説明

亜鉛塩含有非刺激性組成物

本発明は、治療薬によって、個人用衛生用品によって、手袋またはコンドームなどの物品によって、あるいは各種の物理的刺激源、化学的刺激源、機械的刺激源、生物学的刺激源によって起こり得る、皮膚または粘膜の刺激の防止に低濃度の亜鉛塩の組み合わせを使用する方法および組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2005年6月2日付けの米国特許出願第11/143,012号(この出願は、2005年1月7日付けの米国特許出願第11/031,258号の一部継続出願である)の一部継続出願であり、これらの出願の各内容の全体を参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0002】
1. 緒言
本発明は、治療薬によって、個人用衛生用品によって、手袋などの衛生物品または保護物品によって、あるいは各種の物理的刺激源、化学的刺激源、機械的刺激源、生物学的刺激源によって起こり得る、皮膚または粘膜の刺激の防止に低濃度の亜鉛塩の組み合わせを使用する方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
米国疾病管理センター(CDC)は、院内感染が米国の保健医療制度に年間45億ドルの負担をかけており、これらの感染の80%が直接接触により伝染していると推定している。患者と直接接触した前後に単に石鹸を使用することでこれらの感染の伝染を低減することができるが、医療従事者は、いくつかの理由によりこの簡単な手段を用いることを怠ることが多い。第1に、石鹸と水を使った洗浄は時間がかかる。第2に、かかる洗浄では、流水、シンク、ペーパータオル、ならびに、提供および維持に費用のかかる他の基本設備必需品を使用する必要があり、従って、医療従事者が常に即座に利用できるものとはいえない。このため、ほとんどの医療従事者は、そのような機会の約50%ほどしか、現存の洗浄ガイドラインに従っていない。
【0004】
この問題に応えて、CDCは最近、医療従事者の手の衛生に関する新しいガイドラインを発表した。1つの推奨は、医者、看護婦および他の医療従事者が、各患者との接触の間に手指を消毒して感染の広がりを防ぐために、従来の水性石鹸ではなくアルコール系の手指用消毒薬を用いるというものである。この新しいCDCのガイドラインは、手指の消毒に要する時間を短縮することから、医療従事者の間でのコンプライアンスの向上が期待される。さらに、推奨されているそのようなアルコール系製品は、医療従事者が携帯したり、病室近辺のいくつかの都合のよい場所に設置することができる。ローション剤中のアルコールが細菌を死滅させ、また添加されている皮膚軟化剤が手の柔らかさを保つはずである。さらに、この製品は手の表面上で乾くことから、流水、シンク、ペーパータオルなどはほとんど不要である。
【0005】
3M製のAvagard(商標)という商品名の製品が市販されており、これは、乳化剤、すなわちBeheneth-10、ベヘニルアルコール、セチルパルミテート、およびジリノレイン酸ジイソプロピルダイマーを、1% グルコン酸クロルヘキシジン溶液および61% エチルアルコール(w/w)と組み合せて含んでいる。
【0006】
Johnson & Johnson製のPrevacare D(商標)という商品名の製品も市販されており、これは、その有効成分としての60% エタノール、ビヒクルとしての水、リポソーム構成成分(ジステアリン酸グリセロール、ステアレート-10(stearate-10)、コレステロールおよびポリソルベート80などを含む)、界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム、保湿剤としてのプロピレングリコール、ならびにジアゾリジニル尿素、メチルパラベンおよびプロピルパラベンをはじめとする保存剤を含んでいる。Prevacare-D(商標)が市販されており、これはその有効成分として60% エタノールを含有し、また、皮膚軟化剤としてのシクロメチコーン、増粘剤としてのポリエチレンおよびシリカ、保湿剤/皮膚軟化剤としての鉱油、保存剤および芳香剤としてのプロピルパラベンも含んでいる。
【0007】
アルコール系の製品、例えば、Avagard(商標)、Prevacare D(商標)、あるいは他の現在利用可能な製品、または各種の発行された米国特許もしくはヨーロッパ特許(例えば、米国特許第3,485,915号、米国特許第4,478,853号、米国特許第4,956,170号、米国特許第5,403,864号、米国特許第5,516,510号、米国特許第5,776,430号、米国特許第5,885,562号、米国特許第5,951,993号、米国特許第6,022,551号、米国特許第6,107,261号、米国特許第6,136,771号、米国特許第6,204,230号、米国特許第6,352,701号、および欧州特許出願第0604 848号を参照されたい)で具体的に記載されている製品の使用増加に伴った主な欠点は、それらの製剤中の特定の成分(アルコールそのものを含む)が皮膚に対する刺激およびアレルギー反応をもたらす可能性があるということである。この欠点は、看護師の間のアルコール系消毒剤に関する最近の研究で容易に認められており、この研究は、これらの製品に曝露された後、全個体の約12%において副作用が生じたことを明らかにしている(Cimiottiら, 2003, Am. J. Infect. Control 31:43-48)。本発明は、この問題を解決する1つの手段を提供する。特定の亜鉛塩をアルコール系ゲル剤、手指洗浄剤、または他の製品に添加することにより、添加しない場合にそれら製品が含み得るアルコールまたは他の活性成分もしくは不活性成分によって起こる可能性がある刺激を予防することができる(例えば、米国特許第5,965,610号および米国特許第5,985,918号(これらの内容は、参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい)。
【0008】
また感染症の伝染は、医療環境以外においても公衆衛生上の深刻な問題である。例えば、性的接触によりさらに多くの感染因子が伝染される可能性があり、公衆衛生専門家は、性的接触中に感染因子の伝染を抑制または防止する各種器具または物質を使用するようにとの主張を強めている。しかし残念ながら、かかる器具または物質は、真皮または粘膜に刺激を与える可能性がある刺激成分または刺激要素を含んでいることが多く、そのために実際には感染のリスクを増大させてしまうことがある。例えば、男性用または女性用のコンドームは、ラテックスまたは他の刺激を与え得る物質から製造されている場合が多い。また生殖器用のクリーム剤、ローション剤または軟膏剤も刺激を与え得る殺菌剤、殺真菌剤または殺精子剤を含んでいることが多い。
【0009】
感染の拡大を防ぐ手段として、抗菌性局所製剤の他に、またはその代わりに、手袋が医療従事者によって、また外食産業などの別の部門で用いられている。しかし、多数の人が、手袋に対する過敏性(例えば、ラテックスに対するアレルギー反応または保湿に関する皮膚反応など)を持っているか、過敏性を発症する。
【0010】
従って、感染の拡大を防ぐ主要な手段は、皮膚刺激性と関連がある。このため、より利用しやすく、かつコンプライアンスが向上する抗感染製剤および物品の製造を目指すステップの1つとして、この刺激を抑制または防止する製品の開発が求められている。
【0011】
既に、種々の薬剤によって起こった刺激が亜鉛塩により抑制され得ることが確認されている。例えば、米国特許第5,708,023号、同第5,965,610号、同第6,037,386号および同第5,985,918号を参照されたい。これらの特許では、比較的高濃度の亜鉛の使用が開示されているが、これは内服的に摂取された場合、有害な可能性がある。高濃度の水溶性亜鉛塩を局所クリーム剤またはゲル剤で使用した後には、皮膚または粘膜を介して吸収されて起こり得る全身性亜鉛毒性とは別に、高濃度の亜鉛の場合、それ自体が刺激源となり得る。従って、内服用として処方される製品では、亜鉛含有量に実用上の上限がある。さらに亜鉛には、避妊剤または消毒剤などの潜在的刺激剤に結合し、その後それらの薬剤を不活性化する能力があることから、これらの製品中に高濃度の亜鉛塩が含まれていると、その製品の目的とする作用に効果がなくなる可能性がある。
【0012】
Kellyの米国特許第5,980,477号および同第6,321,750号は、抗ウィルス剤としての亜鉛の水溶性有機塩の生殖器潤滑剤または他の類似製品への混和に関するものである。しかしKellyは、低濃度の亜鉛の水溶性有機塩の組み合わせに関する有益な抗刺激作用については、認識も記載もしていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
3. 発明の概要
本発明は、物品に塗布した場合または局所製剤と混合した場合に、皮膚または粘膜への刺激を最小限に抑制または防止することができる2種以上の水溶性亜鉛塩の組み合わせに関する。本明細書に記載の亜鉛塩を水系またはアルコール系の局所手指洗浄剤に加えた場合、それらの塩が抗刺激特性を持つことから、より高濃度の(さもなければ刺激性を与える濃度の)抗菌剤を使用することができる。その結果、短時間で微生物を殺菌し、病院施設における感染症の伝染を低減することができる。またこれらの同じ亜鉛塩の組み合わせを、殺精子剤、殺菌剤、殺真菌剤または他の刺激を与え得る治療剤を含有するゲル剤、クリーム剤または潤滑剤に添加し、これらの治療剤を適用する皮膚または粘膜への刺激を軽減または予防することができる。生殖器潤滑剤へ混合した場合、膣粘膜の刺激が軽減されることで性感染症の拡大を最小限に抑制することが促進され得る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の抗刺激製剤を手袋、コンドームまたは創傷被覆材などの物品へのコーティング剤として塗布した場合には、ラテックスまたは他の構造材料に対する過敏性を軽減させるとともに、湿気によって起こり得る刺激を抑制することができる。好ましい実施態様(これに限定されるものではない)では、本発明は、摂氏25度の水中でのモル溶解度がそれぞれ約0.17〜1.64モル/リットルである2種以上の水溶性亜鉛塩(この場合、全水溶性亜鉛塩の総重量パーセントは約0.1〜0.5パーセントである)を含んでなる、製剤および物品用コーティング剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
4. 発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも1つには、刺激性物質への暴露の結果生じ得る皮膚または粘膜表面の刺激を予防するための方法および組成物に関する。少なくとも1つには、亜鉛の水溶性(特に有機)塩の組み合わせをゲル剤(水性アルコールゲル剤を含む)、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、石鹸、洗浄剤、避妊用ゲル剤、潤滑剤、エリキシル剤、油、スクラブ剤、ペースト剤、マスクなどへ添加すると、刺激源が下部基層の刺激を引き起こすのを予防し得るこれらの製剤の能力を高めることができるという知見に基づいている。既に、高濃度の亜鉛塩を製剤に添加することによって、これらの製品の予防効果を高めることができることは確認されているが、一方、高濃度の亜鉛そのものが刺激を引き起こすことも分かっている。さらにまた、これらの製品中の亜鉛イオンが高濃度であると、これらの製品の利用対象者に局所性または全身性の亜鉛毒性が起こる可能性も高まる。従って、本発明の驚くべき1つの態様は、低濃度の亜鉛塩類が、特に2種以上のかかる塩を組み合わせて使用する場合に、亜鉛により誘発される刺激および毒性の可能性を最小限にしながら、満足のいく程度の抗刺激効果を達成し得るという知見である。本方法のさらなる利点は、本発明で開示した亜鉛塩の組み合わせの濃度は十分に低く、その結果、生理活性物質を含有している製剤(例えば、殺精子剤、殺菌剤、殺真菌剤または他の刺激を起こし得る治療用化合物)にこれらの亜鉛塩の組み合わせを添加した場合、これら化合物が不活性化されることは予想されないことである。
【0016】
さらに、本発明は、皮膚と接触する物品に塗布するコーティング剤における、低濃度の水溶性亜鉛塩(場合により非水溶性亜鉛塩と組み合わせる)の使用を提供する。かかる物品としては、手袋、コンドームおよびペッサリーなどの防護物品、並びに、眼部保護具、医療用ドレープ、防護衣、手術用履物(footware)、創傷被覆材、外科用マスクなどの物品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
従って、各種実施態様では、本発明は、刺激の予防または軽減に有効な、低濃度の2種以上の亜鉛の水溶性塩を含む抗刺激製剤およびコーティング剤を提供する。
【0018】
「低濃度」という用語は、亜鉛塩(亜鉛イオンおよびその結合パートナーを含む)の重量パーセントが2重量パーセント未満、例えば、約0.05〜2重量パーセント、または約0.1〜2重量パーセント、または約0.1〜1重量パーセント、または約0.1〜0.5重量パーセント、または約0.5〜2重量パーセントであることを意味する。好ましくは、亜鉛の水溶性塩は、約0.1〜0.5重量パーセント、または0.3パーセント未満、または0.2パーセント以下の総量(組み合わせた全水溶性亜鉛塩の重量)で、本発明の組成物(製剤およびコーティング剤)中に存在する。
【0019】
「水溶性」亜鉛塩とは、摂氏25度での水中モル溶解度が少なくとも0.1モル/リットル、好ましくは少なくとも0.17モル/リットルであることを意味する。これらの製剤で使用される水溶性亜鉛塩としては、酢酸亜鉛(水中モル溶解度は摂氏25度で1.64モル/l)、酪酸亜鉛(水中モル溶解度は0.4モル/l)、グルコン酸亜鉛(水中モル溶解度は0.28モル/l)、グリセリン酸亜鉛(中等度の水溶性)、グリコール酸亜鉛(中等度の水溶性)、ギ酸亜鉛(水中モル溶解度は摂氏20度で0.33モル/l)、乳酸亜鉛(水中モル溶解度は0.17モル/l)、ピコリン酸亜鉛(中等度の水溶性)、プロピオン酸亜鉛(水中モル溶解度は1.51モル/l)、サリチル酸亜鉛(低水溶性)、酒石酸亜鉛(中等度の水溶性)およびウンデシレン酸亜鉛(中等度の水溶性)が挙げられる。好ましい実施態様では(これに限定されるものではない)、本発明は、それぞれ約0.17〜1.64モル/リットルの水中モル溶解度を有する2種以上の水溶性亜鉛塩(この場合、全水溶性亜鉛塩の総重量パーセントは、約0.1〜0.5パーセント、または約0.3パーセント以下である)を含む、製剤および物品用コーティング剤を提供する。
【0020】
本明細書で使用されている用語の「非水溶性」亜鉛塩は、摂氏25度での水溶解性が0.1モル/リットル未満である化合物を意味する。非水溶性亜鉛塩の例としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜鉛および硼酸亜鉛が挙げられるが、これに限定されるものではない。特定の(これに限定されるものではない)実施態様では、非水溶性亜鉛塩は、約0.05〜2重量パーセント、または約0.1〜1パーセントの濃度で存在する。
【0021】
さらなる特定の(これに限定されるものではない)実施態様では、水溶性塩および非水溶性塩を含む全亜鉛塩の総量は、約0.1〜5重量パーセント、または約0.1〜2重量パーセント、または約0.1〜1重量パーセントである。
【0022】
刺激の「予防」または「軽減」という用語は、低濃度である2種以上の亜鉛の水溶性有機塩を含む製剤で処理した組織における刺激の客観的徴候または自覚的徴候が、亜鉛塩を含まない同じ製剤および刺激剤に暴露した対照組織に対して少なくとも50%、より好ましくは90%以上減少することを意味する。本明細書における刺激は、発赤もしくは他の変色、炎症もしくは腫れ、過敏症、熱傷の発生、掻痒もしくは他の痛みの刺激、肌荒れ、皺発生、発疹、蕁麻疹、または刺激に伴う当業者に公知の他の肉眼的もしくは顕微鏡的変化により現れ得る。
【0023】
