説明

乗員覚醒システム

【課題】目的地や時間帯に応じてシートの動作を制御することによって、乗員の覚醒レベルを目的地や時間帯に対応した適切なレベルにすることができるようにする。
【解決手段】車両のシートを動作させるシートアクチュエータ12と、地図データを格納する記憶部15、及び、前記地図データに基づいて、目的地までの経路を探索する経路探索部16を備えるナビゲーション装置とを有し、前記車両が目的地に到着するのに合わせて前記シートに着座する乗員を覚醒させる乗員覚醒システム10であって、前記目的地の属性及び/又は前記目的地に到着する時間帯に応じて前記シートを動作させる覚醒動作制御部17を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員覚醒システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置においては、運転者等の操作者が所定の入力部を操作して目的地を設定すると、該目的地、及び、車両の現在位置に基づいて、該現在位置から目的地までの経路が探索され、探索された経路や目的地への到着予測時刻が案内されるようになっている。
【0003】
また、目的地に到着したことを、音、振動、光等によって操作者に通知する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−338784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、目的地に到着すると一律に通知するようになっているので、運転者以外の車両の乗員が眠っている場合、該乗員を適切に覚醒(せい)させることができなかった。そのため、眠っている乗員は、目的地に到着しても十分に覚醒することができなかったり、逆に必要以上に覚醒してしまい、その後寝付けなくなったりしてしまう。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、目的地や時間帯に応じてシートの動作を制御することによって、乗員の覚醒レベルを目的地や時間帯に対応した適切なレベルにすることができる乗員覚醒システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の乗員覚醒システムにおいては、車両のシートを動作させるシートアクチュエータと、地図データを格納する記憶部、及び、前記地図データに基づいて、目的地までの経路を探索する経路探索部を備えるナビゲーション装置とを有し、前記車両が目的地に到着するのに合わせて前記シートに着座する乗員を覚醒させる乗員覚醒システムであって、前記目的地の属性及び/又は前記目的地に到着する時間帯に応じて前記シートを動作させる覚醒動作制御部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗員の覚醒レベルが目的地や時間帯に応じたものとなるようにシートを動作させる。そのため、乗員の覚醒レベルを目的地や時間帯に対応した適切なレベルにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の第1の実施の形態における乗員覚醒システムの構成を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態における目的地の属性及び時間帯に対応する覚醒動作テーブルの例を示す図である。
【0010】
図1において、10は本発明の実施の形態における乗員覚醒システムであり、乗用車、トラック、バス等の車両に搭載され、運転者以外の車両の乗員が眠っている場合、車両が目的地に到着するのに合わせて、眠っている乗員を覚醒させるシステムである。そして、前記乗員覚醒システム10は、ナビゲーション装置11、シートアクチュエータ12、カメラ13及びシートセンサ14を有する。
【0011】
前記ナビゲーション装置11は、前記車両に搭載された車両用ナビゲーション装置であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備える一種のコンピュータである。前記ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって現在位置を検出する現在位置検出処理部、道路データ、探索データ等を含む地図データ等を記憶する記憶部15としてのデータ記憶部、入力された情報に基づいて、設定された目的地までの経路を探索する経路探索部16、経路の走行案内処理、地点や施設の検索を行うPOI(Point of Interest)検索処理等のナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部、入力部、表示部、音声入力部、音声出力部、通信部等を有し、設定された目的地までの経路を探索して案内を行うようになっている。
