(SiO)35bは、5nm堆積させ、窒化シリコン(SiN)36cは、10nm堆積させる。酸化シリコン(SiO)35bは、ブロック絶縁層35bとして機能する。
【0069】
続いて、図14に示すように、RIE処理を行う。このRIE処理により、メモリ分離絶縁層33上のブロック絶縁層35b、及び窒化シリコン(SiN)36cが除去される。ここで、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d ’の側壁は、上方から下方へと移動するに従いメモリ柱状半導体層38から離れる方向へ傾斜するように形成されている。また、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eのメモリ柱状半導体層38側の側壁は、上方から下方へと移動するに従いメモリ柱状半導体層38に近づく方向へ傾斜するように形成されている。さらに、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d ’の側壁が、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁よりも、所定の後退幅だけメモリホール34’から離れた位置に形成されている。これにより、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d ’の側壁に形成された窒化シリコン(SiN)36cは、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁に形成された窒化シリコン(SiN)36cよりも、RIEのエッチングイオンにより照射される面積が小さくなる。つまり、上記工程を経て、窒化シリコン(SiN)36cは、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d ’の側壁のみに残存する。これら残存した窒化シリコン(SiN)36cが、電荷蓄積層36bとして機能する。
【0070】
次に、図15に示すように、酸化シリコン(SiO)37cを堆積させる。
【0071】
続いて、第1実施形態と同様に、RIE処理を行なう。このRIE処理により、メモリ分離絶縁層33の上面に形成された酸化シリコン(SiO)37cが、除去される。また、電荷蓄積層36bの形成工程と同様の理由により、酸化シリコン(SiO)37cは、電荷蓄積層36b(第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d ’の側壁側)上にのみに残存する。これら酸化シリコン(SiO)37cが、トンネル絶縁層37bとして機能する。
【0072】
次に、希フッ酸処理を行い、露出したソース側柱状半導体層27上の自然酸化膜を除去する。ここで、電荷蓄積層36b及びトンネル絶縁層37bの形成工程と同様の理由により、トンネル絶縁層37bは、希フッ酸処理により略エッチングされることなく残存する。続いて、メモリホール34’内にアモルファスシリコン(a−Si)を堆積させ、RIE処理、及び熱処理を行う。上記工程を経て、メモリホール34’内にてメモリ柱状半導体層38aが形成される。また、ここで、メモリ柱状半導体層38aの上端に、不純物イオンをイオン注入し、メモリ柱状半導体層38aの上部をn+型のポリシリコンとしてもよい。以上の工程により、図11に示すメモリトランジスタ層30aが形成される。
【0073】
(第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果)
次に、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果について説明する。第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記構成から第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0074】
また、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置、及びその製造方法においては、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d ’の側壁が、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁よりも、所定の後退幅だけメモリホール34’から離れた位置に形成される。したがって、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、第1実施形態と比較して、さらに電荷蓄積層36bのエッチング量を制御することが可能となる。
【0075】
また、上記不揮発性半導体記憶装置、及びその製造方法により、ブロック絶縁層35b、電荷蓄積層36b、及びトンネル絶縁層37bは、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’の側壁及び第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁が上記のように形成されるので、その製造工程において所定量以上にエッチングされることはない。第2実施形態の図14に示す工程において、第1〜第4ワード線導電層32a’〜32d’の側面に形成されたブロック絶縁層35bは、RIEによるダメージを第1実施形態よりも減らすことができる。したがって、上記第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、電荷蓄積層36bからのゲートリークを抑制することができる。つまり、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第1実施形態と比較して、データ保持特性を向上させることができる。
【0076】
[第3実施形態]
(第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成)
次に、図16を参照して、本発明の第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成について説明する。図16は、第3実施形態におけるメモリストリングスMSを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。なお、第3実施形態において、第1及び第2実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
図16に示すように、第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置(メモリストリングス)は、第2実施形態と異なるメモリトランジスタ層30bを有する。
【0078】
メモリトランジスタ層30bは、第2実施形態と異なる電荷蓄積層36dを有する。
【0079】