本発明の製剤は、皮膚に局所的に適用するか、または身体の種々の粘膜(口、鼻、膣もしくは直腸腔の粘膜を含むが、これらに限定されるものではない)に適用して、これらの表面における外的刺激源の作用を予防することができる。本発明の製剤は、消毒剤(例えば、外科手術用ゴム手袋の装着前に使用するハンドスクラブ剤)として使用することができる。
【0024】
本発明の製剤は、コーティング剤として物品(例えば防護物品)に塗布することができ、複数の表面を持つ物品においては、コーティング剤として、物品の少なくとも1つの表面(全表面またはその一部)をコーティングすることができる。特定の実施態様の場合(これに限定されるものではない)、本発明によるコーティング剤は、手袋もしくはコンドームの内表面に、または手袋もしくはコンドームの外表面に、または手袋もしくはコンドームの内表面および外表面の両方に塗布することができる。各表面に異なるコーティング剤を塗布してもよい。コーティング剤は、表面の一部に対して、例えば、これに限定されるものではないが、手袋の1つまたは複数の指先部分の内表面に塗布することができる。
【0025】
本発明の各種の実施態様は、皮膚軟化剤、例えばこれらに限定されるものではないが、PEG 20アーモンドグリセリド(Almond Glycerides)、プロブチル(Probutyl)DB-10、グルカム(Glucam)P-20、グルカムE-10、グルカムP-10、グルカムE-20、グルカム P-20ジステアレート、ポリセチル(Procetyl)-10(Croda)、インクロクワット(Incroquat)、グリセリン、プロピレングリコール、酢酸セチル、およびアセチル化ラノリンアルコール、セチルエーテル、ミリスチリル(myristyril)エーテル、ヒドロキシル化乳グリセリド、ポリクオタニウム化合物、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸のコポリマー、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールエーテルおよびシリコンのポリマーを含んでいてもよい。他の好適な皮膚軟化剤としては、炭化水素系の皮膚軟化剤、例えばワセリンまたは鉱油、脂肪酸エステル系の皮膚軟化剤、例えば脂肪酸のメチル、イソプロピルおよびブチルエステル、例えばイソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、イソプロピルイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、ジイソプロピルセバケート、およびプロピレンジペラルゴネート、2-エチルヘキシルイソノノエート、2-エチルヘキシルステアレート、C12-C16脂肪族アルコールラクテート、例えばセチルラクテートおよびラウリルラクテート、イソプロピルラノレート、2-エチルヘキシルサリチレート、セチルミリステート、オレイルミリステート、オレイルステアレート、オレイルオレエート、ヘキシルラウレート、およびイソヘキシルラウレートを挙げることができる。さらなる皮膚軟化剤としては、ラノリン、オリーブ油、カカオバターおよびシアバターが挙げられる。本発明は、製剤およびコーティング剤への1種または複数の皮膚軟化剤溶媒の混和を提供する。本発明の好ましい皮膚軟化剤溶媒としては、例えば、5パーセント以下の、または3パーセント以下の濃度(これらに限定されるものではない)のオクトキシグリセリン(Sensiva(登録商標))、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオールおよびカプリリルグリコールが挙げられる。
【0026】
本発明の各種の実施態様では、安定剤、例えばこれらに限定されるものではないが、抗酸化剤(これは0.2〜1%の濃度であってもよい)、例えばこれらに限定されるものではないが、ビタミンC(アスコルビン酸)またはビタミンE(トコフェロール)を含んでいてもよい。
【0027】
驚いたことに、安定剤は、本製剤の混濁を除去するようである。その結果、本製剤を塗布する表面に軽い使用感を与える透明な製品が得られる。
【0028】
本発明の各種の実施態様は、増粘剤、例えば、これらに限定されるものではないが、(0.6〜2%の好ましい濃度の)以下のもの:ステアリルアルコール、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース(U Care JR30;Amerchol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)、ポリオックス(Polyox) N-60K、キトサンピロリドンカルボキシレート(Kytamer)、ベヘニルアルコール、ステアリン酸亜鉛、クロダモル(Crodamol) STS (Croda)または乳化ワックス、例えばこれらに限定されるものではないがインクロクワットおよびポラワックス(Polawax)を含み得る。本明細書に記載の製剤または軟膏剤への混和に好適な他の増粘剤および/またはゲル化剤としては、例えば、以下のものが挙げられる:アクリル酸の付加ポリマー、Carbopol(登録商標)ETD(商標)2020などの樹脂、グアーガム、アカシア、アクリレート/ステアレス(steareth)-20メタクリレートコポリマー、寒天、アルギン、アルギン酸、アンモニウムアクリレートコポリマー、アルギン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、アミロペクチン、アタパルジャイト、ベントナイト、C9-15 アルコール、酢酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、カルシウムカラギーナン、塩化カルシウム、カプリルアルコール、カルボマー910、カルボマー934、カルボマー934P、カルボマー940、カルボマー941、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグァー、カラギーナン、セルロース、セルロースガム、セテアリルアルコール、セチルアルコール、コーンスターチ、クロドモール(crodomol)、クロチクス(crothix)、ダマール、デキストリン、ジベンジリデンソルビトール、エチレン二水素化タロウアミド、エチレンジオールアミド、エチレンジステアルアミド、ゼラチン、グアーガム、グァーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸、ケイ酸、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルステアルアミド-MIPA、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、カラヤゴム、ケルプ
、ラウリルアルコール、ローカストビーンガム、アルミニウムケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、メトキシPEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、メチルセルロース、微結晶性セルロース、モンモリロナイト、ミリスチルアルコール、オート麦粉、オレイルアルコール、パーム核アルコール、ペクチン、PEG-2M、PEG-5M、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸カリウム、カリウムアルミニウムポリアクリレート、カリウムカラギーナン、塩化カリウム、硫酸カリウム、バレイショデンプン、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、アクリル酸ナトリウム/ビニルアルコールコポリマー、ナトリウムカルボキシメチルデキストラン、ナトリウムカラギーナン、硫酸セルロースナトリウム、塩化ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ステアルアルコニウムベントナイト、ステアルアルコニウムヘクトライト、ステアリルアルコール、タロウアルコール、TEA塩酸塩、トラガカントゴム、トリデシルアルコール、トロメタミンアルミニウムケイ酸マグネシウム、小麦粉、小麦デンプン、キサンタンガム、アビエチルアルコール、アクリリノール酸、ベヘン酸アルミニウム、カプリル酸アルミニウム、ジリノール酸アルミニウム、ジステアリン酸塩などのアルミニウム塩およびイソステアリン酸アルミニウム、蜜ろう、ベヘンアミド、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、C29-70酸、ベヘン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、カンデリラろう、カルナウバ、セレシン、コレステロール、コレステロールヒドロキシステアレート、ヤシアルコール、コーパル、ジグリセリルステアレートマレート、ジヒドロアビエチルアルコール、ジメチルラウラミンオレエート、ドデカン酸/セテアリルアルコール/グリコールコポリマー、エルカミド、エチルセルロース、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアレート、グリセリルトリアセチルリシノレート、グリコールジベヘネート、グリコールジオクタノエート、グリコールジステアレート、ヘキサンジオールジステアレート、水素化C6-14オレフィンポリマー、水素化ヒマシ油、水素化綿実油、水素化ラード、水素化メンハーデン油、水素化パーム核グリセリド、水素化パーム核油、水素化パーム核油、水素化パーム油、水素化ポリイソブテン、水素化大豆油、水素化タロウアミド、水素化タロウグリセリド、水素化植物グリセリド、水素化植物油、和ろう、ホホバワックス、ラノリンアルコール、シアバター、ラウラミド、メチルデヒドロアビエテート、メチル水素化ロジネート、メチルロジネート、メチルスチレン/ビニルトルエンコポリマー、微晶質ろう、モンタン酸ろう、モンタンろう、ミリスチルエイコサノール、ミリスチルオクタデカノール、オクタデセン/無水マレイン酸コポリマー、オクチルドデシルステアロイルステアレート、オレアミド、オレオステアリン、オウリキュリーろう(ouricury wax)、酸化ポリエチレン、オゾケライト、パラフィン、ペンタエリスリチル水素化ロジネート、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、ペンタエリスリチルロジネート、ペンタエリスリチルテトラアビエテート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ペンタエリスリチルテトラオレエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、オフタルミン酸無水物/グリセリン/グリシジルデカノエートコポリマー、オフタルミン酸/トリメリト酸/グリコールコポリマー、ポリブテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリジペンテン、ポリエチレン、ポリイソブテン、ポリイソプレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルラウレート、プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールジココエート、プロピレングリコールジイソノナノエート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジペラルゴネート、プロピレングリコールジステアレート、プロピレングリコールジウンデカノエート、PVP/エイコンセンコポリマー、PVP/ヘキサデセンコポリマー、米糠ろう、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアラミド、ステアラミドDEA-ジステアレート、ステアラミドDIBA-ステアレート、ステアラミドMEA-ステアレート、ステアロン、ステアリルエルカミド、ステアリルステアレート、ステアリルステアロイルステアレート、合成蜜ろう、合成ろう、トリヒドロキシステアリン、トリイソノナノイン、トリイソステアリン、トリイソステアリルトリリノレエート、トリラウリン、トリリノール酸、トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、およびそれらの混合物。
【0029】
本発明の実施形態は、安定剤としてフェノキシエタノール(0.3〜1.0%)を含んでいてもよい。
【0030】
本発明の各種の実施態様は、湿潤剤、例えばこれらに限定されるものではないが、グリセリン、パンテノール、グルカム P20、1-2-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、または1,2,6-ヘキサントリオールを含んでいてもよい。
【0031】
本発明の各種の実施態様は、好ましくは0.05〜5重量パーセント、または0.05〜2重量パーセント、または0.1〜2重量パーセントの総濃度で、1種または複数の抗菌剤または防腐剤を含んでいてもよい。好ましい抗菌剤および/または防腐剤の例としては、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)、塩化ベンザルコニウム(BZK)またはブチルカルバミン酸ヨードプロピニル(IPBC;Germall plus)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。抗菌剤のさらなる例としては、ヨードフォア、ヨウ素、安息香酸、ジヒドロ酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、セトリミド、第四級アンモニウム化合物(塩化ベンゼトニウム(BZT)、塩化デカリニウムを含むがこれに限定されるものではない)、クロルヘキシジンなどのビグアニド(遊離塩基および塩を含む(以下を参照))、PHMB(ポリヘキサメチレンビグアニド)、クロロエレゾール(chloroeresol)、クロルキシレノール(chlorxylenol)、ベンジルアルコール、ブロノポール、クロルブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、2,4-ジクロロベンジルアルコール、チオメルサール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、過酸化ベンゾイル、ムピロシン、バシトラシン、ポリミキシンB、ネオマイシン、トリクロサン、パラクロロメタキシレン、ホスカルネット、ミコナゾール、フルコナゾール、イトリコナゾール、ケトコナゾール、およびその製薬上許容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明による抗菌剤として使用可能な製薬上許容可能なクロルヘキシジン塩としては、パルミチン酸クロルヘキシジン、ジホスファニル酸クロルヘキシジン、ジグルコン酸クロルヘキシジン、二酢酸クロルヘキシジン、二塩酸クロルヘキシジン、二塩化クロルヘキシジン、二ヨウ化水素酸クロルヘキシジン、二過塩素酸クロルヘキシジン、二硝酸クロルヘキシジン、硫酸クロルヘキシジン、亜硫酸クロルヘキシジン、チオ硫酸クロルヘキシジン、二酸リン酸(diacid phosphate)クロルヘキシジン、ジフルオロリン酸クロルヘキシジン、二ギ酸クロルヘキシジン、ジプロピオン酸クロルヘキシジン、ジヨード酪酸クロルヘキシジン、ジ-n-吉草酸クロルヘキシジン、ジカプロン酸クロルヘキシジン、マロン酸クロルヘキシジン、コハク酸クロルヘキシジン、リンゴ酸クロルヘキシジン、酒石酸クロルヘキシジン、ジモノグリコール酸クロルヘキシジン、モノジグリコール酸クロルヘキシジン、二乳酸クロルヘキシジン、ジ-α-ヒドロキシイソ酪酸クロルヘキシジン、ジグルコヘプトン酸クロルヘキシジン、ジイソチオン酸クロルヘキシジン、ジ安息香酸クロルヘキシジン、ジケイ皮酸クロルヘキシジン、ジマンデル酸クロルヘキシジン、ジイソフタル酸クロルヘキシジン、ジ-2-ヒドロキシナフト酸クロルヘキシジン、およびエンボン酸クロルヘキシジンが挙げられるが、これに限定されるものではない。抗菌剤のさらなる例は、クロルヘキシジンの遊離塩基である。
