説明

低い界面張力を有する物質を含む乳濁液およびマイクロカプセル、ならびにそれらを作製および使用する方法

低界面張力を有する1つまたは複数の物質を含む乳濁液およびマイクロカプセルを開示する。乳濁液およびマイクロカプセルの生成方法ならびにそれらを使用する方法も開示する。一部の実施形態では、微生物油が使用される。一部の実施形態では、海洋性油が使用される。一部の実施形態では、乳濁液は、6.0を超えるpHを有する。一部の実施形態では、乳濁液は、5.0未満のpHを有する。さらに別の態様では、第一のマイクロカプセルの凝集体および該第一のマイクロカプセル内に被包される添加物質を含むマイクロカプセルに関する。第一のマイクロカプセルの凝集体は、1つまたは複数の外殻によって被包される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2006年4月7日に出願された米国仮出願第60/790,129号、2006年6月5日に出願された米国仮出願第60/811,024号、2006年8月11日に出願された米国仮出願第60/837,050号、2007年1月10日に出願された米国仮出願第60/879,759号、および2007年1月10日に出願された米国仮出願第60/879,636号への優先権の利益を主張する。米国仮出願第60/790,129号、同第60/811,024号、同第60/837,050号、同第60/879,759号、および同第60/879,636号は、各々その全体が、参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
乳濁液は、通常、2つの液体を含む不均一な系を意味するととられている。通常、相と呼ばれる2つの液体は、限られた範囲で非混和性または混和性であり得る。乳濁液では、2つの液体のうちの1つ(分散相と呼ばれる)は、極めて微細な液滴の形でもう1つの液体(連続相と呼ばれる)中に分散する。この2つの液体が水と油であり、かつ油滴が極めて微細に水中に分散しているとき、これは、水中油型乳濁液(O/W乳濁液)と呼ばれる。そのような乳濁液の用途は、医薬産業、特殊化学工業、および農産業を含む化学技術分野では既知である。農業では、乳濁液は、除草剤、殺虫剤、防かび剤、殺菌剤、および肥料の送達用の製剤ビヒクルを提供する。非農業用途としては、染料、インク、医薬品、香料添加剤、および香料の製剤が挙げられる。乳濁液は、マイクロカプセルの調製でも重要である。
【0003】
乳濁液の調製方法および乳濁液の安定性に影響を及ぼすいくつかの因子(例えば、界面張力、粘性、相対密度、および温度)がある。界面張力は、2相間の界面で想像線の長さ1メートルに作用する力である。この界面張力の物理単位は、通常、力/長さの関係から算出され、ダイン/cm(センチメートルあたりのダイン、すなわちメートルあたりのミリニュートンに等しい)で表される。
【0004】
油と水との間の界面張力は、一般的に、高い(例えば、約20〜30ダイン/cm)可能性がある。油と水との間の高界面張力は、合一およびクリーム化を促進させる。系に添加される界面活性剤および特定のポリマー等の乳化剤は、油/水の界面で吸着し、界面張力を減少さることが可能であり、それによって乳濁液の形成および安定化を促進する。機械的せん断によって乳濁液を調製する場合、2相間の低界面張力は、表面自由エネルギーが低いため液滴形成に有利である。界面張力が高すぎると、高い自由エネルギーによるその不安定性のために、形成される液滴は、十分に安定でなく、界面が分散する。多くの他の因子に加えて、適当に低い界面張力は、従って、乳化および乳濁液の安定性にとって重要である。
【0005】
だが、低すぎる界面張力も、液滴の安定性にとって有害であり得る(すなわち、乳濁液の液滴の合一も引き起こし得る)。低界面張力が液滴形成を支持する一方、低表面自由エネルギーは、また、液滴膜を容易に破裂させ、合一を引き起こす。上述のように、高界面張力の問題は、種々の種類および量の表面活性物質を添加することで簡単に解決可能である。しかし、低界面張力に起因する液滴合一は、容易な解決策のない問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記を踏まえて、当該技術分野で必要とされるのは、分散相が低界面張力を有する乳濁液およびそれらの調製方法である。例えば、マイクロカプセルを調製するためにそのような乳濁液を使用する方法も、必要とされる。本明細書に開示する組成物および方法は、これらおよび他の必要に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
本明細書に例示しかつ広く記述するように、開示する物質、化合物、組成物、物品、および方法の目的に従って、1つの様態で開示する主題は、組成物およびそのうような組成物を調製し、使用する方法に関する。別の態様では、開示する主題は、第一のポリマー成分および添加物質を含む乳濁液に関する。さらに別の態様では、開示する主題は、第一のマイクロカプセルの凝集体および該第一のマイクロカプセル内に被包される添加物質を含むマイクロカプセルに関する。第一のマイクロカプセルの凝集体は、1つまたは複数の外殻によって被包される。また、開示する乳濁液およびマイクロカプセルを調製する方法および使用方法を開示する。
【0008】
付加的な利点は、以下の説明に一部記述され、該説明から一部明らかであり、または以下に記述する態様を実行することによって知り得る。以下に記述する利点は、添付する特許請求項に特に指摘される要素および組み合わせの手段によって実現化および達成される。当然のことながら、前述の発明が解決しようとする課題および以下の発明を実施するための最良の形態の双方は、例示および説明のためだけであり、限定的なものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書で記述する物質、化合物、組成物、および方法は、開示する主題およびそれに含まれる実施例の特定の態様に関する以下の発明を実施するための最良の形態を参照することによってより容易に理解され得る。
【0010】
本物質、化合物、組成物、および方法を開示し、記述する前に、言うまでもなく、これらは変わり得るので、以下に記述する態様は、特定の合成方法または特定の試薬に限定されないことを理解すべきである。また、本明細書で使用する用語は、特定の態様だけを記述する目的であって、限定することを目的としないことを理解すべきである。
【0011】
また、本明細書全体にわたり刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、開示される内容が関連する最先端技術をより完全に記述するために、開示内容全体が参考として本出願で援用される。また、参照することにより、開示される参考文献は、これらの参考文献内に含まれ、各参考文献に依拠する文章において考察される資料として本明細書で個別かつ具体的に援用される。
【0012】
一般定義
本明細書および添付の特許請求の範囲では、以下の意味を有するよう定義されるいくつかの用語を参照する:
本明細書の記述および特許請求全体を通して、語「含む」および該用語の他の形(例えば、「含んでいる」および単数形の「含む」)は、例えば、他の添加物、成分、整数、または工程を含むがこれらに限定されないことを意味し、かつ除外することを目的としていない。
【0013】
記述および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形“a”、“an”および“the”は、文脈が明確に指示しない限り複数の参照対象を含む。従って、例えば、単数形の「化合物」の参照は、2つ以上のそのような化合物の混合物を含み、単数形の「酸」の参照は、2つ以上のそのような酸の混合物を含み、「塩」の参照は、2つ以上のそのような塩等の混合物を含む。
【0014】
「任意の」または「任意に」は、実質的に記述されるイベントまたは状況が起こり得るまたは起こり得ないことを意味し、かつその記述が、イベントまたは状況が起こる場合、イベントまたは状況が起こらない場合を含むことを意味する。
【0015】
範囲は、本明細書では「約」ある特定値から、および/または「約」別の特定値までを表される。そのような範囲が表されるとき、別の態様は、ある特定値から、および/または他の特定値までを含む。同様に、複数値が、先行詞「約」の使用によって近似値として表されるとき、特定の値は別の態様を形成すると理解される。さらに、範囲の各々終点は、他方の終点に関して、または他方の終点とは関係なく、両方で重要であると理解される。また、本明細書では多数の値が開示されており、各値は、また、その値自体に加えてその特定の値の「約」として本明細書に開示されると理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。ある値が開示されるとき、当業者によって適切に理解されるように、その値の「以下」、「以上」、および複数の値間の可能な範囲も開示されると理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「10以下」ならびに「10以上」も開示される。また、本出願全体を通してデータは、いくつかの異なる形式で提供され、このデータは、そのデータ点の任意の組み合わせに対して終点と起始点、および範囲を表すと理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示される場合、10および15を超える、以上、未満、以下、および同等、ならびに10〜15の間が開示されると考えられると理解される。また、2つの特定のユニット間では各ユニットも開示されると理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0016】
明細書および添付の特許請求の範囲で、組成物中の特定の成分の重量部への参照は、ある重量部が表される組成物中の成分と他の任意の成分との間の重量関係を意味する。従って、2重量部の成分Xおよび5重量部の成分Yを含む化合物では、XおよびYは、2:5の重量比で存在し、その化合物に付加的な成分が含まれているかどうかに関わらずそのような比で存在する。
【0017】
成分の重量パーセント(wt%)は、それとは反対に特に記述されない限り、その成分が含まれる製剤または組成物の全重量に基づく。
【0018】
本明細書で使用するように「被験体」とは、個体を意味する。一態様では、被験体は霊長類等の哺乳類であり、別の態様では、被験体はヒトである。用語「被験体」は、また、家畜化動物(例えば、ネコ、イヌ等)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等)、および実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエ等)を含む。
【0019】
本明細書で使用する「乳濁液」とは、分散相および連続相を含む任意の不均一な系を意味する。この用語は、分散相の特定の大きさによって限定されることを目的とせず、例えば、「乳濁液」は、マクロ乳濁液、マイクロ乳濁液、およびナノ乳濁液を含む。
【0020】
ここで、開示する物質、化合物、組成物、物品、および方法の特定の態様について詳細に参照し、それらの例は、付随する実施例で例示する。
【0021】
物質および組成物
本明細書に開示するのは、開示する方法および組成物で使用され得る、組み合わせて使用され得る、調製で使用され得る物質、化合物、組成物、および成分であり、または開示する方法および組成物の生成物である。これらおよび他の物質を本明細書に開示する。これらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示されるとき、これらの化合物のそれぞれ種々の個別のおよび集合的な組み合わせと順列の具体な参照が明確に開示されないこともあり得るが,それぞれは具体的に考慮され、本明細書に記述されていると理解される。例えば、ある化合物が開示され、その化合物のいくつかの成分または残基になされ得るいくつかの修飾が開示される場合、可能な各々およびすべての組み合わせと順列は、それとは反対に具体的に示されない限り、具体的に考慮される。従って、成分A、B、およびCのクラスが開示され、ならびに成分D、E、およびFのクラスおよび組成物A−Dの組み合わせの例が開示される場合、各々が個々に列挙されない場合でも、各々は個別にかつ集合的に考慮される。従ってこの例では、A、B、およびC;D、E、およびF;A−D組み合わせ例の開示からA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fの組み合わせの各々が具体的に考慮され、開示されていると考慮すべきである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも具体的に考慮され、開示される。従って、例えば、A、B、およびC;D、E、およびF;A−D組み合わせ例の開示からA−E、B−F、およびC−Eのサブグループが、具体的に考慮されかつ開示されていると考慮すべきである。この概念は、開示する組成物を生成し、使用する方法の工程を含むがこれらに限定されないこの開示のすべての態様に適用される。従って、実行され得る種々の付加的な工程がある場合、これらの付加的な工程の各々は、開示する方法の任意の特定の態様によってまたは態様の組み合わせによって実行されることが可能であり、そのような組み合わせそれぞれは、具体的に考慮され、かつ開示されると考慮すべきであると理解される。
【0022】
乳濁液
一態様で本明細書に開示するのは、第一のポリマー成分および添加物質を含む乳濁液である。開示する乳濁液では、添加物質は、長鎖多価不飽和脂肪酸を含むことが可能であり、かつ約20ダイン/cm未満(例えば、約15ダイン/cm未満)の界面張力を有することもあり得る。具体例では、開示する乳濁液は、添加物質として、約15ダイン/cm未満、約10ダイン/cm未満、約5ダイン/cm未満、約3ダイン/cm未満、約2ダイン/cm未満、約1ダイン/cm未満、または約0.5ダイン/cm未満の界面張力を有する微生物油を含み得る。この界面張力は、開示するプロセスで使用される水溶性物質を用いて測定され得る。
【0023】
pH
乳濁液は、また、約6.0を超える、または5.0未満のpHを有し得る。具体例では、乳濁液のpHは、約3.5〜約4.9、または約9.0〜約11.0であり得る。他の具体例では、開示する乳濁液は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12.0、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13.0、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、または14.0のpHを有することが可能であり、記述したどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。そのようなpHは、乳濁液の形成後、乳濁液の形成の間に乳濁液に、または乳化前に第一のポリマー成分および添加物質の混合物に、酸性物質または塩基性物質を加えることによって得られる。所望の乳濁液pHを得るために使用できる適切な酸性物質および塩基性物質の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸、塩酸、硝酸、もしくは酢酸、またはそれらの混合物を含む。
【0024】
開示する乳濁液のpHは、当該技術分野で周知の方法によって行われ得る。そのような方法は、pHメーターの使用、pH試験片の使用、色度計キット、または滴定を含む。
【0025】
液滴径
開示する乳濁液は、種々の液滴径を有し得る。例えば、開示する乳濁液は、マイクロ乳濁液および/またはナノ乳濁液であり得る。すなわち、開示する乳濁液の液滴は、マイクロメートル範囲(すなわち、1〜1,000μm)またはナノメートル範囲(すなわち、1〜1,000nm、一般的に約0.1μm未満)であり得る。具体例は、1,000、750、500、250、100、または50nm未満の平均液滴径を有する乳濁液を含むがこれらに限定されない。記述したどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。
【0026】
液滴径は、当該技術分野で既知の方法(例えば、光散乱、顕微鏡法、分光法等)によって決定可能である。
【0027】
第一のポリマー成分
開示する乳濁液では、第一のポリマー成分は、界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸塩、ポリサッカライド、またはその混合物を含み得る。さらに、第一のポリマー成分に適した物質の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:A型ゼラチン、B型ゼラチン、ポリリン酸塩、アラビアゴム、アルギン酸塩、キトサン、カラゲナン、ペクチン、低メトキシルペクチン、デンプン、改変されたデンプン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オボアルブミン、ポリソルビタン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳タンパク質、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、菜種タンパク質、アルブミン、キサンタン、ジェランガム、寒天、コーシャゼラチン(kosher gelatin)、非コーシャゼラチン、ハラルゼラチン(Halal gelatin)、および非ハラルゼラチン、またはその組み合わせおよび混合物。開示する乳濁液で使用されることが可能な第一のポリマー成分の1つの特定の種類は、魚ゼラチンである。