電荷蓄積層36dは、第1〜第4ワード線導電層32a〜32dの側壁側のブロック絶縁層35bの側壁のみに形成されている。つまり、トンネル絶縁層37bの上部371bとブロック絶縁層35bとの間、及び各々の電荷蓄積層36dとメモリ柱状半導体層38aの側壁との間に空隙39が形成されている。なお、上記構成を換言すると、トンネル絶縁層(第2絶縁層)37bは、各々の電荷蓄積層36dとメモリ柱状半導体層38aの側壁との間の一部に設けられている。
【0080】
(第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程)
次に、第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程について説明する。詳しくはメモリトランジスタ層30bの製造工程について説明する。
【0081】
先ず、第2実施形態と同様の工程を経て、第2実施形態に係る形状を有する電荷蓄積層36b及び、トンネル絶縁層37bを形成する。続いて、電荷蓄積層36bの上部361bを選択的にエッチング除去し、第3実施形態に係る形状を有する電荷蓄積層36dを形成する。これにより、空隙39が形成される。
【0082】
上記工程の後、再び、第2実施形態と同様の工程を行い、図16に示す第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を形成する。
【0083】
(第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果)
次に、第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果について説明する。第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記構成から、第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0084】
また、第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、空隙39を有しているので、電荷蓄積層36dとメモリ柱状半導体層38aとの間を絶縁分離することができる。したがって、第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第2実施形態よりも、電荷蓄積層36dからメモリ柱状半導体層38aへのチャージリークを防ぐことができる。つまり、第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第2実施形態よりも、データ保持特性を向上させることができる。
【0085】
[第4実施形態]
(第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成)
次に、図17を参照して、本発明の第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成について説明する。図17は、第4実施形態におけるメモリストリングスMSを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。なお、第4実施形態において、第1〜第3実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
図17に示すように、第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置(メモリストリングス)は、第3実施形態と異なるメモリトランジスタ層30cを有する。
【0087】
メモリトランジスタ層30cは、第3実施形態と異なるトンネル絶縁層(第2絶縁層)37dを有する。
【0088】
トンネル絶縁層37dは、略積層方向に延びる側部371d、及び略半導体基板Baの面方向に延びる上部372dを有する。側部371dは、電荷蓄積層36dの側壁に接するように形成されている。上部372dは、側部371dの上端、電荷蓄積層36dの上端、及びブロック絶縁層35bに接するように形成されている。つまり、トンネル絶縁層37dは、各々の電荷蓄積層36dとメモリ柱状半導体層38aの側壁との間を埋めるように設けられている。
【0089】
(第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程)
次に、第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程について説明する。詳しくはメモリトランジスタ層30cの製造工程について説明する。
【0090】
先ず、第3実施形態と同様の工程を経て、空隙39を形成する。続いて、空隙39を埋めるように酸化シリコン(SiO)を堆積させる。次に、堆積された酸化シリコン(SiO)を希フッ酸処理によりエッチング除去する。これら工程により、トンネル絶縁層37dの上部372dが形成される。
【0091】
上記工程の後、第2実施形態と同様の工程を行い、図17に示す第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を形成する。
【0092】
(第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果)
次に、第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果について説明する。第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記構成から、第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0093】
また、第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、各々の電荷蓄積層36dの側壁とメモリ柱状半導体層38aの側壁との間を埋めるように設けられたトンネル絶縁層37dを有しているので、電荷蓄積層36dとメモリ柱状半導体層38aとの間を絶縁分離することができる。したがって、第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第2実施形態よりも、電荷蓄積層36dからメモリ柱状半導体層38aへのチャージリークを防ぐことができる。つまり、第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第2実施形態よりも、データ保持特性を向上させることができる。
【0094】
[第5実施形態]
(第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成)
次に、図18を参照して、本発明の第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成について説明する。図18は、第5実施形態におけるメモリストリングスMSを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。なお、第5実施形態において、第1〜第4実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