【0033】
本発明で有用な抗菌剤のこれら例およびさらなる例は、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (Goodman Gilman A, Rall TW, Nies AS, Taylor P, 編 (Pergamon Press; Elmsford, N.Y.:1990))などの文献で確認することができる。なお前記文献の内容は、参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0034】
本発明の各種の実施態様は、1種または複数の他の成分中に存在するカルボキシル基(例えば、増粘剤中のカルボキシル基)を中和するための中和剤を含んでいてもよい。好適な中和剤としては、ジイソプロピルアミンおよびトリエタノールアミンが挙げられる。
【0035】
本発明の各種の実施態様は界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤であってもよい。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリエトキシレート、脂肪族アルコール(例えば、ceteth-20(平均約20個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレンオキシドのセチルエーテル))および他の「BRIJ」(登録商標)非イオン性界面活性剤(ICI Americas, Inc. (Wilmington, DE)から購入可能)、コカミドプロピルベタイン、アルキルフェノール、ソルビトールの脂肪酸エステル、ソルビタン、またはポリオキシエチレンソルビタンが挙げられる。好適なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウムおよびラウリルエーテルスルホコハク酸が含まれる。好ましい界面活性剤には、約0.5〜2.0%の濃度のラウロイルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム塩、約2.0%のプルロニック(Pluronic) F87、Masil SF-19 (BASF)およびインクロミド(incromide)が含まれる。界面活性剤の好適な濃度は約0.05%〜2%である。
【0036】
本明細書に記載の製剤で使用する水は、好ましくは、中性pHを持つ脱イオン水である。ヒドロアルコール性ゲル組成物で使用する場合、水の濃度は、本発明のヒドロゲルを溶解するのに適したものとすべきである。本発明により使用可能なアルコールとしては、エタノールおよびイソプロピルアルコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本発明の各種の実施態様は、次のような追加の添加物、例えば、シリコーン流体(例えば、ジメチコーンまたはシクロメチコーン)、シリコーンエマルジョン、着色料、香料、pH調節剤、例えば、アンモニア、モノ、ジおよびトリアルキルアミン、モノ、ジおよびトリアルカノールアミン、アルカリ金属およびアルカリ土類金属ヒドロキシド(例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン)などの塩基性pH調節剤、無機酸およびポリカルボン酸(例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、クエン酸、グリコール酸および乳酸)などの酸pH調節剤;ビタミン、例えばビタミンA、ビタミンEおよびビタミンC;ポリアミノ酸および塩、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、保存剤、例えばGermall plusおよびDMDMヒダントイン、ならびに日焼け止め剤、例えばアミノ安息香酸、アロベンゾン、シノキサート、ジイオキシベンゾン、ホモサレート、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、メトキシケイヒ酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾエート、パジメート O、フェニルベンゾイミダゾール、スルホン酸、スリソベンゾン、二酸化チタン、サリチル酸トロラミンおよび酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明の各種実施態様は、1種または複数の有効成分(また単離成分(Isolated Component)「IC」としても本明細書に記載)を含む、植物起源または動物起源から取得した揮発性油である精油(「EO」)を含んでいてもよい。前記有効成分は、例えば、モノテルペンまたはセスキテルペンの炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトンまたはオキシドであってもよいが、これらに限定されるものではない。これらのEO類の具体例としては、アーモンド油、イランイラン油、ネロリ油、白檀油、オリバナム油、ハッカ油、ラベンダー油、無水ジャスミン、ゼラニウム油バーボン(bourbon)、スペアミント油、チョウジ油、レモングラス油、シダーウッド油、バルサム油、およびタンジェリン油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは、本発明は、精油中で発見されている有効成分(IC類)、例えば、1-シトロネロール、α-アミルシンナムアルデヒド、リラール(lyral)、ゲラニオール、ファルネソール、ヒドロキシシトロネラール、イソオイゲノール、オイゲノール、ユーカリ油、およびユーカリプトール、レモン油、リナロール、ならびにシトラール(これに限定されるものではない)の使用を提供する。またかかる化合物は、それらの香料または香味料としての作用とは別に、抗菌剤として本発明に有用であり得る。EOまたはICの濃度は、約0.3〜1パーセント、または約0.1〜0.5パーセント、または0.5〜2パーセント(総重量パーセント値)であってもよい。
【0039】
本明細書中で使用されているヒドロゲルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース(U-care ポリマー)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース(メトセル(methocell) K4MS)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド(ポリオックス(polyox)樹脂)、またはキトサンピロリドンカルボキシレート(Kytomer PC)を含んでいてもよい。これらのヒドロゲルは、添加したいずれの抗菌剤にも悪影響を及ぼすようには結合せず、その結果、その所望により添加される抗菌剤が、迅速かつ長時間活性があるように遊離状態に維持されるのが好ましい。また、ヒドロアルコール性ゲルの形成に使用されるアルコールは、ヒドロアルコール性ゲル組成物内に取り込まれず、その結果、迅速かつ長時間作用し得ることがわかった。ヒドロゲルは0.1〜1.0%の濃度で存在し得る。好ましくは、0.05〜0.5%、最も好ましくは0.2%の濃度のカチオン性ヒドロキシエチルセルロース(U-care ポリマー)である。
【0040】
本発明のヒドロアルコール性ゲル組成物において、使用可能なアルコール類には、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコールおよびそれらの混合物を含む(これらに限定されるものではない)脂肪族アルコール;セチルアルコール、ミリストールアルコール、ステアリルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコールおよびラウリルアルコール、ならびにそれらの混合物を含む(これらに限定されるものではない)脂肪アルコール;ならびにヘキサノールが含まれる。アルコールの濃度は、30%〜95%、好ましくは40%〜70%であってもよく;好ましくは、脂肪族アルコールは、60%〜95%の濃度のエタノールまたはイソプロピルアルコールである。脂肪アルコールが存在する場合には、その濃度は、好ましくは0.5%〜5.0%であり;ヘキサノールが存在する場合には、その濃度は、好ましくは3%〜10%、より好ましくは5%である。本発明の他の製剤においても同様に、これらと同じ乳化剤を用いることができる。
【0041】
本発明のヒドロアルコール性ゲル組成物は、場合により、例えば、上述の皮膚軟化剤および湿潤剤などの皮膚軟化剤および/または湿潤剤を含んでいてもよく、好ましくは、1種または複数のPEG 20 アーモンドグリセリド、プロブチル DB-10、グルカム P20、グルカム E-10、グルカム P-10、グルカム E-20、グルカム P-20ジステアレート、グリセリン、プロピレングリコール、オクトオキシグリセリン(Sensiva(登録商標))、セチルアセテートおよびアセチル化ラノリンアルコール(Acetulan)、セチルエーテル(PPG-10)、ミリスチルエーテル(PPG-3)、ヒドロキシル化乳グリセリド(Cremerol HMG)、ポリクオタニウム化合物(U-care化合物)、キトサン(Kytamer)、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸のコポリマー(Merquat)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(Dowanol DPM Dow Corning)、またはポリプロピレングリコールエーテル(Ucon 50-HB-660, Union Carbide)である。好ましくは、皮膚軟化剤は、本組成物の粘度が好ましくは20〜40℃で2000センチポアズ未満となるよう3%以下の濃度で、より好ましくは0.2〜3%の濃度で存在する。
【0042】
本発明のヒドロアルコール性ゲル組成物は、場合により、例えば上述の乳化剤および界面活性剤などの界面活性剤および/または乳化剤を含んでいてもよく、好ましくは、周囲温度でアルコールに溶解し得る非イオン性またはカチオン性の自己乳化性ろうである。好適な界面活性剤/乳化剤としては、インクロクワットベヘニル(Incroquat Behenyl) TMS、インクロクワットベヘニル TMS-50、ポラワックス、ステアリルアルコールおよびセテアリルアルコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの乳化剤は0.05〜3.0%の濃度で存在する。好ましい乳化剤としては、穏和なカチオン性乳化剤であり優れたコンディショナーであるインクロクワットベヘニル TMS、および非イオン性自己乳化ろうであるポラワックスが挙げられ、これらは別々の場合には0.05〜0.5%の濃度で、組み合せた場合には0.05〜0.5%の濃度で、より好ましくは、約1:1の濃度比で組み合せて使用する。2種以上の乳化剤を使用する場合には、乳化剤の総濃度は0.05〜0.5%であることが好ましい。
【0043】
本発明のヒドロアルコール性ゲルは、場合によりシリコーンポリマーを含んでいてもよく、例えば、1種以上のポリジメチルシロキサンポリマー(Dow Corning 225 Silicone Fluid)、ジメチコーン中のジメチコノール流体(Dow Corning 1403 Silicone Fluid)、シクロメチコーンおよびジメチコーンコポリル(Dow Corning 3225C Silicone Fluid)、またはシリコーングリコール(BASF 1066 DCG polyol)があるが、これらに限定されるものではない。シリコーンポリマーの好適な濃度は、約0.1〜1.0%である。
【0044】
本発明のヒドロアルコール性ゲルは、場合により皮膚軟化剤溶媒を含んでいてもよく、例えば、上述の溶媒、あるいは、18個までの炭素分子のアルキル鎖を有する1種以上のグリシジルエーテルならびにそのエトキシレートおよびプロポキシレート、18個までの炭素分子のアルキル鎖を有するグリセリルエーテルならびにそのエトキシレートおよびプロポキシレート、18個までの炭素分子のアルキル鎖を有するモノおよびジグリセリルエーテルならびにそのエトキシレートおよびプロポキシレート、エトキシレートエーテルおよびプロポキシレートエーテル、エトキシジグリコールエステル、エチルヘキシルアルコールプロポキシレート、プロピレングリコールエステルエトキシレートまたはプロポキシレートであり、好ましくはアルラモール(Arlamol)(Altas)であるが、これらに限定されるものではない。皮膚軟化剤溶媒の好ましい濃度は、0.5〜5%である。
【0045】
本発明のヒドロアルコール性ゲルは、場合により増粘剤を含んでいてもよく、例えば、上述の増粘剤および/またはゲル化剤、好ましくはベヘニルアルコール、クロドモール(crodomol)およびクロシックス(crothix)があるが、これらに限定されるものではない。増粘剤の好ましい濃度は、0.05〜10%である。カロポール(Caropol)などのゲル化剤は、高い粘度を有し、ゲル化剤をアルカリ性物質で中和するための中和剤を必要とすることから、好ましくない。
【0046】
本発明のヒドロアルコール性ゲルは、場合により、例えば上述のような1種または複数の抗菌剤を含んでいてもよい。1種または複数の抗菌剤の濃度は、3%未満であるのが好ましい。本発明の特定の(これらに限定されるものではない)実施態様では、ヒドロアルコール性ゲル剤は、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウムおよびフェノキシエタノールを、それぞれ好ましくは0.05〜0.5%、0.1〜0.25%および0.1〜1.0%の濃度で含んでいてもよい。ビグアニドおよび第四級アンモニウム化合物などのカチオン性抗菌剤は皮膚表面に結合し得るため、これらは、皮膚に接触するような病原体を不活性化することができない可能性がある。本発明のゲル製剤は、塗布すると、手の表面上にフィルムを形成し、そのフィルムは、本ゲルに添加可能な抗菌剤が皮膚表面に結合するのを妨ぐバリアーとして作用する。
【0047】
周囲温度は、本明細書では20〜35℃と定義する。室温は、本明細書では20〜25℃と定義する。
【0048】
さらに本発明は、殺精子剤により生じる刺激を軽減または予防するのに有効な、低濃度の2種以上の水溶性有機亜鉛塩を含有してなる殺精子性ゲル剤、クリーム剤、潤滑剤、ローション剤または軟膏剤を提供する。かかる製剤は、ゲルに含まれている殺精子剤の刺激作用を予防するために、尿生殖器、会陰部分の皮膚もしくは粘膜に、または男性用もしくは女性用コンドームなどのラテックス製品の表面に局所的に塗布することができる。これらの製品は、ラテックスに対するアレルギー反応により生じる刺激を最小限にするか、あるいは予防するという更なる利点を有する。殺精子剤は当業者には周知であり、界面活性剤系の殺精子剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0049】
実施態様(これに限定されるものではない)では、本発明の組成物は、市販のクリーム剤、液剤、ゲル剤またはローション剤などの既存の製剤を含んでいてもよい。そのように使用できる市販の製剤の例としては、商品名「KY JELLY」、「ASTROGLIDE」および「PREVACARE」で販売されている個人用潤滑剤、並びに、商品名「SOFT-SENSE」、「LOTION SOFT」、「CUREL」および「KERI」で販売されているローション剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。SOFT-SENSE(Johnson & Son, Inc., Racine, Wis.)は、精製水、グリセリンUSP、塩化ジステアリルジモニウム、ワセリンUSP、パルミチン酸イソプロピル、1-ヘキサデカノール、酢酸トコフェリル(ビタミンE USP)、ジメチコーン、二酸化チタン USP、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ナトリウムおよび香料を含有することが公知である。LOTION SOFT(Calgon Vestal, St. Louise, Mo.)は、ムコ多糖を含んでいることが知られている非イオン性保湿ローション剤である。CUREL(Bausch & Lomb Incorporated, Rochester, N.Y.)は、脱イオン水、グリセリン、クオタニウム-5、ワセリン、パルミチン酸イソプロピル、1-ヘキサデカノール、ジメチコーン、塩化ナトリウム、香料、メチルパラベン、およびプロピルパラベンを含んでいることが知られている。
