説明

作像ユニットおよび画像形成装置

【課題】装置のコストダウンを図りつつ、感光体表面に残存している転写残トナーを除去回収して再び現像ユニットへ円滑に搬送して再利用する。
【解決手段】未使用トナー用の第1トナー搬送部271とリサイクルトナー用の第2トナー搬送部272とが同軸上に一体的に形成され、当該軸が水平面に対して傾斜するように設置されている。第1トナー搬送スクリュー271bと第2トナー搬送スクリュー272bとは、互いにスクリューの向きが向かい合う方向に形成されており、未使用トナーは傾斜の下から上へ、リサイクルトナーは傾斜の上から下へと搬送され、これらが合流する位置に設けられたトナー供給口276より現像ユニット23へと供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に着脱可能な作像ユニット、特に、転写残トナーを回収して再利用する機構を備えた作像ユニット、および、当該作像ユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像に現像器からトナーを供給して顕像化し、当該顕像化されたトナー像を記録シートに転写した後、熱定着して画像形成が行われる。
ここで、記録シートへの転写の際に、像担持体上のトナーの全てが記録シート上に転写されるというわけではなく、いくらかは転写されずに像担持体表面に残留する。そのため、次の画像形成プロセスに先立って像担持体表面に残留しているトナーである転写残トナーを除去することが必要となる。転写残トナーを除去する方法としては様々な方式が知られているが、弾性を有する板状のクリーニングブレードにより像担持体表面を摺擦して転写残トナーを掻き落として回収する方式が簡便で安価なことより一般的に使用されている。
【0003】
従来は回収した転写残トナーを廃トナーとして廃棄処分していたが、近年では環境問題への配慮から資源の有効活用を図るため、転写残トナーを現像装置やトナー補給装置に搬送して再利用(リサイクル)し、トナーボトル等のトナー収容器から排出された未使用トナーと混合して静電潜像の現像に使用することがある。
特許文献1には、未使用トナー搬送機構とリサイクルトナー搬送機構とを備え、それらによってそれぞれ搬送された未使用トナーおよびリサイクルトナーを混合して現像装置に供給する機構を備えたトナーリサイクル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−286513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リサイクルトナーは、画像形成プロセスにおいて表面処理剤の埋没や離脱といった損傷を受け、未使用トナーと比較して流動性が大きく低下している。
ところが、特許文献1の構成では、未使用トナー搬送機構とリサイクルトナー搬送機構とは共に水平に配置されており、未使用トナーに比べて流動性が大きく低下しているリサイクルトナーに対してトナーが流れやすくなるような機構も備えていないため、リサイクルトナーがトナー搬送機構のスクリューやパイプ壁面等に付着して、トナー搬送経路内においてトナー詰まりが発生しやすいという問題がある。
【0006】
加えて、特許文献1の構成では、未使用トナー搬送機構とリサイクルトナー搬送機構とは、それぞれ別個のスクリューを備えた2軸構成となっており、それぞれ別個の駆動源により独立して制御駆動される構成となっているため、コストアップや装置大型化の要因となっている。
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであって、コスト低減および省スペース化を図りつつ、リサイクルトナー詰まりの発生を抑制し、リサイクルトナーの搬送をより効率よく行うことができる作像ユニット、および当該作像ユニットを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る作像ユニットは、静電潜像の形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記現像手段にトナーを供給するトナー供給手段と、前記像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写した後、当該像担持体表面に残留するトナーを除去して回収するクリーニング手段と、を備えた作像ユニットであって、前記トナー供給手段は