説明

位置情報によるユーザ認証システム

【課題】GPSにより取得される位置情報を認証のキーとして使用することで、ユーザ操作が容易であり、かつ、セキュリティの確保された認証を行うことが出来る位置情報によるユーザ認証システムを提供する。
【解決手段】認証サーバ111が、移動端末102とログイン端末104とにネットワーク105を介して夫々接続される位置情報によるユーザ認証システムであって、認証サーバ111は、ログイン端末104から位置情報を受信した時、ユーザ情報管理DB115からログイン端末104に関連付けられた移動端末102の識別情報を取得し、識別情報に基づき、位置情報管理DB116から移動端末102の最終更新位置情報を取得し、取得した位置情報が所定期間内更新である場合、移動端末102の位置情報と、ログイン端末104の位置情報とを比較することにより認証判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を使用して端末のユーザ認証を行う為の位置情報によるユーザ認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
端末へログインする為の認証方法としては、人が暗記している固定的なパスワードや、ハードウェアトークン等により生成されるワンタイムパスワード等が広く使用されている。固定的なパスワードではセキュリティを確保するには不十分であるが、ワンタイムパスワードを使用した認証を導入する為には、パスワード生成機等の特別な媒体を準備する必要があるため、導入コストが高くなることが懸念される。
一方、最近では携帯電話を始めとして、GPS(Global Positioning
System)機能を搭載した端末が普及し始めている。
【特許文献1】特開2002―175281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述したように、固定的なパスワード入力による認証ではセキュリティレベルが低く、またワンタイムパスワードを使用した認証では専用の媒体を必要とするうえに毎回異なるパスワードを入力する必要があり操作が煩わしい。
【0004】
以上の現状に鑑み、本発明は、GPSにより取得される位置情報を認証のキーとして使用することで、ユーザ操作が容易であり、かつ、セキュリティの確保された認証を行うことが出来る位置情報によるユーザ認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、ユーザ認証を行う認証サーバが、前記認証サーバへ位置情報を登録する移動端末と、ユーザがログインを行うログイン端末とに、ネットワークを介して夫々接続される位置情報によるユーザ認証システムであって、
前記認証サーバは、
前記移動端末と前記ログイン端末との関連付けを行なうための情報を格納するユーザ情報管理データベースと、
前記移動端末又は前記ログイン端末から送信される位置情報及び位置情報の更新日時を格納する位置情報管理データベースと、
前記移動端末又は前記ログイン端末との送受信を行う送受信手段と、
前記ユーザ情報管理データベース又は位置情報管理データベースへの読み書きを行うデータベース処理手段と、
前記ログイン端末から位置情報を受信した時、前記ユーザ情報管理データベースから、受信した前記ログイン端末に関連付けられた前記移動端末の識別情報を取得し、前記移動端末の識別情報に基づき、前記位置情報管理データベースに登録されている前記移動端末の最終更新された位置情報を取得し、取得した位置情報が所定期間内に更新されたものであることを確認した場合、取得した前記移動端末の位置情報と、受信した前記ログイン端末の位置情報とを比較することにより認証判定を行う認証手段とを備え、
前記移動端末は、
前記ログイン端末での認証に先立って、衛星からの電波を受信して自装置の現在位置を検出する現在地検出手段と、
検出した位置情報を前記認証サーバへ送信する送信手段とを備え、
前記ログイン端末は、
認証を開始するにあたって、衛星からの電波を受信して自装置の現在位置を検出する現在地検出手段と、
検出した位置情報を前記認証サーバへ送信し、前記認証サーバから認証結果を受信する送受信手段とを備えていることを特徴とする位置情報によるユーザ認証システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明によれば、次のような効果がある。
端末へのユーザ認証において、位置情報を登録する為の移動端末と、ユーザがログインを行う端末それぞれの位置情報を比較し認証を行うことにより、ユーザによるパスワード入力が行われることなくログインが可能となる。従って、ユーザ操作が容易であり、かつ、セキュリティの確保された認証を行うことが出来る。さらに、移動端末とログイン端末の双方が同じ場所に無い限り、ログイン不可となるため、端末を紛失した場合でも情報の漏洩を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施の形態例を示すシステム構成図である。