【0050】
本発明は、上皮組織(例えば、粘膜組織または皮膚)への刺激を予防するための前述の組成物を用いる方法であって、それらの表面に有効量の本組成物を塗布するステップ、または皮膚もしくは粘膜組織と接触するようになることが意図されている物品にコーティングするステップを含む方法を提供する。保護が与えられ得る刺激源の例としては、物理的刺激源、化学的刺激源、機械的刺激源、または生物学的刺激源により誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前述の刺激源の特定の例としては、除毛手段(例えば、脱毛剤、ワックス処理およびカミソリ)、毛弛緩薬(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、チオグリコレート)、発汗抑制剤(例えば塩化アルミニウム水和物および他のアルミニウム塩)、皮膚用トリートメント剤(例えばアルファヒドロキシ酸(AHA)、特にグリコール酸およびトリクロロ酢酸)、角質溶解性皮膚刺激疾患(例えば乾癬、ふけなど)、感染性皮膚刺激源(例えば細菌および菌類)、ならびに治療目的で適用される薬剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。刺激から保護すべき上皮表面は、膣、肛門直腸、口または鼻などの皮膚または粘膜であり得る。
【0051】
さらに本発明は、感染に対して保護する方法であって、身体の皮膚または粘膜などの上皮組織に、有効量の前述の組織の刺激を抑制する組成物の1つを塗布するステップを含む方法を提供する。保護が与えられ得る感染因子の例としては、これらに限定されるものではないが、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)、単純ヘルペスウィルス(HSV)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrhoea)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)をはじめとする性感染症に関連した感染因子、並びに、これらに限定されるものではないが、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、大腸菌(Escherichia coli)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、腸球菌(Enterococcus)、およびネイセリア・メニンジタイディス(Neisseria meningitidis)、HIV、水痘ウィルスおよび肝炎ウイルス(例えばA型、B型およびC型)をはじめとする医療施設において遭遇する感染因子が挙げられる。
【0052】
実施態様(これに限定されるものではない)においては、本発明は、皮膚軟化剤溶媒および精油(またはその有効成分(IC))を含む抗菌性組成物を含んでなる局所用組成物を提供する。好ましい実施態様(これに限定されるものではない)では、かかる局所用組成物は、場合によりさらに抗菌剤(保存剤を含む)化合物を含有していてもよいが、その抗菌性組成物は、本質的には皮膚軟化剤溶媒および精油からなる(以下のパラグラフを参照されたい)。前記組成物は、抗炎症剤、例えばサリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸亜鉛(ただし、これらに限定されるものではない)をさらに含んでいてもよい。本局所用組成物は、1種または複数の亜鉛塩を含んでいても、含んでいなくてもよい。前記亜鉛塩は、本明細書に記載されているものなどの水溶性有機亜鉛塩であってもよい。さらに本発明は、かかる局所用組成物を用いて、被験体の皮膚または粘膜に抗菌作用をもたらす方法を提供する。
【0053】
ある代替の実施態様(これに限定されるものではない)では、本発明の製剤および/またはコーティング剤は、ヨードフォア、ヨウ素、安息香酸、ジヒドロ酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、セトリミド、第四級アンモニウム化合物(塩化ベンザルコニウム、塩化デクアンリニウムを含むが、これらに限定されるものではない)、クロルヘキシジンなどのビグアニド(遊離塩基および塩を含む(以下を参照されたい))、クロロエレソール(chloroeresol)、クロルキシレノール、ベンジルアルコール、ブロノポール、クロルブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、2,4-ジクロロベンジルアルコール、チオメルサール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、過酸化ベンゾイル、ムピロシン、バシトラシン、ポリミキシンB、ネオマイシン、トリクロサン、パラクロロメタキシレン、ホスカルネット、ミコナゾール、フルコナゾール、イトリコナゾール、ケトコナゾール、およびその製薬上許容可能な塩からなる群から選択される抗菌剤を有していない。
【0054】
またさらなる実施態様では、本発明は、刺激を軽減または予防するために、ラテックス物品(コンドームまたは手袋など)に塗布することができる亜鉛スラリーを提供する。この亜鉛スラリーは、例えば、これらに限定されるものではないが、1〜5%濃度の少なくとも2種の(上述したような)水溶性亜鉛塩、2〜10%濃度の1種または複数の(上述したような)非水溶性亜鉛塩、5〜40%濃度のパンテノール、および20〜50%濃度のグリセリンを含み得る。かかるスラリーは、シリコーン流体などの液体と、1:5〜1:10の比率で混合し、次いで、皮膚と接触させる物品の表面に塗布することができる。特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、本発明は、ラテックス手袋などの手袋の内面をコーティングし、刺激を予防または軽減するために使用可能な、以下のような乳剤:酢酸亜鉛(0.40重量%)、グルコン酸亜鉛(0.30重量%)、U Care JR-30M(0.05重量%)、D,L-パンテノール 50W(1.00重量%)、乳酸亜鉛(1.60重量%)、酸化亜鉛(0.20重量%)、グリセリン(3.00重量%)、精製水(10.00重量%)およびシリコーンエマルジョン(83.45重量%)を提供する。特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、かかるスラリー中に存在する全水溶性亜鉛塩の総量は、0.1〜0.5重量パーセントである。
【0055】
ある特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、本発明は、それぞれ0.1〜1重量パーセント濃度の2種の水溶性亜鉛塩と、約0.1〜1重量パーセント濃度の第1の非水溶性亜鉛塩と、約0.05〜5重量パーセント濃度、または約0.5〜5重量パーセント濃度のパンテノールなどのパントテン酸誘導体を含み、場合により、2〜5重量パーセント濃度のグリセリンを含む、物品に塗布するためのコーティング剤、または物品上に塗布されるようなコーティング剤を提供する。コーティング溶液は、約70〜95重量パーセント濃度のシリコーンエマルジョンをさらに含んでいてもよい。特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、前記コーティング剤は、0.1〜1重量パーセント濃度の第3の水溶性亜鉛塩をさらに含む。特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、場合により第3の水溶性亜鉛塩を含んでいてもよいコーティング剤では、すべての水溶性亜鉛塩の総量は約0.1〜0.5重量パーセントであるか、すべての亜鉛塩(水溶性および非水溶性)の総量は、約0.1〜5重量パーセント、または約0.1〜2重量パーセント、または約0.1〜1重量パーセントであってもよい。さらに別の実施態様(これに限定されるものではない)では、かかるコーティング剤は、第2の非水溶性亜鉛塩をさらに含んでいてもよい。
【0056】
別の特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、本発明は、それぞれ0.1〜1重量パーセント濃度の2種の水溶性亜鉛塩と、約0.1〜1重量パーセント濃度の第1の非水溶性亜鉛塩と、約0.05〜5重量パーセント濃度または約0.5〜5重量パーセント濃度のパンテノールなどのパントテン酸誘導体と、有効量の1種または複数の抗菌剤を含み、場合により、2〜5重量パーセント濃度のグリセリンを含む、物品へ塗布するためのコーティング剤を提供する。コーティング溶液は、さらに、約70〜95重量パーセント濃度のシリコーンエマルジョンを含んでいてもよい。好適な抗菌剤としては、ビグアニド、ヨードフォア、第四級アンモニウム化合物、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、2,4-ジクロロベンジルアルコール、チオメルサール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、過酸化ベンゾイル、ムピロシン、バシトラシン、ポリミキシンB、ネオマイシン、トリクロサン、パラクロロメタキシレノール、ホスカルネット、ミコナゾール、フルコナゾール、イトリコナゾールおよびケトコナゾールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。限定されるものではない実施態様では、抗菌剤の量は、特定の薬剤について上述した通りであり、かつ/または約0.05〜5重量パーセント、または約0.05〜2重量パーセント、または約0.05〜1重量パーセントであってもよい。特定の限定されるものではない実施態様では、前記コーティング剤は、さらに、0.1〜1重量パーセント濃度の第3の水溶性亜鉛塩を含む。特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、場合により第3の水溶性亜鉛塩を含んでいてもよいかかるコーティング剤では、すべての水溶性亜鉛塩の総量は約0.1〜0.5重量パーセントであるか、すべての亜鉛塩(水溶性および非水溶性)の総量は、約0.1〜5重量パーセント、または約0.1〜2重量パーセント、または約0.1〜1重量パーセントであってもよい。さらなる別の実施態様(これに限定されるものではない)では、かかるコーティング剤は、第2の非水溶性亜鉛塩をさらに含んでいてもよい。
【0057】
さらに本発明は、好ましくは5重量パーセント未満の濃度、または3重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、上述のようなコーティング剤を提供する。
【0058】
別の一連の実施態様(これに限定されるものではない)では、本発明は、前述のコーティング剤の1つが塗布されている少なくとも1つの表面を有する物品(例えば、これに限定されるものではないが防護物品)を提供する。本コーティング剤は物品の全表面またはその一部を被覆することができる。本発明の特定の実施形態(これに限定されるものではない)では、本物品は、手袋、コンドーム、ペッサリー、医療用ドレープ、外科用衣服、外科用マスクまたは創傷被覆材であり得る。
【0059】
本明細書に記載のパーセンテージは、特記しない限り、重量/重量である。
【0060】
さらに本発明は、それぞれ約0.17〜1.64モル/リットルの水中モル溶解度を有する、2種以上の亜鉛塩(この場合、前記のすべての亜鉛塩は、約0.1%〜0.5%(重量/重量)の総濃度で存在する)を含み、さらに水、エタノール、ならびに増粘剤、抗菌剤、界面活性剤、乳化剤および皮膚軟化剤からなる群から選択される1種または複数の薬剤を含む、局所用組成物を提供する。
【0061】
特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、前記局所用組成物は、(i)それぞれ約0.17〜1.64モル/リットルの水中モル溶解度を有する、2種以上の亜鉛の有機塩(この場合、すべての前記亜鉛の有機塩は、約0.1%〜0.5%(重量/重量)の総濃度で存在する)と;(ii)約0.3〜1.0パーセント(重量/重量)濃度のファルネソールと;(iii)約0.2〜5パーセント(重量/重量)濃度のパンテノールと;(iv)第四級アンモニウム化合物およびビグアニド(この場合、第四級アンモニウム化合物とビグアニドの総濃度は、約0.05〜2.0パーセント(重量/重量)である)とを含む、手術時手指洗浄剤または「手指用製剤(hand prep)」であってもよい。好ましい実施態様(これに限定されるものではない)では、亜鉛の有機塩は、約0.10〜0.25パーセント(重量/重量)濃度で存在するグルコン酸亜鉛、および約0.10〜0.25パーセント(重量/重量)濃度で存在する乳酸亜鉛である。
【0062】
本発明のさらなる実施態様では、前記局所用組成物は、(i)それぞれ約0.17〜1.64モル/リットルの水中モル溶解度を有する、2種以上の亜鉛の有機塩(この場合、すべての前記亜鉛の有機塩は、約0.1%〜0.5%(重量/重量)の総濃度で存在する)と;(ii)約0.3〜1.0パーセント(重量/重量)濃度のファルネソールと;(iii)約0.2〜5パーセント(重量/重量)濃度のパンテノールと;(iv)第四級アンモニウム化合物、ならびにビグアニドおよび塩素化フェノールからなる群から選択される第2の抗菌剤(この場合、第四級アンモニウム化合物と第2の抗菌剤の総濃度は、約0.05〜2.0パーセント(重量/重量)である)とを含む、消毒石鹸であってもよい。好ましい実施態様(これに限定されるものではない)では、亜鉛の有機塩は、約0.10〜0.25パーセント(重量/重量)濃度で存在するグルコン酸亜鉛、および約0.10〜0.25パーセント(重量/重量)濃度で存在する乳酸亜鉛である。特定の実施態様(これに限定されるものではない)では、前述の消毒石鹸は、約0.3〜1パーセント(重量/重量)濃度のフェノキシエタノールをさらに含んでいてもよい。
【0063】
石鹸製剤の調製は、記載のようにして行うことができる。フェーズ(Phase)A溶液は、5%の亜鉛溶液(グルコン酸亜鉛50%と乳酸亜鉛50%)を調製し、69.92のDI水に2グラムの5%亜鉛溶液を加えることによって調製することができる。フェーズB溶液は、フェーズA溶液に以下の成分を添加することにより調製する:
0.2% ポリオックス N60K、
2.0% プルロニック F 87 Prill、
0.4% U-care、
0.15 ゲルマルプラス(Germall Plus)。
【0064】
各成分を添加した後、溶液を混合する。次いで、約45分間、またはすべての成分が適切に溶解されるまで、その溶液を混合する。
【0065】
上記溶液(フェーズA+フェーズB)に、以下のフェーズC溶液を加える:
1.0% D-L パンテノール、
3.0% モンタリン(Montaline)、
3.0% インクロミンオキシド(Incromine oxide)L、
1.0% PxE、
2.0% グリセリン、
2.0% B65C。
【0066】
各成分を添加した後、溶液をよく混合する。
【0067】
フェーズD溶液は以下のようにして調製する:
14.0% SD アルコール 40Bに以下を溶解:
0.18% BZT、
0.75% PHMB、
0.3% ファルネソール。
【0068】
フェーズDを前述のフェーズA〜Cの混合物に加え、よく混合する。また所望の着色料および/または香料を加える。
【0069】
特定の限定されるものではない実際の実施例を下に述べる。
【実施例】
【0070】
5. 実施例
医療用手洗い洗浄剤 I
【表1】