【0028】
本明細書に開示する多数の例では、第一のポリマー成分は、約0〜約300のブルーム数(Bloom number)を有し得る。ブルーム数は、10℃で18時間ゲル化した6.67%溶液で形成されるゲル強度を表す。物質のブルーム数の決定は、当該技術分野で既知の方法によって達成され得る。一部の具体例では、第一のポリマー成分は、約0〜約50のブルーム数を有することが可能であり、他の例では、約51〜約300のブルーム数を有することが可能である。さらに別の具体例は、約0、約210、約220、または約240のブルーム数を有する第一のポリマー成分を包含する乳濁液を含む。第一のポリマー成分は、約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、または300のブルーム数を有することが可能であり、記述したどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得ると考慮される。
【0029】
添加物質
本明細書に開示する乳濁液、ならびに開示するマイクロカプセルおよび方法では、添加物質は、低界面張力を有し得る。例えば、適切な添加物質は、約20未満、約15未満、約11未満、約9未満、約7未満、約5未満、約3未満、約2未満、約1未満、または約0.5ダイン/cm未満の界面張力を有し得る。他の例では、添加物質は、約0.1〜約20、約1〜約15、約2〜約9、約3〜約9、約4〜約9、約5〜約9、約2〜約7、約0.1〜約5、約0.3〜約2、または約0.5〜約1ダイン/cmの界面張力を有し得る。さらに別の例では、添加物質は、約0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、または20.0の界面張力を有することができ、記述したどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。特定の例では、添加物質は、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0ダイン/cmの界面張力を有する海洋性油(marine oil)であり得る。添加物質は、また、約3.0、3.1、3.2、3.3、または3.4ダイン/cmの界面張力を有する藻類の油または真菌類の油であり得る。
【0030】
添加物質の界面張力は、当該技術分野で既知の方法によって決定される。例えば、添加物質から標準ゼラチン溶液への界面張力、または添加物質から蒸留水への界面張力は、Fisher Surface Tensiomatによって決定され得る。通常、標準ゼラチン溶液または蒸留水は、tensiomatの試料台に置かれた試料容器に注がれ得る。添加物質は、次いで、試料容器に加えらる。tensiomatの環が添加物質に浸されるように試料が持ち上げられる。界面張力は、使用されるどの実験装置によっても、添加物質と標準ゼラチン溶液の界面、または添加物質と蒸留水の界面を環が通り抜ける時に環の上にかかる下向きの力の尺度である。
【0031】
添加物質に対して本明細書に開示する界面張力測定値は、3.3%(重量/重量)のブルーム値240のコーシャ魚ゼラチン(例えば、LAPI製、Tuscany,Italy)、0.5%(重量/重量)アスコルビン酸ナトリウム、および0.33%(重量/重量)ポリリン酸塩の蒸留水溶解液を含む標準ゼラチン溶液(50℃)を用いて前述のように決定された値を参照する。
【0032】
開示する乳濁液ならびに開示するマイクロカプセルに存在し得る適切な添加物質は、水性混合物に完全に溶解しない任意の物質であり得る。添加物質は、固体、疎水性液体、または固体と疎水性液体の混合物であり得る。本明細書の多くの例では、添加物質は、長鎖多価不飽和脂肪酸、以下に挙げる具体例を含み得る。さらに、添加物質は、生物活性物質、栄養補助、および/または香料物質、またはその混合物および組み合わせを含み得る。他の例では、添加物質は、例えば、微生物油、および藻類の油(例えば、Crypthecodinium cohnii等の渦鞭毛藻類由来の油)、または真菌類の油(例えば、Thraustochytrium、Schizochytrium、またはその混合物に由来する油)、および/または植物油、またはその混合物および組み合わせを含み得る。
【0033】
さらに他の例では、開示する乳濁液(およびマイクロカプセル)は、天然および精製および濃縮魚油等の海洋性油を含み得る。適切な魚油の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:大西洋魚油、太平洋魚油、地中海魚油、軽く加圧した魚油、アルカリ処理魚油、加熱処理魚油、淡褐色および暗褐色の魚油、カツオ油、ピルチャード油、マグロ油、シーバス油、ハリバ油、フウライカジキ油、バラクーダ油、タラ油、メンハーデン油、イワシ油、カタクチイワシ油、カラフトシシャモ油、大西洋タラ油、大西洋ニシン油、大西洋サバ油、大西洋メンハーデン油、サケ科魚類油、およびサメ油、またはその混合物および組み合わせ。非アルカリ処理魚油も、適切な添加物質である。本明細書での使用に適した他の海洋性油として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:イカ魚油、甲イカ油、タコ油、オキアミ油、アザラシ油、鯨油等、またはその混合物および組み合わせを含む。任意の海洋性油および海洋性油の組み合わせは、開示する組成物で、およびそれらを調製するために開示する方法で使用され得る。
【0034】
ω3脂肪酸
本明細書に開示する多くの微生物油、藻類の油、真菌類の油、植物油、および海洋性油は、ω3脂肪酸を含む。本明細書に開示するそのようないくつかの乳濁液(およびマイクロカプセル)は、ω3脂肪酸、ω3脂肪酸のアルキルエステル、ω3脂肪酸のトリグリセリドエステル、ω3脂肪酸のフィトステロールエステル、および/またはその混合物および組み合わせを含む添加物質を含有し得る。
【0035】
ω3脂肪酸は、その終端としてCH−CH−CH=CH−を含む不飽和脂肪酸である。通常、ω3脂肪酸は、以下の式を有する:
【0036】
【化1】

式中、
は、少なくとも1つの二重結合を含むC−C40アルキル基またはアルケニル基であり、Rは、H基またはアルキル基である。本明細書で使用するように用語「アルカン」または「アルキル」は、飽和炭化水素基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等)である。本明細書で使用するように用語「アルケン」または「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む炭化水素基である。(AB)C=C(CD)等の非対称構造は、EおよびZの異性体(トランスおよびシス)の両方を含むこと目的とする。別の例では、Rは、C−C38、C−C36、C−C34、C10−C32、C12−C30、C14−C28、C16−C26、またはC18−C24のアルケニル基であり得る。さらに別の例では、Rのアルケニル基は、2〜6、3〜6、4〜6、または5〜6の二重結合を有し得る。さらに、Rのアルケニル基は、1、2、3、4、5、または6の二重結合を有することもあり、記述したどの値も必要に応じて上部または下部の終点を形成し得る。
【0037】
添加物質に適したω3脂肪酸の具体例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:リノレン酸(18:3ω3)、オクタデカテトラエン酸(18:4ω3)、エイコサペンタエン酸(20:5ω3)(EPA)、ドコサヘキサエン酸(22:6ω3)(DHA)、ドコサペンタエン酸(22:5ω3)(DPA)、またはその誘導体および混合物を含む。他の具体例では、添加物質は、ドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸、そのC−Cアルキルエステル、そのトリグリセリドエステル、そのフィトステロールエステル、および/またはその混合物を含み得る。
【0038】
その他の脂肪酸
開示する乳濁液(およびマイクロカプセル)に存在し得る適切な添加物質の他の例は、炭素原子を少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、または少なくとも20含む。一部の他の例では、添加物質は、炭素原子を約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45含むことあり、記述したどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。さらに他の例では、添加物質は、さまざまな炭素原子数を有する脂肪酸の混合物(その誘導体を含む)を含み得る。例えば、添加物質は、約8〜約40、約10〜約38、約12〜約36、約14〜約34、約16〜約32、約18〜約30、約20〜約28の炭素原子を含み得る。
【0039】
さらに添加物質の一部の例は、少なくとも1つの不飽和結合(すなわち、炭素−炭素二重結合または三重結合)を含むものがある。例えば、添加物質は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または少なくとも8つの炭素−炭素二重結合、三重結合、またはその任意の組み合わせを含み得る。別の例では、添加物質は、不飽和結合を1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つ含むこともあり、記述したどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。
【0040】
不飽和脂肪酸である添加物質の一部の具体例は、以下の表に示す。これらの脂肪酸の誘導体も適切であり、従って本明細書で考慮している。
【0041】
【表1】

不飽和結合を妨げる少なくとも1対のメチレンを含む不飽和脂肪酸も、添加物質に適している。「不飽和結合を妨げるメチレン」は、1つの炭素−炭素二重結合または三重結合が、少なくとも1つのメチレン基(すなわち、CH)によって別の炭素−炭素二重結合または三重結合から分離されることを意味する。そのような添加物質の具体例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:9、12、15〜16:3に由来するn−1族;9、12、15〜17:3、15:3、17:3、17:4、20:4に由来するn−2族;9、12、15〜18:3、15:2、15:3、15:4、16:3、16:4、18:3(α−リノレン酸)、18:4、18:5、20:2、20:3、20:4、20:5(EPA)、21:5、22:3、22:5(DPA)、22:6(DHA)、24:3、24:4、24:5、24:6、26:5、26:6、28:7、30:5に由来するn−3族;9、12〜16:2、16:2、16:3、18:2、18:3に由来するn−4族;9、12〜17:2、15:2、17:2、17:3、19:2、19:4、20:3、20:4、21:4、21:5に由来するn−5族;9、12〜18:2、15:2、16:2、18:2(リノール酸)、18:3(γ−リノレン酸)、20:2、20:3、20:4(アラキドン酸)、22:2、22:3、22:4(アドレン酸)、22:5、24:2、24:4、25:2、26:2、30:4に由来するn−6族;9〜16:1、15:2、16:2、17:2、18:2、19:2に由来するn−7族;9〜17:1、15:2、16:2、17:2、18:2、19:2に由来するn−8族;9〜18:1、17:2、18:2、20:2、20:3、22:3、22:4に由来するn−9族;n−11族の19:2、およびn−12族の20:2。1つの特定の具体例では、添加物質はアラキドン酸を含み得る。
【0042】
上記の段落(および全体を通して)では、化合物は、最初に、「n−x族」を参照することによって同定される。ここでxは、最初に二重結合が始まる脂肪酸の位置を示す。番号の付け方は、脂肪酸の末端の終わりから始まる。例えば、末端のCH基は位置1と指定される。この意味で、n−3族は、上述のようにω3脂肪酸である。次の数は、脂肪酸の炭素原子の総数を同定する。コロンに続く3番目の数は、脂肪酸の二重結合の総数を示す。例えば、n−1族の16:3は、二重結合を3つ有する16の炭素長の脂肪酸を言う。各二重結合はメチレンによって分離され、第一の二重結合は、位置1(すなわち、脂肪酸の末端側終端)から始まる。別の例では、n−6族の18:3は、位置6(すなわち、脂肪酸の末端側終端から6番目の炭素)から始まる、メチレンで分離された二重結合を3つ有する、18の炭素長の脂肪酸を言う。
【0043】
不飽和結合を妨げる少なくとも1対のメチレンを含む添加物質の別の例を、表2に示す。
【0044】
【表2】

共役不飽和結合を含む適切な添加物質の具体例として挙げられるものを、表3に示すがこれらに限定されない。「共役不飽和結合」は、少なくとも1対の炭素−炭素二重結合および/または三重結合が、それらの間にメチレン(CH)基なしで(例えば、―CH=CH−CH=CH―)結合されることを意味する。
【0045】
【表3】

適切な添加物質の上記例では、開示する添加物質の誘導体も、使用され得る。「誘導体」とは、脂肪酸のエステル(例えば、メチルエステルおよびエチルエステル)、脂肪酸塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、ならびにトリグリセリド、ジグリセリド、およびモノグリセリドの誘導体を意味する。
【0046】
本明細書に開示する添加物質は、また、本明細書に開示する供給源由来の粗製油、半精製油(アルカリ精製油とも呼ばれる)、または精製油であり得る。さらに、開示する組成物および方法では、再エステル化トリグリセリドを含む油を使用してもよい。
【0047】
開示する添加物質のうちの1つまたは複数が使用可能であることが本明細書で考慮される。例えば、開示する乳濁液(およびマイクロカプセル)は、2つ以上の異なる添加物質を含有可能である。さらに、添加物質は、乳濁液重量の約1%〜約50%の量で存在してもよい。具体例では、添加物質は、約1%〜約40%、約1%〜約30%、約1%〜約20%、約1%〜約15%、または約1%〜約10%の量で存在してもよい。
【0048】
特定の乳濁液
開示する乳濁液は、本明細書に開示する任意の第一のポリマー成分および任意の添加物質を含み得る。一部の具体例では、以下を含むがこれらに限定されない:240ブルームのフッシュゼラチンである第一のポリマー成分、微生物油である添加物質、および約9〜約11のpH。別の具体例では、開示する乳濁液は、240ブルームのフッシュゼラチンである第一のポリマー成分、微生物油である添加物質、および約3.5〜約4.9のpHを有し得る。さらに別の具体例では、開示する乳濁液は、0ブルームのフッシュゼラチンである第一のポリマー成分、微生物油である添加物質、および約9〜約11のpHを有し得る。さらに別の具体例では、開示する乳濁液は、0ブルームのフッシュゼラチンである第一のポリマー成分、微生物油である添加物質、および約3.5〜約4.9のpHを有し得る。
【0049】
開示する乳濁液は、さらに、界面活性剤を含み得る。そのような界面活性剤は、第一のポリマー成分として使用され得る任意の界面活性剤に加えて使用可能である。適切な界面活性剤の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:トリオレイン酸ソルビタン(Span85)、トリステアリン酸ソルビタン(Span65)、セスキオレイン酸ソルビタン(Arlacel83)、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン(Span80)、モノステアリン酸ソルビタン(Span60)、モノパルミチン酸ソルビタン(Span40)、モノラウリン酸ソルビタン(Span20)、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween65)、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween85)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール 400、ポリソルベート60(Tween60)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリソルベート80(Tween80)、ポリソルベート40(Tween40)、およびポリソルベート20(Tween20)、ならびにその混合物および組み合わせ。
【0050】
マイクロカプセル