、筒状の搬送路と、第1の螺旋状羽根と、当該第1の螺旋状羽根とは螺旋の巻き方向が逆方向の第2の螺旋状羽根とが1本の回転軸上の軸方向における異なる範囲に形成されて成り、前記筒状の搬送路に内挿され、前記第1と第2の螺旋状羽根によるトナーの搬送方向が互いに向かい合う方向となるように回転されるトナー搬送回転体と、を備え、前記回転軸は、前記第2の螺旋状羽根の形成範囲が前記第1の螺旋状羽根の形成範囲より上方に位置するように、水平面に対して所定角度傾斜しており、前記筒状の搬送路は、その第1の螺旋状羽根の存する範囲において傾斜の下側の位置に未使用トナーの受入口を備えると共に、第2の螺旋状羽根の存する範囲において傾斜の上側の位置に前記クリーニング手段により回収したトナーの受入口を備え、前記第1および第2の螺旋状羽根の駆動により搬送されるトナーが合流する位置に、搬送されてきたトナーを前記現像手段に供給するためのトナー供給口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により、流動性の低下したリサイクルトナーは、重力の補助を受けて傾斜の上から下へと搬送されやすくなり、リサイクルトナー詰まりの発生を抑制することができる。さらに、第1および第2の搬送手段を別々の駆動源ではなくひとつの駆動源により駆動することができるため、部品点数を減じてコスト削減および省スペース化に資することができる。
【0009】
ここで、前記回転軸が回転された際に、前記第1の螺旋状羽根によるトナーの搬送能力が、前記第2の螺旋状羽根によるトナーの搬送能力よりも大きくてもよい。
また、前記第1の螺旋状羽根のピッチが、前記第2の螺旋状羽根のピッチよりも大きくてもよい。
ここで、また、前記第1の螺旋状羽根の径が、前記第2の螺旋状羽根の径よりも大きく、前記筒状の搬送路において、前記第1の螺旋状羽根が内挿される部分の径が、前記第2の螺旋状羽根が内挿される部分の径よりも大きくてもよい。
【0010】
これにより、現像器中のトナー濃度が低下して未使用トナーを補給する必要が生じた場合に、未使用トナーの搬送能力を確保して迅速に未使用トナーを現像器に供給することができる。
また、本発明を上記の特徴を備える作像ユニットを用いた画像形成装置とすることもできる。この場合においても、上記と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る作像ユニットを備えた複写機の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る作像ユニットの概略構成を表す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る作像ユニットの概略構成を表す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る作像ユニットの図3におけるA−A’断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る作像ユニットの図3におけるB−B’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態を、複写機に適用した場合を例にして、図面に基づいて説明する。
(1−1.複写機の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る複写機1の全体の概略構成を示す断面図である。
複写機1は、画像形成部10、定着装置30、原稿読取部40、給紙部50等を備え、原稿読取部40にて読み取った原稿の画像データに基づき、周知の電子写真方式により画像を形成するものである。
【0013】
原稿読取部40は、プラテンガラス等の上に載置された原稿を光源を用いて照射し、原稿面からの反射光をCCD等のイメージセンサで受光して原稿の画像データを生成する周知の画像読取装置である。
画像形成部10は、トナー像を作像する作像ユニット2、並びに作像ユニット2における静電潜像担持体である感光体ドラム21を露光走査する露光走査部11を備えている。
【0014】
作像ユニット2は、感光体ドラム21の他、感光体ドラム21上に形成された静電潜像を現像する現像ユニット23、感光体ドラム21周囲に配設された帯電部24、転写後の感光体ドラム上に残存している転写残トナーを除去するクリーニング部26等を備える。