【0071】
外科用手指用製剤(一般処方)
【表2】

【0072】
外科用手指用製剤 213+
【表3】

【0073】
外科用手指用製剤 213+A
【表4】

【0074】
外科用手指用製剤 213B
【表5】

【0075】
外科用手指用製剤 213B*
【表6】

【0076】
外科用手指用製剤 213G-3
【表7】

【0077】
外科用手指用製剤250
【表8】

【0078】
外科用手指用製剤250A
【表9】

【0079】
外科用手指用製剤250B
【表10】

【0080】
外科用手指用製剤250C
【表11】

【0081】
外科用手指用製剤250P
【表12】

【0082】
外科用手指用製剤250BP
【表13】

【0083】
外科用手指用製剤251
【表14】

【0084】
外科用手指用製剤251A
【表15】

【0085】
外科用手指用製剤252
【表16】

【0086】
外科用手指用製剤252A
【表17】

【0087】
外科用手指用製剤253
【表18】

【0088】
外科用手指用製剤253A
【表19】

【0089】
外科用手指用製剤254
【表20】

【0090】
外科用手指用製剤254A
【表21】

【0091】
外科用手指用製剤255
【表22】

【0092】
外科用手指用製剤255A
【表23】

【0093】
外科用手指用製剤256
【表24】

【0094】
外科用手指用製剤256A
【表25】

【0095】
外科用手指用製剤256C
【表26】

【0096】
外科用手指用製剤256G-1
【表27】

【0097】
外科用手指用製剤256G-2
【表28】

【0098】
外科用手指用製剤256G-3
【表29】

【0099】
外科用手指用製剤257
【表30】

【0100】
医療用手洗い洗浄剤(一般的処方)
【表31】

【0101】
亜鉛医療用手洗い洗浄剤(220)
【表32】

【0102】
亜鉛医療用手洗い洗浄剤(220D)
【表33】

【0103】
医療用手洗い洗浄剤(237R)
【表34】

【0104】
医療用手洗い洗浄剤237R*
【表35】

【0105】
手術時手指消毒剤 N.A(一般的処方)
【表36】

【0106】
手術時手指消毒剤 N.A-1
【表37】

【0107】
手術時手指消毒剤 N.A-2
【表38】

【0108】
手術時手指消毒剤 N.A-3
【表39】

【0109】
手術時手指消毒剤 N.A-4
【表40】

【0110】
手術時手指消毒剤 N.A-5
【表41】

【0111】
手術時手指消毒剤 N.A-6A
【表42】

【0112】
手術時手指消毒剤 N.A-6C
【表43】

【0113】
手術時手指消毒剤 N.A-6G-1
【表44】

【0114】
手術時手指消毒剤 N.A-6G-2
【表45】

【0115】
手術時手指消毒剤 N.A-6G-3
【表46】

【0116】
手術時手指消毒剤 N.A-7
【表47】

【0117】
手術時手指消毒剤 N.A-8
【表48】

【0118】
消毒石鹸(一般的処方)
【表49】

【0119】
消毒石鹸I
【表50】

【0120】
消毒石鹸II
【表51】

【0121】
消毒石鹸(29)*
【表52】

【0122】
消毒石鹸(29A)
【表53】

【0123】
消毒石鹸(29-TC)
【表54】

【0124】
消毒石鹸Na-14
【表55】

【0125】
消毒石鹸Na-14A
【表56】

【0126】
消毒石鹸Na-20
【表57】

【0127】
皮膚軟化剤溶媒ならびに精油および/または成分を含む医療用手洗い用消毒剤(一般的処方1)
【表58】

【0128】
皮膚軟化剤溶媒ならびに精油および/または成分を含む医療用手洗い用消毒剤(特別処方)
【表59】

【0129】
皮膚軟化剤溶媒ならびに精油および/または成分を含む医療用手洗い用消毒剤(一般的処方2)
【表60】

【0130】
皮膚軟化剤溶媒ならびに精油および/または成分を含む医療用手洗い用消毒剤(特別処方)
【表61】

【0131】
抗刺激皮膚保護剤クリーム(一般的製剤)
【表62】

【0132】
抗刺激皮膚保護剤クリーム(特別製剤)
【表63】

【0133】
抗菌ハンドクリーム(一般的製剤)
【表64】

【0134】
抗菌ハンドクリーム
【表65】

【0135】
手袋/コンドームコーティング用抗刺激乳剤(一般的処方)。これらの製剤は、2種以上の可溶性亜鉛塩および1種または複数の不溶性亜鉛塩、パンテノールならびにフィルム形成ヒドロゲルからなる抗刺激組成物を含んでいる。
【表66】