第一のマイクロカプセルの凝集体および添加物質を含むマイクロカプセルも本明細書に開示する。個々の第一のマイクロカプセルそれぞれは、第一の殻を有する。添加物質は、第一の殻によって被包され、その塊が外殻によって被包される。開示するマイクロカプセルでは、添加物質は、本明細書に開示するどの添加物質(例えば、上記に開示する乳濁液等)であってもよい。一部の具体的な添加物質は、本明細書で開示し、約20ダイン/cm未満、約15ダイン/cm未満、また約9ダイン/cm未満(例えば、2〜約9ダイン/cm)の界面張力を有する長鎖多価不飽和脂肪酸を含むが、これらに限定されない。
【0051】
開示するマイクロカプセルの第一の殻および/または外殻は、開示する乳濁液の第一のポリマー成分用に上記に開示するどの物質も含み得る。例えば、第一の殻および/または外殻は、界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸塩、ポリサッカライド、またはその混合物を含み得る。さらに、適切な第一の殻および/または外殻の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:A型ゼラチン、B型ゼラチン、ポリリン酸塩、アラビアゴム、アルギン酸塩、キトサン、カラゲナン、ペクチン、低メトキシルペクチン、デンプン、改変されたデンプン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オボアルブミン、ポリソルビタン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳タンパク質、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、菜種タンパク質、アルブミン、キサンタン、ジェランガム、寒天、コーシャゼラチン、非コーシャゼラチン、ハラルゼラチン、非ハラルゼラチン、またはその混合物。別の例では、第一の殻および/または外殻は、フィッシゼラチンを含み得る。
【0052】
開示する乳濁液の第一のポリマー成分用に上で述べたように、開示するマイクロカプセルの第一の殻および/または外殻は、約0〜約300、約0〜約50、または約51〜約300のブルーム数を有するゼラチンを含み得る。開示する乳濁液の第一のポリマー成分用に本明細書に開示する任意のブルーム数(例えば、約0、約210、約220、または約240)は、開示するマイクロカプセルの第一の殻および/または外殻用に本明細書で使用され得る。
【0053】
開示する多くのマイクロカプセルでは、第一の殻および/または外殻は、複合コアセルベートを含み得る。例えば、第一の殻および/または外殻は、ゼラチンとポリリン酸塩とのコアセルベートを含み得る。他の例では、第一の殻および/または外殻は、ゼラチンとアルギン酸塩、ゼラチンとペクチン(例えば、低メトキシルペクチン)、ゼラチンとアラビアゴム、ゼラチンとキサンタン、ゼラチンと乳漿タンパク質、ゼラチンと大豆タンパク質、乳清とジェランガム、乳清と寒天、乳清とジェランガムと寒天、および乳清とペクチンとのコアセルベートを含み得る。
【0054】
開示するマイクロカプセルでは、外殻を含む凝集体全体の平均直径は、約1μm〜約2,000μm、約20μm〜約1,000μm、または約30μm〜約80μmであり得る。別の例では、マイクロカプセルの平均直径は、約1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、または2,000μmであり得、記述するどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。
【0055】
開示するマイクロカプセルの第一のマイクロカプセルは、約40nm〜約10μm、または約0.1μm〜5μmの平均直径を有し得る。別の例では、第一のマイクロカプセルの平均直径は、約40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1,000nm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μmであり得、記述するどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。
【0056】
粒径は、当該技術分野で既知の一般的な装置のいずれか(例えば、Coulter LS230 Particle Size Analyzer,米国フロリダ州マイアミ)を用いて測定され得る。
【0057】
本明細書に開示するマイクロカプセルは、一般に、高ペイロードおよび高構造強度の組み合わせを有する。例えば、添加物質のペイロードは、マイクロカプセルの20〜90重量%、50〜70重量%、または60重量%であり得る。他の例では、開示するマイクロカプセルは、マイクロカプセルの約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90重量%を含むことが可能であり、記述するどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。
【0058】
開示するマイクロカプセルの1つの具体例では、第一の殻および外殻は、240ブルームの魚ゼラチンとポリリン酸ナトリウムとのコアセルベートを含むことが可能であり、添加物質は、微生物油であり得る。別の具体例では、第一の殻および外殻は、0ブルームの魚ゼラチンとポリリン酸ナトリウムとのコアセルベートを含むことが可能であり、添加物質は、微生物油であり得る。
【0059】
マイクロカプセルの外殻上に1つまたは複数の付加的殻層が配置され得ることも考慮される。国際公開WO第2004/041251A1号(開示内容全体が参考として援用する)に記述される技法は、マイクロカプセルに付加的な殻層を加えるために使用され得る。
【0060】
抗酸化剤
本明細書に開示する乳濁液およびマイクロカプセルは、また、抗酸化剤を含み得る。抗酸化剤の適切な例は、フェノール類化合物、植物抽出物、またはイオウ含有化合物を含むが、これらに限定されない。本明細書に開示するいくつかの例では、抗酸化剤は、アスコルビル酸またはその塩(例えば、アスコルビル酸ナトリウム)であり得る。他の例では、抗酸化剤は、アスコビル脂肪酸エステル(例えば、パルミチン酸アスコビル)、植物抽出物(例えば、ローズマリー油、セージ油、およびオレガノ油)、藻類抽出物、および合成抗酸化剤(例えば、BHT、TBHQ、エトキシキン、没食子酸アルキル、ヒドロキノン、トコトリエノール)等のより極性の高い抗酸化物質からなるビタミンE、CoQ1O、トコフェロール、可溶性脂質誘導体であり得る。
【0061】
乳濁液の生成方法
本明細書に開示する乳濁液の調製方法も説明する。一般に、開示する乳濁液は、第一のポリマー成分と添加物質との水性混合物をもたらすこと、およびその混合物を乳化することによって調製され得る。これらの方法では、添加物質は、乳濁液および/またはマイクロカプセル用に本明細書に開示するどの添加物質でもよい。例えば、添加物質は、長鎖多価不飽和脂肪酸を含むことが可能であり、約15ダイン/cm未満の界面張力を有し得る。さらに、添加物質は、水性混合物の約1〜約50重量%の量でもたらされ得る。第一のポリマー成分は、また、乳濁液および/またはマイクロカプセル用として本明細書に開示する第一のポリマー成分のどれであってもよい。
【0062】
乳濁液を調製するために開示するプロセスでは、混合物のpHは、約6.0を超える、または約5.0未満(例えば、約3.5〜約4.9、または約9.0〜約11.0)である。開示するプロセスで適切な他の具体的なpHは、本明細書で乳濁液用として開示する。約6.0を超えるpHを得るためには、本明細書で記述するように塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム)を混合物に加えることによって達成され得る。約5.0未満のpHを得るためには、本明細書で記述するように酸性物質(例えば、リン酸)を混合物に加えることによって達成され得る。所望のpHに達成するために加えられる塩基性物質および/または酸性物質の量は、当業者が塩基性物質または酸性物質を加えながら混合物のpHをモニタリングすることによって決定し得る。さらに、混合物は、乳化の前、乳化の間、および/または乳化後に、約6.0を超えるpHまたは5.0未満のpHを有し得る。
【0063】
混合物の乳化は、当該技術分野で既知の方法および装置(例えば、均質化および高圧/高せん断のポンプ)によって達成され得る。例えば、乳化は、約1,000〜約15,000rpmで乳化することによって行われ得る。乳化工程は、混合物から試料を取り出し、顕微鏡、光散乱、濁度等の方法下で分析することによってモニターされ得る。通常、約1,000、750、500、100、または10nm未満の平均液滴径が得られるまで、乳化は行われ得る。理論によって縛られることを望まずに、乳化速度を変えることによって、単一またはマルチコアのマイクロカプセルを生成可能である。例えば、低乳化速度(例えば、1,000〜2,000rpm)を用いると、添加物質の液滴は、カプセル封入後に単一コアマイクロカプセルを生成する単一粒子を形成するのに十分な大きさになる。逆に、高乳化速度(例えば、5,000〜15,000rpm)を用いると、結果として生じる添加物質の液滴は、通常、小さくなる(例えば、1〜10μm)。カプセル封入後にマルチコアマイクロカプセルの形成をもたらすよう、pHおよび/または温度を調整すると、これらの小さい液滴は、より高い表面エネルギーを有することが可能になり、容易に凝集体を形成し得る。
【0064】
乳化工程は、室温を超える温度で、30、40、50、60、70、または80℃を超える温度で行われることが可能であり、記述するどの値でも適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。具体例は、約30℃〜約60℃、または約40℃〜約50℃で混合物を乳化することを含む。
【0065】
本明細書で記述する抗酸化剤は、水性化合物に添加され得ることが、さらに考慮される。そのような抗酸化剤は、乳化工程の前、乳化工程の間、および/または乳化工程の後に添加され得る。
【0066】
開示する乳濁液は調製されてから、脱水され得ることも考慮される。乳濁液を脱水する方法は、当該技術分野で既知の方法であり、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0067】
本明細書に開示する乳濁液を調製する一部の特定のプロセスは、240ブルームの魚ゼラチンである第一のポリマー成分、微生物油である添加物質、および約9〜約11のpHの使用を含む。他の例は、240ブルームの魚ゼラチンである第一のポリマー成分、微生物油である添加物質、および約3.5〜約4.9のpHの使用を含む。別の例は、0ブルームの魚ゼラチンである第一のポリマー成分、微生物油である添加物質、および約9〜約11のpHの使用を含む。さらに他の例は、0ブルームの魚ゼラチンである第一のポリマー成分、微生物油である添加物質、および約3.5〜約4.9のpHの使用を含む。
【0068】
また、本明細書でも記述する界面活性剤または界面活性剤の混合物を付加的に加えることが考慮される。そのような界面活性剤は、乳化工程の前、乳化工程の間、および/または乳化工程の後に添加され得る。
【0069】
マイクロカプセルの生成方法
本明細書に開示するマイクロカプセルの調製方法も記述する。一般に、本明細書に開示するのは、マイクロカプセルの調製プロセスであり、約6.0を超えるpHまたは約5.0未満のpHを有し、第一のポリマー成分および添加物質を含む乳濁液を提供することと;第二のポリマー成分を該乳濁液に添加することと;第一および第二のポリマー成分を含み、かつ添加物質を囲む第一の殻材料を含む水性混合物を形成するために、pH、温度、濃度、混合速度、またはその組み合わせを調整することと;第一の殻材料が凝集体を形成するまで、水性混合物を第一の殻材料のゲル化点より上の温度まで冷却することと;凝集体の周りに外殻を形成するために水性混合物をさらに冷却することとを含む。
【0070】
本明細書に開示するマイクロカプセルを調製するプロセスでは、乳濁液は、本明細書に開示する乳濁液の調製と同じ方法によってもたらされ得る。すなわち、本明細書に開示する任意の乳濁液も、本明細書に開示する任意のマイクロカプセルを調製するために開示する方法での使用に適している。さらに、乳化温度は、約30℃〜約60℃、または約40℃〜約50℃で開始可能である。また、乳化は、第一のポリマー成分および添加物質の混合物を高せん断状態(例えば、約1,000〜約15,000rpm)に曝露することにより達成され得る
マイクロカプセルを調製するために開示する方法では、乳濁液およびマイクロカプセルに関して本明細書に開示する第一のポリマー成分および添加物質のいずれも使用され得る。また、添加物質は、水性混合物の約1〜約50重量%の量で用いられ得る。
【0071】
また、乳濁液のpHおよび/または水性混合物のpHは、約6を超えるまたは約5未満(例えば、約3.5〜約4.9、約9.0〜約11.0、または本明細書に開示するpHのいずれか)であり得る。約6.0を超えるpHの乳濁液および/または水性混合物は、本明細書に開示するように塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム)を加えることにより達成され得る。同様に、約5.0未満の乳濁液および/または水性混合物は、本明細書に開示するように酸性物質(例えば、リン酸)を加えることにより達成され得る。本明細書に開示するpH範囲のいずれも、開示するマイクロカプセルの調製方法に望ましい。本明細書に開示するマイクロカプセルを調製する方法で乳濁液および/または水性混合物のpHの決定は、当該技術分野で既知の方法(例えば、pHメーター、滴定等)によって達成され得る。
【0072】
本明細書に記述するように約6.0を超えるおよび約5.0未満のpHを有する乳濁液の使用は、特筆すべき特徴である。特に、高い界面張力を有する添加物質は、一般的に、複合コアセルベーションプロセスを通して持続する安定な乳濁液を生成し、被包された凝集体をもたらす。しかし、本明細書に明示するように、添加物質が低界面張力を有するとき、一般的に乳濁液は、安定でなく、せん断後、または複合コアセルベーションの間に合一し、マルチコア微粒子よりむしろ単一コアを生成する。低界面張力を有する乳化油のpHを下げるまたは上げることにより、乳濁液を安定させ、マルチコアマイクロカプセルをもたらす。
【0073】
開示する方法で使用される第二のポリマー成分は、第一のポリマー成分に関して本明細書に開示する物質のいずれかであり得る。例えば、第二のポリマー成分は、界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸塩、ポリサッカライド、またはその混合物を含み得る。第二のポリマー成分の他の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:A型ゼラチン、B型ゼラチン、ポリリン酸塩、アラビアゴム、アルギン酸塩、キトサン、カラゲナン、ペクチン、低メトキシルペクチン、デンプン、改変されたデンプン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オボアルブミン、ポリソルビタン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳タンパク質、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、菜種タンパク質、アルブミン、キサンタン、ジェランガム、寒天、コーシャゼラチン、非コーシャゼラチン、ハラルゼラチン、および非ハラルゼラチン、またはその混合物および組み合わせ。特定の例では、第二のポリマー成分は、ポリリン酸塩であり得る。
【0074】
第二のポリマー成分を添加した後、結果として生じる混合物のpHは、乳濁液に関して本明細書に開示するpHと同じであり得る。すなわち、pHは、本明細書に開示するいずれのおよびすべての値の範囲および点を含み、約6.0を超えるまたは5.0未満であり得る。
【0075】
開示する方法では、第一および第二のポリマー成分を含み、かつ添加物質を囲む第一の殻材料を含む水性混合物を形成するために、pH、温度、濃度、混合速度、またはその組み合わせを調整可能である。pH調整は、形成される殻材料の種類に依存する。例えば、pHは、3.5〜5.0、または4.0〜5.0の値に調整され得る。混合物の開始pHが所望の範囲である場合、pH調整はほとんど必要でない。一態様では、水性混合物の開始温度は、約20℃〜約60℃、または約30℃〜約50℃である。形成する間にマイクロカプセルを壊すことなく十分に混合するように混合工程を調整可能である。特定の混合パラメータは、使用される装置の種類に依存する。当該技術分野で周知の種々の種類の混合装置のいずれも、使用可能である。1つの例では、例えばLightnin A310またはA510の軸流羽根車が使用され得る。
【0076】