露光走査部11は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、原稿読取部40において読み取られた原稿の画像データに基づき、画像形成のためのレーザ光Lを発し、感光体ドラム21を露光走査する。露光走査部11による露光走査を受けて感光体ドラム21上に静電潜像が形成され、現像ユニット23における現像ローラ231から供給されるトナーにより、静電潜像が可視化されてトナー像を形成する。トナー像は、給紙部50よりタイミングを合わせて搬送されてきたシートS上に転写位置12にて転写された後、定着装置30において熱定着され、外部の排紙トレイ13上に排出される。
【0015】
なお、本実施の形態では、二成分現像剤を使用した磁気ブラシ現像法を使用しており、現像ローラ231は、現像スリーブの内側にマグネットローラを内挿してなり、マグネットローラは支軸に固定され、現像スリーブは当該支軸に対してベアリングを介して回転可能に軸支されているものとする(これらの構成は公知なので、特に内部構造を図示しておらず、単に現像ローラ231として表している。)。以下、図2〜5においても、同様である。
(1−2.作像ユニットの構成)
図1に示すように、作像ユニット2は、感光体ドラム21を挟んで、その下方に現像ローラ231を有する現像ユニット23が、上方にクリーニング部26が配置されている。さらに、現像ユニット23とクリーニング部26との間において感光体ドラム21近傍に帯電部24が設けられている。
【0016】
図2は、作像ユニット2および未使用トナー収容器であるトナーボトル14の概略構成を示す一部切り欠き斜視図である。なお、同図においては、クリーニング部26の内部の様子がわかりやすいように、その筐体の上面を取り除いた状態で示している。
同図に示すように、作像ユニット2は、手前側(Y方向)にトナー供給部(トナー供給手段)27およびトナーボトル受け部28が備えられ、これらが一体となって作像ユニット2を成す。
【0017】
トナー供給部27は、トナーボトル14より排出されたトナー(未使用トナー)およびクリーニング部26において回収された転写残トナー(リサイクルトナー)を、現像ユニット23に供給する。詳しくは後述する。
複写機1本体のフレーム100には、それぞれ作像ユニット2およびトナーボトル14を着脱するためのスロット101および102が設けられている。スロット101の内部にはガイドレール103がその長手方向が複写機1の前後方向(Y軸方向)に沿うように設けられている。ガイドレール103は、作像ユニット2を装置前後方向にスライド自在に案内するための部材である。
【0018】
ユーザやサービスマンなどの操作者は、作像ユニット2を略水平に支えつつスロット101からガイドレール103に沿わせて複写機1本体後側(−Y方向)に向かって押し込むことにより、作像ユニット2を複写機1本体に装着することができる。また、作像ユニット2を手前に引き出すように操作することにより複写機1本体から取り出すことができる。
【0019】
トナーボトル14についても同様の操作を行うことにより着脱が可能である。複写機1本体に装着された状態において、トナーボトル14は、トナーボトル受け部28およびトナーボトル支持部材19(図3、図4参照)によって支持される。
図3は、複写機1本体内に装着された状態における作像ユニット2およびトナーボトル14を上から(図2の−Z方向)見た図である。この状態において、作像ユニット2は、複写機1本体内部の後側(−Y方向)に配設された駆動軸17とカプラー15を介して接続される。また、トナーボトル14は、複写機1本体内部のトナーボトル14の後側(−Y方向)に配設された駆動軸18とカプラー16を介して接続される。駆動軸18を介して複写機1本体内の回転駆動力がトナーボトル14に伝達される。
【0020】
トナーボトル14はその内周面に螺旋状の突条部が設けられた円筒形状をしており、駆動軸18からの回転駆動力を受けてトナーボトル14が回転すると、トナーは前記螺旋状の突条部によりY方向に搬送され、トナーボトル14の搬送方向(Y方向)端部近傍に設けられたトナー排出口141(図5参照)へと排出され、現像ユニット23に供給される。詳しくは後述する。
【0021】
また、駆動軸17の回転駆動力がギヤボックス29a内のギヤ(不図示)を介して感光体ドラム21および、後述するリサイクルトナー回収部材263、リサイクルトナー搬送スクリュー265、第1攪拌スクリュー232、第2攪拌スクリュー233等に伝達される。