【0012】
そして、前記データ記憶部は、探索に使用する情報としての地図データを記憶する。すなわち、前記データ記憶部は、各種のデータファイルから成るデータベースを備え、経路を探索するための探索データの他、前記表示部に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、他の案内情報を表示したりするために、施設データ等の各種のデータを記憶する。なお、前記データ記憶部には、道路を構成する単位であるリンクに関する情報も含まれている。また、前記データ記憶部には、所定の情報を音声出力部によって音声出力するための各種のデータも記憶される。
【0013】
また、前記入力部は、走行開始時の位置を修正したり、目的地を入力したりするためのものであり、前記ナビゲーション装置本体に配設された操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー等から成るものであるが、リモートコントローラであってもよい。なお、表示部がタッチパネルである場合には、前記表示部の表示画面に表示された操作キー、操作メニュー等の操作スイッチから成るものであることが望ましい。この場合、通常のタッチパネルのように前記操作スイッチを押す、すなわち、タッチすることによって、入力を行うことができる。
【0014】
そして、前記表示部には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等が表示される。前記表示部としては、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
【0015】
また、前記通信部は、VICS(R)(道路交通情報通信システム:Vehicle Information & Communication System)情報、RDS−TMC(Radio Data System−Traffic Message Channel:FM多重放送による交通情報サービス)情報、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集する。さらに、前記通信部は、インターネットサーバ、ナビゲーション用サーバ等を備える情報センタ等と通信を行うことによって、プローブカーの走行履歴情報、統計交通情報、気象状況に関する情報等を検索するものであることが望ましい。
【0016】
そして、前記シートアクチュエータ12は、乗員が着座する座席、すなわち、シートのシートバック(背もたれ)、座面側部のサイドサポート等の各部を作動させるための部材であり、シートの部分であれば、いかなる部分を作動させるためのアクチュエータであってもよく、また、電気、圧油、圧縮空気等のいかなる駆動エネルギを使用するアクチュエータであってもよい。さらに、シートアクチュエータ12は、覚醒動作としてシートの全部又は一部を周期的に位置変化動作させるもの、すなわち、振動させたり、揺り動かしたりするものであってもよい。本発明の実施の形態においては、前記シートアクチュエータ12が、シートバックの角度を変化させるリクライニング機構に組み込まれた電動アクチュエータであるものを主体として説明する。なお、前記シートアクチュエータ12は、座面に対して、例えば、約90度〜180度の範囲でシートバックの角度を変化させることができるものであることが望ましい。さらに、本発明の実施の形態においては、運転者が着座するシートのシートバックは対象外であるものとする。
【0017】
また、前記カメラ13は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備え、車両の内部に配設され、乗員を撮影する。この場合、乗員に対して赤外光を照射して、前記カメラ13によって乗員の姿勢、顔等の画像を取得するものであることが望ましい。
【0018】
さらに、前記シートセンサ14は、各シートに配設され、例えば、重量を測定することによって、当該シートに乗員が着座していることを測定したり、乗員の覚醒判定のために心拍を測定したりすることもできる。
【0019】