図18に示すように、第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置(メモリストリングス)は、第1〜第4実施形態と異なるメモリトランジスタ層30dを有する。
【0096】
メモリトランジスタ層30dは、第1〜第4実施形態と異なるトンネル絶縁層(第2絶縁層)37eを有する。トンネル絶縁層37eは、第1〜第4実施形態と異なり、メモリホール34’内の各々の電荷蓄積層36bの側壁及びブロック絶縁層35bの側壁を覆うように形成されている。
【0097】
(第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程)
次に、図19及び図20を参照して、第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程について説明する。詳しくは、図19及び図20においては、メモリトランジスタ層30dの製造工程について説明する。なお、図19及び図20は、主にメモリトランジスタ層30dを示しており、ソース側選択トランジスタ層20及びドレイン側選択トランジスタ層40を省略して示している。
【0098】
先ず、第2実施形態の図15に示す工程までを行う。続いて、図19に示すように、トンネル絶縁層37e上にアモルファスシリコン(a−Si)38cを堆積させる。
【0099】
次に、図20に示すように、RIE処理を行い、メモリ分離絶縁層33上のトンネル絶縁層37e、及びアモルファスシリコン(a−Si)38cをエッチング除去する。また、この工程により、メモリホール34’の底部に形成されたトンネル絶縁層37e、及びアモルファスシリコン(a−Si)38cもエッチング除去される。続いて、希フッ酸処理を行い、露出したソース側柱状半導体層27上の自然酸化膜を除去する。ここで、アモルファスシリコン38cは、希フッ酸処理により除去されないので、トンネル絶縁層37eも除去されることはない。
【0100】
上記工程の後、第2実施形態と同様の工程を行い、図18に示す第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を形成する。
【0101】
(第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果)
次に、第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果について説明する。第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記構成から、第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0102】
また、第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法においては、アモルファスシリコン38cにより、トンネル絶縁層37eを覆った状態で、フッ酸処理を行う。つまり、トンネル絶縁層37eは、フッ酸処理によりエッチング除去されることはない。したがって、第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、トンネル絶縁層37eの膜厚を容易に制御することができる。換言すると、第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、メモリトランジスタMTrmnの閾値制御を容易に行うことができる。
【0103】
[第6実施形態]
(第6実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成)
次に、図21を参照して、本発明の第6実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の具体的構成について説明する。図21は、第6実施形態におけるメモリストリングスMSを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。なお、第6実施形態において、第1〜第5実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0104】
第6実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第1〜第5実施形態と異なるメモリトランジスタ層30eを有する。
【0105】
メモリトランジスタ層30eは、第2〜第5実施形態と異なる第1〜第4ワード線導電層32a’’〜32d’’を有する。また、メモリトランジスタ層30は、メモリ柱状半導体層38(38a)の代わりに、メモリ柱状導体層38bを有する。また、メモリトランジスタ層30eは、第1〜第5実施形態のブロック絶縁層35、電荷蓄積層36、及びトンネル絶縁層37の代わりに、電極層61、及び抵抗変化層(メモリ層)62を有する。
【0106】
第2実施形態と同様に、第1〜第4ワード線導電層32a’’〜32d’’の側壁は、上方から下方へと移動するに従いメモリ柱状導体層38bから離れる方向へ傾斜するように形成されている。また、第1〜第4ワード線導電層32a’’〜32d’’の側壁は、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eのメモリ柱状導体層38b側の側壁よりも、所定の後退幅だけメモリ柱状導体層38bから離れた位置に形成されている。
【0107】
第2実施形態と異なり、第1〜第4ワード線導電層32a’’〜32d’’は、メモリ柱状導体層38bの近傍をn型ポリシリコン321にて構成され、その他の部分をp型ポリシリコン322にて構成されている。つまり、第1〜第4ワード線導電層32a’’〜32d’’は、PN接合によりダイオードを構成している。
【0108】
メモリ柱状導体層38bは、窒化チタン(TiN)にて構成されている。メモリ柱状導体層38bは、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁、及び各電極層61の側壁にあわせるように傾斜をもって形成されている。
【0109】
電極層61は、窒化チタン(TiN)にて構成されている。電極層61は、各々の第1〜第4ワード線導電層32a’’〜32d’’のメモリ柱状導体層38b側に、それら第1〜第4ワード線導電層32a’’〜32d’’毎に分離して形成されている。
【0110】
抵抗変化層62は、酸化ニッケル(NiO)にて構成されている。抵抗変化層62は、メモリ柱状導体層38bの側壁と、第1〜第5ワード線間絶縁層31a〜31eの側壁、各電極層61の側壁、メモリ分離絶縁層33の側壁との間に形成されている。
【0111】