本明細書に開示する多くの例では、開示するマイクロカプセルの第一の殻および外殻は、複合コアセルベートを含み得る。複合コアセルベートは、第一のおよび第二のポリマー成分から形成可能である。例えば、第一の殻および外殻は、ゼラチンとポリリン酸塩との複合コアセルベートを含み得る。第一のおよび第二のポリマー成分のすべての組み合わせは、本明細書では複合コアセルベート用ならびに第一の殻および外殻用として考慮される。
【0077】
水性混合物は、次いで、制御された冷却速度および混合パラメータ下で冷却され、第一の殻の凝集体が被包された第一の殻の凝集体を形成することを可能にする。理論によって縛られることを望まずに、被包された凝集体は、それ自体が離散した粒子である。殻材料のゲル化点より高い温度で被包される凝集体の形成を制御し、過剰な殻材料をより厚い外殻に形成させることは有利である。この段階で、外殻を厚くするためおよび/または異なる組成物からなる第一の殻および外殻を有するマイクロカプセルを生成するために、さらにポリマー(同じポリマーまたは異なるポリマー)を、追加することも可能である。外殻は第一の殻の凝集体を被包して、被包された強固な凝集体のマイクロカプセルを形成する。
【0078】
水性混合物の冷却は、当該技術分野で既知の方法(例えば、冷却装置の使用)によって達成され得る。冷却の速度は、約1〜約100分あたり約1℃であり得る。例えば、冷却速度は、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100分あたり約1℃であり得、記述するどの値も適切な場合、上部または下部の終点を形成し得る。特定の例では、冷却速度は約1℃/5分であり得る。混合物が約5℃〜約10℃(例えば、約5℃)の温度に達成するまで、冷却は行われ得る。
【0079】
加工助剤は、殻材料(例えば、第一の殻または外殻)に含ませることが可能である。加工助剤は、様々な理由で使用されることがある。例えば、加工助剤は、第一のマイクロカプセルの凝集の促進、乳濁液系の安定化、外殻の特性の改善、マイクロカプセル径の制御のために、および/または抗酸化剤として作用するために、使用可能である。一態様では、加工助剤は、乳化剤、脂肪酸、脂質、ワックス、微生物細胞(例えば、酵母細胞系)、粘土、または無機化合物(例えば、炭酸カルシウム)であり得る。理論によって縛られることを望まずに、これらの加工助剤は、マイクロカプセルのバリア特性を改善可能である。一態様では、1つまたは複数の抗酸化剤が殻材料に添加され得る。抗酸化特性は、プロセスの間(例えば、コアセルベーションおよび/または噴霧乾燥の間)および形成後のマイクロカプセルの状態で(例えば、有効期間を延ばすために)も有用である。好ましくは、多数の機能を果たす少数の加工助剤が使用され得る。一態様では、抗酸化剤は、フェノール化合物、植物抽出物、またはイオウ含有アミノ酸であり得る。一態様では、アスコルビン酸(またはアスコルビン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸カリウム等のその塩)は、第一のマイクロカプセルの凝集を促進するため、マイクロカプセル径の制御するため、および抗酸化剤として作用するために使用されることがある。抗酸化剤は、約100ppm〜約12,000ppm、または約1,000ppm〜約5,000ppmの量で使用され得る。例えば、金属キレート剤等の他の加工助剤も、同様に使用可能である。例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸は、添加物質の接触酸化を減少させることが可能な金属イオンを結合させるために使用され得る。
【0080】
開示するマイクロカプセルでは、殻材料も架橋結合され得る。従って、開示する方法は、さらに架橋剤の負荷を含み得る。架橋剤が添加されて、外殻および第一の殻の両殻材料を架橋結合することによってマイクロカプセルの剛性をさらに高めることが可能であり、水媒体および油性媒体の両方に対して両殻を不溶性にすることが可能である。一態様では、架橋剤は、マイクロカプセルの外殻が生成されてから添加される。任意の適切な架橋剤を使用することが可能であり、架橋剤の選択は、第一および第二のポリマー成分の選択によって変化し得る。一態様では、架橋剤は、酵素的架橋剤(トランスグルタミナーゼ)、アルデヒド(ホルムアルデヒドまたはグルテルアルデヒド)、タンニン酸、ミョウバン、またはその混合物であり得る。別の態様では、架橋剤は、植物抽出物またはフェノール類であり得る。1つまたは複数の添加物質(例えば、抗酸化剤)が架橋剤とともに使用され得ることも考慮される。生命体に生物活性物質を送達するためにマイクロカプセルが使用されるとき、架橋剤は、好ましくは無毒であるまたは十分に低毒性である。使用される架橋剤の量は、選択される成分に依存し、かつ大体所望のように構造的剛性をもたらすように調整され得る。一態様では、使用され得る架橋剤の量は、第一のポリマー成分の約0.1〜約5.0重量%、約0.5〜約5.0重量%、約1.0〜約5.0重量%、約2.0〜約4.0重量%、または約2.5重量%の量である。一般に、当業者は、どのような場合でも簡単な実験によって所望の量を常に決定し得る。架橋剤は、プロセスのどの段階でも添加可能であるが、一般的に、冷却工程の後に添加され得る。
【0081】
さらに、開示するマイクロカプセルは、流動性粉末をもたらすために、水で洗浄されおよび/または乾燥され得る。従って、開示する方法は、マイクロカプセルのための乾燥工程を含み得る。乾燥は、当該技術分野で既知のいくつかの方法(例えば、凍結乾燥、エタノール乾燥、または噴霧乾燥)によって達成され得る。一態様では、噴霧乾燥は、マイクロカプセルを乾燥させるために使用され得る。噴霧乾燥法は、“Sray Drying Handbook”(K.Masters,5th edition,Longman Scientific Technical UK,1991)に開示され、その開示内容が参考として本明細書に援用する。1つの例では、マイクロカプセルは、亜鉛による同時噴霧乾燥が行われ得る。
【0082】
製剤ビヒクル
また、本明細書に開示するのは、本明細書に開示するマイクロカプセルおよび/または乳濁液を含む製剤ビヒクルである。本明細書に記述する乳濁液および/またはマイクロカプセルのいずれも、製剤ビヒクルに組み入れられ得る。製剤ビヒクルの例として、本明細書では以下が挙げられるが、これらに限定されない:食料品、飲料、栄養補助剤、医薬品製剤、ローション剤、クリーム剤、または噴霧剤。他の具体例の一部では、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルは、ゲル、ゲルカプセル、または錠剤に組み入れられ得る。他の媒体は、粉末またはポリマーで被覆された粉末を含む。そのような媒体は、経口で与えられ得る。または、例えば粉末の場合、食料または飲料に振りかけることも可能である。
【0083】
栄養補助剤
また、本明細書に開示するのは、本明細書に開示する乳濁液およびマイクロカプセルを含む栄養補助剤である。栄養補助剤は、栄養(ビタミン、ミネラル、必須微量元素、アミノ酸、ペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド、脂質、コレステロール、ステロイド、炭水化物等)を与える、供給する、または増加させるために、被験体に投与され得る、または被験体によって摂取され得る任意の化合物または組成物である。例えば、栄養補助剤は、本明細書に開示する添加物質を1つまたは複数含む組成物を含み得る。
【0084】
栄養補助剤は、本明細書に開示する乳濁液およびマイクロカプセルの任意の量を含み得るが、一般的に、所望用量の添加物質(例えば、EPAおよび/またはDHA)を被験体に供給するために決定された量を含有する。栄養補助剤で必要とされる乳濁液またはマイクロカプセルの正確な量は、種、年齢、体重、および被験体の全身症状、治療される何らかの食事性欠乏症の重症度、特定の投与モード等により、被験体によって異なる。従って、すべての栄養補助剤の正確な量を特定することはできない。しかし、所定の実験だけによって得られた本明細書の教示を用いて当業者は、適量を決定可能である。
【0085】
栄養補助剤は、また、他の栄養(例えば、ビタミン、他の微量元素、ミネラル等)を含み得る。さらに、栄養補助剤は他の成分(例えば、保存剤、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤)を含み得る。
【0086】
栄養補助剤は、通常、経口で摂取され、かつ経口投与に適したいかなる形態でもあり得る。例えば、栄養補助剤は、一般的に錠剤、ゲルカプセル、カプセル、液体、小袋、またはシロップ形態であり得る。
【0087】
栄養補助剤は、所定の個体に対して推奨される食事摂取に基づいて、ヒト用または動物用に設計可能である。そのような考慮すべき事項は、種々の因子(例えば、上述のように種、年齢、および性別)に基づき、それらはすでに既知である、あるいは当業者によって決定され得る。1つの例では、開示する栄養補助剤は、以下に挙げるがこれらに限定されない動物の飼料成分として使用され得る:家畜(例えば、ブタ、ニワトリ、ウシ、ヤギ、ウマ等)および家庭用ペット(例えば、ネコ、イヌ、鳥等)。
【0088】
医薬品製剤
また、開示する乳濁液およびマイクロカプセルを含む医薬品製剤を、本明細書に開示する。適切な医薬品製剤は、薬学的に許容される担体を有する開示する組成物のいずれかを含み得る。例えば、医薬品製剤は、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルのうちの1つまたは複数および薬学的に許容される担体を含み得る。開示する医薬品製剤は、治療的にまたは予防的に使用可能である。
【0089】
「薬学的に許容される」とは、生物学的でないあるいは望ましくない物質ではない、すなわち、その物質は、何ら望ましくない生物学的な効果を引き起こすことなく、または医薬品製剤に含まれるいかなる他の成分と有害な様式で相互作用することなく被験体に投与され得ることを意味する。担体は、当然ながら、当業者に周知のように、有効成分の何らかの分解を最小限に抑えるために、および被験体における何らかの副作用を最小限に抑えるために選択される。
【0090】
医薬担体は、当業者に既知である。これらの最も一般的なものは、ヒトへの薬物投与のための標準担体であり、例えば、滅菌水、生理食塩水、および生理的pHの緩衝液等の溶液を含む。適切な担体およびそれの製剤は、以下に記述されており、担体および医薬品製剤に関するその教示を参照することによって本明細書に援用する:Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Philidelphia,PA,2005。一般的に、適量の薬学的に許容される塩は、等張製剤をもたらすために製剤で使用される。薬学的に許容される担体の例としては、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限定されない。溶液のpHは、約5〜約8(例えば、約7〜約7.5)であり得る。さらに、担体は、開示する化合物を含有する疎水性固体ポリマーの半透性基質として徐放性製剤を含み、その基質は、造形品(例えば、フィルム、リポソーム、微小粒子、またはマイクロパプセル)の形をしている。例えば、投与経路、投与される組成物の濃度によって、特定の担体がより好ましいこともあり得ることは、当業者に明らかである。他の化合物は、当業者が用いる標準手順によって投与され得る。
【0091】
医薬品製剤は、本明細書に開示する化合物に加えて、付加的な担体、ならびに増粘剤、希釈剤、緩衝剤、保存剤、表面活性剤等を含むことも可能である。医薬品製剤は、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤等の付加的な有効成分を1つまたは複数含むことも可能である。
【0092】
医薬品製剤は、局所療法または全身療法のいずれかを所望するかによって、および治療される部分によっていくつかの方法で投与され得る。投与は、局所的(経眼的、経膣的、経直腸的、鼻腔内を含む)、経口で、吸入で、または非経口(例えば、静脈内点滴、皮下注射、腹腔内注射、または筋肉内注射)であり得る。開示する化合物は、静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、膣内に、または経皮的に投与され得る。
【0093】
非経口投与用の製剤は、無菌水溶液または非水溶液、懸濁液、または乳濁液を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングルコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、海洋性油、および注射用有機エステル(例えば、エチルオレイン酸)がある。水性担体は、水、アルコール溶液/水溶液、および乳濁液または懸濁液を含み、これには生理食塩水および緩衝媒体が含まれる。非経口媒体としては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル液、および固定油等が挙げられる。静脈内媒体としては、流動および栄養補充液、電解質補充液(例えば、リンゲルデキストロースを基にしたもの)等が挙げられる。保存剤および他の添加剤(例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤)および不活性ガス等が存在していてもよい。
【0094】
局所投与用の医薬品製剤としては、以下が挙げられる:軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル化剤、点眼剤、座薬、噴霧剤、液剤、および散剤。従来の医薬担体、水性基剤、粉末基剤、または油性基剤、増粘剤等が望ましいこともある。
【0095】
経口投与用の医薬品製剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:散剤または顆粒剤、懸濁液もしくは水溶液もしくは非水性の媒体、カプセル、小袋、または錠剤。増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤も望ましいこともある。
【0096】
製剤の一部は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、およびリン酸)と有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビル酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、およびフマル酸)との反応によって、または無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム)と有機塩基(例えば、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、およびアリールアミン、並びに置換エタノールアミン類)との反応によって形成される薬学的に許容される酸付加塩または塩基付加塩として投与される可能性がある。
【0097】
食料品
また、本明細書で開示するのは、開示する乳濁液およびマイクロカプセルのいずれかを含む食料品である。「食料品」とは、被験体によって消費され得る物品(例えば、食べられ、飲まれ、または消化される)を意味する。1つの例では、開示する組成物は、食料品に添加される栄養補助剤として使用され得る。例えば、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルは、食品または飲料に添加され得る。この意味で、開示する組成物は、例えば、粉末の形態で調製されることが可能であり、開示する組成物を食品および飲料に注ぐまたは振りかけるために使用され得る小袋またはシェーカー等として物品に含有可能である。
【0098】
いくつかの例では、食料品は、焼いた食品、パスタ、肉製品、冷凍乳製品、乳製品、チーズ製品、卵製品、香辛料、スープミックス、スナック食品、ナッツ製品、植物タンパク質製品、ハードキャンデー、ソフトキャンデー、家禽生産食品、加工果汁、グラニュー糖(例えば、白砂糖またはブラウンシュガー)、ソース、グレイビー、シロップ、栄養補給バー、飲料、乾燥粉末飲料、ジャムもしくはゼリー、魚加工品、またはペットフードがある。他の例では、食料品は、パン、トルティーヤ、シリアル、ソーセージ、チキン、アイスクリーム、ヨーグルト、牛乳、サラダドレッシング、米ぬか、果汁、乾燥粉末飲料、液体飲料、ロールケーキ、クッキー、クラッカー、フルーツパイ、またはケーキがある。
【0099】
使用法
開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルは、また、種々の用途を有する。例えば、本明細書に開示するのは、本明細書に開示するようにマイクロカプセルおよび/または乳濁液を被験体に投与することによって添加物質を被験体に送達する方法である。また、開示するのは、本明細書に開示するように添加物質を被験体に送達するための薬物を調製するために、マイクロカプセルおよび/または乳濁液の使用である。
【0100】