本発明の実施の形態においては、シートアクチュエータ12、カメラ13及びシートセンサ14は、ナビゲーション装置11に通信可能に接続され、該ナビゲーション装置11は、前記カメラ13及びシートセンサ14から受信した信号に基づいて、乗員が眠っていると判断した場合には、車両が目的地に到着する際に、目的地の属性及び時間帯に対応する覚醒レベルとなるように、シートアクチュエータ12の動作を制御して前記乗員を覚醒させるようになっている。
【0020】
そのため、前記ナビゲーション装置11は、機能の観点から、設定された目的地の属性を取得する目的地属性取得部、乗員の有無を判定する乗員有無判定部、車両の現在位置を取得する現在位置取得部、車両の現在位置から目的地までの経路を取得する経路取得部、予測される目的地への到着時刻を取得する到着予測時刻取得部、乗員を覚醒させる動作のタイミング、強度等の内容を判定する覚醒動作内容判定部、覚醒動作の開始タイミングを判定する覚醒動作タイミング判定部、覚醒動作の強度を判定する覚醒動作強度判定部、乗員を覚醒させる動作を開始する地点を設定する覚醒動作開始地点設定部、乗員が眠っているか否かを判定する睡眠判定部、乗員が覚醒したか否かを判定する覚醒判定部、乗員を覚醒させる動作を制御する覚醒動作制御部17、計時手段から取得した現在時刻がどのような時間帯に属するのかを判定する時間帯判定部、目的地の属性としての覚醒動作対象属性を記憶する目的地属性記憶部、並びに、目的地の属性及び時間帯に対応する覚醒動作の内容を記憶する覚醒動作内容記憶部を有する。
【0021】
ここで、前記覚醒動作対象属性は、目的地の属性の中で、覚醒動作を実行すべき目的地であることを示す属性であり、要求される覚醒の度合いの観点から、いくつかの種類に分類されている。本発明の実施の形態においては、例えば、比較的高い覚醒度合いが要求される第1の属性と、比較的高い覚醒度合いが要求されない第2及び第3の属性とに分類される場合について説明する。
【0022】
第1の属性に含まれる場所としては、例えば、学校、職場等が考えられるので、ここでは、図2に示されるように、第1の属性に含まれる場所を「会社」と称する。また、第2の属性に含まれる場所としては、例えば、自宅のように、到着後に休息したり再び眠ったりすることができる場所が考えられるので、ここでは、第2の属性に含まれる場所を「自宅」と称する。さらに、第3の属性に含まれる場所としては、例えば、観光地の旅館、ホテル等のように、午前中に到着した場合には観光等のために高い覚醒度合いが要求され、夜間に到着した場合には休息したり再び眠ったりすることができる場所が考えられるので、ここでは、第3の属性に含まれる場所を「宿泊施設」と称する。
【0023】
そして、前記覚醒動作内容記憶部には、あらかじめ作成した図2に示されるような目的地の覚醒動作対象属性及び前記目的地に到着する時間帯に対応する覚醒動作のパターンが格納されたテーブルを記憶させておく。なお、該テーブルに示されるS(Standard)、Fa(Fast)、Sl(Slow)、Fo(Forte)及びSo(Soft)は、覚醒動作のパターンを示しており、S、Fa及びSlはタイミングを示し、Fo及びSoは強度を示している。すなわち、Sは普通のタイミング、Faは早めのタイミング、Slは遅めのタイミングを意味する。また、Foは強め、すなわち、急に起こすこと、Soは弱め、すなわち、ゆっくり起こすことを意味する。
【0024】
なお、図2に示されるテーブルは、比較的高い覚醒度合いが要求される重要な場合には早めに強く覚醒させ、比較的高い覚醒度合いが要求されない重要でない場合には遅めに弱く覚醒させる、という基本的な考え方に基づいて作成されている。
【0025】
また、前記覚醒動作対象属性は、前記データ記憶部の施設データ等に含まれる各種施設に対してあらかじめ設定され、目的地属性記憶部に記憶されているものとし、前記目的地属性取得部は、前記目的地属性記憶部にアクセスし、設定された目的地としての施設に対して設定されている属性を取得するものとする。そして、前記覚醒動作内容判定部は、取得された目的地の属性に覚醒動作対象属性が含まれていると判断すると、前記テーブルを参照し、取得された目的地の覚醒動作対象属性及び取得された目的地に到着することが予測される時間帯に基づいて覚醒動作内容を判定する。なお、前記覚醒動作内容判定部は、覚醒動作タイミング判定部及び覚醒動作強度判定部から成り、前記覚醒動作タイミング判定部及び覚醒動作強度判定部が各々覚醒動作の開始タイミング及び強度を判定する。
【0026】