上記構成において、抵抗変化層62を構成する酸化ニッケル(NiO)は、印加される電圧に伴い抵抗値を変化させる。つまり、この抵抗値の変化の読み出すことにより、各第1〜第4ワード線導電層32a’’〜32d’’、メモリ柱状導体層38b、各電極層61、及び抵抗変化層62は、データを記憶するメモリとして機能する。
【0112】
(第6実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果)
次に、第6実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果について説明する。第6実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、抵抗変化素子を用い、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第1〜第5実施形態と比較して、メモリ層(抵抗変化層62)は、その膜厚を薄く形成することができる。したがって、第1〜第5実施形態と比較して、メモリ柱状導体層38bの径は、細くすることが出来る。つまり、第6実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、メモリセルをさらに集積化することができる。
【0113】
[その他実施形態]
以上、不揮発性半導体記憶装置の一実施形態を説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリトランジスタ領域12の一部概略斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態における一つのメモリストリングスMSの回路図である。
【図4】第1実施形態におけるメモリストリングスMSを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。
【図5】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図6】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図7】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図8】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図9】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図10】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図11】第2実施形態におけるメモリストリングスを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。
【図12】第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図13】第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図14】第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図15】第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図16】第3実施形態におけるメモリストリングスを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。
【図17】第4実施形態におけるメモリストリングスを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。
【図18】第5実施形態におけるメモリストリングスを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。
【図19】第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図20】第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程断面図である。
【図21】第6実施形態におけるメモリストリングスを構成する不揮発性半導体記憶装置の断面図である。
【符号の説明】
【0115】
100…不揮発性半導体記憶装置、12…メモリトランジスタ領域、13…ワード線駆動回路、14…ソース側選択ゲート線駆動回路、15…ドレイン側選択ゲート線駆動回路、16…センスアンプ、20…ソース側選択トランジスタ層、30,30a〜30e…メモリトランジスタ層、40…ドレイン側選択トランジスタ層、Ba…半導体基板、CLmn…柱状半導体、MTr1mn〜MTr4mn…メモリトランジスタ、SSTrmn…ソース側選択トランジスタ、SDTrmn…ドレイン側選択トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に書き換え可能な複数のメモリセルが直列に接続された複数のメモリストリングスを有する不揮発性半導体記憶装置であって、
前記メモリストリングスは、
基板に対して垂直方向に延びる柱状半導体層と、
前記柱状半導体層の側壁側にメモリ層を介して形成された複数の導電層と、
前記導電層の上下に形成された層間絶縁層と
を備え、
前記各導電層の前記柱状半導体層側の側壁は、上方から下方へと移動するに従い前記柱状半導体層の中心軸から離れる方向へ傾斜するように形成され、
前記各層間絶縁層の前記柱状半導体層側の側壁は、上方から下方へと移動するに従い前記柱状半導体層の中心軸に近づく方向へ傾斜するように形成されている
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記導電層の前記柱状半導体層側の側壁は、前記層間絶縁層の前記柱状半導体層側の側壁よりも前記柱状半導体層から離れた位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記メモリ層は、電荷を蓄積可能に構成された電荷蓄積層
であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記電荷蓄積層と前記導電層との間に形成された第1絶縁層と、
前記電荷蓄積層と前記柱状半導体層との間に形成された第2絶縁層と
を備え、
前記電荷蓄積層と前記柱状半導体層との間に空隙が形成されている
ことを特徴とする請求項3記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記メモリ層は、抵抗変化素子にて構成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−224466(P2009−224466A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65886(P2008−65886)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】