特定の例では、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセル(開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルを含有する栄養補助剤、医薬品製剤、送達系、および食料品を含む)は、トリグリセリドを低下させ、生理化学に関連した糖尿病に影響する脂肪酸(例えば、ω3脂肪酸)の供給源として使用され得る。別の特定の例では、本明細書に開示するのは、その添加物質がω3脂肪酸を含む本明細書に開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルの有効量を投与することによって被験体にω3脂肪酸を補充する方法である。別の例では、本明細書に開示するのは、本明細書に開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルの有効量を投与することによって被験体のコレステロール濃度、トリグリセリド濃度、またはその組み合わせを低下させる方法である。
【0101】
ω3脂肪酸は、日常生活および機能にとって非常に重要である。例えば、血清トリグリセリドの低下に対するω3脂肪酸(例えば、シス−5,8,ll,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA)およびシス−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸(DHA)等)の有益な効果は、十分に確立されている。これらの化合物は、また、他の心保護的利点(例えば、不整脈の予防、動脈硬化性プラークの安定化、血小板凝集体の低減、および血圧の低下)で知られている。例えば、以下を参照:Dyrberg et al.,In: Omega−3 Fatty Acids:Prevention and Treatment of Vascular Disease. Kristensen et al.,eds.,Bi & Gi Publ.,Verona−Springer−Verlag,London,pp.217−26,1995;O’Keefe and Harris,Am.J. Cardiology 2000,85:1239−41;Radack et al,“The effects of low doses of omega−3 fatty acid supplementation on blood pressure in hypertensive subjects:a randomized controlled trial.” Arch. Intern. Med. 1991,151:1173−80;Harris,“Extending the cardiovascular benefits of omega−3 fatty acids.” Curr Atheroscler Rep 2005,7:375−80;Holub,“Clinical nutrition:4 omega−3 fatty acids in cardiovascular care.” CMAJ2002,166(5):608−15。実際に、American Heart Associationは、また、ω3脂肪酸が循環器疾患および心臓疾患の危険性を減少可能であると報告している。ω3脂肪酸の他の利点は、炎症疾患および神経変性疾患の予防および/または治療、ならびに認知発達の改善に関するものである。例えば、Sugano and Michihiro,“Balanced intake of polyunsaturated fatty acids for health benefits.” J. Oleo Sci.2001,50(5):305−11を参照。
【0102】
脂肪酸EPAおよびDHAは、α−リノレン酸(18:3)からヒト体内で合成可能であるが、この前駆体分子からの転換率は、限られている(Muskiet et al.,“Is docosahexaenoic acid (DHA) essential? Lessons from DHA status regulation,our ancient diet,epidemiology and randomized controlled trials.” J. Nutr. 2004,134(1):183−6)。従って、体内のEPAおよびDHAは、主として食物供給源(例えば脂肪分の多い魚)に由来する。魚油を多く含む食事は、心臓疾患、癌、関節炎、アレルギー疾患、および他の慢性疾患にとって多くの有益な効果を有することが知られている。疫学的臨床試験は、魚または魚油栄養補助剤の形でω3脂肪酸の食事摂取を増加させることにより、循環器疾患に関連する種々の危険因子を低減させることが可能になることを示した。例えば、以下を参照:The American Heart Association,Scientific Statement,“Fish Consumption,Fish Oil,Omega−3 Fatty Acids and Cardiovascular Disease,” November 2002; Appel et al.,“Does supplementaion of diet with ‘(fish oil’ reduce blood pressure? A meta−analysis of controlled clinical trials.” Arch. Intern. Med. 1993,153(12):1429−1438;GISSI−Prevenzione Investigators.“Dietary supplementation with omega−3 polyunsaturated fatty acids and vitamin E after myocardial infarction:results of the GISSI−Prevenzione trial.” Lancet 1999,354:447−55。
【0103】
EPAおよびDHA等のω3脂肪酸の循環器疾患の予防における利点についての強力な証拠にもかかわらず、良い効果をもたらすために推奨される毎日の摂取量0.65gと比較すると、北米人のこれらの脂肪酸の毎日の平均消費量は、0.1〜0.2gであると推定さる(Webb,“Alternative sources of omega−3 fatty acids.” Natural Foods Merchandiser 2005,XXVI(8):40−4)。集団の食習慣を変えることは難しく、また魚を食べたがらない人が多いので、EPAおよびDHAの食事補給は、この問題に取り組む重要なアプローチである。残念なことに、ω3脂肪酸の多くの栄養補助剤は、酸化に感受性が高く、臭いおよび味が悪くなることもある。さらに、食事補給のレジメンを順守することは規律を必要とするが、この規律は欠けてしまうことが多い。ω3脂肪酸の健康効果を考慮に入れて、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルは、ω3脂肪酸を被験体に送達するために使用可能である。
【0104】
開示する使用方法では、投与される乳濁液および/またはマイクロカプセルは、本明細書に開示するいずれかの組成物であり得る。例えば、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルは、本明細書に開示する栄養補助剤のいずれかの形態で開示する方法で使用され得る。別の例では、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルは、本明細書に開示する医薬品製剤のいずれかの形態で開示する方法で使用され得る。さらに別の例では、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルは、本明細書に開示する任意の送達系に組み入れられることが可能であり、または本明細書に開示する任意の食料品に組み入れられ、および開示する方法で使用され得る。
【0105】
本明細書に開示する方法は、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルの種々の形態で投与することによって達成され得ると考慮される。例えば、本明細書に開示する任意の食料品を有する任意の医薬品製剤を投与可能である。別の例では、本明細書に開示する任意の栄養補助剤による錠剤またはカプセルを投与可能である。さらに別の例では、本明細書に開示する任意の送達系および栄養補助剤等を有する任意の医薬品製剤を投与可能である。
【0106】
用量
上述の方法もしくは他の療法で、または本明細書に開示する栄養補助剤、医薬品製剤、送達系、もしくは食料品で用いられるとき、開示する乳濁液および/またはマイクロカプセルのうちの1つの「有効量」は、その物質だけを使用され得る、または薬学的に許容される賦形剤、担体、または他の添加剤を含む、含まずにかかわらず、そのような形態が存在する場合、薬学的に許容される塩の形で使用され得る。
【0107】
任意の特定の被験体に対する特定の有効量レベルは、治療される障害およびその障害の重症度;使用される特定の組成物の同一性および活性;患者の年齢、体重、全体的な健康、性別、および食事制限;投与時間;投与経路;使用される特定の組成物の排出速度;治療期間;使用される特定の組成物と併用してまたは同時に用いられる薬物、および医療技術分野で周知の因子を含む様々な因子に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するために必要とされる用量よりもより低いレベルから組成物の用量を開始して、所望の効果が達成されるまでその投薬量を徐々に増加していくことは当業者内では周知のことである。必要に応じて、有効な1日量は、投与目的のために複数回の投与に分けられることもあり得る。従って、単回投与の組成物は、1日量を構成するためにそのような量またはその約数量を含有することができる。
【0108】
何らかの反対徴候が見られる場合には、投薬量は、個々の医師または被験体によって調整可能である。投薬量は、1日または数日間、変化させることも可能であり、単回または複数回の投与で投与される得る。ガイダンスは、医薬品の所定のクラスに対する適切な投薬量に関する文献に見出され得る。
【0109】
さらに、開示するのは、本明細書に開示する栄養補助剤、医薬品製剤、送達系、および/または食料品のいずれかを被験体に投与することによって開示する組成物を被験体に送達する方法である。開示する組成物(栄養補助剤、送達系、および医薬品製剤を含む)は、一般的に、経口で投与され得る。
【実施例】
【0110】
以下の実施例は、開示する主題によって方法および結果を例証するために以下に記述する。これらの実施例は、本明細書に開示する主題のすべての態様を包含することではなくむしろ代表的な方法および結果を例証することを目的とする。これらの実施例は、当業者に明らかである本発明に相当するものおよびバリエーションを除外することを目的としない。
【0111】
数値(例えば、量、温度、pH等)に関して正確を期すように努力がなされたが、一部の誤差および偏差が占められるものとする。特に明記しない限り、部は重量部であり、温度は、摂氏または周辺温度であり、圧力は、大気圧またはほぼ大気圧である。条件については、種々のバリエーションおよび組み合わせがある(例えば、記述するプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために用いられ得る成分濃度、温度、圧力、および他の反応範囲と反応条件)。そのようなプロセス条件を最適化するために、適度で日常的な実験だけが必要とされる。
【0112】
本明細書に開示するいくつかの物質、化合物、組成物、および成分は、市販されているか、または当業者に既知の一般的な技法を用いて容易に合成可能である。例えば、開示する組成物の調製で使用される出発物質および試薬は、例えば、Ocean Nutrition Canada,Ltd. (Dartmouth,Canada),Martek Biosciences Corp. (Columbia,MD),Aldrich Chemical Co.,(Milwaukee,Wis.),Acros Organics (Morris Plains,N.J.),Fisher Scientific (Pittsburgh,Pa.),またはSigma (St. Louis,Mo.)等の商業供給者から入手可能である、または参照文献(例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1−17 (John Wiley and Sons,1991); Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes.1−5 and Supplemental (Elsevier Science Publishers,1989); Organic Reactions,Volumes 1−40 (John Wiley and Sons,1991); March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons,4th Edition);およびLarock’s Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc.,1989))に記載される手順に従い当業者に既知の方法によって調製される。
【0113】
以下の実施例では、添加物質は、藻類の油(DHASCO−S)(Martek Biosciences Corp.,Columbian,MDから市販されている)または高DHA魚油(XODHA)(Ocean Nutrition Canada Ltd.,Dartmouth,Canadaから市販されている)のいずれかであった。自然pH6.35の3%ゼラチンと比較したとき、藻類の油DHASCO−Sの界面張力は、0.5ダイン/cmであった。自然pH4.02の3%ゼラチンと比較したとき、該藻類の油の界面張力は、1.0ダイン/cmであり、自然pH8.34の3%ゼラチンと比較したとき、該藻類の油の界面張力は、0.6ダイン/cmであり、自然pH11.06の3%ゼラチンと比較したとき、該藻類の油の界面張力は、0.7ダイン/cmであった。
【0114】
(実施例1)
240ブルームの魚ゼラチンにマイクロカプセル化した微細藻類DHA油(高pHで安定化した油滴)
240ブルームの魚ゼラチン(44.0g)を水(320g)に溶解させて、溶液を40℃まで加熱した。アスコルビン酸ナトリウム(1.6g)をこのゼラチン溶液に加えて、10%NaOH溶液でゼラチン溶液のpHを10に調整した。次いで、藻類の油(DHASCO−S,Martek Biosciences Corp.;72.0g)をゼラチン溶液に加えて、7,500rpmで4分間乳化させた。乳化後、油滴合一の非存在を確実にするために30分間放置してから、この乳濁液を顕微鏡下で調べた。
【0115】
2リットルのリアクターに蒸留水(1,051g)をアスコルビン酸ナトリウム(5.7g)とともに加えた。この溶液の温度を40℃に維持した。次いで、乳濁液をリアクター内の蒸留水に加えた。10%NaOH溶液を添加することでこの混合物のpHを10に維持した。この希釈乳濁液を40℃で2時間混合させた。
【0116】
ポリリン酸ナトリウム(4.4g)を蒸留水(84g)で溶解させ、この溶液もリアクター内の希釈乳濁液に加えた。リアクター内の混合物のpHは、9.86であった。次いで、約30μmの第一のマイクロカプセルの凝集体を形成するために、10%リン酸でこのpHを約4.35に調整した。
【0117】
次に、この混合物を、5℃/分の平均冷却速度で、45℃から5℃に冷却した。pHを5に調整してから、1%w/wのトランスグルタミナーゼ製剤を加えた。架橋結合のためにスラリーを15℃で7時間保持し、続いて20℃で8時間、酵素硬化させた。
【0118】
完成したマイクロカプセルの験濁液は、これで、食品で利用できる状態になった。また、懸濁液を噴霧乾燥させて、表面の遊離油分が0.1%w/w未満の流動性粉末を生成した。
【0119】
(実施例2)
240ブルームの魚ゼラチンにマイクロカプセル化した微細藻類DHA油(低pHで安定化した油滴)
240ブルームの魚ゼラチン(44.0g)を水(320g)に溶解させて、溶液を40℃まで加熱した。アスコルビン酸ナトリウム(1.6g)をこのゼラチン溶液に加えて、10%リン酸溶液でゼラチン溶液のpHを4.65に調整した。次いで、藻類の油(DHASCO−S,Martek Biosciences Corp.;72.0g)をゼラチン溶液に加えて、7,500rpmで4分間乳化させた。乳化後、油滴合一の非存在を確認するために30分間放置してから、この乳濁液を顕微鏡下で調べた。
【0120】
2リットルのリアクターに蒸留水(1,051g)をアスコルビン酸ナトリウム(5.7g)とともに加えた。この溶液の温度を40℃に維持した。次いで、乳濁液をリアクター内の蒸留水に加えた。
【0121】
ポリリン酸ナトリウム(4.4g)を蒸留水(84g)で溶解させ、この溶液もリアクター内の希釈乳濁液に加えた。リアクター内の混合物のpHは、4.69であった。次いで、約30μmの第一のマイクロカプセルの凝集体を形成するために、10%リン酸でこのpHを約4.54に調整した。
【0122】