図4は、作像ユニット2およびトナーボトル14の、図3のA−A’線における矢視断面図である。
【0022】
現像ユニット23は、現像ローラ231のほか、トナーを紙面手前側(Y方向)から奥側(−Y方向)に向けて攪拌しながら搬送する第1攪拌スクリュー232と、奥側に搬送されたトナーを手前側に搬送しながら現像ローラ231の表面にトナーを供給する第2攪拌スクリュー233、および現像ローラ231の表面に付着したトナー層の厚みが一定の値になるように規制するドクターブレード234などを筺体235に保持してなる。
【0023】
第1攪拌スクリュー232によるトナー搬送路中において、筐体235の当該トナー搬送路の底面に相当する部分の壁面には、トナー濃度検出センサ236が埋設されている。トナー濃度検出センサ236と第1攪拌スクリュー232とは接することはなく、トナー濃度検出センサ236は第1攪拌スクリュー232の回転を妨げない。トナー濃度検出センサ236は、例えば、コイルのインダクタンスの変化から上記トナー搬送路において搬送される現像剤(トナーおよびキャリア)の透磁率を検出する磁気センサである。トナー濃度検出センサ236により検出された透磁率から、磁性体であるキャリアの量が検出され、間接的に、現像剤に対するトナーの比率、すなわちトナー濃度が求められる。例えば、現像剤に含まれるキャリア量が少ない場合は、トナー比率が高いと検出される。一方、現像剤に含まれるキャリア量が多い場合は、トナー比率が低いと検出される。そして、このトナー濃度検出センサ236からの検出信号は、制御部(不図示)に入力され、この検出信号に基づいて、必要な補給量が算出されるとともに、駆動軸18に連結されている不図示のモータが駆動されてトナーボトル14が回転され、所定量の未使用トナーが現像ユニット23に補給される。
【0024】
感光体ドラム21上に形成されたトナー像がシートS(図1参照)上に転写された後、感光体ドラム21の周面は弾性を有する樹脂等により形成されたクリーナブレード261によって転写残トナーが除去され、除去された転写残トナーはクリーナブレード261の先端部262近辺に溜まる。溜まった転写残トナーは、回動するリサイクルトナー回収部材263に取着されたパドル264によってリサイクルトナー搬送スクリュー265へと掻き上げられる。そして、リサイクルトナー搬送スクリュー265によって紙面手前側(Y方向)に搬送され、トナー供給部27(図2、図3参照)へと搬送される。パドル264は、例えば、ポリエステルフィルム(PETフィルム)から成る。
【0025】
図5は、複写機1本体内に装着された状態における作像ユニット2およびトナーボトル14の、図3のB−B’線における矢視断面図である。同図に示すように、トナー供給部27は、第1円筒部271aと当該第1円筒部271aに回転可能に内設された第1トナー搬送スクリュー271bとから成る第1トナー搬送部271、第2円筒部272aと当該第2円筒部272aに回転可能に内挿された第2トナー搬送スクリュー272bとから成る第2トナー搬送部272、未使用トナー受入口273、トナー補給路274等より成る。第2円筒部272aは第1円筒部271aよりも径が小さく、また、双方の軸が一致した状態で一体的に形成され、円筒状のトナー搬送路を形作っている。第2トナー搬送スクリュー272bと、第1トナー搬送スクリュー271bとは、共通の一本の回転軸278上に一体的に形成されてトナー搬送回転体270を形作っている。回転軸278上において、第1トナー搬送スクリュー271bが形成されている領域と、第2トナー搬送スクリュー272bが形成されている領域とは、互いに略隣接している。また、第1円筒部271aおよび第2円筒部272aの軸と、回転軸278とが一致するように配置されている。
【0026】
第1トナー搬送スクリュー271bと第2トナー搬送スクリュー272bとは、互いにスクリューの羽根の向きが逆に形成されており、これにより、第1トナー搬送部271と第2トナー搬送部272とは、トナーの搬送方向が逆となる。本実施の形態においては、第1トナー搬送部271によるトナー搬送方向と第2トナー搬送部272によるトナー搬送方向とが、互いに向かい合う向きになるようにトナー搬送回転体270は回転される。
【0027】
また、同図に示すように、第1トナー搬送部271および第2トナー搬送部272は、その回転軸278が水平面に対して所定角度αだけ傾斜するように設置されている。第2トナー搬送部272のリサイクルトナー受入開口部275が上方となるように設置されている。