この実施例の位置情報によるユーザ認証システムは、位置情報を登録する為の移動端末102と、ユーザがログインを行うログイン端末104と、認証処理を行う認証サーバ111と、GPS衛星101により構成される。
【0008】
移動端末装置102は無線回線によって基地局103と接続され、基地局103はネットワーク105に接続される。
また、ログイン端末104は、無線もしくは有線にてネットワーク105に接続され、このネットワーク105に認証サーバ111が接続されている。さらに、移動端末装置102及びログイン端末104は、GPS衛星101からの電波を受信して自装置の現在位置を検出する現在地検出機能を有する。
【0009】
認証サーバ111は、移動端末102とログイン端末104とを関連付ける紐付けを行うための情報を格納するユーザ情報管理データベース115と、移動端末102又はログイン端末104から送信される位置情報と位置情報受信日時を格納する位置情報管理データベース116とが設けられており、更にデータ送受信を行う送受信部114と、ユーザ情報管理データベース115と位置情報管理データベース116を更新するデータベース処理手段であるデータベース更新部113と、認証の判定を行う認証処理部112とを備えている。
【0010】
移動端末102は、GPS衛星101より取得した位置情報を、基地局103及びネットワーク105を介して認証サーバ111へ送信する。認証サーバ111では、移動端末102より送信された位置情報を受信し、受信時刻及び位置情報を位置情報管理データベース116へ登録する。
【0011】
また、ユーザがログイン端末104にてログインを行う際、ログイン端末104においてもGPS衛星101より位置情報を取得し、ネットワーク105を介して認証サーバ111へ送信する。認証サーバ111では、ログイン端末104より送信された位置情報データを受信し、受信時刻及び位置情報を位置情報管理データベース116へ登録する。
【0012】
これにより、認証サーバ111では、ユーザ情報管理データベース115に格納された情報に基づき移動端末102とログイン端末104の紐付けを行った上で、位置情報管理データベース116に登録されている移動端末102とログイン端末104の位置情報を比較することで認証を行い、その認証結果をログイン端末104へ送信する。認証サーバ111より認証成功が通知された際に、ログイン端末104へのログインが可能となる。
【0013】
図2はユーザ情報管理データベース115に格納される移動端末102とログイン端末104の紐付けを行うためのデータ構成図の一例である。図に示すように移動端末識別子201とログイン端末識別子202から構成され、認証時の紐付けに使用する。
なお、移動端末102とそれに対応するログイン端末104それぞれの識別子については、ユーザ認証を行う前にユーザ情報管理データベースへ予め登録する。
【0014】
図3は移動端末102又はログイン端末104より送信される位置情報を格納するためのデータ構成図の一例である。同図に示すように、移動端末102を特定するための移動端末識別子301と、最終更新日時302、位置情報の緯度303、経度304、緯度経度より求められる住所305から構成されており、同様にログオン端末104についてもログオン端末識別子311と、最終更新日時312、位置情報の緯度313、経度314、緯度経度より求められる住所315から構成されている。
【0015】
図4は本発明の一実施の形態例におけるユーザ認証を行う際のフローチャート図である。ログイン端末104での認証に先立って、移動端末102にてGPS衛星101から位置情報の取得を行い(ステップ401)、取得した位置情報を認証サーバ111に送信する(ステップ402)。ここで移動端末102から認証サーバ111へ送信したデータを位置情報(A)とする。
認証サーバ111では、移動端末102から送信された位置情報(A)を受信し(ステップ411)、受信した日時及び位置情報(A)を位置情報管理データベース116へ反映する(ステップ412)。
【0016】
ログイン端末104では、認証を開始するにあたって、GPS衛星101からログイン端末104の位置情報の取得を行い(ステップ421)、取得した位置情報を認証サーバ111に送信する(ステップ422)。ここでログイン端末104から認証サーバ111へ送信したデータを位置情報(B)とする。
認証サーバ111では、ログイン端末104から送信された位置情報(B)を受信し(ステップ413)、受信した日時及び位置情報(B)を位置情報管理データベース116へ反映する(ステップ414)。
認証サーバ111では、位置情報管理データベースに登録されている位置情報(A)と位置情報(B)より、認証の判定を行う(ステップ415)。
【0017】
ここでの認証サーバ111での認証処理(ステップ415)においては、ログイン端末104から位置情報が送信され、認証要求が来た際、ユーザ情報管理データベース115を参照し、ログイン端末104のログイン端末識別子202から、対応する移動端末識別子201を取得する。取得した移動端末識別子201より、位置情報管理データベース116に登録されている更新日時及び位置情報(A)を取得する。