次に、この混合物を、5℃/分の平均冷却速度で、40℃から5℃に冷却した。pHを5に調整してから、1%w/wのトランスグルタミナーゼ製剤を加えた。架橋結合のためにスラリーを15℃で7時間保持し、続いて20℃で8時間、酵素硬化させた。
【0123】
完成したマイクロカプセルの験濁液は、これで、食品で利用できる状態になった。また、懸濁液を噴霧乾燥させて、表面の遊離油分が0.1%w/w未満の流動性粉末を生成した。
【0124】
(実施例3)
0ブルームの魚ゼラチンにマイクロカプセル化した微細藻類DHA油(低pHで安定化した油滴)
0ブルームの魚ゼラチン(44.0g)を水(320g)に溶解させて、溶液を35℃まで加熱した。アスコルビン酸ナトリウム(1.6g)をこのゼラチン溶液に加えて、10%リン酸でゼラチン溶液のpHを4.15に調整した。次いで、藻類の油(DHASCO−S,Martek Biosciences Corp.;72.0g)をゼラチン溶液に加えて、7,500rpmで4分間乳化させた。乳化後、油滴合一の非存在を確実にするために30分間放置してから、この乳濁液を顕微鏡下でモニターした。
【0125】
2リットルのリアクターに蒸留水(1,051g)をアスコルビン酸ナトリウム(5.7g)とともに加えた。ホットプレート上でこの溶液を35℃で30分間攪拌し、乳濁液をリアクター内の蒸留水に加えた。
【0126】
ポリリン酸ナトリウム(3.16g)を蒸留水(80g)で溶解させ、この溶液もリアクター内の希釈乳濁液に加えた。リアクター内の混合物のpHは、4.76であった。次いで、約30μmの第一のマイクロカプセルの凝集体をもたらすために、10%リン酸でこのpHを約4.69に調整した。
【0127】
次に、この混合物を、5℃/分の平均冷却速度で、35℃から5℃に冷却した。pHを5に調整してから、1%w/wのトランスグルタミナーゼ製剤を加えた。次いで、架橋結合のためにスラリーを5℃で5時間保持し、続いて20℃で9時間、酵素硬化させた。
【0128】
完成したマイクロカプセルの験濁液は、これで、食品で利用できる状態になった。また、懸濁液を噴霧乾燥させて、表面の遊離油分が0.1%w/w未満の流動性粉末を生成した。
【0129】
(実施例4)
0ブルームの魚ゼラチンにマイクロカプセル化した微細藻類DHA油(高pHで安定化した油滴)
0ブルームの魚ゼラチン(44.0g)を水(320g)に溶解させて、溶液を35℃まで加熱した。10%NaOH溶液でゼラチン溶液のpHを10に調整した。藻類の油(DHASCO−S,Martek Biosciences Corp.;72.0g)をゼラチン溶液に加えて、7,500rpmで4分間乳化させた。
【0130】
2リットルのリアクターに蒸留水(1,051g)をアスコルビン酸ナトリウム(5.7g)とともに加えた。この溶液の温度を35℃に維持し、pHを10(正確なpHは、10.161であった)に調整した。次いで、乳濁液をリアクターに加え、35℃で攪拌した。
【0131】
乳化後、油滴合一の非存在を確実にするために30分間放置してから、この乳濁液を顕微鏡下で調べた。次いで、この乳濁液を攪拌してから、35℃でさらに1.5時間(計=2時間)保持し、油滴径が安定していることを見出した。
【0132】
ポリリン酸ナトリウム(4.4g)を蒸留水(84g)で溶解させ、この溶液もリアクター内の希釈乳濁液に加えた。リアクター内の混合物のpHは、9.678であった。次いで、約30μmの第一のマイクロカプセルの凝集体を形成するために、10%リン酸でこのpHを約4.473に調整した。
【0133】
次に、この混合物を、5℃/分の平均冷却速度で、35℃から5℃に冷却した。pHを5に調整してから、1%w/wのトランスグルタミナーゼ製剤を加えた。架橋結合のためにスラリーを5℃で5時間保持し、続いて20℃で9時間、酵素硬化させた。
【0134】
完成したマイクロカプセルの験濁液は、これで、食品で利用できる状態になった。また、懸濁液を噴霧乾燥させて、表面の遊離油分が0.1%w/w未満の流動性粉末を生成した。
【0135】
(実施例5)(コントロール)
240ブルームの魚ゼラチンにマイクロカプセル化した微細藻類DHA油
240ブルームの魚ゼラチン(44g)を水(320g)に溶解させて、溶液を40℃まで加熱した。アスコルビン酸ナトリウム(7.3g)をこのゼラチン溶液に加えた。ゼラチン溶液のpHは、5.833であった。藻類の油(DHASCO−S,Martek Biosciences Corp.;72.0g)をゼラチン溶液に加え、次いで7,500rpmで4分間乳化させた。乳化後、この乳濁液を顕微鏡下で調べ、油滴が小さく均一(直径1〜5μm)であることを確認した。
【0136】
2リットルのリアクターに蒸留水(1,051g)を加え、温度を40℃に維持した。乳濁液をリアクター内の蒸留水に加えた。リアクター内の混合物のpHは、5.749であることが分った。
【0137】
ポリリン酸ナトリウム(4.4g)を蒸留水(84g)で溶解させ、この溶液もリアクター内の希釈乳濁液に加えた。リアクター内の混合物のpHは、6.541であった。油滴は、1〜5μmであり、普通の魚油乳濁液と類似しているようであった。
【0138】
次いで、第一のマイクロカプセルの凝集体を形成するために、10%リン酸でこのpHを低下させた。通常の魚油マイクロカプセル化のプロセスは、約4.5〜5.0のpHで行われる必要がある。しかし、pHを4.840に下げると、油滴が大きくなり(直径50〜150μm)、スラリーの表面に浮揚する遊離油滴が見られた。
【0139】
pHをさらに4.784まで下げると、油滴は、さらに大きくなり、より多くの遊離油滴がスラリーの表面に見られた。pHを4.601に調整すると、大きい凝集体の油滴(50〜150μm)が大きな塊を形成し、スラリー試料中には、通常のマルチコアマイクロカプセルが見られなかった。プロセスをこれで終了せざるを得なかった。
【0140】
(実施例6)(コントロール)
275ブルーム豚皮ゼラチンにマイクロカプセル化したDHA魚油
275ブルーム豚皮ゼラチン(44g)を水(482g)に溶解させて、溶液を50℃まで加熱した。pHは4.638であった。アスコルビン酸ナトリウム(7.3g)をこのゼラチン溶液に加えると、ゼラチン溶液のpHは、5.271になった。高DHA魚油(XODHA;Ocean Nutrition Canada Ltd.;72.0g)をゼラチン溶液に加え、次いで7,500rpmで4分間乳化させた。乳化後、この乳濁液を顕微鏡下で調べ、油滴が小さく均一(直径1〜5μm)であることを確認した。
【0141】
2リットルのリアクターに蒸留水(890g)を加え、温度を50℃に維持した。乳濁液をリアクター内の蒸留水に加えると、混合物のpHは、5.058であった。
【0142】
ポリリン酸ナトリウム(4.4g)を蒸留水(84g)で溶解させ、この溶液もリアクター内の希釈乳濁液に加えた。リアクター内の混合物は、49.9℃で、pH5.821であった。次いで、第一のマイクロカプセルの凝集体を形成するために、10%リン酸でこのpHを下げた。pHをさらに4.686まで下げると、第二のマイクロカプセルが直径30〜50μmで形成された。
【0143】
次に、この混合物を、1℃/5分の平均冷却速度で、50℃から4℃に冷却した。10%NaOHを加えることでpHを6.0に調整してから、1%w/wのトランスグルタミナーゼ製剤(Ajinomoto USA Inc.,Fort Lee,NJ)を加えた。次いで、架橋結合のためにスラリーを室温(25℃)で16時間保持した。
【0144】
スラリーは、食品で利用できる状態になった。スラリーを噴霧乾燥させて、流動性粉末を生成した。この粉末は、Oxipres (Mikrolab Aarhus A/S,Hojbjerg,DNK)を使用して、65℃で、酸素の約550kPa初期圧力下で決定した44.7時間の誘導期を有した。
【0145】
(実施例7)(コントロール)
240ブルームの魚ゼラチンにマイクロカプセル化したDHA魚油
240ブルームの魚ゼラチン(44g)を水(320g)に溶解させて、溶液を40℃まで加熱した。pHは5.807であった。アスコルビン酸ナトリウム(7.3g)をこのゼラチン溶液に加えると、ゼラチン溶液のpHは、5.902であった。高DHA魚油(XODHA;Ocean Nutrition Canada Ltd.;72.0g)をゼラチン溶液に加え、次いで7,500rpmで4分間乳化させた。乳化後、この乳濁液を顕微鏡下で調べ、油滴が小さく均一(直径1〜5μm)であることを確認した。
【0146】
2リットルのリアクターに蒸留水(1,051g)を加え、温度を40℃に維持した。乳濁液をリアクター内の蒸留水に加えると、混合物のpHは、5.812であった。
【0147】
ポリリン酸ナトリウム(4.4g)を蒸留水(84g)で溶解させ、この溶液もリアクター内の希釈乳濁液に加えた。リアクター内の混合物のpHは、6.512であった。
【0148】
次いで、第一のマイクロカプセルの凝集体を形成するために、10%リン酸でこのpHを下げた。pHをさらに4.773まで下げると、第二のマイクロカプセルが直径30〜50μmの凝集体で形成された。
【0149】
次に、このスラリーを、1℃/5分の平均冷却速度で、40℃から5℃に冷却した。10%NaOHを加えることでpHを6.0に調整してから、架橋結合のために1%w/wのトランスグルタミナーゼ製剤(Ajinomoto USA Inc.,Fort Lee,NJ)を加えた。マイクロカプセルの殻を5℃で1時間、15℃で8時間、20℃で9時間硬化させた。スラリーは、これで、食品で利用できる状態になった。スラリーを噴霧乾燥させて、流動性粉末を生成した。この粉末は、43.5時間の誘導期を有した。
【0150】
(実施例8)(コントロール)
0ブルームの魚ゼラチンにマイクロカプセル化したDHA魚油
0ブルームの魚ゼラチン(44g)を水(323g)に溶解させて、溶液を35.6℃まで加熱した。アスコルビン酸ナトリウム(7.3g)をこのゼラチン溶液に加えると、ゼラチン溶液のpHは、6.042であった。ポリリン酸ナトリウム(4.4g)を蒸留水(84g)で溶解させ、ゼラチン溶液に加えた。この混合物は、34.1℃で、pH6.306であった。次いで、10%リン酸でこのpHを約4.9に調整した。
【0151】
高DHA魚油(XODHA;Ocean Nutrition Canada Ltd.;72.6g)をゼラチン溶液に加え、次いで7,500rpmで4分間乳化させた。乳化後、この乳濁液を顕微鏡下で調べ、油滴が小さく均一(直径1〜5μm)であることを確認した。
【0152】
2リットルのリアクターに蒸留水(1,060g)を加え、温度を35℃に維持した。乳濁液をリアクター内の蒸留水に加えると、混合物のpHは、4.941であった。
【0153】
混合物を攪拌しながら、第一のマイクロカプセルの凝集体を形成するために、10%リン酸でこのpHを下げた。pHをさらに4.751まで下げると、第二のマイクロカプセルが約40μmの凝集体で形成された。
【0154】
次に、この混合物を、1℃/5分の平均冷却速度で、35℃から5℃に冷却した。10%NaOHを加えることでpHを6.0に調整してから、1%w/wのトランスグルタミナーゼ製剤を加えた。次いで、架橋結合のためにスラリーを5℃で5時間保持し、続いて20℃で10時間、酵素硬化させた。懸濁液は、これで、食品で利用できる状態になった。懸濁液を噴霧乾燥させて、流動性粉末を生成した。この粉末は、36.9時間の誘導期を有した。
【0155】
(実施例9)
藻類の油とともにSPI/寒天/ジェランガムを使用するマイクロカプセル化
26.67gの大豆タンパク質単離物(SPI)(ICN Biomedicals,Inc.)を220.0gの蒸留水に溶解させた。生じた溶液を60℃まで加熱し、pHを10.6に調整した。
【0156】
40.0gの藻類の油を50℃まで加熱した。次いで、この藻類の油を大豆タンパク質溶液に加えて、8,000rpmで5分間乳化させた。乳化後、この乳濁液を顕微鏡下で調べ、油滴が直径約1μmであることを確認した。
【0157】
2.0gの寒天(TIC予備検査済み寒天、TIC Gums)を、66.7gの沸騰している蒸留水で溶解させ、次いで、400.0gの蒸留水および3.33gのアスコルビン酸ナトリウムが入った2リットルのリアクターに移した。リアクターの温度は55℃に維持されていた。この混合物のpHは、約7.0であった。
【0158】
藻類の油乳濁液をリアクター内の蒸留水に加えると、混合物のpHは、約10.2であった。次いで、第一のマイクロカプセルの約30μmの凝集体を形成するために、10%リン酸でこのpHを約5.7に調整した。
【0159】
次に、10.0g蒸留水中の2.1gトランスグルタミナーゼをリアクターに加え、この混合物を50℃で3時間維持してから、44℃まで冷却した。
【0160】
2.67gのジェランガム(Kelcogel F)および1.33gのアスコビル酸ナトリウムを65℃の蒸留水266.7gに溶解させ、次いで、50℃まで冷却した。2.6gのSPIを30.0gの蒸留水に溶解させ、pHを約9に調整した。次いで、SPI溶液をジェランガム溶液と混合させ、pHを約6.7に調整した。生じたSPI/ジェランガム溶液を、次いで、44℃のリアクター内の凝集した第一のマイクロカプセルに加えた。
【0161】
5.0g蒸留水中の1.0gのCaClをリアクターに加え、攪拌速度を徐々に上げながら、溶液を20℃まで急速に冷却させた。完成したマイクロカプセルの懸濁液は、緻密な構造および殻を有し、殻は、沸騰後も残存した。このようなマイクロカプセルは、完全菜食主義者、乳菜食主義者、乳卵菜食主義者、および半菜食主義者の食事に適している。
【0162】
発明の範囲または精神から逸脱することなく、種々の変形および変更が本発明でなされ得ることは、当業者に明らかである。本明細書に開示する発明の明細および実行を考慮すると、本発明の他の実施形態は、当業者に明らかである。明細書および実施例は、例示だけとして考慮され、発明の真実の範囲および精神は、添付する特許請求の範囲によって表されることを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳濁液であって、第一のポリマー成分と、添加物質とを含み、該添加物質が微生物油を含みかつ約5ダイン/cm未満の界面張力を有し、および該乳濁液が約6.0を超えるpHまたは約5.0未満のpHを有する、乳濁液。
【請求項2】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の乳濁液。
【請求項3】
前記抗酸化剤がフェノール化合物、植物抽出物、またはイオウ(sulphur)含有化合物を含む、請求項1〜2のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項4】
前記抗酸化剤がアスコルビン酸またはその塩を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項5】
水酸化ナトリウム、リン酸、またはその混合物をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項6】
前記pHが約3.5〜約4.9である、請求項1〜5のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項7】
前記pHが約9.0〜約11.0である、請求項1〜6のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項8】
前記第一のポリマー成分が界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸塩、ポリサッカライド、またはその混合物を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項9】
前記第一のポリマー成分がB型ゼラチン、ポリリン酸塩、アラビアゴム、アルギン酸塩、キトサン、カラゲナン、ペクチン、低メトキシルペクチン、デンプン、改変されたデンプン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オボアルブミン、ポリソルビタン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳タンパク質、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、菜種タンパク質、アルブミン、キサンタン、ジェランガム、寒天、コーシャゼラチン、非コーシャゼラチン、ハラルゼラチン、非ハラルゼラチン、またはその混合物を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項10】
前記第一のポリマー成分がA型ゼラチンを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項11】
前記第一のポリマー成分が魚ゼラチンを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項12】
前記第一のポリマー成分が約0〜約300のブルーム数を有する、請求項1〜11のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項13】