そして、前記覚醒動作開始地点設定部は、到着予測時刻取得部が取得した目的地への到着予測時刻と覚醒動作の開始タイミングとに基づいて、覚醒動作を開始させる地点を目的地から逆算して設定する。図2に示されるようなテーブルにおいて、例えば、Faは覚醒動作の開始タイミングが到着10分前であり、Sは覚醒動作の開始タイミングが到着5分前であり、Slは覚醒動作の開始タイミングが到着1分前であるものとして定義されているものとする。そして、例えば、目的地の属性が自宅であって予測される到着時刻が、例えば、21時、すなわち、到着することが予測される時間帯が夜である場合には、覚醒動作のパターンが「S/So」となるので、覚醒動作の開始タイミングが到着5分前であり、目的地、すなわち、自宅までの経路上において、到着予測時刻の5分前に通過することが予測される地点を覚醒動作開始地点として設定する。
【0027】
また、前記乗員有無判定部は、シートセンサ14からの信号に基づき運転席以外のシートに乗員が着座しているか否かを判定する。なお、前記乗員有無判定部は、カメラ13が取得した車両内部の画像を処理して、乗員の有無を判定してもよい。
【0028】
また、前記睡眠判定部は、カメラ13が取得した乗員の画像に基づいて、当該乗員が眠っているか否かを判定する。例えば、乗員の顔の画像を処理して目の周辺の領域を抽出し、瞼(まぶた)が閉じていれば眠っていると判定し、瞼が開いていれば覚醒している、すなわち、眠っていないと判定する。また、例えば、乗員の姿勢が横臥(が)した状態であれば眠っていると判定し、乗員の上体が直立に近い状態であれば眠っていないと判定することもできる。さらに、前記睡眠判定部は、シートアクチュエータ12からシートバックの角度を取得し、シートバックが倒れて座面との角度が180度に近ければ眠っていると判定し、シートバックが起立して座面との角度が90度に近ければ眠っていないと判定してもよい。なお、人は眠くなると眠くないときに比べて心拍数が下がる傾向を示すので、心拍数の増減を睡眠判定の条件に加えて、眠っているか否かの判定精度を向上させるようにしてもよい。
【0029】
そして、前記覚醒判定部も、前記睡眠判定部と同様に、カメラ13が取得した乗員の画像に基づいて、当該乗員が覚醒しているか否かを判定する。例えば、乗員の顔の画像を処理して目の周辺の領域を抽出し、瞼が閉じていれば眠っている、すなわち、覚醒していないと判定し、瞼が開いていれば覚醒していると判定する。また、例えば、乗員の姿勢が横臥した状態であれば覚醒していないと判定し、乗員の上体が直立に近い状態であれば覚醒していると判定することもできる。さらに、前記睡眠判定部は、シートアクチュエータ12からシートバックの角度を取得し、シートバックが倒れて座面との角度が180度に近ければ覚醒していないと判定し、シートバックが起立して座面との角度が90度に近ければ覚醒していると判定してもよい。
【0030】
また、前記覚醒動作制御部17は、車両が覚醒動作開始地点設定部によって設定された地点に到達すると乗員が着座しているシートのシートアクチュエータ12を制御して、覚醒動作強度判定部が判定した強度の覚醒動作を実行させる。本実施の形態においては、シートバックの角度を変化させる動作、及び、シートの全部又は一部を振動させたり、揺り動かしたりする動作が覚醒動作であるものとして説明する。なお、前記覚醒動作強度判定部は、図2に示されるようなテーブルにおける覚醒動作のパターンに基づいて覚醒動作の強度を判定する。ここで、シートアクチュエータ12がシートバックの角度を変化させる場合、覚醒動作は、シートバックを立てる動作、すなわち、座面との角度が180度に近くになるまで倒れているシートバックを、座面との角度が90度に近くなるまでに起立させる動作である。また、シートアクチュエータ12が、覚醒動作としてシートの全部又は一部を振動させたり、揺り動かしたりする場合には、その周期、振幅等を変化させることによって覚醒動作の強度を変化させる。また、前記シートアクチュエータ12が複数のモータによってシートを振動させたり、揺り動かしたりするものである場合、覚醒動作のパターンが強め、すなわち、Foであるときはすべてのモータを作動させ、覚醒動作のパターンが弱め、すなわち、Soであるときはいくつかのモータだけを作動させるようにする。図2に示される例においては、覚醒動作の強度がFo及びSoの2段階に設定されているが、必要に応じて3段階以上に設定することもできる。
【0031】
なお、前記現在位置取得部は、ナビゲーション装置11が実行する通常の現在位置検出処理によって検出された車両の現在位置を取得し、前記経路取得部は、ナビゲーション装置11が実行する通常のナビゲーション処理の1つである経路探索処理によって探索された経路を取得する。また、前記到着予測時刻取得部も、同様に前記経路探索処理によって探索された経路に基づいて予測された到着予測時刻を取得する。