第1円筒部271aの、第2円筒部272aとは反対側の端部近傍には未使用トナー受入口273が設けられている。トナーボトル14の回転に伴ってトナー排出口141から排出された未使用トナーは、トナーボトル受け部28の開口部281および未使用トナー受入口273を通って第1円筒部271aの内部に供給される。
【0028】
一方、第2円筒部272aの、第1円筒部271aとは反対側の端部近傍には、リサイクルトナー受入開口部275が設けられており、リサイクルトナー搬送スクリュー265によって搬送されたリサイクルトナーは、その搬送路の終端において上記リサイクルトナー受入開口部275を介して第2円筒部272aの内部へと供給される。
回転軸278の第2トナー搬送スクリュー272b側の端部は、トナーが漏洩しないようにシールされた状態で第2円筒部272aに対して回転可能に支持されると共に、その突出部先端には傘歯ギヤ277が取着されている。
【0029】
なお、回転軸278の第1トナー搬送スクリュー271b側の端部も、トナーが漏洩しないようにシールされた状態で第1円筒部271aに対して回転可能に支持されている。
カプラー15(図3参照)を介して駆動軸17より伝達された回転駆動力は、直接感光体ドラム21に伝達されると共に、ギヤボックス29a内の一連のギヤを介してリサイクルトナー搬送スクリュー265、リサイクルトナー回収部材263、第1攪拌スクリュー232、第2攪拌スクリュー233に伝達され、更にはギヤボックス29b内のギヤ(不図示)を介して傘歯ギヤ291にも伝達される。傘歯ギヤ291には傘歯ギヤ277が噛合されており、これにより、トナー搬送回転体270が回転駆動される。
【0030】
トナーボトル14から排出され、トナー排出口141および未使用トナー受入口273を通って第1円筒部271aの内部に供給された未使用トナーは、第1トナー搬送スクリュー271bによって第1円筒部271a内部を傾斜の下から上へ(同図において左下から右上へ)と搬送される。クリーニング部26よりリサイクルトナー受入開口部275を介して供給されたリサイクルトナーは、第2トナー搬送スクリュー272bによって第2円筒部272a内部を傾斜の上から下へ(同図において右上から左下へ)と搬送される。そして、第1トナー搬送スクリュー271bと第2トナー搬送スクリュー272bとの接合部近傍において、未使用トナーとリサイクルトナーが合流する。
【0031】
この合流位置において下方(−Z方向)に連接されているトナー補給路274を介して、第1トナー搬送スクリュー271bおよび第2トナー搬送スクリュー272bによってそれぞれ合流位置まで搬送された未使用トナーおよびリサイクルトナーは、下方の現像ユニット23へと供給される。
上記のように、回転軸278が水平面に対して傾斜するように設置されていることにより、未使用トナーは傾斜の下から上へと、リサイクルトナーは傾斜の上から下へと搬送される。これにより、未使用トナーと比較して流動性が低下しているリサイクルトナーは、重力による補助を受けて傾斜の上から下へと流れやすくなり、その結果、第2円筒部272a内壁(特に第2トナー搬送スクリュー272bの外周と第2円筒部272aの内壁との間の隙間であるクリアランス部分)や第2トナー搬送スクリュー272bに付着するリサイクルトナーの量が少なくなり、リサイクルトナー詰まりの発生を抑制することができる。
【0032】
また、傾斜していることにより、トナーボトルを下方に位置させることが可能となり、トナーボトルを含めた作像ユニット全体の高さを低減して画像形成装置の小型化に資することができる。
上記傾斜角度αとしては、使用されるトナーの種類や使用される環境(温度、湿度等)、および第2トナー搬送部272の材質等によっても異なるが、具体的には例えば、10度〜30度であれば上記目的を達成することができる。
【0033】
ここで、第1トナー搬送スクリュー271bのピッチ(スクリューの隣り合う羽根同士の間隔)は、第2トナー搬送スクリュー272bのピッチよりも大きく設定されている。具体的には、例えば、第1トナー搬送スクリュー271bのピッチは15.8(mm)であり、第2トナー搬送スクリュー272bのピッチは9.0(mm)である。