前記ポリマー成分が約0〜約50のブルーム数を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項14】
前記第一のポリマー成分が約51〜約300のブルーム数を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項15】
前記第一のポリマー成分が約0、約210、約220、または約240のブルーム数を有する、請求項1〜14のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項16】
前記添加物質が約2ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項17】
前記添加物質が約1ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項1〜16のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項18】
前記添加物質が約0.5ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項1〜17のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項19】
前記添加物質が藻類の油を含む、請求項1〜18のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項20】
前記添加物質が渦鞭毛藻類由来の油を含む、請求項1〜19のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項21】
前記添加物質がCrypthecodinium cohnii由来の油を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項22】
前記添加物質が真菌類の油を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項23】
前記添加物質がThraustochytrium、Schizochytrium、またはその混合物に由来する油を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項24】
前記添加物質がω3脂肪酸、ω3脂肪酸のアルキルエステル、ω3脂肪酸のトリグリセリドエステル、ω3脂肪酸のフィトステロールエステル、および/またはその混合物を含む、請求項1〜23のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項25】
前記添加物質がドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸、そのC−Cアルキルエステル、そのトリグリセリドエステル、そのフィトステロールエステル、またはその混合物を含む、請求項1〜24のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項26】
前記添加物質が前記乳濁液の約1〜約50重量%である、請求項1〜25のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項27】
前記第一のポリマー成分が240ブルームの魚ゼラチンであり、前記負荷物資が藻類の油であり、および前記pHが約9〜約11である、請求項1〜26のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項28】
前記第一のポリマー成分が240ブルームの魚ゼラチンであり、および前記pHが約3.5〜約4.9である、請求項1〜27のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項29】
前記第一のポリマー成分が0ブルームの魚ゼラチンであり、および前記pHが約9〜約11である、請求項1〜28のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項30】
前記第一のポリマー成分が0ブルームの魚ゼラチンであり、および前記pHが約3.5〜約4.9である、請求項1〜29のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項31】
前記乳濁液が約1,000nm未満の平均液滴径を含む、請求項1〜30のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項32】
前記乳濁液が約500nm未満の平均液滴径を含む、請求項1〜31のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項33】
前記乳濁液が約100nm未満の平均液滴径を含む、請求項1〜32のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項34】
界面活性剤をさらに含む、請求項1〜33のいずれかに記載の乳濁液。
【請求項35】
乳濁液を調製するためのプロセスであって、第一のポリマー成分と添加物質との水性混合物を提供する工程であって、該添加物質が海洋性油を含みかつ約5ダイン/cm未満の界面張力を有し、該混合物が、約6.0を超えるpHまたは約5.0未満のpHを有する、工程と、該混合物を乳化する工程とを含む、プロセス。
【請求項36】
抗酸化剤を前記水性混合物に添加する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記抗酸化剤がフェノール化合物、植物抽出物、またはイオウ含有化合物を含む、請求項35〜36のいずれかに記載のプロセス。
【請求項38】
前記抗酸化剤がアスコルビン酸またはその塩を含む、請求項35〜37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項39】
約6.0を超える前記pHが水酸化ナトリウムを添加することによって達成される、または約5.0未満の前記pHは、リン酸を添加することによって達成される、請求項35〜38のいずれかに記載のプロセス。
【請求項40】
前記pHが約3.5〜約4.9である、請求項35〜39のいずれかに記載のプロセス。
【請求項41】
前記pHが約9.0〜約11.0である、請求項35〜40のいずれかに記載のプロセス。
【請求項42】
乳化は、約30℃〜約60℃の温度で実行される、請求項35〜41のいずれかに記載のプロセス。
【請求項43】
乳化が約40℃〜約50℃の温度で実行される、請求項35〜42のいずれかに記載のプロセス。
【請求項44】
前記混合物が約1,000〜約15,000rpmで乳化される、請求項35〜43のいずれかに記載のプロセス。
【請求項45】
前記乳濁液を脱水することをさらに含む、請求項35〜44のいずれかに記載のプロセス。
【請求項46】
前記第一のポリマー成分が界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸塩、ポリサッカライド、またはその混合物を含む、請求項35〜45のいずれかに記載のプロセス。
【請求項47】
前記第一のポリマー成分がB型ゼラチン、ポリリン酸塩、アラビアゴム、アルギン酸塩、キトサン、カラゲナン、ペクチン、低メトキシルペクチン、デンプン、改変されたデンプン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オボアルブミン、ポリソルビタン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳タンパク質、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、菜種タンパク質、アルブミン、キサンタン、ジェランガム、寒天、コーシャゼラチン、非コーシャゼラチン、ハラルゼラチン、非ハラルゼラチン、またはその混合物を含む、請求項35〜46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項48】
前記第一のポリマー成分がA型ゼラチンを含む、請求項35〜47のいずれかに記載のプロセス。
【請求項49】
前記第一のポリマー成分が魚ゼラチンを含む、請求項35〜48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項50】
前記第一のポリマー成分が約0〜約300のブルーム数を有する、請求項35〜49のいずれかに記載のプロセス。
【請求項51】
前記第一のポリマー成分が約0〜約50のブルーム数を有する、請求項35〜50のいずれかに記載のプロセス。
【請求項52】
前記第一のポリマー成分が約51〜約300のブルーム数を有する、請求項35〜51のいずれかに記載のプロセス。
【請求項53】
前記第一のポリマー成分が約0、約210、約220、または約240のブルーム数を有する、請求項35〜52のいずれかに記載のプロセス。
【請求項54】
前記添加物質が約2ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項35〜53のいずれかに記載のプロセス。
【請求項55】
前記添加物質が約1ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項35〜54のいずれかに記載のプロセス。
【請求項56】
前記添加物質が約0.5ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項35〜55のいずれかに記載のプロセス。
【請求項57】
前記添加物質が藻類の油を含む、請求項35〜56のいずれかに記載のプロセス。
【請求項58】
前記添加物質が渦鞭毛藻類由来の油を含む、請求項35〜57のいずれかに記載のプロセス。
【請求項59】
前記添加物質がCrypthecodinium cohnii由来の油を含む、請求項35〜58のいずれかに記載のプロセス。
【請求項60】
前記添加物質が真菌類の油を含む、請求項35〜59のいずれかに記載のプロセス。
【請求項61】
前記添加物質がThraustochytrium、Schizochytrium、またはその混合物に由来する油を含む、請求項35〜60のいずれかに記載のプロセス。
【請求項62】
前記添加物質がω3脂肪酸、ω3脂肪酸のアルキルエステル、ω3脂肪酸のトリグリセリドエステル、ω3脂肪酸のフィトステロールエステル、および/またはその混合物を含む、請求項35〜61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項63】
前記添加物質がドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸、そのC−Cアルキルエステル、そのトリグリセリドエステル、そのフィトステロールエステル、および/またはその混合物を含む、請求項35〜62のいずれかに記載のプロセス。
【請求項64】
前記添加物質が前記水性混合物の約1〜約50重量%の量で提供される、請求項35〜63のいずれかに記載のプロセス。
【請求項65】
前記第一のポリマー成分が240ブルームの魚ゼラチンであり、および前記pHが約9〜約11である、請求項35〜64のいずれかに記載のプロセス。
【請求項66】
前記第一のポリマー成分が240ブルームの魚ゼラチンであり、および前記pHが約3.5〜約4.9である、請求項35〜65のいずれかに記載のプロセス。
【請求項67】
前記第一のポリマー成分が0ブルームの魚ゼラチンであり、および前記pHが約9〜約11である、請求項35〜66のいずれかに記載のプロセス。
【請求項68】
前記第一のポリマー成分が0ブルームの魚ゼラチンであり、および前記pHが約3.5〜約4.9である、請求項35〜67のいずれかに記載のプロセス。
【請求項69】
前記乳濁液が約1,000nm未満の平均液滴径を含む、請求項35〜68のいずれかに記載のプロセス。
【請求項70】
前記乳濁液が約500nm未満の平均液滴径を含む、請求項35〜69のいずれかに記載のプロセス。
【請求項71】
前記乳濁液が約100nm未満の平均液滴径を含む、請求項35〜70のいずれかに記載のプロセス。
【請求項72】
界面活性剤を添加することさらに含む、請求項35〜71のいずれかに記載のプロセス。
【請求項73】
請求項35〜72のいずれかに記載のプロセスによって調製される乳濁液。
【請求項74】
第一のマイクロカプセルおよび添加物質の凝集体を含むマイクロカプセルであって、各々個別の第一のマイクロカプセルが第一の殻を有し、該添加物質が海洋性油を含みかつ約5ダイン/cm未満の界面張力を有し、および該第一の殻によって被包され、該凝集体が外殻によって被包される、マイクロカプセル。
【請求項75】
前記第一の殻および/または外殻が界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸塩、ポリサッカライド、またはその混合物を含む、請求項74に記載のマイクロカプセル。
【請求項76】
前記第一の殻および/または前記外殻がB型ゼラチン、ポリリン酸塩、アラビアゴム、アルギン酸塩、キトサン、カラゲナン、ペクチン、低メトキシルペクチン、デンプン、改変されたデンプン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オボアルブミン、ポリソルビタン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳タンパク質、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、菜種タンパク質、アルブミン、キサンタン、ジェランガム、寒天、コーシャゼラチン、非コーシャゼラチン、ハラルゼラチン、非ハラルゼラチン、またはその混合物を含む、請求項74〜75のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項77】
前記第一の殻および/または前記外殻が複合コアセルベートを含む、請求項74〜76のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項78】
前記第一の殻および/または前記外殻がA型ゼラチンを含む、請求項74〜77のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項79】
前記第一の殻および/または前記外殻が魚ゼラチンを含む、請求項74〜78のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項80】
前記第一の殻および/または前記外殻が約0〜約300のブルーム数を有するゼラチンを含む、請求項74〜79のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項81】
前記第一の殻および/または前記外殻が約0〜約50のブルーム数を有するゼラチンを含む、請求項74〜80のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項82】
前記第一の殻および/または前記外殻が約51〜約300のブルーム数を有するゼラチンを含む、請求項74〜81のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項83】
前記第一の殻および/または前記外殻が約0、約210、約220、または約240のブルーム数を有するゼラチンを含む、請求項74〜82のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項84】
前記第一の殻および/または前記外殻がゼラチンとポリリン酸塩とのコアセルベートを含む、請求項74〜83のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項85】
前記添加物質が約2ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項74〜84のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項86】
前記添加物質が約1ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項74〜85のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項87】
前記添加物質が約0.5ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項74〜86のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項88】
前記添加物質が藻類の油を含む、請求項74〜87のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項89】
前記添加物質が渦鞭毛藻類由来の油を含む、請求項74〜88のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項90】