【0136】
手袋コーティング用抗刺激乳剤(特別処方)
【表67】

【0137】
手袋コーティング用抗刺激抗菌剤乳剤(一般的処方I)
【表68】

【0138】
抗刺激/抗菌性手袋/コンドームコーティング用製剤(一般的処方2)
【表69】

【0139】
手袋コーティング用抗刺激抗菌性乳剤(特別処方A)
【表70】

【0140】
手袋コーティング用抗刺激抗菌性乳剤(特定処方B)
【表71】

【0141】
手袋/コンドームのコーティング用抗刺激/抗菌性スラリーの調製法
方法1
抗刺激/クロルヘキシジンスラリー
フェーズA
成分 %(w/w)
水 4.8
グルコン酸クロルヘキシジン(20%溶液)20
酢酸亜鉛 0.2
乳酸亜鉛 1.0
D,L パンテノール50W 1.0
U-Care JR 30 0.05
グルコン酸亜鉛 0.3
すべての成分が溶解するまで混合する。
【0142】
フェーズB
グリセリン 2.25
酸化亜鉛 0.4
均一な懸濁液を調製する。
【0143】
フェーズBにフェーズAを加え、混合する。70グラムのシリコーンまたはカチオン性ポリウレタンスラリーを加え、よく混合する。手袋/コンドームの内部/内部+外表面上にこのスラリーを塗布する。
【0144】
方法2
抗刺激/クロルヘキシジンスラリー
フェーズA
成分 %(w/w)
水 4.8
グルコン酸クロルヘキシジン(20%溶液)20
酢酸亜鉛 0.2
乳酸亜鉛 1.0
D,L パンテノール50W 1.0
U-Care JR 30 0.05
グルコン酸亜鉛 0.3
すべての成分が溶解するまで混合する。
【0145】
酸化亜鉛添加 0.4
均一な懸濁液を調製する。
【0146】
70グラムのシリコーンまたはカチオン性ポリウレタンスラリーにフェーズAを加え、よく混合する。手袋/コンドームの内部/内部+外表面上にこのスラリーを塗布する。
【0147】
方法3
抗刺激/クロルヘキシジン/トリクロサンスラリー
フェーズA
成分 %(w/w)
水 4.5
グルコン酸クロルヘキシジン(20%溶液)15.0
酢酸亜鉛 0.2
乳酸亜鉛 1.0
D,L パンテノール50W 1.0
U-Care JR 30 0.05
グルコン酸亜鉛 0.3
すべての成分が溶解するまで混合する。
【0148】
フェーズB
トリクロサン 0.3
フェノキシエタノール 0.5
プロピレングリコール 1.5
グリセリン 0.75
酸化亜鉛 0.4
均一な懸濁液を調製する。
【0149】
74.5グラムのシリコーンまたはカチオン性ポリウレタンスラリーにフェーズAを加え、よく混合する。手袋/コンドームの内部/内部+外表面上にこのスラリーを塗布する。
【0150】
方法4
抗刺激/クロルヘキシジン/トリクロサンスラリー
フェーズA
成分 %(w/w)
水 4.5
グルコン酸クロルヘキシジン(20%溶液)15.0
酢酸亜鉛 0.2
乳酸亜鉛 1.0
D,L パンテノール 50W 1.0
U-Care JR 30 0.05
グルコン酸亜鉛 0.3
すべての成分が溶解するまで混合する。
【0151】
酸化亜鉛添加 0.4
フェーズB
トリクロサン 0.3
フェノキシエタノール 0.5
プロピレングリコール 1.5
均一な懸濁液を調製する。
【0152】
フェーズBにフェーズAを加え、混合する。74.75グラムのシリコーンまたはカチオン性ポリウレタンスラリーを加え、よく混合する。手袋/コンドームの内部/内部+外表面上にこのスラリーを塗布する。
【0153】
おむつかぶれ用クリーム#D
【表72】

【0154】
手洗い用消毒剤N.A
【表73】

【0155】
各種局所用製品で使用するための抗刺激亜鉛ゲル組成物
本発明は、0.05〜2.0%w/w濃度の1種または複数の有機亜鉛塩、0.5〜5.0%w/w濃度のD,L パンテノール、およびゲル化剤、例えば、0.05〜0.3%w/w濃度のカチオン性ヒドロキシルエチルセルロース(ポリクオタニウム10)、0〜0.3%w/w濃度のヒドロキシルアルキルセルロース、0〜0.3%w/w濃度のポリエチレンオキシド、0〜0.3%w/w濃度の酢酸フタル酸セルロースなどの酢酸セルロースポリマー、ならびに1〜10%w/w濃度の水を含んでなる、抗刺激亜鉛ゲル組成物を提供する。これらの製剤での使用に好適な亜鉛塩は、酢酸亜鉛(1.64モル/lの水中モル溶解度)、酪酸亜鉛(0.4モル/lの水中モル溶解度)、クエン酸亜鉛(<0.1モル/lの水中モル溶解度)、グルコン酸亜鉛(0.28モル/lの水中モル溶解度)、グリセリン酸亜鉛(中程度の水溶性)、グリコール酸亜鉛(中程度の水溶性)、ギ酸亜鉛(0.33モル/lの水中モル溶解度)、乳酸亜鉛(0.17モル/lの水中モル溶解度)、ピコリン酸亜鉛(中程度の水溶性)、プロピオン酸亜鉛(1.51モル/lの水中モル溶解度)、サリチル酸亜鉛(低水溶性)、酒石酸亜鉛(中程度の水溶性)、およびウンデシレン酸亜鉛(中程度の水溶性)が挙げられる。この亜鉛ゲルは、水溶性をほとんど示さないか、全く示さない1種または複数の亜鉛塩(例えば、0.2〜3%w/w濃度の酸化亜鉛および/またはステアリン酸亜鉛など)をさらに含んでいてもよい。さらに亜鉛ゲルは、グリセリン(0〜5%w/w)、ポリグリセロール(0〜5%w/w)、およびシリコーン(0〜8%w/w)を含んでいてもよい。上記濃度の亜鉛ゲル成分を混合し、各種製品へ混合する(所与の濃度は、亜鉛ゲルを混合した時の製品中の最終濃度である)。好適な製品としては、これらに限定されるものではないが、にきび治療製品、アルコール系の水不要のパーソナルケア手洗い用消毒剤、アフターシェーブローション、抗細菌性石鹸、抗真菌性クリーム剤および軟膏剤、コルチゾンクリーム剤、デオドラント化粧品、脱毛剤、小児用および大人用のおむつかぶれ用クリーム剤、顔用メーキャップ製品、応急手当用クリーム剤、ハンドクリームおよびボディクリーム、ゲル剤とローション剤、ハンドソープおよびボディーソープ、ハンドワイプおよびハンドタオルならびにボディワイ
プおよびボディタオル、オーラルケアゲル剤、マウスウオッシュおよびマウスリンス、シェービングクリームおよびシェービングゲル、サンスクリーン剤および日焼け止め剤、表面用ワイプ、膣用塗布物(例えば、クリーム剤、ゲル剤および洗浄剤など)、包帯、手袋および他の天然ラテックスなどの製品または合成ゴム製品が挙げられる。各種製品で使用するためのこれらの亜鉛ゲル剤は、以下の一般的処方を用いて調製することができる。
【0156】
亜鉛ゲル一般的処方
【表74】

【0157】
亜鉛ゲル成分は所望の濃度で製品に直接加えるか、あるいは製品中で必要とされる10〜20倍の濃度(10X〜20X)を含有するストック溶液を調製し、5〜10%のストック亜鉛ゲルを製品に用いて、製品に抗刺激性を付与することができる。以下を参照されたい。
【0158】
実施例1:亜鉛ゲル一般的処方(10X)
【表75】

【0159】
10%の亜鉛ゲルを製品に混合することができる。亜鉛ゲル組成は、用いられる製品に応じて変えることができる。
【0160】
実施例-2:亜鉛ゲルA-1(製品中の%)(手袋/コンドームのコーティング溶液で使用するためのもの)
【表76】

【0161】
実施例-3:亜鉛ゲルA-2(製品中の%)(手袋の抗菌性コーティング溶液で使用するためのもの)、一般的処方
【表77】

【0162】
亜鉛ゲルA-2(製品中の%)(手袋の抗菌性コーティング溶液で使用するためのもの)、特別処方
【表78】

【0163】
実施例4:亜鉛ゲルB(局所的抗菌性クリーム剤で使用するためのもの)
【表79】

【0164】
実施例5:亜鉛ゲルC(創傷治癒クリーム剤で使用するためのもの)
【表80】

【0165】
実施例6:亜鉛ゲルD-1(アルコール系手指消毒剤で使用するもの)
【表81】

【0166】
亜鉛ゲルD-2:(アルコール系手指消毒剤で使用するためのもの)
【表82】

【0167】
亜鉛ゲルD-3(アルコール系手指消毒剤で使用するためのもの)
【表83】

【0168】
亜鉛ゲルE(非抗菌性消毒石鹸における使用)
【表84】

【0169】
亜鉛ゲルF:(抗菌性消毒石鹸で使用するためのもの)
【表85】

【0170】
亜鉛ゲルG:(バンドエイドおよび創傷被覆材で使用するためのもの)
【表86】

【0171】
亜鉛ゲルH:(局所的抗刺激クリーム剤で使用するためのもの)
【表87】

【0172】
亜鉛ゲルI(成人用おむつかぶれクリーム剤で使用するためのもの)
【表88】

【0173】
亜鉛ゲルJ(ベビー用おむつかぶれクリーム剤で使用するためのもの)
【表89】

【0174】
本発明の亜鉛ゲル製剤を混合し、抗刺激性を付与することができる製品としては、次のものを挙げることができる:
・にきび治療製品
・アルコール系の水不要パーソナルケア手指消毒剤
・アフターシェーブローションおよびゲル剤
・抗菌性石鹸
・抗真菌性クリーム剤および軟膏剤
・消毒用家庭用応急手当クリーム剤および軟膏剤
・コルチゾンクリーム剤
・デオドラント化粧品
・脱毛剤
・幼児用および大人用のおむつかぶれクリーム剤
・顔用メーキャップ製品
・応急手当クリーム剤
・ハンドクリーム剤、ゲル剤およびローション剤、ならびにボディクリーム剤、ゲル剤およびローション剤
・ハンドソープおよびボディーソープ
・手指用ワイプおよび身体用のワイプおよびウェットティッシュ
・オーラルケア用ゲル剤、口内洗剤およびリンス剤
・シェービングクリーム剤およびゲル剤
・サンスクリーン製剤および日焼け止め剤
・表面用ワイプ
・膣用適用品、例えばクリーム剤、ゲル剤および洗浄剤
・包帯、手袋および他の天然ラテックスなどの製品、または合成ゴム製品
おむつかぶれクリーム剤(一般的処方)
【表90】

【0175】
乾癬治療クリーム(一般的処方)
【表91】

【0176】
創傷被覆材、バンドエイド、ワイプへ塗布するための抗刺激/抗菌性製剤
【表92】

【0177】
局所用抗刺激クリーム剤/ローション剤
【表93】

【0178】
局所用抗刺激抗微生物性クリーム
【表94】

【0179】
火傷創傷/褥瘡性潰瘍治療クリーム剤
【表95】

【0180】
下記の表は、本出願の製剤で使用される一般的分類の化合物および特定化合物の一部を示す。本明細書で提供した処方においては、特定化合物が記載されているところは、同じ一般的分類の中の別の特定化合物に置き換えることができる。
【表96】