また、第1トナー搬送部271(第1円筒部271aおよび第1トナー搬送スクリュー271b)の径は、第2トナー搬送部272(第2円筒部272aおよび第2トナー搬送スクリュー272b)の径よりも大きく設定されている。具体的には、例えば、第1円筒部271aの径は14.7(mm)、第1トナー搬送スクリュー271bの径は13.4(mm)であり、第2円筒部272aの径は10.8(mm)、第2トナー搬送スクリュー272bの径は9.6(mm)である。
【0034】
これは、複写機等の画像形成装置の転写効率は通常80〜90%程度であり、従ってリサイクルトナーとして回収される転写残トナーは通常10〜20%程度と少なく、リサイクルトナーの搬送にはそれほど大きな搬送能力を必要としないためである。それに加えて、第1トナー搬送スクリュー271bのピッチがより大きく設定され、且つ、径がより大きく設定されていることによって、第1トナー搬送部271による未使用トナーの搬送能力がより大きくなり、トナー濃度検出センサ236によりトナー比率が低いと検出された場合に、トナーボトル14から排出された未使用トナーを迅速に現像ユニット23に供給することができる。
【0035】
さらに、次のような効果もある。第2トナー搬送部272の軸に垂直な平面による断面を想定した場合に、第2円筒部272aの内壁と第2トナー搬送スクリュー272bの外周との間のクリアランス部分において、第2円筒部272aの内壁の最下部と第2トナー搬送スクリュー272bの外周の最下部に位置する部分との間(デッドスペース)に存在するリサイクルトナーは、第2トナー搬送スクリュー272bの回転領域の外に位置し、当該搬送スクリューの羽根と接することがなく、且つ、自重によって前記回転領域内に落下することもないため、搬送されずに第2円筒部272a内部に滞留しやすい。
【0036】
ここで、同じ量のリサイクルトナーが存在する場合、円筒部の径が小さい方がリサイクルトナーの液面は高くなる。そしてその分、スクリューの回転領域内に存在するリサイクルトナーの割合が大きくなる、即ち、デッドスペースに存在するリサイクルトナーの割合が低くなる。また一般に、円筒部およびスクリューの径が小さい方が上記クリアランスも小さくなり、デッドスペースも小さくなる。
【0037】
そこで、第2トナー搬送部272の径が第1トナー搬送部271の径よりも小さく設定されていることにより、デッドスペースに存在するリサイクルトナーの割合を少なくして、搬送されずに滞留するリサイクルトナー量を低減する効果がある。
なお、本実施の形態においては、第1トナー搬送部271と第2トナー搬送部272とでは、スクリューのピッチと、円筒部およびスクリューの径との両方が異なっているが、どちらか一方が異なるようにしてもよい。この場合でも、スクリューのピッチ比または径の比を変えることにより、未使用トナーを十分迅速に補給することができるからである。
【0038】
また、第1トナー搬送部271と第2トナー搬送部272とで、スクリューのピッチ、円筒部の径、およびスクリューの径を同一にしてもよい。この場合においては、両者の搬送能力が同じとなるが、傾斜によりリサイクルトナー詰まりの発生を抑制することができる。
さらに、回転軸278上において、第1トナー搬送スクリュー271bが形成されている領域と、第2トナー搬送スクリュー272bが形成されている領域とは、互いに略隣接しているとしたが、これに限られず、以下のようにしてもよい。即ち、第1トナー搬送スクリュー271bが形成されている領域と、第2トナー搬送スクリュー272bが形成されている領域とが離れていて、それぞれのスクリューのトナー搬送方向終端部近傍に、搬送されてきたトナーを現像ユニット23へと供給するトナー供給口がそれぞれ設けられているとしてもよく、また、トナー供給口の数は1つで、当該1つのトナー供給口の大きさが十分に大きく、第1トナー搬送スクリュー271bおよび第2トナー搬送スクリュー272bによって搬送されてきた未使用トナーとリサイクルトナーの両方を受け入れるようにしてもよい。
【0039】
なお、第1円筒部271a、第2円筒部272a、未使用トナー受入口273、およびトナー補給路274は、一体的に形成されていてもよい。