【0018】
はじめに位置情報管理データベース116に登録されている位置情報(A)の有効性の確認を行う。位置情報(A)の最終更新日時が現時刻と比べて一定の期間内である場合は、位置情報(A)が有効なものであると判断する。そして、位置情報(A)と位置情報(B)の緯度・経度より相対距離を求め、認証サーバ111に事前設定されている距離以下である場合に認証成功と判定する。もしくは、位置情報(A)と位置情報(B)の住所から同位置にある場合に認証成功と判定する。
【0019】
例として、位置情報(A)の住所が「東京都品川区東品川4-100-200」であり、位置情報(B)の住所が「東京都品川区東品川4-100-200」であった場合、住所が一致しているため認証成功と判定する。しかし、GPS衛星101から取得出来る位置情報には誤差が生じる為、住所のどの範囲又は階層までを判定基準とするか予め認証サーバ111に設定できるものとする。この場合の例として、位置情報(A)の住所が「東京都品川区東品川4-100-200」であり、位置情報(B)の住所が「東京都品川区東品川4-110-210」であった場合、「東京都品川区東品川4」までが一致していることで認証成功と判定することも可能とする。
認証サーバ111での判定が完了すると、認証結果をログイン端末104へ送信する(ステップ416)。
【0020】
ログイン端末104は、認証サーバ111からの認証結果を受信し(ステップ423)、認証結果がOKであればログイン可能となり(ステップ425)、認証結果がNGであればログイン不可(ステップ426)となる。
【0021】
また、継続して認証状況の更新を行う場合は、移動端末102における位置情報(A)の登録、ログイン端末104における位置情報(B)の登録、認証サーバ111における認証判定と結果通知を定期的に行う(ステップ403、ステップ417、ステップ427)。これにより、ログイン端末104のログイン状態を制御することが可能となり、移動端末とログイン端末の位置が離れた場合は、自動的にログイン状態が解除されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の位置情報によるユーザ認証システムのシステム構成図である。
【図2】本発明のユーザ情報管理データベースに格納されるデータの構成図である。
【図3】本発明の位置情報管理データベースに格納されるデータの構成図である。
【図4】本発明の位置情報によるユーザ認証システムに於いて、ユーザ認証を行う際のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0023】
102 移動端末
104 ログイン端末
105 ネットワーク
111 認証サーバ
115 ユーザ情報管理データベース
116 位置情報管理データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ認証を行う認証サーバが、前記認証サーバへ位置情報を登録する移動端末と、ユーザがログインを行うログイン端末とに、ネットワークを介して夫々接続される位置情報によるユーザ認証システムであって、
前記認証サーバは、
前記移動端末と前記ログイン端末との関連付けを行なうための情報を格納するユーザ情報管理データベースと、
前記移動端末又は前記ログイン端末から送信される位置情報及び位置情報の更新日時を格納する位置情報管理データベースと、
前記移動端末又は前記ログイン端末との送受信を行う送受信手段と、
前記ユーザ情報管理データベース又は位置情報管理データベースへの読み書きを行うデータベース処理手段と、
前記ログイン端末から位置情報を受信した時、前記ユーザ情報管理データベースから、受信した前記ログイン端末に関連付けられた前記移動端末の識別情報を取得し、前記移動端末の識別情報に基づき、前記位置情報管理データベースに登録されている前記移動端末の最終更新された位置情報を取得し、取得した位置情報が所定期間内に更新されたものであることを確認した場合、取得した前記移動端末の位置情報と、受信した前記ログイン端末の位置情報とを比較することにより認証判定を行う認証手段とを備え、
前記移動端末は、
前記ログイン端末での認証に先立って、衛星からの電波を受信して自装置の現在位置を検出する現在地検出手段と、
検出した位置情報を前記認証サーバへ送信する送信手段とを備え、
前記ログイン端末は、
認証を開始するにあたって、衛星からの電波を受信して自装置の現在位置を検出する現在地検出手段と、
検出した位置情報を前記認証サーバへ送信し、前記認証サーバから認証結果を受信する送受信手段とを備えていることを特徴とする位置情報によるユーザ認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−242644(P2008−242644A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79936(P2007−79936)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】