【0181】
実施例:局所用クリーム剤、皮膚消毒剤および医療用具(手袋、コンドームおよび創傷被覆材など)で使用するための抗刺激抗菌性組成物
(A)抗菌剤、および/または(B)抗菌剤+精油成分、および/または(C)皮膚軟化剤溶媒+精油成分、および/または(D)(A)+(C)の組み合わせを含んでなる抗刺激抗菌性組成物(AIR-AM組成物)が、局所用クリーム剤および皮膚消毒剤で使用するために、また、医療物品(手袋、コンドームおよび創傷被覆材など)を加工かつ/またはコーティングして、それらに抗刺激性および耐感染性を付与するために開発された。これらのAIR-AM組成物は、特定の割合の亜鉛塩混合物(2種以上の可溶性亜鉛塩(0.2〜2.0%)(例えば、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛および/または酢酸亜鉛など)、ならびに不溶性亜鉛塩(0.2〜2.0%)(例えば、酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛など)、ヒドロゲル(ポリクオタニウム10、ヒドロキシルアルキルセルロース)、パンテノールを含み、場合によりシリコーン流体を含んでいた。さらにAIR-AM組成物は、1種または複数の抗菌剤、例えば、(1)1種または複数のカチオン性/非イオン性抗菌剤(例えば、ビグアニド、銀塩、塩素化フェノール、第四級アンモニウム化合物など)、および/または(2)抗菌剤と精油成分の相乗的組み合わせ、および/または(3)特定の皮膚軟化剤溶媒+精油成分の相乗的組み合わせ、および/または(4)(1)および(3)の組み合わせを含んでいた。これらの組成物は単独で用いてもよく、または天然および合成の手袋、コンドーム、創傷被覆材などを被覆するためのシリコーン、ポリウレタン、ポリ乳酸などのポリマーマトリックス中で用いてもよく、あるいは、局所用クリーム剤または皮膚消毒剤へ混合してもよい。かかる抗刺激組成物でコーティングされているラテックス手袋材料では、皮膚刺激と関連性があると考えられているタンパク質および化学物質を不活性化することが確認された。
【0182】
手袋内をコーティングすることによる、アレルゲン性ラテックスタンパク質および他の化学物質の不活性化の評価
4%のグルコン酸亜鉛ゲルを含有している局所用クリームをラテックス製手袋に暴露した場合、IV型過敏症を示したボランティアの皮膚刺激性を有意に軽減した。またこのクリームは、ラウリル硫酸ナトリウムにより誘発される皮膚刺激を予防した(Dermatitis March 2005 vol. 16, page 22)。しかし、試験した個体のうち10〜20%では、ラテックス製手袋を使用しなくとも、3%のグルコン酸亜鉛ゲルを含有しているこのクリームを皮膚上に塗布した場合、それ自体が刺すような痛みの作用を示した(Dermatitis March 2005 vol. 16, page 22)。そこで本発明者らは、刺すような痛みの作用を引き起こさない、低濃度のグルコン酸亜鉛ゲル(0.3〜0.5%)を含有する局所用クリーム剤を調製した。しかし、このクリームは、ラテックスが関連する接触皮膚炎の軽減において、3%のクリームほど有効ではなかった。本発明者らは、低濃度のグルコン酸亜鉛(0.1〜0.5%)に、他の可溶性亜鉛塩、例えば、乳酸亜鉛(0.2〜1.0%)、酢酸亜鉛(0.2〜0.4%)ならびに不溶性亜鉛塩例えば、酸化亜鉛(0〜2.0%)およびステアリン酸亜鉛(0〜.4%)を組み合わせて、抗刺激効果を調べた。
【0183】
その結果、本発明者らは、グルコン酸亜鉛0.3〜0.5%、乳酸亜鉛0.8〜1.8%、酢酸亜鉛0.2〜0.4%および酸化亜鉛0.2〜0.8%、ヒドロゲル0.05〜0.1%(ポリクオタニウム10)、ならびにパンテノール0.5〜1.0%を含有する亜鉛ゲルを開発した。これをシリコーンポリマースラリー中に混合して、ラテックス製手袋のコーティングに用いた。
【0184】
効果試験
可溶性ラテックスタンパク質の減少:この試験では、ラテックス手袋から抽出可能な可溶性ラテックスタンパク質に着目した。可溶性タンパク質のすべてが抗原応答を起こすとは限らない。従って、抗原タンパク質濃度の測定された減少レベルは、全可溶性抽出物に関する減少レベルよりもより一層著しい可能性がある。通常天然ラテックスゴム中に存在する多種多様のタンパク性物質を記載するため、これらのタンパク質については一般的名称を用いて、ラテックスタンパク質として表記した。
【0185】
方法:
ラテックス製手袋のコーティングに用いるシリコーンスラリーに、亜鉛ゲル製剤を加えた。シリコーンスラリーは、この試験のために新しく調製した。亜鉛ゲルを含有するシリコーンスラリーで、手袋の内側および外側の両方をコーティングした。外側のコーティング剤を洗浄し、手袋を乾燥させた。
【0186】
以下の3組の手袋を調製した:
1)対照手袋:シリコーンスラリー(Ansell)でコーティングした;
2)2組の試験手袋:2種類の異なる濃度の亜鉛ゲルを含有するシリコーンスラリーでコーティングした。両方とも手袋の製作において追加の濃度を用いることができる。この目的は、濃度が高くなると効果も高まるかどうかを測定することであった。
【0187】
手袋指部分のラテックスタンパク質の測定の方法:手袋指部分をカットし、水中に懸濁し(1グラム/8ml)、70℃で2時間抽出した。抽出物を遠心分離後に回収した。抽出物中のラテックスタンパク質は、45%濃度まで抽出物に硫酸アンモニウムを加えることにより沈殿させ、24時間静置した。沈殿物を遠心分離後に回収し、水中に溶解した。このタンパク質抽出物をUV/VIS分光光度計で280nmにて記録した。
【0188】
結果:
【表97】

【0189】
注記:使用した亜鉛ゲルは、最適製剤であることを意図するものではない。この試験の目的は、天然ゴムラテックス中に存在する刺激源の減少の実現可能性を測定することであった。用いた濃度は、それらが他のスキンケア調製物で用いられている濃度と一致しているとの理由で採用した。これにより、手袋コーティング乳剤へ混合する適用可能性が示唆された。
【0190】
結論:上記表で示した通り、1.7%濃度で使用することにより可溶性ラテックスタンパク質が90%減少した。この濃度はシリコーン液浸乳剤に容易に混合され、手袋の着用能力または手袋のパウダーフリー状態のどちらも損なうことはなかった。この1.7%濃度は、使用時に遊離され得るすべての可溶性タンパク質を不活性化するのに十分であると期待される。可溶性ラテックスタンパク質は70℃で抽出したが、通常の使用では、タンパク質抽出は37℃下で起こる。
【0191】
全抽出物質の直接減少
抽出可能な全物質の減少に関する測定の応用を下に記載する。前章では手袋から抽出した可溶性ラテックスタンパク質に対する効果に着目していたので、抽出可能な全物質(触媒、充填剤、安定剤、架橋剤)に対する効果を測定する試験を行なった。タンパク質に対してアレルギーを持たない多くの人が、これらの別の物質に反応する。全手袋抽出物の減少の効果(それらが刺激をもたらすか否か)を測定することが重要な目的である。
【0192】
ラテックス製手袋から抽出可能な全物質に関する減少の測定には、UV/VIS分光光度計を用いた。蒸留水中に浸漬して60℃で撹拌することによりAnsell手袋から抽出物を取得したところ、268nmの波長で均一かつ大きなピークが得られた。この手袋抽出物に亜鉛ゲルのストック溶液を加えて、3分間ボルテックスし、3300RPMで15分間混合物を遠心分離にかけ、268nmの波長で吸光度を測定することにより、抽出物質の減少(パーセント)を測定した。また亜鉛ゲルを加えない手袋抽出物も同様の方法で処理し、一次O.D.を測定した。未処理抽出物のO.Dから処理抽出物のO.Dの減少(パーセント)を算出した。この試験の結果を下に示す。
【表98】

【0193】
手袋およびコンドームの抗刺激抗菌性コーティング組成物の調製
【表99】

【0194】
手袋コーティング方法:コーティングスラリー100mlをトレーにとり、トレー中に1つの手袋を置き、このトレーを回転振盪機上に維持し、1時間回転させる。この工程中にスラリーが手袋の内部に入る。トレーから手袋を取り出し、70℃で40分間乾燥させる。水中で手袋の外表面をすすぎ、再び、手袋を70℃で1時間乾燥させる。
【0195】
コーティング手袋の調製:
クロルヘキシジン手袋(CHG手袋)
クロルヘキシジン+ファルネソール手袋(CHG+F手袋)
クロルヘキシジン+ファルネソール+BZT手袋(CHG+F+BZT手袋)
クロルヘキシジン+ファルネソール+トリクロサン手袋(CHG+F+T手袋)
クロルヘキシジン+ES+F手袋(CHG+ES+F手袋)。
【0196】
これらの手袋は、以下の特定の製剤を用いて調製した:
【表100】

【0197】
創傷被覆材をコーティングするための抗刺激抗菌性組成物
創傷被覆材で使用する抗刺激剤は、グルコン酸亜鉛0.3〜0.5%、乳酸亜鉛0.5〜1.0%、クオタニウム 10(U Care JR 30)0.1〜0.2%、パンテノール0.5〜1.0%、酸化亜鉛0.1〜0.5%を含有する。以下の抗菌性組成物(グルコン酸亜鉛0.5%、乳酸亜鉛1.0%、U Care JR 30 0.1%、パンテノール50W 1.0%、酸化亜鉛0.2%を含有している)を調製し、創傷被覆材のコーティングに用いた。J & Jバンドエイド(J & J Band-Aid)を創傷被覆材として用いた。
【0198】
1)0.3%のファルネソール+1.0%のセンシバ(Sensiva)+0.5%のリン脂質(PL)
2)0.3%のファルネソール+1.0%のセンシバ+0.5%のPL+1.0%のコロイダル(Colloidal)銀
3)0.3%のファルネソール+1.0%のセンシバ+0.5%のPL+0.2%のカルボン酸銀(Ag C)
4)0.3%のファルネソール+1.0%のセンシバ+0.5%のPL+0.2%のAg C+0.3%のPHMB
5)0.15%のPHMB+0.1%のBZK+0.1%のトリクロサン。
【0199】
また亜鉛ゲルを単独で創傷被覆材のコーティングに用い、非コーティング創傷被覆材と共に試験した。
【0200】
黄色ブドウ球菌(S. aureus)ATCC#10390に対する阻止ゾーン(mm)
【表101】

【0201】
大腸菌(E. coli)に対する阻止ゾーン(mm)
【表102】

【0202】
抗刺激抗菌性アルコール系手洗い用消毒剤
この消毒剤の抗刺激剤は、グルコン酸亜鉛0.1〜0.3%;乳酸亜鉛0.1〜0.3%;パンテノール0.5〜1.0%;ポリクオタニウム10 0.1〜0.3%;およびシリコーン流体0.〜0.5%を含有する。この消毒剤の抗菌性組成物は、皮膚軟化剤溶媒(エチルヘキシルグリセリン、オクタンジオール、リン脂質複合体など)1〜3.0%、精油成分(ファルネソールなどのセスキテルペノイド)0.5〜2.0%のみを含有する。
【0203】
抗刺激抗菌性手術時手指消毒剤A
【表103】

【0204】
定住細菌叢に対する手術時手指消毒剤の即時効力および持続効力を評価するためのin vitroにおけるブタ皮膚モデル
製剤を単独適用した後のアルコール系外科用擦式手指消毒法の即時効力および持続効力を評価するため、FDA-TFM手袋ジュース法をシミュレートするこのin vitro法を開発した。屠畜場から最近屠殺されたブタの皮膚を入手し、処理し、小さな断片にカットしてアルコールで消毒し、乾燥させた。
【0205】
即時効力の試験法
(a)接種およびインキュベーション:2枚の各皮膚断片にブドウ球菌(S.epidermidis)(108cfu/ml)50μlを接種し、15秒間その2枚の断片を互いに対して摺り合わせた。次いで、プラスチックトレー中にこれらの皮膚一組を入れた(皮膚側を上方へ向ける)。次いで、この皮膚一組を綿ガーゼで覆い、皮膚上に十分な量の生理食塩水(0.9%)(皮膚断片当たり約2〜3ml)を広げ、皮膚が乾燥しないようにした。トレーをアルミニウムホイルで覆い、次いで、37℃で2時間インキュベートした。(この皮膚対に、定住細菌叢を持つヒトの手に似せたインキュベーション後、培養物を接種した)。
【0206】
(b)手洗い用消毒剤塗布:インキュベーション期間の終わりに、皮膚対から綿ガーゼ断片を取り除き廃棄した。30μlの外科用擦式手指消毒剤をこれらのブタ皮膚の各断片上に塗布し、これらの2枚の皮膚を30秒間互いに対して擦り合わせた。(このステップは、外科用擦式手指消毒剤をヒトの手に塗布することを模している)。
【0207】
(c)微生物の回収:次いで、皮膚対の1つにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(0.2ml)をかけ、2枚の皮膚を15秒間互いに摺り合わせた。ピペットを用いて、2枚の皮膚を各皮膚に対してPBS4.9mlですすぐことにより皮膚から生存微生物を回収し、それらの洗浄液を小型ペトリ皿中に一緒に回収した。(このステップは、PBSを用いた手袋ジュース方法(glove juice method)によるヒトの手のサンプリングを模している。)次いで、培養試験管にペトリ皿の内容物を移し、ボルテックスし、次いで、この洗浄液1.0mlをDrug Neutralizing Broth 9.0mlを含有しているチューブに速やかに移し、連続希釈し、アリコートをTSA上にプレーティングし、微生物の数を測定した。対照については、試験製剤の代わりにPBSを使用する以外は、同様の方法で皮膚を処理した。
【0208】
各皮膚対の細菌のコロニー数をそのlog10値に変換し、それらの平均を求めた。試験製剤の効果を比較するため、減少係数(reduction factor)(RF)という用語を作り、以下のように定義した:
減少係数(RF)=MPBS−MTest
in vitroでのブタ皮膚モデルにおける消毒剤Aおよびアバガード(Avagard)の細菌数減少の比較(RF)
【表104】