なお、上記に示した回転軸278の水平面に対する傾斜角度αや、第1円筒部271a、第1トナー搬送スクリュー271b、第2円筒部272a、第2トナー搬送スクリュー272bの径、並びに、第1トナー搬送スクリュー271bおよび第2トナー搬送スクリュー272bのピッチについての具体的な数値は一例として挙げたものであり、これらに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、転写残トナーを回収してリサイクルトナーとして再利用する機構を備えた作像ユニットおよび当該作像ユニットを備えた画像形成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 複写機
2 作像ユニット
10 画像形成部
11 露光走査部
12 転写位置
14 トナーボトル
15、16 カプラー
17、18 駆動軸
21 感光体ドラム
23 現像ユニット
24 帯電部
26 クリーニング部
27 トナー供給部
28 トナーボトル受け部
29a、29b ギヤボックス
30 定着装置
40 原稿読取部
50 給紙部
141 トナー排出口
231 現像ローラ
232 第1攪拌スクリュー
233 第2攪拌スクリュー
236 トナー濃度検出センサ
261 クリーナブレード
262 先端部
263 リサイクルトナー回収部材
264 パドル
265 リサイクルトナー搬送スクリュー
270 トナー搬送回転体
271 第1トナー搬送部
271a 第1円筒部
271b 第1トナー搬送スクリュー
272 第2トナー搬送部
272a 第2円筒部
272b 第2トナー搬送スクリュー
273 未使用トナー受入口
274 トナー補給路
275 リサイクルトナー受入開口部
276 トナー供給口
277、291 傘歯ギヤ
278 回転軸
281 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像の形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記現像手段にトナーを供給するトナー供給手段と、前記像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写した後、当該像担持体表面に残留するトナーを除去して回収するクリーニング手段と、を備えた作像ユニットであって、
前記トナー供給手段は、
筒状の搬送路と、
第1の螺旋状羽根と、当該第1の螺旋状羽根とは螺旋の巻き方向が逆方向の第2の螺旋状羽根とが1本の回転軸上の軸方向における異なる範囲に形成されて成り、前記筒状の搬送路に内挿され、前記第1と第2の螺旋状羽根によるトナーの搬送方向が互いに向かい合う方向となるように回転されるトナー搬送回転体と、
を備え、
前記回転軸は、
前記第2の螺旋状羽根の形成範囲が前記第1の螺旋状羽根の形成範囲より上方に位置するように、水平面に対して所定角度傾斜しており、
前記筒状の搬送路は、
その第1の螺旋状羽根の存する範囲において傾斜の下側の位置に未使用トナーの受入口を備えると共に、第2の螺旋状羽根の存する範囲において傾斜の上側の位置に前記クリーニング手段により回収したトナーの受入口を備え、前記第1および第2の螺旋状羽根の駆動により搬送されるトナーが合流する位置に、搬送されてきたトナーを前記現像手段に供給するためのトナー供給口が設けられている
ことを特徴とする作像ユニット。
【請求項2】
前記回転軸が回転された際に、前記第1の螺旋状羽根によるトナーの搬送能力が、前記第2の螺旋状羽根によるトナーの搬送能力よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の作像ユニット。
【請求項3】
前記第1の螺旋状羽根のピッチが、前記第2の螺旋状羽根のピッチよりも大きい
ことを特徴とする請求項2に記載の作像ユニット。
【請求項4】
前記第1の螺旋状羽根の径が、前記第2の螺旋状羽根の径よりも大きく、
前記筒状の搬送路において、前記第1の螺旋状羽根が内挿される部分の径が、前記第2の螺旋状羽根が内挿される部分の径よりも大きい
ことを特徴とする請求項2または3に記載の作像ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の作像ユニットが着脱可能に装着された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−145588(P2011−145588A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7915(P2010−7915)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】