【0032】
次に、前記構成の乗員覚醒システム10の動作について説明する。まず、覚醒動作を設定する動作について説明する。
【0033】
図3は本発明の第1の実施の形態における乗員覚醒システムの覚醒動作を設定する動作を示すフローチャートである。
【0034】
まず、車両のエンジンが作動してナビゲーション装置11が動作を開始すると、該ナビゲーション装置11は、運転者等の乗員によって目的地が設定されているか否かを判断する。そして、目的地が設定されていない場合には、覚醒動作を設定する動作フローから抜け出る。また、目的地が設定されている場合、設定された目的地の属性を取得する。
【0035】
続いて、前記ナビゲーション装置11は、目的地の属性に覚醒動作対象属性が含まれているか否か、すなわち、取得した属性の1つが覚醒動作対象属性であるか否かを判断する。そして、覚醒動作対象属性でない場合には、覚醒動作を設定する動作フローから抜け出る。
【0036】
また、覚醒動作対象属性である場合、前記ナビゲーション装置11は、運転者以外の乗員がいるか否かを判断する。そして、乗員がいない場合には、覚醒動作を設定する動作フローから抜け出る。また、乗員がいる場合、前記ナビゲーション装置11は、車両の現在位置を取得する。続いて、現在位置から目的地までの経路を取得し、さらに、目的地への到着予測時刻を取得する。
【0037】
そして、前記ナビゲーション装置11は、覚醒動作を開始させる地点を設定し、覚醒動作の強度を判定して、覚醒動作を設定する動作フローを終了する。
【0038】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 目的地が設定されているか否かを判断する。目的地が設定されている場合はステップS3に進み、目的地が設定されていない場合はステップS2に進む。
ステップS2 覚醒動作を設定する動作フローから抜け出る。
ステップS3 設定された目的地の属性を取得する。
ステップS4 覚醒動作対象属性であるか否かを判断する。覚醒動作対象属性である場合はステップS6に進み、覚醒動作対象属性でない場合はステップS5に進む。
ステップS5 覚醒動作を設定する動作フローから抜け出る。
ステップS6 運転者以外の乗員がいるか否かを判断する。運転者以外の乗員がいる場合はステップS8に進み、運転者以外の乗員がいない場合はステップS7に進む。
ステップS7 覚醒動作を設定する動作フローから抜け出る。
ステップS8 現在位置を取得する。
ステップS9 現在位置から目的地までの経路を取得する。
ステップS10 目的地への到着予測時刻を取得する。
ステップS11 覚醒動作を開始させる地点を設定する。
ステップS12 覚醒動作の強度を判定して、覚醒動作を設定する動作フローを終了する。
【0039】
次に、覚醒動作を実行する動作について説明する。
【0040】
図4は本発明の第1の実施の形態における乗員覚醒システムの覚醒動作を実行する動作を示すフローチャートである。
【0041】
ナビゲーション装置11は、所定の周期毎(例えば、100〔msec〕毎)に覚醒動作を実行する動作フローを開始する。そして、車両の現在位置を取得して、該現在位置が覚醒動作を設定する動作フローにおいて設定された覚醒動作を開始させる地点であるか否かを判断する。ここで、覚醒動作を開始させる地点でない場合には、覚醒動作を実行する動作フローから抜け出る。
【0042】
また、覚醒動作を開始させる地点である場合、前記ナビゲーション装置11は、運転者以外の乗員が眠っているか否かを判断する。そして、前記乗員が眠っていない場合には、覚醒動作を実行する動作フローから抜け出る。
【0043】
また、前記乗員が眠っている場合、前記ナビゲーション装置11は、シートアクチュエータ12の動作を制御して覚醒動作を開始させる。これにより、シートアクチュエータ12は、覚醒動作を設定する動作フローにおいて判定された強度の覚醒動作を実行する。
【0044】
そして、前記ナビゲーション装置11は、前記乗員が覚醒しているか否かを判断する。ここで、前記乗員が覚醒していない場合にはシートアクチュエータ12に覚醒動作を継続させ、前記乗員が覚醒しているか否かの判断を繰り返す。また、前記乗員が覚醒している場合には、覚醒動作を実行する動作フローを終了する。