【0209】
結論:精油成分および皮膚軟化剤溶媒を含んでいる抗菌性組成物を含有してなる本抗刺激抗菌性消毒剤は、抗菌剤を含有している消毒剤(CHG 1.0%)とほぼ同じ効果がある。
【0210】
抗菌効力の評価
方法
黄色ブドウ球菌および大腸菌の暴露(challenge)懸濁液:試験手順を始める直前に、約1×108 CFU/mlを含有する各暴露種の一次懸濁液を以下のように調製した:分光光度計の600nmで0.3 O.D/mlが測定されるまで、肉汁培養物(18〜24時間経過したもの)をトリプチケースソイブロス(TSB)培地で希釈した。これらの培養物は、連続希釈と副次培養により事前に測定したところ、約1×108 cfu微生物/mlを含有していたことが推定されている。これらの培養物を、TSB中の暴露懸濁液の調製に用いた。各細菌株を約1×107 CFU/ml含有する最終暴露懸濁液は、TSB中の108 CFU/ml懸濁液を希釈し、完全にボルテックスすることにより調製した。
【0211】
試験手順:
手袋材料調製および接種:試験手順を始める前に、コーティングされた3つの手袋と対照の3つの手袋のそれぞれの中央3指を無菌的にカットし、各手袋で、閉じている先端部から測定して長さ5.0cmのところに印を付けた。
【0212】
接種材料の調製:前述のように調製した107 cfu微生物/mlの1.0mlを、5.0mlのウシ血清+4.0mlのTSBと混合した(1×106 cfu/mlの接種材料)。各手袋の指部分に、暴露する種の上記接種材料(105CFUの微生物)0.1mlを接種した。
【0213】
20秒間その領域に軽くマッサージを施すことにより、印を付けた5cmの領域内に接種材料を広げた。1分後、0.9mlの中和培地を加え、さらに1分間その領域にマッサージを施した。次いで、手袋の指部分から液体を回収し、125mlの滅菌ポリプロピレンチューブに入れたDrug Neutralizing Broth(DNB)49ml中に移し、約1分間ボルテックスした。次いで、DNB中で10倍希釈(例えば、10-1、10-2および10-3)を調製した。適切な希釈物の0.5mlアリコートを、中和剤製品を含むトリプチケースソイ寒天培地を使用して2組注入プレーティングした。これらのプレートを35℃±2℃で48〜72時間インキュベートするか、または十分に増殖が観察されるまでインキュベートした。インキュベーション後、プレート上のコロニーについて、手動計数器を用いて手動でカウントした。
【0214】
結果:
【表105】

【0215】
結論:すべての抗刺激抗菌性手袋で細菌数の有意な減少が確認された。CHG+F+BZTを含有している群には優れた効力があるように思われる。
【0216】
本明細書では各種刊行物を参照したが、それらの内容は、参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ0.1〜1重量パーセント濃度の2種の水溶性亜鉛塩;
約0.1〜1重量パーセント濃度の第1の非水溶性亜鉛塩;
約0.05〜5重量パーセント濃度のパントテン酸誘導体;および
約0〜5重量パーセント濃度のグリセリン;
を含む、物品へ塗布するためのコーティング剤。
【請求項2】
0.1〜1重量パーセント濃度の第3の水溶性亜鉛塩をさらに含む、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項3】
すべての水溶性亜鉛塩の総量が約0.1〜0.5重量パーセントである、請求項1または2に記載のコーティング剤。
【請求項4】
水溶性亜鉛塩が、酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリセリン酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、ギ酸亜鉛、乳酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プリオピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酒石酸亜鉛およびウンデシレン酸亜鉛からなる群から選択される、請求項1または2に記載のコーティング剤。
【請求項5】
水溶性亜鉛塩が、酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、グリセリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、ギ酸亜鉛、乳酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プリオピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酒石酸亜鉛およびウンデシレン酸亜鉛からなる群から選択される、請求項3に記載のコーティング剤。
【請求項6】
第2の非水溶性亜鉛塩をさらに含む、請求項1、2、3または4に記載のコーティング剤。
【請求項7】
第1または第2の非水溶性亜鉛塩が、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜鉛、硼酸亜鉛およびクエン酸亜鉛からなる群から選択される、請求項6に記載のコーティング剤。
【請求項8】
それぞれ0.1〜1重量パーセント濃度の2種の水溶性亜鉛塩;
約0.1〜1重量パーセント濃度の第1の非水溶性亜鉛塩;
約0.05〜5重量パーセント濃度のパントテン酸誘導体;および
有効量の抗菌剤
を含む、物品へ塗布するためのコーティング剤。
【請求項9】
抗菌剤が、ビグアニド、ヨードフォア、第四級アンモニウム化合物、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、2,4-ジクロロベンジルアルコール、チオメルサール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、過酸化ベンゾイル、ムピロシン、バシトラシン、ポリミキシンB、ネオマイシン、トリクロサン、パラクロロメタキシレノール、ホスカルネット、ミコナゾール、フルコナゾール、イトリコナゾールおよびケトコナゾールからなる群から選択される、請求項8に記載のコーティング剤。
【請求項10】
0.1〜1重量パーセント濃度の第3の水溶性亜鉛塩をさらに含む、請求項8に記載のコーティング剤。
【請求項11】
すべての水溶性亜鉛塩の総量が約0.1〜0.5重量パーセントである、請求項8、9または10に記載のコーティング剤。
【請求項12】
水溶性亜鉛塩が、酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、グリセリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、ギ酸亜鉛、乳酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プリオピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酒石酸亜鉛およびウンデシレン酸亜鉛からなる群から選択される、請求項8、9または10に記載のコーティング剤。
【請求項13】
水溶性亜鉛塩が、酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、グリセリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、ギ酸亜鉛、乳酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プリオピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酒石酸亜鉛およびウンデシレン酸亜鉛からなる群から選択される、請求項11に記載のコーティング剤。
【請求項14】
第2の非水溶性亜鉛塩をさらに含む、請求項8に記載のコーティング剤。
【請求項15】
第1および第2の非水溶性亜鉛塩が、酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜鉛、硼酸亜鉛およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される、請求項8または14に記載のコーティング剤。
【請求項16】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項1または2に記載のコーティング剤。
【請求項17】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項6に記載のコーティング剤。
【請求項18】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項7に記載のコーティング剤。
【請求項19】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項8に記載のコーティング剤。
【請求項20】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項9に記載のコーティング剤。
【請求項21】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項10に記載のコーティング剤。
【請求項22】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項11に記載のコーティング剤。
【請求項23】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項12に記載のコーティング剤。
【請求項24】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項13に記載のコーティング剤。
【請求項25】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項14に記載のコーティング剤。
【請求項26】
5重量パーセント未満の濃度の皮膚軟化剤溶媒をさらに含む、請求項15に記載のコーティング剤。
【請求項27】
請求項1に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項28】
請求項2に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項29】
請求項3に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項30】
請求項4に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項31】
請求項5に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項32】
請求項6に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項33】
請求項7に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項34】
請求項8に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項35】
請求項9に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項36】
請求項10に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項37】
請求項11に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項38】
請求項12に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項39】
請求項13に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項40】
請求項14に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項41】
請求項15に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項42】
請求項16に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項43】
請求項17に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項44】
請求項18に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項45】
請求項19に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項46】
請求項20に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項47】
請求項21に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項48】
請求項22に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項49】
請求項23に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項50】
請求項24に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項51】
請求項25に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項52】
請求項26に記載のコーティング剤が塗布された表面を有する物品。
【請求項53】
(i) 2種以上の水溶性亜鉛塩、この場合、前記のすべての亜鉛塩は、約0.1〜0.5パーセント(重量/重量)の総濃度で存在する;
(ii) 約0.3〜1.0パーセント(重量/重量)濃度のファルネソール;
(iii) 約0.2〜5パーセント(重量/重量)濃度のパンテノール;および
(iv) 第四級アンモニウム化合物およびビグアニド、この場合、第四級アンモニウム化合物およびビグアニドの総濃度は約0.05〜2.0パーセント(重量/重量)である;
を含む、手術時手指洗浄剤。
【請求項54】
亜鉛塩が、約0.10〜0.25パーセント(重量/重量)濃度で存在するグルコン酸亜鉛と、約0.10〜0.25パーセント(重量/重量)濃度で存在する乳酸亜鉛である、請求項53に記載の手術時手指洗浄剤。
【請求項55】
(i) 2種以上の水溶性亜鉛塩、この場合、前記のすべての亜鉛塩は、約0.1〜0.5パーセント(重量/重量)の総濃度で存在する;
(ii) 約0.3〜1.0パーセント(重量/重量)濃度のファルネソール;
(iii) 約0.2〜5パーセント(重量/重量)濃度のパンテノール;および
(iv) 第四級アンモニウム化合物、ならびにビグアニドおよび塩素化フェノールからなる群から選択される第2の抗菌剤、この場合、第四級アンモニウム化合物および第2の抗菌剤の総濃度は約0.05〜2.0パーセント(重量/重量)である;
を含む消毒石鹸。
【請求項56】
亜鉛塩が、約0.10〜0.25パーセント(重量/重量)濃度で存在するグルコン酸亜鉛と、約0.10〜0.25パーセント(重量/重量)濃度で存在する乳酸亜鉛である、請求項55に記載の消毒石鹸。
【請求項57】
約0.3〜1パーセント(重量/重量)濃度のフェノキシエタノールをさらに含む、請求項55に記載の消毒石鹸。
【請求項58】
約0.3〜1パーセント(重量/重量)濃度のフェノキシエタノールをさらに含む、請求項56に記載の消毒石鹸。
【請求項59】
約0.05〜2.0%w/w濃度の少なくとも1種の水溶性亜鉛塩;
約0.5〜5.0%w/w濃度のD,Lパンテノール;および
約0.05〜0.3%w/w濃度のゲル化剤;
を含む組成物であって、
抗刺激作用を提供する、前記組成物。
【請求項60】
約0.3%w/w未満の濃度のヒドロキシルアルキルセルロースをさらに含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
約0.3%w/w未満の濃度のポリエチレンオキシドをさらに含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項62】
約0.3%w/w未満の濃度のポリエチレンオキシドをさらに含む、請求項60に記載の組成物。
【請求項63】
約0.3%w/w未満の濃度の酢酸セルロースポリマーをさらに含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項64】
約0.3%w/w未満の濃度の酢酸セルロースポリマーをさらに含む、請求項60に記載の組成物。
【請求項65】
約0.3%w/w未満の濃度の酢酸セルロースポリマーをさらに含む、請求項61に記載の組成物。
【請求項66】
約0.3%w/w未満の濃度の酢酸セルロースポリマーをさらに含む、請求項62に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−531472(P2008−531472A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550496(P2007−550496)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/000449
【国際公開番号】WO2006/074359
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(501306715)ザ トラスティース オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (11)
【Fターム(参考)】