前記添加物質がCrypthecodinium cohnii由来の油を含む、請求項74〜89のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項91】
前記添加物質が真菌類の油を含む、請求項74〜90のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項92】
前記添加物質がThraustochytrium、Schizochytrium、またはその混合物に由来する油を含む、請求項74〜91のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項93】
前記添加物質がω3脂肪酸、ω3脂肪酸のアルキルエステル、ω3脂肪酸のトリグリセリドエステル、ω3脂肪酸のフィトステロールエステル、および/またはその混合物を含む、請求項74〜92のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項94】
前記添加物質がドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸、そのC−Cアルキルエステル、そのトリグリセリドエステル、そのフィトステロールエステル、またはその混合物を含む、請求項74〜93のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項95】
前記マイクロカプセルが約1μm〜約2,000μmの平均直径を有する、請求項74〜94のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項96】
前記マイクロカプセルが約20μm〜約1,000μmの平均直径を有する、請求項74〜95のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項97】
前記マイクロカプセルが約30μm〜約80μmの平均直径を有する、請求項74〜96のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項98】
前記第一のマイクロカプセルが約40nm〜約10μmの平均直径を有する、請求項74〜97のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項99】
前記第一のマイクロカプセルが約0.1μm〜約5μmの平均直径を有する、請求項74〜98のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項100】
前記添加物質が前記マイクロカプセルの約20%〜約90重量%である、請求項74〜99のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項101】
前記添加物質が前記マイクロカプセルの約50%〜約70重量%である、請求項74〜100のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項102】
前記第一の殻および/または前記外殻が240ブルームの魚ゼラチンとポリリン酸ナトリウムとのコアセルベートを含む、請求項74〜101のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項103】
前記第一の殻および/または前記外殻が0ブルームの魚ゼラチンとポリリン酸ナトリウムとのコアセルベートを含む、請求項74〜102のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項104】
マイクロカプセルを調製するためのプロセスであって、
a.第一のポリマー成分と海洋性油を含む添加物質とを含む乳濁液を提供する工程であって、該乳濁液が、約6.0を超えるpHまたは約5.0未満のpHを有する、工程と;
b.第二のポリマー成分を該乳濁液に添加する工程と;
c.第一の殻材料を含む水性混合物を形成するために、pH、温度、濃度、混合速度、またはその組み合わせを調整する工程であって、該第一の殻材料が、該第一のおよび該第二のポリマー成分を含みかつ該添加物質を取り囲む、工程と;
d.該第一の殻材料が凝集体を形成するまで該水性混合物を、該第一の殻材料のゲル化点よりも高い温度まで冷却する工程と;
e.該凝集体の周りに外殻を形成するために該水性混合物をさらに冷却する工程と
を含む、プロセス。
【請求項105】
抗酸化剤が前記乳濁液および/または前記水性混合物に添加される、請求項104に記載のプロセス。
【請求項106】
前記抗酸化剤がフェノール化合物、植物抽出物、またはイオウ含有化合物を含む、請求項104〜105のいずれかに記載のプロセス。
【請求項107】
前記抗酸化剤がアスコルビン酸またはその塩を含む、請求項104〜106のいずれかに記載のプロセス。
【請求項108】
約6.0を超える前記乳濁液のpHが水酸化ナトリウムを添加することによって達成される、または約5.0未満の前記乳濁液のpHがリン酸を添加することによって達成される、請求項104〜107のいずれかに記載のプロセス。
【請求項109】
前記乳濁液のpHが約3.5〜約4.9である、請求項104〜108のいずれかに記載のプロセス。
【請求項110】
前記乳濁液のpHが約9.0〜約11.0である、請求項104〜109のいずれかに記載のプロセス。
【請求項111】
前記乳濁液の初期温度が約30℃〜約60℃である、請求項104〜110のいずれかに記載のプロセス。
【請求項112】
前記乳濁液の初期温度が約40℃〜約50℃である、請求項104〜111のいずれかに記載のプロセス。
【請求項113】
前記乳濁液が約1,000〜約15,000のrpmで乳化することによって調製される、請求項104〜112のいずれかに記載のプロセス。
【請求項114】
前記第一のポリマー成分が界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸塩、ポリサッカライド、またはその混合物を含む、請求項104〜113のいずれかに記載のプロセス。
【請求項115】
前記第一のポリマー成分がB型ゼラチン、ポリリン酸塩、アラビアゴム、アルギン酸塩、キトサン、カラゲナン、ペクチン、低メトキシルペクチン、デンプン、改変されたデンプン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オボアルブミン、ポリソルビタン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳タンパク質、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、菜種タンパク質、アルブミン、キサンタン、ジェランガム、寒天、コーシャゼラチン、非コーシャゼラチン、ハラルゼラチン、非ハラルゼラチン、またはその混合物を含む、請求項104〜114のいずれかに記載のプロセス。
【請求項116】
前記第一のポリマー成分がA型ゼラチンを含む、請求項104〜115のいずれかに記載のプロセス。
【請求項117】
前記第一のポリマー成分が魚ゼラチンを含む、請求項104〜116のいずれかに記載のプロセス。
【請求項118】
前記第一のポリマー成分が約0〜約300のブルーム数を有する、請求項104〜117のいずれかに記載のプロセス。
【請求項119】
前記第一のポリマー成分が約0〜約50のブルーム数を有する、請求項104〜118のいずれかに記載のプロセス。
【請求項120】
前記第一のポリマー成分が約51〜約300のブルーム数を有する、請求項104〜119のいずれかに記載のプロセス。
【請求項121】
前記第一のポリマー成分が約0、約210、約220、または約240のブルーム数を有する、請求項104〜120のいずれかに記載のプロセス。
【請求項122】
前記添加物質が約5ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項104〜121のいずれかに記載のプロセス。
【請求項123】
前記添加物質が約2ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項104〜122のいずれかに記載のプロセス。
【請求項124】
前記添加物質が約1ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項104〜123のいずれかに記載のプロセス。
【請求項125】
前記添加物質が約0.5ダイン/cm未満の界面張力を有する、請求項104〜124のいずれかに記載のプロセス。
【請求項126】
前記添加物質が藻類の油を含む、請求項104〜125のいずれかに記載のプロセス。
【請求項127】
前記添加物質が渦鞭毛藻類由来の油を含む、請求項104〜126のいずれかに記載のプロセス。
【請求項128】
前記添加物質がCrypthecodinium cohnii由来の油を含む、請求項104〜127のいずれかに記載のプロセス。
【請求項129】
前記添加物質が真菌類の油を含む、請求項104〜128のいずれかに記載のプロセス。
【請求項130】
前記添加物質がThraustochytrium、Schizochytrium、またはその混合物に由来する油を含む、請求項104〜129のいずれかに記載のプロセス。
【請求項131】
前記添加物質がω3脂肪酸、ω3脂肪酸のアルキルエステル、ω3脂肪酸のトリグリセリドエステル、ω3脂肪酸のフィトステロールエステル、および/またはその混合物を含む、請求項104〜130のいずれかに記載のプロセス。
【請求項132】
前記添加物質がドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸、そのC−Cアルキルエステル、そのトリグリセリドエステル、そのフィトステロールエステル、またはその混合物を含む、請求項104〜131のいずれかに記載のプロセス。
【請求項133】
前記添加物質が前記水性混合物の約1〜約50重量%の量で提供される、請求項104〜132のいずれかに記載のプロセス。
【請求項134】
前記第二のポリマー成分が界面活性剤、ゼラチン、ポリリン酸塩、ポリサッカライド、またはその混合物を含む、請求項104〜133のいずれかに記載のプロセス。
【請求項135】
前記第二のポリマー成分がA型ゼラチン、B型ゼラチン、ポリリン酸塩、アラビアゴム、アルギン酸塩、キトサン、カラゲナン、ペクチン、低メトキシルペクチン、デンプン、改変されたデンプン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブミン、オボアルブミン、ポリソルビタン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳タンパク質、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、菜種タンパク質、アルブミン、キサンタン、ジェランガム、寒天、コーシャゼラチン、非コーシャゼラチン、ハラルゼラチン、非ハラルゼラチン、またはその混合物を含む、請求項104〜134のいずれかに記載のプロセス。
【請求項136】
前記第二のポリマー成分がポリリン酸塩を含む、請求項104〜135のいずれかに記載のプロセス。
【請求項137】
工程(b)の後、前記pHが約6.0を超える、または約5.0未満である、請求項104〜136のいずれかに記載のプロセス。
【請求項138】
冷却が約1〜約100分あたり約1℃の速度である、請求項104〜137のいずれかに記載のプロセス。
【請求項139】
冷却が5分あたり約1℃の速度である、請求項104〜138のいずれかに記載のプロセス。
【請求項140】
前記混合物が約5℃〜約10℃の温度に達するまで冷却される、請求項104〜139のいずれかに記載のプロセス。
【請求項141】
前記混合物が約5℃の温度に達するまで冷却される、請求項104〜140のいずれかに記載のプロセス。
【請求項142】
工程(e)が前記殻材料を架橋結合させる架橋剤を添加することをさらに含む、請求項104〜141のいずれかに記載のプロセス。
【請求項143】
前記架橋剤が酵素的架橋剤、アルデヒド、タンニン酸、ミョウバン、またはそれの混合物である、請求項104〜142のいずれかに記載のプロセス。
【請求項144】
前記架橋剤がグルテルアルデヒドである、請求項104〜143のいずれかに記載のプロセス。
【請求項145】
前記架橋剤がトランスグルタミナーゼである、請求項104〜144のいずれかに記載のプロセス。
【請求項146】
前記マイクロカプセルを乾燥させる工程(f)をさらに含む、請求項104〜145のいずれかに記載のプロセス。
【請求項147】
前記マイクロカプセルが噴霧乾燥される、請求項104〜146のいずれかに記載のプロセス。
【請求項148】
前記第一の殻および前記外殻が複合コアセルベートを含む、請求項104〜147のいずれかに記載のプロセス。
【請求項149】
前記第一の殻および前記外殻がゼラチンとポリリン酸塩との間の複合コアセルベートを含む、請求項104〜148のいずれかに記載のプロセス。
【請求項150】
前記マイクロカプセルが約1μm〜約2,000μmの平均直径を有する、請求項104〜149のいずれかに記載のプロセス。
【請求項151】
前記マイクロカプセルが約20μm〜約1,000μmの平均直径を有する、請求項104〜150のいずれかに記載のプロセス。
【請求項152】
前記マイクロカプセルが約30μm〜約80μmの平均直径を有する、請求項104〜151のいずれかに記載のプロセス。
【請求項153】
前記第一のマイクロカプセルが約40nm〜約10μmの平均直径を有する、請求項104〜152のいずれかに記載のプロセス。
【請求項154】
前記第一のマイクロカプセルが約0.1μm〜約5μmの平均直径を有する、請求項104〜153のいずれかに記載のプロセス。
【請求項155】
前記添加物質が前記マイクロカプセルの20〜90重量%である、請求項104〜154のいずれかに記載のプロセス。
【請求項156】
前記添加物質が前記マイクロカプセルの50〜70重量%である、請求項104〜155のいずれかに記載のプロセス。
【請求項157】
前記第一のポリマー成分が240ブルームの魚ゼラチンであり、前記第二のポリマー成分がポリリン酸ナトリウムであり、および前記乳濁液のpHが約9〜約11である、請求項104〜156のいずれかに記載のプロセス。
【請求項158】
前記第一のポリマー成分が240ブルームの魚ゼラチンであり、前記第二のポリマー成分がポリリン酸ナトリウムであり、および前記乳濁液のpHが約3.5〜約4.9である、請求項104〜157のいずれかに記載のプロセス。
【請求項159】
前記第一のポリマー成分が0ブルームの魚ゼラチンであり、前記第二のポリマー成分がポリリン酸ナトリウムであり、および前記乳濁液のpHが約9〜約11である、請求項104〜158のいずれかに記載のプロセス。
【請求項160】
前記第一のポリマー成分が0ブルームの魚ゼラチンであり、前記第二のポリマー成分がポリリン酸ナトリウムであり、および前記乳濁液のpHが約3.5〜約4.9である、請求項104〜159のいずれかに記載のプロセス。
【請求項161】
請求項104〜160のいずれかに記載のプロセスによって調製されるマイクロカプセル。
【請求項162】
被験体に添加物質を送達する方法であって、該被験体に請求項74〜103および161のいずれかに記載のマイクロカプセルおよび/または請求項1〜30および73のいずれかに記載の乳濁液を投与することを含む、方法。
【請求項163】
前記被験体が哺乳類である、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記被験体がヒトである、請求項162に記載の方法。
【請求項165】
被験体に添加物質を送達する薬物を調製するための、請求項74〜103および161のいずれかに記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項166】
被験体に添加物質を送達する薬物を調製するための、請求項1〜30および73のいずれかに記載の乳濁液の使用。
【請求項167】
製剤ビヒクルであって、請求項74〜103および161のいずれかに記載のマイクロカプセルおよび/または請求項1〜30および73のいずれかに記載の乳濁液を含む、製剤ビヒクル。
【請求項168】
前記製剤ビヒクルが食料品、飲料、栄養補助製剤、または医薬品製剤である、請求項167に記載の製剤ビヒクル。

【公表番号】特表2009−533490(P2009−533490A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504244(P2009−504244)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/008138
【国際公開番号】WO2007/120500
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(505113791)オーシャン ニュートリッション カナダ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】