【0045】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 設定された覚醒動作を開始させる地点であるか否かを判断する。設定された覚醒動作を開始させる地点である場合はステップS23に進み、設定された覚醒動作を開始させる地点でない場合はステップS22に進む。
ステップS22 覚醒動作を実行する動作フローから抜け出る。
ステップS23 運転者以外の乗員が眠っているか否かを判断する。運転者以外の乗員が眠っている場合はステップS25に進み、運転者以外の乗員が眠っていない場合はステップS24に進む。
ステップS24 覚醒動作を実行する動作フローから抜け出る。
ステップS25 覚醒動作を開始させる。
ステップS26 乗員が覚醒しているか否かを判断する。乗員が覚醒している場合は覚醒動作を実行する動作フローを終了し、乗員が覚醒していない場合はステップS25に戻る。
【0046】
このように、本発明の実施の形態において、乗員覚醒システム10は、目的地や時間帯に応じてシートの動作を制御し、眠っている乗員を覚醒させるようになっている。これにより、該乗員の覚醒レベルを目的地や時間帯に対応した適切なレベルにすることができる。
【0047】
例えば、目的地が会社等の仕事場であって午前の時間帯である場合、早めのタイミングで強めの覚醒動作を実行することによって、車両が目的地に到着すると、乗員は高い覚醒度合いとなり、到着後直ちに十分な活動を行うことができる。また、例えば、目的地が自宅であって午後の時間帯である場合、通常のタイミングで弱めの覚醒動作を実行することによって、車両が目的地に到着すると、乗員は最低限歩行することができる程度の覚醒度合いとなり、自宅における活動に適合することができる。さらに、例えば、目的地が宿泊施設であって夜及び深夜の時間帯である場合、遅めのタイミングで弱めの覚醒動作を実行することによって、車両が目的地に到着しても十分には覚醒しておらず、宿泊施設で就寝しやすくなる。
【0048】
したがって、乗員は、目的地において効率のよい動作を行うことができ、かつ、健康状態を良好に保ち、満足感を得ることができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0050】
本発明の実施の形態において、ナビゲーション装置11は、完全覚醒達成部及び不完全覚醒達成部を含んでいる。そして、覚醒動作内容判定部によって覚醒動作内容が完全覚醒を達成すべきものであると判定されると、前記完全覚醒達成部は、覚醒動作の開始タイミングを目的地への到着予測時刻の30分前に設定し、覚醒動作の強度を弱めに設定する。これにより、目的地への到着予測時刻の30分前に覚醒動作が開始され、かつ、ゆっくりと行われるので、乗員は目的地に到着した時点で完全に覚醒した状態となる。
【0051】
また、覚醒動作内容判定部によって覚醒動作内容が不完全覚醒を達成すべきものであると判定されると、前記不完全覚醒達成部は、覚醒動作の開始タイミングを目的地へ到着した時点に設定し、覚醒動作の強度を強めに設定する。これにより、目的地に到着した時点で覚醒動作が開始され、かつ、急に行われるので、寝起きが悪く、乗員は目的地に到着した時点で急速に覚醒するが、再び就寝しやすくなる。
【0052】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0053】
本発明の実施の形態においては、シートアクチュエータ12が、覚醒動作としてシートの全部又は一部を振動させたり、揺り動かしたりするものであるとする。また、ナビゲーション装置11は、乗員の属性、例えば、乗員が子供か老人か、に応じて覚醒動作のタイミングや強さを変化させるために、子供向け覚醒部及び老人向け覚醒部を含んでいる。
【0054】
そして、前記子供向け覚醒部は、乗員が子供であると判定すると、覚醒動作としてシートの全部又は一部を強く振動させたり、強く揺り動かしたりするように設定する。これにより、眠っている子供を確実に覚醒させることができる。
【0055】
また、前記老人向け覚醒部は、乗員が老人であると判定すると、覚醒動作としてシートの全部又は一部を弱く振動させたり、弱く揺り動かしたりするように設定する。これにより、眠っている老人の心身に負担をかけることなく覚醒させることができる。
【0056】
なお、乗員が子供又は老人であるとの判定は、カメラ13が取得した乗員の画像に基づき、例えば、乗員の顔の画像を処理し、顔つきに基づいて判定する。また、ナビゲーション装置11の入力部を操作することによって、乗員が子供又は老人であることをあらかじめ入力しておくこともできる。
【0057】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0058】
本発明の実施の形態において、乗員覚醒システム10は、乗員を覚醒させるための手段として乗員に光を照射する光発光装置を備える。該発光装置は、例えば、車内の照明として使用される室内灯を兼用することもできる。そして、覚醒動作制御部17は、シートアクチュエータ12に加えて前記発光装置を制御して覚醒動作を実行させる。
【0059】
また、覚醒動作内容判定部は、周辺環境が明るい時間帯では発光装置を点灯させないように覚醒動作を設定し、夜や深夜のような周辺環境が暗い時間帯では発光装置を点灯させるように覚醒動作を設定する。これにより、乗員を確実に覚醒させることができる。
【0060】
なお、前記第1〜第3の実施の形態においては、シートバックの角度を変化させる動作、及び、シートの全部又は一部を振動させたり、揺り動かしたりする動作が覚醒動作であるものとして説明したが、シートバックの角度を変化させる動作、又は、シートの全部又は一部を振動させたり、揺り動かしたりする動作のいずれか一方だけを覚醒動作として行うようにしてもよい。
【0061】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態における乗員覚醒システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における目的地の属性及び時間帯に対応する覚醒動作テーブルの例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における乗員覚醒システムの覚醒動作を設定する動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態における乗員覚醒システムの覚醒動作を実行する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
10 乗員覚醒システム
11 ナビゲーション装置
12 シートアクチュエータ
15 記憶部
16 経路探索部
17 覚醒動作制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)車両のシートを動作させるシートアクチュエータと、
(b)地図データを格納する記憶部、及び、前記地図データに基づいて、目的地までの経路を探索する経路探索部を備えるナビゲーション装置とを有し、
(c)前記車両が目的地に到着するのに合わせて前記シートに着座する乗員を覚醒させる乗員覚醒システムであって、
(d)前記目的地の属性及び/又は前記目的地に到着する時間帯に応じて前記シートを動作させる覚醒動作制御部を有することを特徴とする乗員覚醒システム。
【請求項2】
前記シートアクチュエータは、前記シートを周期的に位置変化動作させるものであり、
前記覚醒動作制御部は、前記目的地の属性及び/又は前記目的地に到着する時間帯に応じて前記シートを位置変化動作させる強さを設定し、設定された強さで前記シートを位置変化動作させる請求項1に記載の乗員覚醒システム。
【請求項3】
前記シートアクチュエータは、前記シートのシートバックを角度変化させるものであり、前記覚醒動作制御部は、前記目的地の属性及び/又は前記目的地に到着する時間帯に応じて前記シートバックを角度変化させ始めるタイミングを設定し、設定されたタイミングで前記シートバックを角度変化させる請求項1に記載の乗員覚醒システム。
【請求項4】
前記覚醒動作制御部は前記乗員の属性に応じて前記シートを動作させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の乗員覚醒システム。
【請求項5】
前記乗員に光を照射する発光装置を更に有し、
前記覚醒動作制御部は、前記目的地に到着する時間帯に応じて前記発光装置を動作させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の乗員覚醒システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−120164(P2008−120164A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303998(P2006−